説明

ロードロック装置及び処理システム

【課題】冷却効率を高めてスループットを高く維持でき、複数段の被処理体を面間の温度差が生じないように均一に冷却するロードロック装置を提供する。
【解決手段】真空室6と大気室12との間にゲートバルブを介して連結されると共に真空雰囲気と大気圧雰囲気とを選択的に実現することができるロードロック装置8,10において、ロードロック用容器34と、ロードロック用容器内に設けられて複数枚の被処理体を複数段に亘って支持する支持部52を有する支持手段50と、大気圧復帰用のガスを冷却ガスとして噴射するために支持部に対応させて設けられたガス噴射孔74を有するガス導入手段72と、ロードロック用容器内の雰囲気を真空引きする真空排気系42とを備える。これにより、冷却効率を高めてスループットを高く維持でき、且つ複数段の被処理体を面間の温度差が生じないように均一に冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体に処理を施す処理システム及びこれに用いられるロードロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスを製造するには、半導体ウエハに対して成膜処理、酸化拡散処理、改質処理、エッチング処理、アニール処理等の各種の処理が繰り返し行われる。そして、上記各種の処理を効率的に行うために、例えば特許文献1又は2等に開示されているような、いわゆるクラスターツール型の処理システムが知られている。この処理システムでは、真空雰囲気になされた共通搬送室に対して複数の枚葉式の処理装置を連結し、この共通搬送室を介して半導体ウエハを各処理装置に向けて搬送しながら順次必要な処理を行うようになっている。
【0003】
この場合、上記共通搬送室には、真空雰囲気状態と大気圧雰囲気状態とを選択的に実現できる1個又は複数個の小容量のロードロック装置が連結されている。そして、真空雰囲気の上記共通搬送室と略大気圧の外部との間で半導体ウエハを搬入、搬出させるために、上記ロードロック装置内を真空雰囲気状態、或いは大気圧雰囲気状態に選択的に設定することにより、上記共通搬送室内の真空雰囲気を破ることなく、半導体ウエハの搬入及び搬出操作を行うようになっている。ここで、上記ロードロック装置には、上記処理装置における各種の熱処理により高温状態になっている半導体ウエハを安全な温度、例えば100℃程度まで冷却するための冷却機構、例えば冷却プレート等を有しており、半導体ウエハを100℃以下に冷却した後に外部に取り出すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−027378号公報
【特許文献2】特開2007−194582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した処理システムにあっては、各処理装置における処理の態様は1枚ずつ半導体ウエハを処理する、いわゆる枚葉式の処理装置であることを前提としているが、最近にあっては、一度に複数枚、例えば4〜25枚程度の半導体ウエハを同時に処理する処理装置も上記したような処理システムに組み込むようにした処理システムも提案されている。
【0006】
この場合、上記した処理装置で一度に4〜25枚程度の複数枚の半導体ウエハに対して高温、例えば150〜700℃程度の熱処理を行った場合にも、前述したようにこの半導体ウエハを安全温度である100℃以下まで冷却した後に外部へ取り出さなければならない。
【0007】
しかしながら、従来のロードロック装置は、半導体ウエハを1枚ずつしか冷却することができない構造になっていた。このため、一度に複数枚の半導体ウエハを冷却することができないことから、スループットを低下させる原因になっていた。そこで、例えば特開2003−332323号公報等に開示されているように、複数段に亘って半導体ウエハを保持するようにしたロードロック室を適用することも考えられるが、ここで開示されたロードロック室は、不活性ガス雰囲気中の半導体ウエハを大気開放させるためのものであり、上記特開2003−332323号公報のようなロードロック室を真空雰囲気と大気圧雰囲気との間で、半導体ウエハを搬出入させるようロードロック室にそのまま適用することはできない。
【0008】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明は、冷却効率を高めてスループットを高く維持でき、且つ複数段の被処理体を面間の温度差が生じないように均一に冷却することが可能なロードロック装置及び処理システムである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、真空室と大気室との間にゲートバルブを介して連結されると共に真空雰囲気と大気圧雰囲気とを選択的に実現することができるロードロック装置において、ロードロック用容器と、前記ロードロック用容器内に設けられて複数枚の被処理体を複数段に亘って支持する支持部を有する支持手段と、大気圧復帰用のガスを冷却ガスとして噴射するために前記支持部に対応させて設けられたガス噴射孔を有するガス導入手段と、前記ロードロック用容器内の雰囲気を真空引きする真空排気系と、を備えたことを特徴とするロードロック装置である。
【0010】
このように、真空室と大気室との間にゲートバルブを介して連結されると共に真空雰囲気と大気圧雰囲気とを選択的に実現することができるロードロック装置において、ロードロック用容器内に複数枚の被処理体を複数段に亘って支持する支持部を有する支持手段を設け、大気圧復帰用のガスを冷却ガスとして噴射するために支持部に対応させて形成されたガス噴射孔を有するガス導入手段を設けるようにしたので、被処理体を大気室側へ搬出する際に、冷却効率を高めてスループットを高く維持でき、且つ複数段の被処理体を面間の温度差が生じないように均一に冷却することが可能となる。
