説明

基板処理装置および半導体装置の製造方法

コストアップを抑制しつつ良好な耐圧強度を発揮する耐圧構造体を提供する。ウエハWが配置される第一空間93と、ヒータ81、82が設置された第二空間94と、第一空間93と第二空間94とに仕切る仕切パネル95を備え、仕切パネル95は内部が中空の中空体96と、少なくとも第二空間94側の部分には固着しない状態で中空体96の中空部内に収容された耐圧支持体97とから構成され、中空体96の中空部は第一空間93の圧力よりも低圧に減圧されている。中空体96の第一空間93に接する上側壁96aにも上側壁96aを耐圧支持体97の上面に押接する力Fcが作用するので、中空体96は耐圧支持体97で補強され、仕切パネル95は所期の耐圧強度を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および半導体装置の製造方法に関し、特に、耐圧構造体の改良技術に係り、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造方法において、半導体素子を含む集積回路が作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に成膜やアニール、酸化膜成長および拡散等の各種の熱処理(thermal treatment)を施すのに利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
ICの製造方法において成膜やアニール、酸化膜成長および拡散等の各種の熱処理を施す基板処理装置は、真空容器を備えているのが一般的である。
従来のこの種の真空容器としては、壁面部材に平板形状のハニカム構造体の両面を一対の平板で挟んだ構造のハニカムパネルを使用した真空容器、がある。例えば、特許文献1参照。
【特許文献1】特開平10−74827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ハニカム構造体の両面を一対の平板で挟んだ構造のハニカムパネルにおいては、ハニカム構造体の両面に一対の平板を溶接等によって固着することが困難であるために、実用化にはコストアップを招くという問題点がある。
【0004】
本発明の目的は、コストアップを抑制しつつ良好な耐圧強度を発揮する耐圧構造体を備えた基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の手段に係る基板処理装置は、被処理基板が配置される第一の空間と、被処理基板を加熱するヒータが設置された第二の空間と、前記第一の空間と前記第二の空間とを仕切る仕切パネルとを備えており、前記仕切パネルは内部が中空の中空体と、少なくとも前記第二の空間側の部分には固着しない状態で、前記中空体の中空部内に収容された耐圧支持体とから構成されており、前記中空体の中空部内は前記第二の空間の圧力よりも低い圧力に減圧されていることを特徴とする。
【0006】
第二の手段に係る基板処理装置は、被処理基板を収容し減圧される処理室を形成した耐圧筐体を備えている基板処理装置であって、前記耐圧筐体の壁は、内部が中空の中空体と、少なくとも前記処理室と反対側の部分には固着しない状態で、前記中空体の中空部内に収容された耐圧支持体とから構成されており、前記中空体の中空部内は減圧されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第一の手段によれば、中空体と第二の空間との圧力差による力は中空体における第二の空間に接する側の壁面部材を耐圧支持体に押接させる方向に作用するために、少なくとも第二の空間に接する側の壁面部材は耐圧支持体に固着せずに済む。仕切パネルの製造に際して、中空体と耐圧支持体とを固着しないと、溶接等の加工はきわめて簡便になるために、製造コストを低減することができる。また、中空体の壁面部材を厚くせずに済むので、光の減衰および仕切パネル自体の熱蓄積を低減することができ、熱効率を向上させることができる。
仮に、耐圧支持体の中空体の第一の空間側の部分が固着されていない場合であって、中空体の中空部の圧力が第一の空間よりも高い場合であっても、第一の空間と中空体との間の圧力差は第一の空間と第二の空間との間の圧力差程には大きくならないので、中空体の壁面部材の厚さはそれ程大きく設定しなくても済む。したがって、光の減衰および仕切パネル自体の熱蓄積を低減することができるので、熱効率を向上させることができ、しかも、仕切パネルの強度を確保することができる。
【0008】
第二の手段によれば、処理室内外の圧力差による力は中空体における処理室側の壁面部材を耐圧支持体に押接させる方向に作用するために、少なくとも処理室と反対側の壁面部材は耐圧支持体に固着せずに済む。耐圧筐体の製造に際して、中空体と耐圧支持体とを固着しないと、溶接等の加工はきわめて簡便になるために、製造コストを低減することができる。また、中空体の壁面部材を厚くせずに済むので、光の減衰および仕切パネル自体の熱蓄積を低減することができ、熱効率を向上させることができる。
仮に、耐圧支持体の中空体の処理室側の部分が固着されていない場合であって、中空体の中空部の圧力が処理室よりも高い場合であっても、処理室と中空体の中空部との間の圧力差は中空体の中空部と処理室の外部空間との間の圧力差程には大きくならないので、中空体の壁面部材の厚さはそれ程大きく設定しなくても済む。したがって、光の減衰および仕切パネル自体の熱蓄積を低減することができるので、熱効率を向上させることができ、しかも、耐圧筐体の強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態であるマルチチャンバ型処理装置を示す一部切断平面図である。
【図2】RTP装置を示す側面断面図である。
【図3】RTP装置の仕切パネルを示す斜視図である。
【図4】中空体を示す一部切断斜視図である。
