説明

半導体装置の製造方法及び半導体装置

【課題】選択メタルキャップを用いることなしに、生産性の高いエアギャップ配線を形成する。
【解決手段】ウエハ14上の絶縁膜200にCuダマシン配線210を形成する第1の工程と、ウエハ14上に第1のバリア膜220を形成する第2の工程と、後続する接続孔242を開口する工程において、接続孔242の孔底部244に露出するCu配線206と隣接する絶縁膜200、及び最小寸法スペースの3倍以上の幅をもつ幅広スペース200aを保護するように、第1のバリア膜220をパターニングする第3の工程と、第1のバリア膜220をマスクとして絶縁膜200を除去する第4の工程と、ウエハ14上に第2のバリア膜224を形成する第5の工程と、Cu配線206間にエアギャップ232を残しつつ絶縁膜230を形成する第6の工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI(Large Scale Integration)の高速化を実現するために、銅(Cu)配線やLow-k絶縁膜(低誘電率層間絶縁膜)が用いられている。特に、Low-k絶縁膜を比誘電率の低い材料に変更することでLSIの更なる高性能化を図ることができるため、Ultra Low-k絶縁膜(超低誘電率層間絶縁膜)の材料開発が精力的に行われている。
しかし、比誘電率が極端に低いUltra Low-k絶縁膜は機械的強度が低下する等の問題があり、その実用化が遅延している。
【0003】
このため、既存の材料を用いて実効誘電率の低減を図ることができるエアギャップ配線技術が注目されている。このエアギャップ配線技術は、ダマシン配線間の微細スペース部分をエッチバックし、その後、ステップカバレッジ(段差被覆性)の悪い条件で層間絶縁膜を形成することにより、微細スペースに空隙(エアギャップ)を形成するというものである。エアギャップの誘電率はほぼ1であり、層間膜に比較的誘電率の高い材料を用いた場合でも、この空隙により実効誘電率を低く抑えることができる。
【0004】
エアギャップ配線技術においては、配線上の上層配線と電気的に接続するためのVia(貫通孔)を層間絶縁膜に形成する。この際、アライメントずれが生じ、歩留まりが低下するという問題がある。この問題を防止するために、選択メタルキャップとハードマスクを兼用する技術が提案されている。
この技術は、ダマシン配線上に選択メタルキャップを選択メッキ法によって形成した後、ハードマスクをパターニングし、Viaが開口しない微細パターン部のみにエアギャップを形成するというものである。選択メタルキャップとしては、Cu配線の拡散を防止するバリアメタルとなるコバルトタングステン(CoW)合金等が用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、Cu配線上にのみバリアメタルを形成する選択メタルキャップ技術は、選択性の確保が困難である。このため、選択性が破れた場合に隣接する配線間で電流がリークしたり、長期的な信頼性が低下したりする等の問題があった。
【0006】
本発明は、選択メタルキャップを用いることなしに、生産性の高いエアギャップ配線を形成することができる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴とするところは、基板上の第1の絶縁膜にCuダマシン配線を形成する第1の工程と、前記基板上に第1の保護膜を形成する第2の工程と、前記第2の工程により形成された第1の保護膜をパターニングする第3の工程と、前記第1の保護膜をマスクとして第1の絶縁膜を除去する第4の工程と、前記基板上に第2の保護膜を形成する第5の工程と、Cu配線間に空隙を残しつつ第2の絶縁膜を形成する第6の工程と、前記第6の工程により第2の絶縁膜が形成された前記基板上にCu配線と接続する接続孔を開口する第7の工程と、を有し、前記第3の工程は、前記接続孔と隣接するように設計された第1の絶縁膜を保護するようにパターニングする半導体装置の製造方法にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、選択メタルキャップを用いることなしに、生産性の高いエアギャップ配線を形成することができる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略を示す斜透視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る処理炉及びその周辺構造の断面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】エアギャップ形成プロセスを説明する模式図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る第1のバリア膜のパターニングを説明する模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る配線のレイアウトの改善方法を説明する説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る成膜プロセスを説明するフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る成膜プロセスのプロセスシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態にかかる基板処理装置10の構成について、図に基づいて説明する。
【0011】
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態として用いられる基板処理装置10の斜透視図である。
基板処理装置10は筺体12を備え、シリコン等からなるウエハ(基板)14を収納するウエハキャリアとしてカセット16が使用される。筐体12の正面壁12aの下方には、メンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口18が開設され、この正面メンテナンス口18を開閉する正面メンテナンス扉20が建て付けられている。
【0012】
正面メンテナンス扉20には、カセット搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)22が筐体12内外を連通するように開設されており、このカセット搬入搬出口22はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)24によって開閉されるようになっている。
【0013】
カセット搬入搬出口22の筐体12内側には、カセットステージ(基板収容器受渡し台)26が設置されている。カセット16は、工程内搬送装置(非図示)によってカセットステージ26上に搬入、及びこのカセットステージ26上から搬出されるようになっている。
【0014】
カセット16は、工程内搬送装置によって、このカセット16内のウエハ14が垂直姿勢となり、カセット16のウエハ出し入れ口が上方向を向くようにカセットステージ26上に載置される。カセットステージ26は、このカセットステージ26上のカセット16を筐体12の後方に縦方向90°回転させ、このカセット16内のウエハ14が水平姿勢となり、カセット16のウエハ出し入れ口が筐体12の後方を向くように動作する構成となっている。
【0015】
筐体12内の前後方向の略中央部には、カセット棚(基板収容器載置棚)28が設置されており、このカセット棚28は、複数段複数列にて複数個のカセット16を保管するように構成されている。カセット棚28には、後述するウエハ移載機構36の搬送対象となるカセット16が収納される移載棚30が設けられている。
また、カセットステージ26の上方には予備カセット棚32が設けられ、予備的にカセット16を保管するように構成されている。
【0016】
カセットステージ26とカセット棚28との間には、カセット搬送装置(基板収容器搬送装置)34が設置されている。カセット搬送装置34は、カセット16を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ(基板収容器昇降機構)34aと、搬送機構としてのカセット搬送機構(基板収容器搬送機構)34bとで構成されている。カセット搬送装置34は、カセットエレベータ34aとカセット搬送機構34bとの連続動作により、カセットステージ26、カセット棚28、及び予備カセット棚32の間で、カセット16を搬送するように構成されている。
【0017】
