説明

半導体装置

【課題】LCDドライバのチップサイズを縮小させる
【解決手段】シリコン基板上に構成されたLCDドライバDRV1を有する半導体装置であって、LCDドライバDRV1は、ソース出力回路領域RSに配置され、データ信号VDを生じる複数のソース出力セルCS1と、そのデータ信号VDを受けて外部に送信するための複数の出力パッドPD1とを有する。複数の出力パッドPD1はシリコン基板上の行方向に沿って並んで配置され、複数のソース出力セルCS1は行方向に沿って2行N列に並んで配置されている。特に、第1行第N列目に配置するソース出力セルCS1は、第(2N−1)番目の出力パッドPD1に電気的に接続され、第2行第N列目に配置するソース出力セルCS1は、第(2N)番目の出力パッドPD1に電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)を駆動させるLCDドライバを有する半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
行列方向に多数アレイ配置した画素を有するLCDを駆動させるための半導体装置として、LCDドライバがある。LCDドライバは、通常、ディスプレイの周辺部に配置されるため、一辺方向に細長いチップ形状を有する。
【0003】
例えば、特開2009−4441号公報(特許文献1)には、液晶表示パネルのドライバICとして、半導体基板上の複数のウェルにMOSFETを配置し、高耐圧、高静電気放電(Electrostatic Discharge:ESD)耐性を実現し得る構造が開示されている。
【0004】
また、例えば、特開2007−12864号公報(特許文献2)には、異なる電圧が印加される複数のディープ−N−ウェルを備えた、静電放電保護回路が開示されている。
【0005】
また、例えば、特開2000−305534号公報(特許文献3)および特開平8−87251号公報(特許文献4)には、ドット反転駆動方式による液晶駆動回路の駆動方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−4441号公報
【特許文献2】特開2007−12864号公報
【特許文献3】特開2000−305534号公報
【特許文献4】特開平8−87251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らが事前に検討したLCDドライバは、LCDを構成する画素の色調に応じた信号を送信する機能を有する、信号出力回路を含んでいる。LCDは多数の画素によって構成され、LCDドライバでは、その各画素に対応する信号を送信する必要がある。そこで、信号出力回路は、各画素に対応する複数の出力セルを有している。
【0008】
ここで、LCDドライバを構成する画素は行列方向に並べて配置され、同一の行方向に配置する画素は同一のゲート線によって結線され、同一の列方向に配置する画素は同一のソース線によって結線される。また、比較のための共通信号(コモン信号)が全ての画素に、供給される。LCDドライバの信号出力回路は、これらのゲート線、ソース線、および、コモン信号を送信するための回路領域である。
【0009】
このようなLCDドライバの信号出力回路において、特に、ソース信号を送信するためのソース出力回路に関して、本発明者らが検討を行ったところ、以下のような課題を生じ得ることが明らかになった。
【0010】
上述のように、同一の列方向に配置する画素は同一のソース線によって結線されている場合、列数に応じた数だけソース線が存在する。そして、LCDドライバの信号出力回路は、個々のソース線にソース出力信号を送信するために、ソース線の数に応じたソース出力セルを有している。LCDドライバ上でソース出力セルが配置される領域を、ソース出力回路領域と称する。対応するソース出力セルとソース線とは、通常の半導体製造プロセスによって形成された配線およびその配線に繋がるパッドを介して、電気的に接続されている。即ち、パッドもソース線およびソース出力セルと同数存在する。このようにLCDドライバのソース出力セルとソース線とを中継するパッドは、LCDドライバを構成する半導体基板(半導体チップ、シリコン基板)の長辺方向である行方向の一辺に沿って、並んで配置されている。そして、各々のパッドに対応するソース出力セルも、ソース出力回路領域において、行方向に沿って並んで配置されている。
【0011】
ここで、LCDドライバを構成する半導体チップには、信号出力回路領域のほかに、アナログ回路領域やメモリ領域など、種々の回路領域を有する。そして、LCD自体の移動携帯端末などへの搭載や低消費電力化などの要求から、他の半導体チップと同様に、LCDドライバの小型化が望まれている。しかしながら、ソース出力領域をはじめLCDドライバを構成する他の回路領域のサイズは、製造プロセスマージンや製造歩留まりによって決められ、その縮小には限界がある。これにより、ソース出力回路を配置する領域は、LCDドライバ自体の大きさや他の回路領域の占有率などによって規定される。更に、LCDの画素数増加の要求に応えるためには、LCDドライバにおけるソース出力回路領域の寸法は、より厳しく規定されるようになる。このような技術動向にあって、LCDドライバ上で規定されたソース出力回路領域内において、全てのソース出力セルを同一の行方向に並べて配置することが困難になることが、本発明者らの検討により明らかになった。ソース出力セルを同一の行方向に配置するのが困難になると、パッドへの配線を引き回すための領域が必要となり、LCDドライバのチップサイズを縮小することが困難になる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、LCDドライバのチップサイズを縮小させる技術を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願においては、複数の発明が開示されるが、そのうちの一実施例の概要を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0015】
半導体基板上に配置されたドライバ回路を有する半導体装置であって、ドライバ回路は、出力回路領域と、その出力回路領域に配置され、出力信号を生じる複数の出力セルと、その出力信号を受け、外部に送信するための複数のパッドとを有する。ここで、複数のパッドは半導体基板の行方向に沿って並んで配置され、複数の出力セルは行方向に沿って2行N列に並んで配置されている。特に、複数の出力セルのうち、第1行第N列目に配置する出力セルは、複数のパッドのうち、行方向に見て第(2N−1)番目に配置されたパッドと電気的に接続されている。また、複数の出力セルのうち、第2行第N列目に配置する出力セルは、複数のパッドのうち、行方向に見て第(2N)番目に配置されたパッドと電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される複数の発明のうち、上記一実施例により得られる効果を代表して簡単に説明すれば以下の通りである。