【0011】
請求項15に係る発明は、一度に複数枚の被処理体を熱処理することが可能な処理室が連結されると共に、前記被処理体を搬送するための真空側の搬送機構が内部に設けられた真空側搬送室よりなる真空室と、内部が大気圧又は大気圧に近い圧力の雰囲気になされると共に、前記被処理体を搬送するための大気側の搬送機構が設けられて前記被処理体を大気側との間で搬入又は搬出させる大気側搬送室よりなる大気室と、前記真空室と前記大気室との間に介在される請求項1乃至13のいずれか一項に記載のロードロック装置とを備えたことを特徴とする処理システムである。
【0012】
請求項16に係る発明は、一度に複数枚の被処理体を熱処理することが可能な処理室よりなる真空室と、内部が大気圧又は大気圧に近い圧力の雰囲気になされると共に、前記被処理体を搬送するための大気側の搬送機構が設けられて前記被処理体を大気側との間で搬入又は搬出させる大気側搬送室よりなる大気室と、前記真空室と前記大気室との間に介在される請求項14記載のロードロック装置と、を備えたことを特徴とする処理システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るロードロック装置及び処理システムによれば、次のような優れた作用効果を発揮することができる。
真空室と大気室との間にゲートバルブを介して連結されると共に真空雰囲気と大気圧雰囲気とを選択的に実現することができるロードロック装置において、ロードロック用容器内に複数枚の被処理体を複数段に亘って支持する支持部を有する支持手段を設け、大気圧復帰用のガスを冷却ガスとして噴射するために支持部に対応させて形成されたガス噴射孔を有するガス導入手段を設けるようにしたので、被処理体を大気室側へ搬出する際に、冷却効率を高めてスループットを高く維持でき、且つ複数段の被処理体を面間の温度差が生じないように均一に冷却することができる。
【0014】
特に、請求項7に記載したように、ロードロック用容器内の雰囲気の圧力を外部へ開放するための開放用排気系を更に設けるように構成することにより、暖まってしまった冷却ガスを大気圧復帰後にロードロック用容器の上部から積極的に排出することができ、その分、冷却効率を更に高めることができる。
【0015】
更にまた、請求項12に記載したように、支持部に設けられた温度測定手段と、温度測定手段の測定値に基づいてロードロック用容器と大気室との間のゲートバルブの開動作を制限する開動作制限部とを更に備えることにより、被処理体を確実に所望する温度まで低下させた後に、ゲートバルブを開くことができ、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のロードロック装置を有する処理システムの一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明のロードロック装置を示す縦断面図である。
【図3】被処理体を支持する支持手段の拡大部分断面図である。
【図4】支持手段の支持部の一例を示す平面図である。
【図5】ロードロック装置の変形実施例1の支持手段の断面を示す拡大図である。
【図6】ロードロック装置の変形実施例2の支持手段を示す拡大部分断面図である。
【図7】本発明のロードロック装置の変形実施例3を含む処理システムの一例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係るロードロック装置と処理システムの一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
<処理システム>
まず、本発明のロードロック装置を有する処理システムについて説明する。図1は本発明のロードロック装置を有する処理システムの一例を示す概略構成図、図2は本発明のロードロック装置を示す縦断面図、図3は被処理体を支持する支持手段の拡大部分断面図、図4は支持手段の支持部の一例を示す平面図である。
【0018】
まず、図1に示すように、この処理システム2は、複数、例えば3つの真空室としての第1〜第3の処理室4A、4B、4Cと、略六角形状の真空室としての真空側搬送室6と、ロードロック機能を有する第1及び第2の本発明に係るロードロック装置8、10と、細長い大気室としての大気側搬送室12とを主に有している。
【0019】
ここでは、上記3つの処理室4A〜4Cの内の2つの処理室4A、4Bは、それぞれ枚葉式の処理室であって、それぞれの載置台14A、14Bには1枚の半導体ウエハWが載置され、1枚ずつ半導体ウエハが処理される。これに対して、3つ目の処理室4Cは、いわゆるバッチ式の処理室であって、この載置台14Cには複数枚、図示例にあっては4枚の半導体ウエハWを同時に処理することができるようになっている。この載置台14Cは、半導体ウエハ間における処理の均一性を維持するために例えば回転可能になされている。上記3つの処理室4A〜4Cでは、真空雰囲気下において必要に応じて各種の処理を行うことができ、特に、処理室4Cでは、熱CVD処理や熱拡散処理や熱アニール処理等の熱処理が施され、半導体ウエハ温度は処理態様にもよるが150〜700℃程度に達することになる。
【0020】
そして、上記略六角形状の真空側搬送室6の3辺に上記第1〜第3の各処理室4A〜4Cが共通に接合され、他側の2つの辺に、上記第1及び第2ロードロック装置8、10がそれぞれ接合される。そして、この第1及び第2ロードロック装置8、10の他側に、上記大気側搬送室12が共通に接続される。
【0021】
