説明

パワー半導体及びその製造方法

【課題】パワー半導体素子の出力アップに伴う高放熱及び高信頼性の要求にこたえるモジュール構造を提供できる。
【解決手段】炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素、ダイヤモンド及び黒鉛の中から選ばれる1種類以上からなり、気孔率が10〜50体積%である多孔体又は粉末成形体から、(1)特定の金属を含浸する工程及び(2)面方向の面積がパワー半導体素子の搭載面の面積に対し2〜100倍、板厚がパワー半導体素子の厚さに対して1〜20倍、表面粗さ(Ra)が0.01〜0.5μmになるように加工する工程を経て金属基複合材料基板を作製し、前記金属基複合材料基板上にパワー半導体素子をロウ付け又ははんだ付けにより接合、或いは、銀ペーストにより接着することを特徴とするパワーモジュール部材およびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱材及びその製造方法に係り、詳しくは半導体装置等の電子部品を搭載するための放熱用基板材として好適な放熱材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置等の電子部品は使用中に発熱するため、使用中の発熱による昇温で性能が劣化しないように、冷却する必要がある。そして、従来、半導体装置の実装方法として、放熱板(放熱用基板材)を介して実装する方法が実施されている。この方法には、ヒートスプレッダーを使用する方法がある。
【0003】
ヒートスプレッダーを使用する方法は、図1に示すように、アルミニウム製のベース板1と、片側の面に接着された例えばエポキシ樹脂からなる絶縁層2と、絶縁層2の上に積層された金属(銅)層3とから構成されている金属ベース板上にヒートスプレッダー5が半田で固定され、ヒートスプレッダー5の上に半田を介して電子部品7が実装されている。現在、ヒートスプレッダーの材料として、Cu、MoあるいはCu/Invar/Cuの3層積層材が使用されている。なお、InvarはNiが36質量%で残りが実質的にFeの合金である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−180267号公報
【特許文献2】特開平10−74872号公報
【特許文献3】特開平11−145352号公報
【特許文献4】特開2001−185662号公報
【特許文献5】特開2003−100968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、Cuは線膨張率が17×10−6/K程度と大きく、線膨張率が4×10−6/K程度の電子部品7側との間のマッチングが十分でない。また、Moは線膨張率が4〜5×10−6/Kと小さいため、金属ベース板1との間のマッチングが悪い。
【0006】
一方、最近利用されているCu/Invar/Cuの3層積層材は、積層材としての線膨張率が10〜11×10−6/Kで、パワー半導体素子7側及び金属ベース板1側の両方に対してマ
ッチングが取れている。しかし、前記積層材を構成するInvarの熱伝導率が非常に小さいため、熱伝導率の大きなCu(熱伝導率390W/(m・K))でサンドイッチ状に積層しても、厚さ方向の熱伝導率は30W/(m・K)と小さくなる。その結果、等方材相当とした場合の熱伝導率は60W/(m・K)と小さくなり、放熱性の点で不充分である。また、InvarをCuでサンドイッチ状に挟んだ積層構成とするため、製造コストが高くなる。
【0007】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、ヒートスプレッダーとして使用可能な放熱材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため請求項1に記載の発明では、炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素、ダイヤモンド及び黒鉛の中から選ばれる1種類以上からなり、気孔率が10〜50体積%である多孔体又は粉末成形体から、下記(1)及び(2)の工程を経て金属基複合材料基板を作製し、前記金属基複合材料基板上にパワー半導体素子をロウ付け又ははんだ付けにより接合、或いは、銀ペーストにより接着することを特徴とするパワーモジュール部材を提案し、その製造方法として、
(1)アルミニウム、アルミニウム合金、シリコン、シリコン合金及びガリウム合金の中から選ばれる1種類を含浸する工程
