説明

充放電計画装置

【課題】走行時にモータ、発電機の作動の計画を再作成するハイブリッド車両において、再計画の頻度を抑えると共に、再計画によって燃費が向上する可能性を高める。
【解決手段】充放電計画装置の特徴は、制御指標の計画に従った場合のSOC(すなわち蓄電量)の推移を、バッテリの現在の現実のSOCに基づいて修正し(ステップ340)、修正したSOCの推移において、過充電または過放電となる部分がある場合に(ステップ350)、再計画を行う(ステップ360)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の動力とバッテリの電力によって駆動可能なハイブリッド車両に搭載され、バッテリの充放電の計画を行う充放電計画装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の動力源として、内燃機関の動力とバッテリ(蓄電池等の二次電池)の電力によって駆動可能なハイブリッド車両が使用されている。このハイブリッド車両においては、必要に応じて、バッテリの放出する電力でモータを回転させ、内燃機関の動力に加えてこのモータの回転力で車両を駆動する。またこのハイブリッド車両においては、必要に応じて、内燃機関の動力で発電機を回転させて発電し、その発電した電力をバッテリの充電に用いる。またこのハイブリッド車両の制動時には、回生電流がバッテリに供給されることで、バッテリが充電される。これらのような作動を適宜行うことで、ハイブリッド車両は内燃機関の燃費を低減することができる。
【0003】
また、エンジンの消費する燃料をできる限り少なくするために、目的地までの経路の道路状況に応じて燃料消費量が最少となるように、モータ、発電機の作動計画を作成する技術が提案されている(特許文献1、2参照)。
【0004】
また、予期せぬ渋滞や運転者のその日の走行状態によって、設定された計画通りにモータ、発電機を作動させることができないために燃費低減効果が低くなってしまうという問題がある。そして、この問題への対策として、車両の走行中に、必要に応じて計画を再度作成する技術が知られている。
【0005】
例えば、特許文献3には、走行中に検出した現在の実際のSOC(バッテリの蓄電量を表す指標)と、計画されたSOCとが、基準以上乖離したときに、計画を再作成する技術(すなわち、再計画の技術)が記載されている。このような技術を用いることで、日々変化する走行状況に迅速に対応してスケジュールを計画することができ、燃費低減効果が向上する。
【特許文献1】特開2000−333305号公報
【特許文献2】特開2001−183150号公報
【特許文献3】特開2007−50888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、どのような道路環境においても、計画したSOCと現在のSOCとの乖離は発生するので、引用文献3のように、計画したSOCと現在のSOCとの乖離を再計画のトリガすると、頻繁に再計画が発生してしまい、その分、再計画のための処理負荷が大きくなってしまう。また、計画したSOCと現在のSOCとの関係のみに基づいて再計画を行うので、再計画によって燃費が必ずしも向上するとは限らない。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、走行時にモータ、発電機の作動の計画を再作成するハイブリッド車両において、再計画の頻度を抑えると共に、再計画によって燃費が向上する可能性を高めることを第1の目的とする。
【0008】
また、従来の再計画は、あらかじめ過去の走行時における車速、勾配等を記憶しておき、再計画の実行時に、その記憶した車速、勾配等に基づいて、低燃費を実現するスケジュールを計算するようになっている。しかし、車速、勾配等から低燃費を実現するスケジュールを計算するためには、車速、勾配等からバッテリの充電量、放電量等を算出するために複雑な計算を行う必要があり、そのような複雑な計算を再計画の度に行うと、処理負荷が大きくなってしまう。
【0009】
本発明は上記点に鑑み、走行時にモータ、発電機の作動の計画を再作成するハイブリッド車両において、再計画のための処理負荷を低減することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記第1の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、内燃機関(1)の動力とバッテリ(9)の電力によって駆動可能なハイブリッド車両に搭載される充放電計画装置についてのものである。
【0011】
この充放電計画装置は、受け取った制御指標に基づいて、バッテリ(9)によるハイブリッド車両の駆動およびバッテリ(9)の充電を制御するHV制御部(10)と、ハイブリッド車両が走行する予定の経路上における制御指標の計画を作成すると共に、作成した計画に従ってHV制御部(10)に制御指標を出力した場合の、経路上におけるバッテリ(9)の蓄電量の推移を予測する計画作成手段(200)と、経路の走行中に、当該計画に従ってHV制御部(10)に制御指標を出力した場合の蓄電量の推移と、バッテリ(9)の現在の現実の蓄電量とに基づいて、当該計画を修正するか否かを判定する判定手段(340、350)と、判定手段の肯定的判定に基づいて、計画を修正すると共に、修正後の計画に従ってHV制御部(10)に制御指標を出力した場合の、経路上におけるバッテリ(9)の蓄電量の推移を予測する計画修正手段(360)と、計画に従って、HV制御部(10)に制御指標を出力する出力手段(370)と、を備えている。
【0012】
そして、この充放電計画装置の特徴は、判定手段(340、350)が、制御指標の計画に従ってHV制御部(10)に制御指標を出力した場合の蓄電量の推移を、バッテリ(9)の現在の現実の蓄電量に基づいて修正し、修正した蓄電量の推移において、バッテリ(9)の蓄電量が過充電または過放電となる部分がある場合に、計画を修正すると判定することである。
【0013】
すなわち、請求項1に記載の充放電計画装置においては、制御指標の計画の修正(すなわち再計画)を行うトリガとして、「最新の蓄電量に基づいて修正された蓄電量の推移において、バッテリ(9)の蓄電量が過充電または過放電となる部分がある」というものを採用するようになっている。
【0014】
このようにすることで、従来に比べて、再計画の頻度を抑えると共に、再計画によって燃費が向上する可能性を高めることができる。この点について、図10のグラフを用いて説明する。図10のグラフにおいては、横軸が経路に沿った走行距離、縦軸がバッテリ(9)の蓄電量に相当する。そして、蓄電量の上限よりも大きい部分が、蓄電量が過充電となる部分であり、下限よりも小さい部分が、蓄電量が過放電となる部分である。蓄電量が過充電または過放電の状態になると、燃費の向上の効果が少なくなってしまう。
【0015】
従来は、当初の計画に従った場合の蓄電量の推移(実線71に相当する)がどのようなものであっても、現実の蓄電量(点線72に相当する)の計画蓄電量71からの乖離73が閾値を超えると、再計画が実行される。したがって、平坦な道路等の充放電量が多くない経路において、現実の蓄電量72が上限および下限から十分に離れている場合であっても、実際には再計画を行う必要性が低いにも関わらず、乖離73が閾値を超えると、一律に再計画を行ってしまう。したがって、不要な再計画(燃費が向上する可能性が低い再計画)が多くなり、その結果、再計画の頻度が多くなる。
【0016】
一方、請求項1に記載の充放電計画装置では、「現在の現実の蓄電量に基づいて修正した蓄電量の推移において、バッテリ(9)の蓄電量が過充電または過放電となる部分がある場合」、すなわち、燃費の向上の効果が少なくなってしまうような場合を選んで、再計画を実行する。したがって、従来に比べ、不要な再計画が少なくなり、その結果、再計画の頻度が少なくなり、再計画のための処理負荷を低減することができる。
【0017】
また、上記第2の目的を達成するための請求項2に記載の発明は、内燃機関(1)の動力とバッテリ(9)の電力によって駆動可能なハイブリッド車両に搭載される充放電計画装置についてのものである。
【0018】
この充放電計画装置は、受け取った制御指標に基づいて、バッテリ(9)によるハイブリッド車両の駆動およびバッテリ(9)の充電を制御するHV制御部(10)と、ハイブリッド車両が走行する予定の経路上における制御指標の計画を作成すると共に、作成した計画に従ってHV制御部(10)に制御指標を出力した場合の、経路上におけるバッテリ(9)の蓄電量の推移を予測する計画作成手段(200)と、経路の走行中に、当該計画に従ってHV制御部(10)に制御指標を出力した場合の蓄電量の推移と、バッテリ(9)の現在の現実の蓄電量とに基づいて、当該計画を修正するか否かを判定する判定手段(340、350)と、判定手段の肯定的判定に基づいて、計画を修正すると共に、修正後の計画に従ってHV制御部(10)に制御指標を出力した場合の、経路上におけるバッテリ(9)の蓄電量の推移を予測する計画修正手段(360)と、計画に従って、HV制御部(10)に制御指標を出力する出力手段(370)と、を備えている。
【0019】
そして、この充放電計画装置の特徴は、経路を複数の区間に区切り、各区間について、制御指標の複数の値のそれぞれについて、当該区間の走行時に当該制御指標をHV制御部(10)に出力した場合のバッテリ(9)の蓄電量の変化量を推定し、算出した変化量を前記経路について前記計画作成手段(200)による計画が作成される前に、記憶媒体(23)に記録すること、および、計画修正手段(360)が、記憶媒体(23)に記録された経路上の区間毎かつ制御指標毎の蓄電量の変化量を利用して、修正後の計画として、経路上の各区間においてどの制御指標を用いるかについての計画を作成することである。
【0020】
このように、ある経路についての計画を作成する前に、あらかじめ経路上の区間毎かつ制御指標毎の蓄電量の推定変化量を記録しておき、再計画の際には、その記録した蓄電量の推定変化量を使用することで、従来のように、再計画の度に車速、勾配等から充電量、放電量を計算する必要がなくなるので、再計画のための処理負荷が低減される。
【0021】
また、請求項3に記載のように、請求項2に記載の充放電計画装置も、請求項1の特徴を有するようになっていてもよい。
【0022】
また、請求項4に記載のように、計画作成手段(200)および計画修正手段(360)は、作成または修正後の前記計画に従ってHV制御部(10)に制御指標を出力した場合の、経路上におけるバッテリ(9)の蓄電量の推移が、バッテリ(9)の蓄電量が過充電または過放電となる管理範囲の下限よりも大きい値から、管理範囲の上限よりも小さい値までの範囲に収まるよう、計画を作成または修正するようになっていてもよい。
