説明

光学式測定システム

【課題】 高速で高精度な測定を行えるようにすること。
【解決手段】 測定対象120に測定用光を照射する光源部101と、光源部101とは位置関係が無関係であるが相互の位置関係が既知で、測定対象120からの測定用光を偏向する第1、第2光偏向素子108、109と、第1、第2光偏向素子108、109からの測定用光を検出する1つの光検出素子105と、測定対象120から反射した測定用光が第1、第2光偏向素子108、109の双方を介して光検出素子105へ入射する測定対象120上の点Pについて、第1、第2光偏向素子108、109を介して光検出素子105が検出した測定用光に基づいて三角測距法によって測定対象120についての長さに関する情報を算出する演算装置115とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定用光を測定対象に照射すると共に前記測定対象で反射した前記測定用光を検出し、前記検出した測定用光に基づいて前記測定対象の形状等を測定する光学式測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体レーザ等の光源から発生した測定用光を測定対象に照射し、前記測定対象で反射した前記測定用光を検出することによって、所定位置から測定対象までの距離や前記測定対象の3次元形状等を測定するようにした光学式測定システムが開発されている。
前記光学式測定システムの例として、光源から測定対象に測定用光を照射し、相互の位置関係は既知であるが前記光源とは無関係な任意の位置に配設された光検出手段によって前記測定対象で反射した前記測定用光を検出し、三角測距法を用いて、前記複数の光検出手段が検出した測定用光に基づいて所定位置を基準とする前記測定対象の座標、所定位置から前記測定対象までの距離、前記測定対象の形状の測定等を行うようにした光学式測定システムが開発されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図8は、特許文献1に記載された発明の概要を示す図である。図8において、801はレーザ光等の測定用光を測定対象808に照射する光源部である。802は受光レンズ803及び光検出素子804を有する第1光検出部、805は受光レンズ806及び光検出素子807を有する第2光検出部である。第1光検出部802と第2光検出部805は、相互の位置関係が既知の値となるように配置されているが、光源部801とは関連性のない任意の位置関係に配置される。
【0004】
測定対象808の形状等を測定する場合、光源部801からの測定用光によって測定対象808の測定点を照射し、測定対象808で反射した測定用光を、第1光検出部802及び第2光検出部805によって検出する。図示しない演算装置が、第1、第2光検出部802、805によって検出した測定用光に基づいて、三角測距法を用いて測定対象808の形状等を算出する。これにより、第1光検出部802と第2光検出部805間の位置関係は既知の関係に規定されるが、光源部801は、第1光検出部802及び第2光検出部805との間の位置関係は規定されない任意の位置にできるので、光源部801を手動等で自由に移動させながら測定したい箇所を照射して測定対象808の形状や位置等を測定することが可能になる。
【0005】
このように、特許文献1記載の発明では、光源と複数の光検出部との位置関係を任意に設定できるため、これらの位置関係による測定制約が生じず、簡単な構成で、多様な測定に対応することが可能になる等の効果を有している。
しかしながら、特許文献1記載の発明では、各光検出部から出力されるデータの同時刻性を保つのが難しく、同期をとるために測定に時間がかかったり、高精度に測定するために複雑な処理回路が必要となる等の問題がある。
【0006】
また、前記各光検出部を構成する受光素子に、取り付け位置および受光感度等の製造時における個体差があり、高精度に測定する場合、調整に時間を要するという問題がある。
また、前記各受光素子の位置関係を合わせる必要があり、調整要素が多いという問題がある。
また、複数の受光素子を必要とするため、小型化および軽量化に限界がある。
