説明

半導体装置の製造方法

【課題】 パターン形成を簡略化した半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 被加工膜100上に第一のパターン105を形成し、第一のパターン105が形成された領域を含む被加工膜100上に反射防止膜106及びレジスト膜107を順に形成し、レジスト膜107を加工してレジストパターン103を形成し、レジストパターン108下に露出した反射防止膜106をレジスト膜107の加工に使用した現像液と同一の現像液により加工して、被加工膜100の一部及び第一のパターン105の少なくとも一部を露出し、第一のパターン105及びレジストパターン108をマスクに被加工膜100を加工することにより、被加工膜100に配線パターン110等を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に微細パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置に配線パターン等の微細パターンを形成するとき、フォトリソグラフィが使用される。ここで、被加工膜上に塗布したレジスト膜にマスクパターンを露光する際、入射した光が被加工膜で反射することを抑えるため、被加工膜とレジストパターン間に反射防止膜を塗布する場合がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、被加工膜をフォトリソグラフィにより加工するとき、被加工膜上にマスクパターン等の段差部が予め形成されている場合、反射防止膜が被加工膜上全体に亘って均一な膜厚で成膜されない恐れがある。例えば、予め形成されたマスクパターンのスペース部が微細である場合には、スペース部に形成される反射防止膜の膜厚が他の部分に形成される反射防止膜の膜厚よりも局所的に厚くなる場合等がある。
【0004】
このように、被加工膜上に成膜された反射防止膜の膜厚が均一でなければ、レジストパターンを剥離して反射防止膜を除去する工程において、膜厚が異なる部分を別々の工程により除去する必要が生じる場合があり、パターン形成工程が複雑化することがある。
【特許文献1】特開平06−204130号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、パターン形成を簡略化した半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、被加工膜上に第一のパターンを形成する工程と、前記第一のパターンが形成された領域を含む前記被加工膜上に反射防止膜及びレジスト膜を順に形成する工程と、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成することにより前記反射防止膜を露出し、露出した前記反射防止膜を前記レジスト膜の現像に使用される現像液を用いて除去し、前記被加工膜の一部及び前記第一のパターンの少なくとも一部を露出する工程と、前記第一のパターン及び前記レジストパターンをマスクに前記被加工膜を加工する工程を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の一態様の半導体装置の製造方法は、被加工膜上に第一のパターンを形成する工程と、前記第一のパターンが形成された領域を含む前記被加工膜上に反射防止膜及びレジスト膜を順に形成する工程と、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成することにより前記反射防止膜を露出し、露出した前記反射防止膜を前記レジスト膜の現像に使用される現像液を用いて除去し、前記第一のパターンの一部を露出する工程と、露出した前記第一のパターン部を加工する工程と、前記レジストパターン及び前記反射防止膜を除去する工程を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の別の一態様の半導体装置の製造方法は、被加工膜上に反射防止絶縁膜を形成する工程と、前記反射防止絶縁膜上に第一のパターンを形成する工程と、前記第一のパターンが形成された領域を含む前記反射防止絶縁膜上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜にレジストパターンを形成して前記反射防止絶縁膜の一部及び前記第一のパターンの少なくとも一部を露出する工程と、露出した前記第一のパターン及び前記レジストパターンをマスクにして前記反射防止絶縁膜を加工して前記被加工膜を露出する工程と、露出した前記被加工膜を加工する工程を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の一態様の半導体装置の製造方法は、被加工膜上に反射防止絶縁膜を形成する工程と、前記反射防止絶縁膜上に第一のパターンを形成する工程と、前記第一のパターンが形成された領域を含む前記反射防止絶縁膜上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜にレジストパターンを形成して前記第一のパターンの一部を露出する工程と、露出した前記第一のパターンを加工する工程と、前記レジストパターンを加工除去した後、前記反射防止絶縁膜を加工して前記被加工膜を露出する工程と、露出した前記被加工膜を加工する工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パターン形成を簡略化した半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図1を参照して、本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法により、半導体装置に配線パターンを形成する方法を説明する。図1は、本実施例に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0013】
まず、図1(a)に示すように、単結晶シリコン等の半導体基板(図示を省略)上に、例えばシランガス又はTEOSを用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)、あるいは高密度プラズマ源を用いたCVD等により、ポリシリコン膜等を構成材料とする被加工膜100を形成する。
【0014】
さらに被加工膜100上には、CVD法等を利用して、最終的に被加工膜100を加工して配線パターンを形成する際のマスク材となる第一の膜101、例えばシリコン窒化膜等を形成する。
【0015】
続いて、フォトリソグラフィにより、第一の膜101上に反射防止膜102、反射防止膜102上にレジストパターン103を形成する。すなわち、スピン塗布法等を使用して、被加工膜100上に反射防止膜102を形成し、その後、反射防止膜102上にレジスト膜を塗布する。さらに、フォトマスクを用いてレジスト膜を露光し、レジスト膜の感光部を現像液により除去してレジストパターン103を形成する。
【0016】
ここで反射防止膜102は、露光時にレジスト膜へ入射された光が被加工膜100表面まで到達して反射することにより入射波と反射波の干渉が生じることを抑制する機能等を有する薄膜であり、例えば、塗布有機膜又はアモルファスカーボン、SiON膜等の無機CVD膜等である。またレジスト膜は、例えばアクリル系樹脂又はメタクリル系樹脂等を構成材料としており、その感光部は現像液として使用されるアルカリ水溶液等に対して溶解性を有している。
【0017】
次に、図1(b)に示すように、フッ素ガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)等を利用して、レジストパターン103をマスクに反射防止膜102を加工し、さらに第一の膜101を順に加工し第一のパターン105を形成する。さらに、第一のパターン105上に残存したレジストパターン103及び反射防止膜102を、酸素プラズマ等を用いたアッシング及びエッチング等により除去する。
【0018】
次に、図1(c)に示すように、スピン塗布法等を利用して、被加工膜100上に第一のパターン105を覆うように反射防止膜106を形成する。この反射防止膜106は、後のレジスト膜107の現像工程で使用される現像液、例えばアルカリ系水溶液に可溶性の材料から構成される膜であり、以下では現像液可溶性反射防止膜106と呼ぶ。この現像液可溶性反射防止膜106には、光照射により酸を発生する光酸発生剤、例えばトリフェニルスルホニウムトリフラート、トリフェニルスルホニウムノナフラート等が含まれている。
【0019】
なお、図1(c)では明示しないものの、現像液可溶性反射防止膜106の膜厚は必ずしも被加工膜100上全体において均一に形成されることはなく、間隔の狭い第一のパターン間のスペース部上に形成された現像液可溶性反射防止膜106の膜厚が局所的に厚くなる場合がある。
【0020】
次に、図1(d)に示すように、現像液可溶性反射防止膜106上にレジスト膜107を塗布形成する。レジスト膜107は、現像液可溶性反射防止膜106を溶解することができる現像液により現像される材料、例えば上述したレジスト膜107と同様、アクリル系樹脂等を構成材料とする。
【0021】
次に、図1(e)に示すように、フォトマスクを用いてレジスト膜107を露光して、レジスト膜107の感光部をアルカリ水溶液等の現像液で現像してレジストパターン108を形成し、さらにその下方の現像液可溶性反射防止膜106も同一の現像液を用いて連続的に溶解除去し、被加工膜100表面の一部及び第一のパターン105を露出させる。
【0022】
本実施例では、図1(e)に示すように、レジストパターン108を第一のパターン105の中間位置に残すように形成する。これにより被加工膜100上に、第一のパターン105及びレジストパターン108間がリソグラフィ限界のハーフピッチとなるように、第一のパターン105及びレジストパターン108をそれぞれ形成することが可能となる。
【0023】
