説明

固体撮像素子及びこれを用いた撮像装置

【課題】焦点検出を可能にし、画素欠陥を回避し、撮像用信号に対する入射光の利用効率を高める。
【解決手段】青色の画素20B1,20B2は、入射光の青色波長成分を主として光電変換して撮像用信号となるべき電荷を蓄積するN型の撮像用電荷蓄積層52と、入射光の青色波長成分以外の波長成分を主として光電変換して焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積するN型の焦点検出用電荷蓄積層53,54とを有する。入射光の入射方向から見たときに少なくとも焦点検出用電荷蓄積層53,54の一部は、撮像用電荷蓄積層52と重なるように、P型のシリコン基板51に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子及びこれを用いた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラや電子カメラ等の撮像装置が広く一般に普及している。これらのカメラには、CCD型の固体撮像素子(下記特許文献1)や増幅型の固体撮像素子が使用されている。これらの固体撮像素子は、被写体像を示す画像信号を形成するための撮像用信号を出力する画素が、マトリクス状に複数配置されている。各画素は、入射光を光電変換して前記撮像用信号となるべき電荷を得る光電変換部を有している。増幅型の固体撮像素子では、光電変換部で得られた信号電荷を、画素に設けられた増幅部に導き、増幅部で増幅した信号を画素から出力する。増幅型の固体撮像装置には、例えば、増幅部に接合型電界効果トランジスタ(JFET)を用いた固体撮像装置や、増幅部にMOSトランジスタを用いた固体撮像装置(下記特許文献2,3)などがある。
【0003】
光電変換部の光が入射する側には、マイクロレンズがオンチップに配置される。光電変換部以外の画素部に入射する光は、光信号に寄与せず無駄になる。マイクロレンズは、このように無駄となっていた光を光電変換部に集光させ、光量を増大させるために各画素に配置される。また、カラー映像を得るためには、カラーフィルタが光電変換部の上に配置される。カラーフィルタの組み合わせとしては、R、G、Bを用いる系や、補色系(例えば、マゼンタ、グリーン、シアン及びイエローを用いる系)が用いられる。また、カラーフィルタの配置としては、ベイヤー配列やストライプ配列などが周知である。
【0004】
ところで、カメラなどの撮像装置では、自動焦点調節を実現するため、撮影レンズの焦点調節状態を検出する必要がある。従来は、固体撮像素子とは別個に焦点検出素子が設けられていた。しかし、その場合には、焦点検出素子やこれに光を導く焦点検出用光学系の分だけ、コストが増大したり装置が大型となったりする。
【0005】
そこで、近年、焦点検出方式としていわゆる瞳分割位相差方式(瞳分割方式又は位相差方式などと呼ばれる場合もある。)を採用しつつ、焦点検出素子としても用いることができるように構成した固体撮像素子が提案されている(例えば、下記特許文献1〜3)。瞳分割位相差方式は、撮影レンズの通過光束を瞳分割して一対の分割像を形成し、そのパターンズレ(位相シフト量)を検出することで、撮影レンズのデフォーカス量を検出するものである。
【0006】
特許文献1に開示された固体撮像素子は、複数の撮像用画素の他に、複数の第1の焦点検出用画素(特許文献1において符号「S1」が付された画素)と、複数の第2の焦点検出用画素(特許文献1において符号「S2」が付された画素)とを備えている。これらのいずれの画素も、光電変換部を1つだけ有している。特許文献1の図3及び図4に示されているように、いずれの画素も、光電変換部上に画素に対して1対1に設けられたマイクロレンズを備えている。そして、マイクロレンズと光電変換部との間には、マイクロレンズの焦点面付近に遮光膜が設けられ、この遮光膜には、第1及び第2の焦点検出用画素ごとに開口が設けられている。第1の焦点検出用画素では、遮光膜の開口がマイクロレンズの光学中心に対して偏りを持つように配置され、第2の焦点検出用画素では、遮光膜の開口がマイクロレンズの光学中心に対して第1の焦点検出用画素とは逆方向に偏りを持つように配置されている。これによって、第1の焦点検出用画素は、撮影レンズの射出瞳の一部の領域であって前記射出瞳の中心から所定方向へ偏心した領域からの光束を選択的に受光して光電変換することになる。また、第2の焦点検出用画素は、撮影レンズの射出瞳の一部の領域であって前記射出瞳の中心から反対方向へ偏心した領域からの光束を選択的に受光して光電変換することになる。なお、特許文献1に開示された固体撮像素子では、撮像用画素にはカラーフィルタが設けられているが、特許文献1の図3及び図4に示されているように、第1及び第2の焦点検出用画素には、カラーフィルタが設けられていない。
【0007】
なお、第1及び第2の焦点検出用画素は焦点検出のためにのみ用いられ、撮影レンズの合焦後等において画像を撮像する場合は、画像信号における第1及び第2の焦点検出用画素の位置の画素信号として、例えば、それらの周囲の撮像画素の信号から補間処理して得た信号が用いられる。
【0008】
また、特許文献2の図12に開示された固体撮像素子では、全ての画素の各1つの画素は、2分割された光電変換部と、この2分割された光電変換部上に画素に対して1対1に設けられたマイクロレンズを備えている。2分割された光電変換部は、マイクロレンズによって撮影レンズの射出瞳と略結像関係(すなわち、略共役)となる位置に配置されている。以上述べた関係から、各画素において、2分割された光電変換部の一方部分は、撮影レンズの射出瞳の一部の領域であって前記射出瞳の中心から所定方向へ偏心した領域からの光束を選択的に受光して光電変換することになる。また、各画素において、2分割された光電変換部の他方部分は、撮影レンズの射出瞳の一部の領域であって前記射出瞳の中心から反対方向へ偏心した領域からの光束を選択的に受光して光電変換することになる。なお、特許文献2の図12に開示された固体撮像素子では、全ての画素に、カラーフィルタが設けられている。
【0009】
そして、特許文献2の図12に開示された固体撮像素子では、焦点検出時には、各画素の2分割された光電変換部の一方部分の信号及び他方部分の信号が、異なるタイミングでフローティングディフュージョンに転送されて、それぞれ個別に読み出される。そして、瞳分割位相差方式の原理に従って、それらの信号に基づいて、撮影レンズの焦点調節状態が検出される。一方、撮影レンズの合焦後等において画像を撮像する場合は、各画素の2分割された光電変換部の両部分からの信号が同じタイミングで同じフローティングディフュージョンに転送されて、両信号が画素内で加算されて読み出される。
【0010】
このように、特許文献2の図12に開示された固体撮像素子では、全ての画素の各1つの画素は、2分割された光電変換部(したがって、基板の面方向に並んだ2つの光電変換部)を有し、撮像用画素及び焦点検出用画素の両方を兼用している。
【0011】
特許文献3に開示された固体撮像素子は、特許文献2の図12に開示された固体撮像素子と同様に構成されている。
【0012】
また、特許文献2の図1乃至図10に開示された固体撮像素子では、一部の画素のみを光電変換部が2分割されたものとする一方、残りの画素を光電変換部が分割されていないもの(すなわち、当該画素は光電変換部を1つだけ有するもの)とし、光電変換部が2分割されていない画素にはカラーフィルタを形成する一方、光電変換部が2分割されている画素にはカラーフィルタを形成していない。この固体撮像素子では、光電変換部が2分割された画素が焦点検出用信号を得るためにのみ用いられ、光電変換部が2分割されていない画素が撮像用信号を得るためにのみ用いられている。
【0013】
ところで、カラー画像信号を得る場合、一般的な固体撮像素子では、各画素が1つの色の撮像用信号のみを得るように構成され、各色の画素がベイヤー配列等されている(特許文献1〜3)。
【0014】
これに対し、特許文献4,5には、シリコンその他の半導体の光吸収係数は波長依存性が高く波長により半導体内部に到達する深さが異なるという特性を利用することで、各画素を、当該1つの画素から各色の撮像用信号(具体例には、R,G,Bの撮像信号)を互いに独立して出力するように構成された固体撮像素子が、開示されている。この固体撮像素子では、1つの画素に、入射光のR成分を主として光電変換するR用光電変換部、入射光のG成分を主として光電変換するG用光電変換部、及び、入射光のB成分を主として光電変換するB用光電変換部が設けられ、これら3つの光電変換部が入射光の入射方向から見たときにそれぞれ重なるように配置されている。特許文献4,5は焦点検出用信号を得るための構成は全く開示も示唆もしておらず、特許文献4,5に開示されている固体撮像素子では、撮像用信号のみしか得ることができず、焦点検出用信号を得ることはできない。
【特許文献1】特開2000−156823号公報
【特許文献2】特開2003−244712号公報
【特許文献3】特開2002−314062号公報
【特許文献4】特表2002−513145号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0194653号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1に開示された固体撮像素子や特許文献2の図1乃至図10に開示された固体撮像素子では、焦点検出用画素は、焦点検出のためにのみ用いられて、画像撮像時には用いることができないため、焦点検出用画素の分だけ画素欠陥と同様の状態を招くことになり、いくら補間処理を行うとはいえ、撮像した画像の画質は劣化せざるを得ない。また、補間処理を行う回路を要するため、コストが増大するとともに大型化してしまう。
【0016】
これに対し、特許文献2の図12に開示された前記固体撮像素子や特許文献3に開示された前記固体撮像素子では、画像撮像時には、撮像用及び焦点検出用の両方を兼用する2分割光電変換部を有する画素については、2分割光電変換部の両部分からの信号が画素内で加算されて読み出されるため、画素欠陥と同様の状態による画質の劣化を回避することができる。
【0017】
しかし、これらの固体撮像素子では、各画素の2分割光電変換部の両部分の間が入射光を光電変換し得ない不感帯となり、両部分間に入射した光が撮像用信号の形成に全く利用されないため、入射光の利用効率が低くなる。よって、撮像用信号を得る場合に2分割された両部分の信号を加算しても、分割されていない1つの光電変換部で撮像用信号を得る場合に比べて、撮像用信号が小さくなってしまう。すなわち、撮像用信号を得る場合において入射光の利用効率が低くなり、撮像用信号の感度が低下してしまう。
【0018】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、焦点検出素子としての機能を併せ持つことを前提とした上で、画素欠陥と同様の状態による画質の劣化を回避することができ、しかも、撮像用信号に対する入射光の利用効率を高めることができる固体撮像素子、及び、これを用いた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による固体撮像素子は、光学系により結像される被写体像を光電変換する固体撮像素子であって、2次元状に配置され各々が前記被写体像を示す画像信号を形成するための撮像用信号を出力する複数の画素を備えたものである。前記複数の画素の各1つの画素は、入射光の所定波長成分を主として光電変換して前記撮像用信号となるべき電荷を得る撮像用光電変換部を有する。前記複数の画素のうちの少なくとも一部の画素は、前記撮像用信号の他に、前記光学系の焦点調節状態を検出するための複数の焦点検出用信号を互いに独立して出力し得るように構成される。前記少なくとも一部の画素の各1つの画素は、当該画素の前記撮像用光電変換部の他に、前記入射光の入射方向から見たときにそれぞれの少なくとも一部が当該画素の前記撮像用光電変換部と重なるように配置された複数の焦点検出用光電変換部であって、当該画素の前記撮像用光電変換部が光電変換する前記入射光の前記所定波長成分とは実質的に異なる波長成分をそれぞれ主として光電変換してそれぞれ前記複数の焦点検出用信号となるべき電荷をそれぞれ得る複数の焦点検出用光電変換部を有する。前記少なくとも一部の画素の各1つの画素の前記複数の焦点検出用光電変換部は、前記光学系の射出瞳の中心から互いに異なる方向へそれぞれ偏心した前記射出瞳の領域からの光束をそれぞれ選択的に受光して光電変換する。
【0020】
本発明の第2の態様による固体撮像素子は、前記第1の態様において、前記少なくとも一部の画素の各1つの画素に関して、当該画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分、及び、当該画素の前記各焦点検出用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の波長成分は、可視域の波長成分であるものである。
【0021】
本発明の第3の態様による固体撮像素子は、前記第1又は第2の態様において、前記少なくとも一部の画素の各1つの画素の前記複数の焦点検出用光電変換部の数は2つであり、前記少なくとも一部の画素の各1つの画素の前記複数の焦点検出用光電変換部のうちの一方の焦点検出用光電変換部は、前記光学系の射出瞳の中心から所定方向へ偏心した前記射出瞳の第1の領域からの光束を選択的に受光して光電変換し、前記少なくとも一部の画素の各1つの画素の前記複数の焦点検出用光電変換部のうちの他方の撮像用光電変換部は、前記光学系の射出瞳の中心から前記所定方向とは反対の方向へ偏心した前記射出瞳の第2の領域からの光束を選択的に受光して光電変換するものである。
【0022】
