説明

ノズル、基板処理装置、および基板処理方法

【課題】液滴が衝突する基板内の衝突位置での膜厚のばらつきを低減することにより、処理の均一性を向上させること。
【解決手段】洗浄ノズル5は、複数の噴射口31が形成された噴射部6と、吐出口36が形成された吐出部7とを含む。複数の噴射口31は、複数の液滴がそれぞれ基板W内の複数の衝突位置P1に衝突するように形成されている。吐出口36は、各衝突位置P1からの距離Dが等しい基板W内の着液位置P2に保護液が着液するように形成されている。洗浄ノズル5は、吐出口36から吐出された保護液の液膜によって覆われている基板Wに複数の噴射口31から噴射された複数の液滴を衝突させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液膜で覆われた基板に液滴を衝突させるノズル、ならびに基板を処理する基板処理装置および基板処理方法に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理する基板処理装置が用いられる。
特許文献1に記載の基板処理装置は、基板を水平に保持するスピンチャックと、複数の吐出孔から基板の上面に向けて処理液の液滴を噴射するヘッドと、基板の上面にカバーリンス液を供給するカバーリンスノズルとを備えている。
【0003】
ヘッドは、基板の上面内の複数の衝突位置に向けて処理液の液滴を噴射する。同様に、カバーリンス液ノズルは、基板の上面内の着液位置に向けてカバーリンス液を吐出する。カバーリンス液ノズルから吐出されたカバーリンス液は、着液位置から複数の衝突位置に向かって基板上を広がる。これにより、基板上にカバーリンス液の液膜が形成され、複数の衝突位置がカバーリンス液の液膜によって覆われる。処理液の液滴は、カバーリンス液の液膜に覆われている基板の上面に向けて噴射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−29315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板上に形成されたカバーリンス液の液膜の厚みは、着液位置から遠ざかるほど減少する。特許文献1に記載の基板処理装置では、各衝突位置から着液位置までの距離が一定でないため、各衝突位置での膜厚(カバーリンス液の液膜の厚み)にばらつきが生じる。したがって、液滴の衝突によって基板に加わる衝撃にばらつきが生じる。具体的には、ある基板内の位置には大きな衝撃が加わり、これとは別の基板内の位置には小さな衝撃が加わる場合がある。そのため、パターンの倒壊が発生する領域と、異物が十分に除去されていない領域とが、同一の基板内に発生し、処理の均一性が低下してしまう場合がある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、液滴が衝突する基板内の衝突位置での膜厚のばらつきを低減することにより、処理の均一性を向上させることができるノズル、基板処理装置、および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、吐出口(36、236、336、436)から吐出された保護液の液膜によって覆われている基板(W)に、複数の噴射口(31、431)から噴射された複数の液滴を衝突させるノズルであって、前記複数の噴射口から噴射された複数の液滴がそれぞれ基板内の複数の衝突位置(P1)に衝突するように前記複数の噴射口が形成された噴射部(6)と、各衝突位置からの距離(D)が等しい基板内の着液位置(P2)に保護液が着液するように前記吐出口が形成された吐出部(7)とを含む、ノズル(5、205、305、405)である。
【0008】
この構成によれば、吐出部に形成された吐出口から保護液が吐出されることにより、基板を覆う保護液の液膜が形成される。そして、複数の噴射口が形成された噴射部から複数の液滴が噴射されることにより、保護液の液膜に覆われている基板に複数の液滴が衝突する。各噴射口から噴射された液滴は、保護液が着液する基板内の着液位置からの距離が等しい基板内の衝突位置に衝突する。基板上での液膜の厚みは、着液位置からの距離に応じて変化する。したがって、各衝突位置から着液位置までの距離を等しくすることにより、各衝突位置での膜厚(保護液の液膜の厚み)のばらつきを低減できる。そのため、各衝突位置において基板に加わる衝撃のばらつきを低減できる。これにより、処理の均一性を向上させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記複数の噴射口に処理液を供給する処理液流通路(30)が形成された供給部(6)と、前記処理液流通路を流通する処理液に振動を付与することにより、前記複数の噴射口に供給される処理液を分断する振動付与手段(17)とをさらに含む、請求項1に記載のノズルである。
この構成によれば、処理液流通路から複数の噴射口に供給される処理液が、振動付与手段からの振動によって分断される。これにより、噴射口の直径と概ね等しい直径を有する処理液の液柱が噴射口から噴射される。そして、この液柱は、表面張力によって球形に変化し、球形の液滴となる。たとえば、液体と気体とを衝突させて複数の液滴を生成する場合には、液滴の直径および速度が均一でなく、ばらつきが大きい。したがって、液体と気体とを衝突させて複数の液滴を生成する場合よりも、粒径および速度の均一な液滴が形成される。すなわち、各衝突位置での膜厚のばらつきを低減できることに加えて、液滴の運動エネルギーのばらつきを低減できる。そのため、液滴の衝突によって基板に加わる衝撃のばらつきを低減できる。これにより、処理の均一性を向上させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、各噴射口から前記吐出口までの距離(たとえば、最短距離)が等しい、請求項1または2に記載のノズルである。
