説明

半導体装置の製造方法

【課題】配線溝パターンの深さを精密に制御でき、かつ当該配線溝パターンのダメージ形成を抑制できる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】拡散防止膜ADF上に、第2の低誘電率膜LOWK2c、第3の低誘電率膜LOWK3c、マスク層となるべき膜がこの順に積層される。マスク層となるべき膜をエッチングし、底面が第3の低誘電率膜LOWK3cの表面により構成される配線溝パターンを形成することにより、マスク層SIO2dが形成される。アッシング処理により第1のレジストマスクが除去される。マスク層の配線溝パターンを用いて、底面が第2の低誘電率膜LOWK2cとなるように、配線溝TRCHが形成される。充填される銅金属CUaの頂面から第3の低誘電率膜LOWK3cまでの層がCMP法により除去される。上記各低誘電率膜はFSGよりも誘電率が低く、第2の低誘電率膜LOWK2cは第3の低誘電率膜LOWK3cよりも誘電率が低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、多層配線構造からなる半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの配線の最小幅が約100nm以下になるなど微細化が進むにしたがって、多層配線技術におけるRC(Resistance-Capacitance)遅延がデバイス特性に与える影響が深刻な問題になっている。RC遅延の対策としてCu(銅)/低誘電率膜(Low-k膜)配線技術の開発が進められており、現在kがおよそ2.5以上3.1以下のSiOCH(Carbon-doped SiO2)などのLow-k材料が実用化されている。このLow-k材料は次世代、次々世代向けとしては、更なる低誘電率化が必要とされている。このため低誘電率膜中に空孔を導入したポーラスLow-k材料などが開発されている。
【0003】
しかし、これらのLow-k材料はエッチングやアッシングなどの、化学薬品やプラズマを用いた処理に対する耐性が低い。このためLow-k材料に対してエッチングやアッシングなどの処理を行なうと、当該Low-k材料の変質が生じやすくなる。つまり当該Low-k材料の誘電率が増加したり、Low-k膜の膜質が低下したりする可能性がある。
【0004】
またLow-k膜は化学薬品やプラズマを用いた処理に対する耐性が低いため、Low-K膜をエッチングすることにより形成する配線のパターンの制御が困難になる。たとえば当該配線の深さ(厚み)を制御するため、Low-k膜を高精度に所望の深さだけエッチングすることが困難となる。その結果、形成される配線の厚みがばらつく不具合が発生しやすくなる。すると当該配線の電気抵抗がばらつき、当該配線に流れる電流量がばらつくことになる。このような現象は半導体デバイスの信頼性の低下に繋がる。
【0005】
さらに、当該配線溝パターンを形成するために用いるレジストを除去する処理(アッシング)を行なう際に、当該配線溝パターンの内部がダメージを受けることによって、誘電率の増加に伴う配線のRC遅延の増加や、リーク電流の発生による配線間の耐圧劣化が起こりうる。このため、信頼性が低下する可能性がある。
【0006】
以上のような低誘電率膜を用いた多層配線を形成する技術として、従来からたとえば以下に示す製造方法が開示されている。
【0007】
たとえば特開2009−4408号公報(特許文献1)においては、低誘電率膜に形成する配線溝パターンと、その下層の配線とを電気的に接続するビアのパターン(ビア穴パターン)との両方を形成する方法が開示されている。ここでは、先にビア穴パターンを形成した後に配線溝パターンを形成するエッチングを行なう際に、上記パターンの内壁部に形成されるエッチング生成膜やダメージ層を、所定のガスを用いたプラズマ処理により除去する。このようにして、当該パターンに形成される配線の信頼性を向上する。
【0008】
その他、たとえば特開2007−335450号公報(特許文献2)においては、多層レジストを用いてデュアルダマシン構造を形成する方法が開示されている。特開2006−32864号公報(特許文献3)においては、多層のマスク層を用いてデュアルダマシン構造を形成する方法が開示されている。特開2008−218959号公報(特許文献4)においては、低誘電率の層間絶縁膜としてのフッ素添加カーボン膜にダメージを生じさせることなく、良好な加工形状でエッチングすることができるエッチング方法が開示されている。特開2005−38967号公報(特許文献5)においては、SiC膜やSiO2キャップ膜を用いた、コンタクト層の形成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−4408号公報
【特許文献2】特開2007−335450号公報
【特許文献3】特開2006−32864号公報
【特許文献4】特開2008−218959号公報
【特許文献5】特開2005−38967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、たとえば特開2009−4408号公報に開示される多層配線構造の製造方法においては、配線やビア用のパターンの内壁部に形成されるエッチング生成膜やダメージ層など、当該配線の信頼性を低下させる薄膜が、適切なガスを用いたプラズマ処理により除去される。
【0011】
特開2009−4408号公報においては、配線溝パターンを形成するためにまずSiO2膜をハードマスク(マスク層)として形成し、その後当該ハードマスクを用いてNCS膜にドライエッチングするという2段階の処理がなされている。しかしSiO2膜のハードマスクを形成する際に、たとえばSiO2膜の直下のSiCOH膜の一部がエッチングされれば、最終的に形成される配線溝パターンの深さ方向の形状や厚みの精度が劣化する可能性がある。
【0012】
形成される配線溝パターンの深さ方向の形状や厚みがばらつけば、上記のように当該配線溝パターンから形成される配線の電気特性が劣化する可能性がある。このため配線溝パターンの深さ方向の形状や厚みの精度を高めることが好ましい。しかし特開2009−4408号公報には、そのために施した処理については開示がなされていない。
【0013】
また、特開2007−335450号公報に記載の配線溝パターンの形成方法においては、配線溝の形成後にレジストを除去する処理(アッシング)を行なう。このためレジスト除去とともに配線溝の内壁部にダメージ層が形成される可能性がある。また、当該配線溝の深さ方向の厚みを精密に制御することは困難であると考えられる。
【0014】
また特開2006−32864号公報に記載の多層配線構造の製造方法においては、形成した配線溝パターンの洗浄処理時に当該配線溝パターンの左右方向の幅が変化することを抑制するために、配線溝の内面に保護膜を形成している。しかし当該保護膜の誘電率が高いため、形成される多層配線構造の実効誘電率が高くなる可能性がある。
【0015】
さらに特開2008−218959号公報に記載のエッチング方法においては、たとえば特開2009−4408号公報と同様に、配線溝パターンを途中の深さまで形成した後、配線溝パターンの形成に用いたレジストをアッシングし、その後再度配線溝パターンを所望の深さまで形成する2段階の処理により、当該パターンにダメージが形成されることを抑制する方法が開示されている。しかし当該方法を、配線溝パターンとビア穴パターンとの両方を有するパターンを形成する方法に応用する手段については開示がなされていない。
【0016】
特開2005−38967号公報(特許文献5)の金属配線の製造方法においては、ハードマスクを形成した後アッシングにて除去し、当該ハードマスクを用いて配線溝パターンを形成する工程が開示されている。このため上記の工程においては配線溝パターンの内壁部がダメージを受ける可能性は低いと考えられる。しかしその後に形成する配線(コンタクト層)を形成する後工程の際にアッシングダメージを受けることを回避するための手法が開示されていない。このため、当該後工程において配線溝がダメージを受け、配線溝の形状の精度の劣化に繋がる可能性がある。
【0017】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものである。その目的は、多層配線構造における配線を形成するための配線溝パターンの深さを精密に制御することが可能で、かつ当該配線溝パターンがダメージを受けることを抑制することが可能な半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一実施例による半導体装置の製造方法は以下の工程を備えている。
半導体基板上に形成された、銅配線が内部に形成された第1の低誘電率膜上を覆う、拡散防止膜が形成される。上記拡散防止膜上に、第2の低誘電率膜、第3の低誘電率膜、マスク層となるべき膜がこの順に積層される。上記マスク層となるべき膜上に形成した第1のレジストマスクを用いて、第3の低誘電率膜が露出するようにマスク層となるべき膜をエッチングし、マスク層となるべき膜に底面が第3の低誘電率膜の表面により構成される配線溝パターンを形成することにより、マスク層が形成される。アッシング処理により第1のレジストマスクが除去される。マスク層の配線溝パターンを用いて、底面が第2の低誘電率膜となるように、第2の低誘電率膜および第3の低誘電率膜に配線溝が形成される。上記配線溝と平面的に重なる位置において、銅配線の一部を露出するように形成されたビア穴の内部と、配線溝の内部とに銅金属が充填される。少なくとも銅金属の頂面から第3の低誘電率膜までの層がCMP法により除去される。上記第1、第2、第3の低誘電率膜はFSGよりも誘電率の低い絶縁膜であり、第2の低誘電率膜は第3の低誘電率膜よりも誘電率の低い膜である。
【0019】
本発明の他の一実施例による半導体装置の製造方法は以下の工程を備えている。
半導体基板上に形成された、銅配線が内部に形成された第1の低誘電率膜上を覆う、拡散防止膜が形成される。上記拡散防止膜上に、第2の低誘電率膜、第3の低誘電率膜、マスク層となるべき膜がこの順に積層される。上記マスク層となるべき膜上に形成した第1のレジストマスクを用いて、第3の低誘電率膜が露出するようにマスク層となるべき膜をエッチングし、マスク層となるべき膜に底面が第3の低誘電率膜の表面により構成される配線溝パターンを形成することにより、マスク層が形成される。アッシング処理により第1のレジストマスクが除去される。マスク層の配線溝パターンを用いて、底面が第2の低誘電率膜となるように、第2の低誘電率膜および第3の低誘電率膜に配線溝が形成される。上記配線溝と平面的に重なる位置において、銅配線の一部を露出するように形成されたビア穴の内部と、配線溝の内部とに銅金属が充填される。
【0020】
上記第1のレジストマスクは、下層レジストと、中間層レジストと、上層レジストとがこの順で積層された構成を有する多層レジストである。上記マスク層を形成する工程には、以下の各工程を有する。マスク層となるべき膜上に、下層レジストと、中間層レジストと、上層レジストとがこの順で積層された構成を有する多層レジストが形成される。上記上層レジストが、平面視において配線溝パターンの形状となるようにパターニングされる。上記配線溝パターンの形状となるようにパターニングされた上層レジストをマスクとして、中間層レジストがパターニングされる。配線溝パターンの形状となるようにパターニングされた中間層レジストをマスクとして下層レジストがパターニングされるとともに、上層レジストが除去され中間層レジストが最上面に露出される。配線溝パターンの形状となるようにパターニングされた下層レジストをマスクとしてマスク層となるべき膜がパターニングされるとともに、中間層レジストが除去され、さらに第3の低誘電率膜が露出される。
【0021】
上記第3の低誘電率膜が露出される工程には、第1のガスを用いて中間層レジストを除去して下層レジストを最上面に露出させる第1の工程と、上記第1のガスとは異なる第2のガスを用いてマスク層となるべき膜の一部を除去して第3の低誘電率膜を露出させる第2の工程とを有する。上記第1、第2、第3の低誘電率膜はFSGよりも誘電率の低い絶縁膜であり、第2の低誘電率膜は第3の低誘電率膜よりも誘電率の低い膜である。
【0022】
本発明のさらに他の一実施例による半導体装置の製造方法は以下の工程を備えている。
半導体基板上に形成された、銅配線が内部に形成された第1の低誘電率膜上を覆う、拡散防止膜が形成される。上記拡散防止膜上に、第2の低誘電率膜、第3の低誘電率膜、マスク層となるべき金属膜がこの順に積層される。上記マスク層となるべき金属膜上に形成した第1のレジストマスクを用いて、第3の低誘電率膜が露出するようにマスク層となるべき金属膜をエッチングし、マスク層となるべき金属膜に底面が第3の低誘電率膜の表面により構成される配線溝パターンを形成することにより、マスク層が形成される。アッシング処理により第1のレジストマスクが除去される。マスク層の配線溝パターンを用いて、底面が第2の低誘電率膜となるように、第2の低誘電率膜および第3の低誘電率膜に配線溝が形成される。上記配線溝と平面的に重なる位置において、銅配線の一部を露出するように形成されたビア穴の内部と、配線溝の内部とに銅金属が充填される。上記第1のレジストマスクには、露光及び現像処理が施され感光性を有するレジスト材料からなるレジスト層を有する。上記第1、第2、第3の低誘電率膜はFSGよりも誘電率の低い絶縁膜であり、第2の低誘電率膜は第3の低誘電率膜よりも誘電率の低い膜である。
【0023】
本発明のさらに他の一実施例による半導体装置の製造方法は以下の工程を備えている。
