説明

パッケージ、振動子、発振器及び電子機器

【課題】気密性を確保しつつ、低コスト化を実現可能なパッケージの提供。
【解決手段】水晶振動子1のパッケージ20は、基材が単層である平板状のベース部21と、凹部22aを有しベース部21を覆うリッド部22と、ベース部21の一方の主面21aの全周に設けられ、ベース部21とリッド部22とを接合する低融点ガラスを含む接合材23と、を備え、ベース部21の一方の主面21aには、内部電極24,25が設けられ、ベース部21の他方の主面21bには、外部電極26,27,28,29が設けられ、少なくとも一組の内部電極24と外部電極26とは、ベース部21の一方の主面21aと他方の主面21bとをつなぐ側面21cを経由して、一方の主面21a及び他方の主面21bに引き回される配線24aによって互いに接続され、配線24aは、ガラス成分を有するAg−Pd合金を含んでなり、一方の主面21aにおいて接合材23と交差している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ、このパッケージ内に振動片を備えた振動子、発振器及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電振動子などの圧電デバイスや、半導体素子などに用いられるパッケージとしては、セラミック系材料を用い単層の平板状に構成されたパッケージ基体に内部電極を設け、この内部電極と、パッケージ基体の底面に設けられた外部電極とが、パッケージ基体を貫通する導電線路を介して接続されている構成のパッケージが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−283650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記パッケージは、製造コストの低減を目的として、パッケージ基体(以下、ベース部という)が単層の平板状となっている。
しかしながら、上記パッケージは、ベース部に設けられた内部電極と、ベース部の底面に設けられた外部電極とが、ベース部を貫通する導電線路(以下、スルーホールという)を介して接続されている構成である。
これにより、上記パッケージは、スルーホールがない構成と比較して、少なくともベース部を貫通するスルーホールを設けるための工数と、パッケージの気密性を確保するために、スルーホールに導電体を充填する工数とが必要となる。
この結果、上記パッケージは、製造コストの低減が不十分であるという問題がある。
【0005】
そこで、製造コストの更なる低減をすべく、上記パッケージのスルーホールをなくす方策としては、ベース部の全周に設けられた金属メタライズ層を用いた接合材を絶縁性のものに替えて、配線をベース部の外周に引き出し、ベース部の側面を経由させて内部電極と外部電極とを接続する構成が考えられる。
しかしながら、この構成のパッケージにおいては、接合材と配線とが交差する(配線の上に接合材が重なる)部分(交差部)が、必ず生じることになる。
これにより、この構成のパッケージは、例えば、接合材に絶縁性を有する低融点ガラスを用いた場合に、上記交差部において、通常用いられる、W、Moなどの金属メタライズ層にNi下地層、Au被覆層が積層された配線との密着性が悪く、パッケージの気密性が確保できないという新たな問題が生じる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかるパッケージは、基材が単層である平板状のベース部と、凹部を有し該凹部の開口側で前記ベース部を覆うリッド部と、前記ベース部の一方の主面の全周に設けられ、前記ベース部と前記リッド部とを接合する低融点ガラスを含む接合材と、を備え、前記ベース部の前記一方の主面には、内部電極が設けられ、前記ベース部の他方の主面には、外部電極が設けられ、少なくとも一組の前記内部電極と前記外部電極とは、前記ベース部の前記一方の主面と前記他方の主面とをつなぐ側面を経由して、前記一方の主面及び前記他方の主面に引き回される配線によって互いに接続され、前記配線は、ガラス成分を有するAg−Pd合金を含んでなり、前記一方の主面において前記接合材と交差していることを特徴とする。
【0008】
これによれば、パッケージは、ベース部の一方の主面に内部電極が設けられ、他方の主面に外部電極が設けられ、少なくとも一組の内部電極と外部電極とが、ベース部の一方の主面と他方の主面とをつなぐ側面を経由して、一方の主面及び他方の主面に引き回される配線によって互いに接続されている。そして、配線は、ガラス成分を有するAg−Pd合金を含んでなり、一方の主面において低融点ガラスを含む接合材と交差している(重なっている)。
