説明

ナビゲーション装置及びその制御方法

【課題】ジャンル検索において、項目の表示に検索時の時期や季節に関連性を持たせることで、ユーザが希望する施設等の特定を少ない操作で可能とするナビゲーション装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】時期情報記憶部34は、ジャンルに関連する時期がある場合に、予めその時期を識別する時期情報をジャンルと紐付けて記憶装置11に記憶している。時期特定部35が、記憶装置11にアクセスして、ジャンル検索部の処理により特定されたジャンルに、時期情報が記録されているか否かを確認し、時期情報がある場合に、そこから時期を取得する。時期優先順決定部36は、特定された時期に応じて、ジャンルの優先順を決定する。優先順表示部37が、この優先順に応じて、ジャンルを表示器にメニュー表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図上の施設等の検索手法、特にジャンル検索の手法に改良を加えたナビゲーション装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理技術の発達に伴ってナビゲーション装置が急速に普及している。ナビゲーション装置は、GPSなどで推定する自車位置を周辺地図上に画面表示し、施設検索などで指定される目的地への経路を計算し案内するものである。
【0003】
最近のナビゲーション装置の施設検索では、様々な検索方法が用意されているが、最もポピュラーなものは施設名称検索で、これは典型的には、画面表示される50音パネルにより、ユーザーが探したい施設名称を入力すると、該当する施設がリスト表示される機能である。
【0004】
しかし、近年では、施設検索用のデータが充実し施設件数1000万件規模などに増大した結果、目的の施設を見つけにくいという問題があった。すなわち、豊富なデータゆえに施設の特定が難しくなり、検索結果のリストで施設件数が必要以上に多過ぎ、例えば検索で需要の多い有名施設が多数の無名な施設に埋もれて発見に苦労したり、リストでかなりの画面スクロール操作を余儀なくされる場合も多かった。例えば、「とうきょう」と入力しても東京が付く施設は無数にある。
【0005】
この解決策として最近の製品で登場してきたのが「絞込み」や「並び替え」の機能である。これにより、施設等リストの表示後に、ジャンルや地域などを指定して該当する施設のみに絞り込んだり、近い順や50音順などに並び替えが可能であった(特許文献1参照)。特に、任意のジャンルから目的地を検索するジャンル検索では、交通、食べる・飲む、遊ぶ・見る、買う等、目的を大括りにした大分類の階層と、各大分類の詳細な中分類の階層と、さらに詳細な小分類の階層構造でデータを構成し、それぞれの階層のリストからジャンルを選択することで目的地を絞り込むことが可能となる。
【特許文献1】特開2006−162516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のジャンル検索は、ジャンルごとの絞り込みは可能であるが、例えば、各階層でのメニュー表示又は項目表示の並び順は、一定であった。したがって、例えば、ジャンル検索で大分類「遊ぶ・見る」→中分類「スポーツ」と選択していった場合において、検索を行った季節が「夏」であった場合にも、50音順表示であれば場合によっては「スキー場」が小分類のトップ項目として表示されるような場合もあった。反対に、季節が「冬」であった場合に「プール」が小分類のトップ項目として表示される場合もあった。
【0007】
すなわち、従来のジャンル検索では、各階層の項目の表示順は、50音順や地域順等、機械的な分類であって、検索の時期や季節に合致したものではなかった。そのため、ユーザは時期や季節に関わらず毎回同じだけの操作回数を必要とし、場合によってはユーザが望む施設等の特定に手間を要する場合もあった。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するもので、その目的は、ジャンル検索において、項目の表示に検索時の時期や季節に関連性を持たせることで、ユーザが希望する施設等の特定を少ない操作で可能とするナビゲーション装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、施設又はイベントをそのジャンルごとに分け階層化して記憶するジャンル記憶手段と、ユーザによるジャンルの選択を前記階層ごとに受付ける入力受付手段と、入力されるジャンルをもとに前記階層を辿ってユーザにより選択されたジャンル又は施設を特定するジャンル検索手段と、前記ジャンルに関連する時期がある場合に当該時期を識別する時期情報を前記ジャンルと紐付けて記憶する時期情報記憶手段と、特定されたジャンルに前記時期情報が紐付けられているか判定し、紐付けられている場合に当該時期を特定する時期特定手段と、特定された時期に応じて、前記ジャンルの優先順を決定する時期優先順決定手段と、優先順に応じて、前記ジャンルを表示器にメニュー表示する優先順表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
