半導体装置の製造方法及び半導体装置
【課題】パッケージの外面の切削又は研削加工によって放熱部材を露出させるものにあって、切削面における平面度の低下を抑える。
【解決手段】半導体装置21は、パッケージ22内に、2組の半導体チップ23及び金属ブロック体28を備え、下面に共通の放熱板24、上面に放熱板25、26を備える。放熱板24の露出面に、前後方向に延びる凹部24aを設ける。半導体装置21の製造にあたっては、半導体チップ23、金属ブロック体28、放熱板24、25、26等を接合し、エポキシ樹脂によりモールドしてパッケージ22を形成する。この後、パッケージ22の下面を、切削ラインCまで切削して放熱板24を露出させる。凹部24aによって放熱板24が分断されるので、放熱板24が深く切削されることを防止できる。
【解決手段】半導体装置21は、パッケージ22内に、2組の半導体チップ23及び金属ブロック体28を備え、下面に共通の放熱板24、上面に放熱板25、26を備える。放熱板24の露出面に、前後方向に延びる凹部24aを設ける。半導体装置21の製造にあたっては、半導体チップ23、金属ブロック体28、放熱板24、25、26等を接合し、エポキシ樹脂によりモールドしてパッケージ22を形成する。この後、パッケージ22の下面を、切削ラインCまで切削して放熱板24を露出させる。凹部24aによって放熱板24が分断されるので、放熱板24が深く切削されることを防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ及び該半導体チップに熱的に接続された放熱部材を、モールド樹脂により一体的にモールドしてパッケージを構成すると共に、そのパッケージの外面に対する切削又は研削加工によって、前記放熱部材を露出させるようにした半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばIGBT等のパワー素子を含んだ半導体装置として、例えば特許文献1に開示されているように、放熱性を高めるために、半導体チップの両面側に放熱板を配置した状態で、それら放熱板がパッケージの表面に露出されるように樹脂モールドした構成のものがある。このとき、パッケージ両面における放熱板の露出面の平行度を確保して、冷却器との密着性を向上させるために、モールド樹脂層が放熱板の表面も含む半導体装置全体を覆うように予め形成され、その後、切削工具(刃物)を用いた切削加工により、放熱板を露出させることが行われる。
【0003】
即ち、図14に示すように、この第1の従来例の半導体装置1は、例えばアルミニウム製の一対の放熱板(ヒートシンク)2、3間に、半導体チップ4と、スペーサとして機能する例えば銅製の金属ブロック体5とを挟んで構成されている。放熱板2と半導体チップ4の間、半導体チップ4と金属ブロック体5の間、金属ブロック体5と放熱板3の間は、夫々半田6により接合されている。また、半導体チップ4とリード部7とがボンディングワイヤ8により接続される。この半導体装置1は、放熱板2、3の表面の一部又は全体がエポキシ樹脂等のモールド樹脂層9でモールドされる。そして、切削工具(刃物)10により表面が切削されて、放熱板2、3が樹脂の面と同一平面になるように露出される。
【0004】
また、同様に、パッケージの両面に放熱板を配置した別の構成として、特許文献2には、1つのパッケージ内に2個の半導体チップを設けた、いわゆる2in1のタイプのものが開示されている。図15に示すように、この第2の従来例の半導体装置11は、図で下面側に横長な矩形板状をなす大形の共用放熱板12を備え、その上面に左右2個の半導体チップ13、14を設け、それら各半導体チップ13、14の上部に、夫々放熱板15、16を備えている。この場合も、放熱板12、15、16の表面を含む全体がエポキシ樹脂等のモールド樹脂層17でモールドされ、その後、表面の切削加工によって放熱板12、15、16が露出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−27794号公報
【特許文献2】特開2004−296588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記したパッケージ表面の切削加工は、上記した第2の従来例の半導体装置11の下面側の切削を例に挙げると、図16(a)に示すように、回転円板の外周部に切削刃を取付けた工具を、垂直軸周りに連続的に回転させて切削刃を矢印A方向に回転(旋回)移動させながら、半導体装置11(パッケージ)を回転円板の直径方向(矢印B方向)に相対的に順に移動させていき、該切削刃により樹脂層17及び放熱板12を切削していくことにより行われる。
【0007】
この場合、パッケージの表面の樹脂層17と放熱板12とを、切削刃で同時に切削することになるが、樹脂層17と放熱板12とでは硬さが異なるため、より軟質な放熱板12の方が削られやすい事情がある。そのため、放熱板12の方がより深く切削されてしまい、結局、平面度が悪化する虞があった。特に、図15に示した2in1タイプの半導体装置11では、半導体チップ13、14からの発熱量も多いため共用放熱板12が大型になるが、このような大型の放熱板12では、図16(b)に示すように、樹脂層17との境界部からの距離が大きい部分(放熱板12の中央部分)の切削量が大きくなり、平面度の悪化は顕著となる。
【0008】
尚、これに対処するため、切削する方向(切削加工時の半導体装置11の配置)を、図16(a)の状態に示したパッケージ(放熱板12)の長手方向から、90度変更する、つまり矢印A方向にパッケージ(放熱板12)のうち短辺方向を合せながら切削を行うことも考えられる。ところが、これでは、半導体装置11の矢印B方向の相対移動距離が大きくなり、切削加工に要する時間が長くなってしまうことになる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、パッケージの外面の切削又は研削加工によって放熱部材を露出させるものにあって、切削面における平面度の低下を抑えることができる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の半導体装置の製造方法は、半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(24、32、43、54)を含む内部構成部品を樹脂モールドしてパッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)を形成する樹脂モールド工程と、切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら前記パッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の外面を前記放熱部材(24、32、43、54)ごと切削又は研削することにより、該放熱部材(24、32、43、54)を露出させる切削工程とを含む半導体装置(21、31、41、52、71、74、77、80、83)の製造方法において、前記放熱部材には、予め、その露出側の面を前記移動方向に関して複数に分断するようなスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)が形成されており、前記樹脂モールド工程では、前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)内にモールド樹脂が充填され、前記切削工程では、前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)を除く部分で、前記放熱部材(24、32、43、54)が露出されるところに特徴を有する。
【0011】
また、本発明の請求項10の半導体装置は、半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(24、32、43、54)を、モールド樹脂により一体的にモールドしてパッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)を構成すると共に、そのパッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の外面に対して切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら切削又は研削することによって、前記放熱部材(24、32、43、54)を露出させるようにした半導体装置(21、31、41、52、71、74、77、80、83)において、前記放熱部材(24、32、43、54)には、その露出側の面を前記移動方向に関して複数に分断するようなスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)が形成されており、そのスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)内に前記モールド樹脂が充填された形態とされているところに特徴を有する。
【0012】
これらによれば、パッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の放熱面に対する切削又は研削加工を行うにあたって、放熱部材(24、32、43、54)の露出側の面においては、スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)によって、放熱部材(24、32、43、54)が切削用の工具の移動方向に関して複数に分断され、その分断部分に放熱部材(24、32、43、54)よりも硬質なモールド樹脂が存在するような形態となる。
【0013】
このため、全体としては大型の放熱部材(24、32、43、54)でも、露出面に露出して切削される部分の工具の移動方向に関する長さ、つまり、放熱部材(24、32、43、54)のモールド樹脂との境界部から境界部までの、工具の移動方向に沿う距離を小さくすることができる。従って、露出面に露出するモールド樹脂よりも放熱部材(24、32、43、54)の方が軟らかい事情があっても、放熱部材(24、32、43、54)の工具により連続して一度に切削される距離が小さくなり、放熱部材(24、32、43、54)がより深く削られることを抑制することができ、ひいては、切削面における平面度の低下を抑えることができる。
【0014】
本発明の半導体装置の製造方法においては、前記放熱部材(24、32)を、金属板から構成し、該金属板の外面側に前記スペースとしての凹部(24a)を予め形成する構成としたり(請求項2の発明)、該金属板に前記スペースとしての貫通穴(32a)を予め形成する構成としたりすることができる。これにより、スペースとしての凹部(24a)や貫通穴(32a)を容易に形成でき、放熱部材(24、32)を簡単な構成で安価に済ませることができる。
【0015】
或いは、前記放熱部材(43、54)を、金属板(46、58)と、この金属板(46、58)の外面側全体に位置する絶縁層(47、59)と、この絶縁層(47、59)の更に外面側に位置する金属層(48、60、73、76、79、82、85)とから構成し、前記金属層(48、60、73、76、79、82、85)を、前記絶縁層(47、59)の外面に対し部分的に形成しないことによって前記スペース(43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)を設ける構成とすることができる(請求項4の発明)。これによれば、複雑な或いは微細な形状のスペース(43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)を形成することが可能となる。
【0016】
ところで、パッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の外面に対する切削又は研削加工(切削工程)は、切削用の工具を回転(旋回)させながら、パッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の切削面を直径方向に移動させることにより、全体の切削を行うことが一般的である。このとき、切削方向(切削用の工具の移動方向)を、パッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)又は放熱部材(24、32、43、54)の長手方向に合せることにより、切削の作業効率を高いものとすることができる。もしくは、切削方向を、放熱部材(24、32、43、54)の長手方向と直交する方向にすることもできる。
【0017】
そこで、本発明においては、前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、82a)を、前記放熱部材(24、32、43、54)の長手方向及び/又は長手方向と直交する方向に延びて形成することができる(請求項5の発明)。或いは、前記スペース(79a)を、切削用の工具の移動方向に対して直角方向に延びて形成しても良い(請求項6の発明)。これらにより、切削方向(切削用の工具の移動方向)に対し、放熱部材(24、32、43、54)を複数に分断するようにスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、82a)を設けることができる。
【0018】
さらには、前記スペース(73a、76a、79a、82a)を、複数本形成する構成とすることができる(請求項7の発明)。大型の放熱部材(24、32、43、54)でも、露出面に露出して切削される部分の放熱部材(24、32、43、54)の、各分割領域の個々の面積(モールド樹脂との境界部からの距離)を小さくすることができる。
【0019】