上記真空側搬送室6と上記3つの各処理室4A〜4Cとの間及び上記真空側搬送室6と上記第1及び第2ロードロック装置8、10との間には、それぞれ気密に開閉可能になされたゲートバルブGが介在して接合されてクラスタツール化されており、必要に応じて真空側搬送室6内と連通可能になされている。ここで、この真空側搬送室6内は真空引きされて真空雰囲気になされている。また、上記第1及び第2各ロードロック装置8、10と上記大気側搬送室12との間にも、それぞれ気密に開閉可能になされたゲートバルブGが介在されている。この第1及び第2のロードロック装置8、10は後述するように真空引き、及び大気圧復帰が半導体ウエハの搬出入に伴って繰り返される。
【0022】
そして、この真空側搬送室6内においては、上記2つの各ロードロック装置8、10及び3つの各処理室4A〜4Cにアクセスできる位置に、屈伸及び旋回可能になされた多関節アームよりなる真空側の搬送機構16が設けられており、これは、互いに反対方向へ独立して屈伸できる2つのピック16A、16Bを有しており、一度に2枚の半導体ウエハを取り扱うことができるようになっている。尚、上記真空側の搬送機構16として1つのみのピックを有しているものも用いることができる。
【0023】
上記大気側搬送室12は、横長の箱体により形成されており、この横長の一側には、被処理体である半導体ウエハを導入するための1つ乃至複数の、図示例では3つの搬入口が設けられ、各搬入口には、開閉可能になされた開閉ドア18が設けられる。そして、この各搬入口に対応させて、導入ポート20がそれぞれ設けられ、ここにそれぞれ1つずつカセット容器22を載置できるようになっている。各カセット容器22には、複数枚、例えば25枚の半導体ウエハWを等ピッチで多段に載置して収容できるようになっている。
【0024】
このカセット容器22内は、例えば密閉状態になされており、内部にはN ガス等の不活性ガスの雰囲気に満たされている。この大気側搬送室12内は、例えばN ガス、或いは清浄空気により略大気圧に維持されている。具体的には、大気側搬送室12内は、大気圧、或いは大気圧よりも僅かな圧力、例えば1.3Pa程度だけ陽圧状態になされている。
【0025】
また、この大気側搬送室12内には、半導体ウエハWをその長手方向に沿って搬送するための大気側の搬送機構24が設けられる。この大気側の搬送機構24は、屈伸及び旋回可能になされた2つのピック24A、24Bを有しており、一度に2枚の半導体ウエハWを取り扱い得るようになっている。この大気側の搬送機構24は、大気側搬送室12内に、その長さ方向に沿って延びるように設けた案内レール26上にスライド移動可能に支持されている。
【0026】
また、大気側搬送室12の一方の端部には、半導体ウエハの位置合わせを行なうオリエンタ28が設けられる。上記オリエンタ28は、駆動モータによって回転される回転台28Aを有しており、この上に半導体ウエハWを載置した状態で回転するようになっている。この回転台28Aの外周には、半導体ウエハWの周縁部を検出するための光学センサ28Bが設けられ、これにより半導体ウエハWの位置決め切り欠き、例えばノッチやオリエンテーションフラットの位置方向や半導体ウエハWの中心の位置ずれ量を検出できるようになっている。
【0027】
この処理システム2はシステム全体の動作を制御するために、例えばコンピュータ等よりなるシステム制御部30を有している。そして、この処理システム全体の動作制御に必要なプログラムはフレキシブルディスクやCD(Compact Disc)やハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶媒体32に記憶されている。具体的には、このシステム制御部30からの指令により、各ガスの供給の開始、停止(各開閉弁の開閉)や流量制御、プロセス温度(半導体ウエハ温度)及びプロセス圧力(処理容器内の圧力)の制御、各ゲートバルブGの開閉、半導体ウエハの搬送作業等が行われる。
【0028】
<ロードロック装置の説明>
次に図2乃至図4も参照してロードロック装置8、10について説明する。これらのロードロック装置8、10は互いに同じ構成になされ、且つ同じ動作をするので、ここでは一方のロードロック装置8を例にとって説明し、他方のロードロック装置10の説明は省略する。
【0029】
図2に示すように、このロードロック装置8は、縦長に成形されたロードロック用容器34を有している。このロードロック用容器34は、例えばアルミニウム合金やステンレススチール等の金属により箱状に形成されている。このロードロック用容器34の一側の中段には半導体ウエハWを搬出入するための真空側搬出入口36が設けられており、この真空側搬出入口36には、ゲートバルブGを介して上記真空側搬送室6が連結されている。また、上記ロードロック用容器34の他側の中段には上記真空側搬出入口36に対向する位置に半導体ウエハWを搬出入するための大気側搬出入口38が設けられており、この大気側搬出入口38には、ゲートバルブGを介して上記大気側搬送室12が連結されている。
【0030】
そして、このロードロック用容器34の底部34Aには真空排気口40が設けられており、この真空排気口40にはこのロードロック用容器34内の雰囲気を真空引きする真空排気系42が設けられる。具体的には、この真空排気系42は、上記真空排気口40に接続された真空引き用ガス通路44を有しており、この真空引き用ガス通路44には、開閉弁46及び真空ポンプ48が順次介設されている。
【0031】
そして、このロードロック用容器34内には、複数枚の被処理体である半導体ウエハWを複数段に亘って支持する支持部52を有する支持手段50が設けられている。この支持手段50は、図3及び図4にも示すように起立した複数本、ここでは四角形状に配置された4本の支柱54A、54B、54C、54Dを有している。そして、これらの4本の支柱54A〜54Dの上端部は天板56に一体的に連結されており、また下端部は底板58に一体的に連結されている。そして、この支柱54A〜54Dは、支柱54A、54Bと支柱54C、54Dとの2つのグループに分かれており、上記2つのグループの支柱54A、54Bと支柱54C、54Dとの間の距離は、この間に半導体ウエハWを挿入できるように半導体ウエハWの直径よりも僅かに大きな距離に設定されている。