カセット棚28の後方には、ウエハ移載機構(基板移載機構)36が設置されている。ウエハ移載機構36は、ウエハ14を水平方向に回転あるいは直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)36a、及びこのウエハ移載装置36aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)36bで構成されている。ウエハ移載装置エレベータ36bは、筐体12の右側端部に設置されている。
【0018】
ウエハ移載機構36は、ウエハ移載装置36a及びウエハ移載装置エレベータ36bの連続動作により、ウエハ移載装置36aのツイーザ(基板保持体)36cをウエハ14の載置部として、ボート(基板保持具)38に対してウエハ14を装填(チャージング)あるいは脱装(ディスチャージング)する。
【0019】
ボート38は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50枚〜150枚程度)のウエハ14をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。ボート38は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料で構成される。
【0020】
筐体12の後部上方には、処理炉40が設けられている。処理炉40の下端部は、炉口シャッタ(炉口開閉機構)42により開閉されるように構成されている。
【0021】
処理炉40の下方には、ボート38を処理炉40に昇降させる昇降機構としてのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)44が設けられている。ボートエレベータ44の昇降台に連結された連結具としてのアーム46には、蓋体としてのシールキャップ48が水平に据え付けられている。
【0022】
シールキャップ48は、ボート38を垂直に支持し、処理炉40の下端部を閉塞可能なように構成されている。シールキャップ48が、ボートエレベータ44によって垂直方向に昇降されることで、ボート38を処理炉40内に対し搬入搬出することが可能となっている。
シールキャップ48は、例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。
【0023】
カセット棚28の後方には、ウエハ14を冷却する冷却ステージ50が設けられている。冷却ステージ50上のウエハ14を載置する部分は、空冷、水冷、又は液冷等により低温に維持されている。処理後、熱をもったウエハ14を冷却ステージ50に載置することで、ウエハ14が急速に冷却される。
【0024】
処理炉40の下方に、ボート38を冷却する冷却装置(非図示)を設けるようしてもよい。冷却装置は、空冷、水冷、又は液冷等により、処理炉40から搬出されたボート38の周囲雰囲気全体を冷却する。これにより、処理後のボート38(及びこのボート38に保持されたウエハ14)が急速に冷却される。
【0025】
カセット棚28の上方には、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを供給するよう供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット52が設けられており、クリーンエアを筐体12の内部に流通させるように構成されている。
【0026】
ウエハ移載装置エレベータ36b及びボートエレベータ44と対向する筐体12の左側端部には、クリーンエアを供給するよう供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット(非図示)が設置されている。このクリーンユニットから吹き出されたクリーンエアは、ウエハ移載装置36a、ボート38を流通した後に、後述する真空ポンプ146(図2参照)に吸い込まれて、筐体12の外部に排気される。
【0027】
[処理炉構成]
次に、基板処理装置10の処理炉40の詳細について説明する。
図2は、処理炉40及びその周辺構造の断面図を示す。
【0028】
処理炉40には加熱手段(加熱機構)としてのヒータ82が設けられている。ヒータ82は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(非図示)に支持されることにより垂直に据え付けられている。
ヒータ82の内側には、ボート38ごとウエハ14を収容する反応管84が設けられている。反応管84は、例えば石英で構成されている。
【0029】
反応管84の下方に、反応管84の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ48が設けられている。シールキャップ48は、反応管84の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。
シールキャップ48の上面には、反応管84の下端と当接するシール部材としてのOリング86が設けられている。
【0030】
処理炉40では、少なくとも、反応管84及びシールキャップ48によりウエハ14を処理する処理室90が形成されている。
【0031】
シールキャップ48の処理室90と反対側には、ボート38を回転させる回転機構92が設けられている。回転機構92の回転軸94は、シールキャップ48を貫通してボート38に接続されており、このボート38を回転させることでウエハ14を回転させるように構成されている。
【0032】
シールキャップ48には、断熱部材としての石英キャップ96を介してボート38が立設される。石英キャップ96は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料で構成され断熱部として機能するとともに、ボート38を保持する保持体となっている。
【0033】
処理室90内であって反応管84の下部には、第1のノズル100a及び第2のノズル100bが、反応管84を貫通するように設けられている。
第1のノズル100aには、第1のガス供給管102aが接続され、第2のノズル100bには、第2のガス供給管102bが接続されている。
このように反応管84には、2本のノズル100a、100bと、2本のガス供給管102a、102bが設けられており、処理室90内へ複数種類(本実施形態では少なくとも2種類)のガスを供給することができるように構成されている。
【0034】
第1のガス供給管102aには上流方向から順に、開閉弁であるバルブ104a、気化器(気化装置)106、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)110a、バルブ112a、ガス溜め部114、及びバルブ116aが設けられている。
【0035】
ガス溜め部114は、例えば通常の配管よりもガス容量の大きなガスタンク又は螺旋配管等で構成されている。このため、バルブ112a及びバルブ116aを開閉することにより、第1のガス供給管102aを流れるガスをガス溜め部114に溜めたり、このガス溜め部114に溜めたガスを処理室90に供給したりするようになっている。
【0036】
また、第1のガス供給管102aには、第1の不活性ガス供給管102cが接続されている。第1の不活性ガス供給管102cには上流方向から順に、MFC110c及びバルブ112cが設けられている。
【0037】
第1のガス供給管102aの先端部に、第1のノズル100aが接続されている。
第1のノズル100aは、反応管84の内壁とウエハ14との間における円弧状の空間に、反応管84の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ14の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。第1のノズル100aは、L字型のロングのノズルとして構成されている。第1のノズル100aの側面には、ガスを供給するガス供給孔120aが設けられている。
【0038】
ガス供給孔120aは、反応管84の中心を向くように開口している。ガス供給孔120aは、反応管84の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0039】
主に、第1のガス供給管102a、バルブ104a、112a、バルブ116a、気化器106、MFC110a、及び第1のノズル100aにより、第1のガス供給系が構成される。
また、主に、第1の不活性ガス供給管102c、MFC110c、バルブ112cにより第1の不活性ガス供給系が構成される。
【0040】
第2のガス供給管102bには上流方向から順に、MFC110b及びバルブ112bが設けられている。
【0041】
また、第2のガス供給管102bのバルブ112bよりも下流側には、第2の不活性ガス供給管102dが接続されている。第2の不活性ガス供給管102dには上流方向から順に、MFC110d及びバルブ112dが設けられている。
【0042】