この構成によれば、各噴射口から前記吐出口までの距離が等しいから、各液滴は、着液位置からの距離が等しい基板内の位置(衝突位置)に衝突する。したがって、各衝突位置での膜厚のばらつきを低減できる。これにより、処理の均一性を向上させることができる。
【0011】
前記複数の噴射口は、基準方向(D1)から見たときに基準点(X)から等しい距離の位置に配置された複数の環状配列噴射口(31)を含んでいてもよい。この場合、複数の環状配列噴射口は、同一平面上に配置されていてもよいし、異なる平面上に配置されていてもよい。すなわち、基準方向から見たときに基準点から各環状配列噴射口までの距離が等しければ、複数の環状配列噴射口は、同一平面上に配置されていてもよいし、異なる平面上に配置されていてもよい。
【0012】
前記複数の噴射口が前記複数の環状配列噴射口を含む場合、請求項4に記載の発明のように、前記吐出口は、前記基準方向から見たときに前記基準点に位置するように配置された中心吐出口(36)を含んでいてもよい。この場合、基準方向から見たときの各環状配列噴射口から吐出口までの距離が等しいので、各液滴は、着液位置からの距離が等しい基板内の位置(衝突位置)に衝突する。したがって、各衝突位置での膜厚のばらつきを低減できる。これにより、処理の均一性を向上させることができる。
【0013】
また、前記複数の噴射口が前記複数の環状配列噴射口を含む場合、請求項5に記載の発明のように、前記吐出口は、前記基準方向から見たときに前記基準点を同軸的に取り囲んでおり、全周に亘って連続した環状吐出口(236、336)を含んでいてもよい。前記環状吐出口は、前記基準方向から見たときに前記複数の環状配列噴射口の内側で前記基準点を同軸的に取り囲んでおり、全周に亘って連続した内側環状吐出口(236)を含んでいてもよいし、前記基準方向から見たときに前記複数の環状配列噴射口の外側で前記基準点を同軸的に取り囲んでおり、全周に亘って連続した外側環状吐出口(336)を含んでいてもよい。いずれの場合においても、基準方向から見たときの各環状配列噴射口から環状吐出口までの最短距離が等しいので、各液滴は、着液位置からの距離が等しい基板内の位置(衝突位置)に衝突する。したがって、各衝突位置での膜厚のばらつきを低減できる。これにより、処理の均一性を向上させることができる。
【0014】
また、前記複数の噴射口は、基準方向から見たときに直線状に並ぶように配置された複数の直線状配列噴射口(431)を含んでいてもよい。この場合、環状配列噴射口と同様に、複数の直線状配列噴射口は、同一平面上に配置されていてもよいし、異なる平面上に配置されていてもよい。
前記複数の噴射口が前記複数の直線状配列噴射口を含む場合、請求項6に記載の発明のように、前記吐出口は、前記基準方向から見たときに前記複数の直線状配列噴射口と平行なスリット状の直線状吐出口(436)を含んでいてもよい。この場合、基準方向から見たときの各直線状配列噴射口から直線状吐出口までの最短距離が等しいので、各液滴は、着液位置からの距離が等しい基板内の位置(衝突位置)に衝突する。したがって、各衝突位置での膜厚のばらつきを低減できる。これにより、処理の均一性を向上させることができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のノズルと、前記噴射部に処理液を供給する処理液供給管(13)と、前記吐出部に保護液を供給する保護液供給管(26)と、基板を保持する基板保持手段(2)と、前記ノズルおよび前記基板保持手段に保持されている基板の少なくとも一方を移動させることにより、前記複数の噴射口と前記吐出口との位置関係が一定に保たれた状態で前記ノズルと前記基板とを相対移動させる相対移動手段(20)とを含む、基板処理装置(1)である。
【0016】
この構成によれば、保護液供給管から吐出部に供給された保護液が吐出口から吐出されることにより、基板保持手段に保持されている基板を覆う保護液の液膜が形成される。そして、処理液供給管から噴射部に供給された処理液が、複数の噴射口から噴射されることにより、保護液の液膜に覆われている基板に複数の液滴が衝突する。相対移動手段は、ノズルおよび基板保持手段に保持されている基板の少なくとも一方を移動させることにより、ノズルと基板とを相対移動させる。これにより、基板が処理液の液滴によって走査され、複数の液滴が基板の広範囲に衝突する。そのため、基板の広範囲が洗浄される。さらに、相対移動手段は、複数の噴射口と吐出口との位置関係が一定に保たれた状態でノズルと基板とを相対移動させるので、衝突位置と着液位置との位置関係が一定に保たれる。そのため、各衝突位置において基板に加わる衝撃のばらつきを低減できる。これにより、処理の均一性を向上させることができる。
【0017】
前記相対移動手段は、基板を移動させる基板移動手段であってもよいし、ノズルを移動させるノズル移動手段であってもよいし、基板およびノズルを移動させる基板・ノズル移動手段であってもよい。
請求項8に記載の発明は、前記基板保持手段に保持されている基板の主面中央部に交差する回転軸線(L1)まわりに前記基板を回転させる基板回転手段(2)をさらに含み、前記相対移動手段は、前記ノズルが前記基板の主面中央部に対向する中心位置(Pc)と、前記ノズルと前記基板との間の距離が前記中心位置での距離よりも短くなるように、前記ノズルが前記基板の主面周縁部に対向する周縁位置(Pe1、Pe2)との間で前記ノズルを移動させる、請求項7に記載の基板処理装置である。基板の主面は、デバイス形成面である基板の表面であってもよいし、表面とは反対の裏面であってもよい。
