説明

基板処理方法および基板処理装置

【課題】シリコン基板の酸化を抑制または防止しつつ、シリコン基板に対し処理液を用いた処理を施すことができる基板処理方法および基板処理装置を提供する。
【解決手段】スピンチャック3は、ウエハWをほぼ水平な姿勢でその裏面(下面)を吸着して保持する保持電極板5を備えている。保持電極板5には、直流回路22の電源の負極が接続されている。保持電極板5の上方には、対向電極板10が設けられている。対向電極板10には、直流回路22の電源の正極が接続されている。対向電極板10と、ウエハWの表面とを隙間dを隔てて対向させ、対向電極板10と保持電極板5との間に電位差が与えられる。この状態で、処理液ノズルからSPMが供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、この発明は、シリコン半導体基板に対して処理液を用いた処理を施す基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程では、シリコン半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という)に対して処理液(薬液やリンス液)を供給して、そのウエハの表面を処理液で洗浄する処理などが行われる。
たとえば、ウエハを1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置は、複数本のチャックピンでウエハをほぼ水平に保持しつつ、そのウエハを回転させるスピンチャックと、このスピンチャックによって回転されるウエハの表面に処理液を供給するためのノズルとを備えている。処理時には、スピンチャックによってウエハが回転されつつ、その基板の表面にノズルから処理液が供給される。
【0003】
このような装置では、基板の表面に対する処理液の接触によって、処理後の基板の表面が帯電することが知られている。処理後のシリコン電極の帯電量が多いと、半導体装置の歩留まりが低下したり、半導体装置の品質が低下したりするおそれがある。
そこで、チャックピンを導電性材料(たとえばカーボンを含む樹脂系材料)で形成し、処理中におけるウエハの帯電を抑制しているものがある(たとえば特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−72559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウエハの表面上からレジストを除去するためのレジスト除去処理では、ノズルから薬液として、硫酸と過酸化水素水の混合液である硫酸過酸化水素水(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:SPM)がウエハの表面に供給される。
しかしながら、ウエハに対するSPMを用いた処理の後は、ウエハの表面に局所的な酸化(局所酸化)が見られる。具体的には、導電性材料からなるチャックピンの当接部分の周辺で、局所的な酸化が見られる。ウエハの表面に局所酸化があると、ウエハに酸化膜除去処理を施した後に、ウエハの膜厚が面内でばらつくおそれがある。
【0005】
本願発明者は、SPMを用いた処理時におけるウエハの局所酸化の改善を検討してきた。
図6は、SPMを用いた処理時におけるウエハの酸化メカニズムを説明するための図であり、シリコン(Silicon Anode)と、導電性材料の一例として示すカーボン(Carbon Cathode)との境界付近にSPMを供給したときの界面状況を示している。
【0006】
ウエハの表面にSPMが供給されると、ウエハの表面では、以下の式(1)に示すようにシリコンと水(HO)との酸化反応が生じ、ウエハの表面にシリコン酸化膜(SiO)が形成され、ウエハ内の表面近傍に水素イオン(H)と電子(e)とが存在するようになる。
Si+2HO → SiO+4H+4e ・・・(1)
ウエハの表面に供給されたSPMが、ウエハを保持するチャックピンに接触すると、以下のような還元反応が生じる。
2H+2e → H ・・・(2)
このため、シリコンの酸化反応で得られた電子が、チャックピンに奪われ、チャックピンにおける還元反応に用いられる。これにより、チャックピン近傍ではウエハから電子が奪われやすい環境となるから、前記式(1)の反応、すなわち、酸化反応が促進される(ガルバニック効果)。とくに、ウエハに供給されるSPMが高温(たとえば150℃以上)であるときには、ウエハの表面でシリコンの酸化がより一層促進される。したがって、SPMを用いた処理では、SPMが供給されるウエハを導電性のチャックピンで挟持することは好ましくない。
【0007】
一方、ウエハWの表面に付着した薬液(SPM)を洗い流すリンス処理の後も、ウエハの表面に局所酸化がみられる。具体的には、リンス液(たとえばDIW(脱イオン化された水))が着液するウエハの表面の中心部で、局所酸化が見られる。かかる処理では、スピンチャックにより回転されるウエハの中心部に向けてノズルからDIWが供給される。ノズルから吐出されたDIWは、ウエハの表面の中心部に着液した後、ウエハの回転による遠心力を受けて周縁部に向けて流れる。
【0008】
本願発明者は、かかるDIW処理時における局所酸化の改善も検討してきた。図7は、DIWを用いた処理時におけるウエハ酸化の推定メカニズムを説明するための図であり、シリコン(Silicon)上にDIW(HO)を供給したときの界面状況を示している。