第2のガス供給管102bの先端部に、第2のノズル100bが接続されている。第2のノズル100bは、ガス分散空間であるバッファ室130内に設けられている。
【0043】
バッファ室130は、反応管84の内壁とウエハ14との間における円弧状の空間に、反応管84内壁の下部から上部にわたり、ウエハ14の積載方向に沿って設けられている。
バッファ室130のウエハ14と隣接する壁の端部には、処理室90内にガスを供給するガス供給孔132が設けられている。ガス供給孔132は、反応管84の中心を向くように開口している。ガス供給孔132は、反応管84の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0044】
第2のノズル100bは、バッファ室130のガス供給孔132が設けられた端部とは反対側の端部に、反応管84の内壁の下部から上部に沿って、ウエハ14の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。第2のノズル100bは、L字型のロングのノズルとして構成されている。第2のノズル100bの側面には、ガスを供給するガス供給孔120bが設けられている。ガス供給孔120bは、バッファ室130の中心を向くように開口している。
【0045】
ガス供給孔120bは、バッファ室130のガス供給孔132と同様に、反応管84の下部から上部にわたって複数設けられている。
複数のガス供給孔120bそれぞれの開口面積は、バッファ室130内と処理室90内の差圧が小さい場合には、上流側(下部)から下流側(上部)まで、それぞれ同一の開口面積で同一の開口ピッチとするとよく、差圧が大きい場合には、上流側から下流側に向かって、それぞれ開口面積を大きくするか、開口ピッチを小さくするとよい。
【0046】
本実施形態においては、各ガス供給孔120bの開口面積や開口ピッチが、上流側から下流側にかけて上述のように調節された構成となっている。つまり、まず、ガス供給孔120bそれぞれから、流速の差はあるものの、流量がほぼ同量のガスを噴出させる。そして、このガス供給孔120bのそれぞれから噴出するガスを、一旦、バッファ室130内に導入することで、このバッファ室130内において、ガスの流速差が均一化される。
【0047】
すなわち、第2のノズル100bの各ガス供給孔120bからバッファ室130内に噴出したガスは、バッファ室130内で各ガスの粒子速度が緩和された後、バッファ室130のガス供給孔132から処理室90内に噴出する。これにより、各ガス供給孔120bからバッファ室130内に噴出したガスは、各ガス供給孔132から処理室90内に噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとなっている。
【0048】
主に、第2のガス供給管102b、MFC110b、バルブ112b、第2のノズル100b、及びバッファ室130により第2のガス供給系が構成される。
また、主に、第2の不活性ガス供給管102d、MFC110d、バルブ112dにより第2の不活性ガス供給系が構成される。
【0049】
第1のガス供給管102aからは、例えば、第1の元素としてのシリコン(Si)を含むガス(Si含有ガス)が第1の処理ガスとして、バルブ104a、気化器106、MFC110a、バルブ112a、第1のノズル100aを介して処理室90内に供給される。
【0050】
Si含有ガスとしては、例えばヘキサクロロジシラン(HCD:Si2Cl6)ガスやジクロロシラン(DCS:SiH2Cl2)ガス等を用いることができる。なお、第1の処理ガスは、常温常圧で固体、液体、及び気体のいずれであっても良い。第1の処理ガスが常温常圧で気体の場合は、気化器106を設ける必要はない。
本実施形態においては、第1の処理ガスが常温常圧で液体である場合を例として説明する。
【0051】
第2のガス供給管102bからは、例えば、第2の元素としての窒素(N)を含むガス(N含有ガス)が第2の処理ガスとして、MFC110b、バルブ112b、第2のノズル100b、及びバッファ室130を介して処理室90内に供給される。
N含有ガスとしては、例えばアンモニア(NH3)ガス等を用いることができる。
【0052】
第1の不活性ガス供給管102cからは、不活性ガスとして例えば窒素(N)ガスが、MFC110c、バルブ112c、第1のガス供給管102a、及び第1のノズル100aを介して処理室90内に供給される。
【0053】
第2の不活性ガス供給管102dからは、不活性ガスとして例えばNガスが、MFC110d、バルブ112、第2のガス供給管102b、第2のノズル100b、及びバッファ室130を介して処理室90内に供給される。
【0054】
なお、例えば各ガス供給管から上述のようなガスを流す場合、第1のガス供給系により原料ガス供給系、すなわちSi含有ガス供給系(シラン系ガス供給系)が構成される。また、第2のガス供給系により改質ガス供給系、すなわちN含有ガス供給系が構成される。
【0055】
反応管84には、処理室90内の雰囲気を排気する排気管140が設けられている。排気管140には、処理室90内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ142、及び圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ144を介して真空排気装置としての真空ポンプ146が接続されている。このため、処理室90内が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気するように構成されている。
【0056】
APCバルブ144は、弁を開閉することで処理室90内の真空排気を実行・停止するができ、さらに弁開度を調節することで圧力調整可能となっている開閉弁である。
【0057】
主に、排気管140、圧力センサ142、APCバルブ144、及び真空ポンプ146により排気系が構成される。
【0058】
図3は、図2のA−A線断面図を示す。
バッファ室130内には、細長い構造を有する第1の電極である第1の棒状電極150及び第2の電極である第2の棒状電極152が、反応管84の下部から上部にわたりウエハ14の積層方向に沿って配設されている。
【0059】
第1の棒状電極150及び第2の棒状電極152は、第2のノズル100bと平行に設けられており、上部から下部にわたって各電極を保護する保護管である電極保護管154によりそれぞれ覆われている。
【0060】
第1の棒状電極150又は第2の棒状電極152のいずれか一方(本実施形態においては第2の棒状電極152)は、整合器156を介して高周波電源158に接続され、他方は基準電位であるアースに接続されている。第1の棒状電極150及び第2の棒状電極152間のプラズマ生成領域160にプラズマが生成される。
【0061】
主に、第1の棒状電極150、第2の棒状電極152、電極保護管154、整合器156、及び高周波電源158によりプラズマ発生器(プラズマ発生部)としてのプラズマ源が構成される。なお、プラズマ源は、ガスをプラズマで活性化させる活性化機構として機能する。
【0062】
プラズマ源は、水素(H2)、NH3、N2等のリモートプラズマにより、ウエハ14を前処理できる構成となっている。リモートプラズマとは、ウエハ14(堆積領域)から離れた位置でプラズマを発生させ(プラズマ発生領域)、必要な活性種をプラズマ発生領域から堆積領域へ移送するものをいう。
【0063】
第1の棒状電極150及び第2の棒状電極152それぞれは、電極保護管154により、バッファ室130内の雰囲気と隔離された状態で、このバッファ室130内に挿入されている構造となっている。
【0064】
電極保護管154の内部が外気(大気)と同一雰囲気であると、電極保護管154に挿入された第1の棒状電極150及び第2の棒状電極152は、ヒータ82による熱で酸化される。そこで、電極保護管154の内部には、N2などの不活性ガスを充填、あるいはパージし、酸素濃度を充分低く抑えて第1の棒状電極150及び第2の棒状電極152の酸化を防止する不活性ガスパージ機構(非図示)が設けられている。
【0065】
反応管84内には、温度検出器としての温度センサ162が設置されている。温度センサ162により検出された温度情報に基づいてヒータ82への通電具合を調整することで、処理室90内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。
温度センサ162は、ノズル100a及び100b、と同様にL字型に構成されており、反応管84の内壁に沿って設けられている。
【0066】
制御部(制御手段)であるコントローラ170は、MFC110a−d、バルブ104a、112a−d、気化器106、圧力センサ142、APCバルブ144、真空ポンプ146、ヒータ82、温度センサ162、回転機構92、ボートエレベータ44、高周波電源158、整合器156等に接続されている。
