説明

プラズマエッチング方法及びプラズマエッチング装置並びに液体吐出ヘッドの製造方法

【課題】エッチング中の基板表面のVpp(RFバイアス電圧のピーク間電圧差)又はVdc(自己バイアス電圧)を正確に測定し、高精度加工を可能にするとともに、基板間の加工再現性を向上させる。
【解決手段】被エッチング材料の表面に保護膜により所定のマスクパターンが形成された基板(28)をチャンバ(12)内に配置し、チャンバ(12)内にプロセスガスを供給しながら、当該チャンバ内にプラズマを発生させ、マスクパターンの開口部分に対応する被エッチング材料をエッチングするエッチング工程と、エッチング工程におけるエッチング処理中に、基板(28)のマスクパターンが形成されている面の被エッチング材料の表面に接触させた導電性部材(36)を介して当該基板表面の電圧を測定する電圧測定工程と、電圧測定工程の測定結果に基づいてエッチング条件を制御する制御工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマエッチング技術に係り、特に、インクジェットヘッドや各種のMEMS(Micro Electric Mechanical System)デバイス、半導体デバイス等の製造に好適なプラズマエッチング方法及びプラズマエッチング装置並びにこれを用いた液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラズマエッチング装置を用い基板をドライエッチングすることにより、基板を高精度に加工することができるプラズマエッチング加工方法とこれを適用した液体噴射ヘッドの製造方法が開示されている。同文献1では、基板上に所定寸法の開口を有する保護膜(マスクパターン)を形成し、プラズマエッチング装置で基板をドライエッチングしてエッチングする工程において、エッチング工程を実施中にプラズマエッチング装置内の電極のVpp値(ステージに印加されるRFバイアス電圧の電圧差)を測定し、各エッチング工程で設定するVpp値を前回のエッチング工程時に測定された測定Vpp値に基づいて調整するエッチング方法を提案している。
【0003】
特許文献2には、処理中のウエハ電位とウエハからプラズマを介したアースまでのインピーダンスを計測又は計算により求め、該インピーダンスに基づく処理を行うことができる半導体製造装置及び処理方法が開示されている。同文献2によれば、半導体ウエハを保持するステージにプローブが設けられ、半導体ウエハの裏面において該半導体ウエハの電圧を測定するウエハ電位プローブと電流・電圧プローブによって正確にウエハ電位とプラズマインピーダンスを求めることができ、この情報を基にエッチングパラメータを制御することにより再現性の良いエッチング、歩留まり低下を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−103428号公報
【特許文献2】特開2001−338917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、プラズマエッチング装置の電極でVpp値を測定しているが、基板から離れた位置に配置されている電極で測定した値と、基板表面のVpp値又はVdc値(「自己バイアス電圧」と言う。)は異なり、測定精度が悪く、高精度加工を実施できない。特許文献1の技術では、実際にエッチングされている基板表面のVpp又はVdcは、電極で測定した値と異なるため、事前に補正をする必要がある。
【0006】
エッチングするサンプル(基板)は様々であり、例えば、シリコン基板の上に絶縁層(SiO層)、配線層(Al)、絶縁層(SiO)が順に積層されたものなど、シリコン上に金属や絶縁膜等が複数層形成されている。エッチング処理する基板によりその膜構成が異なる場合が多く、特許文献1の技術で行おうとすると処理する基板の膜構成が異なる度に補正する必要があるため、効率が悪い。
【0007】
更に、処理基板の裏側に接着層を介してダミー基板を接合する場合もあり、ダミー基板には、シリコンの他、ガラスや樹脂(PETなど)が用いられることがある。このような場合、特許文献1の技術では、処理基板の表面電圧を正確に測定することは困難である。
【0008】
一方、特許文献2に記載の技術についても上記同様の問題がある。例えば、シリコン基板に貫通穴を形成する貫通加工などの深掘エッチングの場合、加工する基板(処理基板)をダイシングテープなどのシート上に貼り付けたり、ダミー基板上に貼り付けたりして処理基板をエッチングするが、このような場合は、基板の裏面を測定するウエハ電位プローブは、シートやダミー基板に直接触れているため、実際の処理基板の電位を測定できない。また、シートなどの場合は、ウエハ電位が測定できない。
【0009】
