圧接端子の圧接時の幅測定方法及び装置
【課題】電線を圧接刃間に圧入した圧接端子の幅を正確に測定できる圧接端子の圧接時の幅測定方法及び装置を提供する。
【解決手段】圧接端子の圧接時の幅測定装置は発光する発光部と発光部からの光を受光して撮像する撮像部と発光部と撮像部との間に設けられた端子取付部を備えている。圧接端子は表面上に電線を位置付ける底壁と一対の側壁と圧接刃とを備えている。側壁は底壁の両縁から立設している。端子取付部は圧接端子を取り付ける。ステップS1で発光部の光軸と撮像部の光軸とを合わせる。ステップS2では端子取付部に取り付けられた圧接端子を撮像する。ステップS3では2値化する。ステップS4ではエッジを抽出する。ステップS5では圧接端子に圧接された電線の中心を求める。ステップS6では中心を通りかつ圧接端子の底壁に表面に沿う方向の一対の側壁の外面間の距離を求める。
【解決手段】圧接端子の圧接時の幅測定装置は発光する発光部と発光部からの光を受光して撮像する撮像部と発光部と撮像部との間に設けられた端子取付部を備えている。圧接端子は表面上に電線を位置付ける底壁と一対の側壁と圧接刃とを備えている。側壁は底壁の両縁から立設している。端子取付部は圧接端子を取り付ける。ステップS1で発光部の光軸と撮像部の光軸とを合わせる。ステップS2では端子取付部に取り付けられた圧接端子を撮像する。ステップS3では2値化する。ステップS4ではエッジを抽出する。ステップS5では圧接端子に圧接された電線の中心を求める。ステップS6では中心を通りかつ圧接端子の底壁に表面に沿う方向の一対の側壁の外面間の距離を求める。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線を圧接刃間に圧入した圧接端子の幅を測定する圧接端子の圧接時の幅測定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載されている。このため、自動車は、前記電子機器に所定の電力や信号を伝えるためにワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と電線の端部などに取り付けられたコネクタとを備えている。
【0003】
前記電線は、導電性の芯線とこの芯線を被覆する絶縁性の被覆部とを備えている。コネクタは、前記電線に取り付けられる端子金具と、端子金具を収容するコネクタハウジングとを備えている。端子金具は、導電性の板金などからなる。端子金具は、前記電線の芯線と電気的に接続される。コネクタハウジングは、絶縁性の合成樹脂からなり箱状に形成されている。
【0004】
前述した構成のワイヤハーネスは、コネクタが前述した電気機器などに設けられたコネクタと結合して、配索されて、各電子機器に所定の電力や信号を伝送する。
【0005】
前述したワイヤハーネスの端子金具として圧接端子が用いられることがある。圧接端子は、表面上に電線の芯線を位置付ける底壁と、この底壁の両縁から立設した一対の側壁と、一対の側壁それぞれから互いに近づく方向に延びた圧接刃とを備えている。圧接端子は、コネクタハウジングに取り付けられた状態で、圧接刃間に電線が圧入される。すると、圧接刃は被覆部を切り込んで芯線と接触する。こうして、圧接端子は、電線と電気的に接続する則ち電線と圧接する。このとき、圧接刃間に電線を圧入するため、圧接後に圧接端子の一対の側壁間の間隔が広がることがある。
【0006】
一対の側壁間の間隔が過度に拡がると、圧接端子が異常に変形したり、欠損することが考えられる。また、圧接端子がコネクタハウジングに取り付けられた状態では、コネクタハウジングが破損することが考えられる。
【0007】
このため、前述した圧接端子を開発する際には、設計した圧接端子を試作して、実際に電線を圧接刃間に圧入して、一対の側壁間の間隔の拡がりを測定してきた。圧接端子の一対の側壁間の間隔の拡がりを測定するために、例えばレーザ変位計を用いて一対の側壁それぞれの変位を測定することで、一対の側壁間の間隔の拡がりを測定する測定方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【0008】
前述した測定方法は、レーザ変位計を一対設けている。一方のレーザ変位計が一方の側壁にレーザを照射するなどして、一方の側壁の変位を測定する。また、他方のレーザ変位計が他方の側壁にレーザを照射するなどして、他方の側壁の変位を測定する。こうして、前述した測定方法では、一対の側壁間の間隔の拡がりを測定してきた。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−159514号公報(図2)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
圧接前と圧接後とで、底壁の表面と側壁の表面とのなす角度が変化する則ち圧接すると側壁が傾く。このため、前述した公報に記載された測定方法では、圧接前と圧接後とでは側壁のレーザがあたる箇所がずれる。このため、レーザ変位計は、正確に側壁の変位を測定できないことが考えられる。さらに、側壁に対するレーザの入射角度と出射角度とが、圧接前と圧接後とでは変化してしまうため、レーザ変位計は、より正確に側壁の変位を測定できないことが考えられる。
【0011】
したがって、本発明の目的は、電線を圧接刃間に圧入した圧接端子の幅を正確に測定できる圧接端子の圧接時の幅測定方法及び装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の圧接端子の圧接時の幅測定方法は、表面上に電線を位置付ける底壁と、この底壁の両縁から立設しかつ互いに間隔をあけて相対する一対の側壁と、側壁それぞれから互いに近づく方向に延びた圧接刃とを備え、前記圧接刃間に電線が圧入されてこの電線の芯線と電気的に接続する圧接端子の圧接時の幅測定方法において、電線を圧接した圧接端子と前記電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた前記電線と一対の側壁と圧接刃の外形を取得し、取得した外形から前記電線の中心を求め、この中心を通りかつ前記底壁の表面に沿う方向の一対の側壁の外面間の距離を求めることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の本発明の圧接端子の圧接時の幅測定装置は、表面上に電線を位置付ける底壁と、この底壁の両縁から立設しかつ互いに間隔をあけて相対する一対の側壁と、側壁それぞれから互いに近づく方向に延びた圧接刃とを備え、前記圧接刃間に電線が圧入されてこの電線の芯線と電気的に接続する圧接端子の圧接時の幅を測定する幅測定装置において、発光する発光部と、前記発光部からの光を受光するとともに撮像する撮像部と、前記発光部と撮像部との間に設けられかつ発光部が発光する光の光軸と前記電線の長手方向とが平行な状態で電線を圧接刃間に圧入した圧接端子を保持する端子保持部と、前記撮像部が撮像した圧接端子の外形から前記電線の中心を求め、この中心を通りかつ前記底壁の表面に沿う方向の一対の側壁の外面間の距離を求める処理部と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項1に記載した本発明の圧接端子の圧接時の幅測定方法によれば、圧接端子と電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線と一対の側壁と圧接刃の外形を取得する。そして、取得した外形から電線の中心を求める。
【0015】
電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた外形を取得するので、求めた電線の中心の位置は正確である。また、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定する。このため、常に、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定するとともに、中心の位置が正確であるため、測定した一対の側壁の外面間の距離が正確になる。
【0016】
請求項2に記載した本発明の圧接端子の圧接時の幅測定装置によれば、発光部と撮像部との間に発光部が発光する光の光軸と電線とが平行な状態で、端子保持部が電線が圧接刃間に圧入された圧接端子を保持する。このため、撮像部は、圧接端子と電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線と一対の側壁と圧接刃の外形を取得する。
【0017】
処理部は、取得した外形から電線の中心を求める。電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた外形を取得するので、求めた電線の中心の位置は正確である。また、処理部は、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定する。このため、常に、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定するとともに、中心の位置が正確であるため、測定した一対の側壁の外面間の距離が正確になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態にかかる圧接端子の圧接時の幅測定装置(以下単に測定装置と呼ぶ)1を、図1ないし図15を参照して説明する。図1などに示す測定装置1は、図9に示す圧接端子100に電線2(図7などに示す)が圧接された際に、この圧接端子100の幅H(図15に示す)を測定する装置である。図9に示す圧接端子100は、図7などに示すコネクタハウジング101に取り付けられて電線2が圧接されて、図8に示すコネクタ120をなす。
【0019】
