説明

半導体装置

【課題】電極部と貫通電極層の間の抵抗値ばらつきに依存しない信頼性に優れた半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体基板表面2aの第1絶縁膜8の中に、外部接続端子を有する電極部18が形成され、基板をビアホール10が貫通し、ビアホール側壁10a及び基板裏面の第2絶縁膜12とビアホール底面の第1絶縁膜とに貫通電極層11が形成され、電極部と貫通電極層との間にシリサイド層9を接続形成し、ビアホール中心軸を含む平面で切断された断面において、シリサイド層の幅A≦ビアホール底部の幅Bである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板に貫通電極層が形成された半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に使用される集積回路において、パッケージ(半導体装置)の小型化が求められている。小型化の一例として、集積回路のパッケージ面積の低減を目的として、従来のワイヤーボンディングに代わって、半導体装置の半導体基板を貫通する貫通電極が用いられている。
【0003】
図9は、従来の半導体装置の一例を示す部分断面図である。
【0004】
図9において、半導体装置101は、シリコンなどの半導体基板102と、半導体基板102の裏面102bからパッド電極105に到達するビアホール107と、ビアホール107の側壁107a及び半導体基板102の裏面102bに形成された第2酸化膜109と、ビアホール107の内部及び半導体基板102の裏面102bに形成されたバリア層110及び再配線層111とから概略構成されている。
【0005】
図10は、従来の半導体装置の製造方法を示すフローチャートであり、図11A〜図12Dは、従来の半導体装置の製造方法を説明するための部分断面図である。
【0006】
最初に、図11Aに示すように、不図示の電子回路が形成された半導体基板102の表面102aの上の第1酸化膜106の上にパッド電極105及びパッシベーション膜104が形成された後、パッシベーション膜104の上に、不図示の接着剤を介して、支持基板103が接着される(図10のステップS101参照)。
【0007】
次に、図11Bに示すように、半導体基板102の裏面102bの上に、パッド電極105に相当する位置を開口するために、レジスト112が形成される(図10のステップS102参照)。
【0008】
そして、図11Cに示すように、レジスト112をマスクとして、半導体基板102をエッチングすることにより、第1酸化膜106に到達するビアホール107が形成される(図10のステップS103参照)。
【0009】
続いて、図11Dに示すように、レジスト112をマスクとして、第1酸化膜106をエッチングすることにより、パッド電極105に到達するビアホール107が形成される(図10のステップS104参照)。
【0010】
次に、図12Aに示すように、レジスト112を半導体基板102の裏面102bから除去する(図10のステップS105参照)。
【0011】
そして、図12Bに示すように、ビアホール107の側壁107a及び半導体基板102の裏面102bに第2酸化膜109をそれぞれ形成する(図10のステップS106参照)。
【0012】
次に、図12Cに示すように、ビアホール107の底部の第2酸化膜109をエッチングすることにより、パッド電極105を再度露出させる(図10のステップS107参照)。
【0013】
続いて、図12Dに示すように、バリア層110及び再配線層111を第2酸化膜109上に順に形成する(図10のステップS108参照)。
【0014】
パッド電極105は、バリア層110及び再配線層111で構成される貫通電極108を通して、半導体基板102の裏面102bへ電気的に接続されている。
【0015】
パッド電極105と貫通電極108は、ビアホール107の内径に応じた面積で接触しており、パッド電極105と貫通電極108の間の抵抗値は、この接触面積によって決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−235860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、前記従来の構成では、パッド電極105と貫通電極108の間の抵抗値はビアホール107の内径の寸法に依存するため、その抵抗値は、ビアホール107の内径の寸法のばらつきにより変動するという課題を有している。
【0018】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、パッド電極と貫通電極との間の抵抗値がビアホールの内径の寸法のばらつきに依存しない、信頼性に優れた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0020】
本発明の第1態様によれば、半導体基板の表面に形成された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜の中に形成され、かつ、外部接続端子を有する電極部と、
前記半導体基板の裏面から前記表面に貫通するビアホールと、
前記ビアホールの側壁及び前記半導体基板の前記裏面に形成された第2絶縁膜と、
前記ビアホールの前記側壁上の前記第2絶縁膜と前記半導体基板の前記裏面上の前記第2絶縁膜と前記ビアホールの底面の前記第1絶縁膜とに形成された貫通電極層と、
前記電極部と前記貫通電極層との間に形成され、かつ前記電極部及び前記貫通電極層に接続されたシリサイド層と、
を備え、
前記ビアホールの中心軸を含む平面で切断された断面における、前記シリサイド層の幅Aと前記ビアホールの底部の幅Bとの関係が、A≦Bであることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0021】
本発明の第2態様によれば、前記電極部は、
前記電極部の本体部と、
前記電極部の前記本体部と前記第1絶縁膜との間に配置された第1バリア層とを備える、第1の態様に記載の半導体装置を提供する。
【0022】
本発明の第3態様によれば、前記電極部は、
前記電極部の本体部と、
前記電極部の前記本体部と前記第1絶縁膜との間に配置されかつ前記シリサイド層に接触する第1バリア層と、
前記第1絶縁膜の外面側でかつ前記電極部の前記本体部の外面に配置されて前記外部接続端子として機能するパッド電極部とを備える、第1の態様に記載の半導体装置を提供する。
【0023】
本発明の第4態様によれば、前記シリサイド層は、前記半導体基板、ポリシリコン膜、又はアモルファスシリコン膜のいずれかに形成されることを特徴とする第1〜3のいずれか1つの態様に記載の半導体装置を提供する。
【0024】
本発明の第5態様によれば、前記シリサイド層は、タングステンシリサイド、チタンシリサイド、コバルトシリサイド、又は、ニッケルシリサイドのいずれかからから成ることを特徴とする第1〜4のいずれか1つの態様に記載の半導体装置を提供する。