【0017】
即ち、LCDドライバのチップサイズを縮小させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1であるLCDドライバで駆動する画素の回路図である。
【図2】図1の画素をアレイ配置して液晶ディスプレイを構成した状態を表す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1である半導体装置が有するLCDドライバの要部平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1であるLCDドライバおよび液晶ディスプレイ周辺の構成図である。
【図5】本発明の実施の形態1である半導体装置が有するLCDドライバにおけるソース出力セルおよび出力パッドの配置を示す説明図である。
【図6】図5のLCDドライバにおけるソース出力セルおよび出力パッドの配列を示す説明図である。
【図7】(a),(b)は、図5のLCDドライバにおける出力パッドの二つの例を示す平面図である。
【図8】図7(a)のA−A’線に沿って見た断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2である半導体装置が有するLCDドライバの要部断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2である駆動方式における電圧条件を示すグラフ図である。
【図11】図10の駆動方式で駆動される液晶ディスプレイの説明図である。
【図12】本発明の実施の形態2である他の駆動方式における電圧条件を示すグラフ図である。
【図13】図12の駆動方式で駆動される液晶ディスプレイの説明図である。
【図14】本発明者らが事前に検討したLCDドライバの説明図である。
【図15】図14のLCDドライバの他の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。また、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
(実施の形態1)
本実施の形態1の半導体装置のLCDドライバとその駆動方式に関して、以下で詳しく説明する。
【0021】
液晶ディスプレイ(液晶表示装置、LCDともいう)は、絵や文字を表示する単位である画素(ピクセルともいう)が、縦横に複数個並べられて構成される。この画素数を増加させることで、映像中の曲線は滑らかに見えるため、高詳細化することになる。なお、カラー表示を行う場合、赤(Red:R)、緑(Green:G)、青(Blue:B)の3原色を結合して1画素が構成される。
【0022】
図1に、本実施の形態1のLCDドライバで駆動する画素PXLの回路図を示す。図2に、図1の画素PXLをアレイ配置して液晶ディスプレイ(液晶表示装置)DPを構成した状態を表す説明図を示す。画素の駆動方式であるアクティブ・マトリクス方式のスイッチとして用いられる薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)QTFTを用いた液晶ディスプレイDPの構成について、図1および図2を用いて説明する。
【0023】
液晶ディスプレイDPは、ガラス基板上に配置された、液晶ソース線SL、液晶ゲート線GL、それらの交差部に配置されたスイッチ用の薄膜トランジスタQTFT、および、そのスイッチの近傍に配置された画素容量CPによって構成される。特に、ガラス基板の列方向には液晶ソース線SLが延び、行方向には液晶ゲート線GLが延び、各画素PXLがマトリクス(行列)状に配置されている。
【0024】
同一行に配列する画素PXLの薄膜トランジスタQTFTのゲートは、液晶ゲート線GLに接続されている。また、同一列に配列する画素PXLの薄膜トランジスタQTFTのソースは、液晶ソース線SLに接続されている。また、各画素PXLの薄膜トランジスタQTFTのドレインには、液晶材が封じ込められた画素容量CPの片方の電極が接続されている。画素容量CPの他方の電極は、全ての画素PXLに共通の共通電位線CLが接続されている(コモン電極)。
【0025】
所望の液晶ゲート線GLにアドレス信号(ゲート出力信号、出力信号)VAを加えると、その行の薄膜トランジスタQTFTは導通状態(オン状態)となる。そして、当該液晶ゲート線GL上の画素PXLには、液晶ソース線SLから与えられるデータ信号(ソース出力信号、出力信号)VDが書き込まれる。一方、液晶ゲート線GLによってアドレス信号VAが加えられなかった行の画素PXLでは、薄膜トランジスタQTFTが非導通状態(オフ状態)であるから、既に書き込まれていたデータが保持(記憶)されたままとなる。
【0026】
各画素PXLの画素容量CPでは、両電極間の電位差によって階調差(色調)を表現する。いま、薄膜トランジスタQTFTがオン状態であれば、画素容量CPの一方の電極は液晶ソース線SLによって供給されるデータ信号VDと同電位になっている。他方の電極では、全ての画素PXLで共通電位線CLを共有しており、このコモン電極には比較のための基準電位としてコモン信号VCが送信されている。
【0027】
このように、液晶ディスプレイDPを構成する画素PXLに対しては、ある行の液晶ゲート線GLにアドレス信号VAが送信され、その行の画素PXLに、各列方向の液晶ソース線SLから送信されたデータ信号VDが書き込まれる。当該画素PXLでは、全ての画素PXLに共通のコモン信号VCとデータ信号VDとの電位差によって、画素容量CPの階調差を表現する。そして、他の液晶ゲート線GLが順序よく選択されることによって一画面が表示される。
【0028】
上述の液晶ゲート線GLへのアドレス信号VA、液晶ソース線SLへのデータ信号(ソース出力信号)VD、および、共通電位線CLへのコモン信号VCは、LCDドライバ(ドライバ回路)DRV1によって出力される。液晶ゲート線GLの延長線上にはアドレス信号入力端子TAが配置され、液晶ソース線SLの延長線上にはデータ信号入力端子TDが配置されている。また、共通電位線CLをまとめる一点として、コモン信号入力端子TCが配置されている。LCDドライバDRV1からの各入力信号VA,VD,VCは、これらの入力端子TA,TD,TCを介して、各信号配線GL,SL,CLに送信される。
【0029】
図3に、本実施の形態1のLCDドライバDRV1の要部平面図を示す。
【0030】
LCDドライバDRV1上は、シリコン基板(半導体基板)1上に構成される。通常、LCDドライバDRV1は、ガラス基板上の液晶ディスプレイ周辺に実装される。そのため、LCDドライバDRV1が構成されるシリコン基板1は、一辺方向に長い長方形状を有し、その長辺方向をディスプレイの外周に沿うようにして配置される。液晶ディスプレイを拡大する際には、このLCDドライバDRV1のチップサイズを縮小することになるが、この場合、LCDドライバDRV1の短辺方向に縮小すること(短辺化)が有効である。