電線2は、図7などに示すように、導電性の芯線3と、芯線3を被覆する被覆部4とを備えている。芯線3は、導電性の金属からなる素線が複数撚られて形成されている。芯線3は、その長手方向に交差する断面形状が丸形に形成されている。被覆部4は、絶縁性の合成樹脂からなる。被覆部4は、芯線3の長手方向に交差する断面形状が円管状に形成されている。芯線3と被覆部4とで、電線2は、断面丸形に形成されている。
【0020】
コネクタハウジング101は、絶縁性の合成樹脂からなる。コネクタハウジング101は、図7及び図8に示すように、端子収容部113と、この端子収容部113とヒンジを介して連結されたカバー114と、を備えている。
【0021】
端子収容部113は、略矩形状のプレート部115と、複数の端子収容溝102と、プレート部115と間隔をあけて相対する天井壁116と、を備えている。プレート部115は、端子収容溝102内に挿入された圧接端子100が抜け出ることを防止する図示しないロック溝やロックアームを備えている。
【0022】
端子収容溝102は、それぞれプレート部115の表面から凹に形成されかつ並設されている。端子収容溝102は、略直線状に延びている。該端子収容溝102には、その長手方向に沿って圧接端子100が挿入される。なお、図示例では、端子収容溝102は、4つ設けられている。
【0023】
天井壁116は、平面形状が略矩形状に形成されている。天井壁116は、端子収容溝102内に収容した圧接端子100の電線接続部104を露出させかつ電気接触部103を覆う。また、プレート部115の天井壁116から離れた縁部には、外方向に向かって突出した係合突起117が設けられている。
【0024】
カバー114は、端子収容部113の端子収容溝102に合致する電線保持用の突条118を複数備えている。カバー114は、係合突起117に係合可能なカバーロックアーム119を備えている。カバー114は、前記天井壁116の縁部に設けられた図示しないヒンジによって、端子収容部113に対し回動自在となっている。
【0025】
さらに、前述したコネクタハウジング101は、組み立て前の状態では、端子収容部113の端子収容溝102とカバー114の突条118とが、同じ向きに開口部が位置した状態で、図示しないバンドによって連結されている。即ち、カバー114が端子収容部113に対し裏返った状態で、端子収容部113とカバー114とはバンドによって連結されている。
【0026】
圧接端子100は、導電性を有する板金などが曲げられるなどして得られる。圧接端子100は、図9に示すように、電気接触部103と、電線接続部104と、を備えている。
【0027】
電気接触部103は、筒状の筒部105と、図示しない雄端子と接続するための弾性接触片106とを備えている。筒部105は、電線接続部104の後述する底壁108と側壁109とに連なっている。弾性接触片106は、筒部105内に設けられ、筒部105内に侵入した雄端子を筒部105の内面に向かって付勢して、前記雄端子が筒部105から抜けでないようにする。
【0028】
電線接続部104は、電線2が表面108a(図3及び図4などに示す)に置かれる底壁108と、一対の側壁109と、圧接部104aと、一対の加締め片112と、を備えている。底壁108は、表面が略平坦な帯板状に形成されている。側壁109は、それぞれ、底壁108の幅方向の両縁に連なっている。側壁109は、それぞれ底壁108に対し立設しているとともに、互いに間隔をあけて相対している。
【0029】
圧接部104aは、三対の圧接刃111a,111b,111cを備えている。三対の圧接刃111a,111b,111cは、それぞれ、底壁108に対し立設している。一対の圧接刃111aは、側壁109から互いに近づく方向に延びている。一対の圧接刃111aは、互いに間隔をあけて並べられている。一対の圧接刃111aは、互いの間に電線2を圧入することにより、フラットケーブル2の各電線2の被覆部4を切り込んで該電線2の芯線3と接触する。
【0030】
一対の圧接刃111bは、側壁109から互いに近づく方向に延びている。一対の圧接刃111bは、互いに間隔をあけて並べられている。一対の圧接刃111bは、互いの間に電線2を圧入することにより、電線2の被覆部4を切り込んで該電線2の芯線3と接触する。
【0031】
一対の圧接刃111cは、側壁109から互いに近づく方向に延びている。一対の圧接刃111cは、互いに間隔をあけて並べられている。一対の圧接刃111cは、互いの間に電線2を圧入することにより、電線2の被覆部4を切り込んで該電線2の芯線3と接触する。三対の圧接刃111a,111b,111cは、前記電線2の芯線3と電気的に接続する。即ち、三対の圧接刃111a,111b,111cは、電線2と圧接する。
【0032】
一対の加締め片112は、底壁108の幅方向の両縁に連なっている。一対の加締め片112は、それぞれ、底壁108に対し立設している。一対の加締め片112は、互いに間隔をあけて相対している。加締め片112は、底壁108に向かって曲げられることにより、底壁108との間に電線2を挟む。即ち、一対の加締め片112は、電線2を加締める。こうして、一対の加締め片112は、電線2を電線接続部104に固定する。
【0033】
前述したコネクタハウジング101と圧接端子100とで構成されるコネクタ120は、電線2の端末に取り付けられる。電線2の端末にコネクタ120を取り付ける際には、まず、端子収容溝102の長手方向に沿って、該端子収容溝102内に圧接端子100を挿入する。圧接端子100は、端子収容溝102内に収容された状態で、コネクタハウジング101に固定される(取り付ける)。
【0034】
その後、電線2をコネクタハウジング101の各端子収容溝102に取り付けた圧接端子100の圧接部104aの圧接刃111a,111b,111c間に圧入する。電線2を圧入則ち圧接すると同時に、加締め片112を底壁108に向かって曲げて、電線2を加締め片112で加締める。さらに、前述したバンドをコネクタハウジング101から除去する。
【0035】
こうして、電線2を圧接端子100に固定する(取り付ける)。そして、作業員などが、ヒンジを中心として図8中の矢印Kに沿ってカバー114を回転する。カバーロックアーム119を係合突起117に係合して、端子収容部113とカバー114とを互いに固定する。こうして、前述した構成のコネクタ120を組み立てる。
【0036】
前述した圧接部104a則ち圧接端子100に電線2を圧接する際に、まず、図3及び図5R>5に示すように、圧接刃111a,111b,111c間と電線2とを相対させる。そして、図3及び図5中の一点鎖線に沿って、電線2を圧接刃111a,111b,111c間に圧入する。すると、圧接刃111a,111b,111cが電線2の被覆部4を切り込んで芯線3と接触する。
【0037】
圧接刃111a,111b,111c間に電線2を圧入すると、図4及び図6に示すように、一対の側壁109間の間隔が拡がる。則ち一対の側壁109が互いに離れる。このとき、勿論、側壁109の底壁108から離れた側の縁が、互いに離れることとなる。なお、図3及び図4では、圧接端子100の電線接続部104の要部のみ図示し、圧接端子100の他の部分を省略している。
【0038】
図1に示す測定装置1は、電線2を圧接した状態の電線接続部104の一対の側壁109の外面109a(図5及び図6などに示す)間の距離H(図15に示す)を測定することで、圧接端子100の幅Hを測定する。本明細書では、圧接端子100の幅Hとは電線接続部104の一対の側壁109の外面109a間の距離Hを示している。
【0039】
測定装置1は、図1及び図2に示すように、装置本体10と、発光部11と、撮像部12と、端子保持部13(図1に示す)と、入力装置14と、表示装置15と、出力装置16と、処理部としての処理装置17とを備えている。
【0040】
装置本体10は、図1及び図2に示すように、ベース18と、発光移動部19と、撮像移動部20とを備えている。ベース18は、工場のフロア上などに設置される。発光移動部19は、ベース18の上面などに取り付けられており、発光部11を、図1中に示す互いに直交する矢印X,Y,Zに沿って移動させる。撮像移動部20は、ベース18の上面などに取り付けられており、撮像部12を、図1中に示す互いに直交する矢印X,Y,Zに沿って移動させる。発光移動部19は、ベース18の一端部に設けられ、撮像移動部20は、ベース18の他端部に設けられている。
【0041】
発光部11は、発光移動部19上に設置されている。発光部11は、図2に示すように、本体部21と、この本体部21内に設けられた光源としての複数の発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下LEDと記す)22と、光学部23とを備えている。
【0042】
本体部21は、箱状に形成されかつ発光移動部19上に設置されている。複数のLED22は、本体部21内に収容されており、光学部23の後述する拡散ユニット24に向かって図2中の一点鎖線に沿って光を出射する則ち発光する。光学部23は、拡散ユニット24と、コリメータ25とを備えている。拡散ユニット24は、本体部21内に収容されており、複数のLED22からの光の強さを一様にして、図2中の一点鎖線に沿ってコリメータ25に導く。
【0043】
コリメータ25は、本体部21の外壁に取り付けられている。コリメータ25は、拡散ユニット24からの光を平行光にして、図2中の一点鎖線に沿って、本体部21外則ち発光部11外に出射する。こうして、発光部11は、平行光とした光を図2中の一点鎖線に沿って、撮像部12に向かって出射する。このように、発光部11は、発光する。
【0044】
撮像部12は、撮像移動部20上に設置されている。撮像部12は、図2に示すように、本体部26と、光学部27と、光軸合わせ用撮像素子28と、撮像素子29とを備えている。本体部26は、箱状に形成されかつ撮像移動部20上に設置されている。
【0045】
