半導体装置およびその製造方法
【課題】 デュアルダマシン法による配線構造の製造において、接続プラグ用のホールを通じて下層配線の表面に凹部をエッチング形成するとき、上層配線用の溝の底部が過剰エッチングされないようにする。
【解決手段】 TaNなどからなり、接続プラグに対応する開口を有する導電性膜パターン112をSiOCなどからなる層間絶縁膜111と113との間に設けた後、配線溝114、ホール115を形成する。次にTaN、Taなどからなる積層導電性膜116を堆積し、ホール115の底部の積層導電性膜116を除去し、さらに下層配線を構成するCu膜109を掘り込むエッチングを行う。このとき、導電性膜パターン112があるために配線溝114の底部の下にある層間絶縁膜111のエッチングを防止できる。その後、配線溝114およびホール115内にCuなどの導電性膜117を埋め込む。
【解決手段】 TaNなどからなり、接続プラグに対応する開口を有する導電性膜パターン112をSiOCなどからなる層間絶縁膜111と113との間に設けた後、配線溝114、ホール115を形成する。次にTaN、Taなどからなる積層導電性膜116を堆積し、ホール115の底部の積層導電性膜116を除去し、さらに下層配線を構成するCu膜109を掘り込むエッチングを行う。このとき、導電性膜パターン112があるために配線溝114の底部の下にある層間絶縁膜111のエッチングを防止できる。その後、配線溝114およびホール115内にCuなどの導電性膜117を埋め込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置およびその製造方法に関し、特に信頼性が高い配線を安定して製造することができる配線構造およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置における動作速度の高速化、回路を構成する各種素子パターンの微細化にともなって、集積回路用低抵抗配線の形成技術が必要とされ、その主要な手段としてCu(銅)を主材料とした配線材料を用い、ダマシン法(シングルダマシン法またはデュアルダマシン法)で配線を形成する技術の開発・改善が続けられている。しかし、パターンの微細化が進展することにより、ダマシン法を用いて形成された多層配線構造においては、配線層間を接続するプラグと配線とが接触する領域で特にエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションなどの配線信頼性が劣化することが懸念されている。この配線信頼性を向上させる一方法として、前記プラグを埋め込むための接続孔を層間絶縁膜から下層配線表面より深い部分まで掘り込んで形成し、半導体集積回路の動作中、接続孔の部分に集中する電流を分散させるようにする技術(一般にパンチスループロセスと呼ばれる)が提案されている。
【0003】
特許文献1にはデュアルダマシン法を用いると共に上記パンチスループロセスを適用して銅配線を形成する工程例が記載されている。図16は、特許文献1に記載された、埋め込み銅配線を形成するための主要な工程を説明する工程断面図である。図16(a)に示すように、窒化タンタル膜などからなるバリア導電性膜と銅膜からなる埋め込み配線15上にエッチングストッパ膜16および層間絶縁膜19が形成されている。そして層間絶縁膜19に配線溝28を形成し、配線溝28の底面部の層間絶縁膜19とエッチングストッパ膜16に接続孔25Aを形成する。その後、配線溝28と接続孔25Aの内面にバリア導電性膜31Aを堆積する。
【0004】
次に図16(b)に示すように、スパッタエッチング法により接続孔25Aの底部のバリア導電性膜31Aを完全に除去し、さらに接続孔25Aにおけるバリア導電性膜31A下の埋め込み配線15の一部を掘り込む。それと同時に配線溝28の底面にはバリア導電性膜31Aが薄く残留するようにする。この工程は、スパッタエッチング法では深い位置ほどエッチングが進むという性質を利用している。次いで図16(c)に示すように、スパッタリング法にて配線溝28および接続孔25A内を含む層間絶縁膜19上にタンタル膜を堆積し、バリア導電性膜31Aを厚くすると共に掘り込み部分を覆う。この後、図面は省略するが配線溝28および接続孔25Aを銅膜で埋め込み、プラグと上層の埋め込み配線を形成する。
【0005】
このように下層の埋め込み配線15の一部を掘り込んでから配線溝28および接続孔25A内に埋め込み配線およびプラグを一体に形成することにより、プラグと下層の埋め込み配線15との接触面積を増加させることができる。この構造によりプラグを含む上層の埋め込み配線と下層の埋め込み配線15との間では、エレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーションなどに関し、接続特性の信頼性を向上することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−227709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1が開示するようなデュアルダマシン法による従来の配線構造の製法には次のような課題があった。すなわち従来の製造方法は特に図16(b)に示すように、スパッタエッチングを用い、接続孔25Aの底面においてはバリア導電性膜31Aを除去しさらにその下の埋め込み配線15を掘り込むという処理を行う一方で、配線溝28の底面においては、同一スパッタエッチングを受けてもバリア導電性膜31Aが残るように処理しようとするものである。
【0008】
しかしながらこのような方法では、スパッタエッチング条件によっては配線溝28の底面のバリア導電性膜31Aがすべて除去され、さらにその下の層間絶縁膜19までエッチングされて配線溝28自体の深さが変化したり、あるいはスパッタエッチングの不均一性によって、半導体基板面内で配線溝28の底面にバリア導電性膜31Aが残留する部分と残留しない部分が生じたりすることが予想される。
【0009】
さらに最近の微細化された半導体集積回路では、配線同士が極めて微小な間隔で配列されることによる配線間寄生容量の増大、層間絶縁膜厚の低減による異なる配線層間の寄生容量の増大などに起因して配線遅延が顕著に現れるようになってきており、対策として層間絶縁膜にシリコン酸化膜(SiO2)より比誘電率が小さい材料(低誘電率材料またはLow−k材料)が採用されている。低誘電率材料からなる膜(低誘電率膜)を用いると誘電率が小さいほど配線遅延を解消させることができるが、膜の密度がより小さくなる。このことは低誘電率膜のスパッタエッチング速度が大きくなることを意味する。
【0010】
従来の配線構造の製造方法において上記の低誘電率膜を層間絶縁膜19として用いたと仮定すると、スパッタエッチングにより配線溝28底面のバリア導電性膜31Aが除去されて層間絶縁膜19が露出すると、層間絶縁膜19が大きくエッチングされて薄くなる。また層間絶縁膜は、それほどのエッチングを受けなくともスパッタエッチングに用いるイオンの衝撃やイオンが膜自体に打ち込まれることによってダメージを少なからず受ける。こうしたダメージもまた比誘電率が小さいほど大きいといえる。これらが原因で上下埋め込み配線間のショート不良や埋め込み配線層間耐圧の劣化が発生し、配線構造としての製造歩留りや信頼性を悪化させる。
【0011】
また、接続孔の高さが、配線の高さ以下であることが、電気抵抗を下げる点では好ましいが、接続孔の高さを配線の高さよりも小さくすると、配線底がエッチングされやすくなり、上記課題がさらに顕在化するという課題がある。
【0012】
前記に鑑み本発明は、上記の課題を解決するものであって、プラグと配線層との接続領域におけるエレクトロマイグレーション、ストレスマイグレーションなどに対する高信頼性を維持しながら、微細化された配線構造を、特にデュアルダマシン法を用いて安定且つ歩留まりよく製造することができる半導体装置およびその半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
なお、本発明においては、上記全ての課題を解決しなくてもよいし、全ての目的を達成しなくてもよいものとする。少なくとも一つの課題を解決し、少なくとも一つの目的を達成できれば良いものとする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決することができる、本発明に係る第1の半導体装置は、半導体基板上に形成された下層配線と、前記下層配線の上層に形成された上層配線と、前記下層配線と前記上層配線を電気的に接続するプラグと、前記上層配線の底面に接して前記上層配線の下に形成された膜からなるパターンと、前記上層配線の側壁および前記プラグの側壁に形成された導電性膜と、を備え、前記プラグの直下に位置する前記下層配線の上面には凹部が形成されているものである。
【0015】
本発明に係る第1の半導体装置によれば、上層配線の底面に膜のパターンが形成された構成を有しているため、上層配線とプラグを形成する前に、プラグの直下に位置する下層配線に凹部を形成するための全面エッチングを行っても、パターンの下の層間絶縁膜が過剰にエッチングされたりダメージを受けることが防止でき、配線構造を安定に製造することができる。
【0016】
第1の半導体装置では、前記プラグと前記下層配線とが直接接するようにできる。また、前記上層配線は前記パターンの内側の領域に形成されることが望ましい。
【0017】
また前記上層配線および前記プラグは層間絶縁膜に埋め込まれて形成され、前記層間絶縁膜の比誘電率を3.5以下とすることができる。特に前記層間絶縁膜が第1の層間絶縁膜と第2の層間絶縁膜からなる場合は、前記プラグが前記第1の層間絶縁膜に埋め込まれ、前記上層配線が前記第2の層間絶縁膜に埋め込まれ、前記第1の層間絶縁膜の比誘電率を3.5以下とすることができる。
【0018】
また、前記パターンを構成する前記膜は導電性の膜または絶縁膜とすることができる。
【0019】
次に、本発明に係る第2の半導体装置は、半導体基板上に形成された下層配線と、前記下層配線の上層に形成された上層配線と、前記下層配線と前記上層配線を電気的に接続するプラグと、前記上層配線の側壁および底面に形成された被覆膜と、前記上層配線の側壁に形成された前記被覆膜上、および前記プラグの側壁に形成された第2の導電性膜と、を備え、前記プラグの直下に位置する前記下層配線の上面には凹部が形成されているものである。
【0020】
本発明に係る第2の半導体装置によれば、上層配線の側壁および底面に被覆膜が形成された構成を有しているため、上層配線とプラグを形成する前に、プラグの直下に位置する下層配線に凹部を形成するための全面エッチングを行っても、上層配線の底面の下にある層間絶縁膜が過剰にエッチングされたりダメージを受けることが防止でき、配線構造を安定に製造することができる。
【0021】
第2の半導体装置では、前記プラグと前記下層配線とが直接接するようにすることができる。また、前記上層配線および前記プラグは前記層間絶縁膜に埋め込まれて形成され、前記層間絶縁膜の比誘電率を3.5以下とすることができる。さらに前記被覆膜は導電性膜または絶縁膜とすることができる。また上記第1および第2の半導体装置では、前記上層配線の高さを前記プラグの高さ以上になっていることが望ましい。
【0022】
次に、上記課題を解決するための本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成された下層配線上に第1の層間絶縁膜を形成する工程と、前記第1の層間絶縁膜上の上層配線を形成すべき位置に、開口を有する膜からなるパターンを形成する工程と、前記パターン上および前記第1の層間絶縁膜上に第2の層間絶縁膜を形成する工程と、前記パターン上に位置する前記第2の層間絶縁膜を選択的にエッチングして前記パターンを露出させ、溝を形成する工程と、前記パターンをマスクとして前記第1の層間絶縁膜を選択的にエッチングし、前記下層配線に達するホールを形成する工程と、前記溝および前記ホールの内面に第1の導電性膜を形成する工程と、前記ホールの底面に形成された前記第1の導電性膜を除去し、前記下層配線の表面を露出させる工程と、前記露出した前記下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に第2の導電性膜を埋め込み、前記溝内に前記上層配線を形成する工程とを含む。
【0023】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法によると、第1の層間絶縁膜上の上層配線を形成すべき位置に、開口を有する膜からなるパターンを予め形成しておくので、ホールの底面に形成された第1の導電性膜を除去し、さらにその下の下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程において、溝の底面の下にある第1の層間絶縁膜が過剰にエッチングされたりダメージを受けることが防止でき、配線構造を安定に製造することができる。
【0024】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法では、前記凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に前記第2の導電性膜を埋め込む工程との間に、前記溝および前記ホールの内部に第3の導電性膜を形成する工程を行うようにすることができる。
【0025】
また、前記パターンを構成する膜は導電性膜または絶縁膜からなるものとすることができ、前記絶縁膜を選択した場合には第1の層間絶縁膜に対する前記パターンを構成する前記絶縁膜のエッチング速度が2以上であることが望ましい。また、前記第1の層間絶縁膜の比誘電率を3.5以下とすることができる。
【0026】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成された下層配線上に層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜を選択的にエッチングし、溝を形成する工程と、前記溝の内面に被覆膜を形成する工程と、前記被覆膜および前記層間絶縁膜の、前記溝の底面に位置する部分を順次選択的にエッチングし、前記下層配線に達するホールを形成する工程と、前記溝および前記ホールの内面に第1の導電性膜を形成する工程と、前記ホールの底面に形成された前記第1の導電性膜を除去し、前記下層配線の表面を露出させる工程と、前記露出した前記下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に第2の導電性膜を埋め込み、前記溝内に上層配線を形成する工程とを含む。
【0027】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法によると、前記溝の内面、特に底面に被覆膜を予め形成しておくので、ホールの底面に形成された第1の導電性膜を除去し、さらにその下の下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程において、溝の底面の下にある層間絶縁膜が過剰にエッチングされたりダメージを受けることが防止でき、配線構造を安定に製造することができる。
【0028】
第2の半導体装置の製造方法では、前記凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に前記第2の導電性膜を埋め込む工程との間に、前記溝および前記ホールの内部に第3の導電性膜を形成する工程を行うようにすることができる。また、前記被覆膜を導電性膜または絶縁膜からなるものとすることができる。
【0029】
