説明

内燃機関

【課題】ガソリン燃料及びエタノール燃料からなる混合燃料をポート噴射インジェクタ及び筒内噴射インジェクタの少なくとも一方により噴射するものにおいて、潤滑油の燃料希釈の進行を抑制することのできる内燃機関を提供する。
【解決手段】内燃機関10はポート噴射インジェクタ15と筒内噴射インジェクタ16とを備え、混合燃料をこれらインジェクタ15,16の少なくとも一方により噴射する。電子制御装置30は、これらインジェクタ15,16の双方により燃料噴射を行うときの総噴射量QSUMについて、これを混合燃料におけるエタノール燃料の割合REに基づいて変更するものであって、エタノール燃料の割合REが高くなるにつれて、総噴射量QSUMに占める筒内噴射インジェクタ16の燃料噴射量の割合βを低下させつつ総噴射量QSUMを増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気通路内に燃料を噴射する通路内燃料噴射弁と気筒内に燃料を噴射する気筒内燃料噴射弁とを有し、これら通路内燃料噴射弁及び気筒内燃料噴射弁の少なくとも一方により燃料噴射を行う燃料噴射制御手段を備える内燃機関に関にする。
【背景技術】
【0002】
この種の燃料噴射制御手段を備える内燃機関として、例えば特許文献1に記載されるように、ポート噴射インジェクタ及び筒内噴射インジェクタの少なくとも一方によりガソリン燃料の噴射を行うものが知られている。
【0003】
一方、近年では、例えばガソリン燃料及びエタノール燃料からなる混合燃料といったように、単位質量当たりの燃焼を通じて得られる出力が互いに異なる第1の燃料及び第2の燃料からなる混合燃料を用いる内燃機関も実用化されている。
【特許文献1】特開2005−113745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ポート噴射インジェクタ及び筒内噴射インジェクタを備える内燃機関において、これら各インジェクタにより噴射する燃料として上記混合燃料を適用することが考えられる。またこの場合、第1の燃料及び第2の燃料の割合がいずれの値であっても混合燃料の燃焼により得られる出力を一定に維持すべく、第2の燃料の割合が高くなるにつれて燃料噴射量の総量を増大することが考えられる。しかしこの場合には、燃料噴射量の総量の増大にともない気筒内に直接的に噴射される燃料量が過度に多くなる。その結果、気筒内周面への燃料の付着量が増大することで潤滑油の燃料希釈が進行するといった問題が生じるおそれがある。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、単位質量当たりの燃焼を通じて得られる出力が互いに異なる第1の燃料及び第2の燃料からなる混合燃料を通路内燃料噴射弁及び気筒内燃料噴射弁の少なくとも一方により噴射するものにおいて、潤滑油の燃料希釈の進行を抑制することのできる内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、吸気通路内に燃料を噴射する通路内燃料噴射弁と気筒内に燃料を噴射する気筒内燃料噴射弁とを有し、第1の燃料と同燃料よりも燃焼を通じて得られる単位質量当たりの出力が小さい第2の燃料とからなる混合燃料を前記通路内燃料噴射弁及び前記気筒内燃料噴射弁の少なくとも一方により燃料噴射を行う燃料噴射制御手段を備える内燃機関において、前記燃料噴射制御手段は、前記通路内燃料噴射弁及び前記気筒内燃料噴射弁の双方により燃料噴射を行うときのこれら燃料噴射弁による燃料噴射量の総量を、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が高くなるにつれて増大させるとともに、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が高くなるにつれて前記燃料噴射量の総量に占める前記気筒内燃料噴射弁の燃料噴射量の割合を低下させる噴射制御を行うことをその要旨としている。
【0007】
上記発明によれば、混合燃料における第2の燃料の割合がいずれの値であっても混合燃料の燃焼により得られる出力を一定に維持すべく、第2の燃料の割合が高くなるにつれて燃料噴射量の総量が多くされる。その一方で、同燃料噴射量の総量に占める気筒内燃料噴射弁の燃料噴射量の割合は第2の燃料の割合が高くなるにつれて低減されるため、気筒内に直接的に噴射される燃料量が過度に多くなることは抑制されるようになる。従って、潤滑油の燃料希釈の進行を抑制することができるようになる。
【0008】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関において、前記燃料噴射制御手段は、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が基準値を超えているときに限り、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が高くなるにつれて前記燃料噴射量の総量に占める前記気筒内燃料噴射弁の燃料噴射量の割合を低下させることをその要旨としている。
【0009】