【図5】耐圧支持体を示す斜視図である。
【図6】仕切パネルの作用を示す各正面断面図であり、(a)は内部が減圧されていない場合を示しており、(b)は内部が減圧されている場合を示している。
【図7】二枚葉式熱処理装置を示す側面断面図である。
【図8】中空体を示しており、(a)は側面断面図、(b)は(a)のb−b線に沿う断面図である。
【図9】耐圧支持体を示す斜視図である。
【図10】プロセスチューブの作用を示す各正面断面図であり、(a)は内部が減圧されていない場合を示しており、(b)は内部が減圧されている場合を示している。
【符号の説明】
【0010】
W…ウエハ(基板)、P…ポッド(基板キャリア)、10…負圧移載室(基板移載室)、11…負圧移載室筐体、12…負圧移載装置(ウエハ移載装置)、13…エレベータ、20…搬入室(搬入用予備室)、21…搬入室筐体、22、23…搬入口、24…ゲートバルブ、25…搬入室用仮置き台、26、27…搬入口、28…ゲートバルブ、30…搬出室(搬出用予備室)、31…搬出室筐体、32、33…搬出口、34…ゲートバルブ、35…搬出室用仮置き台、36、37…搬出口、38…ゲートバルブ、40…正圧移載室(ウエハ移載室)、41…正圧移載室筐体、42…正圧移載装置(ウエハ移載装置)、45…ノッチ合わせ装置、47、48、49…ウエハ搬入搬出口、50…ポッドオープナ、51…載置台、52…キャップ着脱機構、61…第一処理ユニット(第一処理部)、62…第二処理ユニット(第二処理部)、63…第一クーリングユニット(第三処理部)、64…第二クーリングユニット(第四処理部)、65、67…ウエハ搬入搬出口、67A…ゲートバルブ、70…RTP装置(基板処理装置)、71…処理室、72…筐体、72a…カップ、72b…トッププレート、72c…ボトムプレート、72d…押さえリング、73…空冷ガス供給口、74…空冷ガス排気口、76…排気口、77…ウエハ搬入搬出口、78…ゲートバルブ、79…支持筒、80…反射プレート、81…第一加熱ランプ群、82…第二加熱ランプ群、83…第一支柱、84…第二支柱、85…電力供給電線、86…原料ガス供給管、87…不活性ガス供給管、88…放射温度計(温度測定装置)のプローブ、89…放射率測定装置、90…レファレンスプローブ、91…レファレンスプローブ用モータ、92…レファレンスランプ、93…処理空間(第一の空間)、94…ヒータアッセンブリ設置空間(第二の空間)、95…仕切パネル、96…中空体、96a…上側壁、96b…下側壁、97…耐圧支持体、98…板状部材、99…連結孔、100…支持ピン、110…二枚葉式熱処理装置、111…処理室、112…プロセスチューブ、113…中空体、113a…内側壁、113b…外側壁、114…耐圧支持体、115…板状部材、116…連通孔、117…大気、120…保持台、121、122…ガス導入フランジ、123…ウエハ搬入搬出山124…ゲートバルブ、125…開口、126…ドア、127、128…ガス供給管、129、130…排気管、131…上ヒータ、132…下ヒータ、133…断熱槽。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
本実施の形態において、本発明に係る基板処理装置は、図1に示されているように、マルチチャンバ型処理装置(以下、処理装置という。)として構成されており、この処理装置はICの製造方法にあってウエハに酸化シリコンや窒化シリコン等の絶縁膜を成膜したり、金属とシリコンの合金膜を形成したり、膜中に打ち込まれた不純物原子を活性化させるためのアニール処理を行う工程に使用されるようになっている。
なお、本実施の形態においてはウエハ搬送用のキャリアとしては、FOUP(front opening unified pod。以下、ポッドという。)が使用されている。
また、以下の説明において、前後左右は図1を基準とする。すなわち、図1が示されている紙面に対して、前は紙面の下、後は紙面の上、左右は紙面の左右とする。
図1に示されているように、処理装置は大気圧未満の圧力(負圧)に耐えるロードロックチャンバ構造に構成された第一のウエハ移載室(以下、負圧移載室という。)10を備えており、負圧移載室10の筐体(以下、負圧移載室筐体という。)11は平面視が六角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。
負圧移載室10の中央部には負圧下でウエハWを移載するウエハ移載装置(以下、負圧移載装置という。)12が設置されており、負圧移載装置12はスカラ形ロボット(selective compliance assembly robot arm SCARA)によって構成されており、負圧移載室筐体11の底壁に設置されたエレベータ13によって気密シールを維持しつつ昇降するように構成されている。
【0012】
負圧移載室筐体11の六枚の側壁のうち正面側に位置する二枚の側壁には、搬入用予備室(以下、搬入室という。)20と搬出用予備室(以下、搬出室という。)30とがそれぞれ隣接して連結されている。搬入室20の筐体(以下、搬入室筐体という。)21と搬出室30の筐体(以下、搬出室筐体という。)31とは、それぞれ平面視が大略四角形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されているとともに、負圧に耐え得るロードロックチャンバ構造に構成されている。
互いに隣接した搬入室筐体21の側壁および負圧移載室筐体11の側壁には、搬入口22、23がそれぞれ開設されており、負圧移載室10側の搬入口23には搬入口22、23を開閉するゲートバルブ24が設置されている。また、互いに隣接した搬出室筐体31の側壁および負圧移載室筐体11の側壁には、搬出口32、33がそれぞれ開設されており、負圧移載室10側の搬出口33には搬出口32、33を開閉するゲートバルブ34が設置されている。搬入室20には搬入室用仮置き台25が設置され、搬出室30には搬出室用仮置き台35が設置されている。