これにより、パッケージは、内部電極と外部電極との接続に、従来構造では必要だったスルーホールが不要となることから、従来構造と比較して、製造工数を削減することができる。この結果、パッケージは、低コスト化を実現することが可能となる。
加えて、パッケージは、接合材が低融点ガラスを含み、配線がガラス成分を有するAg−Pd合金を含んでなることから、両者の相性がよく、接合材と配線との交差部における密着性が極めて良好となる。
これにより、パッケージは、内部の気密性を上記交差部を含め全周に亘って十分に確保することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかるパッケージにおいて、前記ベース部は平面形状が略矩形であって、前記配線が、前記ベース部の一方の対角に位置する第1角部及び第2角部において前記接合材と交差していることが好ましい。
【0010】
これによれば、パッケージは、ベース部の平面形状が略矩形であって、配線がベース部の一方の対角に位置する第1角部及び第2角部において接合材と交差している。
このことから、パッケージは、例えば、配線がベース部の隣り合う角部において接合材と交差している場合と比較して、リッド部を傾斜が少なく安定した状態でベース部に接合することができる。
この結果、パッケージは、内部の気密性を確実に確保することができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例2にかかるパッケージにおいて、他の前記配線は、前記ベース部の他方の対角に位置する第3角部及び第4角部において前記接合材と交差していることが好ましい。
【0012】
これによれば、パッケージは、他の配線がベース部の他方の対角に位置する第3角部及び第4角部において接合材と交差していることから、ベース部の第1角部〜第4角部のすべてにおいて配線と接合材とが交差していることになる。
これにより、パッケージは、適用例3と比較して、リッド部をより安定した状態でベース部に接合することができる。
この結果、パッケージは、内部の気密性をより確実に確保することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかるパッケージにおいて、前記配線は、前記接合材と直交していることが好ましい。
【0014】
これによれば、パッケージは、配線が接合材と直交していることから、両者の交差部の長さが最短距離となる。
これにより、パッケージは、配線が接合材と斜めに交差し、両者の交差部の長さが長くなる場合と比較して、両者の交差に起因する、例えば、気密性不足などの不具合の発生を抑制することができる。
【0015】
[適用例5]本適用例にかかる振動子は、上記適用例のいずれか一例に記載のパッケージと、前記パッケージに収容される振動片と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
これによれば、振動子は、上記適用例のいずれか一例に記載のパッケージと、パッケージに収容される振動片と、を備えたことから、上記適用例のいずれか一例に記載された効果を奏する振動子を提供できる。
【0017】
[適用例6]本適用例にかかる発振器は、上記適用例のいずれか一例に記載のパッケージと、前記パッケージに収容される振動片と、前記振動片を発振させる発振回路と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
これによれば、発振器は、上記適用例のいずれか一例に記載のパッケージと、パッケージに収容される振動片と、振動片を発振させる発振回路と、を備えたことから、上記適用例のいずれか一例に記載された効果を奏する発振器を提供できる。
【0019】
[適用例7]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例に記載の振動子または発振器を備えたことを特徴とする。
【0020】
これによれば、電子機器は、上記適用例に記載の振動子または発振器を備えたことから、上記適用例に記載された効果を奏する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態の水晶振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド部側から俯瞰した表平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図、(c)はリッド部側から透視した裏平面図。
【図2】変形例1の水晶振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド部側から俯瞰した表平面図、(b)は(a)のB−B線での断面図、(c)はリッド部側から透視した裏平面図。