なお、本実施例では第一のパターン105全てを露出するようにレジストパターン108を形成しているが、第一のパターン105の一部を覆うようにレジストパターン108を形成してもよい。
【0024】
一般的に、パターン等の段差部が形成されている被加工膜上に反射防止膜及びレジスト膜を形成する場合において、特に近接する段差間(パターンスペース部等)が微細である場合には、段差間に形成される反射防止膜の膜厚が他の部分に形成される反射防止膜の膜厚よりも局所的に厚くなる場合等がある。
【0025】
このように、被加工膜上に成膜された反射防止膜の膜厚が均一でなければ、反射防止膜を除去する工程において、膜厚が異なる部分を別々の工程により除去する必要が生じる場合があるため、半導体装置のパターン形成工程が複雑化することがある。
【0026】
しかしながら、本実施例のように、反射防止膜にレジストパターン形成に用いられる現像液に可溶性の材料(現像液可溶性反射防止膜106)を使用することで、レジスト膜107の現像工程に引き続き、レジスト膜107下に形成された現像液可溶性反射防止膜106の膜厚の異なるそれぞれの部分を一斉に現像液により溶解することができる。これにより、パターン等の段差部を有する被加工膜上に形成される反射防止膜の除去工程を削減して、パターン形成工程を簡易化することができる。
【0027】
次に、図1(f)に示したように、RIEにより、第一のパターン105、レジストパターン108及び現像液可溶性反射防止膜106をマスクにして、被加工膜100を加工し配線溝109を形成する。
【0028】
最後に、図1(g)に示したように、レジストパターン108、第一のパターン105及び現像液可溶性反射防止膜106をアッシング及びエッチング等により除去した後、電気めっき法等を使用して配線溝109に銅等の配線材料を埋め込み、さらにCMP(Chemical Mechanical Polishing)により配線溝109外部の銅を研磨除去して被加工膜100に配線パターン110を形成する。この配線パターン110は、例えばライン状パターンとして形成される。
【0029】
以上のように、本実施例に係る半導体装置の製造方法を用いることにより、反射防止膜の除去工程を簡略化することができ、簡易な方法で配線パターンを形成することができる。
【0030】
(実施例1の変形例)
次に、図2を参照して、上述の実施例1に係る半導体装置の製造方法の変形例を説明する。図2は、本変形例に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。本変形例に係る半導体装置の製造方法が、実施例1に係る半導体装置の製造方法と異なる点は、被加工膜上に形成した第一のパターンをさらに加工して微細パターンを形成し、加工した第一のパターンをマスクに被加工膜を加工する点にある。このため、実施例1で説明した半導体装置と同一部分には同一符号を付して、実施例1で説明した半導体装置の製造方法と同一工程の説明は省略する。
【0031】
まず、上述の図1(a)〜図1(d)に示した製造工程と同様、被加工膜上に第一のパターン、現像液可溶性反射防止膜及びレジスト膜を順に形成する。次に、図2(a)に示すように、所定のパターンを有するフォトマスクを用いてレジスト膜を露光し、レジスト膜の感光部を、例えばアルカリ系水溶液等の現像液を用いて現像除去する。続いて、レジスト膜を現像後、レジスト膜の現像に使用した現像液と同一の現像液を用いて、現像液可溶性反射防止膜106の露出部を溶解し、第一のパターン105の所定部分を露出する。
【0032】
なおこのとき、図示を省略するものの、第一のパターン105を露出するのみならず、被加工膜100を露出するようにレジスト膜及び現像液可溶性反射防止膜106を除去してもよい。
【0033】
このように本変形例においても、反射防止膜106をレジスト膜の現像液で溶解することで、膜厚の異なる反射防止膜部分を纏めて加工除去することが可能であり、反射防止膜の除去工程を簡略化することができる。
【0034】
次に、図2(b)に示すように、RIEにより、露出した第一のパターン105部分を除去して被加工膜100を露出する。このように第一のパターン105を加工することで、第一のパターン105に更にパターンを追加形成して微細なパターンを形成することができる。
【0035】
次に、図2(c)に示すように、レジストパターン108及び現像液可溶性反射防止膜106をそれぞれアッシング及びエッチング等により除去した後、第一のパターン105をマスクに露出した被加工膜100を加工して、被加工膜100に配線溝109を形成する。
【0036】
その後、エッチング等により第一のパターン105を除去後、図1(g)で示した製造工程と同様に、配線溝109に配線材料を埋め込み形成して配線パターンを形成する。
【0037】
以上のように、本変形例に係る半導体装置の製造方法を用いても、反射防止膜の除去工程を簡略化することができ、簡易な方法で配線パターンを形成することができる。
【実施例2】
【0038】
