位置検出装置、描画装置、および、位置検出方法
【課題】基板の面内領域から取得できる情報を用いて、基板の位置を迅速かつ確実に検出できる技術を提供する。
【解決手段】位置検出装置は、基板9を載置するステージ11と、ステージ11に載置された基板9の面内領域を撮像する撮像部と、撮像部が取得した撮像データに基づいて基板9の位置を特定する位置特定部と、を備える。位置特定部は、撮像データを解析して、基板の表面に形成されたスクライブラインのうち最外周に配置されている最外周スクライブライン910を検出し、最外周スクライブライン910の検出位置に基づいて、レイアウト領域93の中央に配置されている中央チップ領域920の位置を特定する。そして、中央チップ領域920の位置に基づいて、基板中心90の位置を特定する。
【解決手段】位置検出装置は、基板9を載置するステージ11と、ステージ11に載置された基板9の面内領域を撮像する撮像部と、撮像部が取得した撮像データに基づいて基板9の位置を特定する位置特定部と、を備える。位置特定部は、撮像データを解析して、基板の表面に形成されたスクライブラインのうち最外周に配置されている最外周スクライブライン910を検出し、最外周スクライブライン910の検出位置に基づいて、レイアウト領域93の中央に配置されている中央チップ領域920の位置を特定する。そして、中央チップ領域920の位置に基づいて、基板中心90の位置を特定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、プリント基板、カラーフィルタ用基板、液晶表示装置やプラズマ表示装置に具備されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、太陽電池用パネルなどの各種基板(以下、単に「基板」と称する)の位置を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に対して様々な処理を施す基板処理装置において適切な処理を行うためには、処理を行う処理部に対して処理対象となる基板が定められた相対位置関係におかれていることが重要である。このため、多くの基板処理装置においては、実際の処理に先立って、基板のアライメント(基板が処理部に対して適切な位置におかれるように位置合わせする処理)が行われる。
【0003】
アライメントを適切に行うためには、基板の初期位置を正確に検出することが重要である。この点に関して、例えば特許文献1には、基板のエッジに光を照射して、その光量変化からエッジ上の各位置を検出し、その検出位置に基づいて基板の位置を特定する技術が開示されている。さらに、特許文献1には、基板のエッジに形成されたオリエンテーションフラット、あるいは、ノッチ等を検出し、その検出位置に基づいて基板の回転位置を特定する構成も開示されている。また、特許文献2には、基板の面内領域に形成されたスクライブラインを検出して、その検出位置に基づいて基板の回転位置を調整する構成が開示されている。また、特許文献3には、スクライブラインの延在方向に基づいて基板の回転位置を調整した上でノッチの検出を行うことによって、ノッチの誤検出を回避する技術が開示されている。一方、特許文献4には、スクライブラインの交点を検出して、その検出位置に基づいて基板の位置を調整する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−242250号公報
【特許文献2】特開平6−69319号公報
【特許文献3】特開2010−177691号公報
【特許文献4】特開平4−23341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したとおり、基板の位置を検出するための技術は各種提案されている。ところが、例えば特許文献1のように、基板のエッジ位置を検出して基板の位置を特定する態様では、先行して行われたプロセスによって基板のエッジに荒れや欠けが生じている場合、あるいは、貼り合わせの基板(支持用基板に半導体層を張り合わせた基板)等においてエッジが階段状になっている場合等に、基板の位置を正確に検出できない可能性が高い。
【0006】
基板のエッジから信頼できる情報を取得できない場合、基板の面内領域から取得できる情報だけを用いて基板の位置を特定するしかない。
【0007】
ところが、基板の面内領域から取得できる情報だけから基板の位置を特定する態様では、迅速かつ正確に基板の位置を特定することが難しかった。例えば、特許文献4のように、基板の面内領域に形成されたスクライブラインの交点を検出して基板の位置を特定する場合、基板の置き誤差がスクライブラインの交点のピッチよりも大きくなると、基板の面内領域にある無数の交点のうちのどの交点が検出されているのかが一意に特定されないために、基板の位置を誤って特定してしまう可能性が高くなる。つまり、面内領域に周期的に存在するマークの一つを検出して基板の位置を特定しようとした場合、基板の置き誤差がマークの存在周期より大きくなってしまうと、基板の位置を正確に特定できない可能性が高くなってしまう。
【0008】
例えば、基板の面内領域に1個しか存在しないマークを検出して基板の位置を特定することにすれば、上記のような事態を回避できる。ところがこの場合、基板の置き誤差が大きくなると当該唯一のマークをカメラの視野内に捉え損なう可能性が高く、当該唯一のマークの検出に時間がかかってしまう。ひいては、基板の位置を特定するまでに長い時間を要してしまう。
【0009】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、基板の面内領域から取得できる情報を用いて、基板の位置を迅速かつ確実に検出できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様は、基板の位置を検出する位置検出装置であって、前記基板を載置するステージと、前記ステージに載置された前記基板の面内領域を撮像する撮像部と、前記撮像部が取得した撮像データに基づいて前記基板の位置を特定する位置特定部と、を備え、前記基板の面内領域が格子状のスクライブラインで区分されることにより、前記面内領域に複数のチップ領域が形成されており、前記位置特定部が、前記撮像データを解析して、前記スクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインを検出する最外周スクライブライン検出部と、前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて、前記複数のチップ領域が配置されたレイアウト領域の中央に配置されている中央チップ領域の位置を特定する中央チップ領域特定部と、前記中央チップ領域の位置に基づいて、前記基板の中心位置を特定する中心位置特定部と、を備える。
【0011】
第2の態様は、第1の態様に係る位置検出装置であって、前記中央チップ領域特定部が、前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて前記レイアウト領域の中心位置を特定し、前記レイアウト領域の中心位置に基づいて、前記中央チップ領域の位置を特定する。
【0012】
第3の態様は、第2の態様に係る位置検出装置であって、前記最外周スクライブライン検出部が、第1軸と平行に延在する一群の第1スクライブラインのうち、両端に配置されている一対の第1スクライブラインの各位置を検出するとともに、前記第1軸と直交する第2軸と平行に延在する一群の第2スクライブラインのうち、両端に配置されている一対の第2スクライブラインの各位置を検出し、前記中央チップ領域特定部が、前記両端に配置されている一対の第1スクライブラインの中心線と前記両端に配置されている一対の第2スクライブラインの中点線との交点位置を前記レイアウト領域の中心位置として取得する。
【0013】
第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様に係る位置検出装置であって、前記ステージと前記撮像部とを相対的に移動させる駆動部、を備え、前記最外周スクライブライン検出部が、前記撮像部を前記ステージ上に載置された前記基板の径方向に沿って前記基板のエッジ付近から前記基板の中心付近に向けて相対的に移動させつつ、前記撮像部に前記撮像データを次々と取得させ、当該次々と取得される各撮像データをその取得順に解析して、はじめに検出された前記スクライブラインを、前記最外周に配置されているスクライブラインとして検出する。
【0014】
第5の態様は、第1から第4のいずれかの態様に係る位置検出装置であって、前記位置特定部が、前記撮像データを解析して、前記スクライブラインの延在方向を検出する延在方向検出部と、前記スクライブラインの延在方向に基づいて、前記基板の回転姿勢を特定する回転位置特定部と、を備える。
【0015】
第6の態様は、描画装置であって、基板の位置を検出する位置検出装置と、前記基板を載置する描画ステージと、前記描画ステージに載置された前記基板に向けて光を照射して、前記基板にパターンを描画する光照射部と、前記位置検出装置が特定した前記基板の位置に基づいて、前記描画ステージにおける前記基板の載置位置を調整する位置調整部と、を備え、前記位置検出装置が、前記基板を載置するステージと、前記ステージに載置された前記基板の面内領域を撮像する撮像部と、前記撮像部が取得した撮像データに基づいて前記基板の位置を特定する位置特定部と、を備え、前記基板の面内領域が格子状のスクライブラインで区分されることにより、前記面内領域に複数のチップ領域が形成されており、前記位置特定部が、前記撮像データを解析して、前記スクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインを検出する最外周スクライブライン検出部と、前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて、前記複数のチップ領域が配置されたレイアウト領域の中央に配置されている中央チップ領域の位置を特定する中央チップ領域特定部と、前記中央チップ領域の位置に基づいて、前記基板の中心位置を特定する中心位置特定部と、を備える。
【0016】
第7の態様は、基板の位置を検出する位置検出方法であって、a)ステージに載置された前記基板の面内領域を撮像する工程と、b)前記a)工程で取得された撮像データに基づいて前記基板の位置を特定する工程と、を備え、前記基板の面内領域が格子状のスクライブラインで区分されることにより、前記面内領域に複数のチップ領域が形成されており、前記b)工程が、b1)前記撮像データを解析して、前記スクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインを検出する工程と、b2)前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて、前記複数のチップ領域が配置されたレイアウト領域の中央に配置されている中央チップ領域の位置を特定する工程と、b3)前記中央チップ領域の位置に基づいて、前記基板の中心位置を特定する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
第1、第7の態様によると、基板上に形成されたスクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインの位置を検出し、これに基づいて基板の中心位置を特定する。この構成によると、基板のエッジ情報を用いずに基板の面内情報だけで、基板の位置を迅速かつ確実に特定できる。
【0018】
第2の態様によると、最外周に配置されているスクライブラインの位置に基づいて、レイアウト領域の中心位置を特定し、当該レイアウト領域の中心位置に基づいて中央チップ領域の位置を特定する。この構成によると、中央チップ領域の位置を簡易かつ正確に特定することができる。
【0019】
第3の態様によると、平行に延びる一群のスクライブラインのうち、両端に配置されている一対のスクライブラインの中心線を特定し、第1軸に沿う中心線と第2軸に沿う中心線との交点位置をレイアウト領域の中心位置として取得する。この構成によると、レイアウト領域の中心の位置を効率的に特定することができる。
【0020】
第4の態様によると、撮像部をステージ上に載置された基板の径方向に沿って基板のエッジ付近から基板の中心付近に向けて相対的に移動させつつ、撮像部に撮像データを次々と取得させ、当該次々と取得される各撮像データをその取得順に解析して、はじめに検出されたスクライブラインを、最外周に配置されているスクライブラインとして検出する。この構成によると、最外周に配置されているスクライブラインを正確かつ速やかに特定することができる。
【0021】
第5の態様によると、スクライブラインの延在方向に基づいて基板の回転姿勢を特定するので、基板のエッジ情報を用いずに基板の面内情報だけで、基板の回転位置を検出できる。
【0022】
第6の態様によると、基板のエッジ情報を用いずに基板の面内情報だけで、基板の位置を迅速かつ確実に特定し、当該特定された基板の位置に基づいて、描画ステージにおける基板の載置位置が調整される。したがって、スループットの低下を抑制しつつ、基板に対して適切な描画処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】基板を模式的に示す平面図である。
【図2】位置検出装置の概略構成を模式的に示す図である。
【図3】制御部のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図4】位置検出装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】位置検出処理の全体の流れを示す図である。
【図6】回転位置の仮補正が行われる様子を模式的に示す説明図である。
【図7】回転位置の正補正が行われる様子を模式的に示す説明図である。
【図8】基板の中心の位置を特定する処理の流れを示す図である。
【図9】基板の中心の位置を特定する処理を説明するための図である。
【図10】基板の中心の位置を特定する処理を説明するための図である。
【図11】最外周スクライブラインの検出処理の流れを示す図である。
【図12】中央チップ領域の位置を特定する処理の流れを示す図である。
【図13】中央チップ領域の位置を特定する処理を説明するための図である。
【図14】中央チップ領域の位置を特定する処理を説明するための図である。
【図15】描画装置の概略構成を示す模式的に示す図である。
【図16】描画装置において行われる一連の処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0025】
<1.基板9>
位置検出装置1について説明する前に、位置検出装置1において対象とされる基板9について、図1を参照しながら説明する。図1は、基板9を模式的に示す平面図である。
【0026】
位置検出装置1において対象とされる基板9の面内領域には、前後方向とこれに直交する左右方向とが予め規定されている。そして、前後方向に平行な複数のスクライブライン91と、左右方向に平行な複数のスクライブライン91とが交差しあって格子状のストリートが形成されている。このスクライブライン91によって囲まれた各矩形領域が、1個のチップに相当するチップ領域92を形成する。つまり、基板9の面内領域には、格子点上にそれぞれ配置された複数のチップ領域92が形成されている。基板9の面内領域において、複数のチップ領域92が配置されている領域を、以下「レイアウト領域93」という。また、レイアウト領域93の外縁を形成するスクライブライン91(すなわち、格子状に配列されたスクライブライン91のうち最外周に配置されているスクライブライン91)を、以下「最外周スクライブライン910」ともいう。
【0027】
レイアウト領域93に配置された複数のチップ領域92のうち、レイアウト領域93の中央に配置されたチップ領域92(具体的には、レイアウト領域93の中心(幾何学中心)(以下「レイアウト中心930」という)から最も近いチップ領域92)を、「中央チップ領域920」という。ただし、レイアウト中心930から最も近いチップ領域92が複数個存在する場合は、当該複数のチップ領域92のうち、定められた条件を満たす1個のチップ領域92が中央チップ領域920に選定される。中央チップ領域920を選定するための条件は任意に規定することができる。この実施の形態においては、チップ領域92の左後の角がレイアウト中心930と一致するようなチップ領域92を、中央チップ領域920と選定することにする。
【0028】
ここで、中央チップ領域920と基板9の中心(以下「基板中心90」という)との位置関係は、設計段階において予め規定されており、既知の値として取得可能である。ただし、ここで「基板中心90」とは、基板9のエッジに荒れ等がない理想的な状態における、基板9の主面の幾何学中心を指す。
【0029】
なお、複数のチップ領域92は、一般に、基板9の面内領域から最も多くの個数のチップを取得できるようなレイアウトで配列されるため、多くの場合、図1に示されるように、レイアウト中心930は基板中心90と一致する。ただし、レイアウト中心930は基板中心90と必ずしも常に一致しているわけではなく、基板9の種類によっては、レイアウト中心930が基板中心90から微小にずれた位置におかれることもある。例えば、基板9の例えば後方向にオリエンテーションフラットやノッチ等の切り欠き部が形成されている場合、これを避けるため、レイアウト領域93が基板9の例えば前方向に微少量だけ偏った位置に配置されることがある。このような場合、レイアウト中心930は基板中心90よりも前方向に微小量だけずれた位置にくることになる。
【0030】
