半導体装置の製造方法
【課題】貫通電極の導通確認をウェハ単位で簡便に行なうことができる半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】シリコンウェハ250の能動面10aに形成された複数の集積回路を個片化して複数の半導体装置1を製造する方法であって、複数の集積回路を個片化する前に、集積回路のそれぞれに形成された能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極を覆って導電膜190を形成する工程と、能動面10aと反対の裏面10bからシリコンウェハ250を貫通して能動面電極120a,120bに達する貫通電極112a,112bを形成する工程と、裏面10bから一対の貫通電極112a,112bをプロービングして貫通電極112a,112bと能動面電極120a,120bとの導通を検査する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法とした。
【解決手段】シリコンウェハ250の能動面10aに形成された複数の集積回路を個片化して複数の半導体装置1を製造する方法であって、複数の集積回路を個片化する前に、集積回路のそれぞれに形成された能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極を覆って導電膜190を形成する工程と、能動面10aと反対の裏面10bからシリコンウェハ250を貫通して能動面電極120a,120bに達する貫通電極112a,112bを形成する工程と、裏面10bから一対の貫通電極112a,112bをプロービングして貫通電極112a,112bと能動面電極120a,120bとの導通を検査する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの電子機器は小型化、薄型化が進んでおり、電子機器に搭載される半導体装置に対しても小型化が求められている。そこで、集積回路を有するシリコン基板を貫通する貫通電極を形成して複数のシリコン基板を積層する方法が実施されている。
【0003】
貫通電極を有する半導体装置においては、形成された貫通電極の導通検査が行なわれる。検査方法としては、複数の集積回路を個片化した半導体装置を基板などに搭載した状態で行う方法が提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
【特許文献1】特開2007−147444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしこの方法では、集積回路を個片化する前のウェハ状態における導通検査を行うことはできない。
また、ウェハ状態において貫通電極の導通検査を行なうためには、貫通電極と接続されたシリコンウェハの能動面の電極と裏面の電極とを同時にプロービングする必要があるが、薄いシリコンウェハではプロービング時に割れる可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、貫通電極の導通確認をウェハ単位で簡便に行なうことができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体装置の製造方法は、シリコンウェハの能動面に形成された複数の集積回路を個片化して複数の半導体装置を製造する方法であって、前記複数の集積回路を個片化する前に、前記集積回路のそれぞれに形成された複数の能動面電極を覆って導電膜を形成する工程と、前記能動面と反対の裏面から前記シリコンウェハを貫通して前記能動面電極に達する貫通電極を形成する工程と、前記裏面から一対の前記貫通電極をプロービングして前記貫通電極と前記能動面電極との導通を検査する工程と、を有することを特徴とする。
これにより、導電膜により複数の能動面電極が電気的に接続されるので、ウェハ状態で貫通電極の導通検査を行うことができる半導体装置の製造方法とすることができる。
【0007】
前記シリコンウェハの前記裏面に前記貫通電極と接続された裏面電極を形成する工程を有し、前記裏面電極をプロービングして導通検査を行うことが好ましい。
これにより、プロービングが可能な領域が増大するので、導通検査を容易に行うことができる半導体装置の製造方法とすることができる。
【0008】
前記導電膜をパターニングして、複数の前記能動面電極間を接続する配線を形成する工程を有することが好ましい。
導電膜を全面に成膜すると、不要箇所にも成膜されて検査に不都合を生じる可能性がある。しかし、このような配線を設けることによって、貫通電極と接続された能動面電極間のみに導電膜が形成されるので、導通検査時に不都合を生じることはない。
【0009】
前記貫通電極の導通を検査する工程の後に、前記導電膜を除去する工程を有することが好ましい。
これにより、能動面電極の電気的接続を分離することができるので、集積回路の電気特性検査を行うことができる半導体装置の製造方法とすることができる。
【0010】
前記導電膜を形成する工程の後に、前記導電膜上に支持基板を貼り付ける工程を有することが好ましい。
これにより、シリコンウェハの強度を補強することができるので、ハンドリング性を向上し、製造工程中におけるシリコンウェハの破損を防止することができる。
また、プロービング時におけるシリコンウェハの割れを防止することができる。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法は、シリコンウェハの能動面に形成された複数の集積回路を個片化して複数の半導体装置を製造する方法であって、前記複数の集積回路を個片化する前に、前記集積回路のそれぞれに形成された複数の能動面電極を覆って導電膜を形成する工程と、前記導電膜上に一部の前記能動面電極と接続される再配置配線をパターン形成する工程と、前記能動面と反対の裏面から前記シリコンウェハを貫通して前記能動面電極に達する貫通電極を形成する工程と、前記裏面から一対の前記貫通電極をプロービングして前記貫通電極と前記能動面電極との導通を検査する工程と、前記能動面側から前記再配置配線をマスクにして前記導電膜をエッチングする工程と、を有することを特徴とする。
これにより、導電膜により複数の能動面電極が電気的に接続されるので、ウェハ状態で貫通電極の導通検査を行うことができる。また、導電膜をエッチングする場合には、再配置配線がマスクとして機能するので、再配置配線を保護する工程を必要とせず製造工程を短縮することができる。
【0012】
前記導電膜をエッチングして配線化する工程を有することが好ましい。
これにより、選択的に導電膜を形成することができるので、貫通電極と接続された能動面電極同士を電気的に接続する配線のみを形成することが可能となる。
【0013】
前記貫通電極と接続された複数の前記能動面電極間を接続する前記配線が、隣接する前記集積回路間に設けられたスクライブラインを経由していることが好ましい。
これにより、集積回路を個片化すると同時に配線を切断して能動面電極同士が電気的に分離されるので、半導体装置の正常な動作が可能になり、電気特性検査を行うことができる半導体装置の製造方法とすることができる。
【0014】
前記再配置配線を形成する工程の後に、前記シリコンウェハの前記能動面側に支持基板を貼り付ける工程を有することが好ましい。
これにより、シリコンウェハの強度を補強することができるので、ハンドリング性を向上し、工程中におけるシリコンウェハの破損を防止することができる。
また、プロービング時におけるシリコンウェハの割れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1の実施形態]
(半導体装置の構成)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の能動面側から視た平面図である。また、図2は図1に示される半導体装置1の断面構造を示し、具体的に図2は図1中A−A線矢視による断面構成に対応する図である。図3は半導体装置1を裏面側から視た平面図である。図1から図3を用いて半導体装置1の構成について説明する。
【0016】
図2に示されるように、半導体装置1は、半導体基板10を主体として構成される。半導体基板10は後述するようにシリコンウェハをダイシングすることで個片化されたものであり、半導体装置1としてはICチップが例示できる。ここで、半導体基板10における例えばトランジスタ、メモリ素子を有する集積回路部(図示は省略)が形成される側の面を能動面10aとし、その反対の面を裏面10bと称す。
【0017】
半導体基板10は矩形形状から構成され、能動面10a側に能動面電極120a、120b、外部接続用電極122、及びダミー電極121が設けられている。また、能動面電極120a及び能動面電極120bは、半導体基板10の一短辺方向に沿って配置されている。また、ダミー電極121は、半導体基板10における能動面電極120a,120bが配置される側と反対の短辺方向に沿って配置されている。また、外部接続用電極122は、半導体基板10の長辺方向に沿って配置されている。なお、ダミー電極121は、例えば検査用又は周波数調整用又はダミー用である。
【0018】
また、半導体基板10は、裏面10b側から能動面10a側に貫通した状態に設けられ能動面電極120a、120bにそれぞれ導通される貫通電極112a、112bを備えている。
【0019】
また、半導体基板10の裏面10b側には、能動面電極120aに電気的に接続される裏面電極115aと、能動面電極120bに電気的に接続される裏面電極115bとが設けられている。
【0020】
具体的には、貫通電極112aは、その一端側が能動面電極120aの裏面と接続されており、その他端側が半導体基板10の裏面10bに裏面絶縁膜114を介して設けられた裏面電極115aに接続されている。
裏面電極115aは貫通電極112aを覆うように形成されていてもよく、貫通電極112aから引き回された配線(図示は省略)と接続されていてもよい。
【0021】
また、貫通電極112bは、その一端側が能動面電極120bの裏面と接続されており、その他端側が半導体基板10の裏面10bに裏面絶縁膜114を介して設けられた裏面電極115bに接続されている。