上記発明によれば、混合燃料における第2の燃料の割合が高くなるにつれて燃料噴射量の総量に占める気筒内燃料噴射弁の燃料噴射量の割合を低減させる噴射制御を、気筒内に直接的に噴射される燃料量が過度に多くなるときに限って行うようにしている。これにより、潤滑油の燃料希釈の進行を的確に抑制することができるようになる。
【0010】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の内燃機関において、前記燃料噴射制御手段は、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合がいずれの値であっても前記気筒内燃料噴射弁の燃料噴射量を一定の値に固定することをその要旨としている。
【0011】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関において、機関運転状態に基づいて算出される目標開度に応じてPCVバルブを制御することによりクランクケースから吸気通路に還元されるブローバイガスの流量を制御するブローバイガス還元装置と、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が所定割合以上であるときには、前記PCVバルブの開度を前記目標開度よりも開き側に補正する開度補正手段とを備えることをその要旨としている。
【0012】
上記請求項1〜請求項3に記載の発明によれば、潤滑油の燃料希釈の進行を抑制することができるようにはなるものの、混合燃料における第2の燃料の割合が高いときには潤滑油の燃料希釈がある程度は進行することがある。そしてその結果、クランクケース内のブローバイガスが増大するといった問題が生じる。
【0013】
この点、上記発明によれば、混合燃料における第2の燃料の割合の増大にともない潤滑油の燃料希釈が進行した場合であっても、クランクケースから吸気通路に還元されるブローバイガスの流量が増大されるようになる。従って、クランクケース内の換気を的確に行うことができるようになる。
【0014】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の内燃機関において、前記開度補正手段は、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が高いときには低いときに比べて前記PCVバルブの開度の補正量を大きな値に設定することをその要旨としている。
【0015】
上記発明によれば、混合燃料における第2の燃料の割合の増大にともない潤滑油の燃料希釈が進行した場合であっても、その程度に応じて、クランクケースから吸気通路に還元されるブローバイガスの流量が増大されるようになる。従って、クランクケース内の換気を一層的確に行うことができるようになる。
【0016】
(6)請求項6に記載の発明は、吸気通路内に燃料を噴射する通路内燃料噴射弁と気筒内に燃料を噴射する気筒内燃料噴射弁とを有し、第1の燃料と同燃料よりも燃焼を通じて得られる単位質量当たりの出力が小さい第2の燃料とからなる混合燃料を前記通路内燃料噴射弁及び前記気筒内燃料噴射弁の少なくとも一方により燃料噴射を行う燃料噴射制御手段を備える内燃機関において、前記燃料噴射制御手段は、前記通路内燃料噴射弁及び前記気筒内燃料噴射弁の双方により燃料噴射を行うときのこれら燃料噴射弁による燃料噴射量の総量を、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が高くなるにつれて増大させるとともに、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が基準値を超えているときには、この旨判定される前よりも前記燃料噴射量の総量に占める前記気筒内燃料噴射弁の燃料噴射量の割合を小さくする噴射制御を行うことをその要旨としている。
【0017】
上記発明によれば、混合燃料における第2の燃料の割合がいずれの値であっても混合燃料の燃焼により得られる出力を一定に維持すべく、第2の燃料の割合が高くなるにつれて燃料噴射量の総量が多くされる。その一方で、同燃料噴射量の総量のうち第2の燃料の割合が基準値を超えているときには、この旨判定される前よりも燃料噴射量の総量に占める気筒内燃料噴射弁の燃料噴射量の割合が小さくされるため、気筒内に直接的に噴射される燃料量が過度に多くなることは抑制されるようになる。従って、潤滑油の燃料希釈の進行を的確に抑制することができるようになる。
【0018】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の内燃機関において、機関運転状態に基づいて算出される目標開度に応じてPCVバルブを制御することによりクランクケースから吸気通路に還元されるブローバイガスの流量を制御するブローバイガス還元装置と、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が所定割合以上であるときには、前記PCVバルブの開度を前記目標開度よりも開き側に補正する開度補正手段とを備えることをその要旨としている。
【0019】