本発明の第4の態様による固体撮像素子は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記少なくとも一部の画素のうちの少なくとも1つの画素の前記撮像用光電変換部は、第1導電型の第1の半導体層に配置され前記撮像用信号となるべき前記電荷を蓄積する第2導電型の撮像用電荷蓄積層を有し、前記少なくとも1つの画素の前記各焦点検出用光電変換部は、前記入射光の入射方向から見たときに少なくとも一部が前記第1の半導体層の一部を介して当該画素の前記撮像用電荷蓄積層と重なるように前記第1の半導体層に配置され当該画素の前記複数の焦点検出用信号のうちの1つの焦点検出用信号となるべき前記電荷を蓄積する第2導電型の焦点検出用電荷蓄積層を有するものである。
【0023】
本発明の第5の態様による固体撮像素子は、前記第4の態様において、前記少なくとも1つの画素において、前記第1の半導体層よりも不純物濃度が高濃度である前記第1導電型の層が、前記撮像用電荷蓄積層と前記各焦点検出用電荷蓄積層との間に位置するように、前記第1の半導体層に配置されたものである。
【0024】
本発明の第6の態様による固体撮像素子は、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記少なくとも一部の画素のうちの少なくとも1つの画素に関して、当該画素の前記複数の焦点検出用光電変換部は、前記入射光の実質的に同じ波長成分を光電変換するものである。
【0025】
本発明の第7の態様による固体撮像素子は、前記第1乃至第6のいずれかの態様において、前記少なくとも一部の画素の少なくとも1つの画素に関して、当該画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分は、当該画素の前記各焦点検出用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の波長成分よりも短い波長成分であるものである。
【0026】
本発明の第8の態様による固体撮像素子は、前記第1乃至第6のいずれかの態様において、前記少なくとも一部の画素の少なくとも1つの画素に関して、当該画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分は、当該画素の前記各焦点検出用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の波長成分よりも長い波長成分であるものである。
【0027】
本発明の第9の態様による固体撮像素子は、前記第1乃至第8のいずれかの態様において、前記少なくとも一部の画素の各1つの画素は、当該画素に対して1対1に設けられ当該画素の前記撮像用光電変換部及び前記複数の焦点検出用光電変換部に入射光を導くマイクロレンズを、有するものである。
【0028】
本発明の第10の態様による固体撮像素子は、光学系により結像される被写体像を光電変換する固体撮像素子であって、2次元状に配置され各々が前記被写体像を示す画像信号を形成するための撮像用信号を出力する複数の画素を備えたものである。前記複数の画素の各1つの画素は、入射光の所定波長成分を主として光電変換して前記撮像用信号となるべき電荷を得る撮像用光電変換部を有する。前記複数の画素のうちの少なくとも一部の画素は、前記撮像用信号の他に、前記光学系の焦点調節状態を検出するための焦点検出用信号を独立して出力し得るように構成される。前記少なくとも一部の画素の各1つの画素は、当該画素の前記撮像用光電変換部の他に、前記入射光の入射方向から見たときに少なくとも一部が当該画素の前記撮像用光電変換部と重なるように配置された焦点検出用光電変換部であって、当該画素の前記撮像用光電変換部が光電変換する前記入射光の前記所定波長成分とは実質的に異なる波長成分を主として光電変換して前記焦点検出用信号となるべき電荷を得る焦点検出用光電変換部を有する。前記少なくとも一部の画素のうちの一部の画素の前記焦点検出用光電変換部は、前記光学系の射出瞳の中心から所定方向へ偏心した前記射出瞳の第1の領域からの光束を選択的に受光して光電変換する。前記少なくとも一部の画素のうちの他の一部の画素の前記焦点検出用光電変換部は、前記光学系の射出瞳の中心から前記所定方向とは反対の方向へ偏心した前記射出瞳の第2の領域からの光束を選択的に受光して光電変換する。
【0029】
本発明の第11の態様による固体撮像素子は、前記第10の態様において、前記少なくとも一部の画素の各1つの画素に関して、当該画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分、及び、当該画素の前記焦点検出用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の波長成分は、可視域の波長成分であるものである。
【0030】
本発明の第12の態様による固体撮像素子は、前記第10又は第11の態様において、前記少なくとも一部の画素のうちの少なくとも1つの画素の前記撮像用光電変換部は、第1導電型の第1の半導体層に配置され前記撮像用信号となるべき前記電荷を蓄積する第2導電型の撮像用電荷蓄積層を有し、前記少なくとも1つの画素の前記焦点検出用光電変換部は、前記入射光の入射方向から見たときに少なくとも一部が前記第1の半導体層の一部を介して当該画素の前記撮像用電荷蓄積層と重なるように前記第1の半導体層に配置され当該画素の前記焦点検出用信号となるべき前記電荷を蓄積する第2導電型の焦点検出用電荷蓄積層を有するものである。
【0031】
本発明の第13の態様による固体撮像素子は、前記第12の態様において、前記少なくとも1つの画素において、前記第1の半導体層よりも不純物濃度が高濃度である前記第1導電型の層が、前記撮像用電荷蓄積層と前記焦点検出用電荷蓄積層との間に位置するように、前記第1の半導体層に配置されたものである。
【0032】
前記第10乃至第13のいずれかの態様において、前記少なくとも一部の画素の少なくとも1つの画素に関して、当該画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分は、当該画素の前記焦点検出用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の波長成分よりも短い波長成分であってもよい。
【0033】
前記第10乃至第13のいずれかの態様において、前記少なくとも一部の画素の少なくとも1つの画素に関して、当該画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分は、当該画素の前記焦点検出用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の波長成分よりも長い波長成分であってもよい。
【0034】
前記第10乃至第13のいずれかの態様において、前記少なくとも一部の画素の各1つの画素は、当該画素に対して1対1に設けられ当該画素の前記撮像用光電変換部及び前記焦点検出用光電変換部に入射光を導くマイクロレンズを、有してもよい。
【0035】
本発明の第14の態様による固体撮像素子は、前記第1乃至第13のいずれかの態様において、前記複数の画素は複数のグループに分けられ、同じグループの前記画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分は、互いに実質的に同一であり、異なるグループの前記画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分は、互いに実質的に異なるものである。
【0036】
本発明の第15の態様による固体撮像素子は、前記第14の態様において、前記少なくとも一部の画素は、カラーフィルタを有していないものである。
【0037】
本発明の第16の態様による固体撮像素子は、前記第14又は第15の態様において、前記複数の画素は、前記少なくとも一部の画素以外の画素を含み、前記少なくとも一部の画素以外の前記画素は、カラーフィルタを有するものである。
【0038】
本発明の第17の態様による撮像装置は、前記第1乃至第16のいずれかの態様による固体撮像素子と、前記少なくとも一部の画素からの前記焦点検出用信号に基づいて、前記光学系の焦点調節状態を示す検出信号を出力する検出処理部を、備えたものである。
【0039】
前記第17の態様において、前記検出処理部からの前記検出信号に基づいて前記光学系の焦点調節を行う調節部を備えてもよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、焦点検出素子としての機能を併せ持つことを前提とした上で、画素欠陥と同様の状態による画質の劣化を回避することができ、しかも、撮像用信号に対する入射光の利用効率を高めることができる固体撮像素子、及び、これを用いた撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明による固体撮像素子及びこれを用いた撮像装置について、図面を参照して説明する。
【0042】
[第1の実施の形態]
【0043】
図1は、本発明の第1の実施の形態による撮像装置としての電子カメラ1を示す概略ブロック図である。電子カメラ1には、被写体像を結像する光学系としての撮影レンズ2が装着される。この撮影レンズ2は、レンズ制御部2aによってフォーカスや絞りが駆動される。この撮影レンズ2の像空間には、撮影レンズ2により結像された被写体像を光電変換する固体撮像素子3の撮像面が配置される。
【0044】
固体撮像素子3は、撮像制御部4の指令によって駆動され、信号を出力する。固体撮像素子3から出力される信号は、被写体像を示す画像信号を形成するための撮像用信号、撮影レンズ2の焦点調節状態を検出するための焦点検出用信号のいずれかである。いずれにおいても信号は、信号処理部5、及びA/D変換部6を介して処理された後、メモリ7に一旦蓄積される。メモリ7は、バス8に接続される。バス8には、レンズ制御部2a、撮像制御部4、マイクロプロセッサ9、焦点演算部(検出処理部)10、記録部11、画像圧縮部12及び画像処理部13なども接続される。上記マイクロプロセッサ9には、レリーズ釦などの操作部9aが接続される。また、上記の記録部11には記録媒体11aが着脱自在に装着される。この電子カメラ1の動作については、後述する。
【0045】
なお、図示していないが、固体撮像素子3と撮影レンズ2との間には、IRカットコートの施された光学ローパスフィルタが配置される。これにより、およそ700nm以上の波長帯の光をカットしてモアレを防止している。
【0046】
図2は、図1中の固体撮像素子3の概略構成を示す回路図である。固体撮像素子3は、マトリクス状に配置された複数の画素20と、画素20から信号を出力するための周辺回路とを有している。画素20がマトリクス状に配置されている撮像領域を符号31で示している。図2において、画素数は、横に4行縦に4行の16個の画素20を示している。しかし、本実施の形態では、画素数はそれよりもはるかに多くなっている。もっとも、本発明では、画素数は特に限定されるものではない。本発明では、固体撮像素子3は、画素として後述する4種類の画素20R,20G,20B1,20B2を有しているが、図2ではそれらのいずれであるかを区別することなく、符号20で示している。その具体的な回路構成や構造は、後述する。これらの画素20は、周辺回路の駆動信号に従って、撮像用信号又は焦点検出用信号を出力する。
【0047】
周辺回路は、垂直走査回路21、水平走査回路22、これらと接続されている駆動信号線23,24、画素20からの信号を受け取る垂直信号線25、垂直信号線25と接続される定電流源26及び相関二重サンプリング回路(CDS回路)27、CDS回路27から出力される信号を受け取る水平信号線28、出力アンプ29等からなる。
【0048】
垂直走査回路21及び水平走査回路22は、電子カメラ1の撮像制御部4からの指令に基づいて駆動信号を出力する。各画素20は、垂直走査回路21から出力される駆動信号を所定の駆動信号線23から受け取って駆動され、撮像用信号又は焦点検出用信号を垂直信号線25に出力する。垂直走査回路21から出力される駆動信号は複数あり、それに伴い駆動配線23も複数ある。これらについては後述する。
【0049】
画素20から出力された信号は、CDS回路27にて所定のノイズ除去が施される。そして、水平走査回路22の駆動信号により水平信号線28及び出力アンプ29を介して外部に信号が出力される。
【0050】
図3は、図1中の固体撮像素子3(特にその撮像領域31)を模式的に示す概略平面図である。本実施の形態では、図3に示すように、固体撮像素子3の撮像領域31には、中央に配置された十字状をなす2つの焦点検出領域32,33と、両側に配置された2つの焦点検出領域34,35と、上下に配置された2つの焦点検出領域36,37とが、設けられている。なお、図3に示すように、互いに直交するX軸及びY軸を定義する。また、X軸方向のうち矢印の向きを+X方向又は+X側、その反対の向きを−X方向又は−X側と呼び、Y軸方向についても同様とする。XY平面と平行な平面が固体撮像素子3の撮像面(受光面)と一致している。X軸方向の並びを行、Y軸方向の並びを列とする。これらの点は、後述する図についても同様である。
【0051】
図4は、図3における焦点検出領域35の付近を拡大した概略拡大図であり、画素配置を模式的に示している。図5は、図3における焦点検出領域36の付近を拡大した概略拡大図であり、画素配置を模式的に示している。前述したように、固体撮像素子3は、画素20として、4種類の画素20R,20G,20B1,20B2を有している。図4及び図5において、画素20Rには符号「R」を付し、画素20Gには符号「G」を付し、画素20B1には符号「B1」を付し、画素20B2には符号「B2」を付している。図4及び図5において、符号「B*」は、画素20B1及び画素20B2のうちのいずれか任意の一方を示している。
【0052】
画素20Rは赤色の撮像用信号を出力するように構成され、画素20Gは緑色の撮像用信号を出力するように構成され、画素20B1,20B2は青色の撮像用信号を出力するように構成されている。以下の説明では、出力する撮像用信号の色に着目して、画素20Rを赤色の画素、画素20Gを緑色の画素、画素20B1,20B2を青色の画素と呼ぶ場合がある。各色の画素がそれぞれ1つのグループをなしている。すなわち、本実施の形態では、画素20は、赤色の画素のグループと、青色の画素のグループと、緑色の画素のグループの3つに分けられている。