【0067】
コントローラ170により、MFC110a−dによる各種ガスの流量調整動作、バルブ104a、112a−dの開閉動作、APCバルブ144の開閉及び圧力センサ142に基づく圧力調整動作、温度センサ162に基づくヒータ82の温度調整動作、気化器106の制御、真空ポンプ146の起動・停止、回転機構92の回転速度調節動作、ボートエレベータ44の昇降動作等の制御や、高周波電源158の電力供給制御、整合器156によるインピーダンス制御が行われる。
【0068】
[配線層の形成]
次に、本発明の一実施形態に係る半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、配線層を形成するプロセスフローについて説明する。
【0069】
まず、空隙(エアギャップ)を形成するプロセスについて説明する。
図4は、本実施形態におけるエアギャップ形成プロセスを説明する図である。
【0070】
(ステップ1)
絶縁膜200を成膜し、この絶縁膜200に例えばドライエッチング法により凹パターンを形成する。その後、凹パターンの内部に、バリアメタル202及び銅(Cu)膜204からなるCu配線206を形成する。凹パターン上部の余分なCu配線206を、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して除去する。
これにより、ダマシン配線210が形成される(図4(a))。
【0071】
(ステップ2)
続いて、第1のバリア膜220を成膜する。その後、例えばフォトリソグラフィ−技術を用いて、第1のバリア膜220をパターニングする(図4(b))。
この際、前処理として、H2、NH3、N2等のいずれかによるプラズマ処理を行うようにしてもよい。
また、第1のバリア膜220を成膜した後、この第1のバリア膜220が成膜されたウエハ14を急速に冷却するようにしてもよい。
第1のバリア膜220は、マスクとしての機能の他に、配線を構成するCuの絶縁膜中への拡散を抑制する機能を有する。
【0072】
(ステップ3)
第1のバリア膜220及びCu配線206をマスクとして、絶縁膜200をエッチングする。
これにより、エッチバック領域222が形成される(図4(c))。
【0073】
(ステップ4)
続いて、第2のバリア膜224を成膜する。第2のバリア膜224は、エッチバック領域222の形状に追従するように、ステップカバレッジ(段差被覆性)の優れる方式・条件で成膜される。
これにより、第2のバリア膜224は、エッチバック領域222の内部の面と密着する状態で成膜される(図4(d))
ステップ2と同様に、前処理として、H2、NH3、N2等のいずれかによるプラズマ処理を行うようにしてもよい。
また、第2のバリア膜224を成膜した後、この第2のバリア膜224が成膜されたウエハ14を急速に冷却するようにしてもよい。
第2のバリア膜224は、マスクとしての機能の他に、配線を構成するCuの絶縁膜中への拡散を抑制する機能を有する。
【0074】
(ステップ5)
続いて、絶縁膜230を成膜する。この絶縁膜230は、エッチバック領域222の形状に追従しないように、ステップカバレッジの劣る方式・条件で成膜される。
これにより、絶縁膜230は、エッチバック領域222内部を埋めることなく、上方でこのエッチバック領域222を覆うようにして成膜される。つまり、エッチバック領域222において、絶縁膜230と第2のバリア膜224との間に空間が形成された構造となっている。
このようにして、空隙(エアギャップ)232が形成される(図4(e))。
【0075】
この際、Cu配線206の上面は、第1のバリア膜220又は第2のバリア膜224いずれかで覆われた構造となっている。また、Cu配線206のエアギャップ232と対向する側面は、第2のバリア膜224で覆われた構造となっている。
【0076】
(ステップ6)
続いて、Cu配線206上に成膜された絶縁膜230に、例えばドライエッチング法により、凹パターンを形成する(図4(f))。
これにより、上層と下層のCu配線206を接続するための接続孔(Via)242が形成される(接続孔開口工程)。接続孔242の孔底部244に、Cu配線206の接続面208が露出する。
【0077】
好ましくは、第1のバリア膜220及び第2のバリア膜224のうち少なくとも一方の膜厚は、これらが下面で接するダマシン配線210の厚さの10分の1以下となるようにする。
好ましくは、第1のバリア膜220及び第2のバリア膜224を成膜する工程は、350℃以下で行う。
【0078】
第1のバリア膜220及び第2のバリア膜224は、Cu配線206上面と直接、接する。このため、第1のバリア膜220及び第2のバリア膜224の膜質としては、Cu配線206から絶縁膜200、230へのCuの拡散を阻止する能力が要求される。
したがって、より高品質の膜を形成する必要がある。高品質の膜を形成するには、一般的に、成膜速度を遅くする(低デポレート)方が有利となる。ただし、枚葉成膜を行う場合には、生産性を確保する上で、成膜速度を遅くすることには限界がある。
【0079】
Cuの拡散バリア性の確保に有効な膜は、一般的に、誘電率が高い傾向があり、実行誘電率の低減に対しては不利な効果を有する。このため、第1のバリア膜220及び第2のバリア膜224の膜厚を薄くすることが有効となる。ただし、低品質の膜では、薄膜化した場合に拡散バリア性を確保できないおそれがある。
【0080】
エアギャップ構造を形成する場合、通常の場合と比較して凹凸の激しい基板上に第2のバリア膜を形成する必要がある。このため、良好なステップカバレッジを確保する必要がある。ステップカバレッジが良好でない場合、特に、段差部でCu配線206に対する被覆が悪くなり、Cuの拡散を阻止する能力が十分に発揮されない。
【0081】
良好なステップカバレッジを確保するには、一般的に、成膜速度を遅くする方が有利となる。ただし、枚葉成膜を行う場合には、生産性を確保する上で、成膜速度を遅くすることには限界がある。
【0082】
次に、第1のバリア膜220のパターニング(ステップ2)の詳細について説明する。
図5は、第1のバリア膜220のパターニングを説明する概略図である。なお、図5においては、簡略化のためバリアメタル202の図示を省略する。また図中、部分A−I等については、該当する箇所が複数ある場合でも、簡略化のため代表する箇所にのみ符号を付してある。
図5(a)は、第1のバリア膜220のパターニング後(ステップ2)の概略図を示し、図5(b)は、絶縁膜200を除去して、第2のバリア膜224を成膜した後(ステップ4)の概略図を示し、図5(c)は、接続孔242を形成した後(ステップ6)の概略図を示す。
【0083】
第1のバリア膜220を、接続孔242が形成された場合に、この接続孔242の孔底部244に露出するCu配線206の接続面208(部分A)、及びこの接続面208と隣接するように設計された絶縁膜200(部分B)を保護するように残存させる。
この際、保護する絶縁膜200(部分B)の幅(長さ)は、少なくとも、隣り合うCu配線206の間隔(以下、スペース部分と称す)のうち、その幅(距離)が最小のもの(以下、最小寸法スペースと称す(部分C)、幅L)と同等以上となるようにする。つまり、孔底部244の端部から、最小寸法スペースの幅Lの範囲内にある絶縁膜200は、除去されずに残る。
なお、接続孔242と隣接する絶縁膜200は、隣接配線間の横断方向についてはその幅に関係なく全体を保護するようにしてもよい。
【0084】
第1のバリア膜220を、最小寸法スペースの3倍以上の幅(≧L×3)をもつ絶縁膜200(以下、幅広スペース200aと称す(部分D))を保護するように残存させる。
なお、最小寸法スペースの3倍未満の幅(<L×3)をもつ絶縁膜200を、以下、微細スペース200bと称する。
【0085】
このため、第1のバリア膜220が残存しない部分の絶縁膜200(部分E)は除去され、これに対応する位置にエアギャップ232が形成される。
【0086】
また、第1のバリア膜220を、Cu配線206のうちその幅が最小のもの(以下、最小寸法配線と称す(部分F))の2倍以上の幅をもつCu配線206(以下、幅広配線206aと称す(部分G))の内側を保護するように残存させる。つまり、第1のバリア膜220(部分H)が、幅広配線206aの両端から水平方向に対しはみ出ないようにする。
【0087】
なお、幅広配線206a上には、第1のバリア膜220(部分H)を残存させないようにしてもよい。
【0088】
