説明

不揮発性半導体記憶装置

【課題】消去状態におけるセル電流の値の変動を抑制可能な不揮発性半導体記憶装置の提供。
【解決手段】基板の主面に平行な第1の方向に延びるよう区画された複数の素子領域111と、前記素子領域上に形成された複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ領域121と、前記第1の方向に延びるよう形成された複数のビット線131とを備え、前記複数のビット線の同じ側の端部に電気的に接続されたセンスアンプ回路141と、前記素子領域上に、前記素子領域と前記ビット線とを電気的に接続するよう形成された複数のビット線コンタクトCBとを備える。前記メモリセルアレイ領域は、第1から第Nの領域(N≧2)を含み、第Kの領域(2≦K≦N)は、第K−1の領域よりも前記センスアンプ回路から遠い位置に位置し、前記第Kの領域内の前記ビット線コンタクトのコンタクト抵抗は、前記第K−1の領域内の前記ビット線コンタクトのコンタクト抵抗よりも低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不揮発性半導体記憶装置に関し、例えば、NANDメモリに適用されるものである。
【背景技術】
【0002】
NANDメモリ等の不揮発性メモリでは、メモリセルからのデータの読み出しがセンスアンプ(S/A)により行われる。センスアンプは、ビット線上の電圧又は電流の変化を検出及び増幅することで、メモリセルの記憶データを読み出す回路である。
【0003】
しかしながら、NANDメモリ等の不揮発性メモリには、消去状態におけるセル電流の値が、メモリセルとセンスアンプとの距離に応じて変動するという問題がある。理由は、メモリセルとセンスアンプとの間のビット線抵抗が、両者間の距離に応じて増加するからである。
【0004】
そして、このようなセル電流の値の変動は、メモリの微細化に伴い、より顕著になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−78779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、消去状態におけるセル電流の値の変動を抑制可能な不揮発性半導体記憶装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様の不揮発性半導体記憶装置は、例えば、基板と、前記基板内において、前記基板の主面に平行な第1の方向に延びるよう区画された複数の素子領域とを備える。更に、前記装置は、前記素子領域上に形成された複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ領域と、前記基板上に、前記第1の方向に延びるよう形成された複数のビット線とを備える。更に、前記装置は、前記複数のビット線の同じ側の端部に電気的に接続されたセンスアンプ回路と、前記素子領域上に、前記素子領域と前記ビット線とを電気的に接続するよう形成された複数のビット線コンタクトとを備える。そして、前記メモリセルアレイ領域は、第1から第Nの領域(Nは2以上の整数)を含み、第Kの領域(Kは2からNの任意の整数)は、第K−1の領域よりも前記センスアンプ回路から遠い位置に位置する。また、前記第Kの領域内の前記ビット線コンタクトのコンタクト抵抗は、前記第K−1の領域内の前記ビット線コンタクトのコンタクト抵抗よりも低く、各々の前記素子領域の幅は、前記メモリセルアレイ領域内において、前記センスアンプ回路からの距離によらず一定である。
【0008】
また、本発明の別の態様の不揮発性半導体記憶装置は、例えば、基板と、前記基板内において、前記基板の主面に平行な第1の方向に延びるよう区画された複数の素子領域と、前記素子領域上に形成された複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ領域とを備える。更に、前記装置は、前記基板上に前記第1の方向に延びるよう形成され、第1の側の端部で前記基板上の第1のセンスアンプ回路に電気的に接続された複数の第1のビット線と、前記基板上に前記第1の方向に延びるよう形成され、第2の側の端部で前記基板上の第2のセンスアンプ回路に電気的に接続された複数の第2のビット線とを備える。更に、前記装置は、前記素子領域上に、前記素子領域と前記第1のビット線とを電気的に接続するよう形成された複数の第1のビット線コンタクトと、前記素子領域上に、前記素子領域と前記第2のビット線とを電気的に接続するよう形成された複数の第2のビット線コンタクトとを備える。そして、前記メモリセルアレイ領域は、第1から第Nの領域(Nは2以上の整数)を含み、第Kの領域(Kは2からNの任意の整数)は、第K−1の領域よりも前記第1のセンスアンプ回路から遠い位置に位置し、前記第Kの領域内の前記第1のビット線コンタクトのコンタクト抵抗は、前記第K−1の領域内の前記第1のビット線コンタクトのコンタクト抵抗よりも低い。また、前記第Kの領域は、前記第K−1の領域よりも前記第2のセンスアンプ回路に近い位置に位置し、前記第Kの領域内の前記第2のビット線コンタクトのコンタクト抵抗は、前記第K−1の領域内の前記第2のビット線コンタクトのコンタクト抵抗よりも高い。また、各々の前記素子領域の幅は、前記メモリセルアレイ領域内において、前記第1及び第2のセンスアンプ回路からの距離によらず一定である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態の不揮発性半導体記憶装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1の不揮発性半導体記憶装置の断面(I−I’断面)を示した側方断面図である。