【0013】
搬入室20および搬出室30の前側には、大気圧以上の圧力(正圧)を維持可能な構造に構成された第二のウエハ移載室(以下、正圧移載室という。)40が隣接して連結されており、正圧移載室40の筐体(以下、正圧移載室筐体という。)41は、平面視が横長の長方形で上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。
正圧移載室40には正圧下でウエハWを移載する第二のウエハ移載装置(以下、正圧移載装置という。)42が設置されており、正圧移載装置42はスカラ形ロボットによってウエハを搬送し得るように構成されている。正圧移載装置42は正圧移載室40に設置されたエレベータによって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータによって左右方向に往復移動されるように構成されている。
【0014】
互いに隣接した搬入室筐体21の側壁および正圧移載室筐体41の側壁には搬入口26、27がそれぞれ開設されており、正圧移載室40側の搬入口27には搬入口26、27を開閉するゲートバルブ28が設置されている。互いに隣接した搬出室筐体31の側壁および正圧移載室筐体41の側壁には搬出口36、37がそれぞれ開設されており、正圧移載室40側の搬出口37には搬出口36、37を開閉するゲートバルブ38が設置されている。正圧移載室40の左側にはノッチ合わせ装置45が設置されている。
【0015】
図1に示されているように、正圧移載室筐体41の正面壁には三つのウエハ搬入搬出口47、48、49が、左右方向に並べられて開設されており、これらのウエハ搬入搬出口47、48、49はウエハWを正圧移載室40に対して搬入搬出し得るように設定されている。ウエハ搬入搬出口47、48、49にはポッドオープナ50がそれぞれ設置されている。
ポッドオープナ50はポッドPを載置する載置台51と、載置台51に載置されたポッドPのキャップを着脱するキャップ着脱機構52とを備えており、載置台51に載置されたポッドPのキャップをキャップ着脱機構52によって着脱することにより、ポッドPのウエハ出し入れ口を開閉するようになっている。ポッドオープナ50の載置台51に対してはポッドPが、図示しない工程内搬送装置(RGV)によって供給および排出されるようになっている。したがって、載置台51によってキャリアステージとしてのポッドステージが構成されていることになる。
【0016】
図1に示されているように、負圧移載室筐体11の六枚の側壁のうち背面側に位置する二枚の側壁には、第一処理部としての第一処理ユニット61と、第二処理部としての第二処理ユニット62とがそれぞれ隣接して連結されている。第一処理ユニット61および第二処理ユニット62はいずれも枚葉式減圧RTP(Rapid Thermal Processing)装置(以下、RTP装置という。)によってそれぞれ構成されている。
また、負圧移載室筐体11における六枚の側壁のうちの残りの互いに対向する二枚の側壁には、第三処理部としての第一クーリングユニット63と、第四処理部としての第二クーリングユニット64とがそれぞれ連結されており、第一クーリングユニット63および第二クーリングユニット64はいずれも処理済みのウエハWを冷却するように構成されている。
【0017】
図2に示されているように、RTP装置70はウエハWを処理する処理室71を形成した筐体72を備えており、筐体72は上下面が開口した筒形状に形成されたカップ72aと、カップ72aの上面の開口部を閉塞する平盤形状のトッププレート72bと、カップ72aの下面の開口部を閉塞する平盤形状のボトムプレート72cとが組み合わされて、箱形状に構築されている。筐体72は様々な金属によって形成することができる。図示しないが、筐体72は周知の循環式冷水フローシステムによって室温程度まで水冷されるように構成されている。
カップ72aの側壁の中間部には空冷ガス供給口73が開設されており、空冷ガス供給口73の反対側には空冷ガス排気口74が開設されている。筐体72のカップ72aの側壁の上部には排気口76が開設されており、排気口76には処理室71を大気圧未満(以下、負圧という。)に排気し得る排気装置が接続されている。
筐体72のカップ72aの側壁の排気口76と反対側の位置には、ウエハWを処理室71に搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口77が開設されており、ウエハ搬入搬出口77はゲートバルブ78によって開閉されるようになっている。
【0018】
ボトムプレート72cの上面には支持筒79が突設されており、支持筒79の上端面の上には反射プレート80が水平に架設されている。反射プレート80の上方には複数本の加熱ランプによって構成された第一加熱ランプ群81および第二加熱ランプ群82が、下から順に配置されてそれぞれ水平に架設されている。第一加熱ランプ群81および第二加熱ランプ群82は、第一支柱83および第二支柱84によってそれぞれ水平に支持されている。第一加熱ランプ群81および第二加熱ランプ群82は加熱源としての加熱ランプ(タングステン−ハロゲン直線ランプ)が複数本、互いに平行に配列されて水平にそれぞれ架設されて構成されている。
第一加熱ランプ群81および第二加熱ランプ群82には四つのゾーンが、両端から中央にかけてそれぞれ設定されている。第一加熱ランプ群81および第二加熱ランプ群82は第一ゾーン〜第四ゾーン毎に制御器に並列に接続されており、制御器は後記する放射温度計が接続されたコントローラ(図示せず)によってフィードバック制御されるように構成されている。第一加熱ランプ群81および第二加熱ランプ群82の電力供給電線85は、第一支柱83および第二支柱84を挿通して外部に引き出されている。