次に、図3を参照して、本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法により、半導体装置に配線パターンを形成する方法を説明する。図3は、本実施例に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。本実施例に係る半導体装置の製造方法が、実施例1に係る半導体装置の製造方法と異なる点は、現像液可溶性反射防止膜を使用せずに、反射防止機能を有する絶縁膜を被加工膜と第一のパターンに介在することにある。このため、実施例1で説明した半導体装置と同一部分には同一符号を付して、実施例1で説明した半導体装置の製造方法と同一工程の説明は省略する。
【0039】
まず、図3(a)に示すように、ポリシリコン膜等の被加工膜100上に、塗布法等により反射防止機能を有する絶縁膜111(以下、反射防止絶縁膜111と呼ぶ)を形成する。この反射防止絶縁膜111には、例えばケイ素系化合物、すなわちメチルシロキサン、メチルシルセスキオキサン、フェニルシロキサン、フェニルシルセスキオキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシルセスキオキサン、シリケートポリマー及びそれらの混合物を構成材料とするものであり、より具体的にはDARCTM(Dielectric Anti Reflective Coating、米アプライドマテリアルズ社製)、TERA(Tunable Etch-Resistant Anti-Reflective Coating、米IBM社、東京エレクトロン社製)等が使用される。さらに、実施例1と同様、反射防止絶縁膜111上に、第一の膜101、反射防止膜102及びレジスト膜を積層した後、レジストパターン103を形成する。
【0040】
次に、図3(b)に示すように、RIEにより、レジストパターン103をマスクに反射防止膜102を加工し、引き続いて第一の膜101を加工して第一のパターン105を形成する。
【0041】
次に、図3(c)に示すように、レジストパターン103及び反射防止膜102をアッシング及びエッチング等により除去した後、反射防止絶縁膜111上に第一のパターン105を覆うように再度レジスト膜107を形成する。
【0042】
次に、図3(d)に示すように、フォトマスクを用いてレジスト膜107を露光し、その感光部を加工して、第一のパターン105及び反射防止絶縁膜111を露出するようにレジストパターン108を形成する。ここで本実施例では、レジストパターン108を第一のパターン105の中間位置に形成する。これにより反射防止絶縁膜111上に、第一のパターン105及びレジストパターン108間をリソグラフィ限界のハーフピッチとなるように、第一のパターン105及びレジストパターン108をそれぞれ形成することが可能となる。なおこのとき、レジスト膜107下には反射防止機能を有する反射防止絶縁膜111が形成されているため、露光時にレジスト膜107へ入射した光がレジスト膜107と第一のパターン105及び反射防止絶縁膜111との界面で反射することを防止することができる。
【0043】
次に、図3(e)に示すように、第一のパターン105及びレジストパターン108をマスクにして、反射防止絶縁膜111を加工する。続いて、第一のパターン105及びレジストパターン108をマスクにして被加工膜100を加工して、被加工膜100に配線溝109を形成する。またこのとき、レジストパターン108及び第一のパターン105をマスクに反射防止絶縁膜111を加工後、レジストパターン108及び第一のパターン105を除去して反射防止絶縁膜111のみをマスクに被加工膜100を加工してもよい。
【0044】
その後、第一のパターン105、レジストパターン108及び反射防止絶縁膜111をエッチング及びアッシング等により除去した後、配線溝109に配線材料を埋め込み、配線パターンを形成する。
【0045】
以上のようにして、本実施例に係る半導体装置の製造方法を用いることにより、半導体装置の配線パターンを形成することができる。
【0046】
本実施例に係る半導体装置の製造方法では、被加工膜とパターン等の間に反射防止機能を有する反射防止絶縁膜を形成しており、実施例1のようにパターン等が形成された被加工膜上に反射防止膜を形成しない。
【0047】
このため、本実施例に係る半導体装置の製造方法では、被加工膜上に形成した反射防止膜の膜厚が不均一となり反射防止膜を別々の工程により除去するといった必要がなく、配線パターン等の形成を簡易化することが可能である。
【0048】
また一般に、パターン等の段差部を有する被加工膜上に形成された反射防止膜を加工除去する際、スペースが狭いパターン部間に形成された反射防止膜の除去速度が、その他のパターン部間に形成された反射防止膜の除去速度に対して相対的に異なる恐れがあり、反射防止膜全体を所望の形状に加工することが困難となる場合がある。
【0049】
