説明

印刷はんだ検査装置

【課題】
表示されたプリント基板のレイアウト上で印刷はんだされた状態が基準のデータに対してどの程度差があるか定量的に一瞥して分布或いは傾向が認識できるようにすることが目的である。
【課題を解決するための手段】
差演算手段9により、測定された印刷はんだ状態を表す、印刷はんだの高さ、面積又は体積を、予め記憶した基準との差を偏差値として求め、階調割振手段10により、偏差値を表示上の階調で表現し、各印刷はんだ箇所毎に階調表示することで分布状態が認識できる構成にし、かつ階調表示がどの程度の偏差値かの目安となる階調スケールを表示する構成にした。さらに、より大きな目で全体の傾向が認識できるようにレイアウトを複数の領域に分けて領域毎に偏差値の平均をとり、その平均値を階調表示する構成にした。
【解決手段】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等を表面実装するためのプリント板上に、はんだ印刷装置等でクリーム状はんだが印刷されたときの印刷はんだ形成状態を測定し、検査するはんだ検査装置に関する。
【0002】
特に、基板(以下、プリント板を単に「基板」と言う。)を光学的に測定した結果として得られた測定値、例えば、基板上の印刷はんだ箇所の変位(高さを含む)或いは輝度(基板から反射した光の量、受光量(光の強さ)を含む。)等の測定値から、印刷はんだされたときの印刷はんだ量を表す要素となるデータ(高さ、面積、或いは体積等のデータ:以下、これらの一部又は全部を「判定用データ」という。)に変換して、その判定用データを判定の基準となる基準データ(例えば、設計値上の高さ、面積、体積等)と比較して判定する検査装置(方法)においては、基板の印刷はんだ箇所のパターン形状、印刷はんだ状態、測定条件、雑音、上記のデータを変換する条件等及びそれらの組み合わせからして高度の判定が要求されるため、上記判定による判定結果、特に否と判定された結果については、印刷はんだされた状態を、視覚的に確認し、印刷はんだ検査装置等の再調整をすることがしばしば行われている。本発明は、その印刷はんだされた状態が基準データ(設計値)に対して、どのような結果であるかを容易に視覚認識ができるようにした技術に係る。
【背景技術】
【0003】
従来、基板上のはんだ等の状態を光学的に測定する方法としては、レーザ光を走査しながら照射して三角測量する方法(特許文献1)、や照射光を照射して撮影(撮像)する方法(特許文献2)があるが、いずれの印刷はんだ検査装置においても、測定値をデジタル化して判定用データを形成して、基準のデータと比較して印刷はんだ状態の良否を判定していた。例えば、特許文献1では、3次元の判定用データを生成して体積、面積を判定している。しかし、実際に測定値から判定用データに変換するときは、基板の測定条件、雑音、データを変換する条件等の数々の条件を反映して、例えば、フィルタ条件等でフィルタリングして雑音を除去し、はんだを識別するためのしきい値で2値データに変換するなどの処理をした上で、面積や体積等の印刷はんだ量を表す判定用データを作るという加工処理をしている。したがって、その処理の仕方によっては、本来、良品のものも否と判定される(虚報)可能性もあり、この可能性を全く無くすことは困難である。このため、虚報の恐れのある判定結果について、現物の印刷はんだ箇所を確認し、調整する作業が発生する。また、本当に否と判定された箇所についてその原因を調査するために現物の印刷はんだ箇所を確認することが行われる。
【0004】
現物の印刷はんだ箇所を確認するにあたっては、直接確認するより、机上の表示画面で容易に現物に近い確認ができることが望ましい。そこで、今までは、図5に示すように基板の印刷はんだ箇所を記載したレイアウト上に、例えば、否(NG)と判定された箇所を赤(図5では、濃い黒)で、良(OK)と判定された箇所を青(図5で灰色)で識別して表示していた。さらに、図5の右側に示すように、レイアウト上でマーカによって印刷はんだ箇所を選択すると、その箇所における判定用データと基準データとの差を%表示していた。
【0005】
【特許文献1】特開2002−22412号公報(段落〔0030〕−〔0034〕、図5)
