説明

ワイヤ補強層検査装置及びワイヤ補強層検査方法

【課題】内管の周囲に巻き付けられたワイヤの巻き付け不良をタイムリーに検出する。
【解決手段】ワイヤWを内管ゴム14の周囲に巻き付けるワイヤ巻き付け装置20にはワイヤ補強層検査装置10が設けられている。ワイヤ補強層検査装置10は、ワイヤ補強層16の表面形状を測定する表面形状測定装置50と、その表面形状に基づきワイヤ補強層16の巻き付け不良を検出するコントローラ70とを備えている。表面形状測定装置50は、ワイヤ補強層16にレーザ光54を照射するレーザ光射出部52と、反射したレーザ光55をイメージセンサに結像させてワイヤ補強層16の表面形状を測定する測定部56とを備えている。回転盤24が90度回転する毎に、表面形状測定装置50でワイヤ補強層16の表面形状を測定し、コントローラ70に取り込まれた最新の画像データと直近の画像データとを比較することで、ワイヤWの巻き付け不良を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ補強層検査装置及びワイヤ補強層検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耐圧ホースの製造方法としては、特許文献1や特許文献2に示されるように、マンドレルに支持された内管を円盤の孔部に通過させながら、円盤に取り付けられたボビンから送り出されたワイヤを内管の周囲に巻き付けることによりワイヤ補強層を形成する方法が開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、配管にレーザ光を照射してその反射レーザ光の輝度像をとり、その輝度像を解析することによって、配管に発生した損傷の形状と寸法を検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−168451号公報
【特許文献2】特開平9−296607号公報
【特許文献3】特開平10−153679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1や特許文献2に記載の構成では、内管の周囲にワイヤを巻き付ける際に、ワイヤが切れたときの対処の方法が具体的に開示されていない。
【0006】
上記の特許文献3に記載の方法は、配管に発生した損傷の形状と寸法を検出するものであり、この方法を内管の周囲にワイヤを巻き付ける工程で適用することは難しい。すなわち、内管の周囲に刻一刻とワイヤが巻き付けられていく状況では、ワイヤの欠落や食込み、もしくは隆起等をタイムリーに検出して対応していくことが難しい。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、内管の周囲に巻き付けられたワイヤの巻き付け不良をタイムリーに検出することができるワイヤ補強層検査装置及びワイヤ補強層検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明に係るワイヤ補強層検査装置は、内管が通過する中心孔が形成された回転盤と、前記回転盤に設けられワイヤが送り出されるワイヤ送り出し手段と、を備え、前記内管を前記回転盤の中心孔に通過させながら前記ワイヤ送り出し手段から送り出されたワイヤを前記内管の周囲に巻き付けるワイヤ巻き付け装置で製造されたワイヤ補強層を検査するワイヤ補強層検査装置であって、前記回転盤が一定角度回転する毎に、前記ワイヤ補強層にレーザ光を照射して前記ワイヤ補強層の表面形状を測定する表面形状測定手段と、前記表面形状測定手段で測定された前記回転盤の回転毎の前記ワイヤ補強層の表面形状を比較して、前記ワイヤ補強層の巻き付け不良を検出する検出手段と、を有している。
【0009】