光学部27は、コリメータ30と、ビームスプリッタ31と、光軸用コリメータ32と、撮像用コリメータ33とを備えている。コリメータ30は、本体部26の外壁に取り付けられている。コリメータ30は、発光部11からの光を図2中の一点鎖線に沿って、本体部26内則ち撮像部12内に導く。コリメータ30は、発光部11からの光をビームスプリッタ31に導く。
【0046】
ビームスプリッタ31は、本体部26内に収容されている。ビームスプリッタ31は、コリメータ30から導かれた光の一部を透過して、図2中の一点鎖線に沿って、光軸用コリメータ32に導く。ビームスプリッタ31は、前記光の残りの部分を反射して、図2中の一点鎖線に沿って、撮像用コリメータ33に導く。
【0047】
光軸用コリメータ32は、本体部26内に収容されている。光軸用コリメータ32は、ビームスプリッタ31を透過した光を平行光にして、図2中の一点鎖線に沿って、光軸合わせ用撮像素子28に導く。撮像用コリメータ33は、本体部26内に収容されている。撮像用コリメータ33は、ビームスプリッタ31を反射した光を平行光にして、図2中の一点鎖線に沿って、撮像素子29に導く。
【0048】
光軸合わせ用撮像素子28は、本体部26内に収容されている。光軸合わせ用撮像素子28は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などからなり、ビームスプリッタ31などから導かれた光を受光する。光軸合わせ用撮像素子28は、ビームスプリッタ31などから導かれた光の光軸の位置を求める。光軸合わせ用撮像素子28は、求めた光の光軸などの位置を処理装置17に向かって出力する。
【0049】
撮像素子29は、本体部26内に収容されている。撮像素子29は、CCD(Charge Coupled Device)などからなり、ビームスプリッタ31で反射された光を受光する。撮像素子29は、ビームスプリッタ31で反射された光を受光することで、発光部11と撮像部12との間に位置付けられた端子保持部13などを撮像する。撮像素子29は撮像した画像G1(図11に示す)を処理装置17に向かって出力する。
【0050】
撮像素子29が撮像して得た画像G1は、平面に並べられた各画素各々の光の強弱からなる。このため、撮像素子29が撮像して得た画像G1は、平面的な白黒の画像となっている。こうして、撮像部29は、発光部11からの光を受光するとともに、端子保持部13などに取り付けられた圧接端子100の電線接続部104などを撮像する。
【0051】
端子保持部13は、装置本体10のベース18の中央部に取り付けられている。端子保持部13は、発光部11と撮像部12との間に設けられている。端子保持部13には、図4に示す電線2が圧接された圧接端子100の電線接続部104が着脱自在となっている。端子保持部13は、電線接続部104に圧接された電線2の長手方向と発光部11から撮像部12に向かって出射される光の光軸とが平行な状態で、圧接端子100の電線接続部104を取り付ける。
【0052】
端子保持部13は、圧接端子100の電線接続部104全体が発光部11から撮像部12に向かって出射される光内に位置する状態で、圧接端子100の電線接続部104を取り付ける。このように、端子保持部13は、電線2の長手方向と前記光の光軸とが平行な状態で、電線2を圧接刃111a,111b,111c間に圧入された圧接端子100を保持する。
【0053】
電線2の長手方向と光軸とが平行な状態で端子保持部13が電線接続部104を保持するので、撮像部12は、圧接端子100と前記電線2の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cを撮像することとなる。則ち、撮像部12は、圧接端子100と前記電線2の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cの外形を取得する。
【0054】
入力装置14は、測定装置1の各種の操作を行うために用いられる。入力装置14として、周知のキーボード、マウス、各種のスイッチや操作ボタンなどを用いることができる。図示例では、入力装置14としてキーボードを用いている。
【0055】
表示装置15は、測定装置1の作動状況、撮像素子29が撮像した画像G1や、測定結果などを表示する。表示装置15として、周知のCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレィや、液晶ディスプレィ(Liquid Crystal Display)などの各種の表示装置を用いることができる。図示例では、表示装置15として液晶ディスプレィを用いている。
【0056】
出力装置16は、測定装置1の測定結果や撮像素子29が撮像した画像G1などを出力する。出力装置16として、測定結果や画像G1などを印字する周知のプリンタや、測定結果や画像G1などを電子情報としてCD−ROMなどの各種の記録媒体に書き込み可能なCD−ROM駆動装置などを用いることができる。図示例では、出力装置16としてプリンタを用いている。
【0057】
処理装置17は、周知のCPU(Central Processing Unit)とROM(Read−only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを備えたコンピュータである。処理装置17は、発光移動部19と、発光部11のLED22と、撮像移動部20と、撮像部12の光軸合わせ用撮像素子28と、撮像部12の撮像素子29と、入力装置14と、表示装置15と、出力装置16などと接続しており、これらの動作を制御する。処理装置17は、測定装置1全体の制御をつかさどる。
【0058】
処理装置17は、測定装置1を動作されるためのプログラムなどを記憶している。処理装置17は、測定装置1が圧接端子100の一対の側壁109の外面109a間の距離Hを測定する前に、発光部11に発光させ、撮像部12に発光部11からの光を受光させる。そして、処理装置17は、各移動部19,20を駆動させて、発光部11の光軸と撮像部12の光軸を一致させる。
【0059】
処理装置17は、撮像素子29が撮像して得た画像G1(図11に示す)に所定のしきい値で2値化処理を施す。処理装置17は、2値化して得た2値画像G2(図12に示す)から、図13に示すように、圧接端子100の電線接続部104の一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cと電線2などの外形(エッジ)を抽出した画像G3を得る。そして、図14に示すように、抽出した外形(エッジ)から円弧状の電線2の外形(エッジ)を抽出した画像G4を得て、この画像G4中の電線2の中心Cを求める。
【0060】
処理装置17は、電線2の中心Cを求める際には、例えば、図14に示すように、電線2の外形(エッジ)上に任意の3点P,Q,Rをとり、これら3点P,Q,Rを結ぶ2つの任意の直線S,T(図14中に実線で示す)を求める。これら直線S,Tそれぞれの垂線U,V(図14中に一点鎖線で示す)を求め、これら垂線U,Vの交点を電線2の中心Cとする。こうして、電線2の中心Cを求める。
【0061】
処理装置17は、電線2の中心Cを求めた後、図15に示すように、画像G3中で前記中心Cを通りかつ底壁108の表面108aと平行な直線W(図15中に二点鎖線で示す)を求める。処理装置17は、前記画像G3中で直線Wと一対の側壁109それぞれの外形(エッジともいい、外面に相当するので同一符号を付す)109aとの交点C1,C2を求める。
【0062】
処理装置17は、前記交点C1,C2間の距離Hを算出する。前記交点C1,C2間の距離Hを一対の側壁109の外面109a間の距離Hとし、圧接端子100の幅Hとする。こうして、処理装置17は、撮像部12が撮像して得た画像G1,G2,G3,G4則ち電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cなどの外形から電線2の中心Cを求めるとともに、電線2の中心Cを通りかつ底壁108の表面108aに沿う方向の一対の側壁109の外面109a間の距離Hを求める。
【0063】
次に、前述した実施形態の測定装置1が圧接端子100の電線接続部104の一対の側壁109の外面109a間の距離H則ち圧接端子100の幅Hを測定する過程を説明する。まず、図10中のステップS1で、測定装置1を起動して、発光部11から撮像部12に向けて光を出射する。そして、処理装置17は、光軸合わせ用撮像素子28が受光して求めた光の光軸に基づいて、各移動部19,20を駆動させて発光部11のコリメータ25の光軸と撮像部12のコリメータ30の光軸とを一致させる。そして、ステップS2に進む。
【0064】
ステップS2では、圧接刃111a,111b,111c間に電線2が圧入された圧接端子100の電線接続部104を端子保持部13に取り付ける。このとき、電線2の長手方向と発光部11が出射する光の光軸とを平行にする。そして、発光部11から撮像部12に向かって光を出射するとともに、撮像部12で電線2が圧接された圧接端子100の電線接続部104を撮像する。そして、撮像部12は、圧接端子100と電線2の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cの外形を示す画像G1(図11に示す)を得る(取得する)。
【0065】
このとき、発光部11から撮像部12に向けて光を出射するので、撮像部12が得た画像G1では、端子保持部13と電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cが陰となって暗くなっており、他の部分が明るくなっている。こうして、ステップS2では、電線2が圧接された圧接端子100を撮像して、ステップS3に進む。
【0066】