【0023】
このようにすることで、作成後または修正後の計画に従った蓄電量の推移が、管理範囲に対してマージンをもって設定されるので、その後の走行状況の変化によっても、蓄電量の推移が管理範囲をはみ出す可能性が低くなるので、再計画の頻度が更に低下する。
【0024】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態が適用されるハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。このハイブリッド車両には、内燃機関としてのエンジン1、発電機(すなわち発電用の電気モータ)2、電動機としての電気モータ3、差動装置4、車輪5a、車輪5b、インバータ6、DCリンク7、インバータ8、二次電池としてのバッテリ9、HV制御部10、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14、加速度センサ15、およびナビゲーションECU20が搭載されている。
【0026】
このハイブリッド車両は、エンジン1およびモータ3を動力源として走行する。エンジン1を動力源とする場合は、エンジン1の回転力が、図示しないクラッチ機構および差動装置4を介して車輪5a、5bに伝わる。また、モータ3を動力源とする場合は、バッテリ9の直流電力がDCリンク7およびインバータ8を介して交流電力に変換され、その交流電力によってモータ3が作動し、このモータ3の回転力が、差動装置4を介して車輪5a、5bに伝わる。以下、エンジン1のみを動力源とする走行のモードを、エンジン走行という。また、エンジン1およびモータ3のうち少なくともモータ3を動力源とする走行のモードを、アシスト走行という。また、アシスト走行のうち、モータ3のみを動力源とする走行のモードを、特にEV走行という。
【0027】
また、エンジン1の回転力は発電機2にも伝えられ、その回転力によって発電機2が交流電力を生成し、生成された交流電力はインバータ6、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される場合がある。このようなバッテリ9への充電は、燃料を使用したエンジン1の作動による充電である。以下、このような、エンジン1の回転力を利用して発電機2で発電を行うことによって実現する充電を、内燃充電という。
【0028】
また、ハイブリッド車両の制動時には、ハイブリッド車両の車輪5a、5bの回転力がモータ3に加わり、この回転力によってモータ3がアシスト走行時とは逆に回転することで交流電力を生成し、生成された交流電力がインバータ8、DCリンク7を介して直流電力に変換され、その直流電力がバッテリ9に蓄積される。以下、このような、制動時におけるモータ3を用いた充電を、回生という。
【0029】
このように、ハイブリッド車両は、当該ハイブリッド車両に駆動力を与えるためのエンジン1と、バッテリ9と、バッテリ9を電力源として作動することで当該ハイブリッド車両に駆動力を与えるモータ3と、エンジン1を動力源として作動することでバッテリ9の充電用の電力を発電する発電機2と、を有することで、エンジン1の動力とバッテリ9の電力によって駆動可能となっている。
【0030】
HV制御部10は、ナビゲーションECU20からの指令等に応じて、発電機2、モータ3、インバータ6、インバータ8といったハイブリッド制御用アクチュエータの上述のような作動の実行・非実行等を制御する。
【0031】
具体的には、エンジン走行を行うかまたはアシスト走行を行うか、内燃充電を行うか否か、回生を行うか否か、アシスト走行の際、エンジン1の出力とモータ3の出力の配分をどのようにするか、内燃充電の際、エンジン1の回転力をどのような配分で車輪5a、5bおよび発電機2に伝えるか、等を制御する。このHV制御部10は、例えばマイクロコンピュータを用いて実現してもよいし、下記のような機能を実現するための専用の回路構成を有するハードウェアであってもよい。
【0032】
より具体的には、HV制御部10は、現在SOCという量を記憶しており、また、以下の(A)、(B)の処理を行う。
(A)ナビゲーションECU20から制御指標のデータを繰り返し受け取り、受け取った最新の制御指標のデータ値に基づいて、ドライバの要求する駆動力を満足し、かつ、燃料消費量が少なくなるように、発電機2、モータ3、インバータ6、インバータ8等を制御する。
(B)定期的に現在SOCをナビゲーションECU20に通知する。
【0033】
ここで、制御指標とは、HV制御部10がエンジン1、発電機2、モータ3の出力を調整するための基準となる指標値である。すなわち、ハイブリッド制御用アクチュエータの制御をどのようにして行うかを判定するための基準となる値をいう。具体的には、アシスト走行、内燃充電のいずれを行うかを決定するための基準となる値である。例えば、制御指標として後述する電費閾値を採用すると、制御指標が小さくなるほど、モータ3を駆動したアシスト走行(以下、単に放電ともいう)を行う頻度が、発電機2によるバッテリ9の充電(以下、単に発電ともいう)を行う頻度よりも高くなる。あるいは、エンジン1の出力パワーに対するモータ3の出力パワーの割合が大きくなり、エンジン1の出力パワーに対する発電機2の発電電力の割合が小さくなる。この制御指標をナビゲーションECUが調整することで、HV制御部10の制御による発電電量およびアシスト電量(後述する)を調整することができる。この制御指標の具体的な例については後述する。
【0034】
また、SOC(State of Charge)とは、バッテリの残量(すなわち蓄電量)を表す指標であり、その値が高いほど残量が多い。現在SOCは、現在のバッテリ9のSOCを示す。HV制御部10は、この現在SOCの値を、逐次バッテリ9の状態を検出することで、繰り返し更新する。
【0035】
GPSセンサ11、方位センサ12、および車速センサ13は、それぞれハイブリッド車両の位置、進行方向、走行速度を特定する周知のセンサである。加速度センサ15は、車両の加速度を特定する周知のセンサである。この加速度センサ15と車速センサ13を利用することで、周知の方法で、ハイブリッド車両の前後方向の勾配(傾斜角)を算出することができる。無線通信装置16は、車両の外部と無線通信を行うための周知の無線回路である。
【0036】
地図DB記憶部14は、地図データを記憶する記憶媒体である。地図データは、複数の交差点のそれぞれに対応するノードデータ、および、リンクのそれぞれに対応するリンクデータを有している。1つのノードデータは、当該ノードの識別番号、所在位置情報、種別情報を含む。また、1つのリンクデータは、当該リンクの識別番号(以下、リンクIDという)、位置情報、道路種別情報(高速道路、国道、県道、細街路等の別)、平均勾配情報等を含んでいる。
【0037】
ここで、リンクの位置情報には、当該リンクが含む形状補完点の所在位置データ、および、当該リンクの両端のノードおよび形状補完点のうち隣り合う2つを繋ぐセグメントのデータを含んでいる。各セグメントのデータは、当該セグメントのセグメントID、当該セグメントの勾配、向き、長さ等の情報を有している。
【0038】
図2に示す様に、ナビゲーションECU20は、RAM21、ROM22、データ書き込み可能な耐久記憶媒体23、および制御部24を有している。耐久記憶媒体とは、ナビゲーションECU20の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体をいう。耐久記憶媒体23としては、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、EEPROM等の不揮発性記憶媒体、および、バックアップRAMがある。
【0039】
制御部24は、ROM22または耐久記憶媒体23から読み出したプログラムを実行し、その実行の際にはRAM21、ROM22、および耐久記憶媒体23から情報を読み出し、RAM21および耐久記憶媒体23に対して情報の書き込みを行い、HV制御部10、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、地図DB記憶部14、加速度センサ15等と信号の授受を行う。
【0040】
具体的には、制御部24は、マップマッチング処理29、経路算出処理30、ナビゲーション処理40、学習制御処理100、SOC計画作成処理200、走行時処理300等の処理を、所定のプログラムを実行することで実現する。
【0041】
マップマッチング処理29において、制御部24は、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、加速度センサ15から取得した位置情報等に基づいて、現在位置が地図DB記憶部14の地図中のどの道路上にいるかを判定する。
【0042】
経路算出処理30において、制御部24は、目的地までの最適な誘導経路を、地図データを用いて決定する。なお、目的地は、図示しない操作装置を用いたドライバによる目的地の指定に基づいて、確定してもよい。あるいは、目的地は、ドライバの目的地の指定操作を受け付けるのではなく、自動的に算出するようになっていてもよい。
【0043】
自動的に目的地を算出する場合は、過去の複数機会における出発時の曜日および時刻とその時に実際に決定した目的地との対応関係を示す目的地履歴データをあらかじめ耐久記憶媒体23に記録しておき、当該目的地履歴データの曜日および時刻のうち、今回の出発時(すなわち現在)の曜日および時刻とが最も一致するものを選び出し、その選び出した曜日および時刻に対応する目的地を、今回の目的地に設定する。このように、自動的に目的地を決定した場合は、決定後に、ドライバに目的地および目的地までの誘導経路を画像または音声で提示し、目的地がドライバの意図通りであるか否かの確認操作を受け付け、意図通りであれば当該目的地を確定するようになっていてもよい。
【0044】
ナビゲーション処理40において、制御部24は、経路算出処理30によって確定した目的地点までの誘導経路に沿ってハイブリッド車両を走行させるためのガイド表示を、図示しない画像表示装置、スピーカ等を用いて、ドライバに対して行う処理である。
【0045】
ここで、学習制御処理100について詳細に説明する。学習制御処理100において、制御部24は、ハイブリッド車両が走行した各地点における各種情報を、後述するSOC計画作成処理200のために必要な情報として、耐久記憶媒体23に記録する。図3に、学習制御処理100のフローチャートを示す。