【0032】
そして、上記支柱54A〜54Dに、その長手方向に沿って上記支持部52が所定のピッチで複数段、すなわち4段に亘って取り付けられていおり、ここに4枚の半導体ウエハを保持できるようになっている。ここで、上記支持部52は、対向されて配置された一対の棚部材58A、58Bよりなり、この一対の棚部材58A、58Bの内の一方の棚部材58Aを上記一方の2本の支柱54A、54Bに掛け渡すようにして水平に取り付け固定し、他方の棚部材58Bを他方の2本の支柱54C、54Dに掛け渡すようにして水平の取り付け固定している。
【0033】
そして、この棚部材58A、58Bの対向面側は半導体ウエハWの周囲に沿った円弧形状に形成されており、この棚部材58A、58Bの上面側に、上記半導体ウエハWの周辺部の裏面(下面)を接触させて載置することにより、半導体ウエハWを支持し得るようになっている。上記支持部52が設けられる所定のピッチは、半導体ウエハWを保持した搬送機構16、24の各ピック16A、16B及び各ピック24A、24Bが侵入できるように、例えば10〜30mmの範囲内に設定されている。
【0034】
この場合、図4においては、支柱54A、54Bと支柱54C、54Dとの間に、上記各ピック16A、16B、24A、24Bが侵入することになり、矢印60に示す方向が搬出入方向となる。尚、図1においては、本発明の理解を容易にするために支持手段50を90度異なった方向から見た状態を示している。ここで上記支持手段50は、セラミック材、石英、金属及び耐熱性樹脂よりなる群より選択される1以上の材料により形成される。具体的には、上記支柱54A〜54B、天板56、底板58は、アルミニウム合金等の金属で作るのが好ましく、半導体ウエハWと直接的に接する支持部52は石英やセラミック材等の耐熱部材で作るのが好ましい。
【0035】
そして、上記支持手段50に、大気圧復帰用のガスを冷却ガスとして噴射するために上記支持部52に対応させて設けられたガス噴射孔74を有する本発明の特徴とするガス導入手段72が設けられる。具体的には、上記ガス導入手段72は、上記支持手段50に形成されたガス導入路76を有している。ここでは上記4本の各支柱54A〜54D内にその長手方向に沿ってガス導入路76がそれぞれ形成されており、各ガス導入路76からは上記支持部52である各棚部材58内を貫通するようにガスノズル78が水平方向に向けて形成されている。
【0036】
従って、このガスノズル78の先端が上記ガス噴射孔78となっている。これにより、各支持部52に対応させて冷却ガスを水平方向に向けて噴射できるようになっている。従って、ここでは1枚の半導体ウエハWに対して4つのガス噴射孔74から噴射した冷却ガスで冷却するようになっている。尚、この1枚の半導体ウエハWに対するガス噴射孔74の数は4個に限定されず、それよりも少なくしてもよいし、或いは多くしてもよい。
【0037】
また上記底板58には、4本の上記各ガス導入路76に共通に連通される連通路80(図3参照)が形成されており、この連通路80は、ロードロック用容器34の底部34Aを気密に貫通して外部へ引き出されたガス管82に接続されている。またロードロック用容器34内に位置するガス管82の一部には伸縮可能になされた蛇腹部82Aが設けられており、上記支持手段50の昇降に応じて蛇腹部82Aが追従して伸縮できるようになっている。
【0038】
また、このガス管82の途中には、開閉弁84が介設されており、大気圧復帰用のガスを冷却ガスとして必要に応じて供給できるようになっている。この大気圧復帰用のガス(冷却ガス)としては、Heガス、Arガス等の希ガスやN ガス等の不活性ガスを用いることができ、ここではN ガスを用いている。この場合、冷却ガスの温度が過度に低いと高温状態の半導体ウエハが急激に冷却されて破損等する恐れがあるので、冷却ガスの温度は冷却すべき半導体ウエハ温度に応じて設定し、例えば冷却ガスの温度は室温程度で十分である。
【0039】
そして、上述のように形成された上記支持手段50の底板58は、昇降台62上に設置されており、この支持手段50を上下方向へ昇降できるようになっている。具体的には、上記昇降台62は、ロードロック用容器34の底部34Aに形成した貫通孔66に挿通された昇降ロッド64の上端部に取り付けられている。この昇降ロッド64の下端部にはアクチュエータ68が取り付けられており、この昇降ロッド64を上下方向へ昇降できるようになっている。この場合、このアクチュエータ68は、上記昇降台62を上下方向の任意の位置に上記支持部52の位置に対応させて多段階に停止することができるようになっている。また昇降ロッド64の貫通孔66の部分には、伸縮可能になされた金属製のベローズ70が取り付けられており、ロードロック用容器34内の気密性を維持しつつ昇降ロッド64を上下動できるようになっている。
【0040】
また、ロードロック用容器34には、このロードロック用容器34内の雰囲気の圧力を外部へ開放するための開放用排気系90が設けられている。具体的には、この開放用排気系90は、上記ロードロック用容器34の上部に設けられたガス排気口92を有している。ここでは上記ガス排気口92は、ロードロック用容器34の天井部34Bに設けられている。そして、このガス排気口92には、開放用ガス通路94が接続されていると共に、この開放用ガス通路94の途中には、所定の圧力差になった時に開放されるリリーフ弁96が介在されている。これにより、このロードロック用容器34内の圧力が、この開放用ガス通路94の下流側の圧力よりも上記所定の圧力差だけ大きくなった時にリリーフ弁96は開動作するようになっている。
