位置検知方法
【課題】 絶対位置検知装置による移動軌跡に相対位置検知装置による移動軌跡をフィッティングさせる際に、少ない種類のパラメータで相対位置検知装置の位置を高精度に決定し維持する位置検知方法を提供する。
【解決手段】 相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、絶対位置検知装置の移動軌跡に相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるための回転角および移動量を求め、相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および移動量で補正し、補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始し、絶対位置検知装置の利用可能な新たな位置情報が得られるまでは、相対位置検知装置の出力値を上記回転角および移動量で補正し続ける。絶対位置検知装置の高精度区間における移動軌跡を用いて、相対位置検知装置の位置を補正できる。
【解決手段】 相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、絶対位置検知装置の移動軌跡に相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるための回転角および移動量を求め、相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および移動量で補正し、補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始し、絶対位置検知装置の利用可能な新たな位置情報が得られるまでは、相対位置検知装置の出力値を上記回転角および移動量で補正し続ける。絶対位置検知装置の高精度区間における移動軌跡を用いて、相対位置検知装置の位置を補正できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検知方法に係り、特に、GPSなどの測位衛星、無線LAN,無線ビーコン,無線通信網の基地局情報、RFIDなどを使い位置を検知する絶対位置検知方法と、移動物体の移動方向および移動距離を積分して相対的な位置を検知する相対位置検知方法とを融合し、位置をシームレスかつ高精度に検知する位置検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
相対位置の自立測位手段とGPSによる絶対位置の測位手段とを用いて自立測位手段の測位位置を補正する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の方法では、自立測位手段で検知した相対位置とGPSで検知した絶対位置との差分(距離)を観測し、この差分が予め決められた閾値を越えた場合に、自立測位の誤差が大きくなったと判断し、自立測位手段の相対位置をGPSにより測位した絶対位置に補正する。
【0004】
また、GPSで測位した計測点と自立測位により得られた計測点との誤差が最小になるようにする方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2の方法では、まず、GPSの移動軌跡と自立測位で求めた移動軌跡との残差平方和が最小になるように、自立測位に使われている方位センサや速度センサのパラメータおよび初期位置/初期方位の値を求める。次に、求めたパラメータを用いて、自立測位の計算を再度実施し、自立測位で求めた移動軌跡の精度を高める。
【0006】
さらに、GPSの衛星が見えていない場合や、GPSで求めた絶対位置と自立測位で求めた相対位置との差(距離)が予め決められた閾値よりも大きい場合には、その点を除いて自立測位用センサのパラメータを求めることも提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開平05−018768号公報(第3〜4頁 図1,図2)
【特許文献2】特開2000−241179号公報(第5〜12頁 図2〜図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の従来方法では、GPS測位と自立測位の位置との差分が大きくなった場合に、自立測位の測位点をGPS側の測位点に平行移動し補正している。したがって、切り換えた時点のGPSによる測位位置を自立測位の初期位置として位置計算をすることになる。
【0009】
ところが、この位置でのGPSの位置精度に関しては十分な配慮が無く、切り換え時点のGPSの位置精度が悪い場合には、切り換え後の誤差が大きくなるおそれがある。
【0010】
なお、GPS誤差に関して一定時間GPSで測位できない場合、その後測位しても最初の測位位置を用いて補正しないとしている。しかし、この判断だけでは、GPSの精度を評価するには不十分である。
【0011】
特許文献2の従来方法では、GPSによる移動軌跡と自立測位による移動軌跡とより、方位センサのゲイン補正値,オフセット補正値,車速センサの距離変換係数,初期位置,初期方位を残差平方和が最小になるように求めている。
【0012】
しかし、全てのパラメータを同時に求めることは困難であり、方位センサのゲイン補正値とオフセット補正値とは、パラメータ値を変化させて総当たり方式で値を求めている。したがって、計算コストの増大が懸念される。
【0013】
また、GPSの信頼性評価に関しては、特許文献1と同様に、GPS測位の測位点と自立測位の測位点との距離の差を評価関数として用いている。例えば、方位センサのオフセットの値が正しくない場合、GPSの誤差が少ない環境で直線上を移動したとしても、時間が経つにつれて、GPS測位値と自立測位値とは離れてしまう。
【0014】
2つの測位方法の距離の差を評価関数とし、この距離の差が閾値を越えた場合、GPSの精度が悪くなっていると判定され、正しく補正されない場合が発生する。
【0015】
また、特許文献2では、既に計測した区間において取得した補正パラメータを用いて、自立測位結果を内挿する処理を示している。
【0016】
しかし、新たに取得した自立測位用のデータを用いて補正したパラメータにより測位位置を外挿する方法は示されていない。したがって、データ取得後の後処理により精度を高めることが主目的であり、GPS測位と自立測位とを実時間で並列処理し精度を上げる方法にはなっていない。
【0017】
本発明の課題は、絶対位置検知装置による移動軌跡に相対位置検知装置による移動軌跡をフィッティングさせる際に、少ない種類のパラメータで相対位置検知装置の位置を高精度に決定し維持する位置検知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を解決するために、相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、絶対位置検知装置の移動軌跡に相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるための回転角および移動量を求め、相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および移動量で補正し、補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始する位置検知方法を提案する。
【0019】
本発明は、また、相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、絶対位置検知装置の移動軌跡に相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるための回転角および移動量を求め、相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および移動量で補正し、補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始し、絶対位置検知装置の利用可能な新たな位置情報が得られるまでは、相対位置検知装置の出力値を上記回転角および移動量で補正し続ける位置検知方法を提案する。
【0020】
より具体的には、相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、絶対位置検知装置の移動軌跡に相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるために、同じ時刻に測位した位置同士の距離が最小になるように、相対位置検知装置で検知した対象区間における移動軌跡全体の回転角および平行移動量を求め、相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および平行移動量で補正し、補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始する。
【0021】
さらに、相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、絶対位置検知装置の移動軌跡に相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるために、同じ時刻に測位した位置同士の距離が最小になるように、相対位置検知装置で検知した対象区間における移動軌跡全体の回転角および平行移動量を求め、相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および平行移動量で補正し、補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始し、絶対位置検知装置の利用可能な新たな位置情報が得られるまでは、相対位置検知装置の出力値を上記回転角および平行移動量で補正し続け、相対位置検知装置による自立測位を延長する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、絶対位置検知装置による移動軌跡に相対位置検知装置による移動軌跡をフィッティングさせる際に、位置を高精度に検知できる。
【0023】
また、絶対位置検知装置の誤差の評価が可能となり、その評価を利用して相対位置検知装置の補正パラメータを変更するか否かを判断し、位置を高精度に検知できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、図1〜図15を参照して、本発明による位置検知装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明による位置検知装置の一実施例の系統構成を示すブロック図である。
【0026】
位置検知装置100は、歩行者200や車両202などの位置を検知する。位置検知対象は、位置検知装置100を所持する歩行者200や、位置検知装置10を搭載する車両202に限らない。
【0027】
位置検知装置100は、移動量検知装置101と、移動方向検知装置102と、相対位置検知装置103と、相対位置検知装置出力値履歴メモリ104と、絶対位置検知装置105と、絶対位置検知装置出力値履歴メモリと、処理手段17と、位置表示装置108と、処理後の移動軌跡記憶用メモリ109とを含んでいる。
【0028】
相対位置検知装置103は、移動量検知装置101および移動方向検知装置102の出力に基づいて、相対移動量および相対移動方向を検知する。
【0029】
相対位置検知装置履歴メモリ104は、相対位置検知装置103の出力値を記憶する。例えば、相対移動量や相対移動方向を時刻とともに記憶する。
【0030】