【図3】図1の不揮発性半導体記憶装置の断面(J−J’断面)を示した側方断面図である。
【図4】図1の不揮発性半導体記憶装置におけるビット線コンタクトの構成を説明するための平面図である。
【図5】ビット線コンタクトの第1の構成例を示した側方断面図である。
【図6】ビット線コンタクトの第2の構成例を示した側方断面図である。
【図7】ビット線コンタクトの第3の構成例を示した平面図である。
【図8】第2実施形態の不揮発性半導体記憶装置の構成を示す平面図である。
【図9】図8の不揮発性半導体記憶装置における第1及び第2のビット線コンタクトの構成を説明するための平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の不揮発性半導体記憶装置の構成を示す平面図である。図1の不揮発性半導体記憶装置は、NANDメモリとなっている。
【0012】
図1には、基板101内に形成され、AA(Active Area)領域に相当する複数の素子領域111と、同じく基板101内に形成され、STI(Shallow Trench Isolation)領域に相当する複数の素子分離領域112が示されている。
【0013】
図1には更に、基板101の主面に平行で、互いに直交するX方向及びY方向が示されている。素子分離領域112は、基板101内に、Y方向に延びるよう形成されている。素子分離領域112は、基板101上の素子分離溝に埋め込まれた素子分離絶縁膜により実現されており、基板101を複数の素子領域111に分離している。
【0014】
素子領域111は、基板101内において、Y方向に延びるよう素子分離領域112により区画されている。素子領域111と素子分離領域112は、図1に示すように、共にY方向に延びており、X方向に沿って交互に形成されている。Y方向は、本開示の第1の方向の例であり、X方向は、本開示の第2の方向の例である。
【0015】
図1には更に、素子領域111上に形成された複数のNANDストリングSTRを含むメモリセルアレイ領域121が示されている。各NANDストリングSTRは、後述するように、1つの素子領域111上に一列に配置された複数のメモリセルトランジスタと、この素子領域111上に、これらのメモリセルトランジスタを挟むよう配置された2つの選択トランジスタとを含んでいる。
【0016】
図1には更に、基板101上に、Y方向に延びるよう形成された複数のビット線131と、同じく基板101上に、X方向に延びるよう形成された複数のソース線132が示されている。ビット線131は、素子領域111のほぼ直上に形成されている。また、ビット線131は、素子領域111上に形成されたビット線コンタクトCBにより、素子領域111に電気的に接続されている。同様に、ソース線132は、素子領域111上に形成されたソース線コンタクトCSにより、素子領域111に電気的に接続されている。なお、ソース線コンタクトCSの平面形状は、図1に示すような穴形状以外の形状であってもよい。例えば、ソース線コンタクトCSの平面形状は、X方向に延びるように形成された溝形状であってもよい。
【0017】
ソース線コンタクトCSは、図1に示すように、素子領域111とソース線132との交点に配置されている。また、ビット線コンタクトCBは、Y方向に隣接するソース線コンタクトCS同士の間に配置されている。また、NANDストリングSTRは、Y方向に隣接するソース線コンタクトCSとビット線コンタクトCBとの間に配置されている。
【0018】
図1には更に、複数のセンスアンプ(S/A)を含むセンスアンプ回路141と、ロウデコーダ142が示されている。
【0019】
センスアンプ回路141は、複数のビット線131の同じ側の端部に配置されている。具体的には、センスアンプ回路141は、これらのビット線131の+Y方向側及び−Y方向側の端部のうち、同じ−Y方向側の端部でこれらのビット線131に接続されている。なお、ここで「ビット線131に接続されている」とは、トランジスタ等の回路素子を介して接続されている場合も含まれる。
【0020】
同様に、ロウデコーダ142は、複数のソース線132の同じ側の端部に配置されている。なお、ソース線132の選択は、ソース線ドライバ(図示せず)により行われる。
【0021】
