説明

プラズマ処理システムにおいてエンドエフェクタのアラインメントを校正するためのシステムおよび方法

【課題】プラズマ処理システムにおいてエンドエフェクタのアラインメントを校正するためのシステムおよび方法
【解決手段】プラズマ処理システムにおいてチャックに対するエンドエフェクタのアラインメントを校正するための方法が提供される。方法は、エンドエフェクタをチャックの上に位置決めすることと、チャックおよびエンドエフェクタの静止画像を撮影することとを含む。方法は、チャックの中心およびエンドエフェクタによって定められたエンドエフェクタ規定中心を決定するために静止画像を処理することを含む。方法は、エンドエフェクタ規定中心とチャックの中心との間の位置差を決定することを含む。方法は、また、エンドエフェクタがウエハを運ぶときにロボットメカニズムが位置差を調整するようにロボットメカニズムを制御するために、位置差をロボットコントローラに提供することも含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体基板(例えばウエハ)の処理では、しばしばプラズマが用いられる。プラズマ処理では、ウエハは、プラズマ処理システムを使用して処理され、該システムは、通常、複数の処理モジュールを含む。基板(例えばウエハ)は、プラズマ処理時に、処理モジュールの内側においてチャック上に配置される。
【0002】
処理モジュールに対してウエハを出し入れするために、ウエハは、通常、エンドエフェクタに載せられて、チャック上へ移送される。エンドエフェクタは、ウエハ移送時にウエハを支えるように構成された構造部品である。エンドエフェクタは、通常、ロボットアーム上に配置される。図1は、ウエハ移送時にウエハ104を支えるための代表的な先行技術エンドエフェクタ102を示している。説明を目的として、ロボットアーム106の一部分も示されている。
【0003】
総じて、ウエハ移送手順において、ロボットアームは、先ず、エンドエフェクタを移動させて、ウエハをウエハ貯蔵用のカセットまたはステーションから取り上げる。ウエハがエンドエフェクタ上に位置決めされたら、ロボットアームは、次いで、プラズマ処理モジュールのドアを通してウエハを処理モジュールに入れるであろう。ロボットアームは、次いで、エンドエフェクタおよびウエハをチャックの上に位置決めし、次いで、プラズマ処理のためにウエハをチャックに載せる。
【0004】
ウエハが適切に処理されることを保証する(そうして、制御可能でかつ反復可能な処理結果を保証する)ためには、プラズマ処理時にウエハをチャック上に中心合わせする必要がある。もし、エンドエフェクタがチャックに対して完璧に中心合わせされ、かつウエハがエンドエフェクタに対して完璧に中心合わせされていれば、ウエハは、ロボットアームがウエハをチャックに載せるときに、チャックに対して完璧に中心合わせされるであろう。
【0005】
ロボットコントローラの視点からすると、ウエハの載置を目的としてロボットコントローラがチャックの上にエンドエフェクタを中心合わせすることを可能にするためには、チャックの中心を知ることが重要である。したがって、任意の所定のプラズマ処理モジュールについて、ロボットコントローラは、チャックの位置およびチャック中心を教えられる必要がある。言い換えると、各チャックは、例えば加工公差および/または製作公差および/または組み立て公差ゆえに、各処理モジュール内において僅かに異なるように位置決めされる可能性があるので、ロボットコントローラは、チャックの厳密な場所およびチャック中心を、自身の座標系において決定する必要がある。
【0006】
エンドエフェクタ/チャック・ミスアラインメントを補償するために、校正時の通常の戦略は、エンドエフェクタによって定められた中心(本明細書では「エンドエフェクタ中心」または「エンドエフェクタ規定中心」と称される)が実際にチャックの中心にアラインメントする位置までロボットアームを移動させることを伴う。エンドエフェクタの校正を達成するためには、オペレータが、実際のエンドエフェクタ/チャック・アラインメント位置を決定することができる必要がある。先行技術では、チャック中心に対するエンドエフェクタ中心のアラインメントは、チャックの縁に装着するまたは処理モジュールの内部に取り付く機械的な製作固定具を使用して達成される。機械的固定具は、キー構造(基本的に、エンドエフェクタのための中心合わせ用の突出である)を有しており、これは、エンドエフェクタが校正用固定具のキー構造の真上に寄りかかることを可能にする。固定具は、チャックに対して中心合わせされるので、エンドエフェクタは、固定具のキー構造に寄りかかったときに、チャック上に中心合わせされるであろう。通常、キー構造に対するエンドエフェクタの位置決めは、エンドエフェクタがキー構造に寄りかかるように、オペレータがエンドエフェクタをキー構造に対して引いたり押したりすることによって達成される。