【特許文献2】特開2000−65552号公報(段落〔0030〕−〔0043〕、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、印刷はんだ状態の不良が発生する原因には、印刷はんだ過程において基板の部分的領域に生ずることがある。例えば、印刷はんだ後にシルクスクリーンを基板の端部から剥がすときに、その端部で印刷ズレが生じてしまう。或いは基板の検査時において、基板と検査装置との間に一部ズレが生じた状態で知らずに検査されてしまったというようなことがしばしば発生する。このような原因の場合、印刷はんだ箇所と言う「点」というより、「点の集合」或いは部分領域的な「面」で発生する。
【0007】
このような場合、印刷はんだ過程での対策、印刷はんだ基板を検査するときの環境設定、及び印刷はんだ検査装置等の設定、又はそれらの調整は、各印刷はんだ箇所毎に行うだけでは現実的ではなく、レイアウトの各部分領域的に行われる。
【0008】
このような状況において、従来の図5の様な表示では、次の欠点があった。つまり、図5のような表示形態では、印刷はんだ箇所全体の印刷はんだ状態と基準データとの差が一瞥できなかった。つまり、基準データとの差がどの部分でどのくらいズレているというような、レイアウト上での分布或いは傾向が、量的に、認識しにくかった。
【0009】
したがって、各印刷はんだ箇所間における傾向、或いは部分領域毎の傾向が一瞥でき、かつおおよそ定量的に、かつ視覚的に把握できるものが望まれていた。
【0010】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を改良するものであって、表示されたレイアウト上で印刷はんだされた状態が基準のデータに対してどの程度差があるか定量的に一瞥して分布或いは傾向が認識できる印刷はんだ検査装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するため、本発明は、測定された印刷はんだ状態と基準との差(偏差値)を階調で表現し、各印刷はんだ箇所毎に階調表示することで分布状態が認識できる構成にし、かつ階調表示がどの程度の偏差値かの目安となる階調スケールを表示する構成にした。さらに、より大きな目で全体の傾向が認識できるように複数の領域毎に偏差値の平均をとり、その平均値を階調表示する構成にした。
【0012】
なお、本発明における「階調」は、表示上の輝度の濃淡が徐々に変化する形態であっても良いし、色種間、例えば赤と青の間の色を徐々に変化する形態であってもよい。又、測定された印刷はんだ状態を測定した測定値を基に加工された判定用データと基準データとの「差を表す偏差値」と表現するが、偏差値としては、%表示であっても倍率表示でも、基準データと判定用データとの差を相対的差が表現できるものであれば良い。例えば、代表的なものとしては、判定用データと基準データとの差を基準データに対して%表示(以下の説明では、この表示形式で説明する。)したもの、或いは判定用データを基準データに対する%表示したもの等の、他の統計処理したものが考えられる。また、「差を表す値」も差を表す偏差値と同じ相対表示の意味合いである。なお、「所定幅の階調の下限近傍又は上限近傍の特定階調に対する偏差値」とは、例えば、所定幅の階調が、下限の輝度1から上限の輝度100まであり、演算して得られた偏差値が最小2.5%から最大42%(偏差値として、)であったとし、それを輝度1から輝度100に割り振ったとき、「下限近傍の又は上限近傍の特定階調」が輝度1又は輝度100であって、それに「対する偏差値」が2.5%又は42%であっても良いし、或いは階調スケールを区切り良く表示したいため、例えば、偏差値が5%、40%に相当する階調を下限近傍、上限近傍の特定階調(階調を割り振ったときに知りうる)として、その各特定階調を5%、40%と表示しても良い。
【0013】
基準データは、例えば、設計値(或いは予測値、工程上の規定値)であって、印刷はんだ箇所に特定の設計値を共通の基準データとしても良いし、印刷はんだ箇所毎の設計値(或いは予測値、規定値)であっても良い。特に前者は、高さ基準データの場合、後者は、面積、体積等の基準データの場合に、適用される得るが、これに限らない。また、基準データは、測定値或いは測定値を基に加工した判定用データの一つを基準データとしたものであっても良い。
【0014】
具体的には、請求項1に記載の発明は、プリント板の表面に光を照射させ、その反射光から得られるプリント板表面の各位置における変位を示す測定値を取得する測定手段と、該測定値を記憶する測定値記憶手段と、該測定値を基に、前記各位置におけるはんだの印刷状態を表す少なくとも高さ、面積、体積又は印刷はんだズレの一つが含まれる判定用データを生成するデータ生成手段とを有し、該測定値記憶手段の測定値に基づいてはんだの印刷状態を識別可能に表示手段に表示する印刷はんだ検査装置において、