図1では、各素子領域111の幅が、符号Wで示されている。本実施形態では、各素子領域111の幅Wは、メモリセルアレイ領域121内において、センスアンプ回路141からの距離によらず一定となっている。そのため、本実施形態によれば、素子領域111の加工マージンを向上させることができ、素子領域111の幅、及び素子分離領域112の幅を狭くすることが可能となる。
【0022】
図2は、図1の半導体記憶装置の断面を示した側方断面図である。図2は、図1に示すI−I’線に沿った断面図となっている。
【0023】
図2には、基板101内のウェル領域102と、ウェル領域102上(詳細にはウェル領域102内の素子領域111上)に形成された一列のNANDストリングSTRが示されている。NANDストリングSTRは、複数のメモリセルトランジスタMCと、これらを挟むよう配置された2つの選択トランジスタSTとを含んでいる。ここで、NANDストリングSTR中のメモリセルトランジスタMCの選択は、ロウデコーダ142により行われる。
【0024】
各メモリセルトランジスタMCは、素子領域111上に順々に積層されたゲート絶縁膜211と、浮遊ゲート212と、ゲート間絶縁膜213と、制御ゲート214とを含んでいる。
【0025】
また、各選択トランジスタSTは、素子領域111上に順々に積層された第1絶縁膜221と、第1電極層222と、第2絶縁膜223と、第2電極層224とを含んでいる。第1電極層222と第2電極層224は、第2絶縁膜223に設けられた開口部Hにより導通されており、選択トランジスタSTのゲート電極となっている。一方、第1絶縁膜221は、選択トランジスタSTのゲート絶縁膜となっている。
【0026】
NANDストリングSTRを構成するメモリセルトランジスタMCと選択トランジスタSTは、素子領域111内に形成された拡散層201により直列に接続されている。
【0027】
図2には更に、基板101上に順々に形成された層間絶縁膜231,232が示されている。図2には更に、層間絶縁膜231内において、一方の選択トランジスタSTの側方の拡散層201上に形成されたソース線コンタクトCSと、層間絶縁膜231,232内において、もう一方の選択トランジスタSTの側方の拡散層201上に形成されたビット線コンタクトCBが示されている。
【0028】
図2には更に、層間絶縁膜231及びソース線コンタクトCS上に形成されたソース線132と、層間絶縁膜231,232及びビット線コンタクトCB上に形成されたビット線131が示されている。本実施形態では、ソース線132よりもビット線131の方が上層に配置されており、ソース線132とビット線131は接することなく交差している。
【0029】
図3は、図1の半導体記憶装置の断面を示した側方断面図である。図3は、図1に示すJ−J’線に沿った断面図となっている。
【0030】
図3には、ウェル領域102内の素子領域111上に形成された3つのメモリセルトランジスタMCが示されている。図3には更に、ウェル領域102を複数の素子領域111に分離している素子分離領域112が示されている。
【0031】
図3に示すように、ゲート間絶縁膜213及び制御ゲート214は、X方向に隣接するメモリセルトランジスタMC間に連続して形成されている。この制御ゲート214は、半導体記憶装置のワード線を構成している。また、制御ゲート214上には、層間絶縁膜231,232を介して、ビット線131が配置されている。
【0032】
以下、図1を再び参照し、本実施形態におけるビット線131及びビット線コンタクトCBについて、より詳細に説明する。
【0033】
図1には、メモリセルアレイ領域121内のブロックとして、センスアンプ回路141に比較的近いブロックB1と、センスアンプ回路141から比較的遠いブロックB2が例示されている。ここで、ブロックは、X方向に隣接したNANDストリングSTRから構成されている。
【0034】
ブロックB2とセンスアンプ回路141との距離は、ブロックB1とセンスアンプ回路141との距離よりも遠いため、ブロックB2とセンスアンプ回路141との間のビット線抵抗は、ブロックB1とセンスアンプ回路141との間のビット線抵抗よりも高くなる。
【0035】
本発明者らの検討結果によると、近年のNANDメモリでは、書き込み状態におけるNANDストリングSTRの抵抗は、10MΩ程度であり、消去状態におけるNANDストリングSTRの抵抗は、1MΩ程度である(例えば、1ストリングに64個のNANDセルが含まれている場合)。一方、1本当たり(センスアンプ回路141側の端からセンスアンプ141と反対側の端まで)のビット線131の抵抗は、2MΩ程度である。よって、ブロックとセンスアンプ回路141との距離に応じたビット線抵抗の増大は、消去状態におけるセル電流の値に大いに影響がある。そして、この影響は、NANDメモリの微細化に伴いより顕著になる。
【0036】
