説明

光電センサ

【課題】設置が容易で被検出体を検出することが可能とすること。
【解決手段】投光ヘッド40は、投光軸L1が上側斜角に設定された拡散光P1をスリット40bから出射する。受光ヘッド50は、スリット50bに対して、受光軸L2が下側斜角に設定され先端面からの距離に比例して上下方向の幅が広くなる受光領域A1の光を入射する。そして、投光ヘッド40及び受光ヘッド50により形成される検出領域は、長方形状の範囲となり、検出領域の中心軸は、水平方向に沿って延び、平に搬送される板状のワークの板面と平行となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型の光電センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送される被検出体(ワーク)の検出に、透過型の光電センサが用いられている。光電センサは、投光器から投光された光を受光器に受光するように光路を形成することにより、この光路をワークが遮ることによりワークの有無やワークの端部を検出する、即ち光路によりワークの検出領域を形成する。そして、光電センサは、受光量の変化により、ワーク又はその先端を検出する。
【0003】
板状のワークを検出する場合、投光器及び受光器の配置方法として、光路をワークの板面に対して直角に形成する方法、光路をワークの板面と平行に形成する方法、がある。
光路をワークの板面に対して直角に形成した場合、先端に凹凸を有するワークの検出には、ワーク先端の形状に応じて形成する光路の位置を調整する手間が必要である。また、投光器又は受光器をワークの搬送経路の上方に配置しなければならないため、配置に制約を受ける場合がある。
【0004】
光路をワークの板面と平行に形成した場合、ワークの厚みによって光量の変化量が異なる。このため、光量の変化が少ないワーク、即ち液晶基板やプリント基板などのように薄いワークの場合には、狭い幅の光路を形成することにより対応可能となるが、光路を形成する投光器と受光器の位置精度を高くする必要があり、配置が難しくなる。
【0005】
このため、光路の光軸がワークの板面に対して斜めとなるように光路を形成する方法が考えられる。例えば、特許文献1に開示された物体検出方法は、投光器と受光器を板厚方向にずれを持たせて対向配置することにより、投光器から投光される並行光線束の中心と、受光領域の中心とを結ぶ線分が板面に対して傾ける。このように光路を形成することにより、光路を遮るワークの長さ(光軸と直交方向におけるワークの長さ)が、板厚より長くなり、光量の変化が多くなるため、検出が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4186185号公報(第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、光路をワークの板面に対して斜めに形成するために投光器及び受光器のいずれか一方を垂直方向にオフセットしているため、ワークの大きさや設置場所に応じて投光器と受光器との間隔を変更した場合には、ワークが検出領域に包含できなくなる。このため、その間隔に応じてずれ量を調整しなければならなくなり、設置に制約や手間がかかる場合がある。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、設置が容易で被検出体を検出することが可能な光電センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、投光器と受光器とから構成され、前記受光器の受光量の変化に基づいて検出領域内の被検出体の有無を検出する光電センサであって、前記投光器と前記受光器とには、前記投光器と前記受光器が互いに正対した状態で、互いに正対する投光窓部と受光窓部とがそれぞれ形成され、前記投光窓部から投光される光は、正対した状態で少なくとも前記受光窓部を包含する拡散光に設定され、前記投光窓部から投光される光の投光軸及び前記受光窓部を通じて受光される受光領域の受光軸の少なくとも一方の軸が、前記投光器と前記受光器の正対方向に対して上側斜角に設定され、他方の軸が下側斜角に設定され、前記投光器と前記受光器とが正対した状態で、前記投光器と前記受光器との間に帯状平行の前記検出領域を形成する。
【0010】
