説明

別途の比例経路を有するクロックデータリカバリループ

【課題】安定性の高いバンバンCDRループを提供すること。
【解決手段】本発明によるクロックデータリカバリループ(30)は、非線形(例えば、バンバン)位相検出器(311)、チャージポンプ(31)、RCループフィルタ(32)、および、信号生成器(例えば、電圧制御発振器(VCO)(33))を含む。データ速度が遅いときは、ループ(30)はチャージポンプ(31)と、安定な二次挙動を示すループフィルタ(32)とともに、動作され得る。このとき、ループフィルタ(32)の抵抗器Rは比例経路として機能する。また、別途の比例経路(312)も提供され、VCO(33)の制御入力に位相検出器(311)の出力を直接提供する。その間、ループフィルタ(32)の抵抗器Rもバイパスされる。データ速度の増加が、三次の影響を生じさせるとき、別途の比例経路(312)が二次挙動を維持するように活性化され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロックデータリカバリ(CDR)のアプリケーションに関する。より特定的には、ループ安定性を改善するための別途の比例経路を有するバンバン(Bang−Bang)CDRループに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルシステムがクロック化されていることは、ほとんど自明である。デジタルシステムで、データ採取する場合、正確なクロックを有することが重要である。これは、データを正確に読み取るために、データアイ(data eye)の中心にできるだけ近いところで、データ採取が実行できるようにするためである。クロックがデータと一緒に送られてくる場合は、これは比較的易しい。しかしながら、クロックがデータからリカバーされなくてはならない場合、クロックリカバリエラーが生じるため、データアイをサンプル採取の中心とすることは、困難であり得るし、あるいは、信頼性に欠け得る。プログラマブルロジックデバイスでは、回路経路もクロックリカバリ回路網も一人一人のユーザロジックの設計において異なり、このような問題全て、折り込み済みである。
【0003】
クロックリカバリは、ループ回路(すなわち、位相ロックループ(PLL)あるいは遅延ロックループ(DLL))を用いて実行されるのが一般的である。ここで、位相検出器は、入力信号とリカバー信号との相変位を検出する。その結果、チャージポンプは、発振器または遅延線(例えば、電圧制御発振器または電流制御発振器)の制御信号(すなわち、電圧または電流)を変え、入力信号とアラインするようにリカバー信号を戻す。制御信号がばらついたり、波状になったりすると、発振器の出力が許容できないほど不安定になり、データ読み込みエラーの原因となるクロックリカバリエラーを起こし得る。
【0004】
CDRループの位相検出器の一つのタイプは、非線形位相検出器で、バンバン位相検出器として知られている。バンバン位相検出器が、CDRループ回路で使われた場合、ループ安定性が、ループフィルタに並列な寄生容量などの容量で、特に高周波数の場合に影響を受け、それは三次の影響となり得る。
【0005】
安定性の高いバンバンCDRループを提供できるようにすることが、望まれている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、異なる周波数範囲または異なるデータ速度範囲で用いられるループに代替経路を提供することで、バンバンCDRループの安定性を向上させる。比較的低い周波数またはデータ速度で、寄生容量の影響が小さいとき、ループは従来様式で、好ましくはRCループフィルタとともに、動作する。ループフィルタと並列な寄生容量などの容量の影響は、無視できる。このように、ループは、汎用的な安定な二次ループ(secondary loop)として、動作する。このとき、ループフィルタ抵抗器Rは、「比例経路」として作用し、ループコンデンサCは、「積分経路」として作用する。
【0007】
