説明

基板処理装置およびカバー部材

【課題】基板処理装置の高さが増大することを抑制しつつ、飛散した処理液を好適に回収することができる基板処理装置、および、カップ外に処理液が漏れることを好適に防止できるカバー部材を提供する。
【解決手段】基板を保持する基板保持部11と、上部に開口Aを有する略筒形状を呈して基板保持部11の周囲を囲むカップ12と、カップ12の外側に設けられるカバー本体41と、を備え、前記開口Aの縁部は、高さ位置が比較的低い第1縁部ELと高さ位置が比較的高い第2縁部EHとを有する。カバー本体41は、第2縁部EHの高さ位置より低い範囲で前記第1縁部ELの上方を覆う。これにより、処理液が第1縁部ELの上方からカップの外側に漏れることを防止できる。第1縁部の上端は依然として第2縁部より低いので、基板処理装置の高さが増大することを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等(以下、単に「基板」と称する)をカップ内で処理する基板処理装置、および、カップに付設するためのカバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の基板処理装置は、基板を保持する基板保持部と、基板保持部の周囲を囲み、上部に開口部を有する略筒形状を呈するカップと、ノズルや洗浄ブラシなどの洗浄具と、洗浄具を基板の上方とカップの外側との間で移動させる移動機構とを備えている。そして、基板保持部は基板を保持し、移動機構はカップの外側から基板の上方に洗浄具を移動させ、洗浄具は基板に処理を行う。処理が終了すると、移動機構は洗浄具をカップの外側へ退避させる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
カップの上部には切り欠きが形成されている。洗浄具はこの切り欠きを通過して、基板の上方とカップの外側との間を移動する。これにより、洗浄具の可動域を低く抑えることができるので、基板処理装置全体の高さを低く抑えることができる。また、上下方向に積層可能な基板処理装置の数を増加させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−19213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、カップの切り欠きから処理液等がカップの外側に漏れるという不都合がある。カップの外側の部位に付着した処理液によって基板処理装置が汚損され、基板の周囲の雰囲気を清浄に維持・管理することが困難になる。
【0006】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板処理装置の高さが増大することを抑制しつつ、飛散した処理液を好適に回収することができる基板処理装置、および、カップ外に処理液が漏れることを好適に防止できるカバー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板を処理する基板処理装置であって、基板を保持する基板保持部と、上部に開口を有する略筒形状を呈して前記基板保持部の周囲を囲むカップと、前記カップの外側に設けられるカバー本体と、を備え、前記カップの上部に形成された切り欠きによって、前記開口の縁部は、高さ位置が比較的低い第1縁部と高さ位置が比較的高い第2縁部とを有し、前記カバー本体は、前記第2縁部の高さ位置より低い範囲で前記第1縁部の上方を覆う基板処理装置である。
【0008】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、第1縁部の上方を覆うカバー本体によって、処理液が第1縁部の上方からカップの外側に漏れることを好適に防止することができる。また、カバー本体は第2縁部より低い範囲で覆っているので、カバー本体の上端は、依然として第2縁部より低い。このため、カバー本体を設けても、基板処理装置の高さが増大することを抑制することができる。
【0009】
本発明において、前記カバー本体の先端は、平面視で前記第1縁部と略一致していることが好ましい(請求項2)。カップの開口を塞ぐようにカバー本体が開口の上方に張り出していないので、基板保持部に対する基板の搬送を、開口を通じて好適に行うことができる。
【0010】
また、本発明において、前記カバー本体の先端は、平面視で前記第1縁部より前記カップの中央側に張り出していることが好ましい(請求項3)。カバー本体は処理液をより好適に受け止めることができる。
【0011】
また、本発明において、前記カバー本体は、受け止めた処理液を前記カップの上部の外面に案内することが好ましい(請求項4)。カバー本体は受け止めた処理液を開口を通じてカップ内に戻さないので、基板の処理品質が劣化することを防止できる。
【0012】
また、本発明において、前記カバー本体は、略水平な板状の天板部と、前記天板部から下方に延びている垂れ壁部と、を備えていることが好ましい(請求項5)。カバー本体は垂れ壁部を備えているので、受け止めた処理液を好適に下方に案内することができる。
【0013】
また、本発明において、前記垂れ壁部は、前記開口の外側に配置されていることが好ましい(請求項6)。カバー本体は、受け止めた処理液をカップの上部の外面に好適に案内することができる。
【0014】
また、本発明において、前記カップの上部には、前記開口がその上端に形成された側壁部と、前記側壁部の周囲に設けられ、前記側壁部との間で処理液を回収可能な処理液溜まり用空間を形成する外壁部と、を備え、前記カバー本体で受け止められた処理液を、前記処理液溜まり用空間で回収することが好ましい(請求項7)。この構成によれば、カバー本体によって受け止められた処理液は処理液溜まり用空間で回収されるので、処理液がカップ外に漏れることを好適に防止できる。また、カバー本体によって受け止められた処理液が開口を通じてカップの内部に戻される場合に比べて、基板の処理品質が劣化することを防止できる。
【0015】