上記請求項6に記載の発明によれば、潤滑油の燃料希釈の進行を抑制することができるようにはなるものの、混合燃料における第2の燃料の割合が高いときには潤滑油の燃料希釈がある程度は進行することがある。そしてその結果、クランクケース内のブローバイガスが増大するといった問題が生じる。
【0020】
この点、上記発明によれば、混合燃料における第2の燃料の割合の増大にともない潤滑油の燃料希釈が進行した場合であっても、クランクケースから吸気通路に還元されるブローバイガスの流量が増大されるようになる。従って、クランクケース内の換気を的確に行うことができるようになる。
【0021】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の内燃機関において、前記開度補正手段は、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が高いときには低いときに比べて前記PCVバルブの開度の補正量を大きな値に設定することをその要旨としている。
【0022】
上記発明によれば、混合燃料における第2の燃料の割合の増大にともない潤滑油の燃料希釈が進行した場合であっても、その程度に応じて、クランクケースから吸気通路に還元されるブローバイガスの流量が増大されるようになる。従って、クランクケース内の換気を一層的確に行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
<第1実施形態>
図1〜図4を参照して、本発明にかかる内燃機関を具体化した第1実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態では、内燃機関の燃料として、ガソリン燃料と同ガソリン燃料よりも燃焼を通じて得られる単位質量当たりの出力が小さいエタノール燃料とからなる混合燃料を採用している。
【0024】
図1に、内燃機関10の概略構成を示す。
内燃機関10の気筒11内にはクランクシャフト12に連結されるピストン13が往復動可能に設けられている。また、内燃機関10の吸気ポート14には同吸気ポート14に燃料を噴射するポート噴射インジェクタ15が設けられている。また、気筒11内には同気筒11内に燃料を噴射する筒内噴射インジェクタ16が設けられている。また、内燃機関10の燃焼室17内の頂面には、上記インジェクタ15,16により噴射された燃料と空気との混合気に点火する点火プラグ18が設けられている。また、燃焼室17に接続される吸気通路19には、スロットルモータ20によって開閉駆動されるスロットルバルブ21が設けられている。吸気通路19を通じて燃焼室17に供給される吸入空気はこのスロットルバルブ21の開度に基づいて調量される。
【0025】
こうした内燃機関10の制御は、電子制御装置30により行われる。電子制御装置30は、機関制御についての各種演算処理を実行する中央演算処理装置(CPU)、機関制御用のプログラム及び演算用マップ、並びに各種データの記憶されたリード・オンリー・メモリ(ROM)、CPUの演算結果を一時記憶するランダム・アクセス・メモリ(RAM)、外部との信号の入出力を行うための入出力ポート(I/O)を備えている。
【0026】
こうした電子制御装置30の入力ポートには、機関運転状態を検出するための各種のセンサが接続されている。こうしたセンサとしては、例えばクランクシャフト12の回転速度(以下、「機関回転速度NE」)を検出する回転速度センサ41、機関冷却水の温度(以下、「機関冷却水温THW」)を検出するための水温センサ42、吸入空気の質量流量(以下、「吸入空気量GA」)を検出するエアフローメータ43、アクセルペダルの操作量(以下、「アクセル操作量ACCP」)を検出するアクセルセンサ44、及び排気の酸素濃度を検出する空燃比センサ45などがある。電子制御装置30は、例えば上記空燃比センサ45の検出する排気の酸素濃度などに基づいて混合燃料におけるエタノール燃料の割合REを推定する。
【0027】
また電子制御装置30の出力ポートには、ポート噴射インジェクタ15、筒内噴射インジェクタ16、点火プラグ18、スロットルモータ20などが接続されている。そして電子制御装置30は、上記各センサの検出結果に基づいて、これらに指令信号を出力することで、燃料噴射制御、点火制御、スロットル制御などの機関制御を実施する。
【0028】
こうした機関制御のうち燃料噴射制御は、以下の態様で行われる。すなわち、電子制御装置30は、所定の機関運転状態のときに、ポート噴射インジェクタ15及び筒内噴射インジェクタ16の双方により燃料噴射を行う。ここで、所定の運転状態としては、例えば低負荷運転時あるいは中負荷運転時などが挙げられる。これらインジェクタ15,16の双方による燃料噴射に際して、上記エアフローメータ43の検出する吸入空気量GAに基づいて、燃焼室17に導入される混合気の空燃比が目標空燃比となるように両インジェクタ15,16により噴射する燃料噴射量の総量(以下、「総噴射量QSUM」)を算出する。総噴射量QSUMは、以下の式(1)に示すように、ポート噴射インジェクタ15により噴射する燃料量(以下、「ポート噴射量QP」)と、筒内噴射インジェクタ16により噴射する燃料量(以下、「筒内噴射量QD」)とを足し合わせたものとなる。