裏面電極115bは貫通電極112bを覆うように形成されていてもよく、貫通電極112bから引き回された配線(図示は省略)と接続されていてもよい。
【0022】
また、半導体基板10の能動面10a側には、下地膜139上に設けられた能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121を覆ってパシベーション膜138が設けられている。このパシベーション膜138は、能動面電極120a、120b、外部接続用電極122、及びダミー電極121の上面の一部を露出させる開口部を有しており、電極が露出した部分を覆うように金属膜124が設けられている。
【0023】
能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121の材料としては、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、あるいは、これらを含む合金等が挙げられる。
【0024】
また、金属膜124の材料は、配線形成材料と同一であることが好ましい。なお、金属膜(積層構造の場合、少なくとも1層)124は、能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121よりも耐腐食性の高い材料を用いて形成することが好ましく、これにより電極の腐食を阻止して、電気的不良の発生を防止することができる。
【0025】
また、パシベーション膜138は、下地膜139と同様に例えば酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3N4)等の絶縁性材料によって形成されている。
【0026】
(半導体装置の製造方法)
次に図4〜図8を参照しながら、半導体装置1の製造工程について説明する。半導体装置1は、シリコンウェハ250(図8参照)上に形成された集積回路を個片化したものであるが、簡単のため図4〜図7においては1つの半導体装置1を形成する場合を示している。
【0027】
半導体装置1では、半導体基板10の能動面10aに図示は省略の集積回路が形成されている。まず、図4(a)に示すように、半導体基板10の能動面10a上に下地膜139を形成した後、下地膜139上に能動面電極120a,120b,外部接続用端子122,及びダミー電極121を形成する。そして、能動面電極120a,120b,外部接続用端子122,及びダミー電極121を覆うように能動面10aの全面にパシベーション膜138を形成する。そして、周知のフォトリソグラフィ法及びエッチング法により、能動面電極120a,120b,外部接続用端子122,及びダミー電極121を覆うパシベーション膜138を部分的に除去する。
【0028】
次に、パシベーション膜138から露出される能動面電極120a,120b,外部接続用端子122,及びダミー電極121に接続される金属膜124を形成する。
【0029】
そして、金属膜124を覆うように、導電膜190を半導体基板10の能動面10aの全面に成膜する。これにより、能動面電極120a,120b,外部接続用端子122,及びダミー電極121が電気的に接続された状態となる。
導電膜190は、例えばスパッタ法を用いてCu(銅)で形成する。
【0030】
導電膜190を形成したあと、図4(a)に二点鎖線で示すように半導体基板10の能動面10a側を、接着層160を介してガラスウェハからなる支持部材200に貼り付ける。なお、この支持部材200としては、シリコンウェハ250(図8参照)と略同じ大きさのものを用いる。
【0031】
また、接着層160としては、熱硬化性接着剤や光硬化性接着剤等の硬化性接着剤を使用するのが望ましい。これにより、半導体基板10の能動面10aにおける凹凸を吸収しつつ、支持部材200を強固に装着することができる。さらに、接着剤として紫外線硬化性接着剤等の光硬化性接着剤を使用した場合には、上述したように支持部材200としてガラス等の透光性材料を採用するのが好ましい。この場合、支持部材200の外側から光を照射することによって、簡単に接着剤を硬化させることができる。
【0032】
このようにして、半導体基板10を支持部材200に貼り付けた後、半導体基板10の裏面10b側から砥石等の研削部材を用いて半導体基板10を研削(バックグラインド)し、例えば100μm程度まで薄くする。その後、スピンエッチング、又はドライポリッシュ等により研削により基板表面に形成された破砕層を取り除く。これにより、破砕層を起点として半導体基板10にヒビや、割れが生じるといった不具合を防止している。なお、基板の薄厚化する方法として、CMP(化学的機械的研磨)を用いることも可能である。
【0033】
半導体基板10を所定の厚みに形成した後、続いて、図4(b)に示すように、半導体基板10の裏面10b側を上にして、半導体基板10の裏面10b上にフォトレジストを設ける。そして、フォトレジストをパターニングして貫通電極を形成する領域に開口部を有するレジストマスク170を形成する。そして、レジストマスク170をマスクとしてドライエッチングを行い、貫通電極112a,112bを形成する部分の半導体基板10及び下地膜139を除去し、開口部113a、113bを形成する。これにより、図5(a)に示すように、半導体基板10の裏面10bから、能動面10aに設けられた能動面電極120a及び能動面電極120bの裏面が露出される。
【0034】
なお、レジストマスク170をマスクとしたが、これに限ることはなく、例えば、ハードマスクとしてSiO2膜を用いても良く、レジストマスク170及びハードマスクを併用しても良い。また、エッチング方法としてはドライエッチングに限らず、ウエットエッチング、レーザ加工、あるいはこれらを併用してもよい。
【0035】
次に、裏面10bのレジストマスク170を除去した後、半導体基板10の開口部113a,113bの内壁から裏面10bに至る裏面絶縁膜114を形成する。この裏面絶縁膜114は、電流リークの発生、酸素及び水分等による半導体基板10の浸食等を防止するために設けられる。
裏面絶縁膜114の材質としては、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)を用いて形成した正珪酸四エチル(Tetra Ethyl Ortho Silicon:Si(OC2H5)4:以下、TEOSという)、すなわちPE−TEOS、及び、オゾンCVDを用いて形成したTEOS、すなわちO3−TEOSまたはCVDを用いて形成した酸化珪素(SiO2)を用いることができる。なお、絶縁膜190は、絶縁性があれば、他の物でも良く、樹脂でもよい。
【0036】
そして、能動面電極120a、120bの裏面部分に設けられた絶縁膜190をドライエッチング或いはレーザ加工により除去することで、図5(b)に示されるように半導体基板10の開口部113a,113b側壁及び裏面10bを覆う裏面絶縁膜114が形成される。
【0037】
次に、電気化学プレーティング(ECP)法を用いて、図6(a)に示すように開口部113a,113bの内部にめっき処理を施し、その開口部113a,113b内に貫通電極112a,112bを形成するための導電性材料を配置する。これにより、貫通電極112a,112bの下端部と露出した能動面電極120a,120bとが、能動面電極120a,120bの裏面で電気的に接続される。
【0038】
これら貫通電極112a,112bを形成するための導電性材料としては、例えば銅(Cu)を用いることができ、これら貫通電極112a,112bは半導体基板10に設けられた開口部内に銅(Cu)が埋設されることで形成される。
【0039】
本実施形態における貫通電極112a,112bを形成する工程には、例えば、TiN、Cuをスパッタ法で形成(積層)する工程と、Cuをめっき法で形成する工程とが含まれる。なお、TiW、Cuをスパッタ法で形成(積層)する工程と、Cuをめっき法で形成する工程とが含まれたものであってもよい。
貫通電極112a,112bの形成方法としては、上述した方法に限らず、導電ペースト、溶融金属、金属ワイヤ等を埋め込んでもよい。
【0040】
また、本実施形態では、開口部113a,113bの内部に導電性材料で埋め込むことで貫通電極112a,112bを構成しているが、完全に埋め込むことなく開口部113a,113bの内壁に導電材料を成膜して能動面電極120a,120bの裏面で電気的に接続される形態とすることもできる。
【0041】
続いて、半導体基板10の裏面10bに、貫通電極112aと電気的に接続される裏面電極115a、及び貫通電極112bと電気的に接続される裏面電極115bをめっき法で形成する(図6(b))。
【0042】
なお、めっき法(Cu)を用いる場合、同一工程内で貫通電極112a、112b、裏面電極115a、及び裏面電極115bを形成することができる。
また、貫通電極112aから引き出した配線に裏面電極115aを接続し、貫通電極112bから引き出した配線に裏面電極115bを接続する場合においても、貫通電極112a、112b、裏面電極115a、裏面電極115b、及びこれらの配線を同一工程内で形成することができる。
【0043】
そして、図7(a)に示すように、裏面電極115a、及び裏面電極115bにプロービングして貫通電極112aと貫通電極112bとの導通抵抗の合計を測定する。導電膜190は、能動面電極120aと能動面電極120bとを電気的に接続して形成されているので、貫通電極112a及び貫通電極112bによる結線に問題がなければ、裏面電極115a、及び裏面電極115b同士が電気的に短絡した状態となる。
【0044】
これに対して、抵抗値が所定の値よりも高い場合は、結線に不具合があることを示している。抵抗値が所定の値よりも高くなる理由として、断線している場合と、配線が細くなっている箇所が発生している場合とが挙げられる。
【0045】
断線している場合について、具体的に挙げると、貫通電極112aが能動面電極120a又は裏面電極115aと断線している場合、あるいは、貫通電極112bが能動面電極120b又は裏面電極115bと断線している場合である。
また、配線が細くなる場合について具体的に挙げると、貫通電極112aが能動面電極120a又は裏面電極115aとの接触面積が小さい場合、あるいは、貫通電極112bが能動面電極120b又は裏面電極115bとの接触面積が小さい場合である。
【0046】