【0053】
本実施の形態では、画素20R,20Gは焦点検出用信号を出力し得るように構成されていない。一方、画素20B1は、青色の撮像用信号の他に、2つの焦点検出用信号を出力し得るように構成されている。また、画素20B2も、青色の撮像用信号の他に、2つの焦点検出用信号を出力し得るように構成されている。後述するように、画素20B1と画素20B2とでは、得られる焦点検出用信号が撮影レンズ2の射出瞳のいずれの領域からの光束に基づくものであるかが異なる。
【0054】
本実施の形態では、図4及び図5に示すように、赤色の画素20R、緑色の画素20G及び青色の画素20B1,20B2が、ベイヤー配列に従って配列されている。もっとも、本発明では、カラー用として構成する場合であっても、ベイヤー配列に限定されるものではない。
【0055】
Y軸方向に延びた焦点検出領域35は、図4に示すように、緑色の画素20Gと青色の画素とが交互に並んだY軸方向の列の一部である。焦点検出領域35では、青色の画素として青色の画素20B1が用いられている。Y軸方向に延びた焦点検出領域33,34は、焦点検出領域35と同様である。
【0056】
X軸方向に延びた焦点検出領域36は、図5に示すように、緑色の画素20Gと青色の画素とが交互に並んだX軸方向の行の一部である。焦点検出領域36では、青色の画素として青色の画素20B2が用いられている。X軸方向に延びた焦点検出領域36,37は、焦点検出領域36と同様である。
【0057】
図6は、図1中の固体撮像素子3の青色の画素20B1,20B2(図4及び図5参照)を示す回路図である。画素20B2は画素20B1と同一の回路構成を有しているので、ここでは、画素20B1についてのみ説明する。
【0058】
青色の画素20B1は、図6に示すように、入射光の青色波長成分を主として光電変換して青色の撮像用信号となるべき電荷を得る撮像用光電変換部としての撮像用フォトダイオード41と、入射光の青色以外の波長成分を主として光電変換して第1の焦点検出用信号となるべき電荷を得る第1の焦点検出用光電変換部としての第1の焦点検出用フォトダイオード42と、入射光の青色以外の波長成分を主として光電変換して第2の焦点検出用信号となるべき電荷を得る第2の焦点検出用光電変換部としての第2の焦点検出用フォトダイオード43と、を有している。第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から互いに反対方向へそれぞれ偏心した前記射出瞳の領域からの光束をそれぞれ選択的に受光して光電変換する。
【0059】
また、青色の画素20B1は、所定部位としてのフローティングディフュージョン(FD)44と、撮像用フォトダイオード41からFD44へ電荷を転送する第1の転送ゲート部としての第1の転送トランジスタ45と、第1の焦点検出用フォトダイオード42からFD44へ電荷を転送する第2の転送ゲート部としての第2の転送トランジスタ46と、第2の焦点検出用フォトダイオード43からFD44へ電荷を転送する第3の転送ゲート部としての第3の転送トランジスタ47と、FD44の電荷量に応じた信号を出力する増幅部としての画素アンプ48と、FD44の電荷を排出させてFD44をリセットするリセット部としてのFDリセットトランジスタ49と、画素アンプ48の信号を当該画素から出力する選択スイッチとしての選択トランジスタ50とを有している。
【0060】
本実施の形態では、第1乃至第3の転送トランジスタ45〜47、画素アンプ50、FDリセットトランジスタ49、選択トランジスタ50は、いずれもNMOSトランジスタで構成されている。
【0061】
第1の転送トランジスタ45のゲート電極は、画素行ごとに共通に接続されて垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φTGAが供給される。第1の転送トランジスタ45は、この駆動信号φTGAに従って所定のタイミングで各行ごとに同時にオンとされ、撮像用フォトダイオード41から撮像用信号となるべき電荷をFD44に転送する。
【0062】
第2の転送トランジスタ46のゲート電極は、画素行ごとに共通に接続されて垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φTGBが供給される。第2の転送トランジスタ46は、この駆動信号φTGBに従って所定のタイミングで各行ごとに同時にオンとされ、第1の焦点検出用フォトダイオード42から第1の焦点検出用信号となるべき電荷をFD44に転送する。
【0063】
第3の転送トランジスタ47のゲート電極は、画素行ごとに共通に接続されて垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φTGCが供給される。第3の転送トランジスタ47は、この駆動信号φTGCに従って所定のタイミングで各行ごとに同時にオンとされ、第2の焦点検出用フォトダイオード43から第2の焦点検出用信号となるべき電荷をFD44に転送する。
【0064】
選択トランジスタ50のゲート電極は、画素行ごとに共通接続されて垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φSが供給される。FDリセットトランジスタ49のゲート電極は、画素行ごとに共通接続されて垂直走査回路21から駆動配線23を介して駆動信号φFDRが供給される。
【0065】
なお、図6において、フォトダイオード41〜42の一方の端子及びFD44の一方の端子は、便宜的に接地として記載されている。しかし、実際は、後述する図10乃至図12から理解されるとおりP型のシリコン基板51の電位となる。
【0066】
図7は、図1中の固体撮像素子3の青色の画素20B1の主な要素を模式的に示す概略平面図である。図8は、図1中の固体撮像素子3の青色の画素20B1の一部の要素を模式的に示す概略平面図である。図9は、図1中の固体撮像素子3の青色の画素20B1の他の一部の要素を模式的に示す概略平面図である。図10は、図7中のA−A’線に沿った概略断面図である。図11は、図7のB−B’線に沿った概略断面図である。図12は、図7中のC−C’線に沿った概略断面図である。
【0067】
なお、図7に示すように、互いに直交するX軸及びY軸を定義する。また、X軸方向のうち矢印の向きを+X方向又は+X側、その反対の向きを−X方向又は−X側と呼び、Y軸方向についても同様とする。XY平面と平行な平面が固体撮像素子3の撮像面(受光面)と一致している。X軸方向の並びを行、Y軸方向の並びを列とする。なお、入射光は図7の紙面手前側から奥側に入射する。これらの点は、後述する図についても同様である。
【0068】
図7において、第1の焦点検出用フォトダイオード42を構成する第1の焦点検出用電荷蓄積層53、及び、第2の焦点検出用フォトダイオード43を構成する第2の焦点検出用電荷蓄積層54を、透過して示している。図7では、駆動配線は省略され、画素内の内部配線73のみを示している。図7乃至図9において、Oはマイクロレンズ65の光軸を示している。
【0069】
図8は、主に、撮像用フォトダイオード41を構成する撮像用電荷蓄積層52を示している。理解を容易にするため、図8には、FD44の一部を構成するN型拡散層71と、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54の電荷をそれぞれ導く導電路の一部をそれぞれ構成し基板51の表面に現れる拡散部55,56も、示している。また、図8には、破線によって後述する分離層57も示している。
【0070】
図9は、主に、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54を示している。図9には、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54の電荷をそれぞれ導く導電路の他の一部をそれぞれ構成する深い拡散部58,59も示している。
【0071】
図11では、基板51上の主要な要素(すなわち、基板51上に形成された層間絶縁膜61、当該画素の有効受光領域に開口62aを有する遮光膜を兼ねる配線層62、平坦化層63,64及びマイクロレンズ65)も示しているが、図10及び図12ではそれらの図示は省略している。画素20B1に対して1対1にマイクロレンズ65が設けられている。遮光膜を兼ねる配線層62は、マイクロレンズ65の略焦点面に配置されている。FD44、深い拡散部58,59及び表面に現れる拡散部55,56の領域は、配線層62で遮光されている。なお、図11では、層間絶縁膜61中に配置される他の配線層等の図示は省略している。
【0072】
図10乃至図12に示すように、電荷蓄積層52〜54等を配置すべき第1の半導体層としてのP型のシリコン基板51に所望の不純物拡散がなされて、電荷蓄積層52〜54や各種トランジスタ等が配置されている。なお、N型のシリコン基板上にP型のウエル又はエピタキシャル層を設けて、P型のウエル又はエピタキシャル層を前記第1の半導体層とし、それに対して電荷蓄積層52〜54や各種トランジスタ等を配置してもよい。
【0073】
P型シリコン基板51に、撮像用フォトダイオード41の一部を構成するN型の撮像用電荷蓄積層52が配置されている。撮像用電荷蓄積層52は、N型不純物の拡散によって形成される。ここでは、撮像用フォトダイオード41は、一般的なPNフォトダイオードとしているが、これに限らず、撮像用電荷蓄積層52の基板表面側にP型の空乏化防止層を付加することで、埋め込みフォトダイオードとしても構わない。撮像用電荷蓄積層52は、入射光の青色波長成分が主として光電変換されて青色の撮像用信号となるべき電荷を蓄積する。撮像用電荷蓄積層52の表面は、薄いシリコン酸化膜66によって覆われている。
【0074】
この青色の画素20B1には、図11に示すように、カラーフィルタは設けられていない。
【0075】
青色の波長帯はおよそ450nm程度であるが、青色の波長帯の光は、シリコン表面近くで光電変換される。シミュレーションによれば、青色の波長帯の光は、シリコン表面から1ミクロン程度で95%以上吸収され、1.5ミクロン程度で100%吸収される。したがって、青色の撮像用信号となるべき電荷を蓄積する撮像用電荷蓄積層52は、空乏層を加えてシリコン表面から1ミクロン〜1.5ミクロンの間の厚さとなるのが好ましい。ここでは、N型の撮像用電荷蓄積層52の厚さを例えば0.5ミクロンとする。
【0076】
撮像用電荷蓄積層52で蓄積された電荷は、ゲート電極74を有する第1の転送トランジスタ45がオンとなることによって、FD44に転送される。
【0077】
また、P型シリコン基板51には、第1の焦点検出用フォトダイオード42の一部を構成するN型の第1の焦点検出用電荷蓄積層53、及び、第2の焦点検出用フォトダイオード43の一部を構成するN型の第2の焦点検出用電荷蓄積層54が配置されている。これらの電荷蓄積層53,54はいずれも、入射光の入射方向から見たときに少なくともその一部がP型シリコン基板51のP型領域を介して撮像用電荷蓄積層52と重なるように、配置されている。
【0078】
本実施の形態では、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は、撮像用電荷蓄積層52の奥側(撮像用電荷蓄積層52に対して深い側)に配置され、それらの深さ位置や厚さは互いに同じになっている。本実施の形態では、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54はマイクロレンズ65の光軸Oに対して対称的に配置され、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は光軸Oに対して+Y側に配置され、第2の焦点検出用電荷蓄積層54は光軸Oに対して−Y側に配置されている。これによって、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から−Y側へ偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に有効に受光し、第1の焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積する。第2の焦点検出用電荷蓄積層54は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から+Y側へ偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に有効に受光し、第2の焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積する。第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は、撮像用電荷蓄積層52では光電変換されずに透過された波長成分を光電変換する。このため、入射光を効率良く利用することが可能となる。なお、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は、それらの深さ位置や厚さは互いに同じになっているので、入射光の同じ波長成分を光電変換した電荷を蓄積する。
【0079】
第1及び第2の電荷蓄積層53,54も、N型不純物の拡散により形成されている。ただし、第1及び第2の電荷蓄積層53,54は、シリコン基板51の表面から所定寸法の深さに高い精度で配置させることは必ずしも必要としない。第1及び第2の電荷蓄積層53,54を配置させる画素20B1において、その深さのばらつきが小さいなら、各々の信号を比較すれば焦点検出用信号として十分利用できるからである。ここでは、第1及び第2の電荷蓄積層53,54の上面を、シリコン基板51の表面からおよそ3ミクロンの位置に配置させている。しかし、これに限らない。第1及び第2の電荷蓄積層53,54の深さは、撮像用電荷蓄積層52と空乏層が接触せず、且つ、撮像用電荷蓄積層52が蓄積する電荷の光電変換元の青色波長成分とは異なる波長成分(例えば、赤色波長成分及び/又は緑色波長成分などの可視域の波長成分)が光電変換された電荷が蓄積される深さなら構わない。