高い周波数またはデータ速度の場合、寄生容量などの影響は、より顕著であり、三次の影響を与え、ループ安定性を悪化させ、ループ設計も困難にする。この影響を減らし、安定性を高めるには、ループフィルタの容量を増やしたり、寄生容量などの容量をより小さくしたりすることで行い得る。しかしながら、オフチップ解決策(ループフィルタ内に、大きさが必要とされる大きさであるオフチップコンデンサを用いる)は、利用可能であるが、容量の増加は、大きなコンデンサのデバイス面積要求のため、オンチップ解決策において困難である。
【0008】
本発明は、より速いデータ速度において別途の比例経路を導入し、広範なデータ速度で、安定に二次モードで動作可能なCDR回路のオンチップ解決策を提供する。したがって、データ速度が低いとき、上述のように、従来様式で動作する。データ速度が速いとき、RCループフィルタの抵抗器は、バイパスされ得る。これは、単一容量(RCループフィルタの実際のコンデンサと、寄生容量との並列な組合せ)を生成する効果を有し、ループを二次状態に戻す。なぜなら、上述のように、抵抗器は比例経路として機能しているので、抵抗器がバイパスされるとき、バンバン位相検出器のバンバン信号の出力も、また、別途の比例経路上のループ回路の信号生成器(例えば、電圧制御発振器)に直接入力され、チャージポンプとループフィルタをバイパスするからである。小さな周波数ステップを生成するようなサイズにされていることが好ましいバラクタ(その詳細は以下に示される)は、その入力に備えられ、バンバン信号の出力を受け取る。こうして、バンバン位相検出器の出力によって、信号生成器の制御を可能とする。
【0009】
したがって、本発明に従うと、一次ループ(primary loop)を含むループ回路が提供される。この一次ループは、ループ回路の出力を生成する信号生成器、その出力とデータ信号を入力として受け入れ、少なくとも1つの位相エラー信号を提供する位相検出器、その少なくとも1つの位相エラー信号に応答するチャージポンプ、チャージポンプによって、チャージアップされ、抵抗器とコンデンサとを含むループフィルタであって、ループフィルタの出力を信号生成器の入力として提供するループフィルタ、抵抗器を制御可能なようにバイパスするためのバイパス回路、および、位相エラー信号を直接信号生成器に制御可能なように導くための代替経路を有する。データ速度が遅いとき、抵抗器はループ回路の比例経路として機能するが、データ速度が速いときには、代替経路は別途の比例経路として機能する。二次ループが周波数取得のために、提供され得る。また、ループ回路を動作する方法も提供される。
【0010】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0011】
(項目1)
広範なデータ速度にわたるクロックデータリカバリ用のループ回路であって、該ループ回路は、
該ループ回路の出力を生成するための信号生成器と、
該出力とデータ信号とを入力として受け入れ、少なくとも1つの位相エラー信号を提供する位相検出器と、
該少なくとも1つの位相エラー信号に応答するチャージポンプと、
該チャージポンプによって、チャージアップされ、抵抗器とコンデンサとを備えるループフィルタであって、ループフィルタの出力を該信号生成器の入力に提供するループフィルタと、
該抵抗器を制御可能なようにバイパスするためのバイパス回路と、
該抵抗器がバイパスされたとき、該位相エラー信号を該信号生成器に制御可能なように導くための代替経路と
を備え、
データ速度が遅いときは、該抵抗器は該ループ回路の比例経路として機能し、
データ速度が速いときは、該代替経路は、別途の比例経路として機能する、ループ回路。
【0012】
(項目2)
上記信号生成器が、電圧制御発振器を備える、項目1に記載のループ回路。
【0013】
(項目3)
上記代替経路が、バラクタを備える、項目2に記載のループ回路。
【0014】
(項目4)
上記位相検出器が、非線形である、項目1に記載のループ回路。
【0015】
(項目5)
上記非線形位相検出器が、バンバン位相検出器である、項目4に記載のループ回路。
【0016】
(項目6)
上記信号生成器、上記位相検出器、上記チャージポンプ、上記ループフィルタ、上記バイパス回路、および、上記代替経路が、一次ループを構成し、