前記各位置における判定用データと所定の基準データとの差を表す偏差値を求めて出力する差演算手段と、所定幅に亘って変化する表示上の階調に各該偏差値を割り振り、該偏差値に対応する階調を求める階調割振手段と、
前記表示手段に、前記プリント板の各位置を示すレイウトを表示させ、該階調割振手段の出力を受けて、前記各位置に当該位置の偏差値に対応する階調表示を行わせると共に、少なくとも前記所定幅の上限近傍の特定階調及び下限近傍の特定階調に対する前記偏差値を階調スケールとして表示させる表示制御手段とを備えた。
【0015】
請求項2に記載の発明は、プリント板の表面に光を照射させ、その反射光から得られるプリント板表面の各位置における変位を示す測定値を取得する測定手段と、該測定値を記憶する測定値記憶手段と、該測定値を基に、前記各位置におけるはんだの印刷状態を表す少なくとも高さ、面積、体積又は印刷はんだズレの一つが含まれる判定用データを生成するデータ生成手段とを有し、該測定値記憶手段の測定値に基づいてはんだの印刷状態を識別可能に表示手段に表示する印刷はんだ検査装置において、
前記各位置における判定用データと所定の基準データとの差を表す値を求め、かつ前記プリント板表面を複数の領域(L)に分けて該複数領域のそれぞれにおける該差を表す値の平均値を求め、各領域の偏差値として出力する差演算手段と、所定幅に亘って変化する表示上の階調に各該偏差値を割り振り、各該偏差値に対応する階調を求める階調割振手段と、前記表示手段に、前記プリント板を示すレイウトを表示させ、該レイアウト上の該各領域に当該領域の偏差値に対応する階調表示を行わせると共に、少なくとも前記所定幅の上限近傍の特定階調及び下限近傍の特定階調に対する前記偏差値を階調分布スケールとして表示させる表示制御手段とを備えた。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記差演算手段は、前記プリント板表面を複数(N)の列領域に分けて各領域における列平均値を求めるとともに、前記プリント板表面を複数(M)の行領域に分けて各領域における行平均値を求めて、さらに該列平均と行平均を重ねた平均値をもとめて、前記複数(L=N×M)の領域それぞれの平均値とする構成とした。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記データ生成手段は、前記各位置におけるはんだの印刷状態を表す高さ、面積、体積及び印刷はんだズレの各判定用データを生成し、
前記表示制御手段は、前記階調割振手段は同一のプリント板に対して、高さ、面積、体積及び印刷はんだズレに対応するレイアウトの階調及び階調スケールを表示する構成とした。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明は、印刷はんだ状態の基準データに対する偏差値についての、各印刷はんだ箇所間における傾向、分布が一瞥して観測でき、かつ階調スケールによりおおよそ定量的に視覚的に認識できる。
【0019】
請求項2又は3に記載の発明は、印刷はんだ状態の基準データに対する偏差値についての、印刷はんだの領域間の傾向が把握できる、この場合、印刷はんだ箇所毎の表示がされないので、細かい印刷はんだ箇所にとらわれることなく大きな傾向を把握できる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、一つの領域の偏差値の平均を得るのに、列平均及び行平均を計算して、それらを基に、平均値を求めているので、領域間をよりスムースな階調表示できる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、印刷はんだされた状態の判定対象となる項目、つまり、印刷はんだの高さ、面積、体積及びズレを同時に、それぞれ偏差値の分布を表示するので、トラブル解析にあたって、印刷はんだ状態の構造要素(高さ、面積、体積、ズレ)が比較解析しやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施形態を図1〜図4を用いて説明する。図1は、本発明の構成を示す機能ブロック図である。図2、3、4は、図1の実施形態における画面の表示の仕方を説明するための図である。
