説明

フレキシブル光電配線モジュール

【課題】信号伝送方向と垂直方向の幅を狭くすることができ、小径のヒンジに対しても配設可能とする。
【解決手段】フレキシブル光電配線モジュールにおいて、光配線路12と電気配線11を有し、これらが位置合わせされて一体形成された可撓性のフレキシブル光電配線板10と、光電配線板10に搭載され、光配線路12に光結合された光半導体素子13と、長辺が光電配線板10の配線長方向に沿うように光電配線板10に搭載され、長辺に沿って形成された電気接続端子が電気配線11に電気的に接続され、電気接続端子及び電気配線11を介して電気信号を入力又は/及び出力し、光半導体素子13を駆動する略長方形の駆動IC14とを具備し、電気配線11が駆動IC14の電気接続端子から光電配線板10の配線長方向の側面に引き出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、フレキシブル光電配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータや携帯電話等のモバイル通信機器において、信号処理プロセッサとディスプレイの間の信号伝送に対する高速化と低ノイズ化の要求が強くなっている。このため、電気配線と高速且つ低ノイズの信号伝送が可能な光配線を複合した光電気配線が注目されている。
【0003】
特に、一般的なモバイル通信機器は、信号処理プロセッサが収納された本体側筐体とディスプレイが収容されたディスプレイ筐体が可動部品であるヒンジで接続されているため、光電気配線媒体には可撓性を備えることが求められる。可撓性を備えた光電気配線媒体としては、例えば電気配線を有するフレキシブル電気配線板に光配線路を有するフレキシブル光配線板を搭載したフレキシブル光電配線板や、フレキシブル光電配線板に光半導体素子を搭載したフレキシブル光電配線モジュールがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−080451号公報
【特許文献2】特開2008−159766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明が解決しようとする課題は、信号伝送方向と垂直方向の幅を狭くすることができ、小径のヒンジに対しても設置可能とするフレキシブル光電配線モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のフレキシブル光電配線モジュールは、光配線路と第1の電気配線と第2の電気配線とを有し、前記光配線路と前記第1及び第2の電気配線とが位置合わせされて一体形成された可撓性のフレキシブル光電配線板と、前記フレキシブル光電配線板に搭載され、前記第2の電気配線に電気的に接続され、前記光配線路に光結合された光半導体素子と、長辺が前記フレキシブル光電配線板の配線長方向に沿うように前記フレキシブル光電配線板に搭載され、前記長辺に沿って形成された電気接続端子を有し、前記第1及び第2の電気配線に電気的に接続され、前記電気接続端子及び前記第1の電気配線を介して電気信号を入力又は/及び出力し、前記第2の電気配線を介して前記光半導体素子を駆動する略長方形の駆動ICと、を具備している。そして、前記第1の電気配線が、前記駆動ICの前記電気接続端子から前記フレキシブル光電配線板の配線長方向の側面に引き出される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係わるフレキシブル光電配線モジュールの概略構成を示す平面図。
【図2】図1のフレキシブル光電配線モジュールの要部構成を示す断面図。
【図3】第2の実施形態に係わるフレキシブル光電配線モジュールの概略構成を示す平面図。
【図4】図3のフレキシブル光電配線モジュールの要部構成を示す断面図。
【図5】第3の実施形態に係わるフレキシブル光電配線モジュールに用いたフレキシブル光電配線板の構成を示す平面図。
【図6】第3の実施形態に係わるフレキシブル光電配線モジュールの概略構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施形態の説明を行っていく。ここでは、幾つか具体的材料や構成を例に用いて説明を行っていくが、同様な機能を持つ材料や構成であれば同様に実施可能である。従って、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
図1及び図2は、第1の実施形態に係わるフレキシブル光電配線モジュールの概略構成を説明するためのもので、図1は全体構成を示す上面図、図2は光半導体素子及び駆動ICの搭載部の構成を示す断面図である。
【0010】
