説明

光電気化学(PEC)エッチングによって生成されたエアギャップIII族窒化物の構造的完全性のためのイオンビーム処理

(a)III族窒化物光電子および光機械エアギャップナノ構造デバイスの領域にイオンビーム注入を実行することと、(b)III族窒化物光電子および光機械エアギャップナノ構造デバイス上でバンドギャップ選択的光電気化学(PEC)エッチングを実行することと、を含む、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの構造的完全性を確保するための方法。上記領域は、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスのアンダーカット構造の構造的完全性を強化する支持支柱を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、以下の同時係属中で、かつ同一人に譲渡された米国特許出願の利益を、米国特許法第119条(e)の下に主張する。上記特許出願は、2006年11月15日に、Evelyn L. Hu、Shuji Nakamura、Yong Seok Choi、Rajat SharmaおよびChio−Fu Wangによって出願された米国仮出願第60/866,027号(名称「ION BEAM TREATMENT FOR THE STRUCTURAL INTEGRITY OF AIR−GAP III−NITRIDE DEVICES PRODUCED BY PHOTOELECTROCHEMICAL(PEC) ETCHING」代理人整理番号30794.201−US−P1(2007−161−1))であり、この出願は本明細書において参照により援用される。
【0002】
本出願は、以下の同時係属中で、かつ同一人に譲渡された出願に関し、上記出願は、2005年10月31日に、Evelyn L.Hu、Shuji Nakamura、Elaine D.HabererおよびRajat Sharmaによって出願された米国特許出願第11/263,314号(名称「CONTROL OF PHOTOELECTROCHEMICAL(PEC) ETCHING BY MODIFICATION OF THE LOCAL ELECTROCHEMICAL POTENTIAL OF THE SEMICONDUCTOR STRUCTURE RELATIVE TO THE ELECTROLYTE」、代理人整理番号30794.124−US−U1 (2005−207−2))であり、この米国特許出願は、2004年11月2日に、Evelyn L.Hu、Shuji Nakamura、Elaine D.HabererおよびRajat Sharmaによって出願された米国仮特許出願第60/624,308号(名称「CONTROL OF PHOTOELECTROCHEMICAL(PEC) ETCHING BY MODIFICATION OF THE LOCAL ELECTROCHEMICAL POTENTIAL OF THE SEMICONDUCTOR STRUCTURE RELATIVE TO THE ELECTROLYTE」、代理人整理番号30794.124−US−P1 (2005−207−1))の利益を米国特許法第119条(e)の下に主張する。これらの出願は本明細書において参照により援用される。
【0003】
(連邦政府支援の研究および開発に関する声明)
本発明は、米国エネルギー省によって与えられた契約番号第DE−FC26−01NT41203の下での政府支援によってなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0004】
(1.技術分野)
本発明は、III族窒化化合物半導体材料に基づく、光電子ならびに光機械エアギャップナノ構造デバイスの構造的完全性を確保するスキームに関し、高度選択的な局所光電気化学(PEC)エッチングが適用される。
【背景技術】
【0005】
(2.関連技術の説明)
(注:本出願は、括弧内の1つ以上の参照番号、例えば、[x]によって明細書の全体を通して示されるような多数の異なる刊行物を参照する。これらの参照番号に従って順序付けられた、これらの異なる刊行物のリストは、下記の「参考文献」と題された項で見ることができる。これらの刊行物のそれぞれは、参照することにより本明細書に援用される)。
【0006】
従来の研究は、犠牲層の選択的除去を伴うバンドギャップ選択的PECウェットエッチング[9−11(非特許文献1−3)、13(特許文献1)]の使用を通して、III族窒化物材料系において膜および大型アンダーカット構造を形成する可能性を実証している。面積が数平方ミリメートルほどの大きさの膜が、この技術を通して形成されており、基本的なエアギャップ分布ブラッグリフレクタ(DBR)も試行されている。従来の研究の主な制限は、(1)エッチング選択性の制限、(2)固有ひずみによる膜の湾曲および反り、および(3)(DBRにおけるような)密集した膜層の静止摩擦となっている。
【0007】
本書に記載される本発明は、制限(2)および(3)の解決法を提供する。エアギャップDBR構造が、単純な選択的ウェット化学エッチング工程(すなわち、光で誘起されない)を通して、他の材料系において形成されている一方で、上記に列挙した問題(1)、(2)、および(3)は、これらの工程の制限でもある。PECエッチング工程の光強化性質、および材料の欠陥の作成を通したエッチングの削減は、非光誘起性工程では利用可能ではない、構造的完全性を制御する独特の手段を提供する。
【0008】
エッチング機構は、入射光の吸収、および電解質に対する半導体材料の電気化学ポテンシャルに大きく依存する。したがって、PECエッチングは、欠陥選択的[18(非特許文献4)]、ドーパント選択的[19(非特許文献5)]、およびバンドギャップ選択的[3(非特許文献8)]となり得る。特に、バンドギャップ選択性ならびに電極の策略的配置を利用することによって、様々なIII族窒化物エアギャップ微細構造[1−6(非特許文献6−11)]が実証されている。しかしながら、高ひずみIII族窒化物材料の構造的完全性を保証するために、本書で提示される確実なスキームが利用されない限り、従来のスキームは、様々なエアギャップIII族窒化物微細構造を実現するように適用可能となり得ない。本発明は、光電子ならびに光機械用途のための多機能デバイスを実現するために重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,884,470号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】A.R.Stonas,P.Kozodoy,H.Marchand,P.Fini,S.P.DenBaars,U.K,MishraおよびE.L.Hu,“Backside illuminated photo−electro−chemical etching for the fabrication of deeply undercut GaN structures”,Applied Physics Letters,vol. 77,pp. 2610−12,2000.
