説明

半導体装置の製造方法

【課題】 絶縁膜中に形成されている配線用の溝に埋め込まれている配線層の上部に選択的に金属拡散防止膜を形成する半導体装置において、部分的選択破れ等に起因する配線間リーク電流を抑制する半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 ダマシン法により配線15を第1の絶縁膜11中に形成する。そして、電解メッキ法等により、配線15上のみに選択的に金属拡散防止膜16を形成する。その後、第2の絶縁膜19形成前に、第1の絶縁膜11上に存在する部分的選択破れにより意図せず生じた金属拡散防止膜16や、残留金属イオン17等を除去するCMP工程をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属配線を有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ上に形成する高密度集積回路(以下、半導体装置と称する)の微細配線の材料として、アルミニウム系合金が用いられてきた。しかしながら、半導体装置のさらなる高速化を図るためには、配線用材料として、より比抵抗の低い材料を用いることが必要となる。そこで、近年、アルミニウム系合金より比抵抗が低く、かつ、エレクトロマイグレーション耐性も高い銅を配線材料として使用する技術が実用化されてきている。
【0003】
銅を用いた配線形成(以下、銅配線と称する)では、一般に銅のドライエッチングが容易でないため、いわゆるダマシン法が用いられている。これは、例えば酸化シリコンからなる層間絶縁膜に予め所定の溝(配線溝)を形成し、この溝に配線材料(銅)を埋め込んだ後、余剰の配線材料を化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:以下、CMPと略称して説明する)によって除去し、配線を形成する方法である。さらに、層間絶縁膜に配線間の接続孔と配線溝を形成した後、一括して配線材料を埋め込み、余剰配線材料をCMPにより除去するデュアルダマシン法も知られている。
【0004】
ところで、上述のように、アルミニウム系合金に比べ配線抵抗やエレクトロマイグレーション耐性に優れる銅を用いた配線ではあるが、銅は絶縁膜中の拡散係数が大きいため、銅の拡散により半導体装置の特性変動が生ずるという問題点がある。
この問題を解決するために、銅配線形成後に銅の拡散防止膜として絶縁膜、例えばシリコンナイトライド(SiN)やシリコンカーバイド(SiC)を形成して銅配線を覆うことが行われている。しかし、これらの絶縁膜は比誘電率が高いため、RC遅延(抵抗と容量による配線の遅延)が大きくなる。また、銅配線とこれらの絶縁膜からなる銅拡散防止膜との界面の存在により、エレクトロマイグレーション耐性が劣化するという欠点もある。
【0005】
そこで、RC遅延を改善し、エレクトロマイグレーション耐性や銅拡散防止性に優れる金属系の銅拡散防止膜、例えばCoWPを無電解メッキ法により銅配線上のみに選択的に形成する方法が知られている(非特許文献1)。
以下、図23を用いて従来技術である金属系の金属拡散防止膜形成プロセスを説明する。
ここで、金属系の金属拡散防止膜とは、金属を主成分とする膜であり、金属配線を形成する金属の絶縁膜中等への拡散を防止する膜をいう。
まず、図23(a)に示すように、基板230上の第1の絶縁膜231中に、公知のリソグラフィーおよび反応性ドライエッチング技術を用いて配線用溝232を形成する。
次に、図23(b)に示すように、例えばタンタルナイトライド(TaN)からなるバリアメタルとして機能する下層導電体233と、例えば銅からなる上層導電体234を堆積する。
そして、図23(c)公知のCMP法を用いて、下層導電体233と上層導電体234からなる配線235を残して、下層導電体233と上層導電体234を研磨により除去する。
続いて、図23(d)に示すように、無電解メッキ法を用いて、例えばCoWPからなる金属拡散防止膜236を、下層導電体233と上層導電体234からなる配線235上のみに選択的に形成する。
その後、図23(e)に示すように、第2の絶縁膜239を堆積する。
【0006】