更に、MEMSデバイスの場合、エッチングする基板の裏面は平面とは限らず、裏面に凹凸があったり、裏面側に薄膜部が形成されていたりなど、プローブで裏面を触ることが出来ない場合があり、特許文献2に記載の技術ではウエハの電位を測定することが出来ない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、エッチング中の基板表面のVpp又はVdcを正確に測定でき、高精度加工が可能なプラズマエッチング方法及びプラズマエッチング装置を提供することを目的とし、併せて、これを適用した液体吐出ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明に係るプラズマエッチング方法は、被エッチング材料の表面に保護膜により所定のマスクパターンが形成された基板をチャンバ内に配置し、前記チャンバ内にプロセスガスを供給しながら、当該チャンバ内にプラズマを発生させ、前記マスクパターンの開口部分に対応する前記被エッチング材料をエッチングするエッチング工程と、前記エッチング工程におけるエッチング処理中に、前記基板の前記マスクパターンが形成されている面の前記被エッチング材料の表面に接触させた導電性部材を介して当該基板表面の電圧を測定する電圧測定工程と、前記電圧測定工程の測定結果に基づいてエッチング条件を制御する制御工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、エッチング処理中にプラズマに対面する被エッチング材の基板表面の電圧を正確に測定することができ、その測定結果を基にエッチング条件を適切に調整することができる。これにより、高精度の加工を行うことができ、基板間の加工の再現性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るプラズマエッチング装置の概略構成を示す図
【図2】ステージ上のクランプリングに保持された基板の平面図
【図3】クランプリングに設けられた電圧測定部の配線構造の例を示す断面図
【図4】基板上におけるデバイス形成領域(デバイスエリア)とプローブ用領域との位置関係を説明するための断面図
【図5】基板上におけるデバイスエリアとプローブ領域の位置関係を例示する平面図
【図6】インクジェットヘッドの構造例を示す断面図
【図7】インクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法を示す工程図
【図8】インクジェットヘッドのノズルプレートの製造方法を示す工程図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るプラズマエッチング装置の概略構成を示す図である。ここでは、シリコンのドライエッチングに用いられる装置を例に説明する。図1に示すプラズマエッチング装置10は、誘電結合型プラズマ(Inductive Coupling Plasma : ICP)が適用されたものであるが、本発明の実施に際しては、これに限らず、例えば、ヘリコン波励起プラズマ(Helicon Wave Plasma: HWP)、電子サイクロトン共鳴プラズマ(Electron Cyclotron resonance Plasma : ECP)、マイクロ波励起表面波プラズマ(Surface Wave Plasma: SWP)などのプラズマ源を用いた方式が適用されたドライエッチング装置を用いることも可能である。
【0016】
プラズマエッチング装置10には、チャンバ12(真空容器)内にプロセスガス(エッチングガス)を供給するプロセスガス供給手段14と、チャンバ12内のガスを排気する排気手段16と、チャンバ12内の圧力調整を行う圧力調整手段17とが設けられており、プロセスガス供給手段14からチャンバ12内にプロセスガスを供給しつつ、排気手段16から排気を行うことにより、チャンバ12内の圧力調整が行われる。
【0017】
チャンバ12の上面には誘電体窓18が密閉的に取り付けられており、更に誘電体窓18の上方(大気側)にはループコイル状のアンテナ20が設置されている。アンテナ20には、マッチング回路(整合器)22を介して、プラズマ発生用の高周波電源(RF電源)24が接続されている。高周波電源24の周波数は2MHz〜60MHz帯を用いればよく、例えば13.56MHzを用いればよい。また、高周波電源24をパルス駆動させてもよい。
【0018】
チャンバ12内のステージ26には、クランプリング27を備えた基板冷却機構(不図示)が設けられており、そのステージ26上に被エッチング材となる基板28が載置される。ステージ26には、マッチング回路30を介して、バイアス印加用の電源(バイアス電源)32が接続されている。バイアス電源32の周波数は200kHz〜13.56MHzを用いればよく、例えば、13.56MHzを用いればよい。また、プラズマ発生用の高周波電源24と同様に、バイアス電源32をパルス駆動させてもよい。更に、バイアス電源32をパルス駆動で使用する場合には、アンテナ20(プラズマ生成用)の電源とバイアス電源のパルス周期を同期するための手段を用いるようにすれば良い。
【0019】
Vdc/Vppプローブ36は、基板28を固定するためのクランプ部(クランプリング27)に併設し設けられており、基板28の表面に直接触れるように接触ピン及び配線が設けられている(図3中の符号36A、36B参照)。接触ピンと配線は導電性のものを用い、例えばSUSや白金などを用いればよい。
【0020】
エッチング中の基板表面には1000V程度の高電圧がかかるため、このVdc/Vppプローブ36の配線は、不図示の高圧プローブ(電圧を100分の1または、1000分の1にするもの)を介して測定手段38に接続されている。測定手段38としては、例えば、オシロスコープを用いることができ、基板表面の電圧を測定する。本例では、自己バイアス電圧(Vdc)及びピーク間電圧(一周期中の最大電圧値と最小電圧値との差;Vpp)の両方が測定される。
【0021】