さらに、本発明に係る第3の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成された下層配線上に層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜上に第1の被覆膜を形成する工程と、前記第1の被覆膜および前記層間絶縁膜を選択的にエッチングし、溝を形成する工程と、前記溝の内面に第2の被覆膜を形成する工程と、前記第2の被覆膜および前記層間絶縁膜の、前記溝の底面に位置する部分を順次選択的にエッチングし、前記下層配線に達するホールを形成する工程と、前記溝および前記ホールの内面に第1の導電性膜を形成する工程と、前記ホールの底面に形成された前記第1の導電性膜を除去し、前記下層配線の表面を露出させる工程と、前記露出した前記下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に第2の導電性膜を埋め込み、前記溝内に上層配線を形成する工程とを含む。
【0030】
この第3の半導体装置の製造方法によると、前記溝の内面、特に底面に第2の被覆膜を予め形成しておくので、ホールの底面に形成された第1の導電性膜を除去し、さらにその下の下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程において、溝の底面の下にある層間絶縁膜が過剰にエッチングされたりダメージを受けることが防止でき、配線構造を安定に製造することができる。本製造方法においては、第1の被覆膜をマスクに用いて層間絶縁膜を選択的にエッチングできるので、一般のフォトレジスト膜をマスクとするよりも前記溝の幅の広がりが小さく、上層配線の所定の間隔を確保できるという利点も有する。
【0031】
第3の半導体装置の製造方法においては、前記凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に前記第2の導電性膜を埋め込む工程との間に、前記溝および前記ホールの内部に第3の導電性膜を形成する工程を行うようにすることができる。また、前記第1の被覆膜を導電性膜または絶縁膜からなるものにすることができ、さらに前記第2の被覆膜も導電性膜または絶縁膜からなるものにすることができる。
【0032】
そして本発明による第1〜第3の半導体装置の製造方法では、前記層間絶縁膜の比誘電率を3.5以下とすることができる。
【発明の効果】
【0033】
以上に述べたように、本発明に係る半導体装置およびその製造方法は、上層配線の下の層間絶縁膜が過剰にエッチングされたり、ダメージを受けたりすることを抑制し、これによって上層および下層配線間のショート不良や配線層間耐圧の劣化を防止して配線構造の安定な製造を可能とする。そしてプラグと配線層との接続部におけるエレクトロマイグレーション、ストレスマイグレーションなどに対する高信頼性を有する配線構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図5】本発明の第1実施形態に係る、変形された半導体装置の製造方法で製造された半導体装置の断面図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図9】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図10】本発明の第2実施形態に係る、変形された半導体装置の製造方法で製造された半導体装置の断面図。
【図11】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図12】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図13】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図14】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図15】本発明の第3実施形態に係る、変形された半導体装置の製造方法で製造された半導体装置の断面図。
【図16】従来の半導体装置の製造方法の主要部を示す工程断面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態で使用している材料及び数値等は例示であって、それらに本発明が限定されることはない。また、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、各実施形態を適宜変更することは可能であり、さらに、実施形態同士の組み合わせなども可能である。
【0036】
(実施形態1)
図1〜図4は本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図であり、特にデュアルダマシン法を用いて少なくとも銅を主成分とする材料からなる埋め込み配線層と配線層間を接続するプラグとを一度に形成する製造方法を例示している。図1(a)に示すように、半導体基板(シリコン基板)101にソース・ドレイン領域103が形成されている。またソース・ドレイン領域103に挟まれた半導体基板101上の領域には、ゲート絶縁膜と、ゲート電極と、ゲート電極の左右に形成された絶縁材料からなるサイドウォールとで構成されるゲート102が設けられ、ソース・ドレイン領域103とゲート102とでMOS型トランジスタを構成している。
【0037】
また半導体基板101上の層間絶縁膜104はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などを含み、ソース・ドレイン領域103に達するコンタクトホールにタングステンなどの高融点金属が埋め込まれたプラグ105が形成されている。層間絶縁膜104およびプラグ105上には層間絶縁膜106が形成されている。この層間絶縁膜106は、例えばプラズマCVD法を用いて酸化シリコン(SiOx)にC(炭素) が添加されたSiOCからなる酸化シリコン系の膜(SiOC膜)を約200nmの厚さに堆積して得ることができる。ここでSiOCは厳密にはSiOxCyであり、堆積方法、堆積条件によってさまざまな組成のSi、O、Cを有する膜が形成できるが、以下の説明ではこれらを総称してSiOC膜と表記する。SiOC膜は後にも述べるが低比誘電率膜である。
【0038】
以上の構造を有する基板において、図1(b)に示すように、層間絶縁膜106を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて加工し、プラグ105の上面が露出する位置に配線溝107を形成する。図1(b)では配線溝107は幅100nm、深さ200nmであり、紙面に垂直な方向に線状に伸びている。続いて図1(c)に示すように、層間絶縁膜106および配線溝107の全面に、例えばタンタル(Ta)をターゲットとし、アルゴン(Ar)/ 窒素(N2)混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリングを用いて窒化タンタル(TaN)からなる導電性膜108を約10nmの膜厚に堆積する。次に導電性膜108上に、銅メッキのシード膜となる、例えばCu膜またはCu合金膜をスパッタリング法で堆積する。その膜厚は配線溝107の内部以外の層間絶縁膜106の平坦面上において10nm〜50nm程度、好ましくは30nm程度となるように設定する。
【0039】
続いて配線溝107内部を埋め込むようにシード膜上全面にCuメッキ膜を堆積する。このCuメッキ膜と上記シード膜とを合わせて導電性膜109とする。これに従い、図1(c)ではシード膜とCuメッキ膜とを区別して記載せず、両者の積層膜を導電性膜109として表示している。この点は以下の説明においても同様とする。配線溝107を埋め込むCuメッキ膜は、例えば電解メッキ法にてシード膜を成長下地として形成することができる。このためのメッキ液としては、例えばH2SO4(硫酸) に10%のCuSO4(硫酸銅) および配線溝107の段差部におけるCuメッキ膜のカバレージを向上させる添加剤を加えた混合液を用いることができる。続いて良質なCu膜を得るために所定の温度でアニール処理を行い、Cuメッキ膜の内部歪みを緩和させる。ここで導電性膜109の形成に先立って堆積した導電性膜108としてのTaN膜はCu膜の密着性を向上させ、またCu原子が配線溝107の周辺に存在する層間絶縁膜104、106や半導体基板101中に拡散するのを防止するバリアとして働く。
【0040】
次に図2(a)に示すように、層間絶縁膜107の上面に堆積している配線溝107内部以外の余分な導電性膜108および導電性膜109を、CMP法(化学機械的研磨法)を用いて研磨除去して配線溝107内部に導電性膜109からなる下層埋め込み配線を形成する。次に図2(b)に示すように、下層埋め込み配線および層間絶縁膜106上の全面に渡って炭化シリコン膜(以下SiC膜と表記する)または窒化炭化シリコン膜(以下SiCN膜と表記する)を例えばプラズマCVD法を用いて約50nmの厚さに堆積してエッチングストッパ膜110を形成する。
【0041】
続いてエッチングストッパ膜110の表面上に低比誘電率を有するSiOC膜などからなる層間絶縁膜111を、例えばプラズマCVD法を用いて約100nmの厚さに堆積する。次に図2(c)に示すように、層間絶縁膜111上に例えばTaNからなる薄い導電性膜を反応性スパッタリング法を用いて約15nmの厚さに堆積した後、フォトリソグラフィ技術によるレジストパターンおよびドライエッチング技術を用いて当該導電性膜のパターニングを行い、導電性膜パターン112を形成する。この導電性膜パターン112は後の工程で形成される上層埋め込み配線とほぼ等しい形状および寸法を有しており、しかも導電性膜109からなる下層配線の直上に位置する所定の部分にホール状の開口が形成されている。導電性パターン112を形成するためのドライエッチング、およびドライエッチング後のレジストパターンのプラズマアッシング等によって層間絶縁膜111の表層部にダメージ層が形成されるが、例えばHF:H2O=1:100程度の希フッ酸洗浄などによりダメージ層を除去することが望ましい。
【0042】
この導電性膜パターン112は導電性膜の代わりに絶縁膜を使用しても良い。この場合、絶縁膜材料としてエッチングによる膜のパターニングの際に下地の層間絶縁膜111がエッチングされ難い材料を選択する必要があり、層間絶縁膜111に対するエッチング速度比は2以上であることが望ましい。
【0043】
次に層間絶縁膜111および導電性膜パターン112上に例えばSiOC膜からなる層間絶縁膜113をプラズマCVD法で約300nmの厚さに堆積する。このとき層間絶縁膜113は層間絶縁膜111と同一の物性を有する材料からなるものとすることが望ましい。次に図3(a)に示すように、図示していないが層間絶縁膜113上に、上層埋め込み配線と同形状のパターンを有する開口が形成されたレジスト膜パターンを形成し、これをマスクとして層間絶縁膜113、111、エッチングストッパ膜110を順次選択的にエッチングする。このエッチングおいては、最初層間絶縁膜113に上層埋め込み配線に対応する深さ300nmの配線溝114が形成され、当該配線溝の底部に導電性パターン112が露出した時点で層間絶縁膜113より導電性膜パターン112のエッチング速度が小さいためにエッチングがほぼ停止する。導電性膜パターン112が露出した後この導電性膜パターン112をマスクとして導電性膜パターン112に設けられたホール状開口から層間絶縁膜111のエッチングが進行し、エッチングストッパ膜110が露出した時点でエッチングがほとんど進まなくなるのでエッチングを停止する。
【0044】
この後、さらにエッチング条件を変更し、導電性膜パターン112および層間絶縁膜111をマスクとしてエッチングストッパ膜110をエッチングし導電性膜(Cuメッキ膜)109を露出させる。こうして層間絶縁膜111、エッチングストッパ膜110を貫通して導電性膜109に達するホール115が形成される。層間絶縁膜113、111は導電性膜パターン112に対するエッチング速度の選択比が高い条件で行うことが必要であり、例えばCF4+C4F8+ArのようなCF系の混合ガスを用いることができる。図3(a)では、便宜上下層埋め込み配線の幅より広い配線溝114が形成される部分を示しているが、図に示されない部分には下層配線幅と同一の幅100nmを有する配線溝114も形成される。
【0045】
次に図3(b)に示すように配線溝114およびホール115の側壁および底面、層間絶縁膜113上に例えばTaN、Ta膜を順次下層から積層した積層導電性膜116を約15nm程度の厚さに堆積する。この積層導電性膜116はイオン・メタル・プラズマスパッタリング法(IMP法)を用いて堆積することが望ましい。IMP法は、ステージに被処理基板を設置し、堆積すべき膜材料からなるターゲットを被処理基板に対向させ、スパッタリングガス雰囲気中において上記のターゲットにDC電圧または高周波電圧を印加し、同時にステージから被処理基板へ高周波バイアスを印加しながら材料膜を被処理基板上へスパッタリング堆積する方法である。非処理基板に高周波バイアスが印加されると、非処理基板付近にスパッタリングガスプラズマによる負電位が生じ、ターゲットからの正の材料イオンを被処理基板方向へ引きつけることができる。このこととスパッタリングガス圧の調整などによってアスペクト比の高い配線溝114、ホール115内面に段差被覆性よく膜堆積を実施することができる。この方法は図1(c)の工程における導電性膜108(TaN)の堆積や、CuまたはCu合金からなるシード膜の堆積にも採用することができる。
【0046】
次に図4(a)に示すように、スパッタエッチング法によりホール115の底部に堆積していた積層導電性膜116をすべて除去し、さらにその下の下層埋め込み配線の露出部(導電性膜109)を約15nm程度掘り込み凹部を形成する。このとき配線溝114とホール115のアスペクト比の違いなどから配線溝114底部の積層導電性膜116のエッチング速度はホール115の底部の積層導電性膜116より大きく、ホール115の底部におけるよりも速くエッチングされるため除去されてなくなり、その下の導電性膜パターン112までスパッタエッチングされる。しかしこの導電性膜パターン112は、約15nmの掘り込みを行う場合は約7nmエッチングされたところでエッチングが終了し、導電性膜パターン112のすべてが除去されることがない。
【0047】
このスパッタエッチング処理はイオン・メタル・プラズマスパッタリング装置のチャンバ内で、積層導電性膜116の堆積に連続して行うことができる。スパッタリング装置には例えば上に述べたターゲットとステージ間の空間を取り囲むように高周波コイルおよびDCコイルが設けられており、スパッタエッチングはチャンバ内にArなどの希ガスまたは不活性ガスを導入した後、ターゲットにDC電圧を印加し、ステージに高周波電圧を印加し、さらに高周波コイルに高周波電圧を、DCコイルにDC電圧をそれぞれ印加して行う。このようにして高周波放電によって発生させたArなどのスパッタエッチングガスプラズマで積層導電性膜116をイオン衝撃しエッチングを進行させる。上記各DC電圧、各高周波電圧の値はそれぞれ独立に設定することが可能であり、プラズマが積層導電性膜116に対してエッチングモードとなるように設定すればよい。
【0048】
次に図4(b)に示すように、配線溝114、ホール115内の積層導電性膜116上、導電性膜パターン112上、およびホール115底面の導電性膜109上を含む全面にCuまたはCu合金からなるシード膜をIMP法を用いて堆積し、続いてCuメッキ膜を電解メッキ法で堆積する。こうしてシード膜およびCuメッキ膜からなる導電性膜117を配線溝114、ホール115に埋め込む。次に配線溝114、ホール115内部以外の部分に堆積している導電性膜117および積層導電性膜116をCMP法により研磨し除去することで導電性膜117で構成される上層埋め込み配線構造を形成する。ここで導電性膜117の配線溝114内に埋め込まれた部分が上層埋め込み配線となり、ホール115内に埋め込まれた部分が接続用プラグとなる。また図4(a)の工程で下層埋め込み配線の導電性膜109の掘り込みエッチングを行ったことによって下層埋め込み配線とプラグとの接触面積が増大しており、この部分でのエレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等接続特性の信頼性を向上させることができる。