本実施形態のフレキシブル光電配線モジュールは、電気配線11(第1の電気配線11a〜11d、第2の電気配線11e,11f)と光配線路(光導波路コア)12を有するフレキシブル光電配線板10に、光半導体素子13(発光素子13a,受光素子13b)、駆動IC14(14a,14b)を搭載してある。
【0011】
駆動IC14aには電気配線11a,11bが接続され、これらはフレキシブル光電配線板10の側面に引き出されている。駆動IC14bには電気配線11c,11dが接続され、これらはフレキシブル光電配線板10の側面に引き出されている。また、発光素子13aには電気配線11eが接続され、この電気配線11eは駆動IC14aと接続される。受光素子13bには電気配線11fが接続され、この電気配線11fは駆動IC14bと接続される。
【0012】
図1のフレキシブル光電配線モジュールでは、電気配線11a,11bから入力されるパラレル電気信号(例えば映像信号であるRGB24bit信号、水平同期信号、垂直同期信号、クロック信号)を駆動IC14aが多重化(シリアル化)し、発光素子13aを駆動する。また、受光素子13bが生成する受光電流を駆動IC14bが増幅すると共に逆多重化(パラレル化)し、電気配線11c,11dに電気信号を出力する。このようにして、電気配線11a,11bから入力される電気信号よりも高速の信号伝送(例えば10Gbps)が可能である。また、不図示の電気配線によって、フレキシブル光電配線モジュールの一端から他端への電力供給や、例えばI2C(Inter-Integrated Circuit)やSPI(Serial Peripheral Interface)といった低速の信号伝送(例えば10kbps)が可能である。
【0013】
パラレル電気信号をシリアル電気信号に変換するシリアライズ機能を有する駆動IC14aでは、入力信号数が例えば30近くある。このため、信号入出力パッドを例えば125μmピッチで一列に並べると約3.8mm、二列に並べると約1.9mmになる。
【0014】
このような長さの駆動ICを搭載したフレキシブル光電配線モジュールを、小径のヒンジ(例えば配線スペースの内径1mm)に通すため、本実施形態では、駆動ICの信号入出力パッドをフレキシブル光電配線モジュールの配線長方向に配列し、電気配線11a〜11dをフレキシブル光電配線板10の長手方向の側面に引き出している。これにより、電気配線11a〜11dをフレキシブル光電配線板10の短辺方向の側面に引き出す場合に比し、フレキシブル光電配線モジュールの幅(フレキシブル光電配線板10の信号伝送方向と垂直方向)を大幅に低減することができる。例えば、駆動IC14は幅0.5mm、長さ2mmであり、フレキシブル光電配線板10は、幅1mm、長さ120mmである。
【0015】
図1では、信号入出力パッドが2列あり、駆動IC14の紙面上下方向に電気配線11a〜11dを引き出しているが、信号入出力パッドを1列とし、駆動IC14の紙面上下方向のどちらか一方に電気配線を引き出しても良い。なお、光半導体素子13は、例えば幅0.3mm、長さ0.3mmであり、駆動IC14よりも小型であるため、小径のヒンジへの設置の妨げにはならない。
【0016】
フレキシブル光電配線板10は、可撓性を有し、ベースフィルム20(例えばポリイミド、厚さ25μm)、電気配線11(例えば圧延Cu、厚さ12μm)、光導波路コア12(例えば厚さ30μm)、光導波路クラッド21(21a,21b)(例えば合計厚さ50μm)、カバーレイ22(例えばポリイミド、厚さ25μm)を積層して貼り合わせたラミネート構造を有する。
【0017】
電気配線11として用いるCu箔は、接着層を介してベースフィルム20と一体化したものや、Cu箔を表面粗化してベースフィルム20に直接熱圧着したものを用いれば良い。電気配線11はベースフィルム20上に積層したCu箔のパターニングで形成し、その一部に例えばNi/Au(例えば厚さ5μm/0.3μm)をメッキして電気接続端子として用いても良い。電気配線11の一部は光半導体素子13や駆動IC14に接続し、後述の電気入出力による光信号の伝送が可能である。なお、電気配線11のパターニング形状は必要に応じて適宜変更可能である。また、電気接続端子や放熱用のランド等を除き、電気配線11の表面はカバーレイやフォトレジストを積層して絶縁することが望ましい。
【0018】