更に、複数の受光素子を必要とし、かつ調整要素が多いため高価なものになるという問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2007−198841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高速で高精度な測定を行えるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、測定対象に測定用光を照射する光源部と、前記光源部とは位置関係が無関係に配置され、前記測定対象で反射し第1、第2の経路を介して入射する前記測定用光を検出する光検出手段と、前記第1、第2の経路を介して検出した測定用光に基づいて三角測距法によって前記測定対象についての長さに関する情報を算出する演算手段とを備えた光学式測定システムにおいて、前記光検出手段は、前記光源部とは位置関係が無関係であるが相互の位置関係が既知であると共に前記第1、第2経路に配設され、前記測定対象で反射し前記第1、第2経路を通る測定用光を各々偏向する第1、第2光偏向部と、前記第1、第2光偏向部からの測定用光を検出する1つの光検出素子とを有して成り、前記演算手段は、前記測定対象で反射した測定用光が前記第1、第2光偏向部の双方を経由して前記光検出素子へ入射した前記測定対象上の点について、前記第1、第2光偏向部を介して前記光検出素子が検出した測定用光に基づいて三角測距法によって前記測定対象についての長さに関する情報を算出することを特徴とする光学式測定システムが提供される。
演算手段は、測定対象で反射した測定用光が第1、第2光偏向部の双方を経由して光検出素子へ入射した前記測定対象上の点について、前記第1、第2光偏向部を介して前記光検出素子が検出した測定用光に基づいて三角測距法によって前記測定対象についての長さに関する情報を算出する。
【0010】
ここで、前記第1光偏向部は前記測定対象からの測定用光を偏向する第1光偏向素子と、前記第1偏向素子からの測定用光を前記光検出素子側へ偏向する第3光偏向素子を有し、前記第2光偏向部は前記測定対象からの測定用光を偏向する第2光偏向素子と、前記第2光偏向素子からの測定用光を前記光検出素子側へ偏向する第4光偏向素子を有し、前記第3、第4光偏向素子は1つの光偏向素子を兼用して成るように構成してもよい。
【0011】
また、前記第1光偏向素子、第2光偏向素子、第3光偏向素子及び光検出素子の中の少なくとも2つの相対的な位置関係が可変であるように構成してもよい。
また、前記第1、第2光偏向素子に対応して設けられると共に前記測定対象で反射した測定用光を集光して前記第1、第2光偏向素子に向けて出力する第1、第2受光レンズを備えて成るように構成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高速で高精度な測定を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る光学式測定システムについて説明する。尚、各図において同一部分には同一符号を付している。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光学式測定システムの構成図である。本第1の実施の形態に係る光学式測定システムは、測定対象120に測定用光を照射する光源部101、測定対象120で反射した前記測定用光を検出する光検出部100、光検出部100が検出した測定用光に基づいて三角測距法によって測定対象120の形状等の測定対象120についての長さに関する情報を算出する演算手段としての演算装置(本実施の形態ではコンピュータ)115を備えている。
光源部101と光検出部100間の相互の位置関係は任意であり、これらは自由に配置することができる。
【0014】
光源部101は、半導体レーザや発光ダイオード(LED)等の発光素子によって構成されている。102は光源部101から出射される測定用光で、出射する光のパターンは、点状のスポット光、線(ライン)状の光、十字架(クロス)状の光、環(サークル)状の光等を適用できる。測定用光102を用いて測定対象120の形状等を測定する。
103は反射した測定用光で、測定用光102の内、測定対象120で反射(散乱)した光である。104は駆動部で、光源部101を測定用光102の光軸と交差する方向に移動させたり回転させることによって、測定用光102の方向を変える(偏向する)。駆動部104は、公知の技術によって、直動、回転、チルト等、種々の方向に光源部101を移動制御するように構成される。前記移動制御は自動制御でも手動制御でもよく、測定対象120に対する光源部101の照射位置を変えることができればよいため、光源部101を直接手で持って可動させるように構成してもよい。
【0015】
光検出部100で、測定対象120で反射した測定用光の検出を行う。光検出部100は、1つの光検出素子105、1つの受光レンズ106、第1光偏向素子108、第2光偏向素子109、第3光偏向素子107を備えている。
光検出素子105の中心に位置し且つ光検出素子105に垂直な線である光軸130上に、受光レンズ106の中心および第3光偏向素子107の中心が位置するように配設されている。また、第1光偏向素子108と第2光偏向素子109は光軸130を中心に対称に配設されている。
【0016】
光検出素子105、受光レンズ106、第3光偏向素子107、第1光偏向素子108及び第2光偏向素子109の間の位置関係は所定の既知の値に設定されている。
