説明

パターン検査装置及びパターン検査方法

【目的】予め歪ませたパターンが形成された被検査対象試料をダイーダイ検査する際に、高精度な検査が可能なパターン検査装置を提供することを目的とする。
【構成】本発明の一態様のパターン検査装置100は、複数の同一パターンが形成位置にそれぞれ歪みをもって形成された被検査試料の光学画像データを取得する光学画像取得部150と、前記光学画像データを複数の部分光学画像データに切り出す切り出し部72と、前記被検査試料に形成されたパターンの歪み量を取得可能な歪情報を用いて、前記複数の部分光学画像データの位置を補正する補正部74と、補正された前記複数の部分光学画像データ同士を画素毎に比較する比較回路108と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン検査装置及びパターン検査方法に係り、例えば、半導体製造に用いる試料となる物体のパターン欠陥を検査するパターン検査技術に関し、半導体素子や液晶ディスプレイ(LCD)を製作するときに使用されるフォトマスク、ウェハ、あるいは液晶基板などの極めて小さなパターンの欠陥を検査する装置およびその検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。これらの半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスク或いはレチクルともいう。以下、マスクと総称する)を用いて、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。よって、かかる微細な回路パターンをウェハに転写するためのマスクの製造には、微細な回路パターンを描画することができるパターン描画装置を用いる。かかるパターン描画装置を用いてウェハに直接パターン回路を描画することもある。例えば、電子ビームやレーザビームを用いて描画される。
【0003】
そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。しかし、1ギガビット級のDRAM(ランダムアクセスメモリ)に代表されるように、LSIを構成するパターンは、サブミクロンからナノメータのオーダーになろうとしている。歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。近年、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
【0004】
一方、マルチメディア化の進展に伴い、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)は、500mm×600mm、またはこれ以上への液晶基板サイズの大型化と、液晶基板上に形成されるTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)等のパターンの微細化が進んでいる。従って、極めて小さいパターン欠陥を広範囲に検査することが要求されるようになってきている。このため、このような大面積LCDのパターン及び大面積LCDを製作する時に用いられるフォトマスクの欠陥を短時間で、効率的に検査するパターン検査装置の開発も急務となってきている。
【0005】
例えば、パターン検査方法として、同一マスク上の異なる場所の同一パターンを撮像した光学画像データ同士を比較する「die to die検査(ダイ−ダイ検査)」法や、マスクパターンを描画する時に使用したCADデータを検査装置入力フォーマットに変換した描画データ(設計パターンデータ)をベースに比較の基準となる画像データ(設計画像データ)を生成して、それとパターンを撮像した測定データ(光学画像データ)とを比較する「die to database検査(ダイ−データベース検査)」法がある。かかる検査装置における検査方法では、試料はステージ上に載置され、ステージが動くことによって光束が試料上を走査し、検査が行われる。試料には、光源及び照明光学系によって光束が照射される。試料を透過あるいは反射した光は光学系を介して、センサ上に結像される。センサで撮像された画像は光学画像(測定画像)データとして比較回路へ送られる。比較回路では、画像同士の位置合わせの後、基準画像データと光学画像データとを適切なアルゴリズムに従って比較し、一致しない場合には、パターン欠陥有りと判定する。
【0006】
ここで、マスク上に形成されたパターンは、露光装置で半導体ウェハ等に転写する際に、本来、そのままの位置で半導体ウェハ上等に転写されることを前提としてきた。しかし、露光装置で転写する際に例えば露光装置の光学系によってパターン形状等が歪みマスク上に形成されたパターンとは位置ずれしたパターンを半導体ウェハ上等に転写させる場合がある。このことを活用するために、転写された際に理想の位置になるようにマスク上に形成されるパターン自体を露光装置の転写条件に合うように予め歪ませた位置に形成しておく技術の開発が行なわれている。
【0007】
上述したような予め歪ませた位置にパターンが形成されたマスクの検査を行う場合、次のような問題が発生する。ダイーダイ検査においては、まず、マスクを短冊状の複数の検査ストライプ領域に仮想分割し、検査ストライプ領域毎に画像取得が行われる。そして、1つの検査ストライプ画像には、比較対象となる同一パターンが形成されたダイ同士が存在し、対応するダイ同士を切り出して両者が比較される(例えば、特許文献1参照)。かかるダイーダイ検査においては、左右に配置されるダイ同士の基準Y座標は同一であることを前提としている。
【0008】
