説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】基板に形成されたパターンの倒壊を抑制することが可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】複数のパターンが隣接して形成された基板を処理する基板処理装置であって、薬液に対する耐性を有し、前記基板を前記薬液により洗浄するための第1のチャンバと、前記第1のチャンバの上方または下方に配置され、前記第1のチャンバよりも高い耐圧性を有し、前記基板を超臨界乾燥するための第2のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に設けられ、開閉可能なゲート部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体基板やガラス基板等の基板を薬液によって処理する基板処理装置および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの微細化が進んでいる。これにより、例えば、線幅が二十数nm以下の極微細構造では、基板を乾燥する時、純水や薬液等の表面張力によりパターンが倒壊する問題が、顕在化してきている。
【0003】
そこで、従来技術では、例えば、基板表面上が純水で濡れた状態から、純水よりも表面張力が小さいIPA(イソプロピルアルコール)で濡れた状態に置換した後、乾燥するものがある。これにより、乾燥時のパターンの倒壊を抑制することができる。
【0004】
しかし、この従来技術では、パターンのアスペクト比が大きくなると(例えば、アスペクト比15以上)、パターンの倒壊を抑制することが困難となる。
【0005】
これに対し、超臨界流体を用いて基板を洗浄および乾燥する方法がある。この方法では、例えば、SUS(Stainless Used Steel)部材を主に用いた高圧チャンバが必要となる。このようにして、1つの高圧チャンバで基板を洗浄および乾燥する場合、薬液として弱酸、或いは弱アルカリしか適用できない。
【0006】
そこで、従来の基板処理装置には、洗浄と乾燥を2つのチャンバに分けて実施するものがある(例えば、特許文献1参照。)。この従来の基板処理装置は、2つのチャンバ間において、ウェハを水蒸気ミスト雰囲気中で搬送する。これにより、2つのチャンバ間でウェハを搬送するときに、該ウェハの表面を乾燥させないようにする。
【0007】
しかし、上記基板処理装置では、例えば、撥水性のウェハは、原理的に、水蒸気ミスト雰囲気でも、水分を撥水してしまうため、表面が濡れた状態を維持することができない。更に、撥水性ウェハの場合、搬送が伴わない場合には疎水性ウェハであったとしてもウェハ上に純水を液盛り状態にすることができるが、搬送が伴う場合には液盛りを維持することが困難となる。すなわち、ウェハを搬送するときに、ウェハに形成されたパターンが表面張力により倒壊し得る。
【0008】
また、他の従来の基板処理装置には、2つのチャンバ間において、ウェハを密閉された気体雰囲気中で搬送するものがある(例えば、特許文献2参照。)。これにより、2つのチャンバ間でウェハを搬送するときに、該ウェハの表面を汚染させないようにする。
【0009】
しかし、上記基板処理装置では、例えば、洗浄後のウェハを他のチャンバに搬送するとき、ウェハ表面が乾燥し、上述のようにウェハに形成されたパターンが表面張力により倒壊し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−128456号公報
【特許文献2】特開2003−51474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、基板に形成されたパターンの倒壊を抑制することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る実施例に従った基板処理装置は、
複数のパターンが隣接して形成された基板を処理する基板処理装置であって、
薬液に対する耐性を有し、前記基板を前記薬液により洗浄するための第1のチャンバと、
前記第1のチャンバの上方または下方に配置され、前記第1のチャンバよりも高い耐圧性を有し、前記基板を超臨界乾燥するための第2のチャンバと、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に設けられ、開閉可能なゲート部と、を備え、
前記第1のチャンバ内で前記基板を前記薬液により洗浄処理し、