第1偏向素子108は測定用光を反射するための光反射面111を有し、第2偏向素子109は測定用光を反射するための光反射面112を有している。第3偏向素子107は第1偏向素子108及び第2光偏向素子109からの測定用光を光検出素子105側に反射するための光反射面110を有している。
光検出素子105としては、PSD(Position Sensitive Detector)、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の光センサアレー(CMOS光センサアレー)等、各種の光検出素子が使用可能である。
【0017】
受光レンズ106は測定用光を集光して光検出素子105上に結像させる光学素子である。第3光偏向素子107は、プリズムまたはミラーなどの光偏向素子を用いることが可能で(本実施の形態ではミラーを使用している)、第1光偏向素子108及び第2光偏向素子109からの測定用光を偏向して、光検出素子105の所定領域に導光する。第3光偏向素子107は、測定したい領域に応じて、2面若しくは4面(例えば4面の場合にはピラミッド型形状)またはそれ以上の偏向面(例えば光反射面)を持たせてもよい。後述するように、別途駆動部を設けて、第1、第2光偏向素子108、109、第3光偏向素子107、光検出素子105の位置関係を上下左右に可変できるように構成してもよい。
【0018】
第1、第2光偏向素子108、109は、プリズムまたはミラーなどの光偏向素子を用いることができ(本実施の形態ではミラーを使用している)、測定対象120によって反射した測定用光を偏向して第3光偏向素子107に導光する。第1、第2光偏向素子108、109は、第3光偏向素子107の光偏向面の数に応じて、配置および数を増やしてもよい。駆動部を設け、第3光偏向素子107との位置関係を可変できるようにしてもよい。
【0019】
光検出素子105、受光レンズ106、第1、第2光偏向素子108、109、第3光偏向素子107は箱状の支持体113内に収容されている。
尚、第1光偏向素子108及び第3光偏向素子107は第1光偏向部を構成し、第2光偏向素子109及び第3光偏向素子107は第2光偏向部を構成している。ここで、第3光偏向素子107は、第1光偏向部と第2光偏向部の双方に兼用されている。第3偏向素子107は、第1光偏向部では第3光偏向素子として、第2光偏向部では第4光偏向素子として用いられるものであるが、ここでは第3光偏向素子と称して統一して使用する。
【0020】
演算装置115は電気ケーブル114を介して光検出素子105に接続されており、光検出素子105が検出した測定用光に対応する電気信号が電気ケーブル114を介して演算装置115に入力される。演算装置115は前記電気信号に基づいて、三角測距法を用いて、測定対象120の形状、所定位置を基準とする測定対象120上の所定点までの距離等の測定対象120についての長さに関する情報を算出する。
【0021】
図2は、本発明の第1の実施の形態において、測定可能な範囲を説明するための説明図である。図2において、測定対象上の測定対象点P(そのXYZ座標は(X,Y,Z))で反射した測定用光は、第1、第2光偏向素子108、109によって偏向され、第3光偏向素子107によって偏向された後、受光レンズ106を介して光検出素子105によって検出される。このとき、測定対象点Pから第1光偏向素子108、第3光偏向素子107、受光レンズ106を経由する第1経路と、測定対象点Pから第2光偏向素子109、第4光偏向素子107、受光レンズ106を経由する第2経路の双方の経路を介して光検出素子105に結像する領域(図2のハッチングを付した領域)が測定可能な領域になる。反射した測定用光を検出できない領域が測定不能な領域であることは勿論であるが、前記第1の経路又は第2の経路のいずれか一方のみを経由して光検出素子105によって検出された領域も測定不能な領域である。
【0022】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る光学式測定システムにおける測定動作を示す説明図である。
図4は、図3におけるX−Y平面において、X−Y座標を算出する際の説明図で、光学式測定システムの一部の構成要素を示している。直線Y1〜Y5、Y10、Y30、Y50はX−Y平面上の直線である。
図4において、第1、第2光偏向素子108、109は同一形状に形成されている。第1、第2光偏向素子108、109及び第3光偏向素子107の断面は底角がπ/4の直角二等辺三角形に構成されている。第1、第2光偏向素子108、109の光反射面111、112は各々、X軸に対して所定角度(本実施の形態では((π/4)+θ)度)傾いて配設されている。角度θは第1、第2光偏向素子108、109がX軸に対してなす角である。