基板9の面内領域の定位置(この実施の形態においては、各チップ領域92内の定位置)には、ターゲットマーク94を定義しておく。すなわち、チップ領域92内には、素子、パッド、バンプや配線等のパターンや、それらを形成するためのフォトレジストパターンが多数形成されているが、それらの中で、前後左右方向について非対称でかつチップ内にて唯一に識別可能な、一つのパターンまたは複数のパターンの組み合わせのレイアウトをターゲットマーク94として選択する。このようなターゲットマーク94を定義しておけば、その形状を観察することによって基板9の方向を一意に特定することができる。
【0031】
<2.位置検出装置1>
位置検出装置1の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、位置検出装置1の概略構成を模式的に示す図である。
【0032】
位置検出装置1は、基板9の位置を検出する装置であり、基台101と、基板9が載置されるステージ11と、ステージ11上に載置された基板9の上面を撮像する撮像部12と、ステージ11と撮像部12とを相対的に移動させる駆動機構13と、これら各部を制御する制御部14とを主として備える。なお、撮像部12は、基板9を透過した赤外光によって基板9の下面(裏面)のパターンを撮像するものであってもよい。
【0033】
<ステージ11>
ステージ11は、平板状の外形を有し、その上面に基板9を水平姿勢に載置して保持する保持部である。ステージ11の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が形成されており、この吸引孔に負圧(吸引圧)を形成することによって、ステージ11上に載置された基板9をステージ11の上面に固定保持することができるようになっている。
【0034】
<撮像部12>
撮像部12は、ステージ11に載置された基板9の上面を撮像する機構である。撮像部12は、例えばLEDにより構成される光源と、鏡筒と、対物レンズと、エリアアイメージセンサ(二次元イメージセンサ)により構成されるCCDイメージセンサとから構成することができる。撮像部12は、制御部14からの指示に応じて、ステージ11に載置された基板9を撮像して、基板9の面内領域の一部を撮像した二次元の画像データ(多階調の画像データ)を取得する。なお、この実施の形態においては、撮像部12が1回で撮像する撮像領域は、基板9上の1個のチップ領域92のサイズよりも小さいとする。
【0035】
<駆動機構13>
駆動機構13は、制御部14により制御されて、ステージ11と撮像部12とをθ軸およびR軸のそれぞれに沿って相対的に移動させる機構であり、例えば、ステージ11をθ軸に沿って回動させるθ駆動機構131と、撮像部12をR軸に沿って移動させるR駆動機構132とを備える。ただし、位置検出装置1には、基台101に対してXY座標系(基台101の上面内に規定される直交2軸の各方向(X方向およびY方向)により規定される座標系)が規定されているとともに、ステージ11の載置面内にXsYs座標系(ステージ11の載置面内に規定される直交2軸の各方向(Xs方向およびYs方向)により規定される座乗系)が規定されている。これらXY座標系、XsYs座標系の各原点は、ステージ11の載置面の中心110と一致しているとする。いま、撮像部12が駆動されるR軸は、ステージ11の中心110を通る軸であり、この実施の形態においては、R軸はX軸と一致しているとする。また、θ軸は、回転軸A(ステージ11の中心110を通るとともにステージ11の載置面に垂直な回転軸A)を中心とした回転方向である。
【0036】
<制御部14>
制御部14は、位置検出装置1が備える各部と電気的に接続されており、各種の演算処理を実行しつつ位置検出装置1の各部の動作を制御する。
【0037】
図3は、制御部14のハードウエア構成を示すブロック図である。制御部14は、例えば、CPU141、ROM142、RAM143、記憶装置144等がバスライン145を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成されている。ROM142は基本プログラム等を格納しており、RAM143はCPU141が所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶装置144は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。記憶装置144にはプログラムPが格納されており、このプログラムPに記述された手順に従って、主制御部としてのCPU141が演算処理を行うことにより、各種機能が実現されるように構成されている。プログラムPは、通常、予め記憶装置144等のメモリに格納されて使用されるものであるが、CD−ROMあるいはDVD−ROM、外部のフラッシュメモリ等の記録媒体に記録された形態(プログラムプロダクト)で提供され(あるいは、ネットワークを介した外部サーバからのダウンロードなどにより提供され)、追加的または交換的に記憶装置144等のメモリに格納されるものであってもよい。なお、制御部14において実現される一部あるいは全部の機能は、専用の論理回路等でハードウエア的に実現されてもよい。
【0038】
また、制御部14では、入力部146、表示部147、通信部148もバスライン145に接続されている。入力部146は、各種スイッチ、タッチパネル等により構成されており、オペレータから各種の入力設定指示を受け付ける。表示部147は、液晶表示装置、ランプ等により構成されており、CPU141による制御の下、各種の情報を表示する。通信部148は、LAN等を介したデータ通信機能を有する。さらに、制御部14では、バスライン145にインターフェース149a,149bが接続されている。インターフェース149aは撮像部12と、インターフェース149bは駆動機構13と、それぞれ接続されており、これら各部12,13との情報の授受を行う。
【0039】
位置検出装置1には、位置検出の対象となる基板9について、その基板中心90と中央チップ領域920との位置関係を規定する情報が予め与えられており、記憶装置144に格納されている。また、記憶装置144には、スクライブライン91、ターゲットマーク94等の検出に用いられるテンプレート画像データも格納されている。
【0040】
<3.機能に関する構成>
位置検出装置1において実現される機能構成について図4を参照しながら説明する。図4は、位置検出装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0041】
位置検出装置1は、ステージ11に載置された基板9の位置を検出する位置特定部20を備える。位置特定部20は、制御部14において、例えばCPU141がプログラムPに従って所定の演算処理を行うことによって、あるいは、専用の論理回路等でハードウエア的に実現される。
【0042】
位置特定部20は、回転位置補正部21と中心位置検出部22とを備える。
【0043】
<回転位置補正部21>
回転位置補正部21は、基板9が正立状態となるように基板9の回転位置を補正する機能部であり、ライン方向検出部211と、ターゲットマーク検出部212と、回転角度特定部213と、駆動機構制御部214とを備える。ただし、「正立状態」とは、基板9の面内領域に規定される直交2軸の各方向(前後方向および左右方向)が、XY座標系に対して定められた回転位置関係におかれた状態であり、この実施の形態においては、例えば、基板9の前方向が−Y方向と一致するような状態を正立状態とする。
【0044】
ライン方向検出部211は、撮像部12が取得した撮像データを解析して、ステージ11上の基板9に形成されたスクライブライン91の延在方向を検出する。
【0045】
ターゲットマーク検出部212は、撮像部12が取得した撮像データを解析して、ステージ11上の基板9に形成されたターゲットマーク94を検出する。
【0046】
回転角度特定部213は、基板9の回転角度を特定する。回転角度特定部213は、具体的には、ライン方向検出部211が検出したスクライブライン91の延在方向に基づいて基板9の回転角度(後述する「仮の回転角度θ1」)を特定する。また、ターゲットマーク検出部212によるターゲットマーク94の検出結果に基づいて基板9の回転角度(後述する「正しい回転角度θ2」)を特定する。
【0047】
駆動機構制御部214は、回転角度特定部213が特定した基板9の回転角度に基づいて駆動機構13を制御して、基板9の回転位置を補正する。
【0048】
<中心位置検出部22>
中心位置検出部22は、基板中心90を検出する機能部であり、最外周ライン検出部221と、中央チップ領域特定部222と、中心位置特定部223とを備える。
【0049】
最外周ライン検出部221は、撮像部12が取得した撮像データを解析して、基板9上に形成されたスクライブライン91のうち最外周に配置されているスクライブライン91(最外周スクライブライン910)を検出する。最外周ライン検出部221は、具体的には、撮像部12をステージ11上に載置された基板9の径方向に沿って基板9のエッジ付近から基板9の中心付近に向けて相対的に移動させつつ、撮像部12に撮像データを次々と取得させ、当該次々と取得される各撮像データをその取得順に解析して、はじめに検出されたスクライブライン91を、最外周スクライブライン910として検出する。
【0050】
中央チップ領域特定部222は、最外周スクライブライン910の検出位置に基づいて、レイアウト領域93の中央に配置されている中央チップ領域920の位置を特定する。中央チップ領域特定部222は、具体的には、最外周スクライブライン910の検出位置に基づいてレイアウト中心930の位置を特定し、当該レイアウト中心930の位置に基づいて、中央チップ領域920の位置を特定する。
【0051】
中心位置特定部223は、中央チップ領域920の位置に基づいて、基板中心90の位置を特定する。ただし、上述したとおり、位置検出装置1には、中央チップ領域920と基板中心90との位置関係を規定する情報が予め与えられており、中心位置特定部223は、当該情報に基づいて基板中心90の位置を特定する。
【0052】
<4.処理の流れ>
<4−1.全体の流れ>
位置検出装置1が基板9の位置を検出する処理(位置検出処理)の全体の流れについて、図5を参照しながら説明する。図5は、位置検出処理の全体の流れを示す図である。
【0053】
ステージ11に基板9が載置されると、まず、回転位置補正部21が、基板9の回転位置を仮補正する(ステップS1)。
【0054】
ステップS1の処理について、図6を参照しながら説明する。図6は、回転位置の仮補正が行われる様子を模式的に示す説明図である。まず、ライン方向検出部211が、ステージ11上の基板9に形成されたスクライブライン91の延在方向を検出する。具体的には、ライン方向検出部211は、駆動機構13を制御して、撮像部12を、少なくとも1本のスクライブライン91が視野内に入るような所定位置に移動させた上で、撮像部12に基板9の面内領域内の所定領域M1を撮像させる。そして、取得された撮像データを解析して、撮像されているスクライブライン91のうちの任意の1本のスクライブライン91を検出し、その延在方向を特定する。なお、スクライブライン91の検出は、例えば、記憶装置144に予め格納されたテンプレート画像データとのパターンマッチングによって行われる。
【0055】
続いて、回転角度特定部213が、ライン方向検出部211が検出したスクライブライン91の延在方向に基づいて基板9の仮の回転角度θ1を特定する。具体的には、当該スクライブライン91が例えば+X方向となす角度を算出して、これを基板9の仮の回転角度θ1として取得する。ただし、この段階では、この仮の回転角度θ1は、基板9の前後方向に延在するスクライブライン91がX軸となす角度なのか、基板9の左右方向に延在するスクライブライン91がX軸となす角度なのかは特定できない。つまり、この段階では、基板9が正立状態からどれだけ回転ずれをおこしているのかを正確に特定することはできない。
【0056】
続いて、駆動機構制御部214が、駆動機構13を制御して、ステージ11を、基板9の仮の回転角度θ1だけ、−θ方向に回転させる。これによって、基板9の回転位置が仮補正される。具体的には、基板9に形成された各スクライブライン91がX軸あるいはY軸に平行な状態となる。ただし、この段階では、基板9の前後方向、左右方向にそれぞれ延在するスクライブライン91がX軸、Y軸のどちらと平行な状態なのかは決定できない。つまり、この段階では、基板9は、正立状態となっている可能性もあり、正立状態から、90度、180度、あるいは270度だけずれた回転位置にある可能性もある。
【0057】
再び図5を参照する。基板9の回転位置が仮補正されると、続いて、中心位置検出部22が、基板中心90の位置を検出する(ステップS2)。具体的には、中心位置検出部22が、中央チップ領域920の位置を特定し、当該特定された中央チップ領域920の位置に基づいて、基板中心90の位置をXsYs座標系内で(ひいては、XY座標系内で)特定する(図7の上段)。さらに、回転位置補正部21が、基板9の回転位置を正補正する(ステップS3)。具体的には、駆動機構制御部214が、駆動機構13を制御して、ステージ11を回転させて、基板9の前方向を−Y方向と一致させる(図7の下段)。すなわち、基板9を正立状態とする。ステップS2〜ステップS3の処理については後に具体的に説明する。
【0058】
以上で、位置検出処理が終了する。上述した一連の処理が行われることによって、ステージ11に載置された基板9が正立状態におかれるとともに、基板中心90の位置が装置のXY座標系において特定されることになる。
【0059】
<4−2.基板中心90の特定、および回転位置の正補正>
図5のステップS2〜ステップS3の一連の処理について、図8〜図10を参照しながら具体的に説明する。図8は、当該処理の流れを示す図である。図9、図10は、当該処理が行われる様子を模式的に示す説明図である。
【0060】
ステップS1の仮補正が行われた段階で、図6の下段、あるいは、図9の上段に示されるように、ステージ11に載置された基板9の前後方向および左右方向の各方向が、X軸あるいはY軸と平行な状態とされており、基板9に形成された各スクライブライン91の延在方向が、X軸、Y軸のそれぞれと平行な状態となっている。この状態において、ステージ11の座標系(XsYs座標系)のXs軸がX軸と平行な方向に規定され、Ys軸がY軸と平行な方向に規定されるとする。したがって、基板9に形成された各スクライブライン91の延在方向は、Xs軸、Ys軸のそれぞれと平行な状態となる。
【0061】
まず、最外周ライン検出部221が、ステージ11上に載置された基板9の−R側の端部にある最外周スクライブライン910を検出する。いま、−R方向は−Xs方向と一致している。したがって、ここでは、−Xs側の最外周スクライブライン910a(すなわち、Ys軸と平行に延在する一群のスクライブライン91のうち、最も−Xs側に配置されたスクライブライン91)が検出され、当該最外周スクライブライン910aのXs座標位置が特定される(図9の上段)(ステップS11)。
【0062】
ここで、最外周ライン検出部221が、ステージ11上に載置された基板9の−R側の端部にある最外周スクライブライン910を検出する処理について、図9に加えて図11を参照しながら具体的に説明する。図11は、当該処理の流れを示す図である。
【0063】
最外周ライン検出部221は、まず、撮像部12を定められた初期位置に移動させた上で(ステップS101)、撮像部12に基板9の面内領域内の所定領域M11を撮像させる(ステップS102)。ここで、初期位置は、具体的には、基板9が−R方向に最大に位置ずれした状態でステージ11に載置された場合に当該基板9のレイアウト領域93の外縁がくる位置の真上に規定される。このように初期位置を規定しておけば、当該初期位置に配置された撮像部12が撮像する領域M11は、必ず(すなわち、ステージ11上に基板9がどのように載置されていたとしても、必ず)、基板9のレイアウト領域93の外縁を含む領域、あるいは、レイアウト領域93の外側の領域となる。
【0064】
続いて、最外周ライン検出部221は、ステップS102で取得された撮像データを解析して、R軸と直交するスクライブライン91を検出する(ステップS103)。なお、スクライブライン91の検出は、上述したとおり、例えば、記憶装置144に予め格納されたテンプレート画像データとのパターンマッチングによって行われる。
【0065】
ステップS103で、R軸と直交するスクライブライン91が検出されなかった場合(ステップS103でNO)、先に撮像された領域M11がレイアウト領域93の外側であったということになる。この場合、最外周ライン検出部221は、撮像部12を+R方向(すなわち、基板9の中心付近に向かって)に移動させて(ステップS104)、先に撮像された領域M11の+R側に隣接する領域M12を撮像させる(ステップS102)。そして、当該新たに取得された撮像データを解析して、再びR軸と直交するスクライブライン91を検出する(ステップS103)。
【0066】
ステップS103で、R軸と直交するスクライブライン91が検出された場合(ステップS103でYES)、最外周ライン検出部221は、当該検出されたスクライブライン91は最外周スクライブライン910であると判断する。すなわち、ステップS103で解析対象となる撮像データの撮像領域よりも−R側の領域にはR軸と直交するスクライブライン91は存在しないことが確認されており、上述したとおり、撮像部12の撮像領域は、基板9上の1個のチップ領域92のサイズよりも小さいため、1回の撮像で得られる撮像データから検出され得るスクライブライン91(R軸と直交するスクライブライン91)は最大で1個である。したがって、ステップS103で、R軸と直交するスクライブライン91が検出された場合、当該スクライブライン91は、最外周スクライブライン910と断定できることになる。最外周スクライブライン910が検出されると、最外周ライン検出部221は、当該最外周スクライブライン910の位置(当該検出された最外周スクライブライン910がYs軸と平行に延在するものである場合は、当該最外周スクライブライン910のXs座標位置、当該検出された最外周スクライブライン910がXs軸と平行に延在するものである場合は、当該最外周スクライブライン910のYs座標位置)を特定し、当該位置情報を記憶する(ステップS105)。なお、ここでは、上記<撮像部12>で述べたように、撮像部12の撮像領域が、基板9上の1個のチップ領域92のサイズより小さいことを前提としているが、撮像部12の撮像領域が1個のチップ領域92のサイズより大きい場合には、撮像データに複数のスクライブライン91が検出される場合がでてくる。その場合、検出された複数のスクライブライン91のうち最も−R側のスクライブライン91を最外周スクライブライン910と断定することができる。