【非特許文献2】A.R.Stonas,N.C.MacDonald,K.L.Turner,S.P.DenBaarsおよびE.L.Hu,“Photoelectrochemical undercut etching for fabrication of GaN microelectromechanical systems”,AIP for American Vacuum Soc. Journal of Vacuum Science & Technology B, vol.19,pp.2838−41,2001.
【非特許文献3】A.R.Stonas,T.Margalith,S.P.DenBaars,L.A.ColdrenおよびE.L.Hu,“Development of selective lateral photoelectrochemical etching of InGaN/GaN for lift−off applications”,Applied Physics Letters,vol.78,pp.1945−47,2001.
【非特許文献4】C.Youtsey,L.T.RomanoおよびI.Adesida,”Gallium nitride whiskers formed by selective photoenhanced wet etching of dislocations”,Applied Physics Letters,vol.68 pp.1531−3 1996.
【非特許文献5】C.Youtsey,G.BulmanおよびI.Adesida,“Dopant−selective photoenhanced wet etching of GaN,”TMS.Journal of Electronic Materials,vol.27,pp.282−7,1998.
【非特許文献6】R.Sharma,E.D.Haberer,C.Meier,E.L.HuおよびS.Nakamura,“Vertically oriented GaN−based air−gap distributed Bragg reflector structure fabricated using band−gap−selective photoelectrochemical etching,”Applied Physics Letters,vol.87,pp.051107 (2005).
【非特許文献7】E.D.Haberer,R.Sharma,A.R.Stonas,S.Nakamura,S.P.DenBaarsおよびE.L.Hu,“Removal of thick (>100nm) InGaN layers for optical devices using band−gap−selective photoelectrochemical etching,”Applied Physics Letters,vol.85,pp.762−4,2004.
【非特許文献8】E.D.Haberer,R.Sharma,C.Meier,A.R.Stonas,S.Nakamura,S.P.DenBaarsおよびE.L.Hu,“Free−standing, optically pumped, GaN/InGaN microdisk lasers fabricated by photoelectrochemical etching,”Applied Physics Letters,vol.85,pp.5179−81,2004.
【非特許文献9】Y.Gao,I.Ben−Yaacov,U.K.MishraおよびE.L.Hu,Journal of Applied Physics,vol.96,pp.6925−7,2004.
【非特許文献10】Y.−S.Choi,K.Hennessy,R.Sharma,E.Haberer,Y.Gao,S.P.DenBaars,S.Nakamura,E.L.HuおよびC.Meier,“GaN blue photonic crystal membrane nanocavities,”Applied Physics Letters,vol.87,pp.243101,2005.
【非特許文献11】C.Meier,K.Hennessy,E.D.Haberer,R.Sharma,Y.−S.Choi,K.McGroddy,S.Keller,S.P.DenBaars,S.NakamuraおよびE.L.Hu,“Visible resonant modes in GaN−based photonic crystal membrane cavities,”Applied Physics Letters,vol.88,pp.031111,2006.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、III族窒化化合物半導体材料を使用する、光電子ならびに光機械エアギャップナノ構造デバイスの構造的完全性を確保するスキームに関し、高度選択的な局所PECエッチングが適用される。これは、下記を通して達成される。
1)PECエッチングおよびイオンビーム処理のためのDBR構造の適切な設計。
2)PECエッチングおよびイオンビーム処理のためのフォトニック結晶分布ブラッグリフレクタ(PCDBR)構造の適切な設計。
3)PEC損傷を予防するデバイス表面の局部域上の適切なイオンビーム処理。
4)光学活性およびPECエッチング選択性に対するイオンビーム損傷を予防する保護層の適切な配置。
5)イオンビーム処理後に材料品質を硬化させるための適切なアニーリング処理。
6)製造中にエッチング状態およびイオンビーム処理の効果を検査する適切なスキーム。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1A−1Cは、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの構造的完全性を確保するための方法を図示する。
【図1B】図1A−1Cは、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの構造的完全性を確保するための方法を図示する。
【図1C】図1A−1Cは、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの構造的完全性を確保するための方法を図示する。
【図2A】図2A−2Cは、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの構造的完全性を確保するための方法を図示し、ミリングした材料は、エッチングの前に除去されない。