これに対し、本実施例では、反射防止絶縁膜111が平坦な被加工膜100上に形成されているため、反射防止絶縁膜111の除去速度が特定の箇所においてばらつく恐れがなく、除去速度を一定に保つことができる。このため、第一のパターン105及びレジストパターン108をマスクに反射防止絶縁膜111を所望の形状に加工することが容易になり、反射防止絶縁膜111をマスクにして加工される配線パターンの形状を所望の形状・サイズに加工することが容易となる。
【0050】
(実施例2の変形例)
次に、図4を参照して、上述の実施例2に係る半導体装置の製造方法の変形例を説明する。図4は、本変形例の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。本変形例に係る半導体装置の製造方法が、実施例2に係る半導体装置の製造方法と異なる点は、被加工膜上に形成した第一のパターンをさらに加工して微細パターンを形成する点にある。このため、実施例1、2で説明した半導体装置と同一部分には同一符号を付して、実施例1、2で説明した半導体装置の製造方法と同一工程の説明は省略する。
【0051】
まず、図3(a)〜図3(c)に示す工程と同様にして、被加工膜100上に反射防止絶縁膜111、反射防止絶縁膜111上に第一のパターン105、レジスト膜を順に形成する。その後、図4(a)に示すように、フォトマスクを用いてレジスト膜を現像して、第一のパターン105を露出するようにレジストパターン108を形成する。
【0052】
なおこのとき、図示を省略するものの、第一のパターン105を露出するのみならず、被加工膜100を露出するようにレジスト膜及び第一の膜101を除去してもよい。
【0053】
このように本変形例においても、レジスト膜下には反射防止機能を有する反射防止絶縁膜111が形成されているため、露光時にレジスト膜へ入射した光がレジスト膜と第一のパターン105との界面で反射することを防止することができる。
【0054】
次に、図4(b)に示すように、RIEにより、露出した第一のパターン105部分を加工して反射防止絶縁膜111を露出する。このように第一のパターン105をさらに加工することで、第一のパターン105にパターンを追加し、第一の膜101に微細なパターンを形成することができる。
【0055】
次に、図4(c)に示すように、レジストパターン108をアッシングにより除去した後、RIEにより、第一のパターン105をマスクに露出した反射防止絶縁膜111を加工する。
【0056】
続いて、図4(d)に示すように、第一のパターン105及び反射防止絶縁膜111をマスクに被加工膜100を加工して、被加工膜100に配線溝109を形成する。なおこのとき、第一のパターン105を除去した後、反射防止絶縁膜111をマスクにして被加工膜100を加工してもよい。
【0057】
その後、エッチング等により第一のパターン105及び反射防止絶縁膜111を除去した後、図1(g)で示した製造工程と同様に、配線溝109に配線材料を埋め込み形成して配線パターンを形成する。
【0058】
以上のように、本変形例に係る半導体装置の製造方法を用いることにより、反射防止膜の除去工程を簡略化することができ、簡易な方法で配線パターンを形成することができる。
【0059】
本変形例に係る半導体装置の製造方法によっても、平坦な被加工膜100とパターン等の間に反射防止機能を有する反射防止絶縁膜111を形成しているため、被加工膜上に形成した反射防止膜の膜厚が不均一となり反射防止膜を別々の工程により除去する必要がなく、配線パターン等の形成を簡易化することが可能である。
【0060】
また、反射防止絶縁膜111が平坦な被加工膜100上に形成されるため、反射防止絶縁膜111の加工速度が特定の箇所においてばらつく恐れがなく、加工速度を一定に保つことができる。このため、反射防止絶縁膜111を所望の形状に加工することが容易になる。
【実施例3】
【0061】
次に、図5〜図7を参照して、本発明の実施例3に係る半導体装置の製造方法により、半導体装置に配線パターンを形成する方法を説明する。図5〜図7は、本実施例に係る半導体装置の製造方法を示す工程図である。本実施例に係る半導体装置の製造方法が、実施例1に係る半導体装置の製造方法と異なる点は、第一のパターンの形成方法である。このため、実施例1で説明した半導体装置と同一部分には同一符号を付して、実施例1で説明した半導体装置の製造方法と同一工程の説明は省略する。
【0062】
また、本実施例は、例えばNAND型フラッシュメモリ等のメモリCell領域とその周辺回路領域のそれぞれの配線パターンを同時に形成する方法を示すものであり、図5〜図7のうち、左図が工程断面図、右図が工程平面図である。なお、それぞれの図において、右側をメモリCell領域A、左側をメモリ周辺回路領域Aとしている。
【0063】
まず、図5(a)に示すように、単結晶シリコン等の半導体基板(図示を省略)上に、例えばシランガス又はTEOSを用いたプラズマCVD、あるいは高密度プラズマ源を用いたCVD等により、ポリシリコン膜等を構成材料とする被加工膜100を形成する。続いて、プラズマCVD法等を使用して、被加工膜100上にBSG膜等の犠牲膜112を形成する。