【0023】
図1において、センサ3、移動台2及びセンサ3をプリント板1(以下。基板1と言う。)に対して相対的に移動走査させる移動機構部5及び移動機構部5に対して基板1のレイアウトを基に、基板1の上を、移動制御部4aを介して走査させる測定制御手段4は、測定手段100を構成している。
【0024】
図1における上記、測定手段100は、いわば、レーザ変位計の例であって、センサ3は、基板1に対して走査してX軸、Y軸の各方向にレーザを照射可能なレーザ光源と、基板1からの反射光を受光する受光手段からなり、特に印刷はんだされたはんだ箇所の変位、つまり高さ(Z軸方向)を位置と対応づけて測定する。そのとき印刷はんだ面からは、位置に対応した受光量(輝度)も得られる。レーザ変位計としての詳細の動作説明は省くが、原理としては、同一出願人が出願している特開平3−291512号公報のものがあり、その第4図及び第7図とそれらの説明のものと同様である。
【0025】
測定制御手段4は、検査対象である基板1を設計したときの印刷はんだ箇所或いはレジスト箇所等のレイアウト(図2に模式的に示したものを示す。)が後記する設計情報記憶手段13に記憶されているので、そのレイアウトを受けて、そのレイアウトに沿って相対的にセンサ3に対して走査測定を行わせ、印刷はんだ箇所の位置に対応して、検出した上記の変位量及び/又は受光量を測定値として出力し、測定値記憶手段6に記憶させる。上記相対的な走査は、例えば、移動制御部4aが、レイアウトのX軸方向にセンサ3を移動させることにより主走査し、Y軸方向に沿って移動台2を移動させて副走査させることにより行っている。したがって、測定値は、レイアウト上のX、Yの位置におけるZ軸(高さ)方向のデータ(変位量)を得ることになる。
【0026】
なお、センサ3の代わりに、カメラ(例えば、CCDカメラ。不図示)により、撮影のための光を照射して撮影し、撮影したデータから上記のような位置に対応した輝度を測定値として取得し、測定値記憶手段6に記憶する構成としてもよい。以下の例は、センサ3を用いた例で説明する。
【0027】
設計情報記憶手段13は、設計した基板1のはんだ箇所、やレジスト箇所を示すレイアウトと、判定手段8によってはんだ状態の良否を判定するときの基準となる判定用基準データと、後記する差演算手段9が測定結果とての印刷はんだ状態との差をとるための基準データとを予め記憶している。レイアウトは、検査対象とする基板1の設計されたときの配置図であって、例えば図2に模式的に示すように、印刷はんだ箇所、印刷はんだののらないレジスト箇所及び位置の基準となる認識マーク(不図示)等の基板上の配置情報を記憶している。このレイアウトそのものを画像として(レイアウト画面として)、表示制御手段11を介して表示手段12に表示することができる。また、基板1を検査して良否判定を行うための判定用基準データとして、検査対象とする基板1に対応して記憶している。判定用基準データは、具体的には、例えば印刷はんだ箇所の高さ、面積、体積、印刷はんだズレ及びはんだの欠損等の値をはんだ箇所毎に準備され、データ生成手段7が生成する判定用データに対応して準備されている。また、これらの判定用基準データは、はんだ箇所の印刷はんだを量的(画像的)に認識しやすい情報である。
【0028】
なお、検査対象の基板1の種類が多い場合は、それらの基板情報を設計情報記憶手段13に識別情報を付して記憶しておき、識別情報のリスト及び/又はレイアウト画面を表示手段12に表示して操作手段14で画面上でマーカ等により指定することによって選択できるようにしている。
【0029】
データ生成手段7は、測定値記憶手段6に記憶されている基板1のはんだ箇所の位置とその位置における変位データ(変位量)又は輝度データ(受光量)等を受けて、上記したフィルタ、はんだブリッジやはんだパターンエッジ等の繊細パターンを識別する感度を示す数々の所定の画像パラメータ値を基に、測定データを各はんだ箇所の印刷はんだ量を表す判定用データに加工処理する。また、データ生成手段7は、測定値(2値化されたデータ)を用いて印刷はんだ箇所における高さ、面積、体積及び/又は印刷はんだズレ等の演算を行う演算する手段等を有している。
【0030】