【0031】
なお、本実施の形態1では、LCDドライバDRV1の長辺方向を行方向(第1方向)と定義する。また、LCDドライバDRV1の短辺方向を列方向(第2方向)と定義する。即ち、LCDドライバDRV1を構成するシリコン基板1は、行方向に長い長方形状である。
【0032】
LCDドライバDRV1は、上述の各信号を生じさせる回路が配置された出力信号回路領域を有する。より具体的には、ゲート出力回路領域RGや、ソース出力回路領域(出力回路領域)RSが配置されている。ゲート出力回路領域RGはゲートドライバともいう。また、ソース出力回路領域RSは、ソースドライバまたはセグメントドライバともいう。ゲート出力回路領域RGおよびソース出力回路領域RSは、上記図1,2で説明した液晶ディスプレイDPの薄膜トランジスタQTFTのゲートおよびソースにおいて、画像を時分割駆動で表示するためのアドレス信号VAおよびデータ信号VDを生じさせる回路である。本実施の形態1のLCDドライバDRV1におけるソース出力回路領域RSの構成に関しては、後に詳しく説明する。このほか、アナログ信号を処理するアナログ回路領域RAや制御回路を搭載したロジック回路領域RL、また、保護素子形成領域、メモリ回路領域、コモン出力回路領域(それぞれ図示しない)などが配置されている。ロジック回路領域RLは、各種レジスタあるいは制御回路などから構成される。また、保護素子形成領域には、ゲート出力回路領域RGやソース出力回路領域RSを正負のサージ(静電破壊)から保護するための保護素子(例えばpn接合ダイオードなど)が形成されている。
【0033】
LCDドライバDRV1上には、上記のゲート出力回路領域RGやソース出力回路領域RSなどから生じるアドレス信号VAやデータ信号VDを受け、液晶ゲート線GLや液晶ソース線SL(上記図1,2参照)などに送信するために、複数の出力パッド(複数のパッド、パッド)PD1が配置されている。複数の出力パッドPD1は、LCDドライバDRV1が構成されるシリコン基板1上において、その長辺方向である行方向に沿う辺側に並んで配置されている。これらの出力パッドPD1は液晶ディスプレイDPに各信号VA,VDを出力するためのものであるから、LCDドライバDRV1がガラス基板上に実装された際に、液晶ディスプレイDPにより近い箇所に出力パッドPD1が配置されたほうが好ましい。従って、LCDドライバDRV1が構成されるシリコン基板1の二つの長辺のうちの一方に沿うようにして出力パッドPD1を並べて配置し、当該長辺が液晶ディスプレイDP側に対向するようにして実装する。ゲート出力回路領域RGおよびソース出力回路領域RSと、出力パッドPD1とは、配線を介して電気的に接続されている。本実施の形態1のLCDドライバDRV1における、複数の出力パッドPD1の配列や、ソース出力回路領域RSとの配線接続の構成に関しては、後に詳しく説明する。
【0034】
また、LCDドライバDRV1が構成されるシリコン基板1の二つの長辺のうち、出力パッドPD1が配置されている長辺側と反対の長辺側には、外部の制御回路等から出力される信号を入力するための入力パッドPD2が配置されている。
【0035】
一例として、上記図2の液晶ディスプレイDPにおいて、その解像度がQQVGA(Quarter Quarter Video Graphics Array)の160×120画素である場合、160本の液晶ゲート線GLおよび120×3(RGB)本の液晶ソース線SLが用いられる。そして、各液晶ゲート線GLおよび各液晶ソース線SLに対応するように、520個の出力パッドPD1が必要になる。
【0036】
図4に、本実施の形態1のLCDドライバDRV1および液晶ディスプレイDP周辺の構成図を示す。システム装置から転送されてきた表示信号群101は、液晶コントローラ102に送信される。液晶コントローラ102は、表示信号群101を、表示データ103、表示データ103に同期したデータ伝送クロック104、水平期間を示す水平同期信号105、および、液晶駆動の交流タイミングを示す交流信号106に変換し、LCDドライバDRV1に送信する。また、液晶コントローラ102は、液晶ディスプレイDPの線順次選択を行う走査回路107に対して、フレームの周期を示すフレーム同期信号108、および、走査水平周期のタイミングを示す走査水平同期信号109を送信する。また、電源回路110は、液晶駆動電圧の交流極性が正極性である正極性階調基準電圧111、負極性である負極性階調基準電圧112、液晶ディスプレイDPの共通電極の基準電圧である共通電極電圧113、および、走査回路107が出力する走査駆動電圧の走査基準電圧114を発生させる。
【0037】
LCDドライバDRV1は以下の構成要素を有する。即ち、LCDドライバDRV1は、シフトレジスタ回路115、制御回路116,117、ラッチ回路118、選択回路119,120、DAC回路121,122、および、出力アンプ回路123を有する。
【0038】
シフトレジスタ回路115は、LCDドライバDRV1の内部の表示データ103およびデータ伝送クロック104を順次取り込み、ラッチ回路118に対して表示データバス124を出力する。制御回路116は、水平同期信号105からLCDドライバDRV1内部のタイミング信号として、水平ラッチ信号125と反転タイミング信号126とを生成する回路である。水平ラッチ信号125は、上述の表示データバス124と同時にラッチ回路118に出力される。これにより、ラッチ回路118では、表示データバス124の表示データをラッチして出力データ127を出力する。
【0039】
ラッチ回路118からの出力データ127は選択回路119に送信される。また、制御回路117は交流信号106から選択信号128を生成し、選択回路119に送信される。そして、選択回路119は、出力データ127および選択信号128を受けて、隣接する画素に対応した出力端子の表示データを選択し、選択データ129を出力する。この選択データ129を受けて、DAC回路121では、選択データ129に対応した正極性階調電圧を生成し、DAC回路122では、選択データ129に対応した負極性階調電圧を生成する。このように、各DAC回路121,122から、階調電圧130が生成される。
【0040】
階調電圧130は選択回路120に送信される。選択回路120では、この階調電圧130を受けて、隣接する出力端子に対応した階調電圧を選択し、選択階調電圧131を生成する。この選択階調電圧131は出力アンプ回路123によって増幅され、液晶ディスプレイDPに出力される。
【0041】
本実施の形態1のLCDドライバDRV1では、以上のようにして、液晶ディスプレイDPに出力信号を送信している。
【0042】
