説明

半導体チップの製造方法、半導体チップ、半導体装置の製造法および半導体装置

【課題】貫通電極の形成に伴う半導体基板の金属汚染を抑制することができる半導体チップの製造方法を提供する。
【解決手段】一方表面に機能素子3が形成されたウエハWの当該一方表面に、ウエハWの厚さよりも浅い所定の深さの表面側凹所9を形成する。続いて、表面側凹所9内に非金属材料を供給して、当該非金属材料からなるダミープラグ8を形成する。次に、ウエハWにおいて上記一方表面とは反対の面である裏面Wrを機械的に研削して、ウエハWを表面側凹所9の深さより小さな厚さに薄型化して、表面側凹所9をウエハWを貫通する貫通孔にする。その後、この貫通孔内のダミープラグ8を除去し、さらに、この貫通孔内に金属材料を供給して貫通電極を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚さ方向に貫通する貫通孔を有する半導体チップおよびその製造方法、ならびに厚さ方向に貫通する貫通孔を有する半導体チップを備えた半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体チップを含む半導体装置としてマルチチップモジュール(MCM)がある。マルチチップモジュールでは、半導体装置内で複数の半導体チップを配線基板上に積層して、半導体装置の実装面積を小さくすることが試みられている。このような半導体装置において、半導体チップを厚さ方向に貫通する貫通孔内に貫通電極を設けて、この貫通電極により縦方向の電気的な接続を達成する場合がある。
【0003】
図13Aないし図13Hは、従来の貫通電極を有する半導体チップの製造方法を説明するための図解的な断面図である。このような製造方法は、下記特許文献1に開示されている。
一方表面(以下、「表面」という。)に機能素子(デバイス)101が形成された半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wの表面に、機能素子101の側方の領域を露出させる開口103aを有するハードマスク103が形成される。
【0004】
次に、ハードマスク103をマスクとした反応性イオンエッチング(RIE)により、機能素子101の側方の領域に、ウエハWの厚さより浅い深さを有する表面側凹所102が形成され、さらに、ハードマスク103に、機能素子101の所定の部分を露出させるコンタクト孔103bが形成される。
続いて、開口103aおよび表面側凹所102内の露出表面に、酸化シリコンからなる絶縁膜104が形成される。この状態が図13Aに示されている。
【0005】
次に、以上の工程を経たウエハWの表面側の全面に、導電性の拡散防止膜105が形成され(図13B参照)、さらに、拡散防止膜105上に、図示しないシード層が形成される。そして、このシード層をシードとした電解めっきにより、開口103a、コンタクト孔103bおよび表面側凹所102の内部が、銅からなる金属膜106で埋められる。金属膜106は、コンタクト孔103bを介して機能素子101に電気的に接続される。この状態が、図13Cに示されている。
【0006】
次に、表面側凹所102、開口103aおよびコンタクト孔103b外の金属膜106および拡散防止膜105のうち、開口103a内とコンタクト孔103b内とを接続するパターンを有する所定の領域以外の部分が除去される。この状態が、図13Dに示されている。
次に、表面側凹所102、開口103aおよびコンタクト孔103b外の金属膜106の上に、UBM層107およびバンプ108が形成される。UBM層107は、金属膜106とバンプ108との間に形成される。この状態が、図13Eに示されている。
【0007】
続いて、ウエハWの表面が図示しない支持体に貼り付けられ、ウエハWの裏面Wrが機械的に研削されて、ウエハWが薄型化される。これにより、表面側凹所102は、貫通孔112となり、金属膜106がウエハWの裏面Wrに露出され、表面側凹所102および開口103a内の金属膜106は貫通電極109となる。貫通電極109と一体の金属膜106の残部は、貫通電極109と機能素子101とを電気的に接続する配線部材110として機能する。この状態が、図13Fに示されている。
【0008】
ウエハWの裏面Wrには、研削痕や研削時に受けたダメージを有する研削ダメージ層が存在している。この研削ダメージ層を除去するため、ウエハWの裏面Wrが5μm程度ドライエッチングされる。この際、貫通電極109、拡散防止膜105、および絶縁膜104はほとんどエッチングされず、ウエハWの裏面Wrから突出する。この状態が、図13Gに示されている。
【0009】
次に、ウエハWの裏面Wr全面に酸化シリコンからなる裏面側絶縁膜111が形成され、さらに、裏面側絶縁膜111のうち貫通電極109、拡散防止膜105、および絶縁膜104を覆っている部分が研削により除去されて露出される(図13H参照)。その後、ウエハWが切断されて、貫通電極109を有する半導体チップの個片にされる。
以上のような製造方法により得られた半導体チップを縦方向に積層し、隣接する半導体チップのバンプ108とウエハWの裏面Wrに露出した貫通電極109とを接合することにより、半導体チップ同士を電気的に接続できる。これにより配線長を短くできる。このような半導体装置は、配線基板等に対する実装面積が小さい。
【特許文献1】特表2000−510288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、貫通電極109を有する半導体チップの従来の製造方法において、裏面Wr研削時(図13F参照)に、ウエハWとともに金属膜106(貫通電極109)も研削される。これにより、金属膜106を構成する銅は、ウエハWの裏面Wrから拡散によりウエハWの深部にまで至り、研削ダメージ層を除去(図13G参照)してもウエハWに残存する。このようにして、ウエハWが汚染され、半導体チップの特性が劣化する。
【0011】
そこで、この発明の目的は、貫通電極の形成に伴う半導体基板の金属汚染を抑制することができる半導体チップの製造方法を提供することである。
この発明の他の目的は、貫通電極を有しながら、良好な特性を有する半導体チップを有する半導体装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、貫通電極の形成に伴う半導体チップの金属汚染を抑制できる半導体装置の製造方法を提供することである。
【0012】
この発明のさらに他の目的は、半導体基板に形成した貫通孔を介して光信号を良好に伝送することができる半導体チップおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、表面および裏面(Wr)を有し上記表面に機能素子(3)が形成された半導体基板(W)の上記表面に、上記半導体基板の厚さよりも浅い所定の深さの表面側凹所(9)を形成する工程と、この表面側凹所内に非金属材料を供給して、当該非金属材料からなるダミープラグ(8,48)を上記表面側凹所に埋め込むを形成するダミープラグ形成工程と、このダミープラグ形成工程の後、上記半導体基板の上記裏面側部分を除去して、上記半導体基板を上記表面側凹所の深さより小さな厚さに薄型化して、上記表面側凹所を上記半導体基板を貫通する貫通孔(4)にする薄型化工程と、上記貫通孔内の上記ダミープラグを除去するダミープラグ除去工程と、このダミープラグ除去工程の後、上記貫通孔に金属材料を供給して、上記半導体基板の表面側と裏面側とを電気的に接続し、かつ上記機能素子に電気的に接続された貫通電極(10,45)を形成する工程とを含むことを特徴とする半導体チップ(1,31,41,51)の製造方法である。
【0014】
なお、括弧内の数字は後述の実施形態における対応構成要素等を示す。以下、この項において同じ。
この発明によれば、薄型化工程が実施される際、表面側凹所(貫通孔)内には非金属材料からなるダミープラグが設けられており、金属材料は存在していない。したがって、たとえば、薄型化工程が物理的に半導体基板の裏面を研削(研磨)するものであっても、研削の際に、金属原子が、半導体基板の裏面から半導体基板中に拡散することはない。すなわち、貫通電極の形成に伴う半導体基板の金属汚染を抑制することができる。したがって、この発明の製造方法により、貫通電極を有しながら、金属汚染が少なく良好な特性を示す半導体チップを製造できる。
【0015】
ダミープラグ除去後の貫通孔内に金属材料を供給することにより、半導体基板を厚さ方向に貫通する貫通電極を有する半導体チップが得られる。この貫通電極により半導体基板の表面側と裏面側とを、短い距離で電気的に接続できる。
ダミープラグを構成する非金属材料は、たとえば、ポリマーであってもよい。
薄型化工程が物理的に半導体基板の裏面を研削(研磨)するものである場合、この半導体チップの製造方法は、薄型化工程の後、薄型化工程による研削痕やダメージを有する研削ダメージ層を除去する工程をさらに含んでいてもよい。
【0016】
また、この半導体チップの製造方法は、上記ダミープラグ除去工程の後、上記貫通電極を形成する工程の前に、上記貫通孔の内壁の上に、絶縁膜を形成する工程を含むことが好ましい。この場合、得られた半導体チップにおいて、貫通電極と半導体基板との間に絶縁膜が介在し、この絶縁膜により、貫通電極と半導体基板との間が電気的に絶縁される。
また、この半導体チップの製造方法は、上記ダミープラグ除去工程の後、上記貫通電極を形成する工程の前に、上記貫通孔の内壁の上に、上記貫通孔内から上記半導体基板への金属原子の拡散を抑制する拡散防止膜を形成する工程を含むことが好ましい。この場合、得られた半導体チップにおいて、貫通電極と半導体基板との間に拡散防止膜が介在し、この拡散防止膜により、貫通電極から半導体基板へ金属原子が拡散して半導体チップの特性が劣化することを抑制できる。
【0017】
貫通電極を形成する工程は、たとえば、電解めっきにより貫通孔内に金属材料を供給する工程を含んでいてもよい。この場合、金属材料を供給する前に、貫通孔の内壁の上にシード層を形成する工程を実施すればよい。
請求項2記載の発明は、上記ダミープラグ形成工程の後、上記ダミープラグ除去工程の前に、上記半導体基板の表面側における上記ダミープラグの露出面に接し、上記機能素子に電気的に接続された配線部材(11)を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の半導体チップの製造方法である。
【0018】
この発明によれば、配線部材は、半導体基板の表面側におけるダミープラグの露出面に接するように形成されるので、ダミープラグが除去された後の貫通孔内に金属材料を供給すると、配線部材に電気的に接続された貫通電極が形成される。配線部材は、機能素子に電気的に接続されているので、このような方法により、機能素子に電気的に接続された貫通電極を容易に製造できる。
【0019】
請求項3記載の発明は、上記ダミープラグ形成工程が、上記表面側凹所内に上記非金属材料としての絶縁性を有する感光性樹脂を充填して、当該感光性樹脂からなる上記ダミープラグ(48)を形成する感光性樹脂充填工程と、露光により、上記ダミープラグのうち、上記表面側凹所の内側壁の全面に沿って設けられた所定の外周部分(48b)が所定のエッチング媒体に対して不溶性を有し、上記外周部分の内方の中央部分(48a)が当該所定のエッチング媒体に対して可溶性を有する状態にする露光工程とを含み、上記ダミープラグ除去工程が、上記ダミープラグの上記中央部分を、上記所定のエッチング媒体を用いたエッチングにより除去する現像工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体チップの製造方法である。
