説明

ベルト式無段変速機

【課題】ベルトすべりの発生を抑制できるベルト式無段変速機を提供することにある。
【解決手段】油圧室内の作動油の量により径が変化する2つのプーリと、該2つのプーリの間に掛けられ、一方のプーリの回転を他方のプーリに伝達するベルトとを有し、2つのプーリの径を相対的に変化させて変速比を変化させるベルト式無段変速機であって、作動油を油圧室内に閉じ込める閉じ込み制御モード中に前記切換機構制御手段が断線していることを検出したら、作動油供給排出手段から第2油圧室に作動油を供給し、その後、作動油供給排出手段から第1油圧室に作動油を供給して、第1油圧室と第2油圧室の油圧を調整することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト式無段変速機に関し、さらに詳しくは、油圧室内の作動油の圧力によって変速比が調節されるベルト式無段変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧室に作動油を供給し、その作動油の圧力によって変速比が調節されるベルト式無断変速機がある。例えば、特許文献1には、油圧室の外部から油圧室への作動油の供給を許可する供給側弁と、可動シーブの固定シーブに対する軸方向における位置を一定とする際に油圧室から外部への作動油の排出を禁止する排出側制御弁とを備えるベルト式無段変速機が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、位置決め油圧室からの作動油の排出の許容あるいは禁止を制御し、プーリと一体に回転する作動油排出弁と、該作動油排出弁により油圧室から排出される作動油の排出流量を制御する排出流量制御弁と、を有し、排出流量制御弁は、作動油排出弁の開弁時に、油圧室の油圧が開閉弁方向に作用しない位置に配置されているベルト式無段変速機が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−300270号公報
【特許文献2】特開2008−101751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている装置のように、油圧室から作動油が排出されることを禁止する排出側制御弁、つまり切換機構を設けることで、変速比の固定時にオイルポンプを作動させて油圧室内を一定に維持させるように制御する必要がなくなるため、オイルポンプの動力損失を低減させることができ、かつ、変速比をより確実に固定することができる。また、特許文献2に記載されているように、油圧室の油圧が開閉弁方向に作用しない位置に配置されている排出流量制御弁により油圧室から排出する作動油の流量を制御することで、排出流量の制御性を向上させることができる。
【0006】
ここで、特許文献1及び特許文献2には、上述のような有利な効果を得ることができるが、エネルギー効率を向上させるために、変速比の固定時は、オイルポンプから油圧室に供給する作動油の油圧の圧力を低くしているため、変速比の固定時に油圧室内の油圧が低下すると、可動シーブが移動してしまい、ベルトすべりが発生するという問題がある。ベルトすべりは、ベルトやプーリの耐久性を低下させるおそれがあるため、問題である。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ベルトすべりの発生を抑制することができるベルト式無段変速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、固定シーブ及び固定シーブに対して移動する可動シーブを備え、固定シーブと可動シーブとの間隔を調節できる2つのプーリと、該2つのプーリの間に掛けられ、一方のプーリの回転を他方のプーリに伝達するベルトとを有し、2つのプーリの径を相対的に変化させて変速比を変化させるベルト式無段変速機であって、動力発生手段と連結され、前記動力発生手段とともに回転する第1プーリ軸、前記第1プーリ軸に連結された第1固定シーブ、前記第1プーリ軸の前記第1固定シーブに対向する位置に連結されて、前記第1プーリ軸の軸方向に移動可能な第1可動シーブ、および、前記第1プーリ軸に設けられ、内部に注入された作動油により前記第1可動シーブに前記第1プーリ軸の軸方向の力を付与する第1油圧室を備える第1プーリと、前記第1プーリ軸と平行に配置された第2プーリ軸、前記第2プーリ軸に連結された第2固定シーブ、前記第2プーリ軸の前記第2固定シーブに対向する位置に連結されて、前記第2プーリ軸の軸方向に移動可能な第2可動シーブ、および、前記第2プーリ軸に設けられ、内部に注入された作動油により前記第2可動シーブに前記第2プーリ軸の軸方向の力を付与する第2油圧室を備える第2プーリと、前記第1プーリと前記第2プーリとの間に掛けられ、前記第1プーリの回転を前記第2プーリに伝達するベルトと、前記第1油圧室に前記作動油を供給し、かつ、前記第1油圧室から前記作動油を排出し、また、前記第2油圧室に前記作動油を供給し、かつ、前記第2油圧室から前記作動油を排出する作動油供給排出手段と、前記第1油圧室と前記作動油供給排出手段との間の前記作動油の流路に配置され、前記作動油供給排出手段と前記第1油圧室との間で前記作動油の流通が可能な状態と、流通が禁止された状態とを切り替える切換機構と、前記切換機構の動作を制御する切換機構制御手段と、前記切換機構により前記作動油供給排出手段と前記第1油圧室との間で前記作動油の流通を禁止させ、前記第1油圧室の油圧を内部に閉じ込める閉じ込み制御モードと、前記切換機構により前記作動油供給排出手段と前記第1油圧室との間で前記作動油の流通が可能な状態とし、前記作動油供給排出手段により前記第1油圧室内の油圧を調整する油圧制御モードとのいずれか選択し、入力された変速比となるように、前記作動油供給排出手段および切換機構の動作を制御して前記第1油圧室内の前記作動油の量を調整する油圧制御手段と、を有し、前記油圧制御手段は、閉じ込み制御モード中に前記切換機構制御手段が断線していることを検出したら、前記作動油供給排出手段から前記第2油圧室に作動油を供給し、その後、前記作動油供給排出手段から前記第1油圧室に作動油を供給して、前記第1油圧室と前記第2油圧室の油圧を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるベルト式無段変速機は、ベルトすべりの発生を抑制することができ、故障しにくくすることができ、装置としての寿命を延ばすことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という。)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
図1は、本実施形態に係るベルト式無段変速機を備えた車両の動力伝達部分における全体の構成を示す概念図である。図2−1及び図2−2は、図1に示すベルト式無段変速機の概略構成を拡大して示す概念図であり、図3は、油圧制御装置の概略構成を模式的に示す概念図である。ここで、図2−1は、後述する切換機構100が開弁している状態を示しており、図2−2は、後述する切換機構100が閉弁している状態を示している。
【0012】
図1に示すように、車両10の動力伝達機構は、ベルト式無段変速機22と、内燃機関12と、トルクコンバータ16と、前後進切換機構20と、減速装置24と、差動装置28と、を備える。内燃機関12は、円筒形状に形成されるシリンダの中心軸方向にピストンが往復運動し、前記ピストンの往復運動を回転運動に変換するクランクシャフト14から回転を出力する。なお、内燃機関12は、ピストンとシリンダとを備えるいわゆるレシプロ式の内燃機関に限定されない。内燃機関12は、回転力を出力できるものであればよく、例えば、内燃機関12は、ロータリー式の内燃機関でもよいし、モータでもよい。