【図2B】図2A−2Cは、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの構造的完全性を確保するための方法を図示し、ミリングした材料は、エッチングの前に除去されない。
【図2C】図2A−2Cは、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの構造的完全性を確保するための方法を図示し、ミリングした材料は、エッチングの前に除去されない。
【図3A】図3A−3Bは、PECエッチング前(図3A)およびPECエッチング後(図3B)のAlGaN/InGaNエピ構造を示す、走査型電子顕微鏡写真(SEM)の画像である。
【図3B】図3A−3Bは、PECエッチング前(図3A)およびPECエッチング後(図3B)のAlGaN/InGaNエピ構造を示す、走査型電子顕微鏡写真(SEM)の画像である。
【図4】図4A−4Fは、大面積エアギャップIII族窒化物DBR構造を製造するために使用される工程を図示する。
【図5】図5A−5Fは、光学的に励起することができる、活性エアギャップIII族窒化物DBR構造を製造するために使用される工程を図示する。
【図6】図6A−6Fは、面発光レーザ(VCSEL)を備える活性エアギャップIII族窒化物DBR構造を製造するために使用される工程を図示する。
【図7】図7A−7Dは、活性エアギャップIII族窒化物DBR構造のSEM像および光学像である。
【図8】図8Aおよび8Bは、PECエッチングの前および後の角度分解フォトルミネセンス(PL)スペクトルである。
【図9】図9は、本発明の方法に従って製造されたVCSELのSEM像である。
【図10】図10A−10Fは、電気的に励起することができる、エアギャップIII族窒化物DBR LEDを製造するために使用される工程を図示する。
【図11】図11A−11Dは、空気/AlGaN DBR構造の形成の前および後のデバイス性能を図示する。
【図12】図12A−12Fは、電気的に励起することができる、2Dフォトニック結晶エアギャップIII族窒化物DBR LEDを製造するために使用される工程を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好適な実施形態の次の説明において、その一部を形成し、本発明を実践することができる、具体的実施形態が例証として示される、添付図面を参照する。他の実施形態を利用してもよく、本発明の範囲を逸脱しない限り、構造的変更を行ってもよいことを理解されたい。
【0014】
(概説)
III族窒化物加工の進歩は、エアギャップDBR[1]、高品質マイクロディスクレーザ[2、3]、およびCAVET[4]、および自立フォトニック結晶(PC)膜ナノ空洞[5、6]の形成につながってきた。本発明では、PECウェットエッチング技術[7−16]によって、埋め込まれた材料の選択的除去に対する独特の制御が得られる。この選択的ウェットエッチングは、DBRにおけるより高い屈折率のコントラストのための、空気と残りの材料との間のより大きい屈折率のコントラスト、したがって、より少ない鏡層でのより高い反射性の達成を可能にすることができる。
【0015】
エアギャップDBRと組み合わされて、自立活性膜および自立活性PC膜は、効率的な微小空洞LEDを作成する。誘電体DBRとの一体化は、III族窒化物材料に基づく、低閾値で機械的に調節可能なVCSELを開発するために有用となる。
【0016】
エアギャップナノ構造の開発における主な課題は、PECエッチング工程後の残りの層の有意な反りまたは湾曲である。これは、(GaN−InGaN−AlGaN)等のIII族窒化物ヘテロ構造における成長したままの真性ひずみ、および犠牲層の空間的に不均一な除去に由来する。結果として、デバイスの寸法、設計、および安定性は、エアギャップ構造の能力に関して大幅に妥協されることになる。
【0017】
集束イオンビーム(FIB)処理の発明された技術は、III族窒化物を用いたエアギャップ微細構造の構造的完全性を向上させるための実行可能な方法である。FIB処理は、PECエッチング工程の局所制御を大きく強化して、種々のエアギャップ微細構造を可能にする。さらに、より良好な性能のために効率的な電流注入、および長期的安定性のために向上した表面安定化を提供するように、それを適用することができる。FIB処理に基づく、提示されたスキームは、標準的な製造技術により適合する工程を作成するように、イオン注入技術[17]に代替され得る。本発明は、さらに概して、機械デバイス(例えば、微小電気機械システム、またはMEMS)または光学デバイスに使用される、大型アンダーカット構造の構造的完全性をさらに推進することができる。
【0018】
(一般的な工程ステップ)
本発明は、材料の選択的領域のイオン損傷を通して形成される、垂直の支持「支柱」の選択的配置によって、アンダーカット構造の構造的完全性を確保する方法を提供する。PECウェットエッチングは、過剰な穴の光誘起生成に依存して、化学エッチングを駆動する。実証されているように、光生成した穴の過剰捕集は、PECエッチングを抑制する[20]。例えば、閾値用量を上回るイオン注入は、一般に、PECエッチングを抑制するトラップを発生させる。
【0019】
FIB注入は、サンプルにマスクをする必要性なしで同じ仕上がりを達成することができる。ヘテロ構造がバンドギャップ選択的PECエッチングを可能にするように設計されている、特定の注入過程を下記に記載する。イオン損傷がデバイスの光学活性域を障害するのを防ぐように、追加層が導入される。
【0020】
結果として、この領域は、バンドギャップ選択的PECエッチングに耐え、図1A−1Cに示されるように構造支持材としての機能を果たすことが可能である。図2A−Cに示されるように、加速電圧および用量を最適化することによって、光学活性に対する損傷を最小限化することができる。
【0021】
両方の例において、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスは、PECエッチングおよびイオンビーム処理の両方に対して適切に設計されるべきである。さらに、両方の例において、イオンビーム処理が光学活性およびPECエッチング選択性を損傷するのを防ぐように、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの選択したエリアに保護層が配置されてもよい。
【0022】