上記図1〜3を用いた説明では、LCDドライバDRV1が有するソース出力回路領域RSではデータ信号VDを生成させ、出力パッドPD1を介して、液晶ディスプレイDPの液晶ソース線SLに当該データ信号VDを送信するとして説明した。ここで、上述のように、液晶ディスプレイDPには列数に対応した液晶ソース線SLがある。そして、各液晶ソース線SLに対応した出力パッドPD1があり、個々に異なるデータ信号VDを生成させる必要がある。そこで、LCDドライバDRV1のソース出力回路領域RSは、個々の液晶ソース線SLに対応したデータ信号VDを生成するための個別の回路単位を有している。ここでは、その回路単位をソース出力セル(出力セル)CS1と記述する。即ち、LCDドライバDRV1のソース出力回路領域RSは、個々の液晶ソース線SLに送信するデータ信号VDを生成するための複数のソース出力セルCS1によって構成されている。そして、ソース出力セルCS1には、個々の出力パッドPD1が割り当てられている。従って、ソース出力セルCS1も、出力パッドPD1と同様に、ソース出力回路領域RSにおいて行方向に沿って並んで配置されている。なお、本実施の形態1の一つのソース出力セルCS1は、上記図4の構造図で説明したLCDドライバDRV1に含まれる構成要素のうち、シフトレジスタ回路115、ラッチ回路118、選択回路119,120,DAC回路121,122(いずれか一方)、および、出力アンプ回路123によって構成される。
【0043】
LCDドライバDRV1においてソース出力回路領域RSを構成するソース出力セルCS1は、液晶ソース線SLと同じ数だけ必要となる。ここで、図14および図15を用いて、本発明者らが事前に検討した、ソース出力回路領域RSXにおけるソース出力セルCSXの配列方法について説明する。
【0044】
図14は、本発明者らが事前に検討したLCDドライバDRVXのソース出力回路領域RSXの説明図である。ここでは、ソース出力回路領域RSXに512個のソース出力セルCSXが配置された例を示している。上述のように、LCDドライバDRVX上には多数の回路領域が設けられ、ソース出力回路領域RSXを配置できる領域には制限がある。更に、LCDドライバDRVXの縮小化が望まれる技術動向にあって、ソース出力回路領域RSXを配置できる領域は、更に厳しく制限されるようになる。一方、ソース出力回路領域RSXを構成するソース出力セルCSX個々の寸法は、製造プロセスマージンや製造歩留まりによって決められ、その縮小には限界がある。更に、液晶ディスプレイの高解像度化に伴って、ソース出力セルCSXの数も増加される傾向にある。この観点から、限られたソース出力回路領域RSX内において、全てのソース出力セルCSXを一つの行方向に配置するのが困難になってきている。
【0045】
そこで、図14に示すように、ソース出力セルCSXの配列を端の部分で折り返す配置方法について、本発明者らが検討を行った。このように、順番に配列したソース出力セルCSXの一部を折り返して配置することで、ソース出力回路領域RSXに課される行方向の寸法制約を満たすことができる。しかしながら、本発明者らの更なる検討によって、出力パッドとの配線方法において課題が生じることが明らかになった。
【0046】
図15には、図14のようにしてソース出力セルCSXを配置した場合の、ソース出力セルCSXと出力パッドPDXとの結線状態を表す説明図を示している。個々のソース出力セルCSXと出力パッドPDXとは、配線MLXによって結線されている。ここで、ソース出力セルCSXの一部を折り返して配置した場合には、その折り返し部分において、配列が2行になる。これにより、2行目の折り返し部分に配列されたソース出力セルCSXと、それに対応する出力パッドPDXとを結線するためには、配線MLXを行方向に引き回す必要が生じる。従って、ソース出力セルCSXの配列を一部折り返すことで、ソース出力回路領域RSXの行方向の寸法の縮小を図ったとしても、配線MLXを行方向に引き回して形成する分だけ寸法の増加が生してしまう。
【0047】
このような課題は、ソース出力セルCSXを、それと対応する出力パッドPDXの順番と同じ順序になるように行方向に並べ、端の一部を折り返していることに原因がある。上述のように、出力パッドPDXは、液晶ディスプレイDPの行方向に並んで配置する液晶ソース線SLに対応して並べられる。通常は、その液晶ソース線SLおよび出力パッドPDXに対応する順番通りに、ソース出力セルCSXも行方向に沿って並べて配置される。従って、ソース出力セルCSXと対応の出力パッドPDXとを結線させようとすると、配列の端部で2行に折り返された部分において、配線MLXが重なってしまう。これを回避するためには、図15のように配線MLXを行方向に引き回すか、多層配線によって配線どうしが同一層で交差しないようにする必要がある。
【0048】
そこで、このような課題を解決し得る構造として、本実施の形態1の半導体装置が有するLCDドライバDRV1の構造を、図5〜図8を用いて説明する。図5は、本実施の形態1の半導体装置が有するLCDドライバDRV1における、ソース出力セル(出力セル)CS1および出力パッドPD1の配置を示す説明図である。図6は、図5のLCDドライバDRV1におけるソース出力セルCS1および出力パッドPD1の配列を示す説明図である。図7は、図5のLCDドライバDRV1における出力パッドPD1を示す説明図である。出力パッドPD1の二つの例を示している。図8は、図7(a)の平面図のA−A’線に沿って見た断面図である。
【0049】
まず、図7および図8を用いて出力パッドPD1の構成を詳しく説明する。層間絶縁膜20上には、金属層21aが形成されている(図8参照)。金属層21aは、複数の最上層配線21bと同層の配線層からなる。最上層配線21bは複数形成されており、電源配線Vdd、基準電源配線Vssおよび信号配線等である。図7では、太い最上配線層21bは電源配線Vddまたは基準電源配線Vssを示しており、LCDドライバDRV1の長辺方向に沿って延在している。これらの金属層21aおよび最上層配線21bは、表面保護膜(保護膜)22に覆われている。表面保護膜22の一部には開口部23が形成されており、この開口部23は金属層21aの上に設けられている。開口部23は、LCDドライバDRV1の長辺方向および短辺方向において、金属層21aの寸法よりも小さく形成されている。表面保護膜22上には、下地金属膜(Under Bump Metal:UBM)24とバンプ25が形成されており、これらの下地金属膜24とバンプ25とは、開口部23を介して金属層21aと接続されている。なお、下地金属膜24は必ずしも必須ではなく、バンプ25が表面保護膜22上に形成されていれば良い。なお、入力パッドPD2(上記図3参照)の構成についても、上記と同様である。
【0050】
図7に示されるように、バンプ25は、LCDドライバDRV1の短辺方向の寸法よりも、長辺方向の寸法の方が大きくなるように形成されている。これにより、最上層配線21bがバンプ25下の領域を通過できるようになっているため、チップサイズの縮小を図れる。また、LCDドライバDRV1の長辺方向において、バンプ25の寸法は金属層21aの寸法よりも小さくなるように形成されている。これは、バンプ25を形成するときに、その下に金属層21aが存在していた方が平坦になるため、加工精度を向上させることができるからである。