【0046】
制御部24は、この学習制御処理100を、ナビゲーション処理40が目的地までの経路案内を開始した時に開始し、まずステップ110、120で、目的地にハイブリッド車両が到着するまで、繰り返し走行データの収集を行う。
【0047】
走行データ収集の繰り返し間隔は、例えば、所定時間(例えば0.1秒)でもよいし、ハイブリッド車両の所定の移動距離(例えば1メートル)だけ移動した時間であってもよい。走行データの収集が行われる地点を、以下走行データ収集ポイントという。収集する走行データとしては、収集時におけるハイブリッド車両の位置(緯度、経度)、走行速度V、前後方向の勾配θ(地形情報の一例に相当する)、および前後方向加速度等がある。これらのデータは、GPSセンサ11、方位センサ12、車速センサ13、加速度センサ15からの信号に基づいて算出することができる。
【0048】
なお、走行データの収集時には、収集した走行データを区間毎に分別してRAM21または耐久記憶媒体23に記録する。
【0049】
ここで、道路の区間分けについては、走行データ収集の繰り返し間隔の間に通常の速度(例えば、時速50キロメートル)の車両が走行する距離に比べて、各区間の距離が非常に長くなる(例えば100倍以上となる)よう、区間分けを行うようになっていてもよい。
【0050】
区間分けとしては、例えば、各区間の長さが一定となるようにしてもよいし、道路上の各地点の情報(例えば、その地点を通った時の車速、その地点の渋滞度、その地点の勾配等)の変化点(所定の閾値を越えた点)を切れ目として区間分けを行ってもよいし、1つのリンクを1つの区間としてもよいし、1つのセグメントを1つの区間としてもよい。
【0051】
あるいは、これらの区間分け方法を組み合わせてもよい。例えば、誘導経路上の出発地から所定距離以内の近傍および目的地から所定距離以内の近傍においては、各区間の長さが一定となるように区間分けを行い、誘導経路上のその他の部分においては、1つのリンク(または1つのセグメント)を1つの区間としてもよい。なお、本実施形態では、同じ区間でも(すなわち、道路上に占める範囲が同じでも)走行方向が違えば異なる区間であるとして扱う。
【0052】
目的地に到着すると制御部24は、続いてステップ130で、収集した走行データに基づいて、制御指標別に、誘導経路中の区間毎のSOC増減量を算出する。図4に、制御指標別および区間毎に算出されるSOC増減量の一例を示す。
【0053】
ここで算出する、区間のSOC増減量とは、今回の誘導経路を走行した際のSOCの実際の推移ではなく、当該区間においてある特定の制御指標を採用したと仮定した場合に、どれだけSOCが変化するかを示す量である。SOC増減量の計算対象となる制御指標の値は、複数ある。具体的には、制御指標として取り得る値の全範囲内に等間隔で複数個(例えば10個、100個)設定した値を、SOC増減量の計算対象となる制御指標の値としてもよい。
【0054】
ある区間においてある制御指標を採用した場合のSOCの増減量は、当該区間内のすべての走行データ収集ポイントのそれぞれについて、当該制御指標を採用した場合のSOCの増減量を算出し、その算出した各ポイントにおけるSOC増減量の総和を、当該区間のSOC増減量とする。ただし、図4に示すように、SOC増減量については、SOC増減量を発電電量とアシスト電量とに分けて、それぞれについて総和を算出する。
【0055】
ここで、発電電量とは、当該走行データ収集ポイントで当該制御指標を採用して内燃充電または回生を行った場合にバッテリ9に蓄積される電力量をいう。また、アシスト電量とは、当該走行データ収集ポイントで当該制御指標を採用してアシスト走行を行った場合にバッテリ9において消費される電力量をいう。
【0056】
ある制御指標の値を採用した場合の1つの走行データ収集ポイントにおけるSOC増減量の算出は、以下の(1)、(2)のような手順で行う。
(手順1)当該走行データ収集ポイントにおいて収集した走行データから、当該走行データ収集ポイントにおける走行負荷Pを算出する。
(手順2)算出した走行負荷Pおよび当該制御指標の値から、当該走行データ収集ポイント(より詳細には、当該走行データ収集ポイントから次の走行データ収集ポイントまでの範囲)における発電電量またはアシスト電量を算出する。
【0057】
ここで、走行負荷Pは、その走行データ収集ポイントにおいてハイブリッド車両が発生すべき駆動力Rと、その走行データ収集ポイントにおける車速Vとの積である。駆動力Rは、以下の式を用いて算出する。
R=W×acc+μr×W+μ1×A×V×V+W×g×sinθ
この式において、Wはハイブリッド車両の総重量であり、accはハイブリッド車両の加速度であり、μrは転がり抵抗係数であり、μ1は空気抵抗係数であり、Aは前面投影面積であり、gは重力加速度であり、θは道路勾配(水平時はゼロ、上り坂は正値、下り坂は負値)である。W、μr、μ1、A、gについては、あらかじめROM22に記録された値を用いる。
【0058】
あるいは、制御部24は、自車両の走行中に、走行データ収集ポイントに到達する度に、現在時点の走行負荷Pを算出し、それを耐久記憶媒体23に記録し、この手順1においては、その記憶した値を読み出すことで、対象とする走行データ収集ポイントの走行負荷Pを特定してもよい。
【0059】
手順2における、走行データ収集ポイントにおける発電電量またはアシスト電量は、より詳しくは、HV制御部10に当該制御指標の値を出力した場合に、HV制御部10が当該走行負荷Pに相当する駆動パワーを実現するために必要とするであろう発電電量またはアシスト電量である。
【0060】
走行負荷Pおよび制御指標から発電電量(すなわち蓄電量の増加分)またはアシスト電量(すなわち蓄電量の減少分)を算出する方法としては、走行負荷Pおよび制御指標の値の組を入力として、蓄電量の変化量を出力とするハイブリッドシステムのモデルを用いる方法を採用してもよい。このモデルは、マップとしてあらかじめROM22に記録されていてもよい。
【0061】
このようにすることで、制御部24は、誘導経路中の各走行区間について、制御指標別に、SOC増減量(具体的には、発電電量およびアシスト電量)を算出することができる。したがって、今回の走行で実際にどのような制御指標を採用したかに関わらず、制御指標の任意の値をとった際のSOC増減量を正確に算出することができる。
【0062】
なお、1つの区間内における発電電量の総和は、手順2において蓄電量の変化量が正(すなわち、蓄電量増加)となった走行データ収集ポイントについての、当該変化量の総和となる。また、1つの区間内におけるアシスト電量の総和は、手順2において蓄電量の変化量が負(すなわち、蓄電量減少)となった走行データ収集ポイントについての、当該変化量の総和となる。
【0063】
続いてステップ140では、ステップ130で算出したSOC増減量のデータを、学習情報として耐久記憶媒体23に記録する。なお、車両は、日時を変えて同じ区間を複数回走行することがあるので、同じ区間および同じ制御指標についてSOC増減量(発電電量およびアシスト電量)を複数個記録する場合がある。その場合は、同じ区間および同じ制御指標についての、発電電量の平均値および分散、ならびに、アシスト電量の平均値および分散を、耐久記憶媒体23に別途記録するようになっていてもよい。
【0064】
ただし、同じ区間でも時間が経過するにつれて道路環境が変化していくので、過去の学習情報は再現性が低下していく。したがって、同じ区間の同じ制御指標について、所定数以上のSOC増減量のデータが記録された後は、1つのSOC増減量データを追加記録する度に、最も古く記録されたデータを1つ削除し、その上で新たな平均値および分散を算出するようになっていてもよい。すなわち、FIFO方式でSOCデータを削除するようになっていてもよい。
【0065】
また、同じ区間および同じ制御指標の発電電量およびアシスト電量を記録する際、その区間を走行したとき(または誘導経路を出発したとき)の曜日および時間帯の組毎に分類し、その分類項目内で複数の発電電量およびアシスト電量の記録が有れば、それらについての平均値および分散を算出して記録するようになっていてもよい。すなわち、SOC増減量の記録時には、通過曜日および通過時間帯(または出発曜日および出発時間帯)毎にSOC増減量をクラスタリングして記憶、学習してもよい。
【0066】
なお、各区間における制御指標毎のSOC増減量の他にも、各区間をハイブリッド車両が走行したときに制御部24が検出した自車両の区間内平均車速、区間内平均勾配、区間内平均走行エネルギー(すなわち区間内平均駆動力)を、当該区間、走行曜日および走行時間帯に関連付けて耐久記憶媒体23に記録するようになっていてもよい。
【0067】
このような学習制御処理100が何度も実行されることで、多くの区間について、学習情報が耐久記憶媒体23に蓄積される。
【0068】
次に、SOC計画作成処理200について詳細に説明する。制御部24は、経路算出処理30によって誘導経路が算出された後であり、かつ、ハイブリッド車両が走行を開始する前に、このSOC計画作成処理200を実行する。このSOC計画作成処理200は、学習制御処理100において記録されたSOC増減量の学習情報を用いて、誘導経路についてのSOC計画を作成するための処理である。図5に、このSOC計画作成処理200のフローチャートを示す。
【0069】
SOC計画作成処理200の実行において制御部24は、まず誘導経路上の区間毎に、ステップ210、220(または230)の処理を実行する。ステップ210では、現在対象となっている区間(以下、対象区間という)についてのSOC増減量の学習情報が耐久記憶媒体23に記録されているか否かを判定する。なお、出発の曜日および時間帯別にSOC増減量が記録されている場合には、対象区間についての、現在の曜日および時間帯に該当するSOC増減量の学習情報があるか否かを判定する。学習情報があれば続いてステップ220を実行し、学習情報がなければ続いてステップ230を実行する。
【0070】
ステップ230では、対象区間についての学習情報を読み出すことで、対象区間についての(あるいは、同じ曜日、同じ時間帯における対象区間についての)、複数の制御指標のそれぞれに対応したSOC増減量(発電電量、アシスト電量)を算出する。ここで、対象区間の各制御指標に対応したSOC増減量としては、耐久記憶媒体23に記録されている対象区間の当該制御指標のSOC増減量が複数個記録されている場合には、その平均値として記録されている値を採用する。
【0071】