【0080】
第1の焦点検出用電荷蓄積層53で蓄積された電荷は、N型の深い拡散部58を介してシリコン基板51の表面に設けられたN型の拡散部55に導かれる。表面の拡散部55に導かれた電荷は、ゲート電極75を有する第2の転送トランジスタ46がオンとなることによって、FD44に転送される。
【0081】
第2の焦点検出用電荷蓄積層54で蓄積された電荷は、N型の深い拡散部59を介してシリコン基板51の表面に設けられたN型の拡散部56に導かれる。表面の拡散部56に導かれた電荷は、ゲート電極76を有する第3の転送トランジスタ47がオンとなることによって、FD44に転送される。
【0082】
本実施の形態では、撮像用電荷蓄積層52と第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54との間には、P型の不純物拡散層からなる分離層57が設けられている。分離層57の不純物濃度は、シリコン基板51の不純物濃度よりも高くなっている。分離層57は、例えば、シリコン基板51の表面から1.5ミクロンの深さに設けられる。この分離層57によって、分離層57よりも表面側で発生する電荷は撮像用電荷蓄積層52に捕捉され、分離層57よりも裏面側で発生する電荷は第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54に捕捉される。したがって、撮像用電荷蓄積層52が青色波長成分以外の波長成分により発生する電荷を捕捉してしまうことが、更に低減されるので、好ましい。もっとも、分離層57は必ずしも設ける必要はない。
【0083】
前述したように、第1乃至第3の転送トランジスタ45〜47のいずれかがオンとされると、フォトダイオード41〜43の電荷蓄積層52〜54のうちの対応する電荷蓄積層の電荷がFD44に転送される。
【0084】
FD44は、互いに分離してシリコン基板51に形成された2つのN型拡散層71,72を有し、これらのN型拡散層71,72を配線73で電気的に接続することで、実質的に1つのフローティングディフュージョンとして構成されている。
【0085】
撮像用電荷蓄積層52とFD部44のN型拡散層71との間の上には、薄いシリコン酸化膜66を介してゲート電極74が形成されている。第1の転送トランジスタ45は、ゲート電極74をゲートとするとともに撮像用電荷蓄積層52及びFD部44のN型拡散層71をソース又はドレインとするMOSトランジスタとして構成されている。
【0086】
表面のN型拡散部55とFD部44のN型拡散層71との間の上には、薄いシリコン酸化膜66を介してゲート電極75が形成されている。第2の転送トランジスタ46は、ゲート電極75をゲートとするとともにN型拡散部55及びFD部44のN型拡散層71をソース又はドレインとするMOSトランジスタとして構成されている。
【0087】
表面のN型拡散部56とFD部44のN型拡散層71との間の上には、薄いシリコン酸化膜66を介してゲート電極76が形成されている。第3の転送トランジスタ47は、ゲート電極76をゲートとするとともにN型拡散部56及びFD部44のN型拡散層71をソース又はドレインとするMOSトランジスタとして構成されている。
【0088】
また、シリコン基板51には、図10に示すように、図7中のA−A’線に沿って、N型拡散層72の他に、N型拡散層81,82,83がシリコン基板51に形成されている。N型拡散層81は、図示しない配線により電源VDDに接続されている。N型拡散層81とN型拡散層82との間の上には、薄いシリコン酸化膜66を介してゲート電極85が形成されている。画素アンプ48は、ゲート電極85をゲートとするとともにN型拡散層81,82をソース又はドレインとするMOSトランジスタとして構成されている。なお、ゲート電極85は、配線73によって、FD44(N型拡散層71,72)と電気的に接続されている。
【0089】
N型拡散層82とN型拡散層83との間の上には、薄いシリコン酸化膜66を介してゲート電極86が配置されている。選択トランジスタ50は、ゲート電極86をゲートとするとともにN型拡散層82,83をソース又はドレインとするMOSトランジスタとして構成されている。
【0090】
また、FD44のN型拡散層72とN型拡散層81との間の上には、薄いシリコン酸化膜66を介してゲート電極84が配置されている。FDリセットトランジスタ49は、ゲート電極84をゲートとするとともにN型拡散層72及びN型拡散層81をソース又はドレインとするMOSトランジスタとして構成されている。
【0091】
なお、フィールド部分には、各素子を分離する分離領域として、LOCOSによる厚い酸化膜67と、その下にP型の分離拡散部68が設けられている。
【0092】
以上、青色の画素20B1の構成について説明した。青色の画素20B1では、前述したマイクロレンズ65、撮像用電荷蓄積層52並びに第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54の平面視での位置関係は、図7よりも更に抽象化して示すと、図13に示す通りである。
【0093】
なお、製造時においては、例えば、P型のシリコン基板51上に薄いシリコン酸化膜を形成する。次に、シリコン基板51の所定領域にリンイオン等を複数回打ち込んで深い拡散部58,59を形成する。次いで、リンイオン等を打ち込んで第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54を形成する。さらに、ボロンイオン等を打ち込んで分離層57を形成する。その後、ボロンイオン等を打ち込んで分離拡散部68を形成した後に、LOCOSにより厚い酸化膜67を形成する。次に、リンイオン等を打ち込んで、撮像用電荷蓄積層52や表面の拡散部55等を形成する。各イオンの注入条件等を適宜設定することで、前述した青色の画素20B1を得ることができる。
【0094】
次に、図1中の固体撮像素子3の青色の画素20B2(図5参照)について説明する。図14は、青色の画素20B2における撮像用電荷蓄積層52並びに第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54の平面視での位置関係を示す図であり、図13に対応している。図14において、図13中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0095】
青色の画素20B2が青色の画素20B1と異なる所は、青色の画素20B1では、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は光軸Oに対して+Y側に配置されるとともに、第2の焦点検出用電荷蓄積層54は光軸Oに対して−Y側に配置されているのに対し、青色の画素20B2では、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は光軸Oに対して−X側に配置されるとともに、第2の焦点検出用電荷蓄積層54は光軸Oに対して+X側に配置されている点と、これに伴って、図面には示していないが、各トランジスタ等の配置が変更されている点のみである。
【0096】
したがって、青色の画素20B2では、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から+X側へ偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に有効に受光し、第1の焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積する。第2の焦点検出用電荷蓄積層54は、撮影レンズ2の射出瞳の中心から−X側へ偏心した前記射出瞳の領域からの光束を選択的に有効に受光し、第2の焦点検出用信号となるべき電荷を蓄積する。
【0097】
次に、図1中の固体撮像素子3の赤色の画素20R及び緑色の画素20G(図4及び図5参照)について説明する。
【0098】
図15は、赤色の画素20R及び緑色の画素20Gを示す回路図であり、図6に対応している。図16は、赤色の画素20R及び緑色の画素20Gを示す概略断面図であり、図11に対応している。図15及び図16において、図5及び図11中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0099】
赤色の画素20Rが青色の画素20B1と異なる所は、以下に説明する点のみである。本実施の形態では、図15及び図16に示すように、赤色の画素20Rには、青色の画素20B1で設けられていた第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43並びに第1及び第2の転送トランジスタは、設けられていない。これに伴い、赤色の画素20Rには、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54、分離層57、表面の拡散部55,56、深い拡散部58,59も設けられていない。
【0100】
赤色の画素20Rでは、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54並びに分離層57が設けられていないことによって、入射光の赤色波長成分のみならず青色波長成分及び緑色波長成分も撮像用フォトダイオード41に入射するとすれば、撮像用フォトダイオード41は赤色、青色及び緑色の波長成分も光電変換することになり、撮像用電荷蓄積層52にはこれらの成分による電荷が蓄積することになる。しかしながら、赤色の画素20Rには、図16に示すように、平坦化層63,64間に赤色波長成分を選択的に透過させる赤色カラーフィルタ88Rが設けられている。したがって、赤色の画素20Rでは、入射光の赤色波長成分のみしか入射しない。このため、赤色の画素20Rでは、撮像用フォトダイオード41は、入射光の赤色波長成分を主として光電変換して赤色の撮像用信号となるべき電荷を得る撮像用光電変換部となり、撮像用フォトダイオード41を構成する撮像用電荷蓄積層52は、入射光の青色波長成分が主として光電変換されて青色の撮像用信号となるべき電荷を蓄積する。
【0101】
緑色の画素20Gは、緑色波長成分を選択的に透過させる緑色カラーフィルタ88Gが赤色カラーフィルタ88Rの代わりに設けられている点を除き、赤色の画素20Rと同一に構成されている。
【0102】
このように、本実施の形態では、画素20R及び画素20Gは、従来の通常の固体撮像素子において用いられている赤色の画素及び緑色の画素とそれぞれ同様に構成されている。もっとも、画素20R及び画素20Gの構成は、このような構成に限定されるものではない。
【0103】
次に、固体撮像素子3の駆動手順の各例について、図17乃至図19を参照して説明する。
【0104】
図17は、焦点検出モード(固体撮像素子3から焦点検出用信号を読み出すが撮像用信号は読み出さない動作モード)時の固体撮像素子3の駆動手順を示すタイミングチャートである。図18は、撮像モード(固体撮像素子3から撮像用信号を読み出すが焦点検出用信号は読み出さない動作モード)時の固体撮像素子3の駆動手順を示すタイミングチャートである。図19は、焦点検出・撮像の同時モード(固体撮像素子3から撮像用信号を読み出しながら焦点検出用信号も読み出して両信号を実質的に同時に読み出す動作モード)時の固体撮像素子3の駆動手順を示すタイミングチャートである。なお、各画素に含まれるトランジスタはNMOSトランジスタであり、ハイレベル(ハイ)の駆動信号を受けてオン状態とされる。
【0105】
最初に、図17を参照して焦点検出モード時の駆動手順を説明する。なお、全行において、φSがハイにされて行選択されている期間以外は、φFDRはハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44がリセットされている。もっとも、必ずしもこれに限定されるものではなく、必要な期間だけφFDRをハイにしてもよい。
【0106】
まず、時刻t1から時刻t2までの期間において、n行目のφTGB(n)がハイにされて第2の転送トランジスタ46がオンにされ、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42がリセットされる。時刻t2から、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42の露光時間が開始する。
【0107】
次いで、時刻t3から時刻t4までの期間において、φTGC(n)がハイにされて第3の転送トランジスタ47がオンにされ、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43がリセットされる。時刻t4から、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43の露光時間が開始する。
【0108】
その後、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42の露光時間が終了する時刻t6の直前の時刻t5において、φFDR(n)がローにされてn行目のFDリセットトランジスタ49がオフにされFD44のリセットが終了するとともに、φS(n)がハイにされてn行目の選択トランジスタ50がオンにされ、n行目の行選択が開始され、n行目の画素アンプ48によるソースフォロワ読み出しが開始される。時刻t5から時刻t6までの間に、n行目のダークレベル(FD44の前記リセット状態に対応してn行目の画素アンプ48から出力される信号)が、画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプ(保存)される。
【0109】