【0049】
本実施形態において、導電性膜パターン112の幅を配線溝114と同一幅にしても良いが、図3(a)の工程において配線溝114をエッチング形成するときに導電性膜パターン112をエッチング停止膜としなければならないので、例えばその寸法を配線溝114の幅より片側約10nm大きくし、配線溝114または上層埋め込み配線の全体が導電性膜パターン112の領域より内側に形成されるようにすることが望ましい。このようにすればフォトリソグラフィ工程において配線溝114のレジストパターンに、導電性膜パターン112に対する位置合わせずれが生じても、配線溝114の一部が導電性膜112上からはずれ、層間絶縁膜111の不必要な部分がエッチングされることがなくなる。また本実施形態において採用したエッチングストッパ膜110としてのSiC膜またはSiCN膜は下層埋め込み配線の導電性膜109を構成するCuが層間絶縁膜111および113へ拡散するのを防止することを通じてそれらの絶縁性を保持する役目を果たしている。また本実施形態による半導体装置において、層間絶縁膜113の厚さは層間絶縁膜111より厚いので上層埋め込み配線の高さはプラグの高さより高いが、両者の高さを同一にしてもよい。このようにして、プラグの高さを配線の高さ以下にすることにより、電気抵抗をより小さくすることができると共に、本発明の効果がより発揮されることとなる。
【0050】
本発明の第1実施形態に係る製造方法は次のように変形しても良い。図5は当該変形された製造方法で形成した半導体装置の断面図である。この半導体装置の製造方法においては図1(a)〜図4(a)までの工程を終了した後、IMP法を用いて例えばTa膜からなる導電性膜118を約8nm堆積した点が異なる。導電性膜118の堆積後は図4(b)と同様にCuまたはCu合金からなるシード膜、Cuメッキ膜を堆積し、配線溝114およびホール115内部に導電性膜116、117、118を埋め込み、上層埋め込み配線を形成する。
【0051】
この方法で製造される構造により、特に上層埋め込み配線のプラグ部と下層埋め込み配線との接続部でのエレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等の銅配線に関する接続特性の信頼性をさらに向上させることが可能となる。また、最初に述べた本実施形態による方法では、配線溝114底面の導電性膜パターン112の膜厚はスパッタエッチング(図4(a))によって薄くなるが、変形された方法では導電性膜118を追加形成するので、薄くなった導電性膜112に対するバリア性をより確実に確保することができるという利点を有する。
【0052】
本発明の第1実施形態に係る製造方法では、図2(c)の工程において上層埋め込み配線と本質的に同形状の導電性膜パターン112を予め形成しておき、この後図4(a)の工程で下層埋め込み配線の導電性膜109を掘り込むエッチングを行う。このため、掘り込みエッチングが過剰になったり、エッチング速度が半導体基板内でばらつき、配線溝114の底面の積層導電性膜116の少なくとも一部が完全に除去されたとしても導電性膜パターン112があることによりその下の層間絶縁膜111がエッチングされること、および層間絶縁膜111がダメージを受けることが防止でき、デュアルダマシン法によって配線構造を安定且つ歩留まりよく製造することができる。導電性膜パターン112の膜厚はホール115の底部の積層導電性膜116を除去し、さらに下層埋め込み配線の導電性膜109の掘り込みエッチングが終了した時点で、導電性膜パターン112自体が残るような膜厚に設定すればよい。
【0053】
以上のことから第1実施形態に係る製造方法によれば、エレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等の埋め込み配線層間の信頼性を確保できると共に上下埋め込み配線層間のショート不良や埋め込み配線層間耐圧劣化が抑制された信頼性の良好な半導体装置が得られる。
【0054】
(実施形態2)
図6〜図9は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図であり、半導体基板にMOS型トランジスタが形成された半導体装置の一部分を示すものである。この実施形態ではまず、図1(a)〜(c)、図2(a)に示す第1実施形態と同一の工程を行う。したがってこの工程部分については詳細な説明を省略する。また図6〜図9についても第1の実施形態の半導体装置と同一の部分には同一の符号を付与し、説明を省略する。図2(c)の工程を実施した後、図6(a)に示すように、導電性膜109からなる下層埋め込み配線および層間絶縁膜106上に例えばプラズマCVD法を用いてSiC膜またはSiCN膜からなるエッチングストッパ膜110を約50nmの厚さに堆積し、続いてエッチングストッパ膜110の表面上に例えばプラズマCVD法を用いてSiOCからなる層間絶縁膜120を約400nmの厚さに堆積する。
【0055】
次に図6(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用い、層間絶縁膜120の下層配線とオーバーラップする領域を選択的にエッチングして深さ300nmの配線溝121を形成する。図6(b)では下層配線の幅より大きい幅を有する配線溝121を表示しているが、図面が表示しない他の領域には下層配線と同様幅100nmの配線溝も形成される。次に配線溝121を含む層間絶縁膜120上の全面を被覆するように、例えばIMP法を用い、第1の実施形態と同様の条件でTaNからなる導電性膜122を約10nmの厚さに堆積する。
【0056】
次に図7(a)に示すように、配線溝121を覆うようにフォトレジスト膜123を形成する。このフォトレジスト膜123は下層埋め込み配線上に直径100nmの開孔パターンを有している。フォトレジスト膜123をパターンニングするにあたって、配線溝121の段差(深さ)が原因でフォトレジスト膜厚が不均一となりパターンニング不良が生じる場合は、1回目のフォトレジスト膜塗布後、ドライエッチングまたはCMP法を用いて層間絶縁膜120上の余剰なフォトレジスト膜123を除去し、配線溝121内のみにフォトレジスト膜を残して全表面を平坦にし、その上から再度フォトレジスト膜を塗布した後パターニングを実施する。このようにするとパターニングすべき箇所のフォトレジスト膜厚が均一となり開孔パターンを正確に形成することができる。
【0057】
次に図7(b)に示すように、フォトレジスト膜123をマスクとして導電性膜122および層間絶縁膜120を選択的にドライエッチングし、エッチングストッパ膜110の表面が露出するとエッチングがほとんど進行しなくなるのでエッチングを停止する。膜122として導電性膜を使用しているが絶縁膜を使用しても良い。この場合、本エッチングにおいて下地の層間絶縁膜120に対して選択的にエッチングできる方がよいので、膜122の層間絶縁膜120に対するエッチング速度比は2以上であることが望ましい。次にエッチング条件を変更して層間絶縁膜120をマスクとしてエッチングストッパ膜を選択的にエッチングしホール124を形成して下層埋め込み配線のCuからなる導電性膜109の表面を露出させる。
【0058】
次に図8(a)に示すように、配線溝121およびホール124の側壁および底面を含む層間絶縁膜120上に、例えばTaN膜およびTa膜を順次下層から積層した積層導電性膜125をIMP法を用いて第1の実施形態と同様の条件で約15nmの厚さに堆積する。次に図8(b)に示すように、Arなどの希ガスまたは不活性ガスをスパッタエッチングガスとし、スパッタエッチング法によりホール124の底部に堆積した積層導電性膜125を除去し、さらにホール124の下に露出する下層埋め込み配線を構成する導電性膜109の一部を約15nm程度掘り込む。このとき配線溝121とホール124の断面のアスペクト比の違いにより配線溝121底部の積層導電性膜125は、ホール124底部の積層導電性膜125よりエッチング速度が大きく速く除去されるため、積層導電性膜125が完全に除去された後さらに下の導電性膜122の一部もスパッタエッチングされる。しかしすべてがエッチングされることがなく、掘り込みスパッタエッチング終了時に配線溝121底部の導電性膜122は約7nmエッチングされるに留まる。このスパッタエッチング処理はイオン・メタル・プラズマスパッタリング装置のチャンバ内で、積層導電性膜125の堆積に連続して、第1実施形態と同様の条件で行うことができる。
【0059】
次に図9に示すように配線溝121内の導電性膜122および積層導電性膜125上、ホール124内の積層導電性膜125上およびホール124底面の導電性膜109上を含む全面にCuまたはCu合金からなるシード膜をIMP法を用いて堆積し、続いてCuメッキ膜を電解メッキ法で堆積する。こうしてシード膜およびCuメッキ膜からなる導電性膜126を配線溝121、ホール124内に埋め込む。次に配線溝121、ホール124内部以外の部分に堆積している導電性膜122、126および積層導電性膜125をCMP法により研磨し除去することで導電性膜126で構成される上層埋め込み配線構造を形成する。導電性膜126の配線溝121内に埋め込まれた部分が上層埋め込み配線を構成し、ホール115内に埋め込まれた部分が接続用プラグを構成する。また図8(b)の工程で下層埋め込み配線の導電性膜109に掘り込みエッチングを行ったことによって下層配線とプラグとの接触面積が増大し、この部分でのエレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等接続特性の信頼性を向上させることができる。
【0060】
なお、配線溝121の深さはホール124の深さより深く形成し、上層埋め込み配線の高さがプラグの高さより高くなるようにしたが、両者の高さを同一にしてもよい。このようにして、プラグの高さを配線の高さ以下にすることにより、電気抵抗をより小さくすることができると共に、本発明の効果がより発揮されることとなる。
【0061】
本発明の第2実施形態に係る製造方法は次のように変形しても良い。図10は当該変形された製造方法で形成した半導体装置の断面図である。この半導体装置の製造方法においては本実施形態による製造方法に従って図8(b)までの工程を終了した後、IMP法を用いて例えばTa膜からなる導電性膜127を約8nm堆積した点が異なる。導電性膜127の堆積後は図9と同様に配線溝121およびホール124内部にCuまたはCu合金からなるシード膜、Cuメッキ膜を堆積することによってこの両者の膜からなる導電性膜126を形成し、配線溝121およびホール124内部に導電性膜122、126、127、積層導電性膜125を埋め込み、上層埋め込み配線を形成する。
【0062】
この方法で製造される構造により、特に上層の埋め込み配線のプラグ部と下層の埋め込み配線との接続部でのエレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等の銅配線に関する接続特性の信頼性をさらに向上させることが可能となる。また、最初に述べた第2実施形態による方法では、配線溝121底面の導電性膜122の膜厚はスパッタエッチング(図8(b))によって薄くなるが、変形された方法では導電性膜127を追加形成するので、薄くなった導電性膜122に対するバリア性をより確実に確保することができるという利点を有する。
【0063】
本発明の第2実施形態に係る製造方法では、図6(b)の工程において導電性膜122を予め形成しておき、この後図8(b)の工程で下層埋め込み配線の導電性膜109を掘り込むエッチングを行う。このため、掘り込みエッチングが過剰になったり、エッチング速度が半導体基板内でばらつき、配線溝121の底面の積層導電性膜125の少なくとも一部が完全に除去されたとしても下に導電性膜122があることによりその下の層間絶縁膜120がエッチングされること、および層間絶縁膜120がダメージを受けることが防止でき、デュアルダマシン法によって配線構造を安定且つ歩留まりよく製造することができる。導電性膜122の膜厚はホール124の底部の積層導電性膜125を除去し、さらに下層埋め込み配線の導電性膜109の掘り込みエッチングが終了した時点で、配線溝121の底面に導電性膜122自体が残るような膜厚に設定すればよい。
【0064】
(実施形態3)
図11〜図14は本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図であり、半導体基板にMOS型トランジスタが形成された半導体装置の一部分を示すものである。この実施形態ではまず、図1(a)〜(c)、図2(a)に示す第1実施形態と同一の工程を行う。したがってこれらの工程部分については詳細な説明を省略する。また図11〜図14についても第1実施形態の半導体装置と同一部分には同一符号を付与し、説明は省略する。図2(a)の工程を実施した後、図11(a)に示すように、導電性膜109からなる下層埋め込み配線および層間絶縁膜106上に例えばプラズマCVD法を用いてSiC膜またはSiCN膜からなるエッチングストッパ膜110を約50nmの厚さに堆積し、続いてエッチングストッパ膜110の表面上に例えばプラズマCVD法を用いてSiOCからなる層間絶縁膜120を約400nmの厚さに堆積する。さらに層間絶縁膜120上を被覆して例えばTaNなどからなる導電性膜130をIMP法を用いて約30nmの厚さに堆積する。
【0065】
次に図11(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて、まず導電性膜130のみを選択的にエッチングし、続いて導電性膜130をマスクとして層間絶縁膜120を選択的にドライエッチングし、深さ300nmの配線溝131を下層埋め込み配線上に形成する。なお、膜130は導電性膜としたが絶縁膜としても良い。この場合は層間絶縁膜120に対して膜130を選択的にエッチングできる材料とする必要があり、膜130の、層間絶縁膜120に対するエッチング速度比は2以上とすることが望ましい。図11(b)では下層配線の幅より大きい幅を有する配線溝131を表示しているが、図面が表示しない他の領域には下層配線と同様幅100nmの配線溝も形成される。次に例えばTaNからなる導電性膜132をIMP法を用いて第1の実施形態と同様の条件で配線溝131の内部および導電性膜130上を被覆するように約10nmの厚さに堆積する。
【0066】
次に図12(a)に示すように、配線溝131を覆うようにフォトレジスト膜133を形成する。このフォトレジスト膜133は下層埋め込み配線上に開孔パターンを有している。フォトレジスト膜133をパターンニングするにあたって、配線溝131の段差(深さ)が原因でフォトレジスト膜厚が不均一となりパターンニング不良が生じる場合、第2実施形態と同様に1回目のフォトレジスト膜塗布後、ドライエッチングまたはCMP法を用いて配線溝131内部以外に形成されている余剰なフォトレジスト膜133を除去し、配線溝131内のみにフォトレジストが残るようにして全表面を平坦化し、再度フォトレジスト膜を塗布して開孔のパターニングを実施する。
【0067】
次に図12(b)に示すように、フォトレジスト膜133をマスクとして導電性膜132および層間絶縁膜120を選択的にドライエッチングし、エッチングストッパ膜110の表面が露出するとエッチングがほとんど進行しなくなるのでエッチングを停止する。本実施形態では膜132は導電性膜としているが絶縁膜を使用しても良い。この場合、本工程のエッチングにおいて下地の層間絶縁膜120と選択的にエッチングできる方がよいので、層間絶縁膜120に対する膜132のエッチング速度比は2以上であることが望ましい。次にエッチング条件を変更して層間絶縁膜120をマスクとしてエッチングストッパ膜110を選択的にエッチングしホール134を形成して下層埋め込み配線のCuからなる導電性膜109の表面を露出させる。