しかしながら、上述した歪んだパターンが形成されたマスクを検査する場合に、対応するダイ同士のパターンの位置(Y座標)が検査ストライプ内で変動する。そのため、比較されるダイ同士の位置関係が合わなくなってしまう。その結果、正確な検査が実行できないといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−088375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、予め歪ませたパターンが形成された被検査対象試料をダイーダイ検査する場合に、対応するダイ同士のパターンの位置(Y座標)が変動する。そのため、比較されるダイ同士の位置関係が合わなくなってしまう。その結果、正確な検査が実行できないといった問題があった。従来、かかる問題を十分に解決する手法が確立されていなかった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点を克服し、予め歪ませたパターンが形成された被検査対象試料をダイーダイ検査する際に、高精度な検査が可能なパターン検査装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様のパターン検査装置は、
複数の同一パターンが形成位置にそれぞれ歪みをもって形成された被検査試料の光学画像データを取得する光学画像取得部と、
前記光学画像データを複数の部分光学画像データに切り出す切り出し部と、
前記被検査試料に形成されたパターンの歪み量を取得可能な歪情報を用いて、前記複数の部分光学画像データの位置を補正する補正部と、
補正された前記複数の部分光学画像データ同士を画素毎に比較する比較部と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様のパターン検査方法は、
複数の同一パターンが形成位置にそれぞれ歪みをもって形成された被検査試料の光学画像データを取得する工程と、
前記光学画像データを複数の部分光学画像データに切り出す工程と、
前記被検査試料に形成されたパターンの歪み量を取得可能な歪情報を用いて、前記複数の部分光学画像データの位置を補正する工程と、
補正された前記複数の部分光学画像データ同士を画素毎に比較する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、予め歪ませたパターンが形成された被検査対象試料をダイーダイ検査する際に、高精度な検査ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す概念図である。
【図2】実施の形態1における光学画像の取得手順を説明するための図である。
【図3】実施の形態1におけるフォトマスクと形成されたパターンとの一例を示す概念図である。
【図4】歪ませていないパターンと実施の形態1における歪ませたパターンにおけるダイーダイ検査する場合のダイ同士の一例を示す概念図である。
【図5】実施の形態1における位置補正の仕方を説明するための概念図である。
【図6】実施の形態1における位置補正回路の内部構成と位置補正回路にデータが入力されてから比較処理されるまでの処理フローとを示す概念図である。
【図7】実施の形態1における複数の部分光学画像データの位置補正を説明するための概念図である。
【図8】実施の形態1における平行移動処理の一例を説明するための概念図である。
【図9】実施の形態1における回転処理の一例を説明するための概念図である。
【図10】実施の形態2における位置補正回路の内部構成と位置補正回路にデータが入力されてから比較処理されるまでの処理フローとを示す概念図である。
【図11】実施の形態2における露光装置情報の一例を示す概念図である。
【図12】実施の形態2における複数の部分光学画像データの位置補正を説明するための概念図である。
【図13】実施の形態2における複数の部分光学画像データの位置補正を行なう代表点の一例を示す図である。
【図14】別の光学画像取得手法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す概念図である。図1において、マスク等の基板を試料として、かかる試料の欠陥を検査するパターン検査装置100は、光学画像取得部150と制御回路160を備えている。光学画像取得部150は、XYθテーブル102、光源103、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105、センサ回路106、レーザ測長システム122、オートローダ130、及び照明光学系170を備えている。制御回路160では、コンピュータとなる制御計算機110が、データ伝送路となるバス120を介して、位置回路107、比較部の一例となる比較回路108、設計画像作成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、位置補正回路140、記憶装置の一例となる磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、及びプリンタ119に接続されている。また、XYθテーブル102は、X軸モータ、Y軸モータ、θ軸モータにより駆動される。図1では、本実施の形態1を説明する上で必要な構成部分について記載している。パターン検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれても構わないことは言うまでもない。
【0017】
