説明

中継方式障害物検出システムおよび方法

【課題】 コストを抑えて通信経路網を増やすことにより解像度を高めたり検出範囲を拡大することが可能な障害物検出システムを提供する。
【解決手段】 本障害物検出システムは、親局、1以上の中継子局および受信子局を備える。親局は、中継に使用する第1の子局の1つを指定する第1の局識別情報と送信先である第2の子局を指定する第2の局識別情報とを含むパケットを生成し、搬送波を発生し、中継に使用する第1の子局に向けてパケットを搬送波により送信し、中継に使用する中継子局が少なくともパケットを中継送信する期間は、搬送波の送信を継続する。中継子局は、到来する電波を受信して受信データを獲得し、受信データに含まれる第1の局識別情報が自局宛である場合に限り、親局から受信した信号を中継送信し、中継送信に続いて、パケットに付加する情報を送信する。受信子局の1つと親局との通信が正常に行われたと判断できる場合、その子局と親局との経路には障害物がないと判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波帯またはミリ波帯を用いた簡易な構成の無線装置または無線レーダ装置とアクティブターゲット装置とを屋内または屋外に配設して形成される検出領域(または監視領域)に侵入した障害物を自動的に検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図15は、従来の典型的な光線を用いた踏切障害物検出システムの配置例を示す図である。図15に示すシステムは、踏切内においてレーザまたは赤外線を送信する7個の照射装置(A81〜A87)と、その照射装置と対を成す7個の受光装置(B81〜B87)で光線網を形成する。全ての照射装置と受光装置は障害物検出制御装置C80に接続されており、障害物によって光線が一定時間遮断されると、その旨の情報を障害物検出制御装置C80が受信して障害物検出信号を発するものである。
【0003】
図16はマイクロ波帯無線機を使用した踏切障害物検出システムの配置例を示すである。 図16に示すシステムは、踏切内において広指向性(ファンビーム)アンテナを設置したマイクロ波帯送信部(A90)と狭指向性(ペンシルビーム)アンテナを設置したマイクロ波帯受信部(B91〜B93)で無線網が構成されて、全てのマイクロ波帯送信部とマイクロ波帯受信部は障害物検出制御装置(C90)に接続されている。マイクロ波帯受信部B91〜B93はマイクロ波帯送信部A90からの無線信号を復調可能な位置に設置されており、障害物によって一定時間復調が絶たれると、その旨の情報を障害物検出制御装置C90が受信し障害物検出信号を発するものである(非特許文献1参照)。
【0004】
道路の監視領域全域に質問信号を送信するように設置された質問器、監視領域の道路面上に所定の間隔で埋設された複数の応答器、及び質問器の送受信を制御すると共に応答器からの応答信号に基づいて通行異常を判定する制御装置とで構成される通行異常検知装置がある(特許文献1)。質問器が送信する質問信号には予め割り当てられた質問器識別番号を含め、各応答器が質問器に送信する応答信号にもそれぞれに予め割り当てられた応答器識別番号を含めるようにする。
【0005】
また、目標物との相対距離および相対速度を検出できる簡易な構成のレーダ方式としてFM−CW方式レーダが用いられている。FM−CW方式レーダはミリ波帯の発振源を三角波で変調して送信し、目標物から反射してきた受信波と送信波の一部をミキシングすることで目標物までの距離と相対速度の信号成分が含まれているビート信号を得ている(非特許文献2)。
【0006】
また、ミリ波帯用でありながら安価で温度安定性に優れた高性能なFM−CWレーダ装置がある(特許文献2)。
また、出願人は、無線通信機能とレーダ機能を備えた通信統合レーダ装置と自局宛のパケットを受信した場合に後続のレーダ波を折り返し送信する無線通信機能を備えた複数のアクティブターゲット装置から構成され、無線通信とレーダの機能により、通信統合レーダ装置とアクティブターゲット装置との間の障害物の有無、相対距離、相対速度などを検出するシステムを開示した(特許文献3)。
【非特許文献1】上瀧實編「ミリ波技術の手引きと展開」リアライズ社、1993年6月30日発行(第7章「踏切障害物検出システム」、pp.175-188)
【非特許文献2】上瀧實、瀧本幸男編集委員長「ミリ波技術の基礎と応用」リアライズ社、1998年7月31日発行(第2部第2章「FMCW方式」、pp.233-234)
【特許文献1】特開2000−043728号広報(P2000−43728A)
【特許文献2】特開平5−40169号公報
【特許文献3】特願2003−182262号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような光線を使用した踏切障害物検出システムやマイクロ波帯無線機を使用した踏切障害物検出システムにおいては、広いエリアを監視領域とする場合やレーザやマイクロ波無線による網を増やす場合、送信装置、受信装置の設置数が増え設置コストが増大する。
【0008】
更に、踏切に障害物検出システムを設置する場合に通信線、制御線の敷設工事による工事コストの増大や現地調整や保守等に膨大な労力が必要となる問題がある。
本発明は、コストを抑えて通信経路網を増やすことにより解像度を高めたり検出範囲を拡大することが可能な障害物検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一面において、通信開始機能を備えた親局、受信した電波を中継送信する少なくとも1つの第1の子局、少なくとも電波受信機能は有する少なくとも1つの第2の子局を備えた障害物検出システムを与える。本障害物検出システムにおいては、親局が、中継に使用する第1の子局の1つを指定する第1の局識別情報と送信先である第2の子局を指定する第2の局識別情報とを含むパケットを生成する手段と、搬送波を発生する手段と、中継に使用する第1の子局に向けてパケットを搬送波により送信する送信手段と、中継に使用する第1の子局が少なくともパケットを中継送信する期間は、搬送波の送信を継続する手段とを備える。第1の子局の各々が、到来する電波を受信して受信データを得る手段と、受信データに含まれる第1の局識別情報が自局宛である場合に限り、中継を許可する許可手段と、許可手段の制御下にあり、前記親局から受信した信号を中継送信する中継手段と、中継送信に続いて、パケットに付加する情報を中継手段を用いて送信する送信手段とを備える。さらに、第2の子局の1つと親局との通信が正常に行われたと判断できる場合、その子局と親局との経路には障害物がないと判断する判断手段として、障害物検出制御装置を備える。
【0010】
好ましい実施形態では、親局が、中継に使用する第1の子局が少なくともパケットを中継送信する期間は、搬送波の送信を継続する手段を備える。これにより、第1の子局の送信手段は、親局から受信した搬送波を用いて送信することができる。
【0011】
第1の子局が、上述の中継手段を含む送信手段を複数備え、かつ許可手段が、パケットに含まれる第2の局識別情報に関係付けられた送信手段を許可する手段を含むように構成してもよい。
【0012】
第2の各子局は、パケットを受信すると、このパケットに含まれる第2の局識別情報が自分宛である場合、親局の局識別情報と自局の識別情報を含む付加情報とを含む応答パケットをパケットの送り主に向けて送り返す手段を備え、
第1の子局の各々が、パケットに付加する情報を中継手段を用いて送信した後、親局への中継を許可する第2の許可手段と、第2の許可手段の制御下にあり、第2の各子局から受信した信号を親局に向けて中継送信する第2の中継手段と、受信データに親局の局識別情報が含まれる場合に限り、応答パケットに付加する情報を前記第2の中継手段を用いて送信する第2の送信手段とを備え、かつ判断手段が、応答パケットに含まれる情報に基づいて判断する構成としてもよい。これにより、親局は、障害物検出に用いるデータをすべて無線通信により収集することができるので、受信子局と障害物検出制御装置との間に通信リンクを設ける必要がなくなるので、好都合である。
【0013】
親局が、障害物までの距離を測定できるレーダ手段と、第2の子局の各々に対する親局からの距離を予め測定し第2の子局の各々に関係付けて記録した記憶手段とを含み、かつ判断手段が、記憶手段に記憶され、第2の子局の1つに関係付けられた距離とレーダ手段による測定値との比較に基づいて判断を行ってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コストを抑えて通信経路網を増やすことができるので、検出範囲の拡大や解像度の向上が容易に可能となる。
通信波とレーダ波の中継を行うことにより、電波の反射物が検出エリアの近傍に有る場合でもより正確できめ細かい障害物検出が可能となる。
【0015】
親局間で検出結果の中継を行うことにより新たな信号線敷設を必要とすることなく検出範囲の拡大が容易に可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態と添付図面とにより本発明を詳細に説明する。なお、複数の図面に同じ要素を示す場合には同一の参照符号を付ける。
