説明

半導体装置及び配線

【課題】低抵抗の電極や配線を有する半導体装置を実現する。
【解決手段】本実施形態による配線は、p型不純物が導入されたp型不純物層部分と、n型不純物が導入されたn型不純物層部分と、p型及びn型不純物が導入された(p+n)型不純物層部分と、を含む半導体層と、少なくとも(p+n)型不純物層部分上に形成されたシリサイド層と、を備え、(p+n)型不純物層部分に含まれるp型不純物とn型不純物の総濃度は、5E20cm−3未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、トランジスタ素子プロセス等において異なる導電型の不純物を共に半導体領域の一部に導入した構造の半導体装置及び配線に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータや通信機器の重要部分には、多数のトランジスタや抵抗などを電気回路として結びつけ、1チップ上に集積化して形成した大規模集積回路(LSI)が多用されている。このため、機器全体の性能は、LSI単体の性能に大きく依存している。
【0003】
LSI単体の性能向上は、例えば集積度を高めること、すなわち素子の微細化により実現できる。素子の微細化は、例えばMOS電界効果トランジスタ(MOS FET)の場合、ゲート長の短縮化およびソース・ドレイン領域の薄層化により実現することができる。
【0004】
浅いソース・ドレイン領域を形成する方法としては、低加速イオン注入法が広く用いられている。この方法により0.1μm以下の浅いソース・ドレイン領域を形成することができる。
【0005】
しかし、低加速イオン注入法で形成される不純物拡散層は、シート抵抗が100Ω/□以上という高い値になる。このため、このままでは微細化による高速化を期待することはできない。
【0006】
そこで、高速性を要求される論理LSIのようなデバイスでは、ソース・ドレイン・ゲートの抵抗を低減するために、ソース・ドレイン拡散層及びゲート電極(nまたはp多結晶シリコン)の表面に、自己整合(Self−alignment)的にシリサイド(Silicide)膜を形成するサリサイド(Self−AlignSilicide)が用いられている。
【0007】
同一層内でシリサイド層の下地として、n多結晶Siとp多結晶Siを用い
るデュアルゲート(Dual Gate)構造を採用する場合には、サリサイド構造は単にゲート電極を低抵抗化するだけでなく、工程簡略化に有効である。その理由は、ソース・ドレインヘの不純物ドーピングの際に、同時にゲート多結晶シリコンヘのドーピングができるからである。サリサイドとは、Siと絶縁膜のパターン上に金属膜を成膜して、これを加熱し、ソース・ドレイン、ゲート電極・配線Si上にだけ、自己整合的にシリサイドを形成する技術である。而して、PMOS FETとNMOS FETとが並んで形成される場合もある。
このように、PMOS FETとNMOS FETとが並んで形成される場合には、半導体層中にn型とp型の2種類の不純物を同時にドープされた領域が存在し、その部分上にサリサイド処理をしようとすると、使用材料や温度条件等の組み合わせにより、形成されるシリサイド層に様々な問題を生じ、均一なシリサイド層が形成できずに、低抵抗の電極・配線構造が得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−76138号公報
【特許文献2】特開2000−68506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
多結晶シリコンや多結晶シリコンGeにおけるn型とp型の2種類の不純物を同時にドープされた領域上でも、低温で均一なシリサイドの形成を可能とした低抵抗の電極・配線構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態による配線は、p型不純物が導入されたp型不純物層部分と、n型不純物が導入されたn型不純物層部分と、p型及びn型不純物が導入された(p+n)型不純物層部分と、を含む半導体層と、少なくとも前記(p+n)型不純物層部分上に形成されたシリサイド層と、を備え、前記(p+n)型不純物層部分に含まれるp型不純物とn型不純物の総濃度は、5E20cm−3未満であることを特徴とする。
【0011】
本実施形態による半導体装置は、 P型MOSFETと、N型MOSFETと、半導体層と該半導体層上に形成されたシリサイド層とを含む配線層とを備え、
前記半導体層は、p型不純物が導入されたp型不純物層部分と、n型不純物が導入されたn型不純物層部分と、前記p型不純物層部分と前記n型不純物層部分との間にp型及びn型不純物が導入された(p+n)型不純物層部分と、を含み、前記(p+n)型不純物層部分に含まれるp型不純物とn型不純物の総濃度は、5E20cm−3未満であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の半導体装置の構造およびその製造方法を説明するための断面模式図である。
