説明

不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法

【課題】電荷蓄積層が側面に形成された柱状の半導体膜と交差するゲート電極膜が高さ方向に複数配置されるメモリストリングスの底部が所定の方向に隣接するメモリストリングスの底部と半導体層で接続された構造の不揮発性半導体記憶装置で、従来に比して抵抗を低くする。
【解決手段】柱状の半導体膜131Cの側面に電荷蓄積層132を介して制御ゲート電極膜122を有するメモリセルトランジスタMCが柱状の半導体膜131Cの高さ方向に複数設けられるメモリストリングスMSが、半導体基板101上に複数配置され、ワード線方向に配置されたメモリストリングスMSの同じ高さのメモリセルトランジスタMCの制御ゲート電極膜122間が接続された不揮発性半導体記憶装置で、ビット線方向に隣接する2本の柱状の半導体膜131Cの下部間を結ぶ連結部を備え、柱状の半導体膜131Cは、それぞれ概略単結晶状のGe膜またはSiGe膜で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリの分野では、リソグラフィ技術の解像度の限界に制約されることなく高集積化を達成することが可能な積層型メモリが注目されている。たとえば、側面を覆うように電荷蓄積層としての絶縁膜が形成された柱状の半導体膜と交差するように高さ方向に所定の間隔をおいて平板形状の電極が複数配置されるメモリストリングスが2次元的にマトリックス状に配置され、第1の方向に隣接するメモリストリングス間で平板形状の電極が共有された構造の不揮発性半導体記憶装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年では、このような積層型メモリの特性を向上させるために、第1の方向に直交する第2の方向に隣接する2つのメモリストリングスの底部を半導体層で接続した不揮発性半導体記憶装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
このような不揮発性半導体記憶装置は、つぎのようにして製造される。まず、周辺回路を形成した半導体基板上に絶縁膜を介して多結晶シリコン膜を形成し、この多結晶シリコン膜上に、酸化シリコン膜と、平板形状の電極となる多結晶シリコン膜とを交互に堆積する。ついで、メモリストリングス形成位置にU字状のホールを形成し、このU字状のホールの内壁を覆うように電荷蓄積層としての絶縁膜を形成し、さらに絶縁膜上にアモルファスシリコン層を形成する。そして、熱処理を行って、アモルファスシリコン層を結晶化させて多結晶シリコン層を形成することで、U字状のホール内にチャネルとなるU字状半導体層が形成される。以上によって、2つのメモリストリングスの底部を半導体層で接続した不揮発性半導体記憶装置が得られる。
【0005】
このような特許文献2に記載の方法では、チャネルとなるU字状半導体層は多結晶で構成されるため、単結晶の半導体材料と比較した場合に抵抗が本質的に高くなり、チャネルに流れる電流として高い値を実現することができないという問題点があった。そのため、チャネルを構成する半導体層は、単結晶で構成されることが望ましい。
【0006】
ところで、従来では、石英基板上の一部にライン状の多結晶シリコン膜を形成し、石英基板上に多結晶シリコン膜と交差するようにライン状のゲルマニウム膜を形成した後、ゲルマニウム膜を溶融する温度でアニールを行うことで、単結晶状のゲルマニウム膜が得られることが知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0007】
非特許文献1に記載の技術では、基板平面に形成された配線状のゲルマニウム膜を単結晶化するものであるが、この製造方法を特許文献2に記載の不揮発性半導体記憶装置に適用して、チャネルを構成するU字状半導体層を単結晶化することはできない。それは、単結晶を形成するためには、シード(種)となる領域が必要であり、上記したように、U字状のホール内には電荷蓄積層が形成されており、U字上半導体層を単結晶化するためのシードとなる領域がないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−171918号公報
【特許文献2】特開2009−146954号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Masanobu Miyao, Kaoru Toko, Takanori Tanaka and Taizo Sadoh, High-quality single-crystal Ge stripes on quartz substrate by rapid-melting-growth, Applied Physics Letters, vol.95, 022115(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、電荷蓄積層が側面に形成された柱状の半導体膜と交差するゲート電極膜が高さ方向に複数配置されるメモリストリングスが2次元的にマトリックス状に配置され、第1の方向に隣接する同じ高さのゲート電極膜が接続され、第1の方向に交差する第2の方向に隣接するメモリストリングス間の底部が半導体層で接続された構造の不揮発性半導体記憶装置において、従来に比して抵抗を低くすることができる不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、柱状の半導体膜の側面に電荷蓄積層を介してゲート電極膜を有するトランジスタを前記柱状の半導体膜の高さ方向に複数設けてなるメモリストリングスが、基板上に略垂直にマトリックス状に配置され、第1の方向に配置された前記メモリストリングスの同じ高さの前記トランジスタの前記ゲート電極膜間が接続された不揮発性半導体記憶装置において、前記第1の方向に交差する第2の方向に隣接する2本の前記メモリストリングスを構成する前記柱状の半導体膜の下部間を結ぶ半導体材料からなる連結部を備え、前記柱状の半導体膜は、それぞれ概略単結晶状のゲルマニウム膜またはシリコンゲルマニウム膜で構成されることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置が提供される。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、柱状の半導体膜の側面に電荷蓄積層を介してゲート電極膜が形成されたトランジスタが前記柱状の半導体膜の高さ方向に複数直列接続されたメモリストリングスを複数有する不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、絶縁材料からなるスペーサ膜と導電性材料からなる電極膜とが交互に積層された積層膜を形成する第1の工程と、前記積層膜を貫通し、前記積層膜の積層方向に平行な方向の断面が下部に行くほど小さくなる貫通孔と、前記積層膜の下部で所定の方向に隣接する2つの前記貫通孔間の下部を結ぶ連結孔と、を形成する第2の工程と、前記貫通孔および前記連結孔の内面を被覆するようにアモルファスシリコン膜を所定の厚さで形成し、続けて、前記アモルファスシリコン膜が形成された前記貫通孔および前記連結孔内にゲルマニウム膜を形成する第3の工程と、貫通孔内のゲルマニウムとシリコンとの濃度比で決定される混晶の融点以上でシリコンの融点以下の温度で熱処理を行う第4の工程と、を含むことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法が提供される。
【0013】