もっとも、このような金属系の金属拡散防止膜236形成における選択性は、形成前の表面状態に大きく左右される。したがって、例えば、図24に示すようにタンタルナイトライドからなる下層導電体243と銅からなる上層導電体244のCMP後に金属イオンの残留247やスラリーの防食材の残留248、あるいは、金属拡散防止膜形成の電解メッキ法における前処理溶液中の金属イオンの残留などの表面汚染が第1の絶縁膜241上にあると,これらを核にした部分的な選択の破れが生じうる。すなわち、配線245上のみでなく、絶縁膜241上にも金属拡散防止膜246の形成がなされる場合がある。このような選択の破れにより形成された金属拡散防止膜は、導電性があるがゆえに、配線間のリーク電流の増大を引き起こす。これにより、半導体装置を誤動作させる、あるいは半導体装置の信頼性を劣化させるという問題があった。
【非特許文献1】T.ishigami et al. ; Proceedings of the 2004 IITC, P75.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、選択的に形成される金属拡散防止膜の選択破れ等に起因する配線間のリーク電流を、効果的に抑制する半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体装置の製造方法は、上記の目的を達成するために以下のように構成されている。
第1の絶縁膜中の溝に形成された金属配線上に金属拡散防止膜を選択的に形成する工程と、
前記工程の後、前記金属配線および前記金属拡散防止膜上に第2の絶縁膜を形成する工程の前に、CMP工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、金属配線上に選択的に形成される金属拡散防止膜の選択破れ等に起因する配線間のリーク電流を、効果的に抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
まず、図1(a)に示すように、公知のリソグラフィー技術と反応性ドライエッチング技術を用いて、基板10上の第1の絶縁膜11中に配線用溝12を形成する。
次に、図1(b)に示すように、バリアメタルである下層導電体13と、上層導電体14を堆積する。
そして、図1(c)に示すように、公知のCMP法を用いて、配線15以外の領域の下層導電体13と上層導電体14を研磨により除去する。
続いて、図1(d)に示すように、金属系の金属拡散防止膜16を、下層導電体13と上層導電体14からなる配線15上のみに選択的に形成する。
その後、図1(e)に示すように、CMPにより第1の絶縁膜11上に、意図せず形成された金属拡散防止膜16や残留した金属または金属イオン17を研磨により除去する。
そうして、図1(f)に示すように、第2の絶縁膜19を堆積する。
【0011】
このように、金属拡散防止膜16の選択成長後にCMP工程をすることにより、第1の絶縁膜上11に意図せず形成された金属拡散防止膜16や、残留した金属または金属イオン17が研磨により除去され、これらを原因とする配線間のリーク電流を効果的に抑制することが可能となる。したがって、金属配線間の導通による動作不良がなく、かつ、信頼性の高い半導体装置が製造することができる。
【0012】
なお、本発明においては、バリアメタルである下層導電体13としてタンタルナイトライド(TaN)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、タングステンナイトライド(WN)、タングステンシリコンナイトライド(WSiN)、チタン(Ti)、チタンナイトライド(TiN)、チタンシリコンナイトライド(TiSiN)等から選択される単層または積層膜を用いることが可能である。さらに上層導電体14の形成や下層との反応作用に問題が生じなければ、下層導電体13を省略しても本発明は有効である。
そして、上層導電体14としては銅(Cu)の他に、CuSnやCuAlなどの銅合金を適用しても、本発明は有効である。
また、第1の絶縁膜11や第2の絶縁膜19としては、酸化シリコン膜の他に、比誘電率4.2以下の低誘電率膜を用いても本発明は有効である。例えば、HSQ、MSQ,もしくはポリマー膜を含む膜などが考えられる。そして、第1の絶縁膜11や第2の絶縁膜19は単層膜でなくとも、上記、酸化シリコン膜、HSQ、MSQ,ポリマー膜を含む膜などに加え、シリコンカーバイド(SiC)、シリコンオキシカーバイド(SiOC)、シリコンカーボンナイトライド(SiCN)、シリコンオキシナイトライド(SiON)、シリコンナイトライド(SiN)等の膜から選ばれる複数の膜からなる複層膜であっても、本発明は有効である。