【0025】
本発明の第6態様によれば、前記電極部の本体部は、タングステン、アルミニウム、又はその合金、銅のいずれかからから成ることを特徴とする第2又は3の態様に記載の半導体装置を提供する。
【0026】
本発明の第7態様によれば、前記第1バリア層は、チタン、チタンナイトライド、チタンタングステン、タンタル、タンタルナイトライド、又は、高融点金属の積層膜から成ることを特徴とする第2又は3の態様に記載の半導体装置を提供する。
【0027】
本発明の第8態様によれば、前記貫通電極層は、
前記ビアホールの前記側壁上の前記第2絶縁膜と前記半導体基板の前記裏面上の前記第2絶縁膜と前記ビアホールの底面の前記第1絶縁膜とに形成された第2バリア層と、
前記第2バリア層上に形成された再配線層とを備え、
前記第2バリア層は、チタン、チタンナイトライド、チタンタングステン、タンタル、タンタルナイトライド、又は、高融点金属の積層膜から成ることを特徴とする第1〜7のいずれか1つの態様に記載の半導体装置を提供する。
【0028】
本発明の第9態様によれば、前記電極部が、単一のコンタクト電極部材又は複数のコンタクト電極部材で構成されていることを特徴とする第1〜8のいずれか1つの態様に記載の半導体装置を提供する。
【0029】
本発明の第10態様によれば、前記パッド電極は、アルミニウム、銅又はその合金と、チタン、チタンナイトライド、タンタル、タンタルナイトライド、高融点金属、又は、その化合物のいずれかからから成ることを特徴とする第3の態様に記載の半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、本発明の半導体装置によれば、パッド電極を含む電極部と貫通電極層との間の抵抗値は、前記電極部及び前記貫通電極層に接続されたシリサイド層の幅(例えば、シリサイド層が円形の場合の直径)寸法に依存し、ビアホールの幅(例えば、ビアホールが円形の場合の内径)寸法のばらつきに依存しないため、抵抗値ばらつきに依存しない信頼性に優れた半導体装置を提供することができる。
【0031】
また、ビアホールの幅(例えば、ビアホールが円形の場合の内径)寸法は電極部のパッド電極の幅(例えば、パッド電極が円形の場合の直径)寸法よりも大きくすることが可能であるため、ビアホールのアスペクト比を低減することもできる。
【0032】
さらに、ビアホールの幅(例えば、ビアホールが円形の場合の内径)寸法は、電極部のパッド電極の幅(例えば、パッド電極が円形の場合の直径)寸法よりも大きくすることが可能であるため、電極部のパッド電極の大きさを縮小することにより、半導体装置の一例としての半導体チップの面積を削減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置の部分断面図
【図2】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法を示すフローチャート
【図3A】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図3B】図3Aに続く、本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図3C】図3Bに続く、本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図3D】図3Cに続く、本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図4A】図3Dに続く、本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図4B】図4Aに続く、本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図4C】図4Bに続く、本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図4D】本発明の実施の形態1の変形例1における半導体装置を示す部分断面図
【図4E】本発明の実施の形態1の変形例2における半導体装置を示す部分断面図
【図4F】本発明の実施の形態1の変形例3における半導体装置を示す部分断面図
【図5】本発明の実施の形態2における半導体装置の部分断面図
【図6】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法を示すフローチャート
【図7A】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法を示す部分断面図
【図7B】図7Aに続く、本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法を示す部分断面図
【図7C】図7Bに続く、本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法を示す部分断面図
【図7D】図7Cに続く、本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法を示す部分断面図
【図8A】図7Dに続く、本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法を示す部分断面図
【図8B】図8Aに続く、本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法を示す部分断面図
【図8C】図8Bに続く、本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法を示す部分断面図
【図8D】本発明の実施の形態2の変形例1における半導体装置を示す部分断面図
【図8E】本発明の実施の形態2の変形例2における半導体装置を示す部分断面図
【図8F】本発明の実施の形態2の変形例3における半導体装置を示す部分断面図
【図9】従来の半導体装置の部分断面図
【図10】従来の半導体装置の製造方法を示すフローチャート
【図11A】従来の半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図11B】図11Aに続く、従来の半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図11C】図11Bに続く、従来の半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図11D】図11Cに続く、従来の半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図12A】図11Dに続く、従来の半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図12B】図12Aに続く、従来の半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図12C】図12Bに続く、従来の半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図12D】図12Cに続く、従来の半導体装置の製造方法の工程を示す部分断面図