測定手段38で測定したVdc又はVppの測定値はパラメータ制御手段40に入力され、これら測定値を基にパラメータ制御手段40にて各種エッチングパラメータを調整することができるようになっている。具体的には、プロセスガスの流量の制御、チャンバ12内の圧力制御、高周波電源24の出力制御、バイアス電源32の出力制御などが行われる。なお、パラメータ制御手段40は、プラズマエッチング装置10の全体の制御を行う制御装置で兼用することができる。
【0022】
図2はステージ26上においてクランプリング27に保持された基板28の平面図、図3はクランプリング27に設けられた電圧測定部44の配線構造の例を示す断面図である。これらの図面に示すように、クランプリング27の一部に、基板28の表面の電圧を測定するための電圧測定部44が設けられている。電圧測定部44は、図1で説明したVdc/Vppプローブ36を内包する部分である。電圧測定部44の内部には、図3に示すように、基板表面に接触する接触ピン36A(「導電性部材」に相当)と、この接触ピン36Aから延びる導通配線36Bが設けられており、これら導通性部材の周囲は絶縁材46で覆われている。なお、接触ピン36Aは、図示しない弾性部材その他の手段により基板28の表面に向けて付勢され、基板表面との確実な接触が確保されるようになっている。
【0023】
また、基板28については、当該基板28の表面の接触ピン36Aが接触する位置の所定領域は、プローブ接触域としてシリコン層を露出させておくものとする。エッチングの処理基板は、図4のように、基板28の表面に目的のデバイス形態に対応したレジスト50のマスクパターンが形成されているが、本例では、基板28におけるデバイス形成領域の外側の一部分をプローブ用の領域として利用する。したがって、このプローブ用領域に対応する位置にレジスト50の除去された開口部52を形成しておく。
【0024】
図5は、シリコンウエハ上におけるプローブ用領域の形成例を示す図である。図(a)(b)ともに、インクジェットヘッドのヘッドモジュールを製造する場合を例示しており、符号60はデバイスエリアを示し、符号62はプローブ用領域を示している。
【0025】
図示のように、デバイスエリア外の適当な位置にプローブ用領域62が設けられる。ヘッドモジュールを製造する場合、直径6インチ、又は8インチのウエハを好適に用いることができる。デバイスエリアの形態は様々な設計が可能であるが、いずれにしても基板の外周付近の領域に空きスペースが生じ得るため、この空きスペースを利用してプローブ用の領域(Vdc/Vpp測定用パターン)を形成することができる。
【0026】
このように、空いている部分にVdc/Vpp測定用パターンを形成することにより、基板の有効面積を効率的に利用することができる。
【0027】
例えば、基板の中心部分を主としてデバイスエリアに利用する場合、基板の外周(外縁)から内側に向かって5〜20mmの範囲の所にプローブ用領域62を設ける態様が好ましい。
【0028】
<インクジェットヘッドの製造方法への適用例>
次に、上記のプラズマエッチング装置10を用いてインクジェットヘッドを製造する方法を説明する。
【0029】
〔インクジェットヘッドの構造例〕
図6は、本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの製造方法によって製造されるインクジェットヘッド100の構造例を示す断面図である。同図では、1ノズル分(吐出素子単位)の断面を示した。図7において、符号102はノズル孔、104は圧力室、106は圧電素子である。
【0030】
図示のインクジェットヘッド100は、ノズルプレート110と、圧力室プレート120と、カバープレート140とが積層接合された構造からなる。ノズルプレート110には、液の吐出口となるノズル孔102と、圧力室104からノズル孔102へと液を導くノズル連通路112とが形成されている。
【0031】
圧力室プレート120には、圧力室104の空間を形成する凹部と、当該圧力室104に液を充填するための供給口122とが形成されている。
【0032】
また、圧力室プレート120の一部(圧力室104の天面部分)は、振動板124として機能する。この振動板124の上に、圧電素子106が設けられている。符号128は絶縁膜(例えば、SiO膜)、符号130は下部電極(共通電極)、132は圧電体膜、134は上部電極(個別電極)である。
【0033】
カバープレート140には、圧電素子106の収容空間を形成する凹部142と、圧力室104の供給口122に連通する供給流路部144とが形成されている。このカバープレート140は、振動板124上の圧電素子106を覆うように圧力室プレート120の上に接着層146を介して接合される。
【0034】
カバープレート140を貫通する供給流路部144は、図示せぬ共通流路(共通液室)と連通しており、共通流路は図示せぬインクタンク(不図示)と連通している。インクタンクから供給されるインクは共通流路を介してヘッド内の各圧力室104に供給される。
【0035】
個別電極134に駆動電圧を印加することによって圧電素子106が変形して圧力室104の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル102からインクが吐出される。インク吐出後、圧電素子106が元の状態に戻る際、共通流路から供給口122を通って新しいインクが圧力室104に再充填される。
【0036】