【0013】
トルクコンバータ16は、流体クラッチの一種であり、作動油により、内燃機関12から取り出された回転を前後進切換機構20に伝える。また、トルクコンバータ16は、内燃機関12から取り出されたトルクを増幅する。
【0014】
前後進切換機構20は、トルクコンバータ16から取り出された回転をベルト式無段変速機22に伝える機構であり、必要に応じてトルクコンバータ16から取り出した回転の方向を切り替えてベルト式無段変速機22に伝達する。
【0015】
ベルト式無段変速機22は、前後進切換機構20から入力される回転の回転速度を所望の回転速度に変更して出力する。なお、ベルト式無段変速機22の詳細な説明は後述する。
【0016】
減速装置24は、ベルト式無段変速機22からの回転の回転速度を減速して差動装置28に前記回転を伝える。
【0017】
差動装置28は、車両10が旋回する際に生じる旋回の中心側、つまり内側の車輪34と、外側の車輪34との回転速度の差を吸収する。
【0018】
上記構成要素によって車両10の動力伝達機構は形成される。内燃機関12から取り出された回転は、クランクシャフト14を介してトルクコンバータ16に伝えられる。トルクコンバータ16によってトルクが増幅された回転は、トルクコンバータ16のインプットシャフト18を介して前後進切換機構20に伝えられる。
【0019】
前後進切換機構20によって回転方向が切り替えられた回転は、入力側のシャフトとしてのプライマリシャフト51を介してベルト式無段変速機22に伝えられる。ベルト式無段変速機22によって、回転速度を変更された回転は、減速装置24に伝えられる。
【0020】
減速装置24によって減速された回転は、減速装置24のファイナルドライブピニオン26と、ファイナルドライブピニオン26に噛み合う差動装置28のリングギヤ30とを介して差動装置28に伝えられる。
【0021】
差動装置28に伝えられた回転は、ドライブシャフト32に伝達される。ドライブシャフト32の差動装置28側とは反対側には、車輪34が取り付けられる。ドライブシャフト32に伝えられた回転は車輪34に伝達される。これにより、車輪34は回転し、車輪34が路面に前記回転を伝達することにより車両10は走行する。
【0022】
ベルト式無段変速機22は、プライマリプーリ50と、セカンダリプーリ60と、ベルト80とを含んで構成される。ベルト式無段変速機22は、プライマリプーリ50に回転が入力される。プライマリプーリ50に入力された回転は、セカンダリプーリ60に伝えられる。この時、前記回転は、その回転速度を調整される。
【0023】
セカンダリプーリ60に伝えられた回転は、減速装置24に伝えられる。なお、入力軸であるプライマリシャフト51の回転速度を出力側のシャフトとしてのセカンダリシャフト61の回転速度で除算した値を変速比という。また、変速比を変更することを、以下、変速という。
【0024】
ベルト式無段変速機22は、プライマリプーリ50とセカンダリプーリ60とが、ほぼ同様に構成される。よって、本実施形態では、プライマリプーリ50を主に説明する。
【0025】
プライマリプーリ50は、プライマリシャフト51と、プライマリ固定シーブ52と、プライマリ可動シーブ53と、プライマリ油圧室54と、スプライン55と、プライマリ隔壁56とを備える。プライマリシャフト51は、図1、図2−1および図2−2に示すように、軸受81、軸受82によってインプットシャフト18の回転軸と同軸上に回転可能に支持される。ここで、セカンダリシャフト61は、図1に示すように、軸受83、軸受84によってプライマリシャフト51に対して平行に回転可能に支持される。
【0026】
プライマリシャフト51は、筒状に形成される。図2−1および図2−2に示すように、プライマリシャフト51は、回転軸RLを軸として回転する。プライマリ固定シーブ52は、通常は、プライマリシャフト51と一体に形成される。なお、プライマリ固定シーブ52は、プライマリシャフト51と別個に形成され、プライマリシャフト51に固定して設けられてもよい。このように構成されて、プライマリ固定シーブ52は、回転軸RLを軸にプライマリシャフト51と一体に回転する。ここで、回転軸RLと直交する方向を径方向という。プライマリ固定シーブ52は、プライマリシャフト51の外周から径方向に突出して形成される。
【0027】
プライマリ可動シーブ53は、プライマリシャフト51とは別個に形成される。プライマリ可動シーブ53は、プライマリシャフト51が嵌め込まれる貫通孔を有して形成される。前記貫通孔の内周面には、スプライン55が形成される。プライマリ可動シーブ53は、スプライン55を介してプライマリシャフト51に嵌め込まれて取り付けられる。プライマリ可動シーブ53は、プライマリ固定シーブ52と対向してプライマリシャフト51に嵌め込まれる。
【0028】
スプライン55は、プライマリ可動シーブ53がプライマリシャフト51上をプライマリシャフト51の回転軸RLに沿って摺動できるようにプライマリ可動シーブ53を支持する。加えて、スプライン55は、プライマリシャフト51からプライマリ可動シーブ53へ回転軸RLを軸とする回転を伝える。よって、プライマリ可動シーブ53は、スプライン55により、プライマリシャフト51上をスライドして移動すると共に、プライマリシャフト51と一体に回転する。
【0029】
プライマリ固定シーブ52とプライマリ可動シーブ53との間には、略V字形状のプライマリ溝80aが形成される。また、プライマリ可動シーブ53がプライマリシャフト51上を摺動することにより、プライマリ固定シーブ52とプライマリ可動シーブ53との距離が変化する。ここで、セカンダリプーリ60にも、図1に示すように、プライマリ溝80aと同様のセカンダリ溝80bが形成される。
【0030】
プライマリ溝80aとセカンダリ溝80bとの間には、金属製の無端ベルトであるベルト80が巻き掛けられている。ベルト80は、プライマリプーリ50の回転をセカンダリプーリ60へ伝える。
【0031】
図2−1および図2−2に示すように、プライマリ油圧室54は、プライマリシャフト51と、プライマリ可動シーブ53と、プライマリ隔壁56とによって囲まれて形成される空間である。プライマリ隔壁56は、貫通孔を有して形成される。プライマリ隔壁56は、前記貫通孔にプライマリシャフト51が嵌め込まれてプライマリシャフト51に設けられる。プライマリ隔壁56は、プライマリ可動シーブ53を境にして、プライマリ固定シーブ52側とは反対側に設けられる。
【0032】
プライマリ油圧室54は、プライマリ油圧室54に供給される作動油により、プライマリ可動シーブ53をプライマリ固定シーブ52側へ押す。これにより、プライマリシャフト51に沿って、プライマリ可動シーブ53がプライマリ固定シーブ52側へ押される。これにより、プライマリ油圧室54は、プライマリ溝80aに巻き掛けられるベルト80に対して挟圧力を発生させる。
【0033】
プライマリ油圧室54によりプライマリ可動シーブ53が移動され、プライマリ可動シーブ53とプライマリ固定シーブ52との距離が変化すると、セカンダリプーリ60が備えるセカンダリ固定シーブ62とセカンダリ可動シーブ63との距離もベルト80の張力を一定に保つように変化する。これにより、プライマリプーリ50に対するベルト80の接触半径と、セカンダリプーリ60に対するベルト80の接触半径とが変化する。このようにして、ベルト式無段変速機22は、内燃機関12から取り出された回転を変速する。