前記ゲート部を開いて、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に第1の液体が流れる状態で、前記第1の液体が流れる方向と前記基板の基板面が平行になるように前記第1の液体中を移動させることにより、前記ゲート部を介して前記第1のチャンバ内から前記第2のチャンバ内へ前記基板を搬送し、
前記第2のチャンバ内に超臨界流体を供給することにより、前記第2のチャンバ内を前記第1の液体から前記超臨界流体に置換し、
前記第2のチャンバ内で、前記基板を超臨界乾燥処理することを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係る実施例に従った基板処理方法は、
複数のパターンが隣接して形成された基板を処理する基板処理方法であって、
薬液に対する耐性を有する第1のチャンバ内で前記基板を前記薬液により洗浄処理する工程と、
前記第1のチャンバと前記第1のチャンバの上方または下方に配置され前記第1のチャンバよりも高い耐圧性を有する第2のチャンバとの間に第1の液体が流れる状態で、前記第1の液体が流れる方向と前記基板の基板面が平行になるように前記第1の液体中を移動させることにより、前記第1のチャンバ内から前記第2のチャンバ内へ前記基板を搬送する工程と、
前記第2のチャンバ内に超臨界流体を供給することにより、前記第2のチャンバ内を前記第1の液体から前記超臨界流体に置換する工程と、
前記第2のチャンバ内で、前記基板を超臨界乾燥処理する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の基板処理装置および基板処理方法によれば、基板に形成されたパターンの倒壊を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】圧力と温度と物質の相状態との関係を示す状態図である。
【図2】本発明の一態様である実施例1に係る基板処理装置100の構成の一例を示す図である。
【図3】図2に示す基板処理装置100のゲート部3の開閉動作の一例を示す図である。
【図4】図2に示す基板処理装置100のゲート部3の開閉動作の一例を示す図である。
【図5】図2に示す基板処理装置100のゲート部3の開閉動作の一例を示す図である。
【図6】実施例1に係る基板処理装置100による基板処理方法の工程のフローを示す図である。
【図7】実施例1に係る基板処理装置100による基板処理方法の工程を示す図である。
【図8】実施例1に係る基板処理装置100による基板処理方法の図7に続く工程を示す図である。
【図9】実施例1に係る基板処理装置100による基板処理方法の図8に続く工程を示す図である。
【図10】実施例1に係る基板処理装置100による基板処理方法の図9に続く工程を示す図である。
【図11】実施例1に係る基板処理装置100による基板処理方法の図10に続く工程を示す図である。
【図12】実施例1に係る基板処理装置100による基板処理方法の図11に続く工程を示す図である。
【図13】本発明の一態様である実施例2に係る基板処理装置200の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、既述の超臨界乾燥について説明する。図1は、圧力と温度と物質の相状態との関係を示す状態図である。
【0017】
超臨界乾燥に用いられる超臨界流体の機能物質には、三態と称される気相(気体)、液相(液体)、固相(固体)の3つの存在状態がある。
【0018】
図1に示すように、上記3つの相は、気相と液相との境界を示す蒸気圧曲線(気液平衡線)、気相と固相との境界を示す昇華曲線、固相と液相との境界を示す溶解曲線で、区切られる。これら3つの相が重なったところが三重点である。この三重点から蒸気圧曲線が高温側に延びると気相と液相が共存する限界である臨界点(Pc、Tc)に達する。この臨界点では気相と液相の密度が等しくなり、気液共存状態の界面が消失する。
【0019】
そして、臨界点以上では気相、液相の区別がないため、その状態の物質は超臨界流体と呼ばれる。超臨界流体とは、この臨界温度以上で高密度に圧縮された流体である。超臨界流体は、溶媒分子の拡散力が支配的である点においては気体と類似している。一方、超臨界流体は、分子の凝集力の影響が無視できない点においては液体と類似しているため種々の物質を溶解する性質を有している。
【0020】
しかも、超臨界流体は、温度や圧力により密度を連続的に変化させることができる。このため、超臨界流体は、理想気体の状態から液体に匹敵する大きさまで密度を任意に調整することができる。特に、臨界点近傍ではわずかな温度、圧力変化で密度の調整が可能である。
【0021】