上記ループ回路は、さらに、二次ループを備え、
該二次ループは、
上記出力信号を分割するためのフィードバックカウンタと、
該分割された出力信号と基準信号とを入力として受け入れ、位相−周波数エラー信号を出力する位相−周波数検出器と、
該位相エラー信号と該位相−周波数エラー信号とから、上記チャージポンプへの入力として、選択を行うセレクタとを備え、
該セレクタは、周波数取得のために、上記二次ループを活性化する上記周波数−位相エラー信号を選択し、クロックデータリカバリ動作のために、上記一次ループを活性化する上記位相エラー信号を選択する、項目1に記載の回路ループ。
【0017】
(項目7)
上記セレクタ制御のために、上記基準信号と上記フィードバックカウンタの出力を入力信号として受け入れるロック検出器をさらに備える、項目6に記載のループ回路。
【0018】
(項目8)
ループ回路を動作する方法であって、
該ループ回路は一次ループを有し、該一次ループは、該ループ回路の出力を生成するための信号生成器と、該出力とデータ信号とを入力として受け入れ、少なくとも1つの位相エラー信号を提供する位相検出器と、該少なくとも1つの位相エラー信号に応答するチャージポンプと、該チャージポンプによってチャージアップされ、抵抗器とコンデンサとを含むループフィルタであって、ループフィルタの出力を該信号生成器の入力に提供するループフィルタと、該抵抗器を制御可能なようにバイパスするためのバイパス回路と、該抵抗器がバイパスされたとき、該位相エラー信号を該信号生成器に制御可能なように導くための代替経路とを含み、
該方法は、
該データ信号の周波数が低いときは、該抵抗器をバイパスしないように該制御可能なバイパス回路を動かし、該位相エラー信号を該信号生成器に導かないように該制御可能な代替経路を動かすことと、
該データ信号の周波数が高いときは、該抵抗器をバイパスするように該制御可能なバイパス回路を動かし、該位相エラー信号を該信号生成器に導くように該制御可能な代替経路を動かすことと
を包含する、方法。
【0019】
(項目9)
二次ループを供給することであって、該二次ループは、
上記出力信号を分割するためのフィードバックカウンタと、
該分割された出力信号と基準信号とを入力として受け入れ、位相−周波数エラー信号を出力する位相−周波数検出器と、
該位相エラー信号と該位相−周波数エラー信号とから選択し、上記チャージポンプへの入力とするセレクタとを備える、二次ループを供給することと、
上記一次ループの周波数取得範囲に周波数を持ってくるために、上記二次ループを活性化する上記周波数−位相エラー信号を選択するように該セレクタを動かすことと、
上記一次ループの取得範囲に周波数を持ってくると、該位相エラー信号を選択するように、上記一次ループを活性化するように、および該二次ループを不活性にするように、該セレクタを動かすことと
をさらに包含する、項目8に記載の方法。
(摘要)
広範なデータ速度にわたって使われ、二次挙動を維持し得るクロックデータリカバリループは、非線形(例えば、バンバン)位相検出器、チャージポンプ、RCループフィルタ、および、信号生成器(例えば、電圧制御発振器(VCO))を含む。データ速度が遅いときは、ループはチャージポンプと、安定な二次挙動を示すループフィルタとともに、動作され得る。このとき、ループフィルタの抵抗器Rは比例経路として機能する。別途の比例経路も提供され、VCOの制御入力に位相検出器の出力を直接提供する。その間、ループフィルタの抵抗器Rもバイパスされる。データ速度の増加が、三次の影響を生じさせるとき、別途の比例経路が二次挙動を維持するように活性化され得る。
【0020】
本発明の上述などの利点は、以下の詳細な記述を、添付図面とともに考慮すると、明らかになる。添付図面において、同じ参照記号は、全体を通して同じ要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、図1〜図4を参照して、以下に述べられる。
【0022】