半導体基板上に形成された、銅配線が内部に形成された第1の低誘電率膜上を覆う、拡散防止膜が形成される。上記拡散防止膜上に、第2の低誘電率膜、第3の低誘電率膜、マスク層となるべき金属膜がこの順に積層される。上記マスク層となるべき金属膜上に形成した第1のレジストマスクを用いて、マスク層となるべき金属膜をエッチングし、マスク層となるべき金属膜に底面が第3の低誘電率膜の表面により構成される配線溝パターンを形成することにより、マスク層が形成される。マスク層の配線溝パターンを用いて、底面が第2の低誘電率膜となるように、第2の低誘電率膜および第3の低誘電率膜に配線溝が形成される。上記配線溝と平面的に重なる位置において、銅配線の一部を露出するように形成されたビア穴の内部と、配線溝の内部とに銅金属が充填される。上記第1のレジストマスクには、露光及び現像処理が施され感光性を有するレジスト材料からなるレジスト層を有する。上記銅配線と平面視において重なる位置にビア穴パターンを形成する工程をさらに備える。
【0024】
上記ビア穴パターンを形成する工程に用いる第2のレジストマスクは、下層レジストと、中間層レジストと、上層レジストとがこの順で積層された構成を有する多層レジストである。上記ビア穴パターンを形成する工程は、以下の各工程を有する。マスク層となるべき金属膜上に、下層レジストと、中間層レジストと、上層レジストとがこの順で積層された構成を有する多層レジストが形成される。上記上層レジストが、平面視においてビア穴の形状となるようにパターニングされる。上記ビア穴の形状となるようにパターニングされた上層レジストをマスクとして、中間層レジストがパターニングされる。上記ビア穴の形状となるようにパターニングされた中間層レジストをマスクとして下層レジストがパターニングされるとともに、上層レジストが除去され中間層レジストが最上面に露出される。ビア穴の形状となるようにパターニングされた下層レジストをマスクとして、拡散防止膜上に達するように、第2および第3の低誘電率膜を貫通してビア穴パターンが形成される。上記第1、第2、第3の低誘電率膜はFSGよりも誘電率の低い絶縁膜であり、第2の低誘電率膜は第3の低誘電率膜よりも誘電率の低い膜である。
【発明の効果】
【0025】
本発明における多層配線の製造方法では、配線溝を形成する際に、配線溝パターンを形成するためのマスク層を形成した後、当該マスク層を形成するために用いたレジストマスクを除去し、その後さらに配線溝パターンをエッチングして所望の深さの配線溝を形成する。ここで配線溝パターンを形成する際に、マスク層の下部の低誘電率膜においてストップするようにエッチングがなされる。このため形成する配線溝の深さを精密に制御し、当該配線溝の深さのばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る半導体装置の多層配線構造の概略断面図である。
【図2】図1中に丸点線「II」で囲んだ領域の概略拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態1における多層配線構造の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における多層配線構造の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における多層配線構造の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における多層配線構造の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における多層配線構造の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1における多層配線構造の製造方法の第6工程を示す概略断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1における多層配線構造の製造方法の第7工程を示す概略断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1における多層配線構造の製造方法の第8工程を示す概略断面図である。
【図11】実施の形態1における、配線溝パターンを形成することによりマスク層を形成する工程を詳細に説明する第1工程を示す概略断面図である。
【図12】実施の形態1における、配線溝パターンを形成することによりマスク層を形成する工程を詳細に説明する第2工程を示す概略断面図である。
【図13】実施の形態1における、配線溝パターンを形成することによりマスク層を形成する工程を詳細に説明する第3工程を示す概略断面図である。
【図14】実施の形態1における、配線溝パターンを形成することによりマスク層を形成する工程を詳細に説明する第4工程を示す概略断面図である。
【図15】実施の形態1における、配線溝パターンを形成することによりマスク層を形成する工程を詳細に説明する第5工程を示す概略断面図である。
【図16】実施の形態1における、配線溝パターンを形成することによりマスク層を形成する工程を詳細に説明する第6工程を示す概略断面図である。
【図17】実施の形態1における、配線溝パターンを形成することによりマスク層を形成する工程を詳細に説明する第7工程を示す概略断面図である。
【図18】本発明の比較例における、図7に対応する工程を示す概略断面図である。
【図19】本発明の比較例における、図8に対応する工程を示す概略断面図である。
【図20】本発明の比較例における、図9に対応する工程を示す概略断面図である。
【図21】本発明の実施の形態2における、図2に対応する多層配線構造を示す概略断面図である。
【図22】本発明の実施の形態3における、図3に対応する工程を示す概略断面図である。
【図23】本発明の実施の形態3における、図4に対応する工程を示す概略断面図である。
【図24】本発明の実施の形態3における、図5に対応する工程を示す概略断面図である。
【図25】本発明の実施の形態3における、図6に対応する工程を示す概略断面図である。
【図26】本発明の実施の形態3における、図7に対応する工程を示す概略断面図である。
【図27】本発明の実施の形態3における、図8に対応する工程を示す概略断面図である。
【図28】本発明の実施の形態3における、図9に対応する工程を示す概略断面図である。
【図29】本発明の実施の形態3における、図10に対応する工程を示す概略断面図である。
【図30】本発明の実施の形態3における、図11に対応する工程を示す概略断面図である。
【図31】本発明の実施の形態3における、図12に対応する工程を示す概略断面図である。
【図32】本発明の実施の形態3における、図13に対応する工程を示す概略断面図である。
【図33】本発明の実施の形態3における、図14に対応する工程を示す概略断面図である。
【図34】本発明の実施の形態3における、図15に対応する工程を示す概略断面図である。
【図35】本発明の実施の形態3における、図16に対応する工程を示す概略断面図である。
【図36】本発明の実施の形態4における多層配線構造の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図37】本発明の実施の形態4における多層配線構造の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図38】本発明の実施の形態4における多層配線構造の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図39】本発明の実施の形態4における多層配線構造の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
【図40】本発明の実施の形態4における多層配線構造の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。
【図41】本発明の実施の形態4における多層配線構造の製造方法の第6工程を示す概略断面図である。
【図42】本発明の実施の形態4における多層配線構造の製造方法の第7工程を示す概略断面図である。
【図43】本発明の実施の形態5における多層配線構造の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図44】本発明の実施の形態5における多層配線構造の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図45】本発明の実施の形態5における多層配線構造の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図46】本発明の実施の形態5における多層配線構造の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
【図47】本発明の実施の形態5における多層配線構造の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。
【図48】本発明の実施の形態5における多層配線構造の製造方法の第6工程を示す概略断面図である。
【図49】本発明の実施の形態5における多層配線構造の製造方法の第7工程を示す概略断面図である。
【図50】本発明の実施の形態6における多層配線構造の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図51】本発明の実施の形態6における多層配線構造の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図52】本発明の実施の形態6における多層配線構造の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図53】本発明の実施の形態6における多層配線構造の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
【図54】本発明の実施の形態6における多層配線構造の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。
【図55】本発明の実施の形態6における多層配線構造の製造方法の第6工程を示す概略断面図である。
【図56】本発明の実施の形態6における多層配線構造の製造方法の第7工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず、本発明において形成する半導体装置の多層配線構造について説明する。
【0028】
図1の断面図を参照して、本発明の多層配線構造は、トランジスタを作成したSi基板より、コンタクト層、最下配線層、配線層1、配線層2、配線層3、配線層4、ポリイミド層、封止樹脂層がこの順に積層された構成を有する。
【0029】
コンタクト層は高ヤング率の絶縁膜を有し、最下配線層はコンタクト層よりヤング率の低い、中ヤング率の絶縁膜を有する。配線層1は最下配線層よりヤング率の低い、低ヤング率の絶縁膜を有する。配線層2は中ヤング率の絶縁膜を有し、配線層3は高ヤング率の絶縁膜を有し、配線層4は高ヤング率絶縁膜を有し、配線層4はさらにAlパッドを有している。
【0030】
最下配線層の配線間最小ピッチは他の配線層1〜4と比べて小さく、また最下配線層の配線厚みは配線層1〜4と比べて薄い。配線層2の配線間最小ピッチは最下配線層の配線間最小ピッチよりもやや大きいが配線層3の配線間最小ピッチよりも小さい。また配線層2の配線厚みは最下配線層の配線厚みよりも少し厚いが配線層3の配線厚みよりも薄い。配線層3の配線間最小ピッチは配線層2の配線間最小ピッチよりもやや大きいが配線層4の配線間最小ピッチよりも小さい。また配線層3の配線厚みは配線層2の配線厚みよりも少し厚いが配線層4の配線厚みよりも薄い。これらの最下配線層および配線層1〜4は、絶縁膜と、絶縁膜内に形成された配線溝と、上記配線溝の側面および底面に形成されたバリア層と、このバリア層上に形成され上記配線溝を埋め込む銅金属とで構成された銅配線と、上記銅配線の上面および上記絶縁膜の上面に形成され銅金属の拡散を防ぐ拡散防止膜とを有している。さらに配線層1〜4は、上下層の銅配線同士を接続するビアを備えている。
【0031】
図1に示すように、各配線層は1層または複数の層で構成される。また各配線層は金属(たとえば銅)からなる配線により電気的に接続される。
【0032】
図1のうち、丸点線で囲んだ領域の態様を示す断面図が図2に示される。この場合、図1の最下配線層が図2の第1の低誘電率膜LOWK1に相当し、図1の配線層1のうち最下の(もっともSi基板に近い)配線層が図2の第2の低誘電率膜LOWK2に相当する。第1の低誘電率膜LOWK1と第2の低誘電率膜LOWK2との間には拡散防止膜ADFaが挟まれている。
【0033】
第2の低誘電率膜LOWK2の銅配線CU(配線溝TRCHの内部)は、その一部の領域において、第1の低誘電率膜LOWK1の銅配線CUに達するように延び、両方の銅配線CUを電気的に接続するように形成される。上記両方の銅配線CUを接続する銅配線の領域をビア配線(ビア配線を形成するための溝はビア穴VIA)と呼ぶ。
【0034】
なお図1と異なり、図2においてはビア穴VIAが銅配線CUに対して右側に偏った位置に図示されているが、これは後の製造工程の説明を容易にするためのものである。図2において図1と同様に銅配線CUの中央部分にビア穴VIAが形成されていても、同一性を失わない。
【0035】
なお、図2は図1における配線層1を構成する絶縁膜が2層積層された領域であると考えてもよい。この場合、第1の低誘電率膜LOWK1と第2の低誘電率膜LOWK2とが同一の材料から形成される。
【0036】
ここで、本実施の形態における上述した図1の多層配線構造のうち、特に図2に示す領域の製造方法について説明する。
【0037】
図3を参照して、第1の低誘電率膜LOWK1aを形成し、その内部の一部の領域に銅配線CUが形成される。この第1の低誘電率膜LOWK1aはたとえば図1の半導体基板(Si基板)上に形成された最下配線層に相当するものである。
【0038】