【0018】
この構成によれば、基板回転手段が、基板の主面中央部に交差する回転軸線まわりに基板を回転させている状態で、相対移動手段が、ノズルが基板の主面中央部に対向する中央位置と、ノズルが基板の主面周縁部に対向する周縁位置との間でノズルを移動させる。これにより、基板の主面全域が処理液の液滴によって走査され、複数の液滴が基板の主面全域に衝突する。そのため、基板の清浄度が高められる。さらに、周縁位置でのノズルと基板との間の距離が、中心位置でのノズルと基板との距離よりも短いので、基板の主面中央部に加わる衝撃は、基板の主面周縁部に加わる衝撃よりも小さい。基板の主面中央部は、基板の主面周縁部よりも面積が小さいので、基板の主面周縁部よりも高密度で液滴が供給される。そのため、基板の主面中央部に加わる衝撃を低下させることにより、基板の主面中央部に加わる衝撃のトータル量と、基板の主面周縁部に加わる衝撃のトータル量との差を低減できる。これにより、処理の均一性を向上させることができる。
【0019】
請求項9に記載の発明は、複数の噴射口からそれぞれ基板内の複数の衝突位置に向けて処理液の液滴を噴射する噴射工程と、前記噴射工程と並行して、各衝突位置からの距離が等しい基板内の着液位置に向けて吐出口から保護液を吐出することにより、前記複数の衝突位置を覆う保護液の液膜を形成する液膜形成工程とを含む、基板処理方法である。この方法によれば、請求項1の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【0020】
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の第1実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る洗浄ノズルおよびこれに関連する構成の平面図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る洗浄ノズルの模式的な縦断面図である。
【図4】この発明の第1実施形態に係る洗浄ノズルの模式的な底面図である。
【図5A】この発明の第1実施形態に係る基板処理装置によって行われる基板の処理例について説明するための図である。
【図5B】この発明の第1実施形態に係る基板処理装置によって行われる基板の処理例について説明するための図である。
【図5C】この発明の第1実施形態に係る基板処理装置によって行われる基板の処理例について説明するための図である。
【図5D】この発明の第1実施形態に係る基板処理装置によって行われる基板の処理例について説明するための図である。
【図6A】この発明の第2実施形態に係る洗浄ノズルの模式的な底面図である。
【図6B】この発明の第3実施形態に係る洗浄ノズルの模式的な底面図である。
【図7A】この発明の第4実施形態に係る洗浄ノズルの模式的な側面図である。
【図7B】この発明の第4実施形態に係る洗浄ノズルの模式的な底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す模式図である。図2は、この発明の第1実施形態に係る洗浄ノズル5およびこれに関連する構成の平面図である。
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置である。図1に示すように、基板処理装置1は、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック2(基板保持手段、基板回転手段)と、スピンチャック2を取り囲む筒状のカップ3と、基板Wの上面にリンス液を供給するリンス液ノズル4と、保護液の液膜で覆われている基板Wの上面に処理液の液滴を衝突させる洗浄ノズル5(ノズル)と、スピンチャック2などの基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する制御装置8とを備えている。洗浄ノズル5は、基板Wの上面に処理液の液滴を衝突させる噴射ノズル6(噴射部、供給部)と、基板Wに保護液(カバーリンス液)を供給する保護液ノズル7(吐出部)とを含む。図2に示すように、噴射ノズル6は、たとえば、上下方向に延びる円筒状であり、保護液ノズル7は、噴射ノズル6の中心軸線L3に沿って配置されている。噴射ノズル6および保護液ノズル7は、一体のノズルであってもよいし、互いに連結された別々のノズルであってもよい。
【0023】
図1に示すように、スピンチャック2は、基板Wを水平に保持して当該基板Wの中心C1を通る鉛直な回転軸線L1まわりに回転可能なスピンベース9と、このスピンベース9を回転軸線L1まわりに回転させるスピンモータ10とを含む。スピンチャック2は、基板Wを水平方向に挟んで当該基板Wを水平に保持する挟持式のチャックであってもよいし、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)を吸着することにより当該基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。図1および図2では、スピンチャック2が挟持式のチャックである場合が示されている。
【0024】