【0051】
本実施の形態1の他の図面に示される出力パッドPD1については、概ねバンプ25のことを指しているとして説明する。
【0052】
また、層間絶縁膜20の材料は、例えば、酸化シリコン膜や、フッ素を含む酸化シリコン膜等からなる。また、金属層21aおよび最上層配線21bは、例えば、アルミニウムを主体とする金属膜からなる。また、表面保護膜22は、例えば、酸化シリコン膜と、その上に窒化シリコン膜を形成した積層膜からなる。また、下地金属膜24は、例えば、チタン膜、ニッケル膜、パラジウム膜、窒化チタン膜あるいは金膜などの単層膜または積層膜により形成されている。また、バンプ25は、例えば金膜により形成されている。
【0053】
図5および図6に示されているように、本実施の形態1のLCDドライバDRV1では、複数のソース出力セルCS1は、行方向に沿って2行N列に並んで配置されている。Nは列の数を示すことから、自然数(正の整数)である。また、ソース出力セルCS1は2行N列の配列に隙間無く配置している。従って、ソース出力セルCS1の総数は、偶数であれば(2N)個、奇数であれば、(2N−1)個と表すことができる。ここでは、ソース出力セルCS1の総数は偶数個の2N個であるとして、個々のセルが2行N列に配置されているものとする。
【0054】
そして、2行N列に配列する複数のソース出力セルCS1のうち、第1行第N列目に配置されたソース出力セルCS1は、複数の出力パッドPD1のうち、行方向に見て第(2N−1)番目に配置された出力パッドPD1と、配線ML1によって電気的に接続されている。更に、2行N列に配列する複数のソース出力セルCS1のうち、第2行第N列目に配置されたソース出力セルCS1は、複数の出力パッドPD1のうち、行方向に見て第(2N)番目に配置された出力パッドPD1と、配線ML1によって電気的に接続されている。
【0055】
別の表現をすれば、複数の出力パッドPD1を、行方向に沿って、順に、1,2,3・・・番目のパッドとし、それと接続されるべきソース出力セルCS1も、順に1,2,3・・・番目のセルと呼称するならば、第1番目のソース出力セルCS1を第1行目に配置し、第2番目のソース出力セルCS1を第2行目であり、かつ、第1のソース出力セルCS1と同じ列に配置する。そして、第3番目のソース出力セルCS1を第1行目における第1番目のソース出力セルCS1の隣の列に配置し、第4番目のソース出力セルCS1を第2行目の第2番目のソース出力セルCS1の隣の列であり、第3番目のソース出力セルCS1と同じ列に配置する。以後、番号を割り当てたソース出力セルCS1を同様に配列する。そして、同一番号の対応するソース出力セルCS1と出力パッドPD1とが、配線ML1によって電気的に接続されている。
【0056】
更に別の表現をすれば、複数の出力パッドPD1を、行方向に沿って、順に、1,2,3・・・番目のパッドとし、それと接続されるべきソース出力セルCS1も、順に1,2,3・・・番目のセルと呼称するならば、第1行目には奇数番号のソース出力セルCS1を配置し、第2行目には偶数番号のソース出力セルCS1を配置する。ただし、行方向に見て、第1行目および第2行目ともに同じ方向に沿って、ソース出力セルCS1の番号が増えるようにして、複数のソース出力セルCS1が配置されている。そして、同一番号の対応するソース出力セルCS1と出力パッドPD1とが、配線ML1によって電気的に接続されている。
【0057】
更に別の表現をすれば、複数の出力パッドPD1を、行方向に沿って、順に、1,2,3・・・番目のパッドと呼称するならば、第1行目に配置されるソース出力セルCS1は、奇数番目に配置された出力パッドPD1に接続され、第2行目に配置されるソース出力セルCS1は、偶数番目に配置された出力パッドPD1に接続されている。特に、1行目のソース出力セルCS1は、複数の出力パッドPD1のうち、第1,3,5・・・番目のように一つ置きに配置された出力パッドPD1に対して順番に接続されている。同様に、第2行目のソース出力セルCS1は、複数の出力パッドPD1のうち、第2,4,6・・・番目のように一つ置きに配置された出力パッドPD1に対して順番に接続されている。
【0058】
このように、本実施の形態1のLCDドライバDRV1では、ソース出力回路領域RS1を構成するソース出力セルCS1は、対応する出力パッドPD1と同様の順序では配列されておらず、上述のように奇数番号のセルと偶数番号のセルとが入れ違いに並んで配置されている。このような構造とすることで、図5および図6に示すように、配線ML1を行方向に引き回すことなく、対応するソース出力セルCS1と出力パッドPD1とを結線することができる。従って、本実施の形態1の半導体装置が有するLCDドライバによれば、LCDドライバのチップサイズを縮小させることができる。
【0059】
更に、上述のようなソース出力セルCS1の配列であれば、配線ML1が互いに交差することがない。即ち、複数の出力セルCS1と複数のパッドPD1とを接続する複数の配線ML1は、多層配線によらずに一層の配線層内に形成したとしても、互いに重ならない構造とすることができる。
【0060】
また、図5および図6などでは、行方向に沿って配置する複数の出力パッドPD1が、互い違いに配置されているように示している。即ち、複数の出力パッドPD1は千鳥配置されている。より具体的には、行方向に見て第(2N−1)番目に配置された出力パッドPD1と、行方向に見て第(2N)番目に配置された出力パッドPD1とは、列方向にずれて配置されている。通常、出力パッドPD1の上には、外部電極となるバンプがもうけられている。このため、出力パッドPD1の寸法は、接合強度の確保、接合精度、または、半導体チップを実装する側の規定などにより、LCDドライバDRV1を構成する他の回路や配線の縮小寸法に比べて、それ自体をあまり小さくできない。従って、上記のように、出力パッドPD1を互い違いに配置することで、寸法マージンを確保しつつ、各出力パッドPD1のピッチを狭くすることで、結果的に全体の寸法を小さくし易い構造とすることができる。なお、複数の出力パッドPD1は必ずしも千鳥配置に限られるものではない。即ち、複数の出力パッドPD1を第1,2,3・・・番目となるように一直線状に配置しても良い。
【0061】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、上記実施の形態1で説明したLCDドライバDRV1において、LCDの各種駆動方式に適用した形態について説明する。
【0062】
