説明

ファン

【課題】冷却ファンを高速回転して風量を増大することに伴うファンの振動を低減する。
【解決手段】ファンは、モータと、インペラと、を備え、モータの静止部が、ステータ32と、軸受部44とからなり、軸受部が、金属の焼結体であるスリーブ47と、筒形状の軸受ハウジング48を備え、回転部が、ロータマグネットと、スリーブに挿入されるシャフト41と、シャフトの下端から径方向外方へと広がるスラストプレート42を備え、スリーブの内周面とシャフトの外周面との間のラジアル間隙に軸方向下方へと向かう潤滑油の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部が構成され、スリーブの下面とスラストプレートの上面との間のスラスト間隙に径方向内方へと向かう潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成され、スリーブと軸受ハウジングとの間に軸方向に延びる循環孔445が位置し、ラジアル間隙の径方向の幅が、5μm以上20μm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアの流れを発生するファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な電子機器の筐体内部に電子部品を冷却するための冷却ファンが設けられる。特開2009−213225号公報に開示される軸流ファンのモータ部は、ベース部と、電機子と、略円筒形状の軸受保持部と、2つのボールベアリングと、ロータ部と、を備える。軸受保持部は、ベース部の中央に固定される。軸受保持部の内側面には、2つのボールベアリングが固定され、外側面には、電機子が固定される。ロータ部は、シャフトがボールベアリングに挿通されることにより、軸受保持部に対して回転可能に支持される。ベース部には、軸受保持部の周囲を囲むように環状の溝が設けられる。溝には、螺旋状のコイルバネが載置される。コイルバネの上端部は、電機子のインシュレータと軸方向に接触する。これにより、ロータ部が回転する際に、電機子の振動がコイルバネに吸収され、軸流ファンの振動を低減することができる。
【0003】
特開2005−155912号公報に開示されるスピンドルモータの軸受装置は、シャフトと、スラストプレートと、スリーブと、有底円筒形状のハウジングと、を備える。シャフトは、スリーブに内嵌される。ハウジングは、スリーブを収容する。スラストプレートは、シャフトの下側端部に形成される。スリーブの内周面には、動圧発生溝が形成され、シャフトの外周面とスリーブの内周面との間にラジアル動圧軸受が構成される。スリーブの下側端面およびハウジング内周の底面には、スラスト動圧発生溝が構成される。スリーブの下側端面とスラストプレートと上面との間、および、スラストプレートの下面とハウジング内周の底面との間にスラスト動圧軸受が構成される。
【特許文献1】特開2009−213225号公報
【特許文献2】特開2005−155912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、サーバー等の電子機器の高性能化に伴い、電子機器からの発熱量が増大している。このため、電子機器内の冷却ファンを高速回転して風量を増大することが求められる。しかし、冷却ファンの高速回転化に伴い、冷却ファンには大きな振動が発生し、電子機器内の他の装置に影響を与えてしまう。例えば、冷却ファンの振動により、ディスク駆動装置の読み出しや書き込みにエラーが発生する。
【0005】
本発明は、ファンの振動を低減することを主たる目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な第1の側面に係るファンは、モータと、複数の翼を有し、前記モータにより中心軸を中心として回転してエアの流れを発生するインペラと、を備え、前記モータが、静止部と、前記静止部により回転可能に支持される回転部と、を備え、前記静止部が、ステータと、前記ステータの内側に配置される軸受部と、を備え、前記軸受部が、金属の焼結体であるスリーブと、前記スリーブの外周面を覆う軸受ハウジングと、を備え、前記回転部が、前記ステータの径方向外側に配置されるロータマグネットと、上部が直接的または1つ以上の部材を介して前記インペラに固定され、前記スリーブに挿入されるシャフトと、前記シャフトの下端から径方向外方へと広がって前記スリーブの下面と軸方向に対向するスラストプレートと、を備え、前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面との間のラジアル間隙に軸方向下方へと向かう潤滑油の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部が構成され、前記スリーブの前記下面と前記スラストプレートの上面との間のスラスト間隙に径方向内方へと向かう前記潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成され、前記スリーブの前記外周面と前記軸受ハウジングとの間に、前記スリーブの上面から前記下面へと軸方向に延びる循環孔が位置し、前記ラジアル間隙の径方向の幅が、5μm以上20μm以下である。
【0007】
