説明

ハンズフリー装置

【課題】踏み切り遮断機警告音や緊急車両サイレン等の緊急警告音をユーザに認識させ、注意を促すことが可能である。
【解決手段】携帯端末6の通話音声および周囲音を集音するマイク1と、緊急警告音のサンプルパターンを記憶している記憶部12と、集音された周囲音から緊急警告音を抽出し、周波数成分および鳴動周期を導出し、サンプルデータの周波数および鳴動周期と照合することにより、抽出された緊急警告音の種別を判定する周波数分析部4と、判定結果に基づいて、携帯端末6のユーザに対して緊急警告音の発生を通知するための警告を出力するバイブレーター7、表示部8、発光素子13を備えるとともに、音声メッセージを通話音に重畳させるためのスピーカー11を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はハンズフリー装置に関し、特に、車の運転中に携帯電話等の携帯情報端末を使用するためにドライバーが用いるためのハンズフリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
救急車やパトカー等の所定のサイレンを備えた車両がサイレンを鳴らしながら走行しているときに、当該サイレンを検知して、交通信号機を制御している制御システムに対して、歩行者の通行または停止を制御するための信号を送信するとともに、当該サイレンを備えた車両に対して、先取り交通制御信号を提供するためのサイレン検知器が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
これは、交通信号機の制御システム及びサイレンを備えた特定車両に対するものであり、一般の車両のドライバーに対してサイレンを知らせるためのシステムは開発されていない。
【0004】
一方、車の運転中の携帯電話の使用(着信、発信、通話)は、使用者の注意力を低下させるとともに片手をハンドルから離すことから、安全走行を損なう可能性があると懸念されている。そのため、道路交通法により、車の運転中に携帯電話を使用する場合、ハンズフリー装置の使用が義務付けられている。
【0005】
【特許文献1】特公平9−512902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ハンズフリー装置を使用しても通話に集中してしまうドライバーの場合には、運転中の注意力および危険予知力が多少低下し、周りの状況を把握する力が低下してしまう可能性がある。国内外の研究者からも報告されているが、ドライバーの性格によっては、ハンズフリー装置を使用しても、通話を行っていない場合に比べると、安全性が多少下がってしまう可能性があるという問題点があった。特に、通話に集中するが故に、緊急車両の接近や踏み切り遮断機の警告音などの緊急サイレン等に気付くタイミングが多少遅延する傾向があるという問題点があった。
【0007】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、踏み切り遮断機警告音や緊急車両サイレン等の緊急警告音をユーザに認識させ、注意を促すことが可能なハンズフリー装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、携帯端末に接続して用いるハンズフリー装置であって、上記携帯端末の通話音声および周囲音を集音する集音手段と、集音された上記周囲音の中から緊急警告音を抽出し、上記緊急警告音の周波数成分および鳴動周期を導出する警告音抽出手段と、緊急警告音のサンプルパターンの周波数および鳴動周期のデータを記憶しているサンプル記憶手段と、上記警告音抽出手段により導出された上記周波数成分と上記鳴動周期とを、上記サンプルデータの周波数および鳴動周期と照合することにより、抽出された上記緊急警告音の種別を判定する判定手段と、上記判定手段の判定結果に基づいて、上記携帯端末のユーザに対して上記緊急警告音の発生を知らせるための警告を出力する警告出力手段とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、携帯端末に接続して用いるハンズフリー装置であって、上記携帯端末の通話音声および周囲音を集音する集音手段と、集音された上記周囲音の中から緊急警告音を抽出し、上記緊急警告音の周波数成分および鳴動周期を導出する警告音抽出手段と、緊急警告音のサンプルパターンの周波数および鳴動周期のデータを記憶しているサンプル記憶手段と、上記警告音抽出手段により導出された上記周波数成分と上記鳴動周期とを、上記サンプルデータの周波数および鳴動周期と照合することにより、抽出された上記緊急警告音の種別を判定する判定手段と、上記判定手段の判定結果に基づいて、上記携帯端末のユーザに対して上記緊急警告音の発生を知らせるための警告を出力する警告出力手段とを備えているので、踏み切り遮断機警告音や緊急車両サイレン等の緊急警告音をユーザに認識させ、注意を促すことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態を説明する。