〔第1の実施形態〕
図1Aは、本発明の第1の実施形態による中継方式障害物検出システムの構成を概念的に示す略ブロック図である。図1Aにおいて、中継方式障害物検出システム500は、親局A11、少なくとも1組の中継子局B1i(図1Aの例では、i=1,2である)と受信子局C1j(図1Aの例では、j=1,2である)、および親局A11と中継子局C1jとの通信リンクを備えた障害検出制御装置D10からなる。中継子局B1iと受信子局C1jは互いにほぼ対向するような相対的位置関係に配置され、親局A11は、受信子局C1jと同じ側にあり、中継子局B1iと互いにほぼ対向するような位置関係に配置される。
【0017】
親局A11は、障害検出制御装置D10との通信リンクを有する制御部4、無線送信部5、中継子局B11、B12を無線の覆域に納める広指向性の送信アンテナ6を備える。親局A11は、障害物検出制御装置D10からの起動指示を受け制御部1でパケットの生成を行い、パケット送信を開始する。送信するパケットには、パケットが中継されるべき中継子局B1iを指定する中継局識別情報Iとパケットが受信されるべき受信子局を指定する受信局識別情報Jと各種情報Kが含まれる。各種情報Kにはパケット送信毎にサイクリックに変化するパケット番号と誤り検出符号等が含まれている。
【0018】
なお、本発明はパッシブ方式による無線装置を用いる事により安価な障害物検出システムとする事が可能である。
各中継子局B1iは、親局A11を無線の覆域に納める受信アンテナ11、受信アンテナ11からの受信信号から受信データを取り出す無線受信部12、無線受信部12からのデータから応答パケットを生成する制御部13および制御部13から渡される応答パケットから送信信号を生成する無線送信部14を備える。無線送信部14は、制御部13の出力を変調する変調部16と親局A11からの搬送波CWを増幅すると共に変調部16の出力信号で振幅変調を行う増幅器17とで構成される。増幅器17の出力は、受信子局C11およびC12を無線の覆域に納める広指向性の送信アンテナ15に接続される。
【0019】
中継子局B1iから受信子局C1iへのパケット送信は親局A11からの搬送波を用いて中継子局B1iの増幅器で振幅変調してパケット送信を行う。したがって、中継子局B1iには搬送波発振器は不要であるが、親局A11は、局識別情報I、Jおよび種々の情報Kを含むパケットの送信後、中継子局B1iが受信したパケットを受信子局C1jに送信できるように、一定時間搬送波CWを中継子局B1iに供給する必要がある。
【0020】
各受信子局C1jは、中継子局B11およびB12を無線の覆域に納める広指向性の受信アンテナ3、無線受信部2および制御部1を備えている。制御部1は、障害物検出制御装置10Dと通信可能に接続されている。
【0021】
図1Bは、図1Aの中継方式障害物検出システム500で使用されるパケットの構造および流れを示す図である。図1C、1Dおよび1Eは、図1Aの親局A11、各中継子局B1iおよび各受信子局C1iの動作をそれぞれ示すフローチャートである。図1Bから1Eを参照して、中継方式障害物検出システム500の動作を説明する。ここでは、説明を簡単にするために、親局A11が中継子局B11を経由して受信子局C11に向けてパケットを送る場合について説明する。
【0022】
図1Cにおいて、親局A11、即ち、制御部4は、ステップ101において、障害検出制御装置D10から起動指示があるまで待機する。起動指示があった場合、ステップ102において、中継子局B11に対する中継局識別情報I(B11)、受信子局C11に対する受信子局識別J(C11)、および各種情報Kを含むパケットを生成する。各種情報Kとしては、パケットの送信ごとに周期的に変化するパケット番号および誤り検出符号などが含まれる。次に、ステップ103において、パケットと搬送波を送信し、ステップ104において、搬送波の送信を停止する。判断ステップ105において、障害検出制御装置D10から停止指示があるか否かを判断し、あればステップ101に戻る。判断ステップ105において、停止指示がない場合、ステップ102に戻りパケット送信動作を続ける。このようにして、受信子局C11宛のパケットが中継子局B11に向けて送信される。
【0023】
一方、図1Dに示すように、中継子局B11では、判断ステップ201において、自局宛の中継局識別情報Iを受信したか否かを判断する。受信するまでステップ201を繰り返し、受信した場合、ステップ202において、増幅器17をONとし、受信したJとKを受信子局C11に向けて送信する。ステップ203において、各種情報Lを生成する。情報Lには、自局の識別情報および誤り検出符号を含む。ステップ204において、情報Lを増幅器17で増幅変調して送信し、ステップ205において、増幅器17をOFFにする。これにより、受信子局C11宛のパケットが送信される。
【0024】
受信子局C11では、図1Eに示すように、判断ステップ301において、自局を示す識別情報Jを受信したか否かを判断する。受信するまでステップ301を繰り返し、受信した場合、さらなる判断ステップ302において、誤り検出判定においてKまたはLの誤りを検出したか否かを判断する。誤りを検出した場合、ステップ301に戻り、自局宛のパケットを待つ。判断ステップ302において、誤りを検出しなかった場合、ステップ303において、情報KおよびLの分析を行い、パケット番号と中継子局の局識別情報Iを抽出する。そして、ステップ304において、パケット番号と中継子局の識別情報を障害検出制御装置に通知する。
【0025】
障害物検出制御装置D10ではパケット番号と局識別情報の分析を行い単位時間のパケット番号の欠損数が一定値を越した場合、障害物検出と判断する。このように親局A11から受信子局C11に向けてパケットを送ることにより、親局A11と中継子局B11との間の通信路、および中継子局B11と受信子局C11との間の通信路における障害物の有無を検出することができる。親局A11は、中継方式障害物検出システム500内の全ての受信子局C11,C12,...,C1N(Nは、受信子局の数)に時分割式にパケットを順に送ることにより、親局A11、中継子局B11,B12,..,B1M(Mは、中継子局の数)および受信子局C11,C12,..,C1Nを結ぶ通信路でカバーされる領域における障害物の有無を検出することができる。
【0026】
なお、受信局識別情報Iに全受信子局を指定する情報(ブロードキャスト)を使用してもよい。
その他、障害物検出を判断する方式として障害物検出制御装置D10から親局A11が送信する送信パケットの各種情報Kに固有パターン情報を入力し、受信子局Cからの固有パターン情報の受信成否を分析して障害物検出の判断を行ってもよい。
【0027】
〔第2の実施形態〕
図2Aは、本発明の第2の実施形態による中継方式障害物検出システムの構成を概念的に示す略ブロック図である。図2Aの中継方式障害物検出システム510は、親局がA11からA21に置き換わり(即ち、制御部4が制御部4aに置き換わり)、中継子局B1iが中継子局B2iに置き換わった点を除けば、図1Aの中継方式障害物検出システム500と同じである。中継子局B2iは、無線送信部14と送信アンテナ15が追加された点を除けば、中継子局B1iと同じである。したがって、図2Aの中継子局B2iは、受信したパケットを内蔵する2系統の無線送信部により、それぞれの覆域に向けて送信することができるので、図1Aの中継子局B1の2台分の役割を果たす。
【0028】
なお、本実施形態においても、パッシブ方式による無線装置を用いる事により安価な障害物検出システムとする事が可能である。
図2Bは、図2Aの中継方式障害物検出システム510で使用されるパケットの構造および流れを示す図である。図2Cおよび2Dは、図2Aの親局A21および各中継子局B2iの動作をそれぞれ示すフローチャートである。図1Bから1Dを参照して、中継方式障害物検出システム510の動作を説明する。ここでは、説明を簡単にするために、親局A21が中継子局B21の増幅器AMP1を経由して受信子局C12に向けてパケットを送る場合について説明する。
【0029】
図2Cに示す親局A21の動作は、ステップ102がステップ102aに置き換わった点を除けば、図1Cに示した親局A11の動作と同じである。即ち、中継方式障害物検出システム510の場合、親局A21は、中継子局の2系統の無線機の何れを使用するかを指定するために、中継子局と受信子局の識別情報の他に、2系統の無線機の識別情報IAをパケットに含めて送信する。図2Bの例では、例えば増幅器にID(識別情報)を付け、このIDを用いて、増幅器AMP1を含む無線送信部の識別情報をIA(AMP1)と表している。このようにして、親局A21は、中継子局識別情報I(B1)、無線通信機識別情報(または増幅器識別情報)IA(AMP1)、受信局識別情報J(C1)および上述の各種情報Kをパケットに含めて、中継子局B21に送信する。
【0030】
