説明

半導体パッケージ

【課題】ボンディングワイヤのループインダクタンスを低減した半導体パッケージを提供する。
【解決手段】所定の方向に交互に配置された信号用パッドおよび補助パッドのそれぞれが複数設けられた半導体装置と、信号用ボンドフィンガー、電源電圧用ボンドフィンガーおよび接地電位用ボンドフィンガーのそれぞれが複数設けられたパッケージ基板と、を有する。複数の信号用パッドのそれぞれが複数の信号用ボンドフィンガーのそれぞれと第1のワイヤを介して接続され、複数の電源電圧用ボンドフィンガーおよび複数の接地電位用ボンドフィンガーのそれぞれが複数の補助パッドのそれぞれと第2のワイヤを介して接続されている。第1のワイヤが、電源電圧用ボンドフィンガーに接続された第2のワイヤと接地電位用ボンドフィンガーに接続された第2のワイヤとの間に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ基板上に半導体装置が搭載された半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を用いた半導体パッケージの構成を説明する。はじめに、半導体装置の構成を簡単に説明する。図10は関連する半導体装置の一構成例を示すブロック図である。半導体装置10がDRAM(Dynamic Random Access Memory)の場合で説明する。
【0003】
図10に示すように、半導体装置10は、複数のメモリ素子を含む複数のメモリセルブロック20−1〜20−n(nは1以上の整数)と、アドレス信号およびコマンド信号が外部から入力される複数の端子を含むCA系パッド列31と、データを外部と送受信するための複数の端子を含むDQ系パッド列32と、アドレス信号にしたがってメモリ素子を特定するためのカラムデコーダ41およびロウデコーダ42と、データの入力および出力を制御するデータ入出力制御回路45と、を有する。
【0004】
アドレス信号は、複数のメモリ素子のうち、いずれか1つのメモリ素子を特定するための信号である。コマンド信号は、複数のメモリ素子に対して書き込みまたは読み出しを指示するための信号である。
【0005】
CA系パッド列31は、外部からコマンド信号が入力されるパッドであるコマンド信号用パッドと、外部からアドレス信号が入力されるパッドであるアドレス信号用パッドとを有する。アドレス信号用パッドとコマンド信号用パッドをまとめて、信号用パッドと総称する。
【0006】
DQ系パッド列32は、データを送受信するためのパッドであるデータ用パッドを複数有する。また、CA系パッド列31およびDQ系パッド列32のそれぞれには、外部から電源電圧(Vdd)が印加されるパッドである電源電圧用パッドと、外部から接地電位(VssまたはGnd)が印加されるパッドである接地電位用パッドとが設けられている。以下では、電源電圧用パッドをVddパッドと称し、接地電位用パッドをVssパッドと称する。
【0007】
なお、図10では、外部から入力される信号を増幅するための受信回路および外部と送受信するデータを増幅するための入出力回路などを図に示すことを省略している。
【0008】
図11は図10に示した半導体装置を用いた半導体パッケージの一構成例を示す断面図である。
【0009】
図11に示すように、パッケージ基板50の上に半導体装置10が搭載され、半導体装置10は樹脂56で覆われている。半導体装置10の上面に設けられたパッド200がボンディングワイヤ(以下では、単にワイヤと称する)220を介してパッケージ基板50のボンドフィンガー210に接続されている。パッド200は、CA系パッド列31またはDQ系パッド列32のいずれかに含まれるパッドの1つである。ボンドフィンガー210は、半導体装置10のパッド200とワイヤ220を介して電気的に接続するための導電性パッドの一種であり、配線52およびビアプラグ51を介してハンダボール51と接続されている。
【0010】
以下では、パッケージ基板50に設けられた配線52のうち、CA系パッド列31のコマンド信号用パッドと接続される配線をコマンド配線と称し、CA系パッド列31のアドレス信号用パッドと接続される配線をアドレス配線と称し、DQ系パッド列32のデータ用パッドと接続される配線をデータ配線と称する。
【0011】
プリント配線板の上に複数の半導体装置が搭載されたPoP(Package on Package)構造の半導体積層パッケージの一例が、特許文献1に開示されている。また、特許文献1に記載された再配線層(redistribution layer:RDL)に関する技術の一例が特許文献2に開示されている。
【0012】
図12は半導体装置のパッドとパッケージ基板のボンドフィンガーとの接続構成を示す平面図である。図12はCA系パッド列31の一部を示している。
【0013】
図12に示すように、パッケージ基板50には、ボンドフィンガー211〜216が図の上下方向に配置されている。半導体装置10には、ボンドフィンガー211〜216のパッド列に平行に、CA系パッド列の31のVddパッド201、アドレス信号用パッド202〜205およびVssパッド206が配置されている。
【0014】
Vddパッド201およびボンドフィンガー211に表記された「V」は、Vddが印加されるパッドとボンドフィンガーであることを意味し、Vssパッド206およびボンドフィンガー216に表記された「G」は、Vssが印加されるパッドとボンドフィンガーであることを意味する。また、アドレス信号用パッド202〜205およびボンドフィンガー212〜215に表記された「A1」〜「A4」は、A1〜A4のアドレス信号が伝送されるパッドとボンドフィンガーであることを意味する。
【0015】
アドレス信号用パッド202〜205のそれぞれは、受信回路の増幅器に配線を介して接続されている。
【0016】
なお、図12では、アドレス信号用パッドとして、A1〜A4のアドレス信号に関するパッドだけを図に示しており、「A1からA4」以外のアドレス信号用パッドとコマンド信号用パッドを図に示すことを省略している。例えば、図12に示すVssパッド206の図の下側には、「A1からA4」以外のアドレス信号用パッド(不図示)とコマンド信号用パッド(不図示)が配置されている。
【0017】
Vddパッド201、アドレス信号用パッド202〜205およびVssパッド206は、隣り合うパッドと一定の間隔を空けて順に1列に配置されている。ボンドフィンガー211〜216のそれぞれと、Vddパッド201、アドレス信号用パッド202〜205およびVssパッド206のそれぞれは、図の上下方向の位置が一致するように対応して配置されている。Vddパッド201とボンドフィンガー211はワイヤ221を介して接続されている。Vssパッド206とボンドフィンガー216はワイヤ226を介して接続されている。各アドレス信号用パッド202〜205は、各ワイヤ212〜215を介して、各ボンドフィンガー212〜215と接続されている。