【0020】
この発明によれば、現像工程により、ダミープラグのすべてが除去されるのではなく、ダミープラグのうち表面側凹所の内側壁の全面に沿って設けられた外周部分が残される。ダミープラグは絶縁材料からなるので、除去されずに残るダミープラグの外周部分は、得られた半導体チップにおいて、貫通電極と半導体基板との間に介在して、貫通電極と半導体基板とを電気的に絶縁する絶縁膜として機能する。
【0021】
絶縁膜は、露光工程において、ダミープラグの露光領域を制御することにより所望の厚さに形成することができる。したがって、十分な絶縁性を有する厚い絶縁膜を容易に形成できる。
感光性樹脂は、所定のエッチング媒体に対して不溶性を有し、露光部分が可溶化する、いわゆるポジ型のものであってもよく、所定のエッチング媒体に対して可溶性を有し、露光部分が不溶化する、いわゆるネガ型のものであってもよい。
【0022】
露光領域を規制するために、所定パターンのレジストが用いられてもよい。また、露光領域は、レジスト以外のもので規制してもよい。たとえば、表面側凹所を、開口を有するハードマスクを利用した反応性イオンエッチングにより形成する場合は、この表面側凹所は、開口の幅よりわずかに大きな幅を有することになる。このため、ハードマスクは、表面側凹所の縁部からわずかに内方に突出した状態となる。このハードマスクの突出部を利用して、表面側凹所内の感光性樹脂(ダミープラグ)に対する露光領域を規制してもよい。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載された半導体チップの製造方法により複数の半導体チップ(1,31,41,51)を製造する工程と、上記複数の半導体チップを積層する工程とを含むことを特徴とする半導体装置(20)の製造方法である。
請求項1ないし3のいずれかに記載された半導体チップの製造方法により、貫通電極の形成に伴う半導体チップの金属汚染を抑制できる。したがって、この半導体装置の製造方法により、貫通電極を有し金属汚染が少ない半導体チップを有する半導体装置が得られる。
【0024】
貫通電極により、隣接して積層される2つの半導体チップにおいて、一方の半導体チップの機能素子と他方の半導体チップの機能素子とを短い距離で電気的に接続できる。
請求項5記載の発明は、表面および裏面(W1r)を有し上記表面に機能素子(3)が形成された第1半導体基板(W1)の上記表面に、上記第1半導体基板の厚さよりも浅い所定の深さの表面側凹所(9)を形成する工程と、この表面側凹所内に非金属材料を供給して、当該非金属材料からなるダミープラグ(8)を上記表面側凹所に埋め込むダミープラグ形成工程と、上記ダミープラグが形成された上記第1半導体基板の上記表面を、第2半導体基板(W2)の一方表面(W2r)に対向させて、上記第1半導体基板を上記第2半導体基板上に積層する積層工程と、上記第2半導体基板に積層された上記第1半導体基板の上記裏面側部分を除去して、上記第1半導体基板を上記表面側凹所の深さより小さな厚さに薄型化して、上記表面側凹所を上記第1半導体基板を貫通する貫通孔(4)にする薄型化工程と、この薄型化工程の後、上記貫通孔内の上記ダミープラグを除去するダミープラグ除去工程と、このダミープラグ除去工程の後、上記貫通孔に金属材料を供給して、上記第1半導体基板の表面側と裏面側とを電気的に接続し、かつ上記機能素子に電気的に接続された貫通電極(4)を形成する金属材料供給工程とを含むことを特徴とする半導体装置(60)の製造方法である。
【0025】
この発明によれば、薄型化工程が実施される際、表面側凹所(貫通孔)内には非金属材料からなるダミープラグが設けられており、金属材料は存在していない。したがって、たとえば、薄型化工程が物理的に第1半導体基板の裏面を研削(研磨)するものであっても、研削の際に、金属原子が、第1半導体基板の裏面から第1半導体基板中に拡散することはない。すなわち、貫通電極の形成に伴う第1半導体基板の金属汚染を抑制することができる。
【0026】
したがって、この半導体装置の製造方法により、貫通電極を有し金属汚染が少ない半導体チップ(第1半導体基板または第1半導体基板が切断されてなる半導体基板)を有する半導体装置を製造できる。
この半導体装置の製造方法では、第1半導体基板は、第2半導体基板に積層された状態で薄型化されて、貫通電極が形成される。したがって、薄型化された後の第1半導体基板を第2半導体基板に積層する必要はない。
【0027】
請求項6記載の発明は、上記積層工程の前に、上記第1半導体基板の表面から突出し、上記ダミープラグに接触するダミーバンプ(65)を形成する工程をさらに含み、上記第2半導体基板が、上記一方表面に設けられた配線部材(10)を含み、上記積層工程が、上記ダミーバンプを、上記第2半導体基板の上記配線部材に接触させるダミーバンプ接触工程と、上記第2半導体基板の上記配線部材に接触している上記ダミーバンプの周囲を覆うように型取り材(63)を配置する工程とを含み、上記ダミープラグ除去工程が、上記ダミーバンプを除去する工程をさらに含み、上記金属材料供給工程が、上記貫通孔に連通し上記型取り材により区画された空間に金属材料を供給して、上記貫通電極と一体で上記第1半導体基板の上記表面から突出したバンプ(62)を形成する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法である。
【0028】
この発明によれば、ダミーバンプ接触工程により、ダミーバンプと第2半導体基板の配線部材とが接触するので、ダミーバンプ除去後の型取り材により区画された空間には、第2半導体基板の配線部材が露出する。したがって、金属材料供給工程により、ダミーバンプ除去後の型取り材により区画された空間に金属材料が供給されてバンプが形成されると、このバンプは第2半導体基板の配線部材と電気的に接続される。すなわち、この製造方法により、貫通電極の形成時に、バンプを同時に形成できるうえ、このバンプの形成時に当該バンプと第2半導体基板の配線部材とを電気的に接続することができる。
【0029】
型取り材は、たとえば、第1半導体基板の表面と第2半導体基板の上記一方表面とを接着するための接着剤であってもよい。
第2半導体基板の配線部材は、請求項7記載のように、上記第2半導体基板を厚さ方向に貫通する貫通電極(10)を含んでいてもよく、この場合、上記ダミーバンプ接触工程が、上記ダミーバンプを、上記第2半導体基板を貫通する貫通電極に接触させる工程を含んでいてもよい。
【0030】
これにより、第1半導体基板のバンプが第2半導体基板の貫通電極に電気的に接続された半導体装置が得られる。
請求項8記載の発明は、第1半導体チップ(61)および第2半導体チップ(61)を備え、上記第1半導体チップが、表面および裏面を有する半導体基板(2)と、この半導体基板の上記表面に形成された機能素子(3)と、この機能素子に電気的に接続され、この機能素子の側方で上記半導体基板を厚さ方向に貫通する貫通孔(4)内に配置され、上記半導体基板の上記表面側と上記裏面側とを電気的に接続する貫通電極(10)と、この貫通電極と一体で、上記半導体基板の上記表面から突出したバンプ(62)とを含み、上記第2半導体チップが、上記半導体基板の上記表面に対向する一方表面に形成され、上記第1半導体チップの上記バンプに接合された配線部材(10)を含むことを特徴とする半導体装置(60)である。
【0031】
この半導体チップは、請求項6記載の製造方法により製造でき、請求項6記載の製造方法と同様の効果を奏することができる。
請求項9記載の発明は、表面および裏面(Wr)を有し上記表面に発光素子(73L)または受光素子(73D)が形成された半導体基板(W)の上記表面に、上記半導体基板の厚さよりも浅い所定の深さの表面側凹所(9)を形成する工程と、この表面側凹所内に透光性材料を供給して、当該透光性材料からなるプラグ(78)を上記表面側凹所に埋め込むプラグ形成工程と、このプラグ形成工程の後、上記半導体基板の上記裏面側部分を除去して、上記半導体基板の厚さを上記表面側凹所の深さより小さな厚さに薄型化して、上記表面側凹所を上記半導体基板を貫通する貫通孔(4)にする薄型化工程とを含むことを特徴とする半導体チップ(71,71A)の製造方法である。
【0032】
この発明によれば、薄型化工程により半導体基板を厚さ方向に貫通する貫通孔が得られる。貫通孔内には、透光性材料からなるプラグが埋め込まれている。ここで、透光性材料とは、発光素子から発せられた光(可視光以外に赤外光などの不可視光を含む。)を透過させることができる材料、または受光素子が受光可能な波長域の光(可視光以外に赤外光などの不可視光を含む。)を透過させることができる材料をいうものとする。
【0033】
このため、透光性材料が埋め込まれた貫通孔(導波路)を介して、半導体基板の表面に形成された発光素子から発せられた光を半導体基板の裏面側に導いたり、半導体基板の裏面側から導かれた光を半導体基板の表面に形成された受光素子で受けるようにすることができる。このように、この貫通孔を介して光信号を伝送することができる。
従来、一方表面にLSIモジュールが備えられたインタポーザを有し、実装基板との間で光信号の送受を行う半導体装置があった。この半導体装置において、インターポーザの他方表面側(LSIモジュールとは反対側)に発光素子または受光素子が形成されたチップが設けられており、このチップとLSIモジュールとはインターポーザに設けられた貫通電極、およびインターポーザの上記一方表面側に実装された光電気信号変換用ドライバICチップを介して電気的に接続されていた。
【0034】
このような半導体装置は、インターポーザの両面にチップが取り付けられているため、小型化が困難であった。
この発明の製造方法により製造される半導体チップは、半導体基板の表面側と裏面側との間で、貫通孔を介して光信号の送受を行うことができるので、半導体基板の裏面側を実装基板に対向させた状態で、この半導体チップを実装基板に実装しても、発光素子または受光素子と実装基板との間で光信号の送受を行うことができる。
【0035】
このため、この半導体チップをインターポーザとして使用し、半導体基板の表面側にLSIモジュールを実装することにより、一方表面側に発光素子または受光素子およびLSIモジュールを有しながら、他方表面側の実装基板との間で光信号の送受を行うことができる半導体装置を実現できる。しかも、発光素子または受光素子に加えて光電気信号変換用ドライバICも、半導体基板と別体のチップとしてではなく、半導体基板自体(表面)に作り込むことができる。これにより、半導体装置の小型化を図ることができる。
【0036】
また、上記のインターポーザを有する従来の半導体装置において、実装基板に対する発光素子または受光素子が形成されたチップの位置精度は、インターポーザに対する発光素子または受光素子が形成されたチップの実装精度に加え、実装基板に対するインターポーザの実装精度により決定される。このため、実装基板に対する発光素子または受光素子が形成されたチップの位置精度を高くすることはできなかった。
【0037】
