説明

ナビゲーション装置及びナビゲーションシステム

【課題】 ユーザが利用することを所望した施設を、より確実に利用することができるように情報を提供することが可能なナビゲーション装置又はシステムを提供する。
【解決手段】 情報センタ12は、各施設の利用可能情報を、インターネット13を介して収集し、ナビゲーション装置1は、ユーザが操作スイッチ3等を介して案内対象施設の種類を設定すると、制御回路11は、誘導経路の周辺に存在する案内対象施設を地図情報に基づいて検索し、検索した案内対象施設についての利用可能情報を通信装置5を介して情報センタ12より取得する。そして、取得した情報に基づいて、車両が目的地に到着するまでの間に利用可能と判断される施設の情報を報知するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導経路の周辺に存在する施設に関する情報を報知する機能を備えたナビゲーション装置、また、そのナビゲーション装置と、情報を収拾し必要に応じて前記装置に提供する情報センタとで構成されるナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用のナビゲーション装置には、現在地付近の誘導経路上に特定の施設を表示する機能を備えているものがある。しかし、現在地付近の施設の表示を行うだけでは、目的地までの間にその施設と同一種類の施設があるか否かがわからない。そのため、現在地付近の施設に立ち寄るべきか、それともまだ立ち寄らなくてもよいのかを判断することが難しいといった問題がある。例えば、ガソリンスタンドやコンビニエンスストア(以下コンビニと称する)などに何時立ち寄るかはドライブを計画する上で重要なポイントであり、目的地までの誘導経路上にこうした同一種類の施設があるか否かが分かりにくく、ドライブの計画を適切に立てることが難しいといった問題があった。
【0003】
上記のような問題を解決するものとして、特許文献1に開示されている技術がある。これは、車両の走行経路に沿った所定の施設について幾つの施設があるのか、今何番目の施設に近付いているのか、などを報知することで、ユーザが施設を利用するのに最適なタイミングを選択できるようにしたものである。
【特許文献1】特開2003−148978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術は、その施設が走行経路中の何番目であるかを確認したり、走行中にどのようなタイミングで案内を行って欲しいというように、ユーザが予め計画的な利用を図ることを前提としたものである。しかしながら、たとえユーザが、利用可能な施設が後幾つあるという情報を事前に得ていたとしても、実際に最後の施設に到着した場合には当該施設の営業時間等が終了していることも想定される。そのような場合は、事前に得ていた情報が結果として役に立たなかったことになる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが利用することを所望した施設を、より確実に利用できるように情報を提供することが可能なナビゲーション装置、及びそのナビゲーション装置を使用したナビゲーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載のナビゲーション装置によれば、ユーザが施設設定手段を介して報知対象の施設の種類を設定すると、検索手段が誘導経路の周辺に存在する報知対象施設を地図情報に基づいて検索する。そして、情報取得手段が検索された報知対象施設についての利用可能情報を取得すると、制御手段は、その利用可能情報に基づき目的地に到着するまでの間に利用可能と判断される報知対象施設についての情報を報知するように制御する。
斯様に構成すれば、ユーザに対して確実に利用可能である施設の情報を報知することができるので、ユーザは、提供された情報に基づいて、目的地に到着するまでの間に報知対象施設をどのようなタイミングで利用するべきかをより適切に決定することが可能となり、利便性が向上する。
【0006】
請求項2記載のナビゲーション装置によれば、制御手段は、利用可能と判断される報知対象施設の数を報知するように制御するので、ユーザは、実際に利用可能な施設数が目的地に到着するまでに幾つあるのかを確実に知ることができる。
【0007】
請求項3記載のナビゲーション装置によれば、制御手段は、各時点で報知対象とする施設が誘導経路中の報知対象施設で、目的地まで残り何番目の施設であるかを報知するように制御するので、ユーザは、報知される番号を参考として施設を利用するタイミングを決定することができる。
【0008】
請求項4記載のナビゲーション装置によれば、制御手段は、条件設定手段により設定された報知に関する条件を加えて情報の報知を制御するので、ユーザは、自身にとって好ましい条件で情報が報知されるように設定を行なうことが可能となる。
【0009】
請求項5記載のナビゲーション装置によれば、条件設定手段を介して設定される条件を、情報の報知を開始させる、目的地に到着するまでに利用可能な報知対象施設の残り数とする。従って、ユーザは、報知対象施設の残り数が例えば「5」になった時点で報知を開始させることができ、そこを基点としてどのようなタイミングで報知対象施設を利用するかを決定することができる。また、ユーザが明らかに不要と思われる時点での報知を抑制させることができる。