QSUM = QP + QD … (1)

また、総噴射量QSUMに占めるポート噴射量QPの割合(以下、「ポート噴射割合α」)、及び総噴射量QSUMに占める筒内噴射量QDの割合(以下、「筒内噴射割合β」)は、以下の演算式(2),(3)に示すように、総噴射量QSUMに対してポート噴射割合α及び筒内噴射割合βをそれぞれ乗じたものとなる。

QP = QSUM ・ α … (2)

QD = QSUM ・ β … (3)

また、以下の式(4)に示すように、ポート噴射割合αと筒内噴射割合βとを足し合わせると、「1」となる。

α + β = 1 … (4)

そして、これら噴射量QP,QDに応じて各インジェクタ15,16の開弁期間の指令値を算出し、これにより各インジェクタ15,16の操作を行う。なお、本実施形態では、混合燃料にエタノール燃料が含まれていないときのこれら噴射割合αE0,βE0を共に「0.5」に設定しているが、上記式(4)の関係を満たすものであれば、これら噴射割合αE0,βE0を任意の値に変更してもよい。
【0029】
ところで、エタノール燃料はガソリン燃料よりも燃焼を通じて得られる単位質量当たりの出力が小さいことから、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高くなるにつれて混合燃料の燃焼により得られる出力が小さなものとなる。そこで、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REがいずれの値であっても混合燃料の燃焼により得られる出力を一定に維持すべく、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高くなるにつれて、総噴射量QSUMを増大することが考えられる。しかしこの場合、上記噴射割合α,βが一定値に維持されれば、総噴射量QSUMの増大にともない筒内噴射量QDが過度に多くなり、燃焼室17内に直接的に噴射される燃料量が過度に多くなる。その結果、気筒11の内周面への燃料の付着量が増大することで潤滑油の燃料希釈が進行するといった問題が生じるおそれがある。
【0030】
そこで、本実施形態の燃料噴射制御では、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高くなるにつれて、筒内噴射割合βを低下させつつ総噴射量QSUMを増大させるようにしている。具体的には、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REがいずれの値であっても筒内噴射量QDを、混合燃料にエタノール燃料が含まれていないときの筒内噴射量QDE0に固定するようにしている。すなわち、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高くなるにつれて、ポート噴射量QPのみを増大させることにより総噴射量QSUMを増大させるようにしている。こうして混合燃料におけるエタノール燃料の割合REがいずれの値であっても混合燃料の燃焼により得られる出力を一定に維持すべく、エタノール燃料の割合REが高くなるにつれて総噴射量QSUMを多くする一方で、エタノール燃料の割合REが高くなるにつれて筒内噴射割合βを小さくすれば、気筒11内に直接的に噴射される燃料量が過度に多くなることを抑制することができ、ひいては潤滑油の燃料希釈が進行することを抑制することができるようになる。
【0031】
図2を参照して、上記燃料噴射制御の具体的な処理手順について説明する。なお、同図は、この燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、電子制御装置30により、ポート噴射インジェクタ15及び筒内噴射インジェクタ16の双方により燃料噴射が行われる所定の機関運転状態のときに繰り返し実行される。
【0032】
この一連の処理では、まず、そのときの機関回転速度NE、吸入空気量GA、及び空燃比A/Fなどの各種パラメータを読み込む(ステップS101)。そして、次に、混合燃料にエタノール燃料が含まれていないとき、すなわちエタノール燃料の割合RE0における総噴射量QSUME0を、上記各種パラメータに基づいて算出する(ステップS102)。そして、次に、この総噴射量QSUME0と筒内噴射割合βE0とを上記演算式(3)に代入することにより、エタノール燃料の割合RE0における筒内噴射量QDE0を算出する(ステップS103)。
【0033】
こうして総噴射量QSUME0及び筒内噴射量QDE0を算出すると、次に、そのときの混合燃料におけるエタノール燃料の割合REXを読み込む(S104)。そして、次に、エタノール燃料の割合REXに基づいて、上記エタノール燃料の割合REXに対応する総噴射量QSUMEXを算出する(ステップS105)。ここで、総噴射量QSUMは、上記エタノール燃料の割合REと総噴射量QSUMとの関係を規定したマップにより算出される。ちなみに、このマップでは、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REがいずれの値であっても、燃料の燃焼により得られる出力が一定に維持されるように、エタノール燃料の割合REが高くなるにつれて総噴射量QSUMが増大するように設定されている。
【0034】
こうして総噴射量QSUMEXを算出すると、次に、以下の演算式(5)に基づいて、ポート噴射量QPEXを設定する(ステップS106)。

QPEX = QSUMEX ― QDE0 … (5)

そして次に、以下の演算式(6)に基づいて筒内噴射量QDEXを設定する(ステップS107)。

QDEX = QDE0 … (6)

