説明

半導体装置

【課題】 半導体素子のサイズを大きくすることなく、プロービング試験の際にボンディング領域に針跡が到達していないかどうかを容易に確認することができる構造を備えた半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体装置は、半導体基板上に設けられた第1の金属層26と、前記第1の金属層26上に設けられた絶縁層30と、前記絶縁層30上に設けられ、外部に露出した電極パッド面33a、33bを有する第2の金属層33と、を含み、前記第2の金属層33及び前記絶縁層30に、凹部31が形成されており、前記絶縁層30の前記凹部31内に、前記第2の金属層33が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、より具体的には、電極パッドを備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製品製造においては、早期に不良品の半導体素子を発見し、半導体装置の製造コストの低減及び生産性の向上を図るべく、当該半導体素子をテスタに接続して回路を動作させる機能検査を行っている。
【0003】
かかる機能検査において、テスタから半導体素子上に設けられた電極パッドに一時的に配線するために、予め検査対象の半導体素子の電極パッドの配置に合わせてプローブ針を配置したプローブカードが半導体素子検査用カードとして用いられる。具体的には、プローバと呼ばれる駆動装置により、プローブカードのプローブ針を検査対象の半導体素子の電極パッドに接触させて半導体素子の電気的特性の検査(プロービング試験)が行われている。
【0004】
次いで、かかるプロービング試験において良品と判断された半導体素子の電極パッドとインナーリード又は当該半導体素子が実装される配線基板の電極端子とを金(Au)等からなるボンディングワイヤで配線する、所謂ワイヤボンディングが行われる。
【0005】
ところで、近年の半導体装置の微細化により、電極パッド間のピッチ及び電極パッドのサイズが狭くなってきている。例えば電極パッド間のピッチが60μm以下の場合、図1に示す構造が採用されている。
【0006】
図1は、半導体素子の電極パッドおよび当該電極パッドの近傍の平面図である。図1に示す態様にあっては、半導体基板上に形成された二酸化シリコン(SiO)等のシリコン酸化膜(SiO)1に、略矩形形状を有する開口部2が形成され、例えばアルミニウム(Al)からなる電極パッド3が露出している。
【0007】
また、電極パッド3よりも下方の層には図示を省略するビア4が形成されている。当該ビア4には例えばアルミニウム(Al)が設けられており、外部からシリコン酸化膜(SiO)1を介して目視することができる。アルミニウム(Al)が設けられたビア4を介して電極パッド3と、電極パッド3の下方に位置する配線部とが接続されている。
【0008】
図2に、図1に示す電極パッド3を拡大して示す。図2(b)は、図2(a)に示す電極パッド3にプロービング試験を行った状態を示す。電極パッド3内には、ワイヤボンディングが行われるボンディング領域と、プロービング試験を行うためにプローブ針が接触するテスト領域が設けられている。図2において、点線で示す箇所がボンディング領域であり、ボンディング領域の隣(図2ではボンディング領域の上方)がテスト領域である。
【0009】
プロービング試験を行うときには、例えばカンチレバー方式のプローブ針を、電極パッド3に接触させ、図2(a)において矢印Aで示す方向に電極パッド3のテスト領域に擦りながら摺動(スクラブ)させる。
【0010】
しかしながら、図2(a)に示す態様では、ボンディング領域とテスト領域とが明確に分離されておらず、また、プローブ針をスクラブさせる量はコントロールすることが難しい。従って、図2(b)に示すように、プロービング試験中にプローブ針がテスト領域をはみ出し、点線で示すボンディング領域まで針跡5が到達してしまうおそれがある。
【0011】
針跡5がボンディング領域まで到達してしまうと、電極パッド3の表面が荒れ、電極パッド3の構成材料であるアルミニウム(Al)が剥離してしまうおそれがある。このような損傷を受けた電極パッド3の表面にワイヤボンディングを行っても、ボンディングワイヤを構成する例えば金(Au)と電極パッド3の構成材料であるアルミニウム(Al)との合金層が形成されない。従って、ワイヤボンディングの十分な接合強度を得ることは困難である。
【0012】
そこで、針跡がボンディング領域まで到達してしまうことを防止すべく、作業者が顕微鏡を用いて目視、或いはCCDカメラ等で撮影した画像を介して目視して、ボンディング領域に針跡が到達していないかどうかを確認する態様が提案されている。
【0013】
しかしながら、図2に示す例では、ボンディング領域とテスト領域との境界に、両者を区別するための目印が設けられていないため、当該目視により、ボンディング領域に針跡が到達していないかどうかを確認することは困難である。
【0014】
そこで、上記問題を解決するために、図3に示す態様が提案されている。ここで、図3(a)は、電極パッドおよび当該電極パッドの近傍の平面図であり、図3(b)は、図3(a)において一点鎖線B−Bで示す箇所の断面図であり、説明の便宜上、パッド部の下方の図示を省略している。
【0015】
図3に示す例では、半導体基板上に形成された二酸化シリコン(SiO)等のシリコン酸化膜(SiO)11に、略矩形形状を有する開口部12a、12bが所定の間隔、離間して形成され、アルミニウム(Al)層13の上面が電極パッドとして露出している。また、アルミニウム層13よりも下方の層には銅(Cu)層16が設けられ、タングステン(W)からなる複数のプラグ15を介して、アルミニウム(Al)層13に接続している。
【0016】
図3に示す例では、酸化膜(SiO)11の開口部12aを介して露出したアルミニウム層13の上面の領域13aが、図2に示す例のボンディング領域に相当し、開口部12bを介して露出したアルミニウム層13の上面の領域13bが、図2に示す例のテスト領域に相当する。即ち、図3に示す例では、ボンディング領域13aとテスト領域13bが所定の間隔、離間して設けられており、電極パッドにおけるテスト領域13bを目視により明確に確認することができる。
【0017】
従って、図3に示す例では、プロービング試験中にプローブ針がテスト領域をはみ出し、ボンディング領域13aまで針跡が到達してしまうことを回避することができる。よって、ボンディング領域13aにワイヤボンディングを行うときに、ボンディングワイヤを構成する例えば金(Au)と電極パッドの構成材料であるアルミニウム(Al)との合金層を形成でき、安定したワイヤボンディングを行うことができる。
【0018】