なお、第一加熱ランプ群81および第二加熱ランプ群82やコントローラ等から成るヒータアッセンブリは、放射ピークが0.95μmの波長の放射熱線(光)を照射し、多くの熱を中央部ゾーンよりも周辺部のゾーンに加える加熱プロファイルを呈するように設定されている。また、第一加熱ランプ群81および第二加熱ランプ群82の電極部の冷却特性は大気圧雰囲気の方が有利なため、加熱ランプ群81、82の寿命を考慮して、ヒータアッセンブリ設置空間94は大気圧に設定されている。
【0019】
図2に示されているように、トッププレート72bには原料ガス供給管86および不活性ガス供給管87が処理室71に連通するようにそれぞれ接続されている。
また、トッププレート72bには温度測定装置としての放射温度計のプローブ88がウエハWの上面と対向するように挿入されており、放射温度計はプローブ88が検出した光に基づく計測温度をコントローラに逐次送信するように構成されている。
トッププレート72bの他の場所には、ウエハWの放射率を非接触にて測定する放射率測定装置89が設置されている。放射率測定装置89はレファレンスプローブ90を備えており、レファレンスプローブ90はレファレンスプローブ用モータ91によって垂直面内で回転されるように構成されている。レファレンスプローブ90の上側には参照光を照射するレファレンスランプ92が、レファレンスプローブ90の先端に対向するように設置されている。レファレンスプローブ90は光子密度測定器に光学的に接続されており、光子密度測定器はウエハWからの光子密度と、レファレンスランプ92からの参照光の光子密度とを比較することにより、計測温度を校正するようになっている。
【0020】
処理室71には処理室71を第一の空間である処理空間93と第二の空間であるヒータアッセンブリ設置空間94とに仕切る仕切パネル95が、その周辺部がカップ72aに押さえリング72dによって固定された状態で水平に架設されている。
仕切パネル95の外観形状は図3に示されているように正方形の平盤形状に形成されている。仕切パネル95は図5に示された耐圧支持体97が図4に示された中空体96の中空部内に収容されて構成されている。仕切パネル95の中空体96の中空部内は処理空間93の圧力よりも低い圧力に予め減圧されている。中空体96および耐圧支持体97は石英(SiO)が使用されて透明に形成されており、中空体96と耐圧支持体97とは固着されていない。中空体96の主面壁の厚さtは、10mm以上に設定されている。
仕切パネル95の内部は中空体96の排気口(図示せず)から真空引きした後に排気口を封緘することにより、減圧しておくことができる。真空引きした後に封緘して減圧状態を維持することにより、仕切パネル95の内部をポンプ(図示せず)によって常時真空引きしなくても済む。
図5に示されているように、耐圧支持体97は複数本の板状部材98が井桁形状に組まれて連結されており、各板状部材98の適当な箇所には連通孔99が開設されている。耐圧支持体97が中空体96の中空部内に収容されることにより、仕切パネル95の内部が板状部材98によって複数の小区画に仕切られていても、各区画は連結孔99によって互いに連通された状態になっているために、仕切パネル95の内部は全体にわたって減圧することができる。
仕切パネル95の上面の中央部には複数本の支持ピン100(図2参照)が突設されており、これらの支持ピン100はウエハWを仕切パネル95の上面から浮かせた状態で水平に支持するように設定されている。
【0021】
前記構成に係る処理装置を使用した本発明の一実施の形態であるICの製造方法における成膜工程を説明する。
【0022】
これから成膜すべきウエハWは二十五枚がポッドPに収納された状態で、成膜工程を実施する処理装置へ工程内搬送装置によって搬送されて来る。
図1に示されているように、搬送されて来たポッドPはポッドオープナ50の載置台51の上に工程内搬送装置から受け渡されて載置される。ポッドPのキャップがキャップ着脱機構52によって取り外され、ポッドPのウエハ出し入れ口が開放される。
ポッドPがポッドオープナ50により開放されると、正圧移載室40に設置された正圧移載装置42はウエハ搬入搬出口47を通してポッドPからウエハWをピックアップし、搬入室20に搬入口26、27を通して搬入(ウエハローディング)し、ウエハWを搬入室用仮置き台25に移載して行く。この移載作業中において、負圧移載室10側の搬入口22、23はゲートバルブ24によって閉じられており、負圧移載室10の負圧は維持されている。
ウエハWの搬入室用仮置き台25への移載が完了すると、正圧移載室40側の搬入口26、27がゲートバルブ28によって閉じられ、搬入室20が排気装置(図示せず)によって負圧に排気される。
【0023】
搬入室20が予め設定された圧力値に減圧されると、負圧移載室10側の搬入口22、23がゲートバルブ24によって開かれるとともに、第一処理ユニット61のウエハ搬入搬出口65およびウエハ搬入搬出口77(図2参照)がゲートバルブ78(図2参照)によって開かれる。
続いて、負圧移載室10の負圧移載装置12は搬入口22、23を通して搬入室用仮置き台25からウエハWをピックアップして負圧移載室10に搬入する。
負圧移載装置12はウエハWを第一処理ユニット61のウエハ搬入搬出口65に搬送し、ウエハ搬入搬出口65、77から第一処理ユニット61であるRTP装置70の処理室71へ搬入(ウエハローディング)するとともに、処理室71に架設された仕切パネル95の支持ピン100の上に移載する。
【0024】
ここで、前記構成に係るRTP装置70の作用を詳細に説明する。
【0025】
ウエハ搬入搬出口77がゲートバルブ78により開放されると、負圧移載装置12によって搬送されて来たウエハWが複数本の支持ピン100の上端間に受け渡される。支持ピン100にウエハWを受け渡した負圧移載装置12が後退すると、ウエハ搬入搬出口77がゲートバルブ78により閉じられる。処理室71が閉じられると、処理室71の処理空間93が所定の圧力に排気口76によって排気される。