検査開始前に、まず、オートローダ制御回路113により制御されたオートローダ130により、パターン形成された被検査試料となるフォトマスク101は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能に設けられたXYθテーブル102上にロードされ、そして、XYθテーブル102上に載置される。また、フォトマスク101のパターン形成時に用いた設計パターンの情報(設計パターンデータ)は、装置外部からパターン検査装置100に入力され、記憶装置(記憶部)の一例である磁気ディスク装置109に記憶される。実施の形態1では、かかる設計パターンデータが歪み情報の一例となる。或いは歪み情報を形成するための基データとなる。
【0018】
XYθテーブル102は、制御計算機110の制御の下にテーブル制御回路114により駆動される。X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X−Y−θ)モータの様な駆動系によって移動可能となっている。これらの、Xモータ、Yモータ、θモータは、例えばステップモータを用いることができる。そして、XYθテーブル102の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。また、XYθテーブル102上のフォトマスク101はオートローダ制御回路113により駆動されるオートローダ130から自動的に搬送され、検査終了後に自動的に排出されるものとなっている。また、拡大光学系104は、例えば圧電変換素子等によって駆動され、フォトダイオードアレイ105へと像の焦点が合わされる。
【0019】
図2は、実施の形態1における光学画像の取得手順を説明するための図である。被検査領域は、図2に示すように、例えばY方向に向かって、スキャン幅Wの短冊状の複数の検査ストライプに仮想的に分割される。そして、更にその分割された各検査ストライプが連続的に走査されるようにXYθテーブル102の動作が制御され、X方向に移動しながら光学画像が取得される。フォトダイオードアレイ105では、図2に示されるようなスキャン幅Wの画像を連続的に入力する。そして、第1の検査ストライプにおける画像を取得した後、第2の検査ストライプにおける画像を今度は逆方向に移動しながら同様にスキャン幅Wの画像を連続的に入力する。そして、第3の検査ストライプにおける画像を取得する場合には、第2の検査ストライプにおける画像を取得する方向とは逆方向、すなわち、第1の検査ストライプにおける画像を取得した方向に移動しながら画像を取得する。このように、連続的に画像を取得していくことで、無駄な処理時間を短縮することができる。ここでは、フォワード(FWD)−バックワード(BWD)手法を用いているが、これに限るものではなくフォワード(FWD)−フォワード(FWD)手法を用いても構わない。
【0020】
フォトマスク101に形成されたパターンには、XYθテーブル102の上方に配置されている適切な光源103によって光が照射される。光源103から照射される光束は、照明光学系170を介してフォトマスク101を照射する。照明によってフォトマスク101を透過した光は、拡大光学系104を介してフォトダイオードアレイ105に光学像として結像し、入射する。フォトダイオードアレイ105上に結像されたパターンの像は、フォトダイオードアレイ105によって光電変換され、更にセンサ回路106によってA/D(アナログデジタル)変換される。フォトダイオードアレイ105には、例えばTDI(タイムディレイインテグレータ)センサのようなセンサが設置されている。以上のようにして、光学画像取得部150は、複数の同一パターンが形成位置にそれぞれ歪みをもって形成された被検査試料の検査ストライプ毎の光学画像データ(ストライプデータ)を取得する。
【0021】
センサ回路106出力された各検査ストライプの測定データ(光学画像データ)は、検査ストライプ毎に、順に、位置回路107から出力されたXYθテーブル102上におけるフォトマスク101の位置を示すデータとともに位置補正回路140に出力される。測定データは、画素毎に例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調を例えば0〜255で表現している。これらの光源103、照明光学系170、拡大光学系104、フォトダイオードアレイ105、及びセンサ回路106によって高倍率の検査光学系が構成されている。
【0022】
図3は、実施の形態1におけるフォトマスクと形成されたパターンとの一例を示す概念図である。図3において、フォトマスク101上には、同一の設計パターンで描画された複数のパターン領域10,12(被検査領域)が形成されている。そして、この2つのパターン領域10,12を合わせた全体が図2で示した複数の検査ストライプに仮想分割される。そして、光学画像取得部150によって、検査ストライプ毎に光学画像データ(測定データ)が取得される。そのため、1つの検査ストライプの測定データには、パターン領域10,12の両方の画像が含まれている。
【0023】
図4は、歪ませていないパターンと実施の形態1における歪ませたパターンにおけるダイーダイ検査する場合のダイ同士の一例を示す概念図である。フォトマスクの設計パターンは本来、そのままウェハ上等に転写されることを前提としているが、近年、設計データの線幅が細かくなるに従い、光近接効果補正(OPC)用の微細パターンなどそのままウェハ上等に転写されることを期待しないパターンも多く使われるようになっている。さらに最近では、露光装置の転写条件に合うようにフォトマスクに形成されるパターン全体を歪ませて製造する技術開発も進んでいる。実施の形態1では、かかる歪ませたパターンが形成されたフォトマスク101についてダイーダイ検査する。従来の歪ませていないパターンをダイーダイ検査する場合、図4(b)に示すように、1つの検査ストライプ31の測定データには、パターン領域11,13間で比較されるダイ同士となる部分光学画像21,23が共に同一のy座標上に含まれている。すなわち、部分光学画像21の基準位置B’と部分光学画像23の基準位置A’は、x座標を異にするがy座標は一致している。よって、各検査ストライプの測定データ(光学画像データ)をx方向に所定の幅で分割し、x方向に相対的に移動させれば部分光学画像21,23の位置合わせができ得る。