【0018】
ここで、1列に配置される複数のパッドに対して、連続して配置される信号用パッドの数とVssパッドまたはVddパッドの数との比を、シグナルとグランド(または電源)との比を意味する「SG比」と定義する。図12に示す構成例では、4つのアドレス信号用パッドに対してVddパッドまたはVssパッドが1つ配置されていることから、SG比は4:1となる。これらのパッドとボンドフィンガーとを接続するワイヤのSG比も4:1となる。このSG比は、図に示さない、アドレス信号用パッドおよびワイヤについても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2009−38142号公報
【特許文献2】特開2005−123291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
PoP構造では配線密度と配線制約により、コマンド配線およびアドレス配線は、データ配線よりも、パッケージ基板50の主面に平行に長く引き回されている場合が多い。また、図12に示したワイヤ221〜226のそれぞれは図13に示すように寄生インダクタンスを有し、図12を参照して説明したように、CA系パッド列のSG比は4:1であり、DQ系パッド列32に比べてSG比が小さいため、給電性能が低くなり、隣り合うワイヤとの寄生インダクタンスが大きくなる。S(シグナル)−G(グランド)間ループインダクタンスが大きくなるため、ワイヤに生じるノイズやジッタが大きくなってしまう。
【0021】
LPDDR2(Low Power Double Data Rate 2)の規格では、アドレス配線もダブルレートで信号転送を行うため、これらのノイズやジッタを低減し、信号品質を確保することが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の半導体パッケージは、
所定の方向に交互に配置された信号用パッドおよび補助パッドのそれぞれが複数設けられた半導体装置と、
前記所定の方向に配置され、前記信号用パッドに信号を供給するための信号用ボンドフィンガー、前記補助パッドに電源電圧を供給するための電源電圧用ボンドフィンガーおよび前記補助パッドに接地電位を供給するための接地電位用ボンドフィンガーのそれぞれが複数設けられ、前記半導体装置が搭載されるパッケージ基板と、を有し、
複数の前記信号用パッドのそれぞれが複数の前記信号用ボンドフィンガーのそれぞれと第1のワイヤを介して接続され、
複数の前記電源電圧用ボンドフィンガーおよび複数の前記接地電位用ボンドフィンガーのそれぞれが複数の前記補助パッドのそれぞれと第2のワイヤを介して接続され、
前記第1のワイヤが、前記電源電圧用ボンドフィンガーに接続された第2のワイヤと前記接地電位用ボンドフィンガーに接続された第2のワイヤとの間に配置されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の半導体パッケージによれば、半導体装置のパッドとパッケージ基板のボンドフィンガーとを接続する信号伝送用の第1のワイヤが、電源電圧が印加される第2のワイヤと接地電位が印加される第2のワイヤとの間に配置されるため、第1のワイヤにおけるループインダクタンスが低減する。
【0024】
また、本発明の半導体パッケージは、
複数の信号用パッドが所定の方向に配置された第1のパッド列と、複数の補助パッドが該第1のパッド列と平行に配置された第2のパッド列とを含む第1の半導体装置と、
前記第1の半導体装置の上に搭載され、複数の信号用パッドが前記第1のパッド列に平行に配置された第3のパッド列と、複数の補助パッドが該第3のパッド列と平行に配置された第4のパッド列とを含む第2の半導体装置と、
前記第1および前記第2の半導体装置が順に搭載され、前記複数の信号用パッドに信号を供給するための複数の信号用ボンドフィンガーが前記第1のパッド列に平行に配置された第1のボンドフィンガー列と、電源電圧が印加される電源電圧用ボンドフィンガーおよび接地電位が印加される接地電位用ボンドフィンガーが交互に前記第1のボンドフィンガー列と平行に配置された、該第1のボンドフィンガー列とは異なる第2のボンドフィンガー列とを含むパッケージ基板と、を有し、
前記第2のパッド列が前記第1のパッド列よりも前記第1の半導体装置の外周に近い側に配置され、前記第2のボンドフィンガー列が前記第1のボンドフィンガー列よりも前記第1の半導体装置の外周に近い側に配置され、
前記複数の信号用ボンドフィンガーのそれぞれが、前記第1のパッド列または前記第3のパッド列に配置された複数の信号用パッドのそれぞれと第1のワイヤを介して接続され、
前記第1のパッド列に配置された複数の信号用パッドのそれぞれが前記第3のパッド列に配置された複数の信号用パッドのそれぞれと第2のワイヤを介して接続され、
前記電源電圧用ボンドフィンガーおよび前記接地電位用ボンドフィンガーのそれぞれが前記第2のパッド列に配置された複数の補助パッドのそれぞれと第3のワイヤを介して接続されていることを特徴とする。
【0025】
本発明の半導体パッケージによれば、上側または下側の半導体装置のパッドとパッケージ基板のボンドフィンガーとを接続する信号伝送用の第1のワイヤの近くに、電源電圧が印加される第3のワイヤおよび接地電位が印加される第3のワイヤが交互に配置されるため、第1および第2のワイヤにおけるループインダクタンスが低減する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、信号を伝送するためのボンディングワイヤの近くに電源電圧が印加されたボンディングワイヤおよび接地電位が印加されたボンディングワイヤが配置されるので、S−G間ループインダクタンスを低減でき、信号伝送の高速化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態の半導体パッケージの要部の構成を説明するための平面図である。
【図2】図1に示した半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【図3】図1に示した半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【図4】第2の実施形態の半導体パッケージの要部の構成を説明するための平面図である。
【図5】第3の実施形態の半導体パッケージの要部の構成を説明するための平面図である。