そこで、本実施形態では、ビット線抵抗の増大をコンタクト抵抗の減少により相殺するよう、ビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗を、ビット線コンタクトCBとセンスアンプ回路141との距離に応じて減少させる。
【0037】
本発明者らの検討結果によると、ビット線コンタクトCBの抵抗は、1個当たり100KΩ〜10MΩ程度であり、ビット線コンタクトCBの抵抗の減少によるビット線抵抗の増大の相殺は、十分に可能である。この詳細については、図4を参照して説明することにする。
【0038】
図4は、図1の半導体記憶装置におけるビット線コンタクトCBの構成を説明するための平面図である。
【0039】
本実施形態では、メモリセルアレイ領域121を、図4に示すように、第1から第Nの領域R1〜RN(Nは2以上の整数)に分割する。ここで、第Kの領域RK(Kは2からNの任意の整数)は、第K−1の領域RK-1よりもセンスアンプ回路141から遠い位置に位置している。即ち、第1から第Nの領域R1〜RNは、第1の領域R1、第2の領域R2、第3の領域R3、・・・第Nの領域RNの順に、センスアンプ回路141からの距離が遠くなっている。
【0040】
そして、本実施形態では、ビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗は、各領域ごとに異なる値に設定されている。より詳細には、第Kの領域RK内のビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗は、第K−1の領域RK-1内のビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗よりも低く設定されている。即ち、ビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗は、第1の領域R1、第2の領域R2、第3の領域R3、・・・第Nの領域RNの順に減少している。
【0041】
これにより、本実施形態では、ブロックとセンスアンプ141との距離に応じたビット線抵抗の増大が、ビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗の減少により相殺されている。これにより、本実施形態では、消去状態又は書き込み状態におけるセル電流の値の変動を抑制することが可能となっている。
【0042】
なお、メモリセルアレイ領域121の分割数Nは、2以上であれば、いくつであっても構わない。分割数Nが多くなると、ビット線コンタクトCBの製造工程はより複雑化するが、反面、コンタクト抵抗の減らし方をより細かく調整することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態では、第1から第Nの領域R1〜RNは、X方向に延びる帯状の形状となっているが、その他の形状となっていても構わない。
【0044】
また、第1から第Nの領域R1〜RNの各々には、1つのブロックが含まれていてもよいし、複数のブロックが含まれていてもよい。また、それぞれの領域に含まれるブロックの数は、ブロックごとに異なっていてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、ビット線抵抗の増大を、ビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗の減少により相殺することができるため、ビット線抵抗の増大を相殺すべく、各素子領域111の幅W(図1参照)をセンスアンプ回路141からの距離に応じて変化させる必要はない。図1では、各素子領域111の幅Wは、メモリセルアレイ領域121内において、センスアンプ回路141からの距離によらず一定に設定されている。これにより、本実施形態では、素子領域111の加工マージンを向上させることができ、素子領域111の幅、及び素子分離領域112の幅をより狭くすることが可能となる。また、素子領域111幅のWが、センスアンプ回路141からの距離によって変動してしまうと、メモリセルトランジスタMCの特性が、センスアンプ回路141からの距離によって異なってしまう。その結果、書き込み動作、読み出し動作等が複雑化してしまう。一方、センスアンプ回路141からの距離によらず素子領域111の幅Wが一定であると、メモリセルトランジスタMCの特性は、センスアンプ回路141からの距離に依存しない。
【0046】
以下、図5〜図7を参照し、ビット線コンタクトCBの第1から第3の構成例について説明する。
【0047】
(1)第1の構成例
図5は、ビット線コンタクトCBの第1の構成例を示した側方断面図である。
【0048】
図5(A)には、第Kの領域RK内のビット線コンタクトCBが示されている。図5(A)では、第Kの領域RK内のビット線コンタクトCBの下部に形成された拡散層201の不純物濃度が、XKで示されている。注入不純物は、例えば、リン又はヒ素である。
【0049】
また、図5(B)には、第K−1の領域RK-1内のビット線コンタクトCBが示されている。図5(B)では、第K−1の領域RK-1内のビット線コンタクトCBの下部に形成された拡散層201の不純物濃度が、XK-1で示されている。
