説明

半導体装置

【課題】 はんだ接合部の応力集中を緩和しディバイスに発生する内部熱を効率的に放熱して信頼性の向上を図る。
【解決手段】 実装面2aに接続電極6と周辺補強用ダミー電極7と中央補強用ダミー電極8が形成されたディバイス2と、接続ランド10と周辺補強ランド11と中央補強ランド12とが形成されディバイス2をディバイス実装面3a上に実装する実装基板3とを備える。実装基板3には、中央補強ランド12に接続される放熱ビア14と、裏面3bに放熱パターン15が形成され、中央補強ランド12がディバイス2からの発生部を兼用して裏面3bからの放熱を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、実装面に多数個の接続電極が形成された裏面電極型ディバイスを実装基板上に実装してなる半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置は、実装基板搭載部品としてCPUチップ(Central processing unit)やIOチップ(Input Output)等が絶縁樹脂によって封装されてパッケージ化されたディバイスが、例えば、QFP(Quad Flat Package)実装法、BGA(Ball Grid array)実装法或いはLGA(Land grid array)実装法等によって実装基板上に実装することにより小型化が図られている。
【0003】QFP実装型半導体装置は、パッケージの外周部に多数個のS字形状のリード端子片が放射状に突出されるとともに、実装基板のディバイス実装領域を囲んで多数個の接続ランドが形成されている。QFP実装型半導体装置は、ディバイスを実装基板のディバイス実装領域上に位置決め載置した状態で、相対する各リード端子片と接続ランドとがそれぞれ接続されることによってディバイスが実装基板上に実装される。
【0004】また、BGA実装型半導体装置50は、図3に示すように実装面51aに多数個の接続電極52が形成されるとともにこれら接続電極52に予めはんだペースト等を介してそれぞれはんだボール53が接合されたディバイス51と、ディバイス実装領域内に各接続電極52に対応して多数個の接続ランド61が形成された実装基板60とからなる。BGA実装型半導体装置50は、接続電極52を接続ランド61に対応位置させるようにしてディバイス51が実装基板60のディバイス実装領域60a上に位置決め載置される。
【0005】BGA実装型半導体装置50は、この状態で、例えばリフロー炉に供給されてリフローはんだ処理が施されることにより、はんだボール53を溶融、固化して相対する接続電極52と接続ランド61とを電気的かつ機械的に接続することによりディバイス51を実装基板60上に実装してなる。BGA実装型半導体装置50は、かかる構成によっていわゆるチップサイズの小型化が図られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、半導体装置においては、上述したようにチップ56を絶縁樹脂57によって封装してディバイスが構成されることから、チップから発生した熱が内部に籠もり特性が低下するといった問題がある。半導体装置は、例えばグラフィック処理用として用いられる場合に、ディバイス或いは実装基板が大型となり、またディバイスからの発熱量も大きくなる。このため、半導体装置においては、内部熱を効率的に放熱する対応が必要とされる。上述したQFP実装型半導体装置においては、パッケージからそれぞれS字状の多数個のリード端子が放射状に突出されておりこれらリード端子によって内部熱の放熱が行われる。QFP実装型半導体装置は、上述したリード端子の構成から、全体が大型化するといった問題がある。
【0007】一方、BGA実装型半導体装置50においては、実装基板60上にディバイス51が密着した状態で実装されるために、充分な放熱を行い得ないといった問題があった。したがって、BGA実装型半導体装置50においては、これを組み込む装置本体に適宜の放熱機構を設けて、間接的に内部熱の放熱を行うことが必要であった。BGA実装型半導体装置50は、このためにそれ自体の小型化が図れても放熱機構により装置本体の構造を複雑としかつ大型化するといった問題があった。
【0008】また、半導体装置においては、Siチップと樹脂製の実装基板のそれぞれの材料の熱膨張率の違いによるはんだ部位の信頼性が大きな問題となっている。半導体装置は、Siチップに対して実装基板の熱膨張率が約数倍と大きな差があり、これによって生じる応力がはんだ部位に負荷されてはんだクラックが発生し接続不良等の問題が発生する虞がある。半導体装置においては、ディバイスが大型になるほど、このディバイスと実装基板の熱膨張率の差による応力が大きくなる。QFP実装型半導体装置においては、上述した応力が外周部に突出したS字状のリード端子によって吸収されることではんだクラックの発生が抑制され、信頼性が保持される。