その後、処理空間93には原料ガスが原料ガス供給管86によって供給されるとともに、窒素ガス等の不活性ガスが不活性ガス供給管87によって供給される。原料ガス供給管86から供給された処理ガスは処理空間93においてウエハWと反応する。残余のガスは排気口76によって排出される。
【0026】
他方、支持ピン100に保持されたウエハWは第一加熱ランプ群81および第二加熱ランプ群82によって加熱される。この際、ヒータアッセンブリ設置空間94には窒素ガス等の空冷ガスが空冷ガス供給口73および空冷ガス排気口74によって流通される。この空冷ガスの流通により、第一加熱ランプ群81および第二加熱ランプ群82の電極部が冷却されるため、第一加熱ランプ群81および第二加熱ランプ群82の寿命を延長させることができる。
加熱中におけるウエハWの温度は放射温度計のプローブ88によって逐次計測され、コントローラへ逐次送信されている。コントローラは放射温度計からの計測結果に基づいてフィードバック制御を実行する。この際、放射率測定装置89からのデータに基づいて測定温度の校正が実施される。
ウエハWは第一加熱ランプ群81および第二加熱ランプ群82によって全体にわたって均一に加熱される。ここで、処理ガスのウエハWとの反応による成膜レート(成膜速度)はウエハWの面内温度分布に依存するため、ウエハWの面内温度分布が全面にわたって均一であれば、ウエハWに形成される成膜の面内膜厚分布はウエハWの全面にわたって均一になる。
【0027】
予め設定された所定の処理時間が経過すると、処理空間93は排気口76によって所定の負圧に排気される。続いて、ウエハ搬入搬出口77がゲートバルブ78により開放され、支持ピン100に支持された処理済みのウエハWは負圧移載装置12によってピックアップされ、ウエハ搬入搬出口77から処理室71の外部へ搬出される。
【0028】
前述した処理に際して、仕切パネル95は処理室71を上部の処理空間93と下部のヒータアッセンブリ設置空間94とに仕切っているために、処理空間93が減圧されて、空冷ガスがヒータアッセンブリ設置空間94に流通されると、仕切パネル95には圧力差による力が作用する。
【0029】
ところで、中空体96と耐圧支持体97とが固着されていない仕切パネル95において、中空体96が減圧されていない場合には、仕切パネル95の破損が次のような理由で発生する。
すなわち、図6(a)に示されているように、中空体96のヒータアッセンブリ設置空間94に接する下側壁96bには、下側壁96bを耐圧支持体97の下面に押接する力Fbが作用するので、支障はない。これに対して、中空体96の処理空間93に接する上側壁96aには、上側壁96aを耐圧支持体97の上面から押し離す力Faが作用するために、上側壁96aの破損が発生する。
【0030】
本実施の形態に係る仕切パネル95においては、中空体96と耐圧支持体97とが固着されていないが、中空体96の内圧が処理空間93の圧力よりも低く減圧されているために、中空体96の破損は発生しない。
すなわち、図6(b)に示されているように、中空体96のヒータアッセンブリ設置空間94に接する下側壁96bには、下側壁96bを耐圧支持体97の下面に押接する力Fbが作用するので、支障はない。他方、中空体96の内圧が処理空間93の圧力よりも低く減圧されていることによって、中空体96の処理空間93に接する上側壁96aにも、上側壁96aを耐圧支持体97の上面に押接する力Fcが作用するので、同様に支障はない。
したがって、中空体96は耐圧支持体97によって適正に補強されるために、仕切パネル95は所期の耐圧強度を発揮する。しかも、仕切パネル95は中空体96と耐圧支持体97とを固着せずに構築することができるので、作業がきわめて困難である溶接等の加工を省略することができ、仕切パネル95の製造コストを低減することができる。
【0031】
以上のようにしてRTP装置70すなわち第一処理ユニット61において成膜ステップが終了すると、図1に示されているように、成膜済みのウエハWは第一処理ユニット61から負圧移載装置12によってピックアップされて、負圧に維持された負圧移載室10に第一処理ユニット61のウエハ搬入搬出口65から搬出(ウエハアンローディング)される。
処理済みのウエハWが第一処理ユニット61から負圧移載室10に負圧移載装置12によって搬出されると、第一クーリングユニット63のウエハ搬入搬出口67がゲートバルブ67Aによって開かれる。
続いて、負圧移載装置12は第一処理ユニット61から搬出したウエハWを、第一クーリングユニット63の処理室(冷却室)へウエハ搬入搬出口67を通して搬入するとともに、冷却室の基板載置台に移載する。
ウエハWの第一処理ユニット61から第一クーリングユニット63への移替え作業が完了すると、第一クーリングユニット63の処理室のウエハ搬入搬出口67がゲートバルブ67Aによって閉じられる。ウエハ搬入搬出口67が閉じられると、第一クーリングユニット63に搬入された成膜済みのウエハは冷却される。
【0032】
第一クーリングユニット63において予め設定された冷却時間が経過すると、冷却済みのウエハWは負圧移載装置12によって第一クーリングユニット63からピックアップされ、負圧に維持された負圧移載室10に搬出される。
冷却済みのウエハWが第一クーリングユニット63から負圧移載室10に搬出されると、搬出口33がゲートバルブ34によって開かれる。
続いて、負圧移載装置12は第一クーリングユニット63から搬出したウエハWを負圧移載室10の搬出口33へ搬送し、搬出室30に搬出口33を通して搬出するとともに、搬出室用仮置き台35に移載する。
冷却済みのウエハWの第一クーリングユニット63から搬出室30への移替え作業が完了すると、搬出室30の搬出口32、33がゲートバルブ34によって閉じられる。
【0033】