さらに、本発明の一態様によれば、柱状の半導体膜の側面に電荷蓄積層を介してゲート電極膜が形成されたトランジスタが前記柱状の半導体膜の高さ方向に複数直列接続されたメモリストリングスを複数有する不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、絶縁材料からなるスペーサ膜と導電性材料からなる電極膜とが交互に積層された積層膜を形成する第1の工程と、前記積層膜を貫通する貫通孔と、前記積層膜の下部で所定の方向に隣接する2つの前記貫通孔間の下部を結ぶ連結孔と、を形成する第2の工程と、前記貫通孔および前記連結孔の内面を被覆するとともに、シリコンとゲルマニウムの濃度比が周囲とは異なる領域が少なくとも1箇所存在するように、アモルファスシリコン膜を所定の厚さで形成し、続けて、前記アモルファスシリコン膜が形成された前記貫通孔および前記連結孔内にゲルマニウム膜を形成する第3の工程と、ゲルマニウムの融点以上でシリコンの融点以下の温度で熱処理を行う第4の工程と、を含むことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電荷蓄積層が側面に形成された柱状の半導体膜と交差するゲート電極膜が高さ方向に複数配置されるメモリストリングスが2次元的にマトリックス状に配置され、第1の方向に隣接する同じ高さのゲート電極膜が接続され、第1の方向に交差する第2の方向に隣接するメモリストリングス間の底部が半導体層で接続された構造の不揮発性半導体記憶装置において、従来に比して抵抗を低くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1−1】図1−1は、本発明の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の構造の一例を模式的に示す斜視図である。
【図1−2】図1−2は、図1のメモリセル部の構造を詳細に示す斜視図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の構成の一例を模式的に示す断面図である。
【図3−1】図3−1は、第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その1)。
【図3−2】図3−2は、第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その2)。
【図3−3】図3−3は、第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その3)。
【図3−4】図3−4は、第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その4)。
【図3−5】図3−5は、第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その5)。
【図4−1】図4−1は、第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その1)。
【図4−2】図4−2は、第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その2)。
【図5】図5は、第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の構成の一例を模式的に示す断面図である。
【図6−1】図6−1は、第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その1)。
【図6−2】図6−2は、第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その2)。
【図6−3】図6−3は、第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その3)。
【図6−4】図6−4は、第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その4)。
【図6−5】図6−5は、第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その5)。
【図7】図7は、第4の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の構成の一例を模式的に示す断面図である。
【図8−1】図8−1は、第4の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その1)。
【図8−2】図8−2は、第4の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その2)。
【図8−3】図8−3は、第4の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる不揮発性半導体記憶装置を詳細に説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の実施の形態で用いられる不揮発性半導体記憶装置の斜視図と断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる。さらに、以下で示す膜厚は一例であり、これに限定されるものではない。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1−1は、本発明の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の構造の一例を模式的に示す斜視図であり、図1−2は、図1のメモリセル部の構造を詳細に示す斜視図である。不揮発性半導体記憶装置1は、主として、メモリセル部12、ワード線駆動回路13、ソース側選択ゲート線駆動回路14、ドレイン側選択ゲート線駆動回路15、センスアンプ16、ソース線駆動回路17、バックゲートトランジスタ駆動回路18、ワード線19、ソース側選択ゲート線20、ドレイン側選択ゲート線21、ビット線22、ソース線23およびバックゲート線24などを有している。
【0018】
メモリセル部12は、複数のメモリセルトランジスタ(以下、単にメモリセルともいう)MCと、高さ方向に連なるメモリセルトランジスタ列の上端に設けられるドレイン側選択トランジスタSGDまたはソース側選択トランジスタSGSと、を有するメモリストリングスMSがバックゲート線24上にマトリックス状に配置された構成を有する。また、隣接する2本のメモリストリングスMSは、下端で接続されており、接続された2本のメモリストリングスMSが1つのメモリセル列を構成している。そのため、1つのメモリセル列の一方のメモリストリングスMSの上端にソース側選択トランジスタSGSが形成され、他方のメモリストリングスMSの上端にドレイン側選択トランジスタSGDが形成されている。
【0019】
ワード線19は、所定の方向に隣接するメモリストリングスMSの同じ高さのメモリセルMCの制御ゲート電極膜間を接続している。このワード線19の延在する方向を、以下では、ワード線方向という。また、ソース側選択ゲート線20は、ワード線方向に隣接するメモリストリングスMSのソース側選択トランジスタSGSの選択ゲート電極膜間を接続し、ドレイン側選択ゲート線21は、ワード線方向に隣接するメモリストリングスMSのドレイン側選択トランジスタSGDの選択ゲート電極膜間を接続している。さらに、ビット線22は、ワード線方向に交差する方向(ここでは直交方向)で、ドレイン側選択トランジスタSGDが形成されたメモリストリングスMSの上部と接続するように設けられる。以下では、ビット線22の延在する方向を、ビット線方向という。また、ソース線23は、ソース側選択トランジスタSGSが形成されたメモリストリングスMSの上部と接続するように、ワード線方向に延在するように設けられる。
【0020】