本発明の請求項8の半導体装置の製造方法は、少なくとも半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(93)を含む内部構成部品を樹脂モールドしてパッケージ(92)を形成する樹脂モールド工程と、切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら前記パッケージ(92)の外面を前記放熱部材(93)ごと切削又は研削することにより、前記放熱部材(93)を露出させる切削工程とを含む半導体装置(91)の製造方法において、前記樹脂モールド工程は、前記パッケージ(92)の内部に配置されて前記半導体チップ(23)を覆う第1の樹脂層(95)を形成する第1樹脂モールド工程と、少なくとも前記パッケージ(92)の切削又は研削が行なわれる面に配置され前記第1の樹脂層(95)よりも軟質な樹脂材料から第2の樹脂層(96)を形成する第2樹脂モールド工程との2段階で実行されるところに特徴を有する。
【0020】
また、本発明の請求項11の半導体装置は、半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(93)を、モールド樹脂により一体的にモールドしてパッケージ(92)を構成すると共に、そのパッケージ(92)の外面に対して切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら切削又は研削することによって、前記放熱部材(93)を露出させるようにした半導体装置(91)において、前記モールド樹脂は、前記パッケージ(92)の内部に配置されて前記半導体チップ(23)を覆う第1の樹脂層(95)と、少なくとも前記パッケージ(92)の切削又は研削が行なわれる面に配置され前記第1の樹脂層(95)よりも軟質な第2の樹脂層(96)とを含んでいるところに特徴を有する。
【0021】
これらによれば、パッケージ(92)の放熱面に対する切削又は研削加工を行うにあたって、放熱部材(93)の露出側の面においては、軟質な第2の樹脂層(96)が設けられているので、放熱部材(93)と第2の樹脂層(96)との間の硬さの差が小さくなる。従って、放熱部材(93)がより深く削られることがなくなり、ひいては、切削面における平面度の低下を抑えることができる。パッケージ(92)の内部に配置されて前記半導体チップ(23)を覆う第1の樹脂層(95)については、必要な硬さを確保することができる。
【0022】
このとき、前記第1の樹脂層(95)と、前記第2の樹脂層(96)とを、同等の樹脂材料に対し、含まれるフィラーの密度を異ならせて構成することができる(請求項9の発明)。これによれば、第1の樹脂層(95)と第2の樹脂層(96)とで、種類の異なる材料を用いる場合と比べて、製造に要する手間を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、半導体装置の縦断正面図
【図2】半導体装置の底面図(a)及び切削加工後の下端部の縦断正面図(b)
【図3】本発明の第2の実施例を示すもので、半導体装置の縦断正面図(a)及び底面図(b)
【図4】本発明の第3の実施例を示すもので、半導体装置の縦断正面図
【図5】半導体装置の底面図(a)及び切削加工後の下端部の縦断正面図(b)
【図6】本発明の第4の実施例を示すもので、半導体装置の縦断正面図(a)及び底面図(b)
【図7】本発明の第5の実施例を示す半導体装置の底面図
【図8】本発明の第6の実施例を示す半導体装置の底面図
【図9】本発明の第7の実施例を示す半導体装置の底面図
【図10】本発明の第8の実施例を示す半導体装置の底面図
【図11】本発明の第9の実施例を示す半導体装置の底面図
【図12】本発明の第10の実施例を示すもので、半導体装置の縦断正面図
【図13】半導体装置の底面図(a)及び切削加工後の下端部の縦断正面図(b)
【図14】第1の従来例を示すもので、半導体装置の縦断正面図
【図15】第2の従来例を示すもので、半導体装置の縦断正面図
【図16】半導体装置の底面図(a)及び切削加工後の下端部の縦断正面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化したいくつかの実施例について、図1ないし図13を参照しながら説明する。尚、以下の実施例においては、本発明を、例えば三相モータ駆動用のインバータ回路に用いられる半導体装置、この場合、IGBTとダイオードとの並列接続回路を一体的に形成した半導体チップを、パッケージ内に2個(或いは3個)備えて構成される、いわゆる2in1タイプ(或いは3in1タイプ)の半導体装置を製造する場合に適用したものである。また、第2の実施例以降の説明に関しては、第1の実施例又は先に述べた実施例と同一部分には同一符号を付して詳しい説明を省略し、第1の実施例又は先に述べた実施例と相違する部分を中心に説明することとする。
【0025】
(1)第1、第2の実施例
まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施例について述べる。図1は、本実施例に係る半導体装置21の内部構成(縦断正面図)を示しており、また、図2(a)は、半導体装置21の底面図である。ここで、半導体装置21は、例えばエポキシ樹脂からなるモールド樹脂により横長な薄型矩形ブロック状に構成されたパッケージ22を備え、そのパッケージ22内に、2個の半導体チップ23を図で左右に位置して備えている。さらに、パッケージ22の図で下面に、放熱部材としての共通の放熱板(ヒートシンク)24を備え、パッケージ22の図で上面に、前記各半導体チップ23に対応した2個の放熱板25、26を左右に位置して備えている。
【0026】
前記半導体チップ23は、上記のように、パワー素子であるIGBTと、そのコレクタ−エミッタ間に並列接続されたダイオードとを備え、薄型の矩形チップ状に構成されている。2個の半導体チップ23は直列接続される。図示はしないが、各半導体チップ23の表面には、例えば大部分に位置してエミッタ電極が形成されていると共に、一辺側に位置してゲート用及びエミッタケルビン用の複数個の小型の電極パッドが形成されている。また、各半導体チップ23の裏面には、コレクタ電極が大きな面積で形成されている。
【0027】
前記放熱板24は、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導性の高い金属から、パッケージ22よりもやや小さい横長な矩形板状に構成されている。前記放熱板25、26も、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導性の高い金属から、小型の矩形板状に構成されている。このとき、後述するように、前記放熱板24の図で下面(露出面)には、図2(b)にも示すように、スペースを構成する断面コ字型の溝状の凹部24aが、図で前後方向(放熱板24の長手方向と直交する方向)に延びて形成されている。
【0028】
前記放熱板24の上面には、図で左側に位置して、半導体チップ23の裏面側(コレクタ電極)が、はんだ27により電気的(及び熱的)な接続状態で接合されている。そして、その半導体チップ23の表面側(エミッタ電極)は、例えば銅製の金属ブロック体28を介して前記放熱板25に電気的(及び熱的)に接続されている。この場合、半導体チップ23と金属ブロック体28との間、金属ブロック体28と放熱板25との間も、はんだ27により接合されている。
【0029】
一方、前記放熱板24の上面には、図で右側に位置して、半導体チップ23が、左側のものとは上下反転した(裏面側を上向きにした)状態で、接合される。この場合、放熱板24の右側上面には、金属ブロック体28を介して半導体チップ23の表面側(エミッタ電極)が電気的(及び熱的)に接続され、半導体チップ23の裏面側(コレクタ電極)が、右側の放熱板26に接続されている。この場合も、放熱板24、金属ブロック体28、半導体チップ23、放熱板26の相互間は、はんだ27により接合されている。
【0030】
さらに、図2(a)に示すように、前記パッケージ22の長辺側の一辺部には、3本のパワー端子29が導出されている。また、パッケージ22の反対側の辺部には、複数本の信号端子30が導出されている。詳しく図示はしないが、3本のパワー端子29は、夫々、前記放熱板24、25、26と電気的に接続されて(或いは一体に)設けられている。図示はしないが、前記各信号端子30と、各半導体チップ23のゲート等の電極パッドとが、パッケージ22の内部において、ボンディングワイヤにより接続されている。前記金属ブロック体28は、ワイヤボンディングのためのスペーサ等として機能する。
【0031】
さて、上記半導体装置21は、次のようにして製造される。即ち、まず、放熱板24、半導体チップ23、23、金属ブロック体28、28、放熱板25、26、各パワー端子29及び各信号端子30を構成するリードフレーム(図示せず)を接合すると共に、リードフレームと半導体チップ23、23との間のワイヤボンディングを行う接合工程が実行され、内部構成部品を接合した中間組立体が得られる。
【0032】
次に、その中間組立体を、図示しないモールド成形型内に収容し、エポキシ樹脂により一体に樹脂モールドする樹脂モールド工程が実行され、パッケージ22が形成される。この樹脂モールド工程では、パッケージ22が、その厚み方向に関して、最終的に得たい厚み寸法よりもやや大きく形成される。つまり、モールド樹脂の層は、次の切削工程で切削されるべき切削しろを見込んだ寸法で形成されるのである。
【0033】
この後、前記パッケージ22の外面(図で上下両面)を、前記放熱板24、25、26ごと切削(又は研削)することにより、前記放熱板24、25、26を露出させる切削工程が実行される。この切削工程は、パッケージ22図で上面、下面の各面について実行される。そのうちパッケージ22の下面側の切削に関しては、例えば図1に示す切削ラインCまで行われる。
【0034】
図示はしないが、この切削工程は、回転円板の外周部に切削刃を取付けた切削用の工具を、垂直軸周りに連続的に回転させて切削刃を所定の移動方向である矢印A方向(図2(a)参照)に回転(旋回)移動させながら、半導体装置21(パッケージ22)を回転円板の直径方向(矢印B方向)に相対的に順に移動させていき、該切削刃によりモールド樹脂層及び放熱板24、25、26を所定の切削ライン(図1で下面側については切削ラインC)まで切削していくことにより行われる。従って、本実施例では、切削刃の移動方向(矢印A方向)が、放熱板24(パッケージ22)の長手方向にほぼ一致している。
【0035】
このとき、本実施例では、図1、図2に示すように、前記放熱板24の図で下面(露出側の面)に凹部24aが予め形成されている。この凹部24aは、放熱板24の左右方向(長手方向)の中央部において、前後方向全体に延びている。即ち、凹部24aは、放熱板24の長手方向と直交する方向に延び、つまり切削刃の移動方向(矢印A方向)に関して放熱板24を2つに分割するように形成されている。また、この凹部24aは、切削ラインCまでの切削工程が実行されても、凹部24aの底部が露出しない程度の深さで形成されている。これにより、樹脂モールド工程では、凹部24a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記凹部24aを除く部分で、放熱板24が露出されるようになっている。
【0036】
上記構成においては、パッケージ22の放熱面に対する切削(又は研削)加工を行うにあたって、放熱板24の露出側の面においては、凹部24aによって放熱板24が分断され、その分断部分に放熱板24よりも硬質なモールド樹脂が存在するような形態となる。そのため、全体として大型の放熱板24であっても、露出面に露出して切削される部分の切削刃の移動方向(矢印A方向)に関する長さ、つまり、放熱板24のモールド樹脂との境界部から境界部までの、切削刃の移動方向に沿う距離を小さくすることができる。これにより、露出面に露出するモールド樹脂よりも放熱板24の方が軟らかい事情があっても、放熱板24の切削刃により連続して一度に切削される距離が小さくなり、図2(b)に示すように、放熱板24が深く削られることがなくなり、図16に示した従来のものと比べて、露出面における高い平面度を確保することができる。
【0037】
このように本実施例によれば、パッケージ22の外面の切削又は研削加工によって放熱板24を露出させるものにあって、パッケージ22の露出面に露出するモールド樹脂よりも放熱板24の方が軟らかい事情があっても、放熱板24がより深く削られることを抑制することができ、ひいては、切削面における平面度の低下を抑えることができるという優れた効果を得ることができる。
【0038】
尚、凹部24aは、放熱板24のうち中央部という、左右における半導体チップ23や金属ブロック体28の接合部分から離れた位置に形成されているので、放熱性を低下させることなく済ませることができる。また、パッケージ22の図で上面側に位置する放熱板25、26については、もともと面積(切削刃の移動方向に関する長さ)が比較的小さいので、そのままで切削加工を行っても、平面度の低下を招くことはないのである。
【0039】
図3は、本発明の第2の実施例に係る半導体装置31の構成を示している。この半導体装置31が、上記第1の実施例の半導体装置21と異なる点は、パッケージ22の図で下面側に位置する放熱部材たる放熱板32の構成にある。この放熱板32は、やはり、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導性の高い金属から、パッケージ22よりもやや小さい横長な矩形板状に構成されているのであるが、この放熱板32には、スペースたる貫通穴32aが形成されている。
【0040】
