説明

ホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法

【課題】半導体ウエハ、またはガラス基板などのような基板に対して、プラズマを利用してアッシング、洗浄、エッチングなどのプロセスを実行することができるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法を提供する。
【解決手段】ホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法は、プラズマが生成される複数の下側凹部241が底面に形成されたホローカソード240と、複数の噴射口が形成されたバッフル250との間に流入したガスによってホローカソードプラズマを発生させて、基板支持部上に配置された基板Wを前記噴射口を通過した前記ホローカソードプラズマによって処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ基板処理方法に関し、より詳細には、半導体ウエハ、またはガラス基板などのような基板に対して、プラズマを利用してアッシング、洗浄、エッチングなどのプロセスを実行することができるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体素子製造のためには、エッチング、アッシング、洗浄などの多様なプロセスが必要である。最近は、プラズマを利用してこれらのプロセスが実行されている。
【0003】
プラズマ源には、誘導結合型プラズマ源、リモートプラズマ源などが選択的に使われている。
【0004】
図1は、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)方式の乾式エッチング装置を示している。誘導結合型プラズマ方式は、チャンバ11上部に円形、或いは螺旋形のアンテナ12を設置し、高周波電力13をアンテナ12に印加すると、コイル上に電流が流れて電場を形成するようになり、このような電場によってチャンバ11内部に誘導電場が発生し、電子を加速させてプラズマが生成される。
【0005】
誘導結合型プラズマ方式は、非常に低い圧力でもプラズマを発生させることができ、これによって微細パターンのエッチングに非常に有利である。そして、ウエハ電極にバイアス電力14を印加してエッチングを非常に微細に調節することができる。
【0006】
しかし、誘導結合型プラズマ方式は、高い圧力でのラジカル制御が難しく、低い圧力のみで微細パターンの形成プロセスを行うことができる。
【0007】
最近は、半導体基板の大きさが増大するにつれて、基板上にプロセスガスを均一に分配することが要求される。しかし、ICPタイプのプラズマ源を使用するプラズマエッチング装置は、大面積のエッチングや、高圧でのプラズマ制御が難しい。
【0008】
図2に、リモートプラズマアッシング装置(Remote Plasma Ashing Apparatus)の断面図を示す。図2に示すように、リモートプラズマアッシング装置では、チャンバ21外部の反応ガスの投入口にリモートプラズマ発生装置22が設けられている。このリモートプラズマ発生装置22によって反応ガスにエネルギを加えて、活性化させる。このように活性化された反応ガスは、ガス注入管23を通じてチャンバ内に供給されて、析出プロセス及びエッチングプロセスが行われる。
【0009】
反応ガスには、主に四フッ化炭素CF、アンモニアNH、窒素N、酸素Oガスなどが使われるが、このようなリモートプラズマアッシング装置は、大面積基板を処理することが難しく、プラズマ密度が低い。
【0010】
アッシングプロセスにおいて、基板の低誘電率(low−k)の誘電体上のフォトレジスト膜を酸素ガスと窒素ガスを使用して除去するときに、フォトレジスト膜のみではなく、low−k誘電体も大きく損傷を受ける。
【0011】
また、酸化物上に高ドーズイオン注入(HDI:High Dose Implantation)されたフォトレジストを酸素ガスと窒素ガスを使用して除去する場合、多量のフォトレジスト残余物(Photo Resist Residue)が発生する。
【0012】
そして、酸素ガスと窒素ガスを使用してアッシングプロセスを行う場合、基板の金属が酸化されやすく、金属が銅Cuである場合には特に酸化されやすい。
【0013】
また、リモートプラズマアッシング装置は、石英(Quartz)またはサファイア(Sapphire)などの材料をプラズマ源として使用するため、水素プラズマプロセスに対して脆弱である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、ホローカソードプラズマを発生させることができるホローカソードプラズマ発生方法を提供することである。
【0015】
また、本発明の他の目的は、プラズマを利用して効率的なプロセス処理が可能であるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法を提供することである。
【0016】
また、本発明の他の目的は、プラズマ密度を向上させることができるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法を提供することである。
【0017】
また、本発明の他の目的は、プラズマの均一度も向上させることができるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法を提供することである。
【0018】
本発明が解決しようとする課題は、ここに制限されず、言及されない他の課題は、下記から当業者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述の目的を達成するため、本発明によるホローカソードプラズマ発生方法は、プラズマが生成される複数の下側凹部が底面に形成されたホローカソード(Hollow Cathode)と、前記ホローカソードと離隔されて位置した電極の間にガスを注入して、前記ホローカソードと前記電極の間でホローカソードプラズマを発生させる。前記下側凹部には、その上端から前記ホローカソードの上面まで貫通するように延びた流入ホールが形成され、ガスは、前記流入ホールを通じて前記下側凹部に供給される。
【0020】
ここで、前記下側凹部のうち、一部のみに前記流入ホールが設けられていてもよい。
【0021】
尚、前記下側凹部のうちで、前記流入ホールが設けられた下側凹部は、前記流入ホールが設けられていない下側凹部の間に配置されてもよい。
【0022】
尚、前記電極は、内部にヒータを具備していてもよい。
【0023】
さらに、前記ホローカソードには高周波電力が印加され、前記電極は接地される。
【0024】
尚、前記ホローカソード及び前記電極にそれぞれ、高周波電力を印加するようにしてもよい。
【0025】
また、前記ホローカソードに印加される電力は、100W〜10kWであって、周波数が100kHz〜27.12MHzであってもよい。前記電極に印加される電力は、100W〜2kWであって、周波数が2MHz〜4MHz、または13.56MHzであってもよい。圧力条件は、1mTorr〜10Torrであってもよい。