同様に、光信号を処理をする半導体装置において、発光素子または受光素子が形成されたチップが、貫通孔が形成された基板の一方表面に実装され、この貫通孔を介して、発光素子または受光素子と基板の他方表面側との間で光の送受を行うことがあった。この場合、貫通孔が形成された基板に対する発光素子または受光素子が形成されたチップの実装精度が悪いと、貫通孔を光が良好に通ることができず、光信号の処理ができないことがあった。
【0038】
この発明によれば、発光素子または受光素子を半導体基板に直接作り込むことができるので、半導体基板に対する発光素子または受光素子の位置精度を高くすることができる。したがって、この半導体チップを実装基板に実装する場合、実装基板に対する発光素子または受光素子の位置精度を高くすることができる。
同様に、この発明によれば、1つのチップに貫通孔と発光素子または受光素子とが形成された半導体チップが製造されるので、貫通孔が設けられた基板に、発光素子または受光素子が形成されたチップを実装する場合のように、チップの実装精度が問題となることはない。すなわち、この製造方法により、半導体基板に形成した貫通孔を介して光信号が良好に伝送することができる半導体チップを製造できる。
【0039】
さらに、発光素子または受光素子が形成され、かつ貫通孔を有しない半導体チップを3つ以上積層した場合、隣接していない2つの半導体チップ間で、直接光信号の送受を行うことができなかった。
この発明により製造される半導体チップは、貫通孔を介して光信号を伝送できるので、この半導体チップを3つ以上積層して、隣接していない2つの半導体チップ間で、直接光信号の送受を行うことができる。
【0040】
この半導体チップの製造方法は、上記発光素子または受光素子の側方で上記貫通孔を介して、上記発光素子または受光素子と上記半導体基板の上記裏面側との間の光路を確立する手段を形成する工程をさらに含んでいてもよい。
これにより、発光素子から発せられる光が直接貫通孔を通って半導体基板の裏面側に導かれない場合でも、光路を確立する手段により、貫通孔を介した発光素子と半導体基板の裏面側との間の光路を確立することができる。同様に、半導体基板の裏面側から貫通孔を通って導かれた光が直接受光素子で受けられない場合でも、光路を確立する手段により、貫通孔を介した半導体基板の裏面側と受光素子との間の光路を確立することができる。
【0041】
請求項10記載の発明は、表面および裏面(Wr)を有し上記表面に発光素子(73L)または受光素子(73D)が形成された半導体基板(W)の上記表面に、上記半導体基板の厚さよりも浅い所定深さの表面側凹所(9)を形成する工程と、この表面側凹所内に充填材を供給して、当該充填材からなるダミープラグ(78)を上記表面側凹所に埋め込むダミープラグ形成工程と、このダミープラグ形成工程の後、上記半導体基板の上記裏面側部分を除去して、上記半導体基板の厚さを上記表面側凹所の深さより小さな厚さに薄型化して、上記表面側凹所を上記半導体基板を貫通する貫通孔(4)にする薄型化工程と、この薄型化工程の後、上記貫通孔内の上記ダミープラグを除去するダミープラグ除去工程とを含むことを特徴とする半導体チップの製造方法である。
【0042】
この発明によれば、薄型化工程が実施される際、表面側凹所(貫通孔)内には、ダミープラグが埋め込まれているので、たとえば、薄型化工程が物理的に半導体基板の裏面を研削(研磨)するものであっても、研削屑が貫通孔内に入ることを防止できる。
一方、薄型化工程により貫通孔が形成された後、貫通孔内のダミープラグは除去されるので、充填材が透光性を有していない場合でも、この貫通孔を光が通ることができる。したがって、この貫通孔を介して、半導体基板の表面に形成された発光素子または受光素子と半導体基板の裏面側との間で光の送受を行うことができる。
【0043】
この製造方法により製造される半導体チップは、請求項9記載の製造方法により製造される半導体チップと同様、この半導体チップをインターポーザとして使用した半導体装置の小型化を図ることができる。また、貫通孔を介した光信号の送受により、この半導体チップを3つ以上積層して、隣接していない2つの半導体チップ間で、直接光信号の送受を行うことができる。
【0044】
さらに、1つのチップに貫通孔と発光素子または受光素子とが形成されているので、貫通孔が設けられた基板に、発光素子または受光素子が形成されたチップを実装する場合のように、チップの実装精度が問題となることはない。すなわち、この半導体チップの製造方法により、半導体基板に形成した貫通孔を介して光信号が良好に伝送することができる半導体チップを製造できる。
【0045】
請求項11記載の発明は、表面および裏面を有する半導体基板(72)と、この半導体基板の上記表面に形成された発光素子(73L)または受光素子と、この発光素子または受光素子の側方で上記半導体基板を厚さ方向に貫通する貫通孔(4)を介して、上記発光素子または受光素子と上記半導体基板の上記裏面側との間の光路を確立する手段(M1,M2)とを備えたことを特徴とする半導体チップ(71)である。
【0046】
この半導体チップは、請求項9または10記載の半導体チップの製造方法において、上記貫通孔を介して上記発光素子または受光素子と上記半導体基板の上記裏面側との光路を確立する手段を形成する工程をさらに実施することにより製造することができ、請求項9または10記載の半導体装置の製造方法と同様の効果を奏することができる。
上記光路を確立する手段は、たとえば、発光素子から発せられる光を貫通孔を介して半導体基板の裏面側に向けて反射する手段や、半導体基板の裏面側から貫通孔を介して半導体基板の表面側に導かれた光を受光素子に向けて反射する手段、たとえば、プリズムやミラーとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る製造方法により製造される半導体チップの構造を示す図解的な断面図である。
この半導体チップ1は、たとえば、シリコンからなる半導体基板2を含んでいる。半導体基板2の一方表面(以下、「表面」という。)には、複数の電極を有する機能素子(トランジスタのような能動素子、ならびに抵抗およびキャパシタのような受動素子)3が形成されている。機能素子3の側方には、半導体基板2を厚さ方向に貫通する貫通孔4が形成されている。
【0048】
半導体基板2の表面には、たとえば、酸化シリコンからなるハードマスク6が形成されている。ハードマスク6には、開口6aおよびコンタクト孔6bが形成されている。半導体基板2の表面に垂直な方向から見て、開口6aは貫通孔4とほぼ重なる領域に形成されており、コンタクト孔6b内には機能素子3の所定の領域(電極の1つ)が現れている。開口6aの幅は、貫通孔4の幅よりもわずかに狭く、半導体基板2の表面側において、ハードマスク6は、貫通孔4の縁部からわずかに内方に突出している。
【0049】
半導体基板2の表面に垂直な方向から見て、開口6aおよびコンタクト孔6bを含む連続した領域には、配線部材11が形成されている。配線部材11は、ハードマスク6上から開口6aを塞ぐように延設されている。また、配線部材11は、コンタクト孔6bを埋めて機能素子3に電気的に接続されている。
配線部材11やハードマスク6の表面には、酸化シリコンや窒化シリコン(Si34)からなる表面保護膜13が形成されている。表面保護膜13には、配線部材11上の所定の領域に開口13aが形成されている。開口13aは、半導体基板2の表面に垂直な方向から見て、ハードマスク6の開口6aとほぼ重なる領域に形成されている。配線部材11には、開口13aを介して、表面保護膜13の表面から突出したバンプ(突起電極)12が接合されている。
【0050】
半導体基板2の表面とは反対側の面(以下「裏面」という。)には、開口16aを有し、酸化シリコンや窒化シリコンからなる裏面保護膜16が形成されている。半導体基板2の表面に垂直な方向から見て、開口16aは貫通孔4とほぼ重なる領域に形成されており、貫通孔4の内壁面と開口16aの内壁面とは、連続した面をなしている。
貫通孔4および開口6a,16aの内壁面には、酸化シリコン(SiO2)からなる絶縁膜5が形成されている。絶縁膜5上および開口6a内に現れた配線部材11の表面には、導電材料、たとえば、チタンタングステン(TiW)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)などからなる連続した拡散防止膜7が形成されている。
【0051】
貫通孔4および開口6a、16a内において、拡散防止膜7の内方の領域は、たとえば、銅からなる貫通電極10で満たされている。したがって、貫通電極10と半導体基板2との間には、絶縁膜5および拡散防止膜7が介在している。貫通電極10は、絶縁膜5により半導体基板2と電気的に絶縁されている。拡散防止膜7は、貫通電極10を構成する金属原子(銅)が半導体基板2へ拡散するのを抑制できるような材料からなる。
【0052】
半導体基板2の裏面側において、貫通電極10、拡散防止膜7および絶縁膜5は、裏面保護膜16の表面とほぼ面一の露出端面を有している。貫通電極10のこの露出端面は、他の半導体チップや配線基板と電気的に接続するための裏面側接続面10aとなっている。
機能素子3は、配線部材11を介して、半導体基板2の表面側に配置されたバンプ12に電気的に接続されているとともに、配線部材11、拡散防止膜7および貫通電極10を介して、半導体基板2の裏面側に配置された裏面側接続面10aに電気的に接続されている。また、バンプ12と裏面側接続面10aとは、配線部材11、拡散防止膜7および貫通電極10を介して、電気的に接続されている。
【0053】
これにより、機能素子3に対して、バンプ12を介して半導体チップ1の表面側(半導体基板2の表面側)から電気的に接続できるとともに、裏面側接続面10aを介して半導体チップ1の裏面側(半導体基板2の裏面側)からも電気的に接続できる。半導体基板2を貫通する貫通電極10により、半導体チップ1の表面側と裏面側との間の配線長が短くされている。
【0054】
また、貫通電極10と半導体基板2との間に拡散防止膜7が介在していることにより、貫通電極10を構成する銅原子が半導体基板2中に拡散して、半導体チップ1の特性が劣化することが抑制されている。
図2Aないし図2Iは、図1に示す半導体チップ1の製造方法を説明するための図解的な断面図である。複数の半導体チップ1が、1枚の半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wから作製されるが、図2Aないし図2Iでは、ウエハWにおける1つの半導体チップ1に相当する部分の一部のみを示す。図2Aないし図2Iに示すウエハWは、図1に示す最終形態の半導体チップ1に対応する領域が、ウエハWの面内方向に、複数個、密に形成されたものである。
【0055】
一方表面(以下、「表面」という。)に機能素子(デバイス)3が形成された半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wの表面に、たとえば、酸化シリコンからなり所定の部分に開口6aを有するハードマスク6が形成される。開口6aは、ウエハWにおいて機能素子3の側方の領域が露出するように形成される。