【0068】
次に図13(a)に示すように、配線溝131およびホール134の側壁および底面を含む層間絶縁膜120上に、例えばTaN膜およびTa膜を順次下層から積層した積層導電性膜135をIMP法を用いて第1の実施形態と同様の条件で約15nmの厚さに堆積する。次に図13(b)に示すように、スパッタエッチング法によりホール134の底部の積層導電性膜135を除去し、さらにホール134の下に露出する下層埋め込み配線を構成する導電性膜109の一部を約15nm程度掘り込む。このとき配線溝131とホール134の断面のアスペクト比の違いにより配線溝131底部の積層導電性膜135は、ホール134底部の積層導電性膜135よりエッチング速度が大きく速くエッチングされるため、この部分の積層導電性膜135が完全に除去された後さらにその下の導電性膜132の一部もスパッタエッチングされる。しかしすべてがエッチングされることがなく、掘り込みスパッタエッチング終了時点では配線溝131底部の導電性膜132は約7nmエッチングされるに留まる。このスパッタエッチング処理はイオン・メタル・プラズマスパッタリング装置のチャンバ内で、積層導電性膜135の堆積に連続して、第1実施形態と同様の条件で行うことができる。
【0069】
続いて図14に示すように配線溝131内の導電性膜132および積層導電性膜135上、ホール134内の積層導電性膜135上およびホール135底面の導電性膜109上を含む全面にCuまたはCu合金からなるシード膜をIMP法を用いて堆積し、続いてCuメッキ膜を電解メッキ法で堆積する。こうしてシード膜およびCuメッキ膜からなる導電性膜136を配線溝131、ホール134内に埋め込む。次に配線溝131、ホール134内部以外の部分に堆積している導電性膜132、136および積層導電性膜135をCMP法により研磨し除去することで導電性膜136で構成される上層埋め込み配線構造を形成する。導電性膜136の配線溝131内に埋め込まれた部分が上層埋め込み配線を構成し、ホール134内に埋め込まれた部分が接続用プラグを構成する。また図13(b)の工程で導電性膜109の掘り込みエッチングを行ったことによって下層配線とプラグとの接触面積が増大し、この部分でのエレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等接続特性の信頼性を向上させることができる。
【0070】
なお、配線溝131の深さはホール134の深さより深く形成し、上層埋め込み配線の高さがプラグの高さより高くなるようにしたが、両者の高さを同一にしてもよい。このようにして、プラグの高さを配線の高さ以下にすることにより、電気抵抗をより小さくすることができると共に、本発明の効果がより発揮されることとなる。
【0071】
本発明の第3実施形態に係る製造方法は次のように変形しても良い。図15は当該変形された製造方法で形成した半導体装置の断面図である。この半導体装置の製造方法においては本実施形態による製造方法に従って図13(b)までの工程を終了した後、IMP法を用いて例えばTa膜からなる導電性膜137を約8nm堆積した点が異なる。導電性膜137の堆積後は図14の工程と同様に配線溝131およびホール134の内部にCuまたはCu合金からなるシード膜、Cuメッキ膜を堆積し、配線溝131およびホール134内部に導電性膜132、137、シード膜とCuメッキ膜からなる導電性膜136、積層導電性膜135を埋め込み、上層埋め込み配線を形成する。
【0072】
この方法で製造される構造により、特に上層の埋め込み配線のプラグ部と下層の埋め込み配線との接続部でのエレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等の銅配線に関する接続特性の信頼性をさらに向上させることが可能となる。また、最初に述べた第3実施形態による方法では、配線溝131底面の導電性膜132の膜厚はスパッタエッチング(図13(b))によって薄くなるが、変形された方法では導電性膜137を追加形成するので、薄くなった導電性膜132に対するバリア性をより確実に確保することができるという利点を有する。
【0073】
本発明の第3実施形態に係る製造方法では、図11(b)の工程において導電性膜132を予め形成しておき、この後図13(b)の工程で下層埋め込み配線の導電性膜109を掘り込むエッチングを行う。このため第2実施形態と同様に導電性膜132によりその下の層間絶縁膜120がエッチングされること、および層間絶縁膜120がダメージを受けることが防止でき、デュアルダマシン法によって配線構造を安定且つ歩留まりよく製造することができる。導電性膜132の膜厚はホール134の底部の積層導電性膜135を除去し、さらに下層埋め込み配線の導電性膜109の掘り込みエッチングが終了した時点で、配線溝131の底面に導電性膜132自体が残るような膜厚に設定すればよい。
【0074】
また、本実施形態による製造方法では導電性膜130が、図11(b)の工程における層間絶縁膜120のエッチングに際してエッチングされ難い(エッチング速度選択比が大きい)材料からなるのでドライエッチングのハードマスクとして作用する。配線溝131を形成する場合(図11(b)の工程)、フォトレジスト膜のみをドライエッチングマスクとしたときはフォトレジスト膜もエッチングされて配線溝131の幅が広がり上層埋め込み配線相互の間隔が狭くなる問題がある。しかし本実施形態のように導電性膜130をハードマスクとして用いることで、上層埋め込み配線間の距離を正確に確保することができ、配線間の耐圧劣化や配線間ショート不良を防止することができる。
【0075】
以上の第1〜第3の実施形態では、導電性膜パターン112、導電性膜122、130、132の材料としてTaN膜を例示したが、これに限られたものではない。タンタル(Ta)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)、窒化ルテニウム(RuN)、コバルト(Co)、コバルトタングステンリン(CoWP) などの高融点金属、高融点金属の化合物または合金、あるいはアルミニウム(Al)系金属を用いても良い。あるいはまた材料として層間絶縁膜111、120とスパッタエッチング速度の選択比がとれ、スパッタエッチングされにくい絶縁膜を使用してもよい。この絶縁膜としてはSiN、SiCN、SiC、比誘電率が3.9〜4.0のSiO2膜などを挙げることができる。
【0076】
また層間絶縁膜111、120の材料としては半導体集積回路の素子寸法が微小になり、また回路の動作速度が高くなるにしたがって低比誘電率材料が使用される。その主要材料は上記各実施形態で示したSiOCであるがこれ以外にSiOCHなどが可能である。このような層間絶縁膜はシリコンの有機化合物を原材料として低温プラズマCVD法やスピンコート法で作製することができる。比誘電率は用途に応じて3.5〜2.0が使用可能であり、望ましくは3.0〜2.0とできるが比誘電率が低くなるほど密度が低くエッチング速度が大きくなるという性質を有する。特に内部に微細な空隙を多数有するポーラスSiOCなどの絶縁材料は低い比誘電率を有する。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明はデュアルダマシン法を用いて特に配線層間接続部におけるエレクトロマイグレーション、ストレスマイグレーションなどに対する信頼性の高い多層配線を安定して歩留まりよく形成するために有用である。
【符号の説明】
【0078】
101 半導体基板
102 ゲート
103 ソース・ドレイン領域
104、106、111、113、120 層間絶縁膜
105 プラグ
107、114、121、131 配線溝
108、109、117、118、122、126、127、130、132、136、137 導電性膜
110 エッチングストッパ膜
112 導電性膜パターン
115、124、134 ホール
116、125、135 積層導電性膜
123、133 フォトレジスト膜
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置およびその製造方法に関し、特に信頼性が高い配線を安定して製造することができる配線構造およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置における動作速度の高速化、回路を構成する各種素子パターンの微細化にともなって、集積回路用低抵抗配線の形成技術が必要とされ、その主要な手段としてCu(銅)を主材料とした配線材料を用い、ダマシン法(シングルダマシン法またはデュアルダマシン法)で配線を形成する技術の開発・改善が続けられている。しかし、パターンの微細化が進展することにより、ダマシン法を用いて形成された多層配線構造においては、配線層間を接続するプラグと配線とが接触する領域で特にエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションなどの配線信頼性が劣化することが懸念されている。この配線信頼性を向上させる一方法として、前記プラグを埋め込むための接続孔を層間絶縁膜から下層配線表面より深い部分まで掘り込んで形成し、半導体集積回路の動作中、接続孔の部分に集中する電流を分散させるようにする技術(一般にパンチスループロセスと呼ばれる)が提案されている。
【0003】
特許文献1にはデュアルダマシン法を用いると共に上記パンチスループロセスを適用して銅配線を形成する工程例が記載されている。図16は、特許文献1に記載された、埋め込み銅配線を形成するための主要な工程を説明する工程断面図である。図16(a)に示すように、窒化タンタル膜などからなるバリア導電性膜と銅膜からなる埋め込み配線15上にエッチングストッパ膜16および層間絶縁膜19が形成されている。そして層間絶縁膜19に配線溝28を形成し、配線溝28の底面部の層間絶縁膜19とエッチングストッパ膜16に接続孔25Aを形成する。その後、配線溝28と接続孔25Aの内面にバリア導電性膜31Aを堆積する。
【0004】
次に図16(b)に示すように、スパッタエッチング法により接続孔25Aの底部のバリア導電性膜31Aを完全に除去し、さらに接続孔25Aにおけるバリア導電性膜31A下の埋め込み配線15の一部を掘り込む。それと同時に配線溝28の底面にはバリア導電性膜31Aが薄く残留するようにする。この工程は、スパッタエッチング法では深い位置ほどエッチングが進むという性質を利用している。次いで図16(c)に示すように、スパッタリング法にて配線溝28および接続孔25A内を含む層間絶縁膜19上にタンタル膜を堆積し、バリア導電性膜31Aを厚くすると共に掘り込み部分を覆う。この後、図面は省略するが配線溝28および接続孔25Aを銅膜で埋め込み、プラグと上層の埋め込み配線を形成する。
【0005】
このように下層の埋め込み配線15の一部を掘り込んでから配線溝28および接続孔25A内に埋め込み配線およびプラグを一体に形成することにより、プラグと下層の埋め込み配線15との接触面積を増加させることができる。この構造によりプラグを含む上層の埋め込み配線と下層の埋め込み配線15との間では、エレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーションなどに関し、接続特性の信頼性を向上することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−227709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1が開示するようなデュアルダマシン法による従来の配線構造の製法には次のような課題があった。すなわち従来の製造方法は特に図16(b)に示すように、スパッタエッチングを用い、接続孔25Aの底面においてはバリア導電性膜31Aを除去しさらにその下の埋め込み配線15を掘り込むという処理を行う一方で、配線溝28の底面においては、同一スパッタエッチングを受けてもバリア導電性膜31Aが残るように処理しようとするものである。
【0008】
しかしながらこのような方法では、スパッタエッチング条件によっては配線溝28の底面のバリア導電性膜31Aがすべて除去され、さらにその下の層間絶縁膜19までエッチングされて配線溝28自体の深さが変化したり、あるいはスパッタエッチングの不均一性によって、半導体基板面内で配線溝28の底面にバリア導電性膜31Aが残留する部分と残留しない部分が生じたりすることが予想される。
【0009】
さらに最近の微細化された半導体集積回路では、配線同士が極めて微小な間隔で配列されることによる配線間寄生容量の増大、層間絶縁膜厚の低減による異なる配線層間の寄生容量の増大などに起因して配線遅延が顕著に現れるようになってきており、対策として層間絶縁膜にシリコン酸化膜(SiO2)より比誘電率が小さい材料(低誘電率材料またはLow−k材料)が採用されている。低誘電率材料からなる膜(低誘電率膜)を用いると誘電率が小さいほど配線遅延を解消させることができるが、膜の密度がより小さくなる。このことは低誘電率膜のスパッタエッチング速度が大きくなることを意味する。
【0010】
従来の配線構造の製造方法において上記の低誘電率膜を層間絶縁膜19として用いたと仮定すると、スパッタエッチングにより配線溝28底面のバリア導電性膜31Aが除去されて層間絶縁膜19が露出すると、層間絶縁膜19が大きくエッチングされて薄くなる。また層間絶縁膜は、それほどのエッチングを受けなくともスパッタエッチングに用いるイオンの衝撃やイオンが膜自体に打ち込まれることによってダメージを少なからず受ける。こうしたダメージもまた比誘電率が小さいほど大きいといえる。これらが原因で上下埋め込み配線間のショート不良や埋め込み配線層間耐圧の劣化が発生し、配線構造としての製造歩留りや信頼性を悪化させる。
【0011】
また、接続孔の高さが、配線の高さ以下であることが、電気抵抗を下げる点では好ましいが、接続孔の高さを配線の高さよりも小さくすると、配線底がエッチングされやすくなり、上記課題がさらに顕在化するという課題がある。
【0012】
前記に鑑み本発明は、上記の課題を解決するものであって、プラグと配線層との接続領域におけるエレクトロマイグレーション、ストレスマイグレーションなどに対する高信頼性を維持しながら、微細化された配線構造を、特にデュアルダマシン法を用いて安定且つ歩留まりよく製造することができる半導体装置およびその半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
なお、本発明においては、上記全ての課題を解決しなくてもよいし、全ての目的を達成しなくてもよいものとする。少なくとも一つの課題を解決し、少なくとも一つの目的を達成できれば良いものとする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決することができる、本発明に係る第1の半導体装置は、半導体基板上に形成された下層配線と、前記下層配線の上層に形成された上層配線と、前記下層配線と前記上層配線を電気的に接続するプラグと、前記上層配線の底面に接して前記上層配線の下に形成された膜からなるパターンと、前記上層配線の側壁および前記プラグの側壁に形成された導電性膜と、を備え、前記プラグの直下に位置する前記下層配線の上面には凹部が形成されているものである。
【0015】
本発明に係る第1の半導体装置によれば、上層配線の底面に膜のパターンが形成された構成を有しているため、上層配線とプラグを形成する前に、プラグの直下に位置する下層配線に凹部を形成するための全面エッチングを行っても、パターンの下の層間絶縁膜が過剰にエッチングされたりダメージを受けることが防止でき、配線構造を安定に製造することができる。
【0016】
第1の半導体装置では、前記プラグと前記下層配線とが直接接するようにできる。また、前記上層配線は前記パターンの内側の領域に形成されることが望ましい。
【0017】