上記の発明によれば、回転盤の中心孔に内管を通過させながら、回転盤に設けられたワイヤ送り出し手段から送り出されたワイヤを内管の周囲に巻き付けるワイヤ巻き付け装置でワイヤ補強層を製造する際に、表面形状測定手段により回転盤が一定角度回転する毎にワイヤ補強層にレーザ光を照射してワイヤ補強層の表面形状を測定する。さらに、検出手段により表面形状測定手段で測定された回転盤の回転毎のワイヤ補強層の表面形状を比較してワイヤ補強層の巻き付け不良を検出する。すなわち、ワイヤ送り出し手段から送り出されたワイヤはほぼ同じテンションで内管の周囲に巻き付けているため、ワイヤが正常に巻き付けられている場合には、回転盤が一定角度回転する毎に表面形状測定手段で測定されるワイヤ補強層の表面形状はほぼ同じであるはずである。このため、回転盤が一定角度回転する毎に測定されたワイヤ補強層の表面形状を比較することにより、ワイヤ補強層の巻き付け不良が検出される。その際、回転盤の上記一定角度を小さく設定すれば、ワイヤ補強層の巻き付け不良をよりタイムリーに検出することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワイヤ補強層検査装置において、前記表面形状測定手段は、前記ワイヤ補強層に前記内管の軸方向に沿ってレーザ光を照射するレーザ光射出部と、前記ワイヤ補強層で反射したレーザ光を結像させ、前記ワイヤ補強層の表面形状を測定するイメージセンサと、を有している。
【0011】
上記の発明によれば、レーザ光射出部からワイヤ補強層に内管の軸方向に沿ってレーザ光を照射し、内管のワイヤ補強層で反射したレーザ光をイメージセンサに結像させてワイヤ補強層の表面形状を測定する。これによって、内管のワイヤ補強層の表面形状をより正確に測定することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のワイヤ補強層検査装置において、前記検出手段は、前記ワイヤ補強層の表面形状を画像データとして記録する記録部と、前記回転盤の回転毎の前記ワイヤ補強層の表面形状を比較して所定のしきい値になるとエラー表示する表示部と、エラーが発生すると前記回転盤の回転を停止させる制御部と、を有している。
【0013】
上記の発明によれば、ワイヤ補強層の表面形状が画像データとして記録部に記録され、回転盤の回転毎のワイヤ補強層の表面形状を比較して所定のしきい値になると表示部にエラー表示される。エラーが発生すると、制御部により回転盤の回転を停止させる。これによって、ワイヤ補強層の巻き付け不良が発生したときに直ちに回転盤の回転を停止させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明に係るワイヤ補強層検査方法は、回転盤の中心孔を通過する内管の周囲にワイヤ送り出し手段から送り出されたワイヤを巻き付けて形成されたワイヤ補強層に、前記回転盤が一定角度回転する毎に前記内管の軸方向に沿ってレーザ光を照射し、前記ワイヤ補強層で反射したレーザ光をイメージセンサに結像させて前記ワイヤ補強層の表面形状を測定し、前記回転盤の回転毎の前記ワイヤ補強層の表面形状を比較して、前記ワイヤ補強層の巻き付け不良を検出する。
【0015】
上記の発明によれば、回転盤が一定角度回転する毎にワイヤ補強層の表面形状を測定し、その表面形状を比較することにより、ワイヤ補強層の巻き付け不良をタイムリーに検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明によれば、内管の周囲に巻き付けられたワイヤの巻き付け不良をタイムリーに検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態のワイヤ補強層検査装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すワイヤ補強層検査装置に用いられる表面形状測定装置及び検出装置を示す斜視図である。
【図3】表面形状測定装置に同期パルスを発信する装置を示す斜視図である。
【図4】内管のワイヤ補強層に食込みが発生した状態を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1には、本発明の一実施形態であるワイヤ補強層検査装置の全体構成が示されている。また、図2には、ワイヤ補強層検査装置に用いられる表面形状測定装置及び検出装置が示されている。これらの図に示されるように、ワイヤWを内管ゴム14の周囲に巻き付けてワイヤ補強層16を形成するワイヤ巻き付け装置20には、ワイヤ補強層16を検査するワイヤ補強層検査装置10が配設されている。