また、本発明において、前記外壁部に支持されて前記カバー本体を保持するブラケット部を備えていることが好ましい(請求項8)。ブラケット部によってカバー本体をカップに連結することで、カバー本体を適切な位置に容易に設置できる。また、ブラケット部は外壁部に支持されているので、ブラケット部を側壁部に支持する場合に比べて、ブラケット部に処理液が付着することを防止することができる。
【0016】
また、本発明において、前記ブラケット部は、前記外壁部の内外面と当接可能な1対の脚部を備え、前記ブラケット部を下降させて前記一対の脚部の間に前記外壁部を差し込むことで前記ブラケット部を前記カップに連結可能であり、かつ、前記ブラケット部を上昇させて前記一対の脚部の間から外壁部を抜くことで前記ブラケット部を前記カップから離脱可能であることが好ましい(請求項9)。簡易な構造でカップに着脱可能なブラケット部を構成することができる。これにより、カバー本体をカップに容易に装着したり、カップから容易に取り外すことができる。
【0017】
また、本発明において、前記側壁部は前記開口にむかって内向きに傾斜しており、前記外壁部は略垂直であり、前記側壁部の下部と前記外壁部の下部とが連続しているとともに、前記側壁部の下部、及び、前記外壁部の下部の少なくともいずれか一方には、前記カップの内部に処理液を導くための貫通孔が形成されていることが好ましい(請求項10)。側壁部と外壁部との間には、断面視で略三角形を上下反転させた形状の空間が形成され、処理液を好適に回収することができる。また、その空間の底部に貫通孔が配置されているので、回収した処理液をスムーズにカップの内部に導くことができる。
【0018】
また、本発明において、基板に処理液を供給するノズル、及び、基板に接触して基板を洗浄する洗浄ブラシの少なくともいずれかを備えた処理具と、前記処理具を基板の上方とカップの外側との間で移動させる際、前記処理具を前記第1縁部の上方を通過させる移動機構と、を備えていることが好ましい(請求項11)。第2縁部の上方を通過する経路で処理具を移動する場合に比べて、第1縁部の上方を通過する経路で処理具を移動する場合の方が、処理具の高さ位置を比較的に低く抑えることができる。よって、基板処理装置の全体の高さ寸法を低く抑えることができる。
【0019】
また、請求項12に記載の発明は、上部に開口を有する略筒形状を呈して基板の周囲を囲むカップであって、前記開口の縁部が、高さ位置の比較的低い第1縁部と高さ位置の比較的高い第2縁部とを含んで形成されているカップに付設するためのカバー部材であって、前記第2縁部の高さ位置より低い範囲で前記第1縁部の上方を覆うカバー本体と、前記カップに支持されて、前記カバー本体を保持するブラケット部と、を備えているカバー部材である。
【0020】
[作用・効果]請求項12に記載の発明によれば、カバー部材は第1縁部の上方を覆うカバー本体を備えているので、処理液が第1縁部の上方からカップの外側に漏れることを好適に防止することができる。また、カバー本体は第2縁部より低い範囲で覆っているので、カバー本体の上端は依然として第2縁部より低い。さらに、ブラケット部を介してカバー本体をカップに連結するので、カバー本体を適切な位置に容易に設置できる。
【0021】
また、本発明において、前記カバー本体の先端は、平面視で前記第1縁部と略一致していることが好ましい(請求項13)。平面視においてカバー本体が開口に張り出していないので、開口を通じた基板搬送や、開口の上方から処理液を供給するなどの基板処理を妨げることがない。
【0022】
本発明において、前記カバー本体の先端は、平面視で前記第1縁部より前記カップの中央側に張り出していることが好ましい(請求項14)。カバー本体は処理液をより効果的に受け止めることができる。
【0023】
また、本発明において、前記カバー本体は、前記カバー本体で受け止めた処理液を、前記カップの外面に案内することが好ましい(請求項15)。カバー本体は受け止めた処理液を開口を通じてカップ内に戻さないので、基板の処理品質が劣化することを防止できる。
【0024】
また、本発明において、前記カバー本体は、略水平な板状の天板部と、前記天板部から下方に延びている垂れ壁部と、を備えていることが好ましい(請求項16)。カバー本体は垂れ壁部を備えているので、受け止めた処理液を好適に下方に案内することができる。
【0025】
また、本発明において、前記垂れ壁部は平面視で前記開口の外側に配置されていることが好ましい(請求項17)。カバー本体は、受け止めた処理液をカップの外面に好適に案内することができる。
【0026】
また、本発明において、前記ブラケット部は前記カップに着脱自在であることが好ましい(請求項18)。カバー部材をカップに容易に装着したり、カップから容易に取り外すことができる。
【0027】
なお、本明細書は、次のような基板処理装置およびカバー部材に係る発明も開示している。
【0028】
(1)請求項1から請求項11のいずれかに記載の基板処理装置において、前記カバー本体は、前記第1縁部に対応する範囲のみに設けられている基板処理装置。
【0029】
前記(1)に記載の発明によれば、カバー本体が不要に大きくなることがない。
【0030】
(2)請求項1から請求項11のいずれかに記載の基板処理装置において、前記基板保持部は、基板を回転可能である基板処理装置。
【0031】
前記(2)に記載の発明によれば、回転している基板に行う処理は処理液の飛散量が多いが、本基板処理装置によれば、このような処理を好適に行うことができる。なお、処理液の飛散量が多い処理としては、基板を回転させつつ処理液を供給する処理や、基板を回転させることで基板上の処理液を振り切る処理などが例示される。
【0032】
(3)請求項1から請求項11のいずれかに記載の基板処理装置において、前記カップの上部の内面は、前記開口に向かって内向きに傾斜している基板処理装置。
【0033】
前記(3)に記載の発明によれば、カップは飛散する処理液を好適に受け止めることができる。
【0034】