【0026】
ここで、前記ガスは、水素Hガスを含むガスであってもよい。
【0027】
さらに、前記ガスは、水素Hガス及び窒素Nガスの混合ガスであってもよい。
【0028】
また、本発明によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法は、プラズマが生成される複数の下側凹部が底面に形成されたホローカソードと、複数の噴射口が形成されたバッフルの間から流入したガスによってホローカソードプラズマを発生させて、基板支持部上に配置された基板を前記噴射口を通過した前記ホローカソードプラズマによって処理する。
【0029】
ここで、前記基板処理は、基板上のフォトレジストを除去するプロセスであってもよい。
【0030】
尚、前記フォトレジストは、高ドーズイオン注入されたフォトレジストであってもよい。
【0031】
さらに、前記フォトレジストは、低誘電率(low−k)の誘電体膜上に提供されうる。
【0032】
尚、前記低誘電率(low−k)の誘電体膜は、銅Cu膜上に形成されうる。
【0033】
尚、前記基板支持部は、内部にヒータを具備していてもよい。
【0034】
また、前記基板支持部は、下部電極を具備して、前記バッフルと前記下部電極との間で、前記バッフルを通過したプラズマの密度を増加させてもよい。
【0035】
ここで、前記ホローカソード及び前記下部電極に各々高周波電力が印加され、前記バッフルは接地されてもよい。
【0036】
尚、前記ホローカソードに印加される電力は、100W〜10kWであって、周波数が100kHz〜27.12MHzであってもよい。前記電極に印加される電力は、100W〜2kWであって、周波数が2MHz〜4 MHz、または13.56MHzであってもよい。圧力条件は、1mTorr〜10Torrであってもよい。
【0037】
また、前記ガスは、水素Hガスを含むガスであってもよい。
【0038】
さらに、前記ガスは、水素Hガス及び窒素Nガスの混合ガスであってもよい。
【0039】
また、前記ホローカソードには、前記下側凹部の上端から延びてホローカソードの上面まで貫通形成された流入ホールが設けられていてもよい。
【0040】
尚、前記下側凹部のうち、一部のみに前記流入ホールが設けられていてもよい。
【0041】
さらに、前記下側凹部のうちで、前記流入ホールが設けられた下側凹部は、前記流入ホールが設けられていない下側凹部の間に配置されていてもよい。
【0042】
尚、前記ホローカソードと前記バッフルの間の側方からガスが供給されてもよい。
【0043】
また、前記ホローカソードの上部から前記流入ホールを通じてガスが供給されてもよい。
【0044】
また、本発明の異なる様相によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法は、内部に基板処理プロセスが実行される空間が設けられたプロセスチャンバに流入したガスをホローカソード効果を利用する第1プラズマ源によって放電させて第1プラズマガスを生成する段階と、第2プラズマ源によって前記第1プラズマガスの密度が高まるように第2プラズマガスを生成する段階と、を含む。
【0045】
ここで、前記第1プラズマ源は、電力が印加され、底面に複数の下側凹部が形成されたホローカソードとしてもよい。
【0046】
尚、前記第2プラズマ源は、容量結合型プラズマCCP源としてもよい。
【0047】
さらに、前記容量結合型プラズマ源は、複数の噴射口が形成されたバッフルと基板が配置される基板支持部に設けられた下部電極とを含んでいてもよい。
【0048】
尚、前記基板支持部は、内部にヒータを具備していてもよい。
【0049】
尚、前記ホローカソードに印加される電力は、100W〜10kWであって、周波数が100kHz〜27.12MHzであってもよい。前記電極に印加される電力は、100W〜2kWであって、周波数が2MHz〜4MHz、または13.56MHzであってもよい。圧力条件は、1mTorr〜10Torrであってもよい。
【0050】
また、前記ガスは、水素Hガスを含むガスであってもよい。
【0051】
尚、前記ガスは、水素Hガス及び窒素Nガスの混合ガスであってもよい。
【0052】
また、前記ホローカソードには、前記下側凹部の上端から延びてホローカソードの上面まで貫通形成された流入ホールが設けられていてもよい。
【0053】
ここで、前記下側凹部のうち、一部のみに前記流入ホールが設けられていてもよい。
さらに、前記下側凹部のうちで、前記流入ホールが設けられた下側凹部は、前記流入ホールが設けられていない下側凹部の間に配置されていてもよい。
【0054】
また、本発明によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法は、プロセスチャンバ内の上部に設けられたホローカソードと下部電極が設けられた基板支持部の間にガスを供給し、前記ホローカソード及び前記下部電極に高周波電力を印加してプラズマを発生させる。
【0055】
ここで、前記ホローカソードに印加される電力は、100W〜10kWであって、周波数が100kHz〜27.12MHzであってもよい。前記電極に印加される電力は、100W〜2kWであって、周波数が2MHz〜4MHz、または13.56MHzであってもよい。圧力条件は、1mTorr〜10Torrであってもよい。
【0056】
尚、前記基板支持部は、内部にヒータを含んでいてもよい。
【0057】
尚、前記ガスは、水素Hガスを含むガスであってもよい。
【0058】
さらに、前記ガスは、水素Hガス及び窒素Nガスの混合ガスであってもよい。
【0059】
尚、前記ホローカソードには、前記下側凹部の上端から延びてホローカソードの上面まで貫通形成された流入ホールが設けられていてもよい。
【0060】
また、前記下側凹部のうち、一部のみに前記流入ホールが設けられていてもよい。
【0061】
尚、前記下側凹部のうちで、前記流入ホールが設けられた下側凹部は、前記流入ホールが設けられていない下側凹部の間に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0062】
本発明によるホローカソードプラズマ発生方法及びホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法によると、下側凹部が形成されたホローカソードによるホローカソード効果(Hollow Cathode Effect)によって高密度のプラズマを提供することができる。
【0063】
また、ホローカソード及びバッフルの噴射口によって、2回、プラズマを発生させるので、均一で高密度のプラズマを提供することができる。
【0064】
さらに、プラズマを広い領域にかけて均一に提供することができるので、大面積の半導体プロセスに適用することができる。
【0065】
また、プラズマの電子温度(Electron Temperature)を低くすることができるので、基板の損傷を最小限にすることができる。
【0066】