幅広配線206aに接続する接続孔242を形成する場合、接続孔242の孔底部244の端部から幅広配線206aの端部までの距離L1が、最小寸法スペースの幅L以上となるようにする。つまり、接続面208が、幅広配線206aの端部から、少なくとも最小寸法スペースの幅L以上内側となるようにする。
これにより、幅広配線206aと隣接する絶縁膜200(部分I)に、エアギャップ232を形成することができる。
【0089】
例えば、幅広配線206aの端部が、一方で幅広スペース200aと隣接し、他方で微細スペース200bと隣接しているとする。この場合、孔底部244を、幅広配線206aの微細スペース200b側の端部から、最小寸法スペースの幅L以上内側に設けるようにする。
このようにすることで、効果的にエアギャップ232を形成することが可能となる。
【0090】
上記のように配線構造を形成するため、本構成を有さない場合と比較して、実行誘電率を低くすることができる。
【0091】
上記のように第1のバリア膜220をパターニングすることで、製造工程における接続孔242の目外れ(アライメントずれ)による歩留まりの低下を抑止することができる。
また、上記のようにエアギャップ232を有する配線構造を形成するため、第1のバリア膜220及び第2のバリア膜224に誘電率の高い材料を用いたとしても、その膜厚を薄くすることができる。
さらに、第1のバリア膜220としてエッチングレートの低い膜を使用することで、エッチバック時に効果的な保護が可能となる。
【0092】
次に、配線のレイアウトを改善する方法について説明する。
図6は、配線のレイアウトの改善方法を説明する図である。図6(a)は、改善前のレイアウトを例示し、図6(b)は、改善後のレイアウトを例示する。
【0093】
図6(a)に示すレイアウトでは、接続面208が微細スペース200bと隣接している。この場合、上記規則に従うパターニングにおいては、この隣接する微細スペース200bにエアギャップ232を形成することができない。
そこで、図6(b)に示すように、孔底部244の端部から微細スペース200bまでの距離L1が、少なくとも最小寸法スペースの幅Lと同等以上の長さを確保できるように、対応するCu配線206の幅を太くする。
このようなレイアウトとすることで、接続孔242を介して上層と接続されるCu配線206の隣接する位置(部分J)に、エアギャップ232を形成することができるようになる。
【0094】
[絶縁膜の成膜]
次に、基板処理装置10を用いて、半導体装置の製造工程の一工程として、成膜のプロセスフローについて説明する。
【0095】
従来の成膜法は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法の場合、形成する膜を構成する複数の元素を含む複数種類のガスを同時に供給し、また、ALD(Atomic Layer Deposition)法の場合、形成する膜を構成する複数の元素を含む複数種類のガスを交互に供給する。そして、ガス供給時のガス供給流量、ガス供給時間、プラズマパワーなどの供給条件を制御することによりシリコン窒化膜(SiN膜)やシリコン酸化膜(SiO膜)を形成する。
【0096】
これらの技術では、例えばSiN膜を形成する場合、膜の組成比が化学量論組成であるN/Si ≒ 1.33となるように、またSiO膜を形成する場合、膜の組成比が化学量論組成であるO/Si ≒ 2となるように、ガスの供給条件を制御する。
【0097】
一方、形成する膜の組成比が、化学量論組成とは異なる所定の組成比となるように、供給条件を制御することも可能である。
つまり、形成する膜を構成する複数の元素のうち、少なくとも一つの元素が他の元素よりも化学量論組成に対し過剰となるように、供給条件を制御する。このようにして、形成する膜を構成する複数の元素の比率(膜の組成比)を制御しつつ成膜を行うことも可能である。
【0098】
以下、異なる種類の元素を含む複数種類のガスを交互に供給して、化学両論組成を有する膜を形成するシーケンス例について説明する。
【0099】
本実施形態では、第1の元素をSiとして、この第1の元素を含む第1の処理ガスにSi含有ガスであるDCSガスを用い、第2の元素を窒素(N)として、この第2の元素を含む第2の処理ガスにN含有ガスであるNH3ガスを用い、ウエハ14上に絶縁膜としてSiN膜を形成する例について説明する。
なお、以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ170により制御される。
図7は、本実施形態における成膜プロセスを説明するフローチャートを示し、図8は、プロセスシーケンスを示す図である。
【0100】
<基板搬入工程(S102)、基板載置工程(S104)>
ウエハ14を収納したカセット16がカセットステージ26に供給されるのに先立って、カセット搬入搬出口22がフロントシャッタ24によって開放される。次いで、カセット16はカセット搬入搬出口22から搬入され、カセットステージ26上にウエハ14が垂直姿勢であって、カセット16のウエハ出し入れ口が上方向を向くように載置される。その後、カセット16は、カセットステージ26によって、カセット16内のウエハ14が水平姿勢となり、カセット16のウエハ出し入れ口が筐体12の後方を向けるように、筐体12の後方に縦方向90°回転させられる。
【0101】
続いて、カセット16は、カセット棚28又は予備カセット棚32の指定された棚の位置へ、カセット搬送装置34によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、カセット棚28又は予備カセット棚32からカセット搬送装置34によって移載棚30に移載されるか、もしくは直接移載棚30に搬送される。
【0102】
カセット16が移載棚30に移載されると、ウエハ14はカセット16からウエハ移載装置36aのツイーザ36cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、処理炉40の下方にあるボート38に装填(チャージング)される。ボート38にウエハ14を受け渡したウエハ移載装置36aはカセット16に戻り、次のウエハ14をボート38に装填する。
【0103】
複数枚のウエハ14がボート38に装填(ウエハチャージ)されると、複数枚のウエハ14を支持したボート38は、ボートエレベータ44によって持ち上げられて、処理室90内に搬入(ボートロード)される。シールキャップ48は、Oリング86を介して反応管84の下端をシールした状態となる。
【0104】
<圧力調整工程(S106)、昇温工程(S108)>
処理室90内が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ146によって真空排気される。この際、処理室90内の圧力は、圧力センサ142で測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ144がフィードバック制御される(圧力調整)。
【0105】
また、処理室90内が所望の温度となるようにヒータ82によって加熱される。この際、処理室90内が所望の温度分布となるように、温度センサ162が検出した温度情報に基づきヒータ82への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)。
【0106】
続いて、回転機構92により、ボート38が回転されることで、ウエハ14が回転される。
【0107】
<成膜工程(S110)>
(ステップ111)
ステップ111では、DCSガスを供給する。
具体的には、第1のガス供給管102aのバルブ104a、バルブ112aを開き、気化器106を介して第1のガス供給管102a内にDCSガスを流す。第1のガス供給管102a内を流れたDCSガスは、MFC110aにより流量調整される。
さらに、バルブ116aを開くことで、流量調整されたDCSガスは、ガス溜め部114を介して第1のノズル100aのガス供給孔120aから処理室90内に供給されつつ、排気管140から排気される。
【0108】
DCSガスを供給する際、同時にバルブ112cを開き、第1の不活性ガス供給管102c内に不活性ガスを流す。本例では、ヒータ82の温度、すなわちウエハ14の温度(以下、処理温度と称する)が低く設定されているため、不活性ガスとして窒素(N2)ガスを用いている。
なお、不活性ガスとしては、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス、キセノン(Xe)等の18族元素ガスを用いるようにしてもよい。
【0109】
第1の不活性ガス供給管102c内を流れたN2ガスは、MFC110cにより流量調整される。流量調整されたN2ガスは、DCSガスとともに処理室90内に供給されつつ、排気管140から排気される。
【0110】
このとき、APCバルブ144を適正に調整し、処理室90内の圧力は、例えば10〜1000 Paの範囲内とする。