次に、時刻t6において、φTGB(n)がハイにされてn行目の第2の転送トランジスタ46がオンにされる。これにより、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42に蓄積されている電荷はFD44に転送され、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42の露光時間が終了する。FD44に転送された電荷による電位変動が画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされ、CDS回路27によってこの信号と先のダークレベルとの差分信号が取得される。この信号が、撮影レンズ2の射出瞳の一方に偏心した領域からの光束に基づく第1の焦点検出用信号となる。時刻t7において、φTGB(n)がローにされてn行目の第2の転送トランジスタ46がオフにされる。そして、これらのn行目の第1の焦点検出用信号は、水平走査回路22の駆動信号によって水平信号線28及び出力アンプ29を介して、外部に出力される。
【0110】
次いで、CDS回路27がリセットされた後、時刻t8において、再びφFDR(n)がハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44がリセットされる。その後、時刻t9において、φFDR(n)がローにされてn行目のFDリセットトランジスタ49がオフにされ、FD44のリセットが終了する。時刻t9から時刻t10までの間に、n行目のダークレベルが、画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされる。
【0111】
次に、時刻t10において、φTGC(n)がハイにされて第3の転送トランジスタ47がオンにされる。これにより、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43に蓄積されている電荷はFD44に転送され、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43の露光時間が終了する。FD44に転送された電荷による電位変動が画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされ、CDS回路27によってこの信号と先のダークレベルとの差分信号が取得される。この信号が、撮影レンズ2の射出瞳の他方に偏心した領域からの光束に基づく第2の焦点検出用信号となる。時刻t11において、φTGC(n)がローにされてn行目の第3の転送トランジスタ47がオフにされる。そして、これらのn行目の第2の焦点検出用信号は、水平走査回路22の駆動信号によって水平信号線28及び出力アンプ29を介して、外部に出力される。
【0112】
その後、時刻t12において、φFDR(n)がハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44のリセットが開始されるとともに、φS(n)がローにされてn行目の選択トランジスタ50がオフにされ、n行目の行選択が終了される。
【0113】
図17に示すように、φTGA(n)は常にローのままとされて、第1の転送トランジスタ45はオフのままとされる。したがって、撮像用フォトダイオード41の電荷に基づく撮像用信号の読み出しは行われない。
【0114】
次に、水平帰線期間を経て次の(n+1)行目の選択動作へと移行する。(n+1)行目もn行目と同様な動作が繰り返されるので、ここではその説明は省略する。このようにして、すべての行から信号が読み出されると、焦点検出モードを終了する。なお、撮像用電荷蓄積層52からのオーバーフローを嫌うなら、時刻t1から時刻t5までの期間においてφTGA(n)をハイにしてもよい。
【0115】
次に、図18を参照して撮像モード時の駆動手順を説明する。なお、全行において、φSがハイにされて行選択されている期間以外は、φFDRはハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44がリセットされている。もっとも、必ずしもこれに限定されるものではなく、必要な期間だけφFDRをハイにしてもよい。
【0116】
まず、時刻t21において、n行目のφTGA(n)、φTGB(n)及びφTGC(n)がハイにされ、n行目の撮像用フォトダイオード41並びに第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43がすべてオンにされ、これらのフォトダイオード41,42,43がリセットされる。
【0117】
次いで、時刻t22において、φTGA(n)がローにされて第1の転送トランジスタ45がオフにされ、撮像用フォトダイオード41の露光時間が開始する。時刻t23まで、φTGB(n)及びφTGC(n)はハイのままとされ、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43はリセットされ続ける。もっとも、φTGB(n)及びφTGC(n)は、時刻t22でローにしてもよいし、あるいは、常にローのままとしてもよい。
【0118】
次いで、時刻t23において、φTGB(n)、φTGC(n)及びφFDR(n)がローにされて、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43及びFD44のリセットが終了されるとともに、φS(n)がハイにされてn行目の選択トランジスタ50がオンにされ、n行目の行選択が開始され、n行目の画素アンプ48によるソースフォロワ読み出しが開始される。時刻t23から時刻t24までの間に、n行目のダークレベル(FD44の前記リセット状態に対応してn行目の画素アンプ48から出力される信号)が、画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされる。
【0119】
次に、時刻t24において、φTGA(n)がハイにされてn行目の第1の転送トランジスタ45がオンにされる。これにより、n行目の撮像用フォトダイオード41に蓄積されている電荷はFD44に転送され、n行目の撮像用フォトダイオード41の露光時間が終了する。FD44に転送された電荷による電位変動が画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされ、CDS回路27によってこの信号と先のダークレベルとの差分信号が取得される。この信号が、撮像用信号となる。時刻t25において、φTGA(n)がローにされてn行目の第1の転送トランジスタ45がオフにされる。そして、これらのn行目の撮像用信号は、水平走査回路22の駆動信号によって水平信号線28及び出力アンプ29を介して、外部に出力される。
【0120】
その後、時刻t26において、φFDR(n)がハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44のリセットが開始されるとともに、φS(n)がローにされてn行目の選択トランジスタ50がオフにされ、n行目の行選択が終了される。
【0121】
図18に示すように、φTGB(n)及びφTGC(n)は、φFDR(n)がローでかつφSがハイの期間(時刻t23から時刻26までの期間)において、ローのままとされている。したがって、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43の電荷に基づく第1及び第2の焦点検出用信号の読み出しは行われない。
【0122】
次に、水平帰線期間を経て次の(n+1)行目の選択動作へと移行する。(n+1)行目もn行目と同様な動作が繰り返されるので、ここではその説明は省略する。このようにして、すべての行から信号が読み出されると、撮像モードを終了する。
【0123】
次に、図19を参照して焦点検出・撮像の同時モード時の駆動手順を説明する。なお、全行において、φSがハイにされて行選択されている期間以外は、φFDRはハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44がリセットされている。もっとも、必ずしもこれに限定されるものではなく、必要な期間だけφFDRをハイにしてもよい。
【0124】
まず、時刻t31から時刻t32までの期間において、n行目のφTGA(n)がハイにされて第1の転送トランジスタ45がオンにされ、n行目の撮像用フォトダイオード41がリセットされる。時刻t32から、n行目の撮像用フォトダイオード41の露光時間が開始する。
【0125】
次いで、時刻t33から時刻t34までの期間において、n行目のφTGB(n)がハイにされて第2の転送トランジスタ46がオンにされ、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42がリセットされる。時刻t4から、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42の露光時間が開始する。
【0126】
次に、時刻t35から時刻t36までの期間において、φTGC(n)がハイにされて第3の転送トランジスタ47がオンにされ、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43がリセットされる。時刻t36から、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43の露光時間が開始する。
【0127】
その後、n行目の撮像用フォトダイオード41の露光時間が終了する時刻t38の直前の時刻t37において、φFDR(n)がローにされてn行目のFDリセットトランジスタ49がオフにされFD44のリセットが終了するとともに、φS(n)がハイにされてn行目の選択トランジスタ50がオンにされ、n行目の行選択が開始され、n行目の画素アンプ48によるソースフォロワ読み出しが開始される。時刻t37から時刻t38までの間に、n行目のダークレベル(FD44の前記リセット状態に対応してn行目の画素アンプ48から出力される信号)が、画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされる。
【0128】
次に、時刻t38において、φTGA(n)がハイにされてn行目の第1の転送トランジスタ45がオンにされる。これにより、n行目の撮像用フォトダイオード41に蓄積されている電荷はFD44に転送され、n行目の撮像用フォトダイオード41の露光時間が終了する。FD44に転送された電荷による電位変動が画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされ、CDS回路27によってこの信号と先のダークレベルとの差分信号が取得される。この信号が、撮像用信号となる。時刻t39において、φTGA(n)がローにされてn行目の第1の転送トランジスタ45がオフにされる。そして、これらのn行目の撮像用信号は、水平走査回路22の駆動信号によって水平信号線28及び出力アンプ29を介して、外部に出力される。
【0129】
次いで、CDS回路27がリセットされた後、時刻t40において、再びφFDR(n)がハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44がリセットされる。その後、時刻t41において、φFDR(n)がローにされてn行目のFDリセットトランジスタ49がオフにされ、FD44のリセットが終了する。時刻t41から時刻t42までの間に、n行目のダークレベルが、画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされる。
【0130】
次に、時刻t42において、φTGB(n)がハイにされて第2の転送トランジスタ46がオンにされる。これにより、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42に蓄積されている電荷はFD44に転送され、n行目の第1の焦点検出用フォトダイオード42の露光時間が終了する。FD44に転送された電荷による電位変動が画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされ、CDS回路27によってこの信号と先のダークレベルとの差分信号が取得される。この信号が、撮影レンズ2の射出瞳の一方に偏心した領域からの光束に基づく第1の焦点検出用信号となる。時刻t43において、φTGB(n)がローにされてn行目の第2の転送トランジスタ46がオフにされる。そして、これらのn行目の第1の焦点検出用信号は、水平走査回路22の駆動信号によって水平信号線28及び出力アンプ29を介して、外部に出力される。
【0131】
次いで、CDS回路27がリセットされた後、時刻t44において、再びφFDR(n)がハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44がリセットされる。その後、時刻t45において、φFDR(n)がローにされてn行目のFDリセットトランジスタ49がオフにされ、FD44のリセットが終了する。時刻t45から時刻t46までの間に、n行目のダークレベルが、画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされる。
【0132】
次に、時刻t46において、φTGC(n)がハイにされて第3の転送トランジスタ47がオンにされる。これにより、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43に蓄積されている電荷はFD44に転送され、n行目の第2の焦点検出用フォトダイオード43の露光時間が終了する。FD44に転送された電荷による電位変動が画素アンプ48から垂直信号線25を介してCDS回路27にクランプされ、CDS回路27によってこの信号と先のダークレベルとの差分信号が取得される。この信号が、撮影レンズ2の射出瞳の他方に偏心した領域からの光束に基づく第2の焦点検出用信号となる。時刻t47において、φTGC(n)がローにされてn行目の第3の転送トランジスタ47がオフにされる。そして、これらのn行目の第2の焦点検出用信号は、水平走査回路22の駆動信号によって水平信号線28及び出力アンプ29を介して、外部に出力される。
【0133】