なお、この発明は、請求項5に記載されたとおり、ナビゲーション装置の制御方法として捉えることも可能である。
【0011】
以上のような態様では、時期情報記憶手段は、ジャンルに関連する時期がある場合に、予めその時期を識別する時期情報をジャンルと紐付けて記憶し、時期特定手段が、ジャンル検索手段の処理により特定されたジャンルに、時期情報が記録されているか否かを確認し、時期情報がある場合に、そこから時期を取得する。時期優先順決定手段は、特定された時期に応じて、ジャンルの優先順を決定し、優先順表示手段がこの優先順に応じてジャンルを表示器にメニュー表示する。これにより、ジャンル検索において、項目の表示に検索時の時期や季節に関連性を持たせることで、ジャンル検索のメニュー表示を50音順や地域順等の機械的なものでなく、検索の時期や季節に合致したものとすることができ、ユーザは、検索する時期に応じたメニュー表示のもと施設等の検索を行うことができる。したがって、ユーザが希望する施設等の特定を少ない操作で行うことができるようになる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、前記時期情報は、四季のID又は月の数字を識別するものであることを特徴とする。
なお、この発明は、請求項6に記載されたとおり、ナビゲーション装置の制御方法として捉えることも可能である。
【0013】
以上のような態様では、ジャンル検索の時期優先表示における時期の指標を四季又は月で特定することにより、現在の時期に合致した施設等を含むジャンルが優先してメニュー表示されることとなり、ユーザが検索する月や季節に応じたメニュー表示のもと施設等の検索を行うことができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の発明において、時期優先順決定手段は、前記ジャンルの特定された時期と現在の時期とが一致する場合には、当該ジャンルを最適なジャンルと判定し、一致しない場合には不適切なジャンルと判定し、前記優先順表示手段は、前記メニュー表示の際に、前記最適なジャンルをメニューの上位に表示し、前記不適切なジャンルをメニューの下位に表示するか非表示とするものであることを特徴とする。なお、この発明は、請求項7に記載されたとおり、ナビゲーション装置の制御方法として捉えることも可能である。
【0015】
以上のような態様では、時期に合致したジャンルをメニューの上位に表示し、合致しない不適切なジャンルをメニューの下位に表示又は非表示とすることにより、時期に合致したジャンルが先に表示されることとなり、ユーザに検索の手間を減らした快適なユーザインタフェースを提供できる。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3記載の発明において、前記時期特定手段が、特定されたジャンルに前記時期情報が紐付けられていないと判定した場合に、前記時期優先順決定手段は、当該ジャンルを、現在の時期と無関係なジャンルと判定し、前記優先順表示手段は、前記不適切なジャンルが表示される場合に、当該無関係なジャンルを前記不適切なジャンルよりも上位に表示するものであることを特徴とする。なお、この発明は、請求項8に記載されたとおり、ナビゲーション装置の制御方法として捉えることも可能である。
【0017】
以上のような態様では、ジャンルのうち、時期に不適切なジャンルのプライオリティーを、時期に関係のないジャンルよりも下げて表示することにより、時期に合致したジャンルが先に表示されるとともに、時期に無関係でオールシーズン訪れる可能性のあるような施設等も中位に表示されることで、ユーザが検索する可能性のある施設等の範囲を狭めることはない。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、ジャンル検索において、項目の表示に検索時の時期や季節に関連性を持たせることで、ユーザが希望する施設の特定を少ない操作で可能とするナビゲーション装置及びその制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための最良の実施形態について、図に沿って説明する。なお、背景技術や課題での説明と共通の前提事項は省略する。