さらに、ホローカソードプラズマを利用するので、アッシングプロセスにも水素ガスと窒素ガスを使用して基板を処理することができる。
【0067】
また、低圧のみではなく高圧でも基板処理プロセスの実行をすることができる。
【0068】
さらに、水素ガスと窒素ガスを使用することができるので、低誘電率(low−k)の誘電体膜の損傷を最小限にすることができる。
【0069】
また、高ドーズイオン注入(HDI)されたフォトレジストを除去する場合、フォトレジスト残余物(Photoresist Residue)の除去に非常に有用である。
【0070】
さらに、金属基板をアッシング処理するプロセスで基板上に形成された金属膜(特に、銅膜)の酸化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】誘導結合型プラズマエッチング装置を示した断面図である。
【図2】リモートプラズマアッシング装置を示した断面図である。
【図3】本発明によるホローカソードプラズマ発生装置を示した断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理処置を示した断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理処置を示した断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理処置を示した断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理処置を示した断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理処置を示した断面図である。
【図9】本発明によるホローカソードの実施形態を示した断面図である。
【図10】基板処理プロセスに使われる基板の断面図である。
【図11】基板処理プロセスに使われる基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下、本発明の実施形態を添付された図を参照してより詳細に説明する。本発明の実施形態は、多様な形態に変形することができ、本発明の範囲が下記の実施形態に限定されると解釈されてはならない。本実施形態は、該当技術分野の通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供される。従って、図の要素の形状は、より明確な説明を強調するために誇張されている。
【0073】
図3は、本発明によるホローカソードプラズマ発生装置を示した断面図である。ホローカソードプラズマ発生装置は、図3に示すように、ホローカソード(Hollow Cathode)40、電極50及び電力供給源61、62を備えている。
【0074】
ホローカソード40は、円板形状をしている。ホローカソード40には、複数の下側凹部41と複数の流入ホール42とが形成されている。下側凹部41は、ホローカソード40の底面に形成されており、ホローカソード効果(Hollow Cathode Effect)によってプラズマが生成される空間である。各下側凹部41には、下側凹部41の上端から延びて、ホローカソード40の上面まで貫通形成された流入ホール42が設けられている。ガスは、流入ホール42を通って下側凹部41に供給される。
【0075】
また、以後に詳細に説明するが、流入ホール42は、上部の断面積が下部の断面積よりも広くなるテーパ形状とすることができ、下側凹部41は、下部の断面積が上部の断面積よりも広くなるテーパ形状とすることができる。また、下側凹部41のうち、一部のみに流入ホール42を設けることができる。そして、下側凹部41のうちで、流入ホール42が設けられた下側凹部は、流入ホール42が設けられていない下側凹部の間に配置され得る。
【0076】
電極50は、ホローカソード40と離隔されて位置する。電力供給源61、62は、ホローカソード40と電極50のうち、少なくとも一つに接続されて電力を供給する。
【0077】
電極50は、内部にヒータ51を具備して基板を加熱することができる。この場合は、ホローカソード40には、高周波電力が供給され、電極50は、接地される。
【0078】
また、ホローカソード40及び電極50のそれぞれに、高周波電力を供給してもよい。この場合は、ヒータ51は、選択的に、設けられたり、設けられなかったりする。
【0079】
次に、プラズマ処理処置の実施形態を通じて本発明によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法について説明する。
【0080】
本発明のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法は、エッチング、アッシング、洗浄、表面改質などのプラズマを利用した多様なプロセスに適用される。本発明の第1実施形態乃至第4実施形態は、リモートプラズマ源(Remote Plasma Source)に関するものであり、第5実施形態は、In-situプラズマ源に関するものである。
【0081】
先ず、本発明の第1実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法について説明する。
【0082】
図4は、本発明の第1実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理装置を示した断面図である。図4に示したように本発明の基板処理装置100は、プロセスチャンバ110と、ガス供給部120と、基板支持部130と、ホローカソード140と、バッフル150と、電力供給源170とを含む。
【0083】
プロセスチャンバ110は、内部に基板処理プロセスが実行される空間が設けられている。プロセスチャンバ110の底面には、ガスの排気のための排気口111が形成されている。排気口111には、ポンプが設置された排気ラインが連結されて、プロセスチャンバ110内の反応副産物を排出してプロセスチャンバ110内部のプロセス圧力を維持する。ガス供給部120は、プロセスチャンバ110内部に基板処理プロセスに必要なガスを供給する。
【0084】
また、基板支持部130は、基板Wを支持し、プロセスチャンバ110の内部に位置する。基板支持部130は、静電チャック、機械チャックなどを具備することもできる。また、第1実施形態では、基板支持部130が加熱チャック(Heating Chuck)の役割を果たすようにヒータ160を具備することもできる。電力供給源170は、ホローカソード140のみに電力を供給し、基板支持部130側には、別途の電力供給が必要ではない。
【0085】
ヒータ160は、基板を加熱するために、基板支持部130の内部に設けられている。この場合は、ホローカソード140には高周波電力が印加され、基板支持部130は接地される。この際、ヒータ160の温度は25〜400℃であることが望ましい。
【0086】
また、ホローカソード140及び基板支持部130にそれぞれ、高周波電力を印加してもよい。この場合は、ヒータ160は、選択的に、設けられたり、設けられなかったりする。
【0087】