ウエハの表面にDIWが供給されると、ウエハの表面では、前記の式(1)に示すようにシリコンと水(HO)との酸化反応が生じ、ウエハの表面にシリコン酸化膜(SiO)が形成される。
【0009】
一方、ウエハに供給されるDIW(HO dispense)は、ノズルからの吐出の際に摩擦帯電している。この帯電したDIWがウエハの表面に供給されることにより、ウエハの表面のシリコン酸化膜(SiO)に負の電荷が蓄えられる。そのため、そのシリコン酸化膜とウエハ(シリコン)との界面付近では、ウエハ内部電子がさらに内方へと移動する。その結果、DIWが着液するシリコン基板の中心部では、電子が存在しにくくなるため、前記式(1)の反応、すなわち、酸化反応が促進される。
【0010】
また、本願発明者は、ウエハが負に帯電していると、このウエハの表面に処理液が接触しても、ウエハがほとんど酸化されないことを実験により見い出した。具体的には、円板状のウエハと、グラッシーカーボン(商標)により形成された電極とを互いに平行に対向させつつ、硫酸と過酸化水素水とを体積比1:0.3の比率で混合して作製したSPM中に浸漬させた。このような実験装置を2つ用意し、一方の実験装置では、ウエハを直流電源(9V)の負極に接続するとともに、電極を電源の正極に接続して、ウエハを負に帯電させた。他方の実験装置については、ウエハにも電極にも電荷を付与しなかった。
【0011】
ウエハを30分間浸漬させた後、ウエハの水に対する濡れ性を目視観察した。負に帯電させたウエハは、表面全域で濡れ性が悪く(疎水性)、帯電させなかったウエハは、表面全域で濡れ性が良かった(親水性)。ベアシリコンは疎水性であり、酸化シリコンは親水性であることから、負に帯電させた状態で処理したウエハの表面がほとんど酸化されていないことが確かめられた。
【0012】
つまり、ウエハの酸化は、当該ウエハ中の帯電量の減少に起因すると考えられる。言い換えれば、ウエハの帯電量が多いと、シリコンの酸化反応を抑制することができると考えられる。
むろん、処理液を用いた処理時には、ウエハの局所酸化だけでなく、ウエハの酸化そのものが抑制されることが望ましい。
【0013】
そこで、この発明の目的は、シリコン基板の酸化を抑制または防止しつつ、シリコン基板に対し処理液を用いた処理を施すことができる基板処理方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1記載の発明は、シリコン基板(W)の表面に対向するように対向電極板(10)を配置する対向電極配置工程(S2,S22)と、前記シリコン基板と前記対向電極板との間に電位差を与え、前記シリコン基板を負に帯電させる帯電工程(S3,S23)と、この帯電工程と並行して、前記シリコン基板の表面に処理液を供給する処理液供給工程(S5,S6,S7,S8,S25,S26,S27,S28)とを含む、基板処理方法である。
【0015】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この方法によれば、シリコン基板と対向電極板との間に電位差が与えられて、シリコン基板が負に帯電される。そして、シリコン基板が負に帯電された状態のまま、当該シリコン基板に対して処理液が供給される。前述のとおり、シリコン基板の酸化は、当該シリコン基板の表面において負の電荷が不足している状況で進行すると考えられる。そこで、この発明では、シリコン基板を負に帯電させ、その状態でシリコン基板の表面に処理液を供給するようにしている。これにより、シリコン基板の酸化を抑制または防止しつつ、シリコン基板に対し処理液を用いた処理を施すことができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、保持電極板(5)の保持面(7)に前記シリコン基板の裏面を接触させて当該シリコン基板を保持する基板保持工程(S1,S21)をさらに含み、前記対向電極配置工程が、前記保持電極板の保持面に保持されたシリコン基板の表面に対向するように前記対向電極板を配置する工程(S2,S22)を含み、前記帯電工程が、前記保持電極板と前記対向電極板との間に電位差を与える工程(S3,S23)を含む、請求項1記載の基板処理方法である。
【0017】
この方法によれば、保持電極板によってシリコン基板が接触保持される。そして、対向電極板と保持電極板との間に電位差が与えられると、対向電極板と、対向電極板に対向配置されつつ保持電極板に接触するシリコン基板との間にも、電位差が与えられる。これにより、対向電極板と保持電極板との間にシリコン基板を配置するという比較的簡単な構成で、シリコン基板を負に帯電させることができる。
【0018】
請求項3記載の発明は、前記基板保持工程が、前記保持電極板の前記保持面を前記シリコン基板の裏面のほぼ全域に接触させる工程を含む、請求項2記載の基板処理方法である。
この方法によれば、保持電極板によるシリコン基板の保持状態では、シリコン基板の裏面のほぼ全域が保持面に接触している。これにより、シリコン基板の全域をほぼ均一に負に帯電させることができる。これにより、シリコン基板の全域で酸化を防止または抑制することができる。これにより、処理液を用いた処理後のシリコン基板に局所的な酸化が生じることをより確実に抑制することができる。
【0019】
請求項4記載の発明は、前記保持面が、前記シリコン基板を保持した状態で、前記シリコン基板の裏面の外周縁よりも内方に後退した外周縁(8)を有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
