説明

回生制動制御装置

【課題】回生式制動装置を備える車両において回生効率を向上させる。
【解決手段】回生制動制御装置24は、車両の前輪に回生制動力を伝達可能な第1回生制動手段56f、及び車両の後輪に回生制動力を伝達可能な第2回生制動手段56rの各々を制御する回生制動制御装置であって、第1回生制動手段及び第2回生制動手段の各々に要求される回生制動力の合計値である要求回生制動力を算出する要求回生制動力算出手段と、要求回生制動力を、第1回生制動手段及び第2回生制動手段で配分して実現する場合のエネルギ損失が、最も小さくなる配分比を算出する配分比算出手段と、算出された配分比で要求回生制動力を実現するように、第1回生制動手段及び第2回生制動手段を夫々制御する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機による回生制動力を車輪へと伝達する回生式制動装置を制御する回生制動制御装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両やEV車両等の回転電機を備える車両には、回転電機の回生時に発生するトルクを回生制動力として車輪に伝達する回生式制動装置が設けられる場合がある。このような回生式制動装置では、回生効率を高めるために様々な技術が用いられている。例えば特許文献1では、車両の前輪及び後輪の各々に回生式制動装置を設け、回生効率が高い一方の回生式制動装置を選択して回生制動力を発生させるという技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−169405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に係る技術では、一方の回生式制動装置を選択している際には、他方の回生式制動装置では回生制動力が発生されない。このため、前輪に対して回生制動力が伝達される場合には後輪に回生制動力が伝達されず、後輪に対して回生制動力が伝達される場合には前輪に回生制動力が伝達されない。
【0005】
ここで本願発明者の研究によれば、2つの回生制動装置を備えている車両において、いずれか一方の回生式制動装置のみを利用する場合の回生効率は、常に最大値とはならないことが判明している。具体的には、両方の回生式制動装置で制動力を配分して伝達する方が、回生効率が高くなる場合があることが判明している。従って、上述した特許文献1に係る技術には、最適な回生効率を実現することが困難であるという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、回生効率を効果的に向上させることが可能な回生制動制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の回生制動制御装置は上記課題を解決するために、車両の前輪に回生制動力を伝達可能な第1回生制動手段、及び前記車両の後輪に回生制動力を伝達可能な第2回生制動手段の各々を制御する回生制動制御装置であって、前記第1回生制動手段及び前記第2回生制動手段の各々に要求される回生制動力の合計値である要求回生制動力を算出する要求回生制動力算出手段と、前記要求回生制動力を、前記第1回生制動手段及び前記第2回生制動手段で配分して実現する場合のエネルギ損失が、最も小さくなる配分比を算出する配分比算出手段と、前記算出された配分比で前記要求回生制動力を実現するように、前記第1回生制動手段及び前記第2回生制動手段を夫々制御する制御手段とを備える。
【0008】
本発明に係る車両は、例えばハイブリッド車両やEV車両であり、前輪に回生制動力を伝達可能な第1回生制動手段、及び後輪に回生制動力を伝達可能な第2回生制動手段を備えている。第1回生制動手段及び第2回生制動手段は、例えば回転電機を含んで構成されており、各々の回生時に発生するトルクを、車両のブレーキング制御を行う制動力として利用することができる。尚、第1回生制動手段及び第2回生制動手段は、バッテリ等の蓄電手段に接続されており、バッテリから供給される電力を利用して、車両の前輪及び後輪を駆動することも可能とされている。
【0009】
本発明の回生制動制御装置は、上述した第1回生制動手段及び第2回生制動手段を制御する制御装置であって、例えば、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、各種プロセッサ又は各種コントローラ、或いは更にROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、バッファメモリ又はフラッシュメモリ等の各種記憶手段等を適宜に含み得る、単体の或いは複数のECU(Electronic Controlled Unit)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る。