基板支持部130は、固定される、回転する、または水平面に対して上下方向へ移動するなど、様々な態様が選択的に採用され得る。基板支持部130は、基板Wを支持することができるように支持プレート131と、駆動軸132と、駆動機133などを含む。基板Wは、支持プレート131上に支持プレート131と平行に置かれる。支持プレート131の下部には、駆動軸132の一端が連結され、駆動軸132の他端は、駆動機133に連結される。駆動機133によって発生した回転力は、駆動軸132に伝達され、駆動軸132は、支持プレート131と共に回転する。
【0088】
ホローカソード140は、プロセスチャンバ110の内部に位置する。ホローカソード140の底面には、プラズマが生成される複数の下側凹部141が形成されている。
【0089】
バッフル150は、ホローカソード140と離隔されて位置する。バッフル150には、複数の噴射口151が形成されている。
【0090】
ガス供給部120は、プロセスチャンバ110の上部に位置し、ホローカソード140は、ガス供給部120の下方に位置し、バッフル150は、ホローカソード140の下方に位置し、基板支持部130は、前記バッフル150の下方に位置する。
【0091】
ガス供給部120は、ホローカソード140へ向かってガスを供給する。この際、ホローカソード140は、カソード(Cathode)電極として、バッフル150は、アノード(Anode)電極として機能する。流入したガスは、ホローカソード140を介してホローカソード効果によって放電されて、プラズマが生成される。
【0092】
また、生成されたプラズマは、バッフル150の噴射口151を介して噴射される。噴射されたプラズマは、加熱チャック160によって加熱された基板Wと反応して基板処理プロセスを実行する。加熱チャック160は、基板Wを約250℃程度の温度に加熱することが望ましい。
【0093】
プロセスチャンバ110の形状が一般的な円筒形状である場合、ホローカソード140及びバッフル150は、各々円板形状に形成される。ホローカソード140とバッフル150の距離d1は、プラズマの生成のために、10〜100mmに設定され得る。ホローカソード140は、酸化膜、窒化膜及び誘電体コーティングのうち、何れか一つでコーティングされる。
【0094】
このように、第1実施形態によると、供給されたガスをホローカソード140に形成された下側凹部141でホローカソード効果によって放電させてプラズマを生成し、ホローカソード140を通過するガスの密度を均一にした反応プラズマをバッフル150によって生成する。
【0095】
以下、バッフル150の作用について説明する。
【0096】
ホローカソード140によって生成されたプラズマに含まれた要素のうち、プラズマを利用したプロセスで主に関わる二つは、フリーラジカル(Free Radicals)とイオン(Ions)である。フリーラジカルは、不充分な結合(Incomplete bonding)を有し、電気的中性である。従って、フリーラジカルは、不充分な結合によって非常に反応性が大きく、基板W上の物質と主に化学的な作用を通じてプロセスを実行する。しかし、イオンは電荷を帯びているので、電位差によって一定の方向に加速され、基板W上の物質と主に物理的な作用を通じてプロセスを実行する。
【0097】
フリーラジカル及びイオンは、ホローカソード140によって生成されたプラズマにも含まれている。フリーラジカルは、基板Wの上部に移動して基板W上のレジストと化学的な反応を起こす。一方、一定の電荷を帯びているイオンは、基板Wに向かって加速され、基板W上のレジストと衝突して、物理的な反応を起こす。この際、基板Wに向かって加速されたイオンがレジストのパターンと衝突する場合、衝撃によって微細なパターンは破損される虞がある。また、基板W上のパターンは、直後のプロセスのために既に所定の電荷を帯びている。しかし、イオンが基板W上のパターンと衝突する場合、予め設定されたパターンの電荷量が変動する虞があり、これは直後のプロセスに影響を与えうる。
【0098】
バッフル150は、予め設定された電荷量が変化するのを防止する。バッフル150上部に移動したプラズマのうち、フリーラジカルは、バッフル150上の噴射口151を通って基板W上に移動する。一方、イオンは、接地されたバッフル150によって阻止されるので基板W上に移動することができない。従って、基板W上には、プラズマ中のフリーラジカルのみが到達することができ、イオンによって基板W上のパターンが破損される問題点を解決することができる。
【0099】
バッフル150は、金属材料で形成されるか、又は非金属材料に金属コーティングをして形成される。例えば、バッフル150は、アルミニウム又は、陽極酸化アルミニウムで形成され得る。バッフル150は、ラジカルの均一な供給のために、同心円周上に一定間隔で形成される複数の噴射口151を有する。バッフル150に形成された複数の噴射口151の断面が円形である場合、直径が約0.5〜3mmである。バッフル150は、周縁部がボルトなどの複数の締結部材によってプロセスチャンバ110の上部に固定される。上述したように、ホローカソード140には高周波電源が接続され、バッフル150は接地される。ホローカソード140で発生されたプラズマは、バッフル150に形成された噴射口151を通過して基板支持部130上に置かれた基板Wに向かう。この際、電子またはイオンなどのような荷電粒子は、主にアルミニウム、又は陽極酸化アルミニウムで形成されたバッフル150によってバッフル150の下方への流入が阻止される。酸素ラジカルなどのような電荷を帯びない中性の粒子のみが基板支持部130上の基板Wに到達することによって、基板Wを目的に応じて処理するようになる。
【0100】
以下、図9A〜9Dを参照してホローカソード140の実施形態を説明する。
【0101】
先ず、図9Aに示すようにホローカソード140は、下側凹部141の上端から延びてホローカソード140の上面まで貫通形成された流入ホール142が設けられている。下側凹部141の断面積は、流入ホール142の断面積よりも広い。
【0102】
下側凹部141の断面が円形である場合、その直径は、1〜10mm程度であり、下側凹部141の高さは、直径の1〜2倍であることが望ましい。また、流入ホール142の断面が円形である場合、流入ホール142の直径d2は、ホローカソード効果に影響を与えないように、0.5〜3mm程度であることが望ましい。
【0103】
下側凹部141と流入ホール142の形状は、断面が円形に形成されているが、これに限られるものではなく、様々な形状にすることができる。
【0104】
また、図9Bに示したようにホローカソード140は、複数の下側凹部141が形成されている。下側凹部141のうち、一部には下側凹部141の上端から延びてホローカソード140の上面まで貫通されて形成された流入ホール142が設けられている。下側凹部141のうち、流入ホール142が設けられた下側凹部141'は、流入ホール142が設けられていない下側凹部141の間に配置される。
【0105】