したがって、図1A−1Cは、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの構造的完全性を強化するための方法を概略的に図示する。図1Aに図示されるIII族窒化物を用いたエアギャップ微細構造100は、FIBミリング112によって形成される、NiまたはTi層102、SiO層104、AlGaN層106、InGaN層108、およびGaN層110を有する。図1Bは、PECエッチングステップ114、Ti/Pt電極層116、およびHCI:DI電解質118を図示する。図1Cは、支持材122、エアギャップ124、およびPECTエッチング停止部126を有する最終構造120を図示する。
【0023】
図1Aは、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイス100の領域(例えば、表面)に、イオンビーム処理、すなわち、高容量/高電圧FIBミリング112を行う第1のステップを表し、イオンビーム処理は、領域にPECエッチングへの耐性を付けることによって領域中の材料特性を局所的に修正することにより、構造的完全性を強化する。その結果、FIBミリング112が行われる領域は、イオン損傷領域を備える。
【0024】
図1Bは、照明(λ>400nm)を使用して、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイス100上でバンドギャップ選択的PECエッチング114を行う第2のステップを表し、領域は、イオンビーム処理のため、有意にエッチングされない。
【0025】
図1Cは、FIB領域中の支持材122、エアギャップ124、およびPECエッチング停止部126を有する、結果として生じる構造120を示す。その結果、FIB領域中の支持材122は、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイス100のアンダーカット構造の構造的完全性を強化する、支持支柱を備える。また、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスは、イオンビーム処理後に材料品質を硬化させるためにアニーリングされてもよいことに留意されたい。
【0026】
図2A−2Cは、本発明のための別の方法を概略的に図示し、図1の方法とは対照的に、材料は、ステップ1の後に除去されない。したがって、図2Aは、低用量FIB処理212によって形成される、NiまたはTi層202、SiO層204、AlGaN層206、InGaN層208、およびGaN層210を有する、III族窒化物を用いたエアギャップ微細構造200を図示する。図2Bは、PECエッチングステップ214(例えば、照明[λ>400nm]を介した)、Ti/Pt電極層216、およびHCI:DI(塩化水素:脱イオン水)電解質218を図示する。図2Cは、支持材220、エアギャップ222、およびPECTエッチング停止部224を有する、最終構造を図示する。
【0027】
本発明において、例えば、図1A−1Cおよび2A−2Cでは、下記が図示される。
(1)成長したままの材料100/200に点欠陥を導入するために、FIB(ガリウム源)114/214が使用される。損傷した材料は、PECエッチング114/214に耐性を持つようになる。これらのFIB領域は、構造支持材120/220としての機能を果たすようになる。
(2)FIB損傷が垂直方向に侵入するのを防ぐために、SiO層104/204が使用される。SiO層104/204は、プラズマ化学気相成長システムを使用して調製される。
(3)FIB処理112/212中に高コントラスト電子/イオン顕微鏡写真を取得するため、ならびにFIB損傷が垂直方向に侵入するのを防ぐために、NiまたはTi層102/202が使用される。Ni層102/202は、電子ビーム蒸着システムを使用して調製される。
(4)AlGaN層106/206は、その高いバンドギャップのため、PEC工程112/212中にエッチング停止部の機能を果たす。AlGaN層106/206は、有機金属気相成長(MOCVD)システムを使用して成長させられる。
(5)InGaN層108/208は、AlGaNおよびGaN材料に対するその低いバンドギャップのため、犠牲層として使用される。AlGaN108/208は、MOCVDによって成長させられる。
(6)GaN層110/210は、InGaN/AlGaNヘテロ構造の成長のための緩衝材として使用される。GaN層110/210は、MOCVDによってサファイア上で成長させられる。
(7)Ti/Pt層116/216が過剰な電子を除去する電極として使用される一方で、穴は、電解質118/218と反応して酸化およびウェットエッチングを支持する。Ti/Pt層116/216は、電子ビーム蒸着システムを使用して調製される。
(8)HCl:DI水118/218は、電解質、ならびにPECウェットエッチング工程114/214のためのエッチング液として使用される。
(9)照明は、GaNフィルタを使用してXeランプをフィルタにかけることによって達成される。
(10)エアギャップ124/222は、PECアンダーカットウェットエッチング114/214の結果として導入される。
【0028】
図3Aおよび3Bは、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスのSEM像である。図3Aは、FIBミリング工程112後およびPECウェットエッチング114前のAlGaN/InGaNエピ構造を示す。図3Bは、PECウェットエッチング工程114によって産生される空気/AlGaN DBR構造122を示す。FIBミリング工程によって形成される薄層(50〜100nm)の丸い穴は、PECエッチング工程114中に保存される。これは、エアギャップIII族窒化物微細構造に対する良好な構造支持を提供することができる。
【0029】
1つの手法を上記に記載する。4つの他の典型的な製造工程を下記に記載する。
【0030】
(具体的製造技術)
(工程1:大面積エアギャップIII族窒化物DBRの製造)
図4A−4Fは、大面積エアギャップIII族窒化物DBR構造を製造するために使用される工程を図示する、層を示す断面である。凡例402は、4A−4Fに示される異なる層を表す。
(1)材料構造を図4Aに示す。各層は、材料組成およびドーピング、ならびに層の種類で標識される。材料は、サファイア基質404上でMOCVDによって成長させられる。材料は、1〜2μmのGaN406、PECエッチング中に使用される犠牲層408(例えば、100nmのInGaN層)、および電子ブロッキング高抵抗層410(例えば、120nmのAl(8%)Ga(92%)N層)から成ってもよい。
(2)図4Bに示されるように、メサ構造が、標準的なフォト/電子ビームリソグラフィおよび反応性ドライエッチング技術によって形成される。