光導波路コア12及び光導波路クラッド21は、光伝送波長に対して透明な材料(例えばアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂)であり、これらが光配線層を構成する。光配線層を形成するには、ベースフィルム20の裏面側に第1の光導波路クラッド21a(例えば厚さ10μm)、光導波路コア12を順に積層して貼り合わせ、上記した電気配線11のパターニング形状に合わせて光導波路コア12をパターニングする。続いて、第2の光導波路クラッド21b(例えば厚さ40μm)をパターニングされた光導波路コア12上に積層して貼り合わせる。光導波路コア12は、光導波路クラッド21よりも屈折率が高いため、光配線路である光導波路コア12に入射した光は、光導波路コア12に閉じ込められて伝播する。
【0019】
上述のように光配線層を形成することで、光導波路コア12と電気配線11の位置合わせを非常に高精度に行うことができる。これにより、フレキシブル光電配線板10では、例えば個別に形成した光のフレキシブル配線板と電気のフレキシブル配線板を位置合わせして貼り合わせた複合型のフレキシブル光電配線板に比し、光半導体素子13と光導波路コア12との位置合わせ精度を高くすることができる。さらに、温度変化による光半導体素子13と光導波路コア12との相対位置変動を小さくすることができ、生産性や信頼性の高い光電気フレキシブル配線モジュールが実現できる。
【0020】
なお、上記した光導波路コア12は、感光して屈折率が変化する樹脂を光導波路フィルムとして用い、この光導波路フィルムへのパターン露光によって形成することも可能である。また、上記した光配線層の形成方法では、まず電気配線11を形成し、電気配線11のパターニング形状に位置合わせして光導波路コア12をパターニング形成する例を示したが、逆に、まず光配線層を形成し、光導波路コア12のパターニング形状に位置合わせして電気配線11をパターニング形成することもできる。なお、光導波路コア12の本数及びパターニング形状は必要に応じて適宜変更可能である。
【0021】
光導波路コア12の両端には45度ミラーを設けており、光導波路コア12を伝播する光をフレキシブル光電配線板10の表面に対してほぼ垂直方向に取り出すこと、及びフレキシブル光電配線板10の表面に対してほぼ垂直方向から入射した光を光導波路コア12に結合することができる。45度ミラーは、例えばレーザアブレーション、ダイシング、プレス加工等で形成可能であり、反射率向上のためミラー面に金属(例えばAu等)を蒸着しても良い。なお、45度ミラーの角度(光の進行方向に対する角度)は正確に45度でなくとも良いが、実効的には30度から60度の範囲に収めることが望ましい。
【0022】
光半導体素子13は、例えばGaAs基板に作製した発光素子又は受光素子を用い、発光又は受光波長を例えば850nmとする。発光素子13aとして例えば面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting LASER:VCSEL)、受光素子13bとして例えばPINフォトダイオード(Photo Diode:PD)を用いることができる。なお、光半導体素子13は化合物半導体(例えば、GaAlAs/GaAs,InGaAs/InP,SiGe等)やSi、Ge等の基板に形成しても良いし、発光又は受光波長は必要に応じて適宜変更可能である。また、光半導体素子13として、1つのチップ内に複数の光素子が形成されたアレイチップを用いても良いし、1つのチップ内に発光素子と受光素子の両方が形成された光半導体素子を用いても良い。さらに、1つの素子で発光と受光の両方が可能な光半導体素子を用いても良い。
【0023】
光半導体素子13は、その発光部又は受光部が光導波路コア12に形成した45度ミラーと対向するように位置合わせして、例えば超音波フリップチップ実装によりフレキシブル光電配線板10に搭載する。これにより、光導波路コア12の一端側に搭載された発光素子13aと他端側に搭載された受光素子13bは、光導波路コア12を通して光結合しており、フレキシブル光電配線モジュールの一端側と他端側の間で光信号伝送を行うことができる。また、光半導体素子13は、光半導体素子13に形成されたAuバンプ17を介して電気配線11に電気接続しており、これにより電気入出力で光信号の伝送が可能である。電気接続方法として、例えば、半田バンプによるバンプ接続や、ワイヤボンディング接続を用いても良い。
【0024】
図1では、フレキシブル光電配線板10の一端側に発光素子13aを1つ、他端側に受光素子13bを1つ搭載しているが、更に別の光半導体素子を搭載しても良い。図1では光信号の伝送方向を光電気フレキシブル配線板10の一端側から他端側への単方向としているが、一端側に受光素子、他端側に発光素子を搭載して、図1とは逆方向の光信号伝送を行っても良いし、一端側に発光素子と受光素子、他端側に受光素子と発光素子を搭載して双方向の光信号伝送を行っても良い。
【0025】