【0020】
[1.全体構成]
本実施形態は、目的地への経路を案内するナビゲーション装置(以下「本装置」と呼ぶ)を説明するもので、その制御方法、制御プログラムとしても把握可能であり、本装置の構成を図1に示す。
【0021】
すなわち、1は、VICS情報を取得する為のFM多重受信及び処理部、2は、VICS情報を取得する為のビーコン受信及び処理部である。3は、システム全体の制御を司るメインCPU(中央演算装置)及びその周辺回路であり、本装置各部の制御を含む情報処理を行う制御部である。メインメモリMを構成する4は、メインプログラムをロードする為のダイナミックRAM(DRAM)、5は、メイン電源オフの間も設定などメモリ内容を保持するためのバッテリーバックアップ付スタティックRAM(SRAM)、6は、起動時等に制御部3よりアクセスされるROMである。
【0022】
7は、地図などの情報を描画及び表示する表示部で、液晶表示パネルなどの表示画面を持つ。本発明では、タッチパネル機能を備えたディスプレイを用いる。8は、表示部7用に設けられたビデオRAM(VRAM)である。9は、TV(各種のテレビジョン放送)を受信する為のTV受信及び処理部、10は、イルミネーション(計器盤等の照明)・車速パルス・パーキング等の動作や状態を検出する車両情報取得部である。
【0023】
11は、データベース読みとりのためのCD−ROM、DVD―ROM、HDDなどの制御部を備えた記憶装置で、道路地図データ(典型的には、経路探索用データや地図表示用データ)やその他の検索データや地図関連データなどを記録する地図データの外部記憶装置の役割を果たす。
【0024】
12は、情報や操作の入力を受付ける入力部で、タッチキーやタッチパネルなどからの入力を検出する制御装置であるが、入力部の構成や種類は自由で、表示部7の表示パネルと一体のタッチセンサのほか、周囲の操作スイッチ類、リモコンユニット、などを単独、又は自由に組み合わせて用いればよい。13は、測位技術(例えば、GPS、ジャイロ、地磁気センサ、加速度センサ、車速パルスなど)により、現在位置、方位、速度など自車の挙動に関する航法情報を得る測位部である。
【0025】
また、制御部3は、所定の制御プログラムにより、以下のような機能・作用に対応する処理手段(図1に示す30、31…)を実現・実行する。なお、従来と共通のナビゲーション処理(例えば、現在位置の計算、経路計算など)は、本発明特有の要素ではないので、ナビゲーション部30として示し、説明は省略する。
【0026】
[2.処理の概要]
本装置では、ジャンル記憶部31に、予め施設検索用の施設又はイベントをそのジャンルごとに分け階層化して記憶装置11に記憶している。また、入力受付部32は、ユーザによるジャンルの選択を階層ごとに受付ける。ジャンル検索部33は、入力されるジャンルをもとに記憶装置11にアクセスし階層を辿ってユーザにより選択されるジャンル又は最終的には施設等を特定する。
【0027】
ここで、時期情報記憶部34は、ジャンルに関連する時期がある場合に、予めその時期を識別する時期情報をジャンルと紐付けて記憶装置11に記憶している。そこで、時期特定部35が、記憶装置11にアクセスして、ジャンル検索部の処理により特定されたジャンルに、時期情報が記録されているか否かを確認し、時期情報がある場合に、そこから時期を取得する。時期優先順決定部36は、特定された時期に応じて、ジャンルの優先順を決定する。そして、優先順表示部37が、この優先順に応じて、ジャンルを表示器にメニュー表示する。
【0028】
[3.実施例1]
次に上記のような本実施形態の処理について、図2に示すデータベース構造と図3に示す画面例並びに図4のフローチャートを用いて、実施例1について具体的に説明する。
【0029】
(1)データベースの構成
本実施例は、ジャンル記憶部31及び時期情報記憶部34の作用により、次のようなデータベースが記憶装置11に格納される。ここで本実施例において、「時期」とは「四季」のことであり、「ジャンルの情報に関連する時期」とは当該ジャンルに含まれる施設等を訪れるのに適した季節のことをいう。例えば、海水浴場やプールであれば「夏」であり、スキー場やスケート場であれば「冬」である。また、ゴルフ場等比較的オールシーズン変わりなく楽しめるジャンルの施設等については「時期」なしということになる。
【0030】