また前記上層配線および前記プラグは層間絶縁膜に埋め込まれて形成され、前記層間絶縁膜の比誘電率を3.5以下とすることができる。特に前記層間絶縁膜が第1の層間絶縁膜と第2の層間絶縁膜からなる場合は、前記プラグが前記第1の層間絶縁膜に埋め込まれ、前記上層配線が前記第2の層間絶縁膜に埋め込まれ、前記第1の層間絶縁膜の比誘電率を3.5以下とすることができる。
【0018】
また、前記パターンを構成する前記膜は導電性の膜または絶縁膜とすることができる。
【0019】
次に、本発明に係る第2の半導体装置は、半導体基板上に形成された下層配線と、前記下層配線の上層に形成された上層配線と、前記下層配線と前記上層配線を電気的に接続するプラグと、前記上層配線の側壁および底面に形成された被覆膜と、前記上層配線の側壁に形成された前記被覆膜上、および前記プラグの側壁に形成された第2の導電性膜と、を備え、前記プラグの直下に位置する前記下層配線の上面には凹部が形成されているものである。
【0020】
本発明に係る第2の半導体装置によれば、上層配線の側壁および底面に被覆膜が形成された構成を有しているため、上層配線とプラグを形成する前に、プラグの直下に位置する下層配線に凹部を形成するための全面エッチングを行っても、上層配線の底面の下にある層間絶縁膜が過剰にエッチングされたりダメージを受けることが防止でき、配線構造を安定に製造することができる。
【0021】
第2の半導体装置では、前記プラグと前記下層配線とが直接接するようにすることができる。また、前記上層配線および前記プラグは前記層間絶縁膜に埋め込まれて形成され、前記層間絶縁膜の比誘電率を3.5以下とすることができる。さらに前記被覆膜は導電性膜または絶縁膜とすることができる。また上記第1および第2の半導体装置では、前記上層配線の高さを前記プラグの高さ以上になっていることが望ましい。
【0022】
次に、上記課題を解決するための本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成された下層配線上に第1の層間絶縁膜を形成する工程と、前記第1の層間絶縁膜上の上層配線を形成すべき位置に、開口を有する膜からなるパターンを形成する工程と、前記パターン上および前記第1の層間絶縁膜上に第2の層間絶縁膜を形成する工程と、前記パターン上に位置する前記第2の層間絶縁膜を選択的にエッチングして前記パターンを露出させ、溝を形成する工程と、前記パターンをマスクとして前記第1の層間絶縁膜を選択的にエッチングし、前記下層配線に達するホールを形成する工程と、前記溝および前記ホールの内面に第1の導電性膜を形成する工程と、前記ホールの底面に形成された前記第1の導電性膜を除去し、前記下層配線の表面を露出させる工程と、前記露出した前記下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に第2の導電性膜を埋め込み、前記溝内に前記上層配線を形成する工程とを含む。
【0023】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法によると、第1の層間絶縁膜上の上層配線を形成すべき位置に、開口を有する膜からなるパターンを予め形成しておくので、ホールの底面に形成された第1の導電性膜を除去し、さらにその下の下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程において、溝の底面の下にある第1の層間絶縁膜が過剰にエッチングされたりダメージを受けることが防止でき、配線構造を安定に製造することができる。
【0024】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法では、前記凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に前記第2の導電性膜を埋め込む工程との間に、前記溝および前記ホールの内部に第3の導電性膜を形成する工程を行うようにすることができる。
【0025】
また、前記パターンを構成する膜は導電性膜または絶縁膜からなるものとすることができ、前記絶縁膜を選択した場合には第1の層間絶縁膜に対する前記パターンを構成する前記絶縁膜のエッチング速度が2以上であることが望ましい。また、前記第1の層間絶縁膜の比誘電率を3.5以下とすることができる。
【0026】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成された下層配線上に層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜を選択的にエッチングし、溝を形成する工程と、前記溝の内面に被覆膜を形成する工程と、前記被覆膜および前記層間絶縁膜の、前記溝の底面に位置する部分を順次選択的にエッチングし、前記下層配線に達するホールを形成する工程と、前記溝および前記ホールの内面に第1の導電性膜を形成する工程と、前記ホールの底面に形成された前記第1の導電性膜を除去し、前記下層配線の表面を露出させる工程と、前記露出した前記下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に第2の導電性膜を埋め込み、前記溝内に上層配線を形成する工程とを含む。
【0027】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法によると、前記溝の内面、特に底面に被覆膜を予め形成しておくので、ホールの底面に形成された第1の導電性膜を除去し、さらにその下の下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程において、溝の底面の下にある層間絶縁膜が過剰にエッチングされたりダメージを受けることが防止でき、配線構造を安定に製造することができる。
【0028】
第2の半導体装置の製造方法では、前記凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に前記第2の導電性膜を埋め込む工程との間に、前記溝および前記ホールの内部に第3の導電性膜を形成する工程を行うようにすることができる。また、前記被覆膜を導電性膜または絶縁膜からなるものとすることができる。
【0029】
さらに、本発明に係る第3の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成された下層配線上に層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜上に第1の被覆膜を形成する工程と、前記第1の被覆膜および前記層間絶縁膜を選択的にエッチングし、溝を形成する工程と、前記溝の内面に第2の被覆膜を形成する工程と、前記第2の被覆膜および前記層間絶縁膜の、前記溝の底面に位置する部分を順次選択的にエッチングし、前記下層配線に達するホールを形成する工程と、前記溝および前記ホールの内面に第1の導電性膜を形成する工程と、前記ホールの底面に形成された前記第1の導電性膜を除去し、前記下層配線の表面を露出させる工程と、前記露出した前記下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に第2の導電性膜を埋め込み、前記溝内に上層配線を形成する工程とを含む。
【0030】
この第3の半導体装置の製造方法によると、前記溝の内面、特に底面に第2の被覆膜を予め形成しておくので、ホールの底面に形成された第1の導電性膜を除去し、さらにその下の下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程において、溝の底面の下にある層間絶縁膜が過剰にエッチングされたりダメージを受けることが防止でき、配線構造を安定に製造することができる。本製造方法においては、第1の被覆膜をマスクに用いて層間絶縁膜を選択的にエッチングできるので、一般のフォトレジスト膜をマスクとするよりも前記溝の幅の広がりが小さく、上層配線の所定の間隔を確保できるという利点も有する。
【0031】
第3の半導体装置の製造方法においては、前記凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に前記第2の導電性膜を埋め込む工程との間に、前記溝および前記ホールの内部に第3の導電性膜を形成する工程を行うようにすることができる。また、前記第1の被覆膜を導電性膜または絶縁膜からなるものにすることができ、さらに前記第2の被覆膜も導電性膜または絶縁膜からなるものにすることができる。
【0032】
そして本発明による第1〜第3の半導体装置の製造方法では、前記層間絶縁膜の比誘電率を3.5以下とすることができる。
【発明の効果】
【0033】
以上に述べたように、本発明に係る半導体装置およびその製造方法は、上層配線の下の層間絶縁膜が過剰にエッチングされたり、ダメージを受けたりすることを抑制し、これによって上層および下層配線間のショート不良や配線層間耐圧の劣化を防止して配線構造の安定な製造を可能とする。そしてプラグと配線層との接続部におけるエレクトロマイグレーション、ストレスマイグレーションなどに対する高信頼性を有する配線構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図5】本発明の第1実施形態に係る、変形された半導体装置の製造方法で製造された半導体装置の断面図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図7】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図8】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図9】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図10】本発明の第2実施形態に係る、変形された半導体装置の製造方法で製造された半導体装置の断面図。
【図11】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図12】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図13】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図14】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図15】本発明の第3実施形態に係る、変形された半導体装置の製造方法で製造された半導体装置の断面図。
【図16】従来の半導体装置の製造方法の主要部を示す工程断面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態で使用している材料及び数値等は例示であって、それらに本発明が限定されることはない。また、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、各実施形態を適宜変更することは可能であり、さらに、実施形態同士の組み合わせなども可能である。
【0036】
(実施形態1)
図1〜図4は本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図であり、特にデュアルダマシン法を用いて少なくとも銅を主成分とする材料からなる埋め込み配線層と配線層間を接続するプラグとを一度に形成する製造方法を例示している。図1(a)に示すように、半導体基板(シリコン基板)101にソース・ドレイン領域103が形成されている。またソース・ドレイン領域103に挟まれた半導体基板101上の領域には、ゲート絶縁膜と、ゲート電極と、ゲート電極の左右に形成された絶縁材料からなるサイドウォールとで構成されるゲート102が設けられ、ソース・ドレイン領域103とゲート102とでMOS型トランジスタを構成している。
【0037】
また半導体基板101上の層間絶縁膜104はシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などを含み、ソース・ドレイン領域103に達するコンタクトホールにタングステンなどの高融点金属が埋め込まれたプラグ105が形成されている。層間絶縁膜104およびプラグ105上には層間絶縁膜106が形成されている。この層間絶縁膜106は、例えばプラズマCVD法を用いて酸化シリコン(SiOx)にC(炭素) が添加されたSiOCからなる酸化シリコン系の膜(SiOC膜)を約200nmの厚さに堆積して得ることができる。ここでSiOCは厳密にはSiOxCyであり、堆積方法、堆積条件によってさまざまな組成のSi、O、Cを有する膜が形成できるが、以下の説明ではこれらを総称してSiOC膜と表記する。SiOC膜は後にも述べるが低比誘電率膜である。
【0038】
以上の構造を有する基板において、図1(b)に示すように、層間絶縁膜106を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて加工し、プラグ105の上面が露出する位置に配線溝107を形成する。図1(b)では配線溝107は幅100nm、深さ200nmであり、紙面に垂直な方向に線状に伸びている。続いて図1(c)に示すように、層間絶縁膜106および配線溝107の全面に、例えばタンタル(Ta)をターゲットとし、アルゴン(Ar)/ 窒素(N2)混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリングを用いて窒化タンタル(TaN)からなる導電性膜108を約10nmの膜厚に堆積する。次に導電性膜108上に、銅メッキのシード膜となる、例えばCu膜またはCu合金膜をスパッタリング法で堆積する。その膜厚は配線溝107の内部以外の層間絶縁膜106の平坦面上において10nm〜50nm程度、好ましくは30nm程度となるように設定する。
【0039】
続いて配線溝107内部を埋め込むようにシード膜上全面にCuメッキ膜を堆積する。このCuメッキ膜と上記シード膜とを合わせて導電性膜109とする。これに従い、図1(c)ではシード膜とCuメッキ膜とを区別して記載せず、両者の積層膜を導電性膜109として表示している。この点は以下の説明においても同様とする。配線溝107を埋め込むCuメッキ膜は、例えば電解メッキ法にてシード膜を成長下地として形成することができる。このためのメッキ液としては、例えばH2SO4(硫酸) に10%のCuSO4(硫酸銅) および配線溝107の段差部におけるCuメッキ膜のカバレージを向上させる添加剤を加えた混合液を用いることができる。続いて良質なCu膜を得るために所定の温度でアニール処理を行い、Cuメッキ膜の内部歪みを緩和させる。ここで導電性膜109の形成に先立って堆積した導電性膜108としてのTaN膜はCu膜の密着性を向上させ、またCu原子が配線溝107の周辺に存在する層間絶縁膜104、106や半導体基板101中に拡散するのを防止するバリアとして働く。
【0040】
次に図2(a)に示すように、層間絶縁膜107の上面に堆積している配線溝107内部以外の余分な導電性膜108および導電性膜109を、CMP法(化学機械的研磨法)を用いて研磨除去して配線溝107内部に導電性膜109からなる下層埋め込み配線を形成する。次に図2(b)に示すように、下層埋め込み配線および層間絶縁膜106上の全面に渡って炭化シリコン膜(以下SiC膜と表記する)または窒化炭化シリコン膜(以下SiCN膜と表記する)を例えばプラズマCVD法を用いて約50nmの厚さに堆積してエッチングストッパ膜110を形成する。
【0041】