【0067】
このように、最外周ライン検出部221は、撮像部12を、基板9の径方向に沿って基板9のエッジ付近から基板9の中心付近に向けて相対的に移動させつつ、撮像部12に撮像データを次々と取得させ、当該次々と取得される各撮像データをその取得順に解析して、はじめに検出されたスクライブライン91を、最外周スクライブライン910として検出する。
【0068】
再び図8〜図10を参照する。−Xs側の最外周スクライブライン910aのXs位置が特定されると、続いて、最外周ライン検出部221は、θ駆動機構131を制御してステージ11をθ軸に沿って180度回転させた上で、再び、ステージ11上に載置された基板9の−R側の端部にある最外周スクライブライン910を検出する。ステージ11がθ軸に沿って180度回転されると、−R方向は+Xs方向と一致した状態となる。したがって、ここでは、+Xs側の最外周スクライブライン910b(すなわち、Ys軸と平行に延在する一群のスクライブライン91のうち、最も+Xs側に配置されたスクライブライン91)が検出され、当該最外周スクライブライン910bのXs座標位置が特定される(図9の下段)(ステップS12)。
【0069】
+Xs側の最外周スクライブライン910bのXs位置が特定されると、続いて、最外周ライン検出部221は、θ駆動機構131を制御してステージ11をθ軸に沿って90度回転させた上で、再び、ステージ11上に載置された基板9の−R側の端部にある最外周スクライブライン910を検出する。ステージ11がθ軸に沿って90度回転されると、−R方向は−Ys方向と一致した状態となる。したがって、ここでは、−Ys側の最外周スクライブライン910c(すなわち、Xs軸と平行に延在する一群のスクライブライン91のうち、最も−Ys側に配置されたスクライブライン91)が検出され、当該最外周スクライブライン910cのYs座標位置が特定される(図10の上段)(ステップS13)。
【0070】
−Ys側の最外周スクライブライン910cのYs位置が特定されると、続いて、最外周ライン検出部221は、θ駆動機構131を制御してステージ11をθ軸に沿って180度回転させた上で、再び、ステージ11上に載置された基板9の−R側の端部にある最外周スクライブライン910を検出する。ステージ11がθ軸に沿って180度回転されると、−R方向は+Ys方向と一致した状態となる。したがって、ここでは、+Ys側の最外周スクライブライン910d(すなわち、Xs軸と平行に延在する一群のスクライブライン91のうち、最も+Ys側に配置されたスクライブライン91)が検出され、当該最外周スクライブライン910dのYs座標位置が特定される(図10の下段)(ステップS14)。
【0071】
ステップS11〜ステップS14の処理が行われることによって、Ys軸と平行に延在する一群のスクライブライン91のうち両端に配置された一対の最外周スクライブライン910a,910bの各Xs位置と、Xs軸と平行に延在する一群のスクライブライン91のうち両端に配置された一対の最外周スクライブライン910c,910dの各Ys位置とがそれぞれ特定されることになる。各最外周スクライブライン910a,910b,910c,910dの位置が特定されると、続いて、中央チップ領域特定部222が、中央チップ領域920の位置を特定する(ステップS15)。なお、ステップS15の処理は、ステップS11〜ステップS14の全ての処理が完了するのを待って開始される必要はなく、例えばステップS12の処理が完了した時点で開始されてもよい。
【0072】
ステップS15の処理について、図12〜図14を参照しながら具体的に説明する。図12は、当該処理の流れを示す図である。図13、図14は、当該処理を説明するための図である。
【0073】
中央チップ領域特定部222は、まず、Ys軸と平行に延在する一対の最外周スクライブライン910a,910bの各Xs位置が適正値か否かを確認する(ステップS201)。具体的には、中央チップ領域特定部222は、当該一対の最外周スクライブライン910a,910bのXs軸についての離間距離ΔXsを算出し、算出された値が、チップ領域92の前後方向の長さd1(図1参照)の整数倍、チップ領域92の左右方向の長さd2(図1参照)の整数倍の、少なくともどちらかに該当するか否かを判断する。
【0074】
ステップS201で否定的な結果が得られた場合(すなわち、離間距離ΔXsが、長さd1の整数倍でもなく、長さd2の整数倍でもない場合)、中央チップ領域特定部222は、一対の最外周スクライブライン910a,910bの各Xs位置は適正値でないと判断し、定められたエラー処理を行った上で、処理を終了する。
【0075】
一方、ステップS201で肯定的な評価が得られた場合、中央チップ領域特定部222は、一対の最外周スクライブライン910a,910bの各Xs位置は適正値であると判断する。この場合、中央チップ領域特定部222は、続いて、当該一対の最外周スクライブライン910a,910bの各Xs位置に基づいて、Ys軸と平行に延在し、これら一対の最外周スクライブライン910a,910bの中間を通る中心線(以下、「第1中心線C1」という)のXs位置を特定する(ステップS202)。第1中心線C1は、Ys軸と平行に延在し、レイアウト中心930を通るラインとなっている。
【0076】
続いて、中央チップ領域特定部222は、Xs軸と平行に延在する一対の最外周スクライブライン910c,910dの各Ys位置が適正値か否かを確認する(ステップS203)。この処理は、上述したステップS201の処理と同様である。すなわち、中央チップ領域特定部222は、当該一対の最外周スクライブライン910c,910dのYs軸についての離間距離ΔYsを算出し、算出された値が、チップ領域92の前後方向の長さd1の整数倍、チップ領域92の左右方向の長さd2の整数倍の、少なくともどちらかに該当するか否かを判断する。
【0077】
ステップS203で否定的な結果が得られた場合、中央チップ領域特定部222は、一対の最外周スクライブライン910c,910dの各Ys位置は適正値でないと判断し、定められたエラー処理を行った上で、処理を終了する。
【0078】
一方、ステップS203で肯定的な評価が得られた場合、中央チップ領域特定部222は、一対の最外周スクライブライン910c,910dの各Ys位置は適正値であると判断する。この場合、中央チップ領域特定部222は、続いて、当該一対の最外周スクライブライン910c,910dの各Ys位置に基づいて、Xs軸と平行に延在し、これら一対の最外周スクライブライン910c,910dの中間を通る中心線(以下、「第2中心線C2」という)のYs位置を特定する(ステップS204)。第2中心線C2は、Xs軸と平行に延在し、レイアウト中心930を通るラインとなっている。
【0079】
続いて、中央チップ領域特定部222は、第1中心線C1と、第2中心線C2との交点の位置を特定し、これをレイアウト中心930の位置として取得する(ステップS205)。これによって、レイアウト中心930の位置が、XsYs座標内で特定されたことになる。
【0080】
上述したとおり、中央チップ領域920はレイアウト中心930に対して定められた位置関係にある。そこで、レイアウト中心930の位置が特定されると、中央チップ領域特定部222は、当該レイアウト中心930の位置に基づいて、中央チップ領域920の位置をXsYs座標内で特定する(ステップS206)。
【0081】
ステップS206の処理について具体的に説明する。ステップS205の処理が完了した段階では、基板9の回転位置は正確には特定されていないので、基板9の前後方向、左右方向にそれぞれ延在するスクライブライン91がXs軸、Ys軸のどちらと平行な状態なのかは決定できない。したがって、レイアウト中心930に対応する中央チップ領域920の位置は、図14に示されるように、基板9の正立状態に対する回転位置によって4通りの可能性があり、中央チップ領域920が実際に存在する位置はその4通りのうちの一つである。そこで、中央チップ領域特定部222は、まず、基板9が正立状態から0度ずれている(すなわち、正立状態からのずれがない)とした場合の中央チップ領域920の位置D1、基板9が正立状態から90度ずれているとした場合の中央チップ領域920の位置D2、基板9が正立状態から180度ずれているとした場合の中央チップ領域920の位置D3、基板9が正立状態から270度ずれているとした場合の中央チップ領域920の位置D4、をそれぞれ算出する。
【0082】
続いて、ターゲットマーク検出部212が、当該計算結果による4通りの位置D1,D2,D3,D4のそれぞれに中央チップ領域920が存在するとした各場合について、当該中央チップ領域920の中においてターゲットマーク94が存在するはずの領域を撮像部12に撮像させる。
【0083】
続いて、ターゲットマーク検出部212は、得られた4つの画像のそれぞれについてターゲットマーク94の検出を行って、当該画像中に、所定の位置、所定の姿勢でターゲットマーク94が存在するか否かを判断する。この判断は、例えば、記憶装置144に予め格納されたテンプレート画像データとのパターンマッチングによって行われる。
【0084】
4つの画像データのうちで、当該画像中にターゲットマーク94が所定の位置、所定の姿勢で実際に存在するものは一つだけである。したがって、4つの画像うちでターゲットマーク94が所定の位置、所定の姿勢で存在している画像がどれであるかが特定されると、当該画像により撮像されている位置が、中央チップ領域920が実際に存在している位置であるといえる。そこで、中央チップ領域特定部222は、4つの位置D1,D2,D3,D4のうち、中央チップ領域920が実際に存在すると判明した位置のXsYs座標を、中央チップ領域920の位置として取得する。
【0085】
なお、4つの画像うちでターゲットマーク94が所定の位置、所定の姿勢で存在している画像がどれであるかが特定されると、中央チップ領域920の位置が判明すると同時に、基板9の正立状態からの回転ずれ量が0度、90度、180度、270度のいずれであるかも判明する。そこで、回転角度特定部213は、ここで判明した基板9の正立状態からの回転ずれ量を、基板9の正しい回転角度θ2として取得する。
【0086】
再び図8を参照する。上述したとおり、中央チップ領域920の位置と基板中心90の位置とは予め規定された既知の値である。そこで、ステップS15において中央チップ領域920の位置がXsYs座標内で特定されると、続いて、中心位置特定部223が、当該中央チップ領域920の位置に基づいて、基板中心90の位置をXsYs座標系内で特定する(ステップS16)。ただし、XY座標系とXsYs座標系との関係は制御部14において常に把握されているため、XsYs座標系で基板中心90の位置が特定されると、直ちに、XY座標系での基板中心90の位置が特定されることになる。
【0087】
続いて、回転位置補正部21が、基板9の正しい回転角度θ2に応じて、基板9の回転位置を正補正する(ステップS17)。上述したとおり、回転角度特定部213は、ターゲットマーク94が検出された位置に基づいて、基板9の正しい回転角度θ2が0度、90度、180度、270度のいずれであるかを特定している。そこで、駆動機構制御部214は、駆動機構13を制御して、ステージ11を、当該回転角度θ2に応じて回転させて、基板9の前方向を−Y方向と一致させる(図7の下段)。すなわち、基板9を正立状態とする。
【0088】
<5.描画装置3>
<5−1.構成>
次に、位置検出装置1が搭載された描画装置3の構成について、図15を参照しながら説明する。図15は、描画装置3の概略構成を示す模式図である。
【0089】
描画装置3は、露光用光であるレーザ光を走査しつつ照射することによって描画対象物に局所的な露光を連続的に行って、描画対象物に所望の回路パターンについての露光画像を描画する直接描画装置(直描装置)であり、描画ステージ31と、描画ステージ駆動機構32と、光学ヘッド33とを備える。さらに、上述した位置検出装置1と、位置検出装置1と描画ステージ31との間で基板9の受け渡しを行う搬送装置34を備える。また、これら各部を得制御する制御部35を備える。
【0090】
<描画ステージ31>
描画ステージ31は、平板状の外形を有し、その上面に描画対象物である基板9を水平姿勢に載置して保持する保持部である。描画ステージ31の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が形成されており、この吸引孔に負圧(吸引圧)を形成することによって、描画ステージ31上に載置された基板9を描画ステージ31の上面に固定保持することができるようになっている。
【0091】
<描画ステージ駆動機構32>
描画ステージ駆動機構32は、描画ステージ31を基台301に対して移動させる機構であり、描画ステージ31を主走査方向、主走査方向と直交する副走査方向、および回転方向(鉛直軸周りの回転方向)の各方向にそれぞれ移動させる。
【0092】
<光学ヘッド33>
光学ヘッド33は、描画ステージ31に載置された基板9の上面に露光用の光を照射して、基板9に回路パターンを描画する機構である。光学ヘッド33は、光源331と変調部332とを主として備える。
【0093】
光源331は、レーザ光を出射する。光源331から出射された光は、照明光学系(図示省略)を介して強度分布が均一な線状の光(光束断面が線状の光であるラインビーム)とされた上で、変調部332に入射する。
【0094】
変調部332は、光源331から出射された光に空間変調を施す機能部である。ただし、光を空間変調させるとは、具体的には、光の空間分布(振幅、位相、および偏光等)を変化させることを意味する。変調部332は、例えば、回折格子型の空間光変調器であるGLV(Grating Light Valve:グレーチング・ライト・開閉弁)(シリコン・ライト・マシーンズ(サンノゼ、カリフォルニア)の登録商標)を含む構成することができる。また例えば、DMD(Digital Micromirror Device:デジタルマイクロミラーデバイス:テキサスインスツルメンツ社の登録商標)のような変調単位であるマイクロミラーが二次元的に配列された空間光変調器を含む構成としてもよい。また例えば、ミラーのような変調単位が一次元に配列されている空間光変調器を含む構成としてもよい。
【0095】
変調部332は、例えば副走査方向に沿って配列されたM個の空間変調素子を備え、各空間変調素子が、制御部35の制御に応じて、レーザ光の照射のオン/オフ設定を行う。これによって、変調部332からは、副走査方向に沿うM画素分の空間変調された光が出射されることになる。ただし、制御部35は、基板9に描画すべき回路パターン群を記述した描画データに従って変調部332を駆動する。したがって、変調部332からは、描画データに基づく変調を受けたM画素分の空間変調された光が出射されることになる。
【0096】
この構成において、光学ヘッド33が、描画ステージ31に載置された基板9に対して主走査方向に相対的に移動されつつ、副走査方向に沿うM画素分の空間変調された光を断続的に出射する(すなわち、基板9の表面にパルス光を繰り返して投影し続ける)ことによって、基板9上に回路パターン群(描画データに記述された回路パターン群)が描画されることになる。
【0097】
<搬送装置34>
搬送装置34は、基板9を支持するための2本のハンド341,341と、ハンド341,341を独立に移動させるハンド駆動機構342とを備える。各ハンド341は、ハンド駆動機構342によって駆動されることにより進退移動および昇降移動されて、描画ステージ31と位置検出装置1との間での基板9の受け渡しを行う。
【0098】
<位置検出装置1>
位置検出装置1は、基板9の位置を検出する装置であり、描画処理前の未処理の基板9に対して、位置検出処理を行う。位置検出装置1の構成および動作は、上述したとおりである。なお、位置検出装置1の制御部14は、描画装置3の制御部35において実現される。
【0099】
<制御部35>
制御部35は、描画装置3が備える各部と電気的に接続されており、各種の演算処理を実行しつつ描画装置3の各部の動作を制御する。制御部35は、一般的なコンピュータにより構成することができる(図3参照)。制御部35の記憶装置には、基板9に露光すべきパターンを記述したデータ(描画データ)が格納されており、制御部35は、上述したとおり、当該描画データに基づいて光学ヘッド33を制御する。なお、描画データは、例えば、CADを用いて生成されたCADデータをラスタライズしたデータであり、画素位置ごとの露光の有無が設定されたデータである。制御部35は、基板9に対する一連の処理に先立って描画データを取得して記憶装置に格納している。なお、描画データの取得は、例えばネットワーク等を介して接続された外部端末装置から受信することにより行われてもよいし、記録媒体から読み取ることにより行われてもよい。
【0100】
<5−2.動作>
描画装置3の動作について図16を参照しながら説明する。図16は、描画装置3において行われる一連の処理の流れを示す図である。以下に説明する一連の動作は、制御部35の制御下で行われる。
【0101】
まず、搬送装置34が、カセット載置部(図示省略)に載置されたカセットから未処理の基板9を取り出して描画装置3に搬入する(ステップS301)。
【0102】