【0023】
第3光偏向素子107の頂点が光軸130(即ちY軸)上に位置するように配設されている。fは受光レンズ106の焦点距離である。dは、受光レンズ106と第1、第2光偏向素子108、109及び第3光偏向素子との間のY軸方向の距離(具体的には、受光レンズ106の中心(座標原点O)から、第1、第2光偏向素子108、109と第3光偏向素子107の受光レンズ106側端部までのY軸方向の距離)である。ηは、受光レンズ106と第1、第2光偏向素子間のX軸方向の距離(具体的には、受光レンズ106の中心から、第1、第2光偏向素子108、109の受光レンズ106側端部までのX軸方向の距離)である。距離ξは測定値であり、測定対象120で反射した測定用光が第1光偏向素子108、第3光偏向素子107を介して光検出素子105によって検出された位置を示す距離(前記検出された位置と光軸130との距離)である。
【0024】
距離ζも測定値であり、測定対象120で反射した測定用光が第2光偏向素子109、第3光偏向素子107を介して光検出素子105によって検出された位置を示す距離(前記検出された位置と光軸130との距離)である。第1、第2光偏向素子108、109、第3光偏向素子107、受光レンズ106及び光検出素子105は予め所定の関係を有するように定めた所定位置に配設されており、したがって、距離d、f、η、角度θは既知の値である。
図5は、図3におけるZ−Y平面においてZ−Y座標を算出する際の説明図で、光学式測定システムの一部の構成要素を示している。
【0025】
以下、図1〜図5を用いて、本発明の第1の実施の形態に係る光学式測定システムの動作を説明する。
先ず、図1において、光検出部100、測定対象120、光源部101を取り付けた駆動部104を設置する。この場合、光検出部100は測定対象120で反射した測定用光を受光することが可能な位置であれば、光源部101に対して任意の位置に配置できる。また、光源部101は、測定対象の測定対象位置を測定用光で照射することが可能な位置であれば、光検出部100と測定対象120に対して任意の位置に配置できる。
【0026】
このように、光検出部100、測定対象120及び光源部101を配置した状態で、光源部101から出力される測定用光によって測定対象120の測定点P(X,Y,Z)を照射し、測定対象120で反射した前記測定用光を光検出部100によって検出する。演算部115は、光検出部110が検出した測定用光に対応する電気信号を受信して、下記式を用いて、測定点Pの位置を算出する。
【0027】
先ず、第1経路(測定対象Pから、第1光偏光素子108、第3光偏光素子107を経由して光検出素子105に至る経路)を通って光検出素子105の第1の半分領域105−1(図4において光軸130の左側半分の領域105−1)によって検出される測定用光については、光軸130をX座標軸として、以下の式が成立する。尚、第1経路を通る測定用光は、測定対象Pから、直線Y5、直線Y4(第1光偏光素子108の光反射面111上の直線)上の点、直線Y3、直線Y2(第2光偏光素子107の光反射面110上の直線)上の点、直線Y1)を経由して光検出素子105上の検出位置(光軸130をX座標軸とするX座標ξ)に到達する。
【0028】
Y1=m1・X+a1
Y2=m2・X+a2
Y3=m3・X+a3
Y4=m4・X+a4
Y5=m5・X+a5
【0029】
但し、直線Y1〜Y5、係数m1〜m5、数値a1〜a5は次式によって表される。
m1=f/ξ
m2=1
a1=0
a2=d
cosα1=(1+m1・m2)/√((1+m1)・(1+m2))
=(1+m2・m3)/√((1+m2)・(1+m3))
m3=(m2/(m2−A))・(−1±(A/m2)・√(1+m2−A))
A=(1+m1・m2)/√(1+m1
a3=(1−(√2)・ξ・sinα1/((f−ξ)・sin(π/4+α1)))・d
m4=tan−1(π/4+θ)
a4=d−η
cosβ1=(1+m3・m4)/√((1+m3)・(1+m4))
=(1+m4・m5)/√((1+m4)・(1+m5))
m5=(m4/(m4−B))・(−1±(B/m4)・√(1+m4−B))
B=(1+m3・m4)/√(1+m3
直線Y3と直線Y4の交点の座標を(X34,Y34)とすると、
X34=(a3−a4)/(m4−m3)
Y34=m4・(a3−a4)/(m4−m3)+a4
となる。点(X34,Y34)を通る直線Y5の式より、a5は次式で求められる。
a5=Y34−m5・X34
【0030】
次に、第2経路(測定対象Pから、第2光偏光素子109、第3光偏光素子107を経由して光検出素子105に至る経路)を通って光検出素子105の第2の半分領域105−2(図4において光軸130の右側半分の領域105−2)によって検出される測定用光については、光軸130をX座標軸として、前記第1経路を通る測定用光と同様にして以下の式が成立する。