このようにして抵抗値の測定を行なうことにより、貫通電極112a、112bの導通不良箇所の有無を検査する。
【0047】
本実施形態の半導体装置1では、貫通電極112a,112bのみが設けられているが、さらに多くの貫通電極を有する場合は、複数回の導通検査を実施し、すべての貫通電極の導通検査が行なわれるようにすればよい。
【0048】
貫通電極112a、112bの導通抵抗を測定した後、半導体基板10の能動面10a側に設けられた接着層160及び支持部材200を除去する。支持部材200及び接着層160の除去は、溶剤などにより接着層160を軟化、または溶解させることにより同時に除去してもよい。
【0049】
次に、図7(b)に示すように、半導体基板10の裏面10bに接着層161及び支持部材201を設け、裏面10b側から半導体基板10を貼り付ける。そして導電膜190をドライエッチング法又はウエットエッチング法により除去する。
これにより、能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121の電気的接続を分離することができるので、半導体装置1の電気特性検査を行うことができる。
【0050】
その後、半導体基板10の裏面10bを支持している支持部材201及び接着層161を除去する。支持部材201及び接着層161を除去は、支持部材200及び接着層160を除去したときと同様の方法を用いることができ、溶剤などにより接着層161を軟化、または溶解させることにより除去する。
【0051】
そして、図8に示すように、ダイシング装置210によって集積回路を個片化することで、半導体装置1が作成される。
【0052】
このような半導体装置の製造方法よれば、以下の効果を得ることができる。
貫通電極を備えた従来の半導体装置では、ウェハ状態において、貫通電極の導通検査を行なうことは困難であった。しかし、本発明の製造方法によれば、導電膜190によって能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121を電気的に短絡させることで、ウェハ状態における貫通電極112a、112bの導通検査が可能になった。
【0053】
また、貫通電極の導通検査を行なった後、導電膜190を除去することにより、能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121の電気的接続を分離することができるので、半導体装置1の電気特性検査を行なうことができる。
【0054】
また、支持部材200,201を用いることにより薄板状のウェハを支持することによりシリコンウェハ250のハンドリング性を向上させることができる。また、シリコンウェハ250を研削(バックグラインド)する時、及び導通検査をする時のプロービングによるシリコンウェハ250のヒビ、割れの発生を防止することができる。
【0055】
本実施形態においては、導電膜190を能動面10aの全面に形成しているが、少なくとも能動面電極120aと能動面電極120bとが電気的に接続されるように形成されていればよく、これらの能動面電極120a,120bの間を接続する配線であってもよい。
【0056】
導電膜190を能動面10aの全面に成膜すると、不要箇所にも成膜されて検査に不都合を生じる可能性がある。しかし、このような配線とすることによって、能動面電極120a,120b間だけで導電膜190が成膜されるので、導通検査時に不都合を生じることはない。
【0057】
[第2の実施形態]
(半導体装置の構成)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の半導体装置は、WCSP(Wafer level Chip Scale Package)として実装されることを前提としたものである。
本実施形態の説明において、第1の実施形態の半導体装置1と同一の構成を有するものに対しては同一の符号を附し、その詳しい説明を省略する。
【0058】
図9は、第2の実施形態に係る半導体装置の能動面側から視た平面図である。また、図10は図9に示される半導体装置500における断面構造を示し、具体的に図10は図9中B−B線矢視による断面構成に対応する図である。図9,図10を用いて半導体装置500の構成について説明する。
【0059】
第1の実施形態の半導体装置1と異なるのは、第1配線(再配置配線)531、第2配線(再配置配線)534、及び第2配線534上に設けられたバンプ537により構成される再配置配線層530を設けることにより、外部接続用電極122が第1絶縁層533上に引き回されている点である。
【0060】
具体的に再配置配線層530は、図10に示すように、外部接続用電極122と電気的に接続された第1配線531と、この第1配線531上に設けられた第1絶縁層533と、この第1絶縁層533上に形成されるとともに第1配線531と電気的に接続された第2配線534と、この第2配線534及び第1絶縁層533を覆う第2絶縁層535と、を備えて構成される。なお、第1絶縁層533は応力緩和層としての機能を有する。
【0061】
さらに、第2配線534上には、プリント基板などの外部基板(図示は省略)と接続するためのバンプ537が設けられている。第1配線531の一部が第1絶縁層533より露出してランド部536を形成しており、このランド部536と第2配線534とが電気的に接続されている。
【0062】
また、再配置配線層530は、第1配線531に対して第2配線534が折り返されるように形成されており、バンプ537の一部が外部接続用電極122に平面視で重なる位置に配置されている。この構成によれば、再配置配線層530が2層の配線で形成されるので、バンプ537を例えば外部接続用電極122の直上のように種々の位置に配置することが可能となる。よって、バンプ537の配置可能領域を拡大することができ、実質的に外部接続用電極122間のピッチを拡げることができる。よって、種々の端子形状を有する外部基板(図示は省略)上に実装することが可能となり、基板実装性を向上できる。
【0063】
第1配線531及び第2配線534の材料としては、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、チタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタン(TiN)、ニッケル(Ni)、ニッケルバナジウム(NiV)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)等が挙げられる。
第1配線131,第2配線134としては、上述した材料の単層構造であっても良いし、複数組み合わせて積層構造にしても良い。
【0064】
また、金属膜124の材料は、上述の配線形成材料と同一であることが好ましい。なお、金属膜(積層構造の場合、少なくとも1層)124は、能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121よりも耐腐食性の高い材料を用いて形成することが好ましく、これにより電極の腐食を阻止して、電気的不良の発生を防止することができる。
【0065】
第1絶縁層533及び第2絶縁層535は、樹脂(合成樹脂)によって形成されている。これら第1絶縁層533及び第2絶縁層535の形成材料としては、ポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、BCB(benzocyclobutene)及びPBO(polybenzoxazole)等、絶縁性がある材料であれば良い。なお、第1絶縁層533及び第2絶縁層535の形成材料として、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3N4)等の絶縁性材料を用いてもよい。
【0066】
(半導体装置の製造方法)
次に図11〜図14を参照しながら、半導体装置500を製造する工程について説明する。半導体装置500は、シリコンウェハ250(図8参照)上に形成された集積回路を個片化したものであるが、簡単のため図11〜図14においては1つの半導体装置1を形成する場合を示している。
また、第1の実施形態における半導体装置1と同一の製造工程については、その詳しい説明を省略する。
【0067】
まず、図11(a)に示すように、半導体基板10の能動面10aにおいて形成された能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121を覆うように能動面10aの全面にパシベーション膜138を形成し、周知のフォトリソグラフィ法及びエッチング法により、能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121を覆うパシベーション膜138を除去する。
【0068】
ついで、パシベーション膜138から露出される能動面電極120a、120b、外部接続用電極122及びダミー電極121には金属膜124を形成し、外部接続用電極122上に形成された金属膜124と電気的に接続される第1配線531を形成する。
【0069】
次いで、金属膜124及び第1配線531を覆うように第1絶縁層533を形成する。そして、能動面電極120a,120b上の第1絶縁層533を周知のフォトリソグラフィ法によって選択的に除去し、能動面電極120a,120bを露出させる。また、これと同時に第1配線531を覆う第1絶縁層533を除去しランド部536を露出させる。
【0070】
次に、能動面電極120a、120b、及びランド部536を覆うように、能動面10aの全面に導電膜590を成膜する。導電膜590の形成方法としては、第1の実施形態の導電膜190と同様にCu(銅)などを用いたスパッタ法により行われる。この導電膜590は、この後形成される第2配線の下地層となる。
【0071】
そして、導電膜590上にフォトレジストをパターニングして、第1配線133のランド部536と導通させる第2配線534を第1絶縁層533上に形成する。ここで、第1配線531及び第2配線534の形成方法としては、例えば、TiW(チタンタングステン)、Cuの順にスパッタ法により下地層を形成した後、Cuをめっき法で形成することにより行われる。