本発明の例示的な第2の側面に係るファンは、モータと、複数の翼を有し、前記モータにより中心軸を中心として回転してエアの流れを発生するインペラと、を備え、前記モータが、静止部と、前記静止部により回転可能に支持される回転部と、を備え、前記静止部が、ステータと、前記ステータの内側に位置する軸受部と、を備え、前記軸受部が、金属の焼結体であるスリーブと、前記スリーブの外周面を覆う軸受ハウジングと、を備え、前記回転部が、前記ステータの径方向外側に位置するロータマグネットと、上部が直接的または1つ以上の部材を介して前記インペラに固定され、前記スリーブに挿入されるシャフトと、前記シャフトの下端から径方向外方へと広がって前記スリーブの下面と軸方向に対向するスラストプレートと、を備え、前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面との間のラジアル間隙に潤滑油の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部が構成され、前記スリーブの前記下面と前記スラストプレートの上面との間のスラスト間隙に前記潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成され、前記スリーブの前記外周面と前記軸受ハウジングとの間に、前記スリーブの上面から前記下面へと軸方向に延びる循環孔が位置し、前記回転部の回転時に、前記潤滑油が、前記ラジアル間隙、前記スリーブの前記上面上の間隙、前記循環孔、および、前記スラスト間隙を順に介して前記ラジアル間隙へと循環する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ファンの振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、一の実施形態に係るファンの断面図である。
【図2】図2は、軸受機構の断面図である。
【図3】図3は、軸受機構の一部を拡大して示す断面図である。
【図4】図4は、軸受部の断面図である。
【図5】図5は、軸受部の底面図である。
【図6】図6は、スラストキャップの平面図である。
【図7】図7は、軸受機構の一部を拡大して示す断面図である。
【図8】図8は、ファンに発生する振動のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】図9は、ファンに発生する振動のシミュレーション結果を示す図である。
【図10】図10は、ファンに発生する振動のシミュレーション結果を示す図である。
【図11】図11は、ファンに発生する振動のシミュレーション結果を示す図である。
【図12】図12は、比較例に係るファンに発生する振動のシミュレーション結果を示す図である。
【図13】図13は、モータの駆動時に循環する潤滑油の流量と、ラジアル間隙の径方向の幅との関係とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、モータの中心軸方向における図1の上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。なお、上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。また、中心軸に平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
図1は、本発明の一の実施形態に係る軸流ファン1の断面図である。以下、軸流ファン1を単に「ファン1」という。ファン1は、モータ11と、インペラ12と、ハウジング13と、複数の支持リブ14と、ベース部15と、を備える。ハウジング13は、インペラ12の外周を囲む。ハウジング13は、支持リブ14を介してベース部15に接続される。複数の支持リブ14は、周方向に配列される。ベース部15は、支持リブ14と一繋がりの部材である。ベース部15上には、モータ11が固定される。
【0012】
インペラ12は樹脂製であり、略有蓋円筒状のカップ121と、複数の翼122と、を有する。カップ121は、モータ11の外側を覆う。カップ121は、後述のモータ11の回転部2の一部を兼ねている。カップ121は、天面部123と、側壁部124と、を有する。天面部123は、中心軸J1に垂直に広がる。側壁部124は、天面部123の外縁部から下方に延びる。複数の翼122は、中心軸J1を中心として側壁部124の外周面から径方向外方に延びる。カップ121および複数の翼122は樹脂の射出成型により一繋がりの部材として構成される。
【0013】
天面部123の上面には、穴部125が設けられる。穴部125には錘129が配置される。錘129は、タングステン等の比重が大きい金属が含有された接着剤である。側壁部124の下端部124aの径方向内側においても、錘129が配置される。インペラ12の上部および下部に錘129が配置されることにより、インペラ12およびモータ11の回転部2のアンバランスを低減することができる。このように、二面バランス修正が行われることにより、インペラ12およびモータ11の重心の中心軸J1からのずれによるファン1の振動を抑制することができる。以下、錘129が配置される側壁部124の下端部124aおよび穴部125を「バランス修正部124a,125」という。
【0014】