搬送装置34は、描画装置3内に搬入された基板9を、まず、位置検出装置1のステージ11上に載置する。位置検出装置1においては、ステージ11上に載置された基板9の位置を検出する処理(位置検出処理)が行われる(ステップS302)。当該処理の具体的な流れは上述したとおりである。位置検出処理が行われることによって、ステージ11に載置された基板9が正立状態におかれるとともに、基板中心90の位置が位置検出装置1の座標系、ひいては、描画装置3の座標系において特定される。
【0103】
位置検出処理が終了すると、続いて、搬送装置34が、位置検出装置1から基板9を搬出してこれを描画ステージ31に載置する(ステップS303)。ただし、搬送装置34は、ステージ11に載置された基板9をハンド341で取り上げる際に、ステップS302で特定された基板中心90の位置情報に応じてハンド341の位置を調整して、ハンド341に対して定められた位置(例えば、ハンド341の中心)を基板中心90と一致させるようにして基板9を取り上げる。そして、ハンド341の中心を、描画ステージ31の中心と一致させるようにして、ハンド341上に保持された基板9を描画ステージ31に載置する。これによって、描画ステージ31の中心に基板中心90が位置合わせされた状態で、描画ステージ31に基板9が載置されることになる。つまり、描画装置3においては、搬送装置34が、位置検出装置1が特定した基板9の位置に基づいて、描画ステージ31における基板9の載置位置を調整する位置調整部として機能する。
【0104】
描画ステージ31は、その上面に基板9が載置されると、これを吸着保持する。基板9が描画ステージ31に吸着保持された状態となると、基板9に対するパターンの描画処理が行われる(ステップS304)。描画処理においては、制御部35が、描画ステージ駆動機構32に描画ステージ31を主走査方向に沿って移動させる動作(主走査)と、描画ステージ31を副走査方向に沿って移動させる動作(副走査)とを繰り返して行わせる。その一方で、制御部35は、描画ステージ31が主走査方向に沿って移動される間、光学ヘッド33に描画光(描画データに応じた空間変調が形成された、副走査方向に沿うM画素分の光)を生成させて、これを基板9に向けて断続的に照射させる。したがって、1回の主走査が終了する度に、光学ヘッド33によって基板9の表面に1ストライプ分のパターンの描画が行われることになる。1回の主走査が終了すると、描画ステージ駆動機構32は、描画ステージ31を、副走査方向に沿って、1ストライプの幅に相当する距離だけ移動させる(副走査)。副走査が終了すると、再び主走査が行われるところ、ここでも光学ヘッド33によって基板9に対して1ストライプ分のパターンの描画が行われ、これによって先に描画されている1ストライプ分の描画領域の隣に、さらに1ストライプ分のパターンの描画が行われる。主走査と副走査とが定められた回数だけ繰り返して行われることによって、基板9の表面の全域にパターンが描画されることになる。
【0105】
基板9上面の全域にパターンが描画されると、搬送装置34が処理済みの基板9を搬出する(ステップS305)。これによって、当該基板9に対する一連の処理が終了する。
【0106】
<6.効果>
上記の実施の形態に係る位置検出装置1においては、基板9上に形成されたスクライブライン91のうち最外周に配置されている最外周スクライブライン910の位置を検出し、これに基づいて基板中心90の位置を特定する。この構成によると、基板9のエッジ情報を用いずに基板9の面内情報だけで、基板9の位置を迅速かつ確実に特定できる。
【0107】
特に、上記の実施の形態に係る位置検出装置1においては、最外周スクライブライン910の位置に基づいて、レイアウト中心930の位置を特定し、当該レイアウト中心930の位置に基づいて中央チップ領域920の位置を特定する。この構成によると、中央チップ領域920の位置を簡易かつ正確に特定することができる。
【0108】
特に、上記の実施の形態に係る位置検出装置1においては、第1の軸と平行に延びる最外周スクライブライン910a,910bの中心線(第1中心線C1)と、第1の軸と直交する第2の軸と平行に延びる最外周スクライブライン910c,910dの中心線(第2中心線C2)とをそれぞれ特定し、これら中心線C1,C2の交点位置をレイアウト中心930の位置として取得する。この構成によると、レイアウト中心930の位置を効率的に特定することができる。
【0109】
特に、上記の実施の形態に係る位置検出装置1においては、撮像部12をステージ11上に載置された基板9の径方向に沿って基板9のエッジ付近から基板9の中心付近に向けて相対的に移動させつつ、撮像部12に撮像データを次々と取得させ、当該次々と取得される各撮像データをその取得順に解析して、はじめに検出されたスクライブライン91を、最外周スクライブライン910として検出する。この構成によると、最外周スクライブライン910を正確かつ速やかに特定することができる。
【0110】
特に、上記の実施の形態に係る位置検出装置1においては、スクライブライン91の延在方向に基づいて基板9の回転姿勢を特定するので、基板9のエッジ情報を用いずに基板9の面内情報だけで、基板9の回転位置を検出することができる。
【0111】
特に、上記の実施の形態に係る描画装置3においては、基板9のエッジ情報を用いずに基板9の面内情報だけで、基板9の位置を迅速かつ確実に特定し、当該特定された基板9の位置に基づいて、描画ステージ31における基板9の載置位置が調整される。したがって、スループットの低下を抑制しつつ、基板9に対して適切な描画処理を行うことができる。
【0112】
<7.変形例>
上記の実施の形態においては、ステップS206の処理において、中央チップ領域920が存在する可能性のある位置を4通り想定し、各位置についてターゲットマーク94の検出を行っていた。この態様は、チップ領域92の形状がどのようなもの(例えば、正方形)であっても適用できるという利点がある。ここで、例えば、チップ領域92が長方形である場合、ステップS201において離間距離ΔXsが例えばチップ領域92の前後方向の長さd1の整数倍であった場合には、基板9の前後方向がXs軸に沿うと特定される。したがって、中央チップ領域920の姿勢は前後方向をXs軸に沿わせる2通りの姿勢に絞られる。逆に、ステップS201において離間距離ΔXsがチップ領域92の左右方向の長さd2の整数倍であった場合には、基板9の左右方向がXs軸に沿うと特定される。したがってこの場合、中央チップ領域920の姿勢は左右方向をXs軸に沿わせる2通りの姿勢に絞られる。このように、ステップS201の結果に応じて中央チップ領域920の位置を2通りに絞り込んで、当該2通りの中央チップ領域920に対応するターゲットマーク94の位置のみを撮像してパターンマッチングを行ってもよい。ステップS203において離間距離ΔYsが長さd1または長さd2の整数倍であった場合にも同様である。この変形例は、中央チップ領域92チップの前後方向の長さd1と左右方向の長さd2との差が大きい場合に特に有効である。
【0113】
また、上記の実施の形態に係る駆動機構13は、必ずしも、ステージ11をθ方向に回動させるθ駆動機構131と、撮像部12をR方向に移動させるR駆動機構132とを備える構成である必要はない。例えば、駆動機構13は、固定されたステージ11に対して撮像部12をR方向およびθ方向の各方向に相対的に移動させる機構を備える構成としてもよい。逆に、固定された撮像部12に対してステージ11をR方向およびθ方向の各方向に相対的に移動させる機構を備える構成としてもよい。
【0114】
また、上記の実施の形態においては、駆動機構13は、ステージ11と撮像部12とをR方向およびθ方向の各方向に相対的に移動させる機構であるとしたが、必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、駆動機構13は、ステージ11をX方向、Y方向およびθ方向のそれぞれに移動させるXYθ駆動機構を備える構成としてもよい。
【0115】
また、上記の実施の形態においては、基板9の正立状態からのずれ量が、0度、90度、180度、270度、のうちのいずれであるかを、ターゲットマーク94の形状に基づいて特定していたが、これ以外の態様で特定することもできる。例えば、チップ領域92内の定められた位置(例えば、左前の隅)にターゲットマーク94が形成されている場合、チップ領域92の4隅をそれぞれ撮像して、ターゲットマーク94がどの隅から検出されるかに基づいて、基板9の正立状態からのずれ量を特定することもできる。また例えば、基板の面内領域におけるエッジ付近であって定められた方向(例えば前方向)の位置にターゲットマーク94を形成しておき、+X方向、−X方向、+Y方向、−Y方向のそれぞれについて基板9の面内領域におけるエッジ付近の各位置をそれぞれ撮像して、ターゲットマーク94がどの方向から検出されるかに基づいて、基板9の正立状態からのずれ量を特定することもできる。
【0116】
また、上記の実施の形態においては、+Xs側の最外周スクライブライン910を検出した後に、ステージ11をθ軸に沿って180度回転させることによって、撮像部12を基板9の−Xs側の端部に相対移動させていたが、ステージ11を移動させずに撮像部12をR軸に沿って移動させることによって、撮像部12を基板9の−Xs側の端部に相対移動させてもよい。Ys方向についても同様である。
【0117】
また、上記の実施の形態に係る描画装置3においては、搬送装置34が、位置検出装置1が特定した基板9の位置に基づいて、描画ステージ31における基板9の載置位置を調整していたが、位置検出装置1にステージ11をX方向およびY方向に沿って移動させるXY駆動機構を設けておき、当該XY駆動機構が、位置検出処理が終了した後に、当該処理によって特定された基板中心90の位置情報に応じてステージ11を移動させて、XY座標内の定められた位置(例えば、原点位置)に基板中心90が一致するようにステージ11を移動させる構成としてもよい。この場合、搬送装置34は、常に定められた位置(例えば、XY座標の原点位置にハンド341の中心がくるような位置)で基板9を取り上げるだけでよい。つまり、この変形例においては、XY駆動機構が、位置検出装置1が特定した基板9の位置に基づいて、描画ステージ31における基板9の載置位置を調整する位置調整部として機能することになる。
【0118】
また、上記の実施の形態において、撮像部12を、ステージ11の載置面の法線方向に沿って移動させる機構を設けてもよい。この構成においては、当該駆動機構を制御することによって、撮像部12と、ステージ11上に載置された基板9の表面領域との離間距離を調整することが可能となる。
【0119】
また、上記の実施の形態に係る描画装置3においては、位置検出装置1のステージ11と、描画ステージ31とが別々に設けられていたが、これらは1個のステージによって共用されてもよい。
【0120】
また、上記の実施の形態に係る描画装置3においては、描画ステージ31が描画ステージ駆動機構32により駆動されることによって、光学ヘッド33と基板9とが相対的に移動される構成としたが、固定された描画ステージ31に対して光学ヘッド33が移動されることによって(あるいは、描画ステージ31と光学ヘッド33とをともに移動させることによって)、光学ヘッド33と基板9とが相対的に移動されてもよい。
【0121】
また、上記の実施の形態においては、位置検出装置1が、変調した描画光によって基板9上の感光材料を走査することにより当該感光材料に直接パターンを露光する描画装置3に搭載された場合について説明したが、位置検出装置1は、例えば、光源とフォトマスクを用いて基板9上に形成された感光材料を面状に露光する露光装置に搭載されてもよいし、基板9に光を照射してパターンを露光する処理以外の様々な処理を行う基板処理装置に搭載されてもよい。例えば、対象となる基板を載置したステージを、塗布ヘッドに対して移動させつつ塗布ヘッドからステージ上の基板に対して塗布液を塗布する塗布処理装置、対象となる基板を載置したステージを、検査ヘッドに対して移動させつつ検査ヘッドからステージ上の基板を例えば撮像してその表面に形成されたパターン形状等を検査する検査理装置、等に搭載することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 位置検出装置
11 ステージ
12 撮像部
13 駆動機構
14 制御部
20 位置特定部
21 回転位置補正部
211 ライン方向検出部
212 ターゲットマーク検出部
213 回転角度特定部
214 駆動機構制御部
22 中心位置検出部
221 最外周ライン検出部
222 中央チップ領域特定部
223 中心位置特定部
3 描画装置
9 基板
90 基板中心
93 レイアウト領域
930 レイアウト中心
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、プリント基板、カラーフィルタ用基板、液晶表示装置やプラズマ表示装置に具備されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、光ディスク用基板、太陽電池用パネルなどの各種基板(以下、単に「基板」と称する)の位置を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に対して様々な処理を施す基板処理装置において適切な処理を行うためには、処理を行う処理部に対して処理対象となる基板が定められた相対位置関係におかれていることが重要である。このため、多くの基板処理装置においては、実際の処理に先立って、基板のアライメント(基板が処理部に対して適切な位置におかれるように位置合わせする処理)が行われる。
【0003】
アライメントを適切に行うためには、基板の初期位置を正確に検出することが重要である。この点に関して、例えば特許文献1には、基板のエッジに光を照射して、その光量変化からエッジ上の各位置を検出し、その検出位置に基づいて基板の位置を特定する技術が開示されている。さらに、特許文献1には、基板のエッジに形成されたオリエンテーションフラット、あるいは、ノッチ等を検出し、その検出位置に基づいて基板の回転位置を特定する構成も開示されている。また、特許文献2には、基板の面内領域に形成されたスクライブラインを検出して、その検出位置に基づいて基板の回転位置を調整する構成が開示されている。また、特許文献3には、スクライブラインの延在方向に基づいて基板の回転位置を調整した上でノッチの検出を行うことによって、ノッチの誤検出を回避する技術が開示されている。一方、特許文献4には、スクライブラインの交点を検出して、その検出位置に基づいて基板の位置を調整する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−242250号公報
【特許文献2】特開平6−69319号公報
【特許文献3】特開2010−177691号公報
【特許文献4】特開平4−23341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したとおり、基板の位置を検出するための技術は各種提案されている。ところが、例えば特許文献1のように、基板のエッジ位置を検出して基板の位置を特定する態様では、先行して行われたプロセスによって基板のエッジに荒れや欠けが生じている場合、あるいは、貼り合わせの基板(支持用基板に半導体層を張り合わせた基板)等においてエッジが階段状になっている場合等に、基板の位置を正確に検出できない可能性が高い。
【0006】
基板のエッジから信頼できる情報を取得できない場合、基板の面内領域から取得できる情報だけを用いて基板の位置を特定するしかない。
【0007】
ところが、基板の面内領域から取得できる情報だけから基板の位置を特定する態様では、迅速かつ正確に基板の位置を特定することが難しかった。例えば、特許文献4のように、基板の面内領域に形成されたスクライブラインの交点を検出して基板の位置を特定する場合、基板の置き誤差がスクライブラインの交点のピッチよりも大きくなると、基板の面内領域にある無数の交点のうちのどの交点が検出されているのかが一意に特定されないために、基板の位置を誤って特定してしまう可能性が高くなる。つまり、面内領域に周期的に存在するマークの一つを検出して基板の位置を特定しようとした場合、基板の置き誤差がマークの存在周期より大きくなってしまうと、基板の位置を正確に特定できない可能性が高くなってしまう。
【0008】
例えば、基板の面内領域に1個しか存在しないマークを検出して基板の位置を特定することにすれば、上記のような事態を回避できる。ところがこの場合、基板の置き誤差が大きくなると当該唯一のマークをカメラの視野内に捉え損なう可能性が高く、当該唯一のマークの検出に時間がかかってしまう。ひいては、基板の位置を特定するまでに長い時間を要してしまう。
【0009】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、基板の面内領域から取得できる情報を用いて、基板の位置を迅速かつ確実に検出できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様は、基板の位置を検出する位置検出装置であって、前記基板を載置するステージと、前記ステージに載置された前記基板の面内領域を撮像する撮像部と、前記撮像部が取得した撮像データに基づいて前記基板の位置を特定する位置特定部と、を備え、前記基板の面内領域が格子状のスクライブラインで区分されることにより、前記面内領域に複数のチップ領域が形成されており、前記位置特定部が、前記撮像データを解析して、前記スクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインを検出する最外周スクライブライン検出部と、前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて、前記複数のチップ領域が配置されたレイアウト領域の中央に配置されている中央チップ領域の位置を特定する中央チップ領域特定部と、前記中央チップ領域の位置に基づいて、前記基板の中心位置を特定する中心位置特定部と、を備える。