この貫通穴32aは、放熱板32の左右方向中央部に位置して、図で前後方向両端部を除いて、放熱板32の長手方向と直交する前後方向(切削刃の移動方向(矢印A方向)に関して放熱板32を2つに分割する方向)に細長く延び、板面を上下に貫通するように形成されている。この場合、樹脂モールド工程では、貫通穴32a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記貫通穴32aを除く部分で、放熱板32が露出されるようになっている。
【0041】
このような第2の実施例においても、大型の放熱板32であっても、露出面に露出して切削刃により連続して一度に切削される距離を小さくすることができ、パッケージ22の露出面に露出するモールド樹脂よりも放熱板32の方が軟らかい事情があっても、放熱板32がより深く削られることを抑制することができる。この結果、切削面における平面度の低下を抑えることができるという優れた効果を得ることができる。
【0042】
(2)第3、第4の実施例
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第3の実施例について述べる。この第3の実施例に係る半導体装置41は、エポキシ樹脂等のモールド樹脂層から構成されるパッケージ42内に、半導体チップ23及び金属ブロック体28を、左右に位置して2組備えている。また、パッケージ42の図で下面側には、共通の放熱部材43を備えると共に、図で上面側には、左右に位置して2個の放熱部材44、45を備えている。
【0043】
前記放熱部材43は、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導性の高い金属から横長な矩形板状に形成された金属板46と、この金属板46の外面(下面)側全体に位置する絶縁層47と、この絶縁層47の更に外面側に位置する金属層48とから構成されている。前記絶縁層47は、例えばスピネルやアルミナ等のセラミック材料からなり、溶射により例えば0.1mmの厚みで形成されている。また、金属層48は、例えばアルミニウムからなり、溶射により切削しろ以上の厚みで例えば0.3mmの厚みで形成されている。
【0044】
このとき、最外層の金属層48は、絶縁層47の外面のうち、中央部については形成されておらず、この金属層48の非形成領域によって、放熱部材43には、図で前後方向に延びるスペースとしての凹部43aが形成されている。また、前記金属層48は、切削ラインCがその厚み方向の途中部に位置されるように設けられている。尚、前記金属板46の上面には、左側に位置して、半導体チップ23の裏面側がはんだ27により電気的(及び熱的)に接合され、右側に位置して、金属ブロック体28ははんだ27により電気的(及び熱的)に接合されている。
【0045】
また、パッケージ42の図で上面側の放熱部材44、45も、金属板49の図で上面に絶縁層50を介して金属層51を設けて構成されている。この場合も、図示しない切削ラインが金属層51の厚み方向の途中部に位置される。尚、3本のパワー端子29は、夫々、放熱部材43、44、45の金属板46、49、49電気的に接続されて(或いは一体に)設けられている。前記各信号端子30と、各半導体チップ23のゲート等の電極パッドとが、図示しないボンディングワイヤにより接続されている。
【0046】
この第3の実施例においても、樹脂モールド工程では、放熱部材43の凹部43a内にモールド樹脂が充填され、パッケージ42の図で下面に対する切削工程では、前記凹部43aを除く部分で、放熱部材43の金属層48が露出される。パッケージ42の放熱面に対する切削(又は研削)加工を行うにあたって、放熱部材43の露出側の面においては、凹部43aによって放熱部材43(金属層48)が分断され、その分断部分に金属層48よりも硬質なモールド樹脂が存在するような形態となる。そのため、金属層48が深く削られることがなくなり、露出面における高い平面度を確保することができる。
【0047】
従って、パッケージ42の露出面に露出するモールド樹脂よりも放熱部材43の金属層48の方が軟らかい事情があっても、金属層48がより深く削られることを抑制することができ、この結果、切削面における平面度の低下を抑えることができるという優れた効果を得ることができる。また、特に本実施例では、金属層48の非形成領域を設けることによって凹部43aを形成するようにしているので、複雑な或いは微細な形状の凹部43aを形成することが可能となる。
【0048】
図6は、本発明の第4の実施例に係る半導体装置52を示している。この半導体装置52は、エポキシ樹脂等のモールド樹脂からなるパッケージ53内に、3個の半導体チップ23(IGBTとダイオードとの並列接続回路)を組込んだ、いわゆる3in1タイプのものであり、例えば、三相モータの駆動用のインバータ回路(主回路)のうち、上アーム(或いは下アーム)を構成するようになっている。
【0049】
前記パッケージ53の図で下面側には、共通の放熱部材54が設けられ、図で上面側には、左側、中央、右側に位置して3個の放熱部材55、56、57が設けられる。前記放熱部材54は、例えばアルミニウムや銅等から横長な矩形板状に形成された金属板58と、この金属板58の外面(下面)側全体に位置するセラミック材料からなる絶縁層59と、この絶縁層59の更に外面側に位置する例えばアルミニウムからなる金属層60とから構成されている。このとき、最外層の金属層60は、絶縁層59の外面のうち、左側、中央、右側に位置して形成され、この金属層60の非形成領域によって、放熱部材54には、スペースとしての2個の凹部54a、54aが図で前後方向に延びて形成されている。
【0050】
前記金属板58の上面には、左側、中央、右側に位置して、3個の半導体チップ23の裏面側(コレクタ電極)がはんだ27により電気的(及び熱的)に接続(はんだ接合)されている。3個の半導体チップ23の表面側(エミッタ電極)は、夫々金属ブロック体28を介して、前記放熱部材55、56、57に電気的(及び熱的)に接続(はんだ接合)されている。前記放熱部材55、56、57も、金属板61の図で上面に絶縁層62を介して金属層63を設けて構成されている。
【0051】
さらに、図6(b)に示すように、前記パッケージ53の長辺側の一辺部には、4本のパワー端子64が導出されている。詳しく図示はしないが、4本のパワー端子64は、夫々、前記放熱部材54、55、56、57の金属板58、6、63、63と電気的に接続されて(或いは一体に)設けられている。また、パッケージ53の反対側の辺部には、複数本の信号端子65が導出されている。各信号端子65と、各半導体チップ23のゲート等の電極パッドとが、図示しないボンディングワイヤにより接続されている。
【0052】
この第4の実施例においても、樹脂モールド工程では、放熱部材54の各凹部54a内にモールド樹脂が充填され、パッケージ53の図で下面に対する切削工程では、前記凹部54a、54aを除く部分で、放熱部材54の金属層60が露出される。パッケージ53の放熱面に対する切削(又は研削)加工を行うにあたって、放熱部材54の露出側の面においては、凹部54a、54aによって放熱部材54(金属層60)が分断され、その分断部分に金属層60よりも硬質なモールド樹脂が存在するような形態となる。そのため、金属層60が深く削られることがなくなり、露出面における高い平面度を確保することができる。
【0053】
従って、パッケージ53の露出面に露出するモールド樹脂よりも放熱部材54の金属層60の方が軟らかい事情があっても、金属層60がより深く削られることを抑制することができ、この結果、切削面における平面度の低下を抑えることができるという優れた効果を得ることができる。また、特に本実施例では、金属層60の非形成領域を設けることによって凹部54a、54aを形成するようにしているので、複雑な或いは微細な形状の凹部54aを形成することが可能となる。
【0054】
(3)第5〜第9の実施例
図7〜図11は、夫々本発明の第5〜第9の実施例を示すものであり、これら実施例が上記第3の実施例の半導体装置41と異なる点は、放熱部材の露出面側に形成されるスペースとしての溝状の凹部の構成にある。
【0055】
即ち、図7は、本発明の第5の実施例に係る半導体装置71を示している。この半導体装置71においては、パッケージ72の図で下面側に設けられる放熱部材は、金属板の下面側に絶縁層を介して金属層73を備えている。そして、金属層73の非形成領域によって、放熱部材の露出側の面には、前後方向全体に延びて複数本のスペースたる凹部73aが等間隔で形成されている。これにより、樹脂モールド工程では、複数本の凹部73a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記凹部73aを除く部分で、金属層73が露出される。
【0056】
図8は、本発明の第6の実施例に係る半導体装置74を示している。この半導体装置74においては、パッケージ75の図で下面側に設けられる放熱部材は、金属板の下面側に絶縁層を介して金属層76を備えており、金属層76の非形成領域によって、放熱部材の露出側の面には、複数本のスペースたる凹部76aが形成されている。この場合、凹部76aは、全体として格子状をなすように、前後方向及び左右方向に延びてほぼ等間隔で複数本ずつ(6本及び3本)形成されている。この場合も、樹脂モールド工程では、複数本の凹部76a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記凹部76aを除く部分で、金属層76が露出される。
【0057】
これら第5、第6の実施例によれば、上記第3の実施例等と同様に、パッケージ72、75の放熱面に対する切削(又は研削)加工を行うにあたって、放熱部材の露出側の面においては、凹部73a、76aによって金属層73、76が分断(分割)され、その分断部分に金属層73、76よりも硬質なモールド樹脂が存在するような形態となる。そのため、金属層73、76が深く削られることがなくなり、露出面における高い平面度を確保することができる。このとき、複数本の凹部73a、76aを設けたことによって、大型の放熱部材でも、露出面における金属層73、76の各分割領域の個々の面積(モールド樹脂との境界部からの距離)をより小さくすることができる。
【0058】
図9は、本発明の第7の実施例に係る半導体装置77を示している。この半導体装置77においては、パッケージ78の図で下面側に設けられる放熱部材は、金属板の下面側に絶縁層を介して金属層79を備えており、金属層79の非形成領域によって、放熱部材の露出側の面には、複数本のスペースたる凹部79aが形成されている。樹脂モールド工程では、凹部79a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記凹部79aを除く部分で、金属層79が露出される。
【0059】
このとき、図示しない切削刃は、上記第1の実施例等と比べてやや半径の小さい円形を描くように移動(旋回)し、所定の移動方向が矢印A´方向となっている。上記複数本の凹部79aは、切削刃の移動方向である矢印A´方向に対してほぼ直角方向に延びるように、放射状に形成されていると共に、金属層79の各分割領域の矢印A´方向に関する幅寸法が同等となるように形成されている。
【0060】
この第7の実施例によれば、上記第5、第6の実施例と同様に、パッケージ78の露出面における高い平面度を確保することができる。そして、放熱部材の露出面における金属層79の各分割領域に関して、切削刃の移動距離(切削距離)が同等となり、金属層79の各分割領域間での平面度を同等とすることができる。
【0061】
図10は、本発明の第8の実施例に係る半導体装置80を示している。この半導体装置80においては、パッケージ81の図で下面側に設けられる放熱部材は、金属板の下面側に絶縁層を介して金属層82を備えており、金属層82の非形成領域によって、放熱部材の露出側の面には、スペースたる複数本の凹部82aが形成されている。樹脂モールド工程では、凹部82a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記凹部82aを除く部分で、金属層82が露出される。
【0062】
このとき、複数本の凹部82aは、前後方向に延びて複数本が形成されているのであるが、金属層82の各分割領域の左右方向の幅寸法を相違させる、つまり、中央部が幅広で、左右両側にいくほど幅狭になるように形成されている。これにより、金属層82の各分割領域において、図示しない切削刃の移動方向である矢印A´方向に関する移動距離(切削距離)が同等となる。従って、この第8の実施例によっても、上記第7の実施例と同様に、パッケージ81の露出面における高い平面度を確保することができ、また金属層82の各分割領域間での平面度を同等とすることができる。上記第7の実施例の半導体装置77に比べて、放熱部材(金属層82)の全放熱面積を大きくすることができる。
【0063】
図11は、本発明の第9の実施例に係る半導体装置83を示している。この半導体装置83においては、パッケージ84の図で下面側に設けられる放熱部材は、金属板の下面側に絶縁層を介して金属層85を備えており、金属層85の非形成領域によって、放熱部材の露出側の面には、スペースたる矩形状の凹部85aが形成されている。樹脂モールド工程では、凹部85a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記凹部85aを除く部分で、金属層85が露出される。
【0064】
この場合、切削工程では、図示しない切削刃の移動方向が、例えば、パッケージ84(放熱部材)の対角方向である矢印A″方向とされている。この第9の実施例によっても、上記第3の実施例等と同様に、パッケージ84の露出面における高い平面度を確保することができる。
【0065】
尚、上記した第5〜第9の実施例では、放熱部材を、金属板、絶縁層、金属層の積層構造としたが、上記第1の実施例のように、放熱部材を単層の金属板(放熱板)から構成する場合でも、その露出面側に、第5〜第9の実施例と同様の溝状の凹部を形成する構成とすることができる。この場合も、上記第5〜第9の実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0066】