【図3】変形例2の水晶振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド部側から俯瞰した表平面図、(b)は(a)のA−A線での断面図、(c)はリッド部側から透視した裏平面図。
【図4】第2実施形態の水晶発振器の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド部側から俯瞰した表平面図、(b)は(a)のC−C線での断面図、(c)はリッド部側から透視した裏平面図。
【図5】第3実施形態の携帯電話を示す模式斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
(第1実施形態)
最初に、振動子の一例としての水晶振動子について説明する。
図1は、第1実施形態の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図1(a)は、リッド部側から俯瞰した表平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A線での断面図、図1(c)は、リッド部側から透視した裏平面図である。なお、表平面図では、リッド部を省略してある。また、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。
【0024】
図1に示すように、水晶振動子1は、振動片としての水晶振動片10と、水晶振動片10を収容するパッケージ20と、を備えている。
水晶振動片10は、水晶の原石などから所定の角度で切り出されたATカット型であり、平面形状が略矩形に形成され、厚みすべり振動をする振動部11と、振動部11に接続された基部12と、を有している。
【0025】
水晶振動片10は、振動部11の一方の主面13及び他方の主面14に形成された励振電極15,16から引き出された引き出し電極15a,16aが、基部12に形成されている。
引き出し電極15aは、一方の主面13の励振電極15から、水晶振動片10の長手方向(紙面左右方向)に沿って基部12に引き出され、基部12の側面を経由して他方の主面14に回り込み、他方の主面14の励振電極16の近傍まで延在している。
引き出し電極16aは、他方の主面14の励振電極16から、水晶振動片10の長手方向に沿って基部12に引き出され、基部12の側面を経由して一方の主面13に回り込み、一方の主面13の励振電極15の近傍まで延在している。
励振電極15,16及び引き出し電極15a,16aは、例えば、Crを下地層とし、その上にAuが積層された構成の金属被膜となっている。
【0026】
パッケージ20は、基材(主体となる材料)が単層であり平面形状が略矩形で平板状のベース部21と、内部空間Sが形成された凹部22aを有し、凹部22aの開口側がベース部21を覆うリッド部22と、ベース部21の一方の主面21aにおける外周部の全周に設けられ、ベース部21とリッド部22とを接合する低融点ガラスを含む接合材23と、を備えている。
【0027】
ベース部21には、単層の、セラミックグリーンシートを成形して焼成した酸化アルミニウム質焼結体、水晶、ガラス、シリコンなどが用いられている。
リッド部22には、ベース部21と同材料、または、コバール(Fe−Ni−Co合金)、42アロイ(Fe−Ni合金)、SUS304(ステンレス鋼)などの金属が用いられている。
ベース部21は、一方の主面21aに、パッケージ20の内部(内部空間S)に収容される水晶振動片10を支持する略矩形状の内部電極24,25が設けられ、他方の主面21bに、電子機器などの外部部材に実装される際に用いられる略矩形状の外部電極26,27,28,29が、各角部に沿うようにして設けられている。
【0028】
内部電極24と外部電極26とは、ベース部21の一方の主面21aと他方の主面21bとをつなぐ側面21cを経由して、一方の主面21a及び他方の主面21bに引き回される配線24aによって互いに接続されている。
一方、内部電極25と外部電極27とは、ベース部21の一方の主面21aと他方の主面21bとをつなぐ側面21dを経由して、一方の主面21a及び他方の主面21bに引き回される配線25aによって互いに接続されている。
これにより、配線24a,25aは、ベース部21の一方の対角に位置する第1角部21e及び第2角部21fにおいて、接合材23と交差していることになる。
なお、外部電極28,29は、他の部分とは接続されずに単独で配置されている。外部電極28,29は、例えば、外部部材に実装される際の固定用電極として用いられる。
【0029】
内部電極24,25、外部電極26,27,28,29、配線24a,25aは、ガラス成分を有するAg−Pd合金を含んでなり、例えば、ペースト状態でスクリーン印刷などによって塗布された後、焼成炉で加熱硬化される。