【0007】
エンドエフェクタをキー構造に対して位置決めした後、オペレータは、次いで、ロボット制御システムが、この実際のエンドエフェクタ/チャック・アラインメントを達成するロボットアームの位置をロボット制御の座標系において記録することができるように、そのロボットアーム位置を、ロボット制御システムに登録する。
【0008】
生産時において、ロボットアームは、エンドエフェクタを、このエフェクタ/チャック・アラインメント位置に対応した座標に移動させる。もし、ウエハがエンドエフェクタに対して中心合わせされていれば、このとき実際にエンドエフェクタ中心がチャック中心にアラインメントしていることにより、ウエハは、ウエハ処理のためにロボットアームによってチャックに載せられるときに、チャックに対して中心合わせされるであろう。
【0009】
しかしながら、校正を目的としてチャックに対してエンドエフェクタを中心合わせするための先行技術には、不利点が伴う。先ず第1に、チャックおよび処理モジュールには、多くのタイプがある。したがって、校正を実施するために機械的固定具による方式を使用するためには、多くの異なる機械的固定具を製作して蓄えておく必要がある。また、物理的な機械的固定具は、硬質金属製の1つ以上の縁または表面を有することがあり、チャックに対するその取り付けは、チャックを損傷させる可能性がある。また、もし、処理モジュール内において幾つかのプラズマサイクルが実行された後、その場において(例えば生産工程の後、エンドエフェクタがチャックに対して中心合わせされていないかもしれないという懸念を受けて)校正がなされるならば、チャックに対する物理的な校正用固定具の取り付けは、チャック上またはチャック付近に沈着した粒子を処理チャンバ内へ剥落させる可能性がある。このような粒子は、後続の処理サイクルにおいて、望ましくない粒子汚染となる。
【0010】
また、校正は、大気圧において実施されるので、先行技術の校正技術は、生産時に存在する条件を効果的に再現することができない。なぜならば、生産時において、処理モジュールの部品は真空下に置かれ、これは、真空環境と周囲環境との間の圧力差ゆえに、1つ以上の部品を偏移させるからである。校正条件は、生産条件を忠実に再現しないので、正確な校正は、不可能であろう。
【0011】
さらに、もし、エンドエフェクタ/チャック・アラインメント位置へのエンドエフェクタの位置決めが手動で実施される(例えば、エンドエフェクタを機械的固定具のキー構造に寄りかからせるために、オペレータがエンドエフェクタを引いたり押したりすることを伴う)ならば、オペレータがロボットアームを解放してこのエンドエフェクタ/チャック・アラインメント位置をロボットコントローラに登録するときに、ロボットアーム位置に偏移が生じることがある。この偏移は、例えばロボットモータの電源が切られたなどの多くの理由によって生じえる。ロボットアームが離れるとき、この偏移は、たとえロボットオペレータによって感知することができない少量であっても、結果として校正プロセスに不正確さをもたらす可能性がある。もし校正プロセスが不正確であると、生産時におけるウエハの載置が不正確になり、歩留まりの低下、ならびに製品の不合格率および/または不良品率の増大をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、一実施形態では、プラズマ処理システムにおいてチャックに対するエンドエフェクタのアラインメントを校正するための方法に関する。方法は、エンドエフェクタをチャックの上に位置決めすることと、チャックおよびエンドエフェクタの静止画像を撮影することとを含む。方法は、チャックの中心およびエンドエフェクタによって定められたエンドエフェクタ規定中心を決定するために静止画像を処理することを含む。方法は、エンドエフェクタ規定中心とチャックの中心との間の位置差を決定することを含む。方法は、また、エンドエフェクタがウエハを運ぶときにロボットメカニズムが位置差を調整するようにロボットメカニズムを制御するために、位置差をロボットコントローラに提供することも含む。