【0020】
ワイヤ補強層検査装置10は、内管ゴム14の周囲のワイヤ補強層16の表面形状を測定する表面形状測定手段としての表面形状測定装置50と、この表面形状測定装置50で測定された表面形状に基づきワイヤ補強層16の巻き付け不良を検出する検出手段としてのコントローラ70と、を備えている。さらに、ワイヤ補強層検査装置10は、表面形状測定装置50で測定されたワイヤ補強層16の表面形状が表示される表示部としてのモニタ74を備えている。
【0021】
ワイヤ巻き付け装置20は、上下方向に沿って立設された基台22と、基台22の側面に取り付けられて一定方向に回転する円形状の回転盤24と、を備えている。回転盤24及び基台22の中心部には、マンドレル12に支持された内管ゴム14を通過させるための中心孔26が形成されている。回転盤24の中心孔26の周りには、回転盤24に形成された複数の開口24Aの内側にそれぞれワイヤWが巻かれたワイヤ送り出し手段としてのボビン28が回転可能に取り付けられている。
【0022】
本実施形態では、中心孔26と同心円状に複数のボビン28がほぼ等間隔で配列された内周側のボビン列29Aと、その内周側のボビン列29Aのボビン28の間に中心孔26と同心円状に複数のボビン28がほぼ等間隔で配列された外周側のボビン列29Bと、で構成されている。このように複数のボビン28を配置すれば、各ボビン28からほぼ等間隔でワイヤWが供給され、内管ゴム14の周囲に多数のワイヤWをほぼ同時に巻き付けることができる。
【0023】
なお、ワイヤWの材質は、要求される内管ゴム14の補強層の強度に応じて適宜に選定することができる。また、ボビン28の数は特に限定されず、要求されるワイヤ補強層16の強度に応じて適宜に選定することができる。なお、ボビン28の配置は本実施形態に限定されるものではない。
【0024】
回転盤24の中央部には図示しないギアを介してモータが接続されており、モータの駆動力がギアを介して回転盤24に伝達されることで、基台22に支持された回転盤24が一定方向に回転する。回転盤24の回転に伴って回転盤24に取り付けられたボビン28が回転すると共に公転し、ボビン28から送り出されたワイヤWが内管ゴム14の周囲に巻き付けられる。
【0025】
マンドレル12は、内管ゴム14に挿入されており、内管ゴム14の周囲にワイヤWが巻き付けられる際に、図示しない移動手段により内管ゴム14を支持した状態で回転盤24の中心孔26を矢印A方向に通過させる構成となっている。なお、内管ゴム14の周囲にワイヤWが巻き付けられる位置には、内管ゴム14を囲むように巻き付け位置決めガイドを設けてもよい。
【0026】
図2に示されるように、ワイヤ補強層検査装置10を構成する表面形状測定装置50は、ワイヤ巻き付け装置20により内管ゴム14の周囲にワイヤWが巻き付けられる位置の下流側(内管ゴム14の移動方向下流側)に配置されている。表面形状測定装置50による測定位置は、内管ゴム14の周囲にワイヤWが巻き付けられた直後であることが好ましい。表面形状測定装置50は、内管ゴム14のワイヤ補強層16に軸方向に沿ってレーザ光54を照射するレーザ光射出部52と、内管ゴム14のワイヤ補強層16から反射したレーザ光55を結像させ、ワイヤ補強層16の表面形状を測定する測定部56と、を備えている。
【0027】
表面形状測定装置50としては、例えば2次元レーザ変位センサを用いることができる。この表面形状測定装置50では、レーザ光射出部52に半導体レーザ及びシリンドリカルレンズ(図示省略)が設けられており、半導体レーザから射出されてシリンドリカルレンズを通ることによって帯状に広げられたレーザ光54が内管ゴム14のワイヤ補強層16に軸方向に沿って当たり、ワイヤ補強層16で拡散反射する。また、この表面形状測定装置50では、測定部56に2Dエルノスターレンズ及びイメージセンサ(図示省略)が設けられており、ワイヤ補強層16で反射したレーザ光55を2Dエルノスターレンズで集光させてイメージセンサに結像させることで、ワイヤ補強層16の表面形状を測定する。レーザ光54を内管ゴム14のワイヤ補強層16の表面に対してやや角度をつけた方向から照射し、その反射したレーザ光55を測定部56のイメージセンサに結像させることにより、ワイヤ補強層16のワイヤWの位置及び形状を測定することができる。本実施形態では、表面形状測定装置50として、株式会社キーエンス製の高精度2次元レーザ変位センサLJ−Gシリーズが用いられている。