図1はこの発明の実施の形態1によるハンズフリー装置100のブロック図である。この発明におけるハンズフリー装置100は、携帯電話等の携帯端末6に接続されて用いられる。図1に示すように、ハンズフリー装置100には、通話音声や周囲音を集音する内蔵マイク(以下、マイクとする。)1と、マイク1で集音された信号の増幅器であるマイクアンプ2と、増幅された信号をアナログデジタル変換するためのアナログデジタル変換部3とが設けられている。
【0011】
また、ハンズフリー装置100には、アナログデジタル変換部3にてデジタル変換された信号の中から通話音声と周囲音とを分別するとともに、周囲音の中から緊急車両のサイレンや踏み切り遮断機警告音等の緊急警告音を抽出し、当該緊急警告音の周波数成分および鳴動周期を導き出す周波数分析部4が設けられている。なお、周波数分析部4における抽出方法としては、例えば、アナログデジタル変換部3にてデジタル変換された信号の中から、予め設定されている所定の範囲内の周波数成分を有する信号を緊急警告音として抽出するようにすればよい。あるいは、緊急警告音は、通常の通話音声や周囲音と異なり、所定の鳴動周期を有しているので、所定の鳴動周期を有した信号を緊急警告音として抽出するようにしてもよい。さらに、周波数分析部4は、導き出した周波数成分および鳴動周期を、記憶部12内に予め記憶させているサンプルパターンと照合させることで、緊急警告音の種別の識別を行う。記憶部12には、消防車、パトカー、救急車等のサイレンを備えた緊急車両ごとのサイレンの周波数および鳴動周期や、踏切遮断器の警告音の周波数や鳴動周期などが、サンプルパターンデータとして予め記憶されている。
【0012】
また、ハンズフリー装置100は、制御部5を有している。制御部5は、周波数分析部4による記憶部12のサンプルパターンとの照合の結果から緊急警告音種別を検出し、当該種別に応じた通知方法を用いてドライバーに対する警告を出力するように各警告出力装置に指令信号を出力する。7は、バイブレーターであり、制御部5からの指令信号に基づいてハンズフリー装置を振動させて利用者に警告を知らせる。8は表示部であり、ハンズフリー装置に設けられた液晶画面等の表示画面から構成されたもので、制御部5からの指令信号に基づいて、表示画面に予め用意されているメッセージを表示してドライバーに警告を知らせる。メッセージの一例としては、「救急車、接近中!!」等が挙げられる。13はLED等の発光素子であり、制御部5からの指令信号に基づいて点灯または点滅することによりドライバーに警告を知らせる。
【0013】
9はデジタルアナログ変換部であり、警告内容を通話中の音声に重畳させる場合に、制御部5からの指令に基づいて、予め用意されているメッセージを示すデジタル信号をアナログ信号に変換する。メッセージの一例としては、「救急車が接近しています。ご注意下さい。」等が挙げられる。10はアナログ変換された信号を増幅するスピーカーアンプである。11は、増幅されたアナログ信号を通話音声と重畳させて出力するスピーカーである。
【0014】
本実施の形態におけるハンズフリー装置は、このように構成され、マイク1は、携帯端末6の通話音声および周囲音を集音する集音手段を構成している。また、記憶部12は、緊急警告音のサンプルパターンの周波数および鳴動周期のデータを記憶しているサンプル記憶手段を構成している。また、周波数分析部4は、集音された周囲音の中から緊急警告音を抽出し、緊急警告音の周波数成分および鳴動周期を導出する警告音抽出手段と、警告音抽出手段により導出された周波数成分と鳴動周期とを、サンプルデータの周波数および鳴動周期と照合することにより、抽出された緊急警告音の種別を判定する判定手段とを構成している。バイブレーター7、表示部8、発光素子13,スピーカー11は、判定手段の判定結果に基づいて、携帯端末6のユーザに対して緊急警告音の発生を知らせるための警告を出力する警告出力手段を構成している。
【0015】
次に動作について説明する。
利用者が車の運転中などにハンズフリー装置を用いて携帯端末6により通話している場合を想定する。マイク1は常に、通話音声と周囲音とを集音しており、マイクアンプ2は、マイク1で集音された信号を順次増幅する。増幅された信号は、アナログデジタル変換部3により、デジタル信号に変換される。このときに、踏み切り遮断機警告音または緊急車両サイレン等のうちのいずれか1つの緊急警告音が車外で発生したとする。
【0016】
周波数分析部4が、アナログデジタル変換部3にてデジタル変換された信号に関し、通話音声や周囲音を分別し、周囲音の中から緊急警告音を抽出し、抽出した緊急警告音の周波数成分および鳴動周期を導き出す。周波数分析部4は、さらに、導き出した周波数成分および鳴動周期を、記憶部12内に予め記憶させているサンプルパターンの周波数および鳴動周期と照合させることで、緊急警告音の種別の識別を行う。