【0013】
上記の概要は、本明細書に開示されている発明の多くの実施形態の1つのみに関係しており、特許請求の範囲に定められた発明の範囲を限定することを意図していない。本開示のこれらのおよびその他の実施形態は、添付の図面と併せて以下の発明の詳細な説明においてさらに詳しく説明される。
【0014】
添付の図面において、本発明は、限定目的ではなく例示目的で示されている。図中、類似の参照符号は、同様の要素を指すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ウエハ移送時にウエハを支えるための代表的な先行技術エンドエフェクタを示している。
【0016】
【図2】エンドエフェクタをin-situで校正するためのin-situ光学的エンドエフェクタ校正システムの少なくとも一部分の上面図を描いたプラズマ処理システムの概略を、本発明の一実施形態にしたがって示している。
【0017】
【図3】in-situ光学的エンドエフェクタ校正方法について説明した流れ図を、本発明の一実施形態にしたがって示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付の図面に示された幾つかの実施形態を参照にして、本発明が詳細に説明される。以下の説明では、本発明の完全な理解を可能にするために、多くの詳細が特定される。しかしながら、当業者ならば明らかなように、本発明は、これらの一部または全部の詳細を特定しなくても実施することができる。また、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス工程および/または構造の詳細な説明は省略される。
【0019】
以下において、方法および技術を含む様々な実施形態が説明される。発明は、発明の技術の実施形態を実行するためのコンピュータ可読命令を格納されたコンピュータ可読媒体を含む製造品も範囲に含みえることを留意されるべきである。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読コードを格納するための半導体、磁気、光磁気、光、またはその他の形態のコンピュータ可読媒体を含むことができる。さらに、発明は、発明の実施形態を実施するための装置も範囲に含むことができる。このような装置は、発明の実施形態に関わるタスクを実行するための専用のおよび/またはプログラム可能な回路を含むことができる。このような装置の例は、適切にプログラムされたときの汎用コンピュータおよび/または専用計算装置を含み、コンピュータ/計算装置と、発明の実施形態に関わる様々なタスクに適応された専用の/プログラム可能な回路との組み合わせを含むことができる。
【0020】
発明の実施形態は、機械的固定具を使用することも、または先行技術のエンドエフェクタ校正方式に伴う不利点に見舞われることもなく、エンドエフェクタ校正を実施するための、in-situの方法および装置に関する。上述のように、エンドエフェクタ校正を実施するためには、エンドエフェクタ中心すなわちエンドエフェクタ規定中心(すなわちエンドエフェクタによって定められた/決定された中心であり、必ずしもエンドエフェクタの質量中心または幾何学的中心でなくてよい)をチャック中心にアラインメントさせる必要がある。実際のエンドエフェクタ/チャック・アラインメントを決定するために、先行技術は、上述のような多くの不利点を伴う機械的固定具を用いている。
【0021】
発明の1つ以上の実施形態では、実際のエンドエフェクタ/チャック・アラインメント位置を決定するために、in-situ光学的技術が用いられる。この決定プロセスは、エンドエフェクタ/チャック・ミスアラインメントを打ち消すためにロボットコントローラが生産時に必要な量だけロボットアームを移動させることを可能にするようなデータを生成する。
【0022】
発明の1つ以上の実施形態では、in-situ光学的エンドエフェクタ校正技術は、エンドエフェクタとチャックとがそれらの理論的なエンドエフェクタ/チャック・アラインメント(すなわち、チャックに対してエンドエフェクタが理論的に中心合わせされているとロボットコントローラが信じているときにそのエンドエフェクタがチャックに対して占めている位置)にあるときに、エンドエフェクタおよびチャックの静止画像を撮影することを伴う。エンドエフェクタは、撮影された静止画像をもとに処理ユニットがエンドエフェクタ規定中心を決定することを可能にする1つ以上の視覚的指標を提供される。同様に、チャックは、処理ユニットがチャックの中心を決定することを可能にするための1つ以上の視覚的指標(チャックの周を描いた概ね円形の輪郭など)を有する。