この第2配線534の下地層(導電膜590)では、TiWの膜厚はおよそ100nmであり、Cuの膜厚はおよそ300nmである。
【0072】
次に、能動面10aに接着層160を介して支持部材200を貼り付けて半導体装置500を支持し、半導体基板10を裏面から研削(バックグラインド)する。
【0073】
次に、半導体基板10の裏面10bに形成したレジストマスク170をマスクとして用い(図11(b))、裏面10bから開口部113a,113bを形成する(図12(a))。
そして、開口部113a,113b及び半導体基板10の裏面10bに絶縁膜114を形成した後(図12(b))、貫通電極112a,112bを形成し(図13(a))、貫通電極112a,112bと接続された裏面電極115a,115bを裏面10bに形成する(図13(b))。
【0074】
そして、裏面電極115a、115bをプロービングして、裏面電極115a、裏面電極115bの導通検査を行い、貫通電極112a,112bの導通不具合箇所の有無を検査する(図14(a))。
【0075】
導通検査を終えると、能動面10aから半導体基板10に貼り付けた支持部材200及び接着層160を除去し、裏面10bに接着層161及び支持部材201を設けて裏面10b側から半導体基板10を支持する。
【0076】
そして、第2配線534をマスクにして、能動面10a側に形成した導電膜590をエッチング法により除去する。導電膜590の除去には、第1の実施形態と同様にウエットエッチング法又はドライエッチング法により行う。
マスクとして使用される第2配線534はめっき法により形成されているので、その膜厚は導電膜590よりも十分厚い。したがって、導電膜590をエッチングにより除去しても第2配線534は残る(図14(b))。
【0077】
次に、第2配線534及び第1絶縁層533上にソルダーレジストをパターニングして、第2絶縁層535を形成する。形成される第2絶縁層535は、第2配線534上に開口部を備え、第2配線534を露出するように形成する。したがって、第1絶縁層533から露出した能動面電極120a,120b,及びダミー電極121は、第2絶縁層535で覆われて絶縁される。
【0078】
そして、第2絶縁層535の開口部の第2配線534上に、例えばはんだボールからなるバンプ537を形成する。バンプ537は、はんだボールを第2配線534上に印刷する方法や、塗布によってはんだコートを形成したものであってもよい。
【0079】
次に、バンプ537の表面が一部突出するように、バンプ537の根元に根元補強樹脂層541を設けることによりバンプ537の補強を行う(図15(a))。
根元補強樹脂層541は、例えばポリイミドなどの耐熱性を持った樹脂をスピンコート法により第2絶縁層535上に塗布し、バンプ537を覆う根元補強樹脂層541をドライエッチング法により除去することにより形成することができる。
【0080】
そして、半導体装置500の電気特性検査を行った後、第1の実施形態の図8と同様に、ダイシング装置210によりシリコンウェハ250を集積回路ごとに個片化して半導体装置500を作成する。
【0081】
本実施形態においても、貫通電極が3つ以上形成された半導体装置であってもよく、この場合複数回のプロービングを行って、すべての貫通電極の導通検査を行う。
【0082】
本実施形態においては、第2配線534を形成した後に貫通電極112a、112bを形成しているが、これに限らず、能動面10aに集積回路が形成されてから導電膜590がエッチングにより除去されるまでの任意の工程で行うことができる。
【0083】
これらの製造工程により、半導体装置500を形成する。
【0084】
バンプ537を備えたこのような半導体装置を製造する方法においても、以下の効果を得ることができる。
まず、導電膜590を第2配線534の下地層と共通化しているので、導電膜590のみを形成する工程を必要としないので、製造工程を短縮することができる。そして、導電膜590により能動面電極120a,120bと電気的に接続してウェハ状態で貫通電極極112a,112bの導通検査を行うことができる。
【0085】
また、貫通電極の導通検査を行なった後、導電膜590を除去することにより、能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121の電気的接続を分離することができるので、半導体装置500の機能が回復し、半導体装置500の電気特性検査を行なうことができる。
【0086】
また、支持部材200,201を用いることにより薄板状のウェハの強度を増すことで、シリコンウェハ250のハンドリング性を向上させることができる。また、ウェハ250を研削(バックグラインド)するとき、及び導通検査時のプロービングによるウェハ250のヒビ、割れの発生を防止することができる。
【0087】
そして、図16は、ウェハ状態における能動面電極120a,120bを結ぶ配線構造を示す図である。図16では、能動面電極120a,120b、短絡配線591、及びスクライブライン595が示されている。
【0088】
図16に示すように、能動面電極120a,120bを結ぶ短絡配線591が、ダイシングを行うスクライブライン595上に形成されていてもよい。この短絡配線591は、第2配線534と同一工程内で形成することができる。
この短絡配線591は、導電膜590をエッチングにより除去した後も残っているが、ダイシングによりこの配線を切断して電気特性を回復させ、この後の工程における電気特性検査を行うことが可能である。
【0089】
短絡配線591の形成方法の一例としては、フォトレジストをパターニングし、TiW(チタンタングステン)、Cuの順にスパッタ法により下地層を形成した後、Cuをめっき法で形成することにより行われる。したがって、能動面電極120a,120b間のみに導電膜590が形成されるため、導通検査後に導電膜590を除去する工程が不要となる。よって、製造工程を短縮することができる。
また、貫通電極112a,112bの導通検査は、短絡配線591が切断される、ダイシングが行われるまでの任意の工程で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】半導体装置1の能動面10a側から見た平面図である。
【図2】半導体装置1のA−A線断面図である。
【図3】半導体装置1の裏面10b側から見た平面図である。
【図4】半導体装置1の製造方法を説明する工程図である。
【図5】半導体装置1の製造方法を説明する工程図である。
【図6】半導体装置1の製造方法を説明する工程図である。
【図7】半導体装置1の製造方法を説明する工程図である。
【図8】半導体装置1の製造方法を説明する工程図である。
【図9】半導体装置500の能動面10a側から見た平面図である。
【図10】半導体装置500のB−B線断面図である。
【図11】半導体装置500の製造方法を説明する工程図である。
【図12】半導体装置500の製造方法を説明する工程図である。
【図13】半導体装置500の製造方法を説明する工程図である。
【図14】半導体装置500の製造方法を説明する工程図である。
【図15】半導体装置500の製造方法を説明する工程図である。
【図16】ウェハ状態における配線構造を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1…半導体装置、10…半導体基板、10a…能動面、10b…裏面、112a,112b…貫通電極、115a,115b…裏面電極、120a,120b…能動面電極、122…外部接続用電極、124…金属膜、160,161…接着層、190…導電膜、200,201…支持部材、210ダイシング装置、250シリコンウェハ、500…半導体装置、530…再配置配線層、531…第1配線、534…第2配線、533…第1絶縁層、535…第2絶縁層、536…ランド部、537…バンプ、590…導電膜、591…短絡配線、595…スクライブライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの電子機器は小型化、薄型化が進んでおり、電子機器に搭載される半導体装置に対しても小型化が求められている。そこで、集積回路を有するシリコン基板を貫通する貫通電極を形成して複数のシリコン基板を積層する方法が実施されている。
【0003】
貫通電極を有する半導体装置においては、形成された貫通電極の導通検査が行なわれる。検査方法としては、複数の集積回路を個片化した半導体装置を基板などに搭載した状態で行う方法が提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
【特許文献1】特開2007−147444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしこの方法では、集積回路を個片化する前のウェハ状態における導通検査を行うことはできない。
また、ウェハ状態において貫通電極の導通検査を行なうためには、貫通電極と接続されたシリコンウェハの能動面の電極と裏面の電極とを同時にプロービングする必要があるが、薄いシリコンウェハではプロービング時に割れる可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、貫通電極の導通確認をウェハ単位で簡便に行なうことができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体装置の製造方法は、シリコンウェハの能動面に形成された複数の集積回路を個片化して複数の半導体装置を製造する方法であって、前記複数の集積回路を個片化する前に、前記集積回路のそれぞれに形成された複数の能動面電極を覆って導電膜を形成する工程と、前記能動面と反対の裏面から前記シリコンウェハを貫通して前記能動面電極に達する貫通電極を形成する工程と、前記裏面から一対の前記貫通電極をプロービングして前記貫通電極と前記能動面電極との導通を検査する工程と、を有することを特徴とする。
これにより、導電膜により複数の能動面電極が電気的に接続されるので、ウェハ状態で貫通電極の導通検査を行うことができる半導体装置の製造方法とすることができる。
【0007】
前記シリコンウェハの前記裏面に前記貫通電極と接続された裏面電極を形成する工程を有し、前記裏面電極をプロービングして導通検査を行うことが好ましい。