【0041】
ここでは上記開放用ガス通路94は、大気室である上記大気側搬送室12内に連通されている。尚、この開放用ガス通路94の下流側を大気側(処理システムを設置したクリーンルーム内)へ開放させるようにしてもよい。上記リリーフ弁96が開動作する所定の圧力差は、例えば1.3Pa程度に設定されている。
【0042】
そして、上記支持手段50の支持部52には、測度測定手段として例えば熱電対98が設けられており、支持部52に支持される半導体ウエハの温度を測定するようになっている。そして、この熱電対98の測定値は、例えばコンピュータ等よりなる開動作制限部100へ入力されている。そして、この熱電対98が所定の安全温度、例えば100℃を測定した時に、上記開動作制限部100は、大気側搬送室12のゲートバルブGの開動作許可信号をシステム制御部30へ出力するようになっている。ここでは、上記熱電対98は、複数段に設けた支持部52の内で、最上段に位置する支持部52に設けているが、この熱電対98を2段以上の支持部52、或いは4段の全ての支持部52に設けるようにして、全ての熱電対98の測定値が100℃を測定した時に開動作許可信号を出力するようにしてもよい。尚、前述したように、他方の第2のロードロック装置10も上記した第1のロードロック装置8と同様に構成されているのは前述した通りである。
【0043】
<処理システム及びロードロック装置の動作の説明>
このように、構成された処理システム2及びロードロック装置8、10における概略的な動作について説明する。まず、導入ポート20に設置されたカセット容器22からは、未処理の例えばシリコン基板よりなる半導体ウエハWが大気側の搬送機構24により大気側搬送室12内に取り込まれ、この取り込まれた半導体ウエハWは大気側搬送室12の一端に設けたオリエンタ28へ搬送されて、ここで位置決めがなされる。
【0044】
位置決めがなされた半導体ウエハWは、上記大気側の搬送機構24により再度搬送され、第1或いは第2のロードロック装置8、10の内のいずれか一方のロードロック装置内へ搬入される。上記したような半導体ウエハWの搬送操作を、4回繰り返すことによりロードロック装置内の支持手段50には満杯で4枚の半導体ウエハWが支持された状態となる。そして、このロードロック装置内を真空引きした後に、予め真空引きされた真空側搬送室6内の真空側の搬送機構16を用いて、上記ロードロック装置内の未処理の半導体ウエハWが真空側搬送室6内に取り込まれる。
【0045】
この未処理の半導体ウエハWは、例えば第1の処理室4A及び第2の処理室4B内で順に所定の処理が行われた後に、第3の処理室4C内へ搬入される。このようにして、4枚の半導体ウエハWが全て上記順序で所定の処理が行われると、第3の処理室4C内は満杯となってこの載置台14C上には4枚の半導体ウエハWが載置された状態となる。そして、この第3の処理室4C内において熱CVD処理や熱アニール処理や熱酸化拡散処理等の所定の熱処理が行われ、半導体ウエハ温度は、処理態様にもよるが例えば150〜700℃程度まで加熱された状態となる。
【0046】
このようにして、上記第3の処理室4C内で所定の熱処理が完了すると、この高温状態の半導体ウエハWは、真空側の搬送機構16により、第1と第2のロードロック装置8、10の内のいずれか一方の予め真空状態に維持されているロードロック装置内、例えば第1のロードロック装置8内の支持手段50に順次搬送されて多段に支持される。そして、真空側搬送室6側のゲートバルブGを閉じて密閉し、このロードロック装置8内に大気圧復帰用のガスであり、且つ冷却ガスであるN ガスを導入しつつ上記4枚の半導体ウエハWを冷却する。
【0047】
そして、このロードロック装置8内の圧力が大気圧復帰するとリリーフ弁96が開動作して大気搬送室12との間の圧力均衡が取られ、そして、半導体ウエハWの温度が100℃以下になったならば、大気側搬送室12側のゲートバルブGを開いてこのロードロック装置8内を大気側搬送室12内と連通し、ロードロック装置8内の4枚の処理済みの半導体ウエハWを大気側の搬送機構24で順次取り出してこれを処理済みの半導体ウエハを収容するカセット容器22内へ戻すことになる。以後は同様な操作が繰り返し行われる。
【0048】
次に、上記ロードロック装置8における動作について詳しく説明する。まず、大気側搬送機構24のピック24A、24B、或いは真空側の搬送機構16のピック16A、16Bとロードロック装置8の支持手段50との間で半導体ウエハWの受け渡しを行う場合について説明する。ここでは、真空側の搬送機構16のピック16Aを用いた場合を例にとって説明する。
【0049】
上記ピックに16A保持された半導体ウエハWを支持手段50の支持部52上に移載させるには、半導体ウエハWを保持しているピック16Aを、支持させる対象の支持部52の上方に挿入し、この状態でアクチュエータ68を駆動することにより、支持手段50の全体を所定の距離だけ上昇させ、これによりピック16Aに保持されていた半導体ウエハWは支持部52上に受け渡されて支持される。そして、ピック16Aを抜き出すことにより移載が完了する。
【0050】
上記とは逆に、支持部52上に支持されてた半導体ウエハWをピック16Aに移載させるには、空のピック16Aを移載の対象となっている半導体ウエハWを支持している支持部52の下方に挿入し、この状態でアクチュエータ68を駆動することにより支持手段50の全体を所定の距離だけ降下させる。これにより支持部52に支持されていた半導体ウエハWはピック16A上に受け渡されて保持される。そして、半導体ウエハWが保持されているピックを抜き出すことにより移載が完了する。ここで前述したように上記支持部52のピッチを10〜30mmの範囲内に設定しているので、支持手段50を小型化でき、更には支持手段50の昇降ストロークを短くし、スループットの高い受け渡しができる。