【0017】
制御部5は、周波数分析部4の結果から緊急警告音の種別を検出し、それに応じてドライバに対する警告を行うように指令信号を出力する。例えば、警告表示させる場合には、制御部5からの指令信号により、表示部8に緊急警告音を知らせるための所定のメッセージを画面表示させたり、バイブレーター7を振動させたり、あるいは、発光素子13を点滅させたりする。また、警告内容を通話中の音声に重畳させる場合には、制御部5から送信された所定のメッセージを構成するデジタル信号をデジタルアナログ変換部9にてアナログ信号に変換し、アナログ変換された信号をスピーカーアンプ10にて増幅し、スピーカー11にて当該メッセージの音声を通話音声と重畳させ出力させる。
【0018】
このように、本実施の形態では、内蔵されたマイク1から集音された信号を周波数分析することで緊急警告音を抽出し、警告表示や音声通知させることで踏み切り遮断機警告音や緊急車両サイレンなどの緊急警告音をドライバーに認識させ、注意を促すことができるため、たとえ通話に集中した場合でも、速やかに緊急警告音に気づかせることができ、高い安全性を確保することができる。
【0019】
また、緊急警告音の識別結果を通話音声に重畳させたり、ディスプレイに表示させたりすることで、注意を促し、踏み切り遮断機警告音の場合には、踏み切り突入を防ぎ、緊急車両サイレンの場合には、緊急車両通行を妨げることを防止でき、緊急警告音の種別によって適切な行動をユーザがとれるように、促すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
この発明は、任意の携帯情報端末やハンズフリー装置など全般に利用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1によるハンズフリー装置の構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0022】
1 マイク、2 マイクアンプ、3 アナログデジタル変換部、4 周波数分析部、5 制御部、6 携帯端末、7 バイブレーター、8 表示部、9 デジタルアナログ変換部、10 スピーカーアンプ、11 スピーカー、12 記憶部、13 発光素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末に接続して用いるハンズフリー装置であって、
上記携帯端末の通話音声および周囲音を集音する集音手段と、
集音された上記周囲音の中から緊急警告音を抽出し、上記緊急警告音の周波数成分および鳴動周期を導出する警告音抽出手段と、
緊急警告音のサンプルパターンの周波数および鳴動周期のデータを記憶しているサンプル記憶手段と、
上記警告音抽出手段により導出された上記周波数成分と上記鳴動周期とを、上記サンプルデータの周波数および鳴動周期と照合することにより、抽出された上記緊急警告音の種別を判定する判定手段と、
上記判定手段の判定結果に基づいて、上記携帯端末のユーザに対して上記緊急警告音の発生を知らせるための警告を出力する警告出力手段と
を備えたことを特徴とするハンズフリー装置。
【請求項2】
上記警告出力手段は、上記携帯端末の通話音声に重畳させるための上記緊急警告音を知らせる所定の音声メッセージを出力するスピーカーから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のハンズフリー装置。
【請求項3】
上記警告出力手段は、上記緊急警告音の発生を知らせるための所定のメッセージを表示する表示画面から構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のハンズフリー装置。
【請求項4】
上記警告出力手段は、振動することによって上記緊急警告音の発生を知らせるバイブレーターから構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のハンズフリー装置。
【請求項5】
上記警告出力手段は、点灯または点滅することによって上記緊急警告音の発生を知らせるための発光素子から構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のハンズフリー装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−201603(P2007−201603A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15126(P2006−15126)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(591036457)三菱電機エンジニアリング株式会社 (419)
【Fターム(参考)】