絶対位置検知装置履歴メモリ106は、絶対位置検知装置105の出力履歴を記憶する。例えば、位置検知実行サイクル毎に出力される位置情報や方位情報を位置検知時刻とともに記憶する。
【0031】
処理手段107は、本実施例で説明する処理手順を実行する。
【0032】
位置表示装置108は、処理手段107で処理され検知した位置情報を表示する。すなわち、検知した移動軌跡を表示したり、地図と重ねて自分の位置を表示したりする。
処理後移動軌跡メモリ109は、今までに通ってきた移動軌跡を記憶し、移動軌跡を再利用する場合に備える。
【0033】
なお、位置表示装置108および処理後移動軌跡メモリ109は、必須ではない。例えばナビゲーションへの利用であれば、位置表示装置108は必要であるが、処理後移動軌跡メモリ109は無くてもよい。これとは逆に、行動履歴を検知する装置の場合は、位置表示装置108は必須ではなく、処理後移動軌跡メモリ109だけがあればよい。
【0034】
さらに、検知した位置情報を無線などを利用して外部装置に伝送し、外部装置側で検知対象の物体を監視する場合は、位置表示装置108や処理後移動軌跡メモリ109は要らない。
【0035】
本実施例1は、絶対位置検知装置105で求めたある区間の移動軌跡に対して、相対位置検知装置103で求めた移動軌跡の誤差が最小になるように座標変換し、フィッティングの位置精度を高める方法を採用する。
【0036】
絶対位置検知装置105の代表例としては、GPSがある。絶対位置検知装置105としては、GPSの他に、GPS衛星以外の測位衛星を用いた衛星測位システム、無線LANや無線ビーコン等の無線伝送手段を使い複数の無線局(既知の位置)から移動物体までの距離を計測し位置を検知するシステム、位置が分かっているRFIDやビーコンの識別情報を読み込み識別情報と位置との対応より位置を検知するシステムなどがある。すなわち、絶対位置検知装置105は、どこかに固定された基準点からの位置関係を直接検知する手段を用いて自分の絶対位置を検知する。
【0037】
これに対して、相対位置検知装置103は、基準になる位置から変位量の積算処理により位置を検知する装置である。相対位置検知装置103の代表例としては、慣性航法装置がある。相対位置検知装置103は、基準点からの単位時間当たりの移動量および移動方向の変化を積算して位置を検知する。
【0038】
図2は、実施例1の位置検知装置で実行する位置検知処理手順の概要を示すフローチャートである。
【0039】
ステップ1:絶対位置検知装置105は、現在位置を検知し、絶対位置検知装置出力値履歴メモリ106に過去の移動軌跡および現在位置として各時刻における絶対位置を記憶させる。
【0040】
ステップ2:相対位置検知装置103は、移動量検知装置101および移動方向検知装置102の出力を取り込み、相対位置検知装置履歴メモリ104に過去の移動軌跡および現在位置として各時刻における相対位置を記憶させる。相対移動軌跡は、一番古い時刻を初期位置とし記憶されている移動量および移動方向の変化を積算して求められる。
【0041】
ステップ3:処理手段107は、フィッティングパラメータ算出手順において、ステップ1およびステップ2の移動軌跡の同時刻における距離の合計が最小となるように、ステップ2の移動軌跡全体の回転角および平行移動量を求める。
【0042】
なお、相対位置検知装置103による位置検知において移動量や移動方向の検知誤差が大きい場合、最適にフィッティングできない。
【0043】
また、絶対位置検知装置105においても、部分的に測位誤差が発生している場合、最適にフィッティングできない。例えば、GPSでは、GPS衛星が見えなくなったり、マルチパスなどによる測位誤差が生じたりして、測位誤差が生じる。
【0044】
ここでは、原理的動作を説明するために、誤差が少ないと仮定する。相対位置検知装置103で生じる移動量や移動方向の検知誤差を修正しながらフィッティングさせる方法や、絶対位置検知装置105で生じる部分的な誤差を修正しながらフィッティングさせる方法は、後の実施例で説明する。
【0045】
このように最適にフィッティングできない場合を除けば、ステップ1の移動軌跡にステップ2の移動軌跡をフィッティングさせるための補正パラメータは、ステップ2の移動軌跡全体を回転させる回転角度と平行移動とになる。すなわち、ステップ2の移動軌跡の初期位置での進行方向および初期位置の絶対位置がフィッティングパラメータとして求められる。
【0046】
ステップ4:ステップ2の移動軌跡をステップ1の移動軌跡にフィッティングさせるためにステップ3で求めた補正パラメータを用いて、ステップ2の移動軌跡を再計算する。具体的には、ステップ3で求めた初期位置の絶対位置および初期位置を用いて、ステップ2と同様に積算処理する。
【0047】
なお、移動軌跡が不要で現在位置だけを補正したいのであれば、ステップ3で求めた回転角および平行移動量を用いて、ステップ2で求めた相対位置検知装置103による現在の位置座標をアフィン変換により求めてもよい。
【0048】
ステップ4で求めた移動軌跡は、ステップ1の絶対位置検知装置105で求めた移動軌跡に含まれている検出誤差による位置のばらつきを平均化することになり、ステップ1で求めた位置と比べて、ステップ4で求めた位置の方が高精度と考えられる。
【0049】
現在位置だけを修正するのであれば、この処理手順4で処理は終了となり、ステップ6にジャンプし、現在位置を出力する。
【0050】
以後、新たなデータを取得する毎にこの処理を繰り返し、現在位置を更新していく。
【0051】
ステップ5:ステップ4の処理は、絶対位置検知装置105から絶対位置が出力された最新時刻までのステップ2の移動軌跡を再計算している。これに対し、ステップ5では、ステップ4で求めた初期情報を基準として、それ以後に相対位置検知装置103で取得した移動および進行方向の情報を積算し位置を更新し続ける。絶対位置検知装置105から新たな情報が出力されたときには、ステップ1〜ステップ4の処理に戻り、現在位置を更新し、その後の位置を再計算していく。このステップ5により、位置精度を高めるとともに、絶対位置検知装置105で検知した位置間の移動軌跡を計算できることになる。
【0052】
ステップ5は、絶対位置検知装置105の絶対位置データ取得間隔と比べて、相対位置検知装置103の相対位置データ取得間隔が短い場合、絶対位置データが取得されるまで、ステップ4の処理を持続する手順である。例えば、GPSの測位間隔は通常1秒である。これに比べ、慣性航法装置の測位間隔は短く、数十〜数ミリ秒間隔で測位している。すなわち、相対位置検知装置103の時間分解能が、絶対位置検知装置105の時間分解能よりも高くなっている。
【0053】
また、GPSでは、GPS衛星が見えなくなった場合など測位位置を出力しない場合がある。ステップ5は、新たな測位値が出力されるまでの補間方法としも使用できる。
【0054】
ステップ6:ステップ4またはステップ5で得られた位置を表示装置108に出力するとともに、処理後移動軌跡メモリ109に蓄積する。
【0055】
図3は、絶対位置検知装置105で検出した位置と相対位置検知装置103で検出した位置との関係を示す図である。
【0056】
点301から順に点306までが絶対位置検知装置105で検知した時系列の位置である。点311から順に点316までが相対位置検知装置103で検知した時系列の位置である。
点301と点311と、点302と点312と、〜、306と316とは、同じ時刻に検知した位置である。
【0057】
相対位置検知装置103は、座標軸308に示すように、点311を初期位置(0,0)とし、初期方位をY軸方向(方位角0度)とし、移動量の変化および移動方向の変化を積算し、位置311〜316を検知する。
【0058】
点318および点319などは、絶対位置検知装置105の出力間隔よりも短い間隔で検知された位置である。通常、相対位置検知装置103は、絶対位置検知装置105の出力周期よりも短い間隔で位置を検出しているので、絶対位置検知装置105よりも時間分解能が高い。
【0059】
サークル300は、絶対位置検知装置105が検知した点301の位置誤差の範囲を表している。
絶対位置検知装置105で検知する場合、点301〜点306のように、離散的な位置となり、また各点においても、ある誤差範囲を伴う位置精度となる。
【0060】
相対位置検知装置103の場合は、絶対位置検知装置105と比べれば、離散値の幅は狭くなる。しかし、絶対位置を検知できないので、初期位置311からの相対的な位置を検知することになる。
【0061】
上記特許文献1では、例えば、点306および点316で、GPSの測位位置との差が大きくなった場合、GPSの測位位置に自立測位の測位位置を合わせている。
【0062】
しかし、GPSで測位した点306には、GPSの測位誤差が含まれている。したがって、自立測位の初期位置316がGPSの測位誤差分だけずれてしまい、以後は正しい位置を検知できなくなる場合が生じる。
【0063】
図4は、図3の絶対位置検知装置105で検出した位置と相対位置検知装置103で検出した位置とを本発明でフィッティングする方法を示す図である。
【0064】
これに対して、本実施例1では、図4に示すように、同じ時刻に測位した複数の位置が最小誤差でフィッティングするように、相対位置検知装置103の初期位置座標308を点330のように回転させるとともに、平行移動する。この修正により、相対位置検知装置103で検知した位置316が位置326となり、相対位置検知の精度が高まるとともに、それ以後に検知する位置327,328などの位置精度も高めることできる。
【0065】
図5は、上記フィッティングパラメータの算出方法のより詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【0066】
ステップ501:相対位置検知装置103は、移動量検知装置101および移動方向検知装置102からの最新の計測時刻Tn,角速度ΔΦn,前回計測した位置からの移動量Snを取得する。移動量Snは、速度すなわち単位時間の移動量に変換してから取り込んでもよい
ステップ502:相対位置検知装置103は、取得した値を相対位置検知装置履歴メモリ104に記憶させる。
【0067】
ステップ503:取り込み回数m回だけ遡った時刻Tn-mを初期方位とし、現在時刻Tnまでの各時刻Tn-(m-k)における進行方向をΦn-(m-k)を数式1により求める。
【0068】
【数1】
数式1のkを1からmまで変化させると、Tn-mからTnまでの各時刻における進行方向をΦn-(m-k)が得られる。
【0069】
ステップ511:絶対位置検知装置105は、計測時刻Tn,絶対位置(Gxn,Gyn),絶対進行方位θnを取得する。
【0070】
ステップ512:絶対位置検知装置105は、取得したそれぞれの値を絶対位置検知装置履歴メモリ106に記憶させる。
【0071】
ステップ504:処理手段107は、絶対位置検知装置105および相対位置検知装置103で求めた各時刻における進行方向の差分を求める。
【0072】
図6は、各時刻における進行方向の差分の一例を示す図である。図6の横軸601は、時刻Tを示し、縦軸602は、進行方向の差分を示し、点群603は、各時刻における差分の値を示している。
【0073】
絶対位置検知装置105および相対位置検知装置103での方位検知に誤差が無ければ、時刻に関係なく、一定の値を示し、その値が、絶対位置検知装置105の初期方位および相対位置検知装置103の初期方位の差分の値となる。しかし、実際は、絶対位置検知装置105および相対位置検知装置103の計測誤差のために、点群603が示すように、ばらつきが生じている。
【0074】