この方法によれば、シリコン基板に供給された処理液が保持電極板に接触することを抑制または防止できる。そのため、シリコン基板と保持面との境界部に処理液が接触することにより生じるガルバニック効果を回避できるから、シリコン基板の裏面における局所酸化を抑制または防止できる。
【0020】
請求項5記載の発明は、前記処理液供給工程が、酸化性処理液を供給する工程(S5,S25)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
この方法によれば、シリコン基板に対して酸化性処理液が供給される。シリコン基板が負に帯電されているので、当該シリコン基板に酸化性処理液が供給されても、ほとんど酸化されない。これにより、酸化性処理液がシリコン基板に供給される場合であっても、シリコン基板の酸化を抑制または防止することができる。
【0021】
酸化性処理液の例として、たとえばSC2(塩酸過酸化水素水混合液)、フッ酸、バファードフッ酸(Buffered HF:フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液)などが挙げられる。
請求項6記載の発明は、前記処理液供給工程が、純水を供給する工程(S6,S8,S26,S28)を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
【0022】
この方法によれば、シリコン基板に対して純水が供給される。純水がシリコンに接触することによりシリコンが酸化されることがあるが、シリコン基板が負に帯電されているので、当該シリコン基板に純水が供給されても、シリコン基板はほとんど酸化されない。したがって、純水がシリコン基板に供給される場合であっても、シリコン基板の酸化を抑制または防止することができる。
【0023】
また、シリコン基板が帯電していると、シリコン基板と純水との間で電荷のやり取りが行われず、そのため、シリコン基板からの純水中へのシリコンの溶出がほとんどない。これにより、ウォータマークの発生を抑制または防止することができる。
請求項7記載の発明は、前記シリコン基板の帯電量を調節する帯電量調節工程をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
【0024】
この方法によれば、シリコン基板の帯電量が調節されるので、シリコン基板の帯電量を過不足なく保つことができる。シリコン基板の帯電量が過剰になると、シリコン基板に作り込まれたデバイスがダメージを受けるおそれがある。また、帯電量が不足すると、処理液を用いた処理時にシリコン基板の酸化を十分に抑制することができない。したがって、シリコン基板の帯電量を適切に調節することによって、シリコン基板にダメージを付与することなく、シリコン基板の酸化を抑制することができる。
【0025】
請求項8記載の発明は、前記帯電量調節工程は、前記対向電極板と前記シリコン基板との距離を変更する距離変更工程を含む、請求項7記載の基板処理方法である。
この方法によれば、対向電極板とシリコン基板との距離が小さくなるのに従って、シリコン基板の帯電量が増加し、対向電極板とシリコン基板との距離が大きくなるのに従って、シリコン基板の帯電量が減少する。これにより、比較的簡単な構成で、シリコン基板の帯電量を調節することができる。
【0026】
請求項9記載の発明は、前記処理液供給工程の後に、前記シリコン基板を除電する除電工程(S12,S33)をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理方法である。
この方法によれば、シリコン基板に対して処理液を用いた処理が施された後は、シリコン基板が除電される。これにより、処理後のシリコン基板に電荷が残存することを防止することができる。
【0027】
除電工程としては、たとえば、保持電極板をアース接続させた状態で、対向電極板と保持電極板とを離間させることにより実現することができる。このように、比較的簡単な構成で、シリコン基板の除電を実現することができる。
また、請求項10記載に記載の発明のように、前記除電工程は、除電電流を調節する電流調節工程(S32)を含んでいてもよい。除電電流が、たとえば予め定める範囲内の大きさになるように調節されていることが好ましい。これにより、シリコン基板の帯電量の急激な減少が防止される。これにより、シリコン基板に作り込まれたデバイスにダメージを与えることなく、シリコン基板を除電することができる。
【0028】
請求項11記載の発明は、シリコン基板(W)を保持する基板保持手段(3)と、この基板保持手段に保持される基板の表面に対向するように配置された対向電極板(5)と、前記基板保持手段に保持されたシリコン基板と前記対向電極板との間に電位差を与え、前記シリコン基板を負に帯電させる電源(23)と、前記基板保持手段に保持された基板に処理液を供給する処理液供給手段(13)とを含む、基板処理装置(1,40)である。
【0029】
この構成によれば、請求項1に関連して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
請求項12記載の発明は、前記基板保持手段は、前記シリコン基板の裏面に接触して当該基板を保持する保持面(7)を有する保持電極板(5)を含む、請求項11記載の基板処理装置である。