ステップS3では、図11に示された画像G1を所定のしきい値で2値化して、図12に示す2値画像G2を得る。図12に示す2値画像G2では、平行斜線で示す端子保持部13と電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cが黒となり、他の部分が白となっている。こうして、ステップS3では、2値化して、ステップS4に進む。
【0067】
ステップS4では、前記2値画像G2の白と黒との境界則ち電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cと端子保持部13の外形(エッジ)を抽出して、図1313に示す画像G3を得る。そして、ステップS5に進む。
【0068】
ステップS5では、抽出した外形(エッジ)から円弧状の部分則ち電線2の外形を抽出して、図14に示す画像G4を得る。そして、画像G4中で電線2の外形上に任意の3点P,Q,Rをとり、これら3点P,Q,Rを結ぶ直線S,T(図14に実線で示す)を求める。そして、前記直線S,Tそれぞれの垂線U,V(図14中に一点鎖線で示す)を求め、これら垂線U,Vの交点Cを求める。この交点Cを電線2の中心Cとする。こうして、ステップS5では、電線2の中心Cを求めて、ステップS6に進む。
【0069】
ステップS6では、図15に示すように、画像G3中で前記中心Cを通りかつ底壁108の表面108aに平行な直線W(図15中に二点鎖線で示す)を求める。前記直線Wと一対の側壁109の外面109aとの交点C1,C2を求めて、これらの交点C1,C2間の距離Hを求める。こうして、電線2の中心Cを通りかつ底壁108の表面108aに沿う方向の一対の側壁109の外面109a間の距離H則ち圧接端子100の幅を測定する。
【0070】
本実施形態によれば、発光部11と撮像部12との間に発光部11が発光する光の光軸と電線2との長手方向とが平行な状態で、電線2が圧接刃111a,111b,111c間に圧入された圧接端子100の電線接続部104を端子保持部13が保持する。このため、撮像部12は、圧接端子100と電線2の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cの外形を取得する。処理装置17は、取得した外形から電線2の中心Cを求める。電線2の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた外形を取得するので、求めた電線2の中心Cの位置は正確である。
【0071】
また、処理装置17は、電線2の中心Cを通る一対の側壁109の外面109a間の距離Hを測定する。このため、常に、電線2の中心Cを通る一対の側壁109の外面109a間の距離Hを測定するとともに、中心Cの位置が正確であるため、測定した一対の側壁109の外面109a間の距離Hが正確になる。
【0072】
このため、常に電線2の中心Cを通る一対の側壁109の外面109a間の距離Hを測定するので、測定毎に、測定個所がばらつくことを防止できる。さらに、電線2の中心Cを正確に求めることができる。したがって、一対の側壁109の外面109a間の距離H則ち圧接端子100の幅Hを正確に測定できる。
【0073】
前述した実施形態では、電線2の外形を抽出して任意の3点P,Q,Rを設け、これら3点P,Q,Rを通る直線S,Tを求めるなどして、電線2の中心Cを求めている。しかしながら、本発明では、図16に示すように、抽出した電線2の底壁108の表面108aに対し直交する方向の幅D1,D2…Dnを求めて、これらのうち最大のDmaxを求める。Dmaxが電線2の外径であるため、このDmaxを2等分する位置Cを求め、この位置Cを電線2の中心Cとする。こうして、電線2の中心Cを求めても良い。このように、本発明では、種々の手段を用いて電線2の中心Cを求めても良いことは勿論である。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、圧接端子と電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線と一対の側壁と圧接刃の外形を取得する。そして、取得した外形から電線の中心を求める。電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた外形を取得するので、求めた電線の中心の位置は正確である。
【0075】
また、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定する。このため、常に、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定するとともに、中心の位置が正確であるため、測定した一対の側壁の外面間の距離が正確になる。
【0076】
このため、常に電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定するので、測定毎に、測定個所がばらつくことを防止できる。さらに、電線の中心を正確に求めることができる。したがって、一対の側壁の外面間の距離則ち圧接端子の幅を正確に測定できる。
【0077】
請求項2に記載した本発明の圧接端子の圧接時の幅測定装置によれば、発光部と撮像部との間に発光部が発光する光の光軸と電線とが平行な状態で、電線が圧接刃間に圧入された圧接端子を端子保持部が保持する。このため、撮像部は、電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線と一対の側壁と圧接刃の外形を取得する。処理部は、取得した外形から電線の中心を求める。電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた外形を取得するので、求めた電線の中心の位置は正確である。
【0078】
また、処理部は、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定する。このため、常に、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定するとともに、中心の位置が正確であるため、測定した一対の側壁の外面間の距離が正確になる。
【0079】
このため、常に電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定するので、測定毎に、測定個所がばらつくことを防止できる。さらに、電線の中心を正確に求めることができる。したがって、一対の側壁の外面間の距離則ち圧接端子の幅を正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる測定装置の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示された測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示された測定装置で幅が測定される圧接前の圧接端子の電線接続部の要部などを示す斜視図である。
【図4】図3に示された圧接端子の電線接続部の要部に電線を圧接した状態を示す斜視図である。
【図5】図3中のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図4中のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図3に示された電線接続部を備えた圧接端子とこの圧接端子が取り付けられるコネクタハウジングとを示す斜視図である。
【図8】図7に示されたコネクタハウジングに圧接端子を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図9】図7に示された圧接端子の斜視図である。
【図10】図1に示された測定装置が圧接端子の幅を測定する過程を示すフローチャートである。
【図11】図10に示されたフローチャートのステップS2で得られた画像を示す説明図である。
【図12】図11に示された画像を2値化して得た2値画像を示す説明図である。
【図13】図12に示された2値画像から外形(エッジ)を抽出して得た画像を示す説明図である。
【図14】図13に示された画像から電線の外形のみ抽出して電線の中心を求める過程などを示す説明図である。
【図15】図13に示された画像中で電線の中心を通りかつ底壁に双方向の一対の側壁の外面間の距離を求める過程などを示す説明図である。
【図16】図14に示された電線の中心を求める過程の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 圧接端子の圧接時の幅測定装置
2 電線
3 芯線
11 発光部
12 撮像部
13 端子保持部
17 処理装置(処理部)
100 圧接端子
108 底壁
108a 表面
109 側壁
109a 外面
111a,111b,111c 圧接刃
C 電線の中心
H 圧接端子の幅(一対の側壁の外面間の距離)
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線を圧接刃間に圧入した圧接端子の幅を測定する圧接端子の圧接時の幅測定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載されている。このため、自動車は、前記電子機器に所定の電力や信号を伝えるためにワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と電線の端部などに取り付けられたコネクタとを備えている。
【0003】
前記電線は、導電性の芯線とこの芯線を被覆する絶縁性の被覆部とを備えている。コネクタは、前記電線に取り付けられる端子金具と、端子金具を収容するコネクタハウジングとを備えている。端子金具は、導電性の板金などからなる。端子金具は、前記電線の芯線と電気的に接続される。コネクタハウジングは、絶縁性の合成樹脂からなり箱状に形成されている。
【0004】