なお、ボンドパッド領域内に、平坦化された銅と酸化ケイ素フィーチャとの組み合わせを設けてボンドパッドを形成し、更に、酸化ケイ素フィーチャをエッチバックして、ボンドパッド領域内の銅内に複数の凹部を形成してなる構造が提案されている。
【0019】
また、パッド金属の下方において、最上位に位置する2つの金属層に、少なくとも2つの隣接する導体路を含ませてなる構造が提案されている。
【0020】
更に、電極パッド表面に、パッド表面層の下層にある層間絶縁膜を選択的に残し、その上に電極となるアルミを蒸着する際に選択に残した部位が盛り上がったり凹んだりして、電極パッド表面上に認識出来るパターンを擬似的に形成してなる構造が提案されている。
【0021】
また、幅広スリットビアを下層に有し、表面が凹んでいる領域をプローブ接触領域とし、幅狭スリットビアを下層に有する領域をボンディング領域とし、プローブ接触領域とボンディング領域を区分してなる構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特公表2005−522019号公報
【特許文献2】特公表2006−502561号公報
【特許文献3】特開2005−251832号公報
【特許文献4】特開2008−98225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、図3に示す例では、回路パターンを露光するための使用するフォトマスクの精度等、半導体素子を形成する際の製造過程における制限に因り、ボンディング領域13aとテスト領域13bが所定の間隔、離間して形成されている。従って、図3に示す例では電極パッドの全長を短くすることができず、よって半導体素子のサイズが大きくなり、半導体装置の製造コストを抑えることは困難である。
【0024】
また、特許文献3に記載のボンディングパッド構造は、配線メタル上に最上層メタルが形成された金属の2層構造である。そして、通常、当該パッド構造の下方には異電位の配線部が設けられる。
【0025】
かかる構造では、プロービング試験またはワイヤボンディングを行うときに最上層メタル上に応力が作用すると、最上層メタル及び配線メタルは変形するものの、配線メタルの下に位置する層間絶縁膜及び配線間絶縁膜にクラックが発生するおそれがある。かかるクラックが、配線部に到達してしまうとショートが発生する。この問題を防止するためには、配線メタルと層間絶縁膜との間に金属層を設ける必要があるが、当該金属層を設けると製造工程数が多くなり、製造コストを抑えることは困難である。
【0026】
更に、特許文献4に記載の態様にあっても、ボンディングパッドの直下に、タングステン(W)または銅(Cu)等の金属が埋め込まれた幅広スリットビア及び幅狭スリットビアと、絶縁膜とが形成されている。従って、特許文献3に記載の構造と同様に、ボンディングパッド上に応力が作用すると、絶縁膜にクラックが発生し、当該クラックが、配線部に到達してショートが発生するおそれがある。
【0027】
そこで、本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、半導体素子のサイズを大きくすることなく、プロービング試験の際にボンディング領域に針跡が到達していないかどうかを容易に確認することができる構造を備えた半導体装置を提供することを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の実施の形態によれば、半導体基板上に設けられた第1の金属層と、前記第1の金属層上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に設けられ、外部に露出した電極パッド面を有する第2の金属層と、を含み、前記第2の金属層及び前記絶縁層に、凹部が形成されており、前記絶縁層の前記凹部内に、前記第2の金属層が設けられていることを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0029】
本発明の実施の形態によれば、半導体素子のサイズを大きくすることなく、プロービング試験の際にボンディング領域に針跡が到達していないかどうかを容易に確認することができる構造を備えた半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】半導体素子の電極パッドおよび当該電極パッドの近傍の平面図である。
【図2】図1に示す電極パッドを拡大して示す図である。
【図3】半導体素子の電極パッドの別の例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の第1の例に係る半導体素子の電極パッドの構造を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態の第1の例の第1変形例に係る半導体素子の電極パッドの構造を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態の第1の例の第2変形例に係る半導体素子の電極パッドの構造を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の第1の例の第3変形例に係る半導体素子の電極パッドの構造を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態の第2の例に係る半導体素子の電極パッドの構造を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態の第2の例の第1変形例に係る半導体素子の電極パッドの構造を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態の第2の例の第2変形例に係る半導体素子の電極パッドの構造を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態の第2の例の第3変形例に係る半導体素子の電極パッドの構造を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その1)である。
【図13】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その2)である。
【図14】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その3)である。
【図15】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その4)である。
【図16】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その5)である。
【図17】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その6)である。