ファン1では、モータ11によりインペラ12が中心軸J1を中心として回転されることにより、上方から下方に向かってエアの流れが発生する。
【0015】
モータ11は、アウタロータ型の3相モータである。モータ11は、回転部2と、静止部3と、軸受機構4と、を有する。後述するように、軸受機構4は、回転部2の一部と静止部3の一部とにより構成される、と捉えることもできる。回転部2は、略円筒状の金属製のヨーク21と、ロータマグネット22と、カップ121と、を有する。ヨーク21は、カップ121の内側に固定される。ロータマグネット22は、ヨーク21の内周面に固定される。ロータマグネット22は、後述するステータ32の径方向外側に位置する。回転部2は、軸受機構4を介して中心軸J1を中心に、静止部3に対して回転可能に支持される。
【0016】
静止部3は、略円筒状の軸受保持部31と、ステータ32と、回路基板33と、を有する。軸受保持部31の下部は、ベース部15の中央の孔部を規定する内周面に固定される。ステータ32は、ベース部15の上側にて、軸受保持部31の外周面に固定される。ステータ32は、ステータコア321と、ステータコア321上に形成された複数のコイル322と、を有する。ステータコア321は、積層鋼板にて形成される。ステータ32の下部には、回路基板33が固定される。回路基板33に挿入された図示省略のピンにコイル322からの引出線が取り付けられることにより、ステータ32と回路基板33とが電気的に接続される。コイル322の引出線は、直接回路基板に接続されてもよい。モータ11の駆動時には、ロータマグネット22とステータ32との間にて回転力が発生する。
【0017】
回路基板33の上面には、環状の磁性部材331が配置される。磁性部材331は、ロータマグネット22の下方に位置する。また、モータ11の静止時に、軸方向において、ステータ32の磁気中心の位置が、ロータマグネット22の磁気中心の位置よりも下方に位置する。ファン1では、ロータマグネット22とステータ32との間およびロータマグネット22と磁性部材331との間にて、ロータマグネット22を下方に吸引する磁気吸引力が生じる。これにより、ファン1の回転時に、インペラ12が、静止部3に対して浮上する力を低減することができる。
【0018】
図2は、軸受機構4近傍を拡大して示す断面図である。軸受機構4は、シャフト41と、環状のスラストプレート42と、軸受部44と、キャップ部材であるスラストキャップ45と、潤滑油46と、を有する。シャフト41の上部は、図1に示すように、金属にて形成されたブッシング25を介してインペラ12の天面部123に間接的に固定される。図2に示すように、スラストプレート42は、シャフト41の下部に固定される。スラストプレート42は、シャフト41の下端から径方向外方に広がる。スラストプレート42は、軸受部44の後述するスリーブ47の下面472と軸方向に対向する。スラストプレート42の上面は、中心軸J1に垂直な、シャフト41を囲む略円環状の面422を有する。以下、当該面422を「上環状面422」という。スラストプレート42の下面は、中心軸J1に垂直な、略円環状の面423を有する。以下、当該面を「下環状面423」という。軸受部44は、ステータ32の径方向内側に配置される。なお、シャフト41およびスラストプレート42は、図1に示す回転部2の一部でもある。また、軸受部44およびスラストキャップ45は、静止部3の一部でもある。
【0019】
図2に示す軸受部44は、金属の焼結体である筒形状のスリーブ47と、筒形状の軸受ハウジング48と、を有する。スリーブ47には、潤滑油46が含浸されている。軸受ハウジング48は、スリーブ47の外周面473を覆う。軸受ハウジング48は、スリーブ47の上側にて径方向内方に広がる略円環状の環状上部481、を有する。軸受ハウジング48は、軸受保持部31の内周面に固定される。環状上部481よりも下方において、軸受ハウジング48の内周面482は、スリーブ47の外周面473と径方向に対向する。
【0020】
スリーブ47の外周面473には、軸方向に延びる複数の溝が形成される。当該複数の溝は、スリーブ47の上面474から下面472へと至る。スリーブ47の外周面473に軸受ハウジング48の内周面482が接触することにより、当該複数の溝が、複数の循環孔445となる。すなわち、当該複数の溝を構成する面と、軸受ハウジング48の内周面482とにより、複数の循環孔445が構成される。複数の循環孔445は、スリーブ47の外周面473と軸受ハウジング48の内周面482との間に設けられる。各循環孔445は、スリーブ47の上面474から下面472へと軸方向に延びる。複数の循環孔445は、周方向におよそ等間隔に配置される。
【0021】
スリーブ47の下面472は、中心軸J1を中心とする略円環状である。スリーブ47には、シャフト41が挿入される。本実施形態では、スリーブ47の軸方向の長さは、約13.0mmである。スリーブ47の内径および外径はそれぞれ、約3.0mmおよび約6.7mmである。スラストプレート42の外径は、約6.6mmである。
【0022】
スラストキャップ45は、軸受ハウジング48の下端部の内側に配置される。スラストキャップ45の外周面は、軸受ハウジング48の内周面482の下端部に固定される。スラストキャップ45は、軸受ハウジング48の下部を閉塞する。換言すれば、スラストキャップ45は、軸受機構4の底部、すなわち、軸受底部である。スラストキャップ45は、スラストプレート42の下環状面423と軸方向に対向する。