MFC110aで制御するDCSガスの供給流量は、例えば100〜5000 sccmの範囲内とする。
DCSガスをウエハ14に晒す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば2〜120秒間の範囲内とする。
処理温度は、例えば300〜600 ℃の範囲内となるように設定する。好ましくは350 ℃以下とする。
【0111】
DCSガスの供給により、ウエハ14表面の下地膜上に、第1の元素としてのSiを含む第1の層が形成される。すなわち、ウエハ14上(下地膜上)に1原子層未満から数原子層のSi含有層としてのシリコン層(Si層)が形成される。Si含有層は、DCSの化学吸着(表面吸着)層であってもよい。
【0112】
Siは、それ単独で固体となる元素である。
Si層とは、Siにより構成される連続的な層の他に、不連続な層や、これらが重なってできる薄膜も含むものである。Siにより構成される連続的な層を薄膜という場合もある。
DCSの化学吸着層とは、DCS分子の連続的な化学吸着層の他、不連続な化学吸着層も含むものである。
【0113】
ウエハ14上に形成されるSi含有層の厚さが数原子層を超えると、後述するステップ113での窒化の作用がSi含有層の全体に届かなくなる。また、ウエハ14上に形成可能なSi含有層の最小値は1原子層未満である。このため、Si含有層の厚さは、1原子層未満から数原子層とするのが好ましい。
【0114】
ウエハ14の温度及び処理室90内の圧力等の条件を調整することにより、DCSガスが自己分解する条件、又は自己分解しない条件に設定することができ、これに応じて、ウエハ14上に形成される層を調整することができる。
DCSガスが自己分解する条件下では、ウエハ14上にSiが堆積することでSi層が形成される。一方、DCSガスが自己分解しない条件下では、ウエハ14上にDCSが化学吸着することでDCSの化学吸着層が形成される。
【0115】
ウエハ14上にSi層を形成する場合、ウエハ14上にDCSの化学吸着層を形成する場合と比較して、成膜レートを高く(成膜速度を速く)することができる。
また、ウエハ14上にSi層を形成する場合、ウエハ14上にDCSの化学吸着層を形成する場合と比較して、より緻密な層を形成することができる。
【0116】
(ステップ112)
ステップ112では、Si含有層が形成された後、バルブ116aを閉じ、処理室90内へのDCSガスの供給を停止する。
このとき、排気管140のAPCバルブ144は開いたままとして、真空ポンプ146により処理室90内を真空排気し、処理室90内に残留する未反応もしくはSi含有層形成に寄与した後のDCSガス(以下、これらを残留DCSガスと称す)を処理室90内から排除する。
【0117】
この際、バルブ104a、バルブ112aは開いた状態であり、バルブ116aは閉じた状態となっている。このため、ガス溜め部114へのDCSの供給は維持されている。
【0118】
(ステップ113)
ステップ113では、NH3ガスを処理室90内に供給する。これと並行して、ステップ112と同様に、DCSガスをガス溜め部114に溜めておく。
【0119】
具体的には、第2のガス供給管102bのバルブ112bを開き、第2のガス供給管102b内にNH3ガスを流す。第2のガス供給管102b内を流れたNH3ガスは、MFC110bにより流量調整される。流量調整されたNH3ガスは、第2のノズル100bのガス供給孔120bからバッファ室130内に供給される。
【0120】
このとき、第1の棒状電極150及び第2の棒状電極152間に高周波電源158から整合器156を介して高周波電力を印加することで、バッファ室130内に供給されたNH3ガスはプラズマ励起され、活性種としてガス供給孔132から処理室90内に供給されつつ、排気管140から排気される。
【0121】
NH3ガスを供給する際、同時にバルブ112dを開き、不活性ガス供給管102d内にN2ガスを流す。N2ガスは、NH3ガスとともに処理室90内に供給されつつ、排気管140から排気される。
【0122】
NH3ガスをプラズマ励起し活性種として流すときは、APCバルブ144を適正に調整して、処理室90内の圧力を例えば10〜100 Paの範囲内とする。
MFC110bで制御するNH3ガスの供給流量は、例えば1000〜10000 sccmの範囲内とする。
NH3ガスをプラズマ励起することにより得られた活性種にウエハ14を晒す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば2〜120秒間の範囲内とする。
このときの処理温度は、300〜600 ℃の範囲内となるように設定する。好ましくは350 ℃以下とする。
高周波電源158から第1の棒状電極150及び第2の棒状電極152間に印加する高周波電力は、例えば50〜1000 Wの範囲内となるように設定する。
【0123】
NH3ガスは反応温度が高く、上記のような処理温度、圧力では反応しづらい。このため、プラズマ励起することにより活性種としてからウエハ14に供給するようにことで、本構成を有さない場合と比較して、処理温度を上述のように低い範囲とすることができる。
なお、NH3ガスを供給する際にプラズマ励起せず、ノンプラズマで熱的に活性化することも可能である。NH3ガスを熱的に活性化する場合、ヒータ82の温度を適正に調整して処理温度を例えば600 ℃以上とし、APCバルブ144を適正に調整して処理室90内の圧力を例えば50〜3000 Paの範囲内とする。
【0124】
NH3ガスを熱により活性化させて反応させた場合、NH3ガスを他の方法により反応させた場合と比較して、NH3(N)と他の物質とを、穏やか(ソフト)に反応させることができる。
【0125】
一方、第1のガス供給管のバルブ104a、バルブ112aは開いた状態であり、バルブ116aは閉じた状態となっている。このため、ガス溜め部114内にDCSガスが流れている。
このように、処理室90内へのNH3ガスの供給と並行して、ガス溜め部114内にDCSガスを溜めるようにする。
【0126】
つまり、このとき処理室90内に流しているガスは、NH3ガスをプラズマ励起することにより得られた活性種(もしくは、処理室90内圧力を高くすることで熱的に活性化されたNH3ガス)であり、DCSガスは処理室90内には流していない。
したがって、NH3ガスは気相反応を起こすことはなく、活性種となった(もしくは活性化された)NH3ガスは、ステップ111でウエハ14上に形成された第1の層としてのSi含有層の一部と反応する。これによりSi含有層は窒化されて、シリコン(第1の元素)及び窒素(第2の元素)を含む第2の層、すなわち、シリコン窒化層(SiN層)へと改質される。
【0127】
<ステップ114>
ステップ114では、第2のガス供給管102bのバルブ112bを閉じて、NH3ガスの供給を停止する。
このとき、排気管140のAPCバルブ144は開いたままとして、真空ポンプ146により処理室90内を真空排気し、処理室90内に残留する未反応もしくは窒化に寄与した後のNH3ガス(以下、これらを残留NH3ガスと称す)を処理室90内から排除する。
【0128】
バルブ112dは開いたままとして、N2ガスの処理室90内への供給を維持する。これにより、処理室90内の残留NH3ガスを処理室90内から排除する効果を高める。
【0129】
ステップ114の際も、ガス溜め部114へのDCSの供給を維持するようにしてもよい。
【0130】
<ステップ115>
上述したステップ111〜114を1サイクルとして、このサイクルを少なくとも1回以上行う。これにより、ウエハ14上に所定膜厚のSi(第1の元素)及びN(第2の元素)を含むSiN膜を成膜することができる。なお、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0131】
2サイクル目以降のステップ111においては、APCバルブ144を閉じて排気を停止し、第1のガス供給管102aのバルブ116aのみを開けるようにする。これにより、ガス溜め部114に溜められたDCSが処理室90内に供給される。
このような構成となっているため、ガス溜め部114を有さない場合と比較して、処理室90内の圧力を速く上げることができる。
【0132】
また、ステップ112〜ステップ114の処理と並行して、ガス溜め部114にDCSガスを溜める構成となっているため、本構成を有さない場合と比較して、処理全体としてのスループットを上げることができる。
【0133】
成膜工程(S110)に先立って、H2、NH3、N2等いずれかのリモートプラズマにより、ウエハ14を前処理するようにしてもよい。
【0134】
<基板搬出工程(S122)>