この際、流入ホール142が設けられた下側凹部141'は、上述したガス供給部120を通って流入してきたガスを先にプラズマ放電させて、流入ホール142が設けられていない下側凹部141は、その直後にガス供給部120を通って流入してきたガスをプラズマ放電させるようになる。
【0106】
そして、各下側凹部141の断面積は、流入ホール142の断面積よりも広い。下側凹部141の断面が円形である場合、その直径は、1〜10mm程度であり、下側凹部141の高さは、直径1〜2倍であることが望ましい。また、流入ホール142の断面が円形である場合、流入ホール142の直径d2は、ホローカソード効果に影響を与えないように0.5〜3mm程度であることが望ましい。
【0107】
また、下側凹部141と流入ホール142の形状は、断面が円形に形成されているが、これに限られるものではなく、様々な形状にすることができる。流入ホール142は、図9Cに示すように、流入ホール142へのガス流入が容易になるように上部の断面積が下部の断面積よりも広くなるテーパ形状とすることができる。
【0108】
また、図9Dに示したように下側凹部141は、生成されたプラズマが広がるように下部の断面積が上部の断面積よりも広くなるテーパ形状とすることもできる。
【0109】
勿論、上述した下側凹部141及び流入ホール142の多様な組合も可能である。
【0110】
次に、本発明の第2実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法について説明する。
【0111】
図5は、本発明の第2実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理装置を示した断面図である。図5に示すように、本発明のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理装置200は、プロセスチャンバ210と、ガス供給部220と、基板支持部230と、ホローカソード240と、バッフル250と、下部電極260と、電力供給源271、272とを含む。
【0112】
プロセスチャンバ210は、内部に基板処理プロセスが実行される空間が設けられている。プロセスチャンバ210の底面には、ガスの排気のための排気口211が形成されている。排気口211には、ポンプが設置された排気ラインが連結されてプロセスチャンバ210内の反応副産物を排出して、プロセスチャンバ210内部のプロセス圧力を維持する。ガス供給部220は、プロセスチャンバ210内部に基板処理プロセスに必要なガスを供給する。
【0113】
また、基板支持部230は、基板Wを支持し、プロセスチャンバ210の内部に位置する。基板支持部230には、下部電極260が提供され、静電チャック、または機械チャックなどをさらに具備することができる。勿論、第1実施形態のように、基板支持部230は、内部にヒータを具備して基板を加熱することもできる。
【0114】
基板支持部230は、固定される、回転する、または水平面に対して上下方向へ移動するなど、様々な態様が選択的に採用され得る。基板支持部230は、基板Wを支持することができるように支持プレート231と、駆動軸232と、駆動機233などを含む。基板Wは、支持プレート231上に支持プレート231と平行に置かれる。支持プレート231の下部には、駆動軸232の一端が連結され、駆動軸232の他端は、駆動機233に連結される。駆動機233によって発生した回転力は、駆動軸232に伝達され、駆動軸232は、支持プレート231と共に回転する。
【0115】
ホローカソード240は、プロセスチャンバ210の内部に位置する。ホローカソード240の底面には、プラズマが生成される複数の下側凹部241が形成されている。
【0116】
バッフル250は、ホローカソード240と離隔されて位置する。バッフル250には、複数の噴射口251が形成されている。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、上部電力供給源271と下部電力供給源272が含まれる。上部電力供給源271は、ホローカソード240に電力を印加し、下部電力供給源272は、下部電極260に電力を印加する。
【0117】
ガス供給部220は、プロセスチャンバ210の上部に位置し、ホローカソード240は、ガス供給部220の下方に位置し、バッフル250は、ホローカソード240の下方に位置し、基板支持部230は、前記バッフル250の下方に位置する。
【0118】
ガス供給部220は、ガス流入部Aにガスを供給する。ガス流入部Aは、図5に示すようにプロセスチャンバ210の上面とプロセスチャンバ210内の上部に具備されたホローカソード240との間の空間である。
【0119】
また、基板処理方法は、プロセスチャンバに供給されたガスをホローカソード効果を利用する第1プラズマ源によって放電させて第1プラズマガスを生成する段階と、第2プラズマ源によって前記第1プラズマガスの密度が高まるように第2プラズマガスを生成する段階とを含む。
【0120】
第1プラズマ源は、ホローカソード240とバッフル250である。ホローカソード240とバッフル250間の空間を第1プラズマ生成部Bという。この際、ホローカソード240はカソード電極として、バッフル250はアノード電極として機能する。ガス流入部Aから流入されたガスは、ホローカソード240を介してホローカソード効果によって放電されて、プラズマが生成される。第1プラズマ生成部Bは、ホローカソード240の下側凹部241によって提供される空間と、ホローカソード240とバッフル250との間の空間とを含む。
【0121】
また、第2プラズマ源は、バッフル250と下部電極260である。バッフル250と基板支持部230の間の空間を第2プラズマ生成部Cという。第1プラズマ生成部Bで生成されたプラズマガスは、バッフル250と下部電極260によって再度プラズマを生成する(これが第2実施形態が第1実施形態と区別される重要な差異点である)。この際、第1プラズマ生成部Bを通過したガスのプラズマ密度は、第2プラズマ生成部Cでより高く且つ均一になる。
【0122】
また、プロセスチャンバ210の形状が一般的な円筒形状である場合、ホローカソード240及びバッフル250は、各々円板形状に形成される。プラズマの生成のためにホローカソード240とバッフル250の距離d1は、10〜100mmに設定され得る。ホローカソード240は、酸化膜、窒化膜及び誘電体コーティングのうち、何れか一つでコーティングされる。
【0123】
このように、第2実施形態によると、供給されたガスをホローカソード240に形成された下側凹部241でホローカソード効果によって放電させてプラズマを生成し、容量結合型プラズマ源として機能する、バッフル250及び下部電極260の作用によってホローカソード240を通過するガスの密度を均一にした反応プラズマを生成する。
【0124】