【0010】
本発明の回生制動制御装置の動作時には、先ず要求回生制動力算出手段によって、第1回生制動手段及び前記第2回生制動手段の各々に要求される回生制動力の合計値である要求回生制動力が算出される。即ち、車両全体で要求される回生制動力が算出される。
【0011】
要求回生制動力が算出されると、実際に回生制御が開始される前に、回生制動力の前輪及び後輪に対する配分比が算出される。具体的には、配分比算出手段によって、要求回生制動力を第1回生制動手段及び第2回生制動手段で配分して実現する場合のエネルギ損失が、最も小さくなる配分比が算出される。尚、ここでの「最も小さい」とは、エネルギ損失の理論上の最小値を意味するのではなく、算出できる範囲で或いは実際に実現できる範囲で最も小さい値を意味するものである。
【0012】
配分比が算出されると、制御手段によって、算出された配分比で要求回生制動力を実現するよう、第1回生制動手段及び記第2回生制動手段が夫々制御される。このような制御によれば、回生時のエネルギ損失が最も小さい配分比が選択されるため、回生効率を効果的に向上させることができる。従って、車両の燃費向上を実現することができる。
【0013】
尚、本発明の回生制動制御装置によって決定される配分比は、第1回生制動手段及び第2回生制動手段の2つの回生制動手段を対象とする配分比だけでなく、3つ以上の回生制動手段を対象とする配分比であってもよい。即ち、要求回生制動力を複数の回生制動装置で実現するような車両であれば、本発明を適用することができる。
【0014】
以上説明したように、本発明の回生制動制御装置によれば、回生効率を効果的に向上させることが可能である。
【0015】
本発明の回生制動制御装置の一態様では、前記配分比算出手段は、前記エネルギ損失を、予め設定された複数の配分比に対して夫々算出する損失算出手段と、前記複数の配分比のうち、算出された前記エネルギ損失が最も小さいものを選択して出力する配分比選択手段とを有する。
【0016】
この態様によれば、配分比算出手段による配分比の算出時には、先ず損失算出手段によって、予め設定された複数の配分比に対応するエネルギ損失が夫々算出される。具体的には、第1回生制動手段及び第2回生制動手段の配分比が、例えば2:8、4:6、6:4、8:2となる4パターンの配分比が予め設定されていたとすると、各々の配分比に対応する4つのエネルギ損失値が算出される。
【0017】
続いて、配分比選択手段によって、算出されたエネルギ損失が最も小さい配分比が選択される。即ち、算出された損失比が互いに比較され、損失値が最も小さい配分比が選択される。このようにすれば、回生時のエネルギ損失が最も小さくなる配分比を、比較的簡単な処理によって決定することができる。従って、装置の高度複雑化を抑制することができる。
【0018】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る車載用制動装置の全体構成を概念的に表してなる概略構成図である。
【図2】実施形態に係る回生制動制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る回生制動制御装置の一連の動作を示すフローチャートである。
【図4】配分比算出パターンの一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。尚、以下では、電気自動車に搭載された車載用制動装置を例にとり説明する。
【0021】
先ず、本実施形態に係る車載用制動装置の全体構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、実施形態に係る車載用制動装置の全体構成を概念的に表してなる概略構成図である。
【0022】
図1において、本実施形態に係る車載用制動装置は、例えばモータジェネレータとして構成される第1電動機10f及び第2電動機10rを備えている。第1電動機10fは、作動装置12f及びアクスル14fを介して、図示しない左右前輪を回転駆動する。一方、第2電動機10rは、作動装置12r及びアクスル14rを介して、図示しない左右後輪を回転駆動する。第1電動機10f及び第2電動機10rの各々は、例えばリチウムイオン電池等であるバッテリ16から駆動回路18f及び18rを経て供給される駆動電流によって回転駆動される。