本実施例1によれば、絶対位置検知装置105による移動軌跡に相対位置検知装置103による移動軌跡をフィッティングさせるパラメータを求め、このパラメータを用いて相対位置検知装置103で求めた移動軌跡を再計算し、位置精度を高め、絶対位置検知装置105により検知した複数の位置間における移動軌跡を計算できるようになる。
【0075】
ステップ505:処理手段107は、ばらつきの影響を排除するために、各時刻における方位差分αnの平均604を求める。この方位差分αnの平均は、最新時刻Tnのときの方位差分だけにより求めた値と比べて、高精度になっている。
【0076】
ステップ506:処理手段107は、求めた方位を初期方位として、数式2により、移動軌跡を計算する。
【0077】
【数2】
数式2の処理により、絶対位置検知装置105で求めた移動軌跡の進行方向と相対位置検知装置103で求めた移動軌跡の進行方向とが一致することになる。
【0078】
ステップ507:次に、平行移動量を求めるために、横方向(X方向)および縦方向(Y方向)独立に差分を取る。この差分も、図6と同様に、ばらつきはあるがほぼ一定の値となる。
【0079】
ステップ508:したがって、横方向(X方向)および縦方向(Y方向)の平均値は、相対位置検知装置103による移動軌跡を絶対位置検知装置105による移動軌跡に一致させるための平行移動量となる。
【0080】
ステップ509:数式2で求めた移動軌跡を平行移動させると、相対位置検知装置103による移動軌跡を絶対位置検知装置105による移動軌跡に一致させることができる。なお、ステップ509では、最新計測値326だけを補正すればよいので、最新値のみを計算している。
【0081】
以上の一連の処理により、初期状態での相対位置検知装置103による移動軌跡311〜316を図4の312〜326に変換し、絶対位置検知装置105による移動軌跡にフィッティングさせることができる。また、最新位置326の位置精度は、絶対位置検知装置105で求めた位置と比較して、過去の誤差を平均化した結果として得られるので、改善されている。
【0082】
ステップ510:絶対位置検知装置105が次の計算サイクルで出力するTn+1までの間、ステップ506からステップ509までの処理を繰り返し、フィッティング処理を継続する。
【0083】
ここまでは、絶対位置検知装置105と相対位置検知装置103とが、同じ時間間隔で検知情報を出力していると仮定してきた。実際には、累積誤差の縮小や時間分解能の改善のために、相対位置検知装置103の方が、絶対位置検知装置105よりも短い周期で位置を検知している。
【0084】
したがって、ステップ510は、Tn+1までフィッティング処理を延長する手順である。ステップ510においては、相対位置検知装置103から出力される移動量,移動方向を用いて、ステップ506からステップ509までの処理を繰り返す。その結果、例えば、図4の点327,328などの位置を高精度に検知できる。
【0085】
なお、絶対位置検知装置105の計測時刻と相対位置検知装置103の計測時刻とは、サンプリング間隔の関係で、必ずしも一致するとは限らない。一致しない場合は、お互いに同じ時刻になるように前後の時刻のデータを補間し、同時刻の位置を推定してもよい。
【0086】
これまで説明した処理は、絶対位置検知装置105による新たな位置出力が得られる毎に繰り返し、相対位置検知装置103による位置を補正していく。
【0087】
本実施例1によれば、絶対位置検知装置105による移動軌跡に相対位置検知装置103による移動軌跡をフィッティングさせる際に、位置を高精度に検知できる。
【実施例2】
【0088】
次に、絶対位置検知装置105の精度が低下した場合でも、良好な精度を保って位置を検知する方法の実施例を説明する。
【0089】
絶対位置検知装置105の精度低下の原因には、例えばGPSの場合、GPS測位衛星の見え方などが上げられる。空が開けていてGPS衛星が良く見える場所では、良好な精度で位置を検知できる。しかし、GPS衛星が見えなくなったり、GPS衛星は見えていても建物の反射などでマルチパスが生じ、GPS衛星までの距離が正しくない場合は、誤差が大きくなる。
【0090】
GPS衛星が見えない場合は、測位に使ったGPS衛星の数や衛星配置のばらつき度合いをGPS受信機が出力するので、これらのパラメータを精度の尺度として利用することも可能である。
【0091】
一方、マルチパスにより本来は建物の陰に隠れて見えないはずの衛生が見えてしまった場合などは、GPS受信機側でそれを判別することが難しく、測位衛星数や衛星配置のばらつきだけでは判断できない場合が生じる。建物の入口付近などは、マルチパスの影響を受けやすい場所であり、相対位置検知装置103の初期条件の精度が悪化する原因となる。
【0092】
図7は、実施例2の位置検知装置で実行する位置検知処理手順の概要を示すフローチャートである。
【0093】
本実施例2においては、実施例1のフィッティングパラメータの算出処理に先立って、絶対位置検知装置105側の精度評価処理701と、フィッティングパラメータ算出対象の選択処理702とを追加している。その他の処理は、図1における処理と同じである。
【0094】
絶対位置検知装置105側の精度評価処理701は、絶対位置検知装置105の出力と相対位置検知装置103の出力とにより、絶対位置出力装置105の精度を評価する手順である。
【0095】
図8は、絶対位置検知装置105の出力値が低下した場合の出力の一例を示す図である。
点群801は、相対位置検知装置103から出力され、点群802は、絶対位置検知装置105から出力される。点群802のうちで区間803は、精度が低下した絶対位置出力装置105から出力されている。
【0096】
通常、短時間であれば、絶対位置検知装置105による軌跡形状よりも相対的位置検知装置103の軌跡形状の方が正確なので、区間803は、絶対位置検知装置105がまちがった位置を出力していることを示している。
【0097】
絶対位置検知装置105側の精度評価処理701は、方位の差分のばらつきまたは移動量のばらつきから、絶対位置検知装置105の出力値の精度を評価する。
【0098】
図9は、相対位置検知装置103の初期方位の差とともに、絶対位置検知装置105側の方位差分のばらつきの一例を示す図である。図9の横軸は、時刻901を示し、縦軸は、方位差分902を示し、区間903が、図8で精度が低下した区間803に対応する。
【0099】
絶対位置検知装置105側の精度が低下していなければ、進行方向の差分は一定の値となるはずである。区間903では、精度が低下した区間803に対応して、方位の差分が乱れる。
【0100】
ばらつき度合いを評価するため、所定の窓幅を持った区間を設定し、区間毎の分散を計算する。
【0101】
図9の下の部分において、横軸905は、時刻を示し、縦軸906は、分散値を示している。例えば、908のように時刻Tn-m〜Tn-m+3までの区間の分散を取り、時刻915の分散値を計算し、次は時刻Tn-m+1〜Tn-m+4までの区間の分散を取り、時刻916の分散値値を得るような処理を時刻Tnまで繰り返す。
【0102】
図9の下の部分から明らかなように、絶対位置検知装置105の誤差が少ない場合には分散値が小さく、誤差が大きな区間は分散値が大きくなる。そこで、しきい値910を設定すると、絶対位置検知装置105の誤差を評価できる。
【0103】
フィッティングパラメータ算出対象の選択処理702では、絶対位置検知装置105側の精度評価処理701の結果に基づいて、計測データをフィッティングパラメータの算出対象にするか否かを選択する。
【0104】
図10は、フィッティングパラメータ算出対象の選択処理702の結果の一例を示す図である。白丸のデータ1001を除外し、黒丸のデータ1002をフィッティングパラメータの算出対象として残した。残したデータを用いれば、絶対位置検知装置105側のばらつきの影響を受けずに、方位の差分を計算し、相対位置検知装置103の初期方位を求めることができる。
【0105】
以後、この初期方位を用いて、処理4,5,6を実行すると、相対的位置検知装置103の出力を補正できる。
【0106】
本実施例2では、絶対位置検知装置105の出力値が低下を方位の差分で評価したが、各時刻の移動量の差分を採用しても、低下を評価できる。すなわち、精度の高い区間では所定時間の間に同じ距離だけ移動するが、精度が低下している場合は、同じ距離にならないことを利用する。
【0107】
方位の差分と移動距離の差分とは、低下の評価の際に、一方を使ってもよいし両者を使ってもよい。
【0108】
また、処理対象として残ったデータの数が少ない場合には、フィッティングパラメータを更新しない処理を加えてもよい。残ったデータの数が少ないと、方位の差分を平均化しても、十分な精度が得られない場合がある。この場合、フィッティングパラメータをあえて更新しないで、前に求めたフィッティングパラメータを利用し、相対位置検知装置103による積算処理を延長し、位置を求めてもよい。
【0109】
なお、本実施例2は、GPS受信機などで出力されている測位に使った測位衛星のばらつきなど、絶対位置検知装置105自体が出力している誤差推定値と組み合わせてもよい。
【0110】
本実施例2によれば、絶対位置検知装置105の誤差の評価が可能となり、これを利用して相対位置検知装置103の補正パラメータの変更を制御し、位置を高精度に検知できる。
【実施例3】
【0111】
次に、相対位置検知装置103の誤差の原因となる移動方向検知装置102の0点オフセット補正および移動量検知装置101のゲイン補正について説明する。
【0112】
図11は、移動方向検知装置102および移動量検知装置101のパラメータを補正する手順を加えた位置検知方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0113】
これまでの実施例では、説明を簡単にするために、移動方向検知装置102の0点オフセット値および移動量検知装置101のゲイン誤差に関する影響を考慮しなかった。これらの誤差による影響は、短時間であれば、非常に少なく、絶対位置検知装置105の移動軌跡により頻繁に補正できる場合は、無視してもよい。
【0114】
しかし、屋内に入ってしまった場合など絶対位置検知装置105の移動軌跡による補正を頻繁には実行できない場合、誤差の蓄積が無視できなくなってくる。
【0115】
そこで、本実施例3では、移動方向検知装置102の0点オフセット補正ステップ1101および移動量検知装置101の速度の補正ステップ1102を追加する。
【0116】
まず、0点オフセット補正ステップ1101では、ジャイロセンサすなわち移動方向検知装置102のオフセットを補正し、初期方位を補正する。
【0117】
ジャイロセンサのオフセット補正が正しくない場合、絶対位置検知装置105と相対位置検知装置103との差分は、図12に示すような関係になる。
【0118】
図12は、移動方向検知装置102の0点オフセット誤差がある場合の方位差分の時間的変化を示す図である。角速度が0の場合、移動方向検知装置102の出力は、0となるはずである。雑音があっても平均値は0となる。0点オフセットとは、静止状態でも、移動方向検知装置102の出力の平均値が0とならない状態をいう。0点オフセットがあると、角速度の積算で方位を検知する移動方向検知装置102では、この誤差が、線1203で示すように蓄積して、大きな方位誤差となってしまう。
【0119】
図12のように単調増加または単調減少するのは、角速度が0のときにジャイロセンサのオフセットが0になっていないからである。したがって、時刻n-(m-1)からnまでのm個の点を最小二乗法を用いて求めた傾きΔα(1204)を求めると、ジャイロセンサのオフセット量のずれを求めることができる。求めた傾きΔαは、単位時間当たりのずれなので、このずれの量を取得した角速度から差し引けば、ジャイロセンサのオフセット補正が可能になる。