【図18】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その7)である。
【図19】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その8)である。
【図20】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その9)である。
【図21】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その10)である。
【図22】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その11)である。
【図23】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その12)である。
【図24】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その13)である。
【図25】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その14)である。
【図26】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その15)である。
【図27】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その16)である。
【図28】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その17)である。
【図29】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その18)である。
【図30】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その19)である。
【図31】本発明の実施の形態の半導体素子の電極パッドの構造の製造工程を示す図(その20)である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
まず、実施の形態に係る半導体素子のパッド構造について説明し、次いで、当該構造の製造方法について説明する。
【0033】
[半導体素子のパッド構造]
1.第1の例
図4を参照して、半導体素子のパッド構造の第1の例について説明する。ここで、図4(a)は、第1の例に係る電極パッドおよび当該電極パッドの近傍の平面図であり、図4(b)は、図4(a)において一点鎖線C−Cで示す箇所の断面図である。
【0034】
第1の例においては、半導体基板上に、第1の金属層としての(Cu)層(第1の金属層)26が、半導体基板上に形成されている。即ち、例えば銅(Cu)からなる配線21が、例えば二酸化シリコン(SiO)等のシリコン酸化膜(SiO)22内に設けられ、配線部23が形成されている。そして、当該配線部23上に、炭化シリコン(SiC)膜24が形成されている。炭化シリコン膜24上には、例えば二酸化シリコン(SiO)等のシリコン酸化膜(SiO)25が設けられている。シリコン酸化膜(SiO)25の上部内には、銅(Cu)層26が形成されている。
【0035】
銅(Cu)層26は例えば約800nm乃至約900nmの膜厚を有する。なお、図4(a)においては、銅(Cu)層26は点線で示している。
【0036】
銅(Cu)層26の下方には銅(Cu)層26に接続されたビア27が形成されている。ビア27内には銅(Cu)が設けられている。銅(Cu)層26およびビア27の下面には、例えば約25nmの膜厚を有するタンタル(Ta)層28が形成されている。ビア27は、タンタル(Ta)層28を介して選択的に配線21に接続している。
【0037】
銅(Cu)層26が上部内に設けられていない箇所のシリコン酸化膜(SiO)25および銅(Cu)層26上には、炭化シリコン(SiC)膜29が形成されている。炭化シリコン(SiC)膜29は例えば約70nmの膜厚を有する。
【0038】
更に、炭化シリコン(SiC)膜29上には、絶縁膜として、例えば二酸化シリコン(SiO)等の絶縁層であるシリコン酸化膜(SiO)30が設けられている。シリコン酸化膜(SiO)30は例えば約730nmの膜厚を有する。
【0039】
シリコン酸化膜(SiO)30には、凹部の一例として、1本の溝部31が形成されている。そして、シリコン酸化膜(SiO)30の上面と溝部31の内側面および底面とには、下から順に、例えばタンタル(Ta)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)が積層されたパッド接続層32が形成されている。パッド接続層32の膜厚は、例えば、タンタル(Ta)層を約10nm乃至約20nm、チタン(Ti)層を約40nm、窒化チタン(TiN)層を約30nmとしてもよい。
【0040】
パッド接続層32の上面には、アルミニウム(Al)又はアルミニウム(Al)と銅(Cu)の合金からなるパッド形成部(第2の金属層)33が形成されている。溝部31内におけるパッド形成部33は、溝部31の形状に沿った形状を有する。パッド形成部33は、例えば約1μm乃至約1.5μmの膜厚を有する。銅(Cu)層26、炭化シリコン(SiC)膜29、シリコン酸化膜(SiO)30、パッド接続層32、およびパッド形成部33は、パッド部分を構成する。
【0041】
パッド形成部33の外周部分の上面および溝部31に位置するパッド形成部33の上面には、例えば約50nmの膜厚を有する窒化チタン(TiN)層34が形成されている。
【0042】
そして、窒化チタン(TiN)層34上には、例えば約300nmの膜厚を有する二酸化シリコン(SiO)等のシリコン酸化膜35と、例えば約500nmの膜厚を有する窒化シリコン(SiN)膜36とが、カバー膜(絶縁膜)として積層形成されている。溝部31上におけるシリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36は、溝部31の形状に大略沿った形状を有する。
【0043】
このように、第1の例では、パッド形成部33の上面には、シリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36とが設けられておらず露出した箇所が形成されており、更に、溝部31上に設けられたシリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36により、当該箇所が分離している。
【0044】
露出したパッド形成部33の上面(電極パッド面)の2箇所のうち、狭い領域33aがワイヤボンディングが行われるボンディング領域であり、広い領域33bがプロービング試験を行うためにプローブ針が接触するテスト領域である。ボンディング領域33a及びテスト領域33bの何れも、平坦な表面を有する。