【0050】
第1の構成例では、第Kの領域RK内における不純物濃度XKが、第K−1の領域RK-1内における不純物濃度XK-1よりも大きく設定されている。即ち、不純物濃度は、第1の領域R1、第2の領域R2、第3の領域R3、・・・第Nの領域RNの順に増大している。
【0051】
これにより、第Kの領域RK内のビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗は、第K−1の領域RK-1内のビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗よりも低くなっている。これにより、第1の構成例では、ビット線抵抗の増大が、ビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗の減少により相殺されている。
【0052】
第1の構成例では、第1から第Nの領域R1〜RNの不純物濃度X1〜XNは、例えば、1×1020cm-3から1×1022cm-3の範囲内の値に設定される。
【0053】
例えばN=3の場合、不純物濃度X1,X2,X3はそれぞれ、1×1020cm-3,1×1021cm-3,1×1022cm-3に設定してもよいし、より範囲を狭めて、5×1020cm-3,1×1021cm-3,5×1021cm-3に設定してもよい。
【0054】
第1の構成例によれば、コンタクト抵抗の増大を、拡散層201を形成する際の不純物注入工程の調整により実現することが可能となる。
【0055】
(2)第2の構成例
図6は、ビット線コンタクトCBの第2の構成例を示した側方断面図である。
【0056】
図6(A)には、第Kの領域RK内のビット線コンタクトCBが示されている。図6(A)では、第Kの領域RK内のビット線コンタクトCBの掘れ量が、DKで示されている。掘れ量とは、基板101の主面に対するビット線コンタクトCBの下面の深さを意味する。
【0057】
また、図6(B)には、第K−1の領域RK-1内のビット線コンタクトCBが示されている。図6(B)では、第K−1の領域RK-1内のビット線コンタクトCBの掘れ量が、DK-1で示されている。
【0058】
第2の構成例では、第Kの領域RK内における掘れ量DKが、第K−1の領域RK-1内における掘れ量DK-1よりも大きく設定されている。即ち、掘れ量は、第1の領域R1、第2の領域R2、第3の領域R3、・・・第Nの領域RNの順に増大している。
【0059】
これにより、第Kの領域RK内のビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗は、第K−1の領域RK-1内のビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗よりも低くなっている。これにより、第2の構成例では、ビット線抵抗の増大が、ビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗の減少により相殺されている。
【0060】
第2の構成例では、第1から第Nの領域R1〜RNの掘れ量D1〜DNは、例えば、0nmから100nmの範囲内の値に設定される。
【0061】
第2の構成例によれば、コンタクト抵抗の増大を、ビット線コンタクトCB用のコンタクトホールを形成する際のエッチング工程の調整により実現することが可能となる。掘れ量の大きさは例えば、当該エッチング工程のエッチング時間を変化させることで調整可能である。
【0062】
(3)第3の構成例
図7は、ビット線コンタクトCBの第3の構成例を示した平面図である。
【0063】
図7(A)には、第Kの領域RK内のビット線コンタクトCBの平面形状が示されている。図7(A)では、基板101の主面に平行な断面における、第Kの領域RK内のビット線コンタクトCBの断面積が、SKで示されている。
【0064】
また、図7(B)には、第K−1の領域RK-1内のビット線コンタクトCBの平面形状が示されている。図7(B)では、上記の断面における、第K−1の領域RK-1内のビット線コンタクトCBの断面積が、SK-1で示されている。
【0065】
第3の構成例では、第Kの領域RK内における断面積SKが、第K−1の領域RK-1内における断面積SK-1よりも大きく設定されている。即ち、断面積は、第1の領域R1、第2の領域R2、第3の領域R3、・・・第Nの領域RNの順に増大している。
【0066】
これにより、第Kの領域RK内のビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗は、第K−1の領域RK-1内のビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗よりも低くなっている。これにより、第3の構成例では、ビット線抵抗の増大が、ビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗の減少により相殺されている。