【0028】
なお、表面形状測定装置50として、上記の2次元レーザ変位センサに代えて、内管ゴム14のワイヤ補強層16に軸方向に沿ってレーザ光を照射するレーザ光発生器と、そのレーザ光が内管ゴム14のワイヤ補強層16に照射されるのをワイヤ補強層16の表面に対してやや角度をつけた方向から撮影するカメラ(CCDカメラなど)と、を一体又は別々に備えたものでもよい。
【0029】
表面形状測定装置50は電気配線60を介してコントローラ70に接続されており、モニタ74は電気配線72を介してコントローラ70に接続されている。また、コントローラ70は電気配線76を介して回転盤24のモータ(図示省略)に接続されている。
【0030】
表面形状測定装置50は、回転盤24が一定角度回転する毎(本実施形態では、回転盤24が90度回転する毎)にワイヤ補強層16の表面形状を測定するように制御されている。コントローラ70は、表面形状測定装置50で測定されたワイヤ補強層16の表面形状を画像データとして記録する記録部と、回転盤24が一定角度回転する毎のワイヤ補強層16の表面形状の画像データを比較してワイヤ補強層16の巻き付け不良を検出する検出部と、ワイヤ補強層16の巻き付け不良が検出されたときに回転盤24の回転を停止させる制御部と、を備えている。さらに、モニタ74には、ワイヤ補強層16の表面形状の画像データが表示される。
【0031】
次に、ワイヤ補強層検査装置10の動作であって、ワイヤ補強層16のワイヤWの巻き付け不良を検出するワイヤ補強層検査方法について説明する。
【0032】
表面形状測定装置50によるワイヤ補強層16の表面形状の測定は、連続ではなく、回転盤24の回転に同期させて行う。例えば、回転盤24が1回転するときに4回測定するように設定し、回転盤24が1/4回転するたび、すなわち回転盤24が90度回転する毎に瞬間的にワイヤ補強層16の表面形状を測定する。表面形状測定装置50で測定されたデータはコントローラ70に送られ、画像処理により記録部に画像データとして取り込まれる。コントローラ70に取り込まれた画像データは、モニタ74に表示される。
【0033】
図3に示されるように、表面形状測定装置50に同期パルスを与えるために、回転盤24の周縁に均等角度(90度の角度)で4箇所の突起30を設け、この突起30を光電スイッチ32で検出し、表面形状測定装置50に同期パルスを発信する。これによって、回転盤24が90度回転する毎に表面形状測定装置50でワイヤ補強層16の表面形状を測定することができる。なお、光電スイッチ3に代えて、突起30を近接スイッチで検出するようにしてもよい。また、このパルスを表面形状測定装置50に送る方法は、他の方法で代替してもよく、例えば、エンコーダなどを用いてもよい。
【0034】
回転盤24が90度回転する毎に表面形状測定装置50でワイヤ補強層16の表面形状を測定し、その画像データをコントローラ70の記録部に取り込む。そして、得られた最初の画像データをA1、B1、C1、D1・・・とし、回転盤24が90度回転した次の画像データをA2、B2、C2、D2・・・とする。以下、順次回転盤24が90度回転する毎に画像データをAn、Bn、Cn、Dn・・・としていく。これらの画像データによって、ワイヤ補強層16の表面形状の変位を測定することができる。その際、An、Bn、Cn、Dn・・・は、それぞれ同じボビン28から送り出されたワイヤWとなるように設定している。
【0035】
仮に内管ゴム14に理想的なテンションでワイヤWが巻き付けられたホースがあるとすれば、A1の画像とA2・・・Anの画像は全く同じになるはずである。したがって、A1とA2、A2とA3・・・An-1とAnの画像を順次比較していけば、ワイヤ補強層16に図2に示されるような欠落16Aや、図4に示されるようなワイヤWの食込み16B等の巻き付け不良が発生した場合に、直ちに検出することができる。これは、Bn、Cn、Dn・・・についても同じである。