一方、図2Dに示すように、中継子局B21では、ステップ211において、自局を示す局識別情報Iを含むパケットを受信するまで待機する。そのようなパケットを受信した場合、さらなる判断ステップ212において、無線送信部または増幅器の識別情報IAにより、何れの無線送信部または増幅器を使用すべきかを判断する。即ち、IA(AMP1)かIA(AMP2)かを判断し、図2Aの例では、IA(AMP1)なら上方の無線送信部または増幅器AMP1を使用し、IA(AMP2)なら下方の無線送信部または増幅器AMP2を使用する。図2Dにおいては、識別情報がIA(AMP1)の場合、ステップ213において、受信した情報JおよびKをAMP1をONとして送信する、即ち、上方の無線送信部または増幅器AMP1によりパケットを送信する。ステップ214において、各種情報Lを生成し、AMP1で振幅変調してLを送信し、ステップ216において、AMP1をOFFにして、ステップ211に戻る。また、識別情報がIA(AMP2)の場合、ステップ213a 〜216aにおいて、AMP2を用いてステップ213 〜216と同じ動作を行う。
【0031】
この中継方式障害物検出システム510においても、中継子局B2iから受信子局C1j(図2Aの例では、j=1〜4)へのパケット送信は親局A21からの搬送波を用いて中継子局B2iの増幅器で振幅変調しパケット送信を行うため、親局A21は I、IA、J、Kを含むパケットの送信後、一定時間搬送波CWを中継子局B2iに供給する。
【0032】
受信子局C1jには、中継方式障害物検出システム500の場合と同じパケットが送られるので、図2Aの受信子局C1jの動作は図1Aの受信子局の動作を同じである。図2Aの障害物検出制御装置D10の動作も第1の実施形態の場合と同じである。
【0033】
このように、本実施形態によれば、送信部を2系統備えた中継子局を用いることにより、中継子局の数を減らすことが可能となる。
〔第3の実施形態〕
図3Aは、本発明の第3の実施形態による中継方式障害物検出システムの構成を概念的に示す略ブロック図である。図1Aにおいて、中継方式障害物検出システム520は、親局A31、親局A31と双方向の無線通信を行う中継子局B31およびB32、中継子局B31と双方向の無線通信を行う受信子局C3IおよびC32、中継子局B32と双方向の無線通信を行う受信子局C33およびC34、および親局A31との通信リンクを備えた障害検出制御装置D30からなる。親局A31と受信子局C31〜C34は、中継子局B31およびB32とほぼ対向するように同じ側に配列される。
【0034】
親局A31は、障害検出制御装置D30との通信リンクを有する制御部46、無線送信部5、中継子局B31とB32とを無線の覆域に納める広指向性の送信アンテナ6、無線受信部2、および中継子局B31とB32とを無線の覆域に納める広指向性の受信アンテナ3を備える。
【0035】
各中継子局B3i(この例では、i=1または2)は、親局A31を無線の覆域に納める狭指向性の受信アンテナ611、受信子局C31およびC32を無線の覆域に納める広指向性の受信アンテナ711、受信アンテナ611または711からの受信信号から受信データを取り出す無線受信部12、無線受信部12からのデータの分析に基づいて後述の各種情報L1およびL2を生成し、中継の制御を行う制御部13b、制御部13bから渡されるL1およびL2から送信信号を生成する無線送信部614および714、無線送信部614の出力を親局A31に向けて放射する狭指向性の送信アンテナ615、無線送信部714の出力を受信子局C31およびC32に向けて放射する広指向性の送信アンテナ715、および切替回路18を備える。図3Bは、図3Aの切替回路18の実施例を概念的に示す図である。 図3Bにおいて、切替回路18は、共通端子CT1および接点T1aおよびT1bからなるオールタネートスイッチと共通端子CT2および接点端子T2aおよびT2bからなるオールタネートスイッチを含み、制御部13bからの切替制御信号により両スイッチの接続が制御される。
【0036】
切替回路18の端子T1aおよびT2bは、受信アンテナ711に接続され、端子T1bおよびT2Aは、受信アンテナ611および増幅器AMP1に接続される。切替回路18の共通端子CT1は、増幅器AMP2に接続され、CT2は、無線受信部12に接続される。無線送信部614は、制御部13bから渡される信号(情報L2)を変調する変調部616と、切替回路18の端子CT1からの信号を増幅すると共に変調部616の出力信号で変調する増幅器617(AMP2)とで構成される。増幅器617の出力は、送信アンテナ615から送信される。
【0037】
また、受信アンテナ611で受信した信号は、増幅器AMP1の入力のほか、切替回路18の端子T1bおよびT2aにも供給される。無線送信部714は、制御部13bの出力を変調する変調部716と、切替回路18の端子T1bおよびT2aからの信号または受信アンテナ611からの信号を増幅すると共に変調部716の出力信号で振幅変調を行う増幅器717(AMP1)とで構成される。増幅器717の出力は、送信アンテナ715から受信子局C31およびC32に送信される。
【0038】
図3Cは、親局、中継子局および受信子局の間の通信にともない、増幅器AMP1およびAMP2の動作状態ならびに切替回路18に含まれるスイッチまたは共通端子CT1およびCT2の接続状態が変化するようすを示す状態テーブルである。図3Cのテーブルの右下の8つのセルは、上の欄に示す通信における左の欄に示すAMP1およびAMP2の動作状態およびスイッチ(または共通端子)CT1(AMP2入力)およびCT2(受信部12の入力端子)の接続状態(または接続先)を示す。
【0039】
具体的には、親局A31から中継子局B31への送信元識別情報I(A3i)の通信時には、増幅器AMP1およびAMP2は共にOFFとし、端子CT1(AMP2入力)は受信アンテナ711に接続され、端子CT2(無線受信部12の入力)は受信アンテナ611に接続される。
【0040】
次に、親局A31から送られる無線信号を中継子局B31が中継して受信子局C31へ送ると共に情報L1をC31に送る場合、AMP1はONにし、AMP2はOFF状態を維持し、受信子局C31からの識別情報J(A31)を受信できるように切替回路18の端子CT2(受信部12入力)は受信アンテナ711に接続される。この場合、AMP2は使用しないので、接続先は不問である(この旨は、図3Cにおいて「X」で表した)。
【0041】
次に、受信子局C31から送られる無線信号を中継子局B31が中継して親局A31へ送ると共に、受信子局C31から送られる宛先識別情報J(A31)を受信する場合、AMP1はON状態を維持し、AMP2をONにし、受信子局C31からの識別情報J(A31)を受信できるように切替回路18の端子CT2(受信部12入力)は受信アンテナ711に接続され、切替回路18のCT1端子(AMP2入力)も受信アンテナ711に接続される。
【0042】
最後に、中継子局B31から親局A31にL2を送信する場合は、AMP2をON状態に保ち、切替回路18のCT1端子(AMP2入力)は親局A31からの搬送波CWを受信するため受信アンテナ611に接続される。この場合、AMP1は使用しないので、OFFとし、受信を行わないので、切替回路18のCT2端子(受信部12入力)の接続先は不問である。
【0043】
各受信子局C3j(図3Aの例では、j=1〜4)は、対応する中継子局B3i(i=1または2)を無線の覆域に納める狭指向性の受信アンテナ3、無線受信部12、制御部1aのほか、中継機能を果たすために上述の無線送信機14および送信アンテナ6も備えている。
【0044】
なお、注目すべき点は、本実施形態による中継方式障害物検出システム520では、各受信子局3jが中継機能を備えることにより、各受信子局3jと障害物検出制御装置D30との間に直通通信リンクを設ける必要が無くなったことである。
【0045】
図3Dは、図3Aの中継方式障害物検出システム520で使用されるパケットの構造および流れを示す図である。図3E、3Fおよび3Gは、図3Aの親局A31、各中継子局B3iおよび各受信子局C3iの動作をそれぞれ示すフローチャートである。図3Dから3Gを参照して、実施形態3の中継方式障害物検出システム520の動作を説明する。ここでは、説明を簡単にするために、親局A31が中継子局B31を経由して受信子局C31に向けてパケットを送る場合について説明する。なお、図3Cの表に示した各通信モードにおける動作は、図3Cの表において1xx、2xx、3xx、4xxと表したように、図3E〜3Gのフローチャートにおけるステップ番号の最上位桁の1〜4にそれぞれ対応する。
【0046】
まず、図3Eにおいて、親局A31は、判断ステップ110において、障害物検出制御装置D30から起動指示がるまで待機し、起動指示があったらステップ111に進み、中継局識別情報I、受信局識別情報Jおよび各種情報K1を含むパケットを生成する。ステップ112において、パケットと搬送波を送信する。図3Dに示すように、親局A31が送信するパケットには、中継子局B31に対する中継子局識別情報I(B31)、受信子局C31に対する受信局識別情報J(C31)、および各種情報K1が収容される。各種情報K1には、周期的に変化するパケット番号および誤り検出符号が含まれる。