そして、判定用データとしては、印刷はんだ箇所におけるはんだ量を表す要素となるデータであって、上記判定用基準データと同様に、それぞれのはんだ箇所の高さ、面積、体積、印刷はんだズレ(印刷はんだをした箇所の設計値の位置に対する位置ズレである。)及び欠損(存在すべきはんだ量が無い状態)等がある。これら高さ、面積、体積等のデータは3次元画像情報ともなりうる情報である。なお、基板1を判定するには上記の判定用データの全てを必要とするとは限らないが、高さ、面積、体積、印刷はんだズレ、又は欠損の内、少なくともいずれか1つは不可欠である。判定にあたって、検査しようとする基板1の判定用データとして何を用いるか、或いはどの判定用データの組み合わせで判定するかは、基板1の種類、内容によって異なることがある。
【0031】
判定手段8は、上記データ生成手段7が出力する判定用データと、設計情報記憶素段13が記憶している対応する判定用基準データ(図1で符号a)とを比較し、判定用画像データが判定用基準データに対して許容値以内であれば、良と判定し、それ以外は否と判定する。そのとき、判定手段8は、印刷はんだ箇所毎に判定するので、否と判定された箇所の位置情報も検知できる。
【0032】
差演算手段9は、上記、印刷はんだ箇所毎に、データ生成手段7が生成した判定用データと、設計情報記憶手段に記憶されている、対応する基準データ(図1で符号c)とを比較し、差を求めて偏差値として出力する。なお、上記したように、偏差値としては、判定用データと基準データとの差を基準データに対して%表示したものや、測定用データを基準データに対する%表示したもの等が考えられる。以下の例では、偏差値は、{[基準データ]―[判定用データ]}×100/基準データとして、差の値が基準データに占める割合(%)で表示する。ここで、例えば、各印刷はんだ箇所毎に印刷はんだの体積について、偏差値を求めてみると最小値2.5%〜最大値42%だったとする。
【0033】
基準データは、上記判定用基準データと、同じ性質のデータを有し、少なくとも、高さ、面積、体積、又は印刷はんだズレの内、少なくともいずれかである。ただし、基準データは、上記判定用基準データと値は、異なっても良い。というのは、例えば、判定用基準データは、良否を判定するものであるから、目標値に対して所定の範囲内であれば、良、以外であれば否とするものであるのに対して、基準データは、その目標値に相当する値を選定することが望ましいデータである。例えば、体積の基準データに対する基準データとはん偏差値が2.5%〜42%とすれば、判定用基準データは、基準データに対して10%以内とすることができる。
【0034】
また、判定が印刷はんだされた高さだけで行うとすれば、データ生成手段7は、測定値を加工することなく、測定値記憶手段6の値を判定用データとして出力してもよい。
【0035】
階調割振手段10は、予め所定範囲の表示上の階調を生成する階調生成手段(不図示)を備えている。例えば、階調生成手段は、白から黒までの濃淡の階調、或いは一色で明から暗までの階調(輝度の階調)、或いは所定のR(赤)G(緑)B(青)の一部又は全部の合成による色調による階調等、のいずれでも良いが、望ましくは、色調を用いた階調が視覚的に認識しやすい。階調の生成は、一般的に行われている方法でよいが、この例では、図が白黒で表しやすいという説明上から、明から暗まで所定幅に亘り、輝度1から輝度100までの輝度段階を有する階調(つまり100階調とする。)を生成できるものとする。
【0036】
階調割振手段10は、差演算手段9から体積の偏差値として、2.5%〜42%の範囲にある各偏差値を受けた場合、先ず、2.5%を輝度1として、42%を輝度100に割り振り、その間をリニアに補間した階調スケールを生成し、表示制御手段11を介して表示手段12へ表示させる。図2のレイアウトの右サイドに表示した階調スケールの例を示す。図2で偏差値は、上限,下限だけ示したが、途中の10%、20%、30%、40%を表示してもよい(図4(b)の階調スケールを参照)。また、階調スケールは、階調の下限近傍、或いは上限近傍の特定階調を区切りのよい偏差値、例えば、5%、40%を用いて該当特定階調の位置に表示してもよい(図4(b)の階調スケールの偏差値5%、40%の位置を参照)。次に、各印刷はんだ箇所の偏差値を、階調スケールを参照して輝度1〜輝度100のいずれかに割り当てる。その模擬的な表示例が図2のレイアウトである。図2は、基板1のレイアウト上にはんだ箇所毎に輝度表示した例であり、その右サイドにその階調スケールを示す。
【0037】