この構成によれば、被検出体により遮られる光は、平行光を出射する光電センサに比べて多くなる。つまり、被検出体の有無による光量の変化が大きくなるため、しきい値が設定し易く、被検出体の有無を容易に検出することができる。また、投光器と受光器との間に形成される検出領域は、投光器と受光器との距離にかかわらず、同じ高さに形成される。このため、投光器と受光器の距離を変更しても、被検出体が検出領域から外れることはない。即ち、この光電センサは、投光器と受光器との間の距離にかかわらず、被検出体を検出領域に包含する。従って、投光器と受光器の設置を容易に行うことができる。
【0011】
なお、請求項2に記載したように、前記投光器から投光される光は、その光芒が、前記投光軸を傾けた方向に応じて、前記光芒の上端が前記受光窓部の上端部と一致する、又は前記光芒の下端が前記受光窓部の下端部と一致するように前記投光軸の斜角が設定されている。このような構成により、検出領域の上端又は下端が容易に判断することができ、被検出体に対して投光器及び受光器の設置(高さ)を容易に行うことができる。
【0012】
なお、請求項3に記載したように、前記受光器における受光領域は、前記受光軸を傾けた方向に応じて、前記受光領域の上端が前記投光窓部の上端部と一致する、又は前記受光領域の下端が前記投光窓部の下端部と一致するように前記受光軸の斜角が設定されている。このような構成により、検出領域の上端又は下端が容易に判断することができ、被検出体に対して投光器及び受光器の設置(高さ)を容易に行うことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の光電センサにおいて、投光素子と受光素子を含むコントローラ部と、前記投光素子から出射される光を前記投光器に導く投光用の光ファイバと、前記受光器に受光された光を前記受光素子に導く受光用の光ファイバと、を有し、前記投光器は、光軸が前記投光軸と一致するように固定された投光レンズを含み、前記投光用の光ファイバは、該ファイバの出射軸が前記投光レンズの光軸と一致するように固定され、前記受光器は、光軸が前記受光軸と一致するように固定された受光レンズを含み、前記受光用の光ファイバは、該ファイバの入射軸が前記受光レンズの光軸と一致するように固定されてなる。
【0014】
この構成によれば、投光器と受光器を、電気回路を含む投光器又は受光器と比べて小型化することができる。また、投光器と受光器の設置場所における電気的ノイズの影響を受けにくくなるため、耐ノイズ性が向上し、容易に検出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、設置が容易で被検出体を検出することが可能な光電センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】光電センサの概略構成図。
【図2】投光ヘッド及び受光ヘッドの側面図。
【図3】投光ヘッド及び受光ヘッドの斜視図。
【図4】投光ヘッド及び受光ヘッドの説明図。
【図5】(a)(b)は、投光領域、受光領域、検出領域の説明図。
【図6】ワーク検出の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、一実施の形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示すように、光電センサは、コントローラ部10と、このコントローラ部10に基端が取着された一対の光ファイバ20,30を含む、所謂ファイバセンサである。各光ファイバ20,30の先端には、それぞれセンサヘッド40,50が取着されている。
【0018】
コントローラ部10は、該コントローラ部10全体を制御する制御回路11を備え、この制御回路11には、投光手段としての投光回路12、受光手段としての受光回路13、表示灯14、入出力回路15が接続されている。
【0019】
投光回路12は、投光素子12aと、該投光素子を駆動する駆動回路とを備えている。投光素子12aには、光ファイバ20の基端面が対向配置されている。投光回路12は、制御回路11からの制御信号を受けて投光素子12aを駆動し、該投光素子12aから光を出射させる。その投光素子12aから出射された光は、光ファイバ20の基端面から該ファイバ20内に入射され、その光ファイバ20の先端に取着されたセンサヘッド40へと導かれる。センサヘッド40は、光ファイバ20により導かれた光を空間に出射する。
【0020】