即ち、第2経路を通る測定用光は、測定対象Pから、直線Y50、直線Y4(第1光偏光素子109の光反射面112上の直線)上の点、直線Y30、直線Y2(第2光偏光素子107の光反射面110上の直線)上の点、直線Y10)を経由して光検出素子105上の検出位置(光軸130をX座標軸とするX座標ζ)に到達し、次の式が成立する。
【0031】
Y10=m10・X+a10
Y2=m2・X+a2
Y30=m30・X+a30
Y4=m4・X+a4
Y50=m50・X+a50
【0032】
但し、直線Y10、Y2、Y30、Y4、Y50、係数m10、m2、m30、m4、m50、数値a10、a2、a30、a4、a50は前記同様にして幾何学的に算出され、各々、次式によって表される。
m10=f/ζ
m2=1
a10=0
a2=d
cosα2=(1+m10・m2)/√((1+m10)・(1+m2))
=(1+m2・m30)/√((1+m2)・(1+m30))
m30=(m2/(m2−C))・(−1±(C/m2)・√(1+m2−C))
C=(1+m10・m2)/√(1+m10
a30=(1−(√2)・ζ・sinα2/((f−ζ)・sin(π/4+α2)))・d
m4=tan−1(π/4+θ)
a4=d−η
cosβ2=(1+m30・m4)/√((1+m30)・(1+m4))
=(1+m4・m50)/√((1+m4)・(1+m50))
m50=(m4/(m4−D))・(−1±(D/m4)・√(1+m4−D))
D=(1+m30・m4)/√(1+m30
直線Y30と直線Y4の交点の座標を(X304,Y304)とすると、
X304=(a30−a4)/(m4−m30)
Y304=m4・(a30−a4)/(m4−m30)+a4
となる。点(X304,Y304)を通る直線Y50の式より、a50は次式で求められる。
a50=Y304−m50・X304
【0033】
直線Y5と直線Y50の交点(X,Y)が求める点PのX座標、Y座標となる。点PのX−Y座標(X,Y)は、前記の如くして得られたa5、a50、m5、m50を用いて、下記式のように表される。
【数1】

【0034】
一方、図5において、点P2のY座標をP2y、点P1のY軸座標をP1yとすると、
P2y=S1+S2+S3
P1y=f・(S1+S2+S3)/√(f+ξ
となる。
したがって、点PのZ座標Z0は、図5において幾何学的に算出することによって得られ、次式で表される。
Z0=ψ・(S1+S2+S3)/f
【0035】
但し、図3に示すように、原点(受光レンズ106の中心)から、測定用光と第2光偏向素子107の光反射面110との交点をXY平面へ投影した点までの距離をS1とする。測定用光と第2光偏向素子107の光反射面110との交点をXY平面へ投影した点から、測定用光と第1光偏向素子108の光反射面111との交点をXY平面へ投影した点までの距離をS2とする。測定点PをXY座標に投影した点P1から距離S1、S2を差し引いた距離をS3とする。また、距離ψは、光軸130をZ座標軸とする光検出素子105上の検出位置である。
【0036】
このようにして、演算部115は、三角測距法を用いて、複数(本実施の形態では2つ)の経路を介して光検出素子105へ入射する測定対象120上の点P(X,Y,Z)のXYZ座標が得られる。測定可能な領域の複数の点について前記測定処理を行うことにより、測定対象120の形状や所定位置を基準とする測定対象120上の所定点の位置等の測定対象120についての長さに関する情報を測定することができる。
【0037】
以上述べたように、本発明の第1の実施の形態に係る光学式測定システムは、測定対象120に測定用光を照射する光源部101と、光源部101とは位置関係が無関係に配置され、測定対象120で反射し第1、第2の経路を介して入射する測定用光を検出する光検出部100と、前記第1、第2の経路を介して検出した測定用光に基づいて三角測距法によって測定対象120についての長さに関する情報を算出する演算装置115とを備えた光学式測定システムにおいて、光検出部100は、光源部101とは位置関係が無関係であるが相互の位置関係が既知であると共に前記第1、第2経路に配設され、測定対象120で反射し前記第1、第2経路を通る測定用光を各々偏向する第1、第2光偏向部108、109と、第1、第2光偏向部108、109からの測定用光を検出する1つの光検出素子105とを有して成り、演算装置115は、測定対象120で反射した測定用光が第1、第2光偏向部108、109の双方を経由して光検出素子105へ入射した測定対象120上の点について、第1、第2光偏向部108、109を介して光検出素子105が検出した測定用光に基づいて三角測距法によって測定対象120についての長さに関する情報を算出するように構成している。