(4)第10の実施例、その他の実施例
図12及び図13を参照して、本発明の第10の実施例について述べる。本実施例に係る半導体装置91が、上記第3の実施例の半導体装置41と異なる点は、パッケージ92の構成、及び、図で下面側の放熱部材93の構成にある。即ち、半導体装置91は、後述するパッケージ92内に、半導体チップ23及び金属ブロック体28を左右に位置して2組備えると共に、下面側に共通の放熱部材93を備えると共に、図で上面側には、左右に位置して2個の放熱部材44、45を備えている。これら放熱部材44、45は、金属板49の図で上面に絶縁層50を介して金属層51を設けて構成されている。
【0067】
前記放熱部材93は、横長な矩形板状に形成された金属板46と、この金属板46の外面(下面)側全体に位置する絶縁層47と、この絶縁層47の更に外面側に位置する金属層94とから構成されている。このとき、金属層94は、絶縁層47の下面側全体にわたって設けられている。尚、3本のパワー端子29は、夫々、放熱部材93、44、45の金属板46、49、49電気的に接続されて(或いは一体に)設けられている。複数本の信号端子30は、各半導体チップ23のゲート等の電極パッドと図示しないボンディングワイヤにより接続されている。
【0068】
そして、本実施例では、パッケージ92を構成するモールド樹脂は、パッケージ92の内部に配置されて前記半導体チップ23や金属ブロック体28を覆う第1の樹脂層95と、少なくとも前記パッケージ92の切削又は研削が行なわれる面、つまり図で下面側に設けられた第2の樹脂層96とを含んでいる。このとき、前記第2の樹脂層96は、前記第1の樹脂層95よりも軟質に構成されており、例えば前記金属層94と同等な硬さを有している。
【0069】
より具体的には、本実施例では、前記第1の樹脂層95は、例えば、放熱性向上、強度向上、はんだ寿命向上等を図るためのフィラーとして、溶融シリカを含んだエポキシ樹脂からなる。この第1の樹脂層95は、図13(b)にも示すように、放熱部材93のうち、金属層94よりも上側に位置して、つまり下端部が金属層94の上面の高さに一致するようにして、その上方において半導体チップ23や金属ブロック体28、放熱部材44、45の外周全体を覆うような矩形ブロック状に形成されている。
【0070】
これに対し、前記第2の樹脂層96は、例えばフィラーを含まないエポキシ樹脂からなり、言い換えると、第1の樹脂層96とは同等の樹脂材料に対し含まれるフィラーの密度を異ならせた(この場合0にした)ものとなっている。この第2の樹脂層96は、前記第1の樹脂層95の前後左右の周囲の側面部、及び、放熱部材93の金属層94の周囲及び下面部全体を覆うように形成されている。尚、この第2の樹脂層96は、切削工程で切削されるべき切削しろを予め有した形態で形成される。
【0071】
さて、上記半導体装置91を製造するにあたっては、まず、放熱部材93、半導体チップ23、23、金属ブロック体28、28、放熱部材44、45、パワー端子29及び各信号端子30を構成するリードフレーム(図示せず)といった内部構成部品を接合する接合工程が実行される。次に、内部構成部品の接合物を、樹脂モールドしてパッケージ92を形成する樹脂モールド工程が実行されるのであるが、この樹脂モールド工程は、第1、第2の2段階で実行される。
【0072】
即ち、図示はしないが、第1樹脂モールド工程では、上記第1の樹脂層95(及び放熱部材93の下端部)に対応したキャビティを有する第1のモールド成形型が用いられ、中間組立体を、キャビティ内に収容して、フィラーを含むエポキシ樹脂により一体に樹脂モールドすることにより、第1の樹脂層95が形成される。次に、第1の樹脂層95が形成された中間製造物を、パッケージ92の最終形状(第2の樹脂層96)に対応したキャビティを有する第2のモールド成形型内に収容し、フィラーを含まないエポキシ樹脂により一体に樹脂モールドすることにより、第2の樹脂層96が形成される。このときには、パッケージ92が、最終的に得たい厚み寸法よりもやや大きく(切削しろを見込んだ寸法で)形成される。
【0073】
この後、前記パッケージ92の外面(図で上下両面)を、切削(又は研削)加工することにより、前記放熱部材の金属層を露出させる切削工程が実行される。パッケージ92の下面側の切削加工は、図示しない切削用の工具を、垂直軸周りに連続的に回転させて切削刃を矢印A方向(図13(a)参照)に回転(旋回)移動させながら、半導体装置91(パッケージ92)を回転円板の直径方向(矢印B方向)に相対的に順に移動させていき、第2の樹脂層96及び放熱部材93の金属層94を、切削刃により所定の切削ラインCまで切削していくことにより行われる。
【0074】
このとき、パッケージ92のうち、放熱部材93(金属層94)の露出面においては、軟質な第2の樹脂層96が設けられているので、金属層94と第2の樹脂層96との間の硬さの差が小さくなる。これにより、金属層94がより深く削られることがなくなり、ひいては、切削面における平面度の低下を抑えることができる。パッケージ92の内部に配置されて前記半導体チップ23等を覆う第1の樹脂層95については、必要な性能(硬さや熱伝導性など)を確保することができる。
【0075】
従って、本実施例によれば、放熱部材93が比較的大型(放熱面積の大きい)のものであっても、切削面における平面度を高めることができるという優れた効果を得ることができる。また、特に本実施例では、前記第1の樹脂層95と、前記第2の樹脂層96とを、同等の樹脂材料に対し、含まれるフィラーの密度を異ならせて構成したので、製造に要する手間を少なくすることができるといったメリットを得ることができる。
【0076】
尚、上記した第10の実施例では、フィラーが含まれないエポキシ樹脂から第2の樹脂層96を構成したが、第1の樹脂層95及び第2の樹脂層96を共にフィラーを含んだものとして、その含有率を異ならせることにより、硬さを相違させるようにしても良い。第1の樹脂層と第2の樹脂層とを、異なる樹脂材料から構成しても良い。比較的軟質な第2の樹脂層を、パッケージのうち切削面(下面あるいは上下両面)にのみ配置して、それらの間を、硬質な第1の樹脂層から構成するようにしても良い。
【0077】
その他、本発明は上記し且つ図面に示した各実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記した各実施例では、切削工程を、切削刃による切削加工を実行するものとしたが、工具としての研磨部材による研削(研磨)を行うものであっても良い。また、切削工程における切削用工具の相対的移動方向(矢印A等)は、パッケージの長手方向に対して直交する方向であっても良い。さらに、本発明は、インバータ用のIGBTに限らず、発熱部品を含む半導体装置全般に適用することができる等、要旨を逸脱しない範囲内で、適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0078】
図面中、21、31、41、52、71、74、77、80、83、91は半導体装置、22、42、53、72、75、78、81、84、92はパッケージ、23は半導体チップ、24、32、43、54、93は放熱部材、24a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85aは凹部(スペース)、32aは貫通穴(スペース)、46、58は金属板、47、59は絶縁層、48、60、73、76、79、82、85、94は金属層、95は第1の樹脂層、96は第2の樹脂層を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ及び該半導体チップに熱的に接続された放熱部材を、モールド樹脂により一体的にモールドしてパッケージを構成すると共に、そのパッケージの外面に対する切削又は研削加工によって、前記放熱部材を露出させるようにした半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばIGBT等のパワー素子を含んだ半導体装置として、例えば特許文献1に開示されているように、放熱性を高めるために、半導体チップの両面側に放熱板を配置した状態で、それら放熱板がパッケージの表面に露出されるように樹脂モールドした構成のものがある。このとき、パッケージ両面における放熱板の露出面の平行度を確保して、冷却器との密着性を向上させるために、モールド樹脂層が放熱板の表面も含む半導体装置全体を覆うように予め形成され、その後、切削工具(刃物)を用いた切削加工により、放熱板を露出させることが行われる。
【0003】
即ち、図14に示すように、この第1の従来例の半導体装置1は、例えばアルミニウム製の一対の放熱板(ヒートシンク)2、3間に、半導体チップ4と、スペーサとして機能する例えば銅製の金属ブロック体5とを挟んで構成されている。放熱板2と半導体チップ4の間、半導体チップ4と金属ブロック体5の間、金属ブロック体5と放熱板3の間は、夫々半田6により接合されている。また、半導体チップ4とリード部7とがボンディングワイヤ8により接続される。この半導体装置1は、放熱板2、3の表面の一部又は全体がエポキシ樹脂等のモールド樹脂層9でモールドされる。そして、切削工具(刃物)10により表面が切削されて、放熱板2、3が樹脂の面と同一平面になるように露出される。
【0004】
また、同様に、パッケージの両面に放熱板を配置した別の構成として、特許文献2には、1つのパッケージ内に2個の半導体チップを設けた、いわゆる2in1のタイプのものが開示されている。図15に示すように、この第2の従来例の半導体装置11は、図で下面側に横長な矩形板状をなす大形の共用放熱板12を備え、その上面に左右2個の半導体チップ13、14を設け、それら各半導体チップ13、14の上部に、夫々放熱板15、16を備えている。この場合も、放熱板12、15、16の表面を含む全体がエポキシ樹脂等のモールド樹脂層17でモールドされ、その後、表面の切削加工によって放熱板12、15、16が露出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−27794号公報
【特許文献2】特開2004−296588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記したパッケージ表面の切削加工は、上記した第2の従来例の半導体装置11の下面側の切削を例に挙げると、図16(a)に示すように、回転円板の外周部に切削刃を取付けた工具を、垂直軸周りに連続的に回転させて切削刃を矢印A方向に回転(旋回)移動させながら、半導体装置11(パッケージ)を回転円板の直径方向(矢印B方向)に相対的に順に移動させていき、該切削刃により樹脂層17及び放熱板12を切削していくことにより行われる。
【0007】
この場合、パッケージの表面の樹脂層17と放熱板12とを、切削刃で同時に切削することになるが、樹脂層17と放熱板12とでは硬さが異なるため、より軟質な放熱板12の方が削られやすい事情がある。そのため、放熱板12の方がより深く切削されてしまい、結局、平面度が悪化する虞があった。特に、図15に示した2in1タイプの半導体装置11では、半導体チップ13、14からの発熱量も多いため共用放熱板12が大型になるが、このような大型の放熱板12では、図16(b)に示すように、樹脂層17との境界部からの距離が大きい部分(放熱板12の中央部分)の切削量が大きくなり、平面度の悪化は顕著となる。
【0008】
尚、これに対処するため、切削する方向(切削加工時の半導体装置11の配置)を、図16(a)の状態に示したパッケージ(放熱板12)の長手方向から、90度変更する、つまり矢印A方向にパッケージ(放熱板12)のうち短辺方向を合せながら切削を行うことも考えられる。ところが、これでは、半導体装置11の矢印B方向の相対移動距離が大きくなり、切削加工に要する時間が長くなってしまうことになる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、パッケージの外面の切削又は研削加工によって放熱部材を露出させるものにあって、切削面における平面度の低下を抑えることができる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の半導体装置の製造方法は、半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(24、32、43、54)を含む内部構成部品を樹脂モールドしてパッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)を形成する樹脂モールド工程と、切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら前記パッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の外面を前記放熱部材(24、32、43、54)ごと切削又は研削することにより、該放熱部材(24、32、43、54)を露出させる切削工程とを含む半導体装置(21、31、41、52、71、74、77、80、83)の製造方法において、前記放熱部材には、予め、その露出側の面を前記移動方向に関して複数に分断するようなスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)が形成されており、前記樹脂モールド工程では、前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)内にモールド樹脂が充填され、前記切削工程では、前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)を除く部分で、前記放熱部材(24、32、43、54)が露出されるところに特徴を有する。