【0009】一方、BGA実装型半導体装置50は、微細なピッチで格子状に配列された接続電極52と接続ランド61とがはんだ結合された剛体構造であることから、これら各はんだ結合部において応力が集中する。BGA実装型半導体装置50においては、例えば四隅に位置して補強用のはんだ接合部を形成することによって応力集中の緩和対応が図られている。しかしながら、かかるBGA実装型半導体装置50においても、応力の方向が四隅を結ぶ対角線上のベクトルでは無く各はんだ接続部から中心に向かった放射状であることから、中央部におけるはんだ接続部の応力集中の緩和作用が減少する。
【0010】したがって、BGA実装型半導体装置50においては、四隅の補強用はんだ接合部に加えて中央部位にも補強用はんだ接合部を設ける対応が図られる。BGA実装型半導体装置50は、図3に示すように、ディバイス51側に接続電極52の外周に位置する四隅に補強用ダミー電極54を形成するとともに中央部にも補強用ダミー電極55を形成し、実装基板60側に四隅の補強用接続ランド62と中央部の補強用接続ランド63とを形成する。BGA実装型半導体装置50は、かかる構成を備えることにより、はんだ接続部における応力集中が緩和されて信頼性の向上が図られる。
【0011】しかしながら、BGA実装型半導体装置50においては、応力集中による信頼性の向上が図られるが、依然としてディバイス51の内部熱の放熱の問題は解決されない。
【0012】したがって、本発明は、小型化を保持しながらディバイスと実装基板の熱膨張率の差に伴うはんだ接合部の応力集中を緩和するとともにディバイスに発生する内部熱を効率的に放熱して信頼性の向上を図った半導体装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する本発明にかかる半導体装置は、実装面に多数個の接続電極が形成されるとともに周辺部と中央部とに補強用ダミー電極が形成され、接続電極及び各補強用ダミー電極とにそれぞれはんだボールが接合された裏面電極型ディバイスと、この裏面電極型ディバイスを実装するディバイス実装主面上に各接続電極にそれぞれ対応して多数個の接続ランドが形成されるとともに上記各補強用ダミー電極にそれぞれ対応して周辺補強用ランドと中央補強用ランドとがそれぞれ形成された実装基板とを備えてなる。半導体装置には、実装基板に、中央補強ランドに対応してディバイス実装主面と対向する実装主面に導通するビアが形成されるとともに、この実装主面にビアと接続される放熱手段が形成されてなる。
【0014】以上のように構成された本発明にかかる半導体装置によれば、裏面電極型ディバイスが各接続電極及び周辺補強用ダミー電極と中央補強用ダミー電極とが相対する各接続ランド及び周辺補強用ランドと中央補強用ランドとに対応されるように実装基板上に位置決め載置されてリフローはんだ処理が施される。半導体装置は、はんだボールが溶融固化することによって、相対する各接続電極及び周辺補強用ダミー電極と中央補強用ダミー電極とが各接続ランド及び周辺補強用ランドと中央補強用ランドとにはんだ付け固定される。半導体装置においては、裏面電極型ディバイスと実装基板との熱膨張率の差によって発生する応力が、はんだ付け固定された各周辺補強用ダミー電極及び中央補強用ダミー電極と周辺補強用ランド及び中央補強用ランドとの接合部位において吸収されることで、各接続電極と各接続ランドとの接合部位への集中が抑制されてはんだクラック等の発生が防止される。
【0015】半導体装置においては、裏面電極型ディバイスから発生する内部熱が、ビアを介して実装基板の裏面に形成した放熱手段を介して放熱される。半導体装置によれば、放熱手段が中央部に形成された補強部に構成されることによって小型化が保持されて信頼性の向上が図られる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。実施の形態として示す半導体装置1は、上述した従来のBGA実装型半導体装置50と同様に、裏面電極型ディバイス2と、このディバイス2をボールグリッドアレイ方法により表面実装する実装基板3とからなるBGA実装型半導体装置であり、相対して形成された適宜の位置決め部を介してディバイス2と実装基板3との組合せが行われる。