前述した構成のワイヤハーネスは、コネクタが前述した電気機器などに設けられたコネクタと結合して、配索されて、各電子機器に所定の電力や信号を伝送する。
【0005】
前述したワイヤハーネスの端子金具として圧接端子が用いられることがある。圧接端子は、表面上に電線の芯線を位置付ける底壁と、この底壁の両縁から立設した一対の側壁と、一対の側壁それぞれから互いに近づく方向に延びた圧接刃とを備えている。圧接端子は、コネクタハウジングに取り付けられた状態で、圧接刃間に電線が圧入される。すると、圧接刃は被覆部を切り込んで芯線と接触する。こうして、圧接端子は、電線と電気的に接続する則ち電線と圧接する。このとき、圧接刃間に電線を圧入するため、圧接後に圧接端子の一対の側壁間の間隔が広がることがある。
【0006】
一対の側壁間の間隔が過度に拡がると、圧接端子が異常に変形したり、欠損することが考えられる。また、圧接端子がコネクタハウジングに取り付けられた状態では、コネクタハウジングが破損することが考えられる。
【0007】
このため、前述した圧接端子を開発する際には、設計した圧接端子を試作して、実際に電線を圧接刃間に圧入して、一対の側壁間の間隔の拡がりを測定してきた。圧接端子の一対の側壁間の間隔の拡がりを測定するために、例えばレーザ変位計を用いて一対の側壁それぞれの変位を測定することで、一対の側壁間の間隔の拡がりを測定する測定方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【0008】
前述した測定方法は、レーザ変位計を一対設けている。一方のレーザ変位計が一方の側壁にレーザを照射するなどして、一方の側壁の変位を測定する。また、他方のレーザ変位計が他方の側壁にレーザを照射するなどして、他方の側壁の変位を測定する。こうして、前述した測定方法では、一対の側壁間の間隔の拡がりを測定してきた。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−159514号公報(図2)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
圧接前と圧接後とで、底壁の表面と側壁の表面とのなす角度が変化する則ち圧接すると側壁が傾く。このため、前述した公報に記載された測定方法では、圧接前と圧接後とでは側壁のレーザがあたる箇所がずれる。このため、レーザ変位計は、正確に側壁の変位を測定できないことが考えられる。さらに、側壁に対するレーザの入射角度と出射角度とが、圧接前と圧接後とでは変化してしまうため、レーザ変位計は、より正確に側壁の変位を測定できないことが考えられる。
【0011】
したがって、本発明の目的は、電線を圧接刃間に圧入した圧接端子の幅を正確に測定できる圧接端子の圧接時の幅測定方法及び装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の圧接端子の圧接時の幅測定方法は、表面上に電線を位置付ける底壁と、この底壁の両縁から立設しかつ互いに間隔をあけて相対する一対の側壁と、側壁それぞれから互いに近づく方向に延びた圧接刃とを備え、前記圧接刃間に電線が圧入されてこの電線の芯線と電気的に接続する圧接端子の圧接時の幅測定方法において、電線を圧接した圧接端子と前記電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた前記電線と一対の側壁と圧接刃の外形を取得し、取得した外形から前記電線の中心を求め、この中心を通りかつ前記底壁の表面に沿う方向の一対の側壁の外面間の距離を求めることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の本発明の圧接端子の圧接時の幅測定装置は、表面上に電線を位置付ける底壁と、この底壁の両縁から立設しかつ互いに間隔をあけて相対する一対の側壁と、側壁それぞれから互いに近づく方向に延びた圧接刃とを備え、前記圧接刃間に電線が圧入されてこの電線の芯線と電気的に接続する圧接端子の圧接時の幅を測定する幅測定装置において、発光する発光部と、前記発光部からの光を受光するとともに撮像する撮像部と、前記発光部と撮像部との間に設けられかつ発光部が発光する光の光軸と前記電線の長手方向とが平行な状態で電線を圧接刃間に圧入した圧接端子を保持する端子保持部と、前記撮像部が撮像した圧接端子の外形から前記電線の中心を求め、この中心を通りかつ前記底壁の表面に沿う方向の一対の側壁の外面間の距離を求める処理部と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項1に記載した本発明の圧接端子の圧接時の幅測定方法によれば、圧接端子と電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線と一対の側壁と圧接刃の外形を取得する。そして、取得した外形から電線の中心を求める。
【0015】
電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた外形を取得するので、求めた電線の中心の位置は正確である。また、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定する。このため、常に、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定するとともに、中心の位置が正確であるため、測定した一対の側壁の外面間の距離が正確になる。
【0016】
請求項2に記載した本発明の圧接端子の圧接時の幅測定装置によれば、発光部と撮像部との間に発光部が発光する光の光軸と電線とが平行な状態で、端子保持部が電線が圧接刃間に圧入された圧接端子を保持する。このため、撮像部は、圧接端子と電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線と一対の側壁と圧接刃の外形を取得する。
【0017】
処理部は、取得した外形から電線の中心を求める。電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた外形を取得するので、求めた電線の中心の位置は正確である。また、処理部は、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定する。このため、常に、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定するとともに、中心の位置が正確であるため、測定した一対の側壁の外面間の距離が正確になる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態にかかる圧接端子の圧接時の幅測定装置(以下単に測定装置と呼ぶ)1を、図1ないし図15を参照して説明する。図1などに示す測定装置1は、図9に示す圧接端子100に電線2(図7などに示す)が圧接された際に、この圧接端子100の幅H(図15に示す)を測定する装置である。図9に示す圧接端子100は、図7などに示すコネクタハウジング101に取り付けられて電線2が圧接されて、図8に示すコネクタ120をなす。
【0019】
電線2は、図7などに示すように、導電性の芯線3と、芯線3を被覆する被覆部4とを備えている。芯線3は、導電性の金属からなる素線が複数撚られて形成されている。芯線3は、その長手方向に交差する断面形状が丸形に形成されている。被覆部4は、絶縁性の合成樹脂からなる。被覆部4は、芯線3の長手方向に交差する断面形状が円管状に形成されている。芯線3と被覆部4とで、電線2は、断面丸形に形成されている。
【0020】
コネクタハウジング101は、絶縁性の合成樹脂からなる。コネクタハウジング101は、図7及び図8に示すように、端子収容部113と、この端子収容部113とヒンジを介して連結されたカバー114と、を備えている。
【0021】
端子収容部113は、略矩形状のプレート部115と、複数の端子収容溝102と、プレート部115と間隔をあけて相対する天井壁116と、を備えている。プレート部115は、端子収容溝102内に挿入された圧接端子100が抜け出ることを防止する図示しないロック溝やロックアームを備えている。
【0022】
端子収容溝102は、それぞれプレート部115の表面から凹に形成されかつ並設されている。端子収容溝102は、略直線状に延びている。該端子収容溝102には、その長手方向に沿って圧接端子100が挿入される。なお、図示例では、端子収容溝102は、4つ設けられている。
【0023】
天井壁116は、平面形状が略矩形状に形成されている。天井壁116は、端子収容溝102内に収容した圧接端子100の電線接続部104を露出させかつ電気接触部103を覆う。また、プレート部115の天井壁116から離れた縁部には、外方向に向かって突出した係合突起117が設けられている。
【0024】
カバー114は、端子収容部113の端子収容溝102に合致する電線保持用の突条118を複数備えている。カバー114は、係合突起117に係合可能なカバーロックアーム119を備えている。カバー114は、前記天井壁116の縁部に設けられた図示しないヒンジによって、端子収容部113に対し回動自在となっている。
【0025】
さらに、前述したコネクタハウジング101は、組み立て前の状態では、端子収容部113の端子収容溝102とカバー114の突条118とが、同じ向きに開口部が位置した状態で、図示しないバンドによって連結されている。即ち、カバー114が端子収容部113に対し裏返った状態で、端子収容部113とカバー114とはバンドによって連結されている。
【0026】
圧接端子100は、導電性を有する板金などが曲げられるなどして得られる。圧接端子100は、図9に示すように、電気接触部103と、電線接続部104と、を備えている。
【0027】