【0034】
プライマリシャフト51は、第1油路86を有する。第1油路86は、一方の端部が後述する切換機構100に接続され、他方の端部がプライマリ油圧室54に接続されている。これにより、第1油路86は、切換機構100とプライマリ油圧室54との間で作動油を流す。第1油路86は、プライマリシャフト51の回転軸RLに沿う方向に形成される複数の軸方向油路88と、回転軸RLと直交する方向に形成される複数の径方向油路90とを含んで形成される。
【0035】
切換機構100は、第2油路102と、弁体104と、ピストン106と、ピストン動作用油圧室108と、スプリング部110と、を有する。切換機構100は、プライマリ油圧室54と油圧制御装置130との間の油路上に配置されている。切換機構100は、図2−1に示すようにプライマリ油圧室54と油圧制御装置130とが連通された状態と、図2−2に示すようにプライマリ油圧室54と油圧制御装置130とが遮断された状態とを切り換える。
【0036】
第2油路102は、一方の端部が第1油路86と接続されており、他方の端部が油圧制御装置130と接続されている。また、第2油路102と第1油路86とは、第1油路86が回転しても第2油路102は回転しないように、例えばロータリージョイントで連結されている。また、第2油路102は、油路の途中に第1油路86から油圧制御装置130に向かうに従って油路が大きくなるテーパ面112が形成されている。
【0037】
弁体104は、テーパ面112の第1油路86側の端部の開口114よりも径が大きい球状の部材である。ピストン106は、受圧面106aと、棒状部106bとを有する。受圧面106aは、板状部材であり、後述するピストン動作用油圧室108の内部に配置されている。棒状部106bは、一方の端部が受圧面106aに固定され、他方の端部が弁体104に固定されている。ピストン動作用油圧室108は、箱状部材であり、上述したように内部に受圧面106aが配置されている。
【0038】
ピストン動作用油圧室108は、内部の空間部分の受圧面106aの表面に平行な面の面積が、受圧面106aの面積と略同一となる形状である。また、ピストン動作用油圧室108は、切換機構制御装置120と接続され、切換機構制御装置120から、ピストン動作用油圧室108は、受圧面106aの弁体104側の面とは反対側の面と、ピストン動作用油圧室108の内面とで形成される空間108aに作動油が供給、排出される。ピストン動作用油圧室108は、内部に作動油が供給されることで、受圧面106aを開口114側に押し出す。このように、ピストン動作用油圧室108により受圧面106aが押されることで、ピストン106が移動され、弁体104が移動される。
【0039】
スプリング110は、例えば、コイルばねであり、受圧面106aの棒状部106bが固定されている面と、その面と対面しているピストン動作用油圧室108の面との間に配置されている。スプリング110は、受圧面106aを開口114から離れる方向に押している。
【0040】
切換機構100は、以上のような構成であり、ピストン動作用油圧室108に作動油が供給され、内部の作動油の量が増え、受圧面106aが開口114側に押し出される。ここで、ピストン動作用油圧室108の内部の作動油の量が一定以上となると、図2−2に示すように、受圧面106aが開口114側に一定距離移動され、弁体104が開口114を塞ぎ、プライマリ油圧室54に作動油が閉じ込められた状態となる。つまり、プライマリ油圧室54の内部に作動油を供給することも、プライマリ油圧室54の内部から作動油を排出することもできず、プライマリ油圧室54の内部の作動油の量が変化しない状態となる。一方、ピストン動作用油圧室108内の作動油の量が一定以下の場合は、図2−1に示すように、弁体104と開口114との間に空間ができ、すなわち開弁し、プライマリ油圧室54と油圧制御装置130とが連通された状態となる。つまり、プライマリ油圧室54の内部に作動油を供給することができ、プライマリ油圧室54の内部から作動油を排出することができる状態となる。また、受圧面106aは、スプリング110により、開口114から離れる方向に押されているため、ピストン動作用油圧室108により受圧面106aが開口114側に押されていない状態のときは、弁体104は、移動領域の中で開口114から最も離れた位置に保持される。
【0041】
切換機構制御装置120は、後述する油圧制御装置130の作動油の油路と接続されており、油圧制御装置130から作動油が供給され、油圧制御装置130に作動油を排出する。切換機構制御装置120は、切換機構100のピストン動作用油圧室108に作動油を供給し、また、ピストン動作用油圧室108から作動油を排出し、弁体104の位置を制御する。切換機構制御装置120としては、例えば、切換機構100に供給する作動油の量をデューティー比で調整する、つまり、ONとOFFの時間の比で調整するデューティーソレノイドバルブを用いることができる。
【0042】
油圧制御装置130は、油圧制御手段であり、一方の挟圧力発生油圧室であるプライマリ油圧室54に対する作動油の供給排出を制御し、かつ、他方の挟圧力発生油圧室であるセカンダリ油圧室64に対する作動油の供給排出を制御するものである。また、油圧制御装置130は、プライマリ油圧室54およびセカンダリ油圧室64のそれぞれに供給される作動油の圧力、すなわち供給圧を制御するものでもある。また、油圧制御装置130は、上述した切換機構制御装置120に作動油を供給排出するものでもある。また、油圧制御装置130は、ベルト式無段変速機22および内燃機関12が搭載されている車両において作動油の供給を必要とする作動油供給部分に作動油を供給するものでもある。油圧制御装置130は、切換機構100が開弁され、プライマリプーリ油圧室54と連通した状態の時に、プライマリ油圧室54に作動油を供給し、さらに、プライマリ油圧室54から作動油を排出する。
【0043】
油圧制御装置130は、プライマリ油圧室54、セカンダリ油圧室64、切換機構制御装置120などに作動油を供給し、これらの油圧、作動油の供給流量、作動油の排出流量を制御することで、ベルト式無段変速機22の変速比γを制御するものでもある。なお、図3では、プライマリ油圧室54、セカンダリ油圧室64、切換機構制御装置120を除く作動油供給部分(上述した作動油供給部分や、ベルト式無段変速機22の潤滑部分(例えば、可動部品との間に摺動部を有する静止部品、可動部品あるいは静止部品との間に摺動部を有する可動部品))の図示は省略する。油圧制御装置130は、図3に示すように、オイルパン131、オイルポンプ132、ライン圧制御装置133と、一定圧制御装置134と、プライマリ油圧室用制御装置135と、セカンダリ油圧室用制御装置137と、を有する。
【0044】
オイルポンプ132は、オイルパン131に貯留されている作動油を吸引、加圧し、吐出するものである。オイルポンプ132は、油路R1を介してライン圧制御装置133に接続されている。オイルポンプ132によって加圧され、吐出された作動油は、ライン圧制御装置133に供給される。オイルポンプ132は、図1に示すように、トルクコンバータ16と前後進切換機構20との間に配置されている。このオイルポンプ132は、ロータ132aと、ハブ132bと、ボディ132cとにより構成されている。このオイルポンプ132は、ロータ132aにより円筒形状のハブ132bを介して、トルクコンバータ16のポンプに接続されている。また、ボディ132cは、ベルト式無段変速機22等を支持する筐体に固定されている。また、ハブ132bは、トルクコンバータ16の中空軸にスプライン嵌合されている。従って、オイルポンプ132は、内燃機関12からの出力トルクTがトルクコンバータ16のポンプを介してロータ132aに伝達されるので、駆動することができる。つまり、オイルポンプ132は、内燃機関12の回転数の上昇に応じて、吐出される作動油の吐出量が増量、すなわち吐出圧が上昇する。