そして、超臨界流体は、液体に比べ非常に高い浸潤性を有し、微細な構造にも容易に浸透する特徴がある。
【0022】
また、超臨界流体は、超臨界状態から直接気相に転移するように乾燥させることで、気体と液体の界面が存在しないようにして毛管力(表面張力)が働かないようにして、微細構造を破壊することなく乾燥することができる。
【0023】
すなわち、既述の超臨界乾燥とは、このような超臨界流体の超臨界状態を利用して基板を乾燥することである。
【0024】
この超臨界乾燥に用いられる超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、メタン、エタン、プロパン、水、アンモニア、メタン、エタン、エチレン、フルオロメタン等が選択される。
【0025】
特に、二酸化炭素は、臨界点が、温度(Tc)31.1℃、圧力(Pc)7.38MPaであり、比較的低温・低圧であるので、容易に処理が可能である。本実施形態では、この二酸化炭素を用いて説明するが、上述の他の物質を超臨界流体として用いてもよい。
【0026】
以下、本発明に係る実施例について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0027】
図2は、本発明の一態様である実施例1に係る基板処理装置100の構成の一例を示す図である。また、図3ないし図5は、図2に示す基板処理装置100のゲート部3の開閉動作の一例を示す図である。
【0028】
図2に示すように、基板処理装置100は、第1のチャンバ1と、第2のチャンバと、ゲート部3と、接続部4、5と、ウェハ搬送装置6と、超臨界流体供給装置7と、洗浄液用配管8と、置換液用配管9と、配管10と、排液用配管11、11aと、超音波生成部12と、を備える。
【0029】
この基板処理装置100は、ウェハ6aを洗浄処理、リンス処理、および乾燥処理する。なお、ウェハ6a(例えば、半導体基板やガラス基板等の基板)には、複数のパターンが隣接して形成されている。
【0030】
第1のチャンバ1は、薬液に対する耐性を有し、基板を該薬液により洗浄処理し、またリンス処理するようになっている。例えば、第1のチャンバ1の内面は、テフロン(登録商標)加工されている。また、第1のチャンバ1は、下部に設けられた接続部4で排液用配管11と接続されている。
【0031】
なお、該薬液には、例えば、HSO、HF、HCl、H等の強酸、NHOH、コリン等の強アルカリが含まれる。すなわち、第1のチャンバ1は、強酸、強アルカリを用いた洗浄処理を適用することができる。また、洗浄処理またはリンス処理時、ウェハ6aは、その基板面が垂直(上下)方向と平行になるように第1のチャンバ1内で固定される。
【0032】
ここで、洗浄処理とは、レジストをウェハ6aから剥離するような処理や、アルカリ、酸等でパーティクルや金属不純物を除去する処理や、ウェハ6a上に形成された膜をエッチング除去する処理等を含むものである。また、リンス処理とは、洗浄に用いた薬液をリンスする処理である。
【0033】
また、図2に示すように、第2のチャンバ2は、第1のチャンバ1の上方に配置されている。この第2のチャンバ2は、第1のチャンバよりも高い耐圧性を有し、ウェハ6aを超臨界乾燥するようになっている。この第2のチャンバ2は、例えば、SUSで構成されている。また、第2のチャンバ2は、上部に設けられた接続部5で置換液用配管9、配管10と接続されている。この配管10は、第2のチャンバ2に接続され、第2のチャンバ2に超臨界流体を供給するためのものである。
【0034】
なお、第2のチャンバ2内の横幅は、例えば、ウェハ6aの膜厚の2〜3倍程度に設定される。超臨界乾燥時、ウェハ6aは、その基板面が上下(垂直)方向と平行になるように第2のチャンバ2内で固定される。
【0035】
ゲート部3は、第1のチャンバ1と第2のチャンバ2との間に設けられている。このゲート部3は、第1のチャンバ1の上部に設けられた第1のゲートバルブ3aと、第2のチャンバ2の下部に設けられた第2のゲートバルブ3bとから構成される。
【0036】
ここで、この第1のゲートバルブ3aは、図3に示すように、第1のゲート板3a1と、第1のバルブ3a2と、第2のバルブ3a3と、第1の本体部3a4と、を含む。
【0037】
第1の本体部3a4は、蛇腹テフロン配管1aを介して、第1のチャンバ1の上部に接続されている。この第1の本体部3a4と排液用配管11aとの間に、第1のバルブ3a2が設けられている。また、第1の本体部3a4と薬液用配管8との間に、第2のバルブ3a3が設けられている。
【0038】
また、第2のゲートバルブ3bは、図3に示すように、第2のゲート板3b1と、第3のバルブ3b2と、第2の本体部3b4と、を含む。