次に、ハードマスク6の開口を6aを介した反応性イオンエッチング(RIE)により、機能素子3の側方の領域に表面側凹所9が形成される。表面側凹所9は、ウエハWの厚さよりも浅い(すなわち、ウエハWを貫通しない)所定の深さ(たとえば、70μm)を有する。反応性イオンエッチングにより表面側凹所9を形成すると、この表面側凹所9は、開口6aの幅よりわずかに大きな幅を有することになる。このため、ハードマスク6は、表面側凹所9の縁部からわずかに内方に突出した状態となる。
【0056】
次に、ハードマスク6に、機能素子3の電極の1つを露出させるコンタクト孔6bが形成される。コンタクト孔6bは、たとえば、コンタクト孔6bに相当する領域に開口を有するレジスト膜(図示せず)を介したハードマスク6のエッチングにより形成することができる。
続いて、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、開口6aおよび表面側凹所9内の露出表面に、酸化シリコンからなる絶縁膜5が形成される。絶縁膜5は、たとえば、開口6aおよび表面側凹所9を露出させる開口が形成されたレジスト膜(図示せず)を形成し、この状態で、ウエハWの表面側全面に絶縁膜を形成した後、このレジスト膜を除去することにより、開口6aおよび表面側凹所9内の露出表面に形成できる。この状態が、図2Aに示されている。
【0057】
次に、表面側凹所9および開口6aの内部に、ポリマーなどの非金属材料が充填されて、ダミープラグ8が形成される(図2B参照)。ダミープラグ8の開口6aからの露出面とハードマスク6の表面とは、ほぼ面一にされる。
続いて、コンタクト孔6b内からダミープラグ8上にわたる領域に、配線部材11が形成される。配線部材11を形成するには、先ず、以上の工程を経たウエハWの表面側の全面に、金属材料が供給される。金属材料は、コンタクト孔6b内を埋めて、コンタクト孔6b内に露出した機能素子3の電極の1つに接触する。その後、この金属材料のうち、半導体基板2の表面に垂直な方向から見て、開口6aおよびコンタクト孔6bを含む連続した領域(配線部材11(図1参照)に相当する領域)以外の領域が、所定のパターンのレジスト膜を用いたエッチングにより除去されて、機能素子3に電気的に接続された配線部材11が得られる。
【0058】
さらに、以上の工程を経たウエハWの表面側の全面、すなわち、ハードマスク6上および配線部材11上に、表面保護膜13が形成される。そして、表面保護膜13において、開口6a上の領域に開口13aが形成される。そして、この開口13aを介して配線部材11に接合されたバンプ12が形成される。この状態が、図2Cに示されている。
続いて、ウエハWの表面(機能素子3が形成されている面)が図示しない支持体に貼り付けられ、ウエハWの裏面(表面と反対側の面)Wrが機械的に研削されて、ウエハWが薄型化される。これにより、ダミープラグ8がウエハWの裏面Wrに露出され、表面側凹所9は、ウエハWを厚さ方向に貫通する貫通孔4となる。この状態が、図2Dに示されている。
【0059】
ウエハWの裏面Wrには、研削痕や研削時に受けたダメージを有する研削ダメージ層が存在している。この研削ダメージ層を除去するため、ウエハWの裏面Wrが5μm程度ドライエッチングまたはウェットエッチングされる。この際、ダミープラグ8および絶縁膜5はほとんどエッチングされず、ウエハWの裏面Wrから突出する。この状態が、図2Eに示されている。
【0060】
次に、以上の工程を経たウエハWの裏面Wr側の全面に、酸化シリコンや窒化シリコンからなる裏面保護膜16が形成される。この状態で、ウエハW裏面Wrからのダミープラグ8および絶縁膜5の突出部は、裏面保護膜16に覆われている。
続いて、ウエハWの裏面Wrが、機械的に研削(研磨)されて、裏面保護膜16からダミープラグ8および絶縁膜5の突出部の先端面が露出される。これにより、裏面保護膜16に、貫通孔4の内壁面と連続した内壁面を有する開口16aが形成される。研削(研磨)により、ウエハWの裏面Wr側において、裏面保護膜16の表面とダミープラグ8および絶縁膜5の露出端面とは、ほぼ面一にされる。この状態が、図2Fに示されている。
【0061】
続いて、貫通孔4および開口6a,16a内のダミープラグ8が、たとえば、適当な溶剤を用いたエッチングにより除去される。これにより、開口6aの底部(バンプ12側)に、配線部材11が露出する(図2G参照)。
次に、以上の工程を経たウエハW裏面Wr側の露出表面全面、すなわち、裏面保護膜16の表面、貫通孔4および開口6a,16aの内壁面(絶縁膜5上)、ならびに配線部材11の開口6aからの露出面に、拡散防止膜7が形成される。この状態が、図2Hに示されている。
【0062】
そして、拡散防止膜7の上に、さらに、銅からなるシード層(図示せず)が形成された後、このシード層をシードとした電解めっきにより、銅膜14が形成される。銅膜14は、開口6a,16aおよび貫通孔4の内部においてシード層の内方の領域を満たすように形成される。また、銅膜14は、開口6a,16aおよび貫通孔4外のシード層上(拡散防止膜7)上にも形成される。この状態が、図2Iに示されている。
【0063】
その後、銅膜14、シード層、および拡散防止膜7のうち、開口6a,16aおよび貫通孔4の外部に存在する部分が、たとえば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により除去される。これにより、銅膜14の露出表面(CMP面)は、裏面保護膜16の表面とほぼ面一の裏面側接続面10aにされる。銅膜14の残部は貫通電極10となる。その後、ウエハWが所定位置で切断されて、図1に示す半導体チップ1の個片にされる。
【0064】
以上の半導体チップ1の製造方法において、ウエハWの裏面Wrを研削する工程(図2D参照)や研削ダメージ層を除去する工程(図2E参照)では、表面側凹所9(貫通孔4)内には、ポリマーなどの非金属材料からなるダミープラグ8が配置されており、銅などの金属材料は配置されていない。このため、これらの工程で、金属原子がウエハW裏面WrからウエハW中に拡散することはないので、金属汚染が少ない半導体基板2を備えた半導体チップ1を得ることができる。すなわち、この製造方法により、貫通電極10を有しながら、金属汚染が少なく良好な特性を示す半導体チップ1を製造できる。
【0065】
また、機能素子3に金属汚染が及ぶ危惧がないので、ウエハWを極薄(たとえば、厚さが50μm以下)にできる。
さらに、配線部材11は、ウエハWの表面側におけるダミープラグ8の露出面を覆うように形成されるので、ダミープラグが除去された後の貫通孔4内に金属材料を供給すると、配線部材11に電気的に接続された貫通電極10を形成することができる。配線部材11は、機能素子3に電気的に接続されているので、このような方法により、機能素子3に電気的に接続された貫通電極10を容易に製造できる。
【0066】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る製造方法により製造される半導体チップの構造を示す図解的な断面図である。図3において、図1に示す各部に対応する部分には、図1と同じ参照符号を付して説明を省略する。
この半導体チップ31は、半導体基板2の裏面側において、貫通孔4周辺の領域に設けられた接続用パターン32を有する。接続用パターン32は、貫通電極10と一体に形成されており、貫通電極10と同種の材料、すなわち銅からなる。接続用パターン32と裏面保護膜16との間には、拡散防止膜7が介在している。
【0067】
接続用パターン32の表面は、半導体チップ31の外部と電気的な接続を得るための裏面側接続面32aをなす。裏面側接続面32aの任意の位置に、他の半導体チップのバンプや配線基板に形成された電極パッドなどを接合できる。また、この半導体チップ31と配線基板とを有する半導体装置において、たとえば、裏面側接続面32aと配線基板の電極パッドとをボンディングワイヤで接続することができる。
【0068】
接続用パターン32は、半導体チップ1の製造方法において、銅膜14を形成(図2I参照)した後、銅膜14、シード層、および拡散防止膜7のうち、開口6a,16aおよび貫通孔4の外部に存在する部分を完全に除去せずに、たとえば、レジスト膜を介したエッチングにより、貫通孔4周辺の所定部分を残して除去することにより得られる。
図4は、本発明の第3の実施形態に係る製造方法により製造される半導体チップの構造を示す図解的な断面図である。図4において、図1に示す各部に対応する部分には、図1と同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0069】
この半導体チップ41の貫通孔4および開口6aの内部には、感光性樹脂からなる絶縁膜42、拡散防止膜43および銅からなる貫通電極45が設けられている。絶縁膜42は、貫通孔4および開口6aの内側壁の全面に沿って設けられており、貫通電極45は、絶縁膜42の内方の領域に貫通孔4の中心軸に沿って配置されている。拡散防止膜43は、絶縁膜42および配線部材11と貫通電極45との間に介在している。
【0070】
絶縁膜42は、図1に示す半導体チップ1の絶縁膜5と比べて厚く形成されており、貫通電極45と半導体基板2とは、絶縁膜42により良好に絶縁されている。また、貫通電極45と半導体基板2との間に拡散防止膜43が介在していることにより、貫通電極45を構成する銅原子が半導体基板2中に拡散して、半導体チップ41の特性が劣化することが抑制されている。
【0071】
半導体基板2の裏面側において、貫通電極45、拡散防止膜43および絶縁膜42は、裏面保護膜16の表面とほぼ面一の露出端面を有している。貫通電極45のこの露出端面は、他の半導体チップや配線基板と電気的に接続するための裏面側接続面45aとなっている。
図5Aないし図5Jは、図4に示す半導体チップ41の製造方法を説明するための図解的な断面図である。図5Aないし図5Jにおいて、図2に示す各部に対応する部分には、図2と同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0072】
反応性イオンエッチングにより表面側凹所9を形成する工程までが、半導体チップ1の製造方法と同様に実施された後、絶縁膜5(図2A参照)を形成することなく、表面側凹所9および開口6a内が、感光性樹脂で充填されて、当該感光性樹脂からなるダミープラグ48が形成される(図5A参照)。
ダミープラグ48を構成する感光性樹脂は、所定の溶剤に対して不溶性を有するとともに、光が照射されることにより当該所定の溶剤に対して可溶化する、いわゆるポジ型の感光特性を有する。ダミープラグ48の開口6aからの露出面とハードマスク6の表面とは、ほぼ面一にされる。
【0073】
次に、ウエハWの表面側に、所定の位置に開口46aを有するレジスト膜46(図5Bに二点鎖線で示す。)が形成される。これにより、ダミープラグ48の露出面において、外周部の領域がレジスト膜46に覆われ、内方の領域が開口46a内に露出するようにされる。
そして、レジスト膜46の開口46aを介して、ダミープラグ48の貫通孔4の中心軸に沿う内方の中央部分48aが、露光されて所定の溶剤に対する可溶性を有するようになり、露光されなかった外周部分48bは、当該溶剤に対する不溶性を維持する(図5B参照)。
【0074】
続いて、配線部材11、表面保護膜13およびバンプ12を形成する工程が、半導体チップ1の製造方法と同様にして実施される。ダミープラグ48の露光された中央部分48aにおいて、ハードマスク6の開口6aに現れた部分は、配線部材11に接した状態となる。この状態が図5Cに示されている。
