説明

基板処理装置及びその電極間距離の測定方法並びにプログラムを記憶する記憶媒体

【課題】リフタを利用して電極間距離を直接測定することで,複雑な構成を追加することなく,電極間距離を正確に測定する。
【解決手段】処理室102内に対向して配置された上部電極120及び下部電極310と,下部電極から突没自在に設けられ,下部電極上に載置されたウエハWを持ち上げて脱離させるリフトピン332と,リフトピンを昇降させるリフタ330と,下部電極にウエハが載置されていない状態で,リフタを駆動してリフトピンを上昇させて,上部電極に接触させることでリフタの移動距離から電極間距離を測定する制御部400とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,対向配置された電極間にプラズマを生成して基板に対してプラズマ処理を行う基板処理装置及びその電極間距離の測定方法並びにプログラムを記憶する記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造するプラズマ処理装置などの基板処理装置としては,その処理室内に例えば半導体ウエハや液晶基板などの基板を載置する下部電極とこれに対向して配置した上部電極を備える,所謂平行平板型のものが多く用いられている。このようなプラズマ処理装置では,下部電極上に基板を載置して処理室内に所定の処理ガスを導入し,電極間にプラズマを発生させることで,基板に対してエッチングや成膜などのプラズマ処理を施すようになっている。
【0003】
このような平行平板型のプラズマ処理装置では,電極間にプラズマを生成するので,上部電極の電極板の表面がプラズマに晒されて消耗して電極間距離が変動する(例えば特許文献1参照)。電極間距離が変動が大きくなると,基板の処理特性に影響を与えるため,一定のタイミングで上部電極の電極板を交換する必要がある。
【0004】
このため,従来はプラズマ処理装置の使用状況の累積値や多変量解析によって電極板などの消耗部品の消耗量を予測していた(例えば特許文献2参照)。例えばプラズマ処理装置の使用状況から予測する場合には,電極板に印加する高周波電力の放電時間(RF放電時間)を測定することによって消耗部品の消耗量を予測し,このRF放電時間が所定の閾値を超えると,自動的にアラームを発生させたり,消耗部品の交換指示を出したりすることにより消耗部品を管理するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−332314号公報
【特許文献2】特開2004−335841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,近年ではプラズマ処理を実行する際の処理条件の多様化が進み,処理室内の使用環境も複雑に変化するようになってきているので,上部電極の電極板の消耗量を正確に予測するのは難しくなってきている。また,基板上に形成される素子の微細化の要求も益々厳しくなっており,電極間距離の僅かな変動も無視できなくなってきている。
【0007】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,電極間距離を正確に測定することができる基板処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,上部電極と下部電極が対向して配置された処理室内において,前記電極間に高周波電力を印加して所定のガスのプラズマを生起することで前記下部電極上に載置された基板に対して所定の処理を施す基板処理装置における電極間距離測定方法であって,前記基板処理装置は,前記下部電極から突没自在に設けられ,前記下部電極から前記基板を持ち上げて脱離させるリフトピンと,前記リフトピンを昇降させるリフタとを備え,前記下部電極に前記基板が載置されていない状態で,前記リフタを駆動して前記リフトピンを上昇させて,前記上部電極に接触させることで前記リフタの移動距離から前記上部電極と前記下部電極との電極間距離を測定することを特徴とする電極間隔測定方法が提供される。
【0009】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,上部電極と下部電極が対向して配置された処理室内において,前記電極間に高周波電力を印加して所定のガスのプラズマを生起することで前記下部電極上に載置された基板に対して所定の処理を施す基板処理装置であって,前記下部電極から突没自在に設けられ,前記下部電極上に載置された前記基板を持ち上げて脱離させるリフトピンと,前記リフトピンを昇降させるリフタと,前記下部電極に前記基板が載置されていない状態で,前記リフタを駆動して前記リフトピンを上昇させて,前記上部電極に接触させることで前記リフタの移動距離から前記上部電極と前記下部電極との電極間距離を測定する制御部と,を備えることを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0010】
このような本発明によれば,上部電極までリフトピンを上昇させることで電極間距離を直接測定することができるので,電極間距離を正確に測定できる。また,電極間距離を測定する機構を別途設ける必要がないので,装置構造を複雑化することなく,コストも低減できる。上部電極の電極板の消耗量も確実に検出できるので,より適切な交換時期を知らせることができる。