【0023】
処理ユニットによってエンドエフェクタ中心およびチャック中心が決定されると、これらの2つの中心間のズレ(すなわち「差分」)が計算される。次いで、エンドエフェクタを理論的なエンドエフェクタ/チャック・アラインメント位置から実際のエンドエフェクタ/チャック・アラインメント位置へ移動させるために必要とされる位置ベクトルが計算される。この位置ベクトルは、次いで、ロボットコントローラがエンドエフェクタ/チャック・ミスアラインメントを補償することを可能にするために、ロボットコントローラに提供される。
【0024】
1つ以上の実施形態では、in-situ光学的技術は、エンドエフェクタおよびチャックが生産条件下においてプラズマ処理チャンバ内に置かれている間に、エンドエフェクタおよびチャックの光学的画像を得ることができる画像取得装置(例えばカメラおよび/またはレンズ)を用いる。言い換えると、エンドエフェクタ校正プロセス時に、プラズマ処理チャンバを、生産時に存在する真空条件と実質的に同様な真空条件下に置くことができる。カメラおよび/またはレンズは、プラズマ処理チャンバの内側に置かれるか、または好ましくはプラズマ処理チャンバの外側に置かれ、ただし上記の視覚的指標を含むエンドエフェクタおよびチャックの領域への(例えば適切に設計された窓もしくは開口を通じた)光学的アクセスを有するかしてよい。生産時に見舞われる条件と実質的に同一の条件下で校正を実施することによって、圧力差ゆえに生じる校正誤差が実質的に解消される。
【0025】
発明の1つ以上の実施形態では、エンドエフェクタは、記録線を提供される。記録線は、in-situ光学的校正時に記録線の静止画像が撮影可能であるように、エンドエフェクタ上に位置決めされる。エンドエフェクタ上の記録線は、一実施形態では、中心をエンドエフェクタ規定中心に一致させた円の弧であるように構成される。記録線/弧が一部をなす円の弧および中心を決定することによって、エンドエフェクタ規定中心を決定することができる。しかしながら、その他の実施形態では、エンドエフェクタ規定中心を得るために用いることができる何か代わりの基準マークが用いられてもよいと考えられる。
【0026】
さらに、in-situ光学的校正時に、画像取得装置(カメラおよび/またはレンズ)は、チャックの中心を推定するために使用することができるチャックの周またはチャックのもしくはチャック上の視覚的指標も部分的にあるいは全体的に画像に取り込むように位置決めされる。処理ユニットがチャックの中心を決定することを可能にするために、エンドエフェクタの場合と同様に、チャック用に、1つ以上の視覚的指標を提供することができる。一実施形態では、チャックの外周自体がこのような所望の視覚的指標になっている。
【0027】
一実施形態では、チャックの視覚的指標(一実施形態では例えばチャックの円周)によって描かれる円を決定することによって、チャックの中心を決定することができる。前述のように、エンドエフェクタ中心およびチャック中心が決定されると、エンドエフェクタ/チャック・ミスアラインメントを補償するための補正因子として差(「Δ」)を決定して、ロボット制御システムに提供することができる。
【0028】
本発明の特徴および利点は、図面および以下の議論を参照にして、より良く理解されるであろう。
【0029】
図2は、in-situで(例えば半導体デバイス生産条件下でプラズマ処理システム220内において)機械的固定具を必要とせずにエンドエフェクタを校正するためのin-situ光学的エンドエフェクタ校正システム200の少なくとも一部分の上面図を描いたプラズマ処理システム220の概略を、本発明の一実施形態にしたがって示している。図2に見られるように、in-situ光学的エンドエフェクタ校正システム200は、記録マーク204を上に有するエンドエフェクタ202を含む。記録マーク204は、図2の例では、エンドエフェクタ202によって定義された中心に一致する中心を有する円の一部分を表す弧である。円の中心の決定、および円に対応するこのような弧の記録は、当業者の持つ技術の範囲内である。