【0017】ディバイス2は、図1に示すように、CPUチップやIOチップ等の半導体チップ4をエポキシ樹脂等の絶縁樹脂5によって封装するとともに、実装面2aに多数個の接続電極6が形成されてなる。ディバイス2には、実装基板3に対する実装面2aに、詳細を後述するが複数個の周辺補強用ダミー電極7と中央補強用ダミー電極8とが形成されている。各接続電極6は、実装面2a上にその外周縁に沿って互いに等間隔を以って2列に枠状に配列されて形成されている。したがって、ディバイス2には、実装面2aの中央部に、接続電極6が形成されない領域が構成されている。
【0018】各周辺補強用ダミー電極7は、実装面2aの四隅に位置してそれぞれ形成されており、各接続電極6と異なる形状或いは大きな面積を以って形成されてなる。各中央補強用ダミー電極8は、実装面2aの接続電極6が形成されていない中央領域に形成されている。各中央補強用ダミー電極8も、各接続電極6と異なる形状或いは大きな面積を以って形成されてなる。
【0019】なお、ディバイス2においては、各接続電極6と各中央補強用ダミー電極8とを上述した配列を以って実装面2aに形成することに限定されず、例えば各接続電極6がさらに内側領域に存在して多数列により構成され或いは適宜に配列されて構成されてもよい。ディバイス2においては、各中央補強用ダミー電極8を中心領域に形成することに限定されず、各接続電極6とのバランスに応じて適宜の位置に形成してもよい。
【0020】ディバイス2には、上述した各接続電極6と各周辺補強用ダミー電極7及び各中央補強用ダミー電極8とに予めそれぞれはんだボール9が接合されている。各はんだボール9は、例えば各接続電極6と各周辺補強用ダミー電極7及び各中央補強用ダミー電極8とに塗布したはんだペーストによって仮接合された状態で、加熱処理を施すことにより一部が溶融して各電極に接合されてなる。
【0021】実装基板3は、両面銅箔貼り基板が用いられ、ディバイス2を実装するディバイス実装面3a及び裏面3bとにフォトリソグラフ処理を施して適宜の回路パターンを形成してなる。実装基板3には、ディバイス実装面3aに詳細を後述する多数個の接続ランド10と、周辺補強用ランド11及び中央補強用ランド12とが形成されてなる。実装基板3には、詳細を省略する接続ランド13や図示しない回路パターンが適宜形成されてなる。実装基板3には、ドリル加工等によりディバイス実装面3aから裏面3bに貫通する多数個のビア孔を形成し、これらビア孔に導電処理を施すことによってディバイス実装面3a側の回路パターンと接続されるビアを形成してなる。
【0022】各接続ランド10と各周辺補強用ランド11及び各中央補強用ランド12は、それぞれ上述した銅箔のフォトリソグラフ処理によって回路パターンと同時に形成される。各接続ランド10は、図2に示すように、ディバイス2側の各接続電極6に対応して実装基板3の外周縁に沿った近傍位置に互いに等間隔を以って2列に枠状に配列されてパターン形成されてなる。各周辺補強用ランド11も、ディバイス2側の各周辺補強用ダミー電極7に対応してディバイス実装面3aの四隅に位置してそれぞれパターン形成されており、各接続ランド10と異なる形状或いは大きな面積を以って形成されてなる。
【0023】各中央補強用ランド12は、ディバイス2側の各中央補強用ダミー電極8に対応してディバイス実装面3aの接続ランド10が形成されていない中央領域にパターン形成されている。各中央補強用ランド12も、各接続ランド10と異なる形状或いは大きな面積を以って形成されてなる。各中央補強用ランド12には、図1に示すように、それぞれ実装基板3を貫通する放熱ビア14が形成されている。各放熱ビア14は、上述したビア形成工程に際して同時に形成され、実装基板3の裏面3b側にパターン形成した放熱パターン15と電気的・機械的に接続されてなる。
【0024】放熱パターン15は、上述した銅箔貼り基板に対するフォトリソグラフ処理によって回路パターンを形成する際に同時に形成される。放熱パターン15は、回路パターンやランドの形成位置を除く実装基板3の裏面3b上に形成される。
【0025】以上のように構成された実装基板3には、ディバイス実装面3a上に実装面2a側からディバイス2が位置決め載置される。ディバイス2と実装基板3とは、相対する各接続電極6が各接続ランド10上に、各周辺補強用ダミー電極7が各周辺補強用ランド11上に、各中央補強用ダミー電極8が各中央補強用ランド12上にそれぞれ対応位置される。ディバイス2と実装基板3とは、この状態でリフロー炉内に供給されることによって、ディバイス2の実装面2aに接合した各はんだボールが溶融、固化することで上述した各電極と各ランド間の接続固定が行われて半導体装置1を構成する。