所定膜厚のSiN膜を形成する成膜処理がなされると、N2ガス等の不活性ガスが処理室90内へ供給されつつ排気されることで、この処理室90内が不活性ガスでパージされる(ガスパージ)。続いて、処理室90内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室90内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0135】
その後、ボートエレベータ44によりシールキャップ48が下降されて、反応管84の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ14がボート38に支持された状態で反応管84の下端から反応管84の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、ウエハ移載装置36aは、処理済のウエハ14をボート38から取出し(ウエハディスチャージ)、冷却ステージ50に載置する。
【0136】
ウエハ14を冷却ステージ50上に所定時間載置した後、ウエハ移載装置36aは、このウエハ14を移載棚30のカセット16に収容する。その後、上述した基板搬入工程(S12)に示した手順とは逆の手順により、所望膜厚のSiN膜が形成されたウエハ14を基板処理装置10から搬出して、成膜処理工程を完了する。
【0137】
これにより、DCSガスとNH3ガスとを用いてウエハ14の表面にSiN膜(初期SiN膜)が成膜される。
【0138】
本実施形態では、Si含有ガスとしてDCSガスを用いてSiN膜を形成する例について説明したが、これに限らず、Si含有ガスとしては、テトラクロロシラン(TCS:SiCl4)、モノシラン(SiH4)等の無機原料、及びアミノシラン系のテトラキスジメチルアミノシラン(4DMAS:(Si(N(CH3)2)4)、トリスジメチルアミノシラン(3DMAS:(Si(N(CH3)2)3H)、ビスジエチルアミノシラン(2DEAS:(Si(N(C2H5)2H2)、ビスターシャリーブチルアミノシラン(BTBAS:(SiH2(NH(C4H9))2)等の有機原料を用いてもよい。
【0139】
また、N含有ガスとしてNH3ガスを用いて説明したが、これに限らず、N2ガス、NF3ガス、N3H5ガス等を用いてもよく、また、これらのガスを、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスで希釈したものを用いてもよい。
【0140】
成膜工程におけるステップ113では、Si含有層の窒化反応は飽和させないようにしてもよい。
ステップ111で、例えば、数原子層のSi層を形成した場合は、その表面層(表面の1原子層)の少なくとも一部を窒化させるようにする。この場合、数原子層のSi層の全体を窒化させないように、Si層の窒化反応が非飽和となる条件下で窒化を行う。
【0141】
条件によって、数原子層のSi層の表面層から下の数層を窒化させることもできる。しかし、Si層の表面層だけを窒化させる方が、表面層から下の数層を窒化させる場合と比較して、SiN膜の組成比の制御性を向上させることができるため、好ましい。
【0142】
また、ステップ111で、例えば、1原子層又は1原子層未満のSi層を形成した場合は、そのSi層の一部を窒化させるようにする。この場合も、1原子層又は1原子層未満のSi層の全体を窒化させないように、Si層の窒化反応が非飽和となる条件下で窒化を行う。なお、Nは、それ単独では固体とはならない元素である。
【0143】
このとき、ステップ111における処理室90内の圧力、又は、圧力及びガス供給時間を、化学量論的な組成を持つSiN膜(以下、量論的なSiN膜と称す)を形成する場合の条件よりも大きく、あるいは長くする。このように処理条件を設定し、量論的なSiN膜を形成する場合よりも、ステップ111におけるSiの供給量が過剰となるようにする。
【0144】
そして、このステップ111におけるSiの過剰供給により、ステップ113におけるSi含有層の窒化反応を飽和させないようにする。すなわち、量論的なSiN膜を形成する場合よりも、ステップ111で与えるSi原子の数を過剰とすることで、ステップ113でのSi含有層の窒化反応を抑制させる。このようにして、SiN膜の組成比を、化学量論的な組成に対しSiの方がNよりも過剰となるように制御する。
【0145】
もしくは反対に、ステップ113における処理室90内の圧力、又は、圧力及びガス供給時間を、量論的なSiN膜を形成する場合の条件よりも小さく、あるいは短くする。このように処理条件を設定し、量論的なSiN膜を形成する場合よりも、ステップ113におけるNの供給量が不足するようにする。
【0146】
そして、このステップ113におけるNの不足供給により、ステップ113におけるSi含有層の窒化反応を飽和させないようにする。すなわち、量論的なSiN膜を形成する場合よりも、ステップ113で与えるN原子の数を不足させ、これにより、ステップ113でのSi含有層の窒化反応を抑制させる。このようにして、SiN膜の組成比を、化学量論的な組成に対しSiの方がNよりも過剰となるように制御する。
【0147】
上記実施形態においては、SiN膜を形成する例について説明したが、これに限らず、SiON膜、SiCN膜、SiOCN膜、SiBCN膜、BN膜、SiBN膜等を形成する場合にも適用することができる。
【0148】
また、本発明は色々な形態で実施され得るので、本発明の範囲は、上述の実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明は、1枚又は2〜3枚のウエハを収容する収容室を有する枚葉装置を用いて枚葉処理する場合についても適用可能である。
【0149】
[本発明の好ましい態様]
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0150】
本発明の態様によれば、基板上の第1の絶縁膜にCuダマシン配線を形成する第1の工程と、 前記基板上に第1の保護膜を形成する第2の工程と、前記第2の工程により形成された第1の保護膜をパターニングする第3の工程と、 前記第1の保護膜をマスクとして第1の絶縁膜を除去する第4の工程と、前記基板上に第2の保護膜を形成する第5の工程と、Cu配線間に空隙を残しつつ第2の絶縁膜を形成する第6の工程と、前記第6の工程により第2の絶縁膜が形成された前記基板上にCu配線と接続する接続孔を開口する第7の工程と、を有し、前記第3の工程は、前記接続孔と隣接するように設計された第1の絶縁膜を保護するようにパターニングする半導体装置の製造方法が提供される。
【0151】
好ましくは、前記第3の工程は、第1の絶縁膜のうち幅が最小であるものの少なくとも3倍以上の幅を有する絶縁膜をさらに保護するようにパターニングする。
【0152】
本発明の他の態様によれば、第1の絶縁膜にCuダマシン配線が形成された基板上に第1の保護膜を形成する第1の工程と、前記第1の保護膜をパターニングし、一部が露出したCu配線及び残存する前記第1の保護膜をマスクとして前記第1の絶縁膜をエッチングして凹パターンが形成された前記基板上に第2の保護膜を形成する第2の工程と、前記基板上にCu配線間の空隙を残しつつ第2の絶縁膜を形成する第3の工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0153】
本発明の他の態様によれば、上記いずれか記載の半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置が提供される。
【0154】
(1)本発明の他の態様によれば、配線層において、配線間の絶縁構造内にエアギャップを有する半導体装置の製造方法であって、
絶縁膜に接続孔及び配線用溝などの凹パターンを開口した後に、導体バリア膜及び導体膜を埋め込む工程(a)と、
前記凹パターン外部の導体膜をCMP法や電解研磨法で除去することで凹パターン内部に配線を形成する工程(b)と、
半導体基板上に第1の絶縁膜バリアを形成した後、後続する接続孔開口工程において孔底に露出する部分の周辺の絶縁膜、及び少なくとも最小スペースの3倍以上の広がりをもつスペース部分の絶縁膜を保護するように、前記第1の絶縁膜バリアを残存させる工程(c)と、
パターニングされた第1の絶縁膜バリアをマスクに露出した部分のうち、配線間スペースに存在する絶縁膜を除去する工程(d)と、
表面に凹凸が形成された前記半導体基板上に、第2の絶縁膜バリアを良好な段差被覆性を持って形成する工程(e)と、
前記半導体基板上に、配線間の空隙を残しつつ絶縁膜を形成する工程(f)と、
絶縁膜形成後の表面の凹凸をCMP法や電界研磨法を用いて改善する工程(g)と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0155】