【0030】
図2は、処理モジュール内のチャックを表すチャック206も示している。in-situ光学的エンドエフェクタ校正技術は、ロボットアーム制御システム222に必要な補正ベクトルを生成するために、in-situ光学的方法を使用して、チャックの中心およびエンドエフェクタ規定中心を決定するように構成される。校正時において、画像取得装置250(例えばエンドエフェクタ202およびチャック206の上方に配置されたカメラ)は、記録マーク204を含むエンドエフェクタ202の少なくとも一部分のおよびチャック206の少なくとも一部分の少なくとも1枚の静止画像を撮影することができる。なお、もし画像がカメラおよび/またはレンズ構成によって上方から撮影される場合は、チャック206の一部分がエンドエフェクタ202の下に隠れることがあることに留意されたい。
【0031】
それにもかかわらず、処理ユニット224(例えばロジックモジュール210に含まれる)は、チャック206の円周によって形成される円を再構成することおよびその円の中心(チャック202の中心を表す)を決定することができるであろう。同様に、処理ユニット224(例えばロジックモジュール210に含まれる)は、記録線/弧204によって一部を構成される円を再構成することおよびその円の中心を決定することができるであろう。この円は、図2において、破線の円212によって表される。
【0032】
図2は、また、上記の処理ユニット224によって決定されたエンドエフェクタ規定中心202を表すエンドエフェクタ中心214も示している。また、チャック206の中心を表すチャック中心216も示されている。次いで、エンドエフェクタ中心214からチャック中心216までの差ベクトル218が生成される。エンドエフェクタ中心214は、理論的なエンドエフェクタ/チャック・アラインメント位置を表し、チャック中心216は、実際のエンドエフェクタ/チャック・アラインメント位置を表すので、位置差ベクトル218は、エンドエフェクタ中心214をチャック中心216にアライメントするために必要とされる補正を表す。エンドエフェクタ214がチャック中心216にアラインメントされると、実際のエンドエフェクタ/チャック・アラインメントが実現される。この差ベクトル218をロボット制御システム222に提供することによって、ロボット制御システム222は、生産時に、位置差ベクトル218によって提供される距離および方向だけロボットをエンドエフェクタ中心214から移動させることによって、エンドエフェクタ/チャック・ミスアラインメントを効果的に補正することができる。
【0033】
図3は、in-situ光学的エンドエフェクタ校正方法について説明した流れ図を、本発明の一実施形態にしたがって示している。方法は、例えば、図2の例を参照にして論じられた1つ以上の部品を用いて実施することができる。工程302において、エンドエフェクタは、理論的なエンドエフェクタ/チャック・アラインメントに、すなわちチャックに対してエンドエフェクタが理論的に中心合わせされたとロボット制御システムによって見なされる位置に、ロボットアームによって移動される。工程304では、エンドエフェクタ、エンドエフェクタ上の視覚的指標、およびチャックの静止画像が、図2に関連して論じられた方式で撮影される。
【0034】
工程306では、エンドエフェクタ上の視覚的指標(例えば上記の記録マーク)を取得するためおよびチャックの外周によって形成される円を決定するために、画像処理が行われる。処理ユニットを補助するために、カメラおよび/またはレンズは、その光周波数、照明条件、開口、焦点、および/または視野などが、エンドエフェクタ中心およびチャック中心を決定するためのデータを提供する視覚的指標を処理ユニットが取得するのに最適であるように、構成することができる。
【0035】
一実施形態では、工程308は、画像内のコントラストをなす画素に沿って複数のデータ点を生成すること、および所望の円を再形成するために曲線適合法(カーブ・フィッティング)を実施することを伴う。このような画像処理技術および曲線適合技術は、その他の分野の当業者に周知であり、多くの既製の一般的処理ユニットパッケージ(例えば、ニュージャージー州ウッドクリフレイクのKeyence Corporationより入手可能な、CV-3002シリーズのコントローラCV-H3Nに使用されるKeyence通信ソフトウェアなど)を使用して達成することができる。