【0011】
また,上記基板処理装置は,前記上部電極を昇降させる駆動機構を備え,前記電極間距離の測定値に基づいて,前記電極間隔が予め記憶部に記憶された設定値になるように前記駆動機構を制御して前記上部電極の位置を補正するようにしてもよい。この場合,前記電極間距離を測定する際,前記上部電極を所定位置まで下降させてから前記リフトピンを上昇させて前記電極間距離を測定し,その後,前記上部電極を元の位置まで戻して前記上部電極の位置を補正するようにしてもよい。
【0012】
また,上記電極間距離の測定値から前記電極間距離の設定値に対する変動量を求め,その変動量が許容値以内であるか否かを判断し,前記電極間距離の変動量が前記許容値以内の場合にのみ前記上部電極の位置を補正するようにしてもよい。さらに,上記電極間距離の測定値から前記電極間距離の設定値に対する変動量を求め,その変動量が許容値以内であるか否かを判断し,前記電極間距離の変動量が前記許容値を超える場合には報知処理を行うようにしてもよい。これによれば,電極間距離の変動量が許容値以内に収まるうちは上部電極位置を補正し,許容値を超えるほど電極板が消耗した場合には交換を促すことができる。
【0013】
また,上記基板処理装置は,前記リフタの状態を検出するリフタセンサを設け,前記電極間距離の測定の際に,前記リフトピンの上昇開始から前記リフタセンサの出力を監視し,前記リフタセンサの出力の変化に基づいて前記リフトピンが前記上部電極に接触時点を判定する工程を有し,前記リフトピンの上昇開始から判定された接触時点までの時間に基づいて前記リフタの移動距離を測定するようにしてもよい。これによれば,基板が上部電極に接触するとリフタが動かなくなることを利用することで,容易に接触時点を判定できる。
【0014】
この場合,前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるモータとを備え,前記リフタセンサは,前記モータの負荷トルクを検出するトルクセンサで構成することができる。これによれば,前記判定工程では,前記リフトピンの上昇開始から前記トルクセンサの出力を監視し,前記リフトピンが上昇してから前記モータのトルクが急上昇した時点を前記リフトピンが前記上部電極に接触時点と判定できる。
【0015】
上記リフタセンサは,前記モータの駆動振動を検出する振動センサで構成してもよい。これによれば,前記判定工程は,前記リフトピンの上昇開始から前記振動センサの出力を監視し,前記モータの駆動振動が検出された時点を前記リフトピンが前記上部電極に接触時点と判定することができる。
【0016】
また,上記リフタセンサは,前記モータの駆動音を検出する音センサで構成してもよい。これによれば,前記判定工程は,前記リフトピンの上昇開始から前記音センサの出力を監視し,前記モータの駆動音が検出された時点を前記リフトピンが前記上部電極に接触時点と判定することができる。
【0017】
また,上記リフタセンサは,前記モータの温度を検出する温度センサで構成してもよい。これによれば,前記判定工程は,前記リフトピンの上昇開始から前記温度センサの出力を監視し,前記モータの温度に所定以上の温度上昇があった時点を前記リフトピンが前記上部電極に接触時点と判定することができる。
【0018】
また,上記リフタセンサは,前記ベースの位置を検出する位置センサで構成してもよい。これによれば,前記判定工程は,前記リフトピンの上昇開始から前記位置センサの出力を監視し,前記ベースの位置が所定の上昇位置まで到達した時点を前記リフトピンが前記上部電極に接触時点と判定することができる。
【0019】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,上記電極間距離測定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば,リフタを利用して電極間距離を直接測定することで,複雑な構成を追加することなく,電極間距離を従来以上に正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態にかかる基板処理装置の構成例を示す断面図である。
【図2A】同実施形態における電極間距離の測定原理を説明するための図であって,電極板消耗前の場合である。
【図2B】同実施形態における電極間距離の測定原理を説明するための図であって,電極板消耗後の場合である。
【図3】図1に示すリフタセンサをトルクセンサで構成した場合の具体例を示す図である。
【図4】電極間距離を測定する際におけるトルクの変化を示す図である。
【図5】図1に示すリフタセンサをモータセンサで構成した場合の具体例を示す図である。
【図6】図1に示すリフタセンサを位置センサで構成した場合の具体例を示す図である。
【図7】同実施形態における電極間距離の測定処理の具体例を示すフローチャートである。
【図8A】同実施形態における電極間距離の測定処理での作用説明図である。
【図8B】図8Aに続く作用説明図である。
【図8C】図8Bに続く作用説明図である。