(4)請求項1から請求項11のいずれかに記載の基板処理装置において、前記カップの上部の外面は、前記開口に向かって内向きに傾斜している基板処理装置。
【0035】
前記(4)に記載の発明によれば、カバー本体によって、カップの上部の外面に案内された処理液を容易に回収することができる。
【0036】
(5)請求項1から請求項11のいずれかに記載の基板処理装置において、前記第1縁部は、互いに分離した複数箇所に配置されており、前記カバー本体は、第1縁部ごとに別個に設けられている基板処理装置。
【0037】
前記(5)に記載の発明によれば、第1縁部を必要な位置に必要な広さだけ配置することができる。
【0038】
(6)請求項8または請求項9に記載の基板処理装置において、前記ブラケット部は、前記カバー本体の両側を保持している基板処理装置。
【0039】
前記(6)に記載の発明によれば、カバー本体を確実に保持することができる。
【0040】
(7)請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板処理装置において、前記カバー本体は、受け止めた処理液をカップの内部へ案内する基板処理装置。
【0041】
前記(7)に記載の発明によれば、処理液がカップ外に漏れることを確実に防止できる。
【0042】
(8)請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板処理装置において、前記カバー本体は、略水平な板状の天板部と、前記天板部から下方に延びている垂れ壁部とを備え、前記垂れ壁部は前記カップの内部に進入している基板処理装置。
【0043】
前記(8)に記載の発明によれば、カバー本体は、受け止めた処理液をカップの内部に好適に案内することができる。
【0044】
(9)請求項8に記載の基板処理装置において、前記ブラケット部は、前記カップに固定されている基板処理装置。
【0045】
前記(9)に記載の発明によれば、カバー本体を堅牢にカップに装着することができる。
【0046】
(10)請求項1から請求項11のいずれかに記載の基板処理装置において、前記カップは略円筒形状を呈する基板処理装置。
【0047】
(11)請求項12から請求項18のいずれかに記載のカバー部材において、前記カバー本体は、前記カップの外側から覆うカバー部材。
【0048】
前記(11)に記載の発明によれば、カバー部材をカップの内側に装着しなくて済み、基板の処理品質の劣化を防ぐことができる。
【0049】
(12)請求項12から請求項18のいずれかに記載のカバー部材において、前記第1縁部は、基板の上方と前記カップの外側との間で移動する処理具が通過する範囲に形成されているカバー部材。
【0050】
前記(12)に記載の発明によれば、カップおよび処理具にカバー部材を加えて構成される装置全体の大きさが、大きくなることを防止することができる。
【0051】
(13)請求項12から請求項14のいずれかに記載のカバー部材において、前記カバー本体は、前記カバー本体で受け止めた処理液を、前記カップの内部へ案内するカバー部材。
【0052】
前記(13)に記載の発明によれば、処理液がカップの外側に漏れることを確実に防止できる。
【0053】
(14)請求項12から請求項14のいずれかに記載のカバー部材において、前記カバー本体は、略水平な板状の天板部と、前記天板部から下方に延びている垂れ壁部と、を備え、前記垂れ壁部は、平面視で前記開口の内側に配置されているカバー部材。
【0054】
前記(14)に記載の発明によれば、カバー本体は、受け止めた処理液をカップの内部に好適に案内することができる。
【発明の効果】
【0055】
この発明に係る基板処理装置によれば、第1縁部の上方を覆うカバー本体によって、処理液が第1縁部の上方からカップの外側に漏れることを好適に防止することができる。また、カバー本体は第2縁部より低い範囲で覆っているので、カバー本体の上端は、依然として第2縁部より低い。このため、カバー本体を設けても、基板処理装置の高さが増大することを抑制することができる。
【0056】
また、この発明に係るカバー部材によれば、カバー部材は第1縁部の上方を覆うカバー本体を備えているので、処理液が第1縁部の上方からカップの外側に漏れることを好適に防止することができる。また、カバー本体は第2縁部より低い範囲で覆っているので、カバー本体の上端は依然として第2縁部より低い。さらに、ブラケット部を介してカバー本体をカップに連結するので、カバー本体を適切な位置に容易に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例に係る基板処理装置の概略構成図である。
【図2】実施例に係る基板処理装置の要部の斜視図である。
【図3】実施例に係る基板処理装置の要部の分解斜視図である。
【図4】実施例に係る基板処理装置の平面図である。
【図5】図4におけるa−a矢視の断面図である。
【図6】処理液の経路を模式的に示した、図4におけるb−b矢視の断面図である。
【図7】処理液の経路を模式的に示した、図4におけるa−a矢視の断面図である。
【図8】変形実施例に係る基板処理装置の要部断面図である。
【図9】変形実施例に係る基板処理装置の要部断面図である。
【図10】変形実施例に係る基板処理装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
図1は実施例に係る基板処理装置の概略構成図であり、図2は基板処理装置の要部の斜視図であり、図3は基板処理装置の要部の分解斜視図であり、図4は基板処理装置の平面図であり、図5は図4におけるa−a矢視の断面図である。
【0059】
本実施例の基板処理装置1は、基板Wに洗浄処理を行う装置である。基板処理装置1は、基板保持部11と、カップ12と、カバー部材13と、洗浄ブラシ14と、移動機構15と、ノズル16と、制御部17と、を備えている。
【0060】