【0120】
また、切片1205は絶対方位との差分を示している。したがって、この切片1205を用いると、絶対方位の補正も可能になる。
【0121】
次に、速度の補正ステップ1102では、相対位置検知装置103から出力された速度を補正する。
【0122】
図13は、相対位置検知装置103から出力された速度を補正する処理と絶対位置検知装置105の精度を評価する手順とを併せて実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0123】
図14は、相対位置検知装置103の速度ゲインに誤差がある場合の速度と絶対位置検知装置105から求めた速度と相対位置検知装置103から求めた速度との関係を示す図である。
【0124】
相対位置検知装置103の速度と絶対位置検知装置105の速度とがいかなる速度でも等しい場合は、線1505の傾きは、1となる。しかし、相対位置検知装置103の検知速度に誤差があると1にはならず、例えば線1504のような傾きを示す。
【0125】
そこで、相対位置検知装置103の速度と絶対位置検知装置105の速度とをパラメータとして描画した散布図の傾きが1となるように相対位置検知装置103の速度出力を補正し、速度の誤差を解消する。
【0126】
相対位置検知装置103の速度と絶対位置検知装置105との速度とから、最小二乗法を用いて傾きを算出し、求めた傾きで相対位置検知装置103の速度を除算すると、速度を補正できる。
【0127】
移動方向検知装置102の0点オフセット補正ステップ1101および移動量検知装置101の速度の補正ステップ1102が完了したら、ステップ1103では、補正された方位および速度を用いて、フィッティングパラメータを算出する。
【0128】
以後は、図1または図7と同様に、ステップ4およびステップ5を用いて、移動軌跡および位置を算出する。
【0129】
図15は、絶対位置検知装置105の精度が低下し、しかも、移動方向検知装置102の0点オフセットに誤差がある場合に、絶対位置検知装置105から出力された方位と相対位置検知装置103から出力された方位の差分の一例を示す図である。
【0130】
絶対位置検知装置105の精度低下による方位変動が点群1601として現れ、移動方向検知装置102の0点オフセットに誤差による傾きが1604として現れている。
【0131】
図13のステップ1401では、分散を用いて、図9に示した手順と同様に、絶対位置検知装置105の精度低下部分の有無を判定する。
【0132】
ステップ1402では、図10に示した手順と同様に、精度が低下したと判定された部分を処理対象から除外する。
【0133】
これらの処理により、絶対位置検知装置105の精度が低下した部分のデータを除去できる。
【0134】
以後は、ステップ1101から1103で、図11で説明した方法と同様に、移動方向検知装置102の0点オフセット値および移動量検知装置101のゲイン誤差を補正する。
【0135】
最後に、ステップ4および5の処理を実行し、相対的位置検知装置103で検知した位置を補正した位置を出力する。
【0136】
本実施例3によれば、本実施例3によれば、絶対位置検知装置105の出力値に精度の低下がある場合でも、その影響を除外し、しかも、移動方向検知装置102の0点オフセット補正および移動量検知装置101のゲインを補正し、位置を高精度に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明による位置検知装置の一実施例の系統構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1の位置検知装置で実行する位置検知処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図3】絶対位置検知装置105で検出した位置と相対位置検知装置103で検出した位置との関係を示す図である。
【図4】図3の絶対位置検知装置105で検出した位置と相対位置検知装置103で検出した位置とを本発明でフィッティングする方法を示す図である。
【図5】上記フィッティングパラメータの算出方法のより詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図6】各時刻における進行方向の差分の一例を示す図である。
【図7】実施例2の位置検知装置で実行する位置検知処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図8】絶対位置検知装置105の出力値が低下した場合の出力の一例を示す図である。
【図9】相対位置検知装置103の初期方位の差とともに、絶対位置検知装置105側の方位差分のばらつきの一例を示す図である。
【図10】フィッティングパラメータ算出対象の選択処理702の結果の一例を示す図である。
【図11】移動方向検知装置102および移動量検知装置101のパラメータを補正する手順を加えた位置検知方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】移動方向検知装置102の0点オフセット誤差がある場合の方位差分の時間的変化を示す図である。
【図13】相対位置検知装置103から出力された速度を補正する処理と絶対位置検知装置105の精度を評価する手順とを併せて実行する処理手順を示すフローチャートである。
【図14】相対位置検知装置103の速度ゲインに誤差がある場合の速度と絶対位置検知装置105から求めた速度と相対位置検知装置103から求めた速度との関係を示す図である。
【図15】絶対位置検知装置105の精度が低下し、しかも、移動方向検知装置102の0点オフセットに誤差がある場合に、絶対位置検知装置105から出力された方位と相対位置検知装置103から出力された方位の差分の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0138】
100 位置検知装置
101 移動量検知装置
102 移動方向検知装置
103 相対位置検知装置
104 相対位置検知装置出力値履歴メモリ
105 絶対位置検知装置
106 絶対位置検知装置出力値履歴メモリ
107 処理手段
108 位置表示装置
109 処理後の移動軌跡記憶用メモリ
200 歩行者
202 車両
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検知方法に係り、特に、GPSなどの測位衛星、無線LAN,無線ビーコン,無線通信網の基地局情報、RFIDなどを使い位置を検知する絶対位置検知方法と、移動物体の移動方向および移動距離を積分して相対的な位置を検知する相対位置検知方法とを融合し、位置をシームレスかつ高精度に検知する位置検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
相対位置の自立測位手段とGPSによる絶対位置の測位手段とを用いて自立測位手段の測位位置を補正する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の方法では、自立測位手段で検知した相対位置とGPSで検知した絶対位置との差分(距離)を観測し、この差分が予め決められた閾値を越えた場合に、自立測位の誤差が大きくなったと判断し、自立測位手段の相対位置をGPSにより測位した絶対位置に補正する。
【0004】
また、GPSで測位した計測点と自立測位により得られた計測点との誤差が最小になるようにする方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2の方法では、まず、GPSの移動軌跡と自立測位で求めた移動軌跡との残差平方和が最小になるように、自立測位に使われている方位センサや速度センサのパラメータおよび初期位置/初期方位の値を求める。次に、求めたパラメータを用いて、自立測位の計算を再度実施し、自立測位で求めた移動軌跡の精度を高める。
【0006】
さらに、GPSの衛星が見えていない場合や、GPSで求めた絶対位置と自立測位で求めた相対位置との差(距離)が予め決められた閾値よりも大きい場合には、その点を除いて自立測位用センサのパラメータを求めることも提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開平05−018768号公報(第3〜4頁 図1,図2)
【特許文献2】特開2000−241179号公報(第5〜12頁 図2〜図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の従来方法では、GPS測位と自立測位の位置との差分が大きくなった場合に、自立測位の測位点をGPS側の測位点に平行移動し補正している。したがって、切り換えた時点のGPSによる測位位置を自立測位の初期位置として位置計算をすることになる。
【0009】
ところが、この位置でのGPSの位置精度に関しては十分な配慮が無く、切り換え時点のGPSの位置精度が悪い場合には、切り換え後の誤差が大きくなるおそれがある。
【0010】
なお、GPS誤差に関して一定時間GPSで測位できない場合、その後測位しても最初の測位位置を用いて補正しないとしている。しかし、この判断だけでは、GPSの精度を評価するには不十分である。
【0011】
特許文献2の従来方法では、GPSによる移動軌跡と自立測位による移動軌跡とより、方位センサのゲイン補正値,オフセット補正値,車速センサの距離変換係数,初期位置,初期方位を残差平方和が最小になるように求めている。
【0012】
しかし、全てのパラメータを同時に求めることは困難であり、方位センサのゲイン補正値とオフセット補正値とは、パラメータ値を変化させて総当たり方式で値を求めている。したがって、計算コストの増大が懸念される。
【0013】
また、GPSの信頼性評価に関しては、特許文献1と同様に、GPS測位の測位点と自立測位の測位点との距離の差を評価関数として用いている。例えば、方位センサのオフセットの値が正しくない場合、GPSの誤差が少ない環境で直線上を移動したとしても、時間が経つにつれて、GPS測位値と自立測位値とは離れてしまう。
【0014】
2つの測位方法の距離の差を評価関数とし、この距離の差が閾値を越えた場合、GPSの精度が悪くなっていると判定され、正しく補正されない場合が発生する。
【0015】
また、特許文献2では、既に計測した区間において取得した補正パラメータを用いて、自立測位結果を内挿する処理を示している。
【0016】
しかし、新たに取得した自立測位用のデータを用いて補正したパラメータにより測位位置を外挿する方法は示されていない。したがって、データ取得後の後処理により精度を高めることが主目的であり、GPS測位と自立測位とを実時間で並列処理し精度を上げる方法にはなっていない。
【0017】
本発明の課題は、絶対位置検知装置による移動軌跡に相対位置検知装置による移動軌跡をフィッティングさせる際に、少ない種類のパラメータで相対位置検知装置の位置を高精度に決定し維持する位置検知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を解決するために、相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、絶対位置検知装置の移動軌跡に相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるための回転角および移動量を求め、相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および移動量で補正し、補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始する位置検知方法を提案する。