また、耐久記憶媒体23に対象区間(または同じ曜日かつ同じ時間帯の対象区間)の学習情報が記録されていない場合に実行するステップ230では、対象区間の道路種別、平均勾配、および平均車速の情報を取得し、取得したそれらの情報を用いて、簡易的に(すなわち学習情報を使用せず)、複数の制御指標毎のSOC増減量を特定する。
【0072】
対象区間の道路種別および平均勾配の情報は、地図DB記憶部14から取得する。具体的には、当該区間が属するリンクの道路種別および平均勾配を、対象区間の道路種別および平均勾配とする。
【0073】
また、対象区間の平均車速は、過去にその区間を通行したプローブ車両から交通情報センタにアップロードされ、当該交通情報センタで平均化された、対象区間の走行速度情報(以下、プローブ情報という)を用いる。具体的には、無線通信装置16を用いて交通情報センタと無線通信することで、対象区間の走行速度情報をリクエストし、そのリクエストの応答として、当該走行速度情報を受信する。なお、交通情報センタから平均車速情報を取得できない場合は、無線通信装置16を用いて、現在の交通情報(より具体的にはVICS情報)を受信し、その交通情報から、対象区間の走行快適性情報(高速、快適、普通、渋滞、情報なし、の別)を受信し、その走行速度情報を、平均車速情報に代えて使用してもよい。
【0074】
対象区間の道路種別、平均勾配、および平均車速から対象区間の制御指標毎のSOC増減量を算出するために、制御部24は、簡易SOC増減マップを使用する。簡易SOC増減マップは、それが搭載される車種毎にあらかじめ設定され、ナビゲーションECU20の製品出荷前にROM22に記録されるようになっている。あるいは、制御部24は、無線通信装置16を用いてセンタから簡易SOC増減マップを受信するようになっていてもよい。
【0075】
ROM22に記録される簡易SOC増減マップは、複数個あり、それぞれが1つの制御指標に対応している。図6に、1つの制御指標に対応する簡易SOC増減マップの一例を示す。1つの簡易SOC増減マップは、図6に示すように、道路種別、平均勾配、平均車速(または走行快適性)の組をキーとすることで、単位距離当たりのSOC増減量(より具体的には、単位距離当たりの発電電量および単位距離当たりのアシスト電量)を得ることができるようなテーブルとなっている。
【0076】
このような簡易SOC増減マップを用いて得た値に、対象区間の距離を乗算することで、対象区間における制御指標毎のSOC増減量(より具体的には、発電電量およびアシスト電量)を特定することができる。
【0077】
このようなステップ210、220、230の処理を区間毎に繰り返すことにより、誘導経路のうち、学習情報のある区間については、その学習情報を用いた制御指標毎のSOC増減量を取得し、学習情報のない区間については、簡易的に制御指標毎のSOC増減量を取得することができる。学習情報を用いて取得した場合でも、簡易的に特定した場合でも、SOC増減量のデータの形式は同じである。
【0078】
なお、バッテリ9は環境によって電気特性が大きく異なるので、制御部24は、現在のバッテリ9の温度、外気温に基づいて、SOC増減量を補正するようになっていてもよい。例えば、バッテリ9の温度または外気温が所定温度より低いときに、算出したSOCを減少させる補正を行うようになっていてもよい。
【0079】
続いてステップ240では、現在のSOC、目的地における目標SOC、および、取得した区間毎、制御指標毎のSOC増減量に基づいて、誘導経路におけるSOC計画を作成する。
【0080】
ここで、SOC計画とは、具体的には、誘導経路中の各区間においてどの制御指標を採用するかの計画、および、その制御指標を採用した場合にSOCがどのように推移するかの予測(すなわち予測SOC)をいう。図7に、SOC計画の一例を示す。図7中、最下段の値が、制御指標の計画に該当し、点線が予測SOCに該当する。
【0081】
このSOC計画作成の具体的な処理内容の一例を、図8に示す。この例においては、まずステップ242で、ステップ220または230で得たデータ中の制御指標の値のそれぞれについて、その値における各区間のSOC増減量を誘導経路の全区間に渡ってたし合わせる。このようにすることで、制御指標の値を固定して誘導経路全体を走行した場合の、目的地におけるSOCの増減量を、制御指標の値毎に得ることができる。
【0082】
続いてステップ244では、算出したSOC増減量の推移のそれぞれに対して、HV制御部10から取得した現実の現在SOCを加算する。これによって、制御指標の値毎の目的地におけるSOCを得ることができる。そして、これら目的地のSOCのうち、目標SOCに最も近いSOCを実現する制御指標を特定する。これによって、特定した制御指標の値で誘導経路の全区間を走行するという計画が、暫定的な制御指標の計画となる。
【0083】
なお、目標SOCは、管理範囲より狭くなるように設定された予測許容範囲内であれば、その予測許容範囲内の中央値であってもよいし、現在SOCと同じ値でもよいし、予測許容範囲内の下限値であってもよい。
【0084】
ここで、管理範囲および予測許容範囲について説明する、管理範囲とは、バッテリ9の蓄電量が過充電または過放電とならないような範囲として、あらかじめ設定されており、例えば上限がバッテリ残量80%、下限がバッテリ残量40%として設定される。
【0085】
そして、予測許容範囲は、管理範囲内に含まれ、かつ管理範囲の上端部および下端部を含まない範囲としてあらかじめ設定されている。例えば、予測許容範囲の上限が、管理範囲の上限よりも数パーセント(例えば5%)低い値となり、予測許容範囲の下限が、管理範囲の下限よりも数パーセント(例えば5%)高い値となるように設定されていてもよい。
【0086】
続いてステップ246では、暫定的な制御指標の計画に従った区間毎のSOCの増減量を、ステップ220または230で得たSOC増減量のデータのうち、特定した制御指標についてのSOC増減量のデータに基づいて算出し、それら算出した増減量を誘導経路に沿って順次現在SOCに加算していくことで、誘導経路上におけるSOCの推移を予測し、その予測した推移が、予測許容範囲内に収まっているか否かを判定し、収まっていれば続いてステップ249を実行する。
【0087】
予測した推移が予測許容範囲内に収まっていない場合、すなわち、予測した推移のうち一部でも測許容範囲から出ている場合、続いてステップ248で、SOCが誘導経路の全区間で設定範囲内に収まるよう、暫定的な制御指標の計画を微調整し、その後ステップ249を実行する。
【0088】
ステップ249では、修正されていれば修正後の暫定的な制御指標の計画を、修正されていなければステップ244で作成した暫定的な制御指標の計画を、制御指標の計画として確定する。そして、確定した制御指標の計画に従って、区間毎のSOCの増減量を、ステップ220または230で得たSOC増減量のデータに基づいて算出し、それら算出した増減量を誘導経路に沿って順次現在SOCに加算していくことで、誘導経路上におけるSOCの推移を予測する。この予測されたSOCの推移が、予測SOCである。
【0089】
ここで、ステップ248における暫定的な制御指標の微調整の詳細について説明する。このステップ248において、制御部24は、予測されたSOCの推移のうち、予測許容範囲からはみ出す量が最も大きい区間について、以下のような処理(i)、(ii)を順に実行する。
【0090】
(i)予測許容範囲の上下限を超える当該区間以前(すなわち、出発地点から当該区間まで)の誘導経路上の全区間(以下、前範囲という)での制御指標の値を一律に変化させるという処理を、前範囲のSOCの予測が予測許容範囲内に収まるようになるまで、実行する。ただし、制御指標の値をどのような量で一律に変化させても、前範囲のSOCの予測が予測許容範囲内に入らない場合は、許容範囲からはみ出る部分が最も少なくなるような値に制御指標を変化させる。
【0091】
(ii)前範囲の終端点から目的地までの全区間に該当する後範囲について、ステップ242、244と同じ処理行う。ただし、この場合、ステップ244では、後範囲の始点におけるSOCとして、現在SOCに代えて、前範囲の終点における処理(i)で算出したSOCの予測値を採用する。
【0092】
そして、誘導経路の全区間において予測SOCが予測許容範囲に収まるまで、予測許容範囲からはみ出す量が最も大きい区間を選択して処理(i)、(ii)を実行するという処理を、繰り返す。
【0093】
このようにすることで、制御指標毎のSOC増減量を利用し、目的地までの誘導経路で電力の取りこぼしや不足がなく、効率良い充放電を行うことができるような制御指標を設定することができる。
【0094】
なお、誘導経路上のある区間の規制情報として、排ガス防止のためのエコドライブエリア、エンジン走行禁止エリアが設けられており、制御部24がその規制情報を地図DB記憶部14または無線通信装置16から無線通信で取得できる場合、制御部24は、当該区間のSOC計画として、当該区間においてエンジン1を使用しない旨(すなわちEV走行を行う旨)を決定し、その区間の予測SOCの変化量は、当該区間をEV走行をした場合のSOCの変化量として算出するようになっていてもよい。
【0095】
次に、走行時処理300について詳細に説明する。制御部24は、走行時処理300が終了してハイブリッド車両が誘導経路に沿って走行し始めると、走行時処理300の実行を開始する。この走行時処理300は、誘導経路中の各区間において、HV制御部10にその区間で使用すべき制御指標を通知し、また、必要に応じてSOC計画を修正するための処理である。図9に、この走行時処理300のフローチャートを示す。
【0096】
走行時処理300において、制御部24は、まずステップ305で、ハイブリッド車両が現在走行している区間を、マップマッチング処理29によって特定する。続いてステップ310では、その特定結果に基づいて、ハイブリッド車両が誘導経路を逸脱しているか否かを判定し、逸脱していれば続いてステップ315を実行し、逸脱していなければ続いてステップ340を実行する。
【0097】
ステップ315では、経路復帰案内を行う。具体的には、図示しない画像表示装置または音声出力装置を用いて、自車両が誘導経路から外れた旨の案内をドライバに通知し、さらに、元の経路に復帰するように提案を行う。このように、ハイブリッド車両が誘導経路から外れた場合は、元の誘導経路に復帰するようドライバに提案することで、ドライバがその提案に従って誘導経路に復帰する可能性が高くなる。したがって、誘導経路からの逸脱に起因するSOC計画の変更、およびその変更の発生による計算負荷の増加を防ぐことができ、また、再計画が頻発することによる燃費悪化を防ぐことができる。