続いてエッチングストッパ膜110の表面上に低比誘電率を有するSiOC膜などからなる層間絶縁膜111を、例えばプラズマCVD法を用いて約100nmの厚さに堆積する。次に図2(c)に示すように、層間絶縁膜111上に例えばTaNからなる薄い導電性膜を反応性スパッタリング法を用いて約15nmの厚さに堆積した後、フォトリソグラフィ技術によるレジストパターンおよびドライエッチング技術を用いて当該導電性膜のパターニングを行い、導電性膜パターン112を形成する。この導電性膜パターン112は後の工程で形成される上層埋め込み配線とほぼ等しい形状および寸法を有しており、しかも導電性膜109からなる下層配線の直上に位置する所定の部分にホール状の開口が形成されている。導電性パターン112を形成するためのドライエッチング、およびドライエッチング後のレジストパターンのプラズマアッシング等によって層間絶縁膜111の表層部にダメージ層が形成されるが、例えばHF:H2O=1:100程度の希フッ酸洗浄などによりダメージ層を除去することが望ましい。
【0042】
この導電性膜パターン112は導電性膜の代わりに絶縁膜を使用しても良い。この場合、絶縁膜材料としてエッチングによる膜のパターニングの際に下地の層間絶縁膜111がエッチングされ難い材料を選択する必要があり、層間絶縁膜111に対するエッチング速度比は2以上であることが望ましい。
【0043】
次に層間絶縁膜111および導電性膜パターン112上に例えばSiOC膜からなる層間絶縁膜113をプラズマCVD法で約300nmの厚さに堆積する。このとき層間絶縁膜113は層間絶縁膜111と同一の物性を有する材料からなるものとすることが望ましい。次に図3(a)に示すように、図示していないが層間絶縁膜113上に、上層埋め込み配線と同形状のパターンを有する開口が形成されたレジスト膜パターンを形成し、これをマスクとして層間絶縁膜113、111、エッチングストッパ膜110を順次選択的にエッチングする。このエッチングおいては、最初層間絶縁膜113に上層埋め込み配線に対応する深さ300nmの配線溝114が形成され、当該配線溝の底部に導電性パターン112が露出した時点で層間絶縁膜113より導電性膜パターン112のエッチング速度が小さいためにエッチングがほぼ停止する。導電性膜パターン112が露出した後この導電性膜パターン112をマスクとして導電性膜パターン112に設けられたホール状開口から層間絶縁膜111のエッチングが進行し、エッチングストッパ膜110が露出した時点でエッチングがほとんど進まなくなるのでエッチングを停止する。
【0044】
この後、さらにエッチング条件を変更し、導電性膜パターン112および層間絶縁膜111をマスクとしてエッチングストッパ膜110をエッチングし導電性膜(Cuメッキ膜)109を露出させる。こうして層間絶縁膜111、エッチングストッパ膜110を貫通して導電性膜109に達するホール115が形成される。層間絶縁膜113、111は導電性膜パターン112に対するエッチング速度の選択比が高い条件で行うことが必要であり、例えばCF4+C4F8+ArのようなCF系の混合ガスを用いることができる。図3(a)では、便宜上下層埋め込み配線の幅より広い配線溝114が形成される部分を示しているが、図に示されない部分には下層配線幅と同一の幅100nmを有する配線溝114も形成される。
【0045】
次に図3(b)に示すように配線溝114およびホール115の側壁および底面、層間絶縁膜113上に例えばTaN、Ta膜を順次下層から積層した積層導電性膜116を約15nm程度の厚さに堆積する。この積層導電性膜116はイオン・メタル・プラズマスパッタリング法(IMP法)を用いて堆積することが望ましい。IMP法は、ステージに被処理基板を設置し、堆積すべき膜材料からなるターゲットを被処理基板に対向させ、スパッタリングガス雰囲気中において上記のターゲットにDC電圧または高周波電圧を印加し、同時にステージから被処理基板へ高周波バイアスを印加しながら材料膜を被処理基板上へスパッタリング堆積する方法である。非処理基板に高周波バイアスが印加されると、非処理基板付近にスパッタリングガスプラズマによる負電位が生じ、ターゲットからの正の材料イオンを被処理基板方向へ引きつけることができる。このこととスパッタリングガス圧の調整などによってアスペクト比の高い配線溝114、ホール115内面に段差被覆性よく膜堆積を実施することができる。この方法は図1(c)の工程における導電性膜108(TaN)の堆積や、CuまたはCu合金からなるシード膜の堆積にも採用することができる。
【0046】
次に図4(a)に示すように、スパッタエッチング法によりホール115の底部に堆積していた積層導電性膜116をすべて除去し、さらにその下の下層埋め込み配線の露出部(導電性膜109)を約15nm程度掘り込み凹部を形成する。このとき配線溝114とホール115のアスペクト比の違いなどから配線溝114底部の積層導電性膜116のエッチング速度はホール115の底部の積層導電性膜116より大きく、ホール115の底部におけるよりも速くエッチングされるため除去されてなくなり、その下の導電性膜パターン112までスパッタエッチングされる。しかしこの導電性膜パターン112は、約15nmの掘り込みを行う場合は約7nmエッチングされたところでエッチングが終了し、導電性膜パターン112のすべてが除去されることがない。
【0047】
このスパッタエッチング処理はイオン・メタル・プラズマスパッタリング装置のチャンバ内で、積層導電性膜116の堆積に連続して行うことができる。スパッタリング装置には例えば上に述べたターゲットとステージ間の空間を取り囲むように高周波コイルおよびDCコイルが設けられており、スパッタエッチングはチャンバ内にArなどの希ガスまたは不活性ガスを導入した後、ターゲットにDC電圧を印加し、ステージに高周波電圧を印加し、さらに高周波コイルに高周波電圧を、DCコイルにDC電圧をそれぞれ印加して行う。このようにして高周波放電によって発生させたArなどのスパッタエッチングガスプラズマで積層導電性膜116をイオン衝撃しエッチングを進行させる。上記各DC電圧、各高周波電圧の値はそれぞれ独立に設定することが可能であり、プラズマが積層導電性膜116に対してエッチングモードとなるように設定すればよい。
【0048】
次に図4(b)に示すように、配線溝114、ホール115内の積層導電性膜116上、導電性膜パターン112上、およびホール115底面の導電性膜109上を含む全面にCuまたはCu合金からなるシード膜をIMP法を用いて堆積し、続いてCuメッキ膜を電解メッキ法で堆積する。こうしてシード膜およびCuメッキ膜からなる導電性膜117を配線溝114、ホール115に埋め込む。次に配線溝114、ホール115内部以外の部分に堆積している導電性膜117および積層導電性膜116をCMP法により研磨し除去することで導電性膜117で構成される上層埋め込み配線構造を形成する。ここで導電性膜117の配線溝114内に埋め込まれた部分が上層埋め込み配線となり、ホール115内に埋め込まれた部分が接続用プラグとなる。また図4(a)の工程で下層埋め込み配線の導電性膜109の掘り込みエッチングを行ったことによって下層埋め込み配線とプラグとの接触面積が増大しており、この部分でのエレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等接続特性の信頼性を向上させることができる。
【0049】
本実施形態において、導電性膜パターン112の幅を配線溝114と同一幅にしても良いが、図3(a)の工程において配線溝114をエッチング形成するときに導電性膜パターン112をエッチング停止膜としなければならないので、例えばその寸法を配線溝114の幅より片側約10nm大きくし、配線溝114または上層埋め込み配線の全体が導電性膜パターン112の領域より内側に形成されるようにすることが望ましい。このようにすればフォトリソグラフィ工程において配線溝114のレジストパターンに、導電性膜パターン112に対する位置合わせずれが生じても、配線溝114の一部が導電性膜112上からはずれ、層間絶縁膜111の不必要な部分がエッチングされることがなくなる。また本実施形態において採用したエッチングストッパ膜110としてのSiC膜またはSiCN膜は下層埋め込み配線の導電性膜109を構成するCuが層間絶縁膜111および113へ拡散するのを防止することを通じてそれらの絶縁性を保持する役目を果たしている。また本実施形態による半導体装置において、層間絶縁膜113の厚さは層間絶縁膜111より厚いので上層埋め込み配線の高さはプラグの高さより高いが、両者の高さを同一にしてもよい。このようにして、プラグの高さを配線の高さ以下にすることにより、電気抵抗をより小さくすることができると共に、本発明の効果がより発揮されることとなる。
【0050】
本発明の第1実施形態に係る製造方法は次のように変形しても良い。図5は当該変形された製造方法で形成した半導体装置の断面図である。この半導体装置の製造方法においては図1(a)〜図4(a)までの工程を終了した後、IMP法を用いて例えばTa膜からなる導電性膜118を約8nm堆積した点が異なる。導電性膜118の堆積後は図4(b)と同様にCuまたはCu合金からなるシード膜、Cuメッキ膜を堆積し、配線溝114およびホール115内部に導電性膜116、117、118を埋め込み、上層埋め込み配線を形成する。
【0051】
この方法で製造される構造により、特に上層埋め込み配線のプラグ部と下層埋め込み配線との接続部でのエレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等の銅配線に関する接続特性の信頼性をさらに向上させることが可能となる。また、最初に述べた本実施形態による方法では、配線溝114底面の導電性膜パターン112の膜厚はスパッタエッチング(図4(a))によって薄くなるが、変形された方法では導電性膜118を追加形成するので、薄くなった導電性膜112に対するバリア性をより確実に確保することができるという利点を有する。
【0052】
本発明の第1実施形態に係る製造方法では、図2(c)の工程において上層埋め込み配線と本質的に同形状の導電性膜パターン112を予め形成しておき、この後図4(a)の工程で下層埋め込み配線の導電性膜109を掘り込むエッチングを行う。このため、掘り込みエッチングが過剰になったり、エッチング速度が半導体基板内でばらつき、配線溝114の底面の積層導電性膜116の少なくとも一部が完全に除去されたとしても導電性膜パターン112があることによりその下の層間絶縁膜111がエッチングされること、および層間絶縁膜111がダメージを受けることが防止でき、デュアルダマシン法によって配線構造を安定且つ歩留まりよく製造することができる。導電性膜パターン112の膜厚はホール115の底部の積層導電性膜116を除去し、さらに下層埋め込み配線の導電性膜109の掘り込みエッチングが終了した時点で、導電性膜パターン112自体が残るような膜厚に設定すればよい。
【0053】
以上のことから第1実施形態に係る製造方法によれば、エレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等の埋め込み配線層間の信頼性を確保できると共に上下埋め込み配線層間のショート不良や埋め込み配線層間耐圧劣化が抑制された信頼性の良好な半導体装置が得られる。
【0054】
(実施形態2)
図6〜図9は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図であり、半導体基板にMOS型トランジスタが形成された半導体装置の一部分を示すものである。この実施形態ではまず、図1(a)〜(c)、図2(a)に示す第1実施形態と同一の工程を行う。したがってこの工程部分については詳細な説明を省略する。また図6〜図9についても第1の実施形態の半導体装置と同一の部分には同一の符号を付与し、説明を省略する。図2(c)の工程を実施した後、図6(a)に示すように、導電性膜109からなる下層埋め込み配線および層間絶縁膜106上に例えばプラズマCVD法を用いてSiC膜またはSiCN膜からなるエッチングストッパ膜110を約50nmの厚さに堆積し、続いてエッチングストッパ膜110の表面上に例えばプラズマCVD法を用いてSiOCからなる層間絶縁膜120を約400nmの厚さに堆積する。
【0055】
次に図6(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用い、層間絶縁膜120の下層配線とオーバーラップする領域を選択的にエッチングして深さ300nmの配線溝121を形成する。図6(b)では下層配線の幅より大きい幅を有する配線溝121を表示しているが、図面が表示しない他の領域には下層配線と同様幅100nmの配線溝も形成される。次に配線溝121を含む層間絶縁膜120上の全面を被覆するように、例えばIMP法を用い、第1の実施形態と同様の条件でTaNからなる導電性膜122を約10nmの厚さに堆積する。
【0056】
次に図7(a)に示すように、配線溝121を覆うようにフォトレジスト膜123を形成する。このフォトレジスト膜123は下層埋め込み配線上に直径100nmの開孔パターンを有している。フォトレジスト膜123をパターンニングするにあたって、配線溝121の段差(深さ)が原因でフォトレジスト膜厚が不均一となりパターンニング不良が生じる場合は、1回目のフォトレジスト膜塗布後、ドライエッチングまたはCMP法を用いて層間絶縁膜120上の余剰なフォトレジスト膜123を除去し、配線溝121内のみにフォトレジスト膜を残して全表面を平坦にし、その上から再度フォトレジスト膜を塗布した後パターニングを実施する。このようにするとパターニングすべき箇所のフォトレジスト膜厚が均一となり開孔パターンを正確に形成することができる。
【0057】
次に図7(b)に示すように、フォトレジスト膜123をマスクとして導電性膜122および層間絶縁膜120を選択的にドライエッチングし、エッチングストッパ膜110の表面が露出するとエッチングがほとんど進行しなくなるのでエッチングを停止する。膜122として導電性膜を使用しているが絶縁膜を使用しても良い。この場合、本エッチングにおいて下地の層間絶縁膜120に対して選択的にエッチングできる方がよいので、膜122の層間絶縁膜120に対するエッチング速度比は2以上であることが望ましい。次にエッチング条件を変更して層間絶縁膜120をマスクとしてエッチングストッパ膜を選択的にエッチングしホール124を形成して下層埋め込み配線のCuからなる導電性膜109の表面を露出させる。
【0058】
次に図8(a)に示すように、配線溝121およびホール124の側壁および底面を含む層間絶縁膜120上に、例えばTaN膜およびTa膜を順次下層から積層した積層導電性膜125をIMP法を用いて第1の実施形態と同様の条件で約15nmの厚さに堆積する。次に図8(b)に示すように、Arなどの希ガスまたは不活性ガスをスパッタエッチングガスとし、スパッタエッチング法によりホール124の底部に堆積した積層導電性膜125を除去し、さらにホール124の下に露出する下層埋め込み配線を構成する導電性膜109の一部を約15nm程度掘り込む。このとき配線溝121とホール124の断面のアスペクト比の違いにより配線溝121底部の積層導電性膜125は、ホール124底部の積層導電性膜125よりエッチング速度が大きく速く除去されるため、積層導電性膜125が完全に除去された後さらに下の導電性膜122の一部もスパッタエッチングされる。しかしすべてがエッチングされることがなく、掘り込みスパッタエッチング終了時に配線溝121底部の導電性膜122は約7nmエッチングされるに留まる。このスパッタエッチング処理はイオン・メタル・プラズマスパッタリング装置のチャンバ内で、積層導電性膜125の堆積に連続して、第1実施形態と同様の条件で行うことができる。
【0059】
次に図9に示すように配線溝121内の導電性膜122および積層導電性膜125上、ホール124内の積層導電性膜125上およびホール124底面の導電性膜109上を含む全面にCuまたはCu合金からなるシード膜をIMP法を用いて堆積し、続いてCuメッキ膜を電解メッキ法で堆積する。こうしてシード膜およびCuメッキ膜からなる導電性膜126を配線溝121、ホール124内に埋め込む。次に配線溝121、ホール124内部以外の部分に堆積している導電性膜122、126および積層導電性膜125をCMP法により研磨し除去することで導電性膜126で構成される上層埋め込み配線構造を形成する。導電性膜126の配線溝121内に埋め込まれた部分が上層埋め込み配線を構成し、ホール115内に埋め込まれた部分が接続用プラグを構成する。また図8(b)の工程で下層埋め込み配線の導電性膜109に掘り込みエッチングを行ったことによって下層配線とプラグとの接触面積が増大し、この部分でのエレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等接続特性の信頼性を向上させることができる。