その後、時刻t48において、φFDR(n)がハイにされてFDリセットトランジスタ49がオンにされ、FD44のリセットが開始されるとともに、φS(n)がローにされてn行目の選択トランジスタ50がオフにされ、n行目の行選択が終了される。
【0134】
次に、水平帰線期間を経て次の(n+1)行目の選択動作へと移行する。(n+1)行目もn行目と同様な動作が繰り返されるので、ここではその説明は省略する。このようにして、すべての行から信号が読み出されると、焦点検出・撮像の同時モードを終了する。
【0135】
前述した図17乃至図19に示す例では、露光の開始と終了を電子シャッタ動作で決めていたが、メカニカルシャッタ機構を用いて露光の開始と終了を決めるようにしてもよい。この場合、例えば、電子シャッタによる露光開始後メカニカルシャッタが開となり、メカニカルシャッタ閉後電子シャッタが閉となるメカニカルシャッタで、露光時間を決めるようにすればよい。
【0136】
次に、本実施の形態による電子カメラ1の動作の一例について、再び図1を参照して説明する。
【0137】
電子カメラ1内のマイクロプロセッサ9は、レリーズ釦の半押し操作に同期して撮像制御部4を駆動する。撮像制御部4は、図17を参照して説明した焦点検出モードの動作によって、固体撮像素子3から焦点検出用信号を読み出し、メモリ7に蓄積する。
【0138】
撮像制御部4の指令によって固体撮像素子3から焦点検出用信号が出力されメモリ7に蓄積されると、焦点演算部10は、この信号を用いて瞳分割位相差方式に従った焦点検出演算処理を実施し、デフォーカス量を、撮影レンズ2の焦点調節状態を示す検出信号として得る。
【0139】
ここで、現在設定されている焦点調節モードが、例えば図3及び図4に示す焦点検出領域35のみに基づいて焦点調節を行うモード(以下、「焦点検出領域35モード」と呼ぶ。)である場合は、焦点演算部10は、メモリ7に取り込まれた焦点検出用信号のうち、焦点検出領域35の全ての青色の画素20B1の第1及び第2の焦点検出用信号を用いて、瞳分割位相差方式に従った焦点検出演算処理を実施し、デフォーカス量を、撮影レンズ2の焦点調節状態を示す検出信号として得る。
【0140】
現在設定されている焦点調節モードが、例えば図3に示す全ての焦点検出領域32〜37に基づいて焦点調節を行うモード(以下、「全焦点検出領域モード」と呼ぶ。)である場合は、焦点演算部10は、前述したように焦点検出領域35に関してデフォーカス量を演算する他、各焦点検出領域32〜34,36,37についても、同様に、当該焦点検出領域に関してデフォーカス量を演算する。なお、焦点検出領域36に関してデフォーカス量を演算する場合、図5から理解できるように、焦点検出領域36の全ての青色の画素20B2の第1及び第2の焦点検出用信号を用いて演算する。
【0141】
焦点演算部10によって検出されたデフォーカス量は、レンズ制御部2aに伝達される。レンズ制御部2aは、伝達されるデフォーカス量に基づいて撮影レンズ2の焦点駆動を行い、撮影レンズ2を被写体に合焦させる。
【0142】
このとき、現在設定されている焦点調節モードが焦点検出領域35モードの場合は、レンズ制御部2aは、焦点検出領域35に関するデフォーカス量に基づいてそのデフォーカス量がゼロになるように、撮影レンズ2を駆動する。また、現在設定されている焦点調節モードが全焦点検出領域モードの場合は、レンズ制御部2aは、先に求められた各焦点検出領域のデフォーカス量に基づいて決定した調節後の焦点調節状態となるように、撮影レンズ2を駆動する。
【0143】
その後、電子カメラ1内のマイクロプロセッサ9は、レリーズ釦の全押し操作に同期して撮像制御部4を用いて、図18を参照して説明した撮像モードの動作によって、固体撮像素子3から撮像用信号を読み出し、メモリ7に蓄積する。引き続いて、マイクロプロセッサ9は、操作部9aの指令に基づき、必要に応じて画像処理部13や画像圧縮部12にて所望の処理を行い、記録部11に処理後の信号を出力させ記録媒体11aに記録する。
【0144】
また、電子カメラ1内のマイクロプロセッサ9は、操作部9aの操作により動画撮影などが指示されると、それに合わせて撮像制御部4を駆動する。撮像制御部4は、図19を参照して説明した焦点検出・撮像の同時モードによって、固体撮像素子3から焦点検出用信号及び撮像用信号の両方を実質的に同時に読み出し、メモリ7に蓄積する。このように撮像用信号を読み出してメモリ7に蓄積しながら、実質的に同時に得られた焦点検出用信号に基づいた焦点演算部10によるデフォーカス量の演算及びこれに応じたレンズ制御部2aによる合焦を行う。この場合も、現在設定されている焦点調節モードに従ったデフォーカス量の演算及び撮影レンズ2の駆動を行う。このようにして、動体等に追従した合焦動作を行いながら、動画を撮像することができる。
【0145】
本実施の形態によれば、青色の画素20B1,20B2に関して、1つの画素に、青色の撮像用信号となるべき電荷を得る撮像用フォトダイオード41の他に、第1及び第2の焦点検出用信号となるべき電荷を得る第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43が設けられているので、1つの画素から青色の撮像用信号と焦点検出用信号の両方を得ることができる。したがって、本実施の形態によれば、固体撮像素子3が焦点検出素子としての機能を併せ持ちながら、画素欠陥と同様の状態による画質の劣化を回避することができる。
【0146】
また、本実施の形態では、青色の画素20B1,20B2に関して、1つの画素において、撮像用フォトダイオード41と第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43とが入射光の入射方向に重なるように配置され、撮像用フォトダイオード41が主として光電変換する入射光の波長成分と、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43が主として光電変換する入射光の波長成分とが、異なっている。したがって、本実施の形態によれば、特許文献3に開示された前記固体撮像素子などとは異なり、撮像用フォトダイオード41を2分割する必要がなく、撮像用フォトダイオード41に不感帯が生じない。よって、本実施の形態によれば、青色の撮像用信号に対する入射光の利用効率が高まる。
【0147】
[第2の実施の形態]
【0148】
図20は、本発明の第2の実施の形態による撮像装置としての電子カメラの固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図である。図20において、図4及び図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0149】
本実施の形態が前記第1の実施の形態と基本的に異なる所は、固体撮像素子3における画素の配置のみである。本実施の形態では、固体撮像素子3における画素20R,20G,20B1,20B2を、撮像領域31の全体に渡って、図20に示すようなパターンで配置したものである。図20は、撮像領域31の一部を拡大したものに相当する。
【0150】
本実施の形態では、図20に示すように、ベイヤー配列に従った配置を採用しつつ、緑色の画素20Gを1つ挟んでX軸方向及びY軸方向にそれぞれ隣り合う青色の画素が、画素20B1と画素20B2となり、画素20B1同士や画素20B2同士とならないように、配置したものである。
【0151】
前記第1の実施の形態では、焦点検出領域が予め図3に示すように定められていたが、本実施の形態では、例えば、緑色の画素20G、青色の画素20B1,20B2を含む任意の列及び行の一部を、適宜任意に焦点検出領域として指定し得る。この場合、緑色の画素20G、青色の画素20B1,20B2を含むY軸方向の列の一部を焦点検出領域として指定する場合は、当該焦点検出領域の全部の青色の画素20B1の第1及び第2の焦点検出用信号を用いてデフォーカス量を演算する。緑色の画素20G、青色の画素20B1,20B2を含むX軸方向の行の一部を焦点検出領域として指定する場合は、当該焦点検出領域の全部の青色の画素20B2の第1及び第2の焦点検出用信号を用いてデフォーカス量を演算する。
【0152】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0153】
[第3の実施の形態]
【0154】
図21は、本発明の第3の実施の形態による撮像装置としての電子カメラの固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図であり、図3における焦点検出領域35の付近を拡大したものに相当する。図22は、本実施の形態による電子カメラ1の固体撮像素子3の画素配置を模式的に示す他の図であり、図3における焦点検出領域36の付近を拡大したものに相当する。図21及び図22において、図4及び図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0155】
本実施の形態が前記第1の実施の形態と基本的に異なる所は、焦点検出用信号を出力し得るように構成された青色の画素20B1,20B2に代えて、焦点検出用信号を出力し得ない青色の画素20Bが用いられている点と、焦点検出用信号を出力し得ない赤色の画素20Rに代えて、焦点検出用信号を出力し得るように構成された赤色の画素20R1,20R2が用いられている点のみである。
【0156】
図21及び図22において、画素20Bには符号「B」を付し、画素20R1には符号「R1」を付し、画素20R2には符号「R2」を付している。
【0157】
本実施の形態では、図21及び図22に示すように、赤色の画素20R1,20R2、緑色の画素20G及び青色の画素20Bが、ベイヤー配列に従って配列されている。
【0158】
本実施の形態では、Y軸方向に延びた図3中の焦点検出領域35は、図21に示すように、緑色の画素20Gと赤色の画素とが交互に並んだY軸方向の列の一部である。焦点検出領域35では、赤色の画素として赤色の画素20R1が用いられている。Y軸方向に延びた図3中の焦点検出領域33,34は、焦点検出領域35と同様である。
【0159】
また、本実施の形態では、X軸方向に延びた図3中の焦点検出領域36は、図22に示すように、緑色の画素20Gと赤色の画素とが交互に並んだX軸方向の行の一部である。焦点検出領域36では、赤色の画素として赤色の画素20R2が用いられている。X軸方向に延びた図3中の焦点検出領域36,37は、焦点検出領域35と同様である。
【0160】
図面には示していないが、青色の画素20Bは、青色波長成分を選択的に透過させる青色カラーフィルタ88B(図示せず)が赤色カラーフィルタ88Rの代わりに設けられている点を除き、第1の実施の形態における赤色の画素20Rと同一に構成されている。
【0161】
次に、赤色の画素20R1について、図23乃至図26を参照して説明する。赤色の画素20R1の回路構成は、図6に示す青色の画素20B1の回路構成と同一である。
【0162】
図23は、赤色の画素20R1の主な要素を模式的に示す概略平面図である。図24は、赤色の画素20R1の一部の要素を模式的に示す概略平面図である。図25は、赤色の画素20R1の他の一部の要素を模式的に示す概略平面図である。図26は、図23中のD−D’線に沿った概略断面図である。図23乃至図26において、図7乃至図12中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0163】
図23において、撮像用フォトダイオード41を構成する撮像用電荷蓄積層52を透過して破線にて示している。図23では、駆動配線は省略され、画素内の内部配線73のみを示している
【0164】
図24は、主に、撮像用フォトダイオード41を構成する撮像用電荷蓄積層52を示している。図24には、撮像用電荷蓄積層52の電荷を導く導電路の一部をそれぞれ構成する深いN型の拡散部91及び表面に現れるN型の拡散部92も、示している。また、図24には、破線によって分離層57も示している。
【0165】
図25は、主に、第1の焦点検出用フォトダイオード42を構成する第1の焦点検出用電荷蓄積層53、及び、第2の焦点検出用フォトダイオード43を構成する第2の焦点検出用電荷蓄積層54を、示している。理解を容易にするため、図25には、FD44の一部を構成するN型拡散層71と、深い拡散部91と、表面の拡散部92も示している。なお、図示されていないが、フローティングディフュージョン71、深い拡散部91、表面に現れる拡散部92の領域は、遮光膜を兼ねる配線層62(図示せず)で遮光されている。
【0166】
なお、図26では、図11と異なり、基板51上の主要な要素(すなわち、基板51上に形成された層間絶縁膜61、当該画素の有効受光領域に開口62aを有する遮光膜を兼ねる配線層62、平坦化層63,64及びマイクロレンズ65)の図示は省略している。しかしながら、赤色の画素20R1においても、それらの要素は設けられている。なお、赤色の画素20R1においても、第1の実施の形態における青色の画素20B1と同じく、カラーフィルタは設けられていない。
【0167】
赤色の画素20R1が青色の画素20B1と基本的に異なる所は、撮像用フォトダイオード41を構成する撮像用電荷蓄積層52が、基板51の表面ではなく、深さ方向に深い領域に配置されている点と、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43をそれぞれ構成する第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54が、基板51の表面近くに配置されている点である。
【0168】