【0024】
しかし、実施の形態1において検査対象となるのは、複数の同一パターンが形成位置にそれぞれ歪みをもって形成された被検査試料である。実施の形態1において検査対象となる歪ませたパターンでは、パターン位置がそもそも歪んでいるので、理想的な検査ストライプ30も歪んでおり、例えば、図4(a)に示すように、長辺が直線ではなくなだらかな曲線に変形している。そのため、パターン領域10,12間で比較されるダイ同士となる部分光学画像20,22は、x,y座標共に異なってしまう。実際の画像取得では、図4(a)に示すような理想的な歪んだ検査ストライプ30のような軌跡で取得されずに、例えば図4(b)に示したような長辺が直線となる長方形(矩形)の検査ストライプで取得される。そのため、パターン領域10,12間で比較されるダイ同士となる部分光学画像20,22は、そのまま重ねても画像位置が一致しないことになる。かかる状態で検査すれば欠陥と判定されてしまう。
【0025】
そこで、実施の形態1では、歪み情報を使って、パターン領域10,12間で比較されるダイ同士となる部分光学画像20,22の位置を補正する。実施の形態1では、歪み情報として、かかる歪んだパターンをフォトマスク101上に描画する時に使用したCADデータを検査装置入力フォーマットに変換した描画データ(設計パターンデータ)を用いる。尚、従来から、測定データとこれを製造する際に用いた設計パターンから生成した設計データとを比較する検査装置は存在しているが、これはあくまで両者を直接比較するためのものであり、実施の形態1のように比較対象位置を変更するための情報入力とは異なるものである。
【0026】
まず、図1に示した設計画像作成回路112は、所定の領域毎に、磁気ディスク装置109から制御計算機110を通して設計パターンデータを読み出し、読み出されたフォトマスク101の設計パターンデータを2値ないしは多値のイメージデータである設計画像データに変換(展開処理)する。所定の領域は、比較対象となるダイ同士の部分光学画像に対応する画像の領域(エリア)とすればよい。
【0027】
図5は、実施の形態1における位置補正の仕方を説明するための概念図である。例えば、図5に示すように、光学画像データ(ストライプデータ)にパターンが歪んで形成されていなければ比較されるはずのダイ同士の全ての部分光学画像がフォトマスク101から取得する第n番目の検査ストライプ50a内に収まりきれない場合がある。そのため、はみ出た部分は第n+1番目の検査ストライプ50bで取得された光学画像データを用いて検査される。しかし、設計画像データを作成する際には、かかる光学画像データでははみ出た部分も含まれる幅に広げた第n番目の検査ストライプ40aを想定して作成される。実施の形態1では、設計画像は検査における測定画像との比較用に使用されるのではなく、あくまで比較されるはずのダイ同士の部分光学画像52,54の位置補正のために使用される。そのため、比較されるはずのダイ同士の全ての部分光学画像52,54に対応する領域が含まれるように作成されると好適である。これにより、欠けた部分を無くすことができ、後述する部分光学画像52,54に対応する部分設計画像42,44の位置合わせをし易くできる。また、設計画像データを作成する際の第n+1番目の検査ストライプ40bは、光学画像データ用の第n+1番目の検査ストライプ50bの領域が完全に含まれるように、第n番目の検査ストライプ40aと重複するように想定して作成される。これにより、第n+1番目の検査ストライプ50bで取得された光学画像データでのダイーダイ検査の際でも対応する部分設計画像を取得できる。
【0028】
設計パターンデータに定義されるパターンを構成する図形は長方形や三角形を基本図形としたもので、設計パターンデータには、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
【0029】
かかる図形データが設計画像作成回路112に入力されると、図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の画像データを展開する。そして、展開された画像データ(展開画像データ)は、回路内の図示しないパターンメモリ、或いは磁気ディスク装置109内に格納される。言い換えれば、設計パターンデータを読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目ごとに設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データを図示しないパターンメモリ、或いは磁気ディスク装置109に出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/2(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、展開された画像データは、各画素に対して8ビットの占有率データで定義されたエリア単位の画像データとしてパターンメモリ、或いは磁気ディスク装置109に格納される。
【0030】