【0030】
この構成によれば、請求項2に関連して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
請求項13記載の発明は、前記保持面が、前記シリコン基板を保持した状態で、前記シリコン基板の裏面の外周縁よりも内方に後退した外周縁(8)を有している、請求項12記載の基板処理装置である。
【0031】
この構成によれば、請求項4に関連して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1の構成を図解的に示す断面図である。
基板処理装置1は、たとえば、シリコン基板の一例である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wの表面に不純物を注入するイオン注入処理やドライエッチング処理の後に、そのウエハWの表面から不要になったレジストを剥離するためのレジスト除去処理に用いられる枚葉式の装置である。
【0033】
この基板処理装置1は、隔壁により区画された処理室2内に、ウエハWをほぼ水平に保持するとともに、その中心を通るほぼ鉛直な回転軸線CまわりにウエハWを回転させるスピンチャック3を備えている。
スピンチャック3は、真空吸着式のチャックである。このスピンチャック3は、ほぼ鉛直な方向に延びたスピン軸4と、このスピン軸4の上端に取り付けられて、ウエハWをほぼ水平な姿勢でその裏面(下面)を吸着して保持する保持電極板5と、スピン軸4と同軸に結合された回転軸を有するモータ6とを備えている。これにより、ウエハWの裏面が保持電極板5に吸着保持された状態で、モータ6を回転駆動させることにより、そのウエハWを、ほぼ水平な姿勢を保った状態で、保持電極板5とともに鉛直軸線(回転軸線C)まわりに回転させることができる。
【0034】
保持電極板5は、シリコンよりも酸化還元電位が高いSiC(炭化ケイ素)によって、ウエハWよりもやや小さな径を有する円板状に形成されている。保持電極板5の上面には、ウエハWを保持するための保持面7が形成されている。保持電極板5がウエハWを保持した状態では、ウエハWの裏面のほぼ全域が保持面5に接触する。このとき、保持電極板5の外周縁8(保持面7の外周縁)は、ウエハW(の裏面)の外周縁よりも内方に後退している。
【0035】
スピンチャック3の上方には、保持電極板5と同径の円板状の対向電極板10が設けられている。対向電極板10は、シリコンよりも酸化還元電位が高いSiC(炭化ケイ素)で形成されている。対向電極板10の下面には、スピンチャック3に保持されたウエハWの表面と対向する基板対向面11が形成されている。対向電極板10の上面には、スピンチャック3の回転軸線Cと共通の軸線に沿う保持軸12が固定されている。この保持軸12は中空に形成されていて、その内部には、ウエハWの表面にDIWを供給するための処理液ノズル13が挿通されている。処理液ノズル13の吐出口は、基板対向面11よりも下方に突出しつつ、下方に向けて形成されている。保持軸12は、ほぼ水平に延びて設けられたアーム20の先端付近に取り付けられている。対向電極板5の中心部には、処理液ノズル13の先端部を挿通するための挿通孔9が形成されている。対向電極板5の挿通孔9の内壁は、処理液ノズル13と間隔を隔てて配置されている。このため、処理液ノズル13は、対向電極板10と電気的導通がない。
【0036】
処理液ノズル13には、図示しないSPM供給源からSPMが供給されるSPM供給管14と、図示しないSC1供給源からSC1が供給されるSC1供給管15と、図示しないDIW供給源から常温(たとえば25℃)のDIWが供給されるDIW供給管16とが接続されている。SPM供給管14の途中部には、SPM供給管14を開閉するためのSPMバルブ17が介装されている。SC1供給管15の途中部には、SC1供給管15を開閉するためのSC1バルブ18が介装されている。DIW供給管16の途中部には、DIW供給管16を開閉するためのDIWバルブ19が介装されている。
【0037】
SC1バルブ18およびDIWバルブ19が閉じられた状態で、SPMバルブ17が開かれると、SPM供給管14からのSPMが処理液ノズル13に供給されて、処理液ノズル13から下方に向けてSPMが吐出される。スピンチャック3にウエハWが保持された状態で、処理液ノズル13からSPMを吐出させることにより、ウエハWの表面(上面)の中心部にSPMを供給することができる。
【0038】
SPMバルブ17およびDIWバルブ19が閉じられた状態で、SC1バルブ18が開かれると、SC1供給管15からのSC1が処理液ノズル13に供給されて、処理液ノズル13から下方に向けてSC1が吐出される。スピンチャック3にウエハWが保持された状態で、処理液ノズル13からSC1を吐出させることにより、ウエハWの表面(上面)の中心部にSC1を供給することができる。
【0039】
SPMバルブ17およびSC1バルブ18が閉じられた状態で、DIWバルブ19が開かれると、DIW供給管16からのDIWが処理液ノズル13に供給されて、処理液ノズル13から下方に向けて常温のDIWが吐出される。スピンチャック3にウエハWが保持された状態で、処理液ノズル13からDIWを吐出させることにより、ウエハWの表面(上面)の中心部にDIWを供給することができる。
【0040】