上述したように、ホローカソード240と下部電極260には高周波電力が印加され、バッフル250は接地される。ホローカソード240で発生されたプラズマは、バッフル250に形成された噴射口251を通過して基板支持部230上に置かれた基板Wに向かう。この際、電子またはイオンなどのような荷電粒子は、主にアルミニウム、又は陽極酸化アルミニウムで形成されたバッフル250のさらなる機能によって、第2プラズマ生成部Cへの流入が阻止される。そして、酸素ラジカルなどのような電荷を帯びない中性の粒子のみが基板支持部230上の基板Wに到達することによって、基板Wを目的に応じて処理するようになる。
【0125】
第2実施形態でのホローカソード240は、図9A〜図9Dを参考して説明した第1実施形態のホローカソード140と同一であるので反復説明は省略する。
【0126】
次に、本発明の第3実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法について説明する。
【0127】
図6は、本発明の第3実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理装置を示した断面図である。図6を参照すると、ホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理装置300は、プロセスチャンバ310と、ガス供給部320と、基板支持部330と、ホローカソード340と、バッフル350と、下部電極360と、電力供給源371、372とを含む。
【0128】
プロセスチャンバ310は、内部に基板処理プロセスが実行される空間が設けられている。プロセスチャンバ310の底面には、ガスの排気のための排気口311が形成されている。ガス供給部320は、プロセスチャンバ310内部にガスを供給する。
【0129】
また、基板支持部330は、基板Wを支持し、内部に下部電極360が提供される。基板支持部330の構成は、第2実施形態の基板支持部230と構成が同一である。基板支持部330は、プロセスチャンバ310内下部に位置する。ホローカソード340は、プロセスチャンバ310内上部に位置する。ホローカソード340底面には、プラズマが生成される複数の下側凹部341が形成されている。
【0130】
バッフル350は、ホローカソード340と離隔されて基板支持部330の上方に位置する。バッフル350には複数の噴射口351が形成されている。上部電力供給源371はホローカソード340に電力を供給し、下部電力供給源372は下部電極360に電力を供給する。
【0131】
また、ガス供給部320は、プロセスチャンバ310の側面に位置し、ホローカソード340とバッフル350の間にガスを供給する。
【0132】
このように、第3実施形態によると供給されたガスをホローカソード340に形成された下側凹部341でホローカソード効果によって放電させてプラズマを生成し、CCP(容量結合型プラズマ)源として機能する、バッフル350及び下部電極360の作用によって、ホローカソード340を通過するガスの密度を均一にした反応プラズマが生成される。
【0133】
ここで、バッフル350は、第2実施形態でのバッフル250と同様であるので反復説明は省略する。
【0134】
一方、ホローカソード340に形成された下側凹部341は、ガス供給部320を介して流入してきたガスがプラズマ放電される空間である。第3実施形態の場合、第1、2実施形態とは異なり、ガスがプロセスチャンバ310の側面から流入するので、下側凹部341に流入ホールを別途設ける必要がない。下側凹部341の断面が円形である場合、その直径は、1〜10mm程度であり、下側凹部341の高さは、直径1〜2倍であることが望ましい。下側凹部341は、円形に形成されているが、これに限られるものではない。下側凹部341は、様々な形状にすることができ、その下部の断面積が上部の断面積よりも広くなるテーパ形状とすることもできる。また、ホローカソード340は、酸化膜、窒化膜及び誘電体コーティングのち、何れか一つでコーティングされる。
【0135】
ホローカソード340及びバッフル350は、各々円板形状であることが望ましく、ホローカソード340とバッフル350間の距離d1は、10〜100mmであることが望ましい。
【0136】
次に、本発明の第4実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法について説明する。
【0137】
図7は、本発明の第4実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理装置を示した断面図である。図7示したようにホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理装置400は、プロセスチャンバ410と、第1、2ガス供給部420、420'と、基板支持部430と、ホローカソード440と、バッフル450と、下部電極460と、電力供給源471、472とを含む。
【0138】
プロセスチャンバ410は、内部に基板処理プロセスが実行される空間が設けられている。プロセスチャンバ410の底面には、ガスの排気のための排気口411が形成されている。第1、2ガス供給部420、420'は、プロセスチャンバ410内部にガスを供給する。
【0139】
また、基板支持部430は、基板Wを支持し、プロセスチャンバ410の内部に位置する。基板支持部430の構成は、第2実施形態の基板支持部230と構成が同一である。ホローカソード440は、プロセスチャンバ410の内部に位置し、底面にプラズマが生成される複数の下側凹部441が形成されている。
【0140】
バッフル450は、ホローカソード440と離隔されて位置する。バッフル450には、複数の噴射口451が形成されている。基板支持部430には、下部電極460が設けられている。上部電力供給源471は、ホローカソード440に電力を印加し、下部電力供給源472は、下部電極460に電力を印加する。
【0141】
この際、第4実施形態では、ガス供給部は、プロセスチャンバ410の上部に位置する第1ガス供給部420と、プロセスチャンバ410の側面に位置し、ホローカソード440とバッフル450の間にガスを供給する第2ガス供給部420'とを含む。また、ホローカソード440は、第1ガス供給部420の下方に位置し、バッフル450は、ホローカソード440の下方に位置し、基板支持部430は、バッフル450の下方に位置する。
【0142】
ホローカソード440及びバッフル450は、第1実施形態のように、各々円板形状であり、ホローカソード440とバッフル450の距離d1は、10〜100mmに設定され得る。ホローカソード440は、酸化膜、窒化膜及び誘電体コーティングのうち、何れか一つでコーティングされる。
【0143】
ここで、第4実施形態のホローカソード440及びバッフル450は、第1実施形態のホローカソード140及び第2実施形態のバッフル250と同様であるので反復説明は省略する。
【0144】
次に、本発明の第5実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法について説明する。
【0145】