【0039】
第2の本体部3b4は、第2のチャンバ1の下部に接続されている。この第2の本体部3b4と排液用配管11aとの間に、第3のバルブ3b2が設けられている。
【0040】
ここで、このような構成を有するゲート部3を開いて、このゲート部3を介して、第2のチャンバ2から第1のチャンバ1へ液体を流す動作について説明する。
【0041】
先ず、図3では、ゲート部3が閉じた状態である。具体的には、第1、第2のゲート板3a1、3b1が第1、第2のチャンバ1、2の開口部を遮蔽している状態、すなわち、第1、第2のゲートバルブ3a、3bが閉じた状態である。
【0042】
また、第1、第3のバルブ3a2、3b2は、閉じた状態であり、第2のバルブ3a3が開いた状態である。これにより、薬液用配管8から薬液が第1のチャンバ2内に供給される。
【0043】
次に、図4に示すように、第2のバルブ3a3を閉じた状態にする。これにより、第1のチャンバ1内への薬液の供給が停止される。さらに、第1、第2のゲートバルブ3a、3bを開いた状態にする。
【0044】
次に、図5に示すように、第1の本体部3a4と第2の本体部3b4とを接続することにより、第1のチャンバ1内の空間と第2のチャンバ2内の空間とが密閉性を保って接続されることになる。すなわち、ゲート部3が開いた状態である。
【0045】
この状態で、置換液用配管9から例えば純水を第2のチャンバ2内に供給することにより、第1のチャンバ1と第2のチャンバ2との間に純水(液体)が流れるようにすることができる。このとき、第1のチャンバ1に接続された排液用配管11からオーバフローした純水が排出される。なお、純水の供給量または排出量を調整することにより、第1のチャンバ1内および第2のチャンバ2内を純水で満たすことができる。
【0046】
以上の動作により、ゲート部3を介して、第2のチャンバ2から第1のチャンバ1へ液体を流すことができる。
【0047】
また、図2に示すように、ウェハ搬送装置6は、アーム6bを用いて、ウェハ6aを、第1のチャンバ1内に搬送し、さらに第1のチャンバ1内から第2のチャンバ2内に搬送するようになっている。また、ウェハ搬送装置6は、アーム6bを用いて、ウェハ6aを、第2のチャンバ2内から第1のチャンバ1内に搬送し、さらに、第1のチャンバ1内から搬出するようになっている。
【0048】
超臨界流体供給装置7は、タンク7aと、高圧ポンプ7bと、ヒータ7cと、を有する。
【0049】
タンク7aは、液化二酸化炭素を貯留するようになっている。高圧ポンプ7bは、タンク7aから二酸化炭素を吸い出し加圧して出力するようになっている。ヒータ7cは、高圧ポンプ7bから出力された二酸化炭素を加熱(昇温)し、配管10に超臨界流体の二酸化炭素を出力するようになっている。
【0050】
超音波生成部12は、第1のチャンバ1の下部に設けられている。この超音波生成部12は、例えば、超音波振動子で構成される。この超音波生成部12は、第1のチャンバ1から第2のチャンバ2にウェハ6aを搬送する間に、第1のチャンバ1から第2のチャンバ2に流れる液体(本実施例では純水)に超音波を印加するようになっている。
【0051】
このように、該液体に超音波印加した状態でウェハ6aを搬送することにより、チャンバ間のウェハ6aの搬送時に、ウェハ6aへのパーティクルの付着を防止することができる。また、この流れる液体をIPAとし、超音波を印加することも可能である。この場合は微細なパターン内に存在するリンス液として用いた純水を超音波の力で効果的にIPAに置換することができるメリットがある。
【0052】
なお、図2では、一例として、基板処理装置100が、第1のチャンバ1と第2のチャンバ2の組が3つ備えられた場合について記載した。しかし、基板処理装置100が、1組または複数組の第1のチャンバ1と第2のチャンバ2を備えるようにしてもよい。例えば、基板処理装置100が、1ロットの枚数分、すなわち25組の第1のチャンバ1と第2のチャンバ2を備えるようにしてもよい。これにより、洗浄工程のスループットを向上することができる。
【0053】
また、第2のチャンバ2は、第1のチャンバ1の下方に配置されていてもよい。
【0054】
ここで、以上のような構成を有する基板処理装置100により基板(ウェハ)を処理する基板処理方法の一例について、説明する。
【0055】
図6は、実施例1に係る基板処理装置100による基板処理方法の工程のフローを示す図である。また、図7ないし図12は、実施例1に係る基板処理装置100による基板処理方法の各工程を示す図である。
【0056】