【0067】
第3の構成例によれば、コンタクト抵抗の増大を、ビット線コンタクトCB用のコンタクトホールを形成する際のパターニング工程の調整により実現することが可能となる。
【0068】
なお、ビット線コンタクトCBの平面形状は、四角形でも、それ以外の形状であっても構わない。
【0069】
以上のように、本実施形態では、メモリセルアレイ領域121を、第1の領域R1、・・・第Nの領域RNの順にセンスアンプ回路141から遠ざかる第1から第Nの領域R1〜RNに分割し、第Kの領域RK(Kは2からNの任意の整数)内のビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗を、第K−1の領域RK-1内のビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗よりも低く設定する。
【0070】
これにより、本実施形態では、ビット線抵抗の増大を、ビット線コンタクトCBのコンタクト抵抗の減少により相殺し、消去状態におけるセル電流の値の変動を抑制することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態では、各素子領域111の幅Wは、メモリセルアレイ領域121内において、センスアンプ回路141からの距離によらず一定に設定されている。
【0072】
これにより、本実施形態では、素子領域111の加工マージンを向上させることができ、素子領域111の幅、及び素子分離領域112の幅を狭くすることが可能となる。
【0073】
なお、本実施形態では、上述した第1から第3の構成例を、それぞれ単独で適用してもよいし、2つ以上を組み合わせて適用してもよい。
【0074】
以下、第1実施形態の変形例に相当する第2実施形態について説明する。第2実施形態については、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0075】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の不揮発性半導体記憶装置の構成を示す平面図である。
【0076】
図8には、Y方向に延びるよう形成され、−Y方向側の端部で基板101上の第1のセンスアンプ回路1411に電気的に接続された複数の第1のビット線1311と、同じくY方向に延びるよう形成され、+Y方向側の端部で基板101上の第2のセンスアンプ回路1412に電気的に接続された複数の第2のビット線1312が示されている。
【0077】
第1のビット線1311と第2のビット線1312は、X方向に沿って交互に配置されており、いわゆる櫛型構造のビット線を構成している。なお、−Y方向側の端部は、第1の側の端部の例であり、+Y方向側の端部は、第2の側の端部の例である。
【0078】
第1のビット線1311は、図8に示すように、素子領域111上に形成された第1のビット線コンタクトCB1により、素子領域111に電気的に接続されている。また、第2のビット線1312は、素子領域111上に形成された第2のビット線コンタクトCB2により、素子領域111に電気的に接続されている。
【0079】
本実施形態では、第1実施形態と同様、ビット線抵抗の増大をコンタクト抵抗の減少により相殺するよう、ビット線コンタクトのコンタクト抵抗を、ビット線コンタクトとセンスアンプ回路との距離に応じて減少させる。
【0080】
但し、本実施形態では、第1のビット線コンタクトCB1のコンタクト抵抗については、第1のビット線コンタクトCB1と第1のセンスアンプ回路1411との距離に応じて減少させる。一方、第2のビット線コンタクトCB2のコンタクト抵抗については、第2のビット線コンタクトCB2と第2のセンスアンプ回路1412との距離に応じて減少させる。
【0081】
これにより、本実施形態では、第1のビット線1311と第2のビット線1312のいずれについても、ビット線抵抗の増大をコンタクト抵抗の減少により相殺することが可能となる。この詳細については、図9を参照して説明することにする。
【0082】
図9は、図8の半導体記憶装置における第1及び第2のビット線コンタクトCB1,CB2の構成を説明するための平面図である。
【0083】
本実施形態では、第1実施形態と同様、メモリセルアレイ領域121を、第1から第Nの領域R1〜RNに分割する(図4参照)。図9には、第1から第Nの領域R1〜RNのうち、第K及び第K−1の領域RK,RK-1が示されている。
【0084】
本実施形態では、第Kの領域RKは、第K−1の領域RK-1よりも第1のセンスアンプ回路1411から遠い位置に位置しており、且つ、第K−1の領域RK-1よりも第2のセンスアンプ回路1412に近い位置に位置している。即ち、第1から第Nの領域R1〜RNは、第1の領域R1、第2の領域R2、第3の領域R3、・・・第Nの領域RNの順に、第1のセンスアンプ回路1411からの距離が遠くなっており、且つ、第2のセンスアンプ回路1412への距離が近くなっている。