【0098】
続いてステップ320では、ステップ315の実行開始から基準期間(例えば10分)だけ、ハイブリッド車両が誘導経路に復帰したか否かを監視し、当該基準期間内に復帰すれば続いてステップ340を実行し、当該基準期間を経過しても誘導経路に復帰しない場合は、続いてステップ325を実行する。
【0099】
ステップ325では、再度同じ目的地に対して現在位置を出発地点とした経路算出処理30を実行する。これによって、目的地までの誘導経路が新たなものに変更される。続いてステップ330では、SOC計画作成処理200を再実行することで、SOC計画を新たなものに変更する。
【0100】
ステップ340では、現在の区間を起点とし、現在の区間から所定のn区間後の区間を終点とする誘導経路の部分(以下、判定対象部分という)について、SOCの推移を新たに予測する。ただし、nは自然数である。例えば、現在の区間から目的地までの誘導経路上の全区間が判定対象部分となるようにnを設定してもよいし、その半分に設定してもよい。nが小さいほど、計算負荷が低減される。
【0101】
このSOCの推移の予測には、作成されたSOC計画中の予測SOC、現在SOC(すなわち、現時点における現実のSOC)、およびハイブリッド車両の現在位置の情報を利用する。
【0102】
具体的には、予測SOCから、現在位置におけるSOCの値(以下、現在位置予測SOCという)を読み取り、さらに、現在SOCから現在位置予測SOCを減算し、さらに、この減算結果を、現在の区間以降の区間(ただし判定対象部分中の区間に限る)の予測SOCに加算する。すなわち、現在位置において予測SOCが現実のSOCと乖離してしまった分だけ、現在の区間以降の区間(ただし判定対象部分中の区間に限る)の予測SOCを、現実に合わせるように、修正する。
【0103】
続いてステップ350では、判定対象部分内の修正後の予測SOCにおいて、SOC上限値からSOC下限値までの管理範囲を外れている部分があるか否かを判定し、ある場合は続いてステップ360を実行し、ない場合は続いてステップ370を実行する。なお、SOCが管理範囲外となるということは、バッテリ9が過充電または過放電となることを意味する。
【0104】
ステップ360では、SOC計画作成処理200を再度実行することで、判定対象部分中のSOC計画を、新たなSOC計画に変更し、その後ステップ370を実行する。このようにすることで、新たな制御指標のスケジュールが決定し、その制御指標のスケジュールに基づいて、新たな予測SOCが決定する。すなわち、新たなSOC計画が作成される。そして、この新たな予測SOCは、管理範囲内に収まるようになる。
【0105】
ステップ370では、SOC計画中から、現在位置の区間における制御指標を抽出し、抽出した制御指標をHV制御部10に出力する。このようにすることで、HV制御部10は、ナビゲーションECU20から受け取った制御指標に基づいて、ドライバの要求する駆動力を満足し、かつ、燃料消費量が少なくなるように、発電機2、モータ3、インバータ6、インバータ8等を制御する。
【0106】
なお、ステップ370では、現在位置の区間において、SOC計画作成処理200でEV走行する旨の決定をしていた場合、制御部24は、HV制御部10に、EV走行を行う旨の指令を出力する。この指令を受け取ったHV制御部10は、エンジン1を停止し、モータ3のみを用いて車両を駆動させる。
【0107】
続いてステップ380では、ハイブリッド車両が目的地に到着したか否かを判定し、到着していれば走行時処理300を終了し、到着していなければステップ305を再度実行する。なお、ステップ305→310→340→350→370→380→305のループにおける、ステップ305の実行タイミングは、定期的であってもよいし、または現在位置が属する区間が変化したときであってもよい。
【0108】
このような走行時処理300を実行することで、制御部24は、ハイブリッド車両が誘導経路上を走行している間(ステップ305、310、380参照)、繰り返し、誘導経路上の前方の所定の複数区間までの区間について、現在SOCと現在位置における予測SOCとの乖離の分だけ、予測SOCを現実に合わせるように修正し(ステップ340参照)、修正された予測SOCが管理範囲外にはみ出す場合(ステップ350参照)、予測SOCが管理範囲内に収まるように、新たなSOC計画を作成する(ステップ370参照)。
【0109】
以上説明した通り、ハイブリット車両において、HV制御部10とナビゲーションECU20とから成る充放電計画装置は、走行時に車両に搭載されたセンサ11、12、13、15等により、車両情報(車速、消費電力量、エンジン回転数など)と地形情報(路面勾配など)を算出し、道路上の区間ごとに紐付けした学習情報を耐久記憶媒体23に記憶する機能と、目的地までの経路を予測し、学習情報を利用してSOC計画を作成する機能とを有し、また、燃料消費量を低減するよう制御する機能を有している。
【0110】
そして、この充放電計画装置の特徴は、走行中に経路前方でのSOCの推移を予測して、それがSOC管理範囲外(過充電、過放電)に達する可能性があるとき、制御指標の計画を修正することによって充放電量を調節し、電力の取りこぼしや不足を防ぐ。
【0111】
換言すれば、この充放電計画装置の特徴は、制御指標の計画に従ってHV制御部10に制御指標を出力した場合のSOC(すなわち蓄電量)の推移(すなわち予測SOC)の現在値と、バッテリ9の現在の現実のSOCとを比較し、それら2つの値の差をなくすよう、予測SOC全体に定数を付加する修正を施し、修正した予測SOCの推移のうち、現在位置よりも前方の経路の推移において、過充電または過放電となる部分がある場合に、制御指標の計画を修正すると判定することである。すなわち、制御指標の計画の修正(すなわち再計画)を行うトリガとして、「最新の現在SOCに基づいて修正されたSOCが過充電または過放電となる部分がある」というものを採用するようになっている。
【0112】
このようにすることで、従来に比べて、再計画の頻度を抑えると共に、再計画によって燃費が向上する可能性を高めることができる。この点について、図10のグラフを用いて説明する。図10のグラフにおいては、横軸が誘導経路に沿った走行距離、縦軸がSOCに相当する。そして、SOCの上限よりも大きい部分が、SOCが過充電となる部分であり、下限よりも小さい部分が、SOCが過放電となる部分である。SOCが過充電または過放電の状態になると、燃費の向上の効果が少なくなってしまう。
【0113】
従来は、当初の計画に従った場合のSOCの推移(実線71に相当する)がどのようなものであっても、現実のSOC(点線72に相当する)の予測SOC71からの乖離73が閾値を超えると、再計画が実行される。したがって、平坦な道路等の充放電量が多くない誘導経路において、現実のSOC72が上限および下限から十分に離れている場合であっても、実際には再計画を行う必要性が低いにも関わらず、乖離73が閾値を超えると、一律に再計画を行ってしまう。したがって、不要な再計画(燃費が向上する可能性が低い再計画)が多くなり、その結果、再計画の頻度が多くなる。
【0114】
一方、本実施形態の充放電計画装置では、「現実の現在SOCに基づいて修正した予測SOCの推移において、SOCが過充電または過放電となる部分がある場合」、すなわち、燃費の向上の効果が少なくなってしまうような場合を選んで、再計画を実行する。したがって、従来に比べ、不要な再計画が少なくなり、その結果、再計画の頻度が少なくなり、再計画のための処理負荷を低減することができる。
【0115】
また、本実施形態の充放電計画装置の別の特徴として、過去の走行で取得した車速情報、勾配情報などを用いて、誘導経路上の各区間において任意の制御指標をとったときのSOCの増減量をあらかじめ算出し、耐久記憶媒体に記録しておくという特徴がある。
【0116】
換言すれば、この充放電計画装置の特徴は、誘導経路を複数の区間に区切り、各区間について、制御指標の複数の値のそれぞれについて、当該区間の走行時に当該制御指標をHV制御部10に出力した場合のSOC増減量(すなわち変化量)を推定し、算出したSOC増減量を誘導経路についてSOC計画が作成される前に、耐久記憶媒体23に記録すること、および、記録された経路上の区間毎かつ制御指標毎のSOC増減量を利用して、修正後の計画として、経路上の各区間においてどの制御指標を用いるかについての計画を作成することである。
【0117】
このように、ある経路についての計画を作成する前に、あらかじめ経路上の区間毎かつ制御指標毎のSOC増減量を記録しておき、再計画の際には、その記録したSOC増減量を使用することで、従来のように、再計画の度に車速、勾配等から充電量、放電量を計算する必要がなくなるので、再計画のための処理負荷が低減される。
【0118】
また、充放電計画装置は、SOC計画に従ってHV制御部10に制御指標を出力した場合の、誘導経路上におけるSOCの推移が、管理範囲の下限よりも大きい値から、管理範囲の上限よりも小さい値までの予測許容範囲に収まるよう、計画を作成または修正するようになっていてもよい。
【0119】
このようにすることで、作成後または修正後の計画に従った蓄電量の推移が、管理範囲に対してマージンをもって設定されるので、その後の走行状況の変化によっても、予測SOCの推移が管理範囲をはみ出す可能性が低くなるので、再計画の頻度が更に低下する。
【0120】
以下、走行時処理300の作動例について、図11および図12を用いて説明する。この図11のグラフは、縦軸がSOCの値を示し、横軸が誘導経路中の区間を示している。また、図12は、区間毎の制御指標、SOC増減量、予測SOCの関係を示す表である。
【0121】
この例においては、SOCの管理範囲は下限が40%、上限が70%であり、SOC計画によれば区間5〜8においては当初は制御指標として50という値を用いるようになっている。また、ハイブリッド車両は区間5の始点を走行しており、現在SOCは65%であり、当初の予測SOCは図12(a)の表に従って図11の実線50のように推移するようになっている。
【0122】
このとき制御部24は、走行時処理300のステップ340で、現在位置の現在SOCに基づいて予測SOC50を修正して予測SOC51を算出する。この修正後の予測SOC51は、現在SOCと、修正前の予測SOCにおける前方区間のSOC増減量(図12(a)参照)を足し合わせることでも得ることができる。
【0123】