【図6】実施例1の半導体パッケージを上から見た図である。
【図7】実施例1の半導体パッケージを横から見た図である。
【図8】実施例2の半導体パッケージを上から見た図である。
【図9】実施例2の半導体パッケージを横から見た図である。
【図10】関連する半導体装置の一構成例を示すブロック図である。
【図11】図10に示した半導体装置を用いた半導体パッケージの一構成例を示す断面図である。
【図12】図11に示した半導体パッケージにおいて、半導体装置のパッドとパッケージ基板のボンドフィンガーとの接続構成を示す平面図である。
【図13】図12に示したワイヤのそれぞれを寄生インダクタンスで表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の半導体パッケージの実施形態を説明する。以下の実施形態では、半導体パッケージに搭載される半導体装置がDRAMの場合で説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
本実施形態の半導体パッケージの構成を説明する。図1は本実施形態の半導体パッケージの要部の構成を説明するための平面図である。
【0030】
半導体装置12のパッドとパッケージ基板60のボンドフィンガーとの接続を図1に示す。図1の左右方向をX軸方向とし、図1の上下方向をY軸方向とする。図1に示す半導体装置12は、図10を参照して説明した構成を有するものとし、本実施形態では、図10に示した構成の詳細な説明を省略し、図12に示した構成と異なる点を詳細に説明する。
【0031】
半導体装置12は、パッケージ基板60の上に搭載されている。図1では、半導体装置12のパッドとパッケージ基板60のボンドフィンガーとの接続構成を見やすくするために、パッケージ基板60の要部を切り出して示している。また、半導体装置12についても、図1では、パッド付近の平面を切り出して示している。
【0032】
図1に示す半導体装置12には、Vddパッド201、アドレス信号用パッド202〜205およびVssパッド206の他に、補助パッドとして、Vddパッド102〜104およびVssパッド105〜107が設けられている。Vddパッド201、アドレス信号用パッド202〜205およびVssパッド206をパッド列141とし、Vddパッド102〜104およびVssパッド105〜107をパッド列142とする。
【0033】
Vddパッド102〜104が電源電圧用補助パッドに相当し、Vssパッド105〜107が接地電位用補助パッドに相当する。
【0034】
パッド列141とパッド列142は、どちらもY軸方向に平行だが、X軸方向の位置が異なっている。パッド列142がパッド列141よりも半導体装置12の外周に近い側に配置されている。パッド列141では、Vddパッド201、アドレス信号用パッド202〜205およびVssパッド206が、隣り合うパッドと一定の間隔を空けてY軸方向に交互に配置されている。パッド列142では、VddパッドとVssパッドが、隣り合うパッドと一定の間隔を空けてY軸方向に交互に配置されている。
【0035】
パッド列142のVddパッド102〜104およびVssパッド105〜107はRDL技術により形成されている。また、Vddパッド102〜104をVddパッド201に接続する配線と、Vssパッド105〜107を受信回路47のVss配線136に接続する配線も、RDL技術により形成されている。以下では、RDL技術によって形成された配線をRDL配線と称する。図1に示す半導体装置12では、RDL配線を破線で示している。
【0036】
Vddパッド102〜104は、Vddパッド201にRDL配線131を介して接続されている。Vssパッド105〜107はRDL配線132を介して相互に接続されている。RDL配線132はRDL配線133を介して受信回路47のVss配線136と接続されている。複数の電源電圧用補助パッドをRDL配線131で相互に接続することで、複数の電源電圧用補助パッドのそれぞれに接続されたワイヤの電圧レベルをより安定して保つことが可能となる。このことは、接地電位用補助パッドに接続されたワイヤについても同様である。
【0037】
パッケージ基板60には、ボンドフィンガー211〜216の他に、ボンドフィンガー112〜117が設けられている。ボンドフィンガー211〜216およびボンドフィンガー112〜117はプリント配線で形成されている。ボンドフィンガー211〜216をボンドフィンガー列151とし、ボンドフィンガー112〜117をボンドフィンガー列152とする。ボンドフィンガー列151では、ボンドフィンガー211〜216が、隣り合うパッドと一定の間隔を空けてY軸方向に交互に配置されている。ボンドフィンガー列152では、ボンドフィンガー115、112、116、113、117、114が、隣り合うパッドと一定の間隔を空けてY軸方向に交互に配置されている。
【0038】
なお、図1に示すパッドおよびボンドフィンガーの「V」、「G」および「A1」〜「A4」のそれぞれの表記は、図12を参照して説明した意味と同じであるため、その説明を省略する。ボンドフィンガー211、112〜114は半導体装置12に電源電圧を供給するための電源電圧用ボンドフィンガーに相当し、ボンドフィンガー216、115〜117は半導体装置12に接地電位を供給するための接地電位用ボンドフィンガーに相当する。ボンドフィンガー212〜215は半導体装置12にアドレス信号を供給するための信号用ボンドフィンガーに相当する。また、図1においても、「A1からA4」以外のアドレス信号用パッドとコマンド信号用パッドを図に示すことを省略している。
【0039】
半導体装置12側のパッド列142の各補助パッドのY軸方向の位置について、パッド列141に配置されたパッドと比較してみる。Vssパッド105は、Vddパッド201とアドレス信号用パッド202の間に配置されている。Vddパッド102は、アドレス信号用パッド202とアドレス信号用パッド203の間に配置されている。Vssパッド106は、アドレス信号用パッド203とアドレス信号用パッド204の間に配置されている。Vddパッド103は、アドレス信号用パッド204とアドレス信号用パッド205の間に配置されている。Vssパッド107は、アドレス信号用パッド205とVssパッド206の間に配置されている。Vddパッド104は、Vssパッド206よりも図の下方側に配置されている。
【0040】
パッケージ基板60側のボンドフィンガー列152の各ボンドフィンガーのY軸方向の位置について、ボンドフィンガー列151に配置されたボンドフィンガーと比較してみる。
【0041】