図1に示すように、基板保持部11は基板Wを回転可能に保持する。基板保持部11は、スピンチャック21とモータ23とを備えている。スピンチャック21は、基板Wの下面中央部を吸着して、基板Wを水平姿勢で保持する。スピンチャック21の下部中央にはモータ23の出力軸23aの先端が連結されている。モータ23の出力軸23aが回転駆動することで、スピンチャック21と基板Wは略鉛直軸を中心として回転する。
【0061】
なお、基板保持部11の構成は、上記の例に限られない。たとえば、基板Wより若干大きい円盤状のベース部材であって、その下面にモータ23の出力軸23aが連結されているベース部材と、このベース部材の上面周縁部に適当な間隔をあけて設けられた複数個(例えば6個)の支持ピンと、を備え、各支持ピンが基板Wを水平姿勢で当接保持するように変更してもよい。
【0062】
図1及び図2に示すように、カップ12は、上部に開口Aを有する略筒形状を呈して基板保持部11の周囲を囲む。カップ12は、互いに別体の上側カップ31、及び、下側カップ32を備えており、上側カップ31が下側カップ32の上方に積層されている。
【0063】
上側カップ31の下部には垂直壁部33が形成されている。垂直壁部33の内面33i及び外面33oは垂直である。上側カップ31の上部には傾斜壁部34と外壁部35が形成されている。傾斜壁部34と外壁部35の下端は、それぞれ垂直壁部33の上端と連続している。これら垂直壁部33、傾斜壁部34、及び、外壁部35は一体に形成されている。
【0064】
傾斜壁部34は内向き斜め上方に延びている。傾斜壁部34の内面34iは垂直壁部33の内面33iと連続している。傾斜壁部34の上端には上述の開口Aが形成されている。すなわち、傾斜壁部34の上端は上述の開口Aの縁部Eを成している。傾斜壁部34の下部には、その外面34oから内面34iにかけて貫通する貫通孔Bが形成されている。
【0065】
図2に明示するように、傾斜壁部34の上部には切り欠きKが形成されている。この切り欠きKにより、開口Aの縁部Eの一部は、部分的に低くなっている。開口Aの縁部Eのうち、高さ位置が比較的低い部分を第1縁部ELと呼び、高さ位置が比較的高い部分を第2縁部EHと呼ぶ。本実施例では、第1縁部ELの高さ位置は、基板保持部11に保持された基板Wの高さ位置よりも高く設定されている。
【0066】
図4に明示するように、切り欠きKは1箇所であり、切り欠きKの幅(円弧の長さ)は、周方向に約数十度にわたっている。また、切り欠きKの深さ(平面視でカップ12の半径方向に対する距離)は、傾斜壁部34の約半分程度である。なお、切り欠きKの配置、及び、大きさは適宜に選択設計される事項である。例えば、洗浄ブラシ14が通過する位置に切り欠きKを形成することが望ましい。傾斜壁部34は、この発明における側壁部に相当する。
【0067】
図1に明示するように、外壁部35は、垂直壁部33から鉛直上方に延びており、外壁部35の外面35oは垂直壁部33の外面33oと面一に連続している。外壁部35の内面35iは、傾斜壁部34の外面34oと連続している。外壁部35の上端の高さ位置は、第2縁部EHの高さ位置よりも低い。本実施例では、外壁部35の上端の高さ位置は、第1縁部ELの高さ位置と略同じである。外壁部35と傾斜壁部34との間には、平面視で円環形状に連なり、断面視で略楔形(略三角形を上下反転させた形状)を呈し、上方が開放されている処理液溜まり用空間Cが形成されている。
【0068】
下側カップ32は、上側カップ31の下部に連結されている。下側カップ32は、出力軸23aの周囲を包み込む底部を有している。
【0069】
図2に示すように、カバー部材13は、カバー本体41とブラケット部42とを備えている。カバー本体41は、カップ12の外側に設けられている。カバー本体41は、第2縁部EHより低い範囲で、第1縁部ELの上方を覆う(図5参照)。
【0070】
図3を参照する。カバー本体41は、天板部45と垂れ壁部46とを備えている。図5に示すように、天板部45は第1縁部ELより高く、第2縁部EHより低い高さ位置で、略水平に配置される板状物である。
【0071】
図3乃至図5を参照する。天板部45は平らな板状物であり(図5参照)、平面視で略円弧形状を呈している(図4参照)。図4に示すように、天板部45の周方向の長さは第1縁部ELと略同じ長さを有している。天板部45の内側(先端側)の端面45aは、平面視で第1縁部ELと略一致している。この端面45aは、カバー本体41の先端に相当する。
【0072】
図3に示すように、垂れ壁部46は円弧形状に湾曲した板状物である。また、図5に示すように、垂れ壁部46は、天板部45の外側(基端側)の部位から略鉛直下方に延びている。垂れ壁部46は開口Aの外側、すなわち、傾斜壁部34の上方に配置されている。垂れ壁部46の下端の高さ位置は、第1縁部ELより低い。本実施例では、これら天板部45、及び、垂れ壁部46が一体に形成されている。
【0073】
このように構成されるカバー本体41は、カップ12内から第1縁部ELを越えて飛散する処理液を受け止める。また、カバー本体41は、受け止めた処理液を外面34o上に落下させる。このようにカバー本体41によって外面34oに案内された処理液は、上述した処理液溜まり用空間Cに回収される。なお、外面34oは、この発明における「カップの上部の外面」に相当する。
【0074】
ブラケット部42はカバー本体41を保持する。ブラケット部42はカップ12に支持されている。ブラケット部42は、カバー保持部47とアーム部48とを備えている。カバー保持部47は、その先端部47aの一側面で、カバー本体41の一側端を保持する。アーム部48は、略L字形状に屈曲した板状物であり、互いに略直角な関係にある第1片48aと第2片48bを有する。第1辺は、カバー保持部47の後端部47bの上面47cに取り付けられている。第2片48bは、カバー保持部47の後端面47dから離間して位置で、当該後端面47dと略平行に後端部47bの下部付近まで延びている。第2片48bと後端部47bとの間の離隔距離dは、外壁部35の肉厚と略同等程度である。
【0075】