さらに、選択的に形成される金属系の金属拡散防止膜16としては、CoP、CoB、CoW、CoWP、CoWB、CoMoP、CoMoB、NiW、NiWP、NiWB、NiMoP、NiMoB、Wなどを適用することができる。さらに、CoとNiの両方が合金化されたもの、WとMo の両方が合金化されたものも適用可能である。これらの金属系の金属拡散防止膜16の選択成長は、無電解メッキ法、CVD法などの方法によることが可能である。
【0013】
(実施の形態2)
次に、図2を参照して、本発明の実施の形態2を説明する。
実施の形態2は、金属拡散防止膜形成後のCMP工程において、絶縁膜の研磨速度が金属拡散防止膜の研磨速度の2倍以上である場合である。
【0014】
まず、ダマシン法により配線25を形成し、その後に金属系の金属拡散防止膜26を配線25上のみ選択的に成長させる点は、実施の形態1と同様である。
次に、本発明のCMPを行う。図2(a)は、絶縁膜21に比べ、金属拡散防止膜26の研磨速度が速いCMPを行う場合の概念図である。絶縁膜21上に意図せず形成された金属拡散防止膜26や、残留した金属または金属イオン27を研磨で確実に除去しようとすると、配線25上の金属拡散防止膜26も同時に除去される。そして、極端な場合には配線25が露出し、もはや金属拡散防止膜としての機能を果たせないという事態が生じうる。
そこで、本発明においては、CMPの際に、絶縁膜21の研磨速度が金属拡散防止膜26の研磨速度よりも速い条件にて行うことを提案する。図2(b)にこの場合の概念図を示す。金属拡散防止膜26の研磨速度を相対的に抑えることにより、配線25上の金属拡散防止膜26の除去を防止することができる。さらに、積極的に絶縁膜21を削り込むことにより、絶縁膜上の金属拡散防止膜26や残留した金属または金属イオン27を、その下の絶縁膜ごとウェハ上から除去することが可能となる。この時、配線25上の金属拡散防止膜26を確実に残すためには、絶縁膜21の研磨速度が金属拡散防止膜の研磨速度の2倍以上あることが望ましい。
2倍未満であると、CMPのウェハ面内不均一性のためや、凸部となっている金属酸化防止膜26に圧力集中が起こるために、金属拡散防止膜26が研磨除去されてしまうからである。
【0015】
CMP工程における絶縁膜21の研磨速度を、金属系の金属拡散防止膜26の研磨速度より上げる方法として、CMPに用いられるスラリーの性質・組成を調整することが考えられる。
一般に、金属CMP工程に用いられるスラリーは、金属を酸化させる酸化剤、研磨剤、スラリーのpHを2〜4程度にするためのpH調整剤および脱イオン水(DIW)から構成される。
【0016】
まず、使用するスラリーのpHを一般の金属CMP工程の2〜4程度から7以上にすることによって、絶縁膜21の研磨速度を、金属系の金属拡散防止膜26の研磨速度より上げることが可能になる。
すなわち、絶縁膜、特に配線溝を形成する際の最上層となる部分には、機械的強度、防湿性等の観点から一般にシリコン系の絶縁膜が用いられることが多い。そして、pHがアルカリ性側になれば、スラリー内にはヒドロキシ基(−OH)が増加する。そうすると、絶縁膜中のシリコン(Si)がヒドロキシ基とボンドを形成しSi―OH(シラノール)形態の水酸化物を形成する。そして、この水酸化物は研磨剤とパッドの摩擦力に容易に除去されるため、シリコン系の絶縁膜が研磨速度が増大する。
一方、pHが7以上ある場合には、スラリー中の水素イオン(H+)は僅かであり、金属拡散防止膜中の金属のイオン化が抑えられるため、金属拡散防止膜の研磨速度は抑制される。
したがって、スラリーのpHを7以上にすることにより、CMP工程における絶縁膜の研磨速度を、金属系の金属拡散防止膜の研磨速度より上げることが可能となる。
そして、pHを7以上にあげるためには、pH調整剤として、KOH、NHOH等をスラリー中に添加することが考えられる。
【0017】
また、酸化剤を添加しないという方法も考えられる。
上述のように、一般に金属CMPに用いられるスラリーには、H、HIO、FeNO等の酸化剤が含まれている。これは、金属と酸化剤の反応により、金属自体より機械的に除去の容易な金属酸化膜を形成し、よって、金属の研磨速度を上げるためである。
一方、酸化剤は絶縁膜の研磨除去には寄与していない。
したがって、酸化剤を添加しないことによっても、CMP工程における絶縁膜の研磨速度を、相対的に金属系の金属拡散防止膜の研磨速度より上げることが可能となる。