これにより、プロービングが可能な領域が増大するので、導通検査を容易に行うことができる半導体装置の製造方法とすることができる。
【0008】
前記導電膜をパターニングして、複数の前記能動面電極間を接続する配線を形成する工程を有することが好ましい。
導電膜を全面に成膜すると、不要箇所にも成膜されて検査に不都合を生じる可能性がある。しかし、このような配線を設けることによって、貫通電極と接続された能動面電極間のみに導電膜が形成されるので、導通検査時に不都合を生じることはない。
【0009】
前記貫通電極の導通を検査する工程の後に、前記導電膜を除去する工程を有することが好ましい。
これにより、能動面電極の電気的接続を分離することができるので、集積回路の電気特性検査を行うことができる半導体装置の製造方法とすることができる。
【0010】
前記導電膜を形成する工程の後に、前記導電膜上に支持基板を貼り付ける工程を有することが好ましい。
これにより、シリコンウェハの強度を補強することができるので、ハンドリング性を向上し、製造工程中におけるシリコンウェハの破損を防止することができる。
また、プロービング時におけるシリコンウェハの割れを防止することができる。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法は、シリコンウェハの能動面に形成された複数の集積回路を個片化して複数の半導体装置を製造する方法であって、前記複数の集積回路を個片化する前に、前記集積回路のそれぞれに形成された複数の能動面電極を覆って導電膜を形成する工程と、前記導電膜上に一部の前記能動面電極と接続される再配置配線をパターン形成する工程と、前記能動面と反対の裏面から前記シリコンウェハを貫通して前記能動面電極に達する貫通電極を形成する工程と、前記裏面から一対の前記貫通電極をプロービングして前記貫通電極と前記能動面電極との導通を検査する工程と、前記能動面側から前記再配置配線をマスクにして前記導電膜をエッチングする工程と、を有することを特徴とする。
これにより、導電膜により複数の能動面電極が電気的に接続されるので、ウェハ状態で貫通電極の導通検査を行うことができる。また、導電膜をエッチングする場合には、再配置配線がマスクとして機能するので、再配置配線を保護する工程を必要とせず製造工程を短縮することができる。
【0012】
前記導電膜をエッチングして配線化する工程を有することが好ましい。
これにより、選択的に導電膜を形成することができるので、貫通電極と接続された能動面電極同士を電気的に接続する配線のみを形成することが可能となる。
【0013】
前記貫通電極と接続された複数の前記能動面電極間を接続する前記配線が、隣接する前記集積回路間に設けられたスクライブラインを経由していることが好ましい。
これにより、集積回路を個片化すると同時に配線を切断して能動面電極同士が電気的に分離されるので、半導体装置の正常な動作が可能になり、電気特性検査を行うことができる半導体装置の製造方法とすることができる。
【0014】
前記再配置配線を形成する工程の後に、前記シリコンウェハの前記能動面側に支持基板を貼り付ける工程を有することが好ましい。
これにより、シリコンウェハの強度を補強することができるので、ハンドリング性を向上し、工程中におけるシリコンウェハの破損を防止することができる。
また、プロービング時におけるシリコンウェハの割れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1の実施形態]
(半導体装置の構成)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の能動面側から視た平面図である。また、図2は図1に示される半導体装置1の断面構造を示し、具体的に図2は図1中A−A線矢視による断面構成に対応する図である。図3は半導体装置1を裏面側から視た平面図である。図1から図3を用いて半導体装置1の構成について説明する。
【0016】
図2に示されるように、半導体装置1は、半導体基板10を主体として構成される。半導体基板10は後述するようにシリコンウェハをダイシングすることで個片化されたものであり、半導体装置1としてはICチップが例示できる。ここで、半導体基板10における例えばトランジスタ、メモリ素子を有する集積回路部(図示は省略)が形成される側の面を能動面10aとし、その反対の面を裏面10bと称す。
【0017】
半導体基板10は矩形形状から構成され、能動面10a側に能動面電極120a、120b、外部接続用電極122、及びダミー電極121が設けられている。また、能動面電極120a及び能動面電極120bは、半導体基板10の一短辺方向に沿って配置されている。また、ダミー電極121は、半導体基板10における能動面電極120a,120bが配置される側と反対の短辺方向に沿って配置されている。また、外部接続用電極122は、半導体基板10の長辺方向に沿って配置されている。なお、ダミー電極121は、例えば検査用又は周波数調整用又はダミー用である。
【0018】
また、半導体基板10は、裏面10b側から能動面10a側に貫通した状態に設けられ能動面電極120a、120bにそれぞれ導通される貫通電極112a、112bを備えている。
【0019】
また、半導体基板10の裏面10b側には、能動面電極120aに電気的に接続される裏面電極115aと、能動面電極120bに電気的に接続される裏面電極115bとが設けられている。
【0020】
具体的には、貫通電極112aは、その一端側が能動面電極120aの裏面と接続されており、その他端側が半導体基板10の裏面10bに裏面絶縁膜114を介して設けられた裏面電極115aに接続されている。
裏面電極115aは貫通電極112aを覆うように形成されていてもよく、貫通電極112aから引き回された配線(図示は省略)と接続されていてもよい。
【0021】
また、貫通電極112bは、その一端側が能動面電極120bの裏面と接続されており、その他端側が半導体基板10の裏面10bに裏面絶縁膜114を介して設けられた裏面電極115bに接続されている。
裏面電極115bは貫通電極112bを覆うように形成されていてもよく、貫通電極112bから引き回された配線(図示は省略)と接続されていてもよい。
【0022】
また、半導体基板10の能動面10a側には、下地膜139上に設けられた能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121を覆ってパシベーション膜138が設けられている。このパシベーション膜138は、能動面電極120a、120b、外部接続用電極122、及びダミー電極121の上面の一部を露出させる開口部を有しており、電極が露出した部分を覆うように金属膜124が設けられている。
【0023】
能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121の材料としては、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、あるいは、これらを含む合金等が挙げられる。
【0024】
また、金属膜124の材料は、配線形成材料と同一であることが好ましい。なお、金属膜(積層構造の場合、少なくとも1層)124は、能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121よりも耐腐食性の高い材料を用いて形成することが好ましく、これにより電極の腐食を阻止して、電気的不良の発生を防止することができる。
【0025】
また、パシベーション膜138は、下地膜139と同様に例えば酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3N4)等の絶縁性材料によって形成されている。
【0026】
(半導体装置の製造方法)
次に図4〜図8を参照しながら、半導体装置1の製造工程について説明する。半導体装置1は、シリコンウェハ250(図8参照)上に形成された集積回路を個片化したものであるが、簡単のため図4〜図7においては1つの半導体装置1を形成する場合を示している。
【0027】
半導体装置1では、半導体基板10の能動面10aに図示は省略の集積回路が形成されている。まず、図4(a)に示すように、半導体基板10の能動面10a上に下地膜139を形成した後、下地膜139上に能動面電極120a,120b,外部接続用端子122,及びダミー電極121を形成する。そして、能動面電極120a,120b,外部接続用端子122,及びダミー電極121を覆うように能動面10aの全面にパシベーション膜138を形成する。そして、周知のフォトリソグラフィ法及びエッチング法により、能動面電極120a,120b,外部接続用端子122,及びダミー電極121を覆うパシベーション膜138を部分的に除去する。
【0028】
次に、パシベーション膜138から露出される能動面電極120a,120b,外部接続用端子122,及びダミー電極121に接続される金属膜124を形成する。
【0029】
そして、金属膜124を覆うように、導電膜190を半導体基板10の能動面10aの全面に成膜する。これにより、能動面電極120a,120b,外部接続用端子122,及びダミー電極121が電気的に接続された状態となる。
導電膜190は、例えばスパッタ法を用いてCu(銅)で形成する。
【0030】
導電膜190を形成したあと、図4(a)に二点鎖線で示すように半導体基板10の能動面10a側を、接着層160を介してガラスウェハからなる支持部材200に貼り付ける。なお、この支持部材200としては、シリコンウェハ250(図8参照)と略同じ大きさのものを用いる。
【0031】
また、接着層160としては、熱硬化性接着剤や光硬化性接着剤等の硬化性接着剤を使用するのが望ましい。これにより、半導体基板10の能動面10aにおける凹凸を吸収しつつ、支持部材200を強固に装着することができる。さらに、接着剤として紫外線硬化性接着剤等の光硬化性接着剤を使用した場合には、上述したように支持部材200としてガラス等の透光性材料を採用するのが好ましい。この場合、支持部材200の外側から光を照射することによって、簡単に接着剤を硬化させることができる。
【0032】