インクジェットヘッド100を構成する各プレート部材(72,74,76)は、シリコン基板をエッチングすることによって、所要の凹部や開口部が形成されたものである。
【0037】
以下、ノズルプレート110の製造プロセスを例に説明する。
【0038】
〔ノズルプレートの製造プロセス〕
図7及び図8はノズルプレート110の製造方法を示した工程図である。
【0039】
(工程1):基板を準備(図7(a))
まず、図7(a)に示すように、シリコン基板200を準備する。基板の厚さは流路の長さ(ノズル連通路112の長さ)とノズルの長さを考慮して適切な厚さとすればよく、任意の厚さを採用することができる。例えば、本例では厚さ350μmのシリコン基板を用いる。
【0040】
(工程2):ダミー基板貼り付け(図7(b))
次いで、このシリコン基板200をダミー基板202へ貼り付ける。符号204は接着層である。ダミー基板202は、シリコン基板を用いることができる。ダミー基板202の厚さは、特に限定されないが、例えば、625μmとする。ダミー基板202とシリコン基板200を接合するには、接着剤や接着シートなどを用いることができ、後の工程で剥離可能なものを用いて接合することが好ましい。例えば、日東電工社製のリバアルファ(商品名)を使用し、2つの基板を貼り合わせる。
【0041】
(工程3):マスクパターニング(図7(c))
次に、図7(c)に示すように、シリコン基板200の表面にマスクパターン206を形成する。マスク層に用いる材料としては、酸化膜(SiO)やアルミなどのハードマスクやフォトレジストなどの感光性樹脂を用いることができる。特に、フォトレジストを用いると工程が減るため、フォトレジストをマスクに用いる形態が望ましい。
【0042】
フォトレジストには、例えば、東京応化工業社製のOFPRシリーズ、TSMRシリーズやAZ社製の1500シリーズや6000シリーズなどを用いることが可能である。
【0043】
ここで、レジストマスクの形成方法について説明する。
【0044】
まず、シリコン基板200の表面全体に、スピンコート法やスプレーコート法などの方法でレジスト層を形成する。
【0045】
次に、レジスト層のソフトベーク(プリベーク)を行う。このソフトベークの工程は、ホットプレートやオーブンなどで各種レジスト材料の最適温度(例えば90〜120℃)で行えば良い。
【0046】
続いて露光を行う。アライナーやステッパーを用いて各種レジスト材に最適な露光量で行えば良い。例えば、東京応化工業社製のOFPR−800(商品名)の膜厚が1μmの場合、露光量120mJ/cmが最適である。使用するレジスト材料によっては、露光後ベーク(PEB)を行ってもよい。
【0047】
続いて現像を行う。レジスト層を含む基板全体を現像液に浸漬後、純水にてリンスし、当該基板を乾燥させることにより、レジスト層の現像を行う。例えば、東京応化工業社製のOFPR−800(商品名)の場合、同社製の現像液NMD−3(商品名)に約60秒間下漬けし、純水にて60秒間のリンスを2回繰り返し、その後スピンドライヤ等で基板に付いた水分を取り除く。
【0048】
最後にポストベークを行う。ポストベークの工程は、ホットプレートやオーブンを用いて基板を加熱することにより行われる。このときの加熱温度は、100〜200℃程度であり、1〜60分間加熱すればよい。例えば、東京応化工業社製のOFPR−800(商品名)の場合、ホットプレートを用いて加熱温度110℃で1分30秒間加熱する。
【0049】
このようにして、図7(c)に示したように、シリコン基板200の表面にレジストマスク(マスクパターン206)を形成することができる。
【0050】
(工程4):シリコンエッチングによるインク流路形成(図7(d))
次に、図7(d)に示すように、シリコンをドライエッチング法によりエッチングすることでインク流路部(ここでは、図6で説明したノズル連通路112の部分)を形成する。流路の深さは例えば、300μmであり、エッチング時間を任意に決めることでエッチング深さを決定すればよい。
【0051】
シリコンのエッチングは、インク流路(ノズル連通路112)の形成やノズルの開口(ノズル孔102の形成)を行う工程で行う。このエッチングの工程において図1で説明したプラズマエッチング装置10が用いられる。
【0052】
ノズルプレート110を量産する場合には、1日に数十枚〜数百枚と複数枚のエッチングを行うことが必要となる。シリコンをエッチングする工程において、毎回、基板表面のVdc又はVpp電圧を測定し、そのデータを記憶する。最適な形状を得られた時の値を設定値として決め、エッチング開始時のVdc又はVpp電圧をモニターした測定値が設定値と比較し同じになるようにエッチングのパラメータを調整するようにする。
【0053】
また、ノズル連通路112のように深いエッチングを行う場合には、エッチング処理中の測定値が設定値に常に同じになるように調整することで垂直なエッチング形状を得ると共にエッチングレートを一定にすることができる。これにより、エッチングを終了する時間が正確になるので、流路の深さも常に一定にすることができる。
【0054】
或いはまた、最適な形状が得られたときのエッチング処理中の測定値プロファイルを設定値として定め、エッチング処理中にVdc又はVpp電圧をモニターした測定値の時間変化(プロファイル)が設定値のプロファイルと同等になるように、エッチングパラメータを随時調整する態様も可能である。