こうしてポート噴射量QPEX及び筒内噴射量QDEXを算出すると、次に、これら噴射量QPEX,QDEXに応じて各インジェクタ15,16の開弁期間の指令値を算出し、これにより各インジェクタ15,16の操作を行い(ステップS108)、この一連の処理を終了する。
【0035】
次に図3のグラフ及び図4のグラフを併せ参照して、本実施形態の燃料噴射制御の一例について、他の燃料噴射制御と比較して詳細に説明する。なおここで、他の燃料噴射制御は、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REがいずれの値であってもポート噴射割合α及び筒内噴射割合βを混合燃料にエタノール燃料が含まれていないときの各噴射割合αE0、βE0に維持するものである。また、図3(a)及び図4(a)は、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REと噴射量Qとの関係を、図3(b)及び図4(b)は、エタノール燃料の割合REと潤滑油の燃料希釈の進行度合Dとの関係をそれぞれ示している。
【0036】
まず、上記他の燃料噴射制御では、図3(a)に破線にて示すように、エタノール燃料の割合REが高くなると、これにともない総噴射量QSUMは増大される。また、ポート噴射量QP及び筒内噴射量QDは、総噴射量QSUMに対してそれぞれポート噴射割合αE0及び筒内噴射割合βE0、ここでは共に「0.5」を乗じたものとなるため、図3(a)にそれぞれ一点鎖線及び実線にて示すように、エタノール燃料の割合REが高くなると、これにともなってポート噴射量QP及び筒内噴射量QDはそれぞれ増大される。このため、筒内噴射量QDが増加することにより、すなわち気筒11内に直接的に噴射される燃料量が増大することにより、潤滑油の燃料希釈が進行するようになる。このことから、図3(b)に示すように、エタノール燃料の割合REが高くなると、これにともなって潤滑油の燃料希釈の進行度合Dは大きくなる。
【0037】
これに対して、本実施形態の燃料噴射制御では、図4(a)に破線にて示すように、エタノール燃料の割合REが高くなると、これにともない総噴射量QSUMは増大される。ただし、図4(a)に実線にて示すように、筒内噴射量QDは、エタノール燃料の割合REがいずれの値であっても一定の値QDE0に維持されることから、エタノール燃料の割合REが高くなっても筒内噴射量QDが増大することはない。このことから、図4(b)に示すように、エタノール燃料の割合REが高くなっても、潤滑油の燃料希釈の進行度合Dが大きくなることはない。
【0038】
以上説明した本実施形態にかかる内燃機関によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高くなるにつれて、燃料噴射量の総量QSUMに占める筒内噴射インジェクタ16の燃料噴射量の割合βを低下させつつ燃料噴射量の総量QSUMを増大させることとした。従って、潤滑油の燃料希釈の進行を抑制することができるようになる。
【0039】
<第2実施形態>
図5及び図6を参照して、本発明にかかる内燃機関を具体化した第2実施形態について説明する。
【0040】
本実施形態の燃料噴射制御では、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高くなるにつれて、筒内噴射割合βを低下させつつ総噴射量QSUMを増大させる点については上記第1実施形態と共通しているが、エタノール燃料の割合REが高くなるにつれてポート噴射量QPと筒内噴射量QDとを共に増大させるようにしている点が上記第1実施形態と相違している。
【0041】
図5を参照して、上記燃料噴射制御の具体的な処理手順について説明する。なお、同図は、この燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、電子制御装置30により、ポート噴射インジェクタ15及び筒内噴射インジェクタ16の双方により燃料噴射が行われる所定の機関運転状態のときに繰り返し実行される。
【0042】
この一連の処理においても、まず、そのときの機関回転速度NE、吸入空気量GA、及び空燃比A/Fなどの各種パラメータを読み込む(ステップS201)。そして、次に、そのときの混合燃料におけるエタノール燃料の割合REXを読み込む(S202)。そして、次に、エタノール燃料の割合REに基づいて、上記エタノール燃料の割合REXに対応する総噴射量QSUMEXを算出する(ステップS203)。なお、これらステップS201〜S203の各処理は、上記第1実施形態のステップS101、ステップS104、及びステップS105の各処理と同一のものである。
【0043】
こうして総噴射量QSUMEXを算出すると、次に、上記エタノール燃料の割合REXに基づいて、ポート噴射割合αEXをマップから導出し、以下の演算式(7)に基づいてポート噴射量QPEXを算出する(ステップS204)。

QPEX = QSUMEX ・ αEX … (7)

そして、次に、上記エタノール燃料の割合REXに基づいて、筒内噴射割合βEXをマップから導出し、以下の演算式(8)に基づいて筒内噴射量QDEXを算出する(ステップS205)。

QDEX = QSUMEX ・ βEX … (8)