ボンドフィンガー115は、ボンドフィンガー211とボンドフィンガー212の間に配置されている。ボンドフィンガー112は、ボンドフィンガー212とボンドフィンガー213の間に配置されている。ボンドフィンガー116は、ボンドフィンガー213とボンドフィンガー214の間に配置されている。ボンドフィンガー113は、ボンドフィンガー214とボンドフィンガー215の間に配置されている。ボンドフィンガー117は、ボンドフィンガー215とボンドフィンガー216の間に配置されている。ボンドフィンガー114は、ボンドフィンガー216よりも図の下方側に配置されている。
【0042】
半導体装置12のパッドとパッケージ基板60のボンドフィンガーとの接続は、次のようになっている。Vddパッド102〜104のそれぞれは、ワイヤ122〜124のそれぞれを介してボンドフィンガー112〜114のそれぞれと接続されている。Vssパッド105〜107のそれぞれは、ワイヤ125〜127のそれぞれを介してボンドフィンガー115〜117のそれぞれと接続されている。また、Vddパッド201はワイヤ221を介してボンドフィンガー211と接続され、Vssパッド206はワイヤ226を介してボンドフィンガー216と接続されている。アドレス信号用パッド202〜205のそれぞれは、ワイヤ222〜225のそれぞれを介してボンドフィンガー212〜215のそれぞれと接続されている。
【0043】
このように、Y軸方向に対して、アドレス信号用パッドの間に補助パッドのVssパッドまたはVddパッドが配置されているため、信号用パッドに接続されるワイヤである信号用ワイヤと、Vddが印加されるワイヤであるVddワイヤまたはVssが印加されるワイヤであるVssワイヤとが交互に配置されている。そのため、SG比が1:1に改善される。
【0044】
本実施形態の半導体パッケージでは、SG比を改善するとともに、信号用ワイヤの隣にVddワイヤおよびVssワイヤが配置されるので、相互インダクタンスの効果で、S−G間ループインダクタンスを低減でき、信号伝送の高速化を実現することが可能となる。
【0045】
次に、本実施形態の半導体装置の要部の断面構造を説明する。
【0046】
図2および図3は図1に示した半導体装置の構造の一例を示す断面図である。図2(a)はVddパッド201における構造の一例を示す断面図であり、図2(b)はVddパッド201における構造の他の構成例を示す断面図である。
【0047】
図2(a)に示すように、半導体装置12は、半導体基板70の表面近傍に半導体素子および配線などが形成された回路形成領域72を有する。半導体基板70の上には絶縁膜74が形成されており、Vddパッド201は絶縁膜74の上の導電性層に設けられている。回路形成領域72とVddパッド201が形成された導電性層との間に多層配線が設けられていてもよいが、図2および図3を参照して行う説明では、説明を簡単にするために、多層配線を図に示すことを省略し、また、多層配線が設けられている場合の詳細な説明を省略する。
【0048】
図2(a)に示すように、Vddパッド201の導電性層を覆う保護膜として、ポリイミド76が絶縁膜74の上に形成されている。ただし、ポリイミド76には、Vddパッド201の上面の一部を露出するための開口が設けられている。これは、Vddパッド201をパッケージ基板60のボンドフィンガー211とワイヤボンディングするためである。
【0049】
RDL配線131とポリイミド78がRDL技術によりポリイミド76の上に形成されている。RDL配線131はVddパッド201が形成される導電性層よりも上層に形成されている。ポリイミド78にも、RDL配線131の一部を露出する開口77が設けられている。この開口77の目的は、ポリイミド76に設けられた開口の目的と同じである。ワイヤ221は開口77を介してRDL配線131と接続されている。この構成により、ワイヤ221はRDL配線131を介してVddパッド201と接続される。
【0050】
Vddパッド201とワイヤ221の接続方法は、図2(a)に示す構成に限られない。図2(b)に示すように、パッド列142の位置にVddパッドを追加してもよい。
【0051】
図2(b)に示す構成例では、ポリイミド78に開口77とは別の開口79が設けられている。この開口79を介して、ワイヤ221がRDL配線131と接続されている。この場合でも、ワイヤ221はRDL配線131を介してVddパッド201と接続される。また、図2(b)に示す構造を、Vssパッド206に適用してもよい。図2(b)に示す構成では、Vddパッド201よりも、開口79に設けられたVddパッドの方がボンドフィンガー211に近いため、図2(a)に示す構成に比べて、ワイヤ221の長さを短くすることが可能となる。
【0052】
次に、図3を参照して、他のRDL配線部分の断面構造を説明する。図3(a)は補助パッドの1つであるVssパッド105における構造の一例を示す断面図であり、図3(b)は図1に示すX1部分における構造の一例を示す断面図である。
【0053】
図3(a)に示すように、ポリイミド76の上にRDL配線132が設けられている。RDL配線132は、開口が設けられたポリイミド78で覆われており、開口部分がVssパッド105に相当する。Vssパッド105にはワイヤ125が接続されている。図3(a)に示す構成は、Vssパッド105だけでなく、Vssパッド106、107およびVddパッド102〜104にも適用することが可能である。
【0054】
続いて、図1に示したX1部分の断面構造を説明する。図3(b)に示すように、ポリイミド76の上にRDL配線133が設けられ、RDL配線133はポリイミド78で覆われている。図3(b)には、Vssパッド102に相当する開口部分、ワイヤ122およびRDL配線131も示している。RDL配線133は、ポリイミド76に設けられた開口を介してVss配線136と接続されている。なお、Vss配線136のX1部分を、その平面パターンの面積がVddパッド201の面積以上になるように形成し、ポリイミド76の開口の面積を大きくすることで、RDL配線133およびVss配線136の接触抵抗をより小さくすることが可能となる。
【0055】
上述したように、RDL技術を用いることで、回路形成領域72や多層配線(不図示)が形成された領域の上であっても、Vddパッド201の導電性層よりも上層にRDL配線と補助パッドを形成することが可能となる。
【0056】
本実施形態の半導体装置では、RDL配線を利用することで、DRAMチップへのワイヤのSG比が改善することが可能となる。その結果、上述したように、S−G間ループインダクタンスが低減し、信号伝送の高速化を実現することが可能となる。
【0057】