【0047】
一方、中継子局B31では、図3Fに示すように、ステップ113において、自局を示す識別情報I(B31)を検出するまで待機する。受信したデータから自局宛の識別情報を検出した場合、中継子局B31は、ステップ220において、図3Cの第2コラムに示すような制御によりA31=>B31=>C31中継モードに入り、識別情報J(C1)と各種情報K1を受信子局C31に向けて中継伝送する。次に、ステップ222において、自局の局識別情報や誤り検出符号を含む各種情報L1を生成し、ステップ224において、AMP1により振幅変調しL1を受信子局C31に送信する。
【0048】
一方、受信子局C31は、ステップ221において、自局を指定した宛先識別情報J(C31)を受信するまで待機する。自局宛の識別情報を受信すると、受信子局C31は、ステップ225において、受信したK1およびL1の誤り検出符号により正常なパケットの受信であったか否かを判定する。誤りを検出すると、ステップ221に戻り、再び、自局宛の識別情報J(C31)を待つ。
【0049】
判断ステップ225において、誤りがない場合、ステップ332において、K1とL1の分析を行い、パケット番号と局識別情報を抽出する。さらに、ステップ334において、受信局識別情報J(A31)および各種情報K2を含むパケットを生成する。この時、各種情報K2には、応答パケットの発信元(即ち、この場合は受信子局C31)の局識別情報、受信パケットのL1に含まれる中継子局B31の局識別情報、受信した各種情報K1に含まれているパケット番号および誤り検出符号などが含まれる。ステップ336において、無線送信機14の増幅器AMP3をONとし、AMP3の振幅変調によりK2を親局A31に向けて送信する。ステップ338において、AMP3をOFFとして、受信子局C31の処理を終了する。
【0050】
再び、図3Fに戻り、中継子局B31は、ステップ330において、図3Cのテーブル第3コラムに示すような制御によりC31=>B31=>A31中継モードに入る。判断ステップ340において、中継子局B31は、宛先識別情報J(A31)を受信したか否かを判断する。受信しない場合、最初のステップ113に戻る。判断ステップ340において、宛先識別情報J(A31)を受信した場合、ステップ440において、各種情報L2を生成する。次に、ステップ442において、B31=>A31通信モードに入り、生成したL2をAMP2の振幅変調により親局A31に向けて送信する。ステップ444において、増幅器AMP2をオフにする。
【0051】
一方、親局A31では、パケットを送信した後、ステップ342において、自局を示す宛先局識別情報J(A31)を一定期間内に受信したか否かを判断する。受信した場合、ステップ450において、情報K2およびL2を受信してから、搬送波CWの送信を停止する。判断ステップ452において、受信した情報K2およびL2の誤り検出符号により誤りを検出したかを判断する。誤りがない場合、ステップ454において、情報K2およびL2の分析を行い、パケット番号と中継子局の局識別情報を抽出する。さらに、判断ステップ456において、送信したパケット番号と受信したパケット番号とが一致しているか否かを判断する。一致している場合、中継子局識別情報I、応答パケットの宛先局情報J、および障害物の非検出(検出しないこと)を示す障害物検出情報を障害検出制御装置D30に通知する。ステップ460において、障害検出制御装置D30から停止指示があるか否かを判断し、指示がなければステップ111に戻る。停止の指示があった場合、ステップ110に戻り、障害検出制御装置D30からの起動指示を待つ。
【0052】
判断ステップ342において、一定の時間内に、自局を示す宛先局識別情報J(A31)を受信しなかった場合、ステップ462において、搬送波の送信を停止し、ステップ464において、障害物の検出を示す障害物検出情報を障害検出制御装置D30に通知する。また、判断ステップ456において、送信したパケット番号と受信したパケット番号とが一致しない場合も、ステップ464を実行する。ステップ464の後、ステップ466において、障害検出制御装置D30から停止指示を受けたか否かを判断する。受けなければ、ステップ111に進み、受けた場合、ステップ110に戻る。
【0053】
なお、中継子局B3iから受信子局C3iへのパケット送信は親局A31からの搬送波を用いて中継子局B3iの増幅器で振幅変調してパケット送信を行う。したがって、中継子局B3iには搬送波発振器は不要であるが、親局A31は、局識別情報I、Jおよび種々の情報Kを含むパケットの送信後、中継子局B3iが受信したパケットを受信子局C3jに送信できるように、一定時間搬送波CWを中継子局B3iに供給する必要がある。さらに、前述のように、受信子局C3iが中継子局B3iを経由して親局A31にパケット送信を行う際、中継子局B3iを経由して親局A31から送られる搬送波CWを増幅器AMP3で増幅・振幅変調してパケット送信を行うため、親局A31は、上述の中継子局B3iから受信子局C3iへのパケット送信の期間に引き続き、一定時間搬送波CWを中継子局B3iに供給し続ける。したがって、各受信子局C3iの無線送信部14にも搬送波発振器は不要となる。
【0054】
以上述べたように、本発明の第3の実施形態によれば、親局がパケットを送信すると、受信子局が応答パケットを返してよこすので、親局が応答パケットを収集することにより、障害検出制御装置は検出結果をすべて親局を通して知ることができるので、受信子局と障害検出制御装置との間に通信リンクを与える必要がない。したがって、広い範囲の監視を行う場合や、設置局の個数を増やして検出の解像度を上げる場合に、配線が少なくて済み、好都合である。
【0055】
なお、上記の実施形態では親局と障害検出制御装置を別の装置としたが、親局と障害検出制御装置を統合して1つの装置としてもよい。
〔第4の実施形態〕
図4Aは、反射波が発生する状況において本発明の第4の実施形態により中継方式で障害物を検出する図である。図4Aにおいて、中継方式障害物検出システム530は、特許文献3で開示されている無線通信機能とレーダ機能を備えた親局A31r、受信したレーダ波を変調,増幅して送り返すアクティブターゲット装置C31r、データパケットの中継と共にレーダ波の中継も行う中継子局B31r、および親局A31rに通信可能に接続された障害物検出制御装置D31rを備えている。Sは障害物、Rは反射物を示す。図4Bは、図4Aの親局A31rの構成を示すブロック図である。
【0056】
図4Bにおいて、親局A31rは、制御部4d、送信データの変調を行う変調部16、レーダ波の増幅と変調部16から入力される信号に従って振幅変調を行うAMP17、制御部4dからの制御に従って出力する周波数の制御を行う搬送波発振器19、レーダ機能時に受信レーダ波と搬送波発信機出力の一部をミキシングするミキサ24、FM−CWレーダ部30、無線受信部2、送信アンテナ6、受信アンテナ3、データを格納するメモリ21を備える。
【0057】
図4Cは、図4Aの中継方式障害検出で使用されるパケットの構造および流れを示す図である。
なお、親局A31rが中継局識別情報Iを送信して、各種情報L2を受信するまでのパケットの流れは図3Dと同じである。
【0058】
親局A31rはL2を受信した後、レーダ機能を動作させ送信レーダ波Rを送信する。
一方、受信子局C31rでは、自局宛の受信局識別情報Jを受信した場合、受信したレーダ波Rに対してアクティブターゲット機能を用いて折り返しアクティブターゲット・レーダ波ATを送信する。
なお、本実施形態による中継子局B31rは親局A31rから自局宛の中継局識別情報Iを正常に受信した場合にレーダ波の中継を行う。
【0059】
親局A31rは、レーダ機能を備えることにより障害物までの距離を測ることができる。親局から各受信子局までの障害物がない場合の距離を予め測定し、メモリ21に格納しておくものとする。障害物Sにより中継子局B〜受信子局Cの直接波が遮断され、反射物Rにより中継子局B〜反射物R〜受信子局Cの反射波でパケットの送受信が正常に行われる場合でも、親局A31rによるアクティブターゲット機能を使用した距離測定結果を障害物検出制御装置に通知する事により、メモリ21に格納されている正常時(障害物がない場合)の距離との差異から、より正確な障害物検出が可能となる。
【0060】
〔第5の実施形態〕
図5Aは、本発明の第5の実施形態により複数の親局を用いる中継方式障害物検出システムの構成機器の配置を示すシステム構成図である。本実施形態では、監視(または検出)領域を複数の検出領域に分ける。例えば、図5Aの例では、U1、U2、U3の3検出領域に分けている。
【0061】
検出領域U1には、中央親局A31aが配置され、検出領域U2およびU3には、支親局A41およびA42がそれぞれ配置されている。各親局A31a、A41、A42は、それぞれの検出領域Uk(k=1〜3)に設置されている中継子局と受信子局に対して中継方式障害物検出を行う。各検出領域Ukは、親局、中継子局および受信子局がそれぞれ1つずつ配置されている。支親局A41と支親局A42とは、それぞれの検出領域の中間に位置する中継子局B33を介して通信を行う。図5Aの中継子局B31〜B34および受信子局C31〜C33は、図3Aの中継子局および受信子局と同じものである。