【0011】
また、本発明の請求項10の半導体装置は、半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(24、32、43、54)を、モールド樹脂により一体的にモールドしてパッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)を構成すると共に、そのパッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の外面に対して切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら切削又は研削することによって、前記放熱部材(24、32、43、54)を露出させるようにした半導体装置(21、31、41、52、71、74、77、80、83)において、前記放熱部材(24、32、43、54)には、その露出側の面を前記移動方向に関して複数に分断するようなスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)が形成されており、そのスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)内に前記モールド樹脂が充填された形態とされているところに特徴を有する。
【0012】
これらによれば、パッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の放熱面に対する切削又は研削加工を行うにあたって、放熱部材(24、32、43、54)の露出側の面においては、スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)によって、放熱部材(24、32、43、54)が切削用の工具の移動方向に関して複数に分断され、その分断部分に放熱部材(24、32、43、54)よりも硬質なモールド樹脂が存在するような形態となる。
【0013】
このため、全体としては大型の放熱部材(24、32、43、54)でも、露出面に露出して切削される部分の工具の移動方向に関する長さ、つまり、放熱部材(24、32、43、54)のモールド樹脂との境界部から境界部までの、工具の移動方向に沿う距離を小さくすることができる。従って、露出面に露出するモールド樹脂よりも放熱部材(24、32、43、54)の方が軟らかい事情があっても、放熱部材(24、32、43、54)の工具により連続して一度に切削される距離が小さくなり、放熱部材(24、32、43、54)がより深く削られることを抑制することができ、ひいては、切削面における平面度の低下を抑えることができる。
【0014】
本発明の半導体装置の製造方法においては、前記放熱部材(24、32)を、金属板から構成し、該金属板の外面側に前記スペースとしての凹部(24a)を予め形成する構成としたり(請求項2の発明)、該金属板に前記スペースとしての貫通穴(32a)を予め形成する構成としたりすることができる。これにより、スペースとしての凹部(24a)や貫通穴(32a)を容易に形成でき、放熱部材(24、32)を簡単な構成で安価に済ませることができる。
【0015】
或いは、前記放熱部材(43、54)を、金属板(46、58)と、この金属板(46、58)の外面側全体に位置する絶縁層(47、59)と、この絶縁層(47、59)の更に外面側に位置する金属層(48、60、73、76、79、82、85)とから構成し、前記金属層(48、60、73、76、79、82、85)を、前記絶縁層(47、59)の外面に対し部分的に形成しないことによって前記スペース(43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)を設ける構成とすることができる(請求項4の発明)。これによれば、複雑な或いは微細な形状のスペース(43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)を形成することが可能となる。
【0016】
ところで、パッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の外面に対する切削又は研削加工(切削工程)は、切削用の工具を回転(旋回)させながら、パッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の切削面を直径方向に移動させることにより、全体の切削を行うことが一般的である。このとき、切削方向(切削用の工具の移動方向)を、パッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)又は放熱部材(24、32、43、54)の長手方向に合せることにより、切削の作業効率を高いものとすることができる。もしくは、切削方向を、放熱部材(24、32、43、54)の長手方向と直交する方向にすることもできる。
【0017】
そこで、本発明においては、前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、82a)を、前記放熱部材(24、32、43、54)の長手方向及び/又は長手方向と直交する方向に延びて形成することができる(請求項5の発明)。或いは、前記スペース(79a)を、切削用の工具の移動方向に対して直角方向に延びて形成しても良い(請求項6の発明)。これらにより、切削方向(切削用の工具の移動方向)に対し、放熱部材(24、32、43、54)を複数に分断するようにスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、82a)を設けることができる。
【0018】
さらには、前記スペース(73a、76a、79a、82a)を、複数本形成する構成とすることができる(請求項7の発明)。大型の放熱部材(24、32、43、54)でも、露出面に露出して切削される部分の放熱部材(24、32、43、54)の、各分割領域の個々の面積(モールド樹脂との境界部からの距離)を小さくすることができる。
【0019】
本発明の請求項8の半導体装置の製造方法は、少なくとも半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(93)を含む内部構成部品を樹脂モールドしてパッケージ(92)を形成する樹脂モールド工程と、切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら前記パッケージ(92)の外面を前記放熱部材(93)ごと切削又は研削することにより、前記放熱部材(93)を露出させる切削工程とを含む半導体装置(91)の製造方法において、前記樹脂モールド工程は、前記パッケージ(92)の内部に配置されて前記半導体チップ(23)を覆う第1の樹脂層(95)を形成する第1樹脂モールド工程と、少なくとも前記パッケージ(92)の切削又は研削が行なわれる面に配置され前記第1の樹脂層(95)よりも軟質な樹脂材料から第2の樹脂層(96)を形成する第2樹脂モールド工程との2段階で実行されるところに特徴を有する。
【0020】
また、本発明の請求項11の半導体装置は、半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(93)を、モールド樹脂により一体的にモールドしてパッケージ(92)を構成すると共に、そのパッケージ(92)の外面に対して切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら切削又は研削することによって、前記放熱部材(93)を露出させるようにした半導体装置(91)において、前記モールド樹脂は、前記パッケージ(92)の内部に配置されて前記半導体チップ(23)を覆う第1の樹脂層(95)と、少なくとも前記パッケージ(92)の切削又は研削が行なわれる面に配置され前記第1の樹脂層(95)よりも軟質な第2の樹脂層(96)とを含んでいるところに特徴を有する。
【0021】
これらによれば、パッケージ(92)の放熱面に対する切削又は研削加工を行うにあたって、放熱部材(93)の露出側の面においては、軟質な第2の樹脂層(96)が設けられているので、放熱部材(93)と第2の樹脂層(96)との間の硬さの差が小さくなる。従って、放熱部材(93)がより深く削られることがなくなり、ひいては、切削面における平面度の低下を抑えることができる。パッケージ(92)の内部に配置されて前記半導体チップ(23)を覆う第1の樹脂層(95)については、必要な硬さを確保することができる。
【0022】
このとき、前記第1の樹脂層(95)と、前記第2の樹脂層(96)とを、同等の樹脂材料に対し、含まれるフィラーの密度を異ならせて構成することができる(請求項9の発明)。これによれば、第1の樹脂層(95)と第2の樹脂層(96)とで、種類の異なる材料を用いる場合と比べて、製造に要する手間を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、半導体装置の縦断正面図
【図2】半導体装置の底面図(a)及び切削加工後の下端部の縦断正面図(b)
【図3】本発明の第2の実施例を示すもので、半導体装置の縦断正面図(a)及び底面図(b)
【図4】本発明の第3の実施例を示すもので、半導体装置の縦断正面図
【図5】半導体装置の底面図(a)及び切削加工後の下端部の縦断正面図(b)
【図6】本発明の第4の実施例を示すもので、半導体装置の縦断正面図(a)及び底面図(b)
【図7】本発明の第5の実施例を示す半導体装置の底面図
【図8】本発明の第6の実施例を示す半導体装置の底面図
【図9】本発明の第7の実施例を示す半導体装置の底面図
【図10】本発明の第8の実施例を示す半導体装置の底面図
【図11】本発明の第9の実施例を示す半導体装置の底面図
【図12】本発明の第10の実施例を示すもので、半導体装置の縦断正面図
【図13】半導体装置の底面図(a)及び切削加工後の下端部の縦断正面図(b)
【図14】第1の従来例を示すもので、半導体装置の縦断正面図
【図15】第2の従来例を示すもので、半導体装置の縦断正面図
【図16】半導体装置の底面図(a)及び切削加工後の下端部の縦断正面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化したいくつかの実施例について、図1ないし図13を参照しながら説明する。尚、以下の実施例においては、本発明を、例えば三相モータ駆動用のインバータ回路に用いられる半導体装置、この場合、IGBTとダイオードとの並列接続回路を一体的に形成した半導体チップを、パッケージ内に2個(或いは3個)備えて構成される、いわゆる2in1タイプ(或いは3in1タイプ)の半導体装置を製造する場合に適用したものである。また、第2の実施例以降の説明に関しては、第1の実施例又は先に述べた実施例と同一部分には同一符号を付して詳しい説明を省略し、第1の実施例又は先に述べた実施例と相違する部分を中心に説明することとする。
【0025】
(1)第1、第2の実施例
まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施例について述べる。図1は、本実施例に係る半導体装置21の内部構成(縦断正面図)を示しており、また、図2(a)は、半導体装置21の底面図である。ここで、半導体装置21は、例えばエポキシ樹脂からなるモールド樹脂により横長な薄型矩形ブロック状に構成されたパッケージ22を備え、そのパッケージ22内に、2個の半導体チップ23を図で左右に位置して備えている。さらに、パッケージ22の図で下面に、放熱部材としての共通の放熱板(ヒートシンク)24を備え、パッケージ22の図で上面に、前記各半導体チップ23に対応した2個の放熱板25、26を左右に位置して備えている。
【0026】
前記半導体チップ23は、上記のように、パワー素子であるIGBTと、そのコレクタ−エミッタ間に並列接続されたダイオードとを備え、薄型の矩形チップ状に構成されている。2個の半導体チップ23は直列接続される。図示はしないが、各半導体チップ23の表面には、例えば大部分に位置してエミッタ電極が形成されていると共に、一辺側に位置してゲート用及びエミッタケルビン用の複数個の小型の電極パッドが形成されている。また、各半導体チップ23の裏面には、コレクタ電極が大きな面積で形成されている。
【0027】
前記放熱板24は、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導性の高い金属から、パッケージ22よりもやや小さい横長な矩形板状に構成されている。前記放熱板25、26も、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導性の高い金属から、小型の矩形板状に構成されている。このとき、後述するように、前記放熱板24の図で下面(露出面)には、図2(b)にも示すように、スペースを構成する断面コ字型の溝状の凹部24aが、図で前後方向(放熱板24の長手方向と直交する方向)に延びて形成されている。
【0028】
前記放熱板24の上面には、図で左側に位置して、半導体チップ23の裏面側(コレクタ電極)が、はんだ27により電気的(及び熱的)な接続状態で接合されている。そして、その半導体チップ23の表面側(エミッタ電極)は、例えば銅製の金属ブロック体28を介して前記放熱板25に電気的(及び熱的)に接続されている。この場合、半導体チップ23と金属ブロック体28との間、金属ブロック体28と放熱板25との間も、はんだ27により接合されている。
【0029】
一方、前記放熱板24の上面には、図で右側に位置して、半導体チップ23が、左側のものとは上下反転した(裏面側を上向きにした)状態で、接合される。この場合、放熱板24の右側上面には、金属ブロック体28を介して半導体チップ23の表面側(エミッタ電極)が電気的(及び熱的)に接続され、半導体チップ23の裏面側(コレクタ電極)が、右側の放熱板26に接続されている。この場合も、放熱板24、金属ブロック体28、半導体チップ23、放熱板26の相互間は、はんだ27により接合されている。