次に第1の低誘電率膜LOWK1上を覆う、拡散防止膜ADFaが形成される。拡散防止膜ADFaは、第1の低誘電率膜LOWK1aの内部の銅配線CUの銅材料が拡散するのを防止するための薄膜である。拡散防止膜ADFaはSiN、SiCN、SiCおよびSiCOからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0039】
その後、拡散防止膜ADFa上に、第2の低誘電率膜LOWK2a、第3の低誘電率膜LOWK3a、マスク層となるべき膜であるマスク用膜SIO2aがこの順に積層される。
【0040】
ここで第1の低誘電率膜LOWK1a、第2の低誘電率膜LOWK2a、第3の低誘電率膜LOWK3aは形成される多層配線構造の層間絶縁膜として形成されるものである。
【0041】
これらの低誘電率膜はFSG(フッ素添加シリケイドグラス)と呼ばれる酸化膜よりも誘電率の低い絶縁膜であることが好ましく、一例として第1の低誘電率膜LOWK1a、第2の低誘電率膜LOWK2a、第3の低誘電率膜LOWK3aは、たとえばSiOCH(ポーラスSiOCHを含む)からなる薄膜であることが好ましい。ただしこれらの低誘電率膜として、SiOCHのほかにたとえばMSQ(メチルシルセスキオキサン)からなる薄膜を用いてもよい。これらの膜やマスク用膜SIO2aはたとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)法にて成膜されることが好ましい。
【0042】
ただしここで、第2の低誘電率膜LOWK2aは、第3の低誘電率膜LOWK3aよりも誘電率の低い膜であることが好ましい。逆に言えば、第3の低誘電率膜LOWK3aの誘電率は第2の低誘電率膜LOWK2aの誘電率よりも高いことが好ましい。
【0043】
このようにすれば、第3の低誘電率膜LOW3aは、より誘電率の低い第2の低誘電率膜LOWK2aが、エッチングやアッシングなどの処理時に、ダメージを受けることを抑制する役割を有する。
【0044】
第1の低誘電率膜LOWK1aについては、上記のようにFSGよりも誘電率が低いことが好ましいが、第2、第3の低誘電率膜の誘電率との大小関係は任意である。
【0045】
SiOCHを第1、第2、第3の低誘電率膜に用いる場合、それぞれの膜の密度組成を変化させることにより、それぞれの膜の誘電率を変化させることができる。
【0046】
マスク用膜SIO2aはたとえばSiO2からなる薄膜(絶縁層)であることが好ましい。
【0047】
上述したそれぞれの膜の厚み(図3の上下方向)について、第1の低誘電率膜LOWK1aは30nm以上150nm以下であることが好ましい。拡散防止膜ADFaは、1層である場合は単独の厚み、積層構造である場合は合計の厚みが10nm以上60nm以下であることが好ましい。第2の低誘電率膜LOWK2aは10nm以上50nm以下であることが好ましい。第3の低誘電率膜LOWK3aは100nm以上250nm以下、マスク用膜SIO2aは41nm以上100nm以下であることが好ましい。
【0048】
次に、マスク用膜SIO2a上に第2のレジストマスクが塗布される。ここで微細化された多層配線構造を形成する場合には、特に多層レジスト技術を用いることが好ましい。微細なビア穴パターンはより微細なパターンを形成することが可能な多層レジストを用いて形成されることがより好ましい。このため第2のレジストマスクとして、図3に示すようにたとえば3層レジストが使用される。
【0049】
ビア穴パターン形成のための第2のレジストマスク(3層レジスト)は、下層レジストBLaと、中間層レジストMLと、上層レジストARF2とがこの順で積層された多層レジストLAR2を形成するように塗布される。
【0050】
ここで上層レジストARF2は、露光機を用いた写真製版技術による感光性を有し、マスクの形状に応じたパターンを形成する、有機材料(第1有機膜)からなる、一般公知のレジストである。これに対して下層レジストBLaは、上層レジストARF2の第1有機膜よりも感光性が低い第2有機膜からなることが好ましい。
【0051】
このように下層レジストBLaの感光性を上層レジストARF2の感光性よりも低くす
ることにより、下層レジストBLaは上層レジストARF2よりも、感光性以外の機能を多く有するものとしている。たとえば下層レジストBLaのエッチング耐性を上層レジストARF2よりも高くすることができる。つまり下層レジストBLaがエッチングされにくくなり、エッチングダメージを受けることが抑制される。また下層レジストBLaが形成されることにより、当該多層レジストLAR2の層ごとのエッチング選択比が高くなる。このことからも、下層レジストBLaのエッチング耐性を上層レジストARF2よりも高くすることができる。また下層レジストBLaを上層レジストARF2よりも安価なものとすることもできる。
【0052】
具体的には下層レジストBLaとしては、たとえばノボラック樹脂やPHS(polyhydroxystyrene)、ナフタレン骨格を含む樹脂などの有機材料が用いられることが好ましい。また下層レジストBLaとして、これらのような塗布系の材料だけでなく、たとえばCVD法で成膜されたアモルファスカーボンやダイヤモンドライクカーボンなどの有機膜を用いてもよい。
【0053】
次に中間層レジストMLとしては、上層レジストARF2や下層レジストBLaのような有機材料とは異なり、たとえばSiO2系の膜が用いられる。ただし上層レジストARF2や下層レジストBLaとのエッチング選択比を調整するなど、多層レジストLAR2の内部でのマッチングを改善するために、中間層レジストMLの膜中には炭素や水素を多く含んでいることが好ましい。
【0054】
具体的には中間層レジストMLとしては、アルキル基やフェニル基などを含んだポリシロキサン(Si−O−Siの結合で構成される)やポリシラザン(Si−NH−Siの結合で構成される)などのSiを含有した塗布系の材料が用いられる。また中間層レジストMLとして、これらのような塗布系の材料だけでなく、たとえばCVD法で成膜されたSiO2、SiO,SiN,SION,SiC、SiCN、SiCOなどを用いてもよい。
【0055】
以上のように多層レジストLAR2を形成した後、図2のビア穴VIAを形成するためのパターンであるビア穴パターンが形成される。そのためにまず、図3に示すように上層レジストARF2のみ、平面視におけるビア穴パターンと同じ領域が、写真製版技術としての露光および現像によりパターニングされる。その後、図4に示すように、図3のように上層レジストARF2にのみ形成したパターンをマスクとして、多層レジストLAR2やマスク用膜SIO2aから、図の下方向に延長して拡散防止膜ADFa上に達するように貫通するビア穴パターンVIAaが形成される。
【0056】
なお、ビア穴パターンVIAaは、第1の低誘電率膜LOWK1aの内部の銅配線CUと平面視において重なる位置に形成されることが好ましい。
【0057】
また、上述したビア穴パターンVIAaを形成するエッチングには、たとえばC48/N2/Arなどの混合ガスを用いることが好ましい。
【0058】
後に詳述するように、以上のエッチング処理の際、ビア穴パターンVIAaを形成するために用いた多層レジストLAR2の上層レジストARF2および中間層レジストMLは除去される。また下層レジストBLa、マスク用膜SIO2a、第3の低誘電率膜LOWK3a、第2の低誘電率膜LOWK2aは、その一部がビア穴パターンVIAaとして除去されるため、それぞれ下層レジストBLb、マスク用膜SIO2b、第3の低誘電率膜LOWK3b、第2の低誘電率膜LOWK2bとなっている。
【0059】
次に、図5を参照して、下層レジストBLb(第2のレジストマスク)をアッシングにより除去した後、ビア穴パターンVIAaの内部に埋め込み材料を塗布する。この埋め込み材料は、フェンスと呼ばれるビア穴パターンVIAaの近傍の形状異常(エッチング残)を抑制するために、ビア穴パターンVIAaの内部に充填されるものである。また上記埋め込み材料は、後述する配線溝TRCHを形成するための多層レジストがパターニングされる際に、ビア穴パターンVIAaの内部において露出された拡散防止膜ADFaがエッチングダメージを受けることを抑制するためのものである。
【0060】
上記の埋め込み材料としては有機材料を用いることが好ましい。この有機材料のうち、マスク用膜SIO2bの表面上に形成されたものはエッチバックにより除去され、図5に示す有機材料ORMの態様となる。
【0061】
図6を参照して、次に、マスク用膜SIO2b上に第1のレジストマスクとしての多層レジストLAR1が形成される。第1のレジストマスクも、第2のレジストマスクと同様、たとえば3層レジストが使用される。そして図6に示す上層レジストARF1、中間層レジストML、下層レジストBLaは、それぞれ図3の上層レジストARF2、中間層レジストML、下層レジストBLaと同様である。つまり図6の多層レジストLAR1は、図3の多層レジストLAR2と同様である。
【0062】
多層レジストLAR1を形成した後、図2の配線溝TRCHを形成するためのパターンである配線溝パターンが形成される。そのためにまず、図6に示すように上層レジストARF1のみ、平面視における配線溝パターンと同じ領域が、写真製版技術としての露光および現像によりパターニングされる。その後、図7に示すように、図6のように上層レジストARF1にのみ形成したパターンをマスクとして多層レジストLAR1およびマスク用膜SIO2bがエッチングされる。このようにして図7に示す配線溝パターンTRCHaが形成される。
【0063】
つまり第1のレジストマスク(多層レジストLAR1)は、配線溝パターンTRCHaを形成するためのレジストマスクである。
【0064】
このとき、第3の低誘電率膜LOWK3bが露出するように多層レジストLAR1がエッチングされ、マスク用膜SIO2bには、底面が第3の低誘電率膜LOWK3b表面により構成される配線溝パターンTRCHaが形成されることが好ましい。
【0065】
この配線溝パターンTRCHaは、ビア穴パターンVIAaおよび第1の低誘電率膜LOWK1aの内部の銅配線CUと、平面視において重なるように形成されることが好ましい。
【0066】
つまり配線溝パターンTRCHaを形成する際には、多層レジストLAR1およびマスク用膜SIO2bのみがエッチングされ、その下の第3の低誘電率膜LOWK3bはエッチングされないようにすることが好ましい。この処理により、マスク用膜SIO2bがマスク層SIO2cとなる。
【0067】
次に図8を参照して、アッシング処理により第1のレジストマスク(下層レジストBLb)が除去される。ここでのアッシング処理には、酸素や二酸化炭素などの酸素原子を含んだガスや、水素やアンモニアなどの還元ガスを用いることが好ましい。
【0068】
また図8に示すように、上記アッシング処理の際に有機材料ORMも同時に除去されることが好ましい。後述するように、図7の配線溝パターンTRCHaを形成する工程においても、有機材料ORMの一部が除去される。しかし図7の工程において除去し切れなかった有機材料ORMがアッシング処理の際に除去される。下層レジストBLbが有機材料からなるため、下層レジストBLbとエッチング選択比の低い有機材料ORMは同時に容易にエッチングされる。
【0069】
次に図9を参照して、マスク層SIO2cに形成された、平面視において配線溝パターンTRCHaと同様の形状を有するパターンをマスクとして、配線溝パターンTRCHaおよびビア穴パターンVIAaの底部がエッチングされる。
【0070】
このエッチング処理には、たとえばCF4やCHF3を有するガス(たとえばCF4/CHF3/N2/Arの混合ガス)がエッチャントガスとして用いられる。
【0071】
この処理により、配線溝パターンTRCHaの下部の第3の低誘電率膜LOWK3bと第2の低誘電率膜LOWK2b、およびビア穴パターンVIAaの底部に位置する拡散防止膜ADFaおよび、第1の低誘電率膜LOWK1aの一部がエッチングされ、それぞれ第3の低誘電率膜LOWK3c、第2の低誘電率膜LOWK2c、拡散防止膜ADF,第1の低誘電率膜LOWK1となる。そして配線溝パターンTRCHaは配線溝TRCHに、ビア穴パターンVIAaはビア穴VIAになる。
【0072】
またこのとき、第2、第3の低誘電率膜をエッチングすると同時に、低誘電率膜(SiOCH)とのエッチング選択性が低いマスク層SIO2cも少しエッチングされるため薄くなり、マスク層SIO2dとなる。
【0073】
ここで形成される配線溝TRCHは、その底面が第2の低誘電率膜となるように形成されることが好ましい。またここで形成されるビア穴VIAは、配線溝TRCHと平面的に重なる位置において、第1の低誘電率膜LOWK1の銅配線CUの一部を(ビア穴VIAの底部において)露出するように形成される。その結果ビア穴VIAが、配線溝TRCHと第1の低誘電率膜LOWK1の銅配線CUとを電気的に接続するように形成される。これは上記のようにビア穴パターンVIAaと配線溝パターンTRCHaとは互いに平面視において重なるように形成されるためである。
【0074】
次に、図10を参照して、ビア穴VIAの内部と配線溝TRCHの内部とに銅金属CUaを充填する。この銅金属CUaは、第1の低誘電率膜LOWK1の銅配線CUと同一の銅材料とすることが好ましい。
【0075】
なおここで、配線溝TRCHの内表面およびビア穴VIAの内表面には、バリア層が形成されていることがより好ましい。このバリア層はたとえばTa、TaN、Ti、TiN、W、WN、Ruなどからなる群から選択される少なくとも1種の薄膜であることが好ましい。
【0076】
そして図10に示すように、少なくとも銅金属CUaの頂面(つまり図10における銅金属CUaの最上面)から第3の低誘電率膜LOWK3cまでの層が、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により研磨除去される。以上により、図2に示す銅配線やビア配線が形成される。