(3)図4Cに示されるように、FIB照射による損傷を予防するように、誘電体(約200nmのSiOまたはSiN)保護層412および金属(約100nmのTi)保護層414が、サンプル上に蒸着される。
(4)FIBミリングが、約30kVおよび約30pAで行われる。FIBパターンは、図4Dに示されるように(すなわち、FIB誘起非晶質層416として)、丸穴、線、長方形、円形溝、およびそれらの組み合わせとなり得る。
(5)FIB保護層412および414は、フッ化水素(HF)酸を使用して除去される。
(6)サンプルは、材料品質を硬化/強化するように、約600℃で30分間アニーリングされる。
(7)フォトリソグラフィおよび金属リフトオフ技術を使用して、図4Eに示されるように、陰極418(約10nmのTiおよび約300nmのPt)がメサの周辺に蒸着される。
(8)1000WのXeランプ照射およびDI水中の約0.004MのHCl電解質溶液を使用して、バンドギャップ選択的PECエッチングが行われる。
(9)図4Fは、FIB領域が構造支持を提供する、この方法を使用して製造される大面積エアギャップ/AlGaN DBR420を示す。
【0031】
(工程2:光学的に励起されることが可能な活性エアギャップIII族窒化物DBR構造およびVCSELの製造)
図5A−5Fは、光学的に励起されることが可能な活性エアギャップIII族窒化物DBR構造を製造するために使用される工程を図示する、層を示す断面である。
(1)材料構造を図5Aに示す。各層は、材料組成およびドーピング、ならびに層の種類で標識される。材料は、サファイア基質504上でMOCVDによって成長させられる。材料は、1〜2μmのGaN506、PECエッチング中に使用される犠牲層508(例えば、100nmのInGaN層)、および電子ブロッキング高抵抗層510(例えば、120nmのAl(8%)Ga(92%)N層)から成ってもよい。
(2)活性膜層に対するメサ構造が、標準的なフォト/電子ビームリソグラフィおよび塩素を用いた反応性ドライエッチング技術によって形成される。
(3)底DBR(5周期AlGaN/InGaN層)510領域に対するメサ構造が、標準的なフォト/電子ビームリソグラフィおよび塩素を用いた反応性ドライエッチング技術によって製造される。
(4)図5Bは、上記のステップ(2)およびステップ(3)後のサンプル構造を示す。
(5)図5Cに示されるように、集束イオンビーム照射による損傷を予防するように、誘電体(約200nmのSiOまたはSiN)保護層512および金属(約100nmのTi)保護層514が、サンプル上に蒸着される。
(6)FIBミリングが、約30kVおよび約30pAで行われる。FIBパターンは、図5Dに示されるように(すなわち、FIB誘起非晶質層516として)、丸穴、線、長方形、円形溝、またはそれらの組み合わせとなり得る。
(7)FIB保護層512および514は、HFを使用して除去される。
(8)サンプルは、材料品質を硬化/強化するように、約600℃で30分間アニーリングされる。
(9)フォトリソグラフィおよび金属リフトオフ技術を使用して、図5Eに示されるように、陰極518(約10nmのTiおよび約300nmのPt)がメサの周辺に蒸着される。
(10)1000WのXeランプ照射およびDI水中の約0.004MのHCl電解質溶液を使用して、バンドギャップ選択的PECエッチングが行われる。
(11)図5Fは、InGaN台座508を伴う活性膜520がエアギャップ/AlGaN DBR522の上部にある、最終構造を示す。
【0032】
図6A−6Fに示されるVCSEL構造は、同じステップ(1)〜(11)を使用し、それに続いて上部に誘電体DBR(約5周期、75nmのSiOおよび50nmのTa)624の蒸着を行って、製造することができる。したがって、図6A−6Fは、光学的に励起されることが可能なVCSELを備える、活性エアギャップIII族窒化物DBR構造を製造するために使用される工程を図示する、層を示す断面である。
(1)材料構造を図6Aに示す。各層は、材料組成およびドーピング、ならびに層の種類で標識される。材料は、サファイア基質604上でMOCVDによって成長させられる。材料は、1〜2μmのGaN606、PECエッチング中に使用される犠牲層608(例えば、100nmのInGaN層)、および電子ブロッキング高抵抗層610(例えば、120nmのAl(8%)Ga(92%)N層)から成ってもよい。
(2)活性膜層に対するメサ構造が、標準的なフォト/電子ビームリソグラフィおよび塩素を用いた反応性ドライエッチング技術によって形成される。
(3)底DBR(5周期AlGaN/InGaN層)610領域に対するメサ構造が、標準的なフォト/電子ビームリソグラフィおよび塩素を用いた反応性ドライエッチング技術によって製造される。
(4)図6Bは、上記のステップ(2)およびステップ(3)後のサンプル構造を示す。
(5)図6Cに示されるように、集束イオンビーム照射による損傷を予防するように、誘電体(約200nmのSiOまたはSiN)保護層612および金属(約100nmのTi)保護層614が、サンプル上に蒸着される。
(6)FIBミリングが、約30kVおよび約30pAで行われる。FIBパターンは、図6Dに示されるように(すなわち、FIB誘起非晶質層616として)、丸穴、線、長方形、円形溝、またはそれらの組み合わせとなり得る。
(7)FIB保護層612および614は、HFを使用して除去される。
(8)サンプルは、材料品質を硬化/強化するように、約600℃で30分間アニーリングされる。
(9)フォトリソグラフィおよび金属リフトオフ技術を使用して、図6Eに示されるように、陰極618(約10nmのTiおよび約300nmのPt)がメサの周辺に蒸着される。
(10)1000WのXeランプ照射およびDI水中の約0.004MのHCl電解質溶液を使用して、バンドギャップ選択的PECエッチングが行われる。
(11)図6Fは、InGaN台座608を伴う活性膜620がエアギャップ/AlGaN DBR622の上部にある、最終構造を示す。
【0033】
図7A−7Dは、構造が光学的に励起され得る、製造した活性エアギャップIII族窒化物DBR構造のSEM像および光学像である。バンドギャップ選択的PECウェットエッチングによる空気/AlGaN DBRの形成の前(図7A)および後(図7B)の構造のSEM像を図示する。加えて、PECエッチングの前(図7C)および後(図7D)の構造の光学像を図示する。アンダーカット領域は、高反射性により明るい。
【0034】