【0045】
ライン圧制御装置133は、オイルポンプ132から吐出圧Poutで供給される作動油の圧力を所定のライン圧PLとなるように調圧する。具体的には、ライン圧制御装置133は、油路R1から油圧Poutで供給される作動油を、内燃機関12の出力トルクに応じて調圧し、ライン圧PLの作動油とする。また、ライン圧制御装置133は、油路R2を介してプライマリ油圧室用制御装置135の後述する供給側流量制御弁166の第2ポート166bと接続され、油路R2および分岐油路R21を介して一定圧制御装置134と接続され、油路R2および分岐油路R22を介してセカンダリ油圧室用制御装置137と接続されている。従って、ライン圧制御装置133により調圧されたライン圧PLの作動油は、供給側流量制御弁166の第2ポート166b、一定圧制御装置134、セカンダリ油圧室用制御装置137に導入される。
【0046】
ライン圧制御装置133は、オイルポンプ132から吐出された作動油の圧力を調圧する電磁弁、例えばリニアソレノイド弁が備えられている。ライン圧制御装置133は、ECU140と電気的に接続されおり、ECU140からの制御信号により、リニアソレノイド弁の弁開度が制御されることで、ライン圧PLを調圧することができる。実施形態では、ライン圧制御装置133は、ライン圧PLを制御することで、プライマリ油圧室用制御装置135を介して、プライマリ油圧室54に供給される作動油の圧力、すなわち供給圧を制御する。
【0047】
一定圧制御装置134は、ライン圧制御装置133から出力されたライン圧PLを常に一定の圧力となるように調圧する。具体的には、一定圧制御装置134は、油路R2および分岐油路R21から供給される油圧PLの作動油を調圧して、一定圧PSの作動油とする。一定圧制御装置134は、油路R3を介してプライマリ油圧室用制御装置135の後述する供給側制御弁162の第1ポート162aと接続され、油路R3および分岐油路R31を介してプライマリ油圧室用制御装置135の後述する排出側制御弁164の第1ポート164aと接続されている。従って、一定圧制御装置134により調圧された一定圧PSの作動油は、供給側制御弁162の第1ポート162a、排出側制御弁164の第1ポート164aに導入される。
【0048】
プライマリ油圧室用制御装置135は、プライマリ油圧室54への作動油の供給あるいはプライマリ油圧室54からの作動油の排出を制御する。プライマリ油圧室用制御装置135は、実施形態ではプライマリ油圧室54へ供給される作動油の供給流量およびプライマリ油圧室54から排出された作動油の排出流量を制御するものである。プライマリ油圧室用制御装置135は、供給側制御弁162と、排出側制御弁164と、供給側流量制御弁166と、排出側流量制御弁168と、を有する。
【0049】
供給側制御弁162は、供給側流量制御弁166によるプライマリ油圧室54に供給される作動油の供給流量制御を行う。供給側制御弁162は、ON/OFFにより、3つのポート、すなわち第1ポート162aと、第2ポート162bと、第3ポート162cとの連通を切り替えるものである。第1ポート162aは、上述のように一定圧制御装置134と接続されている。第2ポート162bは、油路R4を介して供給側流量制御弁166の後述する第1ポート166aと接続されている。また、第2ポート162bは、油路R4および分岐油路R41を介して排出側流量制御弁168の後述する第4ポート168dと接続されている。第3ポート162cは、合流油路R51および油路R5を介してオイルパン131と接続されている。つまり、第3ポート162cは、大気圧に解放されている。
【0050】
供給側制御弁162は、ONにされると、第1ポート162aと第2ポート162bとを連通させる。第1ポート162aと第2ポート162bとが連通されることで、供給側制御弁162に導入された一定圧PSの作動油が、供給側流量制御弁166の第1ポート166aに導入される。つまり、供給側制御弁162に導入された一定圧PSの作動油が第1ポート166aと連通する供給側流量制御弁166の後述する制御油圧室166eに導入される。また、供給側制御弁162に導入された一定圧PSの作動油が排出側流量制御弁168の第4ポート168dに導入される。一方、供給側制御弁162は、OFFとされると、第2ポート162bと第3ポート162cとを連通させる。また、供給側流量制御弁166の第1ポート166aは、供給側制御弁162を介して大気圧に解放される。これにより、制御油圧室166eは、供給側流量制御弁166の第1ポート166aを介して大気圧に解放される。また、排出側流量制御弁168の第4ポート168dは、供給側制御弁162を介して大気圧に解放される。なお、供給側制御弁162は、図3に示すように、ECU140と電気的に接続されており、ECU140からの制御信号によりデューティー制御される。従って、供給側制御弁162は、ECU140からの制御信号により、供給側流量制御弁166の制御油圧室166eを一定圧PSから大気圧までの間で調圧することができる。
【0051】
排出側制御弁164は、排出側流量制御弁168によるプライマリ油圧室54から排出される作動油の排出流量制御を行う。排出側制御弁164は、ON/OFFにより、3つのポート、すなわち第1ポート164aと、第2ポート164bと、第3ポート164cとの連通を切り替えるものである。第1ポート164aは、上述のように一定圧制御装置134と接続されている。第2ポート164bは、油路R6を介して排出側流量制御弁168の後述する第1ポート168aと接続されている。また、第2ポート164bは、油路R6および分岐油路R61を介して供給側流量制御弁166の後述する第4ポート166dと接続されている。第3ポート164cは、油路R5を介してオイルパン131と接続されている。つまり、第3ポート164cは、大気圧に解放されている。
【0052】
排出側制御弁164は、ONにされると、第1ポート164aと第2ポート164bとを連通させる。第1ポート164aと第2ポート164bとが連通されることで、排出側制御弁164に導入された一定圧PSの作動油が、排出側流量制御弁168の第1ポート168aに導入される。つまり、排出側制御弁164に導入された一定圧PSの作動油が第1ポート168aと連通する排出側流量制御弁168の後述する制御油圧室168eに導入される。また、排出側制御弁164に導入された一定圧PSの作動油が供給側流量制御弁166の第4ポート166dに導入される。一方、排出側制御弁164は、OFFとされると、第2ポート164bと第3ポート164cとを連通させる。また、排出側流量制御弁168の第1ポート168aは、排出側制御弁164を介して大気圧に解放される。これにより、制御油圧室168eは、排出側流量制御弁168の第1ポート168aを介して大気圧に解放される。また、供給側流量制御弁166の第4ポート166dは、排出側制御弁164を介して大気圧に解放される。なお、排出側制御弁164は、図3に示すように、ECU140と電気的に接続されており、ECU140からの制御信号によりデューティー制御される。従って、排出側制御弁164は、ECU140からの制御信号により、排出側流量制御弁168の制御油圧室168eを一定圧PSから大気圧までの間で調圧することができる。