図1に示すように、リンス液ノズル4は、リンス液バルブ11が介装されたリンス液供給管12に接続されている。リンス液バルブ11が開かれると、基板Wの上面中央部に向けてリンス液ノズル4からリンス液が吐出される。その一方で、リンス液バルブ11が閉じられると、リンス液ノズル4からのリンス液の吐出が停止される。リンス液ノズル4に供給されるリンス液としては、純水(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水や、希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水などを例示することができる。
【0025】
噴射ノズル6は、インクジェット方式によって多数の液滴を噴射するインクジェットノズルである。図1に示すように、噴射ノズル6は、処理液供給管13を介して処理液供給機構14に接続されている。さらに、噴射ノズル6は、排出バルブ15が介装された処理液排出管16に接続されている。処理液供給機構14は、たとえば、ポンプを含む機構である。処理液供給機構14は、常時、所定圧力(たとえば、10MPa以下)で処理液を噴射ノズル6に供給している。噴射ノズル6に供給される処理液としては、たとえば、純水や、炭酸水や、SC−1(NHOHとHとを含む混合液)などが挙げられる。制御装置8は、処理液供給機構14を制御することにより、噴射ノズル6に供給される処理液の圧力を任意の圧力に変更することができる。
【0026】
また、図1に示すように、噴射ノズル6は、噴射ノズル6の内部に配置された圧電素子17(piezo element:振動付与手段)を含む。圧電素子17は、配線18を介して電圧印加機構19に接続されている。電圧印加機構19は、たとえば、インバータを含む駆動回路である。電圧印加機構19は、交流電圧を圧電素子17に印加する。交流電圧が圧電素子17に印加されると、印加された交流電圧の周波数に対応する周波数で圧電素子17が振動する。制御装置8は、電圧印加機構19を制御することにより、圧電素子17に印加される交流電圧の周波数を任意の周波数(たとえば、数百KHz〜数MHz)に変更することができる。したがって、圧電素子17の振動の周波数は、制御装置8によって制御される。
【0027】
図1に示すように、基板処理装置1は、ノズル移動機構20(相対移動手段)をさらに含む。ノズル移動機構20は、洗浄ノズル5(噴射ノズル6および保護液ノズル7)を保持するノズルアーム21と、ノズルアーム21に接続された回動機構22と、回動機構22に接続された昇降機構23とを含む。回動機構22は、たとえば、モータを含む機構である。昇降機構23は、ボールねじ機構と、このボールねじ機構を駆動するモータとを含む機構である。回動機構22は、スピンチャック2の周囲に設けられた鉛直な回転軸線L2まわりにノズルアーム21を回動させる。洗浄ノズル5は、ノズルアーム21と共に回転軸線L2まわりに回動する。これにより、洗浄ノズル5が水平方向に移動する。一方、昇降機構23は、回動機構22を鉛直方向D1(基準方向)に昇降させる。洗浄ノズル5およびノズルアーム21は、回動機構22と共に鉛直方向D1に昇降する。これにより、洗浄ノズル5が鉛直方向D1に移動する。
【0028】
回動機構22は、スピンチャック2の上方を含む水平面内で洗浄ノズル5を水平に移動させる。図2に示すように、回動機構22は、スピンチャック2に保持されている基板Wの上面に沿って延びる円弧状の軌跡X1に沿って洗浄ノズル5を水平に移動させる。軌跡X1は、スピンチャック2に保持されている基板Wの上面に垂直な垂直方向(鉛直方向D1)から見たときに基板Wの上面に重ならない2つの位置を結び、鉛直方向D1から見たときに基板Wの上面の中心C1を通る曲線である。洗浄ノズル5がスピンチャック2に保持されている基板Wの上方に位置する状態で、昇降機構23が洗浄ノズル5を降下させると、洗浄ノズル5が基板Wの上面に近接する。処理液の液滴を基板Wに衝突させるときは、洗浄ノズル5が基板Wの上面に近接している状態で、制御装置8が、回動機構22を制御することにより、軌跡X1に沿って洗浄ノズル5を移動させる。
【0029】
保護液ノズル7は、ノズルアーム21に保持されている。回動機構22および昇降機構23の少なくとも一方がノズルアーム21を移動させると、噴射ノズル6および保護液ノズル7は、噴射ノズル6および保護液ノズル7の位置関係が一定に保たれた状態で移動する。したがって、回動機構22がノズルアーム21を回動させると、保護液ノズル7は、噴射ノズル6と共に軌跡X1に沿って水平に移動する。図1に示すように、保護液ノズル7は、保護液バルブ24および流量調整バルブ25が介装された保護液供給管26に接続されている。保護液バルブ24が開かれると、基板Wの上面に向けて保護液ノズル7から保護液が吐出される。その一方で、保護液バルブ24が閉じられると、保護液ノズル7からの保護液の吐出が停止される。保護液ノズル7からの保護液の吐出速度は、制御装置8が流量調整バルブ25の開度を調整することにより変更される。保護液ノズル7に供給される保護液としては、たとえば、リンス液や、SC−1などの薬液が挙げられる。
【0030】
図3は、この発明の第1実施形態に係る洗浄ノズル5の模式的な縦断面図である。図4は、この発明の第1実施形態に係る洗浄ノズル5の模式的な底面図である。
前述のように、洗浄ノズル5は、基板Wの上面に処理液の液滴を衝突させる噴射ノズル6と、基板Wに保護液を供給する保護液ノズル7とを含む。図3に示すように、噴射ノズル6は、たとえば、上下方向に延びる円筒状であり、保護液ノズル7は、噴射ノズル6の中心軸線L3(洗浄ノズル5の中心軸線L3)に沿って配置されている。噴射ノズル6の外径は、基板Wの直径よりも小さい。噴射ノズル6および保護液ノズル7は、図示しないステーによって連結されている。
【0031】