電気接触部103は、筒状の筒部105と、図示しない雄端子と接続するための弾性接触片106とを備えている。筒部105は、電線接続部104の後述する底壁108と側壁109とに連なっている。弾性接触片106は、筒部105内に設けられ、筒部105内に侵入した雄端子を筒部105の内面に向かって付勢して、前記雄端子が筒部105から抜けでないようにする。
【0028】
電線接続部104は、電線2が表面108a(図3及び図4などに示す)に置かれる底壁108と、一対の側壁109と、圧接部104aと、一対の加締め片112と、を備えている。底壁108は、表面が略平坦な帯板状に形成されている。側壁109は、それぞれ、底壁108の幅方向の両縁に連なっている。側壁109は、それぞれ底壁108に対し立設しているとともに、互いに間隔をあけて相対している。
【0029】
圧接部104aは、三対の圧接刃111a,111b,111cを備えている。三対の圧接刃111a,111b,111cは、それぞれ、底壁108に対し立設している。一対の圧接刃111aは、側壁109から互いに近づく方向に延びている。一対の圧接刃111aは、互いに間隔をあけて並べられている。一対の圧接刃111aは、互いの間に電線2を圧入することにより、フラットケーブル2の各電線2の被覆部4を切り込んで該電線2の芯線3と接触する。
【0030】
一対の圧接刃111bは、側壁109から互いに近づく方向に延びている。一対の圧接刃111bは、互いに間隔をあけて並べられている。一対の圧接刃111bは、互いの間に電線2を圧入することにより、電線2の被覆部4を切り込んで該電線2の芯線3と接触する。
【0031】
一対の圧接刃111cは、側壁109から互いに近づく方向に延びている。一対の圧接刃111cは、互いに間隔をあけて並べられている。一対の圧接刃111cは、互いの間に電線2を圧入することにより、電線2の被覆部4を切り込んで該電線2の芯線3と接触する。三対の圧接刃111a,111b,111cは、前記電線2の芯線3と電気的に接続する。即ち、三対の圧接刃111a,111b,111cは、電線2と圧接する。
【0032】
一対の加締め片112は、底壁108の幅方向の両縁に連なっている。一対の加締め片112は、それぞれ、底壁108に対し立設している。一対の加締め片112は、互いに間隔をあけて相対している。加締め片112は、底壁108に向かって曲げられることにより、底壁108との間に電線2を挟む。即ち、一対の加締め片112は、電線2を加締める。こうして、一対の加締め片112は、電線2を電線接続部104に固定する。
【0033】
前述したコネクタハウジング101と圧接端子100とで構成されるコネクタ120は、電線2の端末に取り付けられる。電線2の端末にコネクタ120を取り付ける際には、まず、端子収容溝102の長手方向に沿って、該端子収容溝102内に圧接端子100を挿入する。圧接端子100は、端子収容溝102内に収容された状態で、コネクタハウジング101に固定される(取り付ける)。
【0034】
その後、電線2をコネクタハウジング101の各端子収容溝102に取り付けた圧接端子100の圧接部104aの圧接刃111a,111b,111c間に圧入する。電線2を圧入則ち圧接すると同時に、加締め片112を底壁108に向かって曲げて、電線2を加締め片112で加締める。さらに、前述したバンドをコネクタハウジング101から除去する。
【0035】
こうして、電線2を圧接端子100に固定する(取り付ける)。そして、作業員などが、ヒンジを中心として図8中の矢印Kに沿ってカバー114を回転する。カバーロックアーム119を係合突起117に係合して、端子収容部113とカバー114とを互いに固定する。こうして、前述した構成のコネクタ120を組み立てる。
【0036】
前述した圧接部104a則ち圧接端子100に電線2を圧接する際に、まず、図3及び図5R>5に示すように、圧接刃111a,111b,111c間と電線2とを相対させる。そして、図3及び図5中の一点鎖線に沿って、電線2を圧接刃111a,111b,111c間に圧入する。すると、圧接刃111a,111b,111cが電線2の被覆部4を切り込んで芯線3と接触する。
【0037】
圧接刃111a,111b,111c間に電線2を圧入すると、図4及び図6に示すように、一対の側壁109間の間隔が拡がる。則ち一対の側壁109が互いに離れる。このとき、勿論、側壁109の底壁108から離れた側の縁が、互いに離れることとなる。なお、図3及び図4では、圧接端子100の電線接続部104の要部のみ図示し、圧接端子100の他の部分を省略している。
【0038】
図1に示す測定装置1は、電線2を圧接した状態の電線接続部104の一対の側壁109の外面109a(図5及び図6などに示す)間の距離H(図15に示す)を測定することで、圧接端子100の幅Hを測定する。本明細書では、圧接端子100の幅Hとは電線接続部104の一対の側壁109の外面109a間の距離Hを示している。
【0039】
測定装置1は、図1及び図2に示すように、装置本体10と、発光部11と、撮像部12と、端子保持部13(図1に示す)と、入力装置14と、表示装置15と、出力装置16と、処理部としての処理装置17とを備えている。
【0040】
装置本体10は、図1及び図2に示すように、ベース18と、発光移動部19と、撮像移動部20とを備えている。ベース18は、工場のフロア上などに設置される。発光移動部19は、ベース18の上面などに取り付けられており、発光部11を、図1中に示す互いに直交する矢印X,Y,Zに沿って移動させる。撮像移動部20は、ベース18の上面などに取り付けられており、撮像部12を、図1中に示す互いに直交する矢印X,Y,Zに沿って移動させる。発光移動部19は、ベース18の一端部に設けられ、撮像移動部20は、ベース18の他端部に設けられている。
【0041】
発光部11は、発光移動部19上に設置されている。発光部11は、図2に示すように、本体部21と、この本体部21内に設けられた光源としての複数の発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下LEDと記す)22と、光学部23とを備えている。
【0042】
本体部21は、箱状に形成されかつ発光移動部19上に設置されている。複数のLED22は、本体部21内に収容されており、光学部23の後述する拡散ユニット24に向かって図2中の一点鎖線に沿って光を出射する則ち発光する。光学部23は、拡散ユニット24と、コリメータ25とを備えている。拡散ユニット24は、本体部21内に収容されており、複数のLED22からの光の強さを一様にして、図2中の一点鎖線に沿ってコリメータ25に導く。
【0043】
コリメータ25は、本体部21の外壁に取り付けられている。コリメータ25は、拡散ユニット24からの光を平行光にして、図2中の一点鎖線に沿って、本体部21外則ち発光部11外に出射する。こうして、発光部11は、平行光とした光を図2中の一点鎖線に沿って、撮像部12に向かって出射する。このように、発光部11は、発光する。
【0044】
撮像部12は、撮像移動部20上に設置されている。撮像部12は、図2に示すように、本体部26と、光学部27と、光軸合わせ用撮像素子28と、撮像素子29とを備えている。本体部26は、箱状に形成されかつ撮像移動部20上に設置されている。
【0045】
光学部27は、コリメータ30と、ビームスプリッタ31と、光軸用コリメータ32と、撮像用コリメータ33とを備えている。コリメータ30は、本体部26の外壁に取り付けられている。コリメータ30は、発光部11からの光を図2中の一点鎖線に沿って、本体部26内則ち撮像部12内に導く。コリメータ30は、発光部11からの光をビームスプリッタ31に導く。
【0046】
ビームスプリッタ31は、本体部26内に収容されている。ビームスプリッタ31は、コリメータ30から導かれた光の一部を透過して、図2中の一点鎖線に沿って、光軸用コリメータ32に導く。ビームスプリッタ31は、前記光の残りの部分を反射して、図2中の一点鎖線に沿って、撮像用コリメータ33に導く。
【0047】
光軸用コリメータ32は、本体部26内に収容されている。光軸用コリメータ32は、ビームスプリッタ31を透過した光を平行光にして、図2中の一点鎖線に沿って、光軸合わせ用撮像素子28に導く。撮像用コリメータ33は、本体部26内に収容されている。撮像用コリメータ33は、ビームスプリッタ31を反射した光を平行光にして、図2中の一点鎖線に沿って、撮像素子29に導く。
【0048】
光軸合わせ用撮像素子28は、本体部26内に収容されている。光軸合わせ用撮像素子28は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などからなり、ビームスプリッタ31などから導かれた光を受光する。光軸合わせ用撮像素子28は、ビームスプリッタ31などから導かれた光の光軸の位置を求める。光軸合わせ用撮像素子28は、求めた光の光軸などの位置を処理装置17に向かって出力する。
【0049】
撮像素子29は、本体部26内に収容されている。撮像素子29は、CCD(Charge Coupled Device)などからなり、ビームスプリッタ31で反射された光を受光する。撮像素子29は、ビームスプリッタ31で反射された光を受光することで、発光部11と撮像部12との間に位置付けられた端子保持部13などを撮像する。撮像素子29は撮像した画像G1(図11に示す)を処理装置17に向かって出力する。
【0050】
撮像素子29が撮像して得た画像G1は、平面に並べられた各画素各々の光の強弱からなる。このため、撮像素子29が撮像して得た画像G1は、平面的な白黒の画像となっている。こうして、撮像部29は、発光部11からの光を受光するとともに、端子保持部13などに取り付けられた圧接端子100の電線接続部104などを撮像する。
【0051】