【0053】
供給側流量制御弁166は、プライマリ油圧室54に供給される作動油の供給流量を制御する。供給側流量制御弁166は、第1ポート166aと、第2ポート166bと、第3ポート166cと、第4ポート166dと、制御油圧室166eと、スプール166fと、スプール弾性部材166gと、を有する。第1ポート166aは、上述のように供給側制御弁162の第2ポート162bと接続されている。第2ポート166bは、上述のように、ライン圧制御装置133と接続されている。第3ポート166cは、油路R7を介してプライマリ油圧室54と接続されている。ここでは、第3ポート166cは、油路R7、切換機構100および第1油路86を介してプライマリ油圧室54と接続されている。第4ポート166dは、上述のように排出側制御弁164の第2ポート164bと接続されている。なお、同図に示すように、供給側制御弁162の第2ポート162bと供給側流量制御弁166の第1ポート166aとの間、ライン圧制御装置133と供給側流量制御弁166の第2ポート166bとの間に、オリフィス170a、170b、すなわち絞りを設け、供給側制御弁162から供給側流量制御弁166へ流入する作動油およびライン圧制御装置133から供給側流量制御弁166へ流入する作動油の圧力あるいは流量を調整しても良い。
【0054】
制御油圧室166eは、第1ポート166aと連通するものであり、その油圧によりスプール166fをスプール166fが移動する方向のうち一方向(図3では、第1ポート166aから第4ポート166dに向かう方向、以下「第1の方向」ともいう。)に押圧するスプール開弁方向押圧力をスプール166fに作用させるものである。スプール166fは、プライマリ油圧室用制御装置135内で移動自在に支持されており、第1の方向に移動されることで第2ポート166bと第3ポート166cとを連通させ、移動方向のうち他方向(図3では、第4ポート166dから第1ポート166aに向かう方向、以下「第2の方向」ともいう。)に移動されることで、第2ポート166bと第3ポート166cとの連通を遮断するものである。スプール弾性部材166gは、スプール166fと、スプール166fに対して静止している部材との間に付勢された状態で配置されている。従って、スプール弾性部材166gは、スプール付勢力を発生しており、スプール付勢力によりスプール166fを第2の方向に押圧するスプール閉弁方向押圧力をスプール166fに作用させるものである。
【0055】
供給側流量制御弁166は、スプール166fに作用する上記スプール開弁方向押圧力が上記スプール閉弁方向押圧力を超えることで、スプール166fが第1の方向に移動する。ここで、供給側流量制御弁166は、スプール166fの第1の方向への移動量の増加に伴い、第2ポート166bと第3ポート166cとの連通の度合い、すなわち第2ポート166bと第3ポート166cとを連通する流路の流路断面積が増加する。つまり、供給側流量制御弁166は、供給側制御弁162により調圧された制御油圧室166eの油圧により、スプール166fを移動させることで、2つのポート、すなわち第2ポート166bと第3ポート166cとの連通を制御し、プライマリ油圧室54への作動油の供給流量を制御する。
【0056】
排出側流量制御弁168は、プライマリ油圧室54から排出される作動油の排出流量を制御する。排出側流量制御弁168は、第1ポート168aと、第2ポート168bと、第3ポート168cと、第4ポート168dと、制御油圧室168eと、スプール168fと、スプール弾性部材168gとを有する。第1ポート168aは、上述のように排出側制御弁164の第2ポート164bと接続されている。第2ポート168bは、合流油路R52、合流油路R51および油路R5を介してオイルパン131と接続されている。つまり、第2ポート168bは、大気圧に解放されている。第3ポート168cは、分岐油路R71および油路R7を介してプライマリ油圧室54と接続されている。実施形態では、第3ポート168cは、分岐油路R71、油路R7、切換機構100および第1油路86を介してプライマリ油圧室54と接続されている。第4ポート168dは、上述のように供給側制御弁162の第2ポート162bと接続されている。なお、同図に示すように、排出側制御弁164の第2ポート164bと排出側流量制御弁168の第1ポート168aとの間に、オリフィス170c、すなわち絞りを設け、排出側制御弁164から排出側流量制御弁168へ流入する作動油の圧力あるいは流量を調整しても良い。
【0057】
制御油圧室168eは、第1ポート168aと連通するものであり、その油圧によりスプール168fをスプール168fが移動する方向のうち一方向(図3では、第1ポート168aから第4ポート168dに向かう方向、以下「第3の方向」ともいう。)に押圧するスプール開弁方向押圧力をスプール168fに作用させるものである。スプール168fは、プライマリ油圧室用制御装置135内で移動自在に支持されており、第3の方向に移動されることで第2ポート168bと第3ポート168cとを連通し、移動方向のうち他方向(図3では、第4ポート168dから第1ポート168aに向かう方向、以下「第4の方向」ともいう。)に移動されることで、第2ポート168bと第3ポート168cとの連通を遮断するものである。スプール弾性部材168gは、スプール168fと、スプール168fに対して静止している部材との間に付勢された状態で配置されている。従って、スプール弾性部材168gは、スプール付勢力を発生しており、スプール付勢力によりスプール168fを第4の方向に押圧するスプール閉弁方向押圧力をスプール168fに作用させるものである。
【0058】
排出側流量制御弁168は、スプール168fに作用する上記スプール開弁方向押圧力が上記スプール閉弁方向押圧力を超えることで、スプール168fが第3の方向に移動する。ここで、排出側流量制御弁168は、スプール168fの第3の方向への移動量の増加に伴い、第2ポート168bと第3ポート168cとの連通の度合い、すなわち第2ポート168bと第3ポート168cとを連通する流路の流路断面積が増加する。つまり、排出側流量制御弁168は、排出側制御弁164により調圧された制御油圧室168eの油圧により、スプール168fが移動することで、2つのポート、すなわち第2ポート168bと第3ポート168cとの連通を制御し、排出流量を制御する。
【0059】
セカンダリ油圧室用制御装置137は、セカンダリ油圧室64への作動油の供給あるいはセカンダリ油圧室64からの作動油の排出を制御するものである。セカンダリ油圧室用制御装置137には、上述のように、ライン圧制御装置133からライン圧PLが導入される。セカンダリ油圧室用制御装置137は、油路R9を介してセカンダリ油圧室64と接続されている。実施形態では、セカンダリ油圧室用制御装置137は、油路R9、セカンダリプーリ軸61の図示しない作動油通路および図示しない作動流体供給孔を介してセカンダリ油圧室64と接続されている。セカンダリ油圧室用制御装置137は、図示しない流量制御弁などを備える。セカンダリ油圧室用制御装置137は、ECU140と電気的に接続されおり、ECU140からの制御信号により制御され導入されたライン圧PLを調圧する。
【0060】