【0011】
第2の態様は、第1の態様に係る位置検出装置であって、前記中央チップ領域特定部が、前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて前記レイアウト領域の中心位置を特定し、前記レイアウト領域の中心位置に基づいて、前記中央チップ領域の位置を特定する。
【0012】
第3の態様は、第2の態様に係る位置検出装置であって、前記最外周スクライブライン検出部が、第1軸と平行に延在する一群の第1スクライブラインのうち、両端に配置されている一対の第1スクライブラインの各位置を検出するとともに、前記第1軸と直交する第2軸と平行に延在する一群の第2スクライブラインのうち、両端に配置されている一対の第2スクライブラインの各位置を検出し、前記中央チップ領域特定部が、前記両端に配置されている一対の第1スクライブラインの中心線と前記両端に配置されている一対の第2スクライブラインの中点線との交点位置を前記レイアウト領域の中心位置として取得する。
【0013】
第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様に係る位置検出装置であって、前記ステージと前記撮像部とを相対的に移動させる駆動部、を備え、前記最外周スクライブライン検出部が、前記撮像部を前記ステージ上に載置された前記基板の径方向に沿って前記基板のエッジ付近から前記基板の中心付近に向けて相対的に移動させつつ、前記撮像部に前記撮像データを次々と取得させ、当該次々と取得される各撮像データをその取得順に解析して、はじめに検出された前記スクライブラインを、前記最外周に配置されているスクライブラインとして検出する。
【0014】
第5の態様は、第1から第4のいずれかの態様に係る位置検出装置であって、前記位置特定部が、前記撮像データを解析して、前記スクライブラインの延在方向を検出する延在方向検出部と、前記スクライブラインの延在方向に基づいて、前記基板の回転姿勢を特定する回転位置特定部と、を備える。
【0015】
第6の態様は、描画装置であって、基板の位置を検出する位置検出装置と、前記基板を載置する描画ステージと、前記描画ステージに載置された前記基板に向けて光を照射して、前記基板にパターンを描画する光照射部と、前記位置検出装置が特定した前記基板の位置に基づいて、前記描画ステージにおける前記基板の載置位置を調整する位置調整部と、を備え、前記位置検出装置が、前記基板を載置するステージと、前記ステージに載置された前記基板の面内領域を撮像する撮像部と、前記撮像部が取得した撮像データに基づいて前記基板の位置を特定する位置特定部と、を備え、前記基板の面内領域が格子状のスクライブラインで区分されることにより、前記面内領域に複数のチップ領域が形成されており、前記位置特定部が、前記撮像データを解析して、前記スクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインを検出する最外周スクライブライン検出部と、前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて、前記複数のチップ領域が配置されたレイアウト領域の中央に配置されている中央チップ領域の位置を特定する中央チップ領域特定部と、前記中央チップ領域の位置に基づいて、前記基板の中心位置を特定する中心位置特定部と、を備える。
【0016】
第7の態様は、基板の位置を検出する位置検出方法であって、a)ステージに載置された前記基板の面内領域を撮像する工程と、b)前記a)工程で取得された撮像データに基づいて前記基板の位置を特定する工程と、を備え、前記基板の面内領域が格子状のスクライブラインで区分されることにより、前記面内領域に複数のチップ領域が形成されており、前記b)工程が、b1)前記撮像データを解析して、前記スクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインを検出する工程と、b2)前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて、前記複数のチップ領域が配置されたレイアウト領域の中央に配置されている中央チップ領域の位置を特定する工程と、b3)前記中央チップ領域の位置に基づいて、前記基板の中心位置を特定する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
第1、第7の態様によると、基板上に形成されたスクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインの位置を検出し、これに基づいて基板の中心位置を特定する。この構成によると、基板のエッジ情報を用いずに基板の面内情報だけで、基板の位置を迅速かつ確実に特定できる。
【0018】
第2の態様によると、最外周に配置されているスクライブラインの位置に基づいて、レイアウト領域の中心位置を特定し、当該レイアウト領域の中心位置に基づいて中央チップ領域の位置を特定する。この構成によると、中央チップ領域の位置を簡易かつ正確に特定することができる。
【0019】
第3の態様によると、平行に延びる一群のスクライブラインのうち、両端に配置されている一対のスクライブラインの中心線を特定し、第1軸に沿う中心線と第2軸に沿う中心線との交点位置をレイアウト領域の中心位置として取得する。この構成によると、レイアウト領域の中心の位置を効率的に特定することができる。
【0020】
第4の態様によると、撮像部をステージ上に載置された基板の径方向に沿って基板のエッジ付近から基板の中心付近に向けて相対的に移動させつつ、撮像部に撮像データを次々と取得させ、当該次々と取得される各撮像データをその取得順に解析して、はじめに検出されたスクライブラインを、最外周に配置されているスクライブラインとして検出する。この構成によると、最外周に配置されているスクライブラインを正確かつ速やかに特定することができる。
【0021】
第5の態様によると、スクライブラインの延在方向に基づいて基板の回転姿勢を特定するので、基板のエッジ情報を用いずに基板の面内情報だけで、基板の回転位置を検出できる。
【0022】
第6の態様によると、基板のエッジ情報を用いずに基板の面内情報だけで、基板の位置を迅速かつ確実に特定し、当該特定された基板の位置に基づいて、描画ステージにおける基板の載置位置が調整される。したがって、スループットの低下を抑制しつつ、基板に対して適切な描画処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】基板を模式的に示す平面図である。
【図2】位置検出装置の概略構成を模式的に示す図である。
【図3】制御部のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図4】位置検出装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】位置検出処理の全体の流れを示す図である。
【図6】回転位置の仮補正が行われる様子を模式的に示す説明図である。
【図7】回転位置の正補正が行われる様子を模式的に示す説明図である。
【図8】基板の中心の位置を特定する処理の流れを示す図である。
【図9】基板の中心の位置を特定する処理を説明するための図である。
【図10】基板の中心の位置を特定する処理を説明するための図である。
【図11】最外周スクライブラインの検出処理の流れを示す図である。
【図12】中央チップ領域の位置を特定する処理の流れを示す図である。
【図13】中央チップ領域の位置を特定する処理を説明するための図である。
【図14】中央チップ領域の位置を特定する処理を説明するための図である。
【図15】描画装置の概略構成を示す模式的に示す図である。
【図16】描画装置において行われる一連の処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0025】
<1.基板9>
位置検出装置1について説明する前に、位置検出装置1において対象とされる基板9について、図1を参照しながら説明する。図1は、基板9を模式的に示す平面図である。
【0026】
位置検出装置1において対象とされる基板9の面内領域には、前後方向とこれに直交する左右方向とが予め規定されている。そして、前後方向に平行な複数のスクライブライン91と、左右方向に平行な複数のスクライブライン91とが交差しあって格子状のストリートが形成されている。このスクライブライン91によって囲まれた各矩形領域が、1個のチップに相当するチップ領域92を形成する。つまり、基板9の面内領域には、格子点上にそれぞれ配置された複数のチップ領域92が形成されている。基板9の面内領域において、複数のチップ領域92が配置されている領域を、以下「レイアウト領域93」という。また、レイアウト領域93の外縁を形成するスクライブライン91(すなわち、格子状に配列されたスクライブライン91のうち最外周に配置されているスクライブライン91)を、以下「最外周スクライブライン910」ともいう。
【0027】
レイアウト領域93に配置された複数のチップ領域92のうち、レイアウト領域93の中央に配置されたチップ領域92(具体的には、レイアウト領域93の中心(幾何学中心)(以下「レイアウト中心930」という)から最も近いチップ領域92)を、「中央チップ領域920」という。ただし、レイアウト中心930から最も近いチップ領域92が複数個存在する場合は、当該複数のチップ領域92のうち、定められた条件を満たす1個のチップ領域92が中央チップ領域920に選定される。中央チップ領域920を選定するための条件は任意に規定することができる。この実施の形態においては、チップ領域92の左後の角がレイアウト中心930と一致するようなチップ領域92を、中央チップ領域920と選定することにする。
【0028】
ここで、中央チップ領域920と基板9の中心(以下「基板中心90」という)との位置関係は、設計段階において予め規定されており、既知の値として取得可能である。ただし、ここで「基板中心90」とは、基板9のエッジに荒れ等がない理想的な状態における、基板9の主面の幾何学中心を指す。
【0029】
なお、複数のチップ領域92は、一般に、基板9の面内領域から最も多くの個数のチップを取得できるようなレイアウトで配列されるため、多くの場合、図1に示されるように、レイアウト中心930は基板中心90と一致する。ただし、レイアウト中心930は基板中心90と必ずしも常に一致しているわけではなく、基板9の種類によっては、レイアウト中心930が基板中心90から微小にずれた位置におかれることもある。例えば、基板9の例えば後方向にオリエンテーションフラットやノッチ等の切り欠き部が形成されている場合、これを避けるため、レイアウト領域93が基板9の例えば前方向に微少量だけ偏った位置に配置されることがある。このような場合、レイアウト中心930は基板中心90よりも前方向に微小量だけずれた位置にくることになる。
【0030】
基板9の面内領域の定位置(この実施の形態においては、各チップ領域92内の定位置)には、ターゲットマーク94を定義しておく。すなわち、チップ領域92内には、素子、パッド、バンプや配線等のパターンや、それらを形成するためのフォトレジストパターンが多数形成されているが、それらの中で、前後左右方向について非対称でかつチップ内にて唯一に識別可能な、一つのパターンまたは複数のパターンの組み合わせのレイアウトをターゲットマーク94として選択する。このようなターゲットマーク94を定義しておけば、その形状を観察することによって基板9の方向を一意に特定することができる。
【0031】
<2.位置検出装置1>
位置検出装置1の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、位置検出装置1の概略構成を模式的に示す図である。
【0032】
位置検出装置1は、基板9の位置を検出する装置であり、基台101と、基板9が載置されるステージ11と、ステージ11上に載置された基板9の上面を撮像する撮像部12と、ステージ11と撮像部12とを相対的に移動させる駆動機構13と、これら各部を制御する制御部14とを主として備える。なお、撮像部12は、基板9を透過した赤外光によって基板9の下面(裏面)のパターンを撮像するものであってもよい。
【0033】
<ステージ11>
ステージ11は、平板状の外形を有し、その上面に基板9を水平姿勢に載置して保持する保持部である。ステージ11の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が形成されており、この吸引孔に負圧(吸引圧)を形成することによって、ステージ11上に載置された基板9をステージ11の上面に固定保持することができるようになっている。
【0034】
<撮像部12>
撮像部12は、ステージ11に載置された基板9の上面を撮像する機構である。撮像部12は、例えばLEDにより構成される光源と、鏡筒と、対物レンズと、エリアアイメージセンサ(二次元イメージセンサ)により構成されるCCDイメージセンサとから構成することができる。撮像部12は、制御部14からの指示に応じて、ステージ11に載置された基板9を撮像して、基板9の面内領域の一部を撮像した二次元の画像データ(多階調の画像データ)を取得する。なお、この実施の形態においては、撮像部12が1回で撮像する撮像領域は、基板9上の1個のチップ領域92のサイズよりも小さいとする。
【0035】
<駆動機構13>
駆動機構13は、制御部14により制御されて、ステージ11と撮像部12とをθ軸およびR軸のそれぞれに沿って相対的に移動させる機構であり、例えば、ステージ11をθ軸に沿って回動させるθ駆動機構131と、撮像部12をR軸に沿って移動させるR駆動機構132とを備える。ただし、位置検出装置1には、基台101に対してXY座標系(基台101の上面内に規定される直交2軸の各方向(X方向およびY方向)により規定される座標系)が規定されているとともに、ステージ11の載置面内にXsYs座標系(ステージ11の載置面内に規定される直交2軸の各方向(Xs方向およびYs方向)により規定される座乗系)が規定されている。これらXY座標系、XsYs座標系の各原点は、ステージ11の載置面の中心110と一致しているとする。いま、撮像部12が駆動されるR軸は、ステージ11の中心110を通る軸であり、この実施の形態においては、R軸はX軸と一致しているとする。また、θ軸は、回転軸A(ステージ11の中心110を通るとともにステージ11の載置面に垂直な回転軸A)を中心とした回転方向である。
【0036】
<制御部14>
制御部14は、位置検出装置1が備える各部と電気的に接続されており、各種の演算処理を実行しつつ位置検出装置1の各部の動作を制御する。
【0037】
図3は、制御部14のハードウエア構成を示すブロック図である。制御部14は、例えば、CPU141、ROM142、RAM143、記憶装置144等がバスライン145を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成されている。ROM142は基本プログラム等を格納しており、RAM143はCPU141が所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶装置144は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。記憶装置144にはプログラムPが格納されており、このプログラムPに記述された手順に従って、主制御部としてのCPU141が演算処理を行うことにより、各種機能が実現されるように構成されている。プログラムPは、通常、予め記憶装置144等のメモリに格納されて使用されるものであるが、CD−ROMあるいはDVD−ROM、外部のフラッシュメモリ等の記録媒体に記録された形態(プログラムプロダクト)で提供され(あるいは、ネットワークを介した外部サーバからのダウンロードなどにより提供され)、追加的または交換的に記憶装置144等のメモリに格納されるものであってもよい。なお、制御部14において実現される一部あるいは全部の機能は、専用の論理回路等でハードウエア的に実現されてもよい。
【0038】
また、制御部14では、入力部146、表示部147、通信部148もバスライン145に接続されている。入力部146は、各種スイッチ、タッチパネル等により構成されており、オペレータから各種の入力設定指示を受け付ける。表示部147は、液晶表示装置、ランプ等により構成されており、CPU141による制御の下、各種の情報を表示する。通信部148は、LAN等を介したデータ通信機能を有する。さらに、制御部14では、バスライン145にインターフェース149a,149bが接続されている。インターフェース149aは撮像部12と、インターフェース149bは駆動機構13と、それぞれ接続されており、これら各部12,13との情報の授受を行う。
【0039】
位置検出装置1には、位置検出の対象となる基板9について、その基板中心90と中央チップ領域920との位置関係を規定する情報が予め与えられており、記憶装置144に格納されている。また、記憶装置144には、スクライブライン91、ターゲットマーク94等の検出に用いられるテンプレート画像データも格納されている。
【0040】
<3.機能に関する構成>
位置検出装置1において実現される機能構成について図4を参照しながら説明する。図4は、位置検出装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0041】
位置検出装置1は、ステージ11に載置された基板9の位置を検出する位置特定部20を備える。位置特定部20は、制御部14において、例えばCPU141がプログラムPに従って所定の演算処理を行うことによって、あるいは、専用の論理回路等でハードウエア的に実現される。
【0042】
位置特定部20は、回転位置補正部21と中心位置検出部22とを備える。
【0043】