図6に示すように、先ず、ウェハ搬送装置6が、アーム6bでウェハ6aを支持しながら、第1のチャンバ1内へウェハ(基板)6aを搬入する(ステップS1、図7)。
【0057】
次に、薬液用配管8からゲート部3を介して第1のチャンバ1内に純水を供給する。これにより、第1のチャンバ1内でウェハ6aを純水で洗浄処理する(ステップS2)。
【0058】
次に、薬液用配管8からゲート部3を介して第1のチャンバ1内に薬液(例えば、HF、HCl、H等)を供給するとともに、第1のチャンバ1内から排液用配管11へ純水を排出する。これにより、第1のチャンバ1内の洗浄液を純水から該薬液に置換する(ステップS3、図8)。
【0059】
次に、第1のチャンバ1内でウェハ6aを該薬液により洗浄処理する(ステップS4)。
【0060】
次に、薬液用配管8からゲート部3を介して第1のチャンバ1内に純水を供給するとともに、第1のチャンバ1内から排液用配管11へ該薬液を排出する。これにより、第1のチャンバ1内を該薬液から純水に置換する(ステップS5)。
【0061】
次に、第1のチャンバ1内でウェハ6aを純水(リンス液)でリンス処理する(ステップS6)。
【0062】
次に、既述の図3から図5に示す動作により、ゲート部3を開いて、第1のチャンバ1と第2のチャンバ2との間に純水(液体)が流れる状態にする。このとき、純水が第1のチャンバ1からオーバフローし、オーバフローした純水は排液用配管11、11aから排出される。これにより、第1のチャンバ1内および第2のチャンバ2内は、純水で満たされることになる。
【0063】
そして、この状態で、ウェハ搬送装置6が、アーム6bでウェハ6aを支持しながら、純水が流れる方向とウェハ6aの基板面が平行になるように、純水中を移動させる。これにより、第1のチャンバ1内から第2のチャンバ2内へウェハ6aを搬送する(ステップS7、図9)。
【0064】
上述のようにして、ウェハ6aを第1のチャンバ1から第2のチャンバ2へ搬送する際に、ウェハ6aの表面が乾燥するのを回避することができる。
【0065】
なお、このステップS7においては、超音波生成部12は、第1のチャンバ1から第2のチャンバ2にウェハ6aを搬送する間に、第1のチャンバ1から第2のチャンバ2に流れる純水に超音波を印加する。また、各図中では、超音波発生部12は、第1のチャンバ1の下部に設置したものを記載しているが、第2のチャンバ2側に設置しても効果は変わらない。
【0066】
これにより、チャンバ間のウェハ6aの搬送時に、ウェハ6aへのパーティクルの付着を防止することができる。
【0067】
次に、置換液用配管9から接続部5を介して第2のチャンバ2内にIPA(液体)を供給するとともに、第2のチャンバ2内から排液用配管11aへ純水を排出する。この際にチャンバ2に設置した超音波を印加してIPA置換効果を高めることもできる。これにより、第2のチャンバ2内を純水からIPA(液体)に置換する(ステップS8、図10)。
【0068】
次に、ゲート部3を閉じて(図3)、超臨界流体供給装置7は、配管10を介して第2のチャンバ2内に、二酸化炭素(超臨界流体)を供給する。このとき、第3のバルブ3b2か開かれて、排液用配管11aにIPAが排出される。これにより、第2のチャンバ2内をIPA(液体)から二酸化炭素(超臨界流体)に置換する(ステップS9)。この際に第2のチャンバ2に設置した超音波を印加して二酸化炭素(超臨界流体)への置換効果を高めることもできる。
【0069】
このステップS9では、超臨界流体供給装置7により、液化二酸化炭素を昇圧または昇温の両方または何れか一方を実施して、二酸化炭素を超臨界流体にし、この超臨界流体を、第2のチャンバ2内に配管10を介して供給する。
【0070】
次に、例えば、第2のゲートバルブ3bの第3のバルブ3b2を開いて、第2のチャンバ2から排液用配管11aへ二酸化炭素(超臨界流体)を排出することにより、第2のチャンバ2内を減圧させる。これにより、第2のチャンバ2内の二酸化炭素を超臨界状態から気体状態に変化させる。これにより、気液平衡線を横切ることなく、界面張力(毛管力)がゼロの状態で、ウェハ6aを乾燥させる。すなわち、第2のチャンバ2内で、該超臨界流体を気化することにより、ウェハ6aを超臨界乾燥処理する(ステップS10、図11)。
【0071】
このように、ウェハ6aを超臨界乾燥処理するため、ウェハ6aに形成されたパターンの倒壊を抑制することができる。
【0072】
次に、ウェハ搬送装置6が、アーム6bでウェハ6aを支持しながら、第2のチャンバ2内からウェハ6aを搬出する(ステップS11、図12)。
【0073】
以上のフローにより、ウェハ6aの洗浄処理、リンス処理、および乾燥処理が完了する。