ECU140は、制御手段であり、記憶手段142と、油圧制御手段144と、入力回転数センサ150と、出力回転数センサ152とを有する。また、ECU140は、切換機構制御装置120と油圧制御装置130と内燃機関12とに接続されている。記憶手段142には、車両の速度や運転者のアクセル開度などの諸条件に応じて各部の動作パラメータを決定するためのマップ、例えば、機関回転数とスロットルバルブのスロットル開度に基づく最適燃費曲線などが記憶されている。
【0061】
油圧制御手段144は、運転条件、および、記憶手段142に記憶された各種データに基づいて、切換機構制御装置120、油圧制御装置130および内燃機関12を制御する。具体的には、油圧制御手段144は、現状の変速比、目標とする変速比等の運転条件、および、記憶手段142に記憶された各種データに基づいて、ライン圧制御装置133、プライマリ油圧室用制御装置135、セカンダリ油圧室用制御装置137の制御信号を生成し、油圧制御装置130に出力する。このように、油圧制御手段144は、油圧制御装置130に出力した制御信号により、ライン圧制御装置133、プライマリ油圧室用制御装置135、セカンダリ油圧室用制御装置137を制御することで、後述する検出された入力回転数Ninおよび検出された出力回転数Noutに基づく変速比γが目標変速比γoとなるように、油圧制御装置130を制御する。ここで、変速比γは、入力回転数を出力回転数で割った値、つまり、γ=Nin/Noutである。また、油圧制御手段144は、切換機構制御装置120を制御し、プライマリ油圧室54内の作動油を閉じ込め状態とする閉じ込め制御モードと、プライマリ油圧室54内に作動油を供給排出し、プライマリ油圧室54内の作動油の量を制御する油圧制御モードとを切り換える。つまり、油圧制御手段144は、切換機構制御装置120を制御し、プライマリ可動シーブ53の位置を固定するか否かを制御する。さらに、ECU140は、内燃機関12に出力した制御信号により、内燃機関12の図示しない燃料噴射弁、点火プラグ、スロットル弁を制御することで、内燃機関12の出力トルクTを制御する。なお、ECU140の基本構成は、従来の車両に搭載されているECUと同様の基本構成であるので説明は省略する。
【0062】
入力回転数センサ150は、ベルト式無段変速機22の入力側の回転数である入力回転数Ninを検出するものである。入力回転数センサ150は、ECU140と接続されており、検出された入力回転数NinがECU140に出力される。入力回転数センサ150は、例えばプライマリプーリ軸51の回転数を入力回転数Ninとして検出するものである。
【0063】
出力回転数センサ152は、ベルト式無段変速機22の出力側の回転数である出力回転数Noutを検出するものである。出力回転数センサ152は、ECU140と接続されており、検出された出力回転数NoutがECU140に出力される。出力回転数センサ152は、例えばセカンダリプーリ軸61の回転数を出力回転数Noutとして検出する。
【0064】
次に、実施形態にかかるベルト式無段変速機22の動作について説明する。まず、一般的な車両の前進、後進について説明する。車両に設けられたシフトポジション装置により、運転者が前進ポジションを選択した場合は、ECU140が油圧制御装置130から供給された作動油により前後進切換機構20を制御する。具体的には、前後進切換機構20のフォワードクラッチをON、リバースブレーキをOFFとし、インプットシャフト18とプライマリプーリ軸51とを直結させた状態とする。これにより、内燃機関12からの出力トルクTがプライマリプーリ50に伝達され、プライマリプーリ軸51が内燃機関12のクランクシャフト14の回転方向と同一方向に回転される。内燃機関12からの出力トルクTは、ベルト80を介してプライマリプーリ50からセカンダリプーリ60に伝達される、セカンダリプーリ60が回転されることでセカンダリプーリ軸61が回転される。
【0065】
セカンダリプーリ60に伝達された内燃機関12の出力トルクTは、ベルト式無段変速機22のセカンダリプーリ軸61から減速装置24に伝達され、減速装置24からドライブシャフト32に伝達され、ドライブシャフト32の端部に取り付けられた車輪34に伝達される。車輪34が路面に対して回転することで、車両10は前進する。
【0066】
一方、車両に設けられたシフトポジション装置により、運転者が後進ポジションを選択した場合は、ECU140が、油圧制御装置130から供給された作動油により前後進切換機構20のフォワードクラッチをOFF、リバースブレーキをONとする。これにより、プライマリプーリ軸51が、インプットシャフト38と逆方向に回転する。これにより、セカンダリプーリ60のセカンダリプーリ軸61、減速装置24、ドライブシャフト32などは、運転者が前進ポジションを選択した場合とは逆方向に回転し、車両が後進する。
【0067】
ここで、ECU140の油圧制御手段144は、車両の速度や運転者のアクセル開度などの諸条件とECU140の記憶手段142に記憶されているマップとに基づいて、内燃機関12の運転状態が最適となるように、目標変速比γoを設定する。次に、油圧制御手段144は、現状のプライマリ油圧室54及びセカンダリ油圧室64の状態と、記憶手段142に記憶されている油圧制御装置130とプライマリ油圧室54との間を流通する作動油の量とプライマリ油圧室54内の油圧との関係から、ベルト式無段変速機22の変速比γが目標変速比γoとなるプライマリ油圧室54およびセカンダリ油圧室64の油圧を算出する。さらに、算出した油圧から、油圧制御装置130からプライマリ油圧室54およびセカンダリ油圧室64に供給する作動油の量、または、プライマリ油圧室54およびセカンダリ油圧室64から油圧制御装置130に排出する作動油の量を算出し、算出結果に基づいて油圧制御装置130を制御する。また、油圧制御手段144によるベルト式無段変速機22の変速比γの制御には、変速比γを固定する閉じ込み制御モードと、変速比γを変更、すなわち変速する油圧制御モードとがあり、油圧制御手段144は、運転状況や制御条件に基づいて、閉じ込み制御モードと油圧制御モードとを切り換えつつ、変速比を制御する。
【0068】
「変速比γの変更」は、まず、切換機構100を開弁した状態、つまり、ピストン動作用油圧室108内の作動油の量が一定以下でピストン106の受圧面106aが開口114から離れた位置に配置され弁体104と開口114との間に一定以上の空間がある状態とする。さらに、切換機構100を開弁した状態で、油圧制御装置130からプライマリ油圧室54への作動油の供給、あるいはプライマリ油圧室54から油圧制御装置130を介してプライマリプーリ50の外部への作動油の排出を行うことで、プライマリ可動シーブ53がプライマリプーリ軸51の軸方向に摺動し、プライマリ固定シーブ52とこのプライマリ可動シーブ53との間の間隔、すなわちプライマリ溝80aの幅が調整される。これにより、プライマリプーリ50におけるベルト80の接触半径が変化し、プライマリプーリ50の回転数とセカンダリプーリ60の回転数との比である変速比γが無段階(連続的)に制御される。
【0069】
なお、セカンダリプーリ60においては、油圧制御手段144によりセカンダリ油圧室用制御装置137を制御することで、セカンダリ油圧室64の油圧を調圧し、セカンダリ固定シーブ62とセカンダリ可動シーブ63とによりベルト80を挟み付けるベルト挟圧力が調整される。これにより、プライマリプーリ50とセカンダリプーリ60との間に巻き掛けられたベルト80のベルト張力が制御される。
【0070】