なお、ガラス成分を有するAg−Pd合金におけるPd含有率は、接合材23との密着性、外部部材への実装時の信頼性及びコストなどを勘案すると、重量比で3%〜20%程度が好ましい。
なお、配線24a,25aは、例えば、一方の主面21a及び他方の主面21bから、側面21c,21d側にオーバーハングして印刷され、オーバーハング部分が垂れ下がるように吸引されることで側面21c,21dに回り込み、一方の主面21a側と他方の主面21b側とがつながることになる。
【0030】
低融点ガラスを含む接合材23は、融点(軟化点)が例えば、320℃〜380℃程度であり、配線24a,25a形成後、ベース部21の一方の主面21aの外周部の全周にペースト状態でスクリーン印刷などによって塗布された後、焼成炉で加熱硬化される。
接合材23には、例えば、酸化ホウ素(BaO)−酸化鉛(PbO)系の低融点ガラスや、ビスマス(Bi)系の鉛フリータイプの低融点ガラスが用いられている。
【0031】
上述したように、配線24a,25aは、一方の主面21aにおいて低融点ガラスを含む接合材23と交差している(配線24a,25aの上(リッド部22側)に接合材23が重なっている)。
詳述すると、配線24aは、第1角部21eにおいて、接合材23における一方の主面21aの一方の長辺に沿って延びる部分と一方の短辺に沿って延びる部分とを面取り状につなぐ部分と、交差部23aで直交している。
一方、配線25aは、第2角部21fにおいて、接合材23における一方の主面21aの他方の長辺に沿って延びる部分と他方の短辺に沿って延びる部分とを面取り状につなぐ部分と、交差部23bで直交している。
【0032】
なお、パッケージ20は、可能であれば、配線24a,25aのみをガラス成分を有するAg−Pd合金を含んでなる材料で形成し、内部電極24,25、外部電極26,27,28,29を、ガラス成分を有するAg−Pd合金を含まないW、Moなどの金属メタライズ層で形成してもよい。
【0033】
水晶振動子1は、導電性接着剤、ハンダなどの接合部材30を介して、内部電極24,25に水晶振動片10が支持されている。これにより、水晶振動片10の励振電極15,16は、引き出し電極15a,16a、接合部材30を経由して、内部電極24,25と電気的に接続される。
【0034】
水晶振動子1は、水晶振動片10がベース部21の内部電極24,25に支持された状態で、ベース部21がリッド部22により覆われ、ベース部21とリッド部22とが接合材23で接合されることにより、パッケージ20の内部(内部空間S)が気密に封止される。
なお、パッケージ20の内部は、真空状態(真空度の高い状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態となっている。
【0035】
水晶振動子1は、外部電極26,27、内部電極24,25、接合部材30、引き出し電極15a,16a、励振電極15,16を経由して外部から印加される駆動信号によって、水晶振動片10の振動部11が励振されて所定の周波数で発振(共振)する。
【0036】
上述したように、第1実施形態の水晶振動子1は、パッケージ20のベース部21の一方の主面21aに内部電極24,25が設けられ、他方の主面21bに外部電極26,27が設けられ、内部電極24,25と外部電極26,27とが、ベース部21の一方の主面21aと他方の主面21bとをつなぐ側面21c,21dを経由して、一方の主面21a及び他方の主面21bに引き回される配線24a,25aによって互いに接続されている。
そして、水晶振動子1は、配線24a,25aが、ガラス成分を有するAg−Pd合金を含んでなり、一方の主面21aにおいて低融点ガラスを含む接合材23と交差している。
これにより、水晶振動子1のパッケージ20は、内部電極24,25と外部電極26,27との接続に、従来構造では必要だったスルーホールが不要となることから、従来構造と比較して、製造工数を削減することができる。この結果、水晶振動子1のパッケージ20は、低コスト化を実現することができる。
したがって、水晶振動子1は、低コスト化を実現することが可能となる。
【0037】
加えて、水晶振動子1のパッケージ20は、接合材23が低融点ガラスを含み、配線24a,25aがガラス成分を有するAg−Pd合金を含んでなることから、両者の相性がよく、接合材23と配線24a,25aとの交差部23a,23bにおける両者の密着性が極めて良好となる。
これにより、水晶振動子1のパッケージ20は、内部(内部空間S)の気密性を上記交差部23a,23bを含め、全周に亘って十分に確保することができる。