ワード線駆動回路13は、ワード線19に印加する電圧を制御する回路であり、ソース側選択ゲート線駆動回路14は、ソース側選択ゲート線20に印加する電圧を制御する回路であり、ドレイン側選択ゲート線駆動回路15は、ドレイン側選択ゲート線21に印加する電圧を制御する回路である。また、センスアンプ16は、選択されたメモリセルから読み出した電位を増幅する回路である。なお、以下の説明では、ソース側選択ゲート線20およびドレイン側選択ゲート線21を区別する必要がない場合には、単に選択ゲート線と表記する。また、ソース側選択トランジスタおよびドレイン側選択トランジスタについても区別する必要がない場合には、単に選択トランジスタと表記する。
【0021】
バックゲート線24は、メモリストリングスMSを下端で支持するとともに、メモリセル列を構成するビット線方向に隣接するメモリストリングスMS間に形成されるバックゲートトランジスタのゲート電極として機能する。また、バックゲートトランジスタ駆動回路18は、バックゲート線24に印加する電圧を制御する。なお、ここでは、ビット線22に印加する電圧を制御するビット線駆動回路の図示を省略している。
【0022】
メモリセル部12のワード線19、ソース側選択ゲート線20およびドレイン側選択ゲート線21と、ワード線駆動回路13、ソース側選択ゲート線駆動回路14およびドレイン側選択ゲート線駆動回路15とは、メモリセル部12に隣接して設けられたワード線コンタクト部25で、それぞれコンタクトを介して接続される。ワード線コンタクト部25は、メモリセル部12のワード線駆動回路13側に設けられており、各高さのメモリセルMCと選択トランジスタSGS,SGDに接続されるワード線19と選択ゲート線20,21が階段状に加工された構造となっている。
【0023】
ここで、メモリセル部12のさらに詳細な構造について説明する。図2は、第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の構成の一例を模式的に示す断面図であり、ワード線方向に垂直な方向の断面を示している。半導体基板101上には絶縁膜102を介して平板状のバックゲート線103が形成されている。バックゲート線103のメモリセル部形成領域上には、スペーサ膜121と制御ゲート電極膜122との積層膜が複数層積層された積層膜が形成される。この積層膜を貫通するように、側面が電荷蓄積層132で覆われた柱状の半導体膜131Cが形成される。つまり、側面に電荷蓄積層132が形成された柱状の半導体膜131Cの周囲に制御ゲート電極膜122が形成されたメモリセルMCが高さ方向に複数層形成された構造を有している。高さ方向に隣接するメモリセルMCは、スペーサ膜121によって分離されている。なお、ここでは、8層のメモリセルMCが積層されている場合が示されている。
【0024】
また、ビット線方向に隣接する2本の柱状の半導体膜131C間の下部は、側面が電荷蓄積層132で覆われた半導体膜131Jからなる連結部によって接続されている。この連結部は、たとえばバックゲートトランジスタによって構成される。バックゲートトランジスタは、バックゲート線24にビット線方向に延在して形成された空洞の側壁に形成されるONO膜などの電荷を蓄積することが可能な電荷蓄積層132と、電荷蓄積層132が形成された空洞内を満たすとともに、メモリストリングスMSに接続される半導体膜131Jと、半導体膜131Jの周囲に設けられ、制御ゲート電極として機能するバックゲート線24と、によって構成される。このように、ビット線方向に隣接する2本の柱状の半導体膜131Cと、これらの2本の柱状の半導体膜131C間の下部を接続する半導体膜131Jとで、U字状の半導体膜131が形成される。
【0025】
柱状の半導体膜131Cが形成された積層膜上には、層間絶縁膜123と選択ゲート電極膜124と保護絶縁膜125とを含む積層膜が積層され、柱状の半導体膜131Cの形成位置に対応して、この3層の積層膜を貫通するように、側面がゲート絶縁膜134で覆われた柱状の半導体膜133が形成される。つまり、側面にゲート絶縁膜134が形成された柱状の半導体膜133の周囲に選択ゲート電極膜124が形成された選択トランジスタSGS,SGDが、高さ方向に形成されたメモリセルMCの最上層に形成されている。ここで、メモリセル列を構成する2本のメモリストリングスMSのうち、一方の選択トランジスタがソース側選択トランジスタSGSとなり、他方の選択トランジスタがドレイン側選択トランジスタSGDとなる。
【0026】
このように、側面に電荷蓄積層132を介して制御ゲート電極膜122が形成された柱状の半導体膜131Cと、側面にゲート絶縁膜134を介して選択ゲート電極膜124が形成された柱状の半導体膜133とによって、メモリストリングスMSが形成され、2本のメモリストリングスMSと、これらの間を接続する半導体膜131Jとによって1つのメモリセル列が形成される。
【0027】
ビット線方向に隣接するメモリストリングスMS間は、ワード線方向に延在するトレンチに埋め込まれた層間絶縁膜141によって分離されている。これによって、メモリセル部12では、ワード線方向に配列するメモリストリングスMSの選択トランジスタSGS,SGDの選択ゲート電極膜124間は互いに接続され、ワード線方向に配列するメモリストリングスMSの同じ高さのメモリセルトランジスタMCの制御ゲート電極膜122間も互いに接続される。
【0028】
柱状の半導体膜133が形成された保護絶縁膜125上にも層間絶縁膜141が形成され、ビット線やソース線などを有する多層配線層が形成される。ここでは、層間絶縁膜141上に、配線層151、層間絶縁膜161、配線層152、層間絶縁膜162、配線層153および層間絶縁膜163が順に形成されている。配線層151は、メモリセル部の各メモリストリングスMSの上面と、層間絶縁膜161に形成されたコンタクト142を介して電気的に接続された構造を有している。コンタクト142や配線層151〜153の材料としては、たとえばWやAlを用いることができ、層間絶縁膜141,161〜163の材料としては、たとえばシリコン酸化膜を用いることができる。
【0029】
ここで、半導体基板101および柱状の半導体膜133として、たとえば、Si,Ge,SiGe,SiSn,PbS,GaAs,InP,GaP,GaN,ZnSeまたはInGaAsPなどの中から選択することができる。また、制御ゲート電極膜122と選択ゲート電極膜124として、たとえばW,TaN,TiN,TiAlN,WN,WSi,CoSi,NiSi,PrSi,NiPtSi,PtSi,Pt,Ru,RuO2,Bドープ多結晶シリコン膜、Pドープ多結晶シリコン膜などの導電体膜を単独で、または積層して用いることができる。さらに、スペーサ膜121として、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁材料を用いることができ、ゲート絶縁膜134として、シリコン酸化膜などを用いることができる。
【0030】
また、電荷蓄積層132は、電荷を蓄積することが可能な層であり、トンネル絶縁膜/チャージトラップ膜/チャージブロック膜の構造を有するものを用いることができる。このような電荷蓄積層132として、たとえば、ONO(シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜)構造を用いるようにしてもよいし、ANO(酸化アルミニウム膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜)構造を用いるようにしてもよい。または、ANO構造の酸化アルミニウム膜に代えて、HfO2,La23,Pr23,Y23,ZrO2などの金属酸化膜、あるいはこのような金属酸化膜を複数種組み合わせた膜を用いるようにしてもよい。また、これらの構造において、トンネル絶縁膜としてONO膜を用いてもよい。
【0031】