【0055】
本例におけるドライエッチングは、エッチングと保護膜形成のデポジションを繰り返し行うボッシュプロセスやフッ素系のガスに酸素を添加した方法によるものであることが好ましく、特に、レジストマスクを用いることができるボッシュプロセスを用いることがより好ましい。かかる方法により、シリコン基板200を所定の深さまでエッチングすることで、ノズル連通路112に相当するインク流路を形成することができる。
【0056】
ボッシュプロセスは、エッチング時には、SF(六フッ化硫黄)やSFとO(酸素)の混合ガスを用い、保護膜形成時はC(オクタフルオロシクロブタン)用いて行い(側壁保護膜を形成しながら)、エッチングと保護膜形成を繰り返して行う方法である。
【0057】
[ボッシュプロセスの具体例]
エッチングステップは、SFの流量を200sccmで真空度を3Pa、プラズマ生成用のRF出力を2000W、バイアス出力を15Wで15sec行い、続いて保護膜形成ステップは、Cを100sccmで真空度を1Pa、プラズマ生成用RF出力を1500Wとし、バイアス出力は0Wとする。こうして、エッチングステップとデポステップを交互に繰り返し行う。
【0058】
初めにエッチングステップにてエッチングを行っている時のVdc値を測定する。設定値のVdcに対し測定値のVdcが異なる場合には、エッチングパラメータを変化させる。例えば、Vdc値が設定値よりも小さい場合には、バイアス電源32の出力を上げる。逆にVdc値が設定値よりも大きい場合には、バイアス電源32の出力を下げればよい。Vdc値を調整するには、バイアス電源32の出力以外に高周波電源24の出力(RF出力)やガス流量、処理圧力などを調整してもよい。
【0059】
本実施形態によれば、基板表面の電圧を正確に測定でき、その測定結果を利用してエッチングパラメータを適切に制御するため、形状精度、深さ精度が向上し、更に再現性も向上する。これにより、高精度の加工が可能となる。
【0060】
(工程5):マスク除去(図7(e))
次に、図7(e)に示すように、レジストのマスクパターン206を除去する。レジストマスクを除去するには、専用の剥離液やアッシング処理を行えばより。レジスト剥離液は、例えば、東京応化工業社製のSTRIPPER−502A(商品名)やAZ社製のAZリムーバー100(商品名)などを用いれば良い。アッシング処理は、酸素プラズマを用いたアッシング処理を行えば良い。誘電結合型プラズマ(ICP)やマイクロ波アッシャー、バレル式のアッシャーを用いることができる。例えば、アッシング処理条件は、マイクロ波を用いたSWPなどで酸素ガスを200sccm、30Pa、マイクロ波出力1kWで行えばよい。
【0061】
(工程6):ダミー基板剥離(図7(f))
次に、図7(f)に示すように、ダミー基板202を剥離する。ダミー基板202を剥離するには、接合に用いた材料(接着層204に用いた接着剤)の推奨条件で剥離を行えばよい。日東電工社製のリバアルファ(商品名)を用いた場合は、加熱することで安易にダミー基板と剥離することが出来る。剥離温度は、90〜150℃である。
【0062】
(工程7):ダミー基板貼り付け(図8(g))
次に、図7(f)で得たノズル基板(シリコン基板200)を反転させ、ノズル孔102の開口を形成するための準備として、図8(g)に示すように、当該シリコン基板200をダミー基板220へ貼り付ける。符号224は接着層である。ダミー基板220は、シリコン基板を用いることができる。厚さは、例えば625μmとする。ダミー基板220と、シリコン基板200を接合するには、接着剤や接着シートなどで後に剥離可能なものを用いて接合すればよく、例えば、日東電工社製のリバアルファ(商品名)を使用し2つの基板を貼り合わせる。
【0063】
(工程8):マスクパターニング(図8(h))
次に、図8(h)に示すように、シリコン基板200の表面(ノズルプレート110の吐出面側)にマスクパターン226を形成する。
【0064】
マスク層に用いる材料は、酸化膜(SiO)やアルミなどのハードマスクやフォトレジストなどの感光性樹脂を用いる。工程3と同様に、フォトレジストを用いる態様が好ましい。フォトレジストには、例えば、東京応化工業社製のOFPRシリーズ、TSMRシリーズやAZ社製の1500シリーズや6000シリーズなどを用いることが可能である。
【0065】
レジストマスクの形成方法については、工程3と同様であり、まず、シリコン基板200の表面全体に、スピンコート法やスプレーコート法などの方法でレジスト層を形成する。
【0066】
次に、レジスト層のソフトベーク(プリベーク)を行う。このソフトベークの工程は、ホットプレートやオーブンなどで各種レジスト材料の最適温度(例えば90〜120℃)で行えば良い。
【0067】
続いて露光を行う。アライナーやステッパーを用いて各種レジスト材に最適な露光量で行えば良い。例えば、東京応化工業社製のOFPR−800(商品名)の膜厚が1μmの場合、露光量120mJ/cmが最適である。使用するレジスト材料によっては、露光後ベーク(PEB)を行ってもよい。
【0068】
続いて現像を行う。レジスト層を含む基板全体を現像液に浸漬後、純水にてリンスし、当該基板を乾燥させることにより、レジスト層の現像を行う。例えば、東京応化工業社製のOFPR−800(商品名)の場合、同社製の現像液NMD−3(商品名)に約60秒間下漬けし、純水にて60秒間のリンスを2回繰り返し、その後スピンドライヤ等で基板に付いた水分を取り除く。