(2)面方向の面積がパワー半導体素子の搭載面の面積に対し2〜100倍、板厚が半導体素子の厚さに対して1〜20倍、表面粗さ(Ra)が0.01〜0.5μmになるように加工する工程を規定したものである。
【0009】
請求項2に記載の発明では、金属基複合材料基板の表面に、Ni、Co、Pd、Cu、Ag、Au、Pt、Snの中から選ばれる少なくとも1種以上のめっき層を形成し、パワー半導体素子をロウ付け又ははんだ付けにより接合、或いは、銀ペーストにより接着することを特徴とする、請求項1記載のパワーモジュール部材の製造方法を提案したものである。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2記載の製造方法で得られる、温度25℃の熱伝導率が100W/(m・K)以上、温度25℃〜150℃の線膨張係数が7〜12×10−6/K、3点曲げ強度が50MPa以上である金属基複合材料基板に、半導体素子をロウ付け又ははんだ付けにより接合、或いは、銀ペーストにより接着してなるパワーモジュール部材を提案したものである。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1又は2記載の製造方法で得られるパワーモジュール部材又は請求項3記載のパワーモジュール部材を、回路基板に搭載してなるパワーモジュール一体型基板を提案したものである。
【0012】
請求項5に記載の発明では、
回路基板が、一主面又は両主面に絶縁層を介して金属回路を形成した基板であることを特徴とする、請求項4記載のパワーモジュール一体型基板を提案したものである。
【発明の効果】
【0013】
この実施の形態では以下の効果を有する。
本願発明のパワーモジュール部材は、特定の金属基複合材料であるので、熱伝導率が200W/mK程度で、従来のCu/Invar/Cuの3層積層材よりも数段向上している。線膨張率は、7〜12×10-6/Kで有り、従来のCuやMoをヒートスプレッダーとした場合より低減している。従来実現不可能だった、Cu/Invar/Cuの3層積層材の低熱膨張率かつCuやMoの高熱伝導率の共有を実現した。
【0014】
その結果、電子部品16側及び金属基板15側の両方に対して良好なマッチングが取れて信頼性を確保でき、さらに、熱伝導率が100W/(m・K)以上なのでヒートスプレッダーとして好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1はヒートスプレッダーを用いたパワーモジュール部材の断面図である。
【図2】図2は本願発明の金属基複合材料基板の模式断面図である。
【図3】図3は11の金属基複合材料基板上に7のパワー半導体素子を12に示したロウ付け又ははんだ付けにより接合、或いは、銀ペーストにより接着したパワーモジュール部材を示した。
【図4】図4は、図3で示したパワーモジュール部材を回路基板に搭載してなるパワーモジュール一体型基板を示した。
【図5】図5は、両主面に絶縁層を介して金属回路を形成した基板に図4で示したパワーモジュール部材を回路基板に搭載してなるパワーモジュール一体型基板を示した。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施の形態を図2〜図5により、説明する。
【0017】
図2は本願発明の金属基複合材料基板の模式断面図であり、9は炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素、ダイヤモンド及び黒鉛の中から選ばれる1種類以上からなり、気孔率が10〜50体積%である多孔体又は粉末成形体を示し、10は、溶湯鍛造法にて、含浸圧力30MPa以上で含浸されたアルミニウム又はアルミニウム合金を示す。9の材質としては、炭化珪素または黒鉛が特に好ましい。また、前述の材料の単一材料ではなく、各材料の複合材料でもかまわない。
【0018】
図3は、11の金属基複合材料基板上に7のパワー半導体素子を12に示したロウ付け又ははんだ付けにより接合、或いは、銀ペーストにより接着したパワーモジュール部材を示した。ロウ付け又ははんだ付けに使用するロウまたははんだの材質は特に規定しないが、パワー半導体素子を金属ベース板にはんだ付け等により、接合することを考慮すると、一般のPb−Sn共晶はんだよりも融点の高い、例えばAu−Siまたは、Au−Geのようなものが好ましい。
【0019】