したがって、水晶振動子1は、気密性を十分に確保することが可能となる。
【0038】
また、水晶振動子1のパッケージ20は、配線24a,25aが交差部23a,23bにおいて、接合材23と直交していることから、両者の交差している(重なっている)長さが最短距離となる。
これにより、水晶振動子1のパッケージ20は、配線24a,25aが接合材23と斜めに交差し、両者の交差している長さが長くなる場合と比較して、両者の交差に起因する例えば、気密性の低下などの不具合の発生を抑制することができる。
したがって、水晶振動子1は、気密性の低下などの不具合の発生を抑制することが可能となる。
【0039】
また、水晶振動子1のパッケージ20は、ベース部21の平面形状が略矩形であって、配線24a,25aがベース部21の一方の対角に位置する第1角部21e及び第2角部21fにおいて接合材23と交差している。
このことから、水晶振動子1のパッケージ20は、例えば、配線24a,25aがベース部21の隣り合う角部(例えば、第1角部21eと第3角部21g)において接合材23と交差している場合と比較して、リッド部22を傾斜が少なく安定した状態でベース部21に接合することができる。
この結果、水晶振動子1のパッケージ20は、内部の気密性を確実に確保することができる。
したがって、水晶振動子1は、気密性を確実に確保することが可能となる。
【0040】
なお、水晶振動子1のパッケージ20は、配線24a,25aと接合材23とが斜めに交差していてもよく、この斜め交差の構成は、以下の変形例、実施形態にも適用可能である。
【0041】
次に、上記第1実施形態の変形例について説明する。
(変形例1)
図2は、変形例1の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図2(a)は、リッド部側から俯瞰した表平面図、図2(b)は、図2(a)のB−B線での断面図であり、図2(c)は、リッド部側から透視した裏平面図である。なお、表平面図では、リッド部を省略してある。また、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。また、上記第1実施形態との共通部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0042】
図2に示すように、水晶振動子2は、パッケージ20のベース部21の一方の主面21aと他方の主面21bとをつなぐ側面21i,21kを経由して、一方の主面21a及び他方の主面21bに引き回され、他方の主面21bで外部電極28,29と接続される他の配線としての配線28a,29aが、ベース部21の一方の主面21aの他方の対角に位置する第3角部21g及び第4角部21hにおいて接合材23と交差している。
【0043】
詳述すると、配線28aは、第3角部21gにおいて、接合材23における一方の主面21aの一方の長辺に沿って延びる部分と一方の短辺に沿って延びる部分とを面取り状につなぐ部分と、交差部23cで直交している。
一方、配線29aは、第4角部21hにおいて、接合材23における一方の主面21aの他方の長辺に沿って延びる部分と他方の短辺に沿って延びる部分とを面取り状につなぐ部分と、交差部23dで直交している。
なお、配線28a,29aは、一方の主面21aにおいて接合材23より若干内側に入った位置まで延在している。
【0044】
上述したように、水晶振動子2のパッケージ20は、配線28a,29aがベース部21の他方の対角に位置する第3角部21g及び第4角部21hにおいて接合材23と交差していることから、ベース部21の第1角部21e〜第4角部21hのすべてにおいて配線24a,25a,28a,29aと接合材23とが交差していることになる。
これにより、水晶振動子2のパッケージ20は、第1実施形態と比較して、リッド部22をより安定した状態でベース部21に接合することができる。
この結果、水晶振動子2のパッケージ20は、内部の気密性をより確実に確保することができる。
したがって、水晶振動子2は、気密性をより確実に確保することが可能となる。
【0045】
(変形例2)
図3は、変形例2の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図3(a)は、リッド部側から俯瞰した表平面図、図3(b)は、図3(a)のA−A線での断面図であり、図3(c)は、リッド部側から透視した裏平面図である。なお、表平面図では、リッド部を省略してある。また、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。また、上記第1実施形態との共通部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0046】