<回転位置補正部21>
回転位置補正部21は、基板9が正立状態となるように基板9の回転位置を補正する機能部であり、ライン方向検出部211と、ターゲットマーク検出部212と、回転角度特定部213と、駆動機構制御部214とを備える。ただし、「正立状態」とは、基板9の面内領域に規定される直交2軸の各方向(前後方向および左右方向)が、XY座標系に対して定められた回転位置関係におかれた状態であり、この実施の形態においては、例えば、基板9の前方向が−Y方向と一致するような状態を正立状態とする。
【0044】
ライン方向検出部211は、撮像部12が取得した撮像データを解析して、ステージ11上の基板9に形成されたスクライブライン91の延在方向を検出する。
【0045】
ターゲットマーク検出部212は、撮像部12が取得した撮像データを解析して、ステージ11上の基板9に形成されたターゲットマーク94を検出する。
【0046】
回転角度特定部213は、基板9の回転角度を特定する。回転角度特定部213は、具体的には、ライン方向検出部211が検出したスクライブライン91の延在方向に基づいて基板9の回転角度(後述する「仮の回転角度θ1」)を特定する。また、ターゲットマーク検出部212によるターゲットマーク94の検出結果に基づいて基板9の回転角度(後述する「正しい回転角度θ2」)を特定する。
【0047】
駆動機構制御部214は、回転角度特定部213が特定した基板9の回転角度に基づいて駆動機構13を制御して、基板9の回転位置を補正する。
【0048】
<中心位置検出部22>
中心位置検出部22は、基板中心90を検出する機能部であり、最外周ライン検出部221と、中央チップ領域特定部222と、中心位置特定部223とを備える。
【0049】
最外周ライン検出部221は、撮像部12が取得した撮像データを解析して、基板9上に形成されたスクライブライン91のうち最外周に配置されているスクライブライン91(最外周スクライブライン910)を検出する。最外周ライン検出部221は、具体的には、撮像部12をステージ11上に載置された基板9の径方向に沿って基板9のエッジ付近から基板9の中心付近に向けて相対的に移動させつつ、撮像部12に撮像データを次々と取得させ、当該次々と取得される各撮像データをその取得順に解析して、はじめに検出されたスクライブライン91を、最外周スクライブライン910として検出する。
【0050】
中央チップ領域特定部222は、最外周スクライブライン910の検出位置に基づいて、レイアウト領域93の中央に配置されている中央チップ領域920の位置を特定する。中央チップ領域特定部222は、具体的には、最外周スクライブライン910の検出位置に基づいてレイアウト中心930の位置を特定し、当該レイアウト中心930の位置に基づいて、中央チップ領域920の位置を特定する。
【0051】
中心位置特定部223は、中央チップ領域920の位置に基づいて、基板中心90の位置を特定する。ただし、上述したとおり、位置検出装置1には、中央チップ領域920と基板中心90との位置関係を規定する情報が予め与えられており、中心位置特定部223は、当該情報に基づいて基板中心90の位置を特定する。
【0052】
<4.処理の流れ>
<4−1.全体の流れ>
位置検出装置1が基板9の位置を検出する処理(位置検出処理)の全体の流れについて、図5を参照しながら説明する。図5は、位置検出処理の全体の流れを示す図である。
【0053】
ステージ11に基板9が載置されると、まず、回転位置補正部21が、基板9の回転位置を仮補正する(ステップS1)。
【0054】
ステップS1の処理について、図6を参照しながら説明する。図6は、回転位置の仮補正が行われる様子を模式的に示す説明図である。まず、ライン方向検出部211が、ステージ11上の基板9に形成されたスクライブライン91の延在方向を検出する。具体的には、ライン方向検出部211は、駆動機構13を制御して、撮像部12を、少なくとも1本のスクライブライン91が視野内に入るような所定位置に移動させた上で、撮像部12に基板9の面内領域内の所定領域M1を撮像させる。そして、取得された撮像データを解析して、撮像されているスクライブライン91のうちの任意の1本のスクライブライン91を検出し、その延在方向を特定する。なお、スクライブライン91の検出は、例えば、記憶装置144に予め格納されたテンプレート画像データとのパターンマッチングによって行われる。
【0055】
続いて、回転角度特定部213が、ライン方向検出部211が検出したスクライブライン91の延在方向に基づいて基板9の仮の回転角度θ1を特定する。具体的には、当該スクライブライン91が例えば+X方向となす角度を算出して、これを基板9の仮の回転角度θ1として取得する。ただし、この段階では、この仮の回転角度θ1は、基板9の前後方向に延在するスクライブライン91がX軸となす角度なのか、基板9の左右方向に延在するスクライブライン91がX軸となす角度なのかは特定できない。つまり、この段階では、基板9が正立状態からどれだけ回転ずれをおこしているのかを正確に特定することはできない。
【0056】
続いて、駆動機構制御部214が、駆動機構13を制御して、ステージ11を、基板9の仮の回転角度θ1だけ、−θ方向に回転させる。これによって、基板9の回転位置が仮補正される。具体的には、基板9に形成された各スクライブライン91がX軸あるいはY軸に平行な状態となる。ただし、この段階では、基板9の前後方向、左右方向にそれぞれ延在するスクライブライン91がX軸、Y軸のどちらと平行な状態なのかは決定できない。つまり、この段階では、基板9は、正立状態となっている可能性もあり、正立状態から、90度、180度、あるいは270度だけずれた回転位置にある可能性もある。
【0057】
再び図5を参照する。基板9の回転位置が仮補正されると、続いて、中心位置検出部22が、基板中心90の位置を検出する(ステップS2)。具体的には、中心位置検出部22が、中央チップ領域920の位置を特定し、当該特定された中央チップ領域920の位置に基づいて、基板中心90の位置をXsYs座標系内で(ひいては、XY座標系内で)特定する(図7の上段)。さらに、回転位置補正部21が、基板9の回転位置を正補正する(ステップS3)。具体的には、駆動機構制御部214が、駆動機構13を制御して、ステージ11を回転させて、基板9の前方向を−Y方向と一致させる(図7の下段)。すなわち、基板9を正立状態とする。ステップS2〜ステップS3の処理については後に具体的に説明する。
【0058】
以上で、位置検出処理が終了する。上述した一連の処理が行われることによって、ステージ11に載置された基板9が正立状態におかれるとともに、基板中心90の位置が装置のXY座標系において特定されることになる。
【0059】
<4−2.基板中心90の特定、および回転位置の正補正>
図5のステップS2〜ステップS3の一連の処理について、図8〜図10を参照しながら具体的に説明する。図8は、当該処理の流れを示す図である。図9、図10は、当該処理が行われる様子を模式的に示す説明図である。
【0060】
ステップS1の仮補正が行われた段階で、図6の下段、あるいは、図9の上段に示されるように、ステージ11に載置された基板9の前後方向および左右方向の各方向が、X軸あるいはY軸と平行な状態とされており、基板9に形成された各スクライブライン91の延在方向が、X軸、Y軸のそれぞれと平行な状態となっている。この状態において、ステージ11の座標系(XsYs座標系)のXs軸がX軸と平行な方向に規定され、Ys軸がY軸と平行な方向に規定されるとする。したがって、基板9に形成された各スクライブライン91の延在方向は、Xs軸、Ys軸のそれぞれと平行な状態となる。
【0061】
まず、最外周ライン検出部221が、ステージ11上に載置された基板9の−R側の端部にある最外周スクライブライン910を検出する。いま、−R方向は−Xs方向と一致している。したがって、ここでは、−Xs側の最外周スクライブライン910a(すなわち、Ys軸と平行に延在する一群のスクライブライン91のうち、最も−Xs側に配置されたスクライブライン91)が検出され、当該最外周スクライブライン910aのXs座標位置が特定される(図9の上段)(ステップS11)。
【0062】
ここで、最外周ライン検出部221が、ステージ11上に載置された基板9の−R側の端部にある最外周スクライブライン910を検出する処理について、図9に加えて図11を参照しながら具体的に説明する。図11は、当該処理の流れを示す図である。
【0063】
最外周ライン検出部221は、まず、撮像部12を定められた初期位置に移動させた上で(ステップS101)、撮像部12に基板9の面内領域内の所定領域M11を撮像させる(ステップS102)。ここで、初期位置は、具体的には、基板9が−R方向に最大に位置ずれした状態でステージ11に載置された場合に当該基板9のレイアウト領域93の外縁がくる位置の真上に規定される。このように初期位置を規定しておけば、当該初期位置に配置された撮像部12が撮像する領域M11は、必ず(すなわち、ステージ11上に基板9がどのように載置されていたとしても、必ず)、基板9のレイアウト領域93の外縁を含む領域、あるいは、レイアウト領域93の外側の領域となる。
【0064】
続いて、最外周ライン検出部221は、ステップS102で取得された撮像データを解析して、R軸と直交するスクライブライン91を検出する(ステップS103)。なお、スクライブライン91の検出は、上述したとおり、例えば、記憶装置144に予め格納されたテンプレート画像データとのパターンマッチングによって行われる。
【0065】
ステップS103で、R軸と直交するスクライブライン91が検出されなかった場合(ステップS103でNO)、先に撮像された領域M11がレイアウト領域93の外側であったということになる。この場合、最外周ライン検出部221は、撮像部12を+R方向(すなわち、基板9の中心付近に向かって)に移動させて(ステップS104)、先に撮像された領域M11の+R側に隣接する領域M12を撮像させる(ステップS102)。そして、当該新たに取得された撮像データを解析して、再びR軸と直交するスクライブライン91を検出する(ステップS103)。
【0066】
ステップS103で、R軸と直交するスクライブライン91が検出された場合(ステップS103でYES)、最外周ライン検出部221は、当該検出されたスクライブライン91は最外周スクライブライン910であると判断する。すなわち、ステップS103で解析対象となる撮像データの撮像領域よりも−R側の領域にはR軸と直交するスクライブライン91は存在しないことが確認されており、上述したとおり、撮像部12の撮像領域は、基板9上の1個のチップ領域92のサイズよりも小さいため、1回の撮像で得られる撮像データから検出され得るスクライブライン91(R軸と直交するスクライブライン91)は最大で1個である。したがって、ステップS103で、R軸と直交するスクライブライン91が検出された場合、当該スクライブライン91は、最外周スクライブライン910と断定できることになる。最外周スクライブライン910が検出されると、最外周ライン検出部221は、当該最外周スクライブライン910の位置(当該検出された最外周スクライブライン910がYs軸と平行に延在するものである場合は、当該最外周スクライブライン910のXs座標位置、当該検出された最外周スクライブライン910がXs軸と平行に延在するものである場合は、当該最外周スクライブライン910のYs座標位置)を特定し、当該位置情報を記憶する(ステップS105)。なお、ここでは、上記<撮像部12>で述べたように、撮像部12の撮像領域が、基板9上の1個のチップ領域92のサイズより小さいことを前提としているが、撮像部12の撮像領域が1個のチップ領域92のサイズより大きい場合には、撮像データに複数のスクライブライン91が検出される場合がでてくる。その場合、検出された複数のスクライブライン91のうち最も−R側のスクライブライン91を最外周スクライブライン910と断定することができる。
【0067】
このように、最外周ライン検出部221は、撮像部12を、基板9の径方向に沿って基板9のエッジ付近から基板9の中心付近に向けて相対的に移動させつつ、撮像部12に撮像データを次々と取得させ、当該次々と取得される各撮像データをその取得順に解析して、はじめに検出されたスクライブライン91を、最外周スクライブライン910として検出する。
【0068】
再び図8〜図10を参照する。−Xs側の最外周スクライブライン910aのXs位置が特定されると、続いて、最外周ライン検出部221は、θ駆動機構131を制御してステージ11をθ軸に沿って180度回転させた上で、再び、ステージ11上に載置された基板9の−R側の端部にある最外周スクライブライン910を検出する。ステージ11がθ軸に沿って180度回転されると、−R方向は+Xs方向と一致した状態となる。したがって、ここでは、+Xs側の最外周スクライブライン910b(すなわち、Ys軸と平行に延在する一群のスクライブライン91のうち、最も+Xs側に配置されたスクライブライン91)が検出され、当該最外周スクライブライン910bのXs座標位置が特定される(図9の下段)(ステップS12)。
【0069】
+Xs側の最外周スクライブライン910bのXs位置が特定されると、続いて、最外周ライン検出部221は、θ駆動機構131を制御してステージ11をθ軸に沿って90度回転させた上で、再び、ステージ11上に載置された基板9の−R側の端部にある最外周スクライブライン910を検出する。ステージ11がθ軸に沿って90度回転されると、−R方向は−Ys方向と一致した状態となる。したがって、ここでは、−Ys側の最外周スクライブライン910c(すなわち、Xs軸と平行に延在する一群のスクライブライン91のうち、最も−Ys側に配置されたスクライブライン91)が検出され、当該最外周スクライブライン910cのYs座標位置が特定される(図10の上段)(ステップS13)。
【0070】
−Ys側の最外周スクライブライン910cのYs位置が特定されると、続いて、最外周ライン検出部221は、θ駆動機構131を制御してステージ11をθ軸に沿って180度回転させた上で、再び、ステージ11上に載置された基板9の−R側の端部にある最外周スクライブライン910を検出する。ステージ11がθ軸に沿って180度回転されると、−R方向は+Ys方向と一致した状態となる。したがって、ここでは、+Ys側の最外周スクライブライン910d(すなわち、Xs軸と平行に延在する一群のスクライブライン91のうち、最も+Ys側に配置されたスクライブライン91)が検出され、当該最外周スクライブライン910dのYs座標位置が特定される(図10の下段)(ステップS14)。
【0071】
ステップS11〜ステップS14の処理が行われることによって、Ys軸と平行に延在する一群のスクライブライン91のうち両端に配置された一対の最外周スクライブライン910a,910bの各Xs位置と、Xs軸と平行に延在する一群のスクライブライン91のうち両端に配置された一対の最外周スクライブライン910c,910dの各Ys位置とがそれぞれ特定されることになる。各最外周スクライブライン910a,910b,910c,910dの位置が特定されると、続いて、中央チップ領域特定部222が、中央チップ領域920の位置を特定する(ステップS15)。なお、ステップS15の処理は、ステップS11〜ステップS14の全ての処理が完了するのを待って開始される必要はなく、例えばステップS12の処理が完了した時点で開始されてもよい。
【0072】
ステップS15の処理について、図12〜図14を参照しながら具体的に説明する。図12は、当該処理の流れを示す図である。図13、図14は、当該処理を説明するための図である。
【0073】
中央チップ領域特定部222は、まず、Ys軸と平行に延在する一対の最外周スクライブライン910a,910bの各Xs位置が適正値か否かを確認する(ステップS201)。具体的には、中央チップ領域特定部222は、当該一対の最外周スクライブライン910a,910bのXs軸についての離間距離ΔXsを算出し、算出された値が、チップ領域92の前後方向の長さd1(図1参照)の整数倍、チップ領域92の左右方向の長さd2(図1参照)の整数倍の、少なくともどちらかに該当するか否かを判断する。
【0074】
ステップS201で否定的な結果が得られた場合(すなわち、離間距離ΔXsが、長さd1の整数倍でもなく、長さd2の整数倍でもない場合)、中央チップ領域特定部222は、一対の最外周スクライブライン910a,910bの各Xs位置は適正値でないと判断し、定められたエラー処理を行った上で、処理を終了する。
【0075】
一方、ステップS201で肯定的な評価が得られた場合、中央チップ領域特定部222は、一対の最外周スクライブライン910a,910bの各Xs位置は適正値であると判断する。この場合、中央チップ領域特定部222は、続いて、当該一対の最外周スクライブライン910a,910bの各Xs位置に基づいて、Ys軸と平行に延在し、これら一対の最外周スクライブライン910a,910bの中間を通る中心線(以下、「第1中心線C1」という)のXs位置を特定する(ステップS202)。第1中心線C1は、Ys軸と平行に延在し、レイアウト中心930を通るラインとなっている。
【0076】
続いて、中央チップ領域特定部222は、Xs軸と平行に延在する一対の最外周スクライブライン910c,910dの各Ys位置が適正値か否かを確認する(ステップS203)。この処理は、上述したステップS201の処理と同様である。すなわち、中央チップ領域特定部222は、当該一対の最外周スクライブライン910c,910dのYs軸についての離間距離ΔYsを算出し、算出された値が、チップ領域92の前後方向の長さd1の整数倍、チップ領域92の左右方向の長さd2の整数倍の、少なくともどちらかに該当するか否かを判断する。
【0077】
ステップS203で否定的な結果が得られた場合、中央チップ領域特定部222は、一対の最外周スクライブライン910c,910dの各Ys位置は適正値でないと判断し、定められたエラー処理を行った上で、処理を終了する。