このようにして、半導体基板10を支持部材200に貼り付けた後、半導体基板10の裏面10b側から砥石等の研削部材を用いて半導体基板10を研削(バックグラインド)し、例えば100μm程度まで薄くする。その後、スピンエッチング、又はドライポリッシュ等により研削により基板表面に形成された破砕層を取り除く。これにより、破砕層を起点として半導体基板10にヒビや、割れが生じるといった不具合を防止している。なお、基板の薄厚化する方法として、CMP(化学的機械的研磨)を用いることも可能である。
【0033】
半導体基板10を所定の厚みに形成した後、続いて、図4(b)に示すように、半導体基板10の裏面10b側を上にして、半導体基板10の裏面10b上にフォトレジストを設ける。そして、フォトレジストをパターニングして貫通電極を形成する領域に開口部を有するレジストマスク170を形成する。そして、レジストマスク170をマスクとしてドライエッチングを行い、貫通電極112a,112bを形成する部分の半導体基板10及び下地膜139を除去し、開口部113a、113bを形成する。これにより、図5(a)に示すように、半導体基板10の裏面10bから、能動面10aに設けられた能動面電極120a及び能動面電極120bの裏面が露出される。
【0034】
なお、レジストマスク170をマスクとしたが、これに限ることはなく、例えば、ハードマスクとしてSiO2膜を用いても良く、レジストマスク170及びハードマスクを併用しても良い。また、エッチング方法としてはドライエッチングに限らず、ウエットエッチング、レーザ加工、あるいはこれらを併用してもよい。
【0035】
次に、裏面10bのレジストマスク170を除去した後、半導体基板10の開口部113a,113bの内壁から裏面10bに至る裏面絶縁膜114を形成する。この裏面絶縁膜114は、電流リークの発生、酸素及び水分等による半導体基板10の浸食等を防止するために設けられる。
裏面絶縁膜114の材質としては、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)を用いて形成した正珪酸四エチル(Tetra Ethyl Ortho Silicon:Si(OC2H5)4:以下、TEOSという)、すなわちPE−TEOS、及び、オゾンCVDを用いて形成したTEOS、すなわちO3−TEOSまたはCVDを用いて形成した酸化珪素(SiO2)を用いることができる。なお、絶縁膜190は、絶縁性があれば、他の物でも良く、樹脂でもよい。
【0036】
そして、能動面電極120a、120bの裏面部分に設けられた絶縁膜190をドライエッチング或いはレーザ加工により除去することで、図5(b)に示されるように半導体基板10の開口部113a,113b側壁及び裏面10bを覆う裏面絶縁膜114が形成される。
【0037】
次に、電気化学プレーティング(ECP)法を用いて、図6(a)に示すように開口部113a,113bの内部にめっき処理を施し、その開口部113a,113b内に貫通電極112a,112bを形成するための導電性材料を配置する。これにより、貫通電極112a,112bの下端部と露出した能動面電極120a,120bとが、能動面電極120a,120bの裏面で電気的に接続される。
【0038】
これら貫通電極112a,112bを形成するための導電性材料としては、例えば銅(Cu)を用いることができ、これら貫通電極112a,112bは半導体基板10に設けられた開口部内に銅(Cu)が埋設されることで形成される。
【0039】
本実施形態における貫通電極112a,112bを形成する工程には、例えば、TiN、Cuをスパッタ法で形成(積層)する工程と、Cuをめっき法で形成する工程とが含まれる。なお、TiW、Cuをスパッタ法で形成(積層)する工程と、Cuをめっき法で形成する工程とが含まれたものであってもよい。
貫通電極112a,112bの形成方法としては、上述した方法に限らず、導電ペースト、溶融金属、金属ワイヤ等を埋め込んでもよい。
【0040】
また、本実施形態では、開口部113a,113bの内部に導電性材料で埋め込むことで貫通電極112a,112bを構成しているが、完全に埋め込むことなく開口部113a,113bの内壁に導電材料を成膜して能動面電極120a,120bの裏面で電気的に接続される形態とすることもできる。
【0041】
続いて、半導体基板10の裏面10bに、貫通電極112aと電気的に接続される裏面電極115a、及び貫通電極112bと電気的に接続される裏面電極115bをめっき法で形成する(図6(b))。
【0042】
なお、めっき法(Cu)を用いる場合、同一工程内で貫通電極112a、112b、裏面電極115a、及び裏面電極115bを形成することができる。
また、貫通電極112aから引き出した配線に裏面電極115aを接続し、貫通電極112bから引き出した配線に裏面電極115bを接続する場合においても、貫通電極112a、112b、裏面電極115a、裏面電極115b、及びこれらの配線を同一工程内で形成することができる。
【0043】
そして、図7(a)に示すように、裏面電極115a、及び裏面電極115bにプロービングして貫通電極112aと貫通電極112bとの導通抵抗の合計を測定する。導電膜190は、能動面電極120aと能動面電極120bとを電気的に接続して形成されているので、貫通電極112a及び貫通電極112bによる結線に問題がなければ、裏面電極115a、及び裏面電極115b同士が電気的に短絡した状態となる。
【0044】
これに対して、抵抗値が所定の値よりも高い場合は、結線に不具合があることを示している。抵抗値が所定の値よりも高くなる理由として、断線している場合と、配線が細くなっている箇所が発生している場合とが挙げられる。
【0045】
断線している場合について、具体的に挙げると、貫通電極112aが能動面電極120a又は裏面電極115aと断線している場合、あるいは、貫通電極112bが能動面電極120b又は裏面電極115bと断線している場合である。
また、配線が細くなる場合について具体的に挙げると、貫通電極112aが能動面電極120a又は裏面電極115aとの接触面積が小さい場合、あるいは、貫通電極112bが能動面電極120b又は裏面電極115bとの接触面積が小さい場合である。
【0046】
このようにして抵抗値の測定を行なうことにより、貫通電極112a、112bの導通不良箇所の有無を検査する。
【0047】
本実施形態の半導体装置1では、貫通電極112a,112bのみが設けられているが、さらに多くの貫通電極を有する場合は、複数回の導通検査を実施し、すべての貫通電極の導通検査が行なわれるようにすればよい。
【0048】
貫通電極112a、112bの導通抵抗を測定した後、半導体基板10の能動面10a側に設けられた接着層160及び支持部材200を除去する。支持部材200及び接着層160の除去は、溶剤などにより接着層160を軟化、または溶解させることにより同時に除去してもよい。
【0049】
次に、図7(b)に示すように、半導体基板10の裏面10bに接着層161及び支持部材201を設け、裏面10b側から半導体基板10を貼り付ける。そして導電膜190をドライエッチング法又はウエットエッチング法により除去する。
これにより、能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121の電気的接続を分離することができるので、半導体装置1の電気特性検査を行うことができる。
【0050】
その後、半導体基板10の裏面10bを支持している支持部材201及び接着層161を除去する。支持部材201及び接着層161を除去は、支持部材200及び接着層160を除去したときと同様の方法を用いることができ、溶剤などにより接着層161を軟化、または溶解させることにより除去する。
【0051】
そして、図8に示すように、ダイシング装置210によって集積回路を個片化することで、半導体装置1が作成される。
【0052】
このような半導体装置の製造方法よれば、以下の効果を得ることができる。
貫通電極を備えた従来の半導体装置では、ウェハ状態において、貫通電極の導通検査を行なうことは困難であった。しかし、本発明の製造方法によれば、導電膜190によって能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121を電気的に短絡させることで、ウェハ状態における貫通電極112a、112bの導通検査が可能になった。
【0053】
また、貫通電極の導通検査を行なった後、導電膜190を除去することにより、能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121の電気的接続を分離することができるので、半導体装置1の電気特性検査を行なうことができる。
【0054】
また、支持部材200,201を用いることにより薄板状のウェハを支持することによりシリコンウェハ250のハンドリング性を向上させることができる。また、シリコンウェハ250を研削(バックグラインド)する時、及び導通検査をする時のプロービングによるシリコンウェハ250のヒビ、割れの発生を防止することができる。
【0055】
本実施形態においては、導電膜190を能動面10aの全面に形成しているが、少なくとも能動面電極120aと能動面電極120bとが電気的に接続されるように形成されていればよく、これらの能動面電極120a,120bの間を接続する配線であってもよい。
【0056】
導電膜190を能動面10aの全面に成膜すると、不要箇所にも成膜されて検査に不都合を生じる可能性がある。しかし、このような配線とすることによって、能動面電極120a,120b間だけで導電膜190が成膜されるので、導通検査時に不都合を生じることはない。
【0057】
[第2の実施形態]
(半導体装置の構成)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の半導体装置は、WCSP(Wafer level Chip Scale Package)として実装されることを前提としたものである。
本実施形態の説明において、第1の実施形態の半導体装置1と同一の構成を有するものに対しては同一の符号を附し、その詳しい説明を省略する。
【0058】
図9は、第2の実施形態に係る半導体装置の能動面側から視た平面図である。また、図10は図9に示される半導体装置500における断面構造を示し、具体的に図10は図9中B−B線矢視による断面構成に対応する図である。図9,図10を用いて半導体装置500の構成について説明する。