そして制御部24は、そのようにして得られた修正後の予測SOC51では、区間7でSOC上限を超える(すなわち管理範囲外にはみ出す)と判定する。すなわち、制御指標が50のままでは、区間7では下り坂で大きな回生電力が得られるので修正後の予測SOCが管理範囲を超える。
【0124】
そこで制御部24は、続いてステップ360で、管理範囲に収まるような新たなSOC計画として、区間5〜8で制御指標の値として40を用いるSOC計画を作成する。このように制御指標の値を小さくすることで、当初のSOC計画よりもエンジン1の出力パワーに対するモータ3の出力パワーの割合を大きくすることができる。あるいは、モータ3をハイブリッド車両の駆動に使用する時間を長くして、前方区間でのバッテリ9の使用量を増加させるよう設定する。そのようにすることで、図12(b)の表および図11に示すように、新たなSOC計画に対応する予測SOC52は、管理範囲内に収まるようになっている。すなわち、区間7における下り坂での回生電力をとりこぼさない。
【0125】
このように、前方区間でのSOCを常に監視して、上記の処理を行うことで、回生電力の取りこぼし、または、渋滞地帯での電力不足を防止することができる。
【0126】
ここで、制御指標の具体例について説明する。制御指標は、エンジン1、発電機2、モータ3の出力を調整するための基準となる指標値であればどのようなものであってもよい。例えば、発電(すなわち回生および内燃充電)とアシスト走行のどちらを行うかを決める電費閾値であってもよいし、あるいは、エンジン・モータ出力割合であってもよい。
【0127】
まず、制御指標として電費閾値を用いる場合について説明する。既述の通り、制御部24は、学習制御処理100で制御指標毎の区間別SOC増減量(発電電量およびアシスト電量)を算出する際に、ステップ130の手順2において、以下のような処理を行うようになっている。
【0128】
(手順2)算出した走行負荷Pおよび採用している制御指標から、当該走行データ収集ポイント(より詳細には、当該走行データ収集ポイントから次の走行データ収集ポイントまでの範囲)における発電電量またはアシスト電量を算出する。
【0129】
制御指標として電費閾値を用いる場合、この手順2の詳細は、図13に示すフローチャートのようになる。まず制御部24は、ステップ410で、手順1で算出した走行データ収集ポイントの走行負荷Pを、モータ3を用いずエンジン1の全出力のみで満足するためのエンジン動作点を算出し、それを第1エンジン基準点とする。エンジン動作点とは、エンジン1のトルク(単位Nm)および回転数(単位rpm)をパラメータとする2次元平面中の一点をいう。走行負荷Pから第1エンジン基準点を算出する方法としては、走行負荷Pを入力として第1エンジン基準点を出力とするマップ(例えばROM22に記録されている)を用いる方法を採用する。
【0130】
また、算出した第1エンジン基準点における単位時間当たりの燃料消費量(単位g/hour)を算出する。この算出も、エンジン動作点を入力として単位時間当たりの燃料消費量を出力とするマップ(例えばROM22に記録されている)を用いて実現する。
【0131】
なお、1つの走行負荷Pに対応する第1エンジン基準点の候補が複数ある場合は、それら候補のうち、単位時間当たりの燃料消費量が最小のもののみを、第1エンジン基準点として用いる。
【0132】
続いてステップ420では、第1エンジン基準点に対して発電電力(単位kW)を増加させた場合における単位時間当たりの燃料消費量の増加量を、複数の発電電力の増加量について算出する。なお、燃料消費量の増加量および発電電力の増加量とは、第1エンジン基準点における燃料消費量および発電電力に対する増加量をいう。
【0133】
ここで、「第1エンジン基準点に対して発電電力を増加させた場合」とは、第1エンジン基準点の算出に用いた走行負荷Pおよび増加分の発電電力の両方をエンジン1の全出力のみで満足するようなエンジン動作点をいう。このようなエンジン動作点の特定も、走行負荷Pおよび増加分の発電電力を入力とし、エンジン動作点を出力とするマップ(例えばROM22に記録されている)を用いて実現する。なお、同じ発電電力の増加量に対して複数のエンジン動作点がある場合は、それらのうち、単位時間当たりの燃料消費量が最も小さいもののみを採用する。
【0134】
さらにステップ420では、算出した単位時間当たりの燃料消費量の増加量のそれぞれを、対応する発電電力の増加量で除算する。除算結果の値は、発電電費(単位g/kWh)となる。発電電費とは、発電量を増やすためにエンジン動力を増加させたときの、発電電力の増加分に対するエンジンに必要な追加燃料(単位時間当たりの燃料消費量の増加量)をいう。このように、ステップ420では、第1エンジン基準点に対する複数の発電電力の増加分のそれぞれについて、発電電費を算出することができる。
【0135】
図14の右象限には、発電電費の一例を示す点群がプロットされている。図14においては、横軸が第1エンジン基準点に対する発電電力の増加量を示しており、縦軸が発電電費(または後述するアシスト電費)を示している。発電電費が低いほど、単位電力量当たりの発電に費やされる燃料が少なく、好ましい。なお、算出した複数の発電電費のうち、最も値が小さい発電電費61を、最適発電電費61という。なお、回生時は、発電することによって燃料消費量が増大しないので、発電電費がゼロとなる。
【0136】
続いてステップ430では、第1エンジン基準点に対してアシスト電力(単位kW)を増加させた場合における単位時間当たりの燃料消費量の削減量を、複数のアシスト電力の増加量について算出する。ここで、アシスト電力とは、アシスト走行のためにモータ3を回転させるための電力である。なお、燃料消費量の削減量およびアシスト電力の増加量とは、第1エンジン基準点における燃料消費量に対する削減量および第1エンジン基準点におけるアシスト電力に対する増加量をいう。
【0137】
ここで、「第1エンジン基準点に対してアシスト電力を増加させた場合」とは、第1エンジン基準点の算出に用いた走行負荷Pを、アシスト電力の増加分によるモータ3の全出力およびエンジン1の全出力で満足するようなエンジン動作点をいう。このようなエンジン動作点の特定も、走行負荷Pおよび増加分のアシスト電力を入力とし、エンジン動作点を出力とするマップ(例えばROM22に記録されている)を用いて実現する。なお、同じアシスト電力の増加量に対して複数のエンジン動作点がある場合は、それらのうち、単位時間当たりの燃料消費量が最も小さいもののみを採用する。
【0138】
さらにステップ430では、算出した単位時間当たりの燃料消費量の減少量のそれぞれを、対応するアシスト電力の増加量で除算する。除算結果の値は、アシスト電費(単位g/kWh)となる。アシスト電費とは、モータ3の出力を増加させたときの、アシスト電力の増加量に対するエンジンの燃料削減量(単位時間当たりの燃料消費量の削減量)をいう。このように、ステップ430では、第1エンジン基準点に対する複数のアシスト電力の増加分のそれぞれについて、アシスト電費を算出することができる。
【0139】
図14の左象限には、アシスト電費の一例を示す点群がプロットされている。アシスト電費が高いほど、単位発電量当たりの燃料削減量が大きくなり、好ましい。なお、算出した複数の発電電費のうち、最も値が大きいアシスト電費62を、最適アシスト電費62という。
【0140】
続いてステップ440では、採用している電費閾値65(採用している制御指標に相当する)から最適発電電費61を減算した値である電費改善量63と、最適アシスト電費62から同じ電費閾値65を減算した値である電費改善量64とを比較し、電費改善量63の方が大きければステップ450を実行し、そうでなければステップ460を実行する。この処理は、現在の走行データ収集ポイントにおいて、発電を行うことの有利さと、充電を行うことの有利さとのどちらが優勢であるかを判定する処理である。
【0141】
発電における電費改善量63の方が大きい場合のステップ450では、発電電量を算出する。具体的には、最適発電電費61における発電電力に、当該走行データ収集ポイントから次の走行データ収集ポイントまでの範囲の走行に要する時間Tを乗算した結果を、この走行データ収集ポイントにおける発電電量とする。なお、時間Tは、当該走行データ収集ポイントから次の走行データ収集ポイントまでの距離を、当該走行データ収集ポイントを走行した時の車速Vで除算した値を用いる。
【0142】
アシストにおける電費改善量64の方が大きい場合のステップ460では、アシスト電量を算出する。具体的には、最適アシスト電費62におけるアシスト電力力に、当該走行データ収集ポイントから次の走行データ収集ポイントまでの範囲の走行に要する時間Tを乗算し、さらに正負を反転させた結果(負値)を、この走行データ収集ポイントにおけるアシスト電量とする。ステップ450または460の後、手順2が終了する。ただし、手順2のステップ440において、電費改善量63、64のいずれも負の値となる場合、アシスト電量も発電電量も算出しない。つまり、この走行データ収集ポイントについてのアシスト電量も発電電量もゼロとする。
【0143】
また、制御指標として電費閾値を用いる場合について、図9のステップ370でナビゲーションECU20から出力された制御指標をHV制御部10が受け取ったときのHV制御部10の作動内容を説明する。
【0144】
既述の通り、HV制御部10は、ナビゲーションECU20から制御指標を受け取ると、受け取った最新の制御指標に基づいて、ドライバの要求する駆動力を満足し、かつ、燃料消費量が少なくなるように、発電機2、モータ3、インバータ6、インバータ8等を制御する。
【0145】
具体的には、HV制御部10は、まずハイブリッド車両が要求する要求駆動パワーSPwを決定する。この要求駆動パワーは、現在のアクセル開度および現在の車速から、あらかじめHV制御部10のROM等の記憶媒体に記録されたマップに基づいて決定する。なお、アクセル開度は、図示しないアクセル開度センサから取得し、車速は、車速センサ13から直接取得してもよいし、ナビゲーションECU20を介して車速センサ13から取得してもよい。
【0146】
続いてHV制御部10は、決定した要求駆動パワーSPwおよびナビゲーションECU20から取得した最新の制御指標とに基づいて、アシスト走行を行うか否か、内燃充電を行うか否かを決定し、さらに、アシスト走行を行う場合、モータ3の出力電力(アシスト電力)を決定し、また、内燃充電を行う場合、発電機2の発電電力を決定する。そして、それらの決定を実現するよう、周知の方法で発電機2、モータ3、インバータ6、インバータ8等を制御する。なお、これらのような決定の処理においては、図13に示した手順2に行った処理において、走行負荷Pを要求駆動パワーSPwに置き換えた処理を、基本的に利用する。