【0019】
本発明は、また、相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、絶対位置検知装置の移動軌跡に相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるための回転角および移動量を求め、相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および移動量で補正し、補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始し、絶対位置検知装置の利用可能な新たな位置情報が得られるまでは、相対位置検知装置の出力値を上記回転角および移動量で補正し続ける位置検知方法を提案する。
【0020】
より具体的には、相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、絶対位置検知装置の移動軌跡に相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるために、同じ時刻に測位した位置同士の距離が最小になるように、相対位置検知装置で検知した対象区間における移動軌跡全体の回転角および平行移動量を求め、相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および平行移動量で補正し、補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始する。
【0021】
さらに、相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、絶対位置検知装置の移動軌跡に相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるために、同じ時刻に測位した位置同士の距離が最小になるように、相対位置検知装置で検知した対象区間における移動軌跡全体の回転角および平行移動量を求め、相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および平行移動量で補正し、補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始し、絶対位置検知装置の利用可能な新たな位置情報が得られるまでは、相対位置検知装置の出力値を上記回転角および平行移動量で補正し続け、相対位置検知装置による自立測位を延長する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、絶対位置検知装置による移動軌跡に相対位置検知装置による移動軌跡をフィッティングさせる際に、位置を高精度に検知できる。
【0023】
また、絶対位置検知装置の誤差の評価が可能となり、その評価を利用して相対位置検知装置の補正パラメータを変更するか否かを判断し、位置を高精度に検知できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、図1〜図15を参照して、本発明による位置検知装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明による位置検知装置の一実施例の系統構成を示すブロック図である。
【0026】
位置検知装置100は、歩行者200や車両202などの位置を検知する。位置検知対象は、位置検知装置100を所持する歩行者200や、位置検知装置10を搭載する車両202に限らない。
【0027】
位置検知装置100は、移動量検知装置101と、移動方向検知装置102と、相対位置検知装置103と、相対位置検知装置出力値履歴メモリ104と、絶対位置検知装置105と、絶対位置検知装置出力値履歴メモリと、処理手段17と、位置表示装置108と、処理後の移動軌跡記憶用メモリ109とを含んでいる。
【0028】
相対位置検知装置103は、移動量検知装置101および移動方向検知装置102の出力に基づいて、相対移動量および相対移動方向を検知する。
【0029】
相対位置検知装置履歴メモリ104は、相対位置検知装置103の出力値を記憶する。例えば、相対移動量や相対移動方向を時刻とともに記憶する。
【0030】
絶対位置検知装置履歴メモリ106は、絶対位置検知装置105の出力履歴を記憶する。例えば、位置検知実行サイクル毎に出力される位置情報や方位情報を位置検知時刻とともに記憶する。
【0031】
処理手段107は、本実施例で説明する処理手順を実行する。
【0032】
位置表示装置108は、処理手段107で処理され検知した位置情報を表示する。すなわち、検知した移動軌跡を表示したり、地図と重ねて自分の位置を表示したりする。
処理後移動軌跡メモリ109は、今までに通ってきた移動軌跡を記憶し、移動軌跡を再利用する場合に備える。
【0033】
なお、位置表示装置108および処理後移動軌跡メモリ109は、必須ではない。例えばナビゲーションへの利用であれば、位置表示装置108は必要であるが、処理後移動軌跡メモリ109は無くてもよい。これとは逆に、行動履歴を検知する装置の場合は、位置表示装置108は必須ではなく、処理後移動軌跡メモリ109だけがあればよい。
【0034】
さらに、検知した位置情報を無線などを利用して外部装置に伝送し、外部装置側で検知対象の物体を監視する場合は、位置表示装置108や処理後移動軌跡メモリ109は要らない。
【0035】
本実施例1は、絶対位置検知装置105で求めたある区間の移動軌跡に対して、相対位置検知装置103で求めた移動軌跡の誤差が最小になるように座標変換し、フィッティングの位置精度を高める方法を採用する。
【0036】
絶対位置検知装置105の代表例としては、GPSがある。絶対位置検知装置105としては、GPSの他に、GPS衛星以外の測位衛星を用いた衛星測位システム、無線LANや無線ビーコン等の無線伝送手段を使い複数の無線局(既知の位置)から移動物体までの距離を計測し位置を検知するシステム、位置が分かっているRFIDやビーコンの識別情報を読み込み識別情報と位置との対応より位置を検知するシステムなどがある。すなわち、絶対位置検知装置105は、どこかに固定された基準点からの位置関係を直接検知する手段を用いて自分の絶対位置を検知する。
【0037】
これに対して、相対位置検知装置103は、基準になる位置から変位量の積算処理により位置を検知する装置である。相対位置検知装置103の代表例としては、慣性航法装置がある。相対位置検知装置103は、基準点からの単位時間当たりの移動量および移動方向の変化を積算して位置を検知する。
【0038】
図2は、実施例1の位置検知装置で実行する位置検知処理手順の概要を示すフローチャートである。
【0039】
ステップ1:絶対位置検知装置105は、現在位置を検知し、絶対位置検知装置出力値履歴メモリ106に過去の移動軌跡および現在位置として各時刻における絶対位置を記憶させる。
【0040】
ステップ2:相対位置検知装置103は、移動量検知装置101および移動方向検知装置102の出力を取り込み、相対位置検知装置履歴メモリ104に過去の移動軌跡および現在位置として各時刻における相対位置を記憶させる。相対移動軌跡は、一番古い時刻を初期位置とし記憶されている移動量および移動方向の変化を積算して求められる。
【0041】
ステップ3:処理手段107は、フィッティングパラメータ算出手順において、ステップ1およびステップ2の移動軌跡の同時刻における距離の合計が最小となるように、ステップ2の移動軌跡全体の回転角および平行移動量を求める。
【0042】
なお、相対位置検知装置103による位置検知において移動量や移動方向の検知誤差が大きい場合、最適にフィッティングできない。
【0043】
また、絶対位置検知装置105においても、部分的に測位誤差が発生している場合、最適にフィッティングできない。例えば、GPSでは、GPS衛星が見えなくなったり、マルチパスなどによる測位誤差が生じたりして、測位誤差が生じる。
【0044】
ここでは、原理的動作を説明するために、誤差が少ないと仮定する。相対位置検知装置103で生じる移動量や移動方向の検知誤差を修正しながらフィッティングさせる方法や、絶対位置検知装置105で生じる部分的な誤差を修正しながらフィッティングさせる方法は、後の実施例で説明する。
【0045】
このように最適にフィッティングできない場合を除けば、ステップ1の移動軌跡にステップ2の移動軌跡をフィッティングさせるための補正パラメータは、ステップ2の移動軌跡全体を回転させる回転角度と平行移動とになる。すなわち、ステップ2の移動軌跡の初期位置での進行方向および初期位置の絶対位置がフィッティングパラメータとして求められる。
【0046】
ステップ4:ステップ2の移動軌跡をステップ1の移動軌跡にフィッティングさせるためにステップ3で求めた補正パラメータを用いて、ステップ2の移動軌跡を再計算する。具体的には、ステップ3で求めた初期位置の絶対位置および初期位置を用いて、ステップ2と同様に積算処理する。
【0047】
なお、移動軌跡が不要で現在位置だけを補正したいのであれば、ステップ3で求めた回転角および平行移動量を用いて、ステップ2で求めた相対位置検知装置103による現在の位置座標をアフィン変換により求めてもよい。
【0048】
ステップ4で求めた移動軌跡は、ステップ1の絶対位置検知装置105で求めた移動軌跡に含まれている検出誤差による位置のばらつきを平均化することになり、ステップ1で求めた位置と比べて、ステップ4で求めた位置の方が高精度と考えられる。
【0049】
現在位置だけを修正するのであれば、この処理手順4で処理は終了となり、ステップ6にジャンプし、現在位置を出力する。
【0050】
以後、新たなデータを取得する毎にこの処理を繰り返し、現在位置を更新していく。
【0051】
ステップ5:ステップ4の処理は、絶対位置検知装置105から絶対位置が出力された最新時刻までのステップ2の移動軌跡を再計算している。これに対し、ステップ5では、ステップ4で求めた初期情報を基準として、それ以後に相対位置検知装置103で取得した移動および進行方向の情報を積算し位置を更新し続ける。絶対位置検知装置105から新たな情報が出力されたときには、ステップ1〜ステップ4の処理に戻り、現在位置を更新し、その後の位置を再計算していく。このステップ5により、位置精度を高めるとともに、絶対位置検知装置105で検知した位置間の移動軌跡を計算できることになる。
【0052】
ステップ5は、絶対位置検知装置105の絶対位置データ取得間隔と比べて、相対位置検知装置103の相対位置データ取得間隔が短い場合、絶対位置データが取得されるまで、ステップ4の処理を持続する手順である。例えば、GPSの測位間隔は通常1秒である。これに比べ、慣性航法装置の測位間隔は短く、数十〜数ミリ秒間隔で測位している。すなわち、相対位置検知装置103の時間分解能が、絶対位置検知装置105の時間分解能よりも高くなっている。
【0053】
また、GPSでは、GPS衛星が見えなくなった場合など測位位置を出力しない場合がある。ステップ5は、新たな測位値が出力されるまでの補間方法としも使用できる。
【0054】
ステップ6:ステップ4またはステップ5で得られた位置を表示装置108に出力するとともに、処理後移動軌跡メモリ109に蓄積する。
【0055】
図3は、絶対位置検知装置105で検出した位置と相対位置検知装置103で検出した位置との関係を示す図である。