【0078】
一方、ステップS203で肯定的な評価が得られた場合、中央チップ領域特定部222は、一対の最外周スクライブライン910c,910dの各Ys位置は適正値であると判断する。この場合、中央チップ領域特定部222は、続いて、当該一対の最外周スクライブライン910c,910dの各Ys位置に基づいて、Xs軸と平行に延在し、これら一対の最外周スクライブライン910c,910dの中間を通る中心線(以下、「第2中心線C2」という)のYs位置を特定する(ステップS204)。第2中心線C2は、Xs軸と平行に延在し、レイアウト中心930を通るラインとなっている。
【0079】
続いて、中央チップ領域特定部222は、第1中心線C1と、第2中心線C2との交点の位置を特定し、これをレイアウト中心930の位置として取得する(ステップS205)。これによって、レイアウト中心930の位置が、XsYs座標内で特定されたことになる。
【0080】
上述したとおり、中央チップ領域920はレイアウト中心930に対して定められた位置関係にある。そこで、レイアウト中心930の位置が特定されると、中央チップ領域特定部222は、当該レイアウト中心930の位置に基づいて、中央チップ領域920の位置をXsYs座標内で特定する(ステップS206)。
【0081】
ステップS206の処理について具体的に説明する。ステップS205の処理が完了した段階では、基板9の回転位置は正確には特定されていないので、基板9の前後方向、左右方向にそれぞれ延在するスクライブライン91がXs軸、Ys軸のどちらと平行な状態なのかは決定できない。したがって、レイアウト中心930に対応する中央チップ領域920の位置は、図14に示されるように、基板9の正立状態に対する回転位置によって4通りの可能性があり、中央チップ領域920が実際に存在する位置はその4通りのうちの一つである。そこで、中央チップ領域特定部222は、まず、基板9が正立状態から0度ずれている(すなわち、正立状態からのずれがない)とした場合の中央チップ領域920の位置D1、基板9が正立状態から90度ずれているとした場合の中央チップ領域920の位置D2、基板9が正立状態から180度ずれているとした場合の中央チップ領域920の位置D3、基板9が正立状態から270度ずれているとした場合の中央チップ領域920の位置D4、をそれぞれ算出する。
【0082】
続いて、ターゲットマーク検出部212が、当該計算結果による4通りの位置D1,D2,D3,D4のそれぞれに中央チップ領域920が存在するとした各場合について、当該中央チップ領域920の中においてターゲットマーク94が存在するはずの領域を撮像部12に撮像させる。
【0083】
続いて、ターゲットマーク検出部212は、得られた4つの画像のそれぞれについてターゲットマーク94の検出を行って、当該画像中に、所定の位置、所定の姿勢でターゲットマーク94が存在するか否かを判断する。この判断は、例えば、記憶装置144に予め格納されたテンプレート画像データとのパターンマッチングによって行われる。
【0084】
4つの画像データのうちで、当該画像中にターゲットマーク94が所定の位置、所定の姿勢で実際に存在するものは一つだけである。したがって、4つの画像うちでターゲットマーク94が所定の位置、所定の姿勢で存在している画像がどれであるかが特定されると、当該画像により撮像されている位置が、中央チップ領域920が実際に存在している位置であるといえる。そこで、中央チップ領域特定部222は、4つの位置D1,D2,D3,D4のうち、中央チップ領域920が実際に存在すると判明した位置のXsYs座標を、中央チップ領域920の位置として取得する。
【0085】
なお、4つの画像うちでターゲットマーク94が所定の位置、所定の姿勢で存在している画像がどれであるかが特定されると、中央チップ領域920の位置が判明すると同時に、基板9の正立状態からの回転ずれ量が0度、90度、180度、270度のいずれであるかも判明する。そこで、回転角度特定部213は、ここで判明した基板9の正立状態からの回転ずれ量を、基板9の正しい回転角度θ2として取得する。
【0086】
再び図8を参照する。上述したとおり、中央チップ領域920の位置と基板中心90の位置とは予め規定された既知の値である。そこで、ステップS15において中央チップ領域920の位置がXsYs座標内で特定されると、続いて、中心位置特定部223が、当該中央チップ領域920の位置に基づいて、基板中心90の位置をXsYs座標系内で特定する(ステップS16)。ただし、XY座標系とXsYs座標系との関係は制御部14において常に把握されているため、XsYs座標系で基板中心90の位置が特定されると、直ちに、XY座標系での基板中心90の位置が特定されることになる。
【0087】
続いて、回転位置補正部21が、基板9の正しい回転角度θ2に応じて、基板9の回転位置を正補正する(ステップS17)。上述したとおり、回転角度特定部213は、ターゲットマーク94が検出された位置に基づいて、基板9の正しい回転角度θ2が0度、90度、180度、270度のいずれであるかを特定している。そこで、駆動機構制御部214は、駆動機構13を制御して、ステージ11を、当該回転角度θ2に応じて回転させて、基板9の前方向を−Y方向と一致させる(図7の下段)。すなわち、基板9を正立状態とする。
【0088】
<5.描画装置3>
<5−1.構成>
次に、位置検出装置1が搭載された描画装置3の構成について、図15を参照しながら説明する。図15は、描画装置3の概略構成を示す模式図である。
【0089】
描画装置3は、露光用光であるレーザ光を走査しつつ照射することによって描画対象物に局所的な露光を連続的に行って、描画対象物に所望の回路パターンについての露光画像を描画する直接描画装置(直描装置)であり、描画ステージ31と、描画ステージ駆動機構32と、光学ヘッド33とを備える。さらに、上述した位置検出装置1と、位置検出装置1と描画ステージ31との間で基板9の受け渡しを行う搬送装置34を備える。また、これら各部を得制御する制御部35を備える。
【0090】
<描画ステージ31>
描画ステージ31は、平板状の外形を有し、その上面に描画対象物である基板9を水平姿勢に載置して保持する保持部である。描画ステージ31の上面には、複数の吸引孔(図示省略)が形成されており、この吸引孔に負圧(吸引圧)を形成することによって、描画ステージ31上に載置された基板9を描画ステージ31の上面に固定保持することができるようになっている。
【0091】
<描画ステージ駆動機構32>
描画ステージ駆動機構32は、描画ステージ31を基台301に対して移動させる機構であり、描画ステージ31を主走査方向、主走査方向と直交する副走査方向、および回転方向(鉛直軸周りの回転方向)の各方向にそれぞれ移動させる。
【0092】
<光学ヘッド33>
光学ヘッド33は、描画ステージ31に載置された基板9の上面に露光用の光を照射して、基板9に回路パターンを描画する機構である。光学ヘッド33は、光源331と変調部332とを主として備える。
【0093】
光源331は、レーザ光を出射する。光源331から出射された光は、照明光学系(図示省略)を介して強度分布が均一な線状の光(光束断面が線状の光であるラインビーム)とされた上で、変調部332に入射する。
【0094】
変調部332は、光源331から出射された光に空間変調を施す機能部である。ただし、光を空間変調させるとは、具体的には、光の空間分布(振幅、位相、および偏光等)を変化させることを意味する。変調部332は、例えば、回折格子型の空間光変調器であるGLV(Grating Light Valve:グレーチング・ライト・開閉弁)(シリコン・ライト・マシーンズ(サンノゼ、カリフォルニア)の登録商標)を含む構成することができる。また例えば、DMD(Digital Micromirror Device:デジタルマイクロミラーデバイス:テキサスインスツルメンツ社の登録商標)のような変調単位であるマイクロミラーが二次元的に配列された空間光変調器を含む構成としてもよい。また例えば、ミラーのような変調単位が一次元に配列されている空間光変調器を含む構成としてもよい。
【0095】
変調部332は、例えば副走査方向に沿って配列されたM個の空間変調素子を備え、各空間変調素子が、制御部35の制御に応じて、レーザ光の照射のオン/オフ設定を行う。これによって、変調部332からは、副走査方向に沿うM画素分の空間変調された光が出射されることになる。ただし、制御部35は、基板9に描画すべき回路パターン群を記述した描画データに従って変調部332を駆動する。したがって、変調部332からは、描画データに基づく変調を受けたM画素分の空間変調された光が出射されることになる。
【0096】
この構成において、光学ヘッド33が、描画ステージ31に載置された基板9に対して主走査方向に相対的に移動されつつ、副走査方向に沿うM画素分の空間変調された光を断続的に出射する(すなわち、基板9の表面にパルス光を繰り返して投影し続ける)ことによって、基板9上に回路パターン群(描画データに記述された回路パターン群)が描画されることになる。
【0097】
<搬送装置34>
搬送装置34は、基板9を支持するための2本のハンド341,341と、ハンド341,341を独立に移動させるハンド駆動機構342とを備える。各ハンド341は、ハンド駆動機構342によって駆動されることにより進退移動および昇降移動されて、描画ステージ31と位置検出装置1との間での基板9の受け渡しを行う。
【0098】
<位置検出装置1>
位置検出装置1は、基板9の位置を検出する装置であり、描画処理前の未処理の基板9に対して、位置検出処理を行う。位置検出装置1の構成および動作は、上述したとおりである。なお、位置検出装置1の制御部14は、描画装置3の制御部35において実現される。
【0099】
<制御部35>
制御部35は、描画装置3が備える各部と電気的に接続されており、各種の演算処理を実行しつつ描画装置3の各部の動作を制御する。制御部35は、一般的なコンピュータにより構成することができる(図3参照)。制御部35の記憶装置には、基板9に露光すべきパターンを記述したデータ(描画データ)が格納されており、制御部35は、上述したとおり、当該描画データに基づいて光学ヘッド33を制御する。なお、描画データは、例えば、CADを用いて生成されたCADデータをラスタライズしたデータであり、画素位置ごとの露光の有無が設定されたデータである。制御部35は、基板9に対する一連の処理に先立って描画データを取得して記憶装置に格納している。なお、描画データの取得は、例えばネットワーク等を介して接続された外部端末装置から受信することにより行われてもよいし、記録媒体から読み取ることにより行われてもよい。
【0100】
<5−2.動作>
描画装置3の動作について図16を参照しながら説明する。図16は、描画装置3において行われる一連の処理の流れを示す図である。以下に説明する一連の動作は、制御部35の制御下で行われる。
【0101】
まず、搬送装置34が、カセット載置部(図示省略)に載置されたカセットから未処理の基板9を取り出して描画装置3に搬入する(ステップS301)。
【0102】
搬送装置34は、描画装置3内に搬入された基板9を、まず、位置検出装置1のステージ11上に載置する。位置検出装置1においては、ステージ11上に載置された基板9の位置を検出する処理(位置検出処理)が行われる(ステップS302)。当該処理の具体的な流れは上述したとおりである。位置検出処理が行われることによって、ステージ11に載置された基板9が正立状態におかれるとともに、基板中心90の位置が位置検出装置1の座標系、ひいては、描画装置3の座標系において特定される。
【0103】
位置検出処理が終了すると、続いて、搬送装置34が、位置検出装置1から基板9を搬出してこれを描画ステージ31に載置する(ステップS303)。ただし、搬送装置34は、ステージ11に載置された基板9をハンド341で取り上げる際に、ステップS302で特定された基板中心90の位置情報に応じてハンド341の位置を調整して、ハンド341に対して定められた位置(例えば、ハンド341の中心)を基板中心90と一致させるようにして基板9を取り上げる。そして、ハンド341の中心を、描画ステージ31の中心と一致させるようにして、ハンド341上に保持された基板9を描画ステージ31に載置する。これによって、描画ステージ31の中心に基板中心90が位置合わせされた状態で、描画ステージ31に基板9が載置されることになる。つまり、描画装置3においては、搬送装置34が、位置検出装置1が特定した基板9の位置に基づいて、描画ステージ31における基板9の載置位置を調整する位置調整部として機能する。
【0104】
描画ステージ31は、その上面に基板9が載置されると、これを吸着保持する。基板9が描画ステージ31に吸着保持された状態となると、基板9に対するパターンの描画処理が行われる(ステップS304)。描画処理においては、制御部35が、描画ステージ駆動機構32に描画ステージ31を主走査方向に沿って移動させる動作(主走査)と、描画ステージ31を副走査方向に沿って移動させる動作(副走査)とを繰り返して行わせる。その一方で、制御部35は、描画ステージ31が主走査方向に沿って移動される間、光学ヘッド33に描画光(描画データに応じた空間変調が形成された、副走査方向に沿うM画素分の光)を生成させて、これを基板9に向けて断続的に照射させる。したがって、1回の主走査が終了する度に、光学ヘッド33によって基板9の表面に1ストライプ分のパターンの描画が行われることになる。1回の主走査が終了すると、描画ステージ駆動機構32は、描画ステージ31を、副走査方向に沿って、1ストライプの幅に相当する距離だけ移動させる(副走査)。副走査が終了すると、再び主走査が行われるところ、ここでも光学ヘッド33によって基板9に対して1ストライプ分のパターンの描画が行われ、これによって先に描画されている1ストライプ分の描画領域の隣に、さらに1ストライプ分のパターンの描画が行われる。主走査と副走査とが定められた回数だけ繰り返して行われることによって、基板9の表面の全域にパターンが描画されることになる。
【0105】
基板9上面の全域にパターンが描画されると、搬送装置34が処理済みの基板9を搬出する(ステップS305)。これによって、当該基板9に対する一連の処理が終了する。
【0106】
<6.効果>
上記の実施の形態に係る位置検出装置1においては、基板9上に形成されたスクライブライン91のうち最外周に配置されている最外周スクライブライン910の位置を検出し、これに基づいて基板中心90の位置を特定する。この構成によると、基板9のエッジ情報を用いずに基板9の面内情報だけで、基板9の位置を迅速かつ確実に特定できる。
【0107】
特に、上記の実施の形態に係る位置検出装置1においては、最外周スクライブライン910の位置に基づいて、レイアウト中心930の位置を特定し、当該レイアウト中心930の位置に基づいて中央チップ領域920の位置を特定する。この構成によると、中央チップ領域920の位置を簡易かつ正確に特定することができる。
【0108】
特に、上記の実施の形態に係る位置検出装置1においては、第1の軸と平行に延びる最外周スクライブライン910a,910bの中心線(第1中心線C1)と、第1の軸と直交する第2の軸と平行に延びる最外周スクライブライン910c,910dの中心線(第2中心線C2)とをそれぞれ特定し、これら中心線C1,C2の交点位置をレイアウト中心930の位置として取得する。この構成によると、レイアウト中心930の位置を効率的に特定することができる。
【0109】
特に、上記の実施の形態に係る位置検出装置1においては、撮像部12をステージ11上に載置された基板9の径方向に沿って基板9のエッジ付近から基板9の中心付近に向けて相対的に移動させつつ、撮像部12に撮像データを次々と取得させ、当該次々と取得される各撮像データをその取得順に解析して、はじめに検出されたスクライブライン91を、最外周スクライブライン910として検出する。この構成によると、最外周スクライブライン910を正確かつ速やかに特定することができる。
【0110】
特に、上記の実施の形態に係る位置検出装置1においては、スクライブライン91の延在方向に基づいて基板9の回転姿勢を特定するので、基板9のエッジ情報を用いずに基板9の面内情報だけで、基板9の回転位置を検出することができる。
【0111】
特に、上記の実施の形態に係る描画装置3においては、基板9のエッジ情報を用いずに基板9の面内情報だけで、基板9の位置を迅速かつ確実に特定し、当該特定された基板9の位置に基づいて、描画ステージ31における基板9の載置位置が調整される。したがって、スループットの低下を抑制しつつ、基板9に対して適切な描画処理を行うことができる。
【0112】
<7.変形例>
上記の実施の形態においては、ステップS206の処理において、中央チップ領域920が存在する可能性のある位置を4通り想定し、各位置についてターゲットマーク94の検出を行っていた。この態様は、チップ領域92の形状がどのようなもの(例えば、正方形)であっても適用できるという利点がある。ここで、例えば、チップ領域92が長方形である場合、ステップS201において離間距離ΔXsが例えばチップ領域92の前後方向の長さd1の整数倍であった場合には、基板9の前後方向がXs軸に沿うと特定される。したがって、中央チップ領域920の姿勢は前後方向をXs軸に沿わせる2通りの姿勢に絞られる。逆に、ステップS201において離間距離ΔXsがチップ領域92の左右方向の長さd2の整数倍であった場合には、基板9の左右方向がXs軸に沿うと特定される。したがってこの場合、中央チップ領域920の姿勢は左右方向をXs軸に沿わせる2通りの姿勢に絞られる。このように、ステップS201の結果に応じて中央チップ領域920の位置を2通りに絞り込んで、当該2通りの中央チップ領域920に対応するターゲットマーク94の位置のみを撮像してパターンマッチングを行ってもよい。ステップS203において離間距離ΔYsが長さd1または長さd2の整数倍であった場合にも同様である。この変形例は、中央チップ領域92チップの前後方向の長さd1と左右方向の長さd2との差が大きい場合に特に有効である。