図1は、従来型バンバンCDRループ10を示す。データ11がバンバン位相検出器12に入力され、その結果、上/下バンバン制御信号13がチャージポンプ14を制御する。抵抗器R(150)とコンデンサC(151)を含むチャージポンプ14は、ループフィルタ15を充放電する。ループフィルタ15は、電圧制御発振器(VCO)17のような信号生成器を制御する制御信号16を提供する。信号生成器の(例えば、VCO17の)出力は、好ましくは、位相検出器12にフィードバックされる。この位相検出器12において、その位相は、制御信号13を生成するために、データ信号11の位相と比較される。この既知のループにおいて、抵抗器R(150)は、「比例」経路として機能し、コンデンサC(151)は、「積分」経路として機能する。
【0023】
ループ10での上述の記載は、理想的なケースである。実際には、寄生容量や他の容量(例えば、VCO17への入力によって提供され得るバラクタの容量)、細線で示されるコンデンサC(152)の容量が、理想的な場合は、汎用で安定な挙動を示す「二次」ループとして、記述され得るループ10を、より複雑で、より不安定な挙動を有する「三次」ループにする。
【0024】
バンバンCDRループ20の代替的な実施形態を図2に示す。この実施形態において、抵抗器Rは、コンデンサC(251)のみを含むループフィルタ25から取り除かれる。Rの代わりに、別途の比例経路21が、バンバン位相検出器12の出力を直接VCO17(または他の信号生成器)の入力に運ぶ。
【0025】
上述のように、ループ10において、抵抗器Rは比例経路であると考えられ得る。ループ10、ループ20のいずれにおいても、比例経路における位相変化がΔθで表され、積分経路における位相変化がΔθで表されるなら、ループ安定性ξは、ΔθとΔθの比:
ξ=Δθ/Δθ
で、定義され得る。ループ10において、遅いデータ速度で、Cの影響が無視できる場合は:
ξ二次=Δθ/Δθ=2RCbaud
である。ここで、fbaudは、入ってくるデータの周波数またはデータ速度である。ループ20の場合、
ξ二次=Δθ/Δθ=2Cfbbbaud/(IcpVCO
である。ここで、fbbは位相検出器12のバンバンステップ周波数、Icpはチャージポンプ電流、そして、KVCOはVCOのゲインである。寄生容量は、CとCが単一コンデンサC(2つの並列なキャパシタの組合せ)と化すので、現れない。上記2つの表現を比較すると、低周波数または遅いデータ速度において、fbb、より特定的には、fbb/(IcpVCO)が、Rの代わりとなり、安定性はRに比例したままである。
【0026】
しかしながら、高い周波数または速いデータ速度において、Cの影響は、もはや無視できず、その存在が影響を及ぼし始め、システムを三次のシステムにする。この結果得られる実効抵抗Rnewと実効容量Cnewを複素数として扱うと、
newnew=RC/(C+C+R2ω
となる。その結果、
ξ三次=2Rnewnewbaud
=2RC/(C+C+4πbaud
となる。同様に、
bb=IcpnewVCO
=IcpVCORC/((C+C+4πbaud
である。これによって、遅いデータ速度の場合、Rに直接に比例していた安定性は、速いデータ速度において、Rに反比例することが理解され得る。
【0027】
三次ループにおいて、比較的遅いデータ速度(例えば、約1Gbps)で、C=C/1000である場合、ジッタは、仕様の許容範囲内で、Rが大きければ大きいほど、不安定の許容範囲は改善される。一方、速いデータ速度の場合、(例えば、約3.125Gbps)で、C=C/1000である場合、ジッタは許容範囲内であることは、めったになく、Rを小さくすると、ジッタの許容範囲は改善する。このことが、広範囲のデータ速度に対応する三次ループの設計を難しくしている。
【0028】
一方、別途の経路を有する二次ループにおいては、fbbの上限は、自己から生成するハンチングジッタ(hunting jitter)によって決まり、これは、fbb/fbaudに比例する。このように、別途の比例経路を有する広範囲でのバンバンCDRループを設計することは、比較的単純で、fbb/fbaudを適切な比率、例えば、
bb/fbaud≒1/1000
に維持することで、達成され得る。