アーム20には、対向電極板10を昇降させるための対向電極板昇降駆動機構21が結合されている。この対向電極板昇降駆動機構21により、対向電極板10を、基板対向面11がスピンチャック3に保持されたウエハWの表面と隙間d(たとえば10mm程度)を隔てて近接する近接位置(図1に実線で示す位置)と、スピンチャック3の上方に離間する離間位置(図1に二点鎖線で示す位置)との間で昇降させることができるようになっている。対向電極板10は、ほぼ水平な姿勢を保った状態で昇降されるようになっている。近接位置(図1に実線で示す位置)に配置された対向電極板10と、保持電極板5とは互いに平行になる。
【0041】
保持電極板5および対向電極板10には、直流回路22が接続されている。直流回路22の導電線26には、直流の24Vの電源23が介装されている。電源23の正極には対向電極板10が接続されており、電源23の負極(接地電位)には保持電極板5が接続されている。直流の電源23と対向電極板10との間には、この直流回路22を開閉するためのスイッチ24が介装されている。また、直流の電源23と保持電極板5との間には、アース部25が分岐接続されている。
【0042】
スイッチ24がオンされて直流回路22が閉じられると、対向電極板10と保持電極板5との間に電位差が与えられる。このとき電極23の正極に接続された対向電極板10に電源23から正の電荷が誘導されて、対向電極板10が正に帯電する。また、電極23の負極に接続された保持電極板5に電源23から負の電荷が誘導される。ウエハWの裏面のほぼ全域が保持面7に接触しているので、保持電極板5からウエハWの全域に負の電荷が与えられ、その結果、ウエハW全域が均一に負に帯電する。各電極板10,5の面積は、対向電極板10とウエハWとの間が隙間dに保たれた状態で、ウエハWを所望の帯電量に帯電させることができる大きさに設定されている。
【0043】
図2は、基板処理装置1の電気的構成を示すブロック図である。
基板処理装置1は、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置30を備えている。この制御装置30には、制御対象として、モータ6、対向電極板昇降駆動機構21、SPMバルブ17、SC1バルブ18およびDIWバルブ19などが接続されている。
図3は、基板処理装置1で行われる処理例を説明するためのフローチャートである。
【0044】
レジスト除去処理に際しては、図示しない搬送ロボットによって、処理室内にイオン注入処理後のウエハWが搬入されてくる。このウエハWは、イオン注入時のマスクとして用いられたレジストに対してアッシング(灰化)処理を施していない状態のものであり、その表面にはレジストが存在している。
ウエハWは、その表面を上方に向けて、スピンチャック3の保持電極板5に保持される(ステップS1)。なお、このウエハWの搬入時においては、その搬入の妨げにならないように、対向電極板10が、スピンチャック3の上方に離間した離間位置(図1に二点鎖線で示す位置)に配置されている。
【0045】
ウエハWがスピンチャック3に保持されると、制御装置30は、対向電極板昇降駆動機構21を制御して、対向電極板10を、離間位置(図1に二点鎖線で示す位置)から近接位置(図1に実線で示す位置)まで下降させる(ステップS2)。また、制御装置30は、スイッチ24をオンし、直流回路22を閉鎖して、対向電極板10と保持電極板5との間に電位差を付与する(ステップS3)。これにより、対向電極板10は正に帯電し、また、ウエハWが負に帯電する。
【0046】
さらに、制御装置30は、モータ6を制御して、スピンチャック3によるウエハW(保持電極板5)の回転を開始させて、ウエハWを所定の液処理速度(たとえば300rpm)で等速回転させる(ステップS4)。
ウエハWの回転速度が液処理速度に達すると、制御装置30は、SPMバルブ17を開いて、処理液ノズル13の吐出口からウエハWの表面の中心部に向けてSPMを吐出させる(ステップS5)。ウエハWの表面に供給されたSPMは、ウエハWの表面の全域に拡がる。これにより、ウエハWの表面に対するSPMを用いた処理が達成される。
【0047】
ウエハWの表面にSPMが供給されると、ウエハWの表面で酸化反応が生じ、これにより、ウエハWの表面からレジストが剥離される。このとき、ウエハWが負に帯電しているので、ウエハW自身の表面部分の酸化はほとんど生じない。そのため、SPM処理の終了後に、ウエハWの表面には、シリコン酸化膜がほとんど形成されていない。
SPMを用いた処理時には、ウエハWの表面と対向電極板10の基板対向面11との間が所定の隙間d(たとえば10mm程度)に設定されている。この隙間dは、ウエハWの表面に供給されたSPMがウエハWの表面で跳ね返って対向電極板10に付着しない程度の大きさである。
【0048】
所定のSPM処理時間が経過すると、制御装置30は、SPMバルブ17を閉じて、処理液ノズル13からのSPMの吐出を停止させる。また、制御装置30は、DIWバルブ19を開いて、処理液ノズル13の吐出口からウエハWの表面の中心部に向けてDIWを吐出させる(ステップS6)。ウエハWの表面に供給されたDIWは、ウエハWの表面の全域に拡がる。これにより、ウエハWの表面に付着したSPMがDIWによって洗い流される。ウエハWが負に帯電しているので、ウエハWにDIWを供給しても、ウエハWの表面で酸化反応が促進しない。
【0049】