【0077】
次に、以上に述べた製造方法のうち特に図6、図7に示す各工程についてより詳細に説明する。
【0078】
図6および図7は、3層レジスト(多層レジストLAR1)を用いて配線溝パターンTRCHaを形成する工程を示している。これらの工程は、次の図11〜図15にて説明できる。
【0079】
図11は図6と同じ工程を示すが、以後の説明のために一部において図6と異なる参照符号を付している。
【0080】
図11に示すように、平面視において配線溝パターンTRCHaと同形状となるようにパターニングされた上層レジストARF1aと、中間層レジストMLaと、下層レジストBLaとからなる多層レジストが形成されている。
【0081】
次に、図12を参照して、(配線溝パターンTRCHaの形状となるようにパターニングされた)上層レジストARF1aをマスクとして中間層レジストMLaがパターニングされ、中間層レジストMLbとなる。この処理において上層レジストARF1aも多少エッチングされるために薄くなり、上層レジストARF1bとなる。
【0082】
次に、図13を参照して、(配線溝パターンTRCHaの形状となるようにパターニングされた)中間層レジストMLbをマスクとして、下層レジストBLaがパターニングされ、下層レジストBLbとなる。
【0083】
この際に、上層レジストARF1bは下層レジストBLaのエッチングとともにエッチングされて除去される。これは上層レジストARF1bと下層レジストBLaとはともに有機材料からなり、両者のエッチング選択比が低いためである。したがって当該処理により、中間層レジストMLbが最上面に露出される。
【0084】
次に、図14を参照して、(配線溝パターンTRCHaの形状となるようにパターニングされた)下層レジストBLbをマスクとして、マスク用膜SIO2bがパターニングされ、マスク用膜SIO2cとなる。
【0085】
この際に、中間層レジストMLbはマスク用膜SIO2bのエッチングとともにエッチングされて除去される。これは中間層レジストMLbとマスク用膜SIO2bとはともにSiO2系の材料からなり、両者のエッチング選択比が低いためである。
【0086】
配線溝パターンTRCHaと同様に上記の図4のビア穴パターンVIAaを形成すれば、図4に示すようにビア穴パターンVIAaの形成により多層レジストLAR2の上層レジストARF2および中間層レジストMLが除去される。
【0087】
マスク用膜SIO2bがパターニングされる工程においては、最終的にはマスク用膜SIO2bから図14のマスク用膜SIO2cを経て、図15のマスク層SIO2dとなる。つまり図15に示すように、マスク層SIO2dが形成されることにより、配線溝パターンTRCHbの底面には第3の低誘電率膜LOWK3bが露出される。
【0088】
したがって、マスク用膜SIO2b、SIO2cがエッチングされて第3の低誘電率膜LOWK3bを露出させる工程は、2つの工程に分かれる。具体的には、第1のガスを用いて、マスク用膜SIO2bがマスク用膜SIO2cとなるようエッチングされつつ、中間層レジストMLbが除去され、下層レジストBLbが最上面となるよう露出される第1の工程と、上記第1のガスとは異なる第2のガスを用いてマスク用膜SIO2cの一部を除去して第3の低誘電率膜LOWK3bを露出させる第2の工程とである。
【0089】
つまり図14は上記の第1の工程を表わし、図15は上記の第2の工程を表わす。
上記第1の工程のエッチングに用いる第1のガスは、たとえばCF4やCHF3など、比較的炭素比率の低いフロロカーボンガスを有するエッチャントガスであることが好ましい。より具体的には、たとえばCF4/CHF3/N2/Arの混合ガスである。
【0090】
このエッチャントガスを用いれば、中間層レジストMLbやマスク用膜SIO2bのSiO2材料と、その下の低誘電率膜とのエッチング選択比が低くなる。これは低誘電率膜はSiOCH系の材料からなり、SiO2と類似した組成を有するためである。
【0091】
このため、マスク用膜SIO2bの下の第3の低誘電率膜LOWK3bがエッチングされないように、第3の低誘電率膜LOWK3bが露出する前にエッチングを終えることが好ましい。
【0092】
また、上記第1のガスは、SiO2系の材料と同時に、ビア穴パターンVIAaの内部の埋め込み材料(有機材料ORM)の一部もエッチングされることがより好ましい。
【0093】
一方、上記第2の工程のエッチングに用いる第2のガスとしては、たとえばC48、C46、C58など、上記第1のガスよりも炭素比率の高いフロロカーボンガスを有するエッチャントガスを用いることが好ましい。
【0094】
このエッチャントガスを用いれば、マスク用膜SIO2bのSiO2材料と、その下の低誘電率膜とのエッチング選択比が高くなる。これは、マスク用膜SIO2b中と低誘電率膜中との、炭素原子や水素原子の含有量が異なるためである。このため、SiO2材料とその下の第3の低誘電率膜LOWK3bとの高選択比が得られる。
【0095】
言い換えれば、マスク用膜がSiO2(シリコン酸化膜)からなる場合、第2のガスによる、マスク用膜SIO2b、SIO2cの、第3の低誘電率膜LOWK3bに対するエッチング選択比は、第1のガスによる、マスク用膜SIO2b、SIO2cの、第3の低誘電率膜LOWK3bに対するエッチング選択比よりも高いことが好ましい。
【0096】
ただしマスク用膜に用いる絶縁層としては、SiO2の代わりに、たとえばSiOやTEOS(テトラエトキシシラン)、あるいは上述したFSGなどのシリコン酸化膜を用いてもよい。
【0097】
したがってマスク層SIO2dがすべてエッチングされ図15の配線溝パターンTRCHbの態様となり、配線溝パターンTRCHbの底面に第3の低誘電率膜LOWK3bが露出されても、第3の低誘電率膜LOWK3bはエッチングされない。
【0098】
なお上記の工程においては、第1のガス、第2のガスともに、上記のガスに、たとえばAr(アルゴン)、He(ヘリウム)、Xe(キセノン)などの希ガスや、酸素、窒素、水素などのガスを添加してもよい。
【0099】
つまり本工程でマスク層SIO2dをエッチングし、第3の低誘電率膜LOWK3bでエッチングをストップさせることにより、エッチング量のばらつきに起因する、配線溝パターンTRCHbの深さのばらつきを抑制することができる。配線溝パターンTRCHbの底面は第3の低誘電率膜LOWK3bの上面(より好ましくは最上面)となるため、配線溝パターンTRCHbの深さがほぼ一定となるためである。
【0100】
したがって最終的に形成される配線溝TRCH(図9参照)の深さのばらつきも抑制される。すると当該配線の電気抵抗がばらつき、当該配線に流れる電流量がばらつくなどの、信頼性の低下に繋がる不具合の発生が抑制される。
【0101】
なお、図15は図7と同じ工程を示す。以下、図16は図8と同じ工程を、図17は図9と同じ工程を示すが、上記図11〜図15の説明に伴い、一部の参照符号がそれぞれ対応する図と異なっている。
【0102】
ここで、以上に述べた本実施の形態の製造方法に対する比較例としての、従来から行なわれている、図2と同様の多層配線構造の製造方法を以下に説明する。
【0103】
従来の製造方法においては、図11(図6)に示すように、配線溝パターンを形成するための多層レジストが形成され、図13に示すように上層レジストが除去されつつ下層レジストBLbが配線溝パターンの形状となるようパターニングされた後に、図18に示すように、下層レジストBLbの配線溝パターンを用いてその下のマスク用膜、第3の低誘電率膜、第2の低誘電率膜が一遍にエッチングされる。このようにして配線溝パターンTRCHaが形成され、その他それぞれマスク層SIO2c、第3の低誘電率膜LOWK3、第2の低誘電率膜LOWK2bとなる。埋め込みの有機材料も一部がエッチングされて有機材料ORMbとなっている。
【0104】
なお、図18のエッチングにおいては、たとえばCF4やCHF3などのフロロカーボンガスを有するガスが用いられる。このようにすれば、上述したようにCF4やCHF3などを含むガスは、マスク層SIO2cのSiO2材料と、その下の低誘電率膜とのエッチング選択比が低いため、マスク層、第3の低誘電率膜、第2の低誘電率膜が一遍にエッチングされる。
【0105】
このような処理をすれば、たとえば形成される配線溝パターンTRCHaの底面が第2の低誘電率膜LOWK2bとなるようにエッチングする深さを制御しても、形成される配線溝パターンTRCHaの深さ(厚み)は、複数の当該配線溝パターンTRCHa間、複数のSi基板間、あるいは積層構造の最表面上の領域間でばらつきが大きくなる。
【0106】
次に図19を参照して、(図8や図16と同様に)下層レジストBLbを除去するためのアッシングがなされる。ここで、図18において配線溝パターンTRCHaの底面や側壁部には第2の低誘電率膜LOWK2bが露出されている。低誘電率膜はアッシングによりダメージを受けやすいため、配線溝パターンTRCHaの(第2の低誘電率膜LOWK2bの)底面や側壁部がダメージを受け、低誘電率膜の誘電率の増加やリーク電流の増加などの不具合が発生する可能性がある。
【0107】
次に図20を参照して、マスク層SIO2cをマスクとして、(図9や図17と同様に)配線溝パターンTRCHaがエッチングされることにより、配線溝TRCHやビア穴VIAが形成される。
【0108】
以下は本実施の形態の製造方法と同様に、配線溝TRCHやビア穴VIAの内部への銅金属の充填などが行なわれる。
【0109】
以上に述べた比較例と、本実施の形態とを比較しながら、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0110】
上述したように、比較例に示す製造方法では、図18の工程において、形成される配線溝パターンTRCHaの深さ(厚み)にばらつきが発生する。これは第2の低誘電率膜LOWK2bや第3の低誘電率膜LOWK3は、マスク層SIO2cよりもエッチング速度が速いためである。
【0111】
つまりマスク層SIO2cを形成する段階でエッチング速度が少しでもばらついていれば、続く第2の低誘電率膜LOWK2bや第3の低誘電率膜LOWK3を形成する段階ではこのばらつきが配線溝パターンTRCHa全体の深さのばらつきとして顕著に現れる。
【0112】
この深さのばらつきは、図20の工程において形成される配線溝TRCHにおいてさらに顕著に現れる。すると当該配線溝TRCHから形成される銅配線の深さのばらつきによる電気特性が低下する可能性が高くなる。
【0113】
しかし本実施の形態では、上述したように、図7(図15)において形成される配線溝パターンTRCHa(TRCHb)の深さのばらつきが小さくなる。このため図9(図17)において最終的に形成される配線溝TRCHの深さのばらつきも小さくなる。したがって配線の電気抵抗のばらつきや電流量のばらつきなどの電気特性の劣化を抑制することができる。
【0114】
なお上記の配線溝TRCHの深さのばらつきを小さくする効果は、本実施の形態のように、第2の低誘電率膜LOWK2中に配線溝を形成するためのストッパー膜を持たない構造、あるいは当該第2の低誘電率膜LOWK2を、2層以上の複数の層が積層された構造としていない、単層の構造としている場合において、特に顕著である。
【0115】
さらに本実施の形態においては、図10の銅金属CUaの頂面から第3の低誘電率膜LOWK3cまでの層が、CMPにより研磨除去される。
【0116】
通常、図10の第3の低誘電率膜LOWK3c、マスク層SIO2d、およびその上部の銅金属CUaの合計の厚み分の銅をCMPで研磨すれば、研磨量が多くなるために、形成される銅配線などの厚みのばらつきが大きくなる。特に低誘電率膜LOWK3cなどの誘電率が低いほど、当該膜の密度が低下するために、CMPの研磨レートが増加することにより、研磨量のばらつきが顕著に増加する。
【0117】
しかし本実施の形態では、配線溝TRCHの深さのばらつきが抑制されているため、上記のCMP処理を行なった後における最終的な配線溝TRCH(銅配線)の厚みのばらつきを小さくすることができる。
【0118】
したがって以上のようにCMPの際に第3の低誘電率膜LOWK3cを除去すれば、図2のように第3の低誘電率膜よりも誘電率の低い第2の低誘電率膜LOWK2のみが残る態様となるため、当該多層配線全体の実効誘電率をさらに小さくすることができる。つまりRC遅延の発生をより確実に抑制することができる。
【0119】
ところで本実施の形態のように、配線溝パターンTRCHa(マスク層SIO2c(SIO2d))を形成する段階でその下の低誘電率膜をエッチングしない場合、上述した第2の工程のみ行なえば、低誘電率膜のエッチングを抑制することができるものの、低誘電率膜とのエッチング選択比が低い中間層レジストのエッチングも困難になる。
【0120】
このため、マスク層SIO2c(SIO2d)を用いて配線溝TRCHやビア穴VIAを形成するエッチングの際に、当該マスク層の上部に元々存在した中間層レジストの一部がエッチングされずに残渣として残る可能性がある。
【0121】
このように中間層レジストが完全に除去されない状態で後工程を行なえば、当該中間層レジストの残渣がマスクとなり、形成されるパターンの形状異常を起こす可能性がある。これは上層レジストや下層レジストなどの有機材料からなるレジストは、アッシングにより除去できるものの、中間層レジストのようなSiO2系の材料からなる薄膜は、アッシングにより除去できないからである。したがって、中間層レジストは完全に除去することが好ましい。
【0122】
このため本実施の形態においては、配線溝パターンTRCHa(マスク層)を形成する工程を、上記のように第1の工程と第2の工程とに分けている。そして低誘電率膜をストッパ膜として深さが精密に制御された配線溝パターンTRCHaが形成される第2の工程に先立って、第1の工程においてマスク用膜(マスク層)の一部と同時に中間層レジストが完全に除去される。