【0059】
第1の実施形態の半導体装置1と異なるのは、第1配線(再配置配線)531、第2配線(再配置配線)534、及び第2配線534上に設けられたバンプ537により構成される再配置配線層530を設けることにより、外部接続用電極122が第1絶縁層533上に引き回されている点である。
【0060】
具体的に再配置配線層530は、図10に示すように、外部接続用電極122と電気的に接続された第1配線531と、この第1配線531上に設けられた第1絶縁層533と、この第1絶縁層533上に形成されるとともに第1配線531と電気的に接続された第2配線534と、この第2配線534及び第1絶縁層533を覆う第2絶縁層535と、を備えて構成される。なお、第1絶縁層533は応力緩和層としての機能を有する。
【0061】
さらに、第2配線534上には、プリント基板などの外部基板(図示は省略)と接続するためのバンプ537が設けられている。第1配線531の一部が第1絶縁層533より露出してランド部536を形成しており、このランド部536と第2配線534とが電気的に接続されている。
【0062】
また、再配置配線層530は、第1配線531に対して第2配線534が折り返されるように形成されており、バンプ537の一部が外部接続用電極122に平面視で重なる位置に配置されている。この構成によれば、再配置配線層530が2層の配線で形成されるので、バンプ537を例えば外部接続用電極122の直上のように種々の位置に配置することが可能となる。よって、バンプ537の配置可能領域を拡大することができ、実質的に外部接続用電極122間のピッチを拡げることができる。よって、種々の端子形状を有する外部基板(図示は省略)上に実装することが可能となり、基板実装性を向上できる。
【0063】
第1配線531及び第2配線534の材料としては、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、チタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタン(TiN)、ニッケル(Ni)、ニッケルバナジウム(NiV)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)等が挙げられる。
第1配線131,第2配線134としては、上述した材料の単層構造であっても良いし、複数組み合わせて積層構造にしても良い。
【0064】
また、金属膜124の材料は、上述の配線形成材料と同一であることが好ましい。なお、金属膜(積層構造の場合、少なくとも1層)124は、能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121よりも耐腐食性の高い材料を用いて形成することが好ましく、これにより電極の腐食を阻止して、電気的不良の発生を防止することができる。
【0065】
第1絶縁層533及び第2絶縁層535は、樹脂(合成樹脂)によって形成されている。これら第1絶縁層533及び第2絶縁層535の形成材料としては、ポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、BCB(benzocyclobutene)及びPBO(polybenzoxazole)等、絶縁性がある材料であれば良い。なお、第1絶縁層533及び第2絶縁層535の形成材料として、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3N4)等の絶縁性材料を用いてもよい。
【0066】
(半導体装置の製造方法)
次に図11〜図14を参照しながら、半導体装置500を製造する工程について説明する。半導体装置500は、シリコンウェハ250(図8参照)上に形成された集積回路を個片化したものであるが、簡単のため図11〜図14においては1つの半導体装置1を形成する場合を示している。
また、第1の実施形態における半導体装置1と同一の製造工程については、その詳しい説明を省略する。
【0067】
まず、図11(a)に示すように、半導体基板10の能動面10aにおいて形成された能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121を覆うように能動面10aの全面にパシベーション膜138を形成し、周知のフォトリソグラフィ法及びエッチング法により、能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121を覆うパシベーション膜138を除去する。
【0068】
ついで、パシベーション膜138から露出される能動面電極120a、120b、外部接続用電極122及びダミー電極121には金属膜124を形成し、外部接続用電極122上に形成された金属膜124と電気的に接続される第1配線531を形成する。
【0069】
次いで、金属膜124及び第1配線531を覆うように第1絶縁層533を形成する。そして、能動面電極120a,120b上の第1絶縁層533を周知のフォトリソグラフィ法によって選択的に除去し、能動面電極120a,120bを露出させる。また、これと同時に第1配線531を覆う第1絶縁層533を除去しランド部536を露出させる。
【0070】
次に、能動面電極120a、120b、及びランド部536を覆うように、能動面10aの全面に導電膜590を成膜する。導電膜590の形成方法としては、第1の実施形態の導電膜190と同様にCu(銅)などを用いたスパッタ法により行われる。この導電膜590は、この後形成される第2配線の下地層となる。
【0071】
そして、導電膜590上にフォトレジストをパターニングして、第1配線133のランド部536と導通させる第2配線534を第1絶縁層533上に形成する。ここで、第1配線531及び第2配線534の形成方法としては、例えば、TiW(チタンタングステン)、Cuの順にスパッタ法により下地層を形成した後、Cuをめっき法で形成することにより行われる。
この第2配線534の下地層(導電膜590)では、TiWの膜厚はおよそ100nmであり、Cuの膜厚はおよそ300nmである。
【0072】
次に、能動面10aに接着層160を介して支持部材200を貼り付けて半導体装置500を支持し、半導体基板10を裏面から研削(バックグラインド)する。
【0073】
次に、半導体基板10の裏面10bに形成したレジストマスク170をマスクとして用い(図11(b))、裏面10bから開口部113a,113bを形成する(図12(a))。
そして、開口部113a,113b及び半導体基板10の裏面10bに絶縁膜114を形成した後(図12(b))、貫通電極112a,112bを形成し(図13(a))、貫通電極112a,112bと接続された裏面電極115a,115bを裏面10bに形成する(図13(b))。
【0074】
そして、裏面電極115a、115bをプロービングして、裏面電極115a、裏面電極115bの導通検査を行い、貫通電極112a,112bの導通不具合箇所の有無を検査する(図14(a))。
【0075】
導通検査を終えると、能動面10aから半導体基板10に貼り付けた支持部材200及び接着層160を除去し、裏面10bに接着層161及び支持部材201を設けて裏面10b側から半導体基板10を支持する。
【0076】
そして、第2配線534をマスクにして、能動面10a側に形成した導電膜590をエッチング法により除去する。導電膜590の除去には、第1の実施形態と同様にウエットエッチング法又はドライエッチング法により行う。
マスクとして使用される第2配線534はめっき法により形成されているので、その膜厚は導電膜590よりも十分厚い。したがって、導電膜590をエッチングにより除去しても第2配線534は残る(図14(b))。
【0077】
次に、第2配線534及び第1絶縁層533上にソルダーレジストをパターニングして、第2絶縁層535を形成する。形成される第2絶縁層535は、第2配線534上に開口部を備え、第2配線534を露出するように形成する。したがって、第1絶縁層533から露出した能動面電極120a,120b,及びダミー電極121は、第2絶縁層535で覆われて絶縁される。
【0078】
そして、第2絶縁層535の開口部の第2配線534上に、例えばはんだボールからなるバンプ537を形成する。バンプ537は、はんだボールを第2配線534上に印刷する方法や、塗布によってはんだコートを形成したものであってもよい。
【0079】
次に、バンプ537の表面が一部突出するように、バンプ537の根元に根元補強樹脂層541を設けることによりバンプ537の補強を行う(図15(a))。
根元補強樹脂層541は、例えばポリイミドなどの耐熱性を持った樹脂をスピンコート法により第2絶縁層535上に塗布し、バンプ537を覆う根元補強樹脂層541をドライエッチング法により除去することにより形成することができる。
【0080】
そして、半導体装置500の電気特性検査を行った後、第1の実施形態の図8と同様に、ダイシング装置210によりシリコンウェハ250を集積回路ごとに個片化して半導体装置500を作成する。
【0081】
本実施形態においても、貫通電極が3つ以上形成された半導体装置であってもよく、この場合複数回のプロービングを行って、すべての貫通電極の導通検査を行う。
【0082】
本実施形態においては、第2配線534を形成した後に貫通電極112a、112bを形成しているが、これに限らず、能動面10aに集積回路が形成されてから導電膜590がエッチングにより除去されるまでの任意の工程で行うことができる。
【0083】
これらの製造工程により、半導体装置500を形成する。
【0084】
バンプ537を備えたこのような半導体装置を製造する方法においても、以下の効果を得ることができる。
まず、導電膜590を第2配線534の下地層と共通化しているので、導電膜590のみを形成する工程を必要としないので、製造工程を短縮することができる。そして、導電膜590により能動面電極120a,120bと電気的に接続してウェハ状態で貫通電極極112a,112bの導通検査を行うことができる。
【0085】