【0030】
さらに、図2(a)に示すように、前記パッケージ22の長辺側の一辺部には、3本のパワー端子29が導出されている。また、パッケージ22の反対側の辺部には、複数本の信号端子30が導出されている。詳しく図示はしないが、3本のパワー端子29は、夫々、前記放熱板24、25、26と電気的に接続されて(或いは一体に)設けられている。図示はしないが、前記各信号端子30と、各半導体チップ23のゲート等の電極パッドとが、パッケージ22の内部において、ボンディングワイヤにより接続されている。前記金属ブロック体28は、ワイヤボンディングのためのスペーサ等として機能する。
【0031】
さて、上記半導体装置21は、次のようにして製造される。即ち、まず、放熱板24、半導体チップ23、23、金属ブロック体28、28、放熱板25、26、各パワー端子29及び各信号端子30を構成するリードフレーム(図示せず)を接合すると共に、リードフレームと半導体チップ23、23との間のワイヤボンディングを行う接合工程が実行され、内部構成部品を接合した中間組立体が得られる。
【0032】
次に、その中間組立体を、図示しないモールド成形型内に収容し、エポキシ樹脂により一体に樹脂モールドする樹脂モールド工程が実行され、パッケージ22が形成される。この樹脂モールド工程では、パッケージ22が、その厚み方向に関して、最終的に得たい厚み寸法よりもやや大きく形成される。つまり、モールド樹脂の層は、次の切削工程で切削されるべき切削しろを見込んだ寸法で形成されるのである。
【0033】
この後、前記パッケージ22の外面(図で上下両面)を、前記放熱板24、25、26ごと切削(又は研削)することにより、前記放熱板24、25、26を露出させる切削工程が実行される。この切削工程は、パッケージ22図で上面、下面の各面について実行される。そのうちパッケージ22の下面側の切削に関しては、例えば図1に示す切削ラインCまで行われる。
【0034】
図示はしないが、この切削工程は、回転円板の外周部に切削刃を取付けた切削用の工具を、垂直軸周りに連続的に回転させて切削刃を所定の移動方向である矢印A方向(図2(a)参照)に回転(旋回)移動させながら、半導体装置21(パッケージ22)を回転円板の直径方向(矢印B方向)に相対的に順に移動させていき、該切削刃によりモールド樹脂層及び放熱板24、25、26を所定の切削ライン(図1で下面側については切削ラインC)まで切削していくことにより行われる。従って、本実施例では、切削刃の移動方向(矢印A方向)が、放熱板24(パッケージ22)の長手方向にほぼ一致している。
【0035】
このとき、本実施例では、図1、図2に示すように、前記放熱板24の図で下面(露出側の面)に凹部24aが予め形成されている。この凹部24aは、放熱板24の左右方向(長手方向)の中央部において、前後方向全体に延びている。即ち、凹部24aは、放熱板24の長手方向と直交する方向に延び、つまり切削刃の移動方向(矢印A方向)に関して放熱板24を2つに分割するように形成されている。また、この凹部24aは、切削ラインCまでの切削工程が実行されても、凹部24aの底部が露出しない程度の深さで形成されている。これにより、樹脂モールド工程では、凹部24a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記凹部24aを除く部分で、放熱板24が露出されるようになっている。
【0036】
上記構成においては、パッケージ22の放熱面に対する切削(又は研削)加工を行うにあたって、放熱板24の露出側の面においては、凹部24aによって放熱板24が分断され、その分断部分に放熱板24よりも硬質なモールド樹脂が存在するような形態となる。そのため、全体として大型の放熱板24であっても、露出面に露出して切削される部分の切削刃の移動方向(矢印A方向)に関する長さ、つまり、放熱板24のモールド樹脂との境界部から境界部までの、切削刃の移動方向に沿う距離を小さくすることができる。これにより、露出面に露出するモールド樹脂よりも放熱板24の方が軟らかい事情があっても、放熱板24の切削刃により連続して一度に切削される距離が小さくなり、図2(b)に示すように、放熱板24が深く削られることがなくなり、図16に示した従来のものと比べて、露出面における高い平面度を確保することができる。
【0037】
このように本実施例によれば、パッケージ22の外面の切削又は研削加工によって放熱板24を露出させるものにあって、パッケージ22の露出面に露出するモールド樹脂よりも放熱板24の方が軟らかい事情があっても、放熱板24がより深く削られることを抑制することができ、ひいては、切削面における平面度の低下を抑えることができるという優れた効果を得ることができる。
【0038】
尚、凹部24aは、放熱板24のうち中央部という、左右における半導体チップ23や金属ブロック体28の接合部分から離れた位置に形成されているので、放熱性を低下させることなく済ませることができる。また、パッケージ22の図で上面側に位置する放熱板25、26については、もともと面積(切削刃の移動方向に関する長さ)が比較的小さいので、そのままで切削加工を行っても、平面度の低下を招くことはないのである。
【0039】
図3は、本発明の第2の実施例に係る半導体装置31の構成を示している。この半導体装置31が、上記第1の実施例の半導体装置21と異なる点は、パッケージ22の図で下面側に位置する放熱部材たる放熱板32の構成にある。この放熱板32は、やはり、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導性の高い金属から、パッケージ22よりもやや小さい横長な矩形板状に構成されているのであるが、この放熱板32には、スペースたる貫通穴32aが形成されている。
【0040】
この貫通穴32aは、放熱板32の左右方向中央部に位置して、図で前後方向両端部を除いて、放熱板32の長手方向と直交する前後方向(切削刃の移動方向(矢印A方向)に関して放熱板32を2つに分割する方向)に細長く延び、板面を上下に貫通するように形成されている。この場合、樹脂モールド工程では、貫通穴32a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記貫通穴32aを除く部分で、放熱板32が露出されるようになっている。
【0041】
このような第2の実施例においても、大型の放熱板32であっても、露出面に露出して切削刃により連続して一度に切削される距離を小さくすることができ、パッケージ22の露出面に露出するモールド樹脂よりも放熱板32の方が軟らかい事情があっても、放熱板32がより深く削られることを抑制することができる。この結果、切削面における平面度の低下を抑えることができるという優れた効果を得ることができる。
【0042】
(2)第3、第4の実施例
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第3の実施例について述べる。この第3の実施例に係る半導体装置41は、エポキシ樹脂等のモールド樹脂層から構成されるパッケージ42内に、半導体チップ23及び金属ブロック体28を、左右に位置して2組備えている。また、パッケージ42の図で下面側には、共通の放熱部材43を備えると共に、図で上面側には、左右に位置して2個の放熱部材44、45を備えている。
【0043】
前記放熱部材43は、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導性の高い金属から横長な矩形板状に形成された金属板46と、この金属板46の外面(下面)側全体に位置する絶縁層47と、この絶縁層47の更に外面側に位置する金属層48とから構成されている。前記絶縁層47は、例えばスピネルやアルミナ等のセラミック材料からなり、溶射により例えば0.1mmの厚みで形成されている。また、金属層48は、例えばアルミニウムからなり、溶射により切削しろ以上の厚みで例えば0.3mmの厚みで形成されている。
【0044】
このとき、最外層の金属層48は、絶縁層47の外面のうち、中央部については形成されておらず、この金属層48の非形成領域によって、放熱部材43には、図で前後方向に延びるスペースとしての凹部43aが形成されている。また、前記金属層48は、切削ラインCがその厚み方向の途中部に位置されるように設けられている。尚、前記金属板46の上面には、左側に位置して、半導体チップ23の裏面側がはんだ27により電気的(及び熱的)に接合され、右側に位置して、金属ブロック体28ははんだ27により電気的(及び熱的)に接合されている。
【0045】
また、パッケージ42の図で上面側の放熱部材44、45も、金属板49の図で上面に絶縁層50を介して金属層51を設けて構成されている。この場合も、図示しない切削ラインが金属層51の厚み方向の途中部に位置される。尚、3本のパワー端子29は、夫々、放熱部材43、44、45の金属板46、49、49電気的に接続されて(或いは一体に)設けられている。前記各信号端子30と、各半導体チップ23のゲート等の電極パッドとが、図示しないボンディングワイヤにより接続されている。
【0046】
この第3の実施例においても、樹脂モールド工程では、放熱部材43の凹部43a内にモールド樹脂が充填され、パッケージ42の図で下面に対する切削工程では、前記凹部43aを除く部分で、放熱部材43の金属層48が露出される。パッケージ42の放熱面に対する切削(又は研削)加工を行うにあたって、放熱部材43の露出側の面においては、凹部43aによって放熱部材43(金属層48)が分断され、その分断部分に金属層48よりも硬質なモールド樹脂が存在するような形態となる。そのため、金属層48が深く削られることがなくなり、露出面における高い平面度を確保することができる。
【0047】
従って、パッケージ42の露出面に露出するモールド樹脂よりも放熱部材43の金属層48の方が軟らかい事情があっても、金属層48がより深く削られることを抑制することができ、この結果、切削面における平面度の低下を抑えることができるという優れた効果を得ることができる。また、特に本実施例では、金属層48の非形成領域を設けることによって凹部43aを形成するようにしているので、複雑な或いは微細な形状の凹部43aを形成することが可能となる。
【0048】
図6は、本発明の第4の実施例に係る半導体装置52を示している。この半導体装置52は、エポキシ樹脂等のモールド樹脂からなるパッケージ53内に、3個の半導体チップ23(IGBTとダイオードとの並列接続回路)を組込んだ、いわゆる3in1タイプのものであり、例えば、三相モータの駆動用のインバータ回路(主回路)のうち、上アーム(或いは下アーム)を構成するようになっている。
【0049】
前記パッケージ53の図で下面側には、共通の放熱部材54が設けられ、図で上面側には、左側、中央、右側に位置して3個の放熱部材55、56、57が設けられる。前記放熱部材54は、例えばアルミニウムや銅等から横長な矩形板状に形成された金属板58と、この金属板58の外面(下面)側全体に位置するセラミック材料からなる絶縁層59と、この絶縁層59の更に外面側に位置する例えばアルミニウムからなる金属層60とから構成されている。このとき、最外層の金属層60は、絶縁層59の外面のうち、左側、中央、右側に位置して形成され、この金属層60の非形成領域によって、放熱部材54には、スペースとしての2個の凹部54a、54aが図で前後方向に延びて形成されている。
【0050】
前記金属板58の上面には、左側、中央、右側に位置して、3個の半導体チップ23の裏面側(コレクタ電極)がはんだ27により電気的(及び熱的)に接続(はんだ接合)されている。3個の半導体チップ23の表面側(エミッタ電極)は、夫々金属ブロック体28を介して、前記放熱部材55、56、57に電気的(及び熱的)に接続(はんだ接合)されている。前記放熱部材55、56、57も、金属板61の図で上面に絶縁層62を介して金属層63を設けて構成されている。
【0051】
さらに、図6(b)に示すように、前記パッケージ53の長辺側の一辺部には、4本のパワー端子64が導出されている。詳しく図示はしないが、4本のパワー端子64は、夫々、前記放熱部材54、55、56、57の金属板58、6、63、63と電気的に接続されて(或いは一体に)設けられている。また、パッケージ53の反対側の辺部には、複数本の信号端子65が導出されている。各信号端子65と、各半導体チップ23のゲート等の電極パッドとが、図示しないボンディングワイヤにより接続されている。
【0052】
この第4の実施例においても、樹脂モールド工程では、放熱部材54の各凹部54a内にモールド樹脂が充填され、パッケージ53の図で下面に対する切削工程では、前記凹部54a、54aを除く部分で、放熱部材54の金属層60が露出される。パッケージ53の放熱面に対する切削(又は研削)加工を行うにあたって、放熱部材54の露出側の面においては、凹部54a、54aによって放熱部材54(金属層60)が分断され、その分断部分に金属層60よりも硬質なモールド樹脂が存在するような形態となる。そのため、金属層60が深く削られることがなくなり、露出面における高い平面度を確保することができる。
【0053】
従って、パッケージ53の露出面に露出するモールド樹脂よりも放熱部材54の金属層60の方が軟らかい事情があっても、金属層60がより深く削られることを抑制することができ、この結果、切削面における平面度の低下を抑えることができるという優れた効果を得ることができる。また、特に本実施例では、金属層60の非形成領域を設けることによって凹部54a、54aを形成するようにしているので、複雑な或いは微細な形状の凹部54aを形成することが可能となる。
【0054】