表示制御手段11は、設計情報記憶手段13からレイアウトを受けて表示するともに、階調割振手段10からの階調スケールと、各印刷はんだ箇所ごとの階調(この例では、輝度)を受けて、図2のように表示する。なお、判定手段8から高さ、面積、体積等の判定項目毎のトータルの判定結果を受けて、表示しても良い。なお、図2又は図4のような表示フォーマットは予め保有している。
【0038】
また、表示制御手段11は、後記する操作手段14からの指示により、図4(a)に示すように、印刷はんだの判定項目である高さ、面積、体積、印刷はんだズレの4つについて同時表示することもできる。このように同時表示することにより、操作者は、要素間を定量的に、かつ分布上に視覚認識できることから、印刷はんだのトラブル解析に有効である。なお、図4(a)では、各判定項目毎に異なった階調スケールを表示しているが、図4(b)に示すように共通階調スケールを判定項目のうち偏差値の最小値と最大値を抽出して、その最小値と最大値に対して、例えば、輝度1から輝度200を割り当てて共通の階調スケールを決定し、各判定項目の階調スケールを共通階調スケールに合わせるとともに、各判定項目のレイアウト上の印刷はんだ箇所又は領域における階調表示を当該共通階調スケールに合わせた表示とすることにより、一つのスケールで視覚上の比較認識がしやすくすることもできる。
【0039】
操作手段14は、表示制御手段11及び表示手段12とともに、ユーザインタフェースを構成している。操作手段14からは、予め設計情報記憶手段13に記憶している複数の基板の設計情報のうち検査対象とする基板の指定、及び判定項目(検査項目)のうち表示したい項目を指定する。操作手段14からの指示は、操作手段14から直接或いは表示制御手段11を介して各部に伝えられる。差演算手段9や階調割振手段10は、例えば、高さ、面積、体積等のうち操作手段14によって指定され項目についてだけ実施しても良いし、すべての判定項目について実施して、表示制御手段11が、操作手段14によって指定された項目だけ表示しても良い。図2は、判定項目、体積についての表示例である。図4は、高さ、面積、体積、及び印刷はんだズレの判定項目について同時表示した例である。
【0040】
[差演算及び階調表示の他の例]
上記、差演算手段9及び階調割振手段10は、基準データに対する印刷はんだ状態を各印刷はんだ箇所毎の階調表示して、全体として一瞥できるようにしたが、次に示す例は、基板1を領域に分けて、階調表示することにより、面的に傾向を把握できるようにしたものである。
【0041】
差演算手段9は、前記各位置における判定用データと基準データとの差の値を求め、かつ前記プリント板表面を複数の領域Lに分けて該複数領域のそれぞれにおける該差の値の平均値を求め、各領域の偏差値(平均の偏差値)として出力する。そして階調割振手段10が、輝度1〜輝度100の表示上の階調に各該偏差値を割り振り、各該偏差値に対応する階調を求めて、表示手段12に表示させる。
【0042】
そのとき、各領域の平均の偏差値を求める手法として、一般的な方法としては、レイアウトをN列、M行領域に分け、各領域Ln+m(n:1以上N以下、m:1以上M以下)毎に平均してもよい。又、領域間の階調を滑らかににするため、次のような平均を行っても良い。例えば、差演算手段9は、基板1の表面を列方向にN列領域に分けて各領域における列平均値を求める。さらに、基板1表面を行方向にM行領域に分けて各領域における行平均値を求めて、さらに該列平均と行平均を重ねて得た平均値を基に、前記複数L=N×M個の各領域の平均値の偏差値を求める。階調割振手段10は、上記したように階調スケールを生成して、各領域毎の階調を求める。その表示例を図3に示す。図3は、判定項目が面積について、基板1をL=9列×9行=81個の領域に分けて、演算して偏差値を求めて表示した例であり、偏差値(階調)は1%(輝度1)から42%(輝度100)である。
【0043】
上記構成における、測定制御手段4、データ生成手段7、判定手段8、差演算手段9、階調割振手段10及び表示制御手段11は、CPU及びそのCPUに上記説明の機能動作させるためのプログラムを記憶したメモリ(ROM)、及び上記機能動作過程でデータを貯えるメモリ(RAM)等で構成される。測定値記憶手段6及び設計情報記憶手段13はメモリで構成され、上記CPUで管理される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態の機能ブロックを説明するための図である。
【図2】図1の実施形態における表示を説明するための図である。
【図3】図1の実施形態における他の表示例を説明するための図である。