【0062】
図5Bは、図5Aに示した子局機能を持つ支親局の構成を示すブロック図である。図5Bにおいて、支親局A4i(i=1、2)は、受信アンテナ3、無線受信部2、送信アンテナ6、無線送信部14、搬送波発振器19、搬送波発振器19の出力(SW1)と受信アンテナ3の出力(SW2)との何れか一方を選択して出力する切替回路20、制御部4c、データを格納するためのメモリ21を備える。上述のように、無線送信部14は、制御部4cからのデータを変調する変調部16と切替回路20の出力信号を増幅すると共に変調部16の出力で振幅変調する増幅器(AMP)17からなる。増幅器(AMP)17の出力は送信アンテナ6に接続される。 親局A4iが親局機能を発動する場合は切替回路20は搬送波の出力SW1を選択し搬送波がAMPに供給される。親局が子局機能を発動する場合は、切替回路20は受信アンテナ3の出力SW2を選択しアンテナ3で受信した電波を無線送信部14の増幅器17に供給する。
【0063】
中央親局A31aは検出領域U1に設置されている中継子局B31と受信子局C31に対して中継方式障害物検出を行い、支親局A41は検出領域U2に設置されている中継子局B32と受信子局C32に対して中継方式障害物検出を行い、支親局A42は検出領域U3に設置されている中継子局B34と受信子局C33に対して中継方式障害物検出を行う。中央親局A31aは、障害物検出制御装置D40と接続されており、一定周期tで支親局に対して親局機能の動作を開始させる親起動情報Mを生成する機能を有している。
【0064】
図5Cは、図5Aの中継方式障害物検出システム540で使用されるパケットの構造および流れを示す図である。図5D〜5Fは、図5Aの中央親局A31a、支親局A41およびA42の動作をそれぞれ示すフローチャートである。図5Cから5Fを参照して、本実施形態による中継方式障害物検出システム540の動作を説明する。
【0065】
まず、図5Dにおいて、中央親局A31aは、判断ステップ130において、障害物検出制御装置D40からの起動指示を待つ。起動指示があった場合、ステップ131において、自分の検出領域(図5Aの例では、U1)の障害物検出S(1)を行う。この時の、中央親局A31aの動作は、図3Eの親局A31の動作と同じである。ステップ132において、支親局A41に対する親起動情報M(A41)を生成し、ステップ133において、このMを含むパケットを送信し、さらに搬送波の送信を継続する(図5Cの処理DC1に相当)。(以降の処理は、図5Cの処理DC2に相当する。)。
【0066】
一方、支親局A41は、図5Eに示すように、判断ステップ150において、自局を示す親起動情報M(A41)を待つ。この情報M(A41)を検出すると、支親局A41は、ステップ151において、中央親局A31aに対する宛先局識別情報J(A31a)、メモリ21に記憶していた1回前の障害物検出結果S2'および支親局A42から送られて来た2回前の障害物検出結果S3"を含むパケットを生成する。ステップ152において、増幅器17をONとし、生成したパケットを増幅器17の振幅変調により中央親局A31aに向けて送信し、ステップ153において、増幅器17をOFFにする。
【0067】
他方、中央親局A31aは、ステップ134において、自局を示す宛先識別情報J(A31a)が送られるのを待機する。この識別情報Jを一定時間内に検出すると、ステップ135において、そのパケットに含まれる検出結果S2'およびS3"を受信して、ステップ133から継続していた搬送波の送信を停止する。次に、ステップ136において、誤り検出判定を行いS2'に誤りが検出されたか否かを判断する。誤りが検出された場合、ステップ137において、検索結果S2'の情報に情報喪失を挿入する。判断ステップ136またはステップ137の終了後、判断ステップ138において、誤り検出判定を行いS3"に誤りが検出されたか否かを判断する。誤りが検出された場合、ステップ139において、検索結果S3"の情報に情報喪失を挿入する。
【0068】
また、判断ステップ134において、中央親局A31aは、ステップ133におけるパケット送信から一定期間内に自局を示す宛先識別情報J(A31a)を検出しなかった場合、ステップ140において、ステップ133から継続していた搬送波の送信を停止し、ステップ141において、検索結果S2'およびS3"の情報に情報喪失を挿入する。
【0069】
ステップ138、139および141の何れかを終了すると、ステップ142において、S1、S2'およびS3"の情報を含めた障害物検出情報を障害物検出制御装置D40に報告する。そして、ステップ143において、障害物検出制御装置D40から停止指示があるか否かを判断し、無ければステップ131に戻り、停止指示がある場合、ステップ130に戻る。以上が、図5Cの処理DC2に相当する。
【0070】
一方、図5Eに戻ると、支親局A41は、上述のステップ153に続き、ステップ154において、切替回路20により搬送波発振器19出力を選択し、ステップ155において、自分の検出領域U2の中継方式障害物検出を行い、その結果S2をメモリ21に記憶する。この場合の支親局A41の動作は、図3Eの親局の動作と同じである。
【0071】
次に、図5CにおいてLDC1、LDC2で示すような支親局A41による検出結果収集処理を行う。まず、支親局A41は、ステップ156において、中継子局B33に対する中継局識別情報I(B33)と支親局A42に対する親起動情報M(A42)を含むパケットを生成し、ステップ157において、生成したパケットを送信すると共に搬送波の送信を継続する。
【0072】
一方、支親局A42は、図5Fに示すように、ステップ170において、自局を示す親起動情報M(A42)を検出するまで待機する。親起動情報M(A42)を検出すると、判断ステップにおいて、中継子局B33から送られたL1に誤りがあるか否かを判断する。誤りがあれば、ステップ170に戻り、次の起動情報を待つ。判断ステップ171において、L1に誤りがなかった場合、ステップ172において、支親局A41に対する宛先局識別情報J(A41)とメモリ21に記憶していた検出結果S3'を含むパケットを生成する。ステップ173において、増幅器17をONとして、生成したパケットを増幅器17により振幅変調して支親局A41に向けて送信し、ステップ174において、増幅器17をOFFとする。
【0073】
次に、支親局A42は、ステップ175において、切替回路20により搬送波発振器19出力を選択し、ステップ176において、自分の検出領域U3の中継方式障害物検出を行い、検出結果S3をメモリ21に記憶する(この処理は、図5CにS(3)として示した)。ここでの障害物検出方法は、図3Eの親局のフローチャートと同じである。
【0074】
一方、図5Eに示すように、支親局A41は、ステップ158において、ステップ157でパケット送信してから一定時間内に自局を示す局識別情報J(A41)を受信したか否かを判断する。一定時間内に受信した場合、ステップ159において、検出領域U3における前回の検出結果S3'と中継子局B33から送られる情報L2とを受信した後、搬送波の送信を停止する。次に、ステップ160において、切替回路20により受信アンテナ3出力の方を選択することにより、受信信号の折り返しモードに入る。次に、判断ステップ161において、支親局A42から送られた検出結果S3'に誤りがあるか否かを判断する。誤りがあった場合、ステップ162において、検出結果S3'の情報に情報喪失を挿入する。
【0075】
判断ステップ158において、ステップ157でパケット送信してから一定時間内に自局を示す局識別情報J(A41)を受信しなかった場合、ステップ163において、搬送波の送信を停止し、ステップ164において、検出結果S3'の情報に情報喪失を挿入する。
【0076】
ステップ161、162および164の何れかのステップを終了すると、ステップ165において、検出結果S3'をメモリ21に格納する。以上により、図5Cの検出結果収集処理LDC2を終了する。
【0077】
上記方式によれば、中央親局から最遠方(下流の)の支親局の障害物検出結果を順次支親局が自局宛ての親起動情報Mを受信する毎に中央親局に向け障害物検出情報の中継を行うことが可能となる。
【0078】
中央親局A31aでは検出領域U1の障害物検出結果S1とS2'とS3"を障害物検出制御装置D40に通知する。なお、中央親局A31aはS2'またはS3"の受信が無かった場合、その旨を障害物検出制御装置D40に通知する。
【0079】
なお、障害物検出結果S2'とS3"に誤り検出符号等を含めても良い。
上述の実施例では、親局が3の場合を説明したが、上述の説明から分かるように親局の数は幾つあってもよい。例えば、図5Gは、本発明の本実施形態により障害物検出範囲を5つの領域U1〜U5に分割し、領域U1〜U5に中央親局A31b、支親局A41〜A44をそれぞれ配置した中継方式障害物検出システムの例を示す。各領域は、次の表に示すように親局、中継子局および受信子局からなる障害物検出サブシステムを形成している。