【0123】
このように配線溝パターンTRCHa(マスク層)を形成する工程が第1の工程と第2の工程とに分かれているため、中間層レジストが完全に除去された状態で、深さの精密に制御された配線溝パターンTRCHaを形成することができる。
【0124】
また、本実施の形態においては図19の比較例と異なり、図8(図16)に示すように、下層レジストBLb(BLc)のアッシング処理の際には配線溝パターンTRCHaの底面や内壁部に第2の低誘電率膜LOWK2bが露出されていない。このためアッシング時のプラズマにより、配線溝パターンTRCHaの底面や内壁部がダメージを受けることを抑制することができる。このため、当該配線溝パターンTRCHaの近傍において実効誘電率が増加してRC遅延が増加したり、配線溝パターンTRCHaから形成される銅配線などのリーク電流が増加したりなどの不具合を抑制することができる。
【0125】
なお図8(図16)に示すように本実施の形態のアッシング処理時においても、配線溝パターンTRCHaの底面が第3の低誘電率膜LOWK3bとなっている。しかし第3の低誘電率膜の誘電率は第2の低誘電率膜の誘電率よりも高い。このため第3の低誘電率膜は第2の低誘電率膜よりも、プラズマによるダメージを受ける可能性が低い。またたとえプラズマにより第3の低誘電率膜がダメージを受けたとしても、本実施の形態においては図10の第3の低誘電率膜LOWK3cがCMPにより研磨除去されるため、性能上特に問題はない。
【0126】
また本実施の形態のアッシング処理時における配線溝パターンTRCHaは、内壁部が第2の低誘電率膜LOWK2bで覆われていない(図7参照)。したがって本実施の形態の配線溝パターンTRCHaは、比較例の配線溝パターンTRCHaよりも、第2の低誘電率膜LOWK2bがアッシング時のダメージを受けることを抑制することができる。
【0127】
以上より、本実施の形態によれば、形成される配線の電気特性をより向上、安定させることができるといえる。
【0128】
また、下層レジストBLaと、中間層レジストMLと、上層レジストARF1とがこの順で積層された構成を有する多層レジストLAR1を用いて配線溝パターンTRCHaが形成される。このため、配線溝TRCHの形成時のエッチング量(エッチング深さ)が増加する場合においても、エッチング量がばらつくことが抑制され、高精度にエッチング処理を行なうことができる。
【0129】
さらに、本実施の形態では製造方法にて、マスク用膜SIO2aを形成した後にビア穴パターンVIAaを形成している。このようにすることにより、マスク用膜SIO2aから形成されるマスク層SIO2c、SIO2dの平面視における位置精度を高めることができる。
【0130】
具体的には、たとえば仮に、ビア穴パターンの形成後にマスク用膜を形成する場合、その後形成されるマスク層は、ビア穴パターンの内部において一部マスク用膜がエッチングにより除去されない領域(たとえば図6における右側の上層レジストARF1の左端から、ビア穴パターンVIAaの右端までの間の、左右方向に延びる領域)が現れる。すなわち当該マスク層の平面視における位置(形状)不良が発生する可能性がある。本実施の形態の製造方法の手順に従えば、上記のような位置(形状)不良が発生することを抑制することができる。
【0131】
(実施の形態2)
本実施の形態は、実施の形態1と比較して、最終のCMPにおいて除去する領域において異なっている。以下、本実施の形態の製造方法について説明する。
【0132】
図21を図2と比較して、図21においては、図2において(CMPにより)除去されている第3の低誘電率膜LOWK3が除去されていない。つまりCMPにおいては銅金属CUa(図10参照)の頂面からマスク層SIO2dまでの層が除去されている。
【0133】
なお、本実施の形態の構成は、上記以外は実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、その説明を繰り返さない。
【0134】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
たとえば実施の形態1のように、CMPにより第3の低誘電率膜を除去すれば、図2に示すようにその下の第2の低誘電率膜LOWK2が最上面として露出される。第2の低誘電率膜LOWK2は第3の低誘電率膜に比べて誘電率が低いため、アッシングやエッチングによるダメージを受けやすい。
【0135】
しかし本実施の形態のように、第3の低誘電率膜LOWK3を残すことにより、上記のようなダメージの発生を抑制することができる。
【0136】
また、第3の低誘電率膜LOWK3を研磨しないため、CMPによる研磨量が減少する。このため第3の低誘電率膜LOWK3を研磨する場合に比べて、研磨量(研磨する厚み)のばらつきに起因する、最終的に形成される配線の厚みのばらつきをより小さくすることができる。したがって、形成される配線の電気特性をより安定にすることができる。
【0137】
本発明の実施の形態2は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態2について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0138】
(実施の形態3)
本実施の形態は、実施の形態1と比較して、マスク層(マスク用膜)の構成において異なっている。以下、本実施の形態の製造方法について説明する。
【0139】
図22は、実施の形態1の図3と比較して、マスク層となるべき膜としてのマスク用膜MTLaが、SiO2系の材料ではなく金属膜である点において異なっている。このようにマスク用膜として、絶縁層の代わりに金属膜を用いてもよい。
【0140】
マスク用膜MTLaとしては、たとえばTiNやTaNからなる金属膜を用いることが好ましい。またその厚みは15nm以上40nm以下とすることが好ましい。つまりマスク用膜MTLaは、マスク用膜SIO2aよりも薄く形成することが好ましい。マスク用膜MTLaはたとえばCVD法やスパッタリング法にて形成されることが好ましい。
【0141】
図23において、図4と同様にビア穴パターンVIAaが形成され、マスク用膜MTLbとなる。このとき、中間層レジストMLや低誘電率膜をエッチングするガスは、中間層レジストMLなどと、金属膜であるマスク用膜MTLaとのエッチング選択比が非常に高い。このため、後述する配線溝パターンの形成方法と同様に、中間層レジストMLや低誘電率膜をエッチングする工程と、マスク用膜MTLaをエッチングする工程とに分けて処理することが好ましい。
【0142】
また、特に、ビア穴パターンVIAaの形成における第3の低誘電率膜LOWK3aや第2の低誘電率膜LOWK2aをエッチングする工程においては、マスク用膜MTLaのエッチングがなされてマスク用膜MTLbとなった後、マスク用膜MTLbをマスクとして低誘電率膜LOWK2aがエッチングされてもよい。
【0143】
次に図24に示す、多層レジストLAR2のアッシングによる除去や有機材料ORMの充填、図25に示す配線溝パターン形成のための第1のレジストマスクとしての多層レジストLAR1の形成がなされる。
【0144】
次に図26に示すように、第3の低誘電率膜LOWK3bが露出するように多層レジストLAR1がエッチングされ、マスク用膜MTLbには、底面が第3の低誘電率膜LOWK3b表面により構成される配線溝パターンTRCHaが形成される。そしてマスク用膜MTLbはマスク層MTLcとなる。
【0145】
そして図27に示すように、下層レジストBLbのアッシングによる除去がなされた後、図28に示すようにマスク層MTLcをマスクとして配線溝TRCHやビア穴VIAが形成される。その後の図29の銅金属CUaの充填は、図10と同様である。
【0146】
以上に述べた製造方法のうち特に図25、図26に示す、多層レジストLAR1を用いて配線溝パターンTRCHaを形成する各工程についてより詳細に説明したものが図30〜図35である。図30〜図35においては一部、説明の都合上、参照符号が図22〜図29と異なる場合がある。また図30〜図35においては図を見やすくするため、マスク用膜(マスク層)を、上記の図22〜図29よりも厚く図示している。なお図30は図25と同じ工程を示す。
【0147】
図31においては実施の形態1の図12と同様に中間層レジストMLbが形成され、図32においては実施の形態1の図13と同様に下層レジストBLbが形成されるとともに、上層レジストARF1bが除去される。
【0148】
次に、図33を参照して、(配線溝パターンTRCHaの形状となるようにパターニングされた)下層レジストBLbをマスクとして、マスク用膜MTLbがパターニングされ、マスク用膜MTLcとなる。
【0149】
この工程は実施の形態1の図14の工程(第1の工程)に対応するが、中間層レジストMLbがSiO2系の材料からなるのに対し、マスク用膜MTLbは金属膜からなるため、両者のエッチング選択比が非常に高い。具体的には、中間層レジストMLbとマスク用膜MTLbとのエッチング選択比は10以上である。
【0150】
したがって図33においてはマスク用膜が多少エッチングされてマスク用膜MTLcとなるように図示されているが、実際にはマスク用膜はほとんどエッチングされない。この点において実施の形態1と異なる。
【0151】
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、マスク用膜MTLbがパターニングされる工程においては、最終的にはマスク用膜MTLbから図33のマスク用膜MTLcを経て、図34のマスク層MTLdとなる。配線溝パターンTRCHbの底面には第3の低誘電率膜LOWK3bが露出される。
【0152】
このようにマスク層MTLd(配線溝パターンTRCHb)を形成する工程は、2つの工程に分かれる。具体的には、第1のガスを用いて、マスク用膜MTLbのごく一部がマスク用膜MTLcとなるようエッチングされつつ、中間層レジストMLbが除去され、下層レジストBLbが最上面となるよう露出される第1の工程と、上記第1のガスとは異なる第2のガスを用いてマスク用膜MTLcの一部を除去して第3の低誘電率膜LOWK3bを露出させる第2の工程とである。
【0153】
つまり図33は上記の第1の工程を表わし、図34は上記の第2の工程を表わす。
上記第1の工程のエッチングに用いる第1のガスは、たとえばCF4やCHF3など、比較的炭素比率の低いフロロカーボンガスを有するエッチャントガスであることが好ましい。より具体的には、たとえばCF4/CHF3/N2/Arの混合ガスである。
【0154】
上記の工程において、中間層レジストMLbが完全に除去されることが好ましい。上記のように、中間層レジストMLbの残渣は後工程においてマスクとして機能し、形成されるパターンの形状不良をもたらすことがあるためである。
【0155】
一方、上記第2の工程のエッチングに用いる第2のガスとしては、たとえばCl2、BCl3、HBrなどの、塩素または臭素を含むハロゲン系ガスを用いることが好ましい。このエッチャントガスを用いれば、金属膜であるマスク用膜MTLcと、その下の低誘電率膜とのエッチング選択比が高くなる。このため、金属材料とその下の第3の低誘電率膜LOWK3bとの高選択比が得られる。
【0156】
なお上記の工程においては、第1のガス、第2のガスともに、上記のガスに、たとえばAr(アルゴン)、He(ヘリウム)、Xe(キセノン)などの希ガスや、酸素、窒素、水素などのガスを添加してもよい。
【0157】
なお図35は、図27と同様の、アッシングによる下層レジストBLbの除去の工程を示す。
【0158】
なお、本実施の形態の構成は、上記以外は実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、その説明を繰り返さない。また本実施の形態においても、実施の形態2と同様に、CMPにおいて第3の低誘電率膜を除去しなくてもよい。
【0159】
以下に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態は、実施の形態1の効果である、配線溝の深さのばらつきの抑制や、配線溝の内表面のアッシングダメージの抑制による、電気特性の安定のほかに、以下の効果を有する。
【0160】
本実施の形態のように、絶縁層の代わりに金属膜からなるマスク層を用いれば、中間層レジストMLbを除去する処理(第1の工程)時にマスク用膜MTLbがほとんどエッチングされない。また、マスク層MTLcを用いた配線溝TRCHやビア穴VIAの形成工程(図28)においても、第2の低誘電率膜LOWK2cなどとマスク層MTLcとの選択比が高いため、マスク層MTLcはほとんどエッチングされず、その厚みはほとんど変化しない。これは第2の低誘電率膜LOWK2cや拡散防止膜ADFaと、マスク層MTLcとのエッチングの選択比は非常に高い(約30以上)であるためである。
【0161】
これに対して実施の形態1のようにSiO2などの絶縁層をマスク層に用いた場合は、たとえばこれをマスクとして配線溝TRCHやビア穴VIAの形成工程(図9)において低誘電率膜と同時にマスク層がエッチングされることがある。つまりマスク層が肩落ちすることにより、形成される配線溝TRCHやビア穴VIAの寸法や形状の異常が発生する可能性がある。これはマスク層と低誘電率膜とのエッチングの選択比が低いためである。
【0162】
つまり金属膜のマスク層を用いれば、後工程において当該マスク層をマスクとして処理を行なう際に当該マスク層が変形することが抑制される。したがって形成される配線溝TRCHやビア穴VIA、およびこれらを用いた銅配線の電気特性をより安定させることができる。
【0163】