そして、後端部47bと第2片48bとの間に外壁部35の上端を対向させて、ブラケット部42を下方向に押し込む。これにより、後端部47bとアーム部48との間に外壁部35が差し込まれ、ブラケット部42は外壁部35に固定される。通常時では、カバー部材13は上述のようにカップ12に支持された状態である。なお、外壁部35に取り付けられたブラケット部42を上方に引き上げれば、ブラケット部42を外壁部35から離脱させることができる。後端部47bと第2片48bとは、この発明における一対の脚部に相当する。
【0076】
再び図1を参照する。洗浄ブラシ14は、基板Wに接触して基板Wを洗浄する。洗浄ブラシ14は、ナイロンブラシやスポンジ等公知のものが適宜に選択される。
【0077】
図4を参照する。移動機構15は、洗浄ブラシ14を基板Wの上方とカップ12の外側との間で移動させる。また、移動機構15は、洗浄ブラシ14を上下方向に昇降させる。移動機構15は、ガイドレール51と、移動台53と、昇降柱部55と、保持アーム57と、を備えている。
【0078】
ガイドレール51は、平面視でカップ12の外側に敷設され、移動台53を水平な1軸方向に案内する。移動台53は、ガイドレール51上を前進移動、及び、後退移動する。移動台53には昇降柱部55の下部が固定されている。昇降柱部55は、シリンダー等で構成されており、その上端が移動台53に対して上下動可能に構成されている。昇降柱部55の上部には保持アーム57が連結されている。保持アーム57は、洗浄ブラシ14を保持する。この保持アーム57は、洗浄ブラシ14を回転させる図示省略の回転駆動部を備えており、洗浄ブラシ14をその縦軸心の回りに回転可能に保持する。
【0079】
そして、移動台53が移動することで、洗浄ブラシ14は平面視でカップ12の内側と外側との間にわたって移動する。また、昇降柱部55が伸縮することで、洗浄ブラシ14は基板Wを処理する高さ位置と、基板Wの上方とカップ12の外側との間で搬送される高さ位置とに昇降する。前者の高さ位置は、洗浄ブラシ14の下端が基板Wの上面と当接可能な洗浄ブラシの高さであり、以下では単に「処理高さ」という。また、後者の高さ位置は、洗浄ブラシ14の下端がカバー本体41の上端より高く、かつ、第2縁部EHより低くなるような洗浄ブラシ14の高さであり、以下では単に「搬送高さ」という。図1では、処理高さにある洗浄ブラシ14を実線で明示している。また、図5では搬送高さに有る洗浄ブラシ14を実線で明示している。
【0080】
図1及び図4を参照する。ノズル16は、カップ12の上方に固定的に設置されている。ノズル16の位置としては、開口Aを通じた基板Wの搬入、搬出動作と干渉しないように、開口Aの上方から外れた位置が好ましい。
【0081】
ノズル16には、配管61の一端が連通接続されている。配管61の他端は処理液供給源63に連通接続されている。処理液供給源63は処理液を供給する。処理液としては純水が例示される。処理液配管61には処理液の流量を調節可能な流量調節弁65が設けられている。
【0082】
制御部17は、上述した各構成の動作を統括的に制御する。具体的には、モータ23の回転、移動台53の水平移動、昇降柱部55の伸縮、回転駆動部(図示省略)の駆動、及び、流量調節弁65の弁体の開度を制御する。制御部17はこれらの制御に関して予め設定される処理レシピ(処理プログラム)など各種情報を記憶する固定ディスク等の記憶媒体と、この処理レシピに基づいて各種処理を実行する中央演算処理装置(CPU)や、演算処理の作業領域となるRAM(Random-Access Memory)等によって実現されている。
【0083】
次に、実施例に係る基板処理装置1の動作について説明する。ここでは、基板Wが既にスピンチャック21に吸着保持されており、洗浄ブラシ14はカップ12の外側に待機しているものとして説明する。
【0084】
図5を参照する。制御部17は、昇降柱部55の制御により、洗浄ブラシ14を搬送高さに調整する。続いて、制御部17は、移動台53を前進させる。これにより、洗浄ブラシ14はカバー本体41の上方を通過して、カップ12の外側から開口Aの上方に移動する。
【0085】
続いて、制御部17は、昇降柱部55を制御して洗浄ブラシ14を下降させ、洗浄ブラシを処理高さに調整する(図5では処理高さにある洗浄ブラシ14を点線で示している)。
【0086】
制御部17が洗浄ブラシ14を処理高さに下降させる際、制御部17はさらにモータ23を駆動して基板Wを回転させるとともに、流量調節弁65を制御してノズル16から処理液を吐出させる。また、制御部17は、図示省略の回転駆動部を制御して、洗浄ブラシ14を回転させる。これにより、基板W上に供給された処理液は、遠心力を受けて基板Wの全面に広がり、基板Wの周縁から基板W外へ捨てられる。洗浄ブラシ14は回転しながら基板Wに接触して基板Wを洗浄する。この洗浄処理においては、制御部17は移動台53を制御して、基板W上の任意の位置に洗浄ブラシ14を移動させてもよい。
【0087】
図6、図7を参照する。図6、図7は、それぞれ処理液の経路を模式的に示した図であり、図6は図4におけるb−b矢視の断面図、図7は図4におけるa−a矢視の断面図である。図6、図7では、処理高さにある洗浄ブラシ14を示す。
【0088】
図示するように、洗浄処理では基板Wから処理液が飛散する。飛散した処理液の大部分は、上側カップ31の内壁、具体的には、傾斜壁部34の内面34iおよび垂直壁部33の内面33iに受け止められる。傾斜壁部34および垂直壁部33は、受け止めた処理液を下方へ案内する。下方に案内された処理液は下側カップ32によって回収される。
【0089】
また、図7に示すように、カバー本体41は、第1縁部ELの上方を越えて飛散した処理液を受け止める。カバー本体41は、受け止めた処理液を傾斜壁部34の外面34oに案内する。外面34oに案内された処理液は、処理液溜まり用空間C(図1参照)に回収される。処理液溜まり用空間Cに回収された処理液は、貫通孔Bを通じて、カップ12の内部に導かれる。カップ12の内部に導かれた処理液は、内面33iを伝って下方に流下し、下側カップ32によって回収される。