【0023】
駆動回路18f、18rは直流電流を交流電流に変換するコンバータを内蔵している。駆動回路18f、18rから供給される駆動電流は、踏込み量検出センサ20により検出される図示しないアクセルペダルの踏み込み量に応じて、走行用電子制御装置22のマイクロコンピュータ24において調整される。これにより各車輪の駆動力がアクセルペダルの踏込み量に応じて制御される。
【0024】
本実施形態に係る車載用制動装置は更に、ブレーキbyワイヤ型の摩擦式制動装置26を備えている。摩擦式制動装置26は、ブレーキペダル28により駆動され電磁式の切換弁30fl、30fr、30rを介してストロークシミュレータ32fl、32fr、32rへ油圧を供給するブレーキマスタシリンダ34を有している。また摩擦式制動装置26は、図示しない左右の前輪に夫々設けられたホイールディスク36fl、36frと共働するホイールシリンダ38fl、38fr内の油圧を制御することによって制動力を制御するアクチュエータ40fl、40frと、図示しない左右の後輪に夫々設けられたホイールディスク36rl、36rrと共働するホイールシリンダ38rl、38rr内の油圧を制御することによって制動力を制御するアクチュエータ40rとを有している。
【0025】
尚、図1には示されていないが、アクチュエータ40fl、40fr、40rは作動流体としてのオイルを貯容するリザーバと、リザーバよりオイルを汲上げそれを加圧する電動ポンプと、ポンプより吐出される高圧のオイルを貯容するアキュームレータとを共通の部材として有し、対応するホイールシリンダ38fl、38fr、38rl、38rrへ供給される油圧を制御する制御弁を個別の部材として有している。ちなみに、摩擦式制動装置26の構造自体は本発明の要旨をなすものではないので、摩擦式制動装置26は前後輪の摩擦制動による制動力を任意に制御し得る限り、当技術分野において公知である任意の構成であってよい。
【0026】
摩擦式制動装置26における切換弁30fl、30fr、30rは、通常時には図1に示された切換え位置に維持され、マスタシリンダ34とアクチュエータ40fl、40fr、40rとの連通が遮断される。アクチュエータ40fl、40fr、40rの制御弁は、駆動回路42より供給される駆動電流によって制御される。駆動回路42の駆動電流は、圧力センサ44により検出されるマスタシリンダ34内の圧力Pm及びストロークセンサ46により検出されるブレーキペダル28のストロークSpに基づいて制動用電子制御装置48のマイクロコンピュータ50により制御される。これによりホイールシリンダ38fl、38fr、38rl、38rrに対するオイルの給排が制御され、各車輪の摩擦制動による制動力が制御される。
【0027】
また、圧力センサ44等の異常時には、マイクロコンピュータ50から供給される制御信号に基づいて駆動回路52から駆動電流が供給されることにより、マスタシリンダ34とストロークシミュレータ32fl、32fr、32rとの連通が遮断される。また、マスタシリンダ34とホイールシリンダ38fl、38fr、38rl、38rrとが連通される位置に切換えられる。これにより各車輪の摩擦制動による制動力がマスタシリンダ34の油圧によって直接制御される。
【0028】
本実施形態では特に、第1電動機10fは、回生回路54fと共働して前輪用回生式制動装置56fを構成している。また第2電動機10rは、回生回路54rと共働して後輪用回生式制動装置56rを構成している。尚、ここでの前輪用回生式制動装置56fは、本発明の「第1回生制動手段」の一例であり、後輪用回生式制動装置56rは、本発明の「第2回生制御手段」の一例である。
【0029】
回生回路54f、54rは、交流電流を直流電流に変換するインバータを内蔵し、電子制御装置22のマイクロコンピュータ24から供給される制御信号に応答して、オン状態とオフ状態とが切り換えられる。そして特にオン状態においては、第1電動機10f及び第2電動機10rが発電機として機能することで発生した電力を、バッテリ16へと供給する。バッテリ16の充電量はSOCメータ58により検出される。
【0030】
尚、図1には示されていないが、電子制御装置22のマイクロコンピュータ24及び電子制御装置48のマイクロコンピュータ50は、それぞれ中央処理ユニット(CPU)と、リードオンリメモリ(ROM)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のものであってよい。
【0031】