これにより、赤色の画素20R1では、撮像用電荷蓄積層52は、シリコン基板51の深くにて入射光の赤色波長成分が主として光電変換されて赤色の撮像用信号となるべき電荷を蓄積する。これを有する撮像用フォトダイオード41は、入射光の赤色波長成分を主として光電変換して赤色の撮像用信号となるべき電荷を得ることになる。また、赤色の画素20R1では、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は、シリコン基板51の表面近くにて入射光の青色波長成分が主として光電変換されてそれぞれ青色の第1及び第2のの焦点検出用信号となるべき電荷をそれぞれ蓄積する。第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54をそれぞれ有する第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43は、入射光の青色波長成分を主として光電変換してそれぞれ青色の第1及び第2の焦点検出用信号となるべき電荷をそれぞれ得ることになる。
【0169】
赤色の画素20R2は、青色の画素20B1を変形して青色の画素20B2を得たのと同様の方法で赤色の画素20R1を変形することによって、得ることができる。すなわち、赤色の画素20R2では、図23及び図24に示すように、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は光軸Oに対して+Y側に配置されるとともに、第2の焦点検出用電荷蓄積層54は光軸Oに対して−Y側に配置されているのに対し、図面には示していないが、赤色の画素20R2では、第1の焦点検出用電荷蓄積層53は光軸Oに対して−X側に配置されるとともに、第2の焦点検出用電荷蓄積層54は光軸Oに対して+X側に配置されている。
【0170】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0171】
なお、前記第1の実施の形態を変形して前記第2の実施の形態を得たのと同様の変形を、本実施の形態に適用してもよい。
【0172】
[第4の実施の形態]
【0173】
図27は、本発明の第4の実施の形態による撮像装置としての電子カメラの固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図である。図27において、図4、図5、図21及び図22中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0174】
本実施の形態が前記第3の実施の形態と基本的に異なる所は、固体撮像素子3における画素の配置のみである。本実施の形態では、これまで説明した画素20B1,20R2,20Gを、撮像領域31の全体に渡って、図20に示すようなパターンで配置したものである。図27は、撮像領域31の一部を拡大したものに相当する。本実施の形態では、図27に示すように、画素20B1,20R2,20Gがベイヤー配列されている。
【0175】
本実施の形態では、例えば、緑色の画素20G及び青色の画素20B1を含む任意の列の一部、及び、緑色の画素20G及び赤色の画素20R2を含む任意の行の一部を、適宜任意に焦点検出領域として指定し得る。この場合、緑色の画素20G及び青色の画素20B1を含む任意の列の一部を焦点検出領域として指定する場合は、当該焦点検出領域の全部の青色の画素20B1の第1及び第2の焦点検出用信号を用いてデフォーカス量を演算する。緑色の画素20G及び赤色の画素20R2を含む任意の行の一部を焦点検出領域として指定する場合は、当該焦点検出領域の全部の赤色の画素20R2の第1及び第2の焦点検出用信号を用いてデフォーカス量を演算する。
【0176】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0177】
[第5の実施の形態]
【0178】
図28は、本発明の第5の実施の形態による撮像装置としての電子カメラの固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図である。図28において、図4、図5、図21及び図22中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0179】
本実施の形態が前記第1の実施の形態と基本的に異なる所は、焦点検出用信号を出力し得るように構成された青色の画素20B1,20B2に代えて、焦点検出用信号を出力し得ない青色の画素20Bが用いられている点と、焦点検出用信号を出力し得ない緑色の画素20Gに代えて、焦点検出用信号を出力し得るように構成された緑色の画素20G1,20G2が用いられている点のみである。
【0180】
図28において、画素20G1には符号「G1」を付し、画素20G2には符号「G2」を付している。
【0181】
本実施の形態では、図21及び図22に示すように、赤色の画素20R、緑色の画素20G1,20G2及び青色の画素20Bが、ベイヤー配列に従って配列されている。
【0182】
図面には示していないが、緑色の画素20G1の回路構成は、図6に示す青色の画素20B1の回路構成と同一である。
【0183】
また、図面には示していないが、緑色の画素20G1が青色の画素20B1と基本的に異なる所は、撮像用フォトダイオード41を構成する撮像用電荷蓄積層52が、基板51の表面ではなく、緑色波長成分が光電変換された電荷を蓄積するのに適した中間的に深い領域に配置されている点と、第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43をそれぞれ構成する第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54が、基板51の表面近く又は撮像用電荷蓄積層52よりも深い位置に配置されている点である。
【0184】
これにより、緑色の画素20G1では、撮像用電荷蓄積層52は、シリコン基板51の中間的な深さにて入射光の緑波長成分が主として光電変換されて緑色の撮像用信号となるべき電荷を蓄積する。これを有する撮像用フォトダイオード41は、入射光の緑色波長成分を主として光電変換して緑色の撮像用信号となるべき電荷を得ることになる。また、緑色の画素20R1では、第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54は、シリコン基板51の表面近く又は深くにて入射光の青色波長成分又は赤色波長成分が主として光電変換されてそれぞれ青色又は赤色の第1及び第2のの焦点検出用信号となるべき電荷をそれぞれ蓄積する。第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54をそれぞれ有する第1及び第2の焦点検出用フォトダイオード42,43は、入射光の青色波長成分又は赤色波長成分を主として光電変換してそれぞれ青色又は赤色の第1及び第2の焦点検出用信号となるべき電荷をそれぞれ得ることになる。
【0185】
緑色の画素20G2は、青色の画素20B1を変形して青色の画素20B2を得たのと同様の方法で緑色の画素20G1を変形することによって、得ることができる。
【0186】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0187】
[第6の実施の形態]
【0188】
図29は、本発明の第6の実施の形態による撮像装置としての電子カメラの固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図であり、図3における焦点検出領域35の付近を拡大したものに相当する。図30は、本実施の形態による電子カメラ1の固体撮像素子3の画素配置を模式的に示す他の図であり、図3における焦点検出領域36の付近を拡大したものに相当する。図29及び図30において、図4及び図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0189】
本実施の形態が前記第1の実施の形態と基本的に異なる所は、焦点検出用信号を出力し得るように構成された青色の画素20B1,20B2に代えて、焦点検出用信号を出力し得るように構成された青色の画素20B3,20B4,20B5,20B6が用いられている点のみである。
【0190】
図29及び図30において、画素20B3には符号「B3」を付し、画素20B4には符号「B4」を付し、画素20B5には符号「B5」を付し、画素20B6には符号「B6」を付している。図29及び図30において、符号「B*」は、青色の画素20B3,20B4,20B5,20B6のいずれか任意の1つであることを示している。
【0191】
本実施の形態では、図29及び図30に示すように、赤色の画素20R、緑色の画素20G及び青色の画素20B3,20B4,20B5,20B6が、ベイヤー配列に従って配列されている。
【0192】
本実施の形態では、Y軸方向に延びた図3中の焦点検出領域35は、図29に示すようなY軸方向の3列の一部である。また、X軸方向に延びた図3中の焦点検出領域36は、図30に示すようなX軸方向の3行の一部である。
【0193】
図31は、青色の画素20B3の要部を模式的に示す概略平面図である。図32は、青色の画素20B4の要部を模式的に示す概略平面図である。図33は、青色の画素20B5の要部を模式的に示す概略平面図である。図34は、青色の画素20B6の要部を模式的に示す概略平面図である。図31乃至図33において、図13及び図14中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0194】
青色の画素20B3が青色の画素20B1と基本的に異なる所は、−Y側の第2の焦点検出用電荷蓄積層54(したがって、第2の焦点検出用フォトダイオード43)が除去されている点のみである。青色の画素20B3の回路構成は、図6において、第2の焦点検出用フォトダイオード43及び第3の転送トランジスタ47が除去されたものとなる。
【0195】
青色の画素20B4が青色の画素20B1と基本的に異なる所は、+Y側の第1の焦点検出用電荷蓄積層53(したがって、第1の焦点検出用フォトダイオード42)が除去されている点のみである。青色の画素20B4の回路構成は、図6において、第1の焦点検出用フォトダイオード42及び第2の転送トランジスタ46が除去されたものとなる。
【0196】
青色の画素20B5が青色の画素20B2と基本的に異なる所は、+X側の第2の焦点検出用電荷蓄積層54(したがって、第2の焦点検出用フォトダイオード43)が除去されている点のみである。青色の画素20B5の回路構成は、図6において、第2の焦点検出用フォトダイオード43及び第3の転送トランジスタ47が除去されたものとなる。
【0197】
青色の画素20B6が青色の画素20B2と基本的に異なる所は、−X側の第1の焦点検出用電荷蓄積層53(したがって、第1の焦点検出用フォトダイオード42)が除去されている点のみである。青色の画素20B3の回路構成は、図6において、第1の焦点検出用フォトダイオード42及び第2の転送トランジスタ46が除去されたものとなる。
【0198】
本実施の形態では、例えば、図29に示す焦点検出領域35が指定された場合、当該領域35の全部の青色の画素20B3からの焦点検出用信号と、当該領域35の全部の青色の画素20B4からの焦点検出用信号とを用いて、デフォーカス量を演算する。図30に示す焦点検出領域36が指定された場合、当該領域36の全部の青色の画素20B5からの焦点検出用信号と、当該領域36の全部の青色の画素20B6からの焦点検出用信号とを用いて、デフォーカス量を演算する。
【0199】
なお、本実施の形態では、必要に応じて、青色の画素20B3,20B4,20B5,20B6において、撮像用電荷蓄積層52の有効受光領域のうちの焦点検出用電荷蓄積層53(又は54)と重なっていない領域に対応する箇所には、青色波長成分のみを選択的に透過する青色カラーフィルタを設ける。また、第1の実施の形態のように、撮像用電荷蓄積層52の下に分離層を設けてもよい。このように分離層を設ければ、撮像用の信号に不要な電荷が入りノイズになることが無い。さらに、N型シリコン基板にP型ウエルを設け、その中に焦点検出用電荷蓄積層53や撮像用電荷蓄積層52を配置させてもよい。その場合、不要な電荷はN型シリコンに吸収されるので、ノイズにならない。
【0200】
本実施の形態によっても、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。
【0201】
ところで、本実施の形態において、青色の画素20B3,20B4の代わりに、図35及び図36にそれぞれ示す青色の画素20B3’,20B4を用いてもよい。青色の画素20B3’では、+Y側の第1の焦点検出用電荷蓄積層53の一部が光軸Oから−Y側にある程度はみ出すように拡げられている。青色の画素20B4’では、−Y側の第2の焦点検出用電荷蓄積層54の一部が光軸Oから+Y側にある程度はみ出すように拡げられている。青色の画素20B5,20B6についても同様に変形してもよい。この場合、より大きな焦点検出用信号を得ることが可能となり、焦点検出用信号のSN比が向上する。
【0202】
前記第1の実施の形態を変形して第2乃至5の実施の形態を得たのと同様の変形を、前記第6の実施の形態に対して適用してもよい。
【0203】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0204】
例えば、前述した実施の形態はカラーの組み合わせとしてR、G、Bを用いる系を採用した例であるが、本発明は、補色系を採用してもよい。
【0205】
また、例えば前記第1の実施の形態では、青色の画素20B1,20B2は、有効受光領域の全体をカバーする1つの焦点検出用電荷蓄積層を2つの第1及び第2の焦点検出用電荷蓄積層53,54に分割したものに相当している。しかしながら、本発明では、1つの画素に設ける焦点検出用電荷蓄積層の数は2つに限定されるものではなく、例えば、1つの画素に4等分割したものに相当する4つの焦点検出用電荷蓄積層を設けてもよい。
【0206】
さらに、本発明では、一部の画素ではなく全ての画素にそれぞれ1つ以上の焦点検出用電荷蓄積層を設けてもよい。
【0207】
また、本発明は、MOSトランジスタ以外の増幅部を用いた増幅型固体撮像素子にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】本発明の第1の実施の形態による撮像装置を示す概略ブロック図である。