【図2】実施例2の半導体装置の構造およびその製造方法を説明するための断面模式図である。
【図3】本発明者の知得する半導体装置の構造およびその製造方法を説明するための断面模式図である。
【図4】PMOS FET及びNMOS FETの平面図、その製造の工程断面図である。
【図5】半導体製造プロセスにおける不具合を本発明者の実験により確かめたグラフである。
【図6】半導体製造プロセスにおける現象を本発明者の実験により確かめたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施例を説明するに先立ち、本発明者の知得する技術について説明する。サリサイド、即ち、ソース・ドレイン・ゲートヘのシリサイド形成の際にシリサイドとSiの界面が、Si中に沈み込んでシリサイドを成長させるディープジャンクション、つまりシリサイドを形成する領域の拡散層の深さを約100nmとすると、CoSiは36nm沈み込むため、残りの深さは64nmとなる。この程度の差であれば、拡散層の深さを多少深くする、またはシリサイド膜厚を若干薄くする、などの方法を用いれば、前述のジャンクションリークの問題を解決することができる。
【0014】
しかし、ディープジャンクションが90nmないし80nmの深さのときには、沈み込むCoSiに対して残りの深さが54nmないしは44nmとなってしまい、ジャンクションリークが急激に増大してしまう。つまり、もはやコストのかかるエレベイトS/DなしではCoSiは使えないと言うことになってしまう。
【0015】
さて、ここでSi基板への沈み込み量を見ると、CoSiは約36nmであるのに対して、NiSiは約29nm、PdSiは約25nmである。従って、NiSi、PdSiはSi基板への沈み込み深さがCoSiと比べて7nmないし10nm前後だけ少ないことが判る。
【0016】
つまり、NiSiかPdSiを用いると、Si基板へのシリサイドの沈み込み深さを10nm前後浅くできるためジャンクションリークを低減化でき、高コストなエレベイトS/Dを採用しなくてよくなる。
【0017】
またシリサイド形状でもCoSiには問題がある。CoSi底面には凹凸があり、その近くに結晶欠陥や応力の大きいところがあると、シリサイドがスパイク状になる。また、シリサイド形成と同時に、Coの拡散(にじみ)が起こる。
【0018】
これに対して、金属系材料ならば、低温プロセスもしくは高速昇降温プロセスなどを駆使することにより、シリサイドスパイクや拡散を抑制することができる。
【0019】
NiSi、PdSiを用いた場合には、後工程を600℃以下の低温プロセスで処理しなければならず、600℃以上になるとNiSiはNiSiに、PdSiはPdSiに相転移し、シリサイドとSiの間で、界面の凹凸が大きくなる。そのためシリサイドを形成した後の熱処理には温度の上限がでてくる。
【0020】
通常のnまたはpのSi上にシリサイドを形成した場合には以上の説明からわかるように熱予算(Thermal Budget)を組めば問題を解決することができる。
【0021】
NiSiを多結晶シリコンや多結晶シリコンGe上に形成して抵抗を下げるサリサイドプロセスでは、多結晶シリコンや多結晶シリコンGe上に7−15nmの厚みのNi膜を成膜してから300℃から400℃の加熱を行い、NiSiやNiSiを形成し、絶縁膜上の未反応Ni膜を過酸化水素水と硫酸または塩酸の混合液、場合によっては純水で希釈した液で除去した後に400−500℃の加熱を行い、シリサイド形成を完了する。このように形成するとAsやPをドープしたn領域とBをドープしたp領域で10Ω/□以下の抵抗を得ることができる。
【0022】
以上説明したような、本発明者の知得する半導体装置の構造およびその製造方法を、図3(a)、(b)の断面模式図で説明するに先立ち、図4に基づいて、その前提について説明する。
【0023】
図4は、PMOS FETとNMOS FETが並んで形成される場合の平面説明図及びそのA−A線断面図である。図4(a)に示されるように、PMOS FETとNMOS FETが形成されている。ちなみに、MOS FETを形成するに当っては、周知のように、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して帯状のゲートを形成し、そのゲートをマスクとして、不純物を半導体基板上に打ち込む。これにより、ソース・ドレイン領域が形成されるときに、ゲート中にも不純物が導入される。そして、PMOS FETとNMOS FETを並べて形成するには、p型不純物とn型不純物と交互に打ち込む必要がある。