------------------------------表---------------------------------
領域 親局 中継子局 受信子局
------------------------------------------------------------------
U1 A31b B31 C31
U2 A41 B32 C32
U3 A42 B34 C33
U4 A43 B35 C34
U5 A44 B36 C35
B37 C36
上記の表において、横に並んだ親局、中継子局および受信子局は、それぞれ隣接するものどうしが双方向に通信を行う。U5においては、親局A44は、中継子局B36およびB37の両方と通信を行う。図5Gから分かるように、各領域の障害物検出サブシステムは、必ずしも同じ構成である必要はなく、それぞれ任意の構成を取ることができる。なお、支親局A41とA42は、中継子局33を介して通信を行うが、支子局A43とA44のように直接通信を行ってもよい。
【0080】
要するに、必要なことは、各親局が、(1)自分の領域において本発明による中継方式障害物検出を行い、その結果を記憶しておき(図5CのS(1)〜S(3)など)、(2)上流の親局から起動指示(または検査結果報告要求)を受け取った場合(図5Cの処理DC1)、(2.1)記憶しておいた障害物検出結果(これには、下流から受け取った障害物検出結果も含まれる)を上流の親局に報告する(同図の処理DC2)と共に、(2.2)下流の親局に検出結果要求を送り(同図の処理LDC1)、下流の障害物検出結果を受信して記憶する(同図の処理LDC2)ことである。
【0081】
また、上述の実施例では、説明の都合上、ステップ130、150、170などに示したように各親局は上位または上流の装置からの指示を待つものとして説明したが、通常は各検出領域で中継方式障害物検出を行い、起動指示の受信時に割り込み処理により図5D〜5Fの処理を行うようにしてもよい。
【0082】
〔種々の実施例〕
図7は、図6の親局装置A51のレーダ送信手順を示す図である。図6で示した回路構成の親局A51を用いて複数の親局がレーダ機能を行い、各親局は主従の関係になく自立的にレーダ機能を動作させる状況において、図7に示す通信統合レーダ装置のレーダ送信手順を行うことにより、極力レーダ波の混信を避ける事が可能となる。
【0083】
図7に示すt1は親局A51−1がランダムな値の時間でレーダ波の送信を行う間隔であり、レーダ送信フラグ送信後、次のレーダ送信フラグ送信までの間、他の親局(例えば、A51−2)のレーダ送信フラグを受信する事が可能となる。
【0084】
t2は親局A51−2が親局A51−1からのレーダ送信フラグを受信した後、親局A51−2のレーダ送信フラグが親局A51−1で十分受信可能な時間以上のランダムな値の時間間隔を示している。
【0085】
また、レーダ送信フラグの中に次のレーダ送信フラグ送信を行う時間情報を加えてもよい。受信局側がその時間間隔情報を分析しレーダ送信フラグを送信した局に同期したタイミングでレーダ送信フラグを送信することができる。このようにして、親局A51−1と親局A51−2はお互いにレーダ送信フラグ送信の同期を取り、レーダ波およびデータ送信を混信することなく各機能を動作させる事が可能となる。
【0086】
また、レーダ送信フラグの中にレーダ送信フラグの中継を行う中継子局を指定する中継局識別情報Iを含める事により、中継子局を経由してレーダ送信フラグ送信の同期を取る事が可能となる。
【0087】
時間t2にランダムな値を加え、2台以上の通信統合レーダ装置のレーダ波衝突を回避するようにしても良い。
レーダ送信フラグの自局が用いるレーダ方式、例えば、FMCW方式、パルスレーダ方式、スペクトル拡散方式等の情報を含め、受信局側で時間t2の算出の計算に用いて方式毎に最適値を算出しても良い。
【0088】
レーダ送信フラグの他、レーダ波の送信完了を意味するレーダ送信終了フラグを用いた動作としても良い。
図8Aは、子局機能をとレーダ機能を持つ第2の親局A51aの構成を示すブロック図である。図8Bは、図8Aの効果を示す周波数対電力の関係を示すグラフである。図8Aの親局A51aは、図6の親局A51の無線受信部2の入力側に帯域通過フィルタ(BPF)32を挿入したものである。図8Bに示すようにBPF32を備え通信機能で使用する帯域とレーダ機能で使用する帯域を分離する事により、自局がレーダ波の送受信を行っている場合でもレーダ送信フラグの受信が可能となる。
【0089】
・踏切障害物検出システム
図9は、本発明の第1の実施形態による中継方式障害物検出方式を踏切に応用した実施例を示す。親局A11の送信アンテナと受信アンテナには中継子局B11、B12、B13を覆域に納める広指向性アンテナが備えられている。中継子局B11の送信アンテナには受信子局C11およびC12を覆域に納める広指向性アンテナ、受信アンテナには親局A11を覆域に納める狭指向性アンテナが備えられている。中継子局B12の送信アンテナには受信子局C11を覆域に納める狭指向性アンテナ、受信アンテナには親局A11を覆域に納める狭指向性アンテナが備えられている。中継子局B13の送信アンテナには受信子局C12を覆域に納める狭指向性アンテナ、受信アンテナには親局A11を覆域に納める狭指向性アンテナが備えられている。受信子局C12の受信アンテナには中継子局B11、B13を覆域に納める広指向性アンテナが備えられている。受信子局C11の受信アンテナには中継子局B11、B12を覆域に納める広指向性アンテナが備えられている。
【0090】
なお、アンテナの選定は各局の設置位置、中継角度、通信エリア、伝搬距離により最適な指向性と利得のアンテナを選定するものである。上記の構成ではA11、C11、C12は障害物検出制御装置D10に接続し、B11、B12、B13は障害物検出制御装置D10に接続を行うことなく7本の無線網の遮断によって障害物検出を行うことが可能となる。
【0091】
・踏切障害物検出システムの変形
図10は、図9の踏切障害物検出システムに受信子局C13を追加したものである。 子局に比べると回路規模の大きい親局A11は車両走行による飛石や部外者による悪戯を避けるため高所に設置している。中継子局と受信子局間の設置高は人や車両が無線網を遮断する高さに設置せれている。 この設置方法によれば、図の構成から受信子局C13を1台追加する事により図9と同じ7本の無線網の遮断による障害物検出を行うことが可能となり、更に親局A11の飛石による故障や部外者による悪戯を避ける事が可能となる。
【0092】
・第2の踏切障害物検出システム
図11は、本発明の第2の実施形態(図2)を応用した踏切障害物検出システムの構成を示す配置図である。図11では、中継子局B21,B23に図2Aで説明した中継子局を用いる。図11に示す機器設置状況は、中継子局B21と受信子局C21との間の伝搬距離E1は短く、中継子局B21と受信子局C22間の伝搬距離E2は長くなり、B23とC22との間の伝搬距離E3は短くB23とC21との間の伝搬距離E4は長くなる状況である。
【0093】
このような機器設置状況の場合、例えばB21の送信アンテナにC21およびC22を覆域に納めるアンテナ利得の低い広指向性アンテナを設置すると、特に伝搬路が長いE2の自由空間伝搬損失が大きいためC22での受信レベルが低くなり通信が不能となる事が考えられる。
【0094】
ここで、各中継子局B2i(i=1〜3)に本発明の第2の実施形態(図2)で説明した中継子局の回路構成と中継方式を用いて、各中継子局B2iに受信子局C21を覆域に納めるアンテナ利得の高い狭指向性アンテナと受信子局C22を覆域に納めるアンテナ利得の高い狭指向性アンテナを設置する事により、確実な受信が可能となる。
【0095】
上記の構成ではA21、C21、C22は障害物検出制御装置D10に接続し、B21、B22、B23は障害物検出制御装置D10に接続を行うことなく9本の無線網の遮断によって障害物検出を行うことが可能となる。
【0096】
・第3の踏切障害物検出システム
図12は、本発明の第3の実施形態(図3)を応用した踏切障害物検出システムの構成を示す配置図である。親局A31の送信アンテナおよび受信アンテナには、中継子局B31,B32,B33,B34を覆域に納める広指向性アンテナが使用されている。中継局B31,B32,B33,B34には広い指向性の送信アンテナと受信アンテナが設置されており、各アンテナはA31、C31またはC32を覆域に納めている。受信子局C31の送信アンテナと受信アンテナには、中継子局B31,B32,B33を覆域に納める広指向性アンテナが使用されている。受信子局C32の送信アンテナと受信アンテナには、中継子局B32,B33,B34を覆域に納める広指向性アンテナが使用されている。
【0097】
なお、アンテナの選定は各局の設置位置、中継角度、通信エリア、伝搬距離により最適な指向性と利得のアンテナを選定することが望ましい。