第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置においては、メモリストリングスMSを構成する半導体膜131C,131Jが単結晶状のGeによって構成されている。具体的には、メモリセル列を構成する2本のメモリストリングスMSのうち、一方のメモリストリングスMSを構成する柱状の半導体膜131Cはある方位で成長した単結晶Geで構成され、他方のメモリストリングスMSを構成する柱状の半導体膜131Cはある方位で成長した単結晶Geで構成されている。そして、これらの柱状の半導体膜131Cの下部の半導体膜131Jでは、柱状の半導体膜131Cでの結晶方位が引き継がれる。通常、2つの柱状の半導体膜131Cの結晶方位が揃うことは稀であるので、下部の半導体膜131J中に、2本の柱状の半導体膜131Cを構成する単結晶膜間の結晶粒界131Bが形成される。なお、2つの柱状の半導体膜131Cの結晶方位が揃う場合には、下部の半導体膜131J中に、2本の柱状の半導体膜131Cを構成する単結晶膜に結晶粒界131Bは形成されない。
【0032】
このように、第1の実施の形態では、メモリセルMCのチャネルとなる半導体膜131Cを単結晶Geで構成することで、チャネルを多結晶半導体材料で構成した場合に比して抵抗を低くすることができ、チャネルに流す電流値を高くすることが可能となる。
【0033】
つぎに、このような構造の不揮発性半導体記憶装置の製造方法について説明する。図3−1〜図3−5は、第1の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である。これらの図では、ワード線方向に垂直な方向の断面を示している。
【0034】
まず、図3−1(a)に示されるように、半導体基板101上に図示しない周辺回路を形成し、周辺回路を形成した半導体基板101上に絶縁膜102および多結晶シリコン膜などからなるバックゲート線103を形成する。ついで、図3−1(b)に示されるように、リソグラフィ技術とエッチング技術を用いて、接続部を形成するためのトレンチ135を形成する。このトレンチ135は、ビット線方向に隣接する2つのメモリストリングスMSを接続することができる長さで形成される。その後、図3−1(c)に示されるように、トレンチ135内に、たとえばポリイミドなどの犠牲膜136を埋め込む。
【0035】
ついで、図3−2(a)に示されるように、犠牲膜136を埋め込んだバックゲート線103上に、スパッタ法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などの成膜法によって、スペーサ膜121と、メモリセルMCの制御ゲート電極となる制御ゲート電極膜122とを交互に複数層積層し、最上層はスペーサ膜121で終わるようにする。スペーサ膜121は、上下の制御ゲート電極膜122を電気的に分離するシリコン酸化膜などの絶縁材料を用いることができ、制御ゲート電極膜122は、たとえばn型多結晶シリコン膜、またはp型多結晶シリコン膜を用いることができる。
【0036】
ついで、図3−2(b)に示されるように、リソグラフィ技術とエッチング技術を用いて、メモリストリングスMSの形成位置に犠牲膜136に連通する貫通孔137aを形成する。この貫通孔137aは、バックゲート線103上に形成した犠牲膜136の形成位置上に所定の間隔を置いて2本設けられるように形成される。その後、酸素ガスを用いたアッシングなどの方法で、バックゲート線103上に埋め込まれた犠牲膜136を除去し、バックゲート線103内にビット線方向に隣接する2本の貫通孔137a間を結ぶ連通管137bが形成される。その結果、2本の貫通孔137aと、これらの貫通孔137aの底部間を結ぶ連通管137bによって、半導体膜131を形成する鋳型となるU字状孔137が形成される。
【0037】
ついで、図3−3(a)に示されるように、U字状孔137の側面に電荷蓄積層132をCVD法などの方法で形成する。電荷蓄積層132として、たとえば酸化シリコン膜/窒化シリコン膜/酸化シリコン膜の積層膜を用いることができる。
【0038】
続けて、図3−3(b)に示されるように、CVD法などの方法で、アモルファスゲルマニウム膜131aを、電荷蓄積層132が側面に形成されたU字状孔137内に埋め込むように形成する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法などの方法によって最上層のスペーサ膜121よりも上に形成された電荷蓄積層132とアモルファスゲルマニウム膜131aとを除去する。これによって、U字状孔137内にアモルファスゲルマニウム膜131aが埋め込まれた状態となる。
【0039】
ついで、図3−4(a)に示されるように、アモルファスゲルマニウム膜131aが埋め込まれたスペーサ膜121上に、CVD法などの方法でアモルファスシリコンなどからなるシード膜138を形成する。その後、この状態で、ゲルマニウムの融点(約900℃)よりも高い温度で、所定の時間、熱処理を行う。ここでは、たとえば1,000℃で1秒間の熱処理を行う。この熱処理によって、アモルファスゲルマニウム膜131aは溶融する一方、シード膜138を構成するアモルファスシリコンは多結晶化する。また、アモルファスゲルマニウム膜131aとアモルファスシリコン膜との界面では、相互拡散が生じている。
【0040】
熱処理後、降温過程に入り、ゲルマニウムの融点を通過する際に、ゲルマニウムは固化することになる。固化は融点が相対的に高い場所すなわち上層のシード膜138と接触し、相互拡散によってゲルマニウム中にシリコンが拡散した拡散領域から始まることになる。このとき、拡散領域における結晶方位は、ゲルマニウムと接触しているシード膜138を構成する多結晶シリコンの中の1つの結晶粒の持つ方位のみを引き継ぐことになる。その結果、シード膜138と接触している領域から徐々にU字状孔137の下部に向かって溶融状態のゲルマニウムが結晶化していくことになる。
【0041】
なお、この例では、熱処理時間を1秒間としているが、1秒よりも短くても長くてもよい。ただし、熱処理時間が長すぎてしまうと、ゲルマニウムとシリコンとの間での相互拡散が起こってしまい、その相互拡散が起きた領域内ではゲルマニウムの濃度勾配ができ、良好な結晶性を得ることができなくなってしまう。そのため、熱処理時間はなるべく短時間であることが望ましい。ただし、余りに熱処理時間が短いと、積層膜に形成されたU字状孔137の内部を均一な温度にすることができないので、望ましくない。つまり、熱処理時間としては、溶融すべきU字状孔137の内部の領域を均一に加熱して溶融することができ、均一に降温できる範囲で、できる限り短い時間であることが望ましい。たとえば、100ミリ秒以下、望ましくは0.1〜10ミリ秒であれば、濃度勾配の形成を抑止することができる。
【0042】
この熱処理によって、図3−4(b)に示されるように、U字状孔137のうち柱状部分の貫通孔137aには、シード膜138に形成された多結晶シリコン粒子のうちアモルファスゲルマニウム膜131aと接触していた1つの結晶粒子の結晶方位を有する単結晶ゲルマニウムからなる半導体膜131Cが形成される。通常、シード膜138中の2つの柱状部分の上に形成される領域の結晶粒子の結晶方位は異なるため、2つの柱状部分のそれぞれに形成される単結晶ゲルマニウム膜の方位は異なる。その結果、U字状孔137の内部には、2つの単結晶ゲルマニウムの結晶粒界131Bが形成されることになる。一般的に結晶粒界131Bは、接続部(連通管137b内の半導体膜131J)内に形成されるが、これは2つの貫通孔137a内の溶融状態のゲルマニウムが結晶化していく速度の差によって形成される位置が異なる。なお、貫通孔137a内に形成される半導体膜131Cは単結晶であることが望ましいが、結晶粒内部に双晶または転位などの欠陥を含む、数個程度の結晶粒からなる概略単結晶状の半導体膜131Cでもよい。
【0043】
ついで、図3−5(a)に示されるように、RIE(Reactive Ion Etching)法などのエッチング方法やCMP法などの方法によって、シード膜138を除去して、単結晶ゲルマニウムからなる半導体膜131Cの上面が露出した状態となる。その後、CVD法などの方法によって、半導体膜131Cが露出した最上層のスペーサ膜121上に層間絶縁膜123、選択ゲート電極膜124および保護絶縁膜125を順に堆積する。