また、よりパワー半導体素子からの放熱を効果的に行うため、パワー半導体素子と金属基複合材料基板の面積の関係を面方向の面積が半導体素子の搭載面の面積に対し2〜100倍、板厚が半導体素子の厚さに対して1〜20倍とすることが好ましい。さらに、パワー半導体素子と金属基複合材料基板間の接触熱抵抗を低減させるため、表面粗さ(Ra)が0.01〜0.5μmになるように切加工することが好ましい。
【0020】
図4は、図3で示したパワーモジュール部材を回路基板に搭載してなるパワーモジュール一体型基板を示した。
【0021】
図5は、両主面に絶縁層を介して金属回路を形成した基板に図3で示したパワーモジュール部材を回路基板に搭載してなるパワーモジュール一体型基板を示した。図5では、両主面に図3で示したパワーモジュール部材が搭載されているが、当該部材の搭載は片主面のみでも効果は十分発揮する。

【実施例】
【0022】
(実施例1〜3)
〈パワー半導体素子用金属基複合材料基板の作製〉
炭化珪素(以下、SiCという)粉末A(大平洋ランダム社製、NG−60、平均粒子径200μm)11700g、炭化珪素粉末B(大平洋ランダム社製、NG−600、平均粒子径20μm)5900g、炭化珪素粉末C(大平洋ランダム社製、NC−6000、平均粒子径2μm)2000g、及び成形バインダー(メチルセルロース、信越化学工業社製、「メトローズ」)1000gを秤取し、攪拌混合機で30分間混合した後、Φ140mm×110mmの寸法の円柱状に面圧10MPaでプレス成形した後、成形圧力100MPaでCIP成形して成形体を作製した。
【0023】
得られた成形体を、大気雰囲気中、温度600℃で2時間脱脂処理後、アルゴン雰囲気下、温度1800℃で2時間焼成して、気孔率が20体積%のSiCプリフォームを作製した。
【0024】
得られたSiCプリフォームに窒化硼素の離型剤を塗布し、外形寸法:200mm×200mm×100mm(内径寸法:Φ142.5mm×100mm)の筒状の黒鉛治具に挿入して構造体とした。次に、200mm×200mm×0.8mmtのステンレス板に黒鉛離型材を塗布して離型板を作製し、200.8mm×200.8mm×100mmの形状となる様に構造体4個を離型板を挟んで積層して、両側に12mm厚みの鉄板を配置して、M10のボルト8本で連結して一つの積層体とした。次に、積層体を電気炉で温度700℃に予備加熱した後、あらかじめ加熱しておいた内径Φ400mm×300mmHのプレス型内に収め、シリコンを12質量%含有するアルミニウム合金(表1中Al−Siと表記)の溶湯(温度:800℃)を注ぎ、100MPaの圧力で25分間加圧してSiCプリフォームにアルミニウム合金を含浸させた。室温まで冷却した後、湿式バンドソーにて離型板の形状に沿って切断し、離型板を剥がし、旋盤で黒鉛治具部分を除去してΦ142mm×100mm形状の金属基複合材料を得た。得られた金属基複合材料は、含浸時の歪み除去のために530℃の温度で3時間アニール処理を行った。
【0025】
次に、得られた金属基複合材料から、研削加工により線膨張係数測定用試験体(直径3mm長さ10mm)、熱伝導率測定用試験体(25mm×25mm×1mm)、作製した。それぞれの試験体を用いて、温度25℃〜150℃の線膨張係数を熱膨張計(セイコー電子工業社製;TMA300)で、温度25℃での熱伝導率をレーザーフラッシュ法(アルバック社製;TC3000)にて測定した。表面粗さ(Ra)は、表面粗さ測定器東京精密社製 Surfcom130Aで測定した。これらの結果については、表1に示した。
【0026】
(実施例4、5)
前述の実施例1〜3の条件で、SiC粉末A〜Cの配合比、及び焼成条件を次のように調整し、表1に示した内容の金属基複合材料を得た。実施例4は、SiC粉末A(大平洋ランダム社製、NG−60、平均粒子径200μm)17500g、g、SiC粉末C(大平洋ランダム社製、NC−6000、平均粒子径2μm)2000g、大気雰囲気中、温度600℃で2時間脱脂処理後、アルゴン雰囲気下、温度1800℃で2時間焼成にて、実施例5は、SiC粉末A(大平洋ランダム社製、NG−60、平均粒子径200μm)11700g、SiC粉末B(大平洋ランダム社製、NG−600、平均粒子径20μm)5900g、SiC粉末C(大平洋ランダム社製、NC−6000、平均粒子径2μm)2000g、大気雰囲気中、温度600℃で2時間脱脂処理後、アルゴン雰囲気下、温度1850℃で6時間焼成にて得た。
【0027】
(実施例6)
シリコンを含まないアルミニウム金属(表1中Alと表記)の溶湯(温度:800℃)を注いだこと以外は、実施例1〜3と同様の手法で表1に示した内容の金属基複合材料を得た。
【0028】
(実施例7)