図8は、本発明の第5実施形態によるホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理装置を示した断面図である。図8に示すように、本発明のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理装置500は、プロセスチャンバ510と、ガス供給部520と、基板支持部530と、ホローカソード540と、下部電極560と、電力供給源571、572とを含む。
【0146】
プロセスチャンバ510は、内部に基板処理プロセスが実行される空間が設けられている。プロセスチャンバ510の底面には、ガスの排気のための排気口511が形成されている。排気口511には、ポンプが設置された排気ラインが連結されてプロセスチャンバ510内の反応副産物を排出して、プロセスチャンバ510内部のプロセス圧力を維持する。ガス供給部520は、プロセスチャンバ510内部に基板処理プロセスに必要なガスを供給する。
【0147】
また、基板支持部530は、基板Wを支持し、プロセスチャンバ510の内部に位置する。基板支持部530には、下部電極560が設けられ、静電チャックまたは機械チャックなどをさらに有している。尚、基板支持部530は、場合によって内部にヒータ561を有していてもよい。
【0148】
基板支持部530は、内部にヒータ561を具備して基板を加熱することができる。この場合は、ホローカソード540には高周波電力が印加され、基板支持部530は接地される。
【0149】
また、ホローカソード540及び基板支持部530にそれぞれ、高周波電力を印加してもよい。この場合は、ヒータ560は選択的に、設けられたり、設けられなかったりする。
【0150】
基板支持部530は、固定される、回転する、または水平面に対して上下方向へ移動するなど、様々な態様が選択的に採用され得る。基板支持部530は、基板Wを支持することができるように支持プレート531と、駆動軸532と、駆動機533などを含む。
【0151】
ホローカソード540は、プロセスチャンバ510の内部に位置する。ホローカソード540の底面には、プラズマが生成される複数の下側凹部541が形成されている。
【0152】
第5実施形態では、第1〜4実施形態と異なり、バッフルが設けられていない。上部電力供給源571は、ホローカソード540に電力を印加し、下部電力供給源572は、下部電極560に電力を印加する。
【0153】
ガス供給部520は、プロセスチャンバ510内部の上部に位置し、ホローカソード540は、ガス供給部520の下方に位置し、基板支持部530は、プロセスチャンバ510内部の下方に位置する。
【0154】
ガス供給部520は、ホローカソード540へ向かってガスを供給する。ガス供給部520から流入したガスは、ホローカソード540を介してホローカソード効果によって放電されて、プラズマが生成される。
【0155】
また、プロセスチャンバ510の形状が一般的な円筒形状である場合、ホローカソード540は、円板形状に形成される。ホローカソード540は、酸化膜、窒化膜及び誘電体コーティングのうち、何れか一つでコーティングされる。
【0156】
このように、第5実施形態によると、供給されたガスをホローカソード540に形成された下側凹部541で、ホローカソード効果によって放電させてプラズマを生成する。
【0157】
第5実施形態でのホローカソード540は、図9A〜図9Dを参考して説明した第1実施形態のホローカソード140と同様であるので反復説明は省略する。
【0158】
上述のように、第1実施形態乃至第4実施形態の基板処理方法では、プラズマが生成される複数の下側凹部が底面に形成されたホローカソードと、複数の噴射口が形成されたバッフル(baffle)の間に流入したガスによってホローカソードプラズマを発生させる。基板支持部上に配置された基板は、前記噴射口を通過した前記ホローカソードプラズマによって処理される。
【0159】
また、第5実施形態の基板処理方法では、プロセスチャンバ内の上部に設けられたホローカソードと下部電極が設けられた基板支持部との間にガスを供給して、ホローカソード及び下部電極に高周波電力を印加してプラズマを発生させる。
【0160】
このような、本発明のプロセス条件について説明する。
【0161】
プロセスに使われるガスは、水素Hガスを含む。例えば、水素Hガス及び窒素Nガスの混合ガスをプロセスガスとして使うことができる。この際、水素ガスと窒素ガスの供給量はそれぞれ、約1〜20SLM(Standard Liter per Minite)であることが望ましい。即ち、本発明によるとアッシングのためのプロセスにも水素ガスを使用することができる。水素ガス:窒素ガスの供給比を、9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8、1:9などの様々な比に、必要に応じて選択的に適用することができる。また、水素Hと窒素Nの代わりに水素HとヘリウムHe、水素Hと四フッ炭素CFとヘリウムHe、水素Hと四フッ炭素CFなどを使用することができる。この際、四フッ炭素CFは約1000sccm(standard cubic centimeters per minute)、ヘリウムHeは約1000sccmで供給されることができる。
【0162】
また、前記ホローカソードには、100kHz〜27.12MHzの周波数及び100W〜10kWの電力を印加することができる。そして、前記電極(または下部電極)には、2MHz〜4MHz、または13.56MHzの周波数及び100W〜2kWの電力を印加することができる。
【0163】
一般的な上部電極には、約13.56MHz程度の周波数の電力が供給されるが、本発明のホローカソードには、それよりさらに高い周波数の電力を供給して、プラズマの密度を高めることができる。
【0164】
さらに、圧力条件は、1mTorr〜10Torrの範囲で設定可能であるので、低圧のみではなく高圧でもプロセスの実行が可能である。
【0165】
このようなホローカソードプラズマ発生方法及びホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法によると、高密度(約1012/cm)のプラズマを提供することができる。また、均一なプラズマを提供することができるため、大面積の基板を処理する半導体プロセスに適用が可能である。そして、低圧及び高圧でのプロセスの実行が可能である。また、ホローカソードプラズマを使用する場合、電子温度(Electron Temperature)が5eV以下であるため、基板の損傷を最小限にすることができる。
【0166】
図10及び図11は、基板処理プロセスに使われる基板の断面図である。
【0167】
本発明の基板処理は、基板上のフォトレジストを除去するプロセス、即ち、アッシングプロセスを含んでいる。この際、フォトレジストは、低誘電率(low−k)の誘電体上に設けられ得る。また、低誘電率(low−k)の誘電体は、銅Cu膜上に形成され得る。
【0168】
図10に示すように、本発明のアッシングプロセスで使用される基板は、銅膜31、エッチング防止膜32、low−k誘電体膜33、キャパシタンス34及びフォトレジスト膜35がこの順で積層された基板でありうる。このような基板を水素ガスと窒素ガスを使用してアッシングプロセスを実行すると、低誘電率誘電体膜33の損傷を最小限にすることができる。