【0038】
このように、本発明の第1の実施の形態に係る光学式測定システムは、1つの光検出素子105を用いて、複数の経路を介して光検出素子105へ入射する測定対象120上の点Pについて、長さに関する情報を得るようにしているため、複数の光検出部を用いた場合のように同期をとる必要が無く、高速で高精度な測定を行うことが可能になる。また構成が簡単になるため廉価に構成することが可能になる。
【0039】
また、第1、第2光偏向素子108、109、第3光偏向素子107、受光レンズ106及び光検出素子105を予め既知の位置関係に配設しておけば足りるため、調整要素が少ないという効果を奏する。したがって、高生産性に対応することが可能である。また、小型で軽量に構成することが可能になる。また、消費電力を低減することが可能になる。
また、光源部101と光検出部100との位置関係を任意に設定できるため、これらの位置関係による測定制約が生じず、多様な測定に対応することが可能になる。
また、反射ミラーやプリズム等の光偏向素子を用いて測定用光を偏向しているため、簡単な構成で測定用光を偏向することが可能になり又、小型化が可能になる。
【0040】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る光学式測定システムの光検出部を示す図である。
図6に示すように、第1、第2光偏向素子108、109及び第3光偏向素子107に対する、受光レンズ106及び光検出素子105の位置を変えることが可変に構成されており、これによって、測定可能な領域や測定分解能の少なくとも一方を可変することができる。
【0041】
即ち、図6に示すように、第1、第2光偏向素子108、109及び第3光偏向素子107から、受光レンズ106及び光検出素子105を遠ざけた位置に移動制御することにより、前記第1の実施の形態に比べて、測定可能な領域(ハッチングを付した領域)が光検出素子105に近い領域となっている。
第1、第2光偏向素子108、109、第3光偏向素子107、光検出素子105の中の少なくとも2つを相対的に移動制御する手段を設けることにより、測定可能領域を変更し、測定可能領域内における測定分解能を向上させる等、測定可能範囲や測定分解能の少なくとも一方を可変することが可能になる。
【0042】
即ち、第1光偏向素子108、第2光偏向素子109、第3光偏向素子107及び光検出素子105の中の少なくとも2つの相対的な位置関係が可変であるように構成することにより、測定可能領域と測定分解能の少なくとも一方を変えることができる。
また、第1、第2光偏向素子108、109、光検出素子105間の位置の変更は駆動機構等の位置制御手段を設けることによって自動制御で行うようにしてもよく又、手動操作によって行うようにしてもよい。
【0043】
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る光学式測定システムの光検出部を示す図である。
本第3の実施の形態では、光検出素子105に対応して配設した受光レンズ106は使用せずに、第1光偏向素子108の測定対象側に第1受光レンズ701を対応付けて設けると共に、第2光偏向素子109の測定対象側に第2受光レンズ702を対応付けて設けるように構成した例である。
【0044】
ここで、第1光偏向素子108、第3光偏向素子107及び受光レンズ701は第1光偏向部を構成し、第2光偏向素子109、第3光偏向素子107及び受光レンズ701は第2光偏向部を構成している。尚、第3光偏向素子107は、第1光偏向部と第2光偏向部の双方に兼用されている。第3偏向素子107は、第1光偏向部では第3光偏向素子として、第2光偏向部では第4光偏向素子として用いられるものであるが、ここでは第3光偏向素子と称して統一して使用する。
係る構成により、測定対象120で反射した測定用光を良好に集光して検出することが可能になり、測定精度が向上する。
【0045】
前記各実施の形態に係る光学式測定システムは、自動車用トランスミッションの形状測定をはじめとする非接触三次元測定装置、自動車等の製造ラインにおける形状測定センサ、ロボット等の視覚センサ等に利用可能である。また、種々の凹凸面や穴端部を有する測定対象物の3次元形状、所定位置から測定対象物までの距離、所定位置を基準とする測定対象物の座標等、測定対象の長さに関する情報を光学的に測定する光学式測定システムに利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