したがって、PECエッチング後の構造的完全性を向上させるために、図7Aに示されるように、DBR領域周辺の小穴702のFIBミリングを行った。いったんInGaN層が空気に代替されると、本来はAlGaNとInGaNとの間の格子不整合による、大ひずみが、ひび割れまたは崩壊を発生させる。しかしながら、FIBミリングによって産生される穴702は、エッチングに耐え、活性膜層704下の全ての層を支持する。空気/AlGaN DBR706、陰極708の形成、ならびに均一なアンダーカットエッチングの結果は、図7Dで見ることができる。
【0035】
図8Aおよび8Bは、向上した抽出効率(約3〜4倍の向上)を実証する、バンドギャップ選択的PECエッチングの前(図8A)および後(図8B)の製造した構造の角度分解PLスペクトル像である。活性膜層下の空気/AlGaN DBRは、特定の角度へのより大きい抽出をもたらす。
【0036】
図9は、光学的に励起されることが可能である、製造したVCSEL構造のSEM像を示す。底DBRは、5周期の空気およびAlGaN層からなる一方で、最上DBRは、電子ビーム蒸着器によって産生される、3周期のTaおよびSiOから成る。エアギャップIII族窒化物微細構造は、電子ビーム蒸着中の加熱に耐え、良好な構造品質をもたらす。誘電体DBRの周期は、反射性を約95%までさらに増加させるように最適化されてもよい。
【0037】
(工程3:光学的に励起されることが可能なエアギャップIII族窒化物DBR LEDの製造)
図10A−10Fは、光学的に励起されることが可能なエアギャップIII族窒化物DBR LEDを製造するために使用される工程を図示する、層を示す断面である。
【0038】
(1)材料構造を図10Aに示す。各層は、材料組成およびドーピング、ならびに層の種類で標識される。材料は、サファイア基質1004上でMOCVDによって成長させられる。材料は、1〜2μmのGaN1006、PECエッチング中に使用される犠牲層1008(例えば、100nmのInGaN層)、および電子ブロッキング高抵抗層1010(例えば、120nmのAl(8%)Ga(92%)N層)から成ってもよい。
(2)活性膜層に対するメサ構造が、標準的なフォト/電子ビームリソグラフィおよび塩素を用いた反応性ドライエッチング技術によって形成される。
(3)底DBR(5周期AlGaN/InGaN層)領域1008/1010に対するメサ構造が、標準的なフォト/電子ビームリソグラフィおよび塩素を用いた反応性ドライエッチング技術によって製造される。
(4)図10Bは、ステップ(2)およびステップ(3)後のサンプル構造を示す。
(5)図10Cに示されるように、FIB照射による損傷を予防するように、誘電体(約200nmのSiOまたはSiN)保護層1012および金属(約100nmのTi)保護層1014が、サンプル上に蒸着される。
(6)FIBミリングが、約30kVおよび約30pAで行われる。FIBパターンは、図10Dに示されるように(すなわち、FIB誘起非晶質層1016として)、丸穴、線、長方形、円形溝、および/またはそれらの組み合わせとなり得る。
(7)FIB保護層1012および1014は、フッ化水素酸(HF)を使用して除去される。
(8)サンプルは、各デバイスの上部でp++GaN1024を活性化するように、約600℃で15分間アニーリングされる。
(9)標準的なフォト/電子ビームフォトリソグラフィおよび金属リフトオフ技術を使用して、図10Eに示されるように、透明金属接点1024(約5nmのPdおよび約10nmのAu)がp++GaN上に蒸着される。金属接点1024は、インジウムスズ酸化物(ITO)または酸化亜鉛(ZnO)材料に代替され得る。
(10)フォトリソグラフィおよび金属リフトオフ技術を使用して、陰極1018(約10nmのTiおよび約300nmのPt)がメサの周辺に蒸着される。
(11)1000WのXeランプ照射およびDI水中の約0.004MのHCl電解質溶液を使用して、バンドギャップ選択的PECエッチングが行われる。
(12)図10Fは、InGaN台座を伴う活性膜1020をエアギャップ/AlGaN DBR1022の上部に備える、最終構造を示す。
【0039】
図11A−11Dは、エアギャップ/AlGaN DBR LED構造の形成の前および後のデバイス性能を図示する。図11Aは、低電流でのエレクトロルミネセンスを図示し、図11Bは、PECエッチング前の高電流注入でのエレクトロルミネセンスを図示する。1時間のPECエッチングを行い、InGaN層の50パーセントを空気に代替した。担体が陰極から注入され、透明p型材料の真下の活性膜層において再結合する。図11Cでは、アンダーカットエッチング正面から空気/AlGaN DBR構造の形成を見ることができる。図11Dでは、エアギャップDBR LEDのエレクトロルミネセンスは、図11Bと同様の電流である。したがって、同じ電流において、エアギャップDBR LEDは、PECエッチング前に測定された通常構造よりも明るい発光を示す。
【0040】
(工程4:光学的に励起されることが可能な2D PCエアギャップIII族窒化物DBR LEDの製造)
図12A−12Fは、光学的に励起されることが可能な2D(二次元)PCエアギャップIII族窒化物DBR LEDを製造するために従われる工程を図示する、層を示す断面である。
(1)材料構造を図12Aに示す。各層は、材料組成およびドーピング、ならびに層の種類で標識される。材料は、サファイア基質1204上でMOCVDによって成長させられる。材料は、1〜2μmのGaN1206、PECエッチング中に使用される犠牲層1208(例えば、100nmのInGaN層)、および電子ブロッキング高抵抗層1210(例えば、120nmのAl(8%)Ga(92%)N層)から成ってもよい。
(2)活性膜層に対するメサ構造が、電子ビームリソグラフィによって形成される。350nmのZEP520Aレジストに対する典型的な暴露条件は、約140μC/cmである。電子ビームパターンは、塩素を用いた反応性ドライエッチング技術によるPCパターン形成のための硬質マスクとしての機能を果たす、下位の厚さ50nmのSiO層へと移動される。
(3)底DBR(5周期AlGaN/InGaN層)領域1208/1210に対するメサ構造が、標準的なフォト/電子ビームリソグラフィおよび塩素を用いた反応性ドライエッチング技術によって製造される。
(4)図12Bは、ステップ(2)およびステップ(3)後のサンプル構造を示す。
(5)図12Cに示されるように、FIB照射による損傷を予防するように、誘電体(約200nmのSiOまたはSiN)保護層1212および金属(約100nmのTi)保護層1214が、サンプル上に蒸着される。
(6)FIBミリングが、約30kVおよび約30pAで行われる。FIBパターンは、図12Dに示されるように(すなわち、FIB誘起非晶質層1216として)、丸穴、線、長方形、円形溝、および/またはそれらの組み合わせとなり得る。