搬出室30の搬出口32、33がゲートバルブ34によって閉じられると、搬出室30の正圧移載室40側の搬出口36、37がゲートバルブ38によって開けられて、搬出室30のロードロックが解除される。搬出室30のロードロックが解除されると、正圧移載室40の搬出室30に対応したウエハ搬入搬出口48がポッドオープナ50によって開かれるとともに、載置台51に載置された空のポッドPのキャップがポッドオープナ50によって開かれる。
続いて、正圧移載室40の正圧移載装置42は搬出口37を通して搬出室用仮置き台35からウエハWをピックアップして正圧移載室40に搬出し、正圧移載室40のウエハ搬入搬出口48を通してポッドPに収納(チャージング)して行く。
処理済みの二十五枚のウエハWのポッドPへの収納が完了すると、ポッドPのキャップがポッドオープナ50のキャップ着脱機構52によってウエハ出し入れ口に装着され、ポッドPが閉じられる。閉じられたポッドPは載置台51の上から次の工程へ工程内搬送装置によって搬送されて行く。
【0034】
以上の作動が繰り返されることにより、ウエハが一枚ずつ順次に処理されて行く。
以上の作動は第一処理ユニット61および第一クーリングユニット63が使用される場合を例にして説明したが、第二処理ユニット62および第二クーリングユニット64が使用される場合についても同様の作動が実施される。
【0035】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0036】
1)仕切パネルの中空体の内圧を処理空間の圧力よりも低く減圧しておくことにより、中空体の処理空間に接する側壁には当該側壁を耐圧支持体に押接させる力が作用する状態になるので、中空体を耐圧支持体によって適正に補強させることができ、仕切パネルをして所期の耐圧強度を発揮させることができる。しかも、中空体の壁面部材の厚さを大きく設定しなくても済むので、光(熱線)の減衰および仕切パネル自体の熱蓄積を低減することができ、その結果、加熱ランプの熱効率を向上させることができる。
【0037】
2)中空体と耐圧支持体とを固着しないで仕切パネルを構築することにより、作業が困難である溶接等の加工を省略することができるので、仕切パネルの製造コストを低減することができ、RTP装置ひいては処理装置の製造コストを低減することができる。
なお、仕切パネルの中空部の圧力と処理空間の圧力との差が大きいことによる破損等の問題がある場合には、耐圧支持体の処理空間側の部分だけを中空体に固着してもよい。この場合でも、耐圧支持体の両側を中空体に固着させる場合に比べて仕切パネルの製造は遥かに容易になる。
また、ウエハに対する処理条件によっては、処理空間内の圧力が中空部の圧力よりも低くなる場合がある。この場合には、処理空間の圧力と中空部の圧力との圧力差が大きくなるために、中空体の上側壁96aが破損する等の危惧がある。したがって、この場合には、耐圧支持体の処理空間側の部分だけを中空体に固着すると、破損等を防止することができる。
【0038】
3)仕切パネルの内部を真空引きした後に封緘して予め減圧しておくことにより、仕切パネルの内部を常時真空引きしなくて済むために、RTP装置や処理装置ひいてはICの製造方法のランニングコストを低減することができるばかりでなく、それらの制御システムを簡略化することができる。
【0039】
図7は本発明の第二の実施の形態である処理装置に使用された二枚葉式熱処理装置を示す側面断面図である。図8はそのプロセスチューブの中空体を示しており、(a)は側面断面図、(b)は(a)のb−b線に沿う断面図である。図9はその耐圧支持体を示す斜視図である。
【0040】
本実施の形態が前記実施の形態と異なる点は、図1に示された処理装置における第一処理ユニット61と第二処理ユニット62がいずれも図7に示された二枚葉式熱処理装置によってそれぞれ構成されている点、である。
【0041】
図7に示されているように、二枚葉式熱処理装置110は処理室111を形成するプロセスチューブ112を備えており、プロセスチューブ112は両端部に鍔部を有する偏平な四角形筒体に形成されて水平に架設されている。
プロセスチューブ112は図8に示された中空体113と、図9に示された耐圧支持体114とを備えている。図8に示されているように、中空体113は両端部に鍔部を有する偏平な四角形筒形状に形成されているとともに、その筒部が内外二重の中空形状に形成されている。図9に示されているように、耐圧支持体114の外観は中空体113の筒部に形成された中空形状と略等しく形成されている。耐圧支持体114は中空体113の筒部の中空部内に収容されている。耐圧支持体114が収容された中空体113の中空部内は、処理室111の圧力よりも低い圧力に減圧されている。中空体113および耐圧支持体114は石英(SiO)が使用されて透明に形成されており、中空体113と耐圧支持体114とは固着されていない。
プロセスチューブ112の内部は中空体113の排気口(図示せず)から真空引きした後に排気口を封緘することにより、予め減圧しておくことができる。真空引きした後に封緘して減圧状態を維持することにより、プロセスチューブ112の内部をポンプ(図示せず)によって常時真空引きしなくても済む。
図9に示されているように、耐圧支持体114は複数本の板状部材115が井桁形状に組まれて連結されており、各板状部材115の適当な箇所には連通孔116が開設されている。中空体113の中空部内に耐圧支持体114が収容されることにより、プロセスチューブ112の内部が板状部材115によって複数の小区画に仕切られていても、各区画は連結孔116によって互いに連通された状態になっているために、中空体113の内部は全体にわたって減圧することができる。
【0042】