【図13】本発明の実施の形態1の半導体装置において、コンタクト電極形成前にシリサイドを形成する場合に、コンタクト電極が複数のコンタクト電極部材である例を示す部分断面図
【図14】本発明の実施の形態1の半導体装置において、コンタクト電極形成後にシリサイドを形成する場合に、コンタクト電極が複数のコンタクト電極部材である例を示す部分断面図
【図15】本発明の実施の形態2の半導体装置において、コンタクト電極形成前にシリサイドを形成する場合に、コンタクト電極が複数のコンタクト電極部材である例を示す部分断面図
【図16】本発明の実施の形態2の半導体装置において、コンタクト電極形成後にシリサイドを形成する場合に、コンタクト電極が複数のコンタクト電極部材である例を示す部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、同じ構成には同じ符号を付して説明を省略している。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における半導体装置の部分断面図である。
【0036】
図1において、半導体装置1は、半導体基板2と、第1酸化膜8と、電極部18(パッド電極5と、コンタクト電極6と、第1バリア層7)と、シリサイド層9と、ビアホール10と、第2酸化膜12と、貫通電極層11(第2バリア層13と再配線層14)と、支持基板3と、絶縁膜の一例であるパッシベーション膜4とで構成されている。
【0037】
第1酸化膜8は、例えばSiOなどで構成され、絶縁膜の一例として、半導体基板2の表面(図1では下面)2aに形成されて、半導体基板2とパッド電極5とを絶縁する機能を有している。
【0038】
パッド電極5は、電極部の外部接続端子の一例として機能し、後述する導電性材料で構成され、第1酸化膜8の表面に、第1酸化膜8の表面から突出して形成されている。
【0039】
コンタクト電極6は、電極部の本体部の一例として機能し、後述する導電性材料で構成され、第1酸化膜8の内部に形成され、かつ外面がパッド電極5に接触してパッド電極5と接続されている。図1では、コンタクト電極6は、パッド電極5よりも幅が小さく形成されている。
【0040】
第1バリア層7は、電極部の一部を構成し、後述する導電性材料で構成され、パッド電極5と接続された外面を除くコンタクト電極6の他の面(側面及び内面)をすべて覆うように形成されて、第1酸化膜8とコンタクト電極6との密着性を高める機能を有している。なお、この第1バリア層7は、パッド電極5と接続された外面に形成されていても良い。
【0041】
シリサイド層9は、後述するように金属とシリコンの合金で構成された導電性材料を有し、かつ、コンタクト電極6の内面側に、第1バリア層7を介して配置される。このシリサイド層9は、コンタクト電極6と貫通電極層11との間の低抵抗を目的とするものである。すなわち、コンタクト電極6上の第1バリア層7と後述する貫通電極層11との間に形成されて、貫通電極層11及び第1バリア層7に接続されるように形成されている。このシリサイド層9を配置した目的は、パッド電極5と貫通電極層11との間の抵抗値が、ビアホール10の内径に依存しないようにすることである。そのため、シリサイド層9の材料は、低抵抗を目的にTiSiなどを用いる。
【0042】
本実施の形態でのシリサイド層9は、ビアホール10内に向けて(表面2aよりも上向きに)、ビアホール10の底面より少し突出して形成されているが、Siと相互拡散せずにシリサイドを形成する材料の場合は、必ずしも突出する必要はない。
【0043】
ビアホール10は、半導体基板2の裏面(図1の紙面上面)2bから表面(図1の紙面下面)2aまで、すなわち、シリサイド層9及び第1酸化膜8に到達するように、半導体基板2を貫通して、形成されている。ビアホール10は、図1に示すように、裏面2bから表面2aに向かうに従い内径が徐々に小さくなるように側壁10aが傾斜した、やや先すぼまりの円錐面形状を側壁10aが有するように形成されている。
【0044】
第2酸化膜12は、例えばSiOなどで構成され、絶縁膜の一例として、ビアホール10の側壁10aの全面及び半導体基板2の裏面2bに形成されて、貫通電極層11と半導体基板2とを絶縁する機能を有している。
【0045】
貫通電極層11は、第2バリア層13と再配線層14とで構成されている。
【0046】
第2バリア層13は、第2酸化膜12と再配線層14との密着性を高めるためのものであり、後述するような材料で構成され、ビアホール10の底面(すなわち、半導体基板2の表面2aとシリサイド層9)上とビアホール10の側壁10aの第2酸化膜12の上と半導体基板2の裏面2bの第2酸化膜12の上とに一体的に形成され、かつビアホール10の底面でシリサイド層9と接続されている。シリサイド層9と接続する部分では、シリサイド層9がビアホール10の底面より少し突出している分だけ、ビアホール10の底面より少し盛り上がった状態で、第2バリア層13が形成されている。
【0047】
再配線層14は、第2バリア層13の上に形成されている。すなわち、ビアホール10の底面上の第2バリア層13と、ビアホール10の側壁10aの第2酸化膜12の上の第2バリア層13と、半導体基板2の裏面2bの第2酸化膜12の上の第2バリア層13とにそれぞれ一体的に再配線層14が形成されている。この再配線層14は、パッド電極5(基板表面)から、基板裏面への電気配線を目的として形成されるものであり、例えばCuなどから構成される。
【0048】
よって、パッド電極5と貫通電極層11は、コンタクト電極6と第1バリア層7とシリサイド層9とを通して電気的に接続されており、それ以外の箇所は、第1酸化膜8により電気的に絶縁されている。
【0049】
半導体基板2と貫通電極層11は、ビアホール10の側壁10a及び半導体基板2の裏面2bに形成された第2酸化膜12により電気的に絶縁されている。
【0050】
パッド電極5とコンタクト電極6は、パッド電極5とコンタクト電極6との間の抵抗が低くなる材質であれば良い。一例として、パッド電極5は、アルミニウム、銅、又はその合金と、チタン、チタンナイトライド、タンタル、タンタルナイトライド、高融点金属、又は、その化合物などで構成される導電性材料の積層膜として形成されている。コンタクト電極6は、タングステン、アルミニウム若しくはその合金、又は、銅などの導電性材料で形成されている。
【0051】
コンタクト電極6は、単一の太いコンタクト電極部材で構成してもよく、代わりに、図13〜図14に示すように、単一のコンタクト電極部材6を複数の細いコンタクト電極部材6Aに分割したような、複数のコンタクト電極部材で構成するようにしてもよい。なお、図13は、本発明の実施の形態1の半導体装置において、コンタクト電極形成前にシリサイドを形成する場合に、コンタクト電極が複数のコンタクト電極部材である例を示す部分断面図である。図14は、本発明の実施の形態1の半導体装置において、コンタクト電極形成後にシリサイドを形成する場合に、コンタクト電極が複数のコンタクト電極部材である例を示す部分断面図である。