(3)第5〜第9の実施例
図7〜図11は、夫々本発明の第5〜第9の実施例を示すものであり、これら実施例が上記第3の実施例の半導体装置41と異なる点は、放熱部材の露出面側に形成されるスペースとしての溝状の凹部の構成にある。
【0055】
即ち、図7は、本発明の第5の実施例に係る半導体装置71を示している。この半導体装置71においては、パッケージ72の図で下面側に設けられる放熱部材は、金属板の下面側に絶縁層を介して金属層73を備えている。そして、金属層73の非形成領域によって、放熱部材の露出側の面には、前後方向全体に延びて複数本のスペースたる凹部73aが等間隔で形成されている。これにより、樹脂モールド工程では、複数本の凹部73a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記凹部73aを除く部分で、金属層73が露出される。
【0056】
図8は、本発明の第6の実施例に係る半導体装置74を示している。この半導体装置74においては、パッケージ75の図で下面側に設けられる放熱部材は、金属板の下面側に絶縁層を介して金属層76を備えており、金属層76の非形成領域によって、放熱部材の露出側の面には、複数本のスペースたる凹部76aが形成されている。この場合、凹部76aは、全体として格子状をなすように、前後方向及び左右方向に延びてほぼ等間隔で複数本ずつ(6本及び3本)形成されている。この場合も、樹脂モールド工程では、複数本の凹部76a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記凹部76aを除く部分で、金属層76が露出される。
【0057】
これら第5、第6の実施例によれば、上記第3の実施例等と同様に、パッケージ72、75の放熱面に対する切削(又は研削)加工を行うにあたって、放熱部材の露出側の面においては、凹部73a、76aによって金属層73、76が分断(分割)され、その分断部分に金属層73、76よりも硬質なモールド樹脂が存在するような形態となる。そのため、金属層73、76が深く削られることがなくなり、露出面における高い平面度を確保することができる。このとき、複数本の凹部73a、76aを設けたことによって、大型の放熱部材でも、露出面における金属層73、76の各分割領域の個々の面積(モールド樹脂との境界部からの距離)をより小さくすることができる。
【0058】
図9は、本発明の第7の実施例に係る半導体装置77を示している。この半導体装置77においては、パッケージ78の図で下面側に設けられる放熱部材は、金属板の下面側に絶縁層を介して金属層79を備えており、金属層79の非形成領域によって、放熱部材の露出側の面には、複数本のスペースたる凹部79aが形成されている。樹脂モールド工程では、凹部79a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記凹部79aを除く部分で、金属層79が露出される。
【0059】
このとき、図示しない切削刃は、上記第1の実施例等と比べてやや半径の小さい円形を描くように移動(旋回)し、所定の移動方向が矢印A´方向となっている。上記複数本の凹部79aは、切削刃の移動方向である矢印A´方向に対してほぼ直角方向に延びるように、放射状に形成されていると共に、金属層79の各分割領域の矢印A´方向に関する幅寸法が同等となるように形成されている。
【0060】
この第7の実施例によれば、上記第5、第6の実施例と同様に、パッケージ78の露出面における高い平面度を確保することができる。そして、放熱部材の露出面における金属層79の各分割領域に関して、切削刃の移動距離(切削距離)が同等となり、金属層79の各分割領域間での平面度を同等とすることができる。
【0061】
図10は、本発明の第8の実施例に係る半導体装置80を示している。この半導体装置80においては、パッケージ81の図で下面側に設けられる放熱部材は、金属板の下面側に絶縁層を介して金属層82を備えており、金属層82の非形成領域によって、放熱部材の露出側の面には、スペースたる複数本の凹部82aが形成されている。樹脂モールド工程では、凹部82a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記凹部82aを除く部分で、金属層82が露出される。
【0062】
このとき、複数本の凹部82aは、前後方向に延びて複数本が形成されているのであるが、金属層82の各分割領域の左右方向の幅寸法を相違させる、つまり、中央部が幅広で、左右両側にいくほど幅狭になるように形成されている。これにより、金属層82の各分割領域において、図示しない切削刃の移動方向である矢印A´方向に関する移動距離(切削距離)が同等となる。従って、この第8の実施例によっても、上記第7の実施例と同様に、パッケージ81の露出面における高い平面度を確保することができ、また金属層82の各分割領域間での平面度を同等とすることができる。上記第7の実施例の半導体装置77に比べて、放熱部材(金属層82)の全放熱面積を大きくすることができる。
【0063】
図11は、本発明の第9の実施例に係る半導体装置83を示している。この半導体装置83においては、パッケージ84の図で下面側に設けられる放熱部材は、金属板の下面側に絶縁層を介して金属層85を備えており、金属層85の非形成領域によって、放熱部材の露出側の面には、スペースたる矩形状の凹部85aが形成されている。樹脂モールド工程では、凹部85a内にモールド樹脂が充填され、切削工程では、前記凹部85aを除く部分で、金属層85が露出される。
【0064】
この場合、切削工程では、図示しない切削刃の移動方向が、例えば、パッケージ84(放熱部材)の対角方向である矢印A″方向とされている。この第9の実施例によっても、上記第3の実施例等と同様に、パッケージ84の露出面における高い平面度を確保することができる。
【0065】
尚、上記した第5〜第9の実施例では、放熱部材を、金属板、絶縁層、金属層の積層構造としたが、上記第1の実施例のように、放熱部材を単層の金属板(放熱板)から構成する場合でも、その露出面側に、第5〜第9の実施例と同様の溝状の凹部を形成する構成とすることができる。この場合も、上記第5〜第9の実施例と同様の作用・効果を得ることができる。
【0066】
(4)第10の実施例、その他の実施例
図12及び図13を参照して、本発明の第10の実施例について述べる。本実施例に係る半導体装置91が、上記第3の実施例の半導体装置41と異なる点は、パッケージ92の構成、及び、図で下面側の放熱部材93の構成にある。即ち、半導体装置91は、後述するパッケージ92内に、半導体チップ23及び金属ブロック体28を左右に位置して2組備えると共に、下面側に共通の放熱部材93を備えると共に、図で上面側には、左右に位置して2個の放熱部材44、45を備えている。これら放熱部材44、45は、金属板49の図で上面に絶縁層50を介して金属層51を設けて構成されている。
【0067】
前記放熱部材93は、横長な矩形板状に形成された金属板46と、この金属板46の外面(下面)側全体に位置する絶縁層47と、この絶縁層47の更に外面側に位置する金属層94とから構成されている。このとき、金属層94は、絶縁層47の下面側全体にわたって設けられている。尚、3本のパワー端子29は、夫々、放熱部材93、44、45の金属板46、49、49電気的に接続されて(或いは一体に)設けられている。複数本の信号端子30は、各半導体チップ23のゲート等の電極パッドと図示しないボンディングワイヤにより接続されている。
【0068】
そして、本実施例では、パッケージ92を構成するモールド樹脂は、パッケージ92の内部に配置されて前記半導体チップ23や金属ブロック体28を覆う第1の樹脂層95と、少なくとも前記パッケージ92の切削又は研削が行なわれる面、つまり図で下面側に設けられた第2の樹脂層96とを含んでいる。このとき、前記第2の樹脂層96は、前記第1の樹脂層95よりも軟質に構成されており、例えば前記金属層94と同等な硬さを有している。
【0069】
より具体的には、本実施例では、前記第1の樹脂層95は、例えば、放熱性向上、強度向上、はんだ寿命向上等を図るためのフィラーとして、溶融シリカを含んだエポキシ樹脂からなる。この第1の樹脂層95は、図13(b)にも示すように、放熱部材93のうち、金属層94よりも上側に位置して、つまり下端部が金属層94の上面の高さに一致するようにして、その上方において半導体チップ23や金属ブロック体28、放熱部材44、45の外周全体を覆うような矩形ブロック状に形成されている。
【0070】
これに対し、前記第2の樹脂層96は、例えばフィラーを含まないエポキシ樹脂からなり、言い換えると、第1の樹脂層96とは同等の樹脂材料に対し含まれるフィラーの密度を異ならせた(この場合0にした)ものとなっている。この第2の樹脂層96は、前記第1の樹脂層95の前後左右の周囲の側面部、及び、放熱部材93の金属層94の周囲及び下面部全体を覆うように形成されている。尚、この第2の樹脂層96は、切削工程で切削されるべき切削しろを予め有した形態で形成される。
【0071】
さて、上記半導体装置91を製造するにあたっては、まず、放熱部材93、半導体チップ23、23、金属ブロック体28、28、放熱部材44、45、パワー端子29及び各信号端子30を構成するリードフレーム(図示せず)といった内部構成部品を接合する接合工程が実行される。次に、内部構成部品の接合物を、樹脂モールドしてパッケージ92を形成する樹脂モールド工程が実行されるのであるが、この樹脂モールド工程は、第1、第2の2段階で実行される。
【0072】
即ち、図示はしないが、第1樹脂モールド工程では、上記第1の樹脂層95(及び放熱部材93の下端部)に対応したキャビティを有する第1のモールド成形型が用いられ、中間組立体を、キャビティ内に収容して、フィラーを含むエポキシ樹脂により一体に樹脂モールドすることにより、第1の樹脂層95が形成される。次に、第1の樹脂層95が形成された中間製造物を、パッケージ92の最終形状(第2の樹脂層96)に対応したキャビティを有する第2のモールド成形型内に収容し、フィラーを含まないエポキシ樹脂により一体に樹脂モールドすることにより、第2の樹脂層96が形成される。このときには、パッケージ92が、最終的に得たい厚み寸法よりもやや大きく(切削しろを見込んだ寸法で)形成される。
【0073】
この後、前記パッケージ92の外面(図で上下両面)を、切削(又は研削)加工することにより、前記放熱部材の金属層を露出させる切削工程が実行される。パッケージ92の下面側の切削加工は、図示しない切削用の工具を、垂直軸周りに連続的に回転させて切削刃を矢印A方向(図13(a)参照)に回転(旋回)移動させながら、半導体装置91(パッケージ92)を回転円板の直径方向(矢印B方向)に相対的に順に移動させていき、第2の樹脂層96及び放熱部材93の金属層94を、切削刃により所定の切削ラインCまで切削していくことにより行われる。
【0074】
このとき、パッケージ92のうち、放熱部材93(金属層94)の露出面においては、軟質な第2の樹脂層96が設けられているので、金属層94と第2の樹脂層96との間の硬さの差が小さくなる。これにより、金属層94がより深く削られることがなくなり、ひいては、切削面における平面度の低下を抑えることができる。パッケージ92の内部に配置されて前記半導体チップ23等を覆う第1の樹脂層95については、必要な性能(硬さや熱伝導性など)を確保することができる。
【0075】
従って、本実施例によれば、放熱部材93が比較的大型(放熱面積の大きい)のものであっても、切削面における平面度を高めることができるという優れた効果を得ることができる。また、特に本実施例では、前記第1の樹脂層95と、前記第2の樹脂層96とを、同等の樹脂材料に対し、含まれるフィラーの密度を異ならせて構成したので、製造に要する手間を少なくすることができるといったメリットを得ることができる。
【0076】
尚、上記した第10の実施例では、フィラーが含まれないエポキシ樹脂から第2の樹脂層96を構成したが、第1の樹脂層95及び第2の樹脂層96を共にフィラーを含んだものとして、その含有率を異ならせることにより、硬さを相違させるようにしても良い。第1の樹脂層と第2の樹脂層とを、異なる樹脂材料から構成しても良い。比較的軟質な第2の樹脂層を、パッケージのうち切削面(下面あるいは上下両面)にのみ配置して、それらの間を、硬質な第1の樹脂層から構成するようにしても良い。
【0077】
その他、本発明は上記し且つ図面に示した各実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記した各実施例では、切削工程を、切削刃による切削加工を実行するものとしたが、工具としての研磨部材による研削(研磨)を行うものであっても良い。また、切削工程における切削用工具の相対的移動方向(矢印A等)は、パッケージの長手方向に対して直交する方向であっても良い。さらに、本発明は、インバータ用のIGBTに限らず、発熱部品を含む半導体装置全般に適用することができる等、要旨を逸脱しない範囲内で、適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0078】
図面中、21、31、41、52、71、74、77、80、83、91は半導体装置、22、42、53、72、75、78、81、84、92はパッケージ、23は半導体チップ、24、32、43、54、93は放熱部材、24a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85aは凹部(スペース)、32aは貫通穴(スペース)、46、58は金属板、47、59は絶縁層、48、60、73、76、79、82、85、94は金属層、95は第1の樹脂層、96は第2の樹脂層を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(24、32、43、54)を含む内部構成部品を樹脂モールドしてパッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)を形成する樹脂モールド工程と、