【0069】
最後にポストベークを行う。ポストベークの工程は、ホットプレートやオーブンを用いて基板を加熱することにより行われる。このときの加熱温度は、100〜200℃程度であり、1〜60分間加熱すればよい。例えば、東京応化工業社製のOFPR−800(商品名)の場合、ホットプレートを用いて加熱温度110℃で1分30秒間加熱する。
【0070】
このようにして、図8(h)に示したように、シリコン基板200の表面にレジストマスク(マスクパターン226)を形成することができる。
【0071】
(工程9):シリコンエッチングによるノズル部の形成(図8(i))
次に、図8(i)に示すように、シリコンをドライエッチング法によりエッチングすることでノズル部(ここでは、図6で説明したノズル孔102の部分)を形成する。当該流路の深さは例えば、50μmであり、エッチング時間を任意に決めることでエッチング深さを決定すればよい。
【0072】
エッチング方法は、工程4におけるインク流路形成工程と同様である。
【0073】
(工程10):マスク除去(図8(j))
次に、図8(j)に示すように、レジストのマスクパターン226を除去する。レジストマスクを除去する方法は、既述した工程5と同様である。
【0074】
(工程11):ダミー基板剥離(図8(k))
次に、図8(k)に示すように、ダミー基板222を剥離する。ダミー基板222を剥離する方法は、既述した工程6と同様である。
【0075】
こうして、ノズルプレート110が得られる。
【0076】
図6で説明した圧力室プレート120、カバープレート140についても、上述したノズルプレート110の製造プロセスと同様のプロセスで製造される。圧力室プレート120については、電極膜(符号130、134)の形成、圧電体膜(符号132)の形成等を行い、これら各プレート部材を積層接合することにより、図6のようなインクジェットヘッド100を得る。
【0077】
<実施形態の変形例について>
上記実施の形態では、エッチングする基板(符号200)の表面に直接プローブ(符号36)を接触させ、当該プローブを介して基板のVdcを測定し、このVdcの値を規定値(以前のエンチングで適正な加工形状が得られたときの値)に合わせるようにエッチング条件を調整しながらエッチングを行う例を述べたが、基板表面の電圧をモニタリングし、測定結果をフィードバックさせて、エッチングの各ステップごとにエッチング条件を調整しエッチングを行う態様も可能である。
【0078】
また、基板表面の電圧測定に加えて、ラングミュアプローブを基板ステージ付近に設置し、エッチング中の電子密度を測定する態様も好ましく、これら測定値に基づいてエッチング条件を調整しながら加工を行うことで、より一層の高精度加工を行うことができる。
【0079】
また、エッチング前にマスクパターンの幅を測定し、その幅の値が設計値に対し、小さい場合は、エッチング時のサイドエッチング量が多くなる条件でエッチングを行う態様も好ましい。このときのエッチング条件は、上記方法で収集した測定データ(Vcc、Vpp、電子密度などのプラズマパラメータの測定データ)を用い、所望の(任意の)Vdc等の値になる条件に調整してエッチングを行う。これにより、エッチング工程でトリミング加工が可能となり、デバイスの加工精度を飛躍的に向上させることができる。
【0080】
<他の適用例>
図7〜図8では、ヘッドモジュールの製造を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されず、様々なMEMSデバイスの製造、或いは半導体デバイスの製造について適用できる。
【0081】
<付記>
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0082】
(発明1):被エッチング材料の表面に保護膜により所定のマスクパターンが形成された基板をチャンバ内に配置し、前記チャンバ内にプロセスガスを供給しながら、当該チャンバ内にプラズマを発生させ、前記マスクパターンの開口部分に対応する前記被エッチング材料をエッチングするエッチング工程と、前記エッチング工程におけるエッチング処理中に、前記基板の前記マスクパターンが形成されている面の前記被エッチング材料の表面に接触させた導電性部材を介して当該基板表面の電圧を測定する電圧測定工程と、前記電圧測定工程の測定結果に基づいてエッチング条件を制御する制御工程と、を有することを特徴とするプラズマエッチング方法。
【0083】
本発明によれば、処理基板の裏面側の材質や形状等によらず、エッチング中の基板表面の電圧を正確に測定することができる。これにより、当該測定結果を基にエッチング条件を適切に調整することができ、加工精度の向上及び基板間の加工再現性の向上を図ることができる。
【0084】
(発明2):発明1に記載のプラズマエッチング方法において、処理対象の基板をエッチングする際に、以前に処理した基板のエッチング工程で測定された電圧値と同じ測定値が得られるように、当該処理対象の基板のエッチング条件を調整することを特徴とするプラズマエッチング方法。
【0085】
かかる態様によれば、過去に実施したエッチング工程における測定データを蓄積しておき、良好な形状が実現できた時の測定データを参照し、その測定値が得られるようにエッチング条件を制御することにより、良好な加工形状を再現することができる。