図2(a)に示すように、ジャンル検索のメニューを表示するためのデータベースとして、従来同様、分類を識別する名称(以降、ジャンル名称と呼ぶ)と、対応するジャンルを識別するID(以降、ジャンルIDと呼ぶ)を有する。
【0031】
本実施形態では、これに加えて、そのジャンルに相応しい季節を表すための識別ID(以降、季節IDと呼ぶ)を1つのレコードとした、大分類、中分類、小分類の階層構造をもつデータベースAを構成する。
【0032】
すなわち、ジャンル記憶部31により、従来同様のジャンル検索のメニューを表示するためのデータベース項目を記憶装置11に記憶する。一方、時期情報記憶部34は、小分類のジャンルに含まれる施設等において、当該ジャンルを訪れるのに適した季節がある場合、その季節を識別する時期情報を季節IDとして記録するものである。
【0033】
ここで、データベースAの季節IDは、ジャンル1件に対して複数持つことも可能とし、季節に無関係な場合は季節IDを1つも持たないこととする。図2を用いて具体的に説明すると、図2(a)の小分類において「スキー場」等は、後述する図2(b)において示す冬の季節IDである「S4」を持つ。一方、例えば「ゴルフ場」のように、季節に関係のないジャンルは季節IDを一つも持たない。また、データベースAは、階層によっては季節IDが全くない場合もあり得る。その場合は、同一階層の全レコード中に季節IDのフィールドはなくても構わないものとする。
【0034】
時期情報記憶部34は、また、図2(b)に示す季節、期間(月単位)及び季節IDの対応を定義するデータベースBを記憶装置11に記憶する。具体的には、「春」であれば期間「3月〜5月」、季節ID「S1」というようにである。
【0035】
時期情報記憶部34はまた、各施設等データに対して、対応するジャンルの大分類、中分類、小分類のジャンルIDを割り当て、階層構造のデータベースCを構成する(図2(c))。なお、この階層構造のデータは、中分類を飛ばして大分類階層の下に小分類階層となる2階層構造でも良いものとする。
【0036】
(2)画面例及びフローチャートの例
次に、図3の画面例及び図4のフローチャートを用いて本実施例の処理を説明する。
まず、ユーザが、入力部12を通じて、ナビゲーションの検索メニュー内にある「ジャンル検索」(図示せず)を選択すると(ステップS401)、これを入力受付部32が受け付ける。
【0037】
これに基づいて、ジャンル検索部33が、ジャンル記憶部31の処理により記憶装置11に格納されたデータベースAから大分類階層のレコードを読み込み、表示部7に図3(a)に示す画面例のとおり大分類のリストを表示する(ステップS402)。
【0038】
図3(a)に示す大分類の画面において、ユーザが入力部12を通じてリストから何れかの大分類を選択すると、入力受付部32がこれを受け付け、ジャンル検索部33は記憶装置11にアクセスして格納されたデータベースAから中分類階層のレコードを読み込み、表示部7に図3(b)に示す画面例のとおり、中分類のリストを表示する(ステップS403)。
【0039】
ユーザが、中分類階層の画面において、入力部12を通じてリストから何れかの中分類を選択すると、入力受付部32がこれを受け付け、ジャンル検索部33は記憶装置11にアクセスして格納されたデータベースAから小分類のレコードが読み込み、優先順表示制御部37が、図3(c)に示すように小分類のリストを表示する(ステップS404〜S412)。
【0040】
優先順表示制御部37が、この小分類階層の画面を表示する際の、時期特定部35及び時期優先順決定部36の処理(ステップS404〜S412の処理)を詳しく説明する。
【0041】
まず、時期特定部35が、データベースBから現在の月に該当する季節IDをあらかじめ取得しておく(ステップS404)。時期特定部35はまた、データベースAの選択された中分類に属する小分類に季節IDフィールドが存在するか否かを確認し(ステップS405)存在する場合(YES)は、続いて個々の小分類レコードの季節IDフィールドに、季節IDが存在するか判定し(ステップS406)、季節IDが存在しない場合は季節に無関係なジャンルと判断する(ステップS406のNO)。一方、中分類に属する小分類に季節IDフィールドが存在しない場合(NO)には、小分類メニューをそのまま表示する(ステップS412)。
【0042】
時期特定部35は、季節IDが存在する場合は(ステップS406のYES)、その季節IDとあらかじめ取得した現在の季節IDを比較し(ステップS407)、一致する場合には(YES)、小分類レコードを最上位のジャンルとし(ステップS408)、一致しない場合には(NO)、小分類レコードを最下位のジャンルと判断する(ステップS409)。