【0147】
具体的には、HV制御部10は、決定した要求駆動パワーSPwを実現エンジン1の全出力のみで満足するよう、エンジン1のエンジン動作点を決定する。以下、このようにして決められたエンジン動作点を、第2エンジン基準点という。この第2エンジン基準点の決定には、要求駆動パワーSPwを入力として第2エンジン基準点を出力とするマップ(例えばHV制御部10のROM等の記憶媒体に記録されている)を用いる方法を採用する。なお、1つの要求駆動パワーSPwに対応する第2エンジン基準点の候補が複数ある場合は、それら候補のうち、単位時間当たりの燃料消費量が最小のもののみを、第2エンジン基準点として用いる。
【0148】
続いてHV制御部10は、第2エンジン基準点に対して発電電力(単位kW)を増加させた場合における単位時間当たりの燃料消費量の増加量を、複数の発電電力の増加量について算出する。ここで、「第2エンジン基準点に対して発電電力を増加させた場合」とは、第2エンジン基準点の算出に用いた要求駆動パワーPwおよび増加分の発電電力の両方をエンジン1の全出力のみで満足するようなエンジン動作点をいう。このようなエンジン動作点の特定も、要求駆動パワーSPwおよび増加分の発電電力を入力とし、エンジン動作点を出力とするマップ(例えばHV制御部10のROM等の記憶媒体に記録されている)を用いて実現する。なお、同じ発電電力の増加量に対して複数のエンジン動作点がある場合は、それらのうち、単位時間当たりの燃料消費量が最も小さいもののみを採用する。
【0149】
続いてHV制御部10は、算出した単位時間当たりの燃料消費量の増加量のそれぞれを、対応する発電電力の増加量で除算する。除算結果の値は、発電電費(単位g/kWh)となる。このように、HV制御部10は、第2エンジン基準点に対する複数の発電電力の増加分のそれぞれについて、発電電費を算出する。
【0150】
続いてHV制御部10は、第2エンジン基準点に対してアシスト電力(単位kW)を増加させた場合における単位時間当たりの燃料消費量の削減量を、複数のアシスト電力の増加量について算出する。ここで、「第2エンジン基準点に対してアシスト電力を増加させた場合」とは、第2エンジン基準点の算出に用いた要求駆動パワーSPwを、アシスト電力の増加分によるモータ3の全出力およびエンジン1の全出力で満足するようなエンジン動作点をいう。このようなエンジン動作点の特定も、要求駆動パワーSPwおよび増加分のアシスト電力を入力とし、エンジン動作点を出力とするマップ(例えばROM22に記録されている)を用いて実現する。なお、同じアシスト電力の増加量に対して複数のエンジン動作点がある場合は、それらのうち、単位時間当たりの燃料消費量が最も小さいもののみを採用する。
【0151】
さらにHV制御部10は、算出した単位時間当たりの燃料消費量の減少量のそれぞれを、対応するアシスト電力の増加量で除算する。除算結果の値は、アシスト電費(単位g/kWh)となる。このように、HV制御部10は、第2エンジン基準点に対する複数のアシスト電力の増加分のそれぞれについて、アシスト電費を算出する。
【0152】
続いてHV制御部10は、最新の電費閾値(すなわち制御指標)から最適発電電費を減算した値である電費改善量と、最適アシスト電費から同じ電費閾値を減算した値である電費改善量とを比較する。そして、前者の電費改善量の方が大きければ、発電を行うことを決定し、発電を行うことを決定した場合は、最適発電電費における発電電力を、発電すべき電力として決定する。後者の電費改善量の方が大きければアシスト走行を行うことを決定し、最適アシスト電費におけるアシスト電力を、モータ3の出力すべき電力として決定する。
【0153】
次に、制御指標としてエンジン・モータ出力割合を用いる場合について説明する。エンジン・モータ出力割合は、エンジン1の出力パワーに対する、モータ3の出力パワーまたは発電機2の発電電力の割合である。そして、放電時には正の値をとり、発電時には負の値をとり、放電も発電もしない場合にはゼロとなる。
【0154】
より具体的には、放電する場合には、モータ3の出力パワーをエンジン1の出力パワーで除算した値がエンジン・モータ出力割合となり、発電する場合には、発電機2の発電電力をエンジン1の出力パワーで除算した値に−1を乗算した値が、エンジン・モータ出力割合となる。
【0155】
したがって、このエンジン・モータ出力割合が大きくなるほど、モータ3を駆動したアシスト走行を行う頻度が、発電機2によるバッテリ9の充電を行う頻度よりも高くなる。あるいは、エンジン1の出力パワーに対するモータ3の出力パワーの割合が大きくなり、エンジン1の出力パワーに対する発電機2の発電電力の割合が小さくなる。
【0156】
制御指標としてエンジン・モータ出力割合を用いる場合、学習制御処理100のステップ130の手順2における、走行負荷Pおよび制御指標(出力割合)から、当該走行データ収集ポイントにおける発電電量またはアシスト電量を算出する処理は、以下のようにして実現する。
【0157】
まず制御部24は、当該走行データ収集ポイントにおいてハイブリッド車両が発生すべき走行負荷Pを満たしつつ、当該エンジン・モータ出力割合を満たすような、当該走行データ収集ポイントの発電電力またはアシスト電力を算出する。ただし、当該エンジン・モータ出力割合が正の値の場合には、アシスト電力を算出し、負の場合には、発電電力を算出する。
【0158】
続いて制御部24は、算出したアシスト電力または発電電力に、その走行データ収集ポイントから次の走行データ収集ポイントに到るまでハイブリッド車両がかかった時間を乗算することで、アシスト電量または発電電量を算出する。
【0159】
また、制御指標としてエンジン・モータ出力割合を用いる場合について、図9のステップ370でナビゲーションECU20から出力された制御指標をHV制御部10が受け取ったときのHV制御部10の作動内容を説明する。HV制御部10は、ナビゲーションECU20から制御指標としてエンジン・モータ出力割合を受け取ると、受け取った最新のエンジン・モータ出力割合に基づいて、ドライバの要求する駆動力を満足し、かつ、当該エンジン・モータ出力割合を満たすように、発電機2、モータ3、インバータ6、インバータ8等を制御する。
【0160】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0161】
例えば、制御部24は、図3に示した学習制御処理100を、ナビゲーション処理40が目的地までの経路案内を開始した時のみならず、ハイブリッド車両が走行しているときには常に実行するようになっていてもよい。その場合、ステップ120の目的地に到着したか否かの判定を、ハイブリッド車両のイグニッションスイッチがオフになったか否かの判定に置き換えてもよい。
【0162】
また例えば、上記実施形態においては、制御部24は、学習制御処理100においてSOC増減量の学習情報を記録する対象をハイブリッド車両が通るすべての区間としているが、SOC増減量の学習情報を記録する対象を、ハイブリッド車両が頻繁に通る区間のみに絞ってもよい。
【0163】
ハイブリッド車両が頻繁に通る区間としては、例えば、ハイブリッド車両が直近の過去の所定期間(例えば1ヶ月)に基準回数(例えば10回)以上通っている区間を、頻繁に通る区間としてもよい。あるいは、ナビゲーションECU20において自宅として登録されている自宅地点を出発地点とし、通勤先として登録されている通勤先地点を目的地として、それによって算出される高頻度誘導経路を特定し、特定した高頻度誘導経路中の全区間を、頻繁に通る区間としてもよい。高頻度誘導経路は、通勤先地点を出発地点として自宅地点を目的地とする誘導経路であってもよいし、自宅地点を出発地点として自宅地点を目的地とする誘導経路であってもよい。
【0164】
本発明者の調査によれば、53%のドライバが自宅→自宅、もしくは自宅→目的地→自宅という頻繁に走行する経路を持っている。このような頻繁に通る経路は、最も学習精度が高い経路である。したがって、学習情報を記録する対象を頻繁に走行する経路に限定することで、本願発明の効果を十分に発揮しつつ、学習情報の記録量を低減することができる。
【0165】
また例えば、学習情報を無線通信によりハイブリッド車両から車両外のセンタにアップロードするようになっていてもよい。この際、センタは、複数のハイブリッド車両から学習情報を受信し、車種毎に仕分けして各車種でSOC増減量の平均値、分散を記録するようになっていてもよい。そして、ハイブリッド車両は、必要時に必要な分だけセンタから学習情報をダウンロードするようになっていてもよい。このようにすることで、ナビゲーションECU20における記憶容量の削減が実現し、かつ、同車種の他の車と学習情報を共有することができる。
【0166】
また例えば、制御部24は、SOC計画作成処理200のステップ220で算出した対象区間のSOC増減量は、対象区間における現在の交通情報(具体的にはVICS情報)およびプローブ情報に基づいて、交通状況が学習時と異なるときは、当該SOC増減量を補正するようになっていてもよい。このために、制御部24は、学習制御処理100において、制御し標語とのSOC増減量に関連付けて、その時点の交通情報およびプローブ車両の情報を記録するようになっていてもよい。このようにすることで、道路の現在の状況に応じたSOC計画を作成することができる。
【0167】
また、上記実施形態においては、制御指標の値毎に、かつ、区間毎に、SOCの増減量を算出しており、その際、SOCの増減量を、発電電量とアシスト電量に仕分けして、記録するようになっている。しかし、SOCの増減量を、別の仕分けで記録するようになっていてもよい。
【0168】
例えば、発電電量を、回生による発電電量、補機(車両の駆動を行うわけではないが、間接的に車両の走行を補助するための装置の総称。例えば、車室内空調装置、オーディオ機器、ヘッドライト)による消費電力量、EV走行以外のアシスト走行による消費電力量、EV走行による消費電力量、といった、電気の用途別に仕分けして記録するようになっていてもよい。
【0169】
このようにすることで、SOCの増減量の補正を、仕分けられた項目(具体的には用途)別に行うことができる。これによって、SOCの増減量の補正を、より正確に行うことができる。これは、項目毎に、SOCの増減量に影響を及ぼす要因が異なるためである。
【0170】