窒化アルミニウム粉末(平均粒子径2μm)18700g、酸化イットリウム粉末(信越レア・アース社製、UUグレード、平均粒子径1μm)800g、及び成形バインダー(メチルセルロース)1000g、純水1000gを秤取し、攪拌混合機で30分間混合した後、Φ140mm×110mmの寸法の円柱状に面圧10MPaでプレス成形した後、成形圧力100MPaでCIP成形して成形体を作製した。
【0029】
得られた成形体を、大気雰囲気中、温度600℃で2時間脱脂処理後、窒素雰囲気下、温度1720℃で4時間焼成して、気孔率が35体積%のプリフォームを得た。得られたプリフォームは、マシニングセンターでダイヤモンド砥石を用いて、外形寸法が、Φ140mm×100mmの形状に加工した。
【0030】
次に、得られたプリフォームを、アルミニウム合金の代わりにアルミニウムを使用した以外は、実施例1〜3と同様の方法で処理してΦ140mm×100mm形状の金属基複合材料を得た。得られた金属基複合材料より、実施例1〜3と同様に試験体を作製し特性評価を行った。結果を表1に示す。
【0031】
(実施例8)
窒化珪素粉末(電気化学工業社製、NP−200、平均粒子径:1μm)18100g、酸化イットリウム粉末(平均粒子径:1μm)1000g、酸化マグネシウム粉末(岩谷化学社製、MJ−30、平均粒子径:1μm)400gを秤取し、攪拌混合機で30分間混合した後、Φ142mm×10mmの寸法の円板状に面圧10MPaでプレス成形した後、成形圧力100MPaでCIP成形して成形体を作製した。
【0032】
得られた成形体を、0.9MPaの窒素加圧雰囲気下、温度1810℃で4時間焼成して、気孔率が35体積%のプリフォームを得た。得られたプリフォームは、マシニングセンターでダイヤモンド砥石を用いて、外形寸法が、Φ140mm×5mmの形状に加工した。
【0033】
(実施例9)
ダイヤモンド粉末A(Diamond Innovations社製、MBG−600、平均粒子径:120μm)80gとダイヤモンド粉末B(Diamond Innovations社製、MBG−600、平均粒子径:15μm)20gを、アルミナ製の乳鉢で10分間混合した後、外形寸法200mm×200mm×20mm(内径寸法Φ142.5mm×20mm)の筒状の黒鉛治具(1)に、外形寸法Φ142.4mm×9mmの黒鉛治具(2)を挿入した後、ダイヤモンドの混合粉末70gを充填し、更に、ダイヤモンドの混合粉末の上面に黒鉛治具(2)を挿入して構造体とした。次に、200mm×200mm×0.8mmtのステンレス板に黒鉛離型材を塗布して離型板を作製し、この構造体を、離型板を挟んで積層し、上下に12mm厚みの鉄板を配置して、M10のボルト8本で連結して一つの積層体とした。充填したダイヤモンド粉末の質量及び体積より気孔率を算出した結果、気孔率は40体積%であった。
【0034】
次に、この積層体を実施例1と同様の方法で処理して、70mm×70mm×20mmの形状で周囲が黒鉛治具に囲まれたパワーモジュール素子用金属基複合材料を得た。得られたパワーモジュール素子用金属基複合材料は、黒鉛治具に囲まれた構造となっており、アルミニウム−ダイヤモンドからなる金属基複合材料が露出するまで、両主面側(70mm×70mm)より、平面研削盤でダイヤモンド砥石を用いて研削加工を行い、70mm×70mm×2mmtの板状形状に加工した。次に、ウォータージェット加工機で、Φ50.8mm×2mmの円板形状に外周加工を行った。
【0035】
次に、得られた金属基複合材料より、研削加工により線膨張係数測定用試験体(2mm×3mm×10mm)、熱伝導率測定用試験体(25mm×25mm×1mm)を作製した。それぞれの試験体を用いて、実施例1〜3と同様にして評価を行った。
【0036】
〈パワー半導体素子用金属基複合材料基板の作製〉
得られた上記の各金属基複合材料を、平面研削盤等にてパワー半導体素子(3mm×3mm)に対する面積比が表1に示すように正方形に外形加工し、ダイヤモンド砥石等により、表1に示すようなパワー半導体素子(1mmt)に対する板厚比の板厚まで研削加工を行って金属基複合材料基板を作製した。
【0037】
次に、このそれぞれの金属基複合材料の表面を洗浄後、無電解Ni―P及びNi−Bめっきを行い、複合材料の表面に4μm厚(Ni−P:3μm+Ni−B:1μm)のめっき層を形成した。さらに、その上に無電解Auめっき層を形成した。
【0038】
〈パワー半導体素子付き金属基複合材料基板モジュールの作製〉