【0018】
なお、金属拡散防止膜形成後のCMP工程において、絶縁膜の研磨速度が金属拡散防止膜の研磨速度の2倍以上とした場合であっても、生産に見合った研磨速度と均一性が確保できることが重要である。よって、研磨速度は10nm/min以上、均一性は10%以下(1σ)であることが望ましい。
【0019】
上記のような、絶縁膜の研磨速度が金属拡散防止膜の研磨速度の2倍以上であり、研磨速度が10nm/min以上、均一性は10%以下(1σ)のCMPを用いて本発明を実施した場合の結果を図3に示す。この時、金属拡散防止膜としては、CoWPを用いた。また、絶縁膜の研磨速度が金属拡散防止膜の研磨速度の10倍であり、研磨速度は30nm/minである。そして、スラリーには、NHOHが含有され、スラリーのpHは10〜12である。図3は、横軸がテストパターンを用いて測定された配線間のリーク電流、縦軸は累積頻度である。本発明のCMPを行った場合(With CMP)の測定結果を、CMP無しの場合(Reference)の測定結果と対比して示す。
この図から明らかなように、本発明のCMPの導入により、配線間のリーク電流は全体的に減少し、かつ、リーク電流の突出した増加も抑制されている。
よって、本発明を用いることにより、リーク電流を効果的に抑制することが可能となり、金属配線間の導通による動作不良が無く、かつ、信頼性の高い半導体装置を製造することができる。さらに、本発明によれば、金属配線上の金属拡散防止膜の消失による金属配線の露出の懸念は無くなる。したがって、金属配線を形成する金属の拡散による半導体装置の不良が新たに生ずることも無い。
【0020】
また、本実施の形態における、絶縁膜21、下層導電体23、上層導電体24、金属拡散防止膜26等の材料選択については、実施の形態1と同様である。
【0021】
(実施の形態3)
次に、図4を参照して、本発明の実施の形態3を説明する。
実施の形態3は、金属拡散防止膜形成後のCMP工程において、CMPパッドのD硬度(Shore D値)が40以下である場合である。
【0022】
まず、ダマシン法により配線45を形成し、その後に金属系の金属拡散防止膜46を配線45上のみ選択的に成長させる点は、実施の形態1、2と同様である。
次に、本発明のCMPを行う。この時、本実施の形態においては、CMPパッドをD硬度が40より大きい発泡性硬質ポリウレタンではなく、より軟らかい、例えばShore D硬度が5〜15程度のpolitexパッド(Rohm and Hass社の商標)を使用する。
【0023】
上記発明により、第1の絶縁膜41の研磨効率(パターン部における実効的な研磨速度)が上がり、結果的に絶縁膜41上の金属拡散防止膜46や残留した金属または金属イオン47の除去効率が上がる。
すなわち、配線45上のみに選択的に金属拡散防止膜46を形成した場合、配線間の絶縁膜41表面は相対的に窪んでいる。そのため、CMPパッド49から絶縁膜部41に加わる圧力fが、金属拡散防止膜46に加わる圧力Fよりも相対的に低下する。しかし、本実施の形態のように軟らかいCMPパッドを使用すれば、窪んでいる絶縁部に加わる圧力fの低下を抑制できる。この点、D硬度が40以下であれば配線とそのスペースの幅の比が99:1の場合でも絶縁膜41表面にCMPパッドが接触して、効果的なCMPを行うことが可能であることが確認された。したがって、絶縁膜41上の金属拡散防止膜46や残留した金属または金属イオン47の除去効率(同一の研磨時間で除去できる割合)が上がり、配線間のリーク電流を効果的に抑制することが可能となる。
よって、本実施の形態により、金属配線間の導通による動作不良のない信頼性の高い半導体装置をより短いCMP研磨時間で効果的に製造することができる。
【0024】
なお、本実施の形態における、絶縁膜41、下層導電体43、上層導電体44、金属拡散防止膜46等の材料選択についてば、実施の形態1、2と同様である。
【0025】
(実施の形態4)
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態4を説明する。
本実施の形態は、本発明を用いてデバイスを有する基板上に3層の銅配線を形成する場合である。
なお、本実施例では、デバイスとしてトランジスタを形成した場合を示すが、ダイナミックランダムアクセスメモリなどの場合は、キャパシタを形成する工程が加わるだけで、素子から電極を引き出す工程以降は実質的に同等である。