【0113】
また、上記の実施の形態に係る駆動機構13は、必ずしも、ステージ11をθ方向に回動させるθ駆動機構131と、撮像部12をR方向に移動させるR駆動機構132とを備える構成である必要はない。例えば、駆動機構13は、固定されたステージ11に対して撮像部12をR方向およびθ方向の各方向に相対的に移動させる機構を備える構成としてもよい。逆に、固定された撮像部12に対してステージ11をR方向およびθ方向の各方向に相対的に移動させる機構を備える構成としてもよい。
【0114】
また、上記の実施の形態においては、駆動機構13は、ステージ11と撮像部12とをR方向およびθ方向の各方向に相対的に移動させる機構であるとしたが、必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、駆動機構13は、ステージ11をX方向、Y方向およびθ方向のそれぞれに移動させるXYθ駆動機構を備える構成としてもよい。
【0115】
また、上記の実施の形態においては、基板9の正立状態からのずれ量が、0度、90度、180度、270度、のうちのいずれであるかを、ターゲットマーク94の形状に基づいて特定していたが、これ以外の態様で特定することもできる。例えば、チップ領域92内の定められた位置(例えば、左前の隅)にターゲットマーク94が形成されている場合、チップ領域92の4隅をそれぞれ撮像して、ターゲットマーク94がどの隅から検出されるかに基づいて、基板9の正立状態からのずれ量を特定することもできる。また例えば、基板の面内領域におけるエッジ付近であって定められた方向(例えば前方向)の位置にターゲットマーク94を形成しておき、+X方向、−X方向、+Y方向、−Y方向のそれぞれについて基板9の面内領域におけるエッジ付近の各位置をそれぞれ撮像して、ターゲットマーク94がどの方向から検出されるかに基づいて、基板9の正立状態からのずれ量を特定することもできる。
【0116】
また、上記の実施の形態においては、+Xs側の最外周スクライブライン910を検出した後に、ステージ11をθ軸に沿って180度回転させることによって、撮像部12を基板9の−Xs側の端部に相対移動させていたが、ステージ11を移動させずに撮像部12をR軸に沿って移動させることによって、撮像部12を基板9の−Xs側の端部に相対移動させてもよい。Ys方向についても同様である。
【0117】
また、上記の実施の形態に係る描画装置3においては、搬送装置34が、位置検出装置1が特定した基板9の位置に基づいて、描画ステージ31における基板9の載置位置を調整していたが、位置検出装置1にステージ11をX方向およびY方向に沿って移動させるXY駆動機構を設けておき、当該XY駆動機構が、位置検出処理が終了した後に、当該処理によって特定された基板中心90の位置情報に応じてステージ11を移動させて、XY座標内の定められた位置(例えば、原点位置)に基板中心90が一致するようにステージ11を移動させる構成としてもよい。この場合、搬送装置34は、常に定められた位置(例えば、XY座標の原点位置にハンド341の中心がくるような位置)で基板9を取り上げるだけでよい。つまり、この変形例においては、XY駆動機構が、位置検出装置1が特定した基板9の位置に基づいて、描画ステージ31における基板9の載置位置を調整する位置調整部として機能することになる。
【0118】
また、上記の実施の形態において、撮像部12を、ステージ11の載置面の法線方向に沿って移動させる機構を設けてもよい。この構成においては、当該駆動機構を制御することによって、撮像部12と、ステージ11上に載置された基板9の表面領域との離間距離を調整することが可能となる。
【0119】
また、上記の実施の形態に係る描画装置3においては、位置検出装置1のステージ11と、描画ステージ31とが別々に設けられていたが、これらは1個のステージによって共用されてもよい。
【0120】
また、上記の実施の形態に係る描画装置3においては、描画ステージ31が描画ステージ駆動機構32により駆動されることによって、光学ヘッド33と基板9とが相対的に移動される構成としたが、固定された描画ステージ31に対して光学ヘッド33が移動されることによって(あるいは、描画ステージ31と光学ヘッド33とをともに移動させることによって)、光学ヘッド33と基板9とが相対的に移動されてもよい。
【0121】
また、上記の実施の形態においては、位置検出装置1が、変調した描画光によって基板9上の感光材料を走査することにより当該感光材料に直接パターンを露光する描画装置3に搭載された場合について説明したが、位置検出装置1は、例えば、光源とフォトマスクを用いて基板9上に形成された感光材料を面状に露光する露光装置に搭載されてもよいし、基板9に光を照射してパターンを露光する処理以外の様々な処理を行う基板処理装置に搭載されてもよい。例えば、対象となる基板を載置したステージを、塗布ヘッドに対して移動させつつ塗布ヘッドからステージ上の基板に対して塗布液を塗布する塗布処理装置、対象となる基板を載置したステージを、検査ヘッドに対して移動させつつ検査ヘッドからステージ上の基板を例えば撮像してその表面に形成されたパターン形状等を検査する検査理装置、等に搭載することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 位置検出装置
11 ステージ
12 撮像部
13 駆動機構
14 制御部
20 位置特定部
21 回転位置補正部
211 ライン方向検出部
212 ターゲットマーク検出部
213 回転角度特定部
214 駆動機構制御部
22 中心位置検出部
221 最外周ライン検出部
222 中央チップ領域特定部
223 中心位置特定部
3 描画装置
9 基板
90 基板中心
93 レイアウト領域
930 レイアウト中心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の位置を検出する位置検出装置であって、
前記基板を載置するステージと、
前記ステージに載置された前記基板の面内領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部が取得した撮像データに基づいて前記基板の位置を特定する位置特定部と、
を備え、
前記基板の面内領域が格子状のスクライブラインで区分されることにより、前記面内領域に複数のチップ領域が形成されており、
前記位置特定部が、
前記撮像データを解析して、前記スクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインを検出する最外周スクライブライン検出部と、
前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて、前記複数のチップ領域が配置されたレイアウト領域の中央に配置されている中央チップ領域の位置を特定する中央チップ領域特定部と、
前記中央チップ領域の位置に基づいて、前記基板の中心位置を特定する中心位置特定部と、
を備える位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置検出装置であって、
前記中央チップ領域特定部が、
前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて前記レイアウト領域の中心位置を特定し、前記レイアウト領域の中心位置に基づいて、前記中央チップ領域の位置を特定する、位置検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の位置検出装置であって、
前記最外周スクライブライン検出部が、
第1軸と平行に延在する一群の第1スクライブラインのうち、両端に配置されている一対の第1スクライブラインの各位置を検出するとともに、前記第1軸と直交する第2軸と平行に延在する一群の第2スクライブラインのうち、両端に配置されている一対の第2スクライブラインの各位置を検出し、
前記中央チップ領域特定部が、
前記両端に配置されている一対の第1スクライブラインの中心線と前記両端に配置されている一対の第2スクライブラインの中点線との交点位置を前記レイアウト領域の中心位置として取得する、
位置検出装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の位置検出装置であって、
前記ステージと前記撮像部とを相対的に移動させる駆動部、
を備え、
前記最外周スクライブライン検出部が、
前記撮像部を前記ステージ上に載置された前記基板の径方向に沿って前記基板のエッジ付近から前記基板の中心付近に向けて相対的に移動させつつ、前記撮像部に前記撮像データを次々と取得させ、当該次々と取得される各撮像データをその取得順に解析して、はじめに検出された前記スクライブラインを、前記最外周に配置されているスクライブラインとして検出する、位置検出装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の位置検出装置であって、
前記位置特定部が、
前記撮像データを解析して、前記スクライブラインの延在方向を検出する延在方向検出部と、
前記スクライブラインの延在方向に基づいて、前記基板の回転姿勢を特定する回転位置特定部と、
を備える、位置検出装置。
【請求項6】
基板の位置を検出する位置検出装置と、
前記基板を載置する描画ステージと、
前記描画ステージに載置された前記基板に向けて光を照射して、前記基板にパターンを描画する光照射部と、
前記位置検出装置が特定した前記基板の位置に基づいて、前記描画ステージにおける前記基板の載置位置を調整する位置調整部と、
を備え、
前記位置検出装置が、
前記基板を載置するステージと、
前記ステージに載置された前記基板の面内領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部が取得した撮像データに基づいて前記基板の位置を特定する位置特定部と、
を備え、
前記基板の面内領域が格子状のスクライブラインで区分されることにより、前記面内領域に複数のチップ領域が形成されており、
前記位置特定部が、
前記撮像データを解析して、前記スクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインを検出する最外周スクライブライン検出部と、
前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて、前記複数のチップ領域が配置されたレイアウト領域の中央に配置されている中央チップ領域の位置を特定する中央チップ領域特定部と、
前記中央チップ領域の位置に基づいて、前記基板の中心位置を特定する中心位置特定部と、
を備える描画装置。
【請求項7】
基板の位置を検出する位置検出方法であって、
a)ステージに載置された前記基板の面内領域を撮像する工程と、
b)前記a)工程で取得された撮像データに基づいて前記基板の位置を特定する工程と、
を備え、
前記基板の面内領域が格子状のスクライブラインで区分されることにより、前記面内領域に複数のチップ領域が形成されており、
前記b)工程が、
b1)前記撮像データを解析して、前記スクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインを検出する工程と、
b2)前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて、前記複数のチップ領域が配置されたレイアウト領域の中央に配置されている中央チップ領域の位置を特定する工程と、
b3)前記中央チップ領域の位置に基づいて、前記基板の中心位置を特定する工程と、
を備える位置検出方法。
【請求項1】
基板の位置を検出する位置検出装置であって、
前記基板を載置するステージと、
前記ステージに載置された前記基板の面内領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部が取得した撮像データに基づいて前記基板の位置を特定する位置特定部と、
を備え、
前記基板の面内領域が格子状のスクライブラインで区分されることにより、前記面内領域に複数のチップ領域が形成されており、
前記位置特定部が、
前記撮像データを解析して、前記スクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインを検出する最外周スクライブライン検出部と、
前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて、前記複数のチップ領域が配置されたレイアウト領域の中央に配置されている中央チップ領域の位置を特定する中央チップ領域特定部と、
前記中央チップ領域の位置に基づいて、前記基板の中心位置を特定する中心位置特定部と、
を備える位置検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置検出装置であって、
前記中央チップ領域特定部が、
前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて前記レイアウト領域の中心位置を特定し、前記レイアウト領域の中心位置に基づいて、前記中央チップ領域の位置を特定する、位置検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の位置検出装置であって、
前記最外周スクライブライン検出部が、
第1軸と平行に延在する一群の第1スクライブラインのうち、両端に配置されている一対の第1スクライブラインの各位置を検出するとともに、前記第1軸と直交する第2軸と平行に延在する一群の第2スクライブラインのうち、両端に配置されている一対の第2スクライブラインの各位置を検出し、
前記中央チップ領域特定部が、
前記両端に配置されている一対の第1スクライブラインの中心線と前記両端に配置されている一対の第2スクライブラインの中点線との交点位置を前記レイアウト領域の中心位置として取得する、
位置検出装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の位置検出装置であって、
前記ステージと前記撮像部とを相対的に移動させる駆動部、
を備え、
前記最外周スクライブライン検出部が、
前記撮像部を前記ステージ上に載置された前記基板の径方向に沿って前記基板のエッジ付近から前記基板の中心付近に向けて相対的に移動させつつ、前記撮像部に前記撮像データを次々と取得させ、当該次々と取得される各撮像データをその取得順に解析して、はじめに検出された前記スクライブラインを、前記最外周に配置されているスクライブラインとして検出する、位置検出装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の位置検出装置であって、
前記位置特定部が、
前記撮像データを解析して、前記スクライブラインの延在方向を検出する延在方向検出部と、
前記スクライブラインの延在方向に基づいて、前記基板の回転姿勢を特定する回転位置特定部と、
を備える、位置検出装置。
【請求項6】
基板の位置を検出する位置検出装置と、
前記基板を載置する描画ステージと、
前記描画ステージに載置された前記基板に向けて光を照射して、前記基板にパターンを描画する光照射部と、
前記位置検出装置が特定した前記基板の位置に基づいて、前記描画ステージにおける前記基板の載置位置を調整する位置調整部と、
を備え、
前記位置検出装置が、
前記基板を載置するステージと、
前記ステージに載置された前記基板の面内領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部が取得した撮像データに基づいて前記基板の位置を特定する位置特定部と、
を備え、
前記基板の面内領域が格子状のスクライブラインで区分されることにより、前記面内領域に複数のチップ領域が形成されており、
前記位置特定部が、
前記撮像データを解析して、前記スクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインを検出する最外周スクライブライン検出部と、
前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて、前記複数のチップ領域が配置されたレイアウト領域の中央に配置されている中央チップ領域の位置を特定する中央チップ領域特定部と、
前記中央チップ領域の位置に基づいて、前記基板の中心位置を特定する中心位置特定部と、
を備える描画装置。
【請求項7】
基板の位置を検出する位置検出方法であって、
a)ステージに載置された前記基板の面内領域を撮像する工程と、
b)前記a)工程で取得された撮像データに基づいて前記基板の位置を特定する工程と、
を備え、
前記基板の面内領域が格子状のスクライブラインで区分されることにより、前記面内領域に複数のチップ領域が形成されており、
前記b)工程が、
b1)前記撮像データを解析して、前記スクライブラインのうち最外周に配置されているスクライブラインを検出する工程と、
b2)前記最外周に配置されたスクライブラインの検出位置に基づいて、前記複数のチップ領域が配置されたレイアウト領域の中央に配置されている中央チップ領域の位置を特定する工程と、
b3)前記中央チップ領域の位置に基づいて、前記基板の中心位置を特定する工程と、
を備える位置検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−74242(P2013−74242A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214298(P2011−214298)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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