【図4】高さ、面積、体積、ズレを同時表示した模擬的な例を示す図である。
【図5】従来の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 基板(プリント板)、 2 移動台、 3 センサ、 4 測定制御手段
4a 移動制御部、 5 移動機構部、 6 測定値記憶手段、 7 データ生成手段
8 判定手段、 9 差演算手段、 10 階調割振手段、 11 表示制御手段
12 表示手段、 13 設計情報記憶手段、 14 操作手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント板の表面に光を照射させ、その反射光から得られるプリント板表面の各位置における変位を示す測定値を取得する測定手段(100)と、該測定値を記憶する測定値記憶手段(6)と、該測定値を基に、前記各位置におけるはんだの印刷状態を表す少なくとも高さ、面積、体積又は印刷はんだズレの一つが含まれる判定用データを生成するデータ生成手段(7)とを有し、該測定値記憶手段の測定値に基づいてはんだの印刷状態を識別可能に表示手段(12)に表示する印刷はんだ検査装置において、
前記各位置における判定用データと所定の基準データとの差を表す偏差値を求めて出力する差演算手段(9)と、所定幅に亘って変化する表示上の階調に各該偏差値を割り振り、該偏差値に対応する階調を求める階調割振手段(10)と、
前記表示手段に、前記プリント板の各位置を示すレイウトを表示させ、該階調割振手段の出力を受けて、前記各位置に当該位置の偏差値に対応する階調表示を行わせると共に、少なくとも前記所定幅の上限近傍の特定階調及び下限近傍の特定階調に対する前記偏差値を階調スケールとして表示させる表示制御手段(11)とを備えたことを特徴とする印刷はんだ検査装置。
【請求項2】
プリント板の表面に光を照射させ、その反射光から得られるプリント板表面の各位置における変位を示す測定値を取得する測定手段(100)と、該測定値を記憶する測定値記憶手段(6)と、該測定値を基に、前記各位置におけるはんだの印刷状態を表す少なくとも高さ、面積、体積又は印刷はんだズレの一つが含まれる判定用データを生成するデータ生成手段(7)とを有し、該測定値憶手段の測定値に基づいてはんだの印刷状態を識別可能に表示手段(12)に表示する印刷はんだ検査装置において、
前記各位置における判定用データと所定の基準データとの差を表す値を求めて、かつ前記プリント板表面を複数の領域(L)に分けて該複数領域のそれぞれにおける該差を表す値の平均値を求め、各領域の偏差値として出力する差演算手段(9)と、所定幅に亘って変化する表示上の階調に各該偏差値を割り振り、各該偏差値に対応する階調を求める階調割振手段(10)と、
前記表示手段に、前記プリント板を示すレイウトを表示させ、該レイアウト上の該各領域に当該領域の偏差値に対応する階調表示を行わせると共に、少なくとも前記所定幅の上限近傍の特定階調及び下限近傍の特定階調に対する前記偏差値を階調分布スケールとして表示させる表示制御手段(11)とを備えたことを特徴とする印刷はんだ検査装置。
【請求項3】
前記差演算手段は、前記プリント板表面を複数(N)の列領域に分けて各領域における列平均値を求めるとともに、前記プリント板表面を複数(M)の行領域に分けて各領域における行平均値を求めて、さらに該列平均と行平均を重ねた平均値を求めて、前記複数(L=N×M)の領域それぞれの平均値とすることを特徴とする請求項2に記載の印刷はんだ検査装置。
【請求項4】
前記データ生成手段は、前記各位置におけるはんだの印刷状態を表す高さ、面積、体積及び印刷はんだズレの各判定用データを生成し、
前記表示制御手段は、前記階調割振手段は同一のプリント板に対して、高さ、面積、体積及び印刷はんだズレに対応するレイアウトの階調及び階調スケールを表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印刷はんだ検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−71416(P2006−71416A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254315(P2004−254315)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】