プロセスチューブ112の処理室111には二枚のウエハWを保持する保持台120が設置されており、プロセスチューブ112の両端にはマニホールドとしてのガス導入フランジ121、122がそれぞれ当接されている。一方のガス導入フランジ(以下、前側フランジという。)121にはウエハ搬入搬出口123が処理室111と図1に示された負圧移載室10とを連絡するように開設されており、ウエハ搬入搬出口123はゲートバルブ124によって開閉されるようになっている。他方のガス導入フランジ(以下、後側フランジという。)122の開口125はドア126によって閉塞されている。
前側フランジ121および後側フランジ122には、ガス供給管127、128と、排気管129、130とがそれぞれ接続されている。図示しないが、ガス供給管127、128には処理室111に供給するガスの流量を制御する流量制御装置が介設されており、排気管129、130には処理室111の圧力を制御する圧力制御装置が介設されている。
プロセスチューブ112の上下には上ヒータ131および下ヒータ132がそれぞれ敷設されており、上ヒータ131および下ヒータ132は温度コントローラ(図示せず)の制御によって処理室111を均一または所定の温度勾配をもって加熱するように構成されている。上ヒータ131および下ヒータ132の外側は断熱槽133によって被覆されている。
【0043】
次に、本発明の第二の実施の形態に係るICの製造方法における成膜工程を、前記構成に係る二枚葉式熱処理装置の作用を主体にして説明する。
【0044】
ウエハ搬入搬出口123がゲートバルブ124により開放されると、負圧移載装置12によって搬送されて来た二枚のウエハWが保持台120に受け渡される。保持台120にウエハWを受け渡した負圧移載装置12が後退すると、ウエハ搬入搬出口123がゲートバルブ124によって閉じられる。続いて、処理室111が所定の圧力に排気管129、130によって排気される。
その後、処理室111には処理ガスが供給管127、128によって供給される。供給管127、128から処理室111へ供給された処理ガスはウエハWと反応し、残余のガスは排気管129、130によって排出される。
【0045】
他方、保持台120に保持されたウエハWは上ヒータ131および下ヒータ132によって加熱される。この際、ウエハWは上ヒータ131および下ヒータ132によって全体にわたって均一に加熱される。ここで、処理ガスのウエハWとの反応による成膜レート(成膜速度)はウエハWの面内温度分布に依存するため、ウエハWの面内温度分布が全面にわたって均一であれば、ウエハWに形成される成膜の面内膜厚分布はウエハWの全面にわたって均一になる。
【0046】
予め設定された所定の処理時間が経過すると、処理室111は排気管129、130によって所定の負圧に排気される。
続いて、ウエハ搬入搬出口123がゲートバルブ124によって開放され、保持台120に支持された処理済みのウエハWは、負圧移載装置12によってピックアップされ、ウエハ搬入搬出口123から処理室111の外部へ搬出される。
【0047】
前述した処理に際して、プロセスチューブ112は処理室111を内外に仕切っているために、処理室111が減圧されると、プロセスチューブ112には大気圧との圧力差による力が作用する。
ところで、中空体113と耐圧支持体114とが固着されていないプロセスチューブ112において、中空体113が減圧されていない場合には、プロセスチューブ112の破損が次のような理由で発生する。
すなわち、図10(a)に示されているように、中空体113の大気117に接する外側壁113bには、外側壁113bを耐圧支持体114の下面に押接させる力Fbが作用するために支障はない。これに対して、中空体113の処理室111に接する内側壁113aには、内側壁113aを耐圧支持体114から押し離す力Faが作用するために、内側壁113aの破損が発生する。
【0048】
本実施の形態に係るプロセスチューブ112においては、中空体113と耐圧支持体114とが固着されていないが、中空体113の内圧が処理室111の圧力よりも低く減圧されているために、中空体113の破損は発生しない。
すなわち、図10(b)に示されているように、中空体113の大気117に接する外側壁113bには外側壁113bを耐圧支持体114に押接させる力Fbが作用するので、支障はない。他方、中空体113の内圧が処理室111の圧力よりも低く減圧されていることにより、中空体113の処理室111に接する内側壁113aにも、内側壁113aを耐圧支持体114の外面に押接する力Fcが作用するので、同様に支障はない。
したがって、中空体113は耐圧支持体114によって適正に補強されるために、プロセスチューブ112は所期の耐圧強度を発揮する。しかも、プロセスチューブ112は中空体113と耐圧支持体114とを固着せずに構築することができるので、作業がきわめて困難である溶接等の加工を省略することができ、プロセスチューブ112の製造コストを低減することができる。
また、プロセスチューブ112の壁面部材の厚さを大きく設定しなくても済むので、光(熱線)の減衰およびプロセスチューブ112自体の熱蓄積を低減することができ、その結果、上ヒータ131および下ヒータ132の熱効率を向上させることができる。
【0049】
ところで、プロセスチューブの外面に補強リブを一体的に突設して耐圧強度を増強することが一般的に考えられる。しかし、ウエハの大径化とともに、プロセスチューブの口径が大きくなって大型化することにより、高温の熱処理における熱応力によってプロセスチューブの破損が発生するという問題点があることが本発明者によって明らかにされた。
そこで、プロセスチューブの壁の肉厚を大きく設定することにより、リブ無しで耐圧強度を確保することが考えられる。しかし、この場合には、肉厚が大きくなることにより、プロセスチューブの重量が例えば40kgを超えてしまうばかりでなく、ヒータの熱線を減衰させたり、ウエハの昇温降温レートを悪化させるという問題点がある。
【0050】