上記記載の7種類の金属基複合材料に対し、表1に示すような組み合わせにて、銀ペーストを用いて、パワー半導体素子(3mm×3mm×1mmt)を接合した。また、更にそれらを所望の回路を有する金属ベース板にPb−Sn共晶はんだにて接合した。
【0039】
〈パワー半導体素子付き金属基複合材料基板モジュールの評価〉
水冷構造により、温度を25℃に保持できるような冷却フィン上に熱伝達が十分に行われるように前述のパワー半導体素子付き金属基複合材料基板モジュールを配置し、パワー半導体素子に所望の電力を印加し、定常状態でのパワー半導体素子表面温度をサーモビュワーにて測定した。その結果を表1に示した。さらに、−40℃〜125℃の条件にヒートサイクル試験を空気中にて5サイクル実施した後に、前述と同様の条件にてパワー半導体素子表面温度をサーモビュワーにて測定した。その結果を表1に示した。
【0040】
(比較例1、2)
前述の実施例1〜9に対して金属基複合材料基板の代わりにCu及びCu/Invar/Cuを用いた以外は、同様の処理および評価を行った結果を表1に示した。
【0041】
【表1】



【0042】
Cu/Invar/Cuと比べ実施例1〜9のパワー半導体素子表面温度は、低温であり、Cuと比べてもパワー半導体素子表面温度は、同等もしくはそれ以下であった。
【0043】
(実施例10〜16、比較例3〜5)
実施例1〜3で示した金属基複合材を用い、加工条件を変えて、金属基複合基板を作製し、パワー半導体素子を搭載した。実施例1〜9、比較例1、2と同様の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
【0044】
【表2】



【産業上の利用可能性】
【0045】
パワー半導体素子の出力アップに伴う高放熱及び高信頼性の要求にこたえるモジュール構造を提供できる。
【符号の説明】
【0046】
1 ベース板
2 絶縁層
3 金属回路
4 接合層(1)
5 ヒートスプレッダー
6 接合層(2)
7 パワー半導体素子
8 金属ワイヤー
9 多孔体又は粉末成形体
10 アルミニウム又はアルミニウム合金
11 金属基複合材料基板
12 ロウ付け又ははんだ付け層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素、ダイヤモンド及び黒鉛の中から選ばれる1種類以上からなり、気孔率が10〜50体積%である多孔体又は粉末成形体から、下記(1)及び(2)の工程を経て金属基複合材料基板を作製し、前記金属基複合材料基板上にパワー半導体素子をロウ付け又ははんだ付けにより接合、或いは、銀ペーストにより接着することを特徴とするパワーモジュール部材の製造方法。
(1)アルミニウム、アルミニウム合金、シリコン、シリコン合金及びガリウム合金の中から選ばれる1種類を含浸する工程
(2)面方向の面積がパワー半導体素子の搭載面の面積に対し2〜100倍、板厚がパワー半導体素子の厚さに対して1〜20倍、表面粗さ(Ra)が0.01〜0.5μmになるように加工する工程
【請求項2】
金属基複合材料基板の表面に、Ni、Co、Pd、Cu、Ag、Au、Pt、Snの中から選ばれる少なくとも1種以上のめっき層を形成し、パワー半導体素子をロウ付け又ははんだ付けにより接合、或いは、銀ペーストにより接着することを特徴とする、請求項1記載のパワーモジュール部材の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の製造方法で得られる、温度25℃の熱伝導率が100W/(m・K)以上、温度25℃〜150℃の線膨張係数が7〜12×10-6/K、3点曲げ強度が50MPa以上である金属基複合材料基板に、パワー半導体素子をロウ付け又ははんだ付けにより接合、或いは、銀ペーストにより接着してなるパワーモジュール部材。
【請求項4】
請求項1又は2記載の製造方法で得られるパワーモジュール部材又は請求項3記載のパワーモジュール部材を、回路基板に搭載してなるパワーモジュール一体型基板。
【請求項5】
回路基板が、一主面又は両主面に絶縁層を介して金属回路を形成した基板であることを特徴とする、請求項4記載のパワーモジュール一体型基板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−278171(P2010−278171A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128423(P2009−128423)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】