【0023】
軸受機構4では、スリーブ47の内周面471とシャフト41の外周面411との間にラジアル間隙51が構成される。スラストプレート42の上環状面422とスリーブ47の下面472とは軸方向に対向する。上環状面422と下面472との間に間隙52が構成される。以下、間隙52を「第1下部スラスト間隙52」という。スラストプレート42の下環状面423とスラストキャップ45の上面451とは軸方向に対向する。下環状面423と上面451との間に間隙53が構成される。以下、間隙53を「第2下部スラスト間隙53」という。第1下部スラスト間隙52および第2下部スラスト間隙53の軸方向における幅の和は、10μm以上40μm以下である。スラストプレート42の外周面とスラストキャップ45の内周面との間に間隙54が構成される。以下、間隙54を「側部間隙54」という。
【0024】
図3は、軸受部44の上部近傍を拡大して示す図である。軸受ハウジング48の環状上部481の内周面481aは、直径が上方に向かって漸次増大する傾斜面である。換言すれば、内周面481aは、下方に向かって径方向内方へと傾斜する。以下、内周面481aを「第1傾斜面481a」という。スリーブ47の内周面471の上部には、直径が上方に向かって漸次増大する傾斜面471aが設けられる。換言すれば、傾斜面471aは、下方に向かって径方向内方へと傾斜する。以下、傾斜面471aを「第2傾斜面471a」という。第1傾斜面481aと中心軸J1とのなす角は、第2傾斜面471aと中心軸J1とのなす角よりも大きい。
【0025】
第1傾斜面481aとシャフト41の外周面411との間には、上方に向かって径方向の幅が漸次増大する1つのシール間隙55が構成される。シール間隙55は、中心軸J1を中心とする環状である。シール間隙55の下側に隣接して、シャフト41の外周面411と第2傾斜面471aとの間に間隙56が構成される。シール間隙55では、毛管現象を利用して潤滑油46を保持するシール部55aが構成される。シール部55aが、シャフト41の周囲に構成されるため、遠心力によりシール部55aから潤滑油46の漏出が抑制される。また、シール間隙55は、多くの潤滑油46を保持するオイルバッファとしての役割を果たす。
【0026】
モータ11では、図2に示すように、シール間隙55、ラジアル間隙51、第1下部スラスト間隙52、側部間隙54、および、第2下部スラスト間隙53が互いに繋がった1つの袋構造5をなし、袋構造5に潤滑油46が連続して存在する。袋構造5では、シール間隙55のみに潤滑油46の界面が形成される。
【0027】
図3に示すように、シャフト41の上部に固定されたブッシング25の下面と、軸受部44の環状上部481の上面との間には、径方向に広がる間隙501が構成される。ブッシング25の外周面と軸受保持部31の内周面との間には、軸方向に広がる間隙502が構成される。シール部55aは、間隙501,502を介して外部空間に連絡する。ここでの外部空間とは、図1のステータ32の上方の空間を指す。間隙501,502が設けられることにより、シール部55aから気化した潤滑油を含む空気が、軸受機構4の外部へと移動することが抑制される。その結果、軸受機構4内の潤滑油46の蒸発を抑制することができる。
【0028】
図4はスリーブ47の縦断面図である。図4では、スリーブ47の内周面471も描いている。スリーブ47の内周面471の上部および下部には、ヘリングボーン形状の第1ラジアル動圧溝列711および第2ラジアル動圧溝列712が設けられる。第1ラジアル動圧溝列711は、上下に非対称なヘリングボーン形状である。図2に示すラジアル間隙51の上部では、第1ラジアル動圧溝列711により、軸方向下方へと向かう潤滑油46の流体動圧を発生する上ラジアル動圧軸受部681が構成される。また、第2ラジアル動圧溝列712は、上下に対称なヘリングボーン形状である。ラジアル間隙51の下部では、第2ラジアル動圧溝列712により、下ラジアル動圧軸受部682が構成される。以下、上ラジアル動圧軸受部681および下ラジアル動圧軸受部682をまとめて「ラジアル動圧軸受部68」という。
【0029】
ラジアル間隙51の上部に位置する上ラジアル動圧軸受部681による流体動圧が、ラジアル間隙51の下部に位置する下ラジアル動圧軸受部682による流体動圧よりも大きい。このため、ラジアル動圧軸受部68全体としては、軸方向下方へと向かう潤滑油46の流体動圧が発生する。軸方向において、ラジアル動圧軸受部68は、図1の2つのバランス修正部124a,125の間に位置する。また、径方向において、上ラジアル動圧軸受部681は、モータ11およびインペラ12の重心と重なる。
【0030】
図5はスリーブ47の底面図である。スリーブ47の下面472には、ヘリングボーン形状の第1スラスト動圧溝列721が設けられる。図2に示す第1下部スラスト間隙52において、第1スラスト動圧溝列721により潤滑油46に対してスラスト方向(アキシャル方向)の流体動圧を発生する第1下スラスト動圧軸受部691が構成される。図5に示すように、第1スラスト動圧溝列721では、各第1スラスト動圧溝721aの周方向の先端721bよりも径方向外側の部位721cの径方向における幅が、先端721bよりも径方向内側の部位721dの径方向における幅よりも大きい。これにより、図2に示す第1下スラスト動圧軸受部691では、径方向内方へと向かう潤滑油46の流体動圧が発生する。第1スラスト動圧溝列721は、ヘリングボーン形状には限定されず、スパイラル・イン溝列であってもよい。この場合も、第1下スラスト動圧軸受部691では、径方向内方へと向かう潤滑油46の流体動圧が発生する。