【0052】
コンタクト電極6が円形の場合の直径は、パッド電極5が円形の場合の直径よりも必ずしも小さい必要はなく、大きくても、同じでも良い。コンタクト電極6とパッド電極5の間の抵抗値は、コンタクト電極6とパッド電極5の接触面積で決まるため、この直径は、目的とする抵抗値を達成するための接触面積に基づいて決定される。
【0053】
第1バリア層7は、第1酸化膜8とコンタクト電極6との密着性を高めるために、チタン、チタンナイトライド、チタンタングステン、タンタル、タンタルナイトライド、又は、高融点金属の積層膜で形成されている。
【0054】
半導体基板2は、シリコン等の材質からなり、導電性であっても、絶縁性であっても、半絶縁性であっても良い。
【0055】
シリサイド層9は、半導体基板2の表面2aのコンタクト電極6上に形成され、低抵抗を目的に、タングステンシリサイド、チタンシリサイド、コバルトシリサイド、又は、ニッケルシリサイドなどで形成されている。
【0056】
シリサイド層9が円形の場合の直径は、コンタクト電極6が円形の場合の直径と必ずしも同じである必要はない。
【0057】
ビアホール10の中心軸を含む平面で切断された断面(例えば図1)における、シリサイド層9の幅Aとビアホール10の底部の幅Bとの関係が、以下の(式1)の関係が成立するようにする。具体的には、シリサイド層9が円形の場合の直径Aは、ビアホール10の底部での内径Bとの間に以下の(式1)の関係が成り立つようにする。このような関係の式が成立すれば、シリサイド層9は、半導体基板2から物理的にも電気的にも確実に分離することができるためである。
【0058】
【数1】

第2バリア層13は、第2酸化膜12と再配線層14との密着性を高めるために、チタン、チタンナイトライド、チタンタングステン、タンタル、タンタルナイトライド、又は、高融点金属などの導電性材料の積層膜で形成されている。
【0059】
次に、上述した半導体装置1の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法を示すフローチャートであり、図3A〜図4Cは、本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の工程をそれぞれ説明するための部分断面図である。
【0060】
最初に、図3Aに示すように、不図示の電子回路が形成された半導体基板2の表面2aの上の第1酸化膜8の中に、シリサイド層9と第1バリア層7及びコンタクト電極6を形成した後、パッド電極5及びパッシベーション膜4が形成される(図2のステップS1参照)。
【0061】
シリサイド層9は、第1バリア層7を熱処理することで形成しても良いし、半導体基板2の表面2aに別の膜(例えば、タングステン、チタン、コバルト、又は、ニッケルなど)を成膜後に熱処理することで、タングステンシリサイド、チタンシリサイド、コバルトシリサイド、又は、ニッケルシリサイドなどとして形成しても良い。第1バリア層7を熱処理することにより半導体基板2の表面2aにシリサイド層9を形成する場合、シリサイド層9が円形の場合の直径はコンタクト電極6が円形の場合のホール径と等しくなる。一方、タングステン、チタン、コバルト、又は、ニッケルなどを成膜後に熱処理することで半導体基板2の表面2aにシリサイド層9を形成する場合、シリサイド層9が円形の場合の直径はコンタクト電極6が円形の場合のホール径と等しくても良いし、等しくなくても良い。
【0062】
そして、パッシベーション膜4の上に、不図示の接着剤を介して、支持基板3が接着される(図3A参照)。
【0063】
次に、図3Bに示すように、半導体基板2の裏面2bの上に、パッド電極5に相当する位置を開口するために、レジスト15が形成される(図2のステップS2参照)。
【0064】
そして、図3Cに示すように、レジスト15をマスクとして、半導体基板2をエッチングすることにより、シリサイド層9及び第1酸化膜8に到達するビアホール10が形成される。半導体基板2のエッチングは、ウェットエッチングでもドライエッチングでも良い(図2のステップS3参照)。
【0065】
シリサイド層9の直径Aとビアホール10の内径Bとの間に前記(式1)の関係が成り立つようにすることにより、シリサイド層9は半導体基板2から物理的にも電気的にも分離される。ビアホール10とシリサイド層9の加工精度は異なり、ビアホール10の内径のばらつきが約1μmであるのに対して、シリサイド層9の直径の加工ばらつきは約1nmである。
【0066】
また、半導体基板2をエッチングすることで、導電層としてシリサイド層9が露出されるため、第1酸化膜8のエッチングは不要である。
【0067】
次に、図3Dに示すように、レジスト15を半導体基板2の裏面2bから除去する(図2のステップS4参照)。レジスト15の除去は、ウェットプロセスでもドライプロセスでも良い。
【0068】
そして、図4Aに示すように、ビアホール10の側壁10a及び半導体基板2の裏面2bに第2酸化膜12を形成する(図2のステップS5参照)。第2酸化膜12の形成は、熱酸化法でも良いし、CVD法でも良いし、又は、スパッタ法でも良い。
【0069】
次に、図4Bに示すように、シリサイド層9及び第1酸化膜8の上の第2酸化膜12をエッチングすることにより、シリサイド層9を再度露出させる(図2のステップS6参照)。第1酸化膜8の上の第2酸化膜12はエッチングされずに残っても良い。第2酸化膜12のエッチングは、ドライエッチングが望ましい。これは、ビアホール側壁の酸化膜をエッチングせずにビアホール底部の酸化膜のみエッチングするために、異方性エッチングが必要なためである。
【0070】
続いて、図4Cに示すように、第2バリア層13及び再配線層14を形成する(図2のステップS7参照)。第2バリア層13の形成は、CVD法でも良いし、スパッタ法でも良い。再配線層14の形成は、メッキ法が望ましいが、CVD法でも良いし、スパッタ法でも良いし、又は、これらの組み合わせでも良い。再配線層14は、ビアホール10を不完全に埋め込んだ形状でも良いし、又は、完全に埋め込んだ形状でも良い。
【0071】
本実施の形態1の半導体装置1の数値例は、以下の通りである。半導体基板2の厚みは250μm、支持基板3の厚みは500μm、パッシベーション膜4の厚みは1μm、パッド電極5の大きさは一辺が150μmの正方形(ただし、必ずしも正方形である必要はない。)でかつその厚みは500nm、コンタクト電極6の直径は100μm(必ずしも円形である必要はない。)でかつその厚みは1000nm、第1バリア層7の厚みは10nm、第1酸化膜8の厚みは1μm、シリサイド層9の膜厚は10nmで直径はφ80μm(必ずしも円形である必要はない。)、ビアホール10の直径はφ200μm(必ずしも円形である必要はない。)、第2酸化膜12の厚みは500nm、第2バリア層13の厚みは20nm、再配線層14の厚みは20μm、レジスト15の厚みは20μmである。