【0064】
次に、フォトリソグラフィにより、犠牲膜112上に反射防止膜102(図示を省略)を介してレジスト膜を塗布し、メモリCell領域Aのレジスト膜に所定のライン状パターンを転写する。これにより、メモリCell領域Aの犠牲膜112上にライン状のレジストパターン103が形成される。このとき、本実施例ではライン状のレジストパターン103の幅を約60nm程とし、レジストパターン103のピッチを120nm程度とする。
【0065】
次に、図5(b)に示すように、エッチングにより、レジストパターン103のスリミングを行う。このとき、スリミング後のレジストパターン103の幅は、最終的にライン状の配線パターンの幅とほぼ同等となり、本実施例では約30nm程度とする。なお、このスリミング工程が不必要であれば、スリミング工程を省略することも可能である。
【0066】
次に、図5(c)に示すように、レジストパターン103をマスクにして、RIEにより犠牲膜112を加工し、メモリCell領域Aの被加工膜100上に犠牲膜パターン113を形成する。さらに、犠牲膜パターン113上の反射防止膜102及びレジストパターン103をエッチング及びアッシングにより除去する。
【0067】
次に、図6(a)に示すように、CVD法等を用いて、シリコン窒化膜等を構成材料とする第一の膜101を、犠牲膜パターン113を覆うように被加工膜100上に形成する。ここで、第一の膜101の膜厚は、後のエッチバック工程により加工形成される第一のパターン105の幅とほぼ同一寸法となり、最終的に形成されるライン状の配線パターンのスペース寸法となる。本実施例では、第一の膜101の膜厚を、ライン状の配線パターンの設計幅と同様となるように、約30nm程度とする。
【0068】
次に、図6(b)に示すように、第一の膜101をエッチバックにより全面加工して、周辺回路領域A及びメモリCell領域Aの犠牲膜パターン113間において被加工膜100を露出させるとともに、犠牲膜パターン113側壁部に第一のパターン105を形成する。なおここで、第一のパターン105は、図6(b)の工程平面図に示すように、犠牲膜パターン113を囲うループ状の平面形状を有している。
【0069】
次に、図6(c)に示すように、中性HF分子を含有する溶液等を用いたエッチングにより、犠牲膜パターン113を選択的に剥離する。
【0070】
次に、図6(d)に示すように、スピン塗布法等により、被加工膜100上に反射防止膜106を形成する。この反射防止膜106は、後のレジスト膜現像工程において使用される現像液、例えばアルカリ水溶液等に溶解する現像液可溶性反射防止膜106である。なおここで、図示したように、パターンスペースの狭い部分においては反射防止膜106の膜厚が局所的に厚くなり第一のパターン105の高さ位置付近まで反射防止膜106が形成される場合がある。
【0071】
次に、図7(a)に示すように、現像液可溶性反射防止膜106上に、第一のパターン105を覆うようにレジスト膜107を塗布形成する。
【0072】
次に、図7(b)に示すように、Cell領域Aの第一のパターン105を露出するとともに、周辺辺回路領域Aの配線パターンを形成するため、被加工膜100上のレジスト膜107を露光し、更に感光部を現像液により現像してレジストパターン108を形成する。なおこのとき、図7(b)の工程平面図に示すように、レジストパターン108は、ループ状に閉じられた第一のパターン105の両端部を覆うように形成される。
【0073】
またこのレジスト膜107の現像時において、レジスト膜107下の現像液可溶性反射防止膜106を現像液により溶解させて除去する。このように、現像液可溶性反射防止膜106を現像液により溶解することで、現像液可溶性反射防止膜106の膜厚の異なる部分、例えば本実施例ではCell領域Aと周辺辺回路領域Aにおいて形成されている現像液可溶性反射防止膜部をそれぞれ別々の工程で除去する必要がなく一斉に除去することができる。
【0074】
次に、図7(c)に示すように、RIEにより、第一のパターン105をマスクにして被加工膜100を加工しCell領域Aに配線溝109を形成し、同時にレジストパターン108をマスクにして被加工膜100を加工し周辺回路領域Aに配線溝109を形成する。このとき、第一のパターン105の両端部がレジストパターン108によって覆われているため、第一のパターン105の両端部近傍下に位置する被加工膜100領域は加工されない。これにより、Cell領域Aの被加工膜100には互いに約30nmのスペースで隔離された幅約30nmのライン状の配線溝109が形成される。配線溝109形成後には、エッチング処理及び酸素を含むプラズマ処理等により、第一のパターン105及びレジストパターン108をそれぞれ除去する。
【0075】
なおこの配線溝109形成時には、後の配線材料のCMP工程における平坦化を安定させるため、被加工膜100に形成される配線パターン110の被覆率を一定にするよう、被加工膜100にはダミー溝114も同時に形成する。