【0043】
このように時期特定部35において、小分類レコードの季節IDが特定されると、次に、時期優先順決定部36が、季節IDに応じてメニューの並べ替えを行う(ステップS410)。並べ替えの順番としては、上から季節に最適なジャンル、季節に無関係なジャンル、季節に不適切なジャンルの順とする。なお、同じ優先順位の表示の並びはデータの格納順等、システム規定の並びとする。データベースAの選択された中分類に属する小分類に季節IDフィールドが存在しない場合は、データの格納順等、システム規定の表示順とする。
【0044】
次に、時期特定部35は、再度データベースAの選択された中分類に属する小分類レコードが存在するか否かを確認し(ステップS411)、存在する場合(YES)は、ステップS406〜S410の処理を繰り返す。一方、小分類レコードが存在しない場合(ステップS411のNO)は、当該並べ替えられた順に、小分類メニューを表示する(ステップS412)。
【0045】
具体的には、時期優先順決定部36の処理結果に基づき、優先順表示制御部37は、図3(c)(1)の現在季節が夏の場合と、図3(c)(2)の現在季節が冬の場合のように、リスト表示の順序を現在季節に最適、無関係、不適切なジャンル順に並び替えて表示する。
【0046】
図3(c)の小分類階層の画面において、ユーザが入力部12を通じてリストから何れかの小分類を選択すると(ステップS413)、ナビゲーション部30が表示部7に対して記憶装置11に構成されたデータベースCから、これまでに選択された大分類、中分類、小分類の3つのジャンルIDの組み合わせに該当する施設等を読み取り、図3(d)に示すようにリスト画面を表示する。
【0047】
ユーザが入力部12を通じて図3(d)の画面に表される施設等リストから何れかの施設を選択した場合は、ナビゲーション部30の処理により、図3(e)に示すように、表示部7に選択された施設の地図表示がなされ、その後、目的地への登録がなされ(ステップS414)、処理を終了する(END)。
【0048】
[4.実施例2]
次に図5に示すデータベース構造と図6に示す画面例並びに図7のフローチャートを用いて、実施例2について具体的に説明する。
【0049】
(1)データベースの構成
本実施例は、ジャンル記憶部31及び時期情報記憶部34の作用により、次のようなデータベースが記憶装置11に格納される。ここで本実施例において、「時期」とは「月」のことであり、「ジャンルの情報に関連する時期」とはジャンルに含まれる施設等を訪れるのに「最適な月」のことをいう。例えば、海水浴場やプールであれば「7月、8月」であり、スキー場やスケート場であれば「12月、1月、2月、3月」である。また、ゴルフ場等比較的オールシーズン変わりなく楽しめるジャンルの施設等については「最適な月」なしということになる。
【0050】
図5(a)に示すように、ジャンル検索のメニューを表示するためのデータベースとして、従来同様、分類を識別する名称(以降、ジャンル名称と呼ぶ)と、対応するジャンルを識別するID(以降、ジャンルIDと呼ぶ)を有する。
【0051】
本実施形態では、これに加えて、そのジャンルに最適な月を1つのレコードとした、大分類、中分類、小分類の階層構造をもつデータベースDを構成する。
【0052】
すなわち、ジャンル記憶部31により、従来同様のジャンル検索のメニューを表示するためのデータベース項目を記憶装置11に記憶する。一方、時期情報記憶部34は、小分類のジャンルに含まれる施設等において、当該施設等を訪れるのに最適な月がある場合その月の数字(1〜12)を識別する時期情報を、最適月として記録するものである。
【0053】
ここで、データベースDの最適な月はジャンル1件に対して複数持つことも可能とし、月に無関係な場合は、最適な月を1つも持たないこととする。図5を用いて具体的に説明すると、図5(a)の小分類において「スキー場」等は最適な月「12、1、2、3」を持つ。一方、例えば「ゴルフ場」のように、月に関係のないジャンルは月の数字を一つも持たない。また、データベースDは、階層によっては最適な月が全くない場合もありうる。その場合は、同一階層の全レコード中に最適な月のフィールドはなくても構わないものとする。
【0054】
時期情報記憶部34はまた、各施設等データに対して、対応するジャンルの大分類、中分類、小分類のジャンルIDを割り当て、階層構造のデータベースEとする(図5(b))。なお、この階層構造のデータは、中分類を飛ばして大分類階層の下に小分類階層となる2階層構造でも良いものとする。
【0055】