【0056】
点301から順に点306までが絶対位置検知装置105で検知した時系列の位置である。点311から順に点316までが相対位置検知装置103で検知した時系列の位置である。
点301と点311と、点302と点312と、〜、306と316とは、同じ時刻に検知した位置である。
【0057】
相対位置検知装置103は、座標軸308に示すように、点311を初期位置(0,0)とし、初期方位をY軸方向(方位角0度)とし、移動量の変化および移動方向の変化を積算し、位置311〜316を検知する。
【0058】
点318および点319などは、絶対位置検知装置105の出力間隔よりも短い間隔で検知された位置である。通常、相対位置検知装置103は、絶対位置検知装置105の出力周期よりも短い間隔で位置を検出しているので、絶対位置検知装置105よりも時間分解能が高い。
【0059】
サークル300は、絶対位置検知装置105が検知した点301の位置誤差の範囲を表している。
絶対位置検知装置105で検知する場合、点301〜点306のように、離散的な位置となり、また各点においても、ある誤差範囲を伴う位置精度となる。
【0060】
相対位置検知装置103の場合は、絶対位置検知装置105と比べれば、離散値の幅は狭くなる。しかし、絶対位置を検知できないので、初期位置311からの相対的な位置を検知することになる。
【0061】
上記特許文献1では、例えば、点306および点316で、GPSの測位位置との差が大きくなった場合、GPSの測位位置に自立測位の測位位置を合わせている。
【0062】
しかし、GPSで測位した点306には、GPSの測位誤差が含まれている。したがって、自立測位の初期位置316がGPSの測位誤差分だけずれてしまい、以後は正しい位置を検知できなくなる場合が生じる。
【0063】
図4は、図3の絶対位置検知装置105で検出した位置と相対位置検知装置103で検出した位置とを本発明でフィッティングする方法を示す図である。
【0064】
これに対して、本実施例1では、図4に示すように、同じ時刻に測位した複数の位置が最小誤差でフィッティングするように、相対位置検知装置103の初期位置座標308を点330のように回転させるとともに、平行移動する。この修正により、相対位置検知装置103で検知した位置316が位置326となり、相対位置検知の精度が高まるとともに、それ以後に検知する位置327,328などの位置精度も高めることできる。
【0065】
図5は、上記フィッティングパラメータの算出方法のより詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【0066】
ステップ501:相対位置検知装置103は、移動量検知装置101および移動方向検知装置102からの最新の計測時刻Tn,角速度ΔΦn,前回計測した位置からの移動量Snを取得する。移動量Snは、速度すなわち単位時間の移動量に変換してから取り込んでもよい
ステップ502:相対位置検知装置103は、取得した値を相対位置検知装置履歴メモリ104に記憶させる。
【0067】
ステップ503:取り込み回数m回だけ遡った時刻Tn-mを初期方位とし、現在時刻Tnまでの各時刻Tn-(m-k)における進行方向をΦn-(m-k)を数式1により求める。
【0068】
【数1】
数式1のkを1からmまで変化させると、Tn-mからTnまでの各時刻における進行方向をΦn-(m-k)が得られる。
【0069】
ステップ511:絶対位置検知装置105は、計測時刻Tn,絶対位置(Gxn,Gyn),絶対進行方位θnを取得する。
【0070】
ステップ512:絶対位置検知装置105は、取得したそれぞれの値を絶対位置検知装置履歴メモリ106に記憶させる。
【0071】
ステップ504:処理手段107は、絶対位置検知装置105および相対位置検知装置103で求めた各時刻における進行方向の差分を求める。
【0072】
図6は、各時刻における進行方向の差分の一例を示す図である。図6の横軸601は、時刻Tを示し、縦軸602は、進行方向の差分を示し、点群603は、各時刻における差分の値を示している。
【0073】
絶対位置検知装置105および相対位置検知装置103での方位検知に誤差が無ければ、時刻に関係なく、一定の値を示し、その値が、絶対位置検知装置105の初期方位および相対位置検知装置103の初期方位の差分の値となる。しかし、実際は、絶対位置検知装置105および相対位置検知装置103の計測誤差のために、点群603が示すように、ばらつきが生じている。
【0074】
本実施例1によれば、絶対位置検知装置105による移動軌跡に相対位置検知装置103による移動軌跡をフィッティングさせるパラメータを求め、このパラメータを用いて相対位置検知装置103で求めた移動軌跡を再計算し、位置精度を高め、絶対位置検知装置105により検知した複数の位置間における移動軌跡を計算できるようになる。
【0075】
ステップ505:処理手段107は、ばらつきの影響を排除するために、各時刻における方位差分αnの平均604を求める。この方位差分αnの平均は、最新時刻Tnのときの方位差分だけにより求めた値と比べて、高精度になっている。
【0076】
ステップ506:処理手段107は、求めた方位を初期方位として、数式2により、移動軌跡を計算する。
【0077】
【数2】
数式2の処理により、絶対位置検知装置105で求めた移動軌跡の進行方向と相対位置検知装置103で求めた移動軌跡の進行方向とが一致することになる。
【0078】
ステップ507:次に、平行移動量を求めるために、横方向(X方向)および縦方向(Y方向)独立に差分を取る。この差分も、図6と同様に、ばらつきはあるがほぼ一定の値となる。
【0079】
ステップ508:したがって、横方向(X方向)および縦方向(Y方向)の平均値は、相対位置検知装置103による移動軌跡を絶対位置検知装置105による移動軌跡に一致させるための平行移動量となる。
【0080】
ステップ509:数式2で求めた移動軌跡を平行移動させると、相対位置検知装置103による移動軌跡を絶対位置検知装置105による移動軌跡に一致させることができる。なお、ステップ509では、最新計測値326だけを補正すればよいので、最新値のみを計算している。
【0081】
以上の一連の処理により、初期状態での相対位置検知装置103による移動軌跡311〜316を図4の312〜326に変換し、絶対位置検知装置105による移動軌跡にフィッティングさせることができる。また、最新位置326の位置精度は、絶対位置検知装置105で求めた位置と比較して、過去の誤差を平均化した結果として得られるので、改善されている。
【0082】
ステップ510:絶対位置検知装置105が次の計算サイクルで出力するTn+1までの間、ステップ506からステップ509までの処理を繰り返し、フィッティング処理を継続する。
【0083】
ここまでは、絶対位置検知装置105と相対位置検知装置103とが、同じ時間間隔で検知情報を出力していると仮定してきた。実際には、累積誤差の縮小や時間分解能の改善のために、相対位置検知装置103の方が、絶対位置検知装置105よりも短い周期で位置を検知している。
【0084】
したがって、ステップ510は、Tn+1までフィッティング処理を延長する手順である。ステップ510においては、相対位置検知装置103から出力される移動量,移動方向を用いて、ステップ506からステップ509までの処理を繰り返す。その結果、例えば、図4の点327,328などの位置を高精度に検知できる。
【0085】
なお、絶対位置検知装置105の計測時刻と相対位置検知装置103の計測時刻とは、サンプリング間隔の関係で、必ずしも一致するとは限らない。一致しない場合は、お互いに同じ時刻になるように前後の時刻のデータを補間し、同時刻の位置を推定してもよい。
【0086】
これまで説明した処理は、絶対位置検知装置105による新たな位置出力が得られる毎に繰り返し、相対位置検知装置103による位置を補正していく。
【0087】
本実施例1によれば、絶対位置検知装置105による移動軌跡に相対位置検知装置103による移動軌跡をフィッティングさせる際に、位置を高精度に検知できる。
【実施例2】
【0088】
次に、絶対位置検知装置105の精度が低下した場合でも、良好な精度を保って位置を検知する方法の実施例を説明する。
【0089】
絶対位置検知装置105の精度低下の原因には、例えばGPSの場合、GPS測位衛星の見え方などが上げられる。空が開けていてGPS衛星が良く見える場所では、良好な精度で位置を検知できる。しかし、GPS衛星が見えなくなったり、GPS衛星は見えていても建物の反射などでマルチパスが生じ、GPS衛星までの距離が正しくない場合は、誤差が大きくなる。
【0090】
GPS衛星が見えない場合は、測位に使ったGPS衛星の数や衛星配置のばらつき度合いをGPS受信機が出力するので、これらのパラメータを精度の尺度として利用することも可能である。
【0091】
一方、マルチパスにより本来は建物の陰に隠れて見えないはずの衛生が見えてしまった場合などは、GPS受信機側でそれを判別することが難しく、測位衛星数や衛星配置のばらつきだけでは判断できない場合が生じる。建物の入口付近などは、マルチパスの影響を受けやすい場所であり、相対位置検知装置103の初期条件の精度が悪化する原因となる。
【0092】
図7は、実施例2の位置検知装置で実行する位置検知処理手順の概要を示すフローチャートである。
【0093】
本実施例2においては、実施例1のフィッティングパラメータの算出処理に先立って、絶対位置検知装置105側の精度評価処理701と、フィッティングパラメータ算出対象の選択処理702とを追加している。その他の処理は、図1における処理と同じである。
【0094】
絶対位置検知装置105側の精度評価処理701は、絶対位置検知装置105の出力と相対位置検知装置103の出力とにより、絶対位置出力装置105の精度を評価する手順である。
【0095】
図8は、絶対位置検知装置105の出力値が低下した場合の出力の一例を示す図である。
点群801は、相対位置検知装置103から出力され、点群802は、絶対位置検知装置105から出力される。点群802のうちで区間803は、精度が低下した絶対位置出力装置105から出力されている。
【0096】
通常、短時間であれば、絶対位置検知装置105による軌跡形状よりも相対的位置検知装置103の軌跡形状の方が正確なので、区間803は、絶対位置検知装置105がまちがった位置を出力していることを示している。
【0097】
絶対位置検知装置105側の精度評価処理701は、方位の差分のばらつきまたは移動量のばらつきから、絶対位置検知装置105の出力値の精度を評価する。
【0098】
図9は、相対位置検知装置103の初期方位の差とともに、絶対位置検知装置105側の方位差分のばらつきの一例を示す図である。図9の横軸は、時刻901を示し、縦軸は、方位差分902を示し、区間903が、図8で精度が低下した区間803に対応する。
【0099】
絶対位置検知装置105側の精度が低下していなければ、進行方向の差分は一定の値となるはずである。区間903では、精度が低下した区間803に対応して、方位の差分が乱れる。
【0100】
ばらつき度合いを評価するため、所定の窓幅を持った区間を設定し、区間毎の分散を計算する。
【0101】
図9の下の部分において、横軸905は、時刻を示し、縦軸906は、分散値を示している。例えば、908のように時刻Tn-m〜Tn-m+3までの区間の分散を取り、時刻915の分散値を計算し、次は時刻Tn-m+1〜Tn-m+4までの区間の分散を取り、時刻916の分散値値を得るような処理を時刻Tnまで繰り返す。
【0102】