【0045】
ボンディング領域33aとテスト領域33bとは近接しているが、溝部31上に設けられたシリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36により分離しており、更に、パッド形成部33のうち溝部31上に位置する箇所を、シリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36を介して上方から目視することができる。
【0046】
従って、シリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36を介して上方から目視することができる、溝部31上に位置するパッド形成部33の箇所により、ボンディング領域33aとテスト領域33bとの境界部分が明確となる。従って、ボンディング領域33aを目視により明確に確認することができる。
【0047】
よって、プロービング試験中にプローブ針がテスト領域33bをはみ出し、ボンディング領域33aまで針跡が到達してしまうことを回避することができる。従って、ボンディング領域33aにワイヤボンディングを行うときに、ボンディングワイヤを構成する例えば金(Au)と電極パッドの構成材料であるアルミニウム(Al)との合金層を形成でき、安定したワイヤボンディングを行うことができる。
【0048】
更に、第1の例では、配線部23の上方に設けられた銅(Cu)層26とアルミニウム(Al)又はアルミニウム(Al)と銅(Cu)の合金からなるパッド形成部33との間に、シリコン酸化膜(SiO)30が設けられている。従って、プロービング試験またはワイヤボンディングを行うときにパッド形成部33に応力が作用し、仮にシリコン酸化膜(SiO)30にクラックが発生しても、かかるクラックは銅(Cu)層26によりその進行が妨げられる。従って、当該クラックは配線部23には到達せず、ショート等の発生を防止することができる。
【0049】
よって、特許文献3及び特許文献4に記載の構造と異なり、銅(Cu)層26と配線部23との間に前記クラックの進行を防止するための金属層を設ける必要はない。従って、第1の例の構造を容易に製造することができ、製造コストを抑えることができる。
【0050】
ところで、図4に示す例では、シリコン酸化膜(SiO)30に、1本の溝部31が形成されているが、本発明はかかる例に限定されず、図5乃至図7に示す態様であってもよい。ここで、図5乃至図7は、本発明の実施の形態の第1の例の第1変形例乃至第3変形に係る半導体素子の電極パッドの構造を示す図である。図5乃至図7において、(a)は、電極パッドおよび当該電極パッドの近傍の平面図であり、(b)は、(a)において一点鎖線C−Cで示す箇所の断面図である。なお、図5乃至図7において、図4に示した箇所と同じ箇所には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0051】
図5に示す例では、シリコン酸化膜(SiO)30に、複数の溝部31−1乃至31−3が1列状に、形成されている。3つの溝部31−1乃至31−3は夫々、平面視略矩形形状を有する。例えば、3つの溝部31−1乃至31−3は夫々、平面視正方形形状を有してもよく、また長方形形状を有してもよい。更に、正方形と長方形とが混在していてもよい。また、図5に示す例では、溝部31の形成数は複数である限り、特に限定はない。
【0052】
3つの溝部31−1乃至31−3内には、アルミニウム(Al)又はアルミニウム(Al)と銅(Cu)の合金からなるパッド形成部33が設けられており、当該パッド形成部33は、溝部31−1乃至31−3形状に沿った形状を有する。そして、溝部31上におけるシリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36は、溝部31−1乃至31−3の形状に大略沿った形状を有する。溝部31−1乃至31−3上に位置するパッド形成部33の箇所により、ボンディング領域33aとテスト領域33bとの境界部分が明確になっている。
【0053】
図6に示す例では、シリコン酸化膜(SiO)30に、複数の溝部31−4乃至31−6と、複数の溝部31−7乃至31−9とが、複数列状に形成されている。各列を構成する3つの溝部31−4乃至31−6及び3つの溝部31−7乃至31−9は夫々、平面視略矩形形状を有する。例えば、3つの溝部31−4乃至31−6及び3つの溝部31−7乃至31−9は夫々、平面視正方形形状を有してもよく、また長方形形状を有してもよい。更に、正方形と長方形とが混在していてもよい。また、図6に示す例では、1つの列を構成する溝部31の形成数は複数である限り、特に限定はなく、更に当該列の数は複数である限り、特に限定はない。
【0054】
各溝部31−4乃至31−9内には、アルミニウム(Al)又はアルミニウム(Al)と銅(Cu)の合金からなるパッド形成部33が設けられており、当該パッド形成部33は、溝部31−4乃至31−9の形状に沿った形状を有する。そして、溝部31上におけるシリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36は、溝部31−4乃至31−9の形状に大略沿った形状を有する。溝部31−4乃至31−9上に位置するパッド形成部33の箇所により、ボンディング領域33aとテスト領域33bとの境界部分が明確になっている。
【0055】
図7に示す例では、シリコン酸化膜(SiO)30に、複数の溝部31−10乃至31−12と、複数の溝部31−13及び31−14とが、複数列状に、且つ、該列の配列方向において互い違いに(千鳥状に)形成されている。溝部31−10乃至31−14は夫々、平面視略矩形形状を有する。例えば、溝部31−10乃至31−14は夫々、平面視正方形形状を有してもよく、また長方形形状を有してもよい。更に、正方形と長方形とが混在していてもよい。また、図6に示す例では、1つの列を構成する溝部31の形成数は複数である限り、特に限定はなく、更に当該列の数は複数である限り、特に限定はない。
【0056】
各溝部31−10乃至31−14内には、アルミニウム(Al)又はアルミニウム(Al)と銅(Cu)の合金からなるパッド形成部33が設けられており、当該パッド形成部33は、溝部31−10乃至31−14の形状に沿った形状を有する。そして、溝部31上におけるシリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36は、溝部31−10乃至31−14の形状に大略沿った形状を有する。溝部31−10乃至31−14上に位置するパッド形成部33の箇所により、ボンディング領域33aとテスト領域33bとの境界部分が明確になっている。
【0057】