【0090】
上述の洗浄処理を開始して所定の時間が経過すると、制御部17は、回転駆動部を制御して洗浄ブラシ14の回転を停止させ、昇降柱部55を制御して洗浄ブラシ14を再び搬送高さまで上昇させる。引き続いて、制御部17は移動台53を後退させる。これにより、洗浄ブラシ14はカバー本体41の上方を通過してカップ12の外側へ移動する(図5参照)。また、制御部17は、流量調節弁65を制御して処理液の供給を停止させる。さらに、制御部17は、モータ23の回転数を増大させて、基板Wを高速で回転させる。これにより、基板W上の処理液を振り切り、基板Wを乾燥させる。
【0091】
このような乾燥処理においても、図6、図7に模式的に示す処理液の経路のように、飛散した処理液が傾斜壁部34、垂直壁部33、及び、カバー本体41によって受け止められる。
【0092】
所定の乾燥処理が終了すると、制御部17はモータ23を制御して基板Wを静止させる。続いて、図示省略の搬送機構によって基板Wが開口Aを通じてカップ12の内部から搬出される。
【0093】
このように、実施例に係る基板処理装置1によれば、第1縁部ELの上方を覆うカバー本体41を備えているので、処理液が第1縁部ELの上方からカップ12の外側に漏れることを好適に防止することができる。なおかつ、カバー本体41の上端は第2縁部EHより低いので、カバー本体41の上方を洗浄ブラシ14が比較的低い高さ位置で通過できる。これにより、洗浄ブラシ14の高さ方向の可動域を抑制し、基板処理装置1全体の高さ寸法を低減することができる。
【0094】
また、カバー本体41の先端である端面45aが平面視で第1縁部ELと略一致しているので、カバー本体41は開口Aを塞ぐように張り出していない。したがって、基板保持部11に対する基板Wの搬送を好適に行うことができる。また、カバー本体41は、第1縁部ELに対応する範囲にのみ設けられているので、カバー本体41が不要に大きくなることがない。
【0095】
また、カバー本体41は処理液を傾斜壁部34の外面34oに案内するので、カバー本体41に受け止められた処理液は開口Aを通じてカップ12の内部に戻されることはない。このため、基板Wの処理品質が劣化することを防止できる。
【0096】
また、カバー本体41は天板部45と垂れ壁部46を備えているので、処理液を的確に下方に案内できる。また、垂れ壁部46は平面視で開口Aの外側に配置されているので、カバー本体41に受け止められた処理液を外面34oに確実に案内することができる。
【0097】
カバー本体41を保持するブラケット部42は外壁部35に取り付けられているので、カップ12(第1縁部EL)に対応した適切な位置にカバー本体41を容易に配置することができる。
【0098】
また、ブラケット部42はカップ12に対して着脱自在であるので、カバー部材13をカップ12に装着した状態と、カップ12からカバー部材13を取り外した状態とを簡易に切り替えることができる。
【0099】
また、ブラケット部42は、外壁部35を狭持可能な後端部47bと第2片48bとを備えているので、ブラケット部42の着脱を、ブラケット部42を上下方向に抜き差しするのみで行うことができる。また、ブラケット部42の構造を簡略化することができる。
【0100】
また、カップ12はその上部に外壁部35を有しており、外壁部35は傾斜壁部34との間で処理液溜まり空間Cを形成している。このような構成により、カバー本体41で受け止められた処理液を処理液溜まり用空間Cで回収することができる。この結果、処理液がカップ12外に漏れることを確実に防止できる。また、処理液溜まり用空間Cは、カップ12の内部ではなくカップ12の上部外面に位置しているので、基板Wの処理に影響を与えることなく処理液を回収できる。
【0101】
また、傾斜壁部34の外面34oは内向きに傾斜しているので、カバー本体41によって案内された処理液を、処理液溜まり用空間Cの下方に導くことができる。また、傾斜壁部34の下部には貫通孔Bが形成されているので、回収した処理液を内面34iからカップ12の内部に導入することができる。導入された処理液は内面34i、内面33iを伝って流下するので、基板Wの処理に影響を与えることがない。
【0102】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0103】
(1)上述した実施例では、カバー本体41の天板部45と垂れ壁部46とのなす角度は略90度であったが、これに限られない。たとえば、天板部45と垂れ壁部46とのなす角度は略90度より小さい角度、または、略90度より大きい角度に変更してもよい。
【0104】
(2)上述した実施例では、カバー本体は断面視で略「L」字形状を呈し、処理液を受け止めるカバー本体41の内面は互いに略直交する2つの平坦面で構成されていたが、これに限られない。図8を参照する。図8は変形実施例に係る基板処理装置の要部断面図である。図示するように、処理液を受け止める内面が湾曲しているカバー本体72に変更してもよい。この変形実施例では、カバー本体72は断面視で円弧形状を呈している。なお、カバー本体72は、変形実施例におけるカバー部材71を構成している。
【0105】
(3)上述した実施例では、カバー本体41の先端である端面45aは平面視で第1縁部ELと略一致していたが、これに限られない。図8に示すように、カバー本体72の先端72aを、平面視で第1縁部ELよりカップ12の中央側に張り出すように変更してもよい。カバー本体72の先端72aが開口Aを覆うように差し出ているので、処理液を回収できる範囲を効果的に広げることができる。
【0106】
(4)上述した実施例では、ブラケット部42はカップ12に着脱自在であったが、これに限られない。すなわち、カップ12に固定的に取り付けられるブラケット部に変更してもよい。たとえば、図8に示すように、カップ12と一体に形成されたブラケット部73に変更してもよい。あるいは、ブラケット部42をカップ12にボルトなどの締結具で連結するように変更してもよい。