【図9】同実施形態における電極間距離の測定処理の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
本発明の実施形態にかかる基板処理装置の一例として,平行平板型の基板処理装置100の概略構成を図1に示す。基板処理装置100は,例えば表面が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウムから成る円筒形状に成形された処理室(チャンバ)102を有しており,この処理室102は接地されている。
【0024】
処理室102内には,処理ガスやパージガスなどを導入するシャワーヘッドを構成する上部電極120と,この上部電極120に対向して配設され,ウエハWを載置する載置台300を構成する下部電極(サセプタ)310とを備える。
【0025】
本実施形態にかかる上部電極120は上部電極駆動機構200によって一方向例えば上下方向に駆動可能に構成されている。これにより,下部電極310と上部電極120との間隔は,調節可能となる。なお,上部電極駆動機構200についての詳細は後述する。
【0026】
上部電極120は,処理室102の上部内壁にベローズ122を介して支持されている。ベローズ122は処理室102の上部内壁に環状の上部フランジ122aを介してボルトなどの固定手段により取付けられるとともに,上部電極120の上面に環状の上部フランジ122bを介してボルトなどの固定手段により取付けられる。
【0027】
上部電極120は,下部電極310との対向面を構成し多数の吐出孔123を有する電極板124と,この電極板124を支持する電極支持体125とによって構成されている。電極板124は例えば石英から成り,電極支持体125は例えば表面がアルマイト処理されたアルミニウムなどの導電性材料から成る。
【0028】
上部電極120における電極支持体125には,ガス導入口126が設けられている。このガス導入口126には,ガス供給管127が接続されている。さらにこのガス供給管127には,バルブ128およびマスフローコントローラ129を介して,処理ガス供給部130が接続されている。
【0029】
この処理ガス供給部130から,例えばプラズマエッチングのためのエッチングガスが供給されるようになっている。なお,図1には,ガス供給管127,バルブ128,マスフローコントローラ129,および処理ガス供給部130等から成る処理ガス供給系を1つのみ示しているが,基板処理装置100は,複数の処理ガス供給系を備えている。例えば,CHF,Ar,He等の処理ガスが,それぞれ独立に流量制御され,処理室102内に供給される。
【0030】
次に,上部電極駆動機構200の詳細について説明する。この上部電極駆動機構200は,上部電極120を処理室102に対して摺動自在に支持する略円筒状の摺動支持部材204を有する。摺動支持部材204は上部電極120の上部略中央にボルトなどで取付けられている。
【0031】
摺動支持部材204は,処理室102の上壁の略中央に形成された孔102aを出入自在に配設される。具体的には摺動支持部材204の外周面はスライド機構210を介して処理室102の孔102aの縁部に摺動自在に支持されている。
【0032】
スライド機構210は例えば処理室102の上部に断面L字状の固定部材214を介して固定部材214の鉛直部に固定された案内部材216と,この案内部材216に摺動自在に支持され,摺動支持部材204の外周面に一方向(本実施形態では上下方向)に形成されたレール部212とを有する。
【0033】
スライド機構210の案内部材216を固定する固定部材214は,その水平部が環状の水平調整板218を介して処理室102の上部に固定される。この水平調整板218は上部電極120を水平位置を調整するためのものである。水平調整板218は例えば水平調整板218を周方向に等間隔で配置した複数のボルトなどにより処理室102に固定し,これらのボルトの突出量により水平調整板218の水平方向に対する傾き量を変えられるように構成するようにしてもよい。この水平調整板218が水平方向に対する傾きを調整することにより,上記スライド機構210の案内部材216が鉛直方向に対する傾きが調整されるので,案内部材216を介して支持される上部電極120の水平方向の傾きを調整することができる。これにより,上部電極120を簡単な操作で常に水平位置に保つことができる。
【0034】
処理室102の上側には,上部電極120を駆動するための空気圧シリンダ220が筒体201を介して取付けられている。すなわち,筒体201の下端は処理室102の孔102aを覆うようにボルトなどで気密に取付けられており,筒体201の上端は空気圧シリンダ220の下端に気密に取付けられている。
【0035】
上記空気圧シリンダ220は一方向に駆動可能なロッド202を有しており,このロッド202の下端は,摺動支持部材204の上部略中央にボルトなどで連設されている。これにより,空気圧シリンダ220のロッド202が駆動されることにより,上部電極120は摺動支持部材204によりスライド機構に沿って一方向に駆動する。ロッド202は円筒状に構成し,ロッド202の内部空間が摺動支持部材204の略中央に形成された中央孔と連通して大気開放されるようになっている。これにより,例えば接地配線などの各配線(図1では省略)は,ロッド202の内部空間から摺動支持部材204の中央孔を介して上部電極120に接続することができる。