【0074】
なお、本実施例では、第2のチャンバ2内を純水からIPAに置換し、このIPAを超臨界流体の二酸化炭素に置換する場合(すなわち、第2のチャンバ2内を、IPAを介して、純水から超臨界流体の二酸化炭素に置換する場合)について説明した。
【0075】
しかし、第2のチャンバ2内を、他の液体を介して、純水から超臨界流体の二酸化炭素に置換してもよい。該純水を他の液体としてもよい。
【0076】
また、本実施例では、ウェハ6aを搬送する際に流す液体の向きは、第2のチャンバ2から第1のチャンバ1へ向かう向きであるが、この向きを、第1のチャンバ1から第2のチャンバ2へ向かう向きにしてもよい。
【0077】
以上のように、本実施例に係る基板処理装置によれば、基板に形成されたパターンの倒壊を抑制することができる。
【実施例2】
【0078】
既述の実施例1では、ウェハを超臨界乾燥するための構成の一例について説明した。
【0079】
ここで、この超臨界乾燥に用いる超臨界流体は、気体よりも粘性が低く、物質(例えば、直径が20nm程度のパーティクル等)の輸送力が高い。このため、超臨界流体を供給する配管内に存在する該物質を、従来のガス配管と同様に気体で十分にパージ(洗浄)することは困難である。
【0080】
一方、液体は、気体、超臨界流体よりも粘性が高く、物質の輸送力が高い。そこで、本実施例2では、特に、超臨界流体を供給する配管を液体によりパージ(洗浄)する構成の一例について提案する。なお、ウェハを超臨界乾燥するための基本的な構成は、実施例1と同様である。
【0081】
図13は、本発明の一態様である実施例2に係る基板処理装置200の構成の一例を示す図である。なお、この図13において、図2の符号と同じ符号は、実施例1の基板処理装置100の構成と同様の構成を示す。
【0082】
図13に示すように、基板処理装置200は、第1のチャンバ1と、第2のチャンバと、ゲート部3と、接続部4、5と、ウェハ搬送装置6と、超臨界流体供給装置7と、洗浄液用配管8と、置換液用配管9と、配管10と、排液用配管11、11a、211と、超音波生成部12と、フィルタ13と、を備える。
【0083】
この基板処理装置200は、実施例1の第2のゲートバルブ3bに接続された排液用配管11aに代えて、第2のゲートバルブ3bから排出された二酸化炭素をタンク7aに排出する排液用配管211を備える。
また、実施例1と同様に、タンク7aと、高圧ポンプ7bと、ヒータ7cとにより、超臨界流体供給装置7が構成される。
【0084】
タンク7aは、配管10および排液用配管211に接続されている。このタンク7aは、排液用配管211から排出された超臨界流体の液体状態である液体(液化二酸化炭素)が貯留されるようになっている。
【0085】
高圧ポンプ7bは、実施例1と同様に、配管10に設けられ、タンク7aから液体(液化二酸化炭素)を吸い出し、液体(液化二酸化炭素)を加圧して出力するようになっている。
【0086】
ヒータ7cは、実施例1と同様に、配管10に設けられ、高圧ポンプ7bと第2のチャンバ2との間に位置する。このヒータ7cは、高圧ポンプ7bから出力された液体(液化二酸化炭素)を加熱して超臨界流体にするようになっている。
【0087】
フィルタ13は、配管10に設けられ、ヒータ7cと第2のチャンバ2との間に位置する。このフィルタ13、超臨界流体に含まれる例えば直径3nm程度のパーティクルをフィルタリングするようになっている。
【0088】
以上のような構成を有する基板処理装置200の超臨界流体を供給するための配管10を、液体によりパージ(洗浄)する動作の一例について、説明する。
【0089】
基板処理装置200は、薬液による洗浄前に、配管10内に純水を流動させ且つ排出した後、配管10内に純水の蒸気圧よりも蒸気圧が高い洗浄液を流動させ且つ排出することにより、配管10内を洗浄する。なお、純水は、20nm程度のパーティクルを除去可能な液体として、選択される。
【0090】
特に、基板処理装置200は、タンク7aと高圧ポンプ7bとの間、高圧ポンプ7bとヒータ7cとの間、ヒータ7cとフィルタ13との間、または、フィルタ13と第2のチャンバ2との間から、配管10内に純水および洗浄液を順次供給して、第2のチャンバ2に流動させる。
【0091】
これにより、配管10内の物質(例えば、直径20nm程度のパーティクル等)を除去し、効率的に配管10内をパージ(洗浄)することができる。
【0092】
例えば、フィルタ13と第2のチャンバ2との間から純水および洗浄液を順次供給する場合、フィルタ13で除去されないパーティクルや配管10を施工した時に発生したパーティクルを除去することができる。