図3に示すように、噴射ノズル6は、上下方向に延びる円筒状の本体27と、本体27の内部に配置された前述の圧電素子17とを含む。配線18の端部は、本体27の内部で圧電素子17に接続されている。本体27は、耐薬性を有する耐薬性材料によって形成されている。本体27は、たとえば、石英によって形成されている。本体27は、高圧に耐えうる強度を有している。
【0032】
図3に示すように、本体27は、処理液が供給される供給口28と、供給口28に供給された処理液を排出する排出口29と、供給口28と排出口29とを接続する処理液流通路30と、処理液流通路30に接続された複数の噴射口31(環状配列噴射口)とを含む。処理液流通路30は、供給口28に接続された上流路32と、排出口29に接続された下流路33と、上流路32と下流路33とを接続する2つの分岐路34と、分岐路34に接続された複数の接続路35とを含む。上流路32および下流路33は、鉛直方向D1に延びており、分岐路34は、上流路32の下端から下流路33の下端まで水平に延びている。図4に示すように、2つの分岐路34は、噴射ノズル6の中心軸線L3上に中心点X(基準点)を有する円Cに沿って配置されている。図3に示すように、複数の接続路35は、各分岐路34から下方に延びている。複数の噴射口31は、それぞれ、複数の接続路35に接続されている。したがって、噴射口31は、接続路35を介して処理液流通路30に接続されている。噴射口31および接続路35の流路面積は、分岐路34の流路面積よりも小さい。
【0033】
噴射口31は、たとえば数μm〜数十μmの直径を有する微細孔である。図3に示すように、本体27の下面27aは、たとえば、水平な平坦面であり、複数の噴射口31は、本体27の下面27aで開口している。したがって、複数の噴射口31は、同じ高さに配置されている。さらに、図4に示すように、複数の噴射口31は、噴射ノズル6の中心軸線L3(洗浄ノズル5の中心軸線L3)上に中心点Xを有する水平な円Cに沿って等間隔で配列されている。保護液ノズル7の吐出口36(中心吐出口)は、中心点Xを通る鉛直軸線(噴射ノズル6の中心軸線L3)上に配置されている。したがって、吐出口36は、全周に亘って複数の噴射口31に取り囲まれている。各噴射口31から吐出口36までの距離(最短距離)は等しい。吐出口36は、複数の噴射口31と同じ高さに配置されていてもよいし、複数の噴射口31とは異なる高さに配置されていてもよい。吐出口36は、たとえば、円形の開口である。保護液ノズル7は、吐出口36から鉛直下方に保護液を吐出する。同様に、噴射ノズル6は、各噴射口31から鉛直下方に液滴を噴射する。したがって、噴射ノズル6および保護液ノズル7は、互いに平行な方向に液体を吐出する。
【0034】
図3に示すように、処理液供給管13および処理液排出管16は、それぞれ、供給口28および排出口29に接続されている。したがって、処理液供給機構14(図1参照)は、処理液供給管13を介して供給口28に接続されている。処理液供給機構14は、常時、高圧で処理液を噴射ノズル6に供給している。処理液供給機構14から供給口28に供給された処理液は、処理液流通路30に供給される。排出バルブ15が閉じられている状態では、処理液流通路30での処理液の圧力(液圧)が高い。そのため、この状態では、液圧によって各噴射口31から処理液が噴射される。さらに、この状態で、交流電圧が圧電素子17に印加されると、処理液流通路30を流れる処理液が圧電素子17からの振動によって分断され、噴射口31の直径と概ね等しい直径を有する処理液の液柱が噴射口31から噴射される。そして、この液柱は、表面張力によって球形に変化する。そのため、噴射口31の直径よりも大きい直径(たとえば、15μm〜200μm)を有する球状の液滴が基板Wに向かって飛散する。
【0035】
一方、排出バルブ15が開かれている状態では、処理液流通路30に供給された処理液が、排出口29から処理液排出管16に排出される。すなわち、排出バルブ15が開かれている状態では、処理液流通路30での液圧が十分に上昇していない。噴射口31が微細孔であるから、噴射口31から処理液を噴射させるには、処理液流通路30の液圧を所定値以上に上昇させる必要がある。しかしながら、排出バルブ15が開かれている状態では、処理液流通路30の液圧が低圧であるので、処理液流通路30の処理液は、噴射口31から噴射されずに、排出口29から処理液排出管16に排出される。このように、噴射口31からの処理液の噴射は、排出バルブ15の開閉により制御される。制御装置8(図1参照)は、洗浄ノズル5を基板Wの処理に使用しない間(洗浄ノズル5の待機中)は、排出バルブ15を開いている。そのため、洗浄ノズル5の待機中であっても、噴射ノズル6の内部で処理液が流通している状態が維持される。
【0036】
制御装置8は、基板Wの上面に処理液の液滴を衝突させるときに、ノズル移動機構20(図1参照)によって洗浄ノズル5を移動させることにより、噴射ノズル6の下面(本体27の下面27a)を基板Wの上面に近接させる。そして、制御装置8は、噴射ノズル6に設けられた複数の噴射口31と、保護液ノズル7に設けられた吐出口36とが、基板Wの上面に対向している状態で、保護液バルブ24を開いて、吐出口36から保護液を吐出させる。さらに、制御装置8は、この状態で、排出バルブ15を閉じて処理液流通路30の圧力を上昇させると共に、圧電素子17を駆動することにより、処理液流通路30内の処理液に振動を加える。これにより、粒径が均一な多数の処理液の液滴が均一な速度で同時に噴射される。具体的には、平均値に対する粒径および速度のばらつきが10%以内の均一な液滴が基板Wの上面に向けて噴射される。
【0037】