そして、展開された画像データに対してデータ処理(画像処理)を行い、適切なフィルタ処理を施す。光学画像データ(測定データ)は、拡大光学系104の解像特性やフォトダイオードアレイ105のアパーチャ効果等によってフィルタが作用した状態、言い換えれば連続変化するアナログ状態にある。そのため、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである展開画像データにも所定のモデルに沿ったフィルタ処理を施すことにより、測定データに合わせることができる。例えば、拡大或いは縮小処理をおこなうリサイズ処理、コーナー丸め処理、或いはぼかし処理といったフィルタ処理を施す。このようにして部分光学画像に対応する部分設計画像を作成する。作成された部分設計画像データは、位置補正回路140に送られる。部分設計画像データも測定データと同様、各画素が例えば8ビットの符号なしデータであり、各画素の明るさの階調を0〜255で表現している。但し、後述するアライメント工程(1)では展開画像をそのまま使った方が、画像がぼかされていないのでアライメントが正確にできる。そのため、上述したフィルタ処理の工程は省略してもよい。
【0031】
図6は、実施の形態1における位置補正回路の内部構成と位置補正回路にデータが入力されてから比較処理されるまでの処理フローとを示す概念図である。検査ストライプ毎に、比較されるダイ同士となる部分光学画像52,54に対応する部分設計画像データが位置補正回路140に入力されるとメモリ60に一時的に格納される。一方、測定された検査ストライプ毎の光学画像データは、位置補正回路140に入力されるとメモリ70に一時的に格納される。
【0032】
そして、切り出し工程として、切り出し部72は、メモリ70から光学画像データを読み出し、光学画像データを所定のサイズの領域の画像となるように複数の部分光学画像データに切り出す。ここでは、例えば、第n番目の検査ストライプにおける比較されるダイ同士となる部分光学画像52,54を切り出す。この段階で、パターン領域10の測定データと、これに対応するパターン領域12の測定データが切り出される。
【0033】
以上により、比較されるダイ同士となる部分光学画像52,54とこれに対応する部分設計画像42,44が用意できたことになる。部分光学画像52,54は、向きや位置が異なるため、そのまま両者を比較すると欠陥と判定されることになる。ここで、設計パターンデータや設計パターンデータから生成された複数の部分設計画像データからは、フォトマスク101に形成されたパターンの歪み量を取得可能である。そこで、被検査試料に歪みをもって形成された複数の同一パターンに対応する設計パターンデータから生成された、複数の部分光学画像データに対応する複数の部分設計画像データを歪み情報として用いて複数の部分光学画像データの位置を補正する。ここでは、一例として、部分設計画像42,44を歪み情報として用いて、部分光学画像52,54の向きや位置を補正する場合を説明する。
【0034】
まず、アライメント工程(1)として、アライメント処理部64は、部分設計画像42,44同士の位置合わせ(アライメント)を行ない、その位置ずれ量を算出する。アライメント処理部64は、位置ずれ量算出部の一例となる。アライメント処理部64は、直行するx,y方向の少なくとも一方への平行移動処理を行うことで部分設計画像42,44同士の位置合わせを行なう。また、アライメント処理部64は、画像の回転処理を行うことで部分設計画像42,44同士の位置合わせを行なう。ここで、部分設計画像42,44同士の位置合わせを行なう際、同一パターンの形成位置に歪みがない状態で仮に切り出される場合に得られる部分設計画像42,44の配置角度に近づく方向に回転処理を行うと好適である。言い換えると、部分設計画像42,44内のパターン辺がx軸或いはy軸の方向に一致するように回転させるための角度補正量を求めると良い。画像比較では、形成されるパターン辺がx軸或いはy軸の方向に一致する方が高精度に判定できる。そのため、かかる角度補正量を使って後述する部分光学画像52,54の向きを補正することで部分光学画像52,54の内のパターン辺をx軸或いはy軸の方向に一致させることができる。その結果、比較処理の際、高精度に判定できる。以上により、部分光学画像52,54に対応する部分設計画像42,44同士の位置ずれ量が算出される。
【0035】
そして、アライメント工程(2’)として、アライメント処理部66は、部分光学画像54とこれに対応する部分設計画像44の位置合わせ(アライメント)を行ない、その位置ずれ量を算出する。ここでも、アライメント処理部66は、直行するx,y方向の少なくとも一方への平行移動処理を行うことで部分光学画像54と部分設計画像44の位置合わせを行なう。また、アライメント処理部66は、画像の回転処理を行うことで部分光学画像54と部分設計画像44の位置合わせを行なう。以上により、部分光学画像54と部分設計画像44の位置ずれ量が算出される。また、かかる位置ずれ量が予め設定しておいた閾値よりも大きい場合には、エラー情報を出力する。精度よくパターンがフォトマスク101に形成されていれば、部分光学画像54と部分設計画像44は本来その誤差は小さいはずである。それにもかかわらず、位置ずれ量があまりに大きい場合には、そもそも精度よくパターンがフォトマスク101に形成されていない可能性が高い。或いは、そもそも入力された設計パターンデータ自体が間違っている可能性が高い。そこで、かかる場合にはエラー出力を行なうことでユーザにかかる事態を認識させることができる。エラー情報は、出力部の一例として、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、或いはプリンタ119より出力されればよい。
【0036】