こうしてポート噴射量QPEX及び筒内噴射量QDEXを算出すると、次に、これら噴射量QPEX,QDEXに応じて各インジェクタ15,16の開弁期間の指令値を算出し、これにより各インジェクタ15,16の操作を行い(ステップS207)、この一連の処理を終了する。
【0044】
次に図6のグラフを参照して、本実施形態の燃料噴射制御の一例について、本発明の燃料噴射制御とは異なる他の燃料噴射制御と比較して詳細に説明する。なお、ここで、上記他の燃料噴射制御(比較例)は、上記第1実施形態において例示した他の燃料噴射制御と同一のものである。また、図6(a)は、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REと各噴射割合α,βとの関係を、図6(b)は、エタノール燃料の割合REと各噴射量QP,QDとの関係を、図6(c)は、エタノール燃料の割合REと潤滑油の燃料希釈の進行度合Dとの関係をそれぞれ示している。また、同図中、上記他の燃料噴射制御による筒内噴射割合、筒内噴射量、燃料希釈の進行度合をそれぞれ二点鎖線にて示している。
【0045】
本実施形態の燃料噴射制御では、図6(a)に示すように、エタノール燃料の割合REが高くなると、これにともないポート噴射割合αは増大され(一点鎖線)、筒内噴射割合βは低減される(実線)。また、図6(b)に破線にて示すように、エタノール燃料の割合REXが高くなると、これにともない総噴射量QSUMは増大される。これらのことから、エタノール燃料の割合REが高くなると、これにともないポート噴射量QPと筒内噴射量QDとは共に増大するようになる。ただし、エタノール燃料の割合REの増大に対する噴射量Qの増大率は、筒内噴射量QDEXの方がポート噴射量QPEXよりも小さなものとなる。このため、図6(c)に実線にて示すように、本実施形態の燃料噴射制御によれば、エタノール燃料の割合REが高くなると、これにともなって潤滑油の燃料希釈の進行度合Dが大きくはなる。しかし、エタノール燃料の割合REの増大に対する進行度合Dの増大率は、本実施形態によるものの方が図中に二点鎖線にて示す上記他の燃料噴射制御(参考例)によるものよりも小さなものとなる。
【0046】
以上説明した本実施形態にかかる内燃機関によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高くなるにつれて、燃料噴射量の総量QSUMに占める筒内噴射インジェクタ16の燃料噴射量の割合βを低下させつつ燃料噴射量の総量QSUMを増大させることとした。従って、潤滑油の燃料希釈の進行を抑制することができるようになる。
【0047】
<第3実施形態>
図7〜図9を参照して、本発明にかかる内燃機関を具体化した第3実施形態について説明する。
【0048】
本実施形態の内燃機関では、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高くなるにつれて、筒内噴射割合βを低下させつつ総噴射量QSUMを増大させる点については上記各実施形態と共通している。しかし、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが所定割合REZ以上であるときに、機関運転状態に基づいて算出される目標開度PTよりもPCVバルブ56の開度PAを開き側に補正する点が上記各実施形態と相違している。
【0049】
図7に、内燃機関10の概略構成を示す。
内燃機関10には、クランクケース60内のブローバイガスを吸気通路19に還元するためのブローバイガス還元装置50が設けられている。このブローバイガス還元装置50は、吸気通路19においてスロットルバルブ21の吸気上流側からクランクケース60内に空気を導入する導入通路52と、クランクケース60内から吸気通路19においてスロットルバルブ21の吸気下流側にブローバイガスを還元する還元通路54と、同還元通路54においてのブローバイガスの流量を制御する電子制御式のPCVバルブ56とにより構成されている。このPCVバルブ56はバルブを駆動するアクチュエータとしてステップモータを備えており、ステップモータによりバルブの開度が変更されると、これにともないクランクケース60から吸気通路19へ還元されるブローバイガスの流量が変更されるようになる。
【0050】
電子制御装置30は、クランクケース60から吸気通路19に還元されるブローバイガスの流量を制御するためのPCVバルブ56の開度制御を実行する。
このPCVバルブ56の開度制御では、基本的には、機関運転状態に基づいて設定される目標開度PTに応じてPCVバルブ56を制御する。具体的には、図8に示すマップを参照して、機関回転速度NE及び機関負荷KLに基づいて目標開度PTを設定し、PCVバルブ56の実際の開度PAが目標開度PTとなるようにPCVバルブ56の作動指令値を生成する。なお本実施形態では、機関負荷KLとして、そのときの吸入空気量GAと、そのときの機関回転速度NEにおいて得られる吸入空気量の最大値である最大吸入空気量GAmaxとの比「GA/GAmax」を用いている。
【0051】
ところで、上記各実施形態によれば、潤滑油の燃料希釈の進行を抑制することができるようにはなるものの、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高くなるにつれて潤滑油の燃料希釈がある程度は進行することがある。そしてこの場合、クランクケース60内のブローバイガスが増大するといった問題が生じる。
【0052】
そこで、本実施形態では、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが所定割合REZ以上であるときには、機関運転状態に基づいて算出される目標開度PTよりもPCVバルブ56の開度PAを開き側に補正するようにしている。これにより、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REの増大にともない潤滑油の燃料希釈が進行した場合であっても、クランクケース60から吸気通路19に還元されるブローバイガスの流量の増大を図るようにしている。
【0053】
図9は、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REとPCVバルブ56の開度を開き側に補正する補正量ΔPAとの関係を規定したマップである。
このマップでは、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが所定割合REZよりも小さいときには補正量ΔPAが「0」とされ、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが所定割合REZ以上のときには同割合REが大きくなるほど補正量ΔPAが大きくなるように設定されている。ここで、所定割合REZとしては、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが同所定割合REZよりも小さいときには潤滑油の燃料希釈による問題を無視することができる値であり、実験等により予め設定されている。