続いて、ウエハWの表面が図示しない支持体に貼り付けられ、ウエハWの裏面Wrが機械的に研削されて、ウエハWが薄型化される。これにより、ダミープラグ48がウエハWの裏面Wrに露出され、表面側凹所9は、ウエハWを厚さ方向に貫通する貫通孔4となる。この状態が、図5Dに示されている。
【0075】
次に、ウエハW裏面Wrの研削ダメージ層を除去するため、ウエハWの裏面Wrが5μm程度ドライエッチングまたはウェットエッチングされる。この際、ダミープラグ48はほとんどエッチングされず、ウエハWの裏面Wrから突出する。この状態が、図5Eに示されている。
次に、裏面保護膜16を形成する工程が、半導体チップ1の製造方法と同様にして実施される。裏面保護膜16には、貫通孔4の内壁面と連続した内壁面を有する開口16aが形成される。この状態が、図5Fに示されている。
【0076】
続いて、貫通孔4および開口6a,16a内のダミープラグ48のうち、露光された中央部分48aが、上記所定の溶剤を用いたエッチングにより除去される。これにより、開口6aの底部(バンプ12側)に、配線部材11が露出する。ダミープラグ48の残部(外周部分48b)は、絶縁膜42となる。この状態が、図5Gに示されている。
次に、以上の工程を経たウエハW裏面Wr側の露出表面全面、すなわち、裏面保護膜16および絶縁膜42の露出表面上、ならびに配線部材11の開口6aからの露出面に、拡散防止膜43が形成される。この状態が、図5Hに示されている。
【0077】
そして、拡散防止膜43の上に、さらに、銅からなるシード層(図示せず)が形成された後、このシード層をシードとした電解めっきにより、銅膜47が形成される。銅膜14は、開口6a,16aおよび貫通孔4の内部においてシード層の内方の領域を満たすように形成される。また、銅膜47は、開口6a,16aおよび貫通孔4外のシード層上(拡散防止膜43)上にも形成される。この状態が、図5Iに示されている。
【0078】
その後、銅膜47、シード層、および拡散防止膜43のうち、開口6a,16aおよび貫通孔4の外部に存在する部分が、たとえば、エッチバックなどにより除去される。これにより、銅膜47の露出表面(エッチバック面)は、裏面保護膜16の表面とほぼ面一の裏面側接続面45aになる。銅膜47の残部は貫通電極45となる。その後、ウエハWが所定位置で切断されて、図4に示す半導体チップ41の個片にされる。
【0079】
この半導体チップ41の製造方法においても、ウエハWの裏面Wrを研削する工程(図5D参照)や研削ダメージ層を除去する工程(図5E参照)では、表面側凹所9(貫通孔4)内には、感光性樹脂からなるダミープラグ48が配置されており、銅などの金属材料は配置されていない。このため、これらの工程で、金属原子がウエハW中に拡散することはないので、金属汚染が少ない半導体基板2を備えた半導体チップ41を得ることができる。
【0080】
ダミープラグ48を露光する工程(図5B参照)において、露光されない外周部分48bを厚くすることにより、厚い絶縁膜42を形成できる。露光されない外周部分48bの厚さは、レジスト膜46の開口46a(図5B参照)の大きさにより容易に制御できる。半導体チップ1の製造方法のように、絶縁膜5をCVD法により形成すると、貫通孔4および開口6aの内壁面を完全に覆うように厚く絶縁膜5を形成することができず、絶縁不良を生じることがある。これに対して、この半導体チップ41の製造方法では、CVD法による絶縁膜5より厚い絶縁膜42を容易に形成できるので、貫通電極45と半導体基板2とを確実に電気的に絶縁できる絶縁膜42を形成できる。
【0081】
ダミープラグ48を露光する工程は、図5Bに示すように、別途レジスト膜46を設けて実施する代わりに、図5Jに示すように、反応性イオンエッチングによる表面側凹所9の形成に伴って形成された開口6a付近のハードマスク6の突出部をマスクとして実施してもよい。この場合でも、ハードマスク6の表面側凹所9の縁部から内方への突出長さに相当する幅を有する外周部分48bが、露光されずに所定の溶剤に対する不溶性を維持するとともに、内方の中央部分48aが露光されて当該溶剤に対して可溶化する。
【0082】
図6は、本発明の第4の実施形態に係る製造方法により製造される半導体チップの構造を示す図解的な断面図である。図6において、図4に示す各部に対応する部分には、図4と同じ参照符号を付して説明を省略する。
この半導体チップ51は、半導体基板2の裏面側において、貫通孔4周辺の領域に設けられた接続用パターン52を有する。接続用パターン52は、貫通電極45と一体に形成されており、貫通電極45と同種の材料、すなわち銅からなる。接続用パターン52と裏面保護膜16との間には、拡散防止膜43が介在している。
【0083】
接続用パターン52の表面は、半導体チップ51の外部と電気的な接続を得るための裏面側接続面52aをなし、裏面側接続面52aの任意の位置に、他の半導体チップのバンプ、配線基板に形成された電極パッド、ボンディングワイヤなどを接合できる。
裏面側接続面52aは、半導体チップ51の製造方法において、銅膜47を形成(図5I参照)した後、銅膜47、シード層、および拡散防止膜43のうち、開口6a,16aおよび貫通孔4の外部に存在する部分を完全に除去せず、たとえば、レジスト膜を介したエッチングにより、貫通孔4周辺の所定部分を残して除去することにより得られる。
【0084】
図7は、図4に示す半導体チップ41を複数個備えた半導体装置の構造を示す図解的な断面図である。図7において、図4に示す各部に対応する部分には、図4と同じ参照符号を付して説明を省略する。
この半導体装置20は、BGA(Ball Grid Array)タイプのパッケージ形態およびマルチチップスタック構造を有しており、平板状の配線基板(インタポーザ)21を備えている。配線基板21の上には、半導体チップや配線基板などの平板状の固体装置19が積層されている。固体装置19の上には、複数(この実施形態では3つ)の図4に示す半導体チップ41が積層されており、半導体チップ41の上には、さらに、半導体チップ15が積層されている。半導体チップ15は、貫通孔4(貫通電極45)を有しない以外は、半導体チップ41と同様の構造および大きさを有する。
【0085】
配線基板21は絶縁体からなり、その表面や内部に配線(図示せず)が設けられている。半導体チップ41,15は、いずれも表面(機能素子3が形成された面)が固体装置19側に向けられた、いわゆるフェースダウン方式で接合されている。
隣接する2つの半導体チップ41の間、または半導体チップ41と半導体チップ15との間において、一方の半導体チップ41、15のバンプ12と、他方の半導体チップ41の裏面側接続面45a(図4参照)とが接合されている。各半導体チップ41,15の間、および半導体チップ41と固体装置19との間には間隙が形成されており、この間隙は樹脂からなる層間封止材24で封止されている。
【0086】
配線基板21の他方表面(固体装置19側とは反対側の面)には、金属ボール(たとえば、はんだボール)22が接合されている。
配線基板21および固体装置19に垂直な方向から見て、固体装置19は配線基板21より小さく、配線基板21のほぼ中央部に接合されている。固体装置19および半導体チップ41,15を垂直に見下ろす平面視において、半導体チップ41,15は固体装置19より小さく、固体装置19のほぼ中央部に接合されている。半導体チップ41,15は、これらに垂直な方向から見て、ほぼ同じ大きさおよび形状を有しており、ほぼ重なるように配置されている。
【0087】
配線基板21の上記一方表面外周部で、固体装置19が対向していない領域には、図示しない電極パッドが設けられており、この電極パッドは、配線基板21の内部や表面で再配線されて、配線基板21の他方表面に設けられた金属ボール22に電気的に接続されている。
固体装置19の一方表面(配線基板21とは反対側の面)外周部で半導体チップ41が対向していない領域には、外部接続用パッド19Pが形成されている。配線基板21に設けられた電極パッドと、固体装置19の外部接続用パッド19Pとは、ボンディングワイヤ23により電気的に接続されている。
【0088】
半導体チップ41,15、固体装置19、ボンディングワイヤ23、および配線基板21の固体装置19側の面は、封止樹脂(モールド樹脂)25で封止されている。
各半導体チップ41,15の機能素子3は、貫通電極45により短い距離で固体装置19に接続されている。この半導体装置20は、金属ボール22を介して他の配線基板に実装できる。
【0089】
図8は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構造を示す図解的な断面図である。図8において、図1に示す各部に対応する部分には、図1と同じ参照符号を付して説明を省略する。
この半導体装置60は、積層された複数の半導体チップ61を含み、たとえば、図7に示す半導体装置20と同様のBGAタイプのパッケージ形態を有する。図8には、隣接する2つの半導体チップ61のみを示す。
【0090】
半導体チップ61は、図1の半導体チップ1のバンプ12の代わりに、表面保護膜13を貫通して貫通電極10と一体に形成されたバンプ62を備えている。すなわち、バンプ62は、貫通電極10と同じ材料(銅)からなる。
バンプ62の幅は、ハードマスク6の開口6aの幅より小さく、貫通電極10の表面側の端部は、ハードマスク6の表面とほぼ面一の平坦面を有している。貫通電極10のこの平坦面には、配線部材11Aが接合されている。配線部材11Aは、ハードマスク6のコンタクト孔6bを介して機能素子3に電気的に接続されている。
【0091】
貫通電極10の端部にこのような平坦面が設けられておらず、バンプ62が開口6aとほぼ同じ幅を有する場合、配線部材11Aはバンプ62の側面に接することになり、配線部材11Aとバンプ62との接触面積は小さくなり、接続信頼性が低下する。一方、図8に示す半導体装置60のように、貫通電極10端部の平坦面に配線部材11Aを接合することにより、貫通電極10と配線部材11Aとの接触面積は大きくなり、電気的な接続信頼性が高くなる。
【0092】
拡散防止膜7は、貫通電極10(裏面側接続面10aを除く。)およびバンプ62の表面に形成されており、貫通電極10とバンプ62との間には介在していない。
バンプ62は、表面保護膜13の表面から突出している。一方の半導体チップ61の裏面側接続面10aと他方の半導体チップ61のバンプ61とは、接合されている。一方の半導体チップ61の表面と、他方の半導体チップ61の裏面との間には、バンプ62の表面保護膜13からの突出高さにほぼ相当する大きさの間隙が形成されており、この間隙は、樹脂からなる接着層63で満たされている。接着層63により、2つの半導体チップ61は接着されている。接着層63は、たとえば、エポキシ、アクリルなどからなる。
【0093】
図9Aないし図9Hは、図8に示す半導体装置60の製造方法を説明するための図解的な断面図である。図9Aないし図9Hにおいて、図2Aないし図2Iに示す各部に対応する部分には、図2Aないし図2Iと同じ参照符号を付して説明を省略する。
この半導体装置60の製造方法では、半導体チップ61に対応する複数の領域をそれぞれ有する複数のウエハW1,W2が用いられる。
【0094】