【0010】
請求項6記載のナビゲーション装置によれば、条件設定手段を介して設定される条件を、情報の報知を開始させる時刻とするので、ユーザは、時刻が例えば16:00になったら報知を開始させる、といったように、自身が報知対象施設を利用する可能性がより高くなった時刻から報知を開始させることができる。
【0011】
請求項7記載のナビゲーション装置によれば、条件設定手段を介して設定される条件を、報知対象施設の利用可能時刻に関する情報とする。即ち、予め検索された報知対象施設が目的に到着するまでに利用可能であるとしても、ユーザにとっては、必ずしもそれらの全てについて報知を受ける必要がない場合がある。そこで、ユーザは、例えば、20:00以降でも利用可能な施設に関する情報を報知させる、といったように、自身が報知対象施設を利用する可能性が高い時間帯をより具体的に指定して、適切なタイミングで報知を開始させることができる。
【0012】
請求項8記載のナビゲーションシステムによれば、情報センタは、各施設の利用可能情報を、通信ネットワークを介して収集している。そして、ナビゲーション装置の情報取得手段は、報知対象施設についての利用可能情報を通信手段を介して情報センタより取得する。従って、ナビゲーション装置は、報知対象施設について、情報センタが収集している最新の利用可能情報を取得することができるので、ユーザは、報知対象施設が実際に利用可能であるか否かをより確実な情報として得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のナビゲーションシステムを示す一実施例について図面を参照して説明する。図1はナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する位置検出器(位置取得手段)2、操作スイッチ(施設設定手段,条件設定手段)3、リモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)4a、リモコン(施設設定手段,条件設定手段)4aからの信号を入力するリモコンセンサ4、通信装置(通信手段,情報取得手段)5、VICS装置6、地図データ入力器(記憶手段)7、表示装置8、音声入出力装置(施設設定手段,条件設定手段,報知手段)9、各種のデータを記憶するための外部メモリ10を備えている。また、これらを介して入力される情報やデータに応じて各種処理を実行すると共に、これらを制御する制御回路(検索手段,制御手段)11を備えている。
【0014】
位置検出器2は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置,方位,速度等を検出するGPS受信機2aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ2bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ2cと、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ2dとを備えている。そして、これら各センサ等2a〜2dは、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述したうちの一部のセンサで構成してもよく、またステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0015】
ユーザからの各種指示を入力するための操作スイッチ3としては、表示装置8と一体に構成され、表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置8の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等が用いられる。なおタッチパネルと表示装置8とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。また、リモコン4aは、操作スイッチ3と同様に各種指示を入力するための操作端末である。
【0016】
通信装置5は、図示しない自動車電話機と接続され、情報センター12から情報を取得したり、インターネットに接続しインターネット上のサーバから情報を取得する機能を備える。VICS装置6は、図示しないラジオアンテナを介してFM放送信号を受信したり、道路近傍に配置されたVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報装置,登録商標)サービス用の固定局から、電波ビーコン信号及び光ビーコン信号を受信する。この受信した情報は制御回路11へ送られて処理される。
【0017】
地図データ入力器7は、位置特定の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ、マークデータを含む各種データを入力するための装置である。これらのデータの記録媒体としては、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、ハードディスクなどの磁気記憶装置やメモリカード等の他の媒体を用いても良い。