駆動IC14は、例えば超音波フリップチップ実装によりフレキシブル光電配線板10に搭載し、駆動IC14に形成されたAuバンプ17を介して電気配線11に電気接続している。駆動IC14aは、電気配線11a,11bから入力される電気信号に応じて発光素子13aにバイアス電流及びドライブ電流を供給する。駆動IC14bは、受光素子13bに逆バイアス電圧を印加すると共に、受光素子13bが生成する受光電流を増幅し、電気配線11c,11dに電気信号を出力する。なお、駆動IC14は、駆動IC14a,14bの両方の機能を有する駆動IC(トランシーバ)であっても良い。
【0026】
光半導体素子13及び駆動IC14の底面及び側面にはアンダーフィル樹脂18を塗布してある。アンダーフィル樹脂18は、例えばエポキシ系樹脂であって、例えば加熱又は紫外線照射等によって固化してある。アンダーフィル樹脂18により、電気配線11と光半導体素子13及び駆動IC14との電気接続を高信頼で保持できる。また、光半導体素子13と光導波路コア12との間にできる空隙を埋めて光結合効率を向上すると共に、光半導体素子13と光導波路コア12との間にできる空隙での光の反射を抑制することが可能であり、高効率且つ高信頼の光結合が可能となる。
【0027】
なお、光半導体素子13と光導波路コア12との間にできた空隙の充填に用いるアンダーフィル樹脂と、電気配線11と光半導体素子13及び駆動IC14との電気接続の保持に用いるアンダーフィル樹脂は異なる樹脂を用いても良い。何れの場合にも、光半導体素子13と光導波路コア12との間にできた空隙の充填に用いるアンダーフィル樹脂は、光伝送波長に対して透明であることが望ましい。
【0028】
第2の光導波路クラッド21b上には、例えばエポキシ系樹脂からなる接着層を介してカバーレイ22を積層してある。これにより光配線層の保護が可能である。なお、回路領域を含むフレキシブル光電配線モジュールの両端部の裏面に、例えば厚さ100μmのポリイミドからなる補強板をさらに積層しても良い。これにより、チップ搭載部の可撓性を低減し、光半導体素子13、駆動IC14の実装を容易にすることや、フレキシブル光電配線板の屈曲により光半導体素子13、駆動IC14にダメージが入ることを防ぐことができる。
【0029】
このように本実施形態によれば、駆動IC14の信号入出力パッドをフレキシブル光電配線モジュールの配線長方向に配列し、電気配線11a〜11dをフレキシブル光電配線板10の長手方向の側面に引き出すことにより、フレキシブル光電配線板10の幅を大幅に低減している。これにより小径のヒンジに対しても設置可能なフレキシブル光電配線モジュールを実現することが可能となる。
【0030】
(第2の実施形態)
図3及び図4は、第2の実施形態に係わるフレキシブル光電配線モジュールの概略構成を説明するためのもので、図3は全体構成を示す上面図、図4は光半導体素子搭載部の構成を示す断面図である。
【0031】
本実施形態のフレキシブル光電配線モジュールは、図1で説明したフレキシブル光電配線板を、接着シート40を介してフレキシブル電気配線板30に搭載し、フレキシブル光電配線板10の電気配線11とフレキシブル電気配線板30の電気配線31をそれぞれワイヤボンディング41で電気接続することにより構成されている。
【0032】
ここで、31a〜31dはフレキシブル光電配線板10の電気配線11a〜11d(第1の電気配線)にそれぞれ接続される電気配線(第3の電気配線)であり、31e,31fはフレキシブル光電配線板10光配線路12と平行に配設された電気配線である。
【0033】
図3のフレキシブル光電配線モジュールでは、フレキシブル光電配線モジュールの一端から他端への電力供給や、低速の信号伝送をフレキシブル電気配線板30の電気配線31(31e,31f)で行うことにより、フレキシブル光電配線板10のみで全ての電気配線及び光信号伝送を行う場合に比べて、フレキシブル光電配線板10の面積を大幅に低減することが可能である。これにより、フレキシブル光電配線モジュールの低コスト化が可能である。
【0034】
また、図3のフレキシブル光電配線モジュールを、フレキシブル光電配線板10の長辺方向に沿って折り曲げたり丸めたりすることで、小径のヒンジにも配線可能である。フレキシブル電気配線板30の長辺方向に沿ってスリットやハーフカット加工を行うことで、折り曲げやすくしても良い。
【0035】
図3では、紙面上下方向に電気配線31を引き出しているが、紙面上下方向のどちらか一方に電気配線31を引き出しても良い。また、電気配線31の引き回しにより、フレキシブル電気配線板30の端部方向に電気配線31を引き出しても良い。図3では、フレキシブル光電配線板10をフレキシブル電気配線板30のほぼ中央付近に搭載してあるが、紙面上下方向のどちらか一方に偏っていても良い。