そして、一方の不純物を打ち込むときには、他方の不純物を導入すべき領域の上部をマスクで覆い、そこに一方の不純物が導入されないようにしている。図4(b)−(c)はその一例を示すもので、図4(a)のA−A線断面を示すものである。まず、n不純物を打ち込む場合には、図4(b)に示すように、図中右側にマスクM1を形成しておき、この状態で打ち込む。これにより、半導体基板100上のゲート絶縁膜101上における、マスクM1で被われていない図中左側の第1露呈部分にn不純物が打ち込まれ、多結晶シリコン領域12が形成される。この後、p不純物の打ち込みに当っては、図中左側にマスクM2を形成しておき、この状態で打ち込む。これにより、図中右側の第2露呈部分に、pの不純物が打ち込まれた多結晶シリコン領域11が形成される。ここで、マスクM1,M2はずれのマージンを見込んでいるため、図中中央部分としての重複露呈部分には、pとnの両方の不純物が打たれて、境界領域13が形成される。図4(d)は、図4(c)からマスクM2を除去した状態を示す。この図4(d)の一部を示したのが、図3(a)、(b)である。つまり、図3は、説明を簡単にするために、実際のトランジスタの製造に必要な、素子分離やソース・ドレイン、ウエル、チャネル、ゲート側壁スペーサーの形成プロセスを省略し、多結晶シリコンゲート電極・配線部分だけを抜き出して示している。
【0024】
図3(a)に示すように、n多結晶シリコン領域11とp多結晶シリコン領域12の表層に、RTA(ラピッドサーマルアニーリング)により1000℃以上で10秒以下の活性化熱処理をほどこすことによって、不純物が高濃度で偏析した不純物偏析層14が形成される。またn多結晶シリコン領域11とp多結晶シリコン領域12の隣接する境界領域13では、n不純物とp不純物が両方ともlE20cm−3以上の高濃度でドープされ、特にこの領域の表層である不純物偏析層14にはBとP、BとAs+Pが高濃度でドープされた状態にある。
【0025】
この後、Niの金属材料膜15を7−15nmの厚さに成膜して300℃〜400℃で30秒間加熱する。この場合、図3(b)に示すように、両側の多結晶シリコン領域11,12上には、十分な厚さのNiSiの金属シリサイド膜16が形成されるものの、重複ドーピング領域となる境界領域13の表層部分には、NiSiの金属シリサイド膜の形成が十分に起きない金属シリサイド膜16aの領域が形成され、ゲート電極または配線のシート抵抗が著しく高くなるという問題がある。
【0026】
NiSi形成温度を600℃程度まで高くすれば、n、pに対してnとpの重なり部分でのNiSi膜厚は1.5倍程度に抑えられるが、温度が高いとNiSiが凝集して島状になったり、NiSiというSiリッチのシリサイドに変化してSiに深く食い込んだり、孤立パターン部分では周辺のSTI上のNi膜がSi部分に集中的に入り込んでNiSiの厚みが設計以上に厚膜化するという問題がある。
【0027】
加えて、多結晶シリコンや多結晶シリコンGe表面の酸化膜を除去してからNi膜を成膜しても、この問題が解決できないことを本発明者は知得している。
【0028】
これらの問題を解決するために、n領域とp領域が重ならないようにマスク設計上でnとp不純物をドープする領域をずらす方法があるが、SOCのように少量多品種の製品では、製品ごとに回路パターンが異なるため、CAD修正ワークが多くなり、場合によっては設計変更が非常に難しく対応できないという問題が生じる。
【0029】
本件発明者は、このような不具合につながる現象が、BとP、BとAs、Bと(As+P)というように、n型不純物とp型不純物が高濃度で存在する時に起こることを本発明者の行った実験により知得するに至った。
【0030】
図5、図6のグラフに、そのことを示す。
【0031】
図5は6つの実験を行った結果を示しており、多結晶シリコンには総注入量として1E16cm−2を用いている。
【0032】
図からも明らかなように、B、P、Asが単独で1El6cm−2注入された多結晶シリコンの場合、シート抵抗値は約10Ω/□程度である。
【0033】
これに対して、Bを5E15cm−2、Pを5El5cm−2で合計1E16cm−2注入した場合、Bを5El5cm−2、Asを5E15cm−2で合計1El6cm−2注入した場合、Bを5E15cm−2、Pを3El5cm−2、Asを2E15cm−2で合計1E16cm−2注入した場合には、いずれも30〜40Ω/□という結果になっていることを本発明者は知得した。
【0034】
また、総注入量を変えた実験では、図6のグラフに示すように、Si表層の総不純物濃度が4E20cm−3を超えるとNiシリサイドの厚みが薄くなり、シート抵抗値が高くなることを知得した。
【0035】
また多結晶シリコン表面には不純物が内部よりも高濃度に偏析していることも知得した。
【0036】
不純物ドーピングの後に表層に偏析した5nm以下の領域を除去するか、シリサイデーションに悪影響を与えない元素をイオン注入またはプラズマドーピングして、B−P、B−Asの結合を切れば、シリサイド形成金属がSiと反応しやすくなることも知得した。
【0037】
本実施形態は上記に基づいてなされたものである。
本実施形態の最良の形態について、半導体基板上にMOSトランジスタ構造を形成する場合を例にとって、図面に基づき、いくつかの実施例を挙げながら説明する。
ちなみに、下記実施例では、多結晶シリコンについて取り上げるが、多結晶シリコンGeを用いた実施の形態でも同様な結果が得られる。