地図データ中の道路データは、交差点等の複数のノード間をリンクにより接続して地図を構成したもので、それぞれのリンクに対し、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端と終端とのx,y座標、リンクの道路幅、および道路種別(有料道路等の道路情報を示すもの)、道路を特定するための道路ID(例えば国道○号線のような道路を特定する情報)のデータからなるリンク情報を備える。また地図データ中には、地名情報、交通情報、施設情報がその座標(x,y座標)とともに記憶されている。また施設情報として施設の位置座標とともに施設の種類と施設の案内情報が記憶されている。
【0018】
地図表示画面やTV画面等の各種表示を行うための表示装置8は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ,CRTなどがあるが、そのいずれを用いてもよい。表示装置8の表示画面には、位置検出器2にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器7より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、前述した施設の案内情報に基づき施設のガイド等も表示できる。そして、音声入出力装置9は、図示しないマイクを介して入力される運転者などの音声を認識すると共に、地図データ入力器7より入力した施設のガイドや各種案内の音声や、通信装置5,VICS装置6を介して取得した情報の読み上げ音声を出力することができる。
【0019】
制御回路11は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて、位置検出器2からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出したり、地図データ入力器7を介して読み込んだ現在位置付近の地図等を表示装置8に表示する地図表示処理を行なう。
【0020】
また、制御回路11は、地図データ入力器7に格納された地点データに基づき、操作スイッチ3やリモコン4a等の操作に従って目的地となる施設を選択し、現在位置から目的地までの最適な経路を自動的に求める経路計算を行って経路案内処理を行う。このように自動的に最適な経路を設定する手法としては、ダイクストラ法等の手法が知られている。そして、経路案内処理では、ユーザが目的地に着くまでに通過する特定の施設の種類の施設の数を案内し、ユーザの立ち寄りたい条件でその施設を案内する報知対象施設案内処理を行う。
【0021】
一方、情報センタ12は、例えばインターネット13などの通信ネットワークを介して、各施設14(代表して1つのみ図示する)より直接情報センタ12にアップロードされたデータや、サーバにアップロードされているコンテンツなどから、各施設14についての利用可能情報を取得している。ここで、利用可能情報とは、例えば、商店などの営業時間や営業日/定休日、美術館などの開館時間や休館日といった、施設を利用するための日時に関する情報である。そして、ナビゲーション装置1が通信装置5から、図示しない電話通信網を経由して情報センタ12にアクセスすると、情報センタ12側の通信装置15を介して利用可能情報のデータがダウンロードされるようになっている。
【0022】
次に、本実施例の作用について図2乃至図5を参照して説明する。図2は、制御回路11によって行われる施設案内処理を示すフローチャートである。制御回路11は、ユーザに対し、目的地と案内すべき報知対象施設の種類(例えば、ガソリンスタンド、コンビニ、郵便局、銀行、病院など。例えばチェーン店であればチェーン店名を報知対象施設の種類としてもよい。)を入力するための画面を表示装置8に表示し、操作スイッチ3またはリモコン4a(以下、操作スイッチ3等と称する)からの入力を促す(ステップS1)。操作スイッチ3等から入力された目的地と案内すべき報知対象施設の種類とは、制御回路11内部のメモリに記憶され、制御回路11は、出発地である現在地から目的地までの経路を求め経路案内を開始する。
それから、制御回路11は、メモリに記憶された報知対象施設の種類に該当する施設のうち、経路の座標に隣接する座標の施設(経路上の施設と称する)を、地図データ入力器7に格納された地図データ中の施設情報における施設の種類と位置座標に基づいて抽出し、抽出した報知対象施設の数を算出する(ステップS2)。
【0023】
続いて、制御回路11は、案内経路の前方に、案内対象施設(報知対象施設)が1つ以上存在するか否かを判定し(ステップS3)、案内対象施設が存在すれば(「YES」)直近の施設の位置座標に現在の位置座標が接近したか否か(所定の距離範囲内、例えば表示装置8への地図の表示範囲内になったか否か)を判定する(ステップS4)。そして、当該施設に接近した場合には(「YES」)、その時点で当該施設を案内すべきタイミングとなっているかを判断する(ステップS5)。このステップS5における判断は、後述する図3に示すフローチャートに従って案内タイミングが設定されるようになっており、その設定に基づいて行なう。