【0107】
(5)上述した実施例では、カバー本体41は受け止めた処理液を傾斜壁部34の外面34oに案内するが、これに限られない。たとえば、受け止めた処理液を直接、すなわち、開口Aを通じてカップ12の内部に案内するように変更してもよい。図9を参照する。図9は、変形実施例に係る基板処理装置の要部断面図である。図示するように、カバー本体75は、第1縁部ELより内側(カップ12の中央側)の位置で略鉛直方向に延びている垂れ壁部76を備えている。垂れ壁部76の上端は第1縁部ELより高く、垂れ壁部76は第1縁部ELの上方に飛散する処理液を受け止める。また、垂れ壁部76の下端は第1縁部ELより低く、垂れ壁部76は受け止められた処理液をカップ12の内部に案内する。なお、垂れ壁部76は第1縁部ELに沿って湾曲している。
【0108】
(6)上述した実施例では、カバー本体41は天板部45と垂れ壁部46とを備えて構成されていたが、これに限られない。図9に示すカバー本体75のように天板部を省略し、垂れ壁部76のみで構成してもよい。
【0109】
(7)上述した実施例では、ブラケット部42は外壁部35に取り付けられていたが、これに限られない。図9に示すように、傾斜壁部34の外面34oに載置されるブラケット部77に変更してもよい。なお、これらカバー本体75とブラケット部77とによってカバー部材78が構成される。
【0110】
(8)上述した実施例では、第1縁部ELが一箇所に形成されていたが、これに限られない。図10を参照する。図10は変形実施例に係る基板処理装置の平面図である。図示するように、複数の第1縁部ELを互いに分離して形成してもよい。この場合では、第1縁部ELごとに別個のカバー部材81を設置するように構成してもよい。なお、図10に示すカバー部材81はカバー本体82を備え、カバー部材81の先端は、カバー本体82の内側(先端側)の端面82aである。そして、このカバー部材81の先端82aは、平面視で第1縁部ELよりカップ12の中央側に張り出している。
【0111】
(9)上述した実施例では、ブラケット部42はカバー本体41の両側にそれぞれ設けられていたが、これに限られない。ブラケット部42がカバー本体41を保持する位置は適宜に設計、選択される。たとえば、図10に示すように、カバー部材81は、カバー本体82の中央部で保持するブラケット部83を備えるように変更してもよい。
【0112】
(10)上述した実施例では、カップ12の形状、特に垂直壁部33、傾斜壁部34、及び、外壁部35について詳細に説明したが、これに限られない。カップ12の形状は適宜に選択することができる。たとえば、図8に示すように、垂直壁部33より外側に張り出した位置に外壁部74が配置されていてもよい。あるいは、図9に示すように、上側カップ31は、外壁部35を省略して、垂直壁部33と傾斜壁部34とによって構成してもよい。
【0113】
(11)上述した実施例では、傾斜壁部34に貫通孔Bが形成されていたが、図8、図9に示す変形実施例のように、貫通孔Bを省略してもよい。あるいは、外壁部35に貫通孔を形成するように変更してもよい。
【0114】
(12)上述した実施例の動作説明では、カバー部材13はカップ12に取り付けられたままであったが、適宜に着脱、交換してもよい。たとえば、形状、寸法、または、第1縁部ELに対する端面45aの位置が異なる複数のカバー部材13を準備し、カップ12に装着するカバー部材13を取り換えることで、カバー部材13の上端の高さ位置を調整してもよい。たとえば、洗浄ブラシ14を使用しない処理を基板Wに行うときは、その上端が比較的高いカバー部材13を選択し、これをカップ12に装着する。これにより、第1縁部ELの上方に飛散する処理液をより確実に受け止めることができる。
【0115】
(13)上述した実施例では、移動機構15は洗浄ブラシ14を移動させたが、移動機構15が移動させる処理具は洗浄ブラシ14に限られない。たとえば、基板Wに処理液を供給するノズルを移動させるように移動機構を構成してもよい。図10には、3つの吐出口84aを有するノズル84を移動する移動機構85を例示する。あるいは、洗浄ブラシ14及びノズルの双方を移動させる移動機構を構成してもよい。この場合において、移動機構は、洗浄ブラシ14とノズルとを一体に移動可能であってもよいし、洗浄ブラシ14とノズルとを互いに独立して移動可能であってもよい。
【0116】
(14)上述した実施例では、移動機構15は、洗浄ブラシ14を水平方向及び上下方向に移動可能に構成されていたが、これに限られない。例えば、処理具がノズルの場合では、処理高さと搬送高さとが同じでよいときもある。このようなノズルに対しては、水平方向のみに当該ノズルを移動する移動機構を適用してもよい。
【0117】
たとえば、図10に示す移動機構85は水平方向のみにノズル84を移動する。具体的には、移動機構85は固定台87と、固定台87に揺動可能に取り付けられた保持アーム88とを備えている。保持アーム88は、その先端でノズル84を保持している。そして、保持アーム88が固定台87に対して回転することで、ノズル84は略水平面内で旋回移動する。移動機構85によるノズル84の移動は、この旋回移動のみであり、移動機構85はノズル84を昇降移動できない。
【0118】
(15)上述した実施例では、基板保持部11は基板Wを回転可能に保持するが、これに限られない。回転不能な基板保持部に変更してもよい。
【0119】
(16)上述した実施例では、処理液として純水を例示したがこれに限られない。処理液としては、各種のリンス液、または、各種の薬液を適宜に選択してもよい。
【0120】
(17)上述した各実施例および各変形実施例の各構成を適宜に組み合わせるように変更してもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 …基板処理装置
11 …基板保持部
12 …カップ
13、71、78、81 …カバー部材