(7)FIB保護層1212/1214は、HFを使用して除去される。
(8)サンプルは、各デバイスの上部でp++GaN1224を活性化するように、約600℃で15分間アニーリングされる。
(9)標準的なフォト/電子ビームフォトリソグラフィおよび金属リフトオフ技術を使用して、図12Eに示されるように、透明金属接点1224(約5nmのPdおよび約10nmのAu)がp++GaN上に蒸着される。金属接点1224は、ITOまたはZnO材料に代替され得る。
(10)フォトリソグラフィおよび金属リフトオフ技術を使用して、陰極1218(約10nmのTiおよび約300nmのPt)がメサの周辺に蒸着される。
(11)1000WのXeランプ照射およびDI水中の約0.004MのHCl電解質溶液を使用して、バンドギャップ選択的PECエッチングが行われる。
(12)図12Fは、InGaN台座を伴う活性膜1220をエアギャップ/AlGaN DBR1222の上部に備える、最終構造を示す。
【0041】
(可能な修正)
本発明の必須要素を組み込む、いくつかの修正および変化を下記に概説する。加えて、下記に列挙されるように、いくつかの代替材料、条件、および技術が本発明の実践で使用されてもよい。
(1)FIB処理の代替案として、マスクを通したブランケット高エネルギーイオン注入を採用することができる。
(2)イオンビームを用いた処理中に、スピンオンガラスまたは異なる金属層等の代替保護層、および厚いフォトレジストが適用されてもよい。
(3)Pd/Auによって得られる性能を向上させるために、インジウムスズ酸化物(ITO)、p++GaN、およびZnO等の代替p型接点材料が使用されてもよい。
(4)垂直エッチングを行うために、誘導結合プラズマ(ICP)エッチング等の代替エッチング技術が使用されてもよい。
【0042】
(利点および改良点)
一般的な利点は、膜の構造的完全性を強化する局所的な垂直支柱を形成する、PECエッチングの選択的制御、およびPECエッチングを通して形成される、III窒化物における深いアンダーカット構造である。具体的な利点は次のとおりである。
(1)これは、既存のウェットエッチング技術のみを通して達成することができない、III族窒化物を用いたエアギャップナノ構造の構造的安定性を確保するために材料特性の策略的処理を使用する、最初の発明であると考えられる。この技術は、安定した大型アンダーカット構造の形成を可能にし、膜構造の静止摩擦および崩壊を抑制する。
(2)FIB処理は、キャリア拡散に対するFIB誘起バリアおよび電解質との反応を導入することによって、既存のPECエッチング工程(主に電極の特定の配置に依存する)の局所制御を強化することができる。
(3)DBR形成の場合、屈折率におけるより大きいコントラストのため、この過程は、より少ない成長したヘテロ層による、より優れた光抽出または反射を可能にする。可能な限りより優れた反射は、共鳴強化光学デバイスを可能にし、より効率的な光出力を提供する。例えば、本発明は、光抽出効率が5倍強化した超高輝度エアギャップDBR発光デバイスの製造を可能にする。
(4)本発明は、電流注入のスキームの下で、エアギャップDBR発光ダイオード等のエアギャップ微細構造の製造に適用することができる。
(5)本発明は、例えば、低閾値および高速変調を有する、エアギャップDBR/誘電体VCSEL構造の製造に適用することができる。
(6)本発明は、2D PC DBR構造の製造に適用することができる。
(7)本発明は、新規のMEMSに対する、機械的に調節可能なIII族窒化物エアギャップDBR構造、機械的に調節可能なIII族窒化物エアギャップPC DBR構造、および機械的にロバストなアンダーカットIII族窒化物構造の製造に適用することができる。
【0043】
(参考文献)
以下の参考文献は、本明細書において参照により援用される。
1. R.Sharma,E.D.Haberer,C.Meier,E.L.HuおよびS.Nakamura,“Vertically oriented GaN−based air−gap distributed Bragg reflector structure fabricated using band−gap−selective photoelectrochemical etching,”Applied Physics Letters,vol.87,pp.051107(2005).
2. E.D.Haberer,R.Sharma,A.R.Stonas,S.Nakamura,S.P.DenBaarsおよびE.L.Hu,“Removal of thick (>100nm) InGaN layers for optical devices using band−gap−selective photoelectrochemical etching,”Applied Physics Letters,vol.85,pp.762−4,2004.
3. E.D.Haberer,R.Sharma,C.Meier,A.R.Stonas,S.Nakamura,S.P.DenBaarsおよびE.L.Hu,“Free−standing, optically pumped, GaN/InGaN microdisk lasers fabricated by photoelectrochemical etching,”Applied Physics Letters,vol.85,pp.5179−81,2004.
4. Y.Gao,I.Ben−Yaacov,U.K.MishraおよびE.L.Hu, Journal of Applied Physics, vol. 96, pp. 6925−7, 2004.
5. Y.−S.Choi,K.Hennessy,R.Sharma,E.Haberer,Y.Gao,S.P.DenBaars,S.Nakamura,E.L.HuおよびC.Meier,“GaN blue photonic crystal membrane nanocavities,”Applied Physics Letters, vol. 87, pp. 243101, 2005.
6. C.Meier,K.Hennessy,E.D.Haberer,R.Sharma,Y.−S.Choi,K.McGroddy,S.Keller,S.P.DenBaars,S.NakamuraおよびE.L.Hu,“Visible resonant modes in GaN−based photonic crystal membrane cavities,”Applied Physics Letters,vol.88,pp.031111,2006.