図3に示すように、水晶振動子3は、外部電極28,29(図1参照)が除去され、そのスペースに外部電極26,27が延在している。
これによれば、水晶振動子3は、パッケージ20のベース部21の外部電極26,27の面積が大きくなったことから、第1実施形態と比較して、例えば、検査装置のプローブを接触させやすくなり、特性検査などを容易に行うことができる。
また、水晶振動子3は、パッケージ20のベース部21の外部電極26,27の面積が大きくなったことから、第1実施形態と比較して、外部部材への実装時における接続の信頼性を向上させることができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、発振器の一例としての水晶発振器について説明する。
図4は、第2実施形態の水晶発振器の概略構成を示す模式図である。図4(a)は、リッド部側から俯瞰した表平面図、図4(b)は、図4(a)のC−C線での断面図であり、図4(c)は、リッド部側から透視した裏平面図である。なお、表平面図では、リッド部を省略してある。また、各構成要素の寸法比率は実際と異なる。また、上記第1実施形態との共通部分には同一符号を付して詳細な説明を省略し、上記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、水晶振動片周りの断面形状については、図1(b)を参照のこと。
【0048】
図4に示すように、水晶発振器5は、水晶振動片10と、水晶振動片10を収容するパッケージ120と、水晶振動片10を発振(共振)させる発振回路としてのICチップ40と、を備えている。
水晶発振器5は、水晶振動片10と、ICチップ40とが平面的に重ならないように配置されていることから、例えば、第1実施形態の水晶振動子1と比較して、平面サイズが大きくなっている。しかしながら、水晶発振器5は、厚さにおいては水晶振動子1と同等となっている。
パッケージ120は、基材が単層であり平面形状が略矩形で平板状のベース部121と、内部空間S1が形成された凹部122aを有し、凹部122aの開口側がベース部121を覆うリッド部122と、ベース部121の一方の主面121aにおける外周部の全周に設けられ、ベース部121とリッド部122とを接合する低融点ガラスを含む接合材123と、を備えている。
なお、ベース部121及びリッド部122の材料については、第1実施形態のベース部21及びリッド部22と同様なので説明を省略する。
【0049】
ベース部121は、一方の主面121aに、パッケージ120の内部(内部空間S1)に収容される水晶振動片10を支持する内部電極24,25に加えて、ICチップ40の接続パッド40a(簡易的に+で示す)に接続される略矩形状の内部電極41,42,43,44,45,46が設けられ、他方の主面121bに、電子機器などの外部部材に実装される際に用いられる略矩形状の外部電極126,127,128,129が各角部に沿うようにして設けられている。
【0050】
内部電極24,25は、ベース部121の一方の主面121aに引き回される配線42a,43aによって、それぞれ内部電極42,43と接続されている。
内部電極41と外部電極126とは、ベース部121の一方の主面121aと他方の主面121bとをつなぐ側面121cを経由して、一方の主面121a及び他方の主面121bに引き回される配線41aによって互いに接続されている。
また、内部電極44と外部電極128とは、ベース部121の一方の主面121aと他方の主面121bとをつなぐ側面121iを経由して、一方の主面121a及び他方の主面121bに引き回される配線44aによって互いに接続されている。
さらに、内部電極45と外部電極127とは、ベース部121の一方の主面121aと他方の主面121bとをつなぐ側面121dを経由して、一方の主面121a及び他方の主面121bに引き回される配線45aによって互いに接続されている。
加えて、内部電極46と外部電極129とは、ベース部121の一方の主面121aと他方の主面121bとをつなぐ側面121kを経由して、一方の主面121a及び他方の主面121bに引き回される配線46aによって互いに接続されている。
【0051】
これにより、配線41a,45aは、ベース部121の一方の対角に位置する第1角部121e及び第2角部121fにおいて、接合材123と交差していることになり、配線44a,46aは、ベース部121の他方の対角に位置する第3角部121g及び第4角部121hにおいて、接合材123と交差していることになる(換言すれば、配線41a,44a,45a,46aの上(リッド部122側)に接合材123が重なっている)。
【0052】