(2)画面例及びフローチャートの例
次に、図6の画面例及び図7のフローチャートを用いて本実施例の処理を説明する。
まず、ユーザが、入力部12を通じて、ナビゲーションの検索メニュー内にある「ジャンル検索」(図示せず)を選択すると(ステップS701)、これを入力受付部32が受け付ける。
【0056】
これに基づいて、ジャンル検索部33が、ジャンル記憶部31の処理により記憶装置11に格納されたデータベースDから大分類階層のレコードを読み込み、表示部7に図6(a)に示す画面例のとおり大分類のリストを表示する(ステップS702)。
【0057】
図6(a)に示す大分類の画面において、ユーザが入力部12を通じてリストから何れかの大分類を選択すると、入力受付部32がこれを受け付け、ジャンル検索部33は記憶装置11にアクセスして格納されたデータベースDから中分類階層のレコードを読み込み、表示部7に図6(b)に示す画面例のとおり、中分類のリストを表示する(ステップS703)。
【0058】
ユーザが、中分類階層の画面において、入力部12を通じてリストから何れかの中分類を選択すると、入力受付部32がこれを受け付け、ジャンル検索部33は記憶装置11にアクセスして格納されたデータベースDから小分類のレコードが読み込み、優先順表示制御部37が、図6(c)に示すように小分類のリストを表示する(ステップS704〜S711)。
【0059】
優先順表示制御部37が、この小分類階層の画面を表示する際の、時期特定部35及び時期優先順決定部36の処理(ステップS704〜S711の処理)を詳しく説明する。
【0060】
まず、時期特定部35が、データベースDの選択された中分類に属する小分類に最適な月フィールドが存在するか否かを確認し(ステップS704)存在する場合(YES)は、続いて個々の小分類レコードの最適な月フィールドに、最適月の数字が存在するか判定し(ステップS705)、最適月の数字が存在しない場合は月に無関係なジャンルと判断する(ステップS705のNO)。一方、中分類に属する小分類に最適な月フィールドが存在しない場合(NO)には、小分類メニューをそのまま表示する(ステップS711)。
【0061】
時期特定部35は、最適な月の数字が存在する場合は(ステップS705のYES)、その月と現在の月とを比較し(ステップS706)、一致する場合には(YES)、小分類レコードを最適なジャンルとし(ステップS707)、一致しない場合には(NO)、小分類レコードを不適切なジャンルと判断する(ステップS708)。
【0062】
ここで、言い換えれば、ステップS705のNOの判断では現在の月に無関係なジャンルがピックアップされ、ステップS706のNOの判断では現在の月に不適切なジャンルがピックアップされる。また、ステップS706のYES判断ではいうまでもなく現在の月に最適なジャンルがピックアップされることとなる。
【0063】
このように時期特定部35において、小分類レコードの最適なものが特定されると、次に、時期優先順決定部36が、メニューの並べ替えを行う(ステップS709)。表示の順番としては、上から月に最適なジャンル、月に無関係なジャンルの並び順とし、月に不適切なジャンルは原則非表示とする。また、同じ優先順位のジャンルの並びはデータの格納順等、システム規定の並びとする。データベースDの表示する小分類レコードに最適な月フィールドが存在しない場合はデータの格納順等、システム規定の表示順とする。
【0064】
次に、時期特定部35は、再度データベースDの選択された中分類に属する小分類レコードが存在するか否かを確認し(ステップS710)、存在する場合(YES)は、ステップS705〜S709の処理を繰り返す。一方、小分類レコードが存在しない場合(ステップS710のNO)は、当該並べ替えられた順に、小分類メニューを表示する(ステップS711)。
【0065】
図6(c)の小分類階層の画面において、ユーザが入力部12を通じてリストから何れかの小分類を選択すると、データベースEからこれまでに選択された大分類、中分類、小分類の3つのジャンルIDの組み合わせに該当する施設等レコードを読み取ってリスト画面を表示する(ステップS712)。
【0066】
ユーザが入力部12を通じて図6(d)の画面に表される施設等リストから何れかの施設等を選択した場合は、ナビゲーション部30の処理により、図6(e)に示すように、表示部7に選択された施設等の地図表示がなされ、その後、目的地への登録がなされ(ステップS713)、処理を終了する。
【0067】
[5.実施形態の効果]