【0076】
次に、図7(d)に示すように、電気めっき法等により、Cu等の配線材料を配線溝109及びダミー溝114に埋め込み、さらにCMPにより、被加工膜100上のCuを研磨除去して、被加工膜100のメモリCell領域Aにライン状の配線パターン110を、被加工膜100の周辺回路領域Aに回路配線パターン110をそれぞれ形成する。また同時に、ダミー溝114にはダミーパターン115が形成される。
【0077】
以上のように、本実施例に係る半導体装置の製造方法を用いることにより、膜厚が不均一に形成される反射防止膜の除去工程を簡略化して、メモリCell領域A及び周辺回路領域Aにそれぞれの配線パターン110を形成することができる。
【0078】
なお、本実施例に係る半導体装置の製造方法においても、実施例2に係る半導体装置の製造方法と同様に、第一のパターン105上に形成したレジスト膜107の現像時に第一のパターン105のみを露出して、露出した第一のパターン105を加工し、第一のパターン105にさらにパターンを追加してもよい。その場合には、レジストパターン108を除去して、第一のパターン105をマスクに被加工膜100を加工し、配線溝109を形成することができる。
【0079】
(実施例3の変形例)
次に、図8を参照して、実施例3の変形例に係る半導体装置の製造方法を説明する。図8は、本変形例の半導体装置の製造方法を示す工程図である。本変形例に係る半導体装置の製造方法が、実施例3に係る半導体装置の製造方法と異なる点は、被加工膜上に反射防止絶縁膜を形成し、反射防止絶縁膜上に第一のパターンをさらに形成する点にある。このため、実施例1、3で説明した半導体装置と同一部分には同一符号を付して、実施例1、3で説明した半導体装置の製造方法と同一工程の説明は省略する。
【0080】
まず、図8(a)に示したように、ポリシリコン膜等の被加工膜100上に、塗布法等により、上述した反射防止絶縁膜111を形成する。さらに、実施例3と同様、反射防止絶縁膜111上に、犠牲膜112、反射防止膜(図示を省略)及びレジスト膜を積層した後、レジスト膜にレジストパターン103を形成する。
【0081】
次に、図8(b)に示したように、RIEにより、レジストパターン103をマスクに反射防止膜を除去し、犠牲膜112を加工して犠牲膜パターン113を形成した後、レジストパターン103及び反射防止膜を除去し、反射防止絶縁膜111上に犠牲膜パターン113を覆うように第一の膜を形成する。続いて、反射防止絶縁膜111を露出するように第一の膜をエッチバックして、犠牲膜パターン113の側壁部に第一のパターン105を形成する。その後、犠牲膜パターン113をエッチング除去する。
【0082】
次に、図8(c)に示すように、反射防止絶縁膜111上に第一のパターン105上にレジスト膜を塗布後、Cell領域Aの第一のパターン105及び周辺回路領域Aの反射防止絶縁膜111を露出するように所定のパターンをレジスト膜に形成する。
【0083】
次に、図8(d)に示すように、RIEにより、第一のパターン105及びレジストパターン108をマスクに反射防止絶縁膜111を加工し、さらに第一のパターン105及びレジストパターン103を除去後、反射防止絶縁膜111をマスクにして被加工膜100を加工し、Cell領域A及び周辺回路領域Aに所定の配線溝109を形成する。また、被加工膜100に形成される配線パターンの被覆率を一定にするため、被加工膜100に配線溝109と同時にダミー溝114も加工する。なお、この被加工膜100の加工工程においては、第一のパターン105及びレジストパターン108を除去せずに、第一のパターン105及びレジストパターン108をマスクにしたRIEにより、被加工膜100を加工することもできる。
【0084】
さらに反射防止絶縁膜111を除去した後、配線溝109及びダミー溝114に配線材料を埋め込み、CMPにより被加工膜100上の配線材料を研磨除去して、Cell領域A及び周辺回路領域Aに所定の配線パターン及びダミーパターンを形成する。
【0085】
以上のように、本変形例に係る半導体装置の製造方法を用いることにより、配線パターンを形成することができる。本変形例に係る半導体装置の製造方法によっても、被加工膜100と第一のパターン105間に反射防止絶縁膜111を形成しているため、被加工膜上に成膜された膜厚の不均一な反射防止膜を別々の工程により除去するといった必要がなく、配線パターン等の形成を簡易化することが可能である。
【0086】
また、反射防止絶縁膜111が平坦な被加工膜100上に形成されるため、反射防止絶縁膜111の加工速度が特定の箇所においてばらつく恐れがなく、加工速度を一定に保つことができる。
【0087】