端子保持部13は、装置本体10のベース18の中央部に取り付けられている。端子保持部13は、発光部11と撮像部12との間に設けられている。端子保持部13には、図4に示す電線2が圧接された圧接端子100の電線接続部104が着脱自在となっている。端子保持部13は、電線接続部104に圧接された電線2の長手方向と発光部11から撮像部12に向かって出射される光の光軸とが平行な状態で、圧接端子100の電線接続部104を取り付ける。
【0052】
端子保持部13は、圧接端子100の電線接続部104全体が発光部11から撮像部12に向かって出射される光内に位置する状態で、圧接端子100の電線接続部104を取り付ける。このように、端子保持部13は、電線2の長手方向と前記光の光軸とが平行な状態で、電線2を圧接刃111a,111b,111c間に圧入された圧接端子100を保持する。
【0053】
電線2の長手方向と光軸とが平行な状態で端子保持部13が電線接続部104を保持するので、撮像部12は、圧接端子100と前記電線2の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cを撮像することとなる。則ち、撮像部12は、圧接端子100と前記電線2の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cの外形を取得する。
【0054】
入力装置14は、測定装置1の各種の操作を行うために用いられる。入力装置14として、周知のキーボード、マウス、各種のスイッチや操作ボタンなどを用いることができる。図示例では、入力装置14としてキーボードを用いている。
【0055】
表示装置15は、測定装置1の作動状況、撮像素子29が撮像した画像G1や、測定結果などを表示する。表示装置15として、周知のCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレィや、液晶ディスプレィ(Liquid Crystal Display)などの各種の表示装置を用いることができる。図示例では、表示装置15として液晶ディスプレィを用いている。
【0056】
出力装置16は、測定装置1の測定結果や撮像素子29が撮像した画像G1などを出力する。出力装置16として、測定結果や画像G1などを印字する周知のプリンタや、測定結果や画像G1などを電子情報としてCD−ROMなどの各種の記録媒体に書き込み可能なCD−ROM駆動装置などを用いることができる。図示例では、出力装置16としてプリンタを用いている。
【0057】
処理装置17は、周知のCPU(Central Processing Unit)とROM(Read−only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを備えたコンピュータである。処理装置17は、発光移動部19と、発光部11のLED22と、撮像移動部20と、撮像部12の光軸合わせ用撮像素子28と、撮像部12の撮像素子29と、入力装置14と、表示装置15と、出力装置16などと接続しており、これらの動作を制御する。処理装置17は、測定装置1全体の制御をつかさどる。
【0058】
処理装置17は、測定装置1を動作されるためのプログラムなどを記憶している。処理装置17は、測定装置1が圧接端子100の一対の側壁109の外面109a間の距離Hを測定する前に、発光部11に発光させ、撮像部12に発光部11からの光を受光させる。そして、処理装置17は、各移動部19,20を駆動させて、発光部11の光軸と撮像部12の光軸を一致させる。
【0059】
処理装置17は、撮像素子29が撮像して得た画像G1(図11に示す)に所定のしきい値で2値化処理を施す。処理装置17は、2値化して得た2値画像G2(図12に示す)から、図13に示すように、圧接端子100の電線接続部104の一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cと電線2などの外形(エッジ)を抽出した画像G3を得る。そして、図14に示すように、抽出した外形(エッジ)から円弧状の電線2の外形(エッジ)を抽出した画像G4を得て、この画像G4中の電線2の中心Cを求める。
【0060】
処理装置17は、電線2の中心Cを求める際には、例えば、図14に示すように、電線2の外形(エッジ)上に任意の3点P,Q,Rをとり、これら3点P,Q,Rを結ぶ2つの任意の直線S,T(図14中に実線で示す)を求める。これら直線S,Tそれぞれの垂線U,V(図14中に一点鎖線で示す)を求め、これら垂線U,Vの交点を電線2の中心Cとする。こうして、電線2の中心Cを求める。
【0061】
処理装置17は、電線2の中心Cを求めた後、図15に示すように、画像G3中で前記中心Cを通りかつ底壁108の表面108aと平行な直線W(図15中に二点鎖線で示す)を求める。処理装置17は、前記画像G3中で直線Wと一対の側壁109それぞれの外形(エッジともいい、外面に相当するので同一符号を付す)109aとの交点C1,C2を求める。
【0062】
処理装置17は、前記交点C1,C2間の距離Hを算出する。前記交点C1,C2間の距離Hを一対の側壁109の外面109a間の距離Hとし、圧接端子100の幅Hとする。こうして、処理装置17は、撮像部12が撮像して得た画像G1,G2,G3,G4則ち電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cなどの外形から電線2の中心Cを求めるとともに、電線2の中心Cを通りかつ底壁108の表面108aに沿う方向の一対の側壁109の外面109a間の距離Hを求める。
【0063】
次に、前述した実施形態の測定装置1が圧接端子100の電線接続部104の一対の側壁109の外面109a間の距離H則ち圧接端子100の幅Hを測定する過程を説明する。まず、図10中のステップS1で、測定装置1を起動して、発光部11から撮像部12に向けて光を出射する。そして、処理装置17は、光軸合わせ用撮像素子28が受光して求めた光の光軸に基づいて、各移動部19,20を駆動させて発光部11のコリメータ25の光軸と撮像部12のコリメータ30の光軸とを一致させる。そして、ステップS2に進む。
【0064】
ステップS2では、圧接刃111a,111b,111c間に電線2が圧入された圧接端子100の電線接続部104を端子保持部13に取り付ける。このとき、電線2の長手方向と発光部11が出射する光の光軸とを平行にする。そして、発光部11から撮像部12に向かって光を出射するとともに、撮像部12で電線2が圧接された圧接端子100の電線接続部104を撮像する。そして、撮像部12は、圧接端子100と電線2の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cの外形を示す画像G1(図11に示す)を得る(取得する)。
【0065】
このとき、発光部11から撮像部12に向けて光を出射するので、撮像部12が得た画像G1では、端子保持部13と電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cが陰となって暗くなっており、他の部分が明るくなっている。こうして、ステップS2では、電線2が圧接された圧接端子100を撮像して、ステップS3に進む。
【0066】
ステップS3では、図11に示された画像G1を所定のしきい値で2値化して、図12に示す2値画像G2を得る。図12に示す2値画像G2では、平行斜線で示す端子保持部13と電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cが黒となり、他の部分が白となっている。こうして、ステップS3では、2値化して、ステップS4に進む。
【0067】
ステップS4では、前記2値画像G2の白と黒との境界則ち電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cと端子保持部13の外形(エッジ)を抽出して、図1313に示す画像G3を得る。そして、ステップS5に進む。
【0068】
ステップS5では、抽出した外形(エッジ)から円弧状の部分則ち電線2の外形を抽出して、図14に示す画像G4を得る。そして、画像G4中で電線2の外形上に任意の3点P,Q,Rをとり、これら3点P,Q,Rを結ぶ直線S,T(図14に実線で示す)を求める。そして、前記直線S,Tそれぞれの垂線U,V(図14中に一点鎖線で示す)を求め、これら垂線U,Vの交点Cを求める。この交点Cを電線2の中心Cとする。こうして、ステップS5では、電線2の中心Cを求めて、ステップS6に進む。
【0069】
ステップS6では、図15に示すように、画像G3中で前記中心Cを通りかつ底壁108の表面108aに平行な直線W(図15中に二点鎖線で示す)を求める。前記直線Wと一対の側壁109の外面109aとの交点C1,C2を求めて、これらの交点C1,C2間の距離Hを求める。こうして、電線2の中心Cを通りかつ底壁108の表面108aに沿う方向の一対の側壁109の外面109a間の距離H則ち圧接端子100の幅を測定する。
【0070】
本実施形態によれば、発光部11と撮像部12との間に発光部11が発光する光の光軸と電線2との長手方向とが平行な状態で、電線2が圧接刃111a,111b,111c間に圧入された圧接端子100の電線接続部104を端子保持部13が保持する。このため、撮像部12は、圧接端子100と電線2の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線2と一対の側壁109と圧接刃111a,111b,111cの外形を取得する。処理装置17は、取得した外形から電線2の中心Cを求める。電線2の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた外形を取得するので、求めた電線2の中心Cの位置は正確である。
【0071】