内部電極24,25,41,42,43,44,45,46、外部電極126,127,128,129、配線41a,42a,43a,44a,45a,46aは、ガラス成分を有するAg−Pd合金を含んでなり、例えば、ペースト状態でスクリーン印刷などによって塗布された後、焼成炉で加熱硬化される。
なお、ガラス成分を有するAg−Pd合金におけるPd含有率は、接合材123との密着性、外部部材への実装時の信頼性及びコストなどを勘案すると、重量比で3%〜20%程度が好ましい。
【0053】
低融点ガラスを含む接合材123は、融点(軟化点)が例えば、320℃〜380℃程度であり、配線41a,44a,45a,46a形成後、ベース部121の一方の主面121aの外周部の全周に、ペースト状態でスクリーン印刷などによって塗布された後、焼成炉で加熱硬化される。
接合材123には、例えば、酸化ホウ素(BaO)−酸化鉛(PbO)系の低融点ガラスや、ビスマス(Bi)系の鉛フリータイプの低融点ガラスが用いられている。
【0054】
水晶発振器5は、導電性接着剤、ハンダなどの接合部材30を介して、内部電極24,25に水晶振動片10が支持されている。これにより、水晶振動片10の励振電極15,16は、引き出し電極15a,16a、接合部材30を経由して、内部電極24,25と電気的に接続される。
【0055】
発振回路を内蔵するICチップ40は、ベース部121の一方の主面121aに、図示しない接着剤などを用いて固定されている。
ICチップ40は、接続パッド40aが、Au、Alなどの金属ワイヤー50により内部電極41,42,43,44,45,46と接続されている。
なお、ICチップ40の接続パッド40aと内部電極41,42,43,44,45,46との接続には、金属ワイヤー50を用いたワイヤーボンディングによる接続方法以外に、ICチップ40を反転させてのフリップチップ実装による接続方法などを用いてもよい。
【0056】
水晶発振器5は、水晶振動片10がベース部121の内部電極24,25に支持され、ICチップ40が内部電極41,42,43,44,45,46と接続された状態で、ベース部121がリッド部122により覆われ、ベース部121とリッド部122とが接合材123で接合されることにより、パッケージ120の内部(内部空間S1)が気密に封止される。
なお、パッケージ120の内部は、真空状態(真空度の高い状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態となっている。
【0057】
水晶発振器5は、ICチップ40から金属ワイヤー50、内部電極42,43、配線42a,43a、内部電極24,25、接合部材30、引き出し電極15a,16a、励振電極15,16を経由して印加される駆動信号によって、水晶振動片10が所定の周波数で発振(共振)する。
そして、水晶発振器5は、この発振によって生じる発振信号をICチップ40、金属ワイヤー50、内部電極41,44,45,46のいずれか(例えば、46)、外部電極126,127,128,129のいずれか(例えば、129)などを経由して外部に出力する。
なお、上記出力用以外の各外部電極(例えば、126,127,128)は、例えば、電源、GND、入力(出力ON/OFFの制御入力)の信号端子となる。
【0058】
上述したように、第2実施形態の水晶発振器5は、単層構成のベース部121を有するパッケージ120に、水晶振動片10と、ICチップ40と、を収容したことから、上記第1実施形態及び変形例1に記載された効果と同様の効果を奏する発振器(例えば、低コスト化を実現可能な発振器)を提供することができる。
なお、水晶発振器5は、ICチップ40をパッケージ120に内蔵ではなく、外付けした構成のモジュール構造(例えば、1つの基板上に水晶振動子及びICチップが個別に搭載されている構造)としてもよい。
【0059】
(第3実施形態)
次に、上記第1実施形態及び各変形例で述べた水晶振動子(振動子)、または上記第2実施形態で述べた水晶発振器(発振器)を備えた電子機器としての携帯電話について説明する。
図5は、第3実施形態の携帯電話を示す模式斜視図である。
図5に示す携帯電話700は、上記各実施形態及び各変形例で述べた水晶振動子1〜3のいずれかまたは水晶発振器5を、基準クロック発振源などとして備え、更に液晶表示装置701、複数の操作ボタン702、受話口703、及び送話口704を備えて構成されている。
【0060】
上述した各水晶振動子1〜3または水晶発振器5は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピューター、テレビ、デジタルスチールカメラ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、ナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器などの基準クロック発振源などとして好適に用いることができ、いずれの場合にも上記各実施形態及び各変形例で説明した効果を奏する電子機器を提供することができる。