【0085】
そして、本実施形態では、第1及び第2のビット線コンタクトCB1,CB2のコンタクト抵抗がそれぞれ、各領域ごとに異なる値に設定されている。
【0086】
まず、第Kの領域RK内の第1のビット線コンタクトCB1のコンタクト抵抗は、第K−1の領域RK-1内の第1のビット線コンタクトCB1のコンタクト抵抗よりも低く設定されている。即ち、第1のビット線コンタクトCB1のコンタクト抵抗は、第1の領域R1、第2の領域R2、第3の領域R3、・・・第Nの領域RNの順に減少している。
【0087】
一方、第Kの領域RK内の第2のビット線コンタクトCB2のコンタクト抵抗は、第K−1の領域RK-1内の第2のビット線コンタクトCB2のコンタクト抵抗よりも高く設定されている。即ち、第2のビット線コンタクトCB2のコンタクト抵抗は、第1の領域R1、第2の領域R2、第3の領域R3、・・・第Nの領域RNの順に増大している。
【0088】
これにより、本実施形態では、第1のビット線1311については、ブロックと第1のセンスアンプ1411との距離に応じたビット線抵抗の増大が、第1のビット線コンタクトCB1のコンタクト抵抗の減少により相殺されている。
【0089】
一方、第2のビット線1312については、ブロックと第2のセンスアンプ1412との距離に応じたビット線抵抗の増大が、第2のビット線コンタクトCB2のコンタクト抵抗の減少により相殺されている。
【0090】
これにより、本実施形態では、ビット線(1311,1312)の両側にセンスアンプ回路(1411,1412)が設けられている場合において、消去状態におけるセル電流の値の変動を抑制することが可能となっている。
【0091】
なお、本実施形態では、上述の第1から第3の構成例のうち、第3の構成例を適用することが望ましい。即ち、第1及び第2のビット線コンタクトCB1,CB2のコンタクト抵抗の調整を、不純物濃度や掘れ量の調整ではなく、ビット線コンタクトの断面積の調整により行うことが望ましい。理由は、不純物濃度や掘れ量を1本のビット線置きに変化させるのは微細化の観点から比較的難しいのに対し、ビット線コンタクトの断面積を1本のビット線置きに変化させるのは比較的容易であるからである。例えば、ビット線コンタクトを形成する際に用いるリソグラフィのマスクにおけるビット線コンタクトの寸法を、1本のビット線置きに変化させればよいからである。
【0092】
図9には、本実施形態に対して、第3の構成例を適用した様子が示されている。図9では、第Kの領域RK内の第1のビット線コンタクトCB1の断面積が、第K−1の領域RK-1内の第1のビット線コンタクトCB1の断面積よりも大きく設定されている。一方、第Kの領域RK内の第2のビット線コンタクトCB2の断面積は、第K−1の領域RK-1内の第2のビット線コンタクトCB2の断面積よりも小さく設定されている。
【0093】
以上のように、本実施形態では、メモリセルアレイ領域121を、第1の領域R1、・・・第Nの領域RNの順に第1のセンスアンプ回路1411から遠ざかり、且つ、第2のセンスアンプ回路1412に近づく第1から第Nの領域R1〜RNに分割する。
【0094】
更に、第Kの領域RK(Kは2からNの任意の整数)内の第1のビット線コンタクトCB1のコンタクト抵抗を、第K−1の領域RK-1内の第1のビット線コンタクトCB1のコンタクト抵抗よりも低く設定する。更に、第Kの領域RK内の第2のビット線コンタクトCB2のコンタクト抵抗を、第K−1の領域RK-1内の第2のビット線コンタクトCB2のコンタクト抵抗よりも高く設定する。
【0095】
これにより、本実施形態では、ビット線(1311,1312)の両側にセンスアンプ回路(1411,1412)が設けられている場合において、ビット線抵抗の増大を、ビット線コンタクト(CB1,CB2)のコンタクト抵抗の減少により相殺し、消去状態におけるセル電流の値の変動を抑制することが可能となる。
【0096】
また、本実施形態では、図8に示すように、各素子領域111の幅Wは、メモリセルアレイ領域121内において、第1のセンスアンプ回路1411からの距離、及び第2のセンスアンプ回路1412からの距離によらず一定に設定されている。
【0097】
これにより、本実施形態では、第1実施形態と同様、素子領域111の加工マージンを向上させることができ、素子領域111の幅、及び素子分離領域112の幅を狭くすることが可能となる。
【0098】
以上、本発明の具体的な態様の例を、第1及び第2実施形態により説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0099】
101 基板
102 ウェル領域
111 素子領域
112 素子分離領域
121 メモリセルアレイ領域
131 ビット線
132 ソース線
141 センスアンプ回路
142 ロウデコーダ
201 拡散層
211 ゲート絶縁膜
212 浮遊ゲート