図9の下の部分から明らかなように、絶対位置検知装置105の誤差が少ない場合には分散値が小さく、誤差が大きな区間は分散値が大きくなる。そこで、しきい値910を設定すると、絶対位置検知装置105の誤差を評価できる。
【0103】
フィッティングパラメータ算出対象の選択処理702では、絶対位置検知装置105側の精度評価処理701の結果に基づいて、計測データをフィッティングパラメータの算出対象にするか否かを選択する。
【0104】
図10は、フィッティングパラメータ算出対象の選択処理702の結果の一例を示す図である。白丸のデータ1001を除外し、黒丸のデータ1002をフィッティングパラメータの算出対象として残した。残したデータを用いれば、絶対位置検知装置105側のばらつきの影響を受けずに、方位の差分を計算し、相対位置検知装置103の初期方位を求めることができる。
【0105】
以後、この初期方位を用いて、処理4,5,6を実行すると、相対的位置検知装置103の出力を補正できる。
【0106】
本実施例2では、絶対位置検知装置105の出力値が低下を方位の差分で評価したが、各時刻の移動量の差分を採用しても、低下を評価できる。すなわち、精度の高い区間では所定時間の間に同じ距離だけ移動するが、精度が低下している場合は、同じ距離にならないことを利用する。
【0107】
方位の差分と移動距離の差分とは、低下の評価の際に、一方を使ってもよいし両者を使ってもよい。
【0108】
また、処理対象として残ったデータの数が少ない場合には、フィッティングパラメータを更新しない処理を加えてもよい。残ったデータの数が少ないと、方位の差分を平均化しても、十分な精度が得られない場合がある。この場合、フィッティングパラメータをあえて更新しないで、前に求めたフィッティングパラメータを利用し、相対位置検知装置103による積算処理を延長し、位置を求めてもよい。
【0109】
なお、本実施例2は、GPS受信機などで出力されている測位に使った測位衛星のばらつきなど、絶対位置検知装置105自体が出力している誤差推定値と組み合わせてもよい。
【0110】
本実施例2によれば、絶対位置検知装置105の誤差の評価が可能となり、これを利用して相対位置検知装置103の補正パラメータの変更を制御し、位置を高精度に検知できる。
【実施例3】
【0111】
次に、相対位置検知装置103の誤差の原因となる移動方向検知装置102の0点オフセット補正および移動量検知装置101のゲイン補正について説明する。
【0112】
図11は、移動方向検知装置102および移動量検知装置101のパラメータを補正する手順を加えた位置検知方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0113】
これまでの実施例では、説明を簡単にするために、移動方向検知装置102の0点オフセット値および移動量検知装置101のゲイン誤差に関する影響を考慮しなかった。これらの誤差による影響は、短時間であれば、非常に少なく、絶対位置検知装置105の移動軌跡により頻繁に補正できる場合は、無視してもよい。
【0114】
しかし、屋内に入ってしまった場合など絶対位置検知装置105の移動軌跡による補正を頻繁には実行できない場合、誤差の蓄積が無視できなくなってくる。
【0115】
そこで、本実施例3では、移動方向検知装置102の0点オフセット補正ステップ1101および移動量検知装置101の速度の補正ステップ1102を追加する。
【0116】
まず、0点オフセット補正ステップ1101では、ジャイロセンサすなわち移動方向検知装置102のオフセットを補正し、初期方位を補正する。
【0117】
ジャイロセンサのオフセット補正が正しくない場合、絶対位置検知装置105と相対位置検知装置103との差分は、図12に示すような関係になる。
【0118】
図12は、移動方向検知装置102の0点オフセット誤差がある場合の方位差分の時間的変化を示す図である。角速度が0の場合、移動方向検知装置102の出力は、0となるはずである。雑音があっても平均値は0となる。0点オフセットとは、静止状態でも、移動方向検知装置102の出力の平均値が0とならない状態をいう。0点オフセットがあると、角速度の積算で方位を検知する移動方向検知装置102では、この誤差が、線1203で示すように蓄積して、大きな方位誤差となってしまう。
【0119】
図12のように単調増加または単調減少するのは、角速度が0のときにジャイロセンサのオフセットが0になっていないからである。したがって、時刻n-(m-1)からnまでのm個の点を最小二乗法を用いて求めた傾きΔα(1204)を求めると、ジャイロセンサのオフセット量のずれを求めることができる。求めた傾きΔαは、単位時間当たりのずれなので、このずれの量を取得した角速度から差し引けば、ジャイロセンサのオフセット補正が可能になる。
【0120】
また、切片1205は絶対方位との差分を示している。したがって、この切片1205を用いると、絶対方位の補正も可能になる。
【0121】
次に、速度の補正ステップ1102では、相対位置検知装置103から出力された速度を補正する。
【0122】
図13は、相対位置検知装置103から出力された速度を補正する処理と絶対位置検知装置105の精度を評価する手順とを併せて実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0123】
図14は、相対位置検知装置103の速度ゲインに誤差がある場合の速度と絶対位置検知装置105から求めた速度と相対位置検知装置103から求めた速度との関係を示す図である。
【0124】
相対位置検知装置103の速度と絶対位置検知装置105の速度とがいかなる速度でも等しい場合は、線1505の傾きは、1となる。しかし、相対位置検知装置103の検知速度に誤差があると1にはならず、例えば線1504のような傾きを示す。
【0125】
そこで、相対位置検知装置103の速度と絶対位置検知装置105の速度とをパラメータとして描画した散布図の傾きが1となるように相対位置検知装置103の速度出力を補正し、速度の誤差を解消する。
【0126】
相対位置検知装置103の速度と絶対位置検知装置105との速度とから、最小二乗法を用いて傾きを算出し、求めた傾きで相対位置検知装置103の速度を除算すると、速度を補正できる。
【0127】
移動方向検知装置102の0点オフセット補正ステップ1101および移動量検知装置101の速度の補正ステップ1102が完了したら、ステップ1103では、補正された方位および速度を用いて、フィッティングパラメータを算出する。
【0128】
以後は、図1または図7と同様に、ステップ4およびステップ5を用いて、移動軌跡および位置を算出する。
【0129】
図15は、絶対位置検知装置105の精度が低下し、しかも、移動方向検知装置102の0点オフセットに誤差がある場合に、絶対位置検知装置105から出力された方位と相対位置検知装置103から出力された方位の差分の一例を示す図である。
【0130】
絶対位置検知装置105の精度低下による方位変動が点群1601として現れ、移動方向検知装置102の0点オフセットに誤差による傾きが1604として現れている。
【0131】
図13のステップ1401では、分散を用いて、図9に示した手順と同様に、絶対位置検知装置105の精度低下部分の有無を判定する。
【0132】
ステップ1402では、図10に示した手順と同様に、精度が低下したと判定された部分を処理対象から除外する。
【0133】
これらの処理により、絶対位置検知装置105の精度が低下した部分のデータを除去できる。
【0134】
以後は、ステップ1101から1103で、図11で説明した方法と同様に、移動方向検知装置102の0点オフセット値および移動量検知装置101のゲイン誤差を補正する。
【0135】
最後に、ステップ4および5の処理を実行し、相対的位置検知装置103で検知した位置を補正した位置を出力する。
【0136】
本実施例3によれば、本実施例3によれば、絶対位置検知装置105の出力値に精度の低下がある場合でも、その影響を除外し、しかも、移動方向検知装置102の0点オフセット補正および移動量検知装置101のゲインを補正し、位置を高精度に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明による位置検知装置の一実施例の系統構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1の位置検知装置で実行する位置検知処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図3】絶対位置検知装置105で検出した位置と相対位置検知装置103で検出した位置との関係を示す図である。
【図4】図3の絶対位置検知装置105で検出した位置と相対位置検知装置103で検出した位置とを本発明でフィッティングする方法を示す図である。
【図5】上記フィッティングパラメータの算出方法のより詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図6】各時刻における進行方向の差分の一例を示す図である。
【図7】実施例2の位置検知装置で実行する位置検知処理手順の概要を示すフローチャートである。
【図8】絶対位置検知装置105の出力値が低下した場合の出力の一例を示す図である。
【図9】相対位置検知装置103の初期方位の差とともに、絶対位置検知装置105側の方位差分のばらつきの一例を示す図である。
【図10】フィッティングパラメータ算出対象の選択処理702の結果の一例を示す図である。
【図11】移動方向検知装置102および移動量検知装置101のパラメータを補正する手順を加えた位置検知方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】移動方向検知装置102の0点オフセット誤差がある場合の方位差分の時間的変化を示す図である。
【図13】相対位置検知装置103から出力された速度を補正する処理と絶対位置検知装置105の精度を評価する手順とを併せて実行する処理手順を示すフローチャートである。
【図14】相対位置検知装置103の速度ゲインに誤差がある場合の速度と絶対位置検知装置105から求めた速度と相対位置検知装置103から求めた速度との関係を示す図である。
【図15】絶対位置検知装置105の精度が低下し、しかも、移動方向検知装置102の0点オフセットに誤差がある場合に、絶対位置検知装置105から出力された方位と相対位置検知装置103から出力された方位の差分の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0138】
100 位置検知装置
101 移動量検知装置
102 移動方向検知装置
103 相対位置検知装置
104 相対位置検知装置出力値履歴メモリ
105 絶対位置検知装置
106 絶対位置検知装置出力値履歴メモリ
107 処理手段
108 位置表示装置
109 処理後の移動軌跡記憶用メモリ
200 歩行者
202 車両
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、
前記絶対位置検知装置の移動軌跡に前記相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるための回転角および移動量を求め、
前記相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および移動量で補正し、
補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始することを特徴とする位置検知方法。
【請求項2】