制動用電子制御装置48のマイクロコンピュータ50には、圧力センサ44により検出されたマスタシリンダ34内の圧力Pmを示す信号及びストロークセンサ46により検出されたブレーキペダル28のストロークSpを示す信号が入力される。マイクロコンピュータ50は、マイクロコンピュータ24を経て駆動回路18f、18r及び回生回路54f、54rへ制御信号を出力し、回生式制動装置56f、56rを制御する。これにより、前輪及び後輪の回生制動による制動力を制御し、また必要に応じて駆動回路42を経てアクチュエータ40fr、40fl、40rの制御弁へ制御信号を出力することにより、前輪及び後輪の摩擦制動による制動力を制御する。
【0032】
次に、本発明の「制動制御装置」の一例である電子制御装置22のマイクロコンピュータ24の具体的な構成について、図2を参照して説明する。ここに図2は、実施形態に係る回生制動制御装置の構成を示すブロック図である。
【0033】
図2において、マイクロコンピュータ24は、要求回生制動力算出部110と、損失算出部120と、配分比選択部130と、制御部140とを備えて構成されている。
【0034】
要求回生制動力算出部110は、本発明の「要求回生制動力算出手段」の一例であり、入力される要求制動力(即ち、車両全体に要求される制動力)に基づいて、要求回生制動力(即ち、回生式制動装置で実現されるべき制動力)を算出する。具体的には、マイクロコンピュータ50において、圧力センサ44により検出されたマスタシリンダ34内の圧力Pmを示す信号、及びストロークセンサ46により検出されたブレーキペダル28のストロークSpを示す信号から求められた要求制動力に基づいて、要求回生制動力を算出する。
【0035】
損失算出部120は、本発明の「損失算出手段」の一例であり、要求回生制動力算出部110において算出された要求回生制動力を実現する場合の、前輪用回生式制動装置56f及び後輪用回生式制動装置56rにおけるエネルギ損失を算出する。尚、損失算出部120には、前輪用回生式制動装置56f及び後輪用回生式制動装置56rに対応する予め設定された複数の配分比が記憶されており、複数の配分比の各々についてエネルギ損失を算出する。
【0036】
配分比選択部130は、本発明の「配分比選択手段」の一例であり、損失算出部120において算出されたエネルギ損失を配分比毎に比較し、最もエネルギ損失が小さくなる配分比を選択して出力する。
【0037】
制御部140は、本発明の「制御手段」の一例であり、配分比選択部130において選択された配分比で要求回生制動力を実現するように、前輪用回生式制動装置56f及び後輪用回生式制動装置56rの各々を制御する。
【0038】
尚、マイクロコンピュータ24は、上述した各部位を含んで構成された一体の電子制御ユニットであり、上記各部位に係る動作は、全てマイクロコンピュータ24によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係る上記部位の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
【0039】
次に、本実施形態に係る回生制動制御装置の動作について、図3及び図4を参照して説明する。ここに図3は、実施形態に係る回生制動制御装置の一連の動作を示すフローチャートである。また図4は、配分比算出パターンの一例を示す表である。
【0040】
図3において、本実施形態に係る回生制動制御装置には、ブレーキペダルが踏み込まれると(ステップS01:YES)、要求回生制動力算出部110において、車両全体で実現されるべき回生制動力である要求回生制動力が算出される(ステップS02)。より具体的には、要求回生制動力は、圧力センサ44により検出されたマスタシリンダ34内の圧力Pmを示す信号、及びストロークセンサ46により検出されたブレーキペダル28のストロークSpに基づいて算出される。
【0041】
要求回生制動力が算出されると、損失算出部120において、前輪用回生式制動装置56f及び後輪用回生式制動装置56rで要求回生制動力を実現する場合のエネルギ損失が算出される(ステップS03)。より具体的には、前輪用回生式制動装置56f及び後輪用回生式制動装置56rの各々で要求回生制動力を配分して実現する場合のエネルギ損失が算出される。損失算出部120は、例えば予め設定された複数の配分比についてエネルギ損失を算出する。
【0042】