このように、図5乃至図7に示す例においても、ボンディング領域33aとテスト領域33bは、溝部31上に設けられたシリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36により分離しており、更に、パッド形成部33のうち溝部31上に位置する箇所を、シリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36を介して上方から目視することができる。
【0058】
従って、シリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36を介して上方から目視することができる、溝部31上に位置するパッド形成部33の箇所により、ボンディング領域33aとテスト領域33bとの境界部分が明確となる。従って、ボンディング領域33aを目視により明確に確認することができる。
【0059】
よって、プロービング試験中にプローブ針がテスト領域33bをはみ出し、ボンディング領域33aまで針跡が到達してしまうことを回避することができる。従って、ボンディング領域33aにワイヤボンディングを行うときに、ボンディングワイヤを構成する例えば金(Au)と電極パッドの構成材料であるアルミニウム(Al)との合金層を形成でき、安定したワイヤボンディングを行うことができる。
【0060】
更に、配線部23の上方に設けられた銅(Cu)層26とアルミニウム(Al)又はアルミニウム(Al)と銅(Cu)の合金からなるパッド形成部33との間に、シリコン酸化膜(SiO)30が設けられている。従って、プロービング試験またはワイヤボンディングを行うときにパッド形成部33に応力が作用し、仮にシリコン酸化膜(SiO)30にクラックが発生しても、かかるクラックは銅(Cu)層26によりその進行が妨げられる。従って、当該クラックは配線部23には到達せず、ショート等の発生を防止することができる。
【0061】
よって、特許文献3及び特許文献4に記載の構造と異なり、銅(Cu)層26と配線部23との間に前記クラックの進行を防止するための金属層を設ける必要はない。従って、図5乃至図7に示す構造を容易に製造することができ、製造コストを抑えることができる。
【0062】
2.第2の例
次に、図8を参照して、半導体素子のパッド構造の第2の例について説明する。ここで、図8(a)は、第2の例に係る電極パッドおよび当該電極パッドの近傍の平面図であり、図8(b)は、図8(a)において一点鎖線D−Dで示す箇所の断面図である。なお、図5において、図4に示した箇所と同じ箇所には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0063】
図4に示す第1の例では、溝部31内において、溝部31の形状に沿った形状を有するように形成されたパッド形成部33上にシリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36とが、カバー膜として積層形成されている。
【0064】
これに対し、図8に示す第2の例では、1本の溝部31内において、溝部31の形状に沿った形状を有するように形成されたパッド形成部33上には、シリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36は積層形成されておらず、溝部31の底面に形成されたパッド形成部33が直接露出している。溝部31の底面に形成されたパッド形成部33は、他の箇所に形成されたパッド形成部33よりも低い位置に設けられているため、上方から見たときに僅かに暗く、目視することができる。
【0065】
そして溝部31の両側に位置するパッド形成部33の露出している上面の2箇所のうち、狭い領域33aがワイヤボンディングが行われるボンディング領域であり、広い領域33bがプロービング試験を行うためにプローブ針が接触するテスト領域である。
【0066】
ボンディング領域33aとテスト領域33bとは近接しているが、溝部31上に設けられ露出しているパッド形成部33により、ボンディング領域33aとテスト領域33bとの境界部分が明確となり、ボンディング領域33aを目視により明確に確認することができる。
【0067】
よって、プロービング試験中にプローブ針がテスト領域33bをはみ出し、ボンディング領域33aまで針跡が到達してしまうことを回避することができる。従って、ボンディング領域33aにワイヤボンディングを行うときに、ボンディングワイヤを構成する例えば金(Au)と電極パッドの構成材料であるアルミニウム(Al)との合金層を形成でき、安定したワイヤボンディングを行うことができる。
【0068】
更に、第2の例では、第1の例と異なり、パッド形成部33の外周部分及びその近傍の上面にのみ、窒化チタン(TiN)層34を介して、シリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36とが、カバー膜として積層形成されている。溝部31内において、溝部31の形状に沿った形状を有するように形成されたパッド形成部33上には、シリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36は積層形成されていない。
【0069】
従って、図4に示す第1の例に比し、ボンディング領域33aとテスト領域33bとの離間長さを短縮することができ、電極パッドの全長を短くすることができる。よって、複数の電極パッドを高密度に設けることができる。
【0070】
なお、第2の例においても、第1の例と同様に、配線部23の上方に設けられた銅(Cu)層26とアルミニウム(Al)又はアルミニウム(Al)と銅(Cu)の合金からなるパッド形成部33との間に、シリコン酸化膜(SiO)30が設けられている。従って、プロービング試験またはワイヤボンディングを行うときにパッド形成部33に応力が作用し、仮にシリコン酸化膜(SiO)30にクラックが発生しても、かかるクラックは銅(Cu)層26によりその進行は妨げられ、配線部23には到達せず、ショート等の発生を防止することができる。
【0071】
よって、特許文献3及び特許文献4に記載の構造と異なり、銅(Cu)層26と配線部23との間に前記クラックの進行を防止するための金属層を設ける必要はない。従って、第2の例の構造を容易に製造することができ、製造コストを抑えることができる。
【0072】
ところで、図8に示す例では、シリコン酸化膜(SiO)30に、1本の溝部31が形成されているが、本発明はかかる例に限定されず、図9乃至図11に示す態様であってもよい。ここで、図9乃至図11は、本発明の実施の形態の第2の例の第1変形例乃至第3変形に係る半導体素子の電極パッドの構造を示す図である。図9乃至図11において、(a)は、電極パッドおよび当該電極パッドの近傍の平面図であり、(b)は、(a)において一点鎖線D−Dで示す箇所の断面図である。なお、図9乃至図11において、図8に示した箇所と同じ箇所には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0073】