【0029】
広範囲でのバンバンCDR回路30の好ましい実用的な実施形態は、図3に示される。CDR回路30は、好ましくは、二重ループ構造を用いる。好ましくは、下側の二次ループ300がスタート時に使われ、上側の一次ループ310が捕らえる範囲の周波数に至るまで使われる(少なくともロックが失われるまで)。次いで、一次ループは、クロックデータリカバリに使われる。ループ300と310は、好ましくは、従来型チャージポンプ31、従来型RCループフィルタ32、および、VCO33(当業者から明らかなように、電流制御発振器などの他のタイプの信号生成器も、マイナーな変更をともなって使われ得る)を共有する。
【0030】
ループ300も、位相−周波数検出器301およびフィードバックカウンタ/ディバイダ302を含む。カウンタ/ディバイダ302は、周波数合成で周知のように、フィードバックされた出力信号をMで割り、出力周波数をMで乗ずる。ロック検出器303は、好ましくは、フィードバック信号を入力基準信号304と比較し、周波数ロックが検出されたとき、マルチプレクサ34を使ってバンバン位相検出器31の出力を選んで、回路30をループ310に切り換える。位相ロックが維持されている限りは、ループ310が選ばれたままである。
【0031】
十分に遅い入力データ速度fbaudで、ループ310はRCループフィルタ32を従来型の二次ループとして、動作する。しかしながら、ループ310は、好ましくは、バンバン位相検出器311の出力からVCO33の入力に選択的な別途の比例経路312も有する。バンバン信号によって直接制御されている小さなバラクタ313は、経路312に、VCO33(図4参照)の二次周波数制御42を提供されていることが好ましい。バラクタは、上述した関係、すなわち、fbb/fbaud≒1/1000に見合う周波数ステップfbbを提供するようなサイズとされていることが好ましい。比例経路312が、スイッチ314を閉じて活性化されたとき、別途のバイパス経路315もスイッチ315を閉じて活性化され、ループフィルタ32の抵抗器R(150)を回路の外に出す。
【0032】
任意の所定の回路30は、ある程度のデータ速度(特定回路のパラメータの関数であるデータ速度)まで、安定に予測できる結果をともない、使われ得る。好ましくは、データ速度が超えるまで、ループ300は、チャージポンプ31とループフィルタ32とが従来様式で使われる。しかしながら、データ速度が超えると、抵抗器R(150)をバイパスするために、スイッチ313と316は閉じられ、二次的挙動を維持するために、別途の比例経路312を活性化する。
【0033】
図4は、本発明に従うループ回路に使われ得るVCO33の第一の例示的な実施形態40を示す。VCO40は、好ましくは相等しい2つのクロス結合された遅延ステージ41、42を有する直交リングVCOを有することが好ましい。VCO40は、直交位相クロック43〜46を提供することが好ましく、それゆえ、好ましくは、ハーフ速度(half rate)でのバンバンCDRアプリケーションにすることに適する。
【0034】
VCO40は、2つの制御入力401、402を有することが好ましい。制御401は、好ましくはループフィルタ32から来る一次制御である。制御402は、好ましくはバンバン比例経路から来る二次制御であることが好ましい。一次制御401は、VCOチューニング範囲を決定することが好ましく、二次制御402は、(アップ信号UPとダウン信号DNBとを分離することを好ましくは含み)、バンバンステップ周波数fbbを決定することが好ましい。fbbは、上述したように、VCOの中心周波数の0.1%のオーダーであるため、二次制御402のバラクタ412のサイズは、このようなステップ周波数を提供するのに、十分な大きさのみが必要である。
【0035】
図5は、VCO33の本発明に従うループ回路に使われ得る第二の例示的な実施形態50を示す。VCO50は、一次制御501をプロービングする大きなバラクタ511と二次制御502をプロービングする小さなバラクタ512とを有するLCタンク51に基礎を置いていることが好ましい。図に示すように、VCO50は、フル速度でのCDR動作用に設計されている。しかしながら、ハーフ速度での動作用の直交LC VCO(図示せず)も、直交リングVCO40で使われたのと同様な様式で、2つのクロス結合されたステージを有するように設計され得る。