図4に示すように、損失算出部120には、複数の配分比算出パターンが予め記憶されている。損失算出部120は、これらの配分比算出パターンについて、それぞれエネルギ損失を算出する。即ち、パターン1では、前輪用回生式制動装置56fが2割、後輪用回生式制動装置56rが8割の割合で回生制動力を発生させる場合のエネルギ損失が算出される。パターン2では、前輪用回生式制動装置56fが4割、後輪用回生式制動装置56rが6割の割合で回生制動力を発生させる場合のエネルギ損失が算出される。パターン3では、前輪用回生式制動装置56fが6割、後輪用回生式制動装置56rが4割の割合で回生制動力を発生させる場合のエネルギ損失が算出される。パターン4では、前輪用回生式制動装置56fが8割、後輪用回生式制動装置56rが2割の割合で回生制動力を発生させる場合のエネルギ損失が算出される。
【0043】
尚、損失算出部120に記憶しておく配分比算出パターンの数を多くすれば、より多くの配分比についてエネルギ損失が算出されるため、後述する回生効率を高めるという効果を向上させることができる。一方、失算出部120に記憶しておく配分比算出パターンの数を少なくすれば、損失算出部120における処理を簡略化できるので、装置の負荷を低減することが可能である。
【0044】
各配分比に対するエネルギ損失が算出されると、配分比選択部130において、算出されたエネルギ損失が最も小さくなる配分比が選択され出力される(ステップS04)。即ち、配分比選択部130では、損失算出部120で算出された複数の配分比に対するエネルギ損失の値が互いに比較され、最も小さいエネルギ損失となる配分比が出力される。
【0045】
配分比が選択されると、制御部140によって、選択された配分比で要求回生制動力を実現するように、前輪用回生式制動装置56f及び後輪用回生式制動装置56rの各々が制御される。このような制御によれば、確実に要求回生制動力を実現しつつ、エネルギ損失を最低限に抑制することができる。従って、回生効率を向上させることができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る回生制動制御装置によれば、前輪用回生式制動装置56f及び後輪用回生式制動装置56rにおける回生制動力の配分比を適切なものとすることができるため、回生効率を効果的に向上させることが可能である。
【0047】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う回生制動制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
10f…第1電動機、10r…第2電動機、16…バッテリ、18f,18r…駆動回路、22…走行用電子制御装置、24…マイクロコンピュータ、26…摩擦式制動装置、38fl〜38rr…ホイールシリンダ、44…圧力センサ、46…ストロークセンサ、54f,54r…回生回路、56f,56r…回生式制動装置、110…要求回生制動力算出部、120…損失算出部、130…配分比選択部、140…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前輪に回生制動力を伝達可能な第1回生制動手段、及び前記車両の後輪に回生制動力を伝達可能な第2回生制動手段の各々を制御する回生制動制御装置であって、
前記第1回生制動手段及び前記第2回生制動手段の各々に要求される回生制動力の合計値である要求回生制動力を算出する要求回生制動力算出手段と、
前記要求回生制動力を、前記第1回生制動手段及び前記第2回生制動手段で配分して実現する場合のエネルギ損失が、最も小さくなる配分比を算出する配分比算出手段と、
前記算出された配分比で前記要求回生制動力を実現するように、前記第1回生制動手段及び前記第2回生制動手段を夫々制御する制御手段と
を備えることを特徴とする回生制動制御装置。
【請求項2】
前記配分比算出手段は、
前記エネルギ損失を、予め設定された複数の配分比に対して夫々算出する損失算出手段と、
前記複数の配分比のうち、算出された前記エネルギ損失が最も小さいものを選択して出力する配分比選択手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の回生制動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−175893(P2012−175893A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38704(P2011−38704)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】