【0026】
まず、図5では、P型不純物を含むシリコンからなる基板510表面に、デバイス相互の分離のための埋め込み絶縁膜511を形成する。この表面をCMPによって、研磨し平坦化してある。次に、n型不純物の拡散層512をイオン注入や熱処理等を用いて形成し、ゲート絶縁膜513を熱酸化膜法などによって形成する。次に、多結晶シリコンや高融点導電体と多結晶シリコンとの積層膜などからなるゲート514を加工して形成する。さらに、テトラエトキシシラン(以下TEOSと記す)を原料として用いたプラズマCVD法によって形成したシリコン酸化膜(以下P−TEOSと記す)等からなる平坦化層515を形成した後、CMPにより表面を平坦化した。さらに、その表面を銅拡散の防止のためのシリコンナイトライド(SiN)膜等からなる拡散防止膜516によって被覆する。続いて、所定の部分にデバイスとの接続用のコンタクト孔517を開孔し、接着と汚染防止を兼ねた例えば、チタン(Ti)とチタンナイトライド(TiN)積層膜518とタングステン(W)の層519を形成して、コンタクト孔以外の部分をCMPを用いた研磨によって除去して、いわゆるプラグ構造を形成する。ここで、チタンやチタンナイトライドは、反応性スパッタ法やプラズマCVD法によって形成する。タングステンも同様にスパッタ法やCVD法を用いて形成される。
【0027】
次に、図6のように、塗布法もしくはCVD法で成膜されるHSQ、MSQ、もしくはポリマー膜を含む低誘電率膜からなる第1の層間絶縁膜520を形成する。その上に、シリコンカーバイド(SiC)、シリコンオキシカーバイド(SiOC)、シリコンカーボンナイトライド(SiCN)、シリコンオキシナイトライド(SiON)、もしくはシリコン酸化膜(SiO?)のいずれかの単層または積層からなる第1のキャップ膜521を形成する。
【0028】
そして、図7に示すように、第1の配線用の溝551を公知のリソグラフィー技術と反応性ドライエッチング技術を用いるダマシン法にて形成した。
【0029】
次に、図8に示されるように、タンタルナイトライド(TaN)、タンタル(Ta),タングステン(W)、タングステンナイトライド(WN)、タングステンシリコンナイトライド(WSiN)、チタン(Ti)、チタンナイトライド(TiN)、もしくはチタンシリコンナイトライド(TiSiN)等から選ばれる単層または積層膜からなる下層導電体522と第1の上層導電体523として銅層を形成した。銅層の形成は、PVD法や電解めっき法によって形成される。この時、上層導電体523としては、銅層の他に、銅合金層やアルミニウム合金層を用いることも可能である。
【0030】
その後、図9に示すように、公知のCMP技術を用いて上層導電体523である銅層を研磨して除去した。続いて、同様に公知のCMP技術により、下層導電体522を除去した。
【0031】
そして、図10に示すように、無電解メッキ法または、CVD法等により、CoP、CoB、CoW、CoWP、CoWB、CoMoP、CoMoB、NiW、NiWP、NiWB、NiMoP、NiMoB、W、CoとNiの両方が合金化されたもの、WとMo の両方が合金化されたもの等の材料からなる、銅拡散防止のための第1の金属拡散防止膜524を第1の配線591上にのみ選択的に形成する。
【0032】
次に、図11に示されるように、本発明のCMP工程を行う。この時、第1のキャップ膜521の研磨速度が第1の金属拡散防止膜524の研磨速度の2倍以上であることが望ましい。また、CMPのスラリーが、例えば、KOHやNHOH等のpH調整剤によりpH7以上であり、かつ、スラリー中に酸化剤が含まれていないことが望ましい。さらに、生産性の観点から、絶縁膜の研磨速度が10nm/min以上であり、かつ、均一性が10%以下(1σ)であることが望ましい。そして、絶縁膜部の研磨効率をあげるため、CMPパッドのD硬度(Shore D値)が40以下であることが望ましい。
【0033】
続いて、図12に示すように、塗布法もしくはCVD法で成膜されるHSQ、MSQ、もしくはポリマー膜を含む低誘電率膜からなる第2の層間絶縁膜525を形成し、その上に銅拡散の防止および溝形成のエッチングストッパとなるシリコンナイトライド(SiN)膜等からなる拡散防止膜526を堆積し、さらに、その上に、塗布法もしくはCVD法で成膜されるHSQ、MSQ、もしくはポリマー膜を含む低誘電率膜からなる第3の層間絶縁膜527を形成する。そして、さらに、シリコンカーバイド(SiC)、シリコンオキシカーバイド(SiOC)、シリコンカーボンナイトライド(SiCN)、シリコンオキシナイトライド(SiON)、もしくはシリコン酸化膜(SiO?)のいずれかの単層または積層からなる第2のキャップ膜528を形成する。