【0036】
工程310では、エンドエフェクタ規定中心は、エンドエフェクタの視覚的指標(例えば記録線)をもとに処理ユニットによって再形成される円から突き止められる。工程312では、チャックの中心は、チャックの視覚的指標(例えばチャックの外周)をもとに処理ユニットによって再形成される円から突き止められる。工程314では、エンドエフェクタ中心からチャック中心までの差ベクトルが決定される。工程316では、エンドエフェクタ/チャック・ミスアラインメントを補償するためにロボット制御システムが生産時にロボットアームを移動させることを可能にするために、この差ベクトルがロボット制御システムに提供される。
【0037】
以上からわかるように、発明の実施形態は、機械的固定具による先行技術の校正方式に関連した不利点をほとんど伴わない形でエンドエフェクタ校正を実現する。校正をin-situで実施することによって、生産時の条件が忠実に再現され、その結果、より正確な校正プロセスが得られる。これらの条件は、例えば、同様の真空条件および同様のロボットサーボパラメータを含む。機械的固定具が用いられないので、異なるプラズマ処理モジュール用に異なる機械的な校正用固定具を製造して大量の在庫を維持することによるコストが削減される。さらに、非接触式でかつ非物理的な校正技術の使用は、校正に関連したチャックの損傷および校正に関連した粒子汚染の可能性をなくし、チャンバおよび/または被製作デバイスを危険にさらすことなくもっと頻繁にかつ/または生産工程の途中で校正を実施することを可能にする。本発明は、幾つかの好ましい実施形態の観点から説明されているが、本発明の範囲に含まれる代替、置換、および均等物がある。本明細書では、様々な実施例が提供されるが、これらの実施例は、発明に対して例示的であって非限定的であることを意図される。
【0038】
また、名称および概要は、本明細書において便宜のために提供されたものであり、特許請求の範囲を解釈するために使用されるべきでない。さらに、要約は、極めて省略された形で記載され、本明細書において便宜のために提供されたものであり、したがって、特許請求の範囲に表された全体的発明を解釈するためにも制限するためにも用いられるべきでない。もし、本明細書において「集合(set)」という用語が用いられる場合は、このような用語は、ゼロの、1つの、または2つ以上の部材を対象範囲とした普通に理解される数学的意味を有することを意図される。また、本発明の方法および装置を実現するものとして多くの代替的方法があることにも留意するべきである。したがって、以下の添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨および範囲に含まれるものとしてこのようなあらゆる代替、置換、および均等物を含むものと解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理システムにおいてチャックに対するエンドエフェクタのアラインメントを校正するための方法であって、
前記エンドエフェクタを前記チャックの上に位置決めすることであって、前記チャックは、前記プラズマ処理システムの内側に配置され、前記プラズマ処理システムは、少なくとも1枚のウエハを、前記ウエハが前記チャック上に配された状態で処理するように構成される、ことと、
前記位置決め後に、前記チャックおよび前記エンドエフェクタの静止画像を撮影することと、
前記チャックの中心および前記エンドエフェクタによって定められるエンドエフェクタ規定中心を決定するために、前記静止画像を処理することと、
前記エンドエフェクタ規定中心と前記チャックの前記中心との間の位置差を決定することと、
前記エンドエフェクタが前記ウエハを運ぶときにロボットメカニズムが前記位置差を調整するように前記ロボットメカニズムを制御することを可能にするために、前記位置差をロボットコントローラに提供することと、を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
処理ユニットが前記静止画像をもとに前記エンドエフェクタ規定中心を決定することを可能にするために、前記エンドエフェクタ上に第1の視覚的指標を提供することであって、前記第1の視覚的指標は、前記エンドエフェクタ規定中心を導き出すために用いられる基準マークを表す、ことを備える方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1の視覚的指標は、記録線であり、前記記録線は、円の中心が前記エンドエフェクタ規定中心に一致するような円の弧であるように構成される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