複数の被検査領域同士の位置あわせのためには、試料上に存在する特定ないしは任意のパターン画像を用いて両者の相対距離の位置合わせが行われているが、実施の形態1ではそれとは別に歪情報である設計画像の原点と試料上の原点を合わせることで、部分光学画像54とこれに対応する部分設計画像44の位置合わせを行なえばよい。これには従来設計パターンと比較する検査装置で行われていたように試料上の原点を特定できるようなパターンを使っての位置あわせを実行すればよい。
【0037】
そして、アライメント工程(2)として、アライメント処理部68は、部分光学画像52とこれに対応する部分設計画像42の位置合わせ(アライメント)を行ない、その位置ずれ量を算出する。ここでも、アライメント処理部68は、直行するx,y方向の少なくとも一方への平行移動処理を行うことで部分光学画像52と部分設計画像42の位置合わせを行なう。また、アライメント処理部68は、画像の回転処理を行うことで部分光学画像52と部分設計画像42の位置合わせを行なう。以上により、部分光学画像52と部分設計画像42の位置ずれ量が算出される。また、かかる位置ずれ量が予め設定しておいた閾値よりも大きい場合には、アライメント工程(2’)と同様に、エラー情報を出力する。ここで、上述した設計画像の原点と試料上の原点を合わせる工程と、アライメント工程(1)と、アライメント工程(2’)があれば、アライメント工程(2)は行わなくても一致するはずである。よって、アライメント工程(2)は省略してもよい。
【0038】
ここで、上述したアライメント工程(1)とアライメント工程(2’)とアライメント工程(2)の順序は上述した例に限るものではなく、どの順序で行っても構わない。或いは、一部若しくは全てを並列的に行っても構わない。部分設計画像42,44同士の位置ずれ量と部分光学画像54と部分設計画像44の位置ずれ量と部分光学画像52と部分設計画像42の位置ずれ量とが取得できればよい。
【0039】
次に、位置補正工程として、補正部74は、かかる歪情報を用いて、複数の部分光学画像データの位置を補正する。
【0040】
図7は、実施の形態1における複数の部分光学画像データの位置補正を説明するための概念図である。例えば、補正部74は、部分設計画像42,44同士の位置ずれ量分を部分光学画像52,54に対して相対的に補正する。そして、部分光学画像54と部分設計画像44の位置ずれ量を部分光学画像54に対して補正する。部分光学画像52と部分設計画像42の位置ずれ量を部分光学画像52に対して補正する。以上により、部分光学画像52,54の位置を補正できる。図7(a)に示すように、補正部74は、直行するx,y方向の少なくとも一方への平行移動処理を行うことで部分光学画像52,54の位置を補正する。また、補正部74は、画像の回転処理を行うことで部分光学画像52,54の位置を補正する。
【0041】
図8は、実施の形態1における平行移動処理の一例を説明するための概念図である。比較対象画像となる部分光学画像52,54が、画素或いはサブ画素単位でずれている場合には、x,y方向の少なくとも一方への平行移動処理を行う。例えば、図8の例に示すように、x,y方向へ1画素(或いは1サブ画素)分ずつずれている場合には、x,y方向へ1画素(或いは1サブ画素)分ずつの平行移動処理を行うことで部分光学画像52,54の位置を補正できる。
【0042】
図9は、実施の形態1における回転処理の一例を説明するための概念図である。比較対象画像となる部分光学画像52,54が、図9の例に示すように、平行移動処理では位置合わせができない場合には、回転処理を行なえばよい。
【0043】
また、補正部74は、部分光学画像52,54の形成位置に歪みがない状態で仮に切り出される場合に得られるそれぞれの部分光学画像の配置角度に近づく方向に回転処理を行うと好適である。部分設計画像42,44同士の位置ずれ量を取得する際に、求めた部分設計画像42,44内のパターン辺がx軸或いはy軸の方向に一致するように回転させるための角度補正量で回転処理を行えばよい。かかる回転処理により、図7(b)に示すように、部分光学画像52,54の内のパターン辺をx軸或いはy軸の方向に一致させることができる。以上のように位置が補正された部分光学画像52,54の各データは比較回路108に出力される。
【0044】
以上の補正により、予め歪ませたパターンが形成された被検査対象試料をダイーダイ検査する場合でも比較されるダイ同士となる部分光学画像内のパターン位置を合わせることができる。
【0045】
そして、比較工程として、比較回路108は、所定の判定条件で、対応する両ダイの補正された複数の部分光学画像データ同士を画素毎に比較する。比較回路108は、比較部の一例である。アライメントされた部分光学画像52,54に対して、所定の判定条件に従って画素毎に両者を比較し、欠陥の有無を判定する。判定条件としては、例えば、所定のアルゴリズムに従って画素毎に両者を比較し、欠陥の有無を判定する際の閾値が該当する。或いは、例えば、両者を比較し、欠陥の有無を判定する際の比較アルゴリズムが該当する。そして、比較結果が出力される。比較結果は、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、フレキシブルディスク装置(FD)116、CRT117、パターンモニタ118、或いはプリンタ119より出力されればよい。
【0046】
以上のように、実施の形態1では、設計パターンデータや設計パターンデータから生成された部分設計画像データを歪み情報として用いて、部分光学画像52,54の向きや位置を補正することで、予め歪ませたパターンが形成された被検査対象試料をダイーダイ検査する際に、高精度な検査ができる。
【0047】
実施の形態2.