(第2の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態よりも、信号用ワイヤのVddワイヤとの相互インダクタンスをさらに強化した構造である。
【0058】
本実施形態の半導体装置の構成を説明する。図4は本実施形態の半導体装置の要部の構成を説明するための平面図である。図4は本実施形態の半導体装置のパッドとパッケージ基板のボンドフィンガーとの接続を示す。図1と同様に、図4の左右方向をX軸方向とし、図4の上下方向をY軸方向とする。図4に示す半導体装置14では、RDL配線を破線で示している。
【0059】
図4に示す半導体装置14は、図10を参照して説明した構成を有するものとし、本実施形態では、図10に示した構成の詳細な説明を省略し、図12に示した構成または第1の実施形態と異なる点を詳細に説明する。
【0060】
半導体装置14は、図1に示した半導体装置12のパッド列142に設けられた複数の補助パッドをパッド列143とパッド列144に分けた構成である。パッド列141、143、144のそれぞれはY軸方向に平行だが、X軸方向の位置が異なる。パッド列141はパッド列143およびパッド列144の間に設けられている。パッド列144がパッド列143よりも半導体装置14の外周に近い側に配置されている。
【0061】
パッド列143には、Vddパッド102〜104が隣り合うパッドと一定の間隔を空けてY軸方向に順に配置されている。Vddパッド102〜104は、RDL配線131を介して相互に接続されている。パッド列144には、Vssパッド105〜107が隣り合うパッドと一定の間隔を空けてY軸方向に順に配置されている。Vssパッド105〜107はRDL配線132を介して相互に接続されている。図4は、Vssパッド105〜107がRDL配線134でも相互に接続されている構成を示しているが、RDL配線134を設けていなくてもよい。
【0062】
RDL配線132はRDL配線133を介してVss配線136と接続されている。RDL配線133とVss配線136との接続部分の構成は、図3(b)を参照して説明した構成と同様であるため、ここでは、詳細な説明を省略する。また、図4では、RDL配線133とRDL配線131が交差しているが、多層配線技術をRDL配線に適用することで、RDL配線133とRDL配線131とを電気的に絶縁した状態で交差させることが可能となる。例えば、図2に示した構成で、RDL配線131を覆うポリイミド78の上にRDL配線133を形成し、RDL配線133の上を別のポリイミドで覆えばよい。
【0063】
なお、パッケージ基板60のボンドフィンガー列151、152のそれぞれにおけるボンドフィンガーの配置は、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0064】
次に、半導体装置14側の各補助パッドのY軸方向の位置について、パッド列141に配置されたパッドと比較してみる。
【0065】
Vssパッド105は、Vddパッド201とアドレス信号用パッド202の間に配置されている。Vddパッド102は、アドレス信号用パッド202とアドレス信号用パッド203の間に配置されている。Vssパッド106は、アドレス信号用パッド203とアドレス信号用パッド204の間に配置されている。Vddパッド103は、アドレス信号用パッド204とアドレス信号用パッド205の間に配置されている。Vssパッド107は、アドレス信号用パッド205とVssパッド206の間に配置されている。Vddパッド104は、Vssパッド206よりも図の下方側に配置されている。
【0066】
次に、各パッドとボンドフィンガーとの接続構成について注目してみると、パッドの種類とボンドフィンガーの種類に対応して、パッドとボンドフィンガーがワイヤを介して接続されている点においては、第1の実施形態と同様である。本実施形態では、パッド列143がパッド列141よりもボンドフィンガー列151、152から離れる方向に位置しているため、ワイヤ122〜124が第1の実施形態よりも長くなっている。そのため、ワイヤ122、123がワイヤ222〜225に寄り添う距離が長くなり、ループインダクタンスを低減する効果が向上する。
【0067】
本実施形態においても、Y軸方向に対して、アドレス信号用パッドの間に補助パッドのVssパッドまたはVddパッドが配置されているため、信号用ワイヤとVddワイヤまたはVssワイヤとが交互に配置される。そのため、SG比が1:1に改善される。
【0068】
また、本実施形態では、第1の実施形態よりも、信号用ワイヤのVddワイヤとの相互インダクタンスによる効果がさらに向上するため、S−G間ループインダクタンスを低減できる。
【0069】
(第3の実施形態)
本実施形態は、第1の実施形態に比べて、アドレス信号用パッドの配置間隔に余裕がある場合の構成である。
【0070】
本実施形態の半導体装置の構成を説明する。図5は本実施形態の半導体装置の要部の構成を説明するための平面図である。図5は本実施形態の半導体装置のパッドとパッケージ基板のボンドフィンガーとの接続を示す。図1と同様に、図5の左右方向をX軸方向とし、図5の上下方向をY軸方向とする。
【0071】
図5に示す半導体装置19は、図10を参照して説明した構成を有するものとし、本実施形態では、図10に示した構成の詳細な説明を省略し、図12に示した構成、第1の実施形態、または第2の実施形態と異なる点を詳細に説明する。
【0072】
パッド列141には、アドレス信号用パッド202〜205、Vddパッド201およびVssパッド206だけでなく、Vddパッド102、103およびVssパッド105〜107の補助パッドが配置されている。アドレス信号用パッド202〜205のそれぞれが、補助パッドのVddパッドとVssパッドの間に配置されている。Vddパッド102、103はワイヤ122、123を介してボンドフィンガー112、113に接続されている。Vssパッド105〜107はワイヤ125〜127を介してボンドフィンガー115〜117に接続されている。
【0073】
上記のように構成されているため、アドレス信号用パッド202〜205のそれぞれとボンドフィンガー212〜215のそれぞれとを接続するワイヤ222〜225のいずれもが、電源電圧用ボンドフィンガーに接続されたワイヤと接地電位用ボンドフィンガーに接続されたワイヤとの間に配置されている。
【0074】
本実施形態では、補助パッドの配置に関して、信号用パッド間に余裕があるが、信号用パッドと半導体装置19の外周との間に余裕がない場合に有効であり、パッド列を別途設ける必要がない。
【0075】