受光回路13は、受光素子13aと、該受光素子13aを駆動するとともに該受光素子13aからの信号を受ける受光回路とを備えている。受光素子13aには、光ファイバ30の基端面が対向配置されている。光ファイバ30の先端に取着されたセンサヘッド50は、センサヘッド40と対向配置され、そのセンサヘッド40から出射された光が入射される。なお、センサヘッド40,50は、被検出体,板状部材としてのワークWを搬送する搬送装置(例えばベルトコンベア)に対して、ワークの搬送方向と直交する方向に沿って対向するように配置されている。センサヘッド50は、入射した光を光ファイバ30内に導くように構成されている。その光ファイバ30に入射された光は、受光素子13aに導かれる。
【0021】
即ち、光ファイバ20とセンサヘッド40は、投光素子12aにて生成された光を空間に向って出射する投光ファイバと投光ヘッド(投光器)である。また、光ファイバ30とセンサヘッド50は、空間から入射された光を受光素子13aへと導く受光ファイバ及び受光ヘッド(受光器)である。
【0022】
受光素子13aは、その受光量に応じた電圧(又は電流)の信号を出力する。受光回路13は、受光素子13aから出力される信号を増幅し、その増幅信号を測定値にアナログ−デジタル変換して出力する。本実施の形態において、受光回路13は、受光量に比例した測定値を出力するように設定されている。例えば、受光回路13は、受光素子に光が入射されない場合に測定値「0」を出力し、受光素子に光が入射された場合に正の値の測定値を出力する。
【0023】
制御回路11は、しきい値(判定値)が記憶されたレジスタを有し、測定値としきい値とを大小比較した比較結果に基づいて、センサヘッド40,50間に形成した検出領域内のワークWの有無を検出する。従って、搬送されるワークWに対して、検出領域を形成しておくことにより、ワークWの先端を検出することができる。
【0024】
そして、制御回路11は、検出結果に応じて表示灯14を点灯/消灯する。また、制御回路11は、検出結果に応じた信号を入出力回路15を介して外部に出力する。なお、制御回路11は、入出力回路15を介して、しきい値等の設定値を外部装置から受け取り、そのしきい値をレジスタに格納する。
【0025】
図3に示すように、投光ヘッド40のハウジング41は、上下方向に沿って延びると共に一側方が開口した矩形箱型形状の本体ケース42と、その本体ケース42の開口部を閉塞する板状の蓋部材43とから構成されている。図2に示すように、本体ケース42には、光ファイバ20を固定するための固定溝42aと、光ファイバ20の芯線21を固定するための固定溝42bとが形成されている。図3に示す蓋部材43は、これらの溝42a,42bに収容されたファイバ20及び芯線21を覆うように形成されている。
【0026】
図3に示すように、投光ヘッド40は、先端面40aに開口し上下方向に沿って延びるスリット(投光窓部)40bが形成されている。本実施形態では、このスリット40bは、本体ケース42に形成された凹部と蓋部材43とにより形成されている。そして、ハウジング41には、スリット40bの内側に投光レンズ44が収容されている。光ファイバ20を介して投光ヘッド40に導かれた光は、投光レンズ44を介してスリット40bから出射される。
【0027】
図2に示すように、投光レンズ44は、該レンズ44の光軸L1がハウジング41の先端面40aと直交する方向から上方に傾くように固定されている。そして、ハウジング41は、投光レンズ44の光軸L1と、光ファイバ20の出射軸(芯線21の中心軸)とが一致するように、形成されている。したがって、投光レンズ44の光軸L1が、この投光レンズ44から出射される光の投光軸となる。つまり、投光ヘッド40は、先端面40aと直交する方向から上方に傾いた投光軸の光(検出光)を出射するように構成されている。
【0028】
更に、ハウジング41は、投光ヘッド40から所定の角度をもって広がる拡散光線束が出射されるように、光ファイバ20の芯線21先端と投光レンズ44と間隔が設定されている。詳述すると、ハウジング41は、スリット40bの下端部を通過する光が、先端面40aと垂直な方向に沿って出射され、スリット40bの上端部を通過する光が、先端面40aと垂直な方向から上方に傾いた方向に沿って出射されるように、光ファイバ20(芯線21)及び投光レンズ44の固定位置が設定されている。
【0029】