以上のような本実施形態によれば、時期情報記憶部は、ジャンルに関連する時期がある場合に、予めその時期を識別する時期情報をジャンルと紐付けて記憶し、時期特定部が、ジャンル検索部の処理により特定されたジャンルに、時期情報が記録されているか否かを確認し、時期情報がある場合に、そこから時期を取得する。時期優先順決定部は、特定された時期に応じて、ジャンルの優先順を決定し、優先順表示部がこの優先順に応じてジャンルを表示器にメニュー表示する。
【0068】
これにより、ジャンル検索において、項目の表示に検索時の時期や季節に関連性を持たせることで、ジャンル検索のメニュー表示を50音順や地域順等の機械的なものでなく、検索の時期や季節に合致したものとすることができ、ユーザは、検索する時期に応じたメニュー表示のもと施設等の検索を行うことができる。したがって、ユーザが希望する施設等の特定を少ない操作で行うことができるようになる。
【0069】
また、ジャンル検索の時期優先表示における時期の指標を四季又は月で特定することにより、現在の時期に合致した施設等を含むジャンルが優先してメニュー表示されることとなり、ユーザが検索する月や季節に応じたメニュー表示のもと施設等の検索を行うことができる。
【0070】
時期に合致したジャンルをメニューの上位に表示し、合致しない不適切なジャンルをメニューの下位に表示又は非表示とすることにより、時期に合致したジャンルが先に表示されることとなり、ユーザに検索の手間を減らした快適なユーザインタフェースを提供できる。
【0071】
なお、ジャンルのうち、時期に不適切なジャンルのプライオリティーを、時期の関係のないジャンルよりも下げて表示することにより、時期に合致したジャンルが先に表示されるとともに、時期に無関係でオールシーズン訪れる可能性のあるような施設等も中位に表示されることで、ユーザが検索する可能性のある施設等の範囲を狭めることはない。
【0072】
[6.他の実施形態]
本発明は、上記実施形態で説明した態様に限られるものではなく、例えば、次のような実施態様も包含するものである。すなわち、上記実施形態の実施例1では図3の(c)(1)に示したように、時期(季節)に不適切なジャンルも表示するように、図4のステップS408及びS409でジャンルを最上位と最下位とに判別し、一方実施例2では図6(c)(1)のように時期(月)に不適切なジャンルは非表示となるように、図7のステップS708及びS709でジャンルを最適と不適切とに判別した。この点は、実施例1又は2ともに、処理の一例を示すものであり、実施例1において季節に関連しないジャンルを不適切として、不適切なジャンルを非表示とする処理も可能であるし、実施例2において月に関連しないジャンルを最下位として表示する処理も可能である。
【0073】
また、上記実施形態において、ジャンルに関連する時期として、季節又は月を示したが、この季節の区分や月単位での区分も一例に過ぎず、例えば、季節の区分を4つでなく、2月ごと6つに分けて時期を構成したり、月をさらに細かく分け、例えば「プール」や「海」は解禁となる7月20日前後〜8月一杯等、ジャンルに応じて詳細に設定することも可能である。
【0074】
上記実施形態では、ジャンルの一例として、図2又は図5においてスポーツ又は美術館・博物館等を取り上げ、その例としてスキー場やスケート場又はプール等の施設を例示したが、本発明が射程とするジャンルはこのようなものに限られず、図2又は図5の中分類として示されるジャンルにおいて、季節や月の時期に関連するあらゆる施設又はイベント、例えば、「花火大会」や「フルーツ狩り」等を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態におけるジャンル検索用のデータ構成例。
【図3】本発明の実施形態におけるジャンル検索の画面階層構成例。
【図4】本発明の実施形態における処理手順を例示するフローチャート。
【図5】本発明の実施形態におけるジャンル検索用のデータ構成例。
【図6】本発明の実施形態におけるジャンル検索の画面階層構成例。
【図7】本発明の実施形態における処理手順を例示するフローチャート。
【符号の説明】
【0076】
1…FM多重受信及び処理部
2…ビーコン受信及び処理部
3…制御部(メインCPU及びその周辺回路)
30…ナビゲーション部
31…ジャンル記憶部
32…入力受付部
33…ジャンル検索部
34…時期情報記憶部
35…時期特定部
36…時期優先順決定部
37…優先順表示制御部
4…ダイナミックRAM(DRAM)
5…スタティックRAM(SRAM)
6…ROM
7…表示部
8…ビデオRAM(VRAM)
9…TV受信及び処理部
10…車両情報取得部