先ず、ウエハW1に対して、ダミープラグ8を形成する工程までが、図1に示す半導体チップ1の製造方法と同様に実施される(図2B参照)。続いて、半導体チップ1の製造方法において配線部材11を形成する場合と同様にして、機能素子3に電気的に接続された配線部材11Aが形成される。ただし、配線部材11Aは、ハードマスク6の開口6aからのダミープラグ8の露出面の一部(たとえば、3分の1程度の部分)を覆うように形成される。
【0095】
次に、以上の工程を経たウエハW1の表面側の全面に、表面保護膜13が形成され、表面保護膜13の所定の領域に開口13aが形成される。開口13aには、ダミープラグ8において、配線部材11と接触していない領域が露出するようにされる。この状態が、図9Aに示されている。
続いて、開口13aを貫通してダミープラグ8に接触するダミーバンプ65が形成される(図9B参照)。ダミーバンプ65は、半導体チップ61のバンプ62(図8参照)とほぼ同じ大きさおよび形状を有しており、表面保護膜13の表面から突出している。また、ダミーバンプ65は、適当な溶剤を用いたエッチングにより容易に除去できる材料からなり、たとえば、ダミープラグ8と同じ材料からなる。ダミーバンプ65を構成する材料は、ダミープラグ8を構成する材料と異なっていてもよい。
【0096】
次に、完成された半導体チップ61(図8参照)に相当する領域が密に形成されたウエハW2が用意される。そして、ウエハW2の裏面W2rとウエハW1の表面とが対向されて、ウエハW1のダミーバンプ65がウエハW2の裏面側接続面10aに接触される。ウエハW2に対するウエハW1の位置合わせは、たとえば、ウエハW1の裏面W1r側から、ウエハW1を赤外光で透過させ、ウエハW2で反射された赤外光をモニタすることにより、ウエハW2上の位置合わせマークを確認して行うことができる。
【0097】
この工程は、ウエハW2の表面側が支持体に貼り付けられた状態で実施してもよい。ウエハW1とウエハW2との間には、ダミーバンプ65の表面保護膜13表面からの突出高さにほぼ相当する大きさの間隙が形成される。
続いて、ウエハW1とウエハW2との間隙に接着剤が充填されて、接着層63が形成される。接着層63がエポキシやアクリルからなる場合、たとえば、未硬化で液状のエポキシやアクリルをウエハW1とウエハW2との間隙に流し込んだ後、このエポキシやアクリルを硬化させて接着層63を得ることができる。接着層63は、ダミーバンプ65の周囲を取り囲んでダミーバンプ65を型取りするように配置される。この状態が、図9Cに示されている。
【0098】
次に、ウエハW1の裏面W1rが、機械的に研削(研磨)されて、ダミープラグ8がウエハW1の裏面W1rに露出され、表面側凹所9は貫通孔4となる。この状態が、図9Dに示されている。
次に、裏面保護膜16を形成する工程が、半導体チップ1,41の製造方法と同様にして実施される。裏面保護膜16には、貫通孔4の内壁面と連続した内壁面を有する開口16aが形成される。この状態が、図9Eに示されている。
【0099】
続いて、ダミープラグ8およびダミーバンプ65が、適当な溶剤を用いたエッチングにより除去される。これにより、開口16a、貫通孔4および開口6aの内部空間、ならびに接着層63で区画された空間が連通してなる空所66が形成される。配線部材11Aがダミープラグ8に接するように形成されていたこと、およびダミーバンプ65がウエハW2の裏面側接続面10aに接するようにされていたことにより、ダミープラグ8およびダミーバンプ65除去後の空所66内には、配線部材11AおよびウエハW2の裏面側接続面10aが露出する。この状態が、図9Fに示されている。
【0100】
次に、以上の工程を経たウエハW1裏面W1r側の露出表面全面、すなわち、裏面保護膜16の表面、空所66の内壁面(ウエハW2の裏面側接続面10aおよび配線部材11Aの露出面を含む。)に、拡散防止膜7が形成される。この状態が、図9Gに示されている。
そして、拡散防止膜7の上に、さらに、銅からなるシード層(図示せず)が形成された後、このシード層をシードとした電解めっきにより、銅膜14が形成される。銅膜14は、空所66の内部においてシード層の内方の領域を満たすように形成される。また、銅膜14は、空所66外のシード層上(拡散防止膜7)上にも形成される。この状態が、図9Hに示されている。
【0101】
その後、銅膜14、シード層、および拡散防止膜7のうち、空所66の外部に存在する部分が、たとえば、エッチバックにより除去される。これにより、銅膜14の露出表面(エッチバック面)は、裏面保護膜16の表面とほぼ面一の裏面側接続面10aになる。銅膜14の残部において、開口16a、貫通孔4および開口6a内のものは貫通電極10となり、開口13aおよび接着層63に区画された空間内のものは、貫通電極10と一体のバンプ62となる。
【0102】
その後、ウエハW1,W2が所定位置で切断されて、図8に示す半導体チップ61の個片が積層された半導体装置60が得られる。
以上の半導体装置60の製造方法において、ウエハW2に積層されたウエハW1を貫通する空所66に金属材料を供給することにより、バンプ62および貫通電極10の形成、バンプ62とウエハW2の裏面側接続面10aとの接合、ならびに貫通電極10と配線部材11Aとの接合を同時に達成できる。
【0103】
また、ウエハW1はウエハW2に積層された状態で薄型化されるので、薄型化されたウエハW1(半導体基板2)をウエハW2(他の半導体基板2)に積層する必要はない。
ウエハW1の貫通電極10を形成した後、ウエハW1,W2を切断する前に、ウエハW1の裏面W1rに、図9Bに示す状態のウエハW1と同様の他のウエハをさらに積層して、ウエハW1の場合と同様にして、当該他のウエハに貫通電極10やバンプ62を形成してもよい。その後、ウエハW1,W2および当該他のウエハを切断することにより、3つの半導体チップ61が積層され、電気的に接続された半導体装置を得ることができる。
【0104】
図10は、本発明の一実施形態に係る半導体チップの構造を示す図解的な断面図である。図10において、図1に示す各部に対応する部分には、図1と同じ参照符号を付して説明を省略する。
この半導体チップ71は、一方表面(以下、「表面」という。)に機能素子73が形成された半導体基板72を備えており、機能素子73は発光部73Lを有している。半導体基板72の表面には、機能素子73を覆うように、酸化シリコンからなるハードマスク6が形成されている。
【0105】
機能素子73の側方には、半導体基板72を厚さ方向に貫通する貫通孔4が形成されている。ハードマスク6には、半導体基板72の表面に垂直な方向から見て、貫通孔4とほぼ重なる領域に、開口6aが形成されている。貫通孔4および開口6aの内壁には、酸化シリコンからなる絶縁膜5が形成されている。貫通孔4および開口6aの内部は、透光性材料(たとえば、透光性樹脂)で埋められて貫通導波路74が形成されている。透光性材料は、発光部73Lから発せられる光(可視光以外に赤外光などの不可視光を含む。)を透過することができる。
【0106】
ハードマスク6上で、発光部73Lの上方から貫通導波路74上にわたって、透光性材料(たとえば、透光性樹脂)からなる表面導波路75が設けられている。表面導波路75は、図10に示す断面において台形の形状を有しており、発光部73Lの上および貫通孔4の上に、半導体基板72と45°の角度をなす斜面を有している。これらの斜面には、アルミニウム(Al)が蒸着されてミラーM1,M2が形成されている。
【0107】
ミラーM1は、発光部73Lから発せられた光を反射してミラーM2に導くことができる姿勢で設けられている。ミラーM2は、ミラーM1から入射する光を貫通孔4を通して、半導体基板72の裏面(機能素子73が形成されている面と反対側の面)側に導くことができる姿勢で設けられている。
機能素子73の発光部73Lから発せられた光(光信号)は、ハードマスク6を透過して、表面導波路75中へと進み、ミラーM1で反射され、さらにミラーM2で反射されて、表面導波路75から貫通孔4内の貫通導波路74へと進み、半導体基板72の裏面側に至る(図10に光路を矢印Lで示す。)。
【0108】
この半導体チップ71は、1つのチップに貫通孔4と発光部73Lとが形成されているので、貫通孔が設けられた基板に発光素子が形成されたチップを実装する場合のように、実装精度が問題となることはない。すなわち、この半導体チップ71では、貫通孔4を光信号が良好に伝送される。
また、発光部73Lまたは受光部が形成され、かつ貫通孔4を有しない半導体チップを3つ以上積層した場合、隣接していない2つの半導体チップ間で、直接光信号の送受を行うことができなかった。これに対して、この半導体チップ71は、貫通孔4を介して光信号を伝送できるので、この半導体チップ71を3つ以上積層して、隣接していない2つの半導体チップ71間で、直接光信号の送受を行うことができる。
【0109】
図11は、発光部73Lおよび受光部を有する半導体チップがインタポーザとして使用された半導体装置、ならびにこの半導体装置が実装された実装基板の構造を示す図解的な断面図である。図11において、図10に示す各部に対応する部分には、図10と同じ参照符号を付して説明を省略する。
この半導体装置80の半導体チップ71Aは、は、半導体基板72を備えており、半導体基板72の一方表面(表面)には、機能素子73が形成されている。機能素子73の周縁部には発光部73Lと受光部73Dとが形成されている。機能素子73の内方で発光部73Lおよび受光部73Dが形成されていない領域の上には、複数のLSIチップ81が積層されてなるLSIモジュール82が接合されている。
【0110】
半導体基板72において機能素子73とは反対側の面(裏面)には、外部接続材としての金属ボール83が設けられている。
半導体装置80は、金属ボール83を介して、一方表面に光導波路85が形成された実装基板86の当該一方表面に実装されている。半導体装置80は、半導体チップ71Aの貫通導波路74(貫通孔)が、光導波路85の所定部分の上に位置するように、実装基板86に対して位置合わせされている。これにより、半導体装置80に備えられた半導体チップ71Aの発光部73Lおよび受光部73Dが、実装基板86と光信号の送受を行えるようになっている。
【0111】
半導体チップ71Aが貫通導波路74(貫通孔)を有することにより、半導体チップ71Aの一方表面側に発光部73L、受光部73DおよびLSIモジュール82を有しながら、他方表面側の実装基板86との間で光信号の送受を行うことができる半導体装置80が実現されている。
図14は、光信号の送受を行う従来の半導体装置、およびこの半導体装置が実装された実装基板の構造を示す図解的な断面図である。図14において、図11に示す各部に対応する部分には、図11と同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0112】
この半導体装置121は、一方表面(表面)に配線123が形成された半導体チップ122を、インタポーザとして備えている。半導体チップ122の表面には、LSIモジュール82および複数の光電気変換用ドライバICチップ124が、半導体チップ122に平行な横方向に並べられて接合されている。LSIモジュール82と光電気変換用ドライバICチップ124とは、配線123を介して電気的に接続されている。
【0113】