【0036】
フレキシブル電気配線板30は可撓性を有するものであり、図4に示すように、電気配線31(例えば圧延Cu箔、厚さ12μm)、ベースフィルム32(例えばポリイミド、厚さ25μm)、補強板33(例えばポリイミド、厚さ100μm)などから構成される。フレキシブル電気配線板30はこれらを積層して貼り合わせたラミネート構造を有し、例えば幅10mm、長さ150mmとする。
【0037】
電気配線31として用いるCu箔は、接着層を介してベースフィルム32と一体化したものや、Cu箔を表面粗化してベースフィルム32に直接熱圧着したものを用いれば良い。電気配線31は、ベースフィルム32上に積層したCu箔のパターニングで形成し、その一部に例えばNi/Au(例えば厚さ5μm/0.3μm)をメッキして電気接続端子として用いても良い。なお、電気配線31のパターニング形状は必要に応じて適宜変更可能である。また、電気接続端子や放熱用のランド等を除き、電気配線31の表面はカバーレイやフォトレジストを積層して絶縁することが望ましい。
【0038】
フレキシブル光電配線板10の電気配線11と、フレキシブル電気配線板30の電気配線31は、ワイヤボンディング41によって電気接続されている。電気接続の方法として、例えば、インクジェット配線、スタッドバンプ、異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)、異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste:ACP)を用いても良い。電気接続箇所にはモールド樹脂(例えばエポキシ系樹脂)を塗布することが望ましい。
【0039】
フレキシブル光電配線板10は、先述したように電気入出力の光信号伝送が可能であるため、フレキシブル光電配線板10の電気配線11とフレキシブル配線板30の電気配線31とを電気接続するだけでフレキシブル光電配線モジュールを作製することができる。これにより、温度変化による熱膨張や屈曲・撓みによる変形時の光軸ずれの恐れが無いため、フレキシブル光電配線板10とフレキシブル電気配線板30を光接続する場合(例えば、フレキシブル光電配線板10の光配線路とフレキシブル電気配線板30に搭載された光半導体素子とを光結合させる場合)に比し、接続信頼性を大幅に高めることができる。
【0040】
なお、本実施形態のフレキシブル光電配線モジュールでは、フレキシブル光電配線板10の裏面をフレキシブル電気配線板30の表面に搭載したが、フレキシブル光電配線板10の表面をフレキシブル電気配線板30の表面に搭載するか、フレキシブル光電配線板10の表面をフレキシブル電気配線板30の裏面に搭載するか、フレキシブル光電配線板10の裏面をフレキシブル電気配線板30の裏面に搭載しても良い。
【0041】
接着シート40は、フレキシブル光電配線板10とフレキシブル電気配線板30を接着固定する。接着シート40としては、例えばエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等からなる粘着剤をシート状に成形したものや、ポリイミド等の樹脂フィルム若しくはAlやCu等の金属箔からなる基材の両面に上記の粘着剤からなる粘着層を形成したもの等を用いることができ、厚みは例えば50μmとする。なお、図4では、フレキシブル光電配線板10の両端に位置する光半導体素子13や駆動IC14の搭載部分近傍に接着シート40を用いているが、フレキシブル光電配線板の一端から他端まで至る1枚の接着シートを用いても良い。また、接着シート40の代わりに、例えばモールド樹脂でフレキシブル光電配線板10をフレキシブル電気配線板30に固定しても良い。
【0042】
このように本実施形態によれば、駆動IC14の信号入出力パッドをフレキシブル光電配線モジュールの配線長方向に配列し、電気配線11a〜11dをフレキシブル光電配線板10の長手方向の側面に引き出す。これにより、第1の実施形態と同様に、フレキシブル光電配線板10の信号伝送方向と垂直方向の幅を低減して、小径のヒンジに配線可能となる。また、フレキシブル光電配線板10をフレキシブル電気配線板30に搭載し、高速信号はフレキシブル光電配線板10の光伝送路12で伝送し、低速信号はフレキシブル電気配線板30の電気配線31で伝送する。これにより、フレキシブル光電配線板10のみで全ての電気配線及び光信号伝送を行う場合に比べて、フレキシブル光電配線板10の面積を大幅に低減し、フレキシブル光電配線モジュールの低コスト化が可能である。更に、フレキシブル光電配線板10とフレキシブル電気配線板30は電気接続してあるため、高い接続信頼性を実現することができる。