図9に示す例では、シリコン酸化膜(SiO)30に、複数の溝部31−15乃至31−17が1列状に、形成されている。3つの溝部31−15乃至31−17は夫々、平面視略矩形形状を有する。例えば、3つの溝部31−15乃至31−17は夫々、平面視正方形形状を有してもよく、また長方形形状を有してもよい。更に、正方形と長方形とが混在していてもよい。また、図9に示す例では、溝部31の形成数は複数である限り、特に限定はない。
【0074】
3つの溝部31−15乃至31−17内には、アルミニウム(Al)又はアルミニウム(Al)と銅(Cu)の合金からなるパッド形成部33が設けられており、当該パッド形成部33は、溝部31−15乃至31−17の形状に沿った形状を有する。溝部31−15乃至31−17上に位置するパッド形成部33の箇所により、ボンディング領域33aとテスト領域33bとの境界部分が明確になっている。
【0075】
図10に示す例では、シリコン酸化膜(SiO)30に、複数の溝部31−18乃至31−20と、複数の溝部31−21乃至31−23とが、複数列状に形成されている。各列を構成する3つの溝部31−18乃至31−20及び3つの溝部31−21乃至31−23は夫々、平面視略矩形形状を有する。例えば、3つの溝部31−18乃至31−20及び3つの溝部31−21乃至31−23は夫々、平面視正方形形状を有してもよく、また長方形形状を有してもよい。更に、正方形と長方形とが混在していてもよい。また、図10に示す例では、1つの列を構成する溝部31の形成数は複数である限り、特に限定はなく、更に当該列の数は複数である限り、特に限定はない。
【0076】
各溝部31−18乃至31−23内には、アルミニウム(Al)又はアルミニウム(Al)と銅(Cu)の合金からなるパッド形成部33が設けられており、当該パッド形成部33は、溝部31−18乃至31−23の形状に沿った形状を有する。溝部31−18乃至31−23上に位置するパッド形成部33の箇所により、ボンディング領域33aとテスト領域33bとの境界部分が明確になっている。
【0077】
図11に示す例では、シリコン酸化膜(SiO)30に、複数の溝部31−24乃至31−26と、複数の溝部31−27及び31−28とが、複数列状に、且つ、該列の配列方向において互い違いに(千鳥状に)形成されている。溝部31−24乃至31−28は夫々、平面視略矩形形状を有する。例えば、溝部31−24乃至31−28は夫々、平面視正方形形状を有してもよく、また長方形形状を有してもよい。更に、正方形と長方形とが混在していてもよい。また、図10に示す例では、1つの列を構成する溝部31の形成数は複数である限り、特に限定はなく、更に当該列の数は複数である限り、特に限定はない。
【0078】
各溝部31−24乃至31−28内には、アルミニウム(Al)又はアルミニウム(Al)と銅(Cu)の合金からなるパッド形成部33が設けられており、当該パッド形成部33は、溝部31−24乃至31−28の形状に沿った形状を有する。溝部31−24乃至31−28上に位置するパッド形成部33の箇所により、ボンディング領域33aとテスト領域33bとの境界部分が明確になっている。
【0079】
このように、図9乃至図11に示す例においても、ボンディング領域33aとテスト領域33bは、溝部31上に設けられたシリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36により分離しており、更に、パッド形成部33のうち溝部31上に位置する箇所を、シリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36を介して上方から目視することができる。
【0080】
従って、シリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36を介して上方から目視することができる、溝部31上に位置するパッド形成部33の箇所により、ボンディング領域33aとテスト領域33bとの境界部分が明確となる。従って、ボンディング領域33aを目視により明確に確認することができる。
【0081】
よって、プロービング試験中にプローブ針がテスト領域33bをはみ出し、ボンディング領域33aまで針跡が到達してしまうことを回避することができる。従って、ボンディング領域33aにワイヤボンディングを行うときに、ボンディングワイヤを構成する例えば金(Au)と電極パッドの構成材料であるアルミニウム(Al)との合金層を形成でき、安定したワイヤボンディングを行うことができる。
【0082】
更に、配線部23の上方に設けられた銅(Cu)層26とアルミニウム(Al)又はアルミニウム(Al)と銅(Cu)の合金からなるパッド形成部33との間に、シリコン酸化膜(SiO)30が設けられている。従って、プロービング試験またはワイヤボンディングを行うときにパッド形成部33に応力が作用し、仮にシリコン酸化膜(SiO)30にクラックが発生しても、かかるクラックは銅(Cu)層26によりその進行が妨げられる。従って、当該クラックは配線部23には到達せず、ショート等の発生を防止することができる。
【0083】
よって、特許文献3及び特許文献4に記載の構造と異なり、銅(Cu)層26と配線部23との間に前記クラックの進行を防止するための金属層を設ける必要はない。従って、図9乃至図11に示す構造を容易に製造することができ、製造コストを抑えることができる。
【0084】
[半導体素子のパッド構造の製造方法]
次に、上述の半導体素子のパッド構造の製造方法について説明する。
【0085】
なお、第1の例の構造の製造方法も第2の例の製造方法も基本的には同じである。よって、以下では、便宜上、上述の第1の例の構造の製造方法について主として説明し、第2の例の製造方法特有の工程ついても適宜説明する。また、図12乃至図31において、図4に示した箇所と同じ箇所には同じ符号を付している。
【0086】
先ず、周知の方法により、多層配線構造を有する配線部23を形成する。(図12(a)参照)
配線部23は、炭化シリコン(SiC)膜50上に、絶縁膜として、例えば二酸化シリコン(SiO)等のシリコン酸化膜(SiO)51が設けられ、当該シリコン酸化膜(SiO)51内にタンタル(Ta)層52に積層形成された銅(Cu)層21が形成されてなる層が複数積層されてなる。
【0087】
次に、配線部23上に、プラズマ化学気相成長(PECVD)法により、炭化シリコン(SiC)膜24と二酸化シリコン(SiO)膜25とをこの順で積層形成し、更に、反射防止膜として窒化シリコン(SiN)膜53を成膜する。(図12(b)参照)