各駆動方式を説明する前に、ソース出力回路領域RSに配置された複数のソース出力セルCS1を構成する複数のMIS(Metal Insulator Semiconductor)型の電界効果トランジスタ(以下単にMISトランジスタ)について、詳しく説明する。ソース出力回路領域RSに配置された複数のソース出力セルCS1は、各々がデータ信号VDを生成するための回路構成を有している。この回路は、シリコン基板1上に形成された複数のMISトランジスタなどによって構成されている。その構造を説明するために、図9に、実施の形態1,2の半導体装置が有するLCDドライバDRV1における、ソース出力回路領域RSの要部断面図を示している。左は、ソース出力回路領域RSのうち、1行N列に配置されているソース出力セルCS1の要部断面図であり、右は、ソース出力回路領域RSのうち、2行N列に配置されているソース出力セルCS1の要部断面図である。中央は、ソース出力回路領域RSのうち、ロジック回路領域RSPの要部断面図である。ロジック回路領域RSPには、ソース出力セルCS1を構成する他の回路(例えば、ラインラッチなど)が配置されている。各領域には、酸化シリコンを主体とした絶縁膜である分離部2によって規定された領域に形成されたnチャネル型のMISトランジスタ(以下、単にn型MISトランジスタQN1,QN2)、および、pチャネル型のMISトランジスタ(以下、単にp型MISトランジスタQP1,QP2)が形成されている。
【0063】
1行N列に配置されるソース出力セルCS1と、2行N列に配置されるソース出力セルCS1とでは、同様の構成のn型MISトランジスタQN1およびp型MISトランジスタQP1とを有する。即ち、ソース出力セルCS1を構成するn型MISトランジスタQN1はpウェル3Pに形成され、シリコン基板1上にゲート絶縁膜4を介して形成されたゲート電極5、その側方下部のpウェル3Pに形成されたn型エクステンション領域6Nおよびn型拡散領域7Nを有している。また、ソース出力セルCS1を構成するp型MISトランジスタQP1は、nウェル3Nに形成され、シリコン基板1上にゲート絶縁膜4を介して形成されたゲート電極5、その側方下部のnウェル3Nに形成されたp型エクステンション領域6Pおよびp型拡散領域7Pを有している。また、ロジック回路領域RSPに配置された回路を構成するn型MISトランジスタQN2は、pウェル8Pに形成され、シリコン基板1上にゲート絶縁膜9を介して形成されたゲート電極10、その側方下部のpウェル8Pに形成されたn型エクステンション領域11Nおよびn型拡散領域12Nを有している。また、ロジック回路領域RSPに配置された回路を構成するp型MISトランジスタQP2は、nウェル8Nに形成され、シリコン基板1上にゲート絶縁膜9を介して形成されたゲート電極10、その側方下部のnウェル8Nに形成されたp型エクステンション領域11Pおよびp型拡散領域12Pを有している。また、各MISトランジスタQN1,QN2,QP1,QP2を構成するゲート電極5,10の側壁には、サイドウォールスペーサ13が形成されている。ゲート絶縁膜4,9およびサイドウォールスペーサ13は、例えば、酸化シリコンを主体とする絶縁膜などによって形成されている。また、ゲート電極5,10は、例えば、高濃度にドーピングされた多結晶シリコンを主体とする導体膜によって形成されている。
【0064】
特に、実施の形態1,2のLCDドライバDRV1のソース出力回路領域RSでは、第1行N列目に配置するソース出力セルCS1は、シリコン基板1上において行方向に沿って形成された第1共通Nウェル(第1半導体領域)NW1に配置されている。また、第2行N列目に配置するソース出力セルCS1は、シリコン基板1上において行方向に沿って形成された第2共通Nウェル(第2半導体領域)NW2に配置されている。言い換えれば、複数のソース出力セルCS1のうち、第1行目に属するセルを構成するMISトランジスタQN1,QP1は、第1共通NウェルNW1に配置され、第2行目に属するセルを構成するMISトランジスタQN1,QP1は、第2共通NウェルNW2に配置されている。また、ロジック回路領域RSPに配置された回路は、シリコン基板1上に形成された共通NウェルNWPに配置されている。
【0065】
各ソース出力セルCS1は、上述のような各MISトランジスタQN1,QN2,QP1,QP2などによって構成される集積回路によって、データ信号VDを生成する。
【0066】
図10および図11を用いて、本実施の形態2の駆動方式として、ドット反転駆動方式について説明図する。図10は、ドット反転駆動方式における電圧条件を示すグラフ図である。上記図1および上記図2などを用いて説明したコモン信号VCおよびデータ信号VDに関して、ドット反転駆動方式での時間変動を示している。図11は、ドット反転駆動方式で駆動される液晶ディスプレイDPの電位状態を示す説明図である。
【0067】
ドット反転駆動方式では、時間変動のない一定のコモン信号VCを印加する。この固定のコモン信号VCとデータ信号VDとの電位差が、各画素PXLにおける画素容量CPの両電極間の電位差となる。データ信号VDを時間と共に振幅させ、コモン信号VCに対する電位差を正負逆転させることにより、画面への焼き付きを防いでいる。ここで、上述の特許文献3または特許文献4などに開示されているように、液晶ディスプレイDP1の駆動方式をドット反転駆動方式とすることで、画質の劣化を低減できることが知られている。
【0068】
ここで、本発明者らの更なる検討によると、図11に示すように、ドット反転駆動方式では行方向に隣り合う画素PXLの電位差が常に正負逆となっている。これは、液晶ソース線SLに供給するデータ信号VDにおいて、隣り合う液晶ソース線SLに供給すべき電位の正負が逆であることを意味する。このとき、例えば上記図14および上記図15に示すような、各ソース出力セルCSXが液晶ソース線SLの順番に対応した順番通りに配置されている場合、隣り合うソース出力セルCSXは、正負逆のデータ信号VDを出力する必要がある。隣り合うソース出力セルCSXにおいて正負逆のデータ信号VDを出力させるためには、各素子を配置するウェルに対して、正負逆の電位を印加しなければならない。これは、それぞれのショートを防ぐために、同じ導電型であるウェルを隔離しなければならないことを意味する。上記図14および上記図15のような本発明者らが事前に検討した構造では、隣り合う液晶ソース線SLにデータ信号VDを送信するソース出力セルCSXは、行方向に隣り合って配置されている。従って、隣り合うソース出力セルCSXを配置するウェルを隔離することは、行方向に寸法を拡大することと同義である。即ち、液晶ディスプレイの駆動方式として、画質の劣化を低減し得るドット反転駆動方式を採用する場合、上記図14および上記図15のような本発明者らが事前に検討した構造のLCDドライバDRVXでは、寸法制約の厳しい行方向に対して寸法が拡大してしまう。
【0069】
これに対し、実施の形態1,2のLCDドライバDRV1を適用すれば、LCDドライバDRV1の行方向の寸法を拡大させることなく、本実施の形態2のドット反転駆動方式を実現できる。なぜなら、上記図5および上記図6を用いて説明したように、LCDドライバDRV1では、行方向に隣り合うソース出力セルCS1は、行方向に配列する液晶ソース線SLおよび出力パッドPD1に対し、一つ置きに接続されている。ドット反転駆動方式では、図11からも分かるように、行方向に隣り合う画素PXLに対しては正負逆のソース出力信号VDの供給を要するが、一つ置きに配置された画素PXLに対しては、正負同一のソース出力信号VDを供給すれば良い。従って、行方向に隣り合うソース出力セルCS1のウェルに対しても、正負同一の電位を供給する。