14 …洗浄ブラシ
15、85 …移動機構
16、84 …ノズル
17 …制御部
34 …傾斜壁部
35、74 …外壁部
41、72、75、82 …カバー本体
42、73、77、83 …ブラケット部
45 …天板部
45a …端面
46、76 …垂れ壁部
72a、82a …先端
W …基板
A …開口
B …貫通孔
C …処理液溜まり用空間
E …縁部
EL …第1縁部
EH …第2縁部
K …切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
基板を保持する基板保持部と、
上部に開口を有する略筒形状を呈して前記基板保持部の周囲を囲むカップと、
前記カップの外側に設けられるカバー本体と、
を備え、
前記カップの上部に形成された切り欠きによって、前記開口の縁部は、高さ位置が比較的低い第1縁部と高さ位置が比較的高い第2縁部とを有し、
前記カバー本体は、前記第2縁部の高さ位置より低い範囲で前記第1縁部の上方を覆う基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記カバー本体の先端は、平面視で前記第1縁部と略一致している基板処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記カバー本体の先端は、平面視で前記第1縁部より前記カップの中央側に張り出している基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記カバー本体は、受け止めた処理液を前記カップの上部の外面に案内する基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記カバー本体は、
略水平な板状の天板部と、
前記天板部から下方に延びている垂れ壁部と、
を備えている基板処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理装置において、
前記垂れ壁部は、前記開口の外側に配置されている基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記カップの上部には、前記開口がその上端に形成された側壁部と、
前記側壁部の周囲に設けられ、前記側壁部との間で処理液を回収可能な処理液溜まり用空間を形成する外壁部と、
を備え、
前記カバー本体で受け止められた処理液を、前記処理液溜まり用空間で回収する基板処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理装置において、
前記外壁部に支持されて前記カバー本体を保持するブラケット部を備えている基板処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理装置において、
前記ブラケット部は、前記外壁部の内外面と当接可能な1対の脚部を備え、前記ブラケット部を下降させて前記一対の脚部の間に前記外壁部を差し込むことで前記ブラケット部を前記カップに連結可能であり、かつ、前記ブラケット部を上昇させて前記一対の脚部の間から外壁部を抜くことで前記ブラケット部を前記カップから離脱可能である基板処理装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記側壁部は前記開口にむかって内向きに傾斜しており、
前記外壁部は略垂直であり、
前記側壁部の下部と前記外壁部の下部とが連続しているとともに、
前記側壁部の下部、及び、前記外壁部の下部の少なくともいずれか一方には、前記カップの内部に処理液を導くための貫通孔が形成されている基板処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の基板処理装置において、
基板に処理液を供給するノズル、及び、基板に接触して基板を洗浄する洗浄ブラシの少なくともいずれかを備えた処理具と、
前記処理具を基板の上方とカップの外側との間で移動させる際、前記処理具を前記第1縁部の上方を通過させる移動機構と、
を備えている基板処理装置。
【請求項12】
上部に開口を有する略筒形状を呈して基板の周囲を囲むカップであって、前記開口の縁部が、高さ位置の比較的低い第1縁部と高さ位置の比較的高い第2縁部とを含んで形成されているカップに付設するためのカバー部材であって、
前記第2縁部の高さ位置より低い範囲で前記第1縁部の上方を覆うカバー本体と、
前記カップに支持されて、前記カバー本体を保持するブラケット部と、
を備えているカバー部材。
【請求項13】
請求項12に記載のカバー部材において、
前記カバー本体の先端は、平面視で前記第1縁部と略一致しているカバー部材。
【請求項14】
請求項12に記載のカバー部材において、
前記カバー本体の先端は、平面視で前記第1縁部より前記カップの中央側に張り出しているカバー部材。
【請求項15】
請求項12から請求項14のいずれかに記載のカバー部材において、
前記カバー本体は、前記カバー本体で受け止めた処理液を、前記カップの外面に案内するカバー部材。
【請求項16】
請求項12から請求項15のいずれかに記載のカバー部材において、
前記カバー本体は、
略水平な板状の天板部と、
前記天板部から下方に延びている垂れ壁部と、
を備えているカバー部材。
【請求項17】
請求項16に記載のカバー部材において、
前記垂れ壁部は平面視で前記開口の外側に配置されているカバー部材。
【請求項18】
請求項12から請求項17のいずれかに記載のカバー部材において、
前記ブラケット部は前記カップに着脱自在であるカバー部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−71405(P2011−71405A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222428(P2009−222428)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】