処理ユニットが前記静止画像をもとに前記チャックの前記中心を決定することを可能にするために、前記チャック上に第1の視覚的指標を提供することであって、前記第1の視覚的指標は、前記第1の視覚的指標によって描かれる円を決定することによって、前記チャックの前記中心の決定を可能にするために用いられる、ことを備える方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記第1の視覚的指標は、前記チャックの外周である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記エンドエフェクタおよび前記チャックが生産条件において校正されるように前記チャックおよび前記エンドエフェクタの前記静止画像を撮影するために、画像取得装置を用いることを備える方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記画像取得装置の少なくとも一部分は、プラズマ処理チャンバの内側に実装される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記エンドエフェクタの第1の視覚的指標の少なくとも一部の画像および前記チャックの第1の視覚的指標の少なくとも一部の画像の両方を前記静止画像が含むことを可能にする光学的アクセスを通じて前記静止画像を取得することであって、前記エンドエフェクタの前記第1の視覚的指標は、前記エンドエフェクタ規定中心を導き出すために用いられる基準マークを表し、前記チャックの前記第1の視覚的指標は、前記チャックの前記第1の視覚的指標によって描かれる円を決定するために用いられる、ことを備える方法。
【請求項9】
プラズマ処理システムにおいてチャックに対するエンドエフェクタのアラインメントを校正するためのエンドエフェクタ校正システムであって、
少なくとも前記チャックおよび前記エンドエフェクタの両方の1枚以上の静止画像を撮影するように構成された画像取得装置であって、前記チャックは、前記プラズマ処理システムの内側に配置され、前記プラズマ処理システムは、少なくとも1枚のウエハを、前記ウエハが前記チャック上に配された状態で処理するように構成される、画像取得装置と、
処理ユニットであって、少なくとも、
前記エンドエフェクタによって定められたエンドエフェクタ規定中心および前記チャックの中心を決定するために、少なくとも前記チャックおよび前記エンドエフェクタの両方の前記1枚以上の静止画像を処理すること、ならびに
前記エンドエフェクタ規定中心と前記チャックの前記中心との間の位置差を決定すること、を実施するための処理ユニットと、
ロボットアームが前記位置差を調整することを可能にするために前記位置差を使用するように構成されたロボットコントローラと、を備えるシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、
前記エンドエフェクタは、第1の視覚的指標を備えており、前記第1の視覚的指標によって、前記処理ユニットが前記1枚以上の静止画像をもとに前記エンドエフェクタ規定中心を決定することが可能になり、前記第1の視覚的指標は、前記エンドエフェクタ規定中心を導き出すために用いられる基準マークを表す、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、
前記第1の視覚的指標は、記録線であり、前記記録線は、円の中心が前記エンドエフェクタ規定中心に一致するような円の弧であるように構成される、システム。
【請求項12】
請求項9に記載のシステムであって、
前記チャックは、第1の視覚的指標を備えており、前記第1の視覚的指標によって、前記処理ユニットが前記1枚以上の静止画像をもとに前記チャックの前記中心を決定することが可能になり、前記第1の視覚的指標は、前記第1の視覚的指標によって描かれる円を決定することによって、前記チャックの前記中心の決定を可能にするために用いられる、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、