ここで、変速比の固定は、車両の走行状態が安定している場合など、大幅な変速比の変更を行う必要がないと、油圧制御手段144が判断した場合に行われるものである。油圧制御手段144は、変速比γを固定する際には、変速比固定制御を行う。
【0071】
「変速比γの固定」は、切換機構100を閉弁、つまり弁体104で開口114を塞ぎ、プライマリ油圧室54内に作用油を閉じ込めて、プライマリ油圧室54へ作動油を供給させず、かつ、このプライマリ油圧室54から作動油を排出させないことで、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52に対する軸方向における位置を一定とし、プライマリ可動シーブ53のプライマリ固定シーブ52に対する移動を規制することで行う。
【0072】
油圧制御手段144による閉じ込み制御モードの変速比固定制御では、油圧制御手段144から切換機構制御装置120に閉じ込み処理実行指令が入力される。閉じ込み処理実行指令が入力された切換機構制御装置120は、切換機構100を閉弁し、切換機構100を介したプライマリ油圧室54への作動油の供給および切換機構100を介したプライマリ油圧室54からの作動油の排出を禁止する。このように、プライマリプーリ50の位置を固定することで、変速比γを設定された目標変速比γoに維持する。
【0073】
このように、油圧制御装置130は、切換機構100により閉弁しプライマリ油圧室54内に作動油を閉じ込めて、変速比γを固定することで、閉弁後にプライマリ油圧室54に供給する作動油の圧力をプライマリ油圧室54に作動油を供給する際の圧力よりも減圧することができる。これにより、オイルポンプ132が、プライマリ油圧室54に供給するために使用するエネルギー、具体的には、作動油を昇圧するために使用するエネルギーを低減することができる。これにより、内燃機関12で発生させなければならないエネルギーを低減させ、燃費を向上することができる。
【0074】
ここで、上述したように切換機構100は、切換機構制御装置120から作動油が供給されないと、スプリング110の力により弁体104が開口114から離れる方向に移動される。そのため、閉じ込み制御モードで、弁体104が開口114を塞いでいる時に、切換機構制御装置120が断線してしまう、例えば、切換機構制御装置120を構成するデューティーソレノイドが断線してしまうと、弁体104を開口114に押し付ける力がなくなり、弁体104は、開口114から離れる方向に移動し、プライマリ油圧室54と油圧制御装置130とが連通した状態となり、プライマリ油圧室54内の油圧が低下することになる。このように油圧が低下すると、プライマリプーリ50によるベルト80の挟圧力の低下を招き、ベルトすべりが発生するおそれがある。以下に、切換機構制御装置120が断線した場合の油圧制御手段140の動作を説明する。図4は、油圧制御手段144による制御方法の一例を示すフロー図である。
【0075】
まず、油圧制御手段144は、ステップST10として、閉じ込み処理の実行中かを判定する。つまり、閉じ込み制御モードで、切換機構制御装置120から切換機構100に作動油を供給し、弁体104で開口114を閉じる処理の実行中であるかを判定する。油圧制御手段144は、ステップST10で閉じ込み処理の実行中であると判定したら、ステップST12に進み、閉じ込み処理の実行中でないと判定したら処理を終了する。次に、油圧制御手段144は、ステップST12として、切換機構制御装置120が断線しているかを判定する。油圧制御手段144は、ステップST12で切換機構制御装置120が断線していると判定したらステップST14に進み、断線していないと判定したら処理を終了し、閉じ込み処理を続行する。ここで、切換機構制御装置120が断線しているか否かは、信号が伝達されているかを電気的に検出すればよい。また、変速比が固定されているかで検出してもよい。ここで、変速比の検出方法は特に限定されず、例えば、入力回転数センサ150で検出した入力回転数Ninと、出力回転数センサ152で検出した出力回転数Noutとの比から検出すればよい。
【0076】
次に、油圧制御手段144は、切換機構制御装置120が断線していると判定したら、ステップST14として、油圧制御装置130からセカンダリ油圧室64に作動油を供給し、セカンダリ油圧室64内の油圧を上昇させる。セカンダリプーリ60は、セカンダリ油圧室64の油圧が上昇されることで、セカンダリ可動シーブ63がセカンダリ固定シーブ62側に移動し、セカンダリ可動シーブ63とセカンダリ固定シーブ62との距離が短くなり、ベルト80の接触半径が大きくなる。このように、セカンダリプーリ60のベルト80との接触半径を大きくすることで、プライマリプーリ50のプライマリ油圧室54の油圧が低下し、プライマリプーリ50のベルト80との接触半径が小さくなっても、一定以上の張力で、ベルト80を保持することができ、ベルトすべりが発生することを抑制することができる。油圧制御手段144は、ステップST14でセカンダリ油圧室64の油圧を上昇させたら、ステップST16に進む。
【0077】
次に、油圧制御手段144は、ステップST16として、油圧制御装置130からプライマリ油圧室54に作動油を供給し、プライマリ油圧室54の油圧を上昇させ、また、変速を禁止する。具体的には、閉じ込み制御モード時の変速比にするために、油圧制御装置130からプライマリ油圧室54に作動油を供給する。また、ステップST16では、作動時に、異なる変速比とするような制御信号が入力されても、変速比は変化させない。油圧制御手段144は、ステップST16で、プライマリ油圧室54の油圧を上昇させたらステップST18に進む。油圧制御手段144は、ステップST18として、プライマリ油圧室54の油圧が適正な油圧であるかを判定する。ここで、適正な油圧とは、プライマリプーリ50のベルト80との接触半径が閉じ込み処理時と同様の位置となる油圧である。つまり、変速比が閉じ込み処理時と同様の変速比となるプライマリ油圧室54の油圧である。
【0078】
油圧制御手段144は、ステップST18で、プライマリ油圧室54の油圧が適正と判定したら、ステップST20に進み、プライマリ油圧室54の油圧が適正でない、つまり、油圧が低いと判定した場合は、ステップST16に進み、プライマリ油圧室の油圧をさらに上昇させる。次に、油圧制御手段144は、ステップST20として、変速の禁止を解除し、閉じ込み制御モードを禁止にして、ステップST22に進む。つまり油圧制御手段144は、油圧制御モードのみで、運転状況に基づいて適切な変速比となるように油圧制御装置130の動作を制御する。また、油圧制御手段144は、閉じ込み制御モードに切換可能な条件となっても、油圧制御モードで油圧制御装置130から各油圧室に作動油を供給、排出して、変速比を制御する状態とする。
【0079】
その後、油圧制御手段144は、ステップST22として、切換機構制御装置120が通電しているかを判定する。油圧制御手段144は、通電が確認されるまで、ステップST22を繰り返し、通電が確認されたらステップST24に進む。なお、油圧制御手段144は、通電が確認されるまでは、ステップST20で設定された条件で、変速比を制御している。また、断線している切換機構制御装置120は、修理、交換等を行うことで、通電した状態となる。油圧制御手段144は、ステップST22で切換機構制御装置120が通電していることを確認したらステップST24で、閉じ込み制御モードの禁止を解除し、処理を終了する。つまり、油圧制御手段144は、閉じ込み制御モードと油圧制御モードとが切換可能な状態とした後、処理を終了する。
【0080】