【0051】
次に、熱処理が完了後の高温の半導体ウエハWを冷却すると同時に、ロードロック用容器34内の圧力を大気圧復帰させる場合の動作について説明する。前述したように、第3の処理室4C内で熱処理が施されて150〜700℃程度の高温状態になった4枚の半導体ウエハWは、いずれか一方のロードロック装置の予め真空状態になされたロードロック用容器34内の支持手段50の各支持部52に真空側の搬送機構16を用いて支持される(図2参照)。
【0052】
そして、真空側搬送室6側のゲートバルブGを閉じることにより、このロードロック用容器34内を密閉する。次に、ガス導入手段72の開閉弁84を開いて大気圧復帰ガスと冷却ガスとを兼用するN ガスを所定の流量で導入する。この導入されたN ガスは、ガス管82を介して支持手段50の各支柱54A〜54Dに形成した各ガス導入路76内を流れ、更にこのガス導入路76に連通された各ガスノズル78の先端である各ガス噴射孔74から水平方向に向けて噴射されて半導体ウエハWの裏面に当たることになる。
【0053】
この結果、このガス噴射孔74は、各支持部52に対応させて設けてあることから、この各支持部52に支持されている4枚の半導体ウエハWは噴射されたN ガスにより略同時に冷却されることになる。この場合、一枚の半導体ウエハWについて4つのガス噴射孔74から噴射されるN ガスにより冷却されるので、半導体ウエハWを効率的に冷却することができる。また、上述のように各支持部52に設けたガス噴射孔74からN ガスを噴射するので、冷却効率を高めてスループットを高く維持でき、しかも各半導体ウエハは同一の冷却速度で冷却されることになり、各半導体ウエハ間の温度差を生ぜしめることなく全体の半導体ウエハを均一に冷却することができる。
【0054】
このようにして、各半導体ウエハWは冷却されると同時にロードロック用容器34内の圧力は次第に大気圧に復帰し、大気圧よりも僅かに圧力が大きくなると、開放用排気系90の開放用ガス通路94の途中に介設したリリーフ弁96が開動作し、このロードロック用容器34内の圧力を逃がすことになって大気側搬送室12との間の圧力均衡が取られる。この場合、ロードロック用容器34内の半導体ウエハの冷却によって暖まったN ガスはロードロック用容器34の上部に貯っている。そして、この暖まったN ガスは天井部34Bに設けたガス排気口92により開放用ガス通路94側へ積極的に排出されると共に、新たな冷却ガスであるN ガスが順次導入されているので、一層冷却高率を高めることができる。
【0055】
この場合、暖まった冷却ガスの排出先である大気側搬送室12内は、前述したように大気圧よりも僅かな圧力だけ陽圧になされている。従って、ロードロック用容器34内は、上記陽圧分とリリーフ弁96の差圧分の合計圧力分だけ大気圧よりも高い圧力の雰囲気になっている。また、このような大気圧復帰の過程において、支持部52に設けた熱電対98においては半導体ウエハWの温度が測定されており、この測定値が安全温度、例えば100℃以下になると、開動作制限部100はシステム制御部30へ向けて開動作許可信号が出力される。すると、システム制御部30は、ガス導入手段72の開閉弁84を閉状態にしてN ガスの供給を停止すると共に、このロードロック用容器34と大気側搬送室12との間のゲートバルブGを開状態として、100℃以下に冷却された半導体ウエハWの前述したような搬出操作を行うことになる。
【0056】
この場合、熱電対98や開動作制限部100を設けないで、冷却前の半導体ウエハ温度と冷却ガスの供給時間との関係で半導体ウエハ温度が100℃以下になるまでに要する時間を予め求めておき、この時間をパラメータとしてシステム制御部30に記憶させて制御するようにしてもよい。これによれば、このパラメータを参照することにより、冷却ガスの供給停止及び上記ゲートバルブの開動作を行うことができる。
【0057】
このように、本発明によれば、真空室と大気室との間にゲートバルブを介して連結されると共に真空雰囲気と大気圧雰囲気とを選択的に実現することができるロードロック装置において、ロードロック用容器34内に複数枚の被処理体、例えば半導体ウエハWを複数段に亘って支持する支持部52を有する支持手段50を設け、大気圧復帰用のガスを冷却ガスとして噴射するために支持部52に対応させて形成されたガス噴射孔74を有するガス導入手段72を設けるようにしたので、被処理体を大気室側へ搬出する際に、冷却効率を高めてスループットを高く維持でき、且つ複数段の被処理体を面間の温度差が生じないように均一に冷却することができる。
【0058】
また、ロードロック用容器34内の雰囲気の圧力を外部へ開放するための開放用排気系90を更に設けるように構成することにより、暖まってしまった冷却ガスを大気圧復帰後にロードロック用容器34の上部から積極的に排出することができ、その分、冷却効率を更に高めることができる。
【0059】
更に、支持部52に設けられた温度測定手段98と、温度測定手段98の測定値に基づいてロードロック用容器34と大気室との間のゲートバルブGの開動作を制限する開動作制限部100とを更に備えることにより、被処理体を確実に所望する温度まで低下させた後に、ゲートバルブGを開くことができ、安全性を高めることができる。
【0060】
<変形実施例1>