なお、本実施形態では、補助パッドをRDL配線で接続していないが、図1に示した構成と同様にRDL配線を設けて、補助パッド間を接続してもよい。
【0076】
また、本実施形態では、半導体装置19の外周のうち、パッケージ基板60側の外周近傍に設けるパッド列を1列にする場合を説明したが、パッケージ基板60に配置するボンドフィンガー間に余裕があれば、図5に示すパッド列141と同様に、パッケージ基板60のボンドフィンガー列を1列にしてもよい。この場合、電源電圧用ボンドフィンガーと接地電位用ボンドフィンガーとの間にアドレス信号用ボンドフィンガーが配置される。
【実施例1】
【0077】
本実施例は、2つの半導体装置をパッケージ基板の上に積層させたPoP構造の半導体パッケージの一例である。
【0078】
本実施例の半導体パッケージの構成を説明する。図6は本実施例の半導体パッケージを上から見たときの上面図である。図7は本実施例の半導体パッケージを横から見たときの側面図である。図6および図7では、半導体チップを覆う樹脂を図に示すことを省略している。図6において、図の左右方向をX軸方向とし、図の上下方向をY軸方向とする。また、パッケージ基板62の主面に垂直な方向をZ軸方向とする。
【0079】
図7に示すように、パッケージ基板62の上に半導体チップ16aおよび半導体チップ16bが順に積層されている。半導体チップ16a、16bはDRAMチップである。図6および図7に示すように、半導体チップ16aのパッド部分を露出させるために、半導体チップ16bは、半導体チップ16aにぴったり重なる位置からX軸方向に少しずれた位置に配置されている。
【0080】
本実施例では、半導体チップ16a、16bのそれぞれは、第1の実施形態で説明した半導体装置12において、パッド列141のパッドとパッド列142のパッドのY軸方向の位置を一致させた構成である。例えば、半導体チップ16aにおいて、パッド列141aのVssパッド206aとパッド列142aのVssパッド105aのそれぞれのY軸方向の位置が一致している。なお、図6に示す半導体チップ16aでは、図1に示した半導体装置12と比べて、Vddパッド201aとVssパッド206aのY軸方向の位置が逆になっているが、いずれの構成であってもよい。このことは、半導体チップ16bについても同様である。
【0081】
半導体チップ16aにおいて、複数のVssパッドがRDL配線132aで相互に接続されており、複数のVddパッドがRDL配線131aで相互に接続されている。この構成は、半導体チップ16bについても同様である。
【0082】
パッケージ基板62は、第1の実施形態で説明したパッケージ基板60において、X軸方向に対してボンドフィンガー列151、152の位置を逆にした構成である。パッケージ基板62では、ボンドフィンガー列151のボンドフィンガー211、216のY軸方向の位置を、半導体チップ16a、16bのパッドVddパッド201a、201bとVssパッド206a、206bの位置に対応させている。
【0083】
パッケージ基板62において、複数の接地電位用ボンドフィンガーが配線を介して相互に接続されており、複数の電源電圧用ボンドフィンガーが配線を介して相互に接続されている。接地電位用ボンドフィンガーの一部がビアプラグ54に接続されている。
【0084】
次に、半導体チップ16a、16bのパッドとパッケージ基板62のボンドフィンガーとの接続構成について説明する。
【0085】
ボンドフィンガー列151のアドレス信号用ボンドフィンガーA1〜A4のそれぞれがワイヤ227を介して半導体チップ16bのアドレス信号用パッドA1〜A4のそれぞれと接続されている。また、半導体チップ16bのアドレス信号用パッドA1〜A4のそれぞれは、半導体チップ16aのアドレス信号用パッドA1〜A4のそれぞれとワイヤ228を介して接続されている。この構成により、パッケージ基板62から送出されたアドレス信号は、ワイヤ227を介して半導体チップ16bに供給されるとともに、ワイヤ227、半導体チップ16bのアドレス信号用パッドおよびワイヤ228を介して半導体チップ16aに供給される。
【0086】
ボンドフィンガー列152の接地電位用ボンドフィンガーGおよび電源電圧用ボンドフィンガーVのそれぞれが半導体チップ16aのパッド列142aのVssパッドおよびVddパッドのそれぞれとワイヤ128を介して接続されている。半導体チップ16aのVssパッド206aと半導体チップ16bのVssパッド105bがワイヤ129を介して接続されている。半導体チップ16aのVddパッド201aと半導体チップ16bのVddパッド104bがワイヤ129を介して接続されている。
【0087】
この構成により、パッケージ基板62から供給される電源電圧は、ワイヤ128を介して半導体チップ16aに印加されるとともに、ワイヤ128、半導体チップ16aのVddパッドおよびRDL配線131aならびにワイヤ129を介して半導体チップ16bに印加される。また、パッケージ基板62から供給される接地電位は、ワイヤ128を介して半導体チップ16aに印加されるとともに、ワイヤ128、半導体チップ16aのVssパッドおよびRDL配線132aならびにワイヤ129を介して半導体チップ16bに印加される。
【0088】
図7に示すように、ワイヤ227が下側の半導体チップ16aではなく、上側の半導体チップ16bに接続されているため、ワイヤ227が大きく弧を描いている。また、ボンドフィンガー列152がボンドフィンガー列151に比べて半導体チップ16aの外周に近い側に位置しているため、ボンドフィンガー列152に配置されたボンドフィンガーと半導体チップ16aのパッド列142aの補助パッドとの距離が近くなり、ワイヤ128の弧はワイヤ227に比べて小さくなっている。
【0089】
図7を参照してワイヤ227とワイヤ128の弧を見比べると、パッケージ基板62から最高点までの弧の軌跡について、Z軸に対する角度が近い値であり、これら2つの弧が相似の関係になっている。そのため、ワイヤ227とワイヤ128のパッケージ基板62からの立ち上がり部分で、これら2種類のワイヤが絶縁性を保ちながら、平行に寄り添っている。信号用ワイヤが、VddワイヤまたはVssワイヤとZ軸方向に寄り添う状態となる。本実施例の場合、信号用ワイヤおよびVddワイヤの距離と、信号用ワイヤおよびVssワイヤの距離とが完全に一致するわけではないが、少なくともS:G比が4:1より改善される効果が得られる。
【0090】
本実施例では、2つの半導体チップが積層される半導体パッケージにおいて、VddワイヤおよびVssワイヤのそれぞれと信号用ワイヤとをなるべく近づけることで、S−G間ループインダクタンスを低減できる。
【0091】