このように、切換機構100に作動油を供給し、また、切換機構100から作動油を排出することで、切換機構100の動作を制御する切換機構制御装置120が断線しているかを検出することで、閉じ込み処理が適切に実行されているかを検出することができる。また、切換機構制御装置120が断線している場合に、セカンダリ油圧室64の油圧から先に上昇させることで、より短時間で油圧を上昇させることができ、ベルトすべりの発生をより確実に抑制することができる。具体的には、閉じ込み制御モードの場合は、プライマリ油圧室54内に作動油を閉じ込め、オイルポンプ132の出力を低下させているため、プライマリ油圧室54に作動油を供給するためには、オイルポンプ132で、昇圧するための時間が必要となる。これに対して、セカンダリ油圧室64には、オイルポンプ132から作動油を供給しているため、より短時間でより多くの作動油をセカンダリ油圧室64に供給することができ、セカンダリ油圧室64を昇圧することができる。短時間でセカンダリ油圧室64を昇圧できることで、ベルト80に張力を作用させ、ベルトすべりが発生することを抑制することができる。このように、ベルトすべりを抑制できることで、ベルトが破断したり、プーリが摩耗したりすることを抑制することができ、ベルト式無段変速機としての寿命を延ばすことができ、耐久性が低下することを抑制することができる。
【0081】
また、上記実施形態では、切換機構として、ピストンにより移動される弁体で開口を塞ぐことにより、プライマリ油圧室内の作動油を閉じ込める機構を用いたが、これに限定されず、プライマリ油圧室内に作動油を閉じ込める機構であれば種々の機構を用いることができる。例えば、板状部材で油路を塞ぐようにしてもよい。また、切換機構を、プライマリプーリ軸と同軸上に設けてもよい。また、本実施形態では、プライマリ油圧室に作動油を供給する油路とプライマリ油圧室から作動油を排出する油路とを同一の油路としたが、供給する油路と、排出する油路とを別々の油路としてもよい。このように、別々の油路とした場合は、切換機構として、それぞれの油路に逆止弁を用い、排出側の油路に閉じ込み動作が可能な機構を設ければよい。
【0082】
また上記実施形態では、切換機構制御装置のデューティーソレノイドが断線した場合として説明したが、切換機構の操作、具体的には、弁体に力を作用させることができなくなり、弁体の開閉動作ができなくなる他の原因の場合も用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、本発明にかかるベルト式無段変速機は、作動油供給排出弁を閉弁することで挟圧力発生油圧室内に作動油を保持するベルト式無段変速機に有用であり、特に、変速の応答性あるいは変速比の制御性の少なくともいずれか一方を向上するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態に係るベルト式無段変速機を備えた車両の動力伝達部分における全体の構成を示す概念図である。
【図2−1】図1に示すベルト式無段変速機の概略構成を拡大して示す概念図である。
【図2−2】図1に示すベルト式無段変速機の概略構成を拡大して示す概念図である。
【図3】油圧制御装置の概略構成を模式的に示す概念図である。
【図4】油圧制御手段144による制御方法の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0085】
10 車両
22 ベルト式無段変速機
50 プライマリプーリ
52 プライマリ固定シーブ
53 プライマリ可動シーブ
60 セカンダリプーリ
100 切換機構
140 ECU
142 記憶手段
144 油圧制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定シーブ及び固定シーブに対して移動する可動シーブを備え、固定シーブと可動シーブとの間隔を調節できる2つのプーリと、該2つのプーリの間に掛けられ、一方のプーリの回転を他方のプーリに伝達するベルトとを有し、2つのプーリの径を相対的に変化させて変速比を変化させるベルト式無段変速機であって、
動力発生手段と連結され、前記動力発生手段とともに回転する第1プーリ軸、前記第1プーリ軸に連結された第1固定シーブ、前記第1プーリ軸の前記第1固定シーブに対向する位置に連結されて、前記第1プーリ軸の軸方向に移動可能な第1可動シーブ、および、前記第1プーリ軸に設けられ、内部に注入された作動油により前記第1可動シーブに前記第1プーリ軸の軸方向の力を付与する第1油圧室を備える第1プーリと、
前記第1プーリ軸と平行に配置された第2プーリ軸、前記第2プーリ軸に連結された第2固定シーブ、前記第2プーリ軸の前記第2固定シーブに対向する位置に連結されて、前記第2プーリ軸の軸方向に移動可能な第2可動シーブ、および、前記第2プーリ軸に設けられ、内部に注入された作動油により前記第2可動シーブに前記第2プーリ軸の軸方向の力を付与する第2油圧室を備える第2プーリと、
前記第1プーリと前記第2プーリとの間に掛けられ、前記第1プーリの回転を前記第2プーリに伝達するベルトと、
前記第1油圧室に前記作動油を供給し、かつ、前記第1油圧室から前記作動油を排出し、また、前記第2油圧室に前記作動油を供給し、かつ、前記第2油圧室から前記作動油を排出する作動油供給排出手段と、
前記第1油圧室と前記作動油供給排出手段との間の前記作動油の流路に配置され、前記作動油供給排出手段と前記第1油圧室との間で前記作動油の流通が可能な状態と、流通が禁止された状態とを切り替える切換機構と、
前記切換機構の動作を制御する切換機構制御手段と、
前記切換機構により前記作動油供給排出手段と前記第1油圧室との間で前記作動油の流通を禁止させ、前記第1油圧室の油圧を内部に閉じ込める閉じ込み制御モードと、前記切換機構により前記作動油供給排出手段と前記第1油圧室との間で前記作動油の流通が可能な状態とし、前記作動油供給排出手段により前記第1油圧室内の油圧を調整する油圧制御モードとのいずれか選択し、入力された変速比となるように、前記作動油供給排出手段および切換機構の動作を制御して前記第1油圧室内の前記作動油の量を調整する油圧制御手段と、を有し、
前記油圧制御手段は、閉じ込み制御モード中に前記切換機構制御手段が断線していることを検出したら、前記作動油供給排出手段から前記第2油圧室に作動油を供給し、その後、前記作動油供給排出手段から前記第1油圧室に作動油を供給して、前記第1油圧室と前記第2油圧室の油圧を調整することを特徴とするベルト式無段変速機。
【請求項2】
前記切換機構は、制御されていない状態では、前記流路を前記作動油供給排出手段と前記第1油圧室との間で前記作動油の流通が可能な状態とすることを特徴とする請求項1に記載のベルト式無段変速機。
【請求項3】
前記油圧制御手段は、閉じ込み制御モード中に前記切換機構制御手段が断線していることを検出してから、前記第1油圧室と前記第2油圧室の油圧の調整が完了するまでの間は、変速比を変更しないことを特徴とする請求項1または2に記載のベルト式無段変速機。

【図1】
image rotate

【図2−1】
image rotate

【図2−2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−48365(P2010−48365A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214131(P2008−214131)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】