自動車用トランスミッションの形状測定をはじめとする非接触三次元測定装置、自動車等の製造ラインにおける形状測定センサ、ロボット等の視覚センサをはじめとして、種々の凹凸面や穴端部を有する測定対象物の3次元形状、所定位置から測定対象物までの距離、所定位置を基準とする測定対象物の座標等、測定対象の長さに関する情報を光学的に測定する光学式測定システムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る光学式測定システムの構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る光学式測定システムの説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る光学式測定システムの説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る光学式測定システムの説明図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る光学式測定システムの説明図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る光学式測定システムの部分構成図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る光学式測定システムの部分構成図である。
【図8】従来の光学式測定システムの概略構成図である。
【符号の説明】
【0048】
100・・・光検出部
101・・・光源部
102・・・測定用光
103・・・測定用光
104・・・駆動部
105・・・光検出素子
106・・・受光レンズ
107・・・第3光偏向素子
108・・・第1光偏向素子
109・・・第2光偏向素子
110、111、112・・・光反射面
113・・・支持体
114・・・電気ケーブル
115・・・演算装置
120、808・・・測定対象
130・・・光軸
701・・・第1受光レンズ
702・・・第2受光レンズ
801・・・光源部
802・・・第1光検出部
803・・・受光レンズ
804・・・検出素子
805・・・第2光検出部
806・・・受光レンズ
807・・・光検出素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象に測定用光を照射する光源部と、前記光源部とは位置関係が無関係に配置され、前記測定対象で反射し第1、第2の経路を介して入射する前記測定用光を検出する光検出手段と、前記第1、第2の経路を介して検出した測定用光に基づいて三角測距法によって前記測定対象についての長さに関する情報を算出する演算手段とを備えた光学式測定システムにおいて、
前記光検出手段は、前記光源部とは位置関係が無関係であるが相互の位置関係が既知であると共に前記第1、第2経路に配設され、前記測定対象で反射し前記第1、第2経路を通る測定用光を各々偏向する第1、第2光偏向部と、前記第1、第2光偏向部からの測定用光を検出する1つの光検出素子とを有して成り、
前記演算手段は、前記測定対象で反射した測定用光が前記第1、第2光偏向部の双方を経由して前記光検出素子へ入射した前記測定対象上の点について、前記第1、第2光偏向部を介して前記光検出素子が検出した測定用光に基づいて三角測距法によって前記測定対象についての長さに関する情報を算出することを特徴とする光学式測定システム。
【請求項2】
前記第1光偏向部は前記測定対象からの測定用光を偏向する第1光偏向素子と、前記第1偏向素子からの測定用光を前記光検出素子側へ偏向する第3光偏向素子を有し、
前記第2光偏向部は前記測定対象からの測定用光を偏向する第2光偏向素子と、前記第2光偏向素子からの測定用光を前記光検出素子側へ偏向する第4光偏向素子を有し、
前記第3、第4光偏向素子は1つの光偏向素子を兼用して成ることを特徴とする請求項1記載の光学式測定システム。
【請求項3】
前記第1光偏向素子、第2光偏向素子、第3光偏向素子及び光検出素子の中の少なくとも2つの相対的な位置関係が可変であることを特徴とする請求項1又は2記載の光学式測定システム。
【請求項4】
前記第1、第2光偏向素子に対応して設けられると共に前記測定対象で反射した測定用光を集光して前記第1、第2光偏向素子に向けて出力する第1、第2受光レンズを備えて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の光学式測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−14447(P2010−14447A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172719(P2008−172719)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(391030077)株式会社ソアテック (30)
【Fターム(参考)】