なお、図1に示したパッケージ基板60についても、パッケージ基板62のように、ボンドフィンガー列151、152のX軸方向の位置を逆にしてもよい。この場合、半導体チップ16aと同様に、半導体装置12のパッド列141とパッド列142のそれぞれのパッドのY軸方向の位置が一致していても、信号用ワイヤとVddワイヤまたはVssワイヤとが接触することを抑制するだけでなく、信号用ワイヤをVddワイヤおよびVssワイヤとZ軸方向に近づくことになり、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
【実施例2】
【0092】
本実施例は、2つの半導体装置をパッケージ基板の上に積層させたPoP構造の半導体パッケージの別の構成例である。
【0093】
本実施例の半導体パッケージの構成を説明する。実施例1と同様な構成についての詳細な説明を省略し、実施例1と異なる点について詳細に説明する。
【0094】
図8は本実施例の半導体パッケージを上から見たときの上面図である。図9は本実施例の半導体パッケージを横から見たときの側面図である。図8および図9では、半導体チップを覆う樹脂を図に示すことを省略している。図6と同様に、図8において、図の左右方向をX軸方向とし、図の上下方向をY軸方向とする。また、パッケージ基板62の主面に垂直な方向をZ軸方向とする。
【0095】
図9に示すように、パッケージ基板62の上に半導体チップ18aおよび半導体チップ18bが順に積層されている。半導体チップ18a、18bはDRAMチップである。実施例1と同様に、半導体チップ18aのパッド部分を露出させるために、半導体チップ18bは、半導体チップ18aにぴったり重なる位置からX軸方向に少しずれた位置に配置されている。
【0096】
本実施例では、半導体チップ18aは、実施例1で説明した半導体チップ16aにおいて、パッド列141aのパッドとパッド列142aのパッドそれぞれについて、Y軸方向の位置をずらせた構成である。例えば、半導体チップ16aにおいて、パッド列141aのVssパッド206aの重心とパッド列142aのVssパッド105aの重心のそれぞれのY軸方向の位置が一致していない。パッドの重心とは、四角形状のパッドにおいて、2本の対角線の交点である。
【0097】
Y軸方向に対して、パッド列141aのアドレス信号用パッドA1〜A4のそれぞれの重心が、パッド列142aにおいて、隣り合うVssパッドとVddパッドのそれぞれの重心の間に位置している。図8に示す例では、信号用パッドA1〜A4のそれぞれの重心が隣り合うVssパッドとVddパッドのそれぞれの重心の中間点に位置している。
【0098】
なお、半導体チップ18bも、上述した、半導体チップ18aの構成と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0099】
次に、半導体チップ18a、18bのパッドとパッケージ基板62のボンドフィンガーとの接続構成について説明する。
【0100】
実施例1では、ボンドフィンガー列151のボンドフィンガーが上側の半導体チップのパッド列141bのパッドと接続されていたが、本実施例では、ボンドフィンガー列151に配置されたボンドフィンガーが下側の半導体チップ18aのパッド列141aのパッドと接続されている。
【0101】
ボンドフィンガー列151のアドレス信号用ボンドフィンガーA1〜A4のそれぞれがワイヤ229を介して半導体チップ18aのアドレス信号用パッドA1〜A4のそれぞれと接続されている。他の接続構成は、実施例1と同様である。
【0102】
この構成により、パッケージ基板62から送出されたアドレス信号は、ワイヤ229を介して半導体チップ18aに供給されるとともに、ワイヤ229、半導体チップ18aのアドレス信号用パッドおよびワイヤ228を介して半導体チップ18bに供給される。パッケージ基板62から半導体装置18a、18bのそれぞれに供給される電源電圧および接地電位の経路は、実施例1と同様である。
【0103】
図9に示すように、ワイヤ229が下側の半導体チップ18aに接続されているため、ワイヤ229によって描かれる弧が図7に示したワイヤ227よりも小さくなっている。その結果、ワイヤ229とワイヤ128との距離がワイヤ227の場合よりも、小さくなる。そのため、信号用ワイヤに対する、VddワイヤおよびVssワイヤによるループインダクタンスの低減効果が向上する。
【0104】
また、Z軸方向にワイヤ229がワイヤ227よりもワイヤ128に近くなることで、ワイヤ同士が接触するおそれがあっても、本実施例のように、Y軸方向に対して、信号用パッドの重心が2つの補助パッドのそれぞれの重心の間に位置しているため、ワイヤ229とワイヤ128がY軸方向にずれる。その結果、ワイヤ229とワイヤ128とが接触してしまうことが抑制される。さらに、Vddパッドに接続されたワイヤ128とVssパッドに接続されたワイヤ128がワイヤ229を挟むように配置されるため、信号用ワイヤにVddワイヤおよびVssワイヤがY軸方向に寄り添う状態となる。
【0105】
本実施例では、2つの半導体チップが積層される半導体パッケージにおいて、半導体装置内の信号用パッドと補助パッドとを千鳥足状に配置にすることで、VddワイヤおよびVssワイヤの間に信号用ワイヤが並走するように配置される。その結果、実施例1よりも、VddワイヤおよびVssワイヤのそれぞれと信号用ワイヤとを近づけることができるので、S−G間ループインダクタンスを低減できる。
なお、本実施例のパッド配置方法を、実施例1、第1および第2の実施形態のいずれにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0106】
12、14、19 半導体装置
16a、16b、18a、18b 半導体チップ
60、62 パッケージ基板
102〜104 Vddパッド
105〜107 Vssパッド
112〜117 ボンドフィンガー
122〜127 ワイヤ
131〜133 RDL配線
141、142 パッド列
151、152 ボンドフィンガー列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に交互に配置された信号用パッドおよび補助パッドのそれぞれが複数設けられた半導体装置と、
前記所定の方向に配置され、前記信号用パッドに信号を供給するための信号用ボンドフィンガー、前記補助パッドに電源電圧を供給するための電源電圧用ボンドフィンガーおよび前記補助パッドに接地電位を供給するための接地電位用ボンドフィンガーのそれぞれが複数設けられ、前記半導体装置が搭載されるパッケージ基板と、を有し、