【0070】
ここで、LCDドライバDRV1のソース出力回路領域RSにおいて行方向に隣り合うソース出力セルCS1とは、同一行に配置されるソース出力セルCS1である。そして、これら同一行のソース出力セルCS1を配置するウェルに対して正負同一の電位を供給できる。言い換えれば、上記図9で説明したように、第1行第N列に配置するソース出力セルCS1を、同一の第1共通NウェルNW1に配置して良い。また、第2行第N列に配置するソース出力セルCS1を、同一の第2共通NウェルNW2に配置して良い。そして、行方向に隣り合うセル同士を隔離する必要も生じない。なぜなら、第1行第N列に配置するソース出力セルCS1と、第2行第N列に配置するソース出力セルCS1とが、隣り合う液晶ソース線SLにデータ信号VDを供給するセルであり、これらは行方向には隣り合わず、列方向に隣り合うセルだからである。
【0071】
この観点から、本実施の形態2のドット反転駆動方式において、第1行第N列に配置するソース出力セルCS1を配置する第1共通NウェルNW1と、第2行第N列に配置するソース出力セルCS1を配置する第2共通NウェルNW2とには、正負が異なる電圧が印加されることになる。従って、本実施の形態2のドット反転駆動方式を適用する際には、第1共通NウェルNW1と第2共通NウェルNW2とは隔離する必要があるが、上述のように、これらは列方向に隣り合うウェルであるから、寸法制約の厳しい行方向に拡大する必要はない。従って、画質の劣化を抑制し得る駆動方式に適用されるLCDドライバにおいて、チップサイズを縮小させることができる。
【0072】
更に、本実施の形態2のドット反転駆動方式を適用する際には、LCDドライバDRV1のソース出力回路領域RSにおいて、第1共通NウェルNW1と第2共通NウェルNW2との間に、ロジック回路領域RSPを配置することが、より好適である。なぜなら、上述のように、本実施の形態2のドット反転駆動方式を適用する場合には、第1行第N列に配置するソース出力セルCS1を配置する第1共通NウェルNW1と、第2行第N列に配置するソース出力セルCS1を配置する第2共通NウェルNW2とを隔離する必要があるからである。そこで、この間の領域にロジック回路領域RSPを配置することで、スペースを有効に活用することができる。従って、画質の劣化を抑制し得る駆動方式に適用されるLCDドライバにおいて、チップサイズをより縮小させることができる。
【0073】
また、実施の形態1,2のLCDドライバDRV1は、他の駆動方式に適用しても、同様に効果的である。図12および図13を用いて、本実施の形態2の他の駆動方式として、フレーム反転駆動方式(ライン反転駆動方式ともいう)について説明図する。図12は、フレーム反転駆動方式における電圧条件を示すグラフ図である。上記図1および上記図2などを用いて説明したコモン信号VCおよびデータ信号VDに関して、フレーム反転駆動方式での時間変動を示している。図13は、フレーム反転駆動方式で駆動される液晶ディスプレイDPの電位状態を示す説明図である。
【0074】
フレーム反転駆動方式では、コモン信号VCとデータ信号VDとが互いに逆位相で振幅しており、これらの電位差が、各画素PXLにおける画素容量CPの両電極間の電位差となる。当該電位差は時間によって正負が逆転し、画面への焼き付きを防いでいる。フレーム反転駆動方式では、互いに振幅しているコモン信号VCおよびデータ信号VDの相対的な電位差を利用することで、データ信号VDの電圧振幅を小さくすることができ、消費電力を低減することができる。
【0075】
ここで、本発明者らの更なる検討によると、図13に示すように、フレーム反転駆動方式では行方向に隣り合う画素PXLの電位差が正負同一となっている。これは、液晶ソース線SLに供給するデータ信号VDにおいて、隣り合う液晶ソース線SLに供給すべき電位の正負が同一であることを意味する。即ち、行方向に隣り合う液晶ソース線SLの電位の正負が同一であるから、行方向に一つ置きに配置する液晶ソース線SLの電位の正負も同一である。従って、上述のように、行方向に隣り合うソース出力セルCS1が、行方向に配列する液晶ソース線SLおよび出力パッドPD1に対して一つ置きに接続されているLCDドライバDRV1は、フレーム反転駆動方式に適用しても、同様に効果的である。言い換えれば、フレーム反転駆動方式では行方向に隣り合うソース出力セルCS1(行方向に一つ置きに配置する液晶ソース線SLおよび出力パッドPD1に対応)が供給するデータ信号VDの正負が同一であるから、第1行第N列のソース出力セルCS1を、全て同一の第1共通NウェルNW1に配置して良い。また、同様に、第2行第N列のソース出力セルCS1を、全て同一の第2共通NウェルNW2に配置して良い。
【0076】
なお、フレーム反転駆動方式では、行方向に隣り合う液晶ソース線SLおよび出力パッドPD1に対しても、正負が同一のソース出力信号VDが供給される。従って、第1行第N列のソース出力セルCS1を配置する第1共通NウェルNW1と、第2行第N列のソース出力セルCS1を配置する第2共通NウェルNW2とには、正負が同一である電圧が印加されることになる。これにより、フレーム反転駆動方式では、第1共通NウェルNW1と第2共通NウェルNW2との間隔も、ウェル間のショートを懸念することなく設定することができる。
【0077】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、LCDドライバを有する半導体装置の製造業に幅広く適用できる。
【符号の説明】
【0079】
1 シリコン基板(半導体基板)
2 分離部
3N,8N nウェル
3P,8P pウェル
4,9 ゲート絶縁膜
5,10 ゲート電極
6N,11N n型エクステンション領域
6P,11P p型エクステンション領域
7N,12N n型拡散領域
7P,12P p型拡散領域
13 サイドウォールスペーサ
20 層間絶縁膜
21a 金属層
21b 最上配線層
22 表面保護膜(保護膜)
23 開口部
24 下地金属膜(UBM)
25 バンプ
101 表示信号群
102 液晶コントローラ
103 表示データ
104 データ伝送クロック
105 水平同期信号
106 交流信号
107 走査回路
108 フレーム同期信号
109 走査水平同期信号
110 電源回路
111 正極性階調基準電圧
112 負極性階調基準電圧
113 共通電極電圧
114 走査基準電圧
115 シフトレジスタ回路
116,117 制御回路
118 ラッチ回路
119,120 選択回路
121,122 DAC回路
123 出力アンプ回路
124 表示データバス
125 水平ラッチ信号
126 反転タイミング信号
127 出力データ