【0038】
また、図1(a)、図3(a)に、n多結晶シリコン領域11、p多結晶シリコン領域12、境界領域(p不純物+n不純物)13を示しているが、これらは、前述の図4で説明した工程等で製造したものである。つまり、PMOS FETとNMOS FETを並べて形成するため、n型不純物とp型不純物と交互に打ち込む。まず、n不純物を打ち込むには、図4(b)に示すように、図中右側にマスクM1を形成しておき、p不純物の打ち込むには、図4(c)に示すように、図中左側にマスクM2を形成しておき、この状態でそれぞれ打ち込む。これにより、マスクM1で被われていない図中左側の第1露呈部分に、nの不純物が打ち込まれた多結晶シリコン領域12が形成され、図中右側の第2露呈部分に、pの不純物が打ち込まれた多結晶シリコン領域11が形成され、図中中央部分としての重複露呈部分には、pとnの両方の不純物が打たれて、境界領域13が形成される。なお、pとnの打ち込む順序は、上述したのと逆に、pを先にしても本実施形態は適用可能である。
【0039】
(実施例1)
図1(a)、(b)、(c)は、実施例1の半導体装置の構造およびその製造方法を説明するための、断面模式図である。
【0040】
ちなみに、図1は、説明を簡単にするために、実際のトランジスタの製造に必要な、素子分離やソース・ドレイン、ウエル、チャネル、ゲート側壁スペーサーの形成プロセスを省略し、多結晶シリコンゲート電極・配線部分だけを抜き出して示しており、ゲート酸化膜も図示していない。
【0041】
図1(a)に示すように、n多結晶シリコン領域11とp多結晶シリコン領域12の表層には、RTAにより、1000℃以上で10秒以下の活性化熱処理することによって、不純物が高濃度で偏析した不純物偏析層14が5nm程度の厚さに形成される。
【0042】
またn多結晶シリコン領域11とp多結晶シリコン領域12が隣接する境界領域13では、n不純物とp不純物が両方とも、1E20cm−3以上の高濃度でドープされた状態にあり、特にこの領域の表層である不純物偏析層14(1−5nm)にはBとP、BとAs+Pが高濃度でドープされている。ここで、III族の元素としてはBの他にGa,Inを用いることができ、V族の元素としてP,Asの他にSbを用いることができる。後述の実施例2でも同様である。
【0043】
続いて、図1(b)に示すように、多結晶シリコン表層である不純物偏析層14を、ドライエッチングまたはウエットエッチングで除去する。
【0044】
ドライエッチングではNF+Hの混合ガスやSF+Hの混合ガス、F+Hの混合ガス、HFガスなどを、0.5気圧以下の圧力下で、Si基板に供給し多結晶シリコン表層である不純物偏析層14を除去する。ガス条件によってはSi基板を100℃〜300℃程度に加熱しながらガスを供給するか、ガス供給後に加熱する。
【0045】
ウエットエッチングで行う場合には、コリンなどのアルカリ性液を用いるか、硫酸/過酸化水素水または塩酸/過酸化水素水またはアンモニア水/過酸化水素水の混合液で表層を酸化して、その酸化膜を希釈した弗酸または弗化アンモンで除去する。ウエットエッチング後のウエハの乾燥には、イソプロピルアルコールなどを用いて表層に水ガラス(Watermark)が残らないように注意する必要がある。
【0046】
以上のように、エッチングにより、Si表層の5nm以下の厚みを除去することによって、Si表層の総不純物濃度を5E20cm−3以下に抑制できる。
【0047】
以上のような処理を加えることにより、Niシリサイドの厚みの薄膜化を抑制し、シート抵抗値上昇を抑制できることができる。
【0048】
この後、Niの金属材料膜を7−15nmの厚さに成膜して、250−500℃、好ましくは、250−350℃で、30秒間の加熱を行うと、図1(c)に示すように、重複ドーピング領域となる境界領域13の表層部分でもNiSiの金属シリサイド膜16の形成が十分に起きて、所望のゲート電極または配線のシート抵抗を得ることができる。
【0049】
(実施例2)
図2(a)、(b)は、実施例2の半導体装置の構造およびその製造方法を説明するための、断面模式図である。
【0050】
ちなみに、図2は、図1と同様に、説明の簡単のために、実際のトランジスタの製造に必要な、素子分離やソース・ドレイン、ウエル、チャネル、ゲート側壁スペーサーの形成プロセスを省略し、多結晶シリコンゲート電極・配線部分だけを抜き出して示しており、ゲート酸化膜も図示していない。
【0051】
図2(a)で示すように、n多結晶シリコン領域11とp多結晶シリコン領域12の表層に、RTAにより、1000℃以上で0−10秒の活性化熱処理することによって、不純物が高濃度で偏析した不純物偏析層14を形成する。
【0052】
またn多結晶シリコン領域11とp多結晶シリコン領域12の隣接する境界領域13には、n不純物とp不純物が、共に1E20cm−3以上の高濃度でドープされており、特にこの領域の表層である不純物偏析層14にはBとP、BとAs+Pが高濃度でドープされている。