次に、本発明のロードロック装置の変形実施例について説明する。上記実施例にあっては、半導体ウエハWを支持する支持部52として棚部材58A、58Bを2本の支柱54A、54B間、或いは支柱54C、54D間に掛け渡すようにそれぞれ設けたが、これに限定されず、各支柱58A〜58Dに対して個別にピン部材を設けるようにしてもよい。図5はこのようなロードロック装置の変形実施例1の支持手段の断面を示す拡大図である。尚、図5において、図1乃至図4にて説明した構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付してある。
【0061】
上述したように、ここでは支持手段50の各支柱54A〜54Dに対して、支持部52として個別にピン部材102A、102B、102C、102Dを水平方向に向けて設けている。そして、このピン部材102A〜102D上に半導体ウエハWの裏面を当接させて、これを支持するようになっている。この場合、上記ピン部材102A〜102Dの材料として上記棚部材58A、58Bと同じ材料を用いることができる。そして、このピン部材102A〜102Dに、上記ガス導入路76に連通させて図4において示したものと同じ構造のガスノズル78及びガス噴射孔74をそれぞれ形成して大気圧復帰用ガスと冷却ガスとを兼用する不活性ガスとして、例えばN ガスを噴射するようになっている。この変形実施例1の場合にも、先の実施例と同様な作用効果を発揮することができる。
【0062】
<変形実施例2>
次に本発明のロードロック装置の変形実施例2について説明する。上記各実施例にあっては、棚部材58A、58Bやピン部材102A〜102Dよりなる支持部52にガスノズル78及びガス噴射孔74を設けた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、ガスノズル78及びガス噴射孔74をそれぞれ支柱54A〜54Dに設けるようにしてもよい。
【0063】
図6はこのようなロードロック装置の変形実施例2の支持手段を示す拡大部分断面図である。尚、図6において、図1乃至図5にて説明した構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付してある。上述したように、ここでは棚部材58A、58Bやピン部材102A〜102Dよりなる支持部52の直下に位置させて、各支柱54A〜54Dに上記ガス導入路76に連通されるガスノズル78及びガス噴射孔74をそれぞれ形成している。そして、このガス噴射孔74より大気圧復帰用ガスと冷却ガスとを兼用する不活性ガスとして、例えばN ガスを噴射するようになっている。
【0064】
この変形実施例2の場合にも、先の各実施例と同様な作用効果を発揮することができる。そして、この変形実施例2においては、支柱54A〜54Dの高さ方向の異なる位置に更に別のガスノズル78とガス噴射孔74とを設けるようにして多量のN ガスを導入できるようにしてもよい。
【0065】
<変形実施例3>
次に本発明のロードロック装置の変形実施例3について説明する。上記各実施例にあっては、ロードロック装置の一方には真空室として真空側搬送室6を連結した場合を例にとって説明したが、これに限定されず、真空室として一度に複数枚の熱処理を行う処理室4Cを連結するようにしてもよい。図7はこのような本発明のロードロック装置の変形実施例3を含む処理システムの一例を示す概略平面図である。尚、図7において、図1乃至図6にて説明した構成部分と同一構成部分については同一参照符号を付している。
【0066】
上述したように、ここではロードロック装置8(10)の一端に、真空側搬送室6ではなく、真空室である処理室4Cを、ゲートバルブGを介して直接的に連結している。前述したように、この処理室4Cでは、真空雰囲気下にて一度に4枚の半導体ウエハWに対して熱処理が施される。この場合、ロードロック用容器34の横方向の長さを少し長くなるように設定し、このロードロック用容器34内に、上記支持手段50と直列に真空側の搬送機構16を設けている。
【0067】
この場合、この搬送機構16は、上下に2段に配列したピック16A、16Bを有しており、且つ上下に昇降可能になされている。この搬送機構16により、処理室4C内の載置台14Cとロードロック用容器34内の支持手段50との間で半導体ウエハWの受け渡しを行うようになっている。この場合、この支持手段50としては、先に図1乃至図6を参照して説明した全ての支持手段が適用される。このような変形実施例3の場合にも、先の実施例と同様な作用効果を発揮することができる。
【0068】
尚、以上の各実施例では支持手段50の支持部52の上下方向の段数は、4段の場合を例にとって説明したが、この段数に限定されず、複数段であればよく、例えば1つのカセット容器に収容できる半導体ウエハ枚数である25枚に対応させて上記支持部52の段数を25段に設定してもよい。また同様に、処理室4Cにおいて一度に熱処理することができる半導体ウエハ枚数も4枚に限定されないし、支持部52の段数を処理室4Cにおいて一度に処理できる半導体ウエハ枚数と同じになるようにするのがよい。
【0069】
また、以上の各実施例にあっては、支持手段50の各支柱54A〜54D内にガス導入路76を形成した場合を例にとって説明したが、これに限定されず、支柱54A〜54Dの外側に、これに沿ってガス導入路76を形成するガス管を配設するようにしてもよい。
【0070】
また、ここでは被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、この半導体ウエハにはシリコン基板やGaAs、SiC、GaNなどの化合物半導体基板も含まれ、更にはこれらの基板に限定されず、液晶表示装置に用いるガラス基板やセラミック基板等にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
2 処理システム
4A,4B,4C 処理室(真空室)
6 真空側搬送室(真空室)
8,10 ロードロック装置
12 大気側搬送室(大気室)
16 真空側の搬送機構
24 大気側の搬送機構