【0024】
ステップS5において案内タイミングである(「YES」)と判断すると、制御回路11は、案内対象施設についての案内を行い(ステップS6)、それからステップS3に戻る。また、ステップS4又はS5で「NO」と判断した場合もステップS3に戻る。そして、ステップS3において案内対象施設が全てなくなると(「NO」)、施設の案内を終了するか否かを判断し(ステップS7)、引き続き施設の案内を行う場合は(「NO」)ステップS1に戻る。
【0025】
図3は、案内タイミングの設定処理を示すフローチャートである。制御回路11は、図2におけるステップS1で設定された案内対象施設と共に、ユーザによって設定される施設案内の報知に関する条件を入手する(ステップS11)。ここで、ユーザが何らかの条件を設定する場合は、少なくとも「当日に車両が走行して施設の前の経路を通過する場合に利用可能である施設を報知すること」が最低条件となる(その他の詳細については後述する)。また、ユーザによる設定が特に行なわれない場合もある。それから、制御回路11は、通信装置5を介して情報センタ12にアクセスし、案内対象施設についての利用可能情報を取得する(ステップS12)。
【0026】
また、制御回路11は、目的地までの残距離や、到着予想時刻までの残時間を自身のナビゲーション機能部の処理結果より取得すると共に、VICS装置6を介して案内経路の渋滞情報なども入手する(ステップS13)。尚、渋滞情報は残時間の補正などに利用される。それから、図示しない時計機能(リアルタイムクロックICなど)より現在の日時情報を取得すると(ステップS15)、以上で取得した各種情報に基づいて、案内タイミングを設定する(ステップS16)。
【0027】
ここで、図4は、ステップS16における案内タイミング設定処理の詳細を示すフローチャートである。先ず、制御回路11は、ステップS11で入手したユーザ設定に、施設案内の報知に関する設定条件があるか否かを判断する(ステップS20)。ここで、前記設定条件が何もない場合(「NO」)、制御回路11は、案内経路の周辺に存在する案内対象施設の総数と、現在の施設が最初から何番目の施設であるのかを随時報知するように設定する(ステップS21)。
【0028】
ステップS20において報知に関する設定条件がある場合(「YES」)、制御回路11は、全ての案内対象施設の内から、当日の利用が可能であり且つ車両が目的地に到着する予想時刻まで利用可能な施設の総数と、現在の施設が目的地まで残り何番目の施設であるのかを随時報知するように設定する(前述の最低条件,ステップS22)。例えば、現在時刻が15:00であり、到着予想時刻が20:00であるとすれば、案内経路中に存在する案内対象施設の内、15:00〜20:00の間に利用可能であるものをフィルタリングしてそれらの総数を求め、各施設が目的地まで何番目であるのかを随時報知する。
【0029】
続いて、制御回路11は、ユーザが、自身で報知条件としての残り施設数を設定しているか否かを判断し(ステップS23)、その残り施設数が設定されていれば(「YES」)、ステップS22でフィルタリングした施設について、残りの施設数が設定された値になった時点から報知を開始するように設定する(ステップS24)。例えば、案内経路上に案内対象施設が「30」ある場合で、残り施設数が「5」に設定されている場合は、26番目の施設から報知を開始させる。
続いて、制御回路11は、案内対象施設について報知用の利用可能時刻の設定があるか否かを判断する(ステップS25)。ここで、「報知用の利用可能時刻」とは、例えば、20:00以降でも開店している店舗について報知を行わせる場合の前記時刻20:00を言う。この時刻条件が設定されていれば(「YES」)、制御回路11は、図3のステップS12で入手した施設情報から、条件に該当するものをフィルタリングして報知するように設定する(ステップS26)。
【0030】
それから、制御回路11は、報知開始時刻の設定があるか否かを判断する(ステップS27)。ここで、「報知開始時刻」とは、例えば、現在時刻が19:30になった以降に報知を行わせるための前記時刻19:30を言う。この時刻条件が設定されていれば(「YES」)、制御回路11は、現在時刻が設定時刻となった以降に報知を行なうように設定する(ステップS28)。尚、以上のフローにおいて、ステップS22,S24,S26,S28を順次通過した場合は、それらの報知条件を加重して(AND)制御を行うようにする。
【0031】
また、図5は、より具体的な適用例を説明するための図であり、現在地から目的地までの案内経路を模式的に示している。この例では、現在地が「愛知県安城市」であり、目的地が「愛知県足助町」の「香嵐渓」に設定されており、途中で「豊田市」を経由するようになっている。また、案内対象施設は「コンビニエンスストア(コンビニ)」に設定されている。
この場合、案内経路の周辺に存在するコンビニは全部で32店舗あり、これらの店舗の利用可能情報は情報センタ12が予め取得しており、ナビゲーション装置1はその情報をダウンロードしている。コンビニは、豊田市街のような都市部に集中しており、都市部より離れた郊外に行くと数が少なくなっている。