【0072】
本実施の形態1にかかる構成によれば、パッド電極5と貫通電極層11との間の抵抗値は、シリサイド層9の直径寸法に依存し、ビアホール10の内径寸法に依存しない状態にすることができるため、パッド電極5と貫通電極層11との間の抵抗値は、ビアホール10の内径寸法のばらつきに影響されなくなり、信頼性に優れた半導体装置を提供することができるようになる。ビアホール10とシリサイド層9との加工精度は異なり、ビアホール10の内径寸法のばらつきが約1μm単位であるのに対して、シリサイド層9の直径寸法の加工ばらつきは約1nm単位であり、三桁異なるため、本実施の形態1にかかる半導体装置1は、従来よりもパッド電極5と貫通電極層11との間の抵抗値のばらつきを小さくすることができる。
【0073】
また、本実施の形態1にかかる半導体装置1において、ビアホール10の内径はパッド電極5の直径よりも大きくすることが可能であるため、ビアホール10のアスペクト比を低減することができ、さらには、パッド電極5の大きさを縮小することにより、半導体装置の一例としての半導体チップの面積を削減することができる。すなわち、本実施の形態1では、ビアホール10の中心軸方向(長手方向)の寸法と底部の幅(例えば、円形ビアホール10の直径)とのアスペクト比を従来と同じに設定すると、シリサイド層9の幅(例えば、円形シリサイド層9の直径)寸法をビアホール10の底部の幅よりも小さくすることができ、半導体チップ面積の削減が可能となる。逆に、シリサイド層9の幅(例えば、円形シリサイド層9の直径)寸法を、従来のパッド電極とビアホールの底部の幅(直径)寸法との接続部分の幅寸法と同じに設定すると、ビアホール10の幅(直径)寸法は、従来よりも大きくしてもよくなり、ビアホール10の加工がしやすくなる。
【0074】
これに対して、従来の半導体装置においては、ビアホールの底部の幅(直径)寸法の精度を向上させようとしても、ビアホールの底部の幅(直径)寸法自体をコントロールすることができず、ビアホールの底部とは反対側の開口部側の幅(直径)寸法自体しかコントロールすることができなかった。また、ビアホールは、一般に、実際には、傾斜したテーパ側面を有するため、ビアホールの底部の幅(直径)寸法をコントロールすることは非常に困難である。
【0075】
(実施の形態1の変形例1)
前記実施の形態1では、第1バリア層7とコンタクト電極6とを別々に形成しているが、これに限られるものではなく、前記実施の形態1の変形例1として、図4Dに示すように、第1バリア層7とコンタクト電極6とを一体化するようにしてもよい。すなわち、第1バリア層7を薄肉化又は省略するようにしてもよい。この変形例1を説明するにあたり、第1バリア層7の一例として、TiN層とTi層とが積層された積層膜を使用するとする。
【0076】
この第1バリア層7のTi層は、半導体基板2の一例としてのSi基板とのオーミックコンタクト(オームの法則が成り立つ接続)を形成する機能と、第1酸化膜8と第1バリア層7のTiN層との密着力を向上させる機能とを有している。オーミックコンタクトを形成する機能として、例えば、Ti層のTiと半導体基板2のSiとの熱反応によりTiSiのシリサイド層9を形成すれば、オーミックコンタクトになる。なお、第1バリア層7以外でシリサイド層9を形成すれば、このTi層は不要となる。
【0077】
また、第1バリア層7のTiN層は、半導体基板2(Si基板)へのコンタクト電極6のタングステン等の拡散防止機能を有している。なお、半導体基板2(Si基板)に拡散せずかつ密着力の良いコンタクト電極材料をコンタクト電極6として使用することができるならば、TiN層は不要となる。
【0078】
よって、前記したように、第1バリア層7以外でシリサイド層9を形成すれば、第1バリア層7のTi層を省略してTiN層のみとすることができる。また、半導体基板2(Si基板)に拡散せずかつ密着力の良いコンタクト電極材料をコンタクト電極6として使用すれば、第1バリア層7のTiN層を省略してTi層のみとすることができる。また、第1バリア層7以外でシリサイド層9を形成し、かつ、半導体基板2(Si基板)に拡散せずかつ密着力の良いコンタクト電極材料をコンタクト電極6として使用する場合には、第1バリア層7自体を形成せずに、コンタクト電極6のみとすることができる(図4D参照)。
【0079】
このように、第1バリア層7とコンタクト電極6とを別々に形成するのは、製造方法上の前記課題を解決するための1つの手段であるため、前記課題をそれぞれ解決できるならば、第1バリア層7の薄肉化又は省略を図ることが可能となり、その分、コンタクト電極6を大きくすることができる。
【0080】
(実施の形態1の変形例2)
前記実施の形態1では、第1バリア層7とコンタクト電極6とパッド電極5とを別々に形成しているが、これに限られるものではなく、前記実施の形態1の変形例2として、図4Eに示すように、第1バリア層7とコンタクト電極6とパッド電極5とを一体化するようにしてもよい。第1バリア層7とコンタクト電極6との一体化については、前記変形例1と同じであるため、ここでは、コンタクト電極6とパッド電極5との一体化について主として説明する。
【0081】
この変形例2において、コンタクト電極6は、低抵抗で半導体基板2(Si基板)とパッド電極5とに接続されている。パッド電極5は、低抵抗でコンタクト電極6に接続されており、ワイヤーボンディングを行うときには平坦部を確保する観点から必要である。すなわち、パッド電極5をコンタクト電極6とは別に設けることにより、外部電極端子として、コンタクト電極6だけの場合よりも、平坦度を向上させることができる。
【0082】
しかしながら、低抵抗で半導体基板2(Si基板)に接続すれば、コンタクト電極6とパッド電極5とを一体化して、図4Eに示すように、パッド電極5を縦断面が凸形状にすることが可能となる。また、ワイヤーボンディングを使用しない場合には、パッド電極5が平坦である必要はない。
【0083】
このように、第1バリア層7とコンタクト電極6とパッド電極5とを別々に形成するのは、製造方法上の前記課題を解決するための1つの手段であるため、前記課題をそれぞれ解決できるならば、第1バリア層7とコンタクト電極6とパッド電極5とを一体化させて形成することも可能となる。
【0084】
(実施の形態1の変形例3)
前記実施の形態1では、第2バリア層13と再配線層14とを別々に形成しているが、これに限られるものではなく、前記実施の形態1の変形例3として、図4Fに示すように、第2バリア層13と再配線層14とを一体化するようにしてもよい。なお、図4Fは図4Eの変形例2に変形例3を適用した図であるが、これに限られるものではなく、この変形例3は、前記変形例1又は図1などの前記実施の形態1にも適用可能なものである。
【0085】