炭化シリコン(SiC)膜24は、例えば約70nmの膜厚を有する。二酸化シリコン(SiO)膜25は、例えば約1400nm乃至約1500nmの膜厚を有する。窒化シリコン(SiN)膜53は、例えば約50nmの膜厚を有する。
【0088】
次いで、後の工程で形成されるビア27(図4参照)に相当する部分を開口させたフォトレジスト54をフォトリソグラフィ技術により、窒化シリコン(SiN)膜53上に形成する。(図13参照)。
【0089】
しかる後、フォトレジスト54をマスクに用いて、二酸化シリコン(SiO)膜25と窒化シリコン(SiN)膜53とにドライエッチングを施し、二酸化シリコン(SiO)膜25と窒化シリコン(SiN)膜53を貫通するように、孔部55を開口形成する。(図14参照)
次に、開口形成された孔部55内及び窒化シリコン(SiN)膜53上に、フォトレジスト等の樹脂56を設ける。(図15参照)
次いで、孔部55内に設けられた樹脂56の厚さが、図4に示すビア27の鉛直方向の長さになるように、孔部55内および窒化シリコン(SiN)膜53上に設けられた樹脂56を、酸素(O)プラズマによりエッチングする。(図16参照)
しかる後、後の工程で形成される銅(Cu)層26(図4参照)に相当する部分を開口させたフォトレジスト57をフォトリソグラフィ技術により、窒化シリコン(SiN)膜53上に形成する。(図17参照)。
【0090】
次に、フォトレジスト57をマスクに用いて、二酸化シリコン(SiO)膜25と窒化シリコン(SiN)膜53とにドライエッチングを施し、二酸化シリコン(SiO)膜25と窒化シリコン(SiN)膜53に、孔部58を開口形成する。(図18参照)
次いで、孔55内の樹脂56と、窒化シリコン(SiN)膜53と、フォトレジスト57とを、酸素/四フッ化炭素(O/CF)プラズマで剥離する。そして、孔55内から樹脂56を取り除かれるとビア27(図4参照)が形成される。更に、ビア27の底部に位置する炭化シリコン(SiC)膜24をドライエッチングにより取り除く。(図19参照)
しかる後、スパッタリング法により、タンタル(Ta)層28と銅(Cu)のシード層60とをこの順で、二酸化シリコン(SiO)膜25上と、孔部58とビア27の内壁部および底部とに積層形成する。(図20参照)
タンタル(Ta)層28は、例えば約25nmの膜厚を有する。銅(Cu)のシード層60は、例えば約100nmの膜厚を有する。
【0091】
次に、電解メッキ法により、タンタル(Ta)層28上に銅(Cu)層26を形成する。(図21参照)
次いで、孔部58内の銅(Cu)層の厚さが約800nm乃至約900nmになるように、孔部58の外側および上部に位置する銅(Cu)層26を化学機械研磨(CMP)により除去する。(図22参照)
次に、二酸化シリコン(SiO)膜25と、タンタル(Ta)層28と、銅(Cu)層26の上面に、プラズマ化学気相成長(PECVD)法により、炭化シリコン(SiC)膜29と二酸化シリコン(SiO)膜30とをこの順で積層形成し、更に、反射防止膜として窒化シリコン(SiN)膜61を成膜する。(図23参照)
炭化シリコン(SiC)膜29は、例えば約70nmの膜厚を有する。二酸化シリコン(SiO)膜30は、例えば約730nmの膜厚を有する。窒化シリコン(SiN)膜61は、例えば約50nmの膜厚を有する。
【0092】
次いで、後の工程で形成される溝部31(図4参照)に相当する部分を開口させたフォトレジスト62をフォトリソグラフィ技術により、窒化シリコン(SiN)膜61上に形成する。(図24参照)。
【0093】
しかる後、フォトレジスト62をマスクに用いて、窒化シリコン(SiN)膜61と二酸化シリコン(SiO)膜30とにドライエッチングを施し、更に、炭化シリコン(SiC)膜29にドライエッチングを施して、溝部31を形成する。(図25参照)
しかる後、スパッタリング法により、シリコン酸化膜(SiO)30の上面と溝部31の内壁部および底部とに、タンタル(Ta)層71、チタン(Ti)層72、窒化チタン(TiN)層73、アルミニウム(Al)層33、および窒化チタン(TiN)層34をこの順で積層形成する。(図26参照)
溝部31内におけるタンタル(Ta)層71、チタン(Ti)層72、窒化チタン(TiN)層73、アルミニウム(Al)層33、および窒化チタン(TiN)層34は、溝部31の形状に沿った形状を有する。タンタル(Ta)層71は例えば約10nm乃至約20nm、チタン(Ti)層72は例えば約40nm、窒化チタン(TiN)層73は例えば約30nmの膜厚を有する。アルミニウム(Al)層33は例えば約1μm、窒化チタン(TiN)層34は例えば約50nmの膜厚を有する。タンタル(Ta)層71、チタン(Ti)層72、および窒化チタン(TiN)層73によりパッド接続層32が形成される。
【0094】
次いで、図4に示すパッド形成部33の外形形状に沿わせて開口部を有するフォトレジスト75をフォトリソグラフィ技術により、窒化チタン(TiN)層34上に形成する。(図27参照)
しかる後、フォトレジスト75をマスクに用いて、タンタル(Ta)層71、チタン(Ti)層72、窒化チタン(TiN)層73、アルミニウム(Al)層33、および窒化チタン(TiN)層34にドライエッチングを施して、図4に示すパッド形成部33が形成される。(図28参照)
次に、化学気相成長(CVD)法により、シリコン酸化膜(SiO)30上と、窒化チタン(TiN)層34上と、タンタル(Ta)層71、チタン(Ti)層72、窒化チタン(TiN)層73、アルミニウム(Al)層33、および窒化チタン(TiN)層34の側面上とに、二酸化シリコン(SiO)35と、窒化シリコン(SiN)膜36とをこの順に積層形成する。(図29参照)
溝部31上におけるシリコン酸化膜(SiO)35と窒化シリコン(SiN)膜36は、溝部31の形状に大略沿った形状を有する。二酸化シリコン(SiO)35は、例えば約300nm乃至約500nmの膜厚を有し、窒化シリコン(SiN)膜36は、例えば約500nmの膜厚を有する。
【0095】
次いで、最終的にボンディング領域33aとテスト領域33b(図4参照)として露出させる箇所に相当する部分を開口させたフォトレジスト80を、フォトリソグラフィ技術により、窒化シリコン(SiN)膜36上に形成する。(図30参照)。
【0096】
しかる後、フォトレジスト80をマスクに用いて、窒化チタン(TiN)層34、二酸化シリコン(SiO)35、および窒化シリコン(SiN)膜36にドライエッチングを施して、ボンディング領域33aとテスト領域33bを露出させる。これにより、図4に示す本発明の実施の形態の第1の例に係る半導体素子の電極パッド構造が形成される。(図31参照)