所定のリンス処理時間が経過すると、制御装置30は、DIWバルブ19を閉じて、処理液ノズル13からのDIWの吐出を停止させる。また、制御装置30は、SC1バルブ18を開いて、処理液ノズル13の吐出口からウエハWの表面の中心部に向けてSC1を吐出させる(ステップS7)。ウエハWの表面に供給されたSC1は、ウエハWの回転による遠心力により、ウエハWの表面の全域に拡がる。SC1は、ウエハWの表面に形成されたシリコン酸化膜(SiO)とウエハWの表面のパーティクルとを、ウエハWの表面から除去することができるが、ステップS5の終了後に、ウエハWの表面にシリコン酸化膜がほとんど形成されていないので、このSC1を用いた処理では、主に、ウエハWの表面のパーティクルが除去される。このため、SC1による処理後には、ウエハWの膜減りはほとんどない。イオン注入後のウエハWが膜減りすると、それに伴って当該ウエハWのドーズ量も減少する(イオン注入されたシリコンウエハ表層部が失われる)が、ウエハWの膜減りがほとんどないために、ウエハWのドーズ量の低減を防止することができる。
【0050】
所定のSC1処理時間が経過すると、制御装置30は、SPMバルブ17を閉じて、処理液ノズル13からのSPMの吐出を停止させる。また、制御装置30は、DIWバルブ19を開いて、処理液ノズル13の吐出口からウエハWの表面の中心部に向けてDIWを吐出させる(ステップS8)。ウエハWの表面に供給されたDIWは、ウエハWの表面の全域に拡がる。これにより、ウエハWの表面に付着したSPMがDIWによって洗い流される。ウエハWが負に帯電しているので、ウエハWにDIWを供給しても、ウエハWの表面での酸化反応がほとんど生じない。
【0051】
また、ウエハWが帯電しているために、ウエハWからDIW中へのシリコンの溶出がほとんどない。これにより、一連の処理の終了後に、ウエハWの表面に、ウォータマークが発生しない。
また、制御装置30は、モータ8を制御して、ウエハWをスピンドライ回転速度(たとえば3000rpm)まで加速させる(ステップS9)。これにより、リンス処理後のウエハWの表面に付着しているDIWを遠心力で振り切って乾燥させるスピンドライ処理が実施される。
【0052】
スピンドライ処理が所定のスピンドライ時間にわたって行われると、制御装置30は、モータ8を制御して、ウエハW(スピンチャック3)の回転を停止させる(ステップS10)。また、制御装置30は、スイッチ24をオフして直流回路22を開く(ステップS11)。直流回路22が開かれた状態で、制御装置30は、対向電極板昇降駆動機構21を制御して、対向電極板10を離間位置まで上昇させる(ステップS12)。この対向電極板10の上昇により、ウエハWに蓄えられた電荷(電子)が、直流回路22の導電線26を通って移動し、導電線26に除電電流が流れる。これにより、ウエハWの除電が達成される。対向電極板10の上昇は、非常にゆっくりとした速度であることが望ましい。この場合、ウエハWの帯電量が急激に減少することを防止することができる。ウエハWの除電後、図示しない搬送ロボットによってウエハWが搬出される(ステップS13)。
【0053】
この実施形態によれば、ウエハWと対向電極板10との間に電位差が与えられて、ウエハWが負に帯電される。そして、ウエハWが負に帯電された状態のまま、当該ウエハWに対してSPMが供給される。ウエハWが負に帯電しているので、ウエハWの表面で酸化反応がほとんど生じない。これにより、ウエハWの酸化を抑制または防止しつつ、ウエハWに対しSPMを用いた処理を施すことができる。
【0054】
また、保持電極板5によるウエハWの保持状態で、保持電極板5の外周縁8がウエハWの外周縁よりも内方に後退しているので、ウエハWの表面に供給されたSPMが、保持電極板5の保持面7に接触しない。このため、ウエハW裏面側でも、シリコンの酸化反応はほとんど生じない。
さらに、保持電極板5によるウエハWの保持状態では、保持電極板5の保持面7をウエハWの裏面のほぼ全域に接触させているので、ウエハWの全域がほぼ均一に負に帯電する。これにより、ウエハWの全域で酸化を防止または抑制することができる。これにより、SC1処理後にウエハWに局所的な酸化が生じることを確実に抑制することができる。
【0055】
さらにまた、ウエハWにスピンドライ処理が施された後に、ウエハWが除電される。これにより、一連の処理後のウエハWへの電荷の残存を防止することができる。
図4は、本発明の他の実施形態に係る基板処理装置40の構成を図解的に示す断面図である。
この図4の実施形態において、前述の実施形態(図1〜図3に示す実施形態)に示された各部に対応する部分には、図1〜図3と同一の参照符号を付して示し、説明を省略する。
【0056】
この図4に示す基板処理装置40が、前述の実施形態の基板処理装置1と相違するのは、直流回路22Aにおいて、電極23と対向電極板10との間、より詳しくはアース部25の分岐位置に対して対向電極板5側の導電線26に、可変抵抗器31が介装されている点である。直流回路22が開かれた状態で対向電極板10が上昇すると、アース部25から保持電極板5に向けて除電電流が流れるが、可変抵抗器31の抵抗が小さく設定されていると、除電電流が大きくなり、また、可変抵抗器31の抵抗が大きく設定されていると、除電電流が小さくなる。
【0057】
制御装置30には、図2に破線で示すように、可変抵抗器31が制御対象として接続されている。制御装置30は、可変抵抗器31の抵抗値を設定する。
図5は、基板処理装置40で行われる処理例を説明するためのフローチャートである。