【0060】
なお、配線溝121の深さはホール124の深さより深く形成し、上層埋め込み配線の高さがプラグの高さより高くなるようにしたが、両者の高さを同一にしてもよい。このようにして、プラグの高さを配線の高さ以下にすることにより、電気抵抗をより小さくすることができると共に、本発明の効果がより発揮されることとなる。
【0061】
本発明の第2実施形態に係る製造方法は次のように変形しても良い。図10は当該変形された製造方法で形成した半導体装置の断面図である。この半導体装置の製造方法においては本実施形態による製造方法に従って図8(b)までの工程を終了した後、IMP法を用いて例えばTa膜からなる導電性膜127を約8nm堆積した点が異なる。導電性膜127の堆積後は図9と同様に配線溝121およびホール124内部にCuまたはCu合金からなるシード膜、Cuメッキ膜を堆積することによってこの両者の膜からなる導電性膜126を形成し、配線溝121およびホール124内部に導電性膜122、126、127、積層導電性膜125を埋め込み、上層埋め込み配線を形成する。
【0062】
この方法で製造される構造により、特に上層の埋め込み配線のプラグ部と下層の埋め込み配線との接続部でのエレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等の銅配線に関する接続特性の信頼性をさらに向上させることが可能となる。また、最初に述べた第2実施形態による方法では、配線溝121底面の導電性膜122の膜厚はスパッタエッチング(図8(b))によって薄くなるが、変形された方法では導電性膜127を追加形成するので、薄くなった導電性膜122に対するバリア性をより確実に確保することができるという利点を有する。
【0063】
本発明の第2実施形態に係る製造方法では、図6(b)の工程において導電性膜122を予め形成しておき、この後図8(b)の工程で下層埋め込み配線の導電性膜109を掘り込むエッチングを行う。このため、掘り込みエッチングが過剰になったり、エッチング速度が半導体基板内でばらつき、配線溝121の底面の積層導電性膜125の少なくとも一部が完全に除去されたとしても下に導電性膜122があることによりその下の層間絶縁膜120がエッチングされること、および層間絶縁膜120がダメージを受けることが防止でき、デュアルダマシン法によって配線構造を安定且つ歩留まりよく製造することができる。導電性膜122の膜厚はホール124の底部の積層導電性膜125を除去し、さらに下層埋め込み配線の導電性膜109の掘り込みエッチングが終了した時点で、配線溝121の底面に導電性膜122自体が残るような膜厚に設定すればよい。
【0064】
(実施形態3)
図11〜図14は本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図であり、半導体基板にMOS型トランジスタが形成された半導体装置の一部分を示すものである。この実施形態ではまず、図1(a)〜(c)、図2(a)に示す第1実施形態と同一の工程を行う。したがってこれらの工程部分については詳細な説明を省略する。また図11〜図14についても第1実施形態の半導体装置と同一部分には同一符号を付与し、説明は省略する。図2(a)の工程を実施した後、図11(a)に示すように、導電性膜109からなる下層埋め込み配線および層間絶縁膜106上に例えばプラズマCVD法を用いてSiC膜またはSiCN膜からなるエッチングストッパ膜110を約50nmの厚さに堆積し、続いてエッチングストッパ膜110の表面上に例えばプラズマCVD法を用いてSiOCからなる層間絶縁膜120を約400nmの厚さに堆積する。さらに層間絶縁膜120上を被覆して例えばTaNなどからなる導電性膜130をIMP法を用いて約30nmの厚さに堆積する。
【0065】
次に図11(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて、まず導電性膜130のみを選択的にエッチングし、続いて導電性膜130をマスクとして層間絶縁膜120を選択的にドライエッチングし、深さ300nmの配線溝131を下層埋め込み配線上に形成する。なお、膜130は導電性膜としたが絶縁膜としても良い。この場合は層間絶縁膜120に対して膜130を選択的にエッチングできる材料とする必要があり、膜130の、層間絶縁膜120に対するエッチング速度比は2以上とすることが望ましい。図11(b)では下層配線の幅より大きい幅を有する配線溝131を表示しているが、図面が表示しない他の領域には下層配線と同様幅100nmの配線溝も形成される。次に例えばTaNからなる導電性膜132をIMP法を用いて第1の実施形態と同様の条件で配線溝131の内部および導電性膜130上を被覆するように約10nmの厚さに堆積する。
【0066】
次に図12(a)に示すように、配線溝131を覆うようにフォトレジスト膜133を形成する。このフォトレジスト膜133は下層埋め込み配線上に開孔パターンを有している。フォトレジスト膜133をパターンニングするにあたって、配線溝131の段差(深さ)が原因でフォトレジスト膜厚が不均一となりパターンニング不良が生じる場合、第2実施形態と同様に1回目のフォトレジスト膜塗布後、ドライエッチングまたはCMP法を用いて配線溝131内部以外に形成されている余剰なフォトレジスト膜133を除去し、配線溝131内のみにフォトレジストが残るようにして全表面を平坦化し、再度フォトレジスト膜を塗布して開孔のパターニングを実施する。
【0067】
次に図12(b)に示すように、フォトレジスト膜133をマスクとして導電性膜132および層間絶縁膜120を選択的にドライエッチングし、エッチングストッパ膜110の表面が露出するとエッチングがほとんど進行しなくなるのでエッチングを停止する。本実施形態では膜132は導電性膜としているが絶縁膜を使用しても良い。この場合、本工程のエッチングにおいて下地の層間絶縁膜120と選択的にエッチングできる方がよいので、層間絶縁膜120に対する膜132のエッチング速度比は2以上であることが望ましい。次にエッチング条件を変更して層間絶縁膜120をマスクとしてエッチングストッパ膜110を選択的にエッチングしホール134を形成して下層埋め込み配線のCuからなる導電性膜109の表面を露出させる。
【0068】
次に図13(a)に示すように、配線溝131およびホール134の側壁および底面を含む層間絶縁膜120上に、例えばTaN膜およびTa膜を順次下層から積層した積層導電性膜135をIMP法を用いて第1の実施形態と同様の条件で約15nmの厚さに堆積する。次に図13(b)に示すように、スパッタエッチング法によりホール134の底部の積層導電性膜135を除去し、さらにホール134の下に露出する下層埋め込み配線を構成する導電性膜109の一部を約15nm程度掘り込む。このとき配線溝131とホール134の断面のアスペクト比の違いにより配線溝131底部の積層導電性膜135は、ホール134底部の積層導電性膜135よりエッチング速度が大きく速くエッチングされるため、この部分の積層導電性膜135が完全に除去された後さらにその下の導電性膜132の一部もスパッタエッチングされる。しかしすべてがエッチングされることがなく、掘り込みスパッタエッチング終了時点では配線溝131底部の導電性膜132は約7nmエッチングされるに留まる。このスパッタエッチング処理はイオン・メタル・プラズマスパッタリング装置のチャンバ内で、積層導電性膜135の堆積に連続して、第1実施形態と同様の条件で行うことができる。
【0069】
続いて図14に示すように配線溝131内の導電性膜132および積層導電性膜135上、ホール134内の積層導電性膜135上およびホール135底面の導電性膜109上を含む全面にCuまたはCu合金からなるシード膜をIMP法を用いて堆積し、続いてCuメッキ膜を電解メッキ法で堆積する。こうしてシード膜およびCuメッキ膜からなる導電性膜136を配線溝131、ホール134内に埋め込む。次に配線溝131、ホール134内部以外の部分に堆積している導電性膜132、136および積層導電性膜135をCMP法により研磨し除去することで導電性膜136で構成される上層埋め込み配線構造を形成する。導電性膜136の配線溝131内に埋め込まれた部分が上層埋め込み配線を構成し、ホール134内に埋め込まれた部分が接続用プラグを構成する。また図13(b)の工程で導電性膜109の掘り込みエッチングを行ったことによって下層配線とプラグとの接触面積が増大し、この部分でのエレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等接続特性の信頼性を向上させることができる。
【0070】
なお、配線溝131の深さはホール134の深さより深く形成し、上層埋め込み配線の高さがプラグの高さより高くなるようにしたが、両者の高さを同一にしてもよい。このようにして、プラグの高さを配線の高さ以下にすることにより、電気抵抗をより小さくすることができると共に、本発明の効果がより発揮されることとなる。
【0071】
本発明の第3実施形態に係る製造方法は次のように変形しても良い。図15は当該変形された製造方法で形成した半導体装置の断面図である。この半導体装置の製造方法においては本実施形態による製造方法に従って図13(b)までの工程を終了した後、IMP法を用いて例えばTa膜からなる導電性膜137を約8nm堆積した点が異なる。導電性膜137の堆積後は図14の工程と同様に配線溝131およびホール134の内部にCuまたはCu合金からなるシード膜、Cuメッキ膜を堆積し、配線溝131およびホール134内部に導電性膜132、137、シード膜とCuメッキ膜からなる導電性膜136、積層導電性膜135を埋め込み、上層埋め込み配線を形成する。
【0072】
この方法で製造される構造により、特に上層の埋め込み配線のプラグ部と下層の埋め込み配線との接続部でのエレクトロマイグレーションおよびストレスマイグレーション等の銅配線に関する接続特性の信頼性をさらに向上させることが可能となる。また、最初に述べた第3実施形態による方法では、配線溝131底面の導電性膜132の膜厚はスパッタエッチング(図13(b))によって薄くなるが、変形された方法では導電性膜137を追加形成するので、薄くなった導電性膜132に対するバリア性をより確実に確保することができるという利点を有する。
【0073】
本発明の第3実施形態に係る製造方法では、図11(b)の工程において導電性膜132を予め形成しておき、この後図13(b)の工程で下層埋め込み配線の導電性膜109を掘り込むエッチングを行う。このため第2実施形態と同様に導電性膜132によりその下の層間絶縁膜120がエッチングされること、および層間絶縁膜120がダメージを受けることが防止でき、デュアルダマシン法によって配線構造を安定且つ歩留まりよく製造することができる。導電性膜132の膜厚はホール134の底部の積層導電性膜135を除去し、さらに下層埋め込み配線の導電性膜109の掘り込みエッチングが終了した時点で、配線溝131の底面に導電性膜132自体が残るような膜厚に設定すればよい。
【0074】
また、本実施形態による製造方法では導電性膜130が、図11(b)の工程における層間絶縁膜120のエッチングに際してエッチングされ難い(エッチング速度選択比が大きい)材料からなるのでドライエッチングのハードマスクとして作用する。配線溝131を形成する場合(図11(b)の工程)、フォトレジスト膜のみをドライエッチングマスクとしたときはフォトレジスト膜もエッチングされて配線溝131の幅が広がり上層埋め込み配線相互の間隔が狭くなる問題がある。しかし本実施形態のように導電性膜130をハードマスクとして用いることで、上層埋め込み配線間の距離を正確に確保することができ、配線間の耐圧劣化や配線間ショート不良を防止することができる。
【0075】
以上の第1〜第3の実施形態では、導電性膜パターン112、導電性膜122、130、132の材料としてTaN膜を例示したが、これに限られたものではない。タンタル(Ta)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)、窒化ルテニウム(RuN)、コバルト(Co)、コバルトタングステンリン(CoWP) などの高融点金属、高融点金属の化合物または合金、あるいはアルミニウム(Al)系金属を用いても良い。あるいはまた材料として層間絶縁膜111、120とスパッタエッチング速度の選択比がとれ、スパッタエッチングされにくい絶縁膜を使用してもよい。この絶縁膜としてはSiN、SiCN、SiC、比誘電率が3.9〜4.0のSiO2膜などを挙げることができる。
【0076】
また層間絶縁膜111、120の材料としては半導体集積回路の素子寸法が微小になり、また回路の動作速度が高くなるにしたがって低比誘電率材料が使用される。その主要材料は上記各実施形態で示したSiOCであるがこれ以外にSiOCHなどが可能である。このような層間絶縁膜はシリコンの有機化合物を原材料として低温プラズマCVD法やスピンコート法で作製することができる。比誘電率は用途に応じて3.5〜2.0が使用可能であり、望ましくは3.0〜2.0とできるが比誘電率が低くなるほど密度が低くエッチング速度が大きくなるという性質を有する。特に内部に微細な空隙を多数有するポーラスSiOCなどの絶縁材料は低い比誘電率を有する。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明はデュアルダマシン法を用いて特に配線層間接続部におけるエレクトロマイグレーション、ストレスマイグレーションなどに対する信頼性の高い多層配線を安定して歩留まりよく形成するために有用である。
【符号の説明】
【0078】
101 半導体基板
102 ゲート
103 ソース・ドレイン領域
104、106、111、113、120 層間絶縁膜
105 プラグ
107、114、121、131 配線溝
108、109、117、118、122、126、127、130、132、136、137 導電性膜
110 エッチングストッパ膜
112 導電性膜パターン
115、124、134 ホール
116、125、135 積層導電性膜
123、133 フォトレジスト膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された下層配線上に第1の層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の層間絶縁膜上の上層配線を形成すべき位置に、開口を有する膜からなるパターンを形成する工程と、
前記パターン上および前記第1の層間絶縁膜上に第2の層間絶縁膜を形成する工程と、
前記パターン上に位置する前記第2の層間絶縁膜を選択的にエッチングして前記パターンを露出させ、溝を形成する工程と、
前記パターンをマスクとして前記第1の層間絶縁膜を選択的にエッチングし、前記下層配線に達するホールを形成する工程と、
前記溝および前記ホールの内面に第1の導電性膜を形成する工程と、
前記ホールの底面に形成された前記第1の導電性膜を除去し、前記下層配線の表面を露出させる工程と、
前記露出した前記下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程と、