(2)前記第1の絶縁膜バリア又は前記第2の絶縁膜バリアのうち少なくとも一方の厚さが、それらの下面で接する配線の高さの10分の1以下である上記(1)記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0156】
(3)前記第1の絶縁膜バリア又は前記第2の絶縁膜バリアのうち、少なくとも一方の成膜工程は、
NH3、N2、又はH2いずれかによるプラズマ処理を実施する工程(h)と、
絶縁膜を成膜する工程(i)と、
を有し、
工程(i)は、原料ガスをパルス状に供給することにより1原子層以下の成膜を逐次的に行うALD法を用いるもの、1〜10原子層の成膜を行うCVD法を間欠的に少なくとも1回以上用いるもの、ALD法又はCVD法による成膜と、反応性又は不活性ガスを導入しての後処理とのセットを少なくとも1回以上行うもの、のいずれかである上記(1)、(2)記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0157】
(4)前記第1の絶縁膜バリア又は前記第2の絶縁膜バリアのうち、少なくとも一方の成膜工程は、基板をバッチ処理し、
NH3、N2、又はH2いずれかによるプラズマ処理を実施する工程(h)と、
絶縁膜を成膜する工程(i)と、
成膜後の半導体基板を急冷却する工程(j)と、
を有する上記(1)、(2)記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0158】
(5)工程(i)は、ALD法を用いるもの、CVD法を間欠的に少なくとも1回以上用いるもの、ALD法又はCVD法による成膜と、反応性又は不活性ガスを導入しての後処理とのセットを少なくとも1回以上行うもの、のいずれかである上記(4)記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0159】
(6)工程(i)は、350 ℃以下で行われる上記(3)〜(5)記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0160】
(7)好ましくは、前記第1の絶縁膜バリア及び前記第2の絶縁膜バリアのうち少なくとも一方は、SiN、SiON、SiCN、SiOCN、SiBCN、SiBN、及びBNのいずれかである上記(1)〜(6)記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0161】
(8)好ましくは、上記(1)〜(7)記載の半導体装置の製造方法を用いて製造された半導体装置が提供される。
【0162】
(9)上記(1)〜(8)記載の半導体装置の製造方法に供する半導体装置の製造装置であって、
前記第1の絶縁膜バリア又は前記第2の絶縁膜バリアの少なくとも一方の成膜に用いられる製造装置は、
NH3、N2、又はH2のうち少なくともいずれか1つのガスの導入が可能であり、かつ、これらのガス種を用いたプラズマ処理機能を有する半導体装置の製造装置が提供される。
【0163】
(10)上記(1)〜(8)記載の半導体装置の製造方法に供する半導体装置の製造装置であって、
前記第1の絶縁膜バリア又は前記第2の絶縁膜バリアの少なくとも一方の成膜に用いられる製造装置は、
成膜後のボートダウン後の半導体基板の周囲雰囲気を冷却するための空冷、水冷、液冷機構、
及び、ボートダウン後の移載時に半導体基板を冷却するための空冷、水冷、液冷ステージをもつ搬送系機構、
のうち少なくともいずれかを有する半導体装置の製造装置が提供される。
【0164】
(11)好ましくは、上記(9)〜(10)記載の半導体装置の製造装置を用いて製造された半導体装置が提供される。
【0165】
(12)本発明の他の態様によれば、半導体装置の配線層において、
(a)微細スペースで配線が隔てられており、かつ前記配線に対してその上方から接続孔が接続されていない場合には、前記配線に隣接する微細スペースに空隙が形成されており、かつ前記配線の上面に位置する絶縁膜バリアが前記微細スペース内では空隙の下方に位置し、
(b)少なくとも最小寸法の2倍を超えるスペースで配線が隔てられている場合には、前記スペースに空隙は形成されておらず、かつ前記配線の上面に位置する絶縁膜バリア膜が前記の広いスペース部でも概ね配線上と同じ標高に位置し、
(c)微細スペースで配線が隔てられており、かつ前記配線に対してその情報から接続孔が接続されている場合には、前記配線に隣接する微細スペースに空隙が形成されておらず、かつ前記配線の上面に位置する絶縁膜バリア膜が前記の広いスペース部でも概ね配線上と同じ標高に位置し、
(d)前記の広いスペースの部分及び接続孔形成部周辺への空隙形成の防止のため、当該部分において、上記の連続する絶縁膜バリア膜の下方にパターニングされた別の絶縁膜バリアが存在する、
半導体装置、及び半導体装置のレイアウト方法が提供される。
【0166】
(13)さらに、
(e)少なくとも最小寸法の2倍を超えるスペースで配線が隔てられており、かつ前記配線に対してその上方から接続孔が接続されている場合には、当該部分で配線長方向及び配線幅方向が共に最小寸法の2倍以上となっており、
(f)前記(e)記載の配線のもう一方のスペースが最小寸法で形成されている場合には、当該スペースに空隙が形成されている、上記(12)記載の半導体装置、及び半導体装置のレイアウト方法が提供される。
【0167】
(14)半導体装置の配線層において、
配線層内の一部領域に空隙が形成されており、かつ配線幅が最小寸法の2倍以上の場合に、その部分に対し上方より接続する接続孔は、配線端部より内側に偏在している半導体装置、及び半導体装置のレイアウト方法が提供される。
【0168】
(15)接続孔の周囲にパターニングされた別の絶縁膜バリアが存在し、かつその絶縁膜バリアが上方から見て被覆する当該配線内に収まっている上記(14)記載の半導体装置、及び半導体装置のレイアウト方法が提供される。
【符号の説明】
【0169】
10 基板処理装置
14 ウエハ
16 カセット
28 カセット棚
30 移載棚
32 予備カセット棚
34 カセット搬送装置
36 ウエハ移載機構
38 ボート
40 処理炉
48 シールキャップ
50 冷却ステージ
82 ヒータ
84 反応管
90 処理室
94 回転軸
100a、b ノズル
102a、b ガス供給管
102c、d 不活性ガス供給管
106 気化器
114 ガス溜め部
130 バッファ室
140 排気管
142 圧力センサ
170 コントローラ
200、230 絶縁膜
200a 幅広スペース
200b 微細スペース
202 バリアメタル
204 Cu膜
206 Cu配線
206a 幅広配線
208 接続面
210 ダマシン配線
220 第1のバリア膜
222 エッチバック領域
224 第2のバリア膜
232 エアギャップ
234 底面部
242 接続孔
244 孔底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の第1の絶縁膜にCuダマシン配線を形成する第1の工程と、
前記基板上に第1の保護膜を形成する第2の工程と、
前記第2の工程により形成された第1の保護膜をパターニングする第3の工程と、
前記第1の保護膜をマスクとして第1の絶縁膜を除去する第4の工程と、
前記基板上に第2の保護膜を形成する第5の工程と、
Cu配線間に空隙を残しつつ第2の絶縁膜を形成する第6の工程と、
前記第6の工程により第2の絶縁膜が形成された前記基板上にCu配線と接続する接続孔を開口する第7の工程と、
を有し、
前記第3の工程は、前記接続孔と隣接するように設計された第1の絶縁膜を保護するようにパターニングする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
第1の絶縁膜にCuダマシン配線が形成された基板上に第1の保護膜を形成する第1の工程と、
前記第1の保護膜をパターニングし、一部が露出したCu配線及び残存する前記第1の保護膜をマスクとして前記第1の絶縁膜をエッチングして凹パターンが形成された前記基板上に第2の保護膜を形成する第2の工程と、
前記基板上にCu配線間の空隙を残しつつ第2の絶縁膜を形成する第3の工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法を用いて製造される半導体装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−49290(P2012−49290A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189299(P2010−189299)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】