213 ゲート間絶縁膜
214 制御ゲート
221 第1絶縁膜
222 第1電極層
223 第2絶縁膜
224 第2電極層
231,232,233 層間絶縁膜
STR NANDストリング
MC メモリセルトランジスタ
ST 選択トランジスタ
B ビット線コンタクト
S ソース線コンタクト
H 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板内において、前記基板の主面に平行な第1の方向に延びるよう区画された複数の素子領域と、
前記素子領域上に形成された複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ領域と、
前記基板上に、前記第1の方向に延びるよう形成された複数のビット線と、
前記複数のビット線の同じ側の端部に電気的に接続されたセンスアンプ回路と、
前記素子領域上に、前記素子領域と前記ビット線とを電気的に接続するよう形成された複数のビット線コンタクトとを備え、
前記メモリセルアレイ領域は、第1から第Nの領域(Nは2以上の整数)を含み、
第Kの領域(Kは2からNの任意の整数)は、第K−1の領域よりも前記センスアンプ回路から遠い位置に位置し、
前記第Kの領域内の前記ビット線コンタクトのコンタクト抵抗は、前記第K−1の領域内の前記ビット線コンタクトのコンタクト抵抗よりも低く、
各々の前記素子領域の幅は、前記メモリセルアレイ領域内において、前記センスアンプ回路からの距離によらず一定である、
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第Kの領域内の前記ビット線コンタクトの下部に形成された拡散層の不純物濃度は、前記第K−1の領域内の前記ビット線コンタクトの下部に形成された拡散層の不純物濃度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第Kの領域内の前記ビット線コンタクトの掘れ量は、前記第K−1の領域内の前記ビット線コンタクトの掘れ量よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記基板の主面に平行な面において、前記第Kの領域内の前記ビット線コンタクトの面積は、前記第K−1の領域内の前記ビット線コンタクトの面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板内において、前記基板の主面に平行な第1の方向に延びるよう区画された複数の素子領域と、
前記素子領域上に形成された複数のメモリセルを含むメモリセルアレイ領域と、
前記基板上に前記第1の方向に延びるよう形成され、第1の側の端部で前記基板上の第1のセンスアンプ回路に電気的に接続された複数の第1のビット線と、
前記基板上に前記第1の方向に延びるよう形成され、第2の側の端部で前記基板上の第2のセンスアンプ回路に電気的に接続された複数の第2のビット線と、
前記素子領域上に、前記素子領域と前記第1のビット線とを電気的に接続するよう形成された複数の第1のビット線コンタクトと、
前記素子領域上に、前記素子領域と前記第2のビット線とを電気的に接続するよう形成された複数の第2のビット線コンタクトとを備え、
前記メモリセルアレイ領域は、第1から第Nの領域(Nは2以上の整数)を含み、
第Kの領域(Kは2からNの任意の整数)は、第K−1の領域よりも前記第1のセンスアンプ回路から遠い位置に位置し、
前記第Kの領域内の前記第1のビット線コンタクトのコンタクト抵抗は、前記第K−1の領域内の前記第1のビット線コンタクトのコンタクト抵抗よりも低く、
前記第Kの領域は、前記第K−1の領域よりも前記第2のセンスアンプ回路に近い位置に位置し、
前記第Kの領域内の前記第2のビット線コンタクトのコンタクト抵抗は、前記第K−1の領域内の前記第2のビット線コンタクトのコンタクト抵抗よりも高く、
各々の前記素子領域の幅は、前記メモリセルアレイ領域内において、前記第1及び第2のセンスアンプ回路からの距離によらず一定である、
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
前記基板の主面に平行な面において、前記第Kの領域内の前記第1のビット線コンタクトの面積は、前記第K−1の領域内の前記第1のビット線コンタクトの面積よりも大きく、
前記基板の主面に平行な面において、前記第Kの領域内の前記第2のビット線コンタクトの面積は、前記第K−1の領域内の前記第2のビット線コンタクトの面積よりも小さい、
ことを特徴とする請求項5に記載の不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−89747(P2012−89747A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236546(P2010−236546)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】