【0031】
図6は、スラストキャップ45の平面図である。スラストキャップ45の上面451、すなわち、図2の袋構造5の底部の上面には、ヘリングボーン形状の第2スラスト動圧溝列722(図6参照)が設けられる。第2下部スラスト間隙53において、第2スラスト動圧溝列722により潤滑油46に対してスラスト方向(アキシャル方向)の流体動圧を発生する第2下スラスト動圧軸受部692が構成される。第2スラスト動圧溝列722は、ヘリングボーン形状には限定されず、スパイラル・イン溝列であってもよい。
【0032】
モータ11の駆動時には、ラジアル動圧軸受部68によりシャフト41がラジアル方向に支持される。第1下スラスト動圧軸受部691および第2下スラスト動圧軸受部692により、袋構造5の底部の上方に存在するスラストプレート42がスラスト方向に支持される。その結果、図1の回転部2およびインペラ12が静止部3に対して回転可能に支持される。
【0033】
モータ11の駆動時には、潤滑油46が、図2に示すラジアル間隙51、環状上部481の下面とスリーブ47の上面474との間の間隙446、循環孔445、および、第1下部スラスト間隙52を循環する。環状上部481の下面とスリーブ47の上面474との間の間隙446は、換言すれば、スリーブ47の上面474上の間隙であり、以下、「スリーブ上間隙446」という。本実施形態では、スリーブ47の上面474に、スリーブ47の内周面471から外周面473へと径方向に延びる複数の溝が形成される。複数の溝の径方向外側の端部は、複数の循環孔445の上端部に連接する。スリーブ47の上面474に環状上部481の下面が接触することにより、当該複数の溝が、スリーブ上間隙446となる。
【0034】
図4に示すように、第2傾斜面471aの下部には、第1ラジアル動圧溝列711の一部が存在する。ファン1の駆動時に、図3に示すシャフト41が僅かに傾斜すると、シャフト41の外周面411の第2傾斜面471aに近づく部位と、第2傾斜面471aの当該部位に対応する部位との間の間隙56において、第1ラジアル動圧溝列711による流体動圧が発生する。その結果、シャフト41が第2傾斜面471aにより支持される。このように、回転部2の回転時にシャフト41が傾斜した場合、シール間隙55の下側に隣接した間隙56において、シャフト41の外周面411に第2傾斜面471aが沿うことにより、シャフト41が軸受部44の上部に強く接触することが防止される。
【0035】
図7は、スラストプレート42近傍を拡大して示す断面図である。スラストプレート42の上面は、外縁部に位置する傾斜面422aを有する。傾斜面422aは、上環状面422の径方向外側に隣接する。傾斜面422aは、径方向外方に向かって下方へと傾斜する。傾斜面422aは、スリーブ47の下面472の外縁部と軸方向に対向する。スラストプレート42の下面は、外縁部に位置する傾斜面423aを有する。傾斜面423aは、下環状面423の径方向外側に隣接する。傾斜面423aは、径方向外方に向かって上方へと傾斜する。スラストプレート42の上面の外縁部に傾斜面422aが設けられることにより、回転部2の回転時にシャフト41が傾斜した場合に、スラストプレート42がスリーブ47の下面472に強く接触することが防止される。
【0036】
図8は、ラジアル間隙51の径方向の幅を3μmとした場合におけるファン1に発生する振動のシミュレーション結果である。横軸に振動の周波数を示し、縦軸に振動の各周波数成分の振幅を示している。図9ないし図11は、ラジアル間隙51を4μm、5μm、6μmとした場合におけるファン1に発生する振動のシミュレーション結果である。図12は、玉軸受を有するモータが搭載された比較例のファンに発生する振動のシミュレーション結果である。
【0037】
図12の曲線90に示すように、玉軸受を有するファンに発生する振動では、750Hz〜1250Hzの範囲に複数のピークが存在する。図12では、右側のピークから順に符号901〜904を付している。これに対し、ラジアル間隙の幅が3μmおよび4μmの軸受機構4では、図8および図9に示すように、図12のピーク901〜904よりも、これらに対応するピーク911〜914が低いことが判る。さらに、ラジアル間隙51の幅が5μmおよび6μmの軸受機構4では、図10および図11に示すように、図12の右側および左側に位置する2つのピーク901,904に対応する位置において、ピークが存在しないことが判る。また、残りの2つのピーク902,903よりも、これらに対応するピーク912,913の高さが、半分以下であることが判る。
【0038】