【0086】
(発明3):発明1又は2に記載のプラズマエッチング方法において、前記被エッチング材料の表面に前記導電性部材を接触させるために前記保護膜の一部を開口させた電圧測定用の領域が設けられていることを特徴とするプラズマエッチング方法。
【0087】
基板面のデバイスエリア外に電圧測定用のエリアを設けておき、当該電圧測定用のエリアにプローブを接触させて電圧を測定する態様が好ましい。
【0088】
(発明4):発明3に記載のプラズマエッチング方法において、前記電圧測定用の領域は、前記基板の外周から内側に向かって5〜20mmの位置に設けられていることを特徴とするプラズマエッチング方法。
【0089】
電圧測定用のプローブを接触させる領域は、基板面の外周縁寄りに形成する態様が好ましく、目的のデバイスを形成するエリアの余白部分に設けることが好ましい。クランプ部によるクランプ領域をも考慮すると、基板の外周縁から5〜20mmの範囲内に電圧測定用の領域を設ける態様が好ましい。
【0090】
(発明5):発明1乃至4の何れか1項に記載のプラズマエッチング方法において、前記導電性部材は、前記基板を設置するステージのクランプ部に配置されていることを特徴とするプラズマエッチング方法。
【0091】
電圧測定用の導電性部材は、基板をステージ上に固定するためのクランプ部に設ける態様が好ましい。
【0092】
(発明6):被エッチング材料の表面に保護膜により所定のマスクパターンが形成された基板を保持するためのステージと、前記ステージを内部に有するチャンバと、前記チャンバ内を排気する排気手段と、前記チャンバ内にプロセスガスを供給するプロセスガス供給手段と、前記チャンバ内にプラズマを発生させるための高周波電源と、前記ステージにバイアス電圧を印加するバイアス電源と、前記ステージ上に保持されている前記基板の前記マスクパターンが形成されている面の前記被エッチング材料の表面に接触する導電性部材を介して当該基板表面の電圧を測定する電圧測定手段と、前記電圧測定手段の測定結果に基づいてエッチング条件を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とするプラズマエッチング装置。
【0093】
本発明によれば、処理基板の裏面側の材質や形状等によらず、エッチング中の基板表面の電圧を正確に測定することができる。これにより、当該測定結果を基にエッチング条件を適切に調整することができ、加工精度の向上及び基板間の加工再現性の向上を図ることができる。
【0094】
(発明7):発明6に記載のプラズマエッチング装置において、前記制御手段は、以前に処理した基板のエッチング工程で測定された電圧値を設定値として記憶し、処理対象の基板をエッチングする際に、前記設定値と同じ測定値が得られるように、当該処理対象の基板のエッチング条件を調整することを特徴とするプラズマエッチング装置。
【0095】
かかる態様によれば、過去に実施されたエッチング工程による良好な加工形状を再現することができる。
【0096】
(発明8):発明6又は7に記載のプラズマエッチング装置において、前記導電性部材は、前記ステージ上で前記基板を固定するクランプ部に設けられていることを特徴とするプラズマエッチング装置。
【0097】
(発明9):発明6乃至8のいずれか1項に記載のプラズマエッチング装置において、前記電圧測定手段により、自己バイアス電圧(Vdc)及びピーク間電圧(Vpp)のうち少なくとも一つの値が測定されることを特徴とするプラズマエッチング装置。
【0098】
エッチング中のプラズマ状態を間接的に把握するプラズマパラメータとして、Vdc、Vppのうち少なくとも一方を測定する態様が好ましい。
【0099】
(発明10):発明6乃至9のいずれか1項に記載のプラズマエッチング装置において、前記制御手段は、前記エッチング条件の制御として、前記高周波電源の出力、前記バイアス電源の出力、前記プロセスガスの流量、前記チャンバ内の圧力のうち少なくとも1つを制御することを特徴とするプラズマエッチング装置。
【0100】
基板表面の電圧の測定結果を基に、高周波電源の出力、バイアス電源の出力、プロセスガスの流量、チャンバ内の圧力のいずれか、又は適宜の組合せを制御することにより、エッチング条件を最適化することができる。
【0101】
(発明11):発明1乃至5のいずれか1項に記載のプラズマエッチング方法を用い、前記基板であるシリコン基板をエッチングすることにより流路となる凹部及び開口部のうち少なくとも一つを形成し、得られた基板を用いて液体吐出ヘッドを製造することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【0102】
液体吐出ヘッドを構成するノズルプレート、圧力室プレート、カバープレートなどのプレート部材を本発明によるプラズマエッチング方法を適用して作製することができる。液体吐出ヘッドを構成する各種プレート部材について全ての部材を本発明のプラズマエッチング方法を適用して作製してもよいし、一部のプレート部材(少なくとも1つのプレート部材)について本発明のプラズマエッチング方法を適用して作製してもよい。
【符号の説明】
【0103】