11…道路地図データ・検索データ及び地図関連データの記憶装置
12…入力部(タッチキー制御装置)
13…測位部
M…メインメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設又はイベントをそのジャンルごとに分け階層化して記憶するジャンル記憶手段と、
ユーザによるジャンルの選択を前記階層ごとに受付ける入力受付手段と、
入力されるジャンルをもとに前記階層を辿ってユーザにより選択されたジャンル又は施設を特定するジャンル検索手段と、
前記ジャンルに関連する時期がある場合に当該時期を識別する時期情報を前記ジャンルと紐付けて記憶する時期情報記憶手段と、
特定されたジャンルに前記時期情報が紐付けられているか判定し、紐付けられている場合に当該時期を特定する時期特定手段と、
特定された時期に応じて、前記ジャンルの優先順を決定する時期優先順決定手段と、
優先順に応じて、前記ジャンルを表示器にメニュー表示する優先順表示手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記時期情報は、四季のID又は月の数字を識別するものであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
時期優先順決定手段は、前記ジャンルの特定された時期と現在の時期とが一致する場合には、当該ジャンルを最適なジャンルと判定し、一致しない場合には不適切なジャンルと判定し、
前記優先順表示手段は、前記メニュー表示の際に、前記最適なジャンルをメニューの最上位に表示し、前記不適切なジャンルをメニューの最下位に表示するか非表示とするものであることを特徴とする請求項1又は2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記時期特定手段が、特定されたジャンルに前記時期情報が紐付けられていないと判定した場合に、
前記時期優先順決定手段は、当該ジャンルを、現在の時期と無関係なジャンルと判定し、
前記優先順表示手段は、前記不適切なジャンルが表示される場合に、当該無関係なジャンルを前記不適切なジャンルよりも上位に表示するものであることを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
施設又はイベントをそのジャンルごとに分け階層化して記憶するジャンル記憶処理と、
ユーザによるジャンルの選択を前記階層ごとに受付ける入力受付処理と、
入力されるジャンルをもとに前記階層を辿ってユーザにより選択されたジャンル又は施設を特定するジャンル検索処理と、
前記ジャンルに関連する時期がある場合に当該時期を識別する時期情報を前記ジャンルと紐付けて記憶する時期情報記憶処理と、
特定されたジャンルに前記時期情報が紐付けられているか判定し、紐付けられている場合に当該時期を特定する時期特定処理と、
特定された時期に応じて、前記ジャンルの優先順を決定する時期優先順決定処理と、
優先順に応じて、前記ジャンルを表示器にメニュー表示する優先順表示処理と、
をコンピュータが実行することを特徴とするナビゲーション装置の制御方法。
【請求項6】
前記時期情報は、四季のID又は月の数字を識別するものであることを特徴とする請求項5記載のナビゲーション装置の制御方法。
【請求項7】
時期優先順決定処理は、前記ジャンルの特定された時期と現在の時期とが一致する場合には、当該ジャンルを最適なジャンルと判定し、一致しない場合には不適切なジャンルと判定し、
前記優先順表示処理は、前記メニュー表示の際に、前記最適なジャンルをメニューの上位に表示し、前記不適切なジャンルをメニューの下位に表示するか非表示とするものであることを特徴とする請求項5又は6記載のナビゲーション装置の制御方法。
【請求項8】
前記時期特定処理が、特定されたジャンルに前記時期情報が紐付けられていないと判定した場合に、
前記時期優先順決定処理は、当該ジャンルを、現在の時期と無関係なジャンルと判定し、
前記優先順表示処理は、前記不適切なジャンルが表示される場合に、当該無関係なジャンルを前記不適切なジャンルよりも上位に表示するものであることを特徴とする請求項7記載のナビゲーション装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−250836(P2008−250836A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93767(P2007−93767)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】