この変形例3において、第2バリア層13(例えば、Tiで構成する層)は、半導体基板2(Si基板)への再配線層14の拡散防止機能と、第2酸化膜12と再配線層14との密着力の向上機能とを有している。また、再配線層14(例えば、Cuで構成する層)は、低抵抗であり、かつ、半田ボールを搭載する機能を有している。なお、半導体基板2(Si基板)への拡散防止機能と密着力の良い再配線材料を再配線層14として使用することができるならば、第2バリア層13を不要として、図4Fに示すように、再配線層14を第2バリア層13の分だけ厚肉に形成することが可能となる。
【0086】
このように、第2バリア層13と再配線層14とを別々に形成するのは、製造方法上の前記課題を解決するための1つの手段であるため、前記課題をそれぞれ解決できるならば、第2バリア層13と再配線層14とを一体化させて形成することも可能となる。
【0087】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2の半導体装置の部分断面図である。図5において、図1〜図4Cと同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0088】
本実施の形態2の特徴的な部分は、前記実施の形態1と比較して、シリサイド層9が半導体基板2の表面2aよりもパッド電極5に近い側に形成されているため、シリサイド層9と接続する貫通電極層11の底部形状が下向きに凸になっている点である。すなわち、本実施の形態2では、第1酸化膜8の厚み方向の中間部にシリサイド層9が位置して、シリサイド層9の外面側に第1バリア層7とコンタクト電極6が配置されると共に、シリサイド層9の内面側に貫通電極層11の底部の中央部が入り込んだ形状となっている。なお、これに対して、前記実施の形態1では、シリサイド層9が半導体基板2の表面2aよりもパッド電極5に遠い側に形成されているため、シリサイド層9と接続する貫通電極層11の底部形状が上向きに凸になっている。
【0089】
このように貫通電極層11の底部形状が下向きに凸になっているのは、製造方法に起因するため、本実施の形態2の半導体装置1の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図6は、本実施の形態2における半導体装置の製造方法を示すフローチャートであり、図7A〜図8Cは、本実施の形態2における半導体装置の製造方法を説明するための部分断面図である。図7A〜図8Cにおいて、図1〜図4Cと同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0090】
最初に、図7Aに示すように、不図示の電子回路が形成された半導体基板2の表面2aの上の第1酸化膜8の中に、ポリシリコン膜16とシリサイド層9と第1バリア層7及びコンタクト電極6を形成した後、パッド電極5及びパッシベーション膜4が形成される(図6のステップS11参照)。このポリシリコン膜16は、その上にシリサイドを形成するための膜であり、シリサイド形成後は不要となる膜である。ただし、完全に取り除く必要は無く、Si基板とショートしない程度であれば、シリサイド形成後に残っていても問題はない。
【0091】
ポリシリコン膜16は、第1酸化膜8が形成される前に形成されることが望ましいが、第1酸化膜8が形成された後に形成されても良い。
【0092】
シリサイド層9は、第1バリア層7を熱処理することで形成しても良いし、ポリシリコン膜16の上に別の膜(例えば、タングステン、チタン、コバルト、又は、ニッケルなど)を成膜後に熱処理することで、タングステンシリサイド、チタンシリサイド、コバルトシリサイド、又は、ニッケルシリサイドなどとして形成しても良い。第1バリア層7を熱処理することによりポリシリコン膜16の上にシリサイド層9を形成する場合、シリサイド層9が円形の場合の直径はコンタクト電極6が円形の場合のホール径と等しくなる。一方、タングステン、チタン、コバルト、又は、ニッケルなどを成膜後に熱処理することでポリシリコン膜16の上にシリサイド層9を形成する場合、シリサイド層9が円形の場合の径はコンタクト電極6が円形の場合のホール径と等しくても良いし、等しくなくても良い。
【0093】
コンタクト電極6は、単一の太いコンタクト電極部材で構成してもよく、代わりに、図15〜図16に示すように、単一のコンタクト電極部材6を複数の細いコンタクト電極部材6Aに分割したような、複数のコンタクト電極部材6Aで構成するようにしてもよい。コンタクト電極6が円形の場合の直径は、パッド電極5が円形の場合の直径よりも必ずしも小さい必要はなく、大きくても、同じでも良い。なお、図15は、本発明の実施の形態2の半導体装置において、コンタクト電極形成前にシリサイドを形成する場合に、コンタクト電極が複数のコンタクト電極部材である例を示す部分断面図である。図16は、本発明の実施の形態2の半導体装置において、コンタクト電極形成後にシリサイドを形成する場合に、コンタクト電極が複数のコンタクト電極部材である例を示す部分断面図である。
【0094】
そして、パッシベーション膜4の上に、不図示の接着剤を介して、支持基板3が接着される(図7A参照)。
【0095】
次に、図7Bに示すように、半導体基板2の裏面2bの上に、パッド電極5に相当する位置を開口するために、レジスト15が形成される(図6のステップS12参照)。
【0096】
そして、図7Cに示すように、レジスト15をマスクとして、半導体基板2とポリシリコン膜16をエッチングすることにより、シリサイド層9及び第1酸化膜8に到達するビアホール10が形成される(図6のステップS13参照)。ここで、本実施の形態2の特徴であるシリサイド層9と接続する貫通電極層11の底部形状が下凸になる。半導体基板2とポリシリコン膜16のエッチングは、ウェットエッチングでもドライエッチングでも良い。
【0097】
シリサイド層9の直径Aとビアホール10の内径Bとの間に前述の(式1)の関係が成り立つようにすることにより、シリサイド層9は半導体基板2とポリシリコン膜16とから物理的にも電気的にも分離される。ビアホール10とシリサイド層9とポリシリコン膜16の加工精度は異なり、ビアホール10の内径のばらつきが約1μm単位であるのに対して、シリサイド層9の直径の加工ばらつきは約1nm単位である。また、ポリシリコン膜16の直径の加工ばらつきは、シリサイド層9と同等であり、約1nm単位である。
【0098】
ビアホール10の内径はパッド電極5の直径よりも大きくすることが可能であるため、ビアホール10のアスペクト比を低減することができ、さらには、パッド電極5の大きさを縮小することにより、半導体装置の一例としての半導体チップの面積を削減することができる。
【0099】
また、半導体基板2とポリシリコン膜16とをエッチングすることで、導電層としてシリサイド層9が露出されるため、第1酸化膜8のエッチングは不要である。
【0100】
次に、図7Dに示すように、レジスト15を半導体基板2の裏面2bから除去する(図6のステップS14参照)。レジスト15の除去は、ウェットプロセスでもドライプロセスでも良い。
【0101】
そして、図8Aに示すように、ビアホール10の側壁10a及び半導体基板2の裏面2bに第2酸化膜12を形成する(図6のステップS15参照)。第2酸化膜12の形成は、熱酸化法でも良いし、CVD法でも良いし、又は、スパッタ法でも良い。