なお、金属膜のマスク層は、上記のように低誘電率膜などとともにエッチングされることが少ない。このため、絶縁層(SiO2)のマスク層に比べて薄くすることができる。
【0164】
本発明の実施の形態3は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態3について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0165】
(実施の形態4)
本実施の形態は、実施の形態1と比較して、パターンを形成する順序において異なっている。以下、本実施の形態の製造方法について説明する。
【0166】
実施の形態1〜実施の形態3においては、たとえば図3〜図4に示すように、まず第2のレジストマスク(多層レジストLAR2)を用いてビア穴パターンVIAaが形成され、その後図6〜図7に示すように、第1のレジストマスク(多層レジストLAR1)を用いて配線溝パターンTRCHaが形成される。
【0167】
これに対して実施の形態4においては、まず第1のレジストマスク(多層レジストLAR1)を用いて配線溝パターンTRCHaが形成された後、第2のレジストマスク(多層レジストLAR2)を用いてビア穴パターンVIAaが形成される。このように多層配線構造を形成する際の各工程の実施順序を変更してもよい。
【0168】
具体的には、まず図36に示すように、図3と同様の第1の低誘電率膜LOWK1a、拡散防止膜ADFa、第2の低誘電率膜LOWK2a、第3の低誘電率膜LOWK3a、マスク用膜SiO2aが形成された積層構造の、マスク用膜SIO2a上に、第1のレジストマスク(多層レジストLAR1)が塗布される。そして図6と同様に上層レジストARF1のみ、平面視における配線溝パターンと同じ領域が、写真製版技術としての露光および現像によりパターニングされる。
【0169】
つまり図36に示す工程は、図3に示す工程に対して、多層レジストLAR2の代わりに多層レジストLAR1が形成され、上層レジストARF1のうち平面視において配線溝パターンと同じ領域がパターニングされる点において異なる。
【0170】
次に図37を参照して、図36のように上層レジストARF1にのみ形成したパターンをマスクとして多層レジストLAR1およびマスク用膜SIO2bがエッチングされる。このようにして図37に示す配線溝パターンTRCHaが形成される。
【0171】
図37の工程は図7の工程と同様の処理である。つまりここでも、上述した図11〜図15と同様の手順により処理されることが好ましい。したがって当該処理により、マスク用膜SIO2aがエッチングされてマスク層SIO2bが形成される。配線溝パターンTRCHaの形成により第3の低誘電率膜LOWK3aが最上面に露出される。
【0172】
次に図38に示すように、図8と同様に、アッシング処理により下層レジストBLbが除去される。
【0173】
以上のように多層レジストLAR1(第1のレジストマスク)が除去された後、図39に示すように、多層レジストLAR2(第2のレジストマスク)が形成され、図40に示すビア穴パターンVIAaが形成される。
【0174】
具体的には、図39および図40を参照して、まず図3と同様に、上層レジストARF2のみ、平面視におけるビア穴パターンと同じ領域がパターニングされる。そして図4と同様に、上層レジストARF2のパターンをマスクとして、第1の低誘電率膜LOWK1aの内部の銅配線CUと平面視において重なる位置に、多層レジストLAR2やマスク層SIO2bから、図の下方向に延長して拡散防止膜ADFa上に達するように貫通するビア穴パターンVIAaが形成される。
【0175】
また、上述したビア穴パターンVIAaを形成するエッチングには、たとえばC48/N2/Arなどの混合ガスを用いることが好ましい。
【0176】
次に図41を参照して、ビア穴パターンVIAaを形成するために用いる第2のレジスト(下層レジストBLb)がアッシング処理により除去される。ここで配線溝パターンTRCHaのうち、平面視においてビア穴パターンVIAaを除く領域については、その底面が第3の低誘電率膜LOWK3bとなる(第3の低誘電率膜LOWK3bが露出される)。
【0177】
次に図42を参照して、図9と同様のエッチング処理により、マスク層SIO2bをマスクとして、配線溝TRCHおよびビア穴VIAが形成される。マスク層SIO2bも
その後の工程は実施の形態1の図10と同様であり、最終的に図2と同様の多層配線構造が形成される。なお、本実施の形態においても、実施の形態2と同様に、CMPにおいて第3の低誘電率膜を除去しなくてもよい。
【0178】
本実施の形態の構成は、上記以外は実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、その説明を繰り返さない。
【0179】
以下に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態は、実施の形態1の効果である、配線溝の深さのばらつきの抑制や、配線溝の内表面のアッシングダメージの抑制による、電気特性の安定のほかに、以下の効果を有する。
【0180】
本実施の形態においては、ビア穴パターンVIAaに先立って配線溝パターンTRCHaが形成される。その配線溝パターンTRCHaはその底面が第3の低誘電率膜LOWK3aにより構成される。
【0181】
その後、ビア穴パターンVIAaが形成され、さらにその後に配線溝パターンTRCHaやビア穴パターンVIAaがエッチングされて配線溝TRCHやビア穴VIAが形成されるまで、配線溝パターンTRCHaの内壁部や底面が第2の低誘電率膜LOWK2bが露出されていない。このため、第1のレジストマスクおよび第2のレジストマスク(下層レジストBLb)のアッシング時のプラズマにより、配線溝パターンTRCHaの底面や内壁部がダメージを受けることを抑制することができる。
【0182】
また本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、配線溝パターンTRCHaの深さのばらつきが抑制される。これは配線溝パターンTRCHaを形成するエッチングの際に、第3の低誘電率膜で当該エッチングをストップさせることにより、エッチング量のばらつきに起因する、配線溝パターンTRCHaの深さのばらつきを抑制することができるためである。
【0183】
本発明の実施の形態4は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態4について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0184】
(実施の形態5)
本実施の形態は、実施の形態3と比較して、第1のレジストマスク(配線溝パターンを形成するためのレジストマスク)において異なっている。以下、本実施の形態の製造方法について説明する。
【0185】
実施の形態1〜実施の形態4においては、すべて第1のレジストマスク、第2のレジストマスクともに、たとえば下層レジストと中間層レジストと上層レジストとの3層からなる多層レジストLAR1、LAR2が用いられる。これは本発明のように、微細化された多層配線構造を形成する場合、特にSiO2からなるマスク用膜をエッチングしてマスク層を形成する際に1層からなる単層レジストを用いれば、当該マスク用膜が厚ければ、当該エッチングが完了する前にレジストが除去されるために、所望の処理が困難になる可能性があるためである。
【0186】
複数の層が積層された多層レジストを用いることにより、レジストのトータルの厚みが厚くなりレジストの耐性が向上するため、厚い薄膜のエッチングが容易となる。また上記の各実施の形態のように多層レジストを構成する各層が異なる材質からなる場合に、各層が異なる機能を有することにより、マスク用膜のエッチングをより精密に制御することができる。
【0187】
さらに多層レジストを用いれば、写真製版技術を用いたエッチングの際に、当該多層レジストの下部からの光の反射をより容易に抑制することができる。
【0188】
しかし上記のように、金属膜からなるマスク用膜はSiO2からなるマスク層膜に比べて薄い。またレジストと金属膜からなるマスク用膜とのエッチング選択比は、レジストとSiO2からなるマスク用膜とのエッチング選択比よりも高い。このため金属膜からなるマスク用膜のエッチング時には単層レジストを用いてもよい。
【0189】
具体的には、たとえば実施の形態3と同様に、ビア穴パターンVIAaを配線溝パターンTRCHaよりも先に形成する場合、まず図43〜図45を参照して、ビア穴パターンVIAaを形成する。図43〜図45は、図22〜図24と同様の手順を示す。
【0190】
この場合、ビア穴パターンVIAaの形成には多層レジストLAR2を用いることになる。しかしビア穴パターンVIAaの形成にも次に述べる単層レジストを用いてもよい。
【0191】
ただし単層レジストを用いてビア穴パターンVIAaを形成する場合には、特に第2の低誘電率膜LOWK2aや第3の低誘電率膜LOWK3aの膜厚が大きい場合に、これらの低誘電率膜のエッチング量が多くなるために、単層レジストのエッチング耐性が不足する可能性がある。つまり低誘電率膜のエッチングが完了する前に単層レジストが劣化したり消滅する可能性がある。
【0192】
このような場合、形成されるビア穴パターンVIAaの延在方向に交差する穴の径が異常に大きくなるなどの形状不良が発生する可能性がある。このような場合にはビア穴パターンVIAaの形成には多層レジストを用いることが好ましい。このようにすれば、上記のような形状不良の発生が抑制される。
【0193】
またマスク用膜MTLaが、ビア穴パターンVIAaと配線溝パターンTRCHaとの両方を第2の低誘電率膜LOWK2および第3の低誘電率膜LOWK3に形成するためのハードマスクとして用いられることもある。この場合、ビア穴パターンVIAaが第2の低誘電率膜LOWK2や第3の低誘電率膜LOWK3に形成された後、配線溝パターンTRCHaが第2の低誘電率膜LOWK2や第3の低誘電率膜LOWK3に形成される。しかしビア穴パターンVIAaの形成時に厚い第2の低誘電率膜LOWK2を貫通する必要があるため、ビア穴パターンVIAaの形成の途中でマスク用膜MTLaがエッチングされ、マスク用膜MTLaとしての形状を保つことができず、その結果形成されるビア穴パターンVIAaの形状に影響を及ぼす可能性がある。
【0194】
図45のようにビア穴パターンVIAaが形成され、多層レジストLAR2が除去されたところで、次に図46を参照して、マスク用膜MTLb上に第1のレジストマスクとしての単層レジストSIR1aが形成される。
【0195】
単層レジストSIR1aは、露光および現像処理が施され感光性を有するレジスト材料からなるレジスト層としての上層レジストARF1aと、有機材料からなる反射防止膜BARCaとの積層構造である。
【0196】
反射防止膜BARCaは塗布により形成されるものであってもよいし、たとえばCVD法により成膜されるものであってもよい。反射防止膜BARCaを設けることにより、多層レジストに比べてレジストの下部からの光が反射しやすい単層レジストにおいて、上記反射を効率的に抑制することができる。
【0197】
しかし単層レジストSIR1aが形成される下地の構造により、反射防止膜BARCaを構成せず、上層レジストARF1aのみからなる単層レジストSIR1aとしてもよい場合もある。上層レジストARF1aはたとえば実施の形態3などにおける上層レジストARF1と同様の、有機材料(第1有機膜)からなる、一般公知のレジストである。
【0198】
そして図46に示すように、図25と同様に上層レジストARF1aのみ、平面視における配線溝パターンと同じ領域が、写真製版技術としての露光および現像によりパターニングされる。
【0199】
次に図47を参照して、上層レジストARF1aをマスクとして反射防止膜BARCaおよびマスク用膜MTLbがエッチングされ、それぞれ反射防止膜BARCbおよびマスク層MTLcとなる。また上層レジストARF1aは上層レジストARF1bとなる。
【0200】
このようにして図47に示す配線溝パターンTRCHaが形成される。また上層レジストARF1aは上層レジストARF1bになり、反射防止膜BARCaは反射防止膜BARCbとなる。
【0201】
このとき、第3の低誘電率膜LOWK3bが露出するように単層レジストSIR1bがエッチングされ、マスク用膜MTLbには、底面が第3の低誘電率膜LOWK3b表面により構成される配線溝パターンTRCHaが形成されることが好ましい。
【0202】
図47の工程でのエッチングでは、たとえば反射防止膜BARCaは、たとえば実施の形態3の図34の工程における第2のガスと同様に、Cl2、BCl3、HBrなどの、塩素または臭素を含むハロゲン系ガスをエッチャントガスとして用いることが好ましい。この場合、反射防止膜BARCaの直下のマスク用膜MTLbのエッチングにおいても、引き続き上記と同じハロゲン系ガスをエッチャントガスとして処理がなされることが好ましい。
【0203】
ただし、たとえば反射防止膜BARCaは実施の形態3の図33の工程における第1のガスと同様に、たとえばCF4やCHF3など、比較的炭素比率の低いフロロカーボンガスを有するエッチャントガス(CF4/CHF3/N2/Arの混合ガスなど)を用いたエッチングがなされ、マスク用膜MTLbは上記のハロゲン系ガスをエッチャントガスとして処理がなされてもよい。
【0204】
またここで、上記のいずれのエッチャントガスにおいても、上記のガスに、たとえばAr(アルゴン)、He(ヘリウム)、Xe(キセノン)などの希ガスや、酸素、窒素、水素などのガスを添加してもよい。
【0205】
図48を参照して、次に、上記単層レジストSIR1bのアッシング処理がなされ、その後、図49を参照して、マスク層MTLcをマスクとした配線溝TRCHやビア穴VIAの形成がなされる。これらの処理はそれぞれ図27および図28と同様である。