実施の形態1では、マスク設計時のパターンを歪み情報として入力する手法について述べたが、ダイ−ダイ検査を行う際に、設計パターンが入手できないような状況も起こりえる。このような場合等に備えて、実施の形態2では、被検査試料を露光用マスクとして使用する露光装置でパターンを転写する際に生じるパターンの位置ずれ量を示す露光装置情報を用いる構成について説明する。実施の形態1で述べたように、ウェハ上で期待する形状にするためにマスクパターンを歪ませていることを逆手にとると、かかるフォトマスク101を使う露光装置によりパターンを転写した際に歪ませてしまう量が分かれば、パターンの位置ずれ量(歪量)も算出できる。
【0048】
図10は、実施の形態2における位置補正回路の内部構成と位置補正回路にデータが入力されてから比較処理されるまでの処理フローとを示す概念図である。メモリ60、アライメント処理部64,66,68の代わりに、ずれ量算出部76が配置された点以外は、図6と位置補正回路の内部構成が同様である。その他の装置構成は図1と同様である。また、以下、特に説明しない内容は実施の形態1と同様である。磁気ディスク装置109には、外部から露光装置情報が入力され、格納される。
【0049】
図11は、実施の形態2における露光装置情報の一例を示す概念図である。図11において、露光装置情報の一例となる位置ずれ量テーブル80には、マスク座標と、かかる座標が露光装置で転写後に位置する転写後座標が定義される。例えば、座標(100,100)の位置が転写後に座標(101,90)になるとすれば、歪ませていない場合のフォトマスク101上の座標(101,90)の位置のパターンは、実施の形態1,2で検査するフォトマスク101では、座標(100,100)の位置に変更されていることがわかる。
【0050】
図12は、実施の形態2における複数の部分光学画像データの位置補正を説明するための概念図である。
図13は、実施の形態2における複数の部分光学画像データの位置補正を行なう代表点の一例を示す図である。
【0051】
位置ずれ量算出工程として、ずれ量算出部76は、切り出された部分光学画像52,54を入力する。そして、ずれ量算出部76は、磁気ディスク装置109から位置ずれ量テーブル80を読み出し、部分光学画像52,54の位置ずれ量を算出する。ずれ量算出部76は、部分光学画像52,54の複数の代表点の画素の座標について位置ずれ量テーブル80を参照して、転写後座標に補正するための位置ずれ量を算出する。例えば、図12(a)に示すように、部分光学画像52,54がそれぞれ歪んだ位置および向きであれば、図13に示すように部分光学画像の4隅およびその中間位置の計9点を代表点とする。そして、部分光学画像52,54のそれぞれ9点の代表点の画素の座標について位置ずれ量テーブル80を参照して、転写後座標に補正するための位置ずれ量を算出する。ここでは、代表点を9点としたが、これに限定するものではなく、その他の点数でもよい。例えば、2点でも4点でもよい。
【0052】
そして、位置補正工程として、補正部74は、かかる露光装置情報を歪情報として用いて、複数の部分光学画像データの位置を補正する。補正部74は、それぞれ算出された位置ずれ量分を該当する部分光学画像52,54に対して補正する。補正部74は、算出された位置ずれ量に沿って、直行するx,y方向の少なくとも一方への平行移動処理を行うことで部分光学画像52,54の位置を補正する。また、補正部74は、画像の回転処理を行うことで部分光学画像52,54の位置を補正する。かかる補正により、図12(b)に示すように、転写後の座標位置の部分光学画像52,54を得ることができる。そして、一般に、かかる転写後の座標位置の部分光学画像52,54では、部分光学画像52,54の内のパターン辺がx軸或いはy軸の方向に一致するように設計されている場合が多い。よって、かかる位置補正により、部分光学画像52,54の内のパターン辺をx軸或いはy軸の方向に一致させることができる。その結果、比較処理の際、高精度に判定できる。
【0053】
ここで、露光装置情報のデータの入力手法は、露光装置個体のパラメータや露光装置の光学条件等の情報を入力する手法でもよいし、これらの情報から別途算出される歪量そのもののデータを入力することで実現しても構わない。歪情報は座標で管理してもよいし、検査ストライプの先頭等からの画素数で管理してもいい。また歪情報を格納する単位は検査ストライプ単位としておくと検査実行上都合がよい。
【0054】
以上の補正により、予め歪ませたパターンが形成された被検査対象試料をダイーダイ検査する場合でも比較されるダイ同士となる部分光学画像内のパターン位置を合わせることができる。
【0055】
そして、比較工程として、比較回路108は、所定の判定条件で、対応する両ダイの補正された複数の部分光学画像データ同士を画素毎に比較する。処理内容は、実施の形態1と同様である。
【0056】
以上のように、実施の形態2では、露光装置情報を歪み情報として用いて、部分光学画像52,54の向きや位置を補正することで、予め歪ませたパターンが形成された被検査対象試料をダイーダイ検査する際に、高精度な検査ができる。
【0057】
図14は、別の光学画像取得手法を説明するための図である。図1等の構成では、スキャン幅Wの画素数を同時に入射するフォトダイオードアレイ105を用いているが、これに限るものではなく、図14に示すように、XYθテーブル102をX方向に定速度で送りながら、レーザ干渉計で一定ピッチの移動を検出した毎にY方向に図示していないレーザスキャン光学装置でレーザビームをY方向に走査し、透過光或いは反射光を検出して所定の大きさのエリア毎に二次元画像を取得する手法を用いても構わない。
【0058】