【0043】
(第3の実施形態)
図5及び図6は、第3の実施形態に係わるフレキシブル光電配線モジュールの概略構成を説明するためのものであり、図5は配線フィンを積層する前の構成を示す図、図6は配線フィンを積層した後の構成を示す図である。なお、フレキシブル光電配線板10とフレキシブル電気配線板30の外形のみを示し、他の部分は省略している。
【0044】
本実施形態は、フレキシブル光電配線モジュールにおける配線領域の屈曲性若しくは捻回性を向上した例である。
【0045】
本実施形態では、フレキシブル電気配線板30の一対の端部領域に挟まれた配線領域に、配線方向に平行する貫通スリット50(例えば幅0.1mm)を設け、フレキシブル電気配線板30の配線領域を複数の配線フィン(例えば幅1mm)に分割し、分割された1つの配線フィン上にフレキシブル光電配線板10を搭載している。フレキシブル光電配線板10の構成は先の第1の実施形態と同様のものでよい。
【0046】
図5に示したフレキシブル光電配線モジュールは、図6に示すように、一方の端部領域、配線領域、他方の端部領域をクランク形になるように配置し、各々の配線フィンが隣接する配線フィンと表面と裏面を対向するように複数の配線フィンを重ね、束線帯51を用いて複数の配線フィンを束ねることで、配線領域が1束の細いフレキシブル配線板として扱うことができる。このため、屈曲動作に加えて回転動作や捻り動作等にも対応することが可能である。
【0047】
図5のフレキシブル光電配線モジュールを、フレキシブル光電配線板10の長辺方向に沿って折り曲げたり丸めたりすることで、図6に示すように伝送方向と垂直な方向の幅が狭くなり、小径のヒンジに対しても設置可能となる。なお、フレキシブル光電配線板10の長辺方向に沿ってスリットやハーフカット加工を行うことで、折り曲げやすくしても良い。
【0048】
なお、全ての配線フィンの幅、間隔は、ほぼ同等にすることが望ましい。これにより、フレキシブル光電配線モジュールを上述のように束線した際に、一部の配線フィンに張力が集中するようなことがなくなる。また、複数の配線フィンの全てが同等に引っ張られるため、複数の配線フィンを束ねた領域において複数の配線フィンの整列性が良く、一部の配線フィンがばらけるようなこともない。なお、配線フィンの重ね方は、他の方法(例えば、各々の配線フィンが隣接する配線フィンと表面と表面若しくは裏面と裏面を対向するように複数の配線フィンを重ねる)を用いても良い。
【0049】
束線帯51は、例えば弗素樹脂系のシールテープを用いることができる。束線帯51には粘着剤のないテープを用い、束線帯51の内側で各配線フィンが動けるようにしておくことが配線フィンのたるみや応力を取り除くためには望ましい。なお、束線帯51の数は必要に応じて適宜変更可能であるし、個別の束線帯ではなく、例えば束ねた配線フィンの一端から他端まで連続した束線帯を用いても良い。また、束ねた複数の配線フィンがばらける恐れが無いか、ばらけても構わない場合は、束線帯51を用いなくても良い。貫通スリット50を形成する部分には電気配線を設けないことが望ましい。
【0050】
フレキシブル光電配線板10は、その全面をフレキシブル電気配線板30に貼り付けても良いし、その端部近傍領域のみをフレキシブル電気配線板30に貼り付けても良い。また、フレキシブル光電配線板10を配置する箇所のフレキシブル電気配線板30の配線フィンを除去してもよい。この場合、配線領域においてフレキシブル光電配線板10とフレキシブル電気配線板30の重なりが無くなり、フレキシブル光電配線モジュールの配線領域を屈曲や摺動する際の最小曲げ半径を小さくすることができる。さらに、フレキシブル光電配線板10とフレキシブル電気配線板30の擦れを無くして繰り返し屈曲・摺動に対する耐久性を向上させることができる。
【0051】
このように本実施形態によれば、第2の実施形態の構成に加え、電気配線板30に貫通スリット50を設けて複数の配線フィンを形成し、これらの配線フィンを重ね合わせるようにしているため、多数の電気配線を有する場合であっても、伝送方向の中央部の幅を狭くすることができる。従って、小径のヒンジに設置する際に更に有効となる。
【0052】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。
【0053】
駆動ICは、必ずしも複数の電気信号を多重化するものに限らず、入出力端子の多いものに適用可能である。駆動ICの構造としては、長方形等の一方向に長い形状であり、長手方向の側面に電気接続端子を有するものであればよい。
【0054】