レジスト除去処理に際しては、前述の図3と同様、図示しない搬送ロボットによって、処理室内にイオン注入処理後のウエハWが搬入されて、ウエハWは、その表面を上方に向けてスピンチャック3の保持電極板5に保持される(ステップS21)。ウエハWがスピンチャック3に保持されると、制御装置30は、対向電極板昇降駆動機構21を制御して、対向電極板10を、離間位置(図4に二点鎖線で示す位置)から近接位置(図4に実線で示す位置)まで下降させる(ステップS22)。また、制御装置30は、スイッチ24をオンし、直流回路22を閉じて、対向電極板10と保持電極板5との間に電位差を付与する(ステップS23)。これにより、対向電極板10は正に帯電し、また、保持電極板5およびウエハWが負に帯電する。
【0058】
また、制御装置30は、モータ6を制御して、スピンチャック3によるウエハW(保持電極板5)の回転を開始させる(ステップS24)。ウエハWの回転速度が液処理速度に達すると、制御装置30は、SPMバルブ17を開いて、ウエハWの表面にSPMを供給させる(ステップS25)。所定のSPM処理時間が経過すると、制御装置30は、SPMバルブ17を閉じるとともに、DIWバルブ19を開いて、ウエハWの表面にDIWを供給させる(ステップS26)。所定のリンス処理時間が経過すると、制御装置30は、DIWバルブ19を閉じるとともに、SC1バルブ18を開いて、ウエハWの表面にSC1を供給させる(ステップS27)。所定のSC1処理時間が経過すると、制御装置30は、SC1バルブ18を閉じるとともに、DIWバルブ19を開いて、ウエハWの表面にDIWを供給させる(ステップS28)。所定のリンス処理時間が経過すると、制御装置30は、モータ8を制御して、ウエハWをスピンドライ回転速度(たとえば3000rpm)まで加速させる(ステップS29)。これらステップS24,S25,S26,S27,S28,S29の処理は、それぞれ、図3のステップS4,S5,S6,S7,S8,S9と同様の処理である。
【0059】
スピンドライ処理が所定のスピンドライ時間にわたって行われると、制御装置30は、モータ8を制御して、ウエハW(スピンチャック3)の回転を停止させる(ステップS30)。また、制御装置30は、スイッチ24をオフして直流回路22を開くとともに(ステップS31)、可変抵抗器31の抵抗を、導電線26を流れる除電電流が予め定める大きさの電流になるような抵抗値に設定する(ステップS32)。
【0060】
その後、直流回路22が開かれた状態で、制御装置30は、対向電極板昇降駆動機構21を制御して、対向電極板10を離間位置まで上昇させる(ステップS33)。この対向電極板10の上昇により、ウエハWに蓄えられた電荷(電子)は、直流回路22Aの導電線26をアース部25に向けて移動し、導電線26に除電電流が流れる。これによりウエハWの除電が達成される。このときの除電電流は、可変抵抗器31によって制限されるので、対向電極板10を速やかに上昇させた場合でも、大電流が流れることはない。したがって、可変抵抗器31の設定抵抗値に対応する速さでウエハWを除電できる。ウエハWの除電後、図示しない搬送ロボットによってウエハWが搬出される(ステップS34)。
【0061】
この図4および図5に示す実施形態では、可変抵抗器31の働きにより、除電時におけるウエハWの帯電量の急激な減少が防止される。これにより、ウエハWに作り込まれたデバイスにダメージを与えることなく、ウエハWの除電を行うことができる。
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる。
【0062】
前述の2つの実施形態では、対向電極板10を回転させずに静止させる構成であるとしたが、保持軸12に回転駆動機構を結合し、この保持軸12を回転させることで、対向電極板10を回転可能な構成することもできる。この場合、ステップS9,S29のスピンドライ時に、対向電極板10を回転させてもよい。
また、たとえば、DIWを用いた処理やSC1を用いた処理と、SPMを用いた処理とで、対向電極板10とウエハWの表面との間の隙間dを変えることもできる。DIWを用いた処理やSC1を用いた処理時には、SPMを用いた処理時よりも、対向電極板10とウエハWの表面との間の隙間dが大きくすることもできる。この場合、制御装置30は、SPMを用いた処理(ステップS5,S25)の終了後、対向電極板昇降駆動機構21を制御して、対向電極板10を上方に移動させる。これにより、ウエハWの帯電量を調節する(低下させる)ことができる。
【0063】
また、保持電極板5および対向電極板10の材料として、導電性材料であるSiCを例に挙げて説明したが、その他ETFEなどを保持電極板5および対向電極板10の材料として例示することができる。
また、ステップS6,S8,S26,S28のDIW処理時に、常温のDIWに代えて、高温(たとえば80℃)のDIWをウエハWに供給することもできる。ウエハWが負に帯電されていると、DIWがかかる高温であっても、ウエハWからDIW中にシリコンがほとんど溶出しない。このため、高温のDIWをウエハWに供給しても、一連のウエハWへの処理後に、ウエハW上にウォータマークが生じることがない。このため、スピンドライ時間を短縮させることも可能である。
【0064】