また、処理装置17は、電線2の中心Cを通る一対の側壁109の外面109a間の距離Hを測定する。このため、常に、電線2の中心Cを通る一対の側壁109の外面109a間の距離Hを測定するとともに、中心Cの位置が正確であるため、測定した一対の側壁109の外面109a間の距離Hが正確になる。
【0072】
このため、常に電線2の中心Cを通る一対の側壁109の外面109a間の距離Hを測定するので、測定毎に、測定個所がばらつくことを防止できる。さらに、電線2の中心Cを正確に求めることができる。したがって、一対の側壁109の外面109a間の距離H則ち圧接端子100の幅Hを正確に測定できる。
【0073】
前述した実施形態では、電線2の外形を抽出して任意の3点P,Q,Rを設け、これら3点P,Q,Rを通る直線S,Tを求めるなどして、電線2の中心Cを求めている。しかしながら、本発明では、図16に示すように、抽出した電線2の底壁108の表面108aに対し直交する方向の幅D1,D2…Dnを求めて、これらのうち最大のDmaxを求める。Dmaxが電線2の外径であるため、このDmaxを2等分する位置Cを求め、この位置Cを電線2の中心Cとする。こうして、電線2の中心Cを求めても良い。このように、本発明では、種々の手段を用いて電線2の中心Cを求めても良いことは勿論である。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、圧接端子と電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線と一対の側壁と圧接刃の外形を取得する。そして、取得した外形から電線の中心を求める。電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた外形を取得するので、求めた電線の中心の位置は正確である。
【0075】
また、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定する。このため、常に、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定するとともに、中心の位置が正確であるため、測定した一対の側壁の外面間の距離が正確になる。
【0076】
このため、常に電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定するので、測定毎に、測定個所がばらつくことを防止できる。さらに、電線の中心を正確に求めることができる。したがって、一対の側壁の外面間の距離則ち圧接端子の幅を正確に測定できる。
【0077】
請求項2に記載した本発明の圧接端子の圧接時の幅測定装置によれば、発光部と撮像部との間に発光部が発光する光の光軸と電線とが平行な状態で、電線が圧接刃間に圧入された圧接端子を端子保持部が保持する。このため、撮像部は、電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた電線と一対の側壁と圧接刃の外形を取得する。処理部は、取得した外形から電線の中心を求める。電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた外形を取得するので、求めた電線の中心の位置は正確である。
【0078】
また、処理部は、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定する。このため、常に、電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定するとともに、中心の位置が正確であるため、測定した一対の側壁の外面間の距離が正確になる。
【0079】
このため、常に電線の中心を通る一対の側壁の外面間の距離を測定するので、測定毎に、測定個所がばらつくことを防止できる。さらに、電線の中心を正確に求めることができる。したがって、一対の側壁の外面間の距離則ち圧接端子の幅を正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる測定装置の構成を示す説明図である。
【図2】図1に示された測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示された測定装置で幅が測定される圧接前の圧接端子の電線接続部の要部などを示す斜視図である。
【図4】図3に示された圧接端子の電線接続部の要部に電線を圧接した状態を示す斜視図である。
【図5】図3中のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図4中のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図3に示された電線接続部を備えた圧接端子とこの圧接端子が取り付けられるコネクタハウジングとを示す斜視図である。
【図8】図7に示されたコネクタハウジングに圧接端子を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図9】図7に示された圧接端子の斜視図である。
【図10】図1に示された測定装置が圧接端子の幅を測定する過程を示すフローチャートである。
【図11】図10に示されたフローチャートのステップS2で得られた画像を示す説明図である。
【図12】図11に示された画像を2値化して得た2値画像を示す説明図である。
【図13】図12に示された2値画像から外形(エッジ)を抽出して得た画像を示す説明図である。
【図14】図13に示された画像から電線の外形のみ抽出して電線の中心を求める過程などを示す説明図である。
【図15】図13に示された画像中で電線の中心を通りかつ底壁に双方向の一対の側壁の外面間の距離を求める過程などを示す説明図である。
【図16】図14に示された電線の中心を求める過程の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 圧接端子の圧接時の幅測定装置
2 電線
3 芯線
11 発光部
12 撮像部
13 端子保持部
17 処理装置(処理部)
100 圧接端子
108 底壁
108a 表面
109 側壁
109a 外面
111a,111b,111c 圧接刃
C 電線の中心
H 圧接端子の幅(一対の側壁の外面間の距離)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上に電線を位置付ける底壁と、この底壁の両縁から立設しかつ互いに間隔をあけて相対する一対の側壁と、側壁それぞれから互いに近づく方向に延びた圧接刃とを備え、前記圧接刃間に電線が圧入されてこの電線の芯線と電気的に接続する圧接端子の圧接時の幅測定方法において、
電線を圧接した圧接端子と前記電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた前記電線と一対の側壁と圧接刃の外形を取得し、
取得した外形から前記電線の中心を求め、この中心を通りかつ前記底壁の表面に沿う方向の一対の側壁の外面間の距離を求めることを特徴とする圧接端子の圧接時の幅測定方法。
【請求項2】
表面上に電線を位置付ける底壁と、この底壁の両縁から立設しかつ互いに間隔をあけて相対する一対の側壁と、側壁それぞれから互いに近づく方向に延びた圧接刃とを備え、前記圧接刃間に電線が圧入されてこの電線の芯線と電気的に接続する圧接端子の圧接時の幅を測定する幅測定装置において、
発光する発光部と、
前記発光部からの光を受光するとともに撮像する撮像部と、
前記発光部と撮像部との間に設けられかつ発光部が発光する光の光軸と前記電線の長手方向とが平行な状態で電線を圧接刃間に圧入した圧接端子を保持する端子保持部と、
前記撮像部が撮像した圧接端子の外形から前記電線の中心を求め、この中心を通りかつ前記底壁の表面に沿う方向の一対の側壁の外面間の距離を求める処理部と、
を備えたことを特徴とする圧接端子の圧接時の幅測定装置。
【請求項1】
表面上に電線を位置付ける底壁と、この底壁の両縁から立設しかつ互いに間隔をあけて相対する一対の側壁と、側壁それぞれから互いに近づく方向に延びた圧接刃とを備え、前記圧接刃間に電線が圧入されてこの電線の芯線と電気的に接続する圧接端子の圧接時の幅測定方法において、
電線を圧接した圧接端子と前記電線の長手方向に沿って間隔をあけた位置からみた前記電線と一対の側壁と圧接刃の外形を取得し、
取得した外形から前記電線の中心を求め、この中心を通りかつ前記底壁の表面に沿う方向の一対の側壁の外面間の距離を求めることを特徴とする圧接端子の圧接時の幅測定方法。
【請求項2】
表面上に電線を位置付ける底壁と、この底壁の両縁から立設しかつ互いに間隔をあけて相対する一対の側壁と、側壁それぞれから互いに近づく方向に延びた圧接刃とを備え、前記圧接刃間に電線が圧入されてこの電線の芯線と電気的に接続する圧接端子の圧接時の幅を測定する幅測定装置において、
発光する発光部と、
前記発光部からの光を受光するとともに撮像する撮像部と、
前記発光部と撮像部との間に設けられかつ発光部が発光する光の光軸と前記電線の長手方向とが平行な状態で電線を圧接刃間に圧入した圧接端子を保持する端子保持部と、
前記撮像部が撮像した圧接端子の外形から前記電線の中心を求め、この中心を通りかつ前記底壁の表面に沿う方向の一対の側壁の外面間の距離を求める処理部と、
を備えたことを特徴とする圧接端子の圧接時の幅測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2004−186037(P2004−186037A)
【公開日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−352875(P2002−352875)
【出願日】平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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