【0206】
以下、上記マスク層MTLcをマスクとして配線溝やビア穴のパターニングがなされ、銅配線CUが形成されCMPがなされる工程については、実施の形態3の、特に図28〜図29と同様の処理によりなされる。このため、ここでは記載を省略する。
【0207】
以上の手順により、図2の多層配線構造が形成される。
なお、単層レジストSIR1aを用いてビア穴パターンを形成する場合においても、上記の配線溝パターンTRCHaを形成する際と同様のエッチャントガスを用いて同様の処理がなされることが好ましい。
【0208】
ところで単層レジストSIR1aを用いて配線溝パターンやビア穴パターンを形成する際には、図48の工程において、アッシング処理により各パターン形成後の当該単層レジストの除去をすることが好ましい。しかしアッシング以外の方法により単層レジストSIR1bが除去されてもよい。
【0209】
本実施の形態の構成は、上記以外は実施の形態3の構成とほぼ同じであるため、その説明を繰り返さない。また、本実施の形態においても、実施の形態2と同様に、CMPにおいて第3の低誘電率膜を除去しなくてもよい。
【0210】
以下に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態は、実施の形態1の効果である、配線溝の深さのばらつきの抑制や、配線溝の内表面のアッシングダメージの抑制による、電気特性の安定のほかに、以下の効果を有する。
【0211】
上記の単層レジストSIR1aには中間層レジストMLが含まれない。このため単層レジストSIR1a、SIR1bのエッチングによる除去後に中間層レジストMLの残渣が発生し、形成されるパターンの形状不良を引き起こす可能性を低減することができる。単層レジストSIR1a、SIR1bはアッシング処理が容易であることからも、当該レジストの残渣が形成されるパターンの形状不良を引き起こす可能性を低減することができる。
【0212】
また、単層レジストSIR1bの除去にアッシングを用いた場合には、たとえば図48に示す配線溝パターンTRCHaの底面に第3の低誘電率膜LOWK3bが露出する。このため、第2の低誘電率膜LOWK2bがダメージを受けることをより確実に抑制することができる。
【0213】
さらに、単層レジストSIR1bの除去にアッシングを用いない場合には、アッシングに起因する配線溝パターンTRCHaの底面や側壁部のダメージが発生しないため、アッシングのダメージによる不具合を排除することができる。
【0214】
本発明の実施の形態5は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態3と異なる。すなわち、本発明の実施の形態5について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態3に順ずる。
【0215】
(実施の形態6)
本実施の形態は、実施の形態5と比較して、パターンを形成する順序において異なっている。以下、本実施の形態の製造方法について説明する。
【0216】
本実施の形態のように、単層レジストを用いて配線溝パターンTRCHaを形成するにあたり、実施の形態4と同様に、まず第1のレジストマスク(単層レジストSIR1a)を用いて配線溝パターンTRCHaが形成された後、第2のレジストマスク(多層レジストLAR2)を用いてビア穴パターンVIAaが形成されてもよい。
【0217】
具体的には、図50を参照して、実施の形態5と同様の単層レジストSIR1aが形成された状態で、図36と同様に上層レジストARF1aにのみ、平面視における配線溝パターンと同じ領域が、写真製版技術としての露光および現像によりパターニングされる。
【0218】
次に図51を参照して、上層レジストARF1aをマスクとして反射防止膜BARCaおよびマスク用膜MTLaがエッチングされ、それぞれ反射防止膜BARCbおよびマスク層MTLbとなる。このようにして図51に示す配線溝パターンTRCHaが形成される。また上層レジストARF1aは上層レジストARF1bになり、反射防止膜BARCaは反射防止膜BARCbとなる。
【0219】
次に図52に示すように、アッシング処理により、単層レジストSIR1bが除去される。その後、図53に示すように、ビア穴パターンを形成するための多層レジストLAR2(第2のレジストマスク)が形成される。
【0220】
以下、図54〜図56に示すように、図40〜図42と同様の工程が実施されることにより図2の多層配線構造が形成される。このため図示や説明を省略する。
【0221】
なおここでもビア穴パターンの形成の際に、図53に示す多層レジストLAR2の代わりに、単層レジストSIR1aを用いてもよい。この場合、上記の配線溝パターンTRCHaを形成する際と同様のエッチャントガスを用いて同様の処理がなされることが好ましい。
【0222】
また単層レジストSIR1aを用いて配線溝パターンやビア穴パターンを形成する際には、図52の工程において、アッシング処理により各パターン形成後の当該単層レジストの除去をすることが好ましい。しかしアッシング以外の方法により単層レジストSIR1bが除去されてもよい。
【0223】
本実施の形態の構成は、上記以外は実施の形態3の構成とほぼ同じであるため、その説明を繰り返さない。なお、本実施の形態においても、実施の形態2と同様に、CMPにおいて第3の低誘電率膜を除去しなくてもよい。
【0224】
以下に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態は、実施の形態1の効果である、配線溝の深さのばらつきの抑制や、配線溝の内表面のアッシングダメージの抑制による、電気特性の安定のほかに、以下の効果を有する。
【0225】
本実施の形態においては、ビア穴パターンVIAaに先立って配線溝パターンTRCHaが形成される。その配線溝パターンTRCHaはその底面が第3の低誘電率膜LOWK3aにより構成される。
【0226】
その後、ビア穴パターンVIAaが形成され、さらにその後に配線溝パターンTRCHaやビア穴パターンVIAaがエッチングされて配線溝TRCHやビア穴VIAが形成されるまで、配線溝パターンTRCHaの内壁部や底面が第2の低誘電率膜LOWK2bが露出されていない。このため、第1のレジストマスクおよび第2のレジストマスク(下層レジストBLb)のアッシング時のプラズマにより、配線溝パターンTRCHaの底面や内壁部がダメージを受けることを抑制することができる。
【0227】
また、単層レジストSIR1bの除去にアッシングを用いない場合には、たとえば図52に示す配線溝パターンTRCHaの底面に第3の低誘電率膜LOWK3bが露出しなくなる可能性がある。しかし、配線溝パターンTRCHaの底面や側壁部がダメージを受けることをより確実に抑制することができる。
【0228】
本発明の実施の形態6は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態5と異なる。すなわち、本発明の実施の形態6について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態5に順ずる。
【0229】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0230】
本発明は、信頼性が高い、微細化された多層配線構造を形成する技術として、特に優れている。
【符号の説明】
【0231】
ADF,ADFa 拡散防止膜、ARF1,ARF1a,ARF1b,ARF2 上層レジスト、BARCa,BARCb 反射防止膜、BLa,BLb 下層レジスト、CU 銅配線、CUa 銅金属、LAR1,LAR2 多層レジスト、LOWK1,LOWK1a 第1の低誘電率膜、LOWK2,LOWK2a,LOWK2b,LOWK2c 第2の低誘電率膜、LOWK3,LOWK3a,LOWK3b,LOWK3c 第3の低誘電率膜、ML,MLa,MLb 中間層レジスト、ORM,ORMb 有機材料、SIO2a,SIO2b,SIO2c,MTLa,MTLb,MTLc マスク用膜、SIO2b,SIO2c,SIO2d,SIO2e,MTLb,MTLc,MTLd マスク層、SIR1a,SIR1b 単層レジスト、TRCH 配線溝、TRCHa,TRCHb 配線溝パターン、VIA ビア穴、VIAa ビア穴パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された、銅配線が内部に形成された第1の低誘電率膜上を覆う、拡散防止膜を形成する工程と、
前記拡散防止膜上に、第2の低誘電率膜、第3の低誘電率膜、マスク層となるべき膜をこの順に積層する工程と、
前記マスク層となるべき膜上に形成した第1のレジストマスクを用いて、前記第3の低誘電率膜が露出するように前記マスク層となるべき膜をエッチングし、前記マスク層となるべき膜に底面が前記第3の低誘電率膜の表面により構成される配線溝パターンを形成することにより、前記マスク層を形成する工程と、
アッシング処理により前記第1のレジストマスクを除去する工程と、
前記マスク層の前記配線溝パターンを用いて、底面が前記第2の低誘電率膜となるように、前記第2の低誘電率膜および前記第3の低誘電率膜に配線溝を形成する工程と、
前記配線溝と平面的に重なる位置において、前記銅配線の一部を露出するように形成されたビア穴の内部と、前記配線溝の内部とに銅金属を充填する工程と、
少なくとも前記銅金属の頂面から前記第3の低誘電率膜までの層をCMP法により除去する工程と、を備えており、
前記第1、第2、第3の低誘電率膜はFSGよりも誘電率の低い絶縁膜であり、前記第2の低誘電率膜は前記第3の低誘電率膜よりも誘電率の低い膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1のレジストマスクは、下層レジストと、中間層レジストと、上層レジストとがこの順で積層された構成を有する多層レジストであり、
前記マスク層を形成する工程には、前記マスク層となるべき膜上に、前記下層レジストと、前記中間層レジストと、前記上層レジストとがこの順で積層された構成を有する前記多層レジストを形成する工程と、
前記上層レジストを、平面視において前記配線溝パターンの形状となるようにパターニングする工程と、
前記配線溝パターンの形状となるようにパターニングされた前記上層レジストをマスクとして前記中間層レジストをパターニングする工程と、
前記配線溝パターンの形状となるようにパターニングされた前記中間層レジストをマスクとして前記下層レジストをパターニングするとともに、前記上層レジストを除去して前記中間層レジストを最上面に露出させる工程と、
前記配線溝パターンの形状となるようにパターニングされた前記下層レジストをマスクとして前記マスク層となるべき膜をパターニングするとともに、前記中間層レジストを除去し、さらに前記第3の低誘電率膜を露出させる工程とを有しており、
前記第3の低誘電率膜を露出させる工程は、第1のガスを用いて前記中間層レジストを除去して前記下層レジストを最上面に露出させる第1の工程と、
前記第1のガスとは異なる第2のガスを用いて前記マスク層となるべき膜の一部を除去して前記第3の低誘電率膜を露出させる第2の工程とを有する、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
半導体基板上に形成された、銅配線が内部に形成された第1の低誘電率膜上を覆う、拡散防止膜を形成する工程と、
前記拡散防止膜上に、第2の低誘電率膜、第3の低誘電率膜、マスク層となるべき膜をこの順に積層する工程と、
前記マスク層となるべき膜上に形成した第1のレジストマスクを用いて、前記第3の低誘電率膜が露出するように前記マスク層となるべき膜をエッチングし、前記マスク層となるべき膜に底面が前記第3の低誘電率膜の表面により構成される配線溝パターンを形成することにより、前記マスク層を形成する工程と、
アッシング処理により前記第1のレジストマスクを除去する工程と、
前記マスク層の前記配線溝パターンを用いて、底面が前記第2の低誘電率膜となるように、前記第2の低誘電率膜および前記第3の低誘電率膜に配線溝を形成する工程と、
前記配線溝と平面的に重なる位置において、前記銅配線の一部を露出するように形成されたビア穴の内部と、前記配線溝の内部とに銅金属を充填する工程と、を備えており、
前記第1のレジストマスクは、下層レジストと、中間層レジストと、上層レジストとがこの順で積層された構成を有する多層レジストであり、
前記マスク層を形成する工程には、前記マスク層となるべき膜上に、前記下層レジストと、前記中間層レジストと、前記上層レジストとがこの順で積層された構成を有する前記多層レジストを形成する工程と、
前記上層レジストを、平面視において前記配線溝パターンの形状となるようにパターニングする工程と、
前記配線溝パターンの形状となるようにパターニングされた前記上層レジストをマスクとして前記中間層レジストをパターニングする工程と、
前記配線溝パターンの形状となるようにパターニングされた前記中間層レジストをマスクとして前記下層レジストをパターニングするとともに、前記上層レジストを除去して前記中間層レジストを最上面に露出させる工程と、
前記配線溝パターンの形状となるようにパターニングされた前記下層レジストをマスクとして前記マスク層となるべき膜をパターニングするとともに、前記中間層レジストを除去し、さらに前記第3の低誘電率膜を露出させる工程とを有しており、
前記第3の低誘電率膜を露出させる工程は、第1のガスを用いて前記中間層レジストを除去して前記下層レジストを最上面に露出させる第1の工程と、
前記第1のガスとは異なる第2のガスを用いて前記マスク層となるべき膜の一部を除去して前記第3の低誘電率膜を露出させる第2の工程とを有し、