図3に示すように、処理液の液滴は、複数の噴射口31からそれぞれ基板Wの上面内の複数の衝突位置P1に向けて噴射される。また、保護液は、吐出口36から基板Wの上面内の着液位置P2に向けて吐出される。衝突位置P1および着液位置P2の位置関係は、噴射口31および吐出口36を鉛直方向D1から見たときの噴射口31および吐出口36の位置関係と等しい。前述のように、各噴射口31から吐出口36までの距離は等しい。したがって、各衝突位置P1から着液位置P2までの距離D(最短距離)は等しい。
【0038】
図5A〜図5Dは、この発明の第1実施形態に係る基板処理装置1によって行われる基板Wの処理例について説明するための図である。以下では、図1および図2を参照する。図5A〜図5Dについては適宜参照する。
未処理の基板Wは、図示しない搬送ロボットによって搬送され、デバイス形成面である表面をたとえば上に向けてスピンチャック2上に載置される。そして、制御装置8は、スピンチャック2によって基板Wを保持させる。その後、制御装置8は、スピンモータ10を制御することにより、スピンチャック2に保持されている基板Wを回転させる。
【0039】
次に、リンス液の一例である純水をリンス液ノズル4から基板Wに供給して、基板Wの上面を純水で覆う第1カバー工程が行われる。具体的には、制御装置8は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、リンス液バルブ11を開いて、図5Aに示すように、リンス液ノズル4からスピンチャック2に保持されている基板Wの上面中央部に向けて純水を吐出させる。リンス液ノズル4から吐出された純水は、基板Wの上面中央部に供給され、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に広がる。これにより、基板Wの上面全域に純水が供給され、基板Wの上面全域を覆う純水の液膜が形成される。そして、リンス液バルブ11が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置8は、リンス液バルブ11を閉じてリンス液ノズル4からの純水の吐出を停止させる。
【0040】
次に、処理液の一例である炭酸水の液滴を噴射ノズル6から基板Wに供給して基板Wを洗浄する洗浄工程と、保護液の一例であるSC−1を保護液ノズル7から基板Wに供給して基板Wの上面をSC−1で覆う第2カバー工程とが並行して行われる。具体的には、制御装置8は、ノズル移動機構20を制御することにより、洗浄ノズル5(噴射ノズル6および保護液ノズル7)をスピンチャック2の上方に移動させると共に、洗浄ノズル5の下面(本体27の下面27a)を基板Wの上面に近接させる。その後、制御装置8は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、保護液バルブ24を開いて、図5Bに示すように、保護液ノズル7からSC−1を吐出させる。これにより、基板Wの上面を覆うSC−1の液膜が形成される。
【0041】
一方、制御装置8は、保護液ノズル7からのSC−1の吐出と並行して、噴射ノズル6から炭酸水の液滴を噴射させる。具体的には、制御装置8は、洗浄ノズル5の下面が基板Wの上面に近接しており、保護液ノズル7からSC−1が吐出されている状態で、排出バルブ15を閉じると共に、電圧印加機構19によって所定の周波数の交流電圧を圧電素子17に印加させる。さらに、制御装置8は、一定の回転速度で基板Wを回転させながら、ノズル移動機構20によって、洗浄ノズル5を軌跡X1に沿って往復移動させる。これにより、図5Bに示すように、噴射ノズル6から複数の液滴が噴射され、これらの液滴が、SC−1の液膜によって覆われている基板Wの上面に衝突する。そして、制御装置8は、液滴の噴射が所定時間に亘って行われた後、排出バルブ15を開いて、噴射ノズル6からの液滴の噴射を停止させる。さらに、制御装置8は、保護液バルブ24を閉じて、保護液ノズル7からのSC−1の吐出を停止させる。その後、制御装置8は、ノズル移動機構20によって、洗浄ノズル5を基板Wの上方から退避させる。
【0042】
制御装置8は、洗浄工程において、洗浄ノズル5が基板Wの上面周縁部に対向する周縁位置Pe1(図5B参照)から洗浄ノズル5が基板Wの上面周縁部に対向する周縁位置Pe2(図5B参照)まで洗浄ノズル5を軌跡X1に沿って移動させるフルスキャンを行ってもよいし、洗浄ノズル5が基板Wの上面中央部に対向する中心位置Pc(図5B参照)から周縁位置Pe1まで洗浄ノズル5を軌跡X1に沿って移動させるハーフスキャンを行ってもよい。また、フルスキャンおよびハーフスキャンのいずれが行われる場合でも、制御装置8は、鉛直方向D1への洗浄ノズル5と基板Wとの距離を一定に保った状態で洗浄ノズル5を移動させてもよいし、洗浄ノズル5と基板Wとの距離を変化させながら洗浄ノズル5を移動させてもよい。たとえば図5Bに示すように、制御装置8は、周縁位置Pe1および周縁位置Pe2での洗浄ノズル5と基板Wとの距離が、中心位置Pcでの洗浄ノズル5と基板Wとの距離より短くなるように、洗浄ノズル5を移動させてもよい。
【0043】
多数の炭酸水の液滴が噴射ノズル6から下方に噴射されることにより、SC−1の液膜によって覆われている基板Wの上面に多数の炭酸水の液滴が吹き付けられる。また、フルスキャンおよびハーフスキャンのいずれが行われる場合でも、洗浄ノズル5が中心位置Pcと周縁位置Pe1とを通過するので、炭酸水の液滴によって基板Wの上面全域が走査され、炭酸水の液滴が基板Wの上面全域に衝突する。したがって、基板Wの上面に付着しているパーティクルなどの異物は、基板Wに対する液滴の衝突によって物理的に除去される。また、基板Wに対する異物の付着力は、SC−1が基板Wを溶融させることにより弱められる。したがって、異物がより確実に除去される。しかも、基板Wの上面全域が液膜によって覆われている状態で、炭酸水の液滴が基板Wの上面に吹き付けられるので、基板Wに対する異物の再付着が抑制または防止される。このようにして、第2カバー工程と並行して洗浄工程が行われる。