前記溝、前記ホールおよび前記凹部に第2の導電性膜を埋め込み、前記溝内に前記上層配線を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に前記第2の導電性膜を埋め込む工程との間に、前記溝および前記ホールの内部に第3の導電性膜を形成する工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記パターンを構成する膜は導電性膜または絶縁膜からなることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の層間絶縁膜の比誘電率は3.5以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
第1の層間絶縁膜に対する前記パターンを構成する前記絶縁膜のエッチング速度比は2以上であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体基板上に形成された下層配線上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜を選択的にエッチングし、溝を形成する工程と、
前記溝の内面に被覆膜を形成する工程と、
前記被覆膜および前記層間絶縁膜の、前記溝の底面に位置する部分を順次選択的にエッチングし、前記下層配線に達するホールを形成する工程と、
前記溝および前記ホールの内面に第1の導電性膜を形成する工程と、
前記ホールの底面に形成された前記第1の導電性膜を除去し、前記下層配線の表面を露出させる工程と、
前記露出した前記下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程と、
前記溝、前記ホールおよび前記凹部に第2の導電性膜を埋め込み、前記溝内に上層配線を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に前記第2の導電性膜を埋め込む工程との間に、前記溝および前記ホールの内部に第3の導電性膜を形成する工程を行うことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記被覆膜は導電性膜または絶縁膜からなることを特徴とする請求項6または7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
半導体基板上に形成された下層配線上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜上に第1の被覆膜を形成する工程と、
前記第1の被覆膜および前記層間絶縁膜を選択的にエッチングし、溝を形成する工程と、
前記溝の内面に第2の被覆膜を形成する工程と、
前記第2の被覆膜および前記層間絶縁膜の、前記溝の底面に位置する部分を順次選択的にエッチングし、前記下層配線に達するホールを形成する工程と、
前記溝および前記ホールの内面に第1の導電性膜を形成する工程と、
前記ホールの底面に形成された前記第1の導電性膜を除去し、前記下層配線の表面を露出させる工程と、
前記露出した前記下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程と、
前記溝、前記ホールおよび前記凹部に第2の導電性膜を埋め込み、前記溝内に上層配線を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に前記第2の導電性膜を埋め込む工程との間に、前記溝および前記ホールの内部に第3の導電性膜を形成する工程を行うことを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1の被覆膜は導電性膜または絶縁膜からなることを特徴とする請求項9または10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2の被覆膜は導電性膜または絶縁膜からなることを特徴とする請求項9または10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記層間絶縁膜の比誘電率は3.5以下であることを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
半導体基板上に形成された下層配線と、
前記下層配線の上層に形成された上層配線と、
前記下層配線と前記上層配線を電気的に接続するプラグと、
前記上層配線の底面に接して前記上層配線の下に形成された膜からなるパターンと、
前記上層配線の側壁および前記プラグの側壁に形成された導電性膜と、を備え、
前記プラグの直下に位置する前記下層配線の上面には凹部が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
前記プラグと前記下層配線とが直接接していることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記上層配線は前記パターンの内側の領域に形成されていることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記上層配線および前記プラグは層間絶縁膜に埋め込まれて形成され、前記層間層間絶縁膜の比誘電率は3.5以下であることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記層間絶縁膜は第1の層間絶縁膜と第2の層間絶縁膜からなり、前記プラグは前記第1の層間絶縁膜に埋め込まれ、前記上層配線は前記第2の層間絶縁膜に埋め込まれ、前記第1の層間絶縁膜の比誘電率は3.5以下であることを特徴とする請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記パターンを構成する前記膜は導電性膜または絶縁膜であることを特徴とする請求項14〜18のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項20】
半導体基板上に形成された下層配線と、
前記下層配線の上層に形成された上層配線と、
前記下層配線と前記上層配線を電気的に接続するプラグと、
前記上層配線の側壁および底面に形成された被覆膜と、
前記上層配線の側壁に形成された前記被覆膜上、および前記プラグの側壁に形成された第2の導電性膜と、を備え、
前記プラグの直下に位置する前記下層配線の上面には凹部が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
前記プラグと前記下層配線とが直接接していることを特徴とする請求項20に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記上層配線および前記プラグは層間絶縁膜に埋め込まれて形成され、前記層間絶縁膜の比誘電率は3.5以下であることを特徴とする請求項20に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記被覆膜は導電性膜または絶縁膜であることを特徴とする請求項20に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記上層配線の高さは前記プラグの高さ以上であることを特徴とする請求項14〜23のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項1】
半導体基板上に形成された下層配線上に第1の層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の層間絶縁膜上の上層配線を形成すべき位置に、開口を有する膜からなるパターンを形成する工程と、
前記パターン上および前記第1の層間絶縁膜上に第2の層間絶縁膜を形成する工程と、
前記パターン上に位置する前記第2の層間絶縁膜を選択的にエッチングして前記パターンを露出させ、溝を形成する工程と、
前記パターンをマスクとして前記第1の層間絶縁膜を選択的にエッチングし、前記下層配線に達するホールを形成する工程と、
前記溝および前記ホールの内面に第1の導電性膜を形成する工程と、
前記ホールの底面に形成された前記第1の導電性膜を除去し、前記下層配線の表面を露出させる工程と、
前記露出した前記下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程と、
前記溝、前記ホールおよび前記凹部に第2の導電性膜を埋め込み、前記溝内に前記上層配線を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に前記第2の導電性膜を埋め込む工程との間に、前記溝および前記ホールの内部に第3の導電性膜を形成する工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記パターンを構成する膜は導電性膜または絶縁膜からなることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1の層間絶縁膜の比誘電率は3.5以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
第1の層間絶縁膜に対する前記パターンを構成する前記絶縁膜のエッチング速度比は2以上であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体基板上に形成された下層配線上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜を選択的にエッチングし、溝を形成する工程と、
前記溝の内面に被覆膜を形成する工程と、
前記被覆膜および前記層間絶縁膜の、前記溝の底面に位置する部分を順次選択的にエッチングし、前記下層配線に達するホールを形成する工程と、
前記溝および前記ホールの内面に第1の導電性膜を形成する工程と、
前記ホールの底面に形成された前記第1の導電性膜を除去し、前記下層配線の表面を露出させる工程と、
前記露出した前記下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程と、
前記溝、前記ホールおよび前記凹部に第2の導電性膜を埋め込み、前記溝内に上層配線を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に前記第2の導電性膜を埋め込む工程との間に、前記溝および前記ホールの内部に第3の導電性膜を形成する工程を行うことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記被覆膜は導電性膜または絶縁膜からなることを特徴とする請求項6または7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
半導体基板上に形成された下層配線上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜上に第1の被覆膜を形成する工程と、
前記第1の被覆膜および前記層間絶縁膜を選択的にエッチングし、溝を形成する工程と、
前記溝の内面に第2の被覆膜を形成する工程と、
前記第2の被覆膜および前記層間絶縁膜の、前記溝の底面に位置する部分を順次選択的にエッチングし、前記下層配線に達するホールを形成する工程と、
前記溝および前記ホールの内面に第1の導電性膜を形成する工程と、
前記ホールの底面に形成された前記第1の導電性膜を除去し、前記下層配線の表面を露出させる工程と、
前記露出した前記下層配線の表面をエッチングして凹部を形成する工程と、
前記溝、前記ホールおよび前記凹部に第2の導電性膜を埋め込み、前記溝内に上層配線を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記凹部を形成する工程と、前記溝、前記ホールおよび前記凹部に前記第2の導電性膜を埋め込む工程との間に、前記溝および前記ホールの内部に第3の導電性膜を形成する工程を行うことを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1の被覆膜は導電性膜または絶縁膜からなることを特徴とする請求項9または10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2の被覆膜は導電性膜または絶縁膜からなることを特徴とする請求項9または10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記層間絶縁膜の比誘電率は3.5以下であることを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
半導体基板上に形成された下層配線と、
前記下層配線の上層に形成された上層配線と、
前記下層配線と前記上層配線を電気的に接続するプラグと、
前記上層配線の底面に接して前記上層配線の下に形成された膜からなるパターンと、
前記上層配線の側壁および前記プラグの側壁に形成された導電性膜と、を備え、
前記プラグの直下に位置する前記下層配線の上面には凹部が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
前記プラグと前記下層配線とが直接接していることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記上層配線は前記パターンの内側の領域に形成されていることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記上層配線および前記プラグは層間絶縁膜に埋め込まれて形成され、前記層間層間絶縁膜の比誘電率は3.5以下であることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記層間絶縁膜は第1の層間絶縁膜と第2の層間絶縁膜からなり、前記プラグは前記第1の層間絶縁膜に埋め込まれ、前記上層配線は前記第2の層間絶縁膜に埋め込まれ、前記第1の層間絶縁膜の比誘電率は3.5以下であることを特徴とする請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記パターンを構成する前記膜は導電性膜または絶縁膜であることを特徴とする請求項14〜18のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項20】
半導体基板上に形成された下層配線と、
前記下層配線の上層に形成された上層配線と、
前記下層配線と前記上層配線を電気的に接続するプラグと、
前記上層配線の側壁および底面に形成された被覆膜と、
前記上層配線の側壁に形成された前記被覆膜上、および前記プラグの側壁に形成された第2の導電性膜と、を備え、
前記プラグの直下に位置する前記下層配線の上面には凹部が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
前記プラグと前記下層配線とが直接接していることを特徴とする請求項20に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記上層配線および前記プラグは層間絶縁膜に埋め込まれて形成され、前記層間絶縁膜の比誘電率は3.5以下であることを特徴とする請求項20に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記被覆膜は導電性膜または絶縁膜であることを特徴とする請求項20に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記上層配線の高さは前記プラグの高さ以上であることを特徴とする請求項14〜23のいずれかに記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−171432(P2011−171432A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32411(P2010−32411)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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