以上の説明において、「〜部」、「〜回路」或いは「〜工程」と記載したものは、コンピュータで動作可能なプログラムにより構成することができる。或いは、ソフトウェアとなるプログラムだけではなく、ハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実施させても構わない。或いは、ファームウェアとの組合せでも構わない。また、プログラムにより構成される場合、プログラムは、磁気ディスク装置109、磁気テープ装置115、FD116、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録される。例えば、演算制御部を構成する、位置回路107、比較回路108、設計画像生成回路112、オートローダ制御回路113、テーブル制御回路114、或いは位置補正回路140等は、電気的回路で構成されていても良いし、制御計算機110によって処理することのできるソフトウェアとして実現してもよい。また電気的回路とソフトウェアの組み合わせで実現しても良い。
【0059】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、実施の形態では、透過光を用いて透過型の光学系を用いているが、反射光あるいは、透過光と反射光を同時に用いる構成としてよい。
【0060】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
【0061】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのパターン検査装置或いはパターン検査方法は、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0062】
10,11,12,13 パターン領域
20,21,22,23,52,54 部分光学画像
30,31 検査ストライプ
42,44 部分設計画像
60,70 メモリ
72 切り出し部
64,66,68 アライメント処理部
74 補正部
76 ずれ量算出部
80 位置ずれ量テーブル
100 パターン検査装置
101 フォトマスク
102 XYθテーブル
103 光源
104 拡大光学系
105 フォトダイオードアレイ
106 センサ回路
107 位置回路
108 比較回路
109 磁気ディスク装置
110 制御計算機
112 設計画像作成回路
115 磁気テープ装置
120 バス
140 位置補正回路
150 光学画像取得部
160 制御回路
170 照明光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の同一パターンが形成位置にそれぞれ歪みをもって形成された被検査試料の光学画像データを取得する光学画像取得部と、
前記光学画像データを複数の部分光学画像データに切り出す切り出し部と、
前記被検査試料に形成されたパターンの歪み量を取得可能な歪情報を用いて、前記複数の部分光学画像データの位置を補正する補正部と、
補正された前記複数の部分光学画像データ同士を画素毎に比較する比較部と、
を備えたことを特徴とするパターン検査装置。
【請求項2】
前記歪情報として、前記被検査試料に歪みをもって形成された前記複数の同一パターンに対応する設計パターンデータから生成された、前記複数の部分光学画像データに対応する複数の部分設計画像データが用いられることを特徴とする請求項1記載のパターン検査装置。
【請求項3】
前記歪情報として、前記被検査試料を露光用マスクとして使用する露光装置でパターンを転写する際に生じるパターンの位置ずれ量を示す露光装置情報が用いられることを特徴とする請求項1記載のパターン検査装置。
【請求項4】
前記補正部は、直行するx,y方向の少なくとも一方への平行移動処理を行うことで前記複数の部分光学画像データの位置を補正することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のパターン検査装置。
【請求項5】
前記補正部は、画像の回転処理を行うことで前記複数の部分光学画像データの位置を補正することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のパターン検査装置。
【請求項6】
前記補正部は、前記複数の同一パターンの形成位置に歪みがない状態で仮に切り出される場合に得られる複数の部分光学画像データの配置角度に近づく方向に前記回転処理を行うことを特徴とする請求項5記載のパターン検査装置。
【請求項7】
前記複数の部分光学画像データの各光学領域画像データと、当該部分光学画像データに対応する部分設計画像データとの位置ずれ量が所定の閾値を超えた際に、エラー情報を出力する出力部をさらに備えたことを特徴とする請求項2記載のパターン検査装置。
【請求項8】
複数の同一パターンが形成位置にそれぞれ歪みをもって形成された被検査試料の光学画像データを取得する工程と、
前記光学画像データを複数の部分光学画像データに切り出す工程と、
前記被検査試料に形成されたパターンの歪み量を取得可能な歪情報を用いて、前記複数の部分光学画像データの位置を補正する工程と、
補正された前記複数の部分光学画像データ同士を画素毎に比較する工程と、
を備えたことを特徴とするパターン検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−191717(P2011−191717A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60222(P2010−60222)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】