10…プラズマエッチング装置、12…チャンバ、14…プロセスガス供給手段、16…排気手段、18…誘電体窓、20…アンテナ、22…マッチング回路、24…高周波電源、26…ステージ、27…クランプリング、28…基板、30…マッチング回路、32…低周波電源、36…Vdc/Vppプローブ、36A…接触ピン、36B…導通配線、38…測定手段、40…パラメータ制御手段、50…レジスト、52…開口部、62…プローブ用領域、100…インクジェットヘッド、110…ノズルプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被エッチング材料の表面に保護膜により所定のマスクパターンが形成された基板をチャンバ内に配置し、前記チャンバ内にプロセスガスを供給しながら、当該チャンバ内にプラズマを発生させ、前記マスクパターンの開口部分に対応する前記被エッチング材料をエッチングするエッチング工程と、
前記エッチング工程におけるエッチング処理中に、前記基板の前記マスクパターンが形成されている面の前記被エッチング材料の表面に接触させた導電性部材を介して当該基板表面の電圧を測定する電圧測定工程と、
前記電圧測定工程の測定結果に基づいてエッチング条件を制御する制御工程と、
を有することを特徴とするプラズマエッチング方法。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマエッチング方法において、
処理対象の基板をエッチングする際に、以前に処理した基板のエッチング工程で測定された電圧値と同じ測定値が得られるように、当該処理対象の基板のエッチング条件を調整することを特徴とするプラズマエッチング方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプラズマエッチング方法において、
前記被エッチング材料の表面に前記導電性部材を接触させるために前記保護膜の一部を開口させた電圧測定用の領域が設けられていることを特徴とするプラズマエッチング方法。
【請求項4】
請求項3に記載のプラズマエッチング方法において、
前記電圧測定用の領域は、前記基板の外周から内側に向かって5〜20mmの位置に設けられていることを特徴とするプラズマエッチング方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のプラズマエッチング方法において、
前記導電性部材は、前記基板を設置するステージのクランプ部に配置されていることを特徴とするプラズマエッチング方法。
【請求項6】
被エッチング材料の表面に保護膜により所定のマスクパターンが形成された基板を保持するためのステージと、
前記ステージを内部に有するチャンバと、
前記チャンバ内を排気する排気手段と、
前記チャンバ内にプロセスガスを供給するプロセスガス供給手段と、
前記チャンバ内にプラズマを発生させるための高周波電源と、
前記ステージにバイアス電圧を印加するバイアス電源と、
前記ステージ上に保持されている前記基板の前記マスクパターンが形成されている面の前記被エッチング材料の表面に接触する導電性部材を介して当該基板表面の電圧を測定する電圧測定手段と、
前記電圧測定手段の測定結果に基づいてエッチング条件を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするプラズマエッチング装置。
【請求項7】
請求項6に記載のプラズマエッチング装置において、
前記制御手段は、以前に処理した基板のエッチング工程で測定された電圧値を設定値として記憶し、処理対象の基板をエッチングする際に、前記設定値と同じ測定値が得られるように、当該処理対象の基板のエッチング条件を調整することを特徴とするプラズマエッチング装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のプラズマエッチング装置において、
前記導電性部材は、前記ステージ上で前記基板を固定するクランプ部に設けられていることを特徴とするプラズマエッチング装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項に記載のプラズマエッチング装置において、
前記電圧測定手段により、自己バイアス電圧(Vdc)及びピーク間電圧(Vpp)のうち少なくとも一つの値が測定されることを特徴とするプラズマエッチング装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか1項に記載のプラズマエッチング装置において、
前記制御手段は、前記エッチング条件の制御として、前記高周波電源の出力、前記バイアス電源の出力、前記プロセスガスの流量、前記チャンバ内の圧力のうち少なくとも1つを制御することを特徴とするプラズマエッチング装置。
【請求項11】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプラズマエッチング方法を用い、前記基板であるシリコン基板をエッチングすることにより流路となる凹部及び開口部のうち少なくとも一つを形成し、得られた基板を用いて液体吐出ヘッドを製造することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−199429(P2010−199429A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44573(P2009−44573)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】