【0034】
さらに、図13に示すように、第1の層間接続用孔552および第2の配線用の溝553を、公知のフォトリソグラフィ技術と反応性ドライエッチング技術とを用いて形成し、第1の上層導電体523上の金属拡散防止膜524表面を露出させる。
【0035】
そして、こうして形成した2段構造の溝に、図14に示すように、タンタルナイトライド(TaN)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、タングステンナイトライド(WN),タングステンシリコンナイトライド(WSiN)、チタン(Ti)、チタンナイトライド(TiN)、もしくはチタンシリコンナイトライド(TiSiN)等の単層または積層膜からなる第2の下層導電体531と第2の上層導電体532として銅層を形成した。ここで、銅層の形成は、PVD法や電解めっき法によって形成される。この時、上層導電体532としては、銅層の他に、銅合金層やアルミニウム合金層を用いることも可能である。
【0036】
さらに、その後、図15に示すように、公知のCMP技術を用いて第2の配線592以外の領域の、第2の上層導電体532である銅層を研磨して除去した。次いで、同様に公知のCMP技術により、第2の下層導電体531を除去した。
【0037】
そして、図16に示すように、無電解メッキ法または、CVD法等により、CoP、CoB、CoW、CoWP、CoWB、CoMoP、CoMoB、NiW、NiWP、NiWB、NiMoP、NiMoB、W、CoとNiの両方が合金化されたもの、WとMo の両方が合金化されたもの等の材料からなる、銅拡散防止のための第2の金属拡散防止膜533を第2の配線592上にのみ選択的に形成する。
【0038】
次に、図17に示されるように、本発明のCMP工程を行う。この時、第2のキャップ膜528の研磨速度が第2の金属拡散防止膜533の研磨速度の2倍以上であることが望ましい。また、CMPのスラリーが、例えば、KOHやNHOH等のpH調整剤によりpH7以上であり、かつ、スラリー中に酸化剤が含まれていないことが望ましい。さらに、生産性の観点から、絶縁膜の研磨速度が10nm/min以上であり、かつ、均一性が10%以下(1σ)であることが望ましい。そして、絶縁膜部の研磨効率をあげるため、CMPパッドのD硬度(Shore D値)が40以下であることが望ましい。
【0039】
そして、図18に示すように、塗布法もしくはCVD法で成膜されるHSQ、MSQ、もしくはポリマー膜を含む低誘電率膜からなる第4の層間絶縁膜534を形成し、その上に銅拡散の防止および溝形成のエッチングストッパとなるシリコンナイトライド(SiN)膜等からなる拡散防止膜535を堆積し、さらに、その上に、塗布法もしくはCVD法で成膜されるHSQ、MSQ、もしくはポリマー膜を含む低誘電率膜からなる第5の層間絶縁膜536を形成する。そして、シリコンカーバイド(SiC)、シリコンオキシカーバイド(SiOC)、シリコンカーボンナイトライド(SiCN)、シリコンオキシナイトライド(SiON)、もしくはシリコン酸化膜(SiO?)のいずれかの単層または積層からなる第3のキャップ膜537を形成する。
【0040】
さらに、図19に示すように第2の層間接続用孔554および第3の配線用の溝555を、公知のフォトリソグラフィ技術と反応性ドライエッチング技術とを用いて形成し、第2の配線592上の第2の金属拡散防止膜533の表面を露出させる。
【0041】
そして、こうして形成した2段構造の溝に、図20に示すように、タンタルナイトライド(TaN)、タンタル(Ta),タングステン(W)、タングステンナイトライド(WN),タングステンシリコンナイトライド(WSiN)、チタン(Ti)、チタンナイトライド(TiN)、もしくはチタンシリコンナイトライド(TiSiN)等の単層または積層膜からなる第3の下層導電体538と、第3の上層導電体539として銅層を形成した。また、銅層の形成は、PVD法や電解めっき法によって形成される。この時、上層導電体539としては、銅層の他に、銅合金層やアルミニウム合金層を用いることも可能である。