【0053】
この多結晶シリコン表層にGeを10−20keVで5E14cm−2から5E15cm−2で注入する。しかる後にNiの金属材料膜15を、7−15nmの厚さに成膜して250−500℃、好ましくは、250−350℃で、30秒間の加熱を行う。これにより、図2(b)に示すように、重複ドーピング領域となる境界領域13の表層部分でも、NiSiの金属シリサイド膜16の形成が十分に起きて、所望のゲート電極または配線のシート抵抗を得ることができる。
【0054】
この多結晶シリコン表層を破砕するイオン種としてはGe以外にSi、Snが有効である。
【0055】
なお、上記実施例は、半導体装置に適用されるMOSトランジスタの場合を例示したが、本実施形態は、トランジスタに限らず、半導体装置に組み込まれるその他の半導体素子においても同様に適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0056】
11 n型多結晶シリコン領域
12 p型多結晶シリコン領域
13 境界領域
14 不純物偏析層
15 金属材料膜
16、16a 金属シリサイド膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
p型不純物が導入されたp型不純物層部分と、n型不純物が導入されたn型不純物層部分と、p型及びn型不純物が導入された(p+n)型不純物層部分とを含む半導体層、および、
少なくとも前記(p+n)型不純物層部分上に形成されたシリサイド層、を備え、
前記(p+n)型不純物層部分に含まれるp型不純物とn型不純物の総濃度は、5E20cm−3未満であることを特徴とする配線。
【請求項2】
Ni、Pdのうち少なくとも1つを前記シリサイド層の形成に用いることを特徴とする請求項1に記載の配線。
【請求項3】
当該配線は、ゲート電極またはゲート配線であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の配線。
【請求項4】
前記p型不純物層部分、前記n型不純物層部分、および、前記(p+n)型不純物層部分の上にある前記シリサイド層の厚みは、均一であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配線。
【請求項5】
前記(p+n)型不純物層部分内の前記p型不純物は、ガリウム、インジウムおよびボロンのうち少なくとも1つであり、
前記(p+n)型不純物層部分内の前記n型不純物は、アンチモン、燐および砒素のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の配線。
【請求項6】
P型MOSFETと、
N型MOSFETと、
半導体層と該半導体層上に形成されたシリサイド層とを含む配線層とを備え、
前記半導体層は、
p型不純物が導入されたp型不純物層部分と、
n型不純物が導入されたn型不純物層部分と、
前記p型不純物層部分と前記n型不純物層部分との間にp型及びn型不純物が導入された(p+n)型不純物層部分と、を含み、
前記(p+n)型不純物層部分に含まれるp型不純物とn型不純物の総濃度は、5E20cm−3未満であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
Ni、Pdのうち少なくとも1つを前記シリサイド層の形成に用いることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
当該配線は、ゲート電極またはゲート配線であることを特徴とする請求項6または請求項7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記p型不純物層部分、前記n型不純物層部分、および、前記(p+n)型不純物層部分の上にある前記シリサイド層の厚みは、均一であることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記(p+n)型不純物層部分内の前記p型不純物は、ガリウム、インジウムおよびボロンのうち少なくとも1つであり、
前記(p+n)型不純物層部分内の前記n型不純物は、アンチモン、燐および砒素のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか一項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−267991(P2010−267991A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163016(P2010−163016)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【分割の表示】特願2004−381419(P2004−381419)の分割
【原出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】