【0044】
次に、リンス液の一例である純水をリンス液ノズル4から基板Wに供給して、基板Wに付着している液体や異物を洗い流すリンス工程が行われる。具体的には、制御装置8は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、リンス液バルブ11を開いて、図5Cに示すように、リンス液ノズル4からスピンチャック2に保持されている基板Wの上面中央部に向けて純水を吐出させる。リンス液ノズル4から吐出された純水は、基板Wの上面中央部に供給され、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に広がる。これにより、基板Wの上面全域に純水が供給され、基板Wに付着している液体や異物が洗い流される。そして、リンス液バルブ11が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置8は、リンス液バルブ11を閉じてリンス液ノズル4からの純水の吐出を停止させる。
【0045】
次に、基板Wを乾燥させる乾燥工程(スピンドライ)が行われる。具体的には、制御装置8は、スピンモータ10を制御して、基板Wを高回転速度(たとえば数千rpm)で回転させる。これにより、基板Wに付着している純水に大きな遠心力が作用し、図5Dに示すように、基板Wに付着している純水が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから純水が除去され、基板Wが乾燥する。そして、乾燥工程が所定時間にわたって行われた後は、制御装置8は、スピンモータ10を制御することにより、スピンチャック2による基板Wの回転を停止させる。その後、処理済みの基板Wが搬送ロボットによってスピンチャック2から搬出される。
【0046】
以上のように本実施形態では、吐出口36から保護液が吐出されることにより、基板Wを覆う保護液の液膜が形成される。そして、複数の噴射口31から複数の液滴が噴射されることにより、保護液の液膜に覆われている基板Wに複数の液滴が衝突する。各噴射口31から噴射された液滴は、保護液が着液する基板W内の着液位置P2からの距離Dが等しい基板W内の衝突位置P1に衝突する。基板W上での液膜の厚みは、着液位置P2からの距離に応じて変化する。したがって、各衝突位置P1から着液位置P2までの距離を等しくすることにより、各衝突位置P1での膜厚(保護液の液膜の厚み)のばらつきを低減できる。そのため、各衝突位置P1において基板Wに加わる衝撃のばらつきを低減できる。さらに、基板Wに向けて噴射される液滴の粒径および速度が均一なので、均一な運動エネルギーを有する液滴が基板Wに衝突する。これにより、液滴の衝突によって基板Wに加わる衝撃のばらつきをさらに低減できる。したがって、処理の均一性を向上させることができる。
【0047】
この発明の実施形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の実施形態では、吐出口36が、円形であり、鉛直方向D1から見たときに洗浄ノズル5の中心軸線L3上に位置するように配置されている場合について説明した。しかし、図6Aおよび図6Bに示すように、吐出口36は、全周に亘って連続した環状であり、鉛直方向D1から見たときに洗浄ノズル5の中心軸線L3を同軸的に取り囲むように配置されていてもよい。この場合、吐出口36は、図6Aに示す洗浄ノズル205の内側環状吐出口236(環状吐出口)のように、複数の噴射口31の内側に配置されていてもよいし、図6Bに示す洗浄ノズル305の外側環状吐出口336(環状吐出口)のように、複数の噴射口31の外側に配置されていてもよい。
【0048】
また、前述の実施形態では、複数の噴射口31が、洗浄ノズル5の中心軸線L3上に中心点Xを有する水平な円Cに沿って配置されている場合について説明した。しかし、複数の噴射口31が、洗浄ノズル5の中心軸線L3上に中心を有する水平な円弧に沿って配置されていてもよい。すなわち、複数の噴射口31は、全周に亘って吐出口36を取り囲んでいなくてもよい。
【0049】
また、前述の実施形態では、複数の噴射口31が環状に配列されている場合について説明した。しかし、複数の噴射口31は、直線状に配列されていてもよい。具体的には、図7Aおよび図7Bに示す洗浄ノズル405のように、複数の噴射口431(直線状配列噴射口)が直線状に等間隔で配列されており、吐出口436(直線状吐出口)が、複数の噴射口431と平行なスリット状であってもよい。吐出口436の長さ(長手方向への長さ)は、複数の噴射口431の一端から他端までの長さと等しい。この場合、吐出口436からの保護液の吐出方向は、噴射口431からの液滴の噴射方向と平行でなくてもよい。
【0050】
また、前述の実施形態では、複数の噴射口31が同一の高さに配置されている場合について説明した。しかし、複数の噴射口31は、それぞれ異なる高さに配置されていてもよい。すなわち、複数の噴射口31は、鉛直方向D1から見たときに洗浄ノズル5の中心軸線L3から等しい距離の位置に配置されていればよい。