【0093】
また、例えば、ヒータ7cとフィルタ13との間から純水および洗浄液を順次供給する場合、タンク7aや高圧ポンプ7bで発生し配管10のヒータ7cとフィルタ13との間に残留するパーティクルを、除去することができる。
【0094】
さらに、既述のように、純水を配管10内に流動させた後、純水の蒸気圧よりも蒸気圧が高い洗浄液を配管10内に流動させ、排出させることにより、配管10内に液体が残留するのを抑制することができる。特に、配管10がSUSで構成されている場合、配管10内の腐食を抑制することができる。
【0095】
ここで、該洗浄液は、例えば、アルコールである。なお、このアルコールは、例えば、IPAまたはHFEである。これらのIPA、HFE(ハイドロフルオロエーテル)は、20nm程度のパーティクルを除去可能な液体として、選択される。
【0096】
なお、配管10内に、IPAを流動させ且つ排出した後、さらにHFEを流動させ且つ排出するようにしてもよい。
【0097】
なお、配管10内を流動した純水および洗浄液は、第2のチャンバ2、第1のチャンバ1、排液用配管11a、11を介して、排出されるようになっている。また、配管10内を流動した純水および洗浄液が、さらに、排液用配管211を流動するようにしてもよい。
【0098】
以上のように、本実施例に係る基板処理装置によれば、基板に形成されたパターンの倒壊を抑制しつつ、配管に残留するパーティクル等をより効果的に除去することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 第1のチャンバ
1a 蛇腹テフロン配管
2 第2のチャンバ
3 ゲート部
3a 第1のゲートバルブ
3a1 第1のゲート板
3a2 第1のバルブ
3a3 第2のバルブ
3a4 第1の本体部
3b 第2のゲートバルブ
3b1 第2のゲート板
3b2 第3のバルブ
3b4 第2の本体部
4、5 接続部
6 ウェハ搬送装置
6a ウェハ
6b アーム
7 超臨界流体供給装置
7a タンク
7b 高圧ポンプ
7c ヒータ
8 洗浄液用配管
9 置換液用配管
10 配管
11、11a、211 排液用配管
12 超音波生成部
13 フィルタ
100、200 基板処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパターンが隣接して形成された基板を処理する基板処理装置であって、
薬液に対する耐性を有し、前記基板を前記薬液により洗浄するための第1のチャンバと、
前記第1のチャンバの上方または下方に配置され、前記第1のチャンバよりも高い耐圧性を有し、前記基板を超臨界乾燥するための第2のチャンバと、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に設けられ、開閉可能なゲート部と、を備え、
前記第1のチャンバ内で前記基板を前記薬液により洗浄処理し、
前記ゲート部を開いて、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に第1の液体が流れる状態で、前記第1の液体が流れる方向と前記基板の基板面が平行になるように前記第1の液体中を移動させることにより、前記ゲート部を介して前記第1のチャンバ内から前記第2のチャンバ内へ前記基板を搬送し、
前記第2のチャンバ内に超臨界流体を供給することにより、前記第2のチャンバ内を前記第1の液体から前記超臨界流体に置換し、
前記第2のチャンバ内で、前記基板を超臨界乾燥処理する
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに前記基板を搬送する間に、前記第1の液体に超音波を印加する超音波生成部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2のチャンバは、SUSで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記薬液は、HSO、HF、HCl、H、NHOH、コリンの何れかであることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記超臨界流体は、二酸化炭素であることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記第2のチャンバに接続され、前記第2のチャンバに前記超臨界流体を供給するための配管をさらに備え、
前記薬液による洗浄前に、前記配管内に純水を流動させた後、前記配管内に純水の蒸気圧よりも蒸気圧が高い洗浄液を流動させ且つ排出することにより、前記配管内を洗浄する