【0026】半導体装置1は、ディバイス2と実装基板3とが熱膨張率を大きく異にしており、上述したようにリフローはんだ処理を施こして接続固定される各電極と各ランドとの間に応力が作用する。半導体装置1は、外周部位における応力が各周辺補強用ダミー電極7と各周辺補強用ランド11とにより吸収されるとともに、中央部位における応力が中央補強用ダミー電極8と各中央補強用ランド12とにより吸収される。したがって、半導体装置1においては、大型のディバイス2であっても各接続電極6と各接続ランド10との間における応力集中が緩和されて実装基板3への実装が行われることから、これらを電気的かつ機械的に接続するはんだ部位にマイクロクラックの発生が抑制されて信頼性の向上が図られる。
【0027】半導体装置1においては、ディバイス2の半導体チップ4から発熱するが、この熱が中央補強用ダミー電極8−はんだ接合部−中央補強用ランド12−放熱ビア14の放熱ルートを介して実装基板3の裏面3bに形成した放熱パターン15へと伝達される。半導体装置1においては、放熱パターン15から効率的に放熱を行うことで、ディバイス2を安定した状態に保持されるようにする。半導体装置1においては、上述した放熱構造を構成する各部が特別の工程や部品を必要とせずに同一工程中で形成されることで、コストアップとなることは無い。
【0028】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にかかる半導体装置によれば、裏面実装型ディバイスと実装基板との周辺部と中央部とに複数の補強用ダミー電極と補強用ランドとを形成してはんだ付け固定することによって熱膨張率の差により発生する応力を吸収することで、相対する多数の接続電極と接続ランドとのはんだ接続部への応力集中が低減されてはんだクラック等の発生が抑制されることで大型のディバイスの搭載を可能としかつ信頼性の向上が図られるようになる。また、半導体装置によれば、特別の部品や工程を必要とせずにディバイスから発生する熱を効率的に放熱する放熱手段が補強構造を兼用して構成されることから、ディバイスの動作の安定化が図られるようになり、小型化が保持されるとともに低コストにて製造されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態として示す半導体装置の縦断面図である。
【図2】同半導体装置に用いられる実装基板の平面図である。
【図3】従来の半導体装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1 半導体装置、2 ディバイス、2a 実装面、3 実装基板、3a ディバイス実装面、3b 裏面、4 半導体チップ、5 絶縁樹脂、6 接続電極、7 周辺補強用ダミー電極、8 中央補強用ダミー電極、9 はんだボール、10 接続ランド、11 周辺補強用ランド、12 中央補強用ランド、13 接続ランド、14 放熱ビア、15 放熱パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 実装面に、多数個の接続電極が形成されるとともに、周辺部と中央部とに周辺補強用ダミー電極と中央補強用ダミー電極とが形成され、上記各接続電極と各補強用ダミー電極とにそれぞれはんだボールが接合された裏面電極型ディバイスと、上記裏面電極型ディバイスを実装するディバイス実装主面上に、上記各接続電極にそれぞれ対応して多数個の接続ランドが形成されるとともに上記補強用ダミー電極とにそれぞれ対応して周辺補強用ランドと中央補強用ランドとが形成された実装基板とを備え、上記実装基板には、上記中央補強用ランドに対応してディバイス実装主面と対向する第2の主面に導通するビアが形成されるとともに、この第2の主面に上記ビアと接続される放熱手段が形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】 上記各補強用ランドが、上記各接続ランドと形状或いは大きさを異にして形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【公開番号】特開2003−8186(P2003−8186A)
【公開日】平成15年1月10日(2003.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−188646(P2001−188646)
【出願日】平成13年6月21日(2001.6.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】