【0102】
次に、図8Bに示すように、シリサイド層9及び第1酸化膜8の上の第2酸化膜12をエッチングすることにより、シリサイド層9を再度露出させる(図6のステップS16参照)。第1酸化膜8の上の第2酸化膜12はエッチングされずに残っても良い。また、第1酸化膜8の側壁に形成された第2酸化膜12もエッチングされずに残っても良い。第2酸化膜12のエッチングは、ドライエッチングが望ましい。
【0103】
続いて、図8Cに示すように、第2バリア層13及び再配線層14を形成する(図6のステップS17参照)。第2バリア層13の形成は、CVD法でも良いし、スパッタ法でも良いし、又は、これらの組み合わせでも良い。再配線層14の形成は、メッキ法が望ましいが、CVD法でも良いし、スパッタ法でも良いし、これらの組み合わせでも良い。再配線層14は、ビアホール10を不完全に埋め込んだ形状でも良いし、又は、完全に埋め込んだ形状でも良い。
【0104】
本実施の形態2の半導体装置1の数値例は、前記実施の形態1の数値例に追加して、ポリシリコン膜16の厚みが150nm(ドーピング有無はどちらでも可。)である。
【0105】
本実施の形態2にかかる構成によれば、パッド電極5と貫通電極層11との間の抵抗値は、シリサイド層9の直径寸法に依存し、ビアホール10の内径寸法に依存しない状態にすることができるため、パッド電極5と貫通電極層11との間の抵抗値は、ビアホール10の内径寸法のばらつきに影響されなくなる。ビアホール10とシリサイド層9との加工精度は異なり、ビアホール10の内径寸法のばらつきが約1μm単位であるのに対して、シリサイド層9の直径寸法の加工ばらつきは約1nm単位であり、三桁異なるため、本実施の形態2にかかる半導体装置1は、従来よりもパッド電極5と貫通電極層11との間の抵抗値ばらつきを小さくすることができる。
【0106】
更に、本実施の形態2にかかる半導体装置1は、前記実施の形態1の半導体装置1よりも、パッド電極5と第1バリア層7との間のコンタクト電極6の長さが短いため、パッド電極5と貫通電極層11との間の抵抗値を小さくすることもできる。
【0107】
また、本実施の形態2にかかる半導体装置1においても、ビアホール10の内径はパッド電極5の直径よりも大きくすることが可能であるため、ビアホール10のアスペクト比を低減することができ、さらには、パッド電極5の大きさを縮小することにより、半導体装置の一例としての半導体チップの面積を削減することができる。すなわち、本実施の形態2でも、ビアホール10の中心軸方向(長手方向)の寸法と底部の幅(例えば、円形ビアホール10の直径)とのアスペクト比を従来と同じに設定すると、シリサイド層9の幅(例えば、円形シリサイド層9の直径)寸法をビアホール10の底部の幅よりも小さくすることができ、半導体チップ面積の削減が可能となる。逆に、シリサイド層9の幅(例えば、円形シリサイド層9の直径)寸法を、従来のパッド電極とビアホールの底部の幅(直径)寸法との接続部分の幅寸法と同じに設定すると、ビアホール10の幅(直径)寸法は、従来よりも大きくしてもよくなり、ビアホール10の加工がしやすくなる。
【0108】
これに対して、従来の半導体装置においては、ビアホールの底部の幅(直径)寸法の精度を向上させようとしても、ビアホールの底部の幅(直径)寸法自体をコントロールすることができず、ビアホールの底部とは反対側の開口部側の幅(直径)寸法自体しかコントロールすることができなかった。また、ビアホールは、一般に、実際には、傾斜したテーパ側面を有するため、ビアホールの底部の幅(直径)寸法をコントロールすることは非常に困難である。
【0109】
なお、本実施の形態2において、ポリシリコン膜16は、アモルファスシリコン膜、または、単結晶シリコン膜であっても同様の効果が得られる。
【0110】
(実施の形態2の変形例1)
前記実施の形態2では、第1バリア層7とコンタクト電極6とを別々に形成しているが、これに限られるものではなく、前記実施の形態2の変形例1として、図8Dに示すように、第1バリア層7とコンタクト電極6とを一体化するようにしてもよい。すなわち、第1バリア層7を薄肉化又は省略するようにしてもよい。この変形例1を説明するにあたり、第1バリア層7の一例として、TiN層とTi層とが積層された積層膜を使用するとする。
【0111】
この第1バリア層7のTi層は、半導体基板2の一例としてのSi基板とのオーミックコンタクトを形成する機能と、第1酸化膜8と第1バリア層7のTiN層との密着力を向上させる機能とを有している。オーミックコンタクトを形成する機能として、例えば、Ti層のTiと半導体基板2のSiとの熱反応によりTiSiのシリサイド層9を形成すれば、オーミックコンタクトになる。なお、第1バリア層7以外でシリサイド層9を形成すれば、Ti層は不要となる。
【0112】
また、第1バリア層7のTiN層は、半導体基板2(Si基板)へのコンタクト電極6のタングステン等の拡散防止機能を有している。なお、半導体基板2(Si基板)に拡散しないコンタクト電極材料をコンタクト電極6として使用することができるならば、TiN層は不要となる。
【0113】
よって、前記したように、第1バリア層7以外でシリサイド層9を形成すれば、第1バリア層7のTi層を省略してTiN層のみとすることができる。また、半導体基板2(Si基板)に拡散せずかつ密着力の良いコンタクト電極材料をコンタクト電極6として使用すれば、第1バリア層7のTiN層を省略してTi層のみとすることができる。また、第1バリア層7以外でシリサイド層9を形成し、かつ、半導体基板2(Si基板)に拡散せずかつ密着力の良いコンタクト電極材料をコンタクト電極6として使用する場合には、第1バリア層7自体を形成せずに、コンタクト電極6のみとすることができる(図8D参照)。
【0114】
このように、第1バリア層7とコンタクト電極6とを別々に形成するのは、製造方法上の前記課題を解決するための1つの手段であるため、前記課題をそれぞれ解決できるならば、第1バリア層7の薄肉化又は省略を図ることが可能となり、その分、コンタクト電極6を大きくすることができる。
【0115】
(実施の形態2の変形例2)
前記実施の形態2では、第1バリア層7とコンタクト電極6とパッド電極5とを別々に形成しているが、これに限られるものではなく、前記実施の形態2の変形例2として、図8Eに示すように、第1バリア層7とコンタクト電極6とパッド電極5とを一体化するようにしてもよい。第1バリア層7とコンタクト電極6との一体化については、前記変形例1と同じであるため、ここでは、コンタクト電極6とパッド電極5との一体化について主として説明する。この変形例2において、コンタクト電極6は、低抵抗で半導体基板2(Si基板)とパッド電極5とに接続されている。パッド電極5は、低抵抗でコンタクト電極6に接続されており、ワイヤーボンディングを行うときには平坦部を確保する観点から必要である。すなわち、パッド電極5をコンタクト電極6とは別に設けることにより、外部電極端子として、コンタクト電極6だけの場合よりも、平坦度を向上させることができる。しかしながら、低抵抗で半導体基板2(Si基板)に接続すれば、コンタクト電極6とパッド電極5とを一体化して、図8Eに示すように、パッド電極5を縦断面が凸形状にすることが可能となる。また、ワイヤーボンディングを使用しない場合には、パッド電極5が平坦である必要はない。