相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、
前記絶対位置検知装置の移動軌跡に前記相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるための回転角および移動量を求め、
前記相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および移動量で補正し、
補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始し、
前記絶対位置検知装置の利用可能な新たな位置情報が得られるまでは、前記相対位置検知装置の出力値を上記回転角および移動量で補正し続けることを特徴とする位置検知方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の位置検知方法において、
前記絶対位置検知装置の出力値のうちでばらつきが大きく精度が低下していると判断したデータを除外して前記回転角および前記移動量求めることを特徴とする位置検知方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の位置検知方法において、
同一時刻における前記絶対位置検知装置で検知した方位と前記相対位置検知装置で検知した方位との差分を求め、
前記差分のばらつきが大きい部分を精度が低下していると判断し、
利用可能な絶対位置検知装置の位置情報から除外することを特徴とする位置検知方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の位置検知方法において、
同一時刻における前記絶対位置検知装置で検知した速度と前記相対位置検知装置で検知した速度との差分を求め、
前記差分のばらつきが大きい部分を精度が低下していると判断し、
利用可能な絶対位置検知装置の位置情報から除外することを特徴とする位置検知方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の位置検知方法において、
前記回転角および前記移動量を補正した後の前記相対位置検知装置で検知した位置座標と前記絶対位置検知装置で検知した位置座標との同一時刻における距離を求め、
前記距離のばらつきが大きい部分を精度が低下していると判断し、
利用可能な絶対位置検知装置の位置情報から除外することを特徴とする位置検知方法。
【請求項7】
相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、
前記絶対位置検知装置の移動軌跡に前記相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるために、同じ時刻に測位した位置同士の距離が最小になるように、前記相対位置検知装置で検知した対象区間における移動軌跡全体の回転角および平行移動量を求め、
前記相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および平行移動量で補正し、
補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始することを特徴とする位置検知方法。
【請求項8】
相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、
前記絶対位置検知装置の移動軌跡に前記相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるために、同じ時刻に測位した位置同士の距離が最小になるように、前記相対位置検知装置で検知した対象区間における移動軌跡全体の回転角および平行移動量を求め、
前記相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および平行移動量で補正し、
補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始し、
前記絶対位置検知装置の利用可能な新たな位置情報が得られるまでは、前記相対位置検知装置の出力値を上記回転角および平行移動量で補正し続け、前記相対位置検知装置による自立測位を延長することを特徴とする位置検知方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の位置検知方法において、
前記絶対位置検知装置の出力値のうちでばらつきが大きく精度が低下していると判断したデータを除外して前記回転角および前記平行移動量を求めることを特徴とする位置検知方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の位置検知方法において、
前記回転角を求める手順が、前記絶対位置検知装置による方位と前記相対位置検知装置で用いる方位との時系列差分データに基づいて最小二乗法により傾きおよび切片を求め、移動方向検知のオフセット補正値およびゲイン補正値を求める手順を含むことを特徴とする位置検知方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の位置検知方法において、
前記移動量を求める手順が、前記絶対位置検知装置による速度と相対位置検知装置による速度との差に基づいて移動量検知のゲイン補正値を求める手順を含むことを特徴とする位置検知方法。
【請求項1】
相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、
前記絶対位置検知装置の移動軌跡に前記相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるための回転角および移動量を求め、
前記相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および移動量で補正し、
補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始することを特徴とする位置検知方法。
【請求項2】
相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、
前記絶対位置検知装置の移動軌跡に前記相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるための回転角および移動量を求め、
前記相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および移動量で補正し、
補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始し、
前記絶対位置検知装置の利用可能な新たな位置情報が得られるまでは、前記相対位置検知装置の出力値を上記回転角および移動量で補正し続けることを特徴とする位置検知方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の位置検知方法において、
前記絶対位置検知装置の出力値のうちでばらつきが大きく精度が低下していると判断したデータを除外して前記回転角および前記移動量求めることを特徴とする位置検知方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の位置検知方法において、
同一時刻における前記絶対位置検知装置で検知した方位と前記相対位置検知装置で検知した方位との差分を求め、
前記差分のばらつきが大きい部分を精度が低下していると判断し、
利用可能な絶対位置検知装置の位置情報から除外することを特徴とする位置検知方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の位置検知方法において、
同一時刻における前記絶対位置検知装置で検知した速度と前記相対位置検知装置で検知した速度との差分を求め、
前記差分のばらつきが大きい部分を精度が低下していると判断し、
利用可能な絶対位置検知装置の位置情報から除外することを特徴とする位置検知方法。
【請求項6】
請求項1または2に記載の位置検知方法において、
前記回転角および前記移動量を補正した後の前記相対位置検知装置で検知した位置座標と前記絶対位置検知装置で検知した位置座標との同一時刻における距離を求め、
前記距離のばらつきが大きい部分を精度が低下していると判断し、
利用可能な絶対位置検知装置の位置情報から除外することを特徴とする位置検知方法。
【請求項7】
相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、
前記絶対位置検知装置の移動軌跡に前記相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるために、同じ時刻に測位した位置同士の距離が最小になるように、前記相対位置検知装置で検知した対象区間における移動軌跡全体の回転角および平行移動量を求め、
前記相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および平行移動量で補正し、
補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始することを特徴とする位置検知方法。
【請求項8】
相対位置検知装置の出力値と絶対位置検知装置の出力値とを併用して位置を検知する位置検知方法において、
前記絶対位置検知装置の移動軌跡に前記相対位置検知装置で求めた移動軌跡をフィッティングさせるために、同じ時刻に測位した位置同士の距離が最小になるように、前記相対位置検知装置で検知した対象区間における移動軌跡全体の回転角および平行移動量を求め、
前記相対的位置検知装置の最新位置を上記回転角および平行移動量で補正し、
補正された位置から新たな移動軌跡の検知を開始し、
前記絶対位置検知装置の利用可能な新たな位置情報が得られるまでは、前記相対位置検知装置の出力値を上記回転角および平行移動量で補正し続け、前記相対位置検知装置による自立測位を延長することを特徴とする位置検知方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の位置検知方法において、
前記絶対位置検知装置の出力値のうちでばらつきが大きく精度が低下していると判断したデータを除外して前記回転角および前記平行移動量を求めることを特徴とする位置検知方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の位置検知方法において、
前記回転角を求める手順が、前記絶対位置検知装置による方位と前記相対位置検知装置で用いる方位との時系列差分データに基づいて最小二乗法により傾きおよび切片を求め、移動方向検知のオフセット補正値およびゲイン補正値を求める手順を含むことを特徴とする位置検知方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の位置検知方法において、
前記移動量を求める手順が、前記絶対位置検知装置による速度と相対位置検知装置による速度との差に基づいて移動量検知のゲイン補正値を求める手順を含むことを特徴とする位置検知方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−170278(P2008−170278A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3840(P2007−3840)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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