【0036】
表面形状測定装置50で内管ゴム14のワイヤ補強層16の表面形状が測定され、その測定値が画像データとしてコントローラ70の記録部に取り込まれる。さらに、回転盤24が90度回転したとき、表面形状測定装置50でワイヤ補強層16の表面形状が測定され、同様に画像データとしてコントローラ70の記録部に取り込まれる。そして、コントローラ70の検出部での演算により、このワイヤ補強層16の表面形状の最新の画像データが、直近の画像データ(回転盤24が90度回転する前の画像データ)と比較される。すなわち、ワイヤ補強層16の表面形状の最新の画像データと直近の画像データとの差が所定のしきい値を超えるかどうかでワイヤWの巻き付け不良を検出する。ワイヤ補強層16にワイヤWの巻き付け不良がない場合には、ワイヤ補強層16の表面形状の最新の画像データと直近の画像データはほぼ同じであり、最新の画像データと直近の画像データとの差は、予め設定された許容限界値である所定のしきい値より小さい。画像データと直近の画像データとの差が、所定のしきい値以上となると、ワイヤ補強層16にワイヤWの巻き付け不良が発生したことが検出される。
【0037】
図2に示されるように、ワイヤ補強層16の表面形状は、画像データとしてモニタ74に表示されている。ワイヤ補強層16にワイヤWの巻き付け不良が発生したとき、モニタ74にワイヤ補強層16のワイヤWの欠落部分がエラー表示される。
【0038】
回転盤24が90度回転する毎に、表面形状測定装置50でワイヤ補強層16の表面形状を測定し、コントローラ70に取り込まれた最新の画像データと直近の画像データとを比較することで、ワイヤ補強層16のワイヤWの巻き付け不良をタイムリーに検出することができる。ワイヤ補強層16のワイヤWの巻き付け不良が検出されたときは、コントローラ70の制御部により回転盤24を回転させるモータの駆動を停止させる。
【0039】
このようなワイヤ補強層検査装置10では、内管ゴム14の周囲に巻き付けられたワイヤWの巻き付け不良をタイムリーに検出することができる。また、同じボビン28から送り出されたワイヤWの表面形状を回転盤24が一定回転する毎に表面形状測定装置50で測定するので、誤認が少ない。
【0040】
また、回転盤24が90度回転する毎に表面形状測定装置50で測定されたワイヤ補強層16の表面形状の最新の画像データと直近の画像データとを比較するため、ワイヤWの切断が発生した場合のみならず、ワイヤWの内管ゴム14への食込み量が予め定められた量(所定のしきい値)以上のときも検出することができる。例えば、ワイヤWが周囲の部材に引っ掛かって過大なテンションがかかり、ワイヤWが内管ゴム14へ食い込んだ場合も比較的容易に検出することができる。
【0041】
図4に示されるように、ワイヤWに過大なテンションが発生し、ワイヤWの内管ゴム14への食込み量が大きくなった場合、後工程で内管ゴム14上のワイヤ補強層16に外皮ゴムを被せて加硫を行っても、製品のホースにくっきりと過大テンションが起こったワイヤWの食込み跡が残り、外観不良や品質不良となる可能性がある。これに対して、本実施形態では、ワイヤWの内管ゴム14への食込み量が予め定められた量(所定のしきい値)以上のときにタイムリーに検出することができるので、製品のホースの外観不良や品質不良の発生を防止することができる。
【0042】
さらに、ワイヤ補強層検査装置10では、以下のようなメリットを有している。
【0043】
(1)回転盤24上に何も構造物を設置しないので、遠心力等により構造物が動作不良を起こす恐れがない。
【0044】
(2)ワイヤ補強層16のワイヤWの巻き付け不良を電気信号として取り出すことができるので、巻き付け不良の発生時に直ちにワイヤ巻き付け装置20のラインを停止させることができる。
【0045】
(3)ワイヤWの巻き付け不良を画像データとして記憶させることができるので、巻き付け不良が発生した場合、後で製品のホースの不良原因の追跡が可能となる。
【0046】
(4)画像処理の演算は連続ではなく、ワイヤ巻き付け装置20の回転盤24の1回転毎に数回(本実施形態では4回)の画像処理を行うので、データ量が膨大とならない。したがって、汎用の小型のCPUで充分に画像処理が可能である。