以上のように、ファン1では、流体動圧軸受機構である軸受機構4が利用され、シャフト41と軸受部44との間の潤滑油46による、いわゆる、ダンパー効果により、玉軸受が用いられる従来のファンに比べて振動を低減することができる。その結果、ファン1の消費電力を抑えることができる。特に、ラジアル間隙51の径方向の幅を5μm以上とすることにより、振動を十分に低減することができる。ラジアル間隙51の径方向の幅は、ラジアル間隙51にて十分に流体動圧を発生させるために20μm以下である。好ましくは、ラジアル間隙51の径方向の幅は、5μm以上10μm以下である。
【0039】
図13は、モータ11の駆動時に循環する潤滑油46の流量と、ラジアル間隙51の径方向の幅との関係とを示す図である。図13の横軸は、ラジアル間隙51の径方向の幅を示し、縦軸は、ラジアル間隙51を流れる潤滑油46の流量を示す。図13では、潤滑油46がラジアル間隙51を上方に向かって流れる場合の流量を正とし、下方に向かって流れる場合の流量を負としている。図13に示すように、ラジアル間隙51の径方向の幅が5μmよりも大きければ(5μmを含まない)、ラジアル間隙51において潤滑油46が上方に向かって流れる。
【0040】
ラジアル間隙51の径方向の幅が5μmよりも大きければ、潤滑油46はラジアル間隙51において上方に向かって流れ、ラジアル間隙51、スリーブ上間隙446、循環孔445、および、第1下部スラスト間隙52を、この順に介してラジアル間隙51へと循環する。シャフト41の回転により潤滑油46中に気泡を巻き込んだ場合等、潤滑油46が循環することにより、潤滑油46中の気泡をシール間隙55を介して軸受機構4の外部へと排出することができる。したがって、より好ましくは、ラジアル間隙51の径方向の幅は5μmよりも大きく、かつ、20μm以下である。
【0041】
ラジアル間隙51の上方に隣接するシール間隙55において、潤滑油46の圧力は大気圧に等しい。したがって、ラジアル間隙51の上端部における潤滑油46の圧力は、大気圧にほぼ等しい。潤滑油46は、ラジアル間隙51において上方へと流れるため、ラジアル間隙51の下端部における潤滑油46の圧力は、ラジアル間隙51の上端部における潤滑油46の圧力よりも高い。このため、ラジアル間隙51の下端部における潤滑油46の圧力は大気圧よりも高くなる。ファン1では、潤滑油46が、ラジアル間隙51、スリーブ上間隙446、循環孔445、および、第1下部スラスト間隙52を、この順に循環することにより、ラジアル間隙51の下端部における潤滑油46の圧力が負圧になることを防止することができる。
【0042】
ところで、シール部が軸受部の上部および下部に設けられる軸受機構の場合、シール部間に圧力差が生じることによる潤滑油の漏出を防止するために、高度な設計が必要となる。これに対し、モータ11の軸受機構4は、シール部55aが1箇所のみである、いわゆる、フルフィル構造であるため、潤滑油46の漏出を容易に防止することができる。また、シール部55aにおける潤滑油46の液面の位置を一定に保つことができる。複数のシール部が設けられる場合に比べて、潤滑油46の蒸発を抑えることができる。特に、シール部55aは、モータ11内部に設けられることから、ファン1の駆動時に、シール部55aがエアの流れに曝されることが防止される。その結果、潤滑油46の蒸発をより抑えることができる。シール部55a内に異物が進入することも防止することができる。軸受機構4では、シャフト41の周囲にシール部55aが構成されるため、シャフト41から径方向外方に離間してシール部が構成される場合に比べて、遠心力によりシール部55aから潤滑油46が漏出することが防止される。
【0043】
第1下部スラスト間隙52および第2下部スラスト間隙53の軸方向における幅の和が、10μm以上40μm以下であることにより、潤滑油46によるダンパー効果を確保しつつ流体動圧を発生させることができる。軸受機構4では、ラジアル間隙51を大きくすることにより、ラジアル間隙51の下端部における潤滑油46の圧力は低下するが、ラジアル間隙51を大きくするとともに第1下部スラスト間隙52および第2下部スラスト間隙53の軸方向における幅の和を大きくすることにより、ラジアル間隙51の下端部における潤滑油46の圧力低下を抑制することができる。
【0044】
スリーブ47の内周面471に第1ラジアル動圧溝列711の一部が存在する第2傾斜面471aが設けられることにより、ラジアル間隙51を広くしても、シャフト41を十分に支持することができる。その結果、ファン1が高速にて回転したり、高温状態にて回転する場合であっても、軸受剛性の低下を防止することができる。
【0045】
モータ11は3相モータであることから、モータ11を高速にて回転させることができる。その結果、ファン1が搭載される電子機器の他の装置に影響を与える周波数帯とモータ11に発生する振動の周波数とを容易にずらすことができる。
【0046】
モータ11では、磁性部材331が設けられることにより、ロータマグネット22に対して下方に向かう磁気吸引力が生じる。これにより、ファン1の駆動時に、インペラ12が静止部3に対して浮き上がる力を抑制し、第1下スラスト動圧軸受部691における軸受の損失の増大を抑制することができる。さらに、ステータ32の磁気中心がロータマグネット22の磁気中心よりも下方に位置することにより、ロータマグネット22に対して下方に向かう磁気吸引力が生じる。これにより、第1下スラスト動圧軸受部691における軸受の損失の増大をより抑制することができる。
【0047】