【0032】
また、これらの内、当日はたまたま休業していたりその時点では閉店しているような店舗があるとすれば、そのような店舗を報知されても実際に利用することはできない。従って、ユーザたる運転者が、ユーザ設定において最低条件を設定すれば、実際に利用できない店舗については無用な報知が行なわれない。例えば図5において、図示されていない#4〜#10,#20,#22〜#30は利用不能と判断されたコンビニであって報知対象にはならず、実際に利用可能な店舗数は「15」となっている。
そして、ユーザたる運転者にとっては、どのコンビニを利用しても目的(例えば、缶コーヒーを買うなど)は概ね達成できると思われるが、必ずしも最初の店舗#1より案内を行ってもらう必要は無い場合もある。例えば、豊田市街の最後付近である店舗#18から、目的地直前の足助町の店舗#32までの何れかを利用できれば、運転者によって丁度良いタイミングで缶コーヒーを口にすることができる、というようなケースである。
【0033】
上記のケースに合わせてコンビニがあることを報知させるとすれば、例えば、ユーザ設定において残り施設数「5」を設定すれば、図4のステップS24により店舗#18から報知が開始されるように制御される。この場合、最初の報知は、例えば音声入出力装置9によって「ただ今利用可能なコンビニ15店舗の内、残り5店舗目のコンビニにもう直ぐ到着します」というように報知が行なわれる。即ち、豊田市街においても報知を行うとすれば、未だコンビニを利用するつもりがないのに高い頻度で報知が行なわれることになってしまう。そのように不要な報知が行なわれることを回避するには、残り施設数の設定は有効である。
【0034】
或いは、残り施設数をはっきり設定せずとも、大体の時間で報知を開始させたい場合には、例えば「16:00以降も開店している店舗を、15:00以降に報知を開始させる」というユーザ設定を行なえば、ステップS26,S28により利用可能なコンビニの報知を15:00以降に開始させることができる。従って、その時点での交通状況や寄り道をしたような場合などでも、臨機応変に適切な報知条件が設定可能となる。
【0035】
以上のように本実施例によれば、情報センタ12は、各施設の利用可能情報を、インターネット13を介して収集し、ナビゲーション装置1は、ユーザが操作スイッチ3等を介して案内対象施設の種類を設定すると、制御回路11は、誘導経路の周辺に存在する案内対象施設を地図情報に基づいて検索し、検索した案内対象施設についての利用可能情報を情報センタ12より取得する。そして、取得した情報に基づいて、車両が目的地に到着するまでの間に利用可能と判断される施設の情報を報知するように制御する。従って、運転者に対して確実に利用可能な施設の情報を報知できるので、運転者は、提供された情報に基づいて目的地に到着するまでの間に施設をどのようなタイミングで利用するべきかをより適切に決定することが可能となり、利便性が向上する。
【0036】
加えて、ナビゲーション装置1は、報知対象施設についての利用可能情報を、インターネット13を介して情報収集している情報センタ12より取得するので、常に最新の情報を取得することができ、ユーザは、報知対象施設が実際に利用可能であるか否かをより確実な情報として得ることができる。
また、制御回路11は、利用可能と判断される施設の数を報知すると共に、各時点で報知対象とする施設が、誘導経路中の案内対象施設で、目的地まで残り何番目の施設であるかを報知するので、運転者は、実際に利用可能な施設数が目的地に到着するまでにあと幾つあるのかを確実に知ることができると共に、報知される番号を参考として施設を利用するタイミングを決定することができる。
【0037】
更に、制御回路11は、操作スイッチ3等により設定された報知に関する条件を加えて情報の報知を制御するので、運転者は、自身にとって好ましい条件で情報が報知されるように設定を行なうことが可能となる。具体的には上記条件を、報知を開始させる、目的地に到着するまでに利用可能な施設の残り数とするので、運転者は、報知対象施設の残り数が適切な値になった時点で報知を開始させることができ、そこを基点としてどのようなタイミングで施設を利用するかを決定することができる。また、運転者が明らかに不要と思われる時点での報知を抑制させることができる。
また、上記条件を情報の報知を開始させる時刻とするので、運転者は、自身が報知対象施設を利用する可能性がより高くなった時刻から報知を開始させることができる。また、上記条件を、施設の利用可能時刻に関する情報とするので、運転者は、自身が施設を利用する可能性が高い時間帯をより具体的に指定して、適切なタイミングで報知を開始させることができる。
【0038】
本発明は上記し又は図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形が可能である。
ユーザ設定による報知制御条件は、必要なものを適宜選択して設定可能とすれば良い。また、ユーザが報知制御条件を設定するための手段も必要に応じて設ければ良い。
ナビゲーション装置1が情報センタより利用可能情報を取得するために、例えばVICSのインフラを介して上記情報が提供されるようにしておけば、VICS装置6を介して取得することも可能である。