図3に示すように、受光ヘッド50のハウジング51は、上下方向に沿って延びると共に一側方が開口した矩形箱型形状の本体ケース52と、その本体ケース52の開口部を閉塞する板状の蓋部材53とから構成されている。図2に示すように、本体ケース52には、光ファイバ30を固定するための固定溝52aと、光ファイバ30の芯線31を固定するための固定溝52bとが形成されている。図3に示す蓋部材53は、これらの溝52a,52bに収容されたファイバ30及び芯線31を覆うように形成されている。
【0030】
図3に示すように、受光ヘッド50は、先端面50aに開口し上下方向に沿って延びるスリット(受光窓部)50bが形成されている。本実施形態では、このスリット50bは、本体ケース52に形成された凹部と蓋部材53とにより形成されている。また、このスリット50bの大きさは、投光ヘッド40のスリット40bと同じ大きさにて形成されている。更に、スリット50bの下端からハウジング51の下面までの距離は、スリット40bの下端からハウジング41の下面までの距離と同じに設定されている。そして、ハウジング51には、スリット50bの内側に受光レンズ54が収容されている。スリット50bからハウジング51内に入射された光は、受光レンズ54を介して光ファイバ30に入射される。
【0031】
図2に示すように、受光レンズ54は、該レンズ54の光軸L2がハウジング51の先端面50aと直交する方向から下方に傾くように固定されている。そして、ハウジング51は、受光レンズ54の光軸L2と、光ファイバ30の入射軸(芯線31の中心軸)とが一致するように、形成されている。したがって、受光レンズ54の光軸L2が、この受光レンズ54から入射される光の受光軸となる。つまり、受光ヘッド50は、先端面50aと直交する方向から下方に傾いた受光軸の光(検出光)を入射するように構成されている。
【0032】
更に、ハウジング51は、受光ヘッド50から所定の角度をもって広がる範囲の光がスリット50bから入射されるように、光ファイバ30の芯線31先端と受光レンズ54と間隔が設定されている。詳述すると、ハウジング51は、先端面50aと垂直な方向に沿ってスリット50bの上端部を通過する光が光ファイバ30に入射され、先端面50aと垂直な方向から下方に傾いた方向から到来しスリット50bの下端部を通過する光が光ファイバ30に入射されるように、光ファイバ30(芯線31)及び受光レンズ54の固定位置が設定されている。
【0033】
上記のように構成された光電センサの作用を説明する。
図2に示すように、投光ヘッド40と受光ヘッド50は、それぞれの先端面40a,50aが正対するように一点鎖線で示す固定部材60,70にそれぞれ固定される。そして、投光ヘッド40のハウジング41下面の高さと受光ヘッド50のハウジング51下面の高さとが同じである。
【0034】
図4に示すように、投光ヘッド40は、投光軸L1が上側斜角に設定され、スリット40bから拡散光P1を出射する。そして、投光軸L1は、投光ヘッド40から出射される拡散光P1が、投光ヘッド40と正対する受光ヘッド50のスリット50bを包含する領域に照射されるように設定されている。
【0035】
受光ヘッド50は、受光軸L2が下側斜角に設定され、スリット50bに対して、先端面50aからの距離に比例して上下方向の幅が広くなる受光領域A1の光を入射する。そして、受光軸L2は、受光ヘッド50と正対する投光ヘッド40のスリット40bを包含する領域の光が受光ヘッド50内に入射するように設定されている。
【0036】
なお、図4に示す拡散光P1は、投光ヘッド40から出射される光の拡がりを概念的に示すものであり、光の到達距離を示していない。また、図4に示す受光領域A1は、該領域A1の拡がりを概念的に示すものであり、受光可能な距離を示すものではない。
【0037】
そして、投光ヘッド40の先端面40aと、受光ヘッド50の先端面50aは、互いに正対し、先端面40aに形成されたスリット40bと、先端面50aに形成されたスリット50bは、互いに同じ位置、形状に形成されている。従って、投光ヘッド40から出射される拡散光P1は、その投光ヘッド40と正対する受光ヘッド50のスリット50bを包含する領域に対して出射される。
【0038】
更に、投光ヘッド40から投光される光である拡散光P1は、その光芒の下端が受光ヘッド50のスリット50bの下端と一致するように設定されている。一方、受光ヘッド50における受光領域A1の上端は、投光ヘッド40のスリット40bの上端と一致するように設定されている。
【0039】