軸方向において、ラジアル動圧軸受部68が、2つのバランス修正部124a,125の間に位置することにより、回転部2およびインペラ12を安定して回転することができ、振動をより低減することができる。また、ラジアル動圧軸受部68の軸方向の長さを短くすることができ、軸受部44のスリーブ47を短くすることができる。その結果、軸受部44を精度よく製造することができる。好ましくは、スリーブ47の軸方向の長さは、外径の4倍以下である。径方向において、上ラジアル動圧軸受部681が、モータ11およびインペラ12の重心と重なることにより、回転部2およびインペラ12をより安定して回転することができ、振動をより低減することができる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0049】
上記実施形態では、第1ラジアル動圧溝列711の上部が、第1ラジアル動圧溝列711の他の部位から独立してスリーブ47の第2傾斜面471aに設けられてもよい。軸受部44では、必ずしも、第2傾斜面471aに動圧溝が存在しなくてもよい。この場合であっても、第2傾斜面471aが設けられることにより、シャフト41を支持する面積を確保することができるため、軸受剛性をある程度向上することができる。
【0050】
第1および第2ラジアル動圧溝列711,712は、シャフト41の外周面411に設けられてもよい。スラストプレート42の上面および下面にスラスト動圧溝列721,722が設けられてもよい。スラストプレート42の下環状面423とスラストキャップ45の上面451との間の間隙53には、必ずしも、下ラジアル動圧軸受部682が構成される必要はない。循環孔445は、複数の溝が形成された軸受ハウジング48の内周面483に、スリーブ47の外周面473が接触することにより形成されてもよい。スリーブ上間隙446は、複数の溝が形成された環状上部481の下面に、スリーブ47の上面474が接触することにより形成されてもよい。
【0051】
上記実施形態では、軸受部44の上部近傍において、シャフト41の外周面411に縮径する部位を設けることにより、当該部位と環状上部481の内周面481aとの間にシール部55aが構成されてもよい。軸受ハウジング48以外の筒状部材が、環状上部481に代えてスリーブ47の上側に設けられてもよい。この場合、当該筒部材の内周面とシャフト41の外周面411との間に、シール部55aが構成される。また、当該筒状部材の下面とスリーブ47の上面474との間に、スリーブ上間隙446が構成される。シャフト41の上部は、直接的にインペラ12に固定されてもよい。シャフト41は、2以上の部材を介してインペラ12に固定されてもよい。シール部として、シール間隙に設けられた動圧溝により流体動圧を発生するビスコシールが用いられてもよい。
【0052】
インペラ12の天面部123のバランス修正部125に、金属の塊が錘として設けられてもよい。また、貫通孔や切欠状の部位がバランス修正部として設けられてもよい。側壁部124のバランス修正部124aにおいても同様である。天面部123および側壁部124の下端部124aの一方にのみ錘が設けられてもよい。また、天面部123や側壁部124の一部を除去することにより回転部2のアンバランスが解消されてもよい。
【0053】
上記実施形態では、モータ11の静止時に、軸方向において、ステータ32の磁気中心とロータマグネット22の磁気中心とが一致してもよい。これにより、モータ11の振動をより低減することができる。
【0054】
モータ11は、遠心ファン等の他のファンのモータとして利用されてよい。モータ11が利用されるファンは、サーバのようにハードディスクが搭載される機器に最適である。サーバでは、ハードディスクに近接した位置にファンが搭載される。このため、振動が大きなファンが搭載された場合にハードディスクの読み書きエラーが生じやすい。しかしながら、モータ11が利用されるファンがサーバに搭載されれば、ハードディスクの読み書きエラーが生じくい。
【0055】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、エアの流れを発生するファンに利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 ファン
2 回転部
3 静止部
11 モータ
12 インペラ
22 ロータマグネット
32 ステータ
41 シャフト
42 スラストプレート
44 軸受部
45 スラストキャップ
46 潤滑油
47 スリーブ
48 軸受ハウジング
51 ラジアル間隙
52 第1下部スラスト間隙
53 第2下部スラスト間隙
55 シール間隙
68 ラジアル動圧軸受部
122 翼
411 (シャフトの)外周面
422 上環状面
422a 傾斜面
423 下環状面
445 循環孔
446 スリーブ上間隙
451 (スラストキャップの)上面
471 (スリーブの)内周面
471a 第2傾斜面
472 (スリーブの)下面
473 (スリーブの)外周面
474 (スリーブの)上面
481 環状上部
481a 第1傾斜面
681 上ラジアル動圧軸受部
682 下ラジアル動圧軸受部
691 第1下スラスト動圧軸受部
692 第2下スラスト動圧軸受部
J1 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