なお、上述した各実施例及び変形例では、本発明を配線パターンの形成方法に適用した例を示しているが、本発明をゲートパターンやホールパターン等の形成方法に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図2】本発明の実施例1の変形例に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図3】本発明の実施例2に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図4】本発明の実施例2の変形例に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図。
【図5】本発明の実施例3に係る半導体装置の製造方法を示す工程図。
【図6】本発明の実施例3に係る半導体装置の製造方法を示す工程図。
【図7】本発明の実施例3に係る半導体装置の製造方法を示す工程図。
【図8】本発明の実施例3の変形例に係る半導体装置の製造方法を示す工程図。
【符号の説明】
【0089】
100:被加工膜
101:第一の膜
105:第一のパターン
106:反射防止膜(現像液可溶性反射防止膜)
107:レジスト膜
108:レジストパターン
109:配線溝
110:配線パターン
111:反射防止絶縁膜
112:犠牲膜
113:犠牲膜パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工膜上に第一のパターンを形成する工程と、
前記第一のパターンが形成された領域を含む前記被加工膜上に反射防止膜及びレジスト膜を順に形成する工程と、
前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成することにより前記反射防止膜を露出し、露出した前記反射防止膜を前記レジスト膜の現像に使用される現像液を用いて除去し、前記被加工膜の一部及び前記第一のパターンの少なくとも一部を露出する工程と、
前記第一のパターン及び前記レジストパターンをマスクに前記被加工膜を加工する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
被加工膜上に第一のパターンを形成する工程と、
前記第一のパターンが形成された領域を含む前記被加工膜上に反射防止膜及びレジスト膜を順に形成する工程と、
前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成することにより前記反射防止膜を露出し、露出した前記反射防止膜を前記レジスト膜の現像に使用される現像液を用いて除去し、前記第一のパターンの一部を露出する工程と、
露出した前記第一のパターン部を加工する工程と、
前記レジストパターン及び前記反射防止膜を除去する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
被加工膜上に反射防止絶縁膜を形成する工程と、
前記反射防止絶縁膜上に第一のパターンを形成する工程と、
前記第一のパターンが形成された領域を含む前記反射防止絶縁膜上にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜にレジストパターンを形成して前記反射防止絶縁膜の一部及び前記第一のパターンの少なくとも一部を露出する工程と、
露出した前記第一のパターン及び前記レジストパターンをマスクにして前記反射防止絶縁膜を加工して前記被加工膜を露出する工程と、
露出した前記被加工膜を加工する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
被加工膜上に反射防止絶縁膜を形成する工程と、
前記反射防止絶縁膜上に第一のパターンを形成する工程と、
前記第一のパターンが形成された領域を含む前記反射防止絶縁膜上にレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜にレジストパターンを形成して前記第一のパターンの一部を露出する工程と、
露出した前記第一のパターンを加工する工程と、
前記レジストパターンを加工除去した後、前記反射防止絶縁膜を加工して前記被加工膜を露出する工程と、
露出した前記被加工膜を加工する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記被加工膜上に前記第一のパターンを形成する工程は、
前記被加工膜上に犠牲膜を形成する工程と、
前記犠牲膜を加工して犠牲膜パターンを形成する工程と、
前記被加工膜上に前記犠牲膜パターンを覆うように第一の膜を形成する工程と、
前記被加工膜を露出するように前記第一の膜を加工して、前記犠牲膜パターンの側壁部に前記第一のパターンを形成する工程と、
前記犠牲膜パターンを除去する工程と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−135649(P2008−135649A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322039(P2006−322039)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】