従って、投光ヘッド40及び受光ヘッド50により形成される検出領域DAは、図5(a)に示すように、投光用のスリット40bの下端から受光用のスリット50bの上端までの長方形状の範囲となる。そして、この検出領域DAの中心軸L0は、水平方向に沿って延びる。従って、板面を水平に搬送される板状の被検出体(ワークW)に対して、検出領域DAの中心軸L0が平行となる。
【0040】
なお、投光ヘッド40と受光ヘッド50との間の距離の最大値は、拡散光P1の光量と、受光素子13aの感度に応じて設定される。そして、投光軸L1の斜角を、投光ヘッド40と受光ヘッド50とを、ワークWの検出が可能で最も離間させたとき、即ち、最大値の距離に設定したときに、拡散光P1の光芒の上端が、受光ヘッド50の上端と一致するように設定するとよい。このように設定すると、投光軸L1を上側斜角に設定するとともに、拡散光P1の光量に対するスリット50bにおける入射光量の差、即ちロスを少なくすることができる。そして、受光ヘッド50における受光軸L2の角度の絶対値を、投光軸L1の角度の絶対値と等しくすることにより、投光ヘッド40から直接的にスリット50bに入射する光を効率よく光ファイバ30に導くことができる。
【0041】
図6は、投光ヘッド40から出射される検出光である拡散光P1を、その拡散光P1の光路を拡がりに応じて実線及び破線で示している。このように拡がりのある拡散光P1であり、更に、拡散光P1の投光軸L1が上側斜角に設定されているため、ワークWにより遮られる光は、水平方向に平行光を出射する光電センサに比べて多くなる。つまり、ワークWの有無による光量の変化が大きくなるため、しきい値が設定し易く、検出が容易となる。
【0042】
そして、投光ヘッド40と受光ヘッド50との間の距離を変更する場合、投光ヘッド40と受光ヘッド50の少なくとも一方を水平方向に移動させる。例えば、図5(b)に示すように、投光ヘッド40を水平方向に移動させて受光ヘッド50との距離を図5(a)に示す距離よりも短くする。投光ヘッド40の移動方向は、正対する投光ヘッド40及び受光ヘッド50の先端面40a,50aと直交する方向である。従って、投光用のスリット40b下端から受光用のスリット50b上端までの長さ、つまり検出領域DAの上下方向の幅は、投光ヘッド40と受光ヘッド50との間にかかわらず、一定となる。つまり、投光ヘッド40と受光ヘッド50の間の距離を変更しても、両ヘッド40,50間に形成される検出領域DAの幅は、一定に保たれ、その領域DAの中心軸L0は、水平方向に沿って延びる、つまり板状のワークWの板面と平行となる。言い換えれば、検出領域DAの中心軸L0を、板状のワークWの板面と平行に保ったまま、投光ヘッド40と受光ヘッド50との間の距離を変更することができる。つまり、投光ヘッド40と受光ヘッド50を水平方向に沿って配置する、即ち投光ヘッド40と受光ヘッド50を同じ高さに固定すればよく、設置に制約が少なく、また設置の手間が従来例に比べて減少する。
【0043】
そして、検出領域DAは、投光ヘッド40と受光ヘッド50との距離にかかわらず、同じ高さで同じ幅を持つ帯状平行に形成される。このため、投光ヘッド40と受光ヘッド50の距離を変更しても、ワークWが検出領域DAから外れることはない。即ち、この光電センサは、投光ヘッド40と受光ヘッド50との間の距離にかかわらず、ワークWを検出領域DAに包含することができる。
【0044】
光沢のある板面を有するプリント基板などのワークWの場合、投光ヘッド40から出射された拡散光P1は、ワークWの板面にて反射し、その反射光が受光ヘッド50のスリット50bからヘッド50内に進入する。しかし、投光ヘッド40から出射される拡散光P1の投光軸L1は上側斜角に設定されているため、ワークWからの反射光は、上側斜角にて受光ヘッド50内に進入する。本実施形態の受光ヘッド50は、受光軸L2が下側斜角に設定されている、即ち下側斜角にてスリット50bに進入する光を光ファイバ30に導くように構成されている。従って、上側斜角にて進入する光、即ち反射光は、光ファイバ30に導かれないため、ワークWの検出における反射光の影響を抑えることができる。
【0045】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)投光ヘッド40は、スリット40bから出射する拡散光P1の投光軸L1が上側斜角に設定されている。従って、ワークWにより遮られる光は、平行光を出射する光電センサに比べて多くなる。つまり、ワークWの有無による光量の変化が大きくなるため、しきい値が設定し易く、ワークWの有無を容易に検出することができる。