【0044】
ついで、図3−5(b)に示されるように、リソグラフィ技術とエッチング技術とを用いて、柱状の半導体膜131Cの上面に連通する貫通孔139を層間絶縁膜123、選択ゲート電極膜124および保護絶縁膜125に形成する。その後、貫通孔139の内面を被覆するように、CVD法などの方法によって、選択トランジスタ用のゲート絶縁膜134を形成する。続いて、ゲート絶縁膜134を形成した貫通孔139内に、CVD法などの方法によって、たとえばn型の多結晶シリコン膜からなる半導体膜133を埋め込むように形成する。その後、CMP法によって保護絶縁膜125よりも上に形成された半導体膜133とゲート絶縁膜134を除去する。これによって、貫通孔139内に選択トランジスタのチャネルとなる半導体膜133が埋め込まれた状態となる。これによって、メモリセルMCのチャネルを構成する柱状の半導体膜131Cと、選択トランジスタのチャネルを構成する柱状の半導体膜133とが積層されたメモリストリングスMSが形成される。
【0045】
ついで、ビット線方向に隣接するメモリストリングスMS間を分離し、各メモリストリングスMSに接続される配線層151〜153を形成する処理を行い、図2に示される構造の不揮発性半導体記憶装置が得られる。具体的には、リソグラフィ技術とエッチング技術とによって、保護絶縁膜125から最下層のスペーサ膜121までを一括加工して、ビット線方向に隣接するメモリストリングスMS間を分離する図示しないトレンチを形成する。このトレンチは、ワード線方向に延在する形状を有する。これによって、ビット線方向に隣接するメモリストリングス列間で、制御ゲート電極膜122と選択ゲート電極膜124が物理的に分離される。その後、形成したトレンチを埋め込むように保護絶縁膜125上にCVD法などの成膜法によって層間絶縁膜141を形成する。ついで、層間絶縁膜141に半導体膜133に接続するコンタクト142を形成する。そして、層間絶縁膜141上に、コンタクト142に接続される配線層151〜153などを、層間絶縁膜161〜163を介して形成し、多層配線層を形成する。以上によって、図2に示される構造の不揮発性半導体記憶装置が得られる。
【0046】
第1の実施の形態によれば、メモリセルトランジスタMCが形成される領域には、半導体膜131Cとして単結晶のゲルマニウム膜を形成するようにしたので、メモリセルトランジスタMCのチャネル領域の抵抗を低くでき、チャネルに流れる電流値を高くすることができるという効果を有する。また、チャネルの抵抗が低いので、半導体膜131Cの断面積を微細化したり、メモリストリングスMSの長さを長くしたりしても、電流値が低下することを防ぎ、書き込み/読出し速度の低下を抑え、動作に支障をきたすことがない。その結果、記憶ビット密度を高めることができるという効果を有する。なお、ゲルマニウムをチャネルとして使うことにより、チャネルがシリコンである場合と比較して、トランジスタの閾値電圧が変化する。また高い電流値を得るために、キャリアとして正孔をもちいた、PMOSのメモリセルトランジスタを用いてもよい。このような場合には、制御ゲート電極膜122は、P型の多結晶シリコンを用いることが望ましい。
【0047】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、第1の実施の形態の図2に示される構造の不揮発性半導体記憶装置の他の製造方法について説明する。図4−1〜図4−2は、第2の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である。これらの図では、ワード線方向に垂直な方向の断面を示している。
【0048】
第1の実施の形態の図3−1〜図3−3(a)までと同じ手順で、半導体基板101上に絶縁膜102、バックゲート線103、およびスペーサ膜121と制御ゲート電極膜122の積層膜を形成し、U字状孔137を形成した後、電荷蓄積層132をU字状孔137の側面を被覆するように形成する。なお、U字状孔137を構成する貫通孔137aのスペーサ膜121と制御ゲート電極膜122の積層方向の断面積は、下部(底部)に行くほど小さくなるように形成される。
【0049】
ついで、図4−1(a)に示されるように、ジシラン(Si26)を原料ソースに用いたCVD法によって、アモルファスシリコン膜からなる下地層181を電荷蓄積層132上に形成する。アモルファスシリコン膜の厚さは、たとえば厚さ1.5nmに設定することができる。この後連続して、図4−1(b)に示されるように、下地層181上にアモルファスゲルマニウム膜131aを電荷蓄積層132が側面に形成されたU字状孔137内に埋め込むように形成する。その後、CMP法などの方法によって最上層のスペーサ膜121よりも上に形成された電荷蓄積層132と下地層181とアモルファスゲルマニウム膜131aとを除去する。これによって、U字状孔137内にアモルファスゲルマニウム膜131aが埋め込まれた状態となる。このとき、貫通孔137aの径は下部に行くほど小さくなり、貫通孔137aの側面に形成される下地層181の厚さは一定となるので、貫通孔137aの下部に行くほど、ゲルマニウムに対するシリコンの割合が高くなる。なお、ここでは、貫通孔137aの下部に行くほど、ゲルマニウムに対するシリコンの割合が高くなる場合を示したが、ゲルマニウムに対するシリコンの割合が周囲と異なる領域が少なくとも1箇所、それぞれの貫通孔137a内に存在すればよい。
【0050】
ついで、図4−2に示されるように、アモルファスゲルマニウム膜131aが埋め込まれたスペーサ膜121上に、CVD法などの方法でシリコン酸化膜などからなるキャップ膜182を形成する。
【0051】
その後、この状態で、ゲルマニウムの融点(約900℃)よりも高い温度で、所定の時間、熱処理を行う。望ましくは、ゲルマニウムとシリコンとが埋め込まれた領域内部で、そのゲルマニウムとシリコンとが混合して混晶を作ったときの濃度から決定される融点以上とする。たとえば溝の底部付近でゲルマニウムとシリコンとの比が80:20であった場合には、融点は約1,000℃となるので、熱処理温度は1,000℃以上であることが望ましい。ここでは、たとえば1,100℃で1秒間の熱処理を行う。この熱処理によって、アモルファスゲルマニウム膜131aは溶融し、その近傍のアモルファスシリコン膜との間で相互拡散が生じ、相互拡散が生じた部分はシリコンゲルマニウムが溶融した状態となる。この部分の融点はアモルファスゲルマニウム膜131aに比して上昇し、この結果として、融点の高い領域が起点となった結晶化が起きる。具体的には、貫通孔137aの形状が、たとえば底部に向かうほど細くなっていると、ある断面におけるゲルマニウムの量は底部に行くほど少なくなり、シリコンの量は底部に行くほど多くなるため、固化は底部(連結間137b内部またはその付近)を起点として進みやすい。その結果、個々の貫通孔137aでは、その底部を起点とした単結晶化が生じ、それぞれの貫通孔137aの内部は、シリコンゲルマニウム単結晶によって構成されることになる。貫通孔137aの、上部と底部との直径の比は、たとえば100:80である。底部が上部に比較して小さいほど底部のゲルマニウム濃度はシリコン濃度に比べて少なくなるので、融点が高くなるという結果を生じる。すなわち、貫通孔137aの内部での融点差が大きくなるので、確実に底部を起点とした結晶化を起こすことができる。一方底部が上部に比較してあまり小さくない場合には、溶融のための温度を、ゲルマニウムの融点に比較して、きわめて高くする必要がないというメリットがある。なお、結晶化が開始する部分が複数ある場合には、柱状の半導体膜131Cは、複数の単結晶から構成される概略単結晶状の構造となる。ただし、この場合には、柱状の半導体膜131Cを構成する結晶粒は数個である。
【0052】