光半導体素子である発光素子は、発光ダイオードや半導体レーザ等、種々の発光素子が使用可能である。光半導体素子である受光素子は、PINフォトダイオード、MSMフォトダイオード、アバランシェ・フォトダイオード、フォトコンダクター等、種々の受光素子が使用可能である。フレキシブル電気配線板には、FPCやFFCなどがあり、何れでも本発明が適用可能である。フレキシブル電気配線板及びフレキシブル光電配線板のベースフィルムには、ポリイミドの他、液晶ポリマーや他の樹脂を用いることができる。フレキシブル電気配線板の電気配線は単層でも多層でも構わない。フレキシブル光電配線板の電気配線及び光配線層は、単層でも多層でも構わない。フレキシブル光電配線モジュールは、光半導体素子、駆動IC以外に、例えばチップコンデンサ等の電子部品を搭載してあっても良い。
【0055】
第3の実施形態では、フレキシブル電気配線板にフレキシブル光電配線板を搭載したフレキシブル光電配線モジュールにおいて、フレキシブル電気配線板にスリットを形成して配線フィンを形成する例を示したが、フレキシブル光電配線板のみで形成されるフレキシブル光電配線モジュールにおいて、フレキシブル光電配線板にスリットを形成して配線フィンを形成しても良い。
【0056】
本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
10…フレキシブル光電配線板、11(11a〜11d)…電気配線、12…光配線路(光導波路コア)、13(13a,13b)…光半導体素子、14(14a,14b)…駆動IC、17…バンプ、18…アンダーフィル樹脂、20,32…ベースフィルム、21(21a,21b)…光導波路クラッド、30…フレキシブル電気配線板、31(31a〜31f)…電気配線、33…補強板33、40…接着シート、41…ワイヤボンディング、51…束線帯51。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光配線路と第1の電気配線と第2の電気配線とを有し、前記光配線路と前記第1及び第2の電気配線とが位置合わせされて一体形成された可撓性のフレキシブル光電配線板と、
前記フレキシブル光電配線板に搭載され、前記第2の電気配線に電気的に接続され、前記光配線路に光結合された光半導体素子と、
長辺が前記フレキシブル光電配線板の配線長方向に沿うように前記フレキシブル光電配線板に搭載され、前記長辺に沿って形成された電気接続端子を有し、前記第1及び第2の電気配線に電気的に接続され、前記電気接続端子及び前記第1の電気配線を介して電気信号を入力又は/及び出力し、前記第2の電気配線を介して前記光半導体素子を駆動する略長方形の駆動ICと、を具備し、
前記第1の電気配線が、前記駆動ICの前記電気接続端子から前記フレキシブル光電配線板の配線長方向の側面に引き出されることを特徴とする、フレキシブル光電配線モジュール。
【請求項2】
前記光配線路を通して伝送される光信号の信号速度が、前記第1の電気配線を介して入力又は/及び出力される電気信号の信号速度よりも速いことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル光電配線モジュール。
【請求項3】
前記駆動ICは、パラレル電気信号をシリアル電気信号に変換するシリアライズ機能及びシリアル電気信号をパラレル電気信号に変換するデシリアライズ機能の少なくとも一方の機能を有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブル光電配線モジュール。
【請求項4】
前記フレキシブル光電配線板が搭載され、前記第1の電気配線と電気的に接続される第3の電気配線を有する可撓性のフレキシブル電気配線板をさらに具備することを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載のフレキシブル光電配線モジュール。
【請求項5】
前記フレキシブル光電配線板又は前記フレキシブル電気配線板の一対の端部領域に挟まれた配線領域に貫通スリットを設けることにより、前記フレキシブル光電配線板又は前記フレキシブル電気配線板の前記配線領域を分割して複数の配線フィンが形成され、該配線フィンが束ねられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のフレキシブル光電配線モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−97305(P2013−97305A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242327(P2011−242327)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】