切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら前記パッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の外面を前記放熱部材(24、32、43、54)ごと切削又は研削することにより、該放熱部材(24、32、43、54)を露出させる切削工程とを含む半導体装置(21、31、41、52、71、74、77、80、83)の製造方法において、
前記放熱部材には、予め、その露出側の面を前記移動方向に関して複数に分断するスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)が形成されており、
前記樹脂モールド工程では、前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)内にモールド樹脂が充填され、
前記切削工程では、前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)を除く部分で、前記放熱部材(24、32、43、54)が露出されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記放熱部材(24)は、金属板から構成されており、該金属板の外面側に前記スペースとしての凹部(24a)が予め形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記放熱部材(32)は、金属板から構成されており、該金属板に前記スペースとしての貫通穴(32a)が予め形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記放熱部材(43、54)は、金属板(46、58)と、この金属板(46、58)の外面側全体に位置する絶縁層(47、59)と、この絶縁層(47、59)の更に外面側に位置する金属層(48、60、73、76、79、82、85)とから構成され、前記金属層(48、60、73、76、79、82、85)が、前記絶縁層(47、59)の外面に対し部分的に形成されていないことによって前記スペース(43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)が設けられることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、82a)は、前記放熱部材(24、32、43、54)の長手方向及び/又は長手方向と直交する方向に延びて形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、82a)は、前記工具の移動方向に対して直角方向に延びて形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記スペース(73a、76a、79a、82a)は、複数本が形成されていることを特徴とする請求項5又は6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
少なくとも半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(93)を含む内部構成部品を樹脂モールドしてパッケージ(92)を形成する樹脂モールド工程と、
切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら前記パッケージ(92)の外面を前記放熱部材(93)ごと切削又は研削することにより、前記放熱部材(93)を露出させる切削工程とを含む半導体装置(91)の製造方法において、
前記樹脂モールド工程は、前記パッケージ(92)の内部に配置されて前記半導体チップ(23)を覆う第1の樹脂層(95)を形成する第1樹脂モールド工程と、
少なくとも前記パッケージ(92)の切削又は研削が行なわれる面に配置され前記第1の樹脂層(95)よりも軟質な樹脂材料から第2の樹脂層(96)を形成する第2樹脂モールド工程との2段階で実行されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1の樹脂層(95)と、前記第2の樹脂層(96)とは、同等の樹脂材料に対し、含まれるフィラーの密度を異ならせて構成されることを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(24、32、43、54)を、モールド樹脂により一体的にモールドしてパッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)を構成すると共に、そのパッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の外面に対して切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら切削又は研削することによって、前記放熱部材(24、32、43、54)を露出させるようにした半導体装置(21、31、41、52、71、74、77、80、83)において、
前記放熱部材(24、32、43、54)には、その露出側の面を前記移動方向に関して複数に分断するようなスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)が形成されており、そのスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)内に前記モールド樹脂が充填された形態とされていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(93)を、モールド樹脂により一体的にモールドしてパッケージ(92)を構成すると共に、そのパッケージ(92)の外面に対して切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら切削又は研削することによって、前記放熱部材(93)を露出させるようにした半導体装置(91)において、
前記モールド樹脂は、前記パッケージ(92)の内部に配置されて前記半導体チップ(23)を覆う第1の樹脂層(95)と、少なくとも前記パッケージ(92)の切削又は研削が行なわれる面に配置され前記第1の樹脂層(95)よりも軟質な第2の樹脂層(96)とを含んでいることを特徴とする半導体装置。
【請求項1】
半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(24、32、43、54)を含む内部構成部品を樹脂モールドしてパッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)を形成する樹脂モールド工程と、
切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら前記パッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の外面を前記放熱部材(24、32、43、54)ごと切削又は研削することにより、該放熱部材(24、32、43、54)を露出させる切削工程とを含む半導体装置(21、31、41、52、71、74、77、80、83)の製造方法において、
前記放熱部材には、予め、その露出側の面を前記移動方向に関して複数に分断するスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)が形成されており、
前記樹脂モールド工程では、前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)内にモールド樹脂が充填され、
前記切削工程では、前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)を除く部分で、前記放熱部材(24、32、43、54)が露出されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記放熱部材(24)は、金属板から構成されており、該金属板の外面側に前記スペースとしての凹部(24a)が予め形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記放熱部材(32)は、金属板から構成されており、該金属板に前記スペースとしての貫通穴(32a)が予め形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記放熱部材(43、54)は、金属板(46、58)と、この金属板(46、58)の外面側全体に位置する絶縁層(47、59)と、この絶縁層(47、59)の更に外面側に位置する金属層(48、60、73、76、79、82、85)とから構成され、前記金属層(48、60、73、76、79、82、85)が、前記絶縁層(47、59)の外面に対し部分的に形成されていないことによって前記スペース(43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)が設けられることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、82a)は、前記放熱部材(24、32、43、54)の長手方向及び/又は長手方向と直交する方向に延びて形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記スペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、82a)は、前記工具の移動方向に対して直角方向に延びて形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記スペース(73a、76a、79a、82a)は、複数本が形成されていることを特徴とする請求項5又は6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
少なくとも半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(93)を含む内部構成部品を樹脂モールドしてパッケージ(92)を形成する樹脂モールド工程と、
切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら前記パッケージ(92)の外面を前記放熱部材(93)ごと切削又は研削することにより、前記放熱部材(93)を露出させる切削工程とを含む半導体装置(91)の製造方法において、
前記樹脂モールド工程は、前記パッケージ(92)の内部に配置されて前記半導体チップ(23)を覆う第1の樹脂層(95)を形成する第1樹脂モールド工程と、
少なくとも前記パッケージ(92)の切削又は研削が行なわれる面に配置され前記第1の樹脂層(95)よりも軟質な樹脂材料から第2の樹脂層(96)を形成する第2樹脂モールド工程との2段階で実行されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1の樹脂層(95)と、前記第2の樹脂層(96)とは、同等の樹脂材料に対し、含まれるフィラーの密度を異ならせて構成されることを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(24、32、43、54)を、モールド樹脂により一体的にモールドしてパッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)を構成すると共に、そのパッケージ(22、42、53、72、75、78、81、84)の外面に対して切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら切削又は研削することによって、前記放熱部材(24、32、43、54)を露出させるようにした半導体装置(21、31、41、52、71、74、77、80、83)において、
前記放熱部材(24、32、43、54)には、その露出側の面を前記移動方向に関して複数に分断するようなスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)が形成されており、そのスペース(24a、32a、43a、54a、73a、76a、79a、82a、85a)内に前記モールド樹脂が充填された形態とされていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
半導体チップ(23)及び該半導体チップ(23)に熱的に接続された放熱部材(93)を、モールド樹脂により一体的にモールドしてパッケージ(92)を構成すると共に、そのパッケージ(92)の外面に対して切削用の工具を所定の移動方向に移動させながら切削又は研削することによって、前記放熱部材(93)を露出させるようにした半導体装置(91)において、
前記モールド樹脂は、前記パッケージ(92)の内部に配置されて前記半導体チップ(23)を覆う第1の樹脂層(95)と、少なくとも前記パッケージ(92)の切削又は研削が行なわれる面に配置され前記第1の樹脂層(95)よりも軟質な第2の樹脂層(96)とを含んでいることを特徴とする半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−174711(P2012−174711A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31984(P2011−31984)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]