また、前述の実施形態では、洗浄ノズル5が、インクジェット方式によって多数の液滴を噴射するインクジェットノズル(噴射ノズル6)を含む場合について説明した。しかし、洗浄ノズル5は、液体と気体とを衝突させて液滴を生成する二流体ノズルを含んでいてもよい。たとえば、洗浄液ノズル5は、環状に配置された複数の二流体ノズルと、複数の二流体ノズルの中心に配置された保護液ノズル7とを含んでいてもよい。
【0051】
また、前述の実施形態では、1つの洗浄ノズル5を用いて基板Wを処理する場合について説明したが、複数の洗浄ノズル5を用いて基板Wを処理してもよい。すなわち、共通のスピンチャック2に対応する洗浄ノズル5が複数設けられてもよい。
また、前述の実施形態では、基板処理装置1が、円板状の基板Wを処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置1は、液晶表示装置用基板などの多角形の基板を処理する装置であってもよい。
【0052】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 :基板処理装置
2 :スピンチャック(基板保持手段、基板回転手段)
5 :洗浄ノズル(ノズル)
6 :噴射ノズル(噴射部、供給部)
7 :保護液ノズル(吐出部)
13 :処理液供給管
17 :圧電素子(振動付与手段)
20 :ノズル移動機構(相対移動手段)
26 :保護液供給管
30 :処理液流通路
31 :噴射口(環状配列噴射口)
36 :吐出口(中心吐出口)
205 :洗浄ノズル(ノズル)
236 :内側環状吐出口(環状吐出口)
305 :洗浄ノズル(ノズル)
336 :外側環状吐出口(環状吐出口)
405 :洗浄ノズル(ノズル)
431 :噴射口(直線状配列噴射口)
436 :吐出口(直線状吐出口)
D1 :鉛直方向(基準方向)
Pc :中心位置
Pe1 :周縁位置
Pe2 :周縁位置
L1 :回転軸線
X :中心点(基準点)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口から吐出された保護液の液膜によって覆われている基板に、複数の噴射口から噴射された複数の液滴を衝突させるノズルであって、
前記複数の噴射口から噴射された複数の液滴がそれぞれ基板内の複数の衝突位置に衝突するように前記複数の噴射口が形成された噴射部と、
各衝突位置からの距離が等しい基板内の着液位置に保護液が着液するように前記吐出口が形成された吐出部とを含む、ノズル。
【請求項2】
前記複数の噴射口に処理液を供給する処理液流通路が形成された供給部と、
前記処理液流通路を流通する処理液に振動を付与することにより、前記複数の噴射口に供給される処理液を分断する振動付与手段とをさらに含む、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
各噴射口から前記吐出口までの距離が等しい、請求項1または2に記載のノズル。
【請求項4】
前記複数の噴射口は、基準方向から見たときに基準点から等しい距離の位置に配置された複数の環状配列噴射口を含み、
前記吐出口は、前記基準方向から見たときに前記基準点に位置するように配置された中心吐出口を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項5】
前記複数の噴射口は、基準方向から見たときに基準点から等しい距離の位置に配置された複数の環状配列噴射口を含み、
前記吐出口は、前記基準方向から見たときに前記基準点を取り囲むように配置されており、全周に亘って連続した環状吐出口を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項6】
前記複数の噴射口は、基準方向から見たときに直線状に並ぶように配置された複数の直線状配列噴射口を含み、
前記吐出口は、前記基準方向から見たときに前記複数の直線状配列噴射口と平行なスリット状の直線状吐出口を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のノズルと、
前記噴射部に処理液を供給する処理液供給管と、
前記吐出部に保護液を供給する保護液供給管と、
基板を保持する基板保持手段と、
前記ノズルおよび前記基板保持手段に保持されている基板の少なくとも一方を移動させることにより、前記複数の噴射口と前記吐出口との位置関係が一定に保たれた状態で前記ノズルと前記基板とを相対移動させる相対移動手段とを含む、基板処理装置。
【請求項8】
前記基板保持手段に保持されている基板の主面中央部に交差する回転軸線まわりに前記基板を回転させる基板回転手段をさらに含み、
前記相対移動手段は、前記ノズルが前記基板の主面中央部に対向する中心位置と、前記ノズルと前記基板との間の距離が前記中心位置での距離よりも短くなるように、前記ノズルが前記基板の主面周縁部に対向する周縁位置との間で前記ノズルを移動させる、請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
複数の噴射口からそれぞれ基板内の複数の衝突位置に向けて処理液の液滴を噴射する噴射工程と、
前記噴射工程と並行して、各衝突位置からの距離が等しい基板内の着液位置に向けて吐出口から保護液を吐出することにより、前記複数の衝突位置を覆う保護液の液膜を形成する液膜形成工程とを含む、基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2013−77597(P2013−77597A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214935(P2011−214935)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】