【0047】
(5)さらに、コントローラ70での画像処理をさらに発展させることにより、以下のような解析にも使用することができる。すなわち、連続したワイヤWのピッチを測定することができるので、ホースの単位長さ当たりのワイヤWの打ち込み数の検査を行うことが可能となる。また、連続したワイヤWのピッチを測定することで、各打ち込みピッチのばらつきの測定を行うことが可能となる。
【0048】
なお、上記実施形態では、回転盤24が90度回転する毎にワイヤ補強層16の表面形状を測定したが、これに限定するものではない。ワイヤ補強層16の表面形状の測定間隔を短くすれば(回転盤24の回転角度を小さく設定すれば)、よりタイムリーにワイヤWの巻き付け不良を検出することができる。また、一定時間経過する毎にワイヤ補強層16の表面形状を測定する構成でもよい。
【0049】
なお、上記実施形態では、ワイヤ補強層16の表面形状の測定でAn、Bn、Cn、Dn・・・は、それぞれ同じボビン28から送り出されたワイヤWとなるように設定しているが、これに限定するものではなく、異なるボビン28から送り出されたワイヤWとしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 ワイヤ補強層検査装置
14 内管ゴム(内管)
16 ワイヤ補強層
20 ワイヤ巻き付け装置
24 回転盤
26 中心孔
28 ボビン(ワイヤ送り出し手段)
50 表面形状測定装置
52 レーザ光射出部
54 レーザ光
55 反射したレーザ光
56 測定部(イメージセンサ)
70 コントローラ(検出手段)
74 モニタ(表示部)
W ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内管が通過する中心孔が形成された回転盤と、前記回転盤に設けられワイヤが送り出されるワイヤ送り出し手段と、を備え、前記内管を前記回転盤の中心孔に通過させながら前記ワイヤ送り出し手段から送り出されたワイヤを前記内管の周囲に巻き付けるワイヤ巻き付け装置で製造されたワイヤ補強層を検査するワイヤ補強層検査装置であって、
前記回転盤が一定角度回転する毎に、前記ワイヤ補強層にレーザ光を照射して前記ワイヤ補強層の表面形状を測定する表面形状測定手段と、
前記表面形状測定手段で測定された前記回転盤の回転毎の前記ワイヤ補強層の表面形状を比較して、前記ワイヤ補強層の巻き付け不良を検出する検出手段と、
を有するワイヤ補強層検査装置。
【請求項2】
前記表面形状測定手段は、前記ワイヤ補強層に前記内管の軸方向に沿ってレーザ光を照射するレーザ光射出部と、前記ワイヤ補強層で反射したレーザ光を結像させ、前記ワイヤ補強層の表面形状を測定するイメージセンサと、を有する請求項1に記載のワイヤ補強層検査装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記ワイヤ補強層の表面形状を画像データとして記録する記録部と、前記回転盤の回転毎の前記ワイヤ補強層の表面形状を比較して所定のしきい値になるとエラー表示する表示部と、エラーが発生すると前記回転盤の回転を停止させる制御部と、を有する請求項1又は請求項2に記載のワイヤ補強層検査装置。
【請求項4】
回転盤の中心孔を通過する内管の周囲にワイヤ送り出し手段から送り出されたワイヤを巻き付けて形成されたワイヤ補強層に、前記回転盤が一定角度回転する毎に前記内管の軸方向に沿ってレーザ光を照射し、前記ワイヤ補強層で反射したレーザ光をイメージセンサに結像させて前記ワイヤ補強層の表面形状を測定し、
前記回転盤の回転毎の前記ワイヤ補強層の表面形状を比較して、前記ワイヤ補強層の巻き付け不良を検出するワイヤ補強層検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−11496(P2011−11496A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158877(P2009−158877)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】