また、前述の2つの実施形態では、基板処理装置1,40では、SPMを用いてウエハWの表面から不要になったレジストを除去するためのレジスト除去処理が実施されるとして説明したが、ウエハWに対して他の処理液(薬液またはリンス液)による処理が施されていてもよい。この場合、薬液として、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)、SPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水混合液)、フッ酸、バファードフッ酸(Buffered HF:フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液)などを挙げることができる。また、リンス液としては、純水、炭酸水および磁気水などを挙げることもできる。
【0065】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。
【図2】図1に示す基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す基板処理装置で行われる処理例を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。
【図5】図4に示す基板処理装置で行われる処理例を説明するためのフローチャートである。
【図6】SPMを用いた処理時におけるウエハの酸化メカニズムを説明するための図である。
【図7】DIWを用いた処理時におけるウエハの酸化メカニズムを説明するための図である。
【符号の説明】
【0067】
1,40 基板処理装置
3 スピンチャック(基板保持手段)
5 保持電極板
7 保持面
8 外周縁
10 対向電極板
13 処理液ノズル(処理液供給手段)
23 電源
W ウエハ(シリコン基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板の表面に対向するように対向電極板を配置する対向電極配置工程と、
前記シリコン基板と前記対向電極板との間に電位差を与え、前記シリコン基板を負に帯電させる帯電工程と、
この帯電工程と並行して、前記シリコン基板の表面に処理液を供給する処理液供給工程とを含む、基板処理方法。
【請求項2】
保持電極板の保持面に前記シリコン基板の裏面を接触させて当該シリコン基板を保持する基板保持工程をさらに含み、
前記対向電極配置工程が、前記保持電極板の保持面に保持されたシリコン基板の表面に対向するように前記対向電極板を配置する工程を含み、
前記帯電工程が、前記保持電極板と前記対向電極板との間に電位差を与える工程を含む、請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記基板保持工程が、前記保持電極板の前記保持面を前記シリコン基板の裏面のほぼ全域に接触させる工程を含む、請求項2記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記保持面が、前記シリコン基板を保持した状態で、前記シリコン基板の裏面の外周縁よりも内方に後退した外周縁を有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記処理液供給工程が、酸化性処理液を供給する工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項6】
前記処理液供給工程が、純水を供給する工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記シリコン基板の帯電量を調節する帯電量調節工程をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記帯電量調節工程は、前記対向電極板と前記シリコン基板との距離を変更する距離変更工程を含む、請求項7記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記処理液供給工程の後に、前記シリコン基板を除電する除電工程をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記除電工程は、除電電流を調節する電流調節工程を含む、請求項9記載の基板処理方法。
【請求項11】
シリコン基板を保持する基板保持手段と、
この基板保持手段に保持される基板の表面に対向するように配置された対向電極板と、
前記基板保持手段に保持されたシリコン基板と前記対向電極板との間に電位差を与え、前記シリコン基板を負に帯電させる電源と、
前記基板保持手段に保持された基板に処理液を供給する処理液供給手段とを含む、基板処理装置。
【請求項12】
前記基板保持手段は、前記シリコン基板の裏面に接触して当該基板を保持する保持面を有する保持電極板を含む、請求項11記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記保持面が、前記シリコン基板を保持した状態で、前記シリコン基板の裏面の外周縁よりも内方に後退した外周縁を有している、請求項12記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−238862(P2009−238862A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80471(P2008−80471)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】