128 選択信号
129 選択データ
130 階調電圧
131 選択階調電圧
CL 共通電位線
CP 画素容量
CS1 ソース出力セル(出力セル)
DP 液晶ディスプレイ(液晶表示装置)
DRV1 LCDドライバ(ドライバ回路)
GL 液晶ゲート線
ML1 配線
NW1 第1共通Nウェル(第1半導体領域)
NW2 第2共通Nウェル(第2半導体領域)
NWP 共通Nウェル
PD1 出力パッド(複数のパッド、パッド)
PD2 入力パッド
PXL 画素
QN1,QN2 n型MISトランジスタ
QP1,QP2 p型MISトランジスタ
QTFT 薄膜トランジスタ
RA アナログ回路領域
RG ゲート出力回路領域
RL ロジック回路領域
RS ソース出力回路領域(出力回路領域)
RSP ロジック回路領域
SL 液晶ソース線
TA アドレス信号入力端子
TC コモン信号入力端子
TD データ信号入力端子
VA アドレス信号(ゲート出力信号)
VC コモン信号
VD データ信号(ソース出力信号)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に構成されたドライバ回路を有する半導体装置であって、
前記ドライバ回路は、
出力回路領域と、
前記出力回路領域に配置され、出力信号を生じる複数の出力セルと、
前記出力信号を受け、外部に送信するための複数のパッドとを有し、
前記複数のパッドは、前記半導体基板の行方向に沿って並んで配置され、
前記複数の出力セルは、前記行方向に沿って2行N列に並んで配置され、
前記複数の出力セルのうち、
第1行第N列目に配置する前記出力セルは、前記複数のパッドのうち、前記行方向に見て第(2N−1)番目に配置された前記パッドと電気的に接続され、
第2行第N列目に配置する前記出力セルは、前記複数のパッドのうち、前記行方向に見て第(2N)番目に配置された前記パッドと電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記ドライバ回路は、液晶表示装置を駆動するLCDドライバであって、
前記出力セルが生じる前記出力信号は、前記液晶表示装置を構成する画素に送信するソース出力信号であり、
前記半導体基板は、前記行方向に長い長方形状であり、
前記複数のパッドは、前記半導体基板上における前記行方向の一辺に沿って配置され、
前記複数のパッドは、前記液晶表示装置を構成する画素のソース線に対して電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置において、
前記第1行第N列目に配置する前記出力セルは、前記半導体基板において前記行方向に沿って形成された第1半導体領域に配置され、
前記第2行第N列目に配置する前記出力セルは、前記半導体基板において前記行方向に沿って形成された第2半導体領域に配置され、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域とには、正負が異なる電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置において、
前記ドライバ回路は、ロジック回路領域を有し、
前記ロジック回路領域は、前記半導体基板において、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域との間に配置されることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置において、
前記複数の出力セルと前記複数のパッドとを接続する複数の配線は、一層の配線層内に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置において、
前記複数のパッドでは、
前記行方向に見て第(2N−1)番目に配置された前記パッドと、前記行方向に見て第(2N)番目に配置された前記パッドとは、前記列方向にずれて配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項5記載の半導体装置において、
前記複数のパッドは、前記行方向に沿って一直線状に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置において、
前記ドライバ回路は、更に、
前記半導体基板上に形成された最上配線層と、
前記最上配線層と同層の金属層と、
前記最上配線層上および前記金属層上に形成され、かつ、前記金属層上に開口部を有する保護膜と、
前記保護膜上に形成され、前記開口部を介して前記金属層と接続するバンプとを有し、
前記複数のパッドの各々は、前記バンプであることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項2記載の半導体装置において、
前記第1行第N列目に配置する前記出力セルは、前記半導体基板において前記行方向に沿って形成された第1半導体領域に配置され、
前記第2行第N列目に配置する前記出力セルは、前記半導体基板において前記行方向に沿って形成された第2半導体領域に配置され、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域とには、正負が同一である電圧が印加されることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置において、
前記複数の出力セルと前記複数のパッドとを接続する複数の配線は、一層の配線層内に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置において、
前記複数のパッドでは、
前記行方向に見て第(2N−1)番目に配置された前記パッドと、前記行方向に見て第(2N)番目に配置された前記パッドとは、前記列方向にずれて配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項10記載の半導体装置において、
前記複数のパッドは、前記行方向に沿って一直線状に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項9記載の半導体装置において、
前記ドライバ回路は、更に、
前記半導体基板上に形成された最上配線層と、
前記最上配線層と同層の金属層と、
前記最上配線層上および前記金属層上に形成され、かつ、前記金属層上に開口部を有する保護膜と、
前記保護膜上に形成され、前記開口部を介して前記金属層と接続するバンプとを有し、
前記複数のパッドの各々は、前記バンプであることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−133543(P2011−133543A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290507(P2009−290507)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】