【0036】
本発明に従うクロックデータリカバリ回路網を組み込んだプログラマブルロジックデバイス(「PLD」)60は、多種類の電子デバイスで使われ得る。一つの可能な使用が、図6に示されるデータ処理システム900にある。データ処理システム900は、構成要素であるプロセッサ901、メモリ902、入出力回路網903、および、周辺機器904を1つ以上含み得る。これら構成要素は、システムバス905によって、一緒に結合されており、エンドユーザのシステム907に含まれる回路基板906上に集まっている。
【0037】
システム900は、コンピュータネットワーク構築、データネットワーク構築、計測手段、ビデオ処理、デジタル信号処理、プログラマブルまたは再プログラマブルロジックの利点を活かした任意のアプリケーションなど、広範なアプリケーションに使われ得る。PLD60は、様々な異なるロジック機能の実行に用いられ得る。例えば、PLD60は、プロセッサ901と連携して機能するプロセッサまたは制御装置として、設計され得る。PLD60は、システム900内の共有リソースへのアクセス決定を行うアービター(arbiter)としても使われ得る。また、別の例としては、PLD60は、プロセッサ901とシステム900内の他の構成要素の一つとの間のインターフェースとして設計され得る。システム900は、単に例示的なものに過ぎず、本発明の真の範囲と精神は、以下に示す特許請求の範囲によって意図されることには、注意するべきである。
【0038】
様々な技術が、上記で述べ、本発明に組み込まれるPLD60を実行するために、使われ得る。
【0039】
上述したことは、本発明の原理の例証に過ぎないこと、当業者なら本発明の範囲と精神から逸脱することなく、多数の変更も可能であり得ること、さらに、本発明は以下に記す特許請求の範囲によってのみ限定されることは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来型RCループフィルタを有するバンバンCDRループの模式図である。
【図2】明白な別途の比例経路を有するバンバンCDRループの模式図である。
【図3】本発明に従うバンバンCDRループの好ましい実施形態および周波数取得ループを含む回路の模式図である。
【図4】本発明で使われ得る2つの制御入力を有する例示的な一次電圧制御発振器の模式図である。
【図5】本発明で使われ得る2つの制御入力を有する例示的な二次電圧制御発振器の模式図である。
【図6】本発明を組み込んだプログラマブルロジックデバイスを含むシステムの模式図である。
【符号の説明】
【0041】
30 バンバンクロックデータリカバリ(CDR)回路
31 チャージポンプ
32 RCループフィルタ
33 電圧制御発振器(VCO)
34 マルチプレクサ
300 二次ループ
304 基準信号
310 一次ループ
311 バンバン位相検出器
312 別途の比例経路
313 バラクタ
315 バイパス経路
R 抵抗器
C コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広範なデータ速度にわたるクロックデータリカバリ用のループ回路であって、該ループ回路は、
該ループ回路の出力を生成するための信号生成器と、
該出力とデータ信号とを入力として受け入れ、少なくとも1つの位相エラー信号を提供する位相検出器と、
該少なくとも1つの位相エラー信号に応答するチャージポンプと、
該チャージポンプによって、チャージアップされ、抵抗器とコンデンサとを備えるループフィルタであって、ループフィルタの出力を該信号生成器の入力に提供するループフィルタと、
該抵抗器を制御可能なようにバイパスするためのバイパス回路と、
該抵抗器がバイパスされたとき、該位相エラー信号を該信号生成器に制御可能なように導くための代替経路と
を備え、
データ速度が遅いときは、該抵抗器は該ループ回路の比例経路として機能し、