なお、このとき、2つの柱状の貫通孔137aの底部間を接続する連通管137bは、両側の貫通孔137aの底部からはじまった結晶化の進行によって得られる複数の結晶で構成されるため、単結晶とはならない。ただし、この連通管137bの形成領域には、メモリセルMCが形成されないので、単結晶でないことに特に問題は発生しない。
【0053】
その後は、第1の実施の形態の図3−5(a)以降に示される手順と同様の手順で選択トランジスタおよび上層の配線層を形成することによって、図4に示される不揮発性半導体記憶装置が得られる。なお、キャップ膜182を除去せずに層間絶縁膜123として用いることによって、キャップ膜182を除去する工程を省略化することができる。また、上記した例では、図4−2に示されるように、アモルファスゲルマニウム膜131aが埋め込まれたスペーサ膜121上にキャップ膜182を形成して熱処理を行っているが、キャップ膜182を形成しないで熱処理を行ってもよい。
【0054】
第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、上述した説明では、アモルファスゲルマニウム膜131aを成膜したが、多結晶ゲルマニウム膜を成膜してもよい。
【0055】
(第3の実施の形態)
図5は、第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の構成の一例を模式的に示す断面図であり、ワード線方向に垂直な方向の断面を示している。第3の実施の形態では、所定の数のメモリセルトランジスタが直列に接続されたメモリブロックが、メモリセルトランジスタの積層方向に複数積層して形成される構造を有している。たとえば、図5に示される不揮発性半導体記憶装置は、半導体基板101上に、絶縁膜102と、平板状のバックゲート線103と、所定の数のメモリセルMCが高さ方向に複数層形成された構造の第1のメモリブロックMB1および第2のメモリブロックMB2と、選択トランジスタと、が形成される構造を有している。
【0056】
第1および第2のメモリブロックMB1,MB2は、スペーサ膜121と制御ゲート電極膜122との積層膜が複数層積層された積層膜に、この積層膜を貫通するように、側面が電荷蓄積層132で覆われた柱状の半導体膜131Cが形成される構造を有している。つまり、側面に電荷蓄積層132が形成された柱状の半導体膜131Cの周囲に制御ゲート電極膜122が形成されたメモリセルMCが高さ方向に複数層形成された構造を有している。高さ方向に隣接するメモリセルMCは、スペーサ膜121によって分離されている。なお、ここでは、1つのメモリブロックMB1,MB2に、8層のメモリセルMCが積層されている場合が示されている。
【0057】
また、第2のメモリブロックMB2の柱状の半導体膜131Cは、第1のメモリブロックMB1の柱状の半導体膜131C上に形成される。さらに、第1のメモリブロックMB1のビット線方向に隣接する柱状の半導体膜131C間の下部は、側面が電荷蓄積層132で覆われた半導体膜131Jからなる連結部によって接続されている。この連結部は、たとえばバックゲートトランジスタによって構成される。
【0058】
なお、その他の構成要素は第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。また、ここでは、メモリブロックが2層積層される場合を示したが、3層以上積層される構造でもよい。また、ここでは、メモリブロック内に、8層のメモリセルMCが積層される場合を示したが、メモリセルMCの積層数は任意である。
【0059】
つぎに、このような構造の不揮発性半導体記憶装置の製造方法について説明する。図6−1〜図6−5は、第3の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である。これらの図では、ワード線方向に垂直な方向の断面を示している。
【0060】
まず、第1の実施の形態の図3−1〜図3−3(a)までと同じ手順で、半導体基板101上に絶縁膜102、バックゲート線103、およびスペーサ膜121と制御ゲート電極膜122の積層膜を形成し、U字状孔137を形成した後、電荷蓄積層132をU字状孔137の側面を被覆するように形成する。
【0061】
また、第2の実施の形態の図4−1と同じ手順で、U字状孔137内部に、アモルファスシリコン膜からなる下地層181をたとえば1.5nmの厚さで形成した後、U字状孔137内を埋めるようにアモルファスゲルマニウム膜131aを形成する。その後、CMP法などの方法によって最上層のスペーサ膜121よりも上に形成された電荷蓄積層132と下地層181とアモルファスゲルマニウム膜131aとを除去する。
【0062】
ついで、図6−1に示されるように、アモルファスゲルマニウム膜131aが埋め込まれたスペーサ膜121上に、スパッタ法やCVD法などの成膜法によって、スペーサ膜121と、メモリセルMCの制御ゲート電極となる制御ゲート電極膜122とを交互に複数層積層し、最上層はスペーサ膜121で終わるようにする。スペーサ膜121は、上下の制御ゲート電極膜122を電気的に分離するシリコン酸化膜などの絶縁材料を用いることができ、制御ゲート電極膜122は、たとえばn型多結晶シリコン膜を用いることができる。
【0063】
その後、図6−2に示されるように、リソグラフィ技術とエッチング技術を用いて、メモリストリングスMSの形成位置に、下層に形成された柱状の半導体膜131aに連通する貫通孔137cを形成する。
【0064】
ついで、図6−3に示されるように、貫通孔137cの側面に電荷蓄積層132をCVD法などの方法で形成する。電荷蓄積層132として、たとえば酸化シリコン膜/窒化シリコン膜/酸化シリコン膜の積層膜を用いることができる。その後、ジシランを原料ソースに用いたCVD法によって、たとえば2nmの厚さのスペーサシリコン膜182を堆積した後、RIEにより貫通孔137cの底面に形成されたスペーサシリコン膜182と電荷蓄積層132をエッチング除去する。ここでスペーサシリコン膜182が存在することで、電荷蓄積層132のRIEによるダメージから守りつつ、下層に形成された柱状の半導体膜131aの上部を露出することができる。この状態で、スペーサシリコン膜182の厚さは1nmまで薄くなる
【0065】
ついで、図6−4に示されるように、スペーサシリコン膜182上にさらに、ジシランを原料ソースに用いたCVD法によって、アモルファスシリコン膜からなる下地層181を形成する。下地層181を構成するアモルファスシリコン膜の厚さを、たとえば厚さ0.5nmに設定することによって、スペーサシリコン膜182の残膜の1nmと合わせて、1.5nmのシリコン膜を形成することができる。この後連続して、貫通孔137c内の下地層181上にアモルファスゲルマニウム膜131aを電荷蓄積層132が側面に形成された貫通孔137c内に埋め込むように形成する。その後、CMP法などの方法によって最上層のスペーサ膜121よりも上に形成された電荷蓄積層132とスペーサシリコン膜182と下地層181とアモルファスゲルマニウム膜131aとを除去する。これによって、貫通孔137c内に周囲がシリコン膜によって囲まれたアモルファスゲルマニウム膜131aが埋め込まれた状態となる。
【0066】
ついで、図6−5に示されるように、アモルファスゲルマニウム膜131aが埋め込まれたスペーサ膜121上に、CVD法などの方法でシリコン酸化膜などからなるキャップ膜182を形成する。
【0067】