半導体チップ122において、配線123とは反対側の面(裏面)には、発光素子125Lが形成された発光チップ126および受光素子125Dが形成された受光チップ127が接合されている。発光チップ126および受光チップ127は、半導体チップ122を厚さ方向に貫通する貫通電極128、および配線123を介して、LSIモジュール82や光電気変換用ドライバICチップ124と、電気的に接続されている。
【0114】
また、半導体チップ122の裏面には、外部接続材としての金属ボール129が設けられている。金属ボール129の半導体チップ122裏面からの突出高さは、発光チップ126および受光チップ127の半導体チップ122裏面からの突出高さより大きい。
このように、貫通導波路74(図11参照)を有しない半導体装置121では、半導体チップ122の裏面側(LSIモジュール82とは反対側の面)に発光チップ126および受光チップ127を配置する必要があり、小型化が困難であった。
【0115】
また、半導体装置121を実装基板86に実装する場合、実装基板86に対する発光チップ126および受光チップ127の位置精度は、半導体チップ122(インターポーザ)に対する発光チップ126および受光チップ127の実装精度に加え、実装基板86に対する半導体チップ122の実装精度により決定される。このため、実装基板86に対する発光チップ126および受光チップ127の位置精度を高くすることはできなかった。
【0116】
これに対して、図11に示すように、半導体装置80では、発光部73Lおよび受光部73Dに加えて光電気信号変換用ドライバICも、半導体基板72と別体のチップとしてではなく、半導体基板72自体に作り込むことができる。貫通導波路74(貫通孔)を介して半導体チップ71Aの表面側と裏面側との間の光信号の送受が可能であることにより、半導体チップ71A(半導体基板72)の表面側に発光部73Lおよび受光部73Dを形成することが可能となっている。これにより、半導体チップ122(インターポーザ)の両面にチップが実装されて実装基板86との間で光信号の送受を行う半導体装置121(図14参照)と比べて、小型化を図ることができる。
【0117】
また、図11に示す半導体装置80に備えられた半導体チップ71Aでは、発光部73Lおよび受光部73Dを半導体基板72に直接作り込むことができることにより、半導体基板72に対する発光部73Lおよび受光部73Dの位置精度を高くすることができる。すなわち、この半導体装置80を実装基板86に実装する場合、実装基板86に対する発光部73Lおよび受光部73Dの位置精度は、実質的に実装基板86に対する半導体装置80(半導体チップ71A)の実装精度のみにより決定されるので高い。これにより、発光部73Lおよび受光部73Dと実装基板76との間で、良好に光信号の送受を行うことができる。
【0118】
図12Aないし図12Cは、図10に示す半導体チップ71の製造方法を説明するための図解的な断面図である。図12Aないし図12Cにおいて、図2Aないし図2Iに示す各部に対応する部分には、図2Aないし図2Iと同じ参照符号を付して説明を省略する。
複数の半導体チップ71が、1枚のウエハWから作製されるが、図12Aないし図12Cでは、ウエハWにおける1つの半導体チップ71に相当する部分の一部のみを示す。図12Aないし図12Cに示すウエハWは、図10に示す最終形態の半導体チップ71に対応する領域が、ウエハWの面内方向に、複数個、密に形成されたものである。
【0119】
一方表面(以下、「表面」という。)に機能素子73が形成されたウエハWの表面に、酸化シリコンからなり所定の部分に開口6aを有するハードマスク6が形成される。開口6aは、ウエハWにおいて機能素子3の側方の領域が露出するように形成される。
次に、半導体チップ1の製造方法と同様にして、ハードマスク6の開口を6aを介した反応性イオンエッチングにより、機能素子73の側方の領域に表面側凹所9が形成される。表面側凹所9は、ウエハWの厚さよりも浅い所定の深さを有する。続いて、CVD法により、開口6aおよび表面側凹所9内の露出表面に、酸化シリコンからなる絶縁膜5が形成される。この状態が、図12Aに示されている。
【0120】
次に、表面側凹所9および開口6aの内部に、透光性材料(たとえば、透光性のポリイミドなどの透光性樹脂、ガラスなど)が充填されて、プラグ78が形成される(図12B参照)。ダミープラグ8の開口6aからの露出面とハードマスク6の表面とは、ほぼ面一にされる。
続いて、ハードマスク6およびプラグ78の上に、別途形成された表面導波路75が貼り付けられる。この際、ミラーM1が発光部73Lの上に位置し、ミラーM2が表面側凹所9の上に位置するようにされる(図12C参照)。
【0121】
続いて、ウエハWの表面が図示しない支持体に貼り付けられ、ウエハWの裏面(機能素子73と反対側の面)Wrが機械的に研削されて、ウエハWが薄型化される。これにより、プラグ78がウエハWの裏面Wrに露出され、表面側凹所9は、ウエハWを厚さ方向に貫通する貫通孔4となる。
その後、ウエハWが所定位置で切断されて、図10に示す半導体チップ71の個片にされる。
【0122】
以上の製造方法において、透光性材料の代わりに透光性を有しない非金属の充填材を、表面側凹所9および開口6aの内部に充填してダミープラグを形成してもよい。この場合、研削によりウエハWの裏面Wrにダミープラグを露出させた後、このダミープラグを除去することができる。この場合、貫通孔4内が充填材で満たされていない半導体チップが得られる。この場合でも、貫通孔4を介して光信号の送受を行うことができる。
【0123】
また、ウエハWの裏面Wrを研削する際は、表面側凹所9(貫通孔4)内には充填材が埋め込まれているので、貫通孔4内に研削屑が入ることはない。
この発明の実施形態の説明は、以上の通りであるが、この発明は他の形態でも実施できる。たとえば、開口6aおよび貫通孔4の内部に供給される金属材料は、銅以外に、たとえば、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、クロム、チタン、金(Au)、インジウム(In)、錫(Sn)系の半田などからなるものであってもよい。すなわち、貫通電極10、接続用パターン32は、アルミニウム、タングステン、クロム、チタン、金、インジウム、錫系の半田などからなるものであってもよい。
【0124】
開口6aおよび貫通孔4の内部に金属材料を埋め込む工程(図2I参照)は、CVD法、スパッタ法、溶融材料のディッピングなどの方法により実施されてもよい。この場合、シード層を形成する工程を省略できる。
複数の半導体チップ1,31,41,51,61が積層された半導体装置は、BGAタイプのパッケージ形態に限られず、たとえば、SOP(Small Outline Package)、QFP(Quad Flat Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded Package)などのタイプのパッケージ形態を有するものとすることができる。
【0125】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る製造方法により製造される半導体チップの構造を示す図解的な断面図である。
【図2A】図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図2B】図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図2C】図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図2D】図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図2E】図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図2F】図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図2G】図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図2H】図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図2I】図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る製造方法により製造される半導体チップの構造を示す図解的な断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る製造方法により製造される半導体チップの構造を示す図解的な断面図である。
【図5A】図4に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図5B】図4に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図5C】図4に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図5D】図4に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図5E】図4に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図5F】図4に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図5G】図4に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図5H】図4に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図5I】図4に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図5J】図4に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る製造方法により製造される半導体チップの構造を示す図解的な断面図である。
【図7】図4に示す半導体チップを複数個含む半導体装置の構造を示す図解的な断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る半導体装置の構造を示す図解的な断面図である。
【図9A】図8に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図9B】図8に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図9C】図8に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図9D】図8に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図9E】図8に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図9F】図8に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図9G】図8に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図9H】図8に示す半導体装置の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る半導体チップの構造を示す図解的な断面図である。