前記第1、第2、第3の低誘電率膜はFSGよりも誘電率の低い絶縁膜であり、前記第2の低誘電率膜は前記第3の低誘電率膜よりも誘電率の低い膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記マスク層は絶縁層からなり、前記上層レジストは感光性を有する第1有機膜であり、前記下層レジストは前記第1有機膜よりも感光性が低い第2有機膜であり、前記中間層レジストはポリシロキサンまたはポリシラザンからなる群から選択されるいずれか1種であり、
前記第1のガスおよび前記第2のガスはフロロカーボンガスを有し、
前記第2のガスを構成する前記フロロカーボンガスの炭素比率は、前記第1のガスを構成する前記フロロカーボンガスの炭素比率よりも高い、請求項2または3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記絶縁層はシリコン酸化膜であり、前記第2の工程に用いる前記第2のガスによる前記マスク層の前記第3の低誘電率膜に対するエッチング選択比は、前記第1の工程に用いる前記第1のガスによる前記マスク層と前記第3の低誘電率膜に対するエッチング選択比よりも高い、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記マスク層は金属膜からなり、前記上層レジストは感光性を有する第1有機膜であり、前記下層レジストは前記第1有機膜よりも感光性が低い第2有機膜であり、前記中間層レジストはポリシロキサンまたはポリシラザンからなる群から選択されるいずれか1種であり、
前記第1のガスはフロロカーボンガスを有し、
前記第2のガスは塩素または臭素を含むハロゲン系ガスである、請求項2または3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記積層する工程の後、前記マスク層を形成する工程の前に、前記銅配線と平面視において重なる位置に、前記マスク層となるべき膜から前記拡散防止膜上に達するように貫通するビア穴パターンを形成する工程と、
アッシング処理により、前記ビア穴パターンを形成するために用いる第2のレジストマスクを除去する工程と、
前記ビア穴パターンの内部に有機材料を充填する工程とを含んでおり、
前記第1のレジストマスクを除去する工程において、前記有機材料が除去され、
前記配線溝を形成する工程において、底面が前記第2の低誘電率膜となるような前記配線溝が形成される際に、前記ビア穴パターンの底部に位置する前記拡散防止膜および前記第1の低誘電率膜の一部を除去することにより、前記銅配線の一部を前記ビア穴パターンの底部において露出させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1のレジストマスクを除去する工程の後、前記配線溝を形成する工程の前に、前記銅配線と平面視において重なる位置に、前記第3の低誘電率膜から前記拡散防止膜上に達するように貫通するビア穴パターンを形成する工程と、
アッシング処理により、前記ビア穴パターンを形成するために用いる第2のレジストマスクを除去する工程とを含んでおり、
平面視において、前記第2のレジストマスクを除去する工程において、前記第3の低誘電率膜が、前記配線溝パターンのうち前記ビア穴パターンを除く領域において露出するように前記第2のレジストマスクを除去し、
前記配線溝を形成する工程において、底面が前記第2の低誘電率膜となるような前記配線溝が形成される際に、前記ビア穴パターンの底部に位置する前記拡散防止膜および前記第1の低誘電率膜の一部を除去することにより、前記銅配線の一部を前記ビア穴パターンの底部において露出させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
半導体基板上に形成された、銅配線が内部に形成された第1の低誘電率膜上を覆う、拡散防止膜を形成する工程と、
前記拡散防止膜上に、第2の低誘電率膜、第3の低誘電率膜、マスク層となるべき金属膜をこの順に積層する工程と、
前記マスク層となるべき金属膜上に形成した第1のレジストマスクを用いて、前記第3の低誘電率膜が露出するように前記マスク層となるべき金属膜をエッチングし、前記マスク層となるべき金属膜に底面が前記第3の低誘電率膜の表面により構成される配線溝パターンを形成することにより、前記マスク層を形成する工程と、
アッシング処理により前記第1のレジストマスクを除去する工程と、
前記マスク層の前記配線溝パターンを用いて、底面が前記第2の低誘電率膜となるように、前記第2の低誘電率膜および前記第3の低誘電率膜に配線溝を形成する工程と、
前記配線溝と平面的に重なる位置において、前記銅配線の一部を露出するように形成されたビア穴の内部と、前記配線溝の内部とに銅金属を充填する工程と、を備えており、
前記第1のレジストマスクには、露光及び現像処理が施され感光性を有するレジスト材料からなるレジスト層を有し、
前記第1、第2、第3の低誘電率膜はFSGよりも誘電率の低い絶縁膜であり、前記第2の低誘電率膜は前記第3の低誘電率膜よりも誘電率の低い膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記銅配線と平面視において重なる位置にビア穴パターンを形成する工程をさらに備えており、
前記ビア穴パターンを形成する工程に用いる第2のレジストマスクは、下層レジストと、中間層レジストと、上層レジストとがこの順で積層された構成を有する多層レジストであり、
前記ビア穴パターンを形成する工程は、前記マスク層となるべき金属膜上に、前記下層レジストと、前記中間層レジストと、前記上層レジストとがこの順で積層された構成を有する多層レジストを形成する工程と、
前記上層レジストを、平面視において前記ビア穴の形状となるようにパターニングする工程と、
前記ビア穴の形状となるようにパターニングされた前記上層レジストをマスクとして前記中間層レジストをパターニングする工程と、
前記ビア穴の形状となるようにパターニングされた前記中間層レジストをマスクとして前記下層レジストをパターニングするとともに、前記上層レジストを除去して前記中間層レジストを最上面に露出させる工程と、
前記ビア穴の形状となるようにパターニングされた前記下層レジストをマスクとして、前記拡散防止膜上に達するように、前記第2および第3の低誘電率膜を貫通して前記ビア穴パターンが形成される工程とを有している、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記ビア穴パターンを形成する工程は、前記積層する工程の後、前記マスク層を形成する工程の前に行ない、
前記第2および第3の低誘電率膜を貫通して前記ビア穴パターンが形成される工程においては、前記マスク層となるべき金属膜から拡散防止膜上に達するように貫通する工程の後、アッシング処理により、前記第2のレジストマスクを除去する工程と、
前記ビア穴パターンの内部に有機材料を充填する工程とを備えており、
前記第1のレジストマスクを除去する工程において、前記有機材料が除去され、
前記配線溝を形成する工程において、底面が前記第2の低誘電率膜となるような前記配線溝が形成される際に、前記ビア穴パターンの底部に位置する前記拡散防止膜および前記第1の低誘電率膜の一部を除去することにより、前記銅配線の一部を前記ビア穴パターンの底部において露出させる、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記ビア穴パターンを形成する工程は、前記第1のレジストマスクを除去する工程の後、前記配線溝を形成する工程の前に行ない、
前記第2および第3の低誘電率膜を貫通して前記ビア穴パターンが形成される工程においては、前記第3の低誘電率膜から前記拡散防止膜上に達するように貫通する工程と、
アッシング処理により、前記第2のレジストマスクを除去する工程とを含んでおり、
平面視において、前記第2のレジストマスクを除去する工程において、前記第3の低誘電率膜が、前記配線溝パターンのうち前記ビア穴パターンを除く領域において露出するように前記第2のレジストマスクが除去され、
前記配線溝を形成する工程において、底面が前記第2の低誘電率膜となるような前記配線溝が形成される際に、前記ビア穴パターンの底部に位置する前記拡散防止膜および前記第1の低誘電率膜の一部を除去することにより、前記銅配線の一部を前記ビア穴パターンの底部において露出させる、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
半導体基板上に形成された、銅配線が内部に形成された第1の低誘電率膜上を覆う、拡散防止膜を形成する工程と、
前記拡散防止膜上に、第2の低誘電率膜、第3の低誘電率膜、マスク層となるべき金属膜をこの順に積層する工程と、
前記マスク層となるべき金属膜上に形成した第1のレジストマスクを用いて、前記第3の低誘電率膜が露出するように前記マスク層となるべき金属膜をエッチングし、前記マスク層となるべき金属膜に底面が前記第3の低誘電率膜の表面により構成される配線溝パターンを形成することにより、前記マスク層を形成する工程と、
前記マスク層の前記配線溝パターンを用いて、底面が前記第2の低誘電率膜となるように、前記第2の低誘電率膜および前記第3の低誘電率膜に配線溝を形成する工程と、
前記配線溝と平面的に重なる位置において、前記銅配線の一部を露出するように形成されたビア穴の内部と、前記配線溝の内部とに銅金属を充填する工程と、を備えており、
前記第1のレジストマスクには、露光及び現像処理が施され感光性を有するレジスト材料からなるレジスト層を有し、
前記銅配線と平面視において重なる位置にビア穴パターンを形成する工程をさらに備えており、
前記ビア穴パターンを形成する工程に用いる第2のレジストマスクは、下層レジストと、中間層レジストと、上層レジストとがこの順で積層された構成を有する多層レジストであり、
前記ビア穴パターンを形成する工程は、前記マスク層となるべき金属膜上に、前記下層レジストと、前記中間層レジストと、前記上層レジストとがこの順で積層された構成を有する前記多層レジストを形成する工程と、
前記上層レジストを、平面視において前記ビア穴の形状となるようにパターニングする工程と、
前記ビア穴の形状となるようにパターニングされた前記上層レジストをマスクとして前記中間層レジストをパターニングする工程と、
前記ビア穴の形状となるようにパターニングされた前記中間層レジストをマスクとして前記下層レジストをパターニングするとともに、前記上層レジストを除去して前記中間層レジストを最上面に露出させる工程と、
前記ビア穴の形状となるようにパターニングされた前記下層レジストをマスクとして、前記拡散防止膜上に達するように、前記第2および第3の低誘電率膜を貫通して前記ビア穴パターンが形成される工程とを有しており、
前記第1、第2、第3の低誘電率膜はFSGよりも誘電率の低い絶縁膜であり、前記第2の低誘電率膜は前記第3の低誘電率膜よりも誘電率の低い膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記ビア穴パターンを形成する工程は、前記積層する工程の後、前記マスク層を形成する工程の前に行ない、
前記第2および第3の低誘電率膜を貫通して前記ビア穴パターンが形成される工程においては、前記マスク層となるべき金属膜から拡散防止膜上に達するように貫通する工程と、
前記ビア穴パターンの内部に有機材料を充填する工程とを備えており、
前記配線溝を形成する工程において、底面が前記第2の低誘電率膜となるような前記配線溝が形成される際に、前記ビア穴パターンの底部に位置する前記拡散防止膜および前記第1の低誘電率膜の一部を除去することにより、前記銅配線の一部を前記ビア穴パターンの底部において露出させる、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記ビア穴パターンを形成する工程は、前記マスク層を形成する工程の後、前記配線溝を形成する工程の前に行ない、
前記第2および第3の低誘電率膜を貫通して前記ビア穴パターンが形成される工程においては、前記第3の低誘電率膜から前記拡散防止膜上に達するように貫通する前記ビア穴を形成する工程を備えており、
前記配線溝を形成する工程において、底面が前記第2の低誘電率膜となるような前記配線溝が形成される際に、前記ビア穴パターンの底部に位置する前記拡散防止膜および前記第1の低誘電率膜の一部を除去することにより、前記銅配線の一部を前記ビア穴パターンの底部において露出させる、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1のレジストマスクは、前記レジスト層と反射防止膜との積層構造である、請求項9〜15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記拡散防止膜はSiN、SiCN、SiCおよびSiCOからなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記配線溝の内表面および前記ビア穴の内表面にはバリア層が形成されている、請求項1〜16のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1、第2、第3の低誘電率膜はSiOCである、請求項1〜17のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate

【図51】
image rotate

【図52】
image rotate

【図53】
image rotate

【図54】
image rotate

【図55】
image rotate

【図56】
image rotate


【公開番号】特開2011−210840(P2011−210840A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75428(P2010−75428)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】