データ速度が速いときは、該代替経路は、別途の比例経路として機能する、ループ回路。
【請求項2】
前記信号生成器が、電圧制御発振器を備える、請求項1に記載のループ回路。
【請求項3】
前記代替経路が、バラクタを備える、請求項2に記載のループ回路。
【請求項4】
前記位相検出器が、非線形である、請求項1に記載のループ回路。
【請求項5】
前記非線形位相検出器が、バンバン位相検出器である、請求項4に記載のループ回路。
【請求項6】
前記信号生成器、前記位相検出器、前記チャージポンプ、前記ループフィルタ、前記バイパス回路、および、前記代替経路が、一次ループを構成し、
前記ループ回路は、さらに、二次ループを備え、
該二次ループは、
前記出力信号を分割するためのフィードバックカウンタと、
該分割された出力信号と基準信号とを入力として受け入れ、位相−周波数エラー信号を出力する位相−周波数検出器と、
該位相エラー信号と該位相−周波数エラー信号とから、前記チャージポンプへの入力として、選択を行うセレクタとを備え、
該セレクタは、周波数取得のために、前記二次ループを活性化する前記周波数−位相エラー信号を選択し、クロックデータリカバリ動作のために、前記一次ループを活性化する前記位相エラー信号を選択する、請求項1に記載の回路ループ。
【請求項7】
前記セレクタ制御のために、前記基準信号と前記フィードバックカウンタの出力を入力信号として受け入れるロック検出器をさらに備える、請求項6に記載のループ回路。
【請求項8】
ループ回路を動作する方法であって、
該ループ回路は一次ループを有し、該一次ループは、該ループ回路の出力を生成するための信号生成器と、該出力とデータ信号とを入力として受け入れ、少なくとも1つの位相エラー信号を提供する位相検出器と、該少なくとも1つの位相エラー信号に応答するチャージポンプと、該チャージポンプによってチャージアップされ、抵抗器とコンデンサとを含むループフィルタであって、ループフィルタの出力を該信号生成器の入力に提供するループフィルタと、該抵抗器を制御可能なようにバイパスするためのバイパス回路と、該抵抗器がバイパスされたとき、該位相エラー信号を該信号生成器に制御可能なように導くための代替経路とを含み、
該方法は、
該データ信号の周波数が低いときは、該抵抗器をバイパスしないように該制御可能なバイパス回路を動かし、該位相エラー信号を該信号生成器に導かないように該制御可能な代替経路を動かすことと、
該データ信号の周波数が高いときは、該抵抗器をバイパスするように該制御可能なバイパス回路を動かし、該位相エラー信号を該信号生成器に導くように該制御可能な代替経路を動かすことと
を包含する、方法。
【請求項9】
二次ループを供給することであって、該二次ループは、
前記出力信号を分割するためのフィードバックカウンタと、
該分割された出力信号と基準信号とを入力として受け入れ、位相−周波数エラー信号を出力する位相−周波数検出器と、
該位相エラー信号と該位相−周波数エラー信号とから選択し、前記チャージポンプへの入力とするセレクタとを備える、二次ループを供給することと、
前記一次ループの周波数取得範囲に周波数を持ってくるために、前記二次ループを活性化する前記周波数−位相エラー信号を選択するように該セレクタを動かすことと、
前記一次ループの取得範囲に周波数を持ってくると、該位相エラー信号を選択するように、前記一次ループを活性化するように、および該二次ループを不活性にするように、該セレクタを動かすことと
をさらに包含する、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−13950(P2007−13950A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163672(P2006−163672)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(597154922)アルテラ コーポレイション (163)
【氏名又は名称原語表記】Altera Corporation
【Fターム(参考)】