7. E.L.HuおよびM.S.Minskyに対する米国特許第5,773,369号(1998年6月30日発行、名称“Photoelectrochemical wet etching of group III nitrides.”)
8. L.−H.Pend,C.−W.Chuang,J.−K.HoおよびChin−Yuan,“Method for etching nitride,” Unites States: Industrial Technology Research Institute,1999.
9. A.R.Stonas,P.Kozodoy,H.Marchand,P.Fini,S.P.DenBaars,U.K,MishraおよびE.L.Hu,“Backside illuminated photo−electro−chemical etching for the fabrication of deeply undercut GaN structures,”Applied Physics Letters,vol.77,pp.2610−12,2000.
10. A.R.Stonas,N.C.MacDonald,K.L.Turner,S.P.DenBaarsおよびE.L.Hu,“Photoelectrochemical undercut etching for fabrication of GaN microelectromechanical systems,” AIP for American Vacuum Soc. Journal of Vacuum Science & Technology B,vol.19,pp.2838−41,2001.
11. A.R.Stonas,T.Margalith,S.P.DenBaars,L.A.ColdrenおよびE.L.Hu,“Development of selective lateral photoelectrochemical etching of InGaN/GaN for lift−off applications,” Applied Physics Letters,vol.78,pp.1945−47,2001.
12. R.P.Strittmatter,R.A.BeachおよびT.C.McGill,“Fabrication of GaN suspended microstructures,”Applied Physics Letters,vol.78,pp.3226−8,2001.
13. E.L.HuおよびA.R.Stonasに対する米国特許第6,884,470号(2005年4月26日発行、名称“Photoelectrochemical undercut etching of semiconductor material.”)
14. J.Bardwell,“Process for etching gallium nitride compound based semiconductors,” United States: National Research Council of Canada, 2003.
15. E.L.Hu,S.Nakamura,E.D.HabererおよびR.Sharmaによって、2005年10月31日出願された米国特許出願第11/263,314号(名称“Control of photoelectrochemical (PEC) etching by modification of the local electrochemical potential of the semiconductor structures relative to the electrolyte.”)
16. T.Fujii,Y.Gao,R.Sharma,E.L.Hu,S.P.DenBaarsおよびS.Nakamura,“Increase in the extraction efficiency of GaN−based light−emitting diodes via surface roughening,” Applied Physics Letters,vol.84,pp.855−7,2004.
17. T.Margalith,L.A.ColdrenおよびS.Nakamuraによる、2003年9月25日に刊行された米国特許出願公開第2003/0180980A1号(名称“Implantation for current confinement in nitride−based vertical optoelectronics.”)
18. C.Youtsey,L.T.RomanoおよびI.Adesida,“Gallium nitride whiskers formed by selective photoenhanced wet etching of dislocations,” Applied Physics Letters,vol.68,pp.1531−3 1996.
19. C.Youtsey,G.BulmanおよびI.Adesida,“Dopant−selective photoenhanced wet etching of GaN,” TMS. Journal of Electronic Materials,vol.27,pp.282−7,1998.
20. R.Khare,“The Wet Photoelectrochemical etching of III−V semiconductors,” in Electrical and Computer Engineering,Santa Barbara:University of California,Santa Barbara,pp.184,1993.
(結論)
これは、本発明の好適な実施形態の説明を結論付ける。本発明の1つ以上の実施形態の前述の説明は、例証および説明の目的で提示されている。これは、包括的となること、または本発明を開示される正確な形態に限定することを目的としない。上記の教示を踏まえて、多くの修正および変化が可能である。本発明の範囲は、本発明を実施するための形態によってではなく、むしろ本明細書に添付の請求項によって限定されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの構造的完全性を強化する方法であって、
(a)該III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの領域にイオンビーム処理を実行することであって、該イオンビーム処理は、該領域に光電気化学(PEC)エッチングに対する耐性を付けることによって、該領域中の材料特性を局所的に修正し、それにより、該構造的完全性を強化する、ことと、
(b)該III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイス上でバンドギャップ選択的PECエッチングを実行することであって、該領域は、該イオンビーム処理のために、有意にエッチングされない、ことと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記イオンビーム処理は、集束イオンビーム(FIB)ミリングである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記領域は、前記III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスのアンダーカット構造の前記構造的完全性を強化する支持支柱を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記領域は、イオン損傷領域を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスは、前記PECエッチングおよび前記イオンビーム処理に対して適切に設計される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
実行するステップ(b)は、照明を使用してバンドギャップ選択的PECエッチングを行うことを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
実行するステップ(a)および(b)は、エアギャップIII族窒化物分布ブラッグリフレクタを製造するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記III族窒化物光電子デバイスは、前記分布ブラッグリフレクタを含む発光ダイオード(LED)である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記III族窒化物光電子デバイスは、二次元(2D)フォトニック結晶(PC)を含む発光ダイオード(LED)である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記イオンビーム処理が光学活性およびPECエッチング選択性を損傷するのを防ぐように、前記III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの選択されたエリアに保護層を配置することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記イオンビーム処理後に材料品質を硬化させるために、前記III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスをアニーリングすることをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法によって製造される、III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイス。
【請求項13】
III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの構造的完全性を強化する方法であって、
(a)該III族窒化物光電子または光機械エアギャップナノ構造デバイスの領域にイオンビーム処理を行うことであって、該イオンビーム処理は、該領域中の材料特性を局所的に修正することにより、該構造的完全性を強化する、ことと
を包含する、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−509786(P2010−509786A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537184(P2009−537184)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/023827
【国際公開番号】WO2008/060530
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】