複数の前記信号用パッドのそれぞれが複数の前記信号用ボンドフィンガーのそれぞれと第1のワイヤを介して接続され、
複数の前記電源電圧用ボンドフィンガーおよび複数の前記接地電位用ボンドフィンガーのそれぞれが複数の前記補助パッドのそれぞれと第2のワイヤを介して接続され、
前記第1のワイヤが、前記電源電圧用ボンドフィンガーに接続された第2のワイヤと前記接地電位用ボンドフィンガーに接続された第2のワイヤとの間に配置されていることを特徴とする、半導体パッケージ。
【請求項2】
請求項1記載の半導体パッケージにおいて、
複数の前記信号用パッドが前記所定の方向に平行な第1のパッド列に配置され、
複数の前記補助パッドが前記第1のパッド列に配置されている、半導体パッケージ。
【請求項3】
請求項1記載の半導体パッケージにおいて、
複数の前記信号用パッドが前記所定の方向に平行な第1のパッド列に配置され、
複数の前記補助パッドが、前記第1のパッド列に平行で該第1のパッド列とは異なる第2のパッド列に配置されている、半導体パッケージ。
【請求項4】
請求項3記載の半導体パッケージにおいて、
複数の前記信号用ボンドフィンガーが前記第1のパッド列に平行な第1のボンドフィンガー列に配置され、
複数の前記電源電圧用ボンドフィンガーおよび複数の前記接地電位用ボンドフィンガーが、前記第1のボンドフィンガー列に平行で該第1のボンドフィンガー列とは異なる第2のボンドフィンガー列に配置され、
前記第2のパッド列が前記第1のパッド列よりも前記半導体装置の外周に近い側に配置され、
前記第1のボンドフィンガー列が前記第2のボンドフィンガー列よりも前記半導体装置の外周に近い側に配置されていることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項5】
請求項1記載の半導体パッケージにおいて、
複数の前記信号用パッドが前記所定の方向に平行な第1のパッド列に配置され、
前記複数の補助パッドのうち、前記電源電圧用ボンドフィンガーに前記第2のワイヤを介して接続された補助パッドである電源電圧用補助パッドが、前記第1のパッド列に平行で該第1のパッド列とは異なる第2のパッド列に配置され、
前記複数の補助パッドのうち、前記接地電位用ボンドフィンガーに前記第2のワイヤを介して接続された補助パッドである接地電位用補助パッドが、前記第1および第2のパッド列とは異なる第3のパッド列に配置されていることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の半導体パッケージにおいて、
前記所定の方向に対して、前記電源電圧用ボンドフィンガーおよび前記接地電位用ボンドフィンガーのそれぞれは、複数の前記信号用ボンドフィンガーのうち、隣り合う2つの信号用ボンドフィンガーの間に配置されていることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の半導体パッケージにおいて、
複数の前記補助パッドは、複数の前記信号用パッドが形成された第1の導電性層の上に絶縁膜を介して設けられる第2の導電性層に形成されていることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項8】
請求項5記載の半導体パッケージにおいて、
前記複数の補助パッドは、前記複数の信号用パッドが形成された第1の導電性層の上に絶縁膜を介して設けられる第2の導電性層に形成され、
複数の前記電源電圧用補助パッドが前記第2の導電性層に形成された第1の配線で接続され、複数の前記接地電位用補助パッドが前記第2の導電性層に形成された第2の配線で接続されていることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載の半導体パッケージにおいて、
前記半導体装置が複数のメモリ素子を有し、
複数の前記信号用パッドは、前記複数のメモリ素子のうち、いずれか1つのメモリ素子を特定するためのアドレス信号、または、前記複数のメモリ素子に対して書き込みまたは読み出しを指示するためのコマンド信号が複数の前記信号用ボンドフィンガーから入力されるパッドであることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項10】
複数の信号用パッドが所定の方向に配置された第1のパッド列と、複数の補助パッドが該第1のパッド列と平行に配置された第2のパッド列とを含む第1の半導体装置と、
前記第1の半導体装置の上に搭載され、複数の信号用パッドが前記第1のパッド列に平行に配置された第3のパッド列と、複数の補助パッドが該第3のパッド列と平行に配置された第4のパッド列とを含む第2の半導体装置と、
前記第1および前記第2の半導体装置が順に搭載され、前記複数の信号用パッドに信号を供給するための複数の信号用ボンドフィンガーが前記第1のパッド列に平行に配置された第1のボンドフィンガー列と、電源電圧が印加される電源電圧用ボンドフィンガーおよび接地電位が印加される接地電位用ボンドフィンガーが交互に前記第1のボンドフィンガー列と平行に配置された、該第1のボンドフィンガー列とは異なる第2のボンドフィンガー列とを含むパッケージ基板と、を有し、
前記第2のパッド列が前記第1のパッド列よりも前記第1の半導体装置の外周に近い側に配置され、前記第2のボンドフィンガー列が前記第1のボンドフィンガー列よりも前記第1の半導体装置の外周に近い側に配置され、
前記複数の信号用ボンドフィンガーのそれぞれが、前記第1のパッド列または前記第3のパッド列に配置された複数の信号用パッドのそれぞれと第1のワイヤを介して接続され、
前記第1のパッド列に配置された複数の信号用パッドのそれぞれが前記第3のパッド列に配置された複数の信号用パッドのそれぞれと第2のワイヤを介して接続され、
前記電源電圧用ボンドフィンガーおよび前記接地電位用ボンドフィンガーのそれぞれが前記第2のパッド列に配置された複数の補助パッドのそれぞれと第3のワイヤを介して接続されていることを特徴とする、半導体パッケージ。
【請求項11】
請求項10記載の半導体パッケージにおいて、
前記所定の方向に対して、前記複数の信号用パッドのそれぞれの重心が、前記複数の補助パッドのうち、隣り合う2つの補助パッドのそれぞれの重心の間に位置していることを特徴とする半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−104707(P2012−104707A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252913(P2010−252913)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】