さらに、その後、第2の配線592の時と同様に、CMPを用いて第3の上層導電体539である銅層および、第3の下層導電体538を除去した。
【0042】
そして、図21に示すように、第2の配線592の場合同様、無電解メッキ法または、CVD法等により、CoP、CoB、CoW、CoWP、CoWB、CoMoP、CoMoB、NiW、NiWP、NiWB、NiMoP、NiMoB、W、CoとNiの両方が合金化されたもの、WとMo の両方が合金化されたもの等の材料からなる、銅拡散防止のための第3の金属拡散防止膜540を第3の配線593上にのみ選択的に形成する。
【0043】
次に、図22に示されるように、本発明のCMP工程を行う。この時、第3のキャップ膜537の研磨速度が第3の金属拡散防止膜540の研磨速度の2倍以上であることが望ましい。また、CMPのスラリーが、例えば、KOHやNHOH等のpH調整剤によりpH7以上であり、かつ、スラリー中に酸化剤が含まれていないことが望ましい。さらに、生産性の観点から、絶縁膜の研磨速度が10nm/min以上であり、かつ、均一性が10%以下(1σ)であることが望ましい。そして、絶縁膜部の研磨効率をあげるため、CMPパッドのD硬度(Shore D値)が40以下であることが望ましい。
【0044】
以上のように、デバイスを有する基板上に3層の銅配線を形成する場合において、3層の銅配線のそれぞれの形成過程で本発明を用いることにより、配線間のリーク電流が簡便に抑制される。そして、配線間のリーク電流が抑制されることにより、配線間のショートが激減し、大幅な製品歩留まりおよび信頼性の向上が可能となる。
【0045】
さらに、本実施の形態では、3層の銅配線としたが、本実施の形態を用いた同様の工程を繰り返すことにより、半導体製品の性能に応じた配線層数の多層配線製品の製造が可能となる。そして、各配線形成時の配線間のショートは、プロセスが進むにつれ欠陥として積算されるため、多層になればなるほど、歩留まりの劣化は深刻になってくる。しかし、本発明を用いることにより、おのおのの配線形成時に配線間のショートが十分に抑制されるため、歩留まりの深刻な劣化は生じない。したがって、3層以上の多層配線製品であっても本発明の適用によって十分な高歩留まり・高信頼性を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図2】第2の実施形態に係わる半導体装置製造方法の説明図
【図3】第2の実施形態に係わるリーク電流の累積分布を示す図
【図4】第3の実施形態に係わる半導体装置製造方法の説明図
【図5】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図6】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図7】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図8】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図9】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図10】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図11】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図12】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図13】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図14】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図15】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図16】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図17】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図18】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図19】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図20】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図21】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図22】第4の実施形態に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図23】従来技術に係わる半導体装置製造方法の断面工程フロー図