複数の翼を有し、前記モータにより中心軸を中心として回転してエアの流れを発生するインペラと、
を備え、
前記モータが、
静止部と、
前記静止部により回転可能に支持される回転部と、
を備え、
前記静止部が、
ステータと、
前記ステータの内側に位置する軸受部と、
を備え、
前記軸受部が、
金属の焼結体であるスリーブと、
前記スリーブの外周面を覆う軸受ハウジングと、
を備え、
前記回転部が、
前記ステータの径方向外側に位置するロータマグネットと、
上部が直接的または1つ以上の部材を介して前記インペラに固定され、前記スリーブに挿入されるシャフトと、
前記シャフトの下端から径方向外方へと広がって前記スリーブの下面と軸方向に対向するスラストプレートと、
を備え、
前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面との間のラジアル間隙に軸方向下方へと向かう潤滑油の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部が構成され、前記スリーブの前記下面と前記スラストプレートの上面との間のスラスト間隙に径方向内方へと向かう前記潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成され、
前記スリーブの前記外周面と前記軸受ハウジングとの間に、前記スリーブの上面から前記下面へと軸方向に延びる循環孔が位置し、
前記ラジアル間隙の径方向の幅が、5μm以上20μm以下である、ファン。
【請求項2】
前記ラジアル間隙の径方向の幅が、5μmよりも大きい、請求項1に記載のファン。
【請求項3】
前記スラストプレートの前記上面の外縁部が、径方向外方に向かって下方へと傾斜する傾斜面、を有する、請求項1または2に記載のファン。
【請求項4】
前記静止部が、前記スラストプレートの下面と軸方向に対向する軸受底部、をさらに備え、
前記スラストプレートの前記下面と前記軸受底部の上面との間の他のスラスト間隙に、前記潤滑油の流体動圧を発生する他のスラスト動圧軸受部が構成される、請求項1ないし3のいずれかに記載のファン。
【請求項5】
前記スラスト間隙および前記他のスラスト間隙の軸方向における幅の和が、10μm以上40μm以下である、請求項4に記載のファン。
【請求項6】
前記軸受ハウジングが、前記スリーブの上側にて径方向内方に広がる環状上部、を備え、
前記環状上部の内周面と、前記シャフトの前記外周面との間に、上方に向かうに従って径方向の幅が漸次増大するシール間隙が構成される、請求項1ないし5のいずれかに記載のファン。
【請求項7】
前記シール間隙の下側に隣接して、前記スリーブの前記内周面に、直径が上方に向かって漸次増大する傾斜面が設けられ、
前記回転部の回転時において前記シャフトが傾斜した場合に前記シャフトの前記外周面に前記傾斜面が沿う、請求項6に記載のファン。
【請求項8】
前記傾斜面に、前記ラジアル動圧軸受部の動圧溝の一部が存在する、請求項7に記載のファン。
【請求項9】
前記ラジアル動圧軸受部が、前記ラジアル間隙の上部に位置する上ラジアル動圧軸受部と、前記ラジアル間隙の下部に位置する下ラジアル動圧軸受部と、を備え、
径方向において、前記上ラジアル動圧軸受部が、前記モータおよび前記インペラの重心と重なる、請求項1ないし8のいずれかに記載のファン。
【請求項10】
モータと、
複数の翼を有し、前記モータにより中心軸を中心として回転してエアの流れを発生するインペラと、
を備え、
前記モータが、
静止部と、
前記静止部により回転可能に支持される回転部と、
を備え、
前記静止部が、
ステータと、
前記ステータの内側に位置する軸受部と、
を備え、
前記軸受部が、
金属の焼結体であるスリーブと、
前記スリーブの外周面を覆う軸受ハウジングと、
を備え、
前記回転部が、
前記ステータの径方向外側に位置するロータマグネットと、
上部が直接的または1つ以上の部材を介して前記インペラに固定され、前記スリーブに挿入されるシャフトと、
前記シャフトの下端から径方向外方へと広がって前記スリーブの下面と軸方向に対向するスラストプレートと、
を備え、
前記スリーブの内周面と前記シャフトの外周面との間のラジアル間隙に潤滑油の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部が構成され、前記スリーブの前記下面と前記スラストプレートの上面との間のスラスト間隙に前記潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成され、
前記スリーブの前記外周面と前記軸受ハウジングとの間に、前記スリーブの上面から前記下面へと軸方向に延びる循環孔が位置し、
前記回転部の回転時に、前記潤滑油が、前記ラジアル間隙、前記スリーブの前記上面上の間隙、前記循環孔、および、前記スラスト間隙を順に介して前記ラジアル間隙へと循環する、ファン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−32835(P2013−32835A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−106371(P2012−106371)
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】