上記の構成では親局A31を障害物検出制御装置D30に接続し、他の装置は障害物検出制御装置D30に接続を行うことなく、8本の無線網の遮断によって障害物検出を行うことが可能となる。
【0098】
また、この踏切障害物検出システムに本発明の第5の実施形態(図5)を用いることにより、図12の障害物検出範囲に重なる新たな障害物検出範囲を障害物検出制御装置D30に新たに信号線を接続することなく設定することが可能となる。
【0099】
また、図12の踏切障害物検出システムに図5に関連して説明したレーダ機能を備えた親局装置を用いることにより、一層正確な障害物検出が可能となる。
さらに、レーダ機能を備えた親局装置を用いることことに加え、図7に示したレーダ送信手順を採用することにより、図12の障害物検出範囲に重なる親局が自立的に動作する新たな障害物検出範囲を仮設する場合、障害物検出制御装置D30に新たに信号線を接続することなく設置可能となる。
【0100】
・その他の実施例
図13は、本発明の第3の実施形態(図3)を用いて駅線路内の障害物を検出するシステムの構成を示す配置図である。親局A31の送信アンテナおよび受信アンテナには、中継子局B31を覆域に納める狭指向性アンテナが用いられる。中継局B31には狭指向性の送信アンテナと受信アンテナが設置されており、各アンテナは親局A31または受信子局C31を覆域に納めている。受信子局C31の送信アンテナと受信アンテナには、中継子局B31を覆域に納める狭指向性アンテナが用いられる。
【0101】
以上の構成ではA31を障害物検出制御装置に接続し、他の装置は障害物検出制御装置に接続を行うことなく2本の無線網の遮断によって駅ホームの形状に沿った障害物検出を行うことが可能となる。
【0102】
・セキュリティシステム
図14は、本発明の第1の実施形態を用いたセキュリティシステムの実施例の構成を示す配置図である。図14のセキュリティシステムは、人の身長のほぼ中央の位置に配置された親局A11、親局A11とほぼ対向する垂直線上に配置された中継子局B11、B12およびB13、ならびに親局A11と同じ側に中継子局とほぼ対向するように配置された受信子局C11およびC12からなる。親局A11には障害物検出制御装置D10が接続されている。壁Eは例えば、搬送波にミリ波帯を使用する場合、ミリ波帯の透過係数の小さいベニヤ板等の建材を使用する事により、不審者にセキュリティシステムの存在を全く覚られることなく運用できる。
【0103】
また、無線網の遮断位置を分析する事によって、大人と子供等の判別も可能となる。
以上は、本発明の説明のために実施例を掲げたに過ぎない。したがって、本発明の技術思想または原理に沿って上述の実施例に種々の変更、修正または追加を行うことは、当業者には容易である。
【0104】
例えば、上述の実施例では親局と障害物検出制御装置を別の装置としたが、これらは1つの装置として実現することも可能である。
図2Aの中継子局B2iは、無線送信部14を2系統備えている。しかし、無線送信部14と送信アンテナ15を3系統以上備え、それぞれの送信アンテナを通信相手である受信子局C2j(特に、i=jの場合)に向けるように構成してもよい。
【0105】
図3Aにおいては、親局と受信子局との間に1つの中継子局を用いたが、親局と受信子局との間に複数の中継子局を介在させてもよい。
図5Aにおいて、B31の位置に中継子局を配置したが、B31の位置にさらなる支親局を配置し、左の方へも複数の検出領域を設置してもよい。
【0106】
(付記1)通信開始機能を備えた親局、受信した電波を中継送信する少なくとも1つの第1の子局、少なくとも電波受信機能は有する少なくとも1つの第2の子局を備えた障害物検出システムであり、
前記親局は、
中継に使用する第1の子局の1つを指定する第1の局識別情報と送信先である第2の子局を指定する第2の局識別情報とを含むパケットを生成する手段と、
搬送波を発生する手段と、
前記の中継に使用する第1の子局に向けて前記パケットを前記搬送波により送信する送信手段と、
前記の中継に使用する第1の子局が少なくとも前記パケットを中継送信する期間は、前記搬送波の送信を継続する手段とを備え、
前記の少なくとも1つの第1の子局の各々が、
到来する電波を受信して受信データを得る手段と、
前記受信データに含まれる前記第1の局識別情報が自局宛である場合に限り、前記中継を許可する許可手段と、
前記許可手段の制御下にあり、前記前記親局から受信した信号を中継送信する中継手段と、
前記中継送信に続いて、前記パケットに付加する情報を前記中継手段を用いて送信する送信手段とを備え、さらに
前記第2の子局の1つと前記親局との通信が正常に行われたと判断できる場合、当該子局と前記親局との経路には障害物がないと判断する判断手段を備えた
ことを特徴とする中継方式障害物検出システム。
【0107】
(付記2)前記親局は、前記の中継に使用する第1の子局が少なくとも前記パケットを中継送信する期間は、前記搬送波の送信を継続する手段を備え、かつ
前記送信手段は、前記親局から受信した前記搬送波を用いて送信する
ことを特徴とする付記1記載の中継方式障害物検出システム。
【0108】
(付記3)前記第1の子局が、前記中継手段を含む前記送信手段を複数備え、かつ
前記許可手段が、前記パケットに含まれる前記第2の局識別情報に関係付けられた送信手段を許可する手段を含む
ことを特徴とする付記1記載の中継方式障害物検出システム。
【0109】
(付記4)前記のパケットを生成する手段が、中継に使用すべき送信手段または当該送信手段に含まれる前記中継手段の何れかの識別情報を前記パケットに含める手段を含み、かつ
前記許可手段が、前記パケットに含まれる前記識別情報に関係付けられた送信手段を許可する手段を含む
ことを特徴とする付記1記載の中継方式障害物検出システム。
【0110】
(付記5)前記第2の各子局は、前記パケットを受信すると、該パケットに含まれる前記第2の局識別情報が自分宛である場合、前記親局の局識別情報と自局の識別情報を含む付加情報とを含む応答パケットを前記パケットの送り主に向けて送り返す手段を備え、
前記の少なくとも1つの第1の子局の各々が、
前記パケットに付加する情報を前記中継手段を用いて送信した後、前記親局への中継を許可する第2の許可手段と、
前記第2の許可手段の制御下にあり、前記第2の各子局から受信した信号を前記親局に向けて中継送信する第2の中継手段と、
前記受信データに前記親局の局識別情報が含まれる場合に限り、前記応答パケットに付加する情報を前記第2の中継手段を用いて送信する第2の送信手段とを備え、かつ
前記判断手段が、前記応答パケットに含まれる情報に基づいて判断する
ことを特徴とする付記1記載の中継方式障害物検出システム。
【0111】
(付記6)前記親局が、
障害物までの距離を測定できるレーダ手段と、
前記の少なくとも1つの第2の子局の各々に対する前記親局からの距離を予め測定し前記第2の子局の各々に関係付けて記録した記憶手段とを含み、かつ
前記判断手段が、前記記憶手段に記憶され、前記第2の子局の1つに関係付けられた距離と前記レーダ手段による測定値との比較に基づいて判断を行う
ことを特徴とする付記1乃至5の何れか一項に記載の中継方式障害物検出システム。
【0112】
(付記7)障害物の検出を行うべき範囲を複数の領域に分割し、前記の各領域に前記親局、前記の少なくとも1つの第1の子局および前記の少なくとも1つの第2の子局を配置した中継方式障害物検出システムであり、
前記複数の領域に配置された前記親局は、1つの第1の親局とその他の第2の親局からなり、前記第1の親局から始まる前記第2の親局の通信順序が予め設定されており、
第1の親局は、
下流の第2の親局に要求または指示を周期的に送信する手段と、
前記要求または指示に応じて前記の下流の第2の親局から送られる検査結果を受信し記憶する手段とを備え、
前記第2の各親局は、
上流の第1または第2の親局からの前記要求または指示を受信した場合、これに応じて、自分の領域の障害物検出結果を、下流の第2の親局から受信した検査結果がある場合は当該検査結果と共に、前記の上流の第1または第2の親局に送る手段と、
下流の第2の親局に要求または指示を周期的に送信する手段と、
前記要求または指示に応じて前記の下流の第2の親局から送られる検査結果を受信し記憶する手段とを備え、
前記判断手段が、前記第1の親局の検査結果と収集した検査結果を使用して判断する
ことを特徴とする付記5または6記載の中継方式障害物検出システム。
【0113】
(付記8)動作でレーダ波の送信の直前にレーダ送信フラグを生成して送信する手段、
他局からのレーダ送信フラグを受信して他局レーダ測距機能の精度を劣化させることのないように自局からの干渉を回避する手段、
他局が自局のレーダ送信フラグを受信可能となる時間の算出する手段、
前記の算出した時間に基づいてレーダ機能と通信機能の動作タイミングを制御する手段をさらに備えた
ことを特徴とする付記6記載の中継方式障害物検出システム。
【0114】
(付記9)通信開始機能を備えた親局、受信した電波を中継送信する少なくとも1つの第1の子局、少なくとも電波受信機能を有する少なくとも1つの第2の子局を備えた障害物検出システムにおいて障害物を検出する方法であり、