【図24】従来技術の問題点の説明図
【符号の説明】
【0047】
10、230、240…配線基板
11、21、41、231、241…第1の絶縁膜
12…配線用溝
13、23、43、233、243…下層導電体配線
14、24、44、234、244…上層導電体配線
15、25、45、235、245…配線
16、26、46、236、246…金属拡散防止層
17、27、47、247…金属イオン
18、28、48、248…防食剤
19、239…第2の絶縁膜
49…CMPパッド
510…配線基板
511…埋め込み絶縁膜
512…n型不純物の拡散層
513…ゲート絶縁膜
514…ゲート
515…平坦化層
516…拡散防止膜
517…コンタクト孔
518…チタン(Ti)とチタンナイトライド(TiN)積層膜
519…タングステン(W)の層
520…第1の層間絶縁膜
521…第1のキャップ膜
522…下層導電体
523…上層導電体
524…第1の金属拡散防止膜
525…第2の層間絶縁膜
526…拡散防止膜
527…第3の層間絶縁膜
528…第2のキャップ膜
531…第2の下層導電体
532…第2の上層導電体
533…第2の金属拡散防止膜
534…第4の層間絶縁膜
535…拡散防止膜
536…第5の層間絶縁膜
537…第3のキャップ膜
538…第3の下層導電体
539…第3の上層導電体
540…第3の金属拡散防止膜
551…第1の配線用の溝
552…第1の層間接続用孔
553…第2の配線用の溝
554…第2の層間接続用孔
555…第3の配線用の溝
591…第1の配線
592…第2の配線
592…第3の配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁膜中の溝に形成された金属配線上に金属拡散防止膜を選択的に形成する工程と、
前記工程の後、前記金属配線および前記金属拡散防止膜上に第2の絶縁膜を形成する工程の前に、CMP工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記金属が銅または銅合金であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記CMP工程において、前記第1の絶縁膜の研磨速度が前記金属拡散防止膜の研磨速度の2倍以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記CMP工程において、CMPに用いられるスラリーがpH7以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記CMP工程において、CMPに用いられるスラリーにKOHまたはNH4OHが含まれることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記CMP工程において、CMPに用いられるスラリーに酸化剤が含まれないことを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記CMP工程において、前記第1の絶縁膜の研磨速度が10nm/min以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記CMP工程において、CMPに用いられるCMPパッドのD硬度(Shore D値)が40以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項7いずれかに記載の半導体装置の製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2006−156592(P2006−156592A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−342905(P2004−342905)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】