その後、第2の実施の形態と同様に、ゲルマニウムとシリコンとの濃度比から決まる融点よりも高い温度で、所定の時間、熱処理を行う。この熱処理によって、貫通孔137cと、下層の貫通孔137aと連通管137bからなるU字状孔137内のアモルファスゲルマニウム膜131aは、その近傍のアモルファスシリコン膜との間で相互拡散しながら溶融した後、シリコンの量が相対的に多い貫通孔137aの底部を基点として固化し、貫通孔137a,137c内にはシリコンゲルマニウム単結晶からなる半導体膜131Cが形成される。また、第2の実施の形態と同様に、2つの柱状の貫通孔137aの底部間を接続する連通管137b内の半導体膜は、両側の貫通孔137aの底部からはじまった結晶化の進行によって得られる複数の結晶で構成されるため、単結晶とはならず、多結晶状の半導体膜131Cが形成される。なお、結晶化が開始する部分が複数ある場合には、柱状の半導体膜131Cは、複数の単結晶から構成される概略単結晶状の構造となる。ただし、この場合には、柱状の半導体膜131Cを構成する結晶粒はたとえば10個以内である。
【0068】
その後は、第1の実施の形態の図3−5(a)以降に示される手順と同様の手順で選択トランジスタおよび上層の配線層を形成することによって、図5に示される不揮発性半導体記憶装置が得られる。
【0069】
なお、キャップ膜182を除去せずに層間絶縁膜123として用いることによって、キャップ膜182を除去する工程を省略化することができる。また、上記した例では、第2の実施の形態による方法を繰り返し実行するようにしたが、第1の実施の形態による方法を繰り返し実行するようにしてもよい。さらに、上記した例では、図6−5に示されるように、アモルファスゲルマニウム膜131aが埋め込まれたスペーサ膜121上にキャップ膜182を形成して熱処理を行っているが、キャップ膜182を形成しないで熱処理を行ってもよい。
【0070】
第3の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、上述した説明では、アモルファスゲルマニウム膜131aを成膜したが、多結晶ゲルマニウム膜を成膜してもよい。
【0071】
(第4の実施の形態)
図7は、第4の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の構成の一例を模式的に示す断面図であり、ワード線方向に垂直な方向の断面を示している。第4の実施の形態では、メモリセルトランジスタのチャネルを構成する半導体膜131Cが、中空の柱状の単結晶ゲルマニウム膜によって構成されており、中空の柱状の半導体膜131Cの内部を埋め込むようにシリコン酸化膜などの絶縁膜171が形成されている。
【0072】
このように、半導体膜131Cを中空の柱状(マカロニ状)に構成することで、実効的なチャネルの厚さを薄くし、また中空の柱状の半導体膜131Cの内部を絶縁膜171で埋め込むことによって、各メモリセルMCのトランジスタ特性が改善される。また、制御ゲート電極膜122で制御するチャネル(半導体膜131C)の肉厚が積層されたメモリセルMC間で等しくなるので、しきい値電圧のばらつきを抑制することが可能となる。なお、その他の構成要素は第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0073】
つぎに、このような構造の不揮発性半導体記憶装置の製造方法について説明する。図8−1〜図8−3は、第4の実施の形態による不揮発性半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を模式的に示す断面図である。これらの図では、ワード線方向に垂直な方向の断面を示している。
【0074】
まず、第1の実施の形態の図3−1〜図3−3(a)までと同じ手順で、半導体基板101上に絶縁膜102、バックゲート線103、およびスペーサ膜121と制御ゲート電極膜122の積層膜を形成し、U字状孔137を形成した後、電荷蓄積層132をU字状孔137の側面を被覆するように形成する。
【0075】
ついで、図8−1(a)に示されるように、ジシランまたはトリシランなどの高次シランを原料ソースに用いたCVD法によって、アモルファスシリコン膜と、所定の濃度の窒素を含むアモルファスシリコン膜(以下、窒素含有アモルファスシリコン膜という)と、を含む下地層172を電荷蓄積層132上に形成する。これによって、U字状孔137の内面を覆うように下地層172が形成される。この後連続して、図8−1(b)に示されるように、下地層172上にアモルファスゲルマニウム膜131aを堆積する。下地層172中のアモルファスシリコン膜の厚さは、たとえば2nm程度に設定することができ、窒素含有アモルファスシリコン膜の厚さは、たとえば5nmに設定することができる。また、アモルファスゲルマニウム膜131aは、U字状孔137の内部をすべて埋め尽くさないように形成される。つまり、アモルファスゲルマニウム膜131aは、U字状孔137の柱状部分の内部で中空の柱状に形成される。
【0076】
ここで、窒素含有アモルファスシリコン膜中の窒素は、後のゲルマニウムの溶融を含む熱工程で拡散し、電荷蓄積層132との界面に偏析し、電荷蓄積層132の絶縁特性の改善に優れた効果を発揮する。この窒素含有アモルファスシリコン膜中の窒素濃度の下限は、電荷蓄積層132の特性向上に必要な量から規定され、上限はシリコン中に残留することによる許容される溶融の抑止またはチャネルの高抵抗化によって規定される。ここでは、たとえば窒素含有アモルファスシリコン膜中に、1×1021〜1022cm-3程度の範囲窒素濃度が含まれるように設定することができる。
【0077】
一般的にゲルマニウム膜は島状に成長しやすく、第1の実施の形態の方法では、電荷蓄積層132とアモルファスゲルマニウム膜131aとの間に空隙が存在し、接触しない箇所が発生してしまう可能性がある。そのため、第4の実施の形態では、まず、表面での分解性が高く、均一な成膜を行いやすい高次シランを用いてアモルファスシリコン膜を電荷蓄積層132上の全面に形成し、ついで、窒素含有アモルファスシリコン膜を形成し、その後にアモルファスゲルマニウム膜131aを形成するようにした。ゲルマニウムは、シリコン膜上では島状ではなく、膜状(連続的)に成長しやすいため、アモルファスゲルマニウム膜131aは、アモルファスシリコンからなる下地層172上に膜状に成長することになる。これによって、第1の実施の形態と比較して、電荷蓄積層132と後の工程でチャネルとなるアモルファスゲルマニウム膜131aとの間には空隙が存在せず、接触するようになる。
【0078】
ついで、図8−2(a)に示されるように、中空の柱状のアモルファスゲルマニウム膜131aの内部を埋めるように、絶縁膜171を形成する。この絶縁膜171は、フロー性の高い微減圧でのCVD法などの流動性の高い成膜方法や、流動性のある状態で埋め込み、直後の熱処理工程で絶縁膜171に変質させる成膜法などが望ましい。ここでは、絶縁膜171としてシリコン酸化膜を埋め込むものとする。そして、CMP法やエッチング法などの方法によって、アモルファスゲルマニウム膜131a上に形成された絶縁膜171を除去する。
【0079】
その後、図8−2(b)に示されるように、アモルファスゲルマニウム膜131a上に、CVD法などの方法で多結晶シリコン膜などからなるシード膜138を形成する。その後、この状態で、ゲルマニウムの融点(約900℃)よりも高い温度で、所定の時間、熱処理を行い、U字状孔137の内部に単結晶状のシリコンゲルマニウム膜からなる半導体膜131を形成する。なお、貫通孔137a内に形成される半導体膜131Cは単結晶であることが望ましいが、数個程度の結晶粒からなる概略単結晶状の半導体膜131Cでもよい。
【0080】
ここで、第4の実施の形態では、U字状孔137の内部には、ゲルマニウムだけでなくシリコンも含まれており、実質的にゲルマニウムとシリコンとは混晶を形成しているため、ゲルマニウムの融点よりも溶融温度が高くなる。たとえば、シリコンの割合がシリコンとゲルマニウムの合計の約20at%である場合には、融点は約1,000℃となるため、アモルファスゲルマニウム膜131aとアモルファスシリコンからなる下地層172とを安定して溶融させるための熱処理温度は、約1,100℃である。なお、この混晶の融点は、ゲルマニウムの融点が約900℃であり、シリコンの融点が約1,400℃であるので、混晶中のゲルマニウムとシリコンとの比から概略を求めることが可能である。