【0054】
以上説明した本実施形態にかかる内燃機関によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが所定割合REZ以上であるときには、機関運転状態に基づいて算出される目標開度PTよりもPCVバルブ56の開度PAを開き側に補正することとした。これにより、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REの増大にともない潤滑油の燃料希釈が進行した場合であっても、クランクケース60から吸気通路19に還元されるブローバイガスの流量が増大されるようになる。従って、クランクケース60内の換気を的確に行うことができるようになる。
【0055】
(2)混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高いときには低いときに比べてPCVバルブ56の開度PAの補正量ΔPAを大きな値に設定することとした。これにより、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REの増大にともない潤滑油の燃料希釈が進行した場合であっても、その程度に応じて、クランクケース60から吸気通路19に還元されるブローバイガスの流量が増大されるようになる。従って、クランクケース60内の換気を一層的確に行うことができるようになる。
【0056】
なお、本発明にかかる内燃機関は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第3実施形態では、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが所定割合REZ以上のときには、同割合REが大きくなるほど補正量ΔPAを大きな値に設定するようにしているが、これに代えて、同割合REの大きさに拘わらず補正量ΔPAを一定値に設定するようにしてもよい。この場合であっても、クランクケース60から吸気通路19に還元されるブローバイガスの流量を増大してクランクケース60内の換気を的確に行うことができるようにはなる。
【0057】
・上記第1実施形態及び第2実施形態では、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REがいずれの値であっても、エタノール燃料の割合REが高くなるにつれて、総噴射量QSUMに占める筒内噴射割合βを低下させるようにしているが、これに代えて、例えば図10に示すように、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが基準値REYを超えているときに限り、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高くなるにつれて総噴射量QSUMに占める筒内噴射割合βを低下させるようにしてもよい。この場合、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが基準値REYとなるまでは、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高くなっても、総噴射量QSUMに占める筒内噴射割合βを一定に維持するようにしてもよい。
【0058】
・上記第1実施形態及び第2実施形態では、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高くなるにつれて筒内噴射割合βを低下させるようにしているが、本発明に燃料噴射制御はこれに限られるものではない。他に例えば、図11に示すように、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが基準値REYを超えているときには、この旨判定される前の筒内噴射割合β0よりも小さな筒内噴射割合β1(一定値)に維持するようにしてもよい。すなわち、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが基準値REYを超えているときに、この旨判定される前よりも総噴射量QSUMに占める筒内噴射割合βを小さくするものであれば、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REが高くなるにつれて筒内噴射割合βを低下させないものであってもよい。
【0059】
・上記各実施形態では、内燃機関の燃料として、ガソリン燃料と同ガソリン燃料よりも燃焼を通じて得られる単位質量当たりの出力が小さいエタノール燃料とからなる混合燃料を採用しているが、本発明にかかる混合燃料はこれらに限られるものではない。要するに、燃焼を通じて得られる単位質量当たりの出力が互いに異なる燃料であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる内燃機関の概略構成を示す概略構成図。
【図2】同実施形態の燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャート。
【図3】他の燃料噴射制御による作用を説明するためのグラフであって、(a)混合燃料におけるエタノール燃料の割合REと噴射量Qとの関係を示すグラフ、(b)混合燃料におけるエタノール燃料の割合REXと潤滑油の燃料希釈の進行度合DEXとの関係を示すグラフ。
【図4】同実施形態の燃料噴射制御による作用を説明するためのグラフであって、(a)混合燃料におけるエタノール燃料の割合REと噴射量Qとの関係を示すグラフ、(b)混合燃料におけるエタノール燃料の割合REと潤滑油の燃料希釈の進行度合DEXとの関係を示すグラフ。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる内燃機関について、その燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャート。
【図6】同実施形態の燃料噴射制御による作用を説明するためのグラフであって、(a)混合燃料におけるエタノール燃料の割合REと噴射割合α,βとの関係を示すグラフ、(b)混合燃料におけるエタノール燃料の割合REと噴射量Qとの関係を示すグラフ、(c)混合燃料におけるエタノール燃料の割合REと潤滑油の燃料希釈の進行度合Dとの関係を示すグラフ。
【図7】本発明の第3実施形態にかかる内燃機関の概略構成を示す概略構成図。
【図8】同実施形態のPCVバルブの開度制御に用いられるマップであって、機関回転速度及び機関負荷と目標開度との関係を規定するマップ。