【0116】
このように、第1バリア層7とコンタクト電極6とパッド電極5とを別々に形成するのは、製造方法上の前記課題を解決するための1つの手段であるため、前記課題をそれぞれ解決できるならば、第1バリア層7とコンタクト電極6とパッド電極5とを一体化させて形成することも可能となる。
【0117】
(実施の形態2の変形例3)
前記実施の形態2では、第2バリア層13と再配線層14とを別々に形成しているが、これに限られるものではなく、前記実施の形態2の変形例3として、図8Fに示すように、第2バリア層13と再配線層14とを一体化するようにしてもよい。なお、図8Fは図8Eの変形例2に変形例3を適用した図であるが、これに限られるものではなく、この変形例3は、前記変形例1又は図5などの前記実施の形態2にも適用可能なものである。
【0118】
この変形例3において、第2バリア層13(例えば、Tiで構成する層)は、半導体基板2(Si基板)への再配線層14の拡散防止機能と、第2酸化膜12と再配線層14との密着力の向上機能とを有している。また、再配線層14(例えば、Cuで構成する層)は、低抵抗であり、かつ、半田ボールを搭載する機能を有している。なお、半導体基板2(Si基板)への拡散防止機能と密着力の良い再配線材料を再配線層14として使用することができるならば、第2バリア層13を不要として、図8Fに示すように、再配線層14を第2バリア層13の分だけ厚肉に形成することが可能となる。
【0119】
このように、第2バリア層13と再配線層14とを別々に形成するのは、製造方法上の前記課題を解決するための1つの手段であるため、前記課題をそれぞれ解決できるならば、第2バリア層13と再配線層14とを一体化させて形成することも可能となる。
【0120】
なお、上記様々な実施の形態のうちの任意の実施の形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明の半導体装置は、パッド電極と貫通電極層との間の抵抗値がビアホールの内径の寸法のばらつきに依存しない、信頼性に優れた貫通電極層を有しており、半導体基板に貫通電極層を形成する半導体装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0122】
1 半導体装置
2 半導体基板
3 支持基板
4 パッシベーション膜
5 パッド電極
6 コンタクト電極
7 第1バリア層
8 第1酸化膜
9 シリサイド層
10 ビアホール
10a 側壁
11 貫通電極層
12 第2酸化膜
13 第2バリア層
14 再配線層
15 レジスト
16 ポリシリコン膜
18 電極部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の表面に形成された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜の中に形成され、かつ、外部接続端子を有する電極部と、
前記半導体基板の裏面から前記表面に貫通するビアホールと、
前記ビアホールの側壁及び前記半導体基板の前記裏面に形成された第2絶縁膜と、
前記ビアホールの前記側壁上の前記第2絶縁膜と前記半導体基板の前記裏面上の前記第2絶縁膜と前記ビアホールの底面の前記第1絶縁膜とに形成された貫通電極層と、
前記電極部と前記貫通電極層との間に形成され、かつ前記電極部及び前記貫通電極層に接続されたシリサイド層と、
を備え、
前記ビアホールの中心軸を含む平面で切断された断面における、前記シリサイド層の幅Aと前記ビアホールの底部の幅Bとの関係が、A≦Bであることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記電極部は、
前記電極部の本体部と、
前記電極部の前記本体部と前記第1絶縁膜との間に配置された第1バリア層とを備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記電極部は、
前記電極部の本体部と、
前記電極部の前記本体部と前記第1絶縁膜との間に配置されかつ前記シリサイド層に接触する第1バリア層と、
前記第1絶縁膜の外面側でかつ前記電極部の前記本体部の外面に配置されて前記外部接続端子として機能するパッド電極部とを備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記シリサイド層は、前記半導体基板、ポリシリコン膜、又はアモルファスシリコン膜のいずれかに形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記シリサイド層は、タングステンシリサイド、チタンシリサイド、コバルトシリサイド、又は、ニッケルシリサイドのいずれかからから成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電極部の本体部は、タングステン、アルミニウム、又はその合金、銅のいずれかからから成ることを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1バリア層は、チタン、チタンナイトライド、チタンタングステン、タンタル、タンタルナイトライド、又は、高融点金属の積層膜から成ることを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記貫通電極層は、
前記ビアホールの前記側壁上の前記第2絶縁膜と前記半導体基板の前記裏面上の前記第2絶縁膜と前記ビアホールの底面の前記第1絶縁膜とに形成された第2バリア層と、
前記第2バリア層上に形成された再配線層とを備え、
前記第2バリア層は、チタン、チタンナイトライド、チタンタングステン、タンタル、タンタルナイトライド、又は、高融点金属の積層膜から成ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電極部が、単一のコンタクト電極部材又は複数のコンタクト電極部材で構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記パッド電極は、アルミニウム、銅又はその合金と、チタン、チタンナイトライド、タンタル、タンタルナイトライド、高融点金属、又は、その化合物のいずれかからから成ることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−267695(P2010−267695A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116316(P2009−116316)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】