前記親局が、
中継に使用する第1の子局の1つを指定する第1の局識別情報と送信先である第2の子局を指定する第2の局識別情報とを含むパケットを生成し、
搬送波を発生し、
前記の中継に使用する第1の子局に向けて前記パケットを前記搬送波により送信し、
前記の中継に使用する第1の子局が少なくとも前記パケットを中継送信する期間は、前記搬送波の送信を継続し、
前記の少なくとも1つの第1の子局の各々が、
到来する電波を受信して受信データを獲得し、
前記受信データに含まれる前記第1の局識別情報が自局宛である場合に限り、前記中継を許可し、
前記許可に基づいて、前記前記親局から受信した信号を中継送信し、
前記中継送信に続いて、前記パケットに付加する情報を前記中継手段を用いて送信し、
前記第2の子局の1つと前記親局との通信が正常に行われたと判断できる場合、当該子局と前記親局との経路には障害物がないと判断する
ことを特徴とする中継方式障害物検出方法。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1A】本発明の実施形態1による障害物検出システムの基本構成を示すブロック図である。
【図1B】実施形態1によるパケットの構造および流れを示す図である。
【図1C】図1Aの親局A11の動作を示すフローチャートである。
【図1D】図1Aの中継子局B1iの動作を示すフローチャートである。
【図1E】図1Aの受信子局C1iの動作を示すフローチャートである。
【図2A】本発明の実施形態2による障害物検出システムの基本構成を示すブロック図である。
【図2B】実施形態2によるパケットの構造および流れを示す図である。
【図2C】図2Aの親局A21の動作を示すフローチャートである。
【図2D】図2Aの中継子局B2iの動作を示すフローチャートである。
【図3A】本発明の実施形態3による障害物検出システムの基本構成を示すブロック図である。
【図3B】図3Aの切替回路18の拡大図である。
【図3C】各中継子局B3iの可能な動作モードに対応する増幅器AMP1、AMP2の動作状態および切替回路18の接続状態を示す状態テーブルである。
【図3D】実施形態3によるパケットの構造および流れを示す図である。
【図3E】図3Aの親局A31の動作を示すフローチャートである。
【図3F】図3Aの中継子局B3iの動作を示すフローチャートである。
【図3G】図3Aの受信子局C3iの動作を示すフローチャートである。
【図4A】反射波が発生する状況下での中継方式障害物検出を示す図である。
【図4B】図4Aの親局A31rの構成を示すブロック図である。
【図4C】図4Aの障害物検出システムで使用されるパケットの構造および流れを示す図である。
【図5A】本発明の実施形態5による障害物検出システムの構成機器の配置を示すシステム構成図である。
【図5B】図5Aの障害物検出システムで使用する子局機能を備えた親局の構成を示すブロック図である。
【図5C】実施形態4によるパケットの構造および流れを示す図である。
【図5D】図5Aの中央親局A31aの動作を示すフローチャートである。
【図5E】図5Aの支親局A41の動作を示すフローチャートである。
【図5F】図5Aの支親局A42の動作を示すフローチャートである。
【図5G】実施形態4による別の障害物検出システムの構成機器の配置を示すシステム構成図である。
【図6】子局機能をとレーダ機能を持つ親局A51の構成を示すブロック図である。
【図7】図6の親局装置A51のレーダ送信手順を示す図
【図8A】子局機能をとレーダ機能を持つ第2の親局A51aの構成を示すブロック図である。
【図8B】図8Aの効果を示す周波数対電力の関係を示すグラフである。
【図9】踏切障害物検出システムの実施例1の構成を示す配置図である。
【図10】踏切障害物検出システムの装置設置例1を概念的に示す斜視図である。
【図11】踏切障害物検出システムの実施例2の構成を示す配置図である。
【図12】踏切障害物検出システムの実施例3の構成を示す配置図である。
【図13】駅線路内の障害物検出システムの実施例の構成を示す配置図である。
【図14】本発明によるセキュリティシステムの実施例の構成を示す配置図である。
【図15】光線を使用した従来の踏切障害物検出システムの構成を示す配置図である。
【図16】マイクロ波帯無線機を使用した従来の踏切障害物検出システムの構成を示す配置図である。
【符号の説明】
【0116】
A11、A21、A31、A31a 親局
B1i、B2i、B3i 中継子局
C1i、C2i、C3i 受信子局
D10、D20、D30 障害物検出制御装置
1、1a、4、4a、4b、4c、4d、13、13a、13b 制御部
2、12 無線受信部
3、11 受信アンテナ
6、15 送信アンテナ
5、14 無線送信部
16 変調部
17 増幅器(AMP)
18、20 切替回路
19 搬送波発振器
21 メモリ
24 ミキサ
30 レーダ部
32 帯域通過フィルタ(BPF)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信開始機能を備えた親局、受信した電波を中継送信する少なくとも1つの第1の子局、少なくとも電波受信機能は有する少なくとも1つの第2の子局を備えた障害物検出システムであり、
前記親局は、
中継に使用する第1の子局の1つを指定する第1の局識別情報と送信先である第2の子局を指定する第2の局識別情報とを含むパケットを生成する手段と、
搬送波を発生する手段と、
前記の中継に使用する第1の子局に向けて前記パケットを前記搬送波により送信する送信手段と、
前記の中継に使用する第1の子局が少なくとも前記パケットを中継送信する期間は、前記搬送波の送信を継続する手段とを備え、
前記の少なくとも1つの第1の子局の各々が、
到来する電波を受信して受信データを得る手段と、
前記受信データに含まれる前記第1の局識別情報が自局宛である場合に限り、前記中継を許可する許可手段と、
前記許可手段の制御下にあり、前記前記親局から受信した信号を中継送信する中継手段と、
前記中継送信に続いて、前記パケットに付加する情報を前記中継手段を用いて送信する送信手段とを備え、さらに
前記第2の子局の1つと前記親局との通信が正常に行われたと判断できる場合、当該子局と前記親局との経路には障害物がないと判断する判断手段を備えた
ことを特徴とする中継方式障害物検出システム。
【請求項2】
前記親局は、前記の中継に使用する第1の子局が少なくとも前記パケットを中継送信する期間は、前記搬送波の送信を継続する手段を備え、かつ
前記送信手段は、前記親局から受信した前記搬送波を用いて送信する
ことを特徴とする請求項1記載の中継方式障害物検出システム。
【請求項3】
前記第1の子局が、前記中継手段を含む前記送信手段を複数備え、かつ
前記許可手段が、前記パケットに含まれる前記第2の局識別情報に関係付けられた送信手段を許可する手段を含む
ことを特徴とする請求項1記載の中継方式障害物検出システム。
【請求項4】
前記第2の各子局は、前記パケットを受信すると、該パケットに含まれる前記第2の局識別情報が自分宛である場合、前記親局の局識別情報と自局の識別情報を含む付加情報とを含む応答パケットを前記パケットの送り主に向けて送り返す手段を備え、
前記の少なくとも1つの第1の子局の各々が、
前記パケットに付加する情報を前記中継手段を用いて送信した後、前記親局への中継を許可する第2の許可手段と、
前記第2の許可手段の制御下にあり、前記第2の各子局から受信した信号を前記親局に向けて中継送信する第2の中継手段と、
前記受信データに前記親局の局識別情報が含まれる場合に限り、前記応答パケットに付加する情報を前記第2の中継手段を用いて送信する第2の送信手段とを備え、かつ
前記判断手段が、前記応答パケットに含まれる情報に基づいて判断する
ことを特徴とする請求項1記載の中継方式障害物検出システム。
【請求項5】
前記親局が、
障害物までの距離を測定できるレーダ手段と、
前記の少なくとも1つの第2の子局の各々に対する前記親局からの距離を予め測定し前記第2の子局の各々に関係付けて記録した記憶手段とを含み、かつ
前記判断手段が、前記記憶手段に記憶され、前記第2の子局の1つに関係付けられた距離と前記レーダ手段による測定値との比較に基づいて判断を行う
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の中継方式障害物検出システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図11】
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【図4A】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−10311(P2006−10311A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−160238(P2004−160238)
【出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】