34 ロードロック用容器
40 真空排気口
42 真空排気系
50 支持手段
52 支持部
54A〜54D 支柱
58A,58B 棚部材
62 昇降台
72 ガス導入手段
74 ガス噴射孔
76 ガス導入路
90 開放用排気系
92 ガス排気口
96 リリーフ弁
98 熱電対(測度測定手段)
100 開動作制限部
102A〜102D ピン部材
W 半導体ウエハ(被処理体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空室と大気室との間にゲートバルブを介して連結されると共に真空雰囲気と大気圧雰囲気とを選択的に実現することができるロードロック装置において、
ロードロック用容器と、
前記ロードロック用容器内に設けられて複数枚の被処理体を複数段に亘って支持する支持部を有する支持手段と、
大気圧復帰用のガスを冷却ガスとして噴射するために前記支持部に対応させて設けられたガス噴射孔を有するガス導入手段と、
前記ロードロック用容器内の雰囲気を真空引きする真空排気系と、
を備えたことを特徴とするロードロック装置。
【請求項2】
前記支持手段は、起立した複数本の支柱を有しており、前記支柱に前記支持部が所定のピッチで設けられていることを特徴とする請求項1記載のロードロック装置。
【請求項3】
前記ガス導入手段は、前記支持手段に形成されたガス導入路を有することを特徴とする請求項1又は2記載のロードロック装置。
【請求項4】
前記支持手段は、昇降可能になされた昇降台上に設置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のロードロック装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記被処理体の裏面と接触する棚部材を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のロードロック装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記被処理体の裏面と接触するピン部材を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のロードロック装置。
【請求項7】
前記ロードロック用容器内の雰囲気の圧力を外部へ開放するための開放用排気系が更に設けられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のロードロック装置。
【請求項8】
前記開放用排気系のガス排気口は、前記ロードロック用容器の上部に設けられていることを特徴とする請求項7に記載のロードロック装置。
【請求項9】
前記開放用排気系は、大気側に連通されると共に所定の圧力差になった時に開放されるリリーフ弁を有することを特徴とする請求項7又は8に記載のロードロック装置。
【請求項10】
前記開放用排気系は、前記大気室に連通されると共に所定の圧力差になった時に開放されるリリーフ弁を有することを特徴とする請求項7又は8に記載のロードロック装置。
【請求項11】
前記大気室は、大気圧よりも僅かな圧力だけ陽圧状態になされていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のロードロック装置。
【請求項12】
前記支持部に設けられた温度測定手段と、
該温度測定手段の測定値に基づいて前記ロードロック用容器と前記大気室との間のゲートバルブの開動作を制限する開動作制限部と、を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載のロードロック装置。
【請求項13】
前記支持手段は、セラミック材、石英、金属及び耐熱性樹脂よりなる群より選択される1以上の材料よりなることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のロードロック装置。
【請求項14】
前記ロードロック用容器内には、前記被処理体を搬送するために屈伸及び旋回が可能になされたロードロック用の搬送機構が設けられることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のロードロック装置。
【請求項15】
一度に複数枚の被処理体を熱処理することが可能な処理室が連結されると共に、前記被処理体を搬送するための真空側の搬送機構が内部に設けられた真空側搬送室よりなる真空室と、
内部が大気圧又は大気圧に近い圧力の雰囲気になされると共に、前記被処理体を搬送するための大気側の搬送機構が設けられて前記被処理体を大気側との間で搬入又は搬出させる大気側搬送室よりなる大気室と、
前記真空室と前記大気室との間に介在される請求項1乃至13のいずれか一項に記載のロードロック装置と、
を備えたことを特徴とする処理システム。
【請求項16】
一度に複数枚の被処理体を熱処理することが可能な処理室よりなる真空室と、
内部が大気圧又は大気圧に近い圧力の雰囲気になされると共に、前記被処理体を搬送するための大気側の搬送機構が設けられて前記被処理体を大気側との間で搬入又は搬出させる大気側搬送室よりなる大気室と、
前記真空室と前記大気室との間に介在される請求項14記載のロードロック装置と、
を備えたことを特徴とする処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−49507(P2011−49507A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199103(P2009−199103)
【出願日】平成21年8月29日(2009.8.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】