【0046】
(2)投光ヘッド40から出射される拡散光P1の投光軸L1が上側斜角に設定され、その拡散光P1は、正対する受光ヘッド50のスリット50bを包含するように形成されている。従って、投光ヘッド40と受光ヘッド50との間に形成される検出領域DAは、投光ヘッド40と受光ヘッド50との距離にかかわらず、同じ高さに形成される。このため、投光ヘッド40と受光ヘッド50の距離を変更しても、ワークWが検出領域DAから外れることはない。即ち、この光電センサは、投光ヘッド40と受光ヘッド50との間の距離にかかわらず、ワークWを検出領域DAに包含する。従って、投光ヘッド40と受光ヘッド50の設定を容易に行うことができる。
【0047】
(3)投光ヘッド40の投光軸L1は、スリット40bの下端部を通過した光がスリット50bの下端部を通過するように設定されている。一方、受光ヘッド50の受光軸L2は、受光領域A1の上端が投光ヘッド40のスリット40b上端と一致するように設定されている。従って、検出領域DAの上端又は下端が容易に判断することができ、投光ヘッド40及び受光ヘッド50の設置(高さ)を容易に行うことができる。
【0048】
(4)投光ヘッド40は、スリット40bから出射する拡散光P1の投光軸L1が上側斜角に設定され、受光ヘッド50は、スリット50bから光ファイバ30に導く受光領域A1の受光軸が下側斜角に設定されている。ワークWの板面にて反射された光は、拡散光P1の投光軸L1に対応して上側斜角にてスリット50bから受光ヘッド50内に進入する。しかし、受光ヘッド50は、受光軸L2が下側斜角に設定されているため、ヘッド50内に進入した光は、光ファイバ30に導かれない。このため、ワークWの検出における反射光の影響を抑えることができる。
【0049】
(5)コントローラ部10に投光素子12aと受光素子13aを備え、投光ヘッド40及び受光ヘッド50を光ファイバ20,30によりコントローラ部10と接続するようにした。その結果、投光ヘッド40と受光ヘッド50を、電気回路を含むヘッドと比べて小型化することができる。また、投光ヘッド40と受光ヘッド50の設置場所における電気的ノイズの影響を受けにくくなるため、耐ノイズ性が向上し、容易に検出することができる。
【0050】
なお、上記実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施の形態は、投光ヘッド40の投光軸L1を上側斜角に設定し、受光ヘッド50の受光軸L2を下側斜角に設定したが、投光ヘッドの投光軸を下側斜角に設定し、受光ヘッドの受光軸を上側斜角に設定してもよい。
【0051】
・上記実施の形態は、投光ヘッド40の投光軸L1を上側斜角に設定し、受光ヘッド50の受光軸L2を下側斜角に設定したが、投光ヘッドの投光軸と受光ヘッドの受光軸のうちの少なくとも一方のみを上側斜角又は下側斜角に設定してもよい。
【0052】
・上記実施の形態は、スリット40bの下端部を通過する光が、スリット50bの下端部を通過する、つまり、拡散光P1の下端がスリット50bの下端と一致するように設定したが、拡散光P1の下端が、スリット50bの下欄よりも下側に照射されるように傾いて出射されるように投光軸が設定されてもよい。また、スリット50bの上端により規定される受光領域の上端がスリット40bの上端と一致するように設定したが、必ずしも一致させる必要はない。
【0053】
・上記実施の形態は、板状のワークWを検出する場合について説明したが、光電センサは、ワークWとして板状部材に限らず、検出領域に包含される様々な形状の物体を検出することが可能である。そして、投光ヘッド40及び受光ヘッド50は、被検出体を包含するように検出領域を形成することができればよく、その構成は上記形態に限定されない。
【0054】
・上記実施の形態は、投光素子12a及び受光素子13aをコントローラ部10に備え、コントローラ部10とセンサヘッド40,50を光ファイバ20,30にて接続したファイバセンサに具体化したが、投光素子12a及び受光素子13aをそれぞれ投光ヘッド40と受光ヘッド50に備えたセンサに具体化してもよい。
【0055】
また、投光ヘッドに投光回路を備えた光電センサ、受光ヘッドに受光回路を備えた光電センサに具体化してもよい。
また、コントローラ部10を投光ヘッド40と受光ヘッド50の何れか一方と一体化した光電センサに具体化してもよい。