【0081】
また、熱処理前の状態でスペーサ膜121と制御ゲート電極膜122の積層膜の上部には、アモルファスシリコンからなる下地層172、アモルファスゲルマニウム膜131aおよび多結晶シリコン膜からなるシード膜138が積層されているが、この領域では、ゲルマニウムとシリコンとを十分に相互拡散させて、溶融しないようにする。これによって、溶融時の最高温度が規定される。つまり、溶融時の最高温度は、上層部に形成されるシリコン層(下地層172とシード膜138の膜厚の和)とアモルファスゲルマニウム膜131aの膜厚比から規定される。
【0082】
この熱処理時では、中空の柱状のアモルファスゲルマニウム膜131aの内部に絶縁膜171を埋め込んだので、アモルファスゲルマニウム膜131aの溶融固化時に、その堆積収縮などで発生しやすい空洞(ボイド)の発生が効果的に抑制される。
【0083】
なお、ここでは、スペーサ膜121と制御ゲート電極膜122の積層膜の上層に形成されるアモルファスゲルマニウム膜131aを残した状態でシード膜138を形成する場合を示したが、積層膜の上層に形成されるアモルファスゲルマニウム膜131aを除去した状態でシード膜138を形成してもよい。ただし、この場合には、U字状孔137の内面に形成されるアモルファスゲルマニウム膜131aの上面が、シード膜138と接触する状態となっていなければならない。
【0084】
その後は、第1の実施の形態の図3−5(a)以降に示される手順と同様の手順で選択トランジスタおよび上層の配線層を形成することによって、図7に示される不揮発性半導体記憶装置が得られる。
【0085】
第4の実施の形態では、U字状孔137の側面を覆うよう、電荷蓄積層132、アモルファスシリコン膜と窒素含有アモルファスシリコン膜からなる下地層172、およびアモルファスゲルマニウム膜131aを順に堆積し、U字状孔137の中空の柱状の内部に絶縁膜171を埋め込み、U字状孔137の上部に多結晶シリコン膜からなるシード膜138を形成して、U字状孔137内の下地層172とアモルファスゲルマニウム膜131aとを溶融固化させるようにした。これによって、アモルファスゲルマニウム膜131aは、電荷蓄積層132上に下地層172を介して膜状に成長し、電荷蓄積層132との間の密着性を高めることができる。また、溶融固化時には、窒素含有アモルファスシリコン膜中の窒素が電荷蓄積層132との界面に偏析し、電荷蓄積層132を高品質化するとともに、ゲルマニウムの堆積収縮などで発生しやすい空洞(ボイド)の発生を効果的に抑制することができるという効果を、第1の実施の形態の効果に加えて得ることができる。
【0086】
なお、第1〜第4の実施の形態では、制御ゲート電極膜として、シリコンを用いているが、ゲルマニウムを用いてもよいし、閾値制御のためにシリコンとゲルマニウムとの混晶を用いてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…不揮発性半導体記憶装置、12…メモリセル部、19…ワード線、22…ビット線、23…ソース線、25…ワード線コンタクト部、101…半導体基板、102,171…絶縁膜、103…バックゲート線、121…スペーサ膜、122…制御ゲート電極膜、123,141,161〜163…層間絶縁膜、124…選択ゲート電極膜、125…保護絶縁膜、131a…アモルファスゲルマニウム膜、131B…結晶粒界、131,131C,131J,133…半導体膜、132…電荷蓄積層、134…ゲート絶縁膜、136…犠牲膜、137…U字状孔、137a,137c…貫通孔、137b…連通管、138…シード膜、142…コンタクト、151〜153…配線層、172…下地層、182…キャップ膜、183…スペーサシリコン膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の半導体膜の側面に電荷蓄積層を介してゲート電極膜を有するトランジスタを前記柱状の半導体膜の高さ方向に複数設けてなるメモリストリングスが、基板上に略垂直にマトリックス状に配置され、第1の方向に配置された前記メモリストリングスの同じ高さの前記トランジスタの前記ゲート電極膜間が接続された不揮発性半導体記憶装置において、
前記第1の方向に交差する第2の方向に隣接する2本の前記メモリストリングスを構成する前記柱状の半導体膜の下部間を結ぶ半導体材料からなる連結部を備え、
前記柱状の半導体膜は、それぞれ概略単結晶状のゲルマニウム膜またはシリコンゲルマニウム膜で構成されることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
柱状の半導体膜の側面に電荷蓄積層を介してゲート電極膜が形成されたトランジスタが前記柱状の半導体膜の高さ方向に複数直列接続されたメモリストリングスを複数有する不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、
絶縁材料からなるスペーサ膜と導電性材料からなる電極膜とが交互に積層された積層膜を形成する第1の工程と、
前記積層膜を貫通する貫通孔と、前記積層膜の下部で所定の方向に隣接する2つの前記貫通孔間の下部を結ぶ連結孔と、を形成する第2の工程と、
前記貫通孔および前記連結孔の内部にゲルマニウム膜を形成する第3の工程と、
前記貫通孔に形成された前記ゲルマニウム膜の上面と接するようにシリコン膜を形成する第4の工程と、
ゲルマニウムの融点以上でシリコンの融点以下の温度で熱処理を行う第5の工程と、
を含むことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項3】
前記第3の工程では、前記ゲルマニウム膜を形成する前に、高次シランを用いて前記貫通孔および前記連結孔の内部にアモルファスシリコン膜を堆積し、前記アモルファスシリコン膜上に前記ゲルマニウム膜を形成することを特徴とする請求項2に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項4】
柱状の半導体膜の側面に電荷蓄積層を介してゲート電極膜が形成されたトランジスタが前記柱状の半導体膜の高さ方向に複数直列接続されたメモリストリングスを複数有する不揮発性半導体記憶装置の製造方法において、
絶縁材料からなるスペーサ膜と導電性材料からなる電極膜とが交互に積層された積層膜を形成する第1の工程と、
前記積層膜を貫通する貫通孔と、前記積層膜の下部で所定の方向に隣接する2つの前記貫通孔間の下部を結ぶ連結孔と、を形成する第2の工程と、
前記貫通孔および前記連結孔の内面を被覆するとともに、シリコンとゲルマニウムの濃度比が周囲とは異なる領域が少なくとも1箇所存在するように、アモルファスシリコン膜を所定の厚さで形成し、続けて、前記アモルファスシリコン膜が形成された前記貫通孔および前記連結孔内にゲルマニウム膜を形成する第3の工程と、
ゲルマニウムの融点以上でシリコンの融点以下の温度で熱処理を行う第4の工程と、
を含むことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項5】
前記第3の工程では、前記ゲルマニウム膜を前記貫通孔の内面を覆うように中空の柱状に形成した後、前記中空の柱状のゲルマニウム膜の内部に絶縁膜を埋め込むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図6−5】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【公開番号】特開2011−199177(P2011−199177A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66706(P2010−66706)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】