前記第1の視覚的指標は、少なくとも1つの前記チャックの外周である、システム。
【請求項14】
請求項9に記載のシステムであって、
前記画像取得装置の少なくとも一部分は、プラズマ処理チャンバの内側に実装される、システム。
【請求項15】
請求項9に記載のシステムであって、
前記1枚以上の静止画像は、前記エンドエフェクタの第1の視覚的指標の少なくとも一部の画像および前記チャックの第1の視覚的指標の少なくとも一部の画像の両方を前記1枚以上の静止画像が含むことを可能にする光学的アクセスを通じて取得され、前記エンドエフェクタの前記第1の視覚的指標は、前記エンドエフェクタ由来中心を導き出すために用いられる基準マークを表し、前記チャックの前記第1の視覚的指標は、前記チャックの前記第1の視覚的指標によって描かれる円を決定するために用いられる、システム。
【請求項16】
チャックに対するエンドエフェクタのアラインメントの校正を実施するためのプラズマ処理システムであって、前記エンドエフェクタは、前記チャックの上において移動可能であるように構成され、前記プラズマ処理システムは、
前記エンドエフェクタおよび前記チャックの上方に配置された光学的撮像システムであって、少なくとも前記チャックおよび前記エンドエフェクタの両方の1枚以上の静止画像を取得するように構成され、前記チャックは、前記プラズマ処理システムの内側に配置され、前記プラズマ処理システムは、少なくとも1枚のウエハを、前記ウエハが前記チャック上に配された状態で処理するように構成される、光学的撮像システムと、
少なくとも前記チャックおよび前記エンドエフェクタの両方の前記1枚以上の静止画像に基づいて、前記チャックの中心および前記エンドエフェクタによって定められたエンドエフェクタ規定中心を、決定するように構成された処理ユニットと、
前記エンドエフェクタ規定中心と前記チャックの前記中心との間の位置差を決定するように構成されたロジックモジュールと、
ロボットアームが前記位置差を調整することを可能にするために前記位置差を使用するように構成されたロボットコントローラと、を備えるシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、
前記エンドエフェクタは、第1の視覚的指標を備えており、前記第1の視覚的指標によって、前記処理ユニットが前記1枚以上の静止画像をもとに前記エンドエフェクタ規定中心を決定することが可能になり、前記第1の視覚的指標は、前記エンドエフェクタ規定中心を導き出すために用いられる基準マークを表す、システム。
【請求項18】
請求項16に記載のシステムであって、
前記チャックは、第1の視覚的指標を備えており、前記第1の視覚的指標によって、前記処理ユニットが前記1枚以上の静止画像をもとに前記チャックの前記中心を決定することが可能になり、前記第1の視覚的指標は、前記第1の視覚的指標によって描かれる円を決定することによって、前記チャックの前記中心の決定を可能にするために用いられる、システム。
【請求項19】
請求項16に記載のシステムであって、
前記光学的撮像システムの少なくとも一部分は、プラズマ処理チャンバの内側に実装される、システム。
【請求項20】
請求項16に記載のシステムであって、
前記1枚以上の静止画像は、前記エンドエフェクタの第1の視覚的指標の少なくとも一部の画像および前記チャックの第1の視覚的指標の少なくとも一部の画像の両方を前記1枚以上の静止画像が含むことを可能にする光学的アクセスを通じて取得され、前記エンドエフェクタの前記第1の視覚的指標は、前記エンドエフェクタ規定中心を導き出すために用いられる基準マークを表し、前記チャックの前記第1の視覚的指標は、前記チャックの前記第1の視覚的指標によって描かれる円を決定するために用いられる、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−508453(P2011−508453A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540807(P2010−540807)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/087556
【国際公開番号】WO2009/086027
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】