なお、図8に示す本発明の実施の形態の第2の例に係る半導体素子の電極パッド構造の製造にあっては、図30に示す工程において、フォトレジスト80として、パッド形成部33の外周部分およびその近傍以外の箇所を開口させたフォトレジストを窒化シリコン(SiN)膜36上に形成する。そして、当該フォトレジストをマスクに用いて、窒化チタン(TiN)層34、二酸化シリコン(SiO)35、および窒化シリコン(SiN)膜36にドライエッチングを施す。その結果、上方から溝部31内に設けられたアルミニウム33により、ボンディング領域33aとテスト領域33bとの境界部分が明確となった状態でパッド形成部33の上面が露出した本発明の実施の形態の第2の例に係る半導体素子の電極パッド構造が形成される。
【0097】
なお、図5乃至図7に示す構造および図9乃至図11に示す構造の製造にあっては、図24及び図25に示す工程において、溝部31の数、位置、又は形状を、図5乃至図7および図9乃至図11に示す態様に対応させて、溝部31を形成する。次いで、図26乃至図30に示す工程を施すことにより、図5乃至図7に示す構造および図9乃至図11に示す構造が形成される。
【0098】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0099】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
半導体基板上に設けられた第1の金属層と、
前記第1の金属層上に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられ、外部に露出した電極パッド面を有する第2の金属層と、を含み、
前記第2の金属層及び前記絶縁層に、凹部が形成されており、
前記絶縁層の凹部内に、前記第2の金属層が設けられていることを特徴とする半導体装置。
(付記2)
付記1記載の半導体装置であって、
前記電極パッド面は、ワイヤボンディングが行われるボンディング領域と、プロービング試験を行うためにプローブ針が接触するテスト領域とを含み、
前記絶縁層の凹部内に設けられた前記第2の金属層は、前記ボンディング領域と前記テスト領域との境に設けられていることを特徴とする半導体装置。
(付記3)
付記1又は2記載の半導体装置であって、
前記電極パッド面の外周部分には、絶縁膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
(付記4)
付記1乃至3いずれか一項記載の半導体装置であって、
前記凹部に設けられた前記第2の金属層上に、前記絶縁膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
(付記5)
付記1乃至4いずれか一項記載の半導体装置であって、
前記凹部に設けられた前記第2の金属層上に形成された前記絶縁膜は、前記凹部に沿った断面形状を有することを特徴とする半導体装置。
(付記6)
付記1乃至5いずれか一項記載の半導体装置であって、
前記第1の金属層を構成する材料は、銅(Cu)を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記7)
付記1乃至6いずれか一項記載の半導体装置であって、
前記第2の金属層を構成する材料は、アルミニウム(Al)を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記8)
付記1乃至7いずれか一項記載の半導体装置であって、
前記電極パッド面は平坦であることを特徴とする半導体装置。
(付記9)
付記1乃至8いずれか一項記載の半導体装置であって、
前記凹部は、複数形成され、
前記複数の凹部は、1列状に形成されていることを特徴とする半導体装置。
(付記10)
付記1乃至8いずれか一項記載の半導体装置であって、
前記凹部は、複数形成され、
前記複数の凹部は、複数列状に形成されていることを特徴とする半導体装置。
(付記11)
付記10記載の半導体装置であって、
前記各列の前記凹部は、前記列の配列方向において互い違いに形成されていることを特徴とする半導体装置。
(付記12)
付記1乃至11記載の半導体装置であって、
前記凹部は、平面視略矩形形状を有することを特徴とする半導体装置。
【符号の説明】
【0100】
銅(Cu)層 26
シリコン酸化膜(SiO) 30、35
溝部 31
パッド形成部 33
ボンディング領域 33a
テスト領域 33b
窒化シリコン膜(SiN) 36

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に設けられた第1の金属層と、
前記第1の金属層上に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられ、外部に露出した電極パッド面を有する第2の金属層と、を含み、
前記第2の金属層及び前記絶縁層に、凹部が形成されており、
前記絶縁層の凹部内に、前記第2の金属層が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記電極パッド面は、ワイヤボンディングが行われるボンディング領域と、プロービング試験を行うためにプローブ針が接触するテスト領域とを含み、
前記絶縁層の凹部内に設けられた前記第2の金属層は、前記ボンディング領域と前記テスト領域との境に設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の半導体装置であって、
前記電極パッド面の外周部分には、絶縁膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項記載の半導体装置であって、
前記凹部に設けられた前記第2の金属層上に、前記絶縁膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれか一項記載の半導体装置であって、
前記凹部に設けられた前記第2の金属層上に形成された前記絶縁膜は、前記凹部に沿った断面形状を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項記載の半導体装置であって、
前記第1の金属層を構成する材料は、銅(Cu)を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項記載の半導体装置であって、
前記第2の金属層を構成する材料は、アルミニウム(Al)を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか一項記載の半導体装置であって、
前記電極パッド面は平坦であることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−206141(P2010−206141A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53197(P2009−53197)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】