【図2】図1中の固体撮像素子の概略構成を示す回路図である。
【図3】図1中の固体撮像素子を模式的に示す概略平面図である。
【図4】図3における所定の焦点検出領域の付近を拡大した概略拡大図である。
【図5】図3における他の所定の焦点検出領域の付近を拡大した概略拡大図である。
【図6】図1中の固体撮像素子の青色の画素を示す回路図である。
【図7】図1中の固体撮像素子の青色の画素の主な要素を模式的に示す概略平面図である。
【図8】図1中の固体撮像素子の青色の画素の一部の要素を模式的に示す概略平面図である。
【図9】図1中の固体撮像素子の青色の画素の他の一部の要素を模式的に示す概略平面図である。
【図10】図7中のA−A’線に沿った概略断面図である。
【図11】図7のB−B’線に沿った概略断面図である。
【図12】図7中のC−C’線に沿った概略断面図である。
【図13】図1中の固体撮像素子の青色の画素の要部を模式的に示す概略平面図である。
【図14】図1中の固体撮像素子の他の青色の画素の要部を模式的に示す概略平面図である。
【図15】図1中の固体撮像素子の赤色の画素及び緑色の画素を示す回路図である。
【図16】図1中の固体撮像素子の赤色の画素及び緑色の画素を示す概略断面図である。
【図17】焦点検出モード時の図1中の固体撮像素子の駆動手順を示すタイミングチャートである。
【図18】撮像モード時の図1中の固体撮像素子の駆動手順を示すタイミングチャートである。
【図19】焦点検出・撮像の同時モード時の図1中の固体撮像素子の駆動手順を示すタイミングチャートである。
【図20】本発明の第2の実施の形態による撮像装置の固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図である。
【図21】本発明の第3の実施の形態による撮像装置の固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図である。
【図22】本発明の第3の実施の形態による撮像装置の固体撮像素子の画素配置を模式的に示す他の図である。
【図23】本発明の第3の実施の形態で用いられる赤色の画素の主な要素を模式的に示す概略平面図である。
【図24】図23に示す赤色の画素の一部の要素を模式的に示す概略平面図である。
【図25】図23に示す赤色の画素の他の一部の要素を模式的に示す概略平面図である。
【図26】図23中のD−D’線に沿った概略断面図である。
【図27】本発明の第4の実施の形態による撮像装置の固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図である。
【図28】本発明の第5の実施の形態による撮像装置の固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図である。
【図29】本発明の第6の実施の形態による撮像装置の固体撮像素子の画素配置を模式的に示す図である。
【図30】本発明の第6の実施の形態による撮像装置の固体撮像素子の画素配置を模式的に示す他の図である。
【図31】本発明の第6の実施の形態で用いられる青色の画素の要部を模式的に示す概略平面図である。
【図32】本発明の第6の実施の形態で用いられる他の青色の画素の要部を模式的に示す概略平面図である。
【図33】本発明の第6の実施の形態で用いられる更に他の青色の画素の要部を模式的に示す概略平面図である。
【図34】本発明の第6の実施の形態で用いられる更に他の青色の画素の要部を模式的に示す概略平面図である。
【図35】青色の画素の変形例を示す概略平面図である。
【図36】他の青色の画素の変形例を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0209】
1 電子カメラ
2 撮影レンズ
3 固体撮像素子
20 20R,20G,20B1〜20B6,20R1,20R2,20G1,20G2 画素
41 撮像用フォトダイオード
42,43 焦点検出用フォトダイオード
52 撮像用電荷蓄積層
53,54 焦点検出用電荷蓄積層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系により結像される被写体像を光電変換する固体撮像素子であって、
2次元状に配置され各々が前記被写体像を示す画像信号を形成するための撮像用信号を出力する複数の画素を備え、
前記複数の画素の各1つの画素は、入射光の所定波長成分を主として光電変換して前記撮像用信号となるべき電荷を得る撮像用光電変換部を有し、
前記複数の画素のうちの少なくとも一部の画素は、前記撮像用信号の他に、前記光学系の焦点調節状態を検出するための複数の焦点検出用信号を互いに独立して出力し得るように構成され、
前記少なくとも一部の画素の各1つの画素は、当該画素の前記撮像用光電変換部の他に、前記入射光の入射方向から見たときにそれぞれの少なくとも一部が当該画素の前記撮像用光電変換部と重なるように配置された複数の焦点検出用光電変換部であって、当該画素の前記撮像用光電変換部が光電変換する前記入射光の前記所定波長成分とは実質的に異なる波長成分をそれぞれ主として光電変換してそれぞれ前記複数の焦点検出用信号となるべき電荷をそれぞれ得る複数の焦点検出用光電変換部を有し、
前記少なくとも一部の画素の各1つの画素の前記複数の焦点検出用光電変換部は、前記光学系の射出瞳の中心から互いに異なる方向へそれぞれ偏心した前記射出瞳の領域からの光束をそれぞれ選択的に受光して光電変換する、
ことを特徴とする固体撮像素子。
【請求項2】
前記少なくとも一部の画素の各1つの画素に関して、当該画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分、及び、当該画素の前記各焦点検出用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の波長成分は、可視域の波長成分であることを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記少なくとも一部の画素の各1つの画素の前記複数の焦点検出用光電変換部の数は2つであり、
前記少なくとも一部の画素の各1つの画素の前記複数の焦点検出用光電変換部のうちの一方の焦点検出用光電変換部は、前記光学系の射出瞳の中心から所定方向へ偏心した前記射出瞳の第1の領域からの光束を選択的に受光して光電変換し、
前記少なくとも一部の画素の各1つの画素の前記複数の焦点検出用光電変換部のうちの他方の撮像用光電変換部は、前記光学系の射出瞳の中心から前記所定方向とは反対の方向へ偏心した前記射出瞳の第2の領域からの光束を選択的に受光して光電変換する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記少なくとも一部の画素のうちの少なくとも1つの画素の前記撮像用光電変換部は、第1導電型の第1の半導体層に配置され前記撮像用信号となるべき前記電荷を蓄積する第2導電型の撮像用電荷蓄積層を有し、
前記少なくとも1つの画素の前記各焦点検出用光電変換部は、前記入射光の入射方向から見たときに少なくとも一部が前記第1の半導体層の一部を介して当該画素の前記撮像用電荷蓄積層と重なるように前記第1の半導体層に配置され当該画素の前記複数の焦点検出用信号のうちの1つの焦点検出用信号となるべき前記電荷を蓄積する第2導電型の焦点検出用電荷蓄積層を有する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記少なくとも1つの画素において、前記第1の半導体層よりも不純物濃度が高濃度である前記第1導電型の層が、前記撮像用電荷蓄積層と前記各焦点検出用電荷蓄積層との間に位置するように、前記第1の半導体層に配置されたことを特徴とする請求項4記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記少なくとも一部の画素のうちの少なくとも1つの画素に関して、当該画素の前記複数の焦点検出用光電変換部は、前記入射光の実質的に同じ波長成分を光電変換することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記少なくとも一部の画素の少なくとも1つの画素に関して、当該画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分は、当該画素の前記各焦点検出用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の波長成分よりも短い波長成分であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記少なくとも一部の画素の少なくとも1つの画素に関して、当該画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分は、当該画素の前記各焦点検出用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の波長成分よりも長い波長成分であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項9】
前記少なくとも一部の画素の各1つの画素は、当該画素に対して1対1に設けられ当該画素の前記撮像用光電変換部及び前記複数の焦点検出用光電変換部に入射光を導くマイクロレンズを、有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項10】
光学系により結像される被写体像を光電変換する固体撮像素子であって、
2次元状に配置され各々が前記被写体像を示す画像信号を形成するための撮像用信号を出力する複数の画素を備え、
前記複数の画素の各1つの画素は、入射光の所定波長成分を主として光電変換して前記撮像用信号となるべき電荷を得る撮像用光電変換部を有し、
前記複数の画素のうちの少なくとも一部の画素は、前記撮像用信号の他に、前記光学系の焦点調節状態を検出するための焦点検出用信号を独立して出力し得るように構成され、
前記少なくとも一部の画素の各1つの画素は、当該画素の前記撮像用光電変換部の他に、前記入射光の入射方向から見たときに少なくとも一部が当該画素の前記撮像用光電変換部と重なるように配置された焦点検出用光電変換部であって、当該画素の前記撮像用光電変換部が光電変換する前記入射光の前記所定波長成分とは実質的に異なる波長成分を主として光電変換して前記焦点検出用信号となるべき電荷を得る焦点検出用光電変換部を有し、
前記少なくとも一部の画素のうちの一部の画素の前記焦点検出用光電変換部は、前記光学系の射出瞳の中心から所定方向へ偏心した前記射出瞳の第1の領域からの光束を選択的に受光して光電変換し、
前記少なくとも一部の画素のうちの他の一部の画素の前記焦点検出用光電変換部は、前記光学系の射出瞳の中心から前記所定方向とは反対の方向へ偏心した前記射出瞳の第2の領域からの光束を選択的に受光して光電変換する、
ことを特徴とする固体撮像素子。
【請求項11】
前記少なくとも一部の画素の各1つの画素に関して、当該画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分、及び、当該画素の前記焦点検出用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の波長成分は、可視域の波長成分であることを特徴とする請求項10記載の固体撮像素子。
【請求項12】
前記少なくとも一部の画素のうちの少なくとも1つの画素の前記撮像用光電変換部は、第1導電型の第1の半導体層に配置され前記撮像用信号となるべき前記電荷を蓄積する第2導電型の撮像用電荷蓄積層を有し、
前記少なくとも1つの画素の前記焦点検出用光電変換部は、前記入射光の入射方向から見たときに少なくとも一部が前記第1の半導体層の一部を介して当該画素の前記撮像用電荷蓄積層と重なるように前記第1の半導体層に配置され当該画素の前記焦点検出用信号となるべき前記電荷を蓄積する第2導電型の焦点検出用電荷蓄積層を有する、ことを特徴とする請求項10又は11記載の固体撮像素子。
【請求項13】
前記少なくとも1つの画素において、前記第1の半導体層よりも不純物濃度が高濃度である前記第1導電型の層が、前記撮像用電荷蓄積層と前記焦点検出用電荷蓄積層との間に位置するように、前記第1の半導体層に配置されたことを特徴とする請求項12記載の固体撮像素子。
【請求項14】
前記複数の画素は複数のグループに分けられ、
同じグループの前記画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分は、互いに実質的に同一であり、
異なるグループの前記画素の前記撮像用光電変換部が主として光電変換する前記入射光の前記所定波長成分は、互いに実質的に異なる、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の固体撮像素子。
【請求項15】
前記少なくとも一部の画素は、カラーフィルタを有していないことを特徴とする請求項14記載の固体撮像素子。
【請求項16】
前記複数の画素は、前記少なくとも一部の画素以外の画素を含み、
前記少なくとも一部の画素以外の前記画素は、カラーフィルタを有する、
ことを特徴とする請求項14又は15記載の固体撮像素子。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれかに記載の固体撮像素子と、前記少なくとも一部の画素からの前記焦点検出用信号に基づいて、前記光学系の焦点調節状態を示す検出信号を出力する検出処理部を、備えたことを特徴とする撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate


【公開番号】特開2008−15215(P2008−15215A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−186180(P2006−186180)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】