【0169】
また、図11に示したように、本発明の基板は、高ドーズ(High dose)イオン注入されたフォトレジストが設けられた基板であってもよい。この場合、水素ガスと窒素ガスを使用し、ホローカソードプラズマを使用して酸化物41上のフォトレジスト42を除去すると、フォトレジスト残余物43(Photoresist Residue)の生成を最小限にすることができる。また、基板上に形成された金属膜(特に、銅膜)の酸化を防止することができる。
【0170】
以上の詳細な説明は、本発明を例示することである。また、上述した内容は、本発明の望ましい実施形態を示して説明することに過ぎなく、本発明は、多様な他の組合、変更及び環境で使用することができる。そして、本明細書に開示された発明の概念範囲、上述した開示内容と均等な範囲、及び/または該当分野の技術、または知識の範囲内で変更、または修正することができる。上述した実施形態は、本発明を実施することにおいて、最上の状態を説明するためのことであり、本発明のような異なる発明を利用するのに該当分野に知らされた異なる状態にの実施、そして発明の具体な適用分野及び用途で要求される多様な変更も可能である。従って、以上の発明の詳細な説明は、開示された実施状態に本発明を制限することではない。また、添付された請求範囲は、他の実施状態も含むことと解析されるべきである。
【符号の説明】
【0171】
100、200、300、400、500 プラズマ基板処理処置
110、210、310、410、510 プロセスチャンバ
120、220、320、420、520 ガス供給部
130、230、330、430、530 基板支持部
140、240、340、440、540 ホローカソード
150、250、350、450 バッフル
260、360、460、560 下部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマが生成される複数の下側凹部が底面に形成されたホローカソードと、複数の噴射口が形成されたバッフルとの間にガスを流入してホローカソードプラズマを発生させ、
基板支持部上に配置された基板を前記噴射口を通過した前記ホローカソードプラズマによって処理することを特徴とするホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項2】
前記ホローカソードには、前記下側凹部の上端から延びて該ホローカソードの上面まで貫通形成された流入ホールが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項3】
前記下側凹部のうち、一部のみに前記流入ホールが設けられていることを特徴とする請求項2に記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項4】
前記下側凹部のうちで、前記流入ホールが設けられた下側凹部は、前記流入ホールが設けられていない下側凹部の間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項5】
前記ホローカソードの上部から前記流入ホールを通じてガスが供給されることを特徴とする請求項2乃至請求項4のうち、何れか一つに記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項6】
前記ホローカソードと前記バッフルの間の側方からガスがさらに供給されることを特徴とする請求項5に記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項7】
前記基板の処理は、基板上のフォトレジストを除去するプロセスであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか一つに記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項8】
前記フォトレジストは、高ドーズイオン注入されたフォトレジストであることを特徴とする請求項7に記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項9】
前記フォトレジストは、低誘電率の誘電体膜上に設けられていることを特徴とする請求項7に記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項10】
前記低誘電率の誘電体膜は、銅膜上に形成されていることを特徴とする請求項9に記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項11】
前記基板支持部は、内部にヒータが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のうち何れか一つに記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項12】
前記基板支持部には、下部電極が設けられ、
前記バッフルを通過したプラズマの密度を、該バッフルと前記下部電極の間で増加させることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか一つに記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項13】
前記ホローカソード及び前記下部電極には、各々高周波電力が印加され、
前記バッフルは、接地されることを特徴とする請求項12に記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項14】
前記ホローカソードに印加される電力は、100W〜10kWであって、周波数が100kHz〜27.12kHzであり、
前記電極に印加される電力は、100W〜2kWであって、周波数が2kHz〜4kHz、または13.56kHzであり、
圧力条件は、1mTorr〜10Torrであることを特徴とする請求項12に記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項15】
前記ガスは、水素ガスを含むガスであることを特徴とする請求項12に記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。
【請求項16】
前記ガスは、水素ガス及び窒素ガスの混合ガスであることを特徴とする請求項15に記載のホローカソードプラズマを利用した大面積基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−34532(P2010−34532A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147708(P2009−147708)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(504388695)ピーエスケー・インコーポレーテッド (16)
【Fターム(参考)】