また、VICS情報の取得は、必要に応じて行えば良い。
情報センタ12が利用可能情報を収集するための通信ネットワークはインターネット13に限ることなく、例えば専用の通信回線などであっても良い。
また、利用可能情報は必ずしも情報センタ12より取得する必要は無く、予め地図データにおいて各施設と共に記憶されていても良い。従ってこの場合、地図データ入力器7が情報取得手段としても機能することになり、情報センタ12は不要となる。
車両用ナビゲーションの装置に限ることなく、その他の一般的なナビゲーション装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のナビゲーションシステムを示す一実施例であり、ナビゲーションシステムの構成を示すブロック図
【図2】ナビゲーション装置の制御回路によって行われる施設案内処理を示すフローチャート
【図3】案内タイミングの設定処理を示すフローチャート
【図4】図3のステップS16における案内タイミング設定処理の詳細を示すフローチャート
【図5】より具体的な適用例を示すもので、現在地から目的地までの案内経路を模式的に示す図
【符号の説明】
【0040】
図面中、1はナビゲーション装置、2は位置検出器(位置取得手段)、3は操作スイッチ(施設設定手段,条件設定手段)、4aはリモートコントロール端末(施設設定手段,条件設定手段)、5は通信装置(通信手段,情報取得手段)、6はVICS装置6、7は地図データ入力器(記憶手段)、9は音声入出力装置(施設設定手段,条件設定手段,報知手段)、11は制御回路(検索手段,制御手段)、12は情報センタ、13はインターネット(通信ネットワーク)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報に基づき出発地または現在地から目的地への誘導経路と当該誘導経路の周辺に存在する施設に関する情報を報知する機能を備えたナビゲーション装置において、
前記施設の種類と位置とを対応付けた施設情報を含む地図情報を記憶する記憶手段と、
報知対象の施設の種類を設定するための施設設定手段と、
前記出発地または現在地から目的地への誘導経路の周辺に存在する前記施設設定手段によって設定された報知対象施設を前記記憶手段に記憶された地図情報に基づいて検索する検索手段と、
この検索手段によって検索された前記報知対象施設について、各施設が利用可能な日時に関する情報(利用可能情報)を取得するための情報取得手段と、
この情報取得手段を介して取得した前記利用可能情報に基づいて、前記目的地に到着するまでの間に利用可能と判断される報知対象施設についての情報を報知するように制御する制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記利用可能と判断される報知対象施設の数を報知するように制御することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、報知対象とする施設が、前記誘導経路中の報知対象施設で前記目的地まで残り何番目の施設であるかを報知するように制御することを特徴とする請求項1又は2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記報知に関する条件を設定するための条件設定手段を備え、
前記制御手段は、前記条件設定手段により設定された条件を加えて、前記情報の報知を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記条件設定手段を介して設定される条件は、前記情報の報知を開始させる、目的地に到着するまでに利用可能な報知対象施設の残り数であることを特徴とする請求項4記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記条件設定手段を介して設定される条件は、前記情報の報知を開始させる時刻であることを特徴とする請求項4又は5記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記条件設定手段を介して設定される条件は、報知対象施設の利用可能時刻に関する情報であることを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載のナビゲーション装置と、
このナビゲーション装置に提供する情報を収拾し、必要に応じて前記装置に提供する情報センタとで構成されるナビゲーションシステムであって、
前記情報センタは、前記利用可能情報を、通信ネットワークを介して収集し、
前記ナビゲーション装置の前記情報取得手段は、通信手段を介して前記情報センタより前記報知対象施設についての利用可能情報を取得することを特徴とするナビゲーションシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−85996(P2007−85996A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277795(P2005−277795)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】