【0056】
上記各形態から把握される技術的思想を以下に記載する。
(イ) 投光器と受光器とから構成され、前記受光器の受光量の変化に基づいて検出領域内の被検出体の有無を検出する光電センサであって、
前記投光器と前記受光器とには、前記投光器と前記受光器が互いに正対した状態で、互いに正対する投光窓部と受光窓部とがそれぞれ形成され、
前記投光窓部から投光される光は、正対した状態で少なくとも前記受光窓部を包含する拡散光に設定され、
前記投光器と前記受光器の正対方向に対して上側斜角と下側斜角の何れか一方を第1の斜角とするとともに何れか他方を第2の斜角とし、
前記投光窓部から投光される光の投光軸が前記第1の斜角に設定されるとともに、前記投光軸を傾けた方向に応じて、その光芒の上端が前記受光窓部の上端部と一致する、又は前記光芒の下端が前記受光窓部の下端部と一致するように前記投光軸の斜角が設定され、
前記投光器と前記受光器とが正対した状態で、前記投光器と前記受光器との間に帯状平行の検出領域が形成されること、
を特徴とする光電センサ。
【0057】
(ロ) 前記受光窓部を通じて受光される受光領域の受光軸が前記第2の斜角に設定されるとともに、前記受光器における受光領域は、前記受光軸を傾けた方向に応じて、前記受光領域の上端が前記投光窓部の上端部と一致する、又は前記受光領域の下端が前記投光窓部の下端部と一致するように前記受光軸の斜角が設定されていること、
を特徴とする上記(イ)に記載の光電センサ。
【符号の説明】
【0058】
40 センサヘッド(投光ヘッド:投光器)
50 センサヘッド(受光ヘッド:受光器)
P1 出射光(拡散光)
A1 受光領域
L1 投光軸
L2 受光軸
DA 検出領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光器と受光器とから構成され、前記受光器の受光量の変化に基づいて検出領域内の被検出体の有無を検出する光電センサであって、
前記投光器と前記受光器とには、前記投光器と前記受光器が互いに正対した状態で、互いに正対する投光窓部と受光窓部とがそれぞれ形成され、
前記投光窓部から投光される光は、正対した状態で少なくとも前記受光窓部を包含する拡散光に設定され、
前記投光窓部から投光される光の投光軸及び前記受光窓部を通じて受光される受光領域の受光軸の少なくとも一方の軸が、前記投光器と前記受光器の正対方向に対して上側斜角に設定され、他方の軸が下側斜角に設定され、
前記投光器と前記受光器とが正対した状態で、前記投光器と前記受光器との間に帯状平行の前記検出領域を形成すること、
を特徴とする光電センサ。
【請求項2】
前記投光器から投光される光は、その光芒が、前記投光軸を傾けた方向に応じて、前記光芒の上端が前記受光窓部の上端部と一致する、又は前記光芒の下端が前記受光窓部の下端部と一致するように前記投光軸の斜角が設定されていること、を特徴とする請求項1に記載の光電センサ。
【請求項3】
前記受光器における受光領域は、前記受光軸を傾けた方向に応じて、前記受光領域の上端が前記投光窓部の上端部と一致する、又は前記受光領域の下端が前記投光窓部の下端部と一致するように前記受光軸の斜角が設定されていること、を特徴とする請求項2に記載の光電センサ。
【請求項4】
投光素子と受光素子を含むコントローラ部と、
前記投光素子から出射される光を前記投光器に導く投光用の光ファイバと、
前記受光器に受光された光を前記受光素子に導く受光用の光ファイバと、
を有し、
前記投光器は、光軸が前記投光軸と一致するように固定された投光レンズを含み、前記投光用の光ファイバは、該ファイバの出射軸が前記投光レンズの光軸と一致するように固定され、
前記受光器は、光軸が前記受光軸と一致するように固定された受光レンズを含み、前記受光用の光ファイバは、該ファイバの入射軸が前記受光レンズの光軸と一致するように固定されてなる、
ことを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の光電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−237167(P2010−237167A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87924(P2009−87924)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】