【図11】発光部および受光部を有する半導体チップがインタポーザとして使用された半導体装置、ならびにこの半導体装置が実装された実装基板の構造を示す図解的な断面図である。
【図12A】図10に示す半導体チップの製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図12B】図10に示す半導体チップの製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図12C】図10に示す半導体チップの製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図13A】貫通電極を有する半導体チップの従来の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図13B】貫通電極を有する半導体チップの従来の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図13C】貫通電極を有する半導体チップの従来の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図13D】貫通電極を有する半導体チップの従来の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図13E】貫通電極を有する半導体チップの従来の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図13F】貫通電極を有する半導体チップの従来の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図13G】貫通電極を有する半導体チップの従来の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図13H】貫通電極を有する半導体チップの従来の製造方法を説明するための図解的な断面図である。
【図14】光信号の送受を行う従来の半導体装置、およびこの半導体装置が実装された実装基板の構造を示す図解的な断面図である。
【符号の説明】
【0127】
1,31,41,51,61,71,71A 半導体チップ
2,72 半導体基板
3,73 機能素子
4 貫通孔
8,48 ダミープラグ
9 表面側凹所
10,45 貫通電極
20,60 半導体装置
42 絶縁膜
48a ダミープラグの中央部分
48b ダミープラグの外周部分
62 バンプ
63 接着層
65 ダミーバンプ
73D 受光部
73L 発光部
78 プラグ
M1,M2 ミラー
W,W1,W2 半導体ウエハ
Wr,W1r、W2r 半導体ウエハの裏面




【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面および裏面を有し上記表面に機能素子が形成された半導体基板の上記表面に、上記半導体基板の厚さよりも浅い所定の深さの表面側凹所を形成する工程と、
この表面側凹所内に非金属材料を供給して、当該非金属材料からなるダミープラグを上記表面側凹所に埋め込むダミープラグ形成工程と、
このダミープラグ形成工程の後、上記半導体基板の上記裏面側部分を除去して、上記半導体基板を上記表面側凹所の深さより小さな厚さに薄型化して、上記表面側凹所を上記半導体基板を貫通する貫通孔にする薄型化工程と、
上記貫通孔内の上記ダミープラグを除去するダミープラグ除去工程と、
このダミープラグ除去工程の後、上記貫通孔に金属材料を供給して、上記半導体基板の表面側と裏面側とを電気的に接続し、かつ上記機能素子に電気的に接続された貫通電極を形成する工程とを含むことを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項2】
上記ダミープラグ形成工程の後、上記ダミープラグ除去工程の前に、上記半導体基板の表面側における上記ダミープラグの露出面に接し、上記機能素子に電気的に接続された配線部材を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の半導体チップの製造方法。
【請求項3】
上記ダミープラグ形成工程が、
上記表面側凹所内に、上記非金属材料としての絶縁性を有する感光性樹脂を充填して、当該感光性樹脂からなるダミープラグを形成する感光性樹脂充填工程と、
露光により、上記ダミープラグのうち、上記表面側凹所の内側壁の全面に沿って設けられた所定の外周部分が所定のエッチング媒体に対して不溶性を有し、上記外周部分の内方の中央部分が当該所定のエッチング媒体に対して可溶性を有する状態にする露光工程とを含み、
上記ダミープラグ除去工程が、上記ダミープラグの上記中央部分を、上記所定のエッチング媒体を用いたエッチングにより除去する現像工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体チップの製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された半導体チップの製造方法により複数の半導体チップを製造する工程と、
上記複数の半導体チップを積層する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
表面および裏面を有し上記表面に機能素子が形成された第1半導体基板の上記表面に、上記第1半導体基板の厚さよりも浅い所定の深さの表面側凹所を形成する工程と、
この表面側凹所内に非金属材料を供給して、当該非金属材料からなるダミープラグを上記表面側凹所に埋め込むダミープラグ形成工程と、
上記ダミープラグが形成された上記第1半導体基板の上記表面を、第2半導体基板の一方表面に対向させて、上記第1半導体基板を上記第2半導体基板上に積層する積層工程と、
上記第2半導体基板に積層された上記第1半導体基板の上記裏面側部分を除去して、上記第1半導体基板を上記表面側凹所の深さより小さな厚さに薄型化して、上記表面側凹所を上記第1半導体基板を貫通する貫通孔にする薄型化工程と、
この薄型化工程の後、上記貫通孔内の上記ダミープラグを除去するダミープラグ除去工程と、
このダミープラグ除去工程の後、上記貫通孔に金属材料を供給して、上記第1半導体基板の表面側と裏面側とを電気的に接続し、かつ上記機能素子に電気的に接続された貫通電極を形成する金属材料供給工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
上記積層工程の前に、上記第1半導体基板の表面から突出し、上記ダミープラグに接触するダミーバンプを形成する工程をさらに含み、
上記第2半導体基板が、上記一方表面に設けられた配線部材を含み、
上記積層工程が、上記ダミーバンプを、上記第2半導体基板の上記配線部材に接触させるダミーバンプ接触工程と、上記第2半導体基板の上記配線部材に接触している上記ダミーバンプの周囲を覆うように型取り材を配置する工程とを含み、
上記ダミープラグ除去工程が、上記ダミーバンプを除去する工程をさらに含み、
上記金属材料供給工程が、上記貫通孔に連通し上記型取り材により区画された空間に金属材料を供給して、上記貫通電極と一体で上記第1半導体基板の上記表面から突出したバンプを形成する工程を含むことを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
上記配線部材が、上記第2半導体基板を厚さ方向に貫通する貫通電極を含み、
上記ダミーバンプ接触工程が、上記ダミーバンプを、上記第2半導体基板を貫通する貫通電極に接触させる工程を含むことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
第1半導体チップおよび第2半導体チップを備え、
上記第1半導体チップが、
表面および裏面を有する半導体基板と、
この半導体基板の上記表面に形成された機能素子と、
この機能素子に電気的に接続され、この機能素子の側方で上記半導体基板を厚さ方向に貫通する貫通孔内に配置され、上記半導体基板の上記表面側と上記裏面側とを電気的に接続する貫通電極と、
この貫通電極と一体で、上記半導体基板の上記表面から突出したバンプとを含み、
上記第2半導体チップが、上記半導体基板の上記表面に対向する一方表面に形成され、上記第1半導体チップの上記バンプに接合された配線部材を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
表面および裏面を有し上記表面に発光素子または受光素子が形成された半導体基板の上記表面に、上記半導体基板の厚さよりも浅い所定の深さの表面側凹所を形成する工程と、
この表面側凹所内に、透光性材料を供給して、当該透光性材料からなるプラグを上記表面側凹所に埋め込むプラグ形成工程と、
このプラグ形成工程の後、上記半導体基板の上記裏面側部分を除去して、上記半導体基板の厚さを上記表面側凹所の深さより小さな厚さに薄型化して、上記表面側凹所を上記半導体基板を貫通する貫通孔にする薄型化工程とを含むことを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項10】
表面および裏面を有し上記表面に発光素子または受光素子が形成された半導体基板の上記表面に、上記半導体基板の厚さよりも浅い所定深さの表面側凹所を形成する工程と、
この表面側凹所内に充填材を供給して、当該充填材からなるダミープラグを上記表面側凹所に埋め込むダミープラグ形成工程と、
このダミープラグ形成工程の後、上記半導体基板の上記裏面側部分を除去して、上記半導体基板の厚さを上記表面側凹所の深さより小さな厚さに薄型化して、上記表面側凹所を上記半導体基板を貫通する貫通孔にする薄型化工程と、
この薄型化工程の後、上記貫通孔内の上記ダミープラグを除去するダミープラグ除去工程とを含むことを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項11】
表面および裏面を有する半導体基板と、
この半導体基板の上記表面に形成された発光素子または受光素子と、
この発光素子または受光素子の側方で上記半導体基板を厚さ方向に貫通する貫通孔を介して、上記発光素子または受光素子と上記半導体基板の上記裏面側との間の光路を確立する手段とを備えたことを特徴とする半導体チップ。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図13H】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−60067(P2006−60067A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−241207(P2004−241207)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成13年度新エネルギー・産業技術総合開発機構からの委託研究「超高密度電子SI技術の研究開発(エネルギー使用合理化技術開発)」、産業活力再生特別措置法30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】