また、貫通電極の導通検査を行なった後、導電膜590を除去することにより、能動面電極120a,120b,外部接続用電極122,及びダミー電極121の電気的接続を分離することができるので、半導体装置500の機能が回復し、半導体装置500の電気特性検査を行なうことができる。
【0086】
また、支持部材200,201を用いることにより薄板状のウェハの強度を増すことで、シリコンウェハ250のハンドリング性を向上させることができる。また、ウェハ250を研削(バックグラインド)するとき、及び導通検査時のプロービングによるウェハ250のヒビ、割れの発生を防止することができる。
【0087】
そして、図16は、ウェハ状態における能動面電極120a,120bを結ぶ配線構造を示す図である。図16では、能動面電極120a,120b、短絡配線591、及びスクライブライン595が示されている。
【0088】
図16に示すように、能動面電極120a,120bを結ぶ短絡配線591が、ダイシングを行うスクライブライン595上に形成されていてもよい。この短絡配線591は、第2配線534と同一工程内で形成することができる。
この短絡配線591は、導電膜590をエッチングにより除去した後も残っているが、ダイシングによりこの配線を切断して電気特性を回復させ、この後の工程における電気特性検査を行うことが可能である。
【0089】
短絡配線591の形成方法の一例としては、フォトレジストをパターニングし、TiW(チタンタングステン)、Cuの順にスパッタ法により下地層を形成した後、Cuをめっき法で形成することにより行われる。したがって、能動面電極120a,120b間のみに導電膜590が形成されるため、導通検査後に導電膜590を除去する工程が不要となる。よって、製造工程を短縮することができる。
また、貫通電極112a,112bの導通検査は、短絡配線591が切断される、ダイシングが行われるまでの任意の工程で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】半導体装置1の能動面10a側から見た平面図である。
【図2】半導体装置1のA−A線断面図である。
【図3】半導体装置1の裏面10b側から見た平面図である。
【図4】半導体装置1の製造方法を説明する工程図である。
【図5】半導体装置1の製造方法を説明する工程図である。
【図6】半導体装置1の製造方法を説明する工程図である。
【図7】半導体装置1の製造方法を説明する工程図である。
【図8】半導体装置1の製造方法を説明する工程図である。
【図9】半導体装置500の能動面10a側から見た平面図である。
【図10】半導体装置500のB−B線断面図である。
【図11】半導体装置500の製造方法を説明する工程図である。
【図12】半導体装置500の製造方法を説明する工程図である。
【図13】半導体装置500の製造方法を説明する工程図である。
【図14】半導体装置500の製造方法を説明する工程図である。
【図15】半導体装置500の製造方法を説明する工程図である。
【図16】ウェハ状態における配線構造を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1…半導体装置、10…半導体基板、10a…能動面、10b…裏面、112a,112b…貫通電極、115a,115b…裏面電極、120a,120b…能動面電極、122…外部接続用電極、124…金属膜、160,161…接着層、190…導電膜、200,201…支持部材、210ダイシング装置、250シリコンウェハ、500…半導体装置、530…再配置配線層、531…第1配線、534…第2配線、533…第1絶縁層、535…第2絶縁層、536…ランド部、537…バンプ、590…導電膜、591…短絡配線、595…スクライブライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンウェハの能動面に形成された複数の集積回路を個片化して複数の半導体装置を製造する方法であって、
前記複数の集積回路を個片化する前に、
前記集積回路のそれぞれに形成された複数の能動面電極を覆って導電膜を形成する工程と、
前記能動面と反対の裏面から前記シリコンウェハを貫通して前記能動面電極に達する貫通電極を形成する工程と、
前記裏面から一対の前記貫通電極をプロービングして前記貫通電極と前記能動面電極との導通を検査する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記シリコンウェハの前記裏面に前記貫通電極と接続された裏面電極を形成する工程を有し、
前記裏面電極をプロービングして導通検査を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記導電膜をパターニングして、複数の前記能動面電極間を接続する配線を形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記貫通電極の導通を検査する工程の後に、前記導電膜を除去する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記導電膜を形成する工程の後に、前記導電膜上に支持基板を貼り付ける工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
シリコンウェハの能動面に形成された複数の集積回路を個片化して複数の半導体装置を製造する方法であって、
前記複数の集積回路を個片化する前に、
前記集積回路のそれぞれに形成された複数の能動面電極を覆って導電膜を形成する工程と、
前記導電膜上に一部の前記能動面電極と接続される再配置配線をパターン形成する工程と、
前記能動面と反対の裏面から前記シリコンウェハを貫通して前記能動面電極に達する貫通電極を形成する工程と、
前記裏面から一対の前記貫通電極をプロービングして前記貫通電極と前記能動面電極との導通を検査する工程と、
前記能動面側から前記再配置配線をマスクにして前記導電膜をエッチングする工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記導電膜をエッチングして配線化する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記貫通電極と接続された複数の前記能動面電極間を接続する前記配線が、隣接する前記集積回路間に設けられたスクライブラインを経由していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6から請求項8の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記再配置配線を形成する工程の後に、前記シリコンウェハの前記能動面側に支持基板を貼り付ける工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
シリコンウェハの能動面に形成された複数の集積回路を個片化して複数の半導体装置を製造する方法であって、
前記複数の集積回路を個片化する前に、
前記集積回路のそれぞれに形成された複数の能動面電極を覆って導電膜を形成する工程と、
前記能動面と反対の裏面から前記シリコンウェハを貫通して前記能動面電極に達する貫通電極を形成する工程と、
前記裏面から一対の前記貫通電極をプロービングして前記貫通電極と前記能動面電極との導通を検査する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記シリコンウェハの前記裏面に前記貫通電極と接続された裏面電極を形成する工程を有し、
前記裏面電極をプロービングして導通検査を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記導電膜をパターニングして、複数の前記能動面電極間を接続する配線を形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記貫通電極の導通を検査する工程の後に、前記導電膜を除去する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記導電膜を形成する工程の後に、前記導電膜上に支持基板を貼り付ける工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
シリコンウェハの能動面に形成された複数の集積回路を個片化して複数の半導体装置を製造する方法であって、
前記複数の集積回路を個片化する前に、
前記集積回路のそれぞれに形成された複数の能動面電極を覆って導電膜を形成する工程と、
前記導電膜上に一部の前記能動面電極と接続される再配置配線をパターン形成する工程と、
前記能動面と反対の裏面から前記シリコンウェハを貫通して前記能動面電極に達する貫通電極を形成する工程と、
前記裏面から一対の前記貫通電極をプロービングして前記貫通電極と前記能動面電極との導通を検査する工程と、
前記能動面側から前記再配置配線をマスクにして前記導電膜をエッチングする工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記導電膜をエッチングして配線化する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記貫通電極と接続された複数の前記能動面電極間を接続する前記配線が、隣接する前記集積回路間に設けられたスクライブラインを経由していることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6から請求項8の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記再配置配線を形成する工程の後に、前記シリコンウェハの前記能動面側に支持基板を貼り付ける工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−105247(P2009−105247A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276064(P2007−276064)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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