【図9】同実施形態のPCVバルブの開度制御に用いられるマップであって、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REとPCVバルブの開度を開き側に補正する補正量との関係を規定するマップ。
【図10】本発明の内燃機関における燃料噴射制御の変形例による作用を説明するためのグラフであって、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REと噴射量Qとの関係を示すグラフ。
【図11】本発明の内燃機関における燃料噴射制御の他の変形例による作用を説明するためのグラフであって、混合燃料におけるエタノール燃料の割合REと噴射割合α,βとの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0061】
10…内燃機関、11…気筒、12…クランクシャフト、13…ピストン、14…吸気ポート、15…ポート噴射インジェクタ(通路内燃料噴射弁)、16…筒内噴射インジェクタ(気筒内燃料噴射弁)、17…燃焼室、18…点火プラグ、19…吸気通路、20…スロットルモータ、21…スロットルバルブ、30…電子制御装置(燃料噴射制御手段、開度補正手段)、41…回転速度センサ、42…水温センサ、43…エアフローメータ、44…アクセルセンサ、45…空燃比センサ、50…ブローバイガス還元装置、52…導入通路、54…還元通路、56…PCVバルブ、60…クランクケース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気通路内に燃料を噴射する通路内燃料噴射弁と気筒内に燃料を噴射する気筒内燃料噴射弁とを有し、第1の燃料と同燃料よりも燃焼を通じて得られる単位質量当たりの出力が小さい第2の燃料とからなる混合燃料を前記通路内燃料噴射弁及び前記気筒内燃料噴射弁の少なくとも一方により燃料噴射を行う燃料噴射制御手段を備える内燃機関において、
前記燃料噴射制御手段は、前記通路内燃料噴射弁及び前記気筒内燃料噴射弁の双方により燃料噴射を行うときのこれら燃料噴射弁による燃料噴射量の総量を、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が高くなるにつれて増大させるとともに、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が高くなるにつれて前記燃料噴射量の総量に占める前記気筒内燃料噴射弁の燃料噴射量の割合を低下させる噴射制御を行う
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関において、
前記燃料噴射制御手段は、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が基準値を超えているときに限り、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が高くなるにつれて前記燃料噴射量の総量に占める前記気筒内燃料噴射弁の燃料噴射量の割合を低下させる
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の内燃機関において、
前記燃料噴射制御手段は、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合がいずれの値であっても前記気筒内燃料噴射弁の燃料噴射量を一定の値に固定する
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関において、
機関運転状態に基づいて算出される目標開度に応じてPCVバルブを制御することによりクランクケースから吸気通路に還元されるブローバイガスの流量を制御するブローバイガス還元装置と、
前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が所定割合以上であるときには、前記PCVバルブの開度を前記目標開度よりも開き側に補正する開度補正手段とを備える
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項5】
請求項4に記載の内燃機関において、
前記開度補正手段は、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が高いときには低いときに比べて前記PCVバルブの開度の補正量を大きな値に設定する
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項6】
吸気通路内に燃料を噴射する通路内燃料噴射弁と気筒内に燃料を噴射する気筒内燃料噴射弁とを有し、第1の燃料と同燃料よりも燃焼を通じて得られる単位質量当たりの出力が小さい第2の燃料とからなる混合燃料を前記通路内燃料噴射弁及び前記気筒内燃料噴射弁の少なくとも一方により燃料噴射を行う燃料噴射制御手段を備える内燃機関において、
前記燃料噴射制御手段は、前記通路内燃料噴射弁及び前記気筒内燃料噴射弁の双方により燃料噴射を行うときのこれら燃料噴射弁による燃料噴射量の総量を、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が高くなるにつれて増大させるとともに、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が基準値を超えているときには、この旨判定される前よりも前記燃料噴射量の総量に占める前記気筒内燃料噴射弁の燃料噴射量の割合を小さくする噴射制御を行う
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項7】
請求項6に記載の内燃機関において、
機関運転状態に基づいて算出される目標開度に応じてPCVバルブを制御することによりクランクケースから吸気通路に還元されるブローバイガスの流量を制御するブローバイガス還元装置と、
前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が所定割合以上であるときには、前記PCVバルブの開度を前記目標開度よりも開き側に補正する開度補正手段とを備える
ことを特徴とする内燃機関。
【請求項8】
請求項7に記載の内燃機関において、
前記開度補正手段は、前記混合燃料における前記第2の燃料の割合が高いときには低いときに比べて前記PCVバルブの開度の補正量を大きな値に設定する
ことを特徴とする内燃機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−216005(P2009−216005A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61563(P2008−61563)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】