【0061】
なお、振動片の基材としては、水晶に限定するものではなく、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li247)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電材料、またはシリコンなどの半導体材料であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1,2,3…振動子としての水晶振動子、5…発振器としての水晶発振器、10…振動片としての水晶振動片、11…振動部、12…基部、13…一方の主面、14…他方の主面、15,16…励振電極、15a,16a…引き出し電極、20…パッケージ、21…ベース部、21a…一方の主面、21b…他方の主面、21c,21d,21i,21k…側面、21e…第1角部、21f…第2角部、21g…第3角部、21h…第4角部、22…リッド部、22a…凹部、23…接合材、23a,23b,23c,23d…交差部、24,25…内部電極、24a,25a,28a,29a…配線、26,27,28,29…外部電極、30…接合部材、40…発振回路としてのICチップ、40a…接続パッド、41,42,43,44,45,46…内部電極、41a,42a,43a,44a,45a,46a…配線、50…金属ワイヤー、120…パッケージ、121…ベース部、121a…一方の主面、121b…他方の主面、121c,121d,121i,121k…側面、121e…第1角部、121f…第2角部、121g…第3角部、121h…第4角部、122…リッド部、122a…凹部、123…接合材、126,127,128,129…外部電極、700…携帯電話、701…液晶表示装置、702…操作ボタン、703…受話口、704…送話口、S,S1…内部空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材が単層である平板状のベース部と、凹部を有し該凹部の開口側で前記ベース部を覆うリッド部と、前記ベース部の一方の主面の全周に設けられ、前記ベース部と前記リッド部とを接合する低融点ガラスを含む接合材と、を備え、
前記ベース部の前記一方の主面には、内部電極が設けられ、前記ベース部の他方の主面には、外部電極が設けられ、
少なくとも一組の前記内部電極と前記外部電極とは、前記ベース部の前記一方の主面と前記他方の主面とをつなぐ側面を経由して、前記一方の主面及び前記他方の主面に引き回される配線によって互いに接続され、
前記配線は、ガラス成分を有するAg−Pd合金を含んでなり、前記一方の主面において前記接合材と交差していることを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載のパッケージにおいて、前記ベース部は平面形状が略矩形であって、前記配線が、前記ベース部の一方の対角に位置する第1角部及び第2角部において前記接合材と交差していることを特徴とするパッケージ。
【請求項3】
請求項2に記載のパッケージにおいて、他の前記配線が、前記ベース部の他方の対角に位置する第3角部及び第4角部において前記接合材と交差していることを特徴とするパッケージ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のパッケージにおいて、前記配線は、前記接合材と直交していることを特徴とするパッケージ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のパッケージと、
前記パッケージに収容される振動片と、
を備えたことを特徴とする振動子。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のパッケージと、
前記パッケージに収容される振動片と、
前記振動片を発振させる発振回路と、
を備えたことを特徴とする発振器。
【請求項7】
請求項5に記載の振動子または請求項6に記載の発振器を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−222537(P2012−222537A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85160(P2011−85160)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】