例えば、SOC計画作成処理200のステップ240におけるSOC計画作成時、および、走行時処理300のステップ360の制御指標の設定時において、交通情報(VICS情報)、プローブ情報(すなわち車速情報)、バッテリ9の温度変化等に変化があったときに、学習情報中のSOC増減量に補正をかけるようになっている場合を考える。この場合に、制御部24は、項目別に、補正の方法を変えることによって、それぞれに適切に補正をかけることができる。
【0171】
例えば、各区間の補機によるSOC低下量は、プローブ情報を使用して、その区間の通過時間の長さに比例するよう補正するようになっていてもよい。また、各区間のEV走行によるSOC低下量は、交通情報によれば当該区間が渋滞している場合、当該区間の距離に応じて補正するようになっていてもよい。
【0172】
また、ある区間で回生によって得ることのできる電力量、および、補機によって消費される電力量については、制御指標によって変化することはない。したがって、学習情報のうち、これらの情報については、制御指標毎に記録するのではなく、すべての制御指標に共通な情報として記録するようになっていてもよい。このようにすることで、制御部24における余分な計算負荷が低減され、また、制御部24の記憶データ量を低減することができる。
【0173】
また、SOC計画作成処理200のステップ240におけるSOC計画において、制御部24は、上記実施例に示したような方法にかかわらず、誘導経路上の全区間における制御指標の組み合わせとして、すべての可能な組み合わせを抽出し、各組み合わせにおいて、SOCの推移を算出し、それらSOC推移のうち、目的地において目標SOCに合致し、かつ、全ての区間でSOCの設定範囲内に収まるようなものを、制御指標の計画として採用するようになっていてもよい。
【0174】
また、走行時処理300の実行中に、突発的な渋滞などにより普段とは全く異なる交通状況によって、SOCの予測が使用できない状態になることが起こりうる。このような場合に対する対策として、制御部24は、誘導経路を走行しているときに、自車両の区間内平均車速、区間内平均勾配、自車両の区間内平均行エネルギー(すなわち区間内平均駆動力)を検出し、その検出値が、現在と同じ曜日および時間帯に当該区間について学習制御処理100で過去に記録された自車両の区間内平均車速、区間内平均勾配、自車両の区間内平均行エネルギーと比較し、それらのうちすべて(あるいはいずれか1つ)が所定量以上乖離していれば、走行時処理300の実行を中止するようになっていてもよい。あるいは、それらのうちすべて(あるいはいずれか1つ)が所定量以上乖離していれば、予測SOCを修正するようになっていてもよい。また、区間内平均車速、区間内平均勾配、区間内平均行エネルギーのみならず、無線通信装置16を用いて受信する交通情報(例えばVICS情報)が、学習制御処理100で過去に記録された交通情報と所定量以上乖離していることに基づいて、走行時処理300の中止または予測SOCの修正を行うようになっていてもよい。
【0175】
また、制御部24は、SOC計画作成処理24において、誘導経路中のある区間に浮いてステップ220で読み出した学習情報において、SOC増減量の分散が所定の閾値よりも大きい場合は、SOC計画の作成を中止するか、あるいは、その区間についてはステップ230を実行してSOC増減量を算出するようになっていてもよい。このようにするのは、SOC増減量の分散が大きい区間は、状況によってSOC増減量が大きく変化する可能性が高い区間である可能性画高いからである。
【0176】
また、上記の実施形態においては、充放電計画装置を構成するのは、HV制御部10とナビゲーションECU20という2つの装置であるが、これに代えて、HV制御部10の機能とナビゲーションECU20の機能とを併せ持つ1つの装置が、充放電計画装置を構成するようになっていてもよい。
【0177】
また、上記の実施形態において、制御回路24がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】本発明の実施形態が適用されるハイブリッド車両の構成を概略的に示す図である。
【図2】ナビゲーションECU20の構成および外部との接続関係を示すブロック図である。
【図3】学習制御処理100のフローチャートである。
【図4】制御指標および区間毎の発電電量およびアシスト電量のデータを示す図である。
【図5】SOC計画作成処理200のフローチャートである。
【図6】簡易SOC増減マップの一例を示す図表である。
【図7】SOC計画の内容を例示する図である。
【図8】SOC計画作成処理200のステップ240の詳細を示すフローチャートである。
【図9】走行時処理300のフローチャートである。
【図10】従来の再計画の方法における問題点を示すための、バッテリの充電量の推移のグラフである。
【図11】走行時処理300の作動例を示すSOCのグラフである。
【図12】制御指標40を採用した場合の各区間のSOC増減量および予測SOCを示す図表であり、(a)は制御指標として40を採用した場合を、(b)は制御指標として50を採用した場合を示している。
【図13】学習制御処理100のステップ130の手順2の詳細を示すフローチャートである。
【図14】右象限に発電電費の一例を、左象限にアシスト電量の一例を、それぞれプロットした図である。
【符号の説明】
【0179】
1 エンジン
2 発電機
3 モータ
9 バッテリ
10 HV制御部
20 ナビゲーションECU
24 制御部
50 修正前の予測SOC
51 修正後の予測SOC
52 再計画後の予測SOC
61 最適発電電費
62 最適アシスト電費
63、64 電費改善量
65 電費閾値
100 学習制御処理
200 SOC計画作成処理
300 走行時処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(1)の動力とバッテリ(9)の電力によって駆動可能なハイブリッド車両に搭載される充放電計画装置であって、
受け取った制御指標に基づいて、前記バッテリ(9)による前記ハイブリッド車両の駆動および前記バッテリ(9)の充電を制御するHV制御部(10)と、
前記ハイブリッド車両が走行する予定の経路上における制御指標の計画を作成すると共に、作成した前記計画に従って前記HV制御部(10)に制御指標を出力した場合の、前記経路上におけるバッテリ(9)の蓄電量の推移を予測する計画作成手段(200)と、
前記経路の走行中に、前記計画に従って前記HV制御部(10)に制御指標を出力した場合の前記蓄電量の推移と、前記バッテリ(9)の現在の現実の充電量とに基づいて、前記計画を修正するか否かを判定する判定手段(340、350)と、
前記判定手段の肯定的判定に基づいて、前記計画を修正すると共に、修正後の前記計画に従って前記HV制御部(10)に制御指標を出力した場合の、前記経路上におけるバッテリ(9)の蓄電量の推移を予測する計画修正手段(360)と、
前記計画に従って、前記HV制御部(10)に制御指標を出力する出力手段(370)と、を備え、
前記判定手段(340、350)は、前記制御指標の計画に従って前記HV制御部(10)に制御指標を出力した場合の前記蓄電量の推移を、前記バッテリ(9)の現在の現実の蓄電量に基づいて修正し、修正した蓄電量の推移において、バッテリ(9)の蓄電量が過充電または過放電となる部分がある場合に、前記計画を修正すると判定することを特徴とする充放電計画装置。
【請求項2】
内燃機関(1)の動力とバッテリ(9)の電力によって駆動可能なハイブリッド車両、に搭載される充放電計画装置であって、
受け取った制御指標に基づいて、前記バッテリ(9)による前記ハイブリッド車両の駆動および前記バッテリ(9)の充電を制御するHV制御部(10)と、
前記ハイブリッド車両が走行する予定の経路上における制御指標の計画を作成すると共に、作成した前記計画に従って前記HV制御部(10)に制御指標を出力した場合の、前記経路上におけるバッテリ(9)の蓄電量の推移を予測する計画作成手段(200)と、
前記経路の走行中に、前記計画に従って前記HV制御部(10)に制御指標を出力した場合の前記蓄電量の推移と、前記バッテリ(9)の現在の現実の蓄電量とに基づいて、前記計画を修正するか否かを判定する判定手段(340、350)と、
前記判定手段の肯定的判定に基づいて、前記計画を修正すると共に、修正後の前記計画に従って前記HV制御部(10)に制御指標を出力した場合の、前記経路上におけるバッテリ(9)の蓄電量の推移を予測する計画修正手段(360)と、
前記計画に従って、前記HV制御部(10)に制御指標を出力する出力手段(370)と、
前記経路を複数の区間に区切り、各区間について、制御指標の複数の値のそれぞれについて、当該区間の走行時に当該制御指標を前記HV制御部(10)に出力した場合の前記バッテリ(9)の蓄電量の変化量を推定し、算出した変化量を、前記経路について前記計画作成手段(200)による計画が作成される前に、記憶媒体(23)に記録する記録制御手段(100)を備え、
前記計画修正手段(360)は、前記記憶媒体(23)に記録された前記経路上の区間毎かつ制御指標毎の蓄電量の変化量を利用して、修正後の前記計画として、前記経路上の各区間においてどの制御指標を用いるかについての計画を作成することを特徴とする充放電計画装置。
【請求項3】
前記判定手段(340、350)は、前記制御指標の計画に従って前記HV制御部(10)に制御指標を出力した場合の前記蓄電量の推移を、前記バッテリ(9)の現在の現実の蓄電量に基づいて修正し、修正した蓄電量の推移において、バッテリ(9)の蓄電量が過充電または過放電となる部分がある場合に、前記計画を修正すると判定することを特徴とする請求項2に記載の充放電計画装置。
【請求項4】
前記計画作成手段(200)および計画修正手段(360)は、作成または修正後の前記計画に従って前記HV制御部(10)に制御指標を出力した場合の、前記経路上におけるバッテリ(9)の蓄電量の推移が、バッテリ(9)の蓄電量が過充電または過放電となる管理範囲の下限よりも大きい値から、前記管理範囲の上限よりも小さい値までの範囲に収まるよう、前記計画を作成または修正することを特徴とする請求項1または3に記載の充放電計画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−125868(P2010−125868A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299172(P2008−299172)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】