これらに対して、本実施の形態に係るプロセスチューブ112においては、中空体113と耐圧支持体114とが固着されていないことにより、中空体113には過度の熱応力が作用しないために、高温の熱処理下においてもプロセスチューブ112が破損することはない。
また、中空体113が耐圧支持体114によって補強されることにより、中空体113の壁の肉厚は薄く設定することができるので、プロセスチューブ112の重量の増加を低減することができるとともに、ヒータの熱線の減衰や昇温降温レートの悪化を未然に回避することができる。
ウエハに対する処理条件によっては、プロセスチューブの処理室内の圧力がプロセスチューブの中空体の中空部の圧力よりも低くなる場合がある。この場合には、処理室の圧力と中空部内の圧力との圧力差が大きくなるために、中空体の内側壁113aが破損する等の危惧がある。したがって、この場合には、耐圧支持体の処理室側の部分だけを中空体に固着すると、破損等を防止することができる。
【0051】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0052】
例えば、負圧移載室筐体の壁を中空体と耐圧支持体とから構成し、中空体の中空部を負圧移載室の圧力よりも低い圧力に減圧してもよい。
【0053】
基板はウエハに限らず、LCD装置(液晶表示装置)の製造工程におけるガラス基板やアレイ基板等の基板であってもよい。
【0054】
前記実施の形態においては枚葉式減圧RTP装置および二枚葉式熱処理装置に構成した場合について説明したが、本発明は、その他の熱処理装置やプラズマ処理装置、ドライエッチング装置等の基板処理装置全般に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板が配置される第一の空間と、被処理基板を加熱するヒータが設置された第二の空間と、前記第一の空間と前記第二の空間とを仕切る仕切パネルとを備えており、前記仕切パネルは内部が中空の中空体と、少なくとも前記第二の空間側の部分には固着しない状態で、前記中空体の中空部内に収容された耐圧支持体とから構成されており、前記中空体の中空部内は前記第二の空間の圧力よりも低い圧力に減圧されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記耐圧支持体は前記第一の空間側の部分においても前記中空体と固着されていないことを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
前記中空体の中空部内は前記第一の空間の圧力以下に減圧されていることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記耐圧支持体は前記第一の空間側の部分において前記中空体と固着されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第一の空間の圧力は前記中空体の中空部内の圧力よりも低い圧力に減圧されていることを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記ヒータはランプによって構成され、前記第一の空間は原料ガスが流入されるように構成され、前記第二の空間は冷却ガスが流入され、かつ、大気圧に維持されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記中空体および前記耐圧支持体は石英から形成されており、前記中空体の壁の厚さは10mm以上に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記耐圧支持体は複数の板状部材が集合されて形成されており、これらの板状部材には連通孔が開設されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
被処理基板を収容し減圧される処理室を形成した耐圧筐体を備えている基板処理装置であって、前記耐圧筐体の壁は、内部が中空の中空体と、少なくとも前記処理室と反対側の部分には固着しない状態で前記中空体の中空部内に収容された耐圧支持体と、から構成されており、前記中空体の中空部内は減圧されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
前記耐圧支持体は複数の板状部材が集合されて形成されており、これらの板状部材には連通孔が開設されていることを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
被処理基板が配置される第一の空間と、被処理基板を加熱するヒータが設置された第二の空間と、前記第一の空間と前記第二の空間とを仕切る仕切パネルとを備えており、前記仕切パネルは内部が中空の中空体と、少なくとも前記第二の空間側の部分には固着しない状態で前記中空体の中空部内に収容された耐圧支持体と、から構成されており、前記中空体の中空部内は前記第二の空間の圧力よりも低い圧力に減圧されている基板処理装置を使用する半導体装置の製造方法であって、
前記被処理基板の処理に際して、前記第一の空間の圧力が前記第二の空間の圧力よりも低く維持されることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【国際公開番号】WO2005/069359
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【発行日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516973(P2005−516973)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018253
【国際出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】