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記配管に接続され、前記超臨界流体の液体状態である第2の液体が貯留されるタンクと、
前記配管に設けられ、前記タンクから前記第2の液体を吸い出し、前記第2の液体を加圧して出力する高圧ポンプと、
前記配管に設けられ、前記高圧ポンプと前記第2のチャンバとの間に位置し、前記高圧ポンプから出力された前記第2の液体を加熱して前記超臨界流体にするヒータと、
前記配管に設けられ、前記ヒータと前記第2のチャンバとの間に位置し、前記超臨界流体に含まれるパーティクルをフィルタリングするフィルタと、をさらに備え、
前記タンクと前記高圧ポンプとの間、前記高圧ポンプと前記ヒータとの間、前記ヒータと前記フィルタとの間、または、前記フィルタと前記第2のチャンバとの間から前記配管内に前記純水および前記洗浄液を順次供給して前記第2のチャンバに流動させる
ことを特徴とする請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記洗浄液は、IPAまたはHFEであることを特徴とする請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項9】
複数のパターンが隣接して形成された基板を処理する基板処理方法であって、
薬液に対する耐性を有する第1のチャンバ内で前記基板を前記薬液により洗浄処理する工程と、
前記第1のチャンバと前記第1のチャンバの上方または下方に配置され前記第1のチャンバよりも高い耐圧性を有する第2のチャンバとの間に第1の液体が流れる状態で、前記第1の液体が流れる方向と前記基板の基板面が平行になるように前記第1の液体中を移動させることにより、前記第1のチャンバ内から前記第2のチャンバ内へ前記基板を搬送する工程と、
前記第2のチャンバ内に超臨界流体を供給することにより、前記第2のチャンバ内を前記第1の液体から前記超臨界流体に置換する工程と、
前記第2のチャンバ内で、前記基板を超臨界乾燥処理する工程と、を備える
ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項10】
前記超臨界流体は、二酸化炭素であることを特徴とする請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに前記基板を搬送する間に、前記第1の液体に超音波を印加する
ことを特徴とする請求項9または10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記第2のチャンバに前記超臨界流体を供給するための配管が、前記第2のチャンバに接続されており、
前記薬液による洗浄前に、前記配管内に純水を流動させた後、前記配管内に純水の蒸気圧よりも蒸気圧が高い洗浄液を流動させ且つ排出することにより、前記配管内を洗浄する
ことを特徴とする請求項9ないし11の何れかに記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記超臨界流体の液体状態である第2の液体が貯留されるタンクが、前記配管に接続され、
前記タンクから前記第2の液体を吸い出し、前記第2の液体を加圧して出力する高圧ポンプが、前記配管に設けられ、
前記高圧ポンプと前記第2のチャンバとの間に位置し、前記高圧ポンプから出力された前記第2の液体を加熱して前記超臨界流体にするヒータが、前記配管に設けられ、
前記ヒータと前記第2のチャンバとの間に位置し、前記超臨界流体に含まれるパーティクルをフィルタリングするフィルタが、前記配管に設けられており、
前記タンクと前記高圧ポンプとの間、前記高圧ポンプと前記ヒータとの間、前記ヒータと前記フィルタとの間、または、前記フィルタと前記第2のチャンバとの間から前記配管内に前記純水および前記洗浄液を順次供給して前記第2のチャンバに流動させる
ことを特徴とする請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記薬液は、HSO、HF、HCl、H、NHOH、コリンの何れかであることを特徴とする請求項10ないし13の何れかに記載の基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−74140(P2010−74140A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135093(P2009−135093)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】