【0036】
また,空気圧シリンダ220の側部には上部電極120の位置を検出する位置検出手段として例えばリニアエンコーダ205が設けられている。一方,空気圧シリンダ220のロッド202の上端にはロッド202から側方に延出する延出部207aを有する上端部材207が設けられており,この上端部材207の延出部207aにリニアエンコーダ205の検出部205aが当接している。上端部材207は上部電極120の動きに連動するため,リニアエンコーダ205により上部電極120の位置を検出することができる。
【0037】
空気圧シリンダ220は,筒状のシリンダ本体222を上部支持板224と下部支持板226とで挟んで構成されている。ロッド202の外周面には空気圧シリンダ220内を上部空間232と下部空間234に区画する環状の区画部材208が設けられている。
【0038】
空気圧シリンダ220の上部空間232には図示しない上部ポートから圧縮空気が導入されるようになっている。また空気圧シリンダ220の下部空間234には図示しない下部ポートから圧縮空気が導入されるようになっている。上部空間232,下部空間234へそれぞれ導入する空気量を制御することにより,ロッド202を一方向(ここでは上下方向)へ駆動制御することができる。この空気圧シリンダ220へ導入する空気量は空気圧シリンダ220の近傍に設けられた空気圧回路240により制御される。
【0039】
下部電極310は,例えばアルミニウムからなり,絶縁性の筒状保持部320を介して処理室102の底部に設けられる。なお,下部電極310は,ウエハWの外径に合わせて円柱状に形成される。
【0040】
下部電極310の上面には,直流電圧を印加して発生した静電吸着力で下部電極310に載置されたウエハを保持する静電チャック312が設けられている。具体的には静電チャック312は,例えば2枚の高分子ポリイミドフィルム間やセラミック間に銅箔などの導電膜からなる静電チャック電極314を絶縁状態で挟み込んで構成される。
【0041】
静電チャック電極314には電圧の出力を正電圧,負電圧,グランド(接地)に切換え可能な直流電源回路316が接続されている。直流電源回路316はさらに,正電圧,負電圧の電圧レベルを調整可能に構成されている。このような直流電源回路316から静電チャック電極314に高電圧を印加することによって,静電チャック312の上面にウエハWをクーロン力により吸着保持することができる。
【0042】
下部電極310には,ウエハWをリフトピン(リフタピン,支持ピン)332で持ち上げて静電チャック312の上面から脱離させるリフタ330を備える。リフタ330は,複数(例えば3本)のリフトピン332を起立した状態で支持するベース334と,ベース334に取り付けたボールネジなどのロッド336を昇降させるモータ338とで構成される。このようなモータ338としては例えばDCモータやステッピングモータを用いることができる。また,なお,リフタ330の昇降機構はこれに限られるものではなく,リフタ330を例えばリニアモータで昇降させるように構成してもよい。
【0043】
リフトピン332は,下部電極310の下方から鉛直上方に延びて静電チャック312の上面から突没自在に設けられる。具体的には各リフトピン332は,下部電極310と静電チャック312とを貫通して形成される孔部にそれぞれ挿入され,ベース334の昇降動作に応じて静電チャック312の上面から突没するようになっている。ベース334は例えば円板状又は環状に形成され,その上部にリフトピン332が等間隔に並ぶように取り付けられる。なお,これらリフトピン332の数は3本に限られるものではない。
【0044】
このように構成されたリフタ330によれば,リフトピン332をベース334で一斉に上昇させることでウエハWを静電チャック312から平行に持ち上げて静電チャック312から脱離させることができる。このようなリフタ330の動作についての詳細は後述する。
【0045】
なお,図示はしないが,載置台300には,ヒータや冷媒流路などの温度調整機構,静電チャック312の上面とウエハWの裏面との間に熱伝達促進用の伝達ガス(Heガスなど)を供給する伝熱ガス供給機構等,必要に応じて様々な機能を設けることができる。また,筒状保持部320の上面には,ウエハWを環状に囲む例えば石英やシリコンからなる図示しないフォーカスリングを配置してもよい。
【0046】
下部電極310には,2周波重畳電力を供給する電力供給装置340が接続されている。電力供給装置340は,第1周波数の第1高周波電力(プラズマ生起用高周波電力)を供給する第1高周波電力供給機構342と,第1周波数よりも低い第2周波数の第2高周波電力(バイアス電圧発生用高周波電力)を供給する第2高周波電力供給機構352から構成されている。
【0047】
第1高周波電力供給機構342は,下部電極310側から順次接続される第1フィルタ344,第1整合器346,第1電源348を有している。第1フィルタ344は,第2周波数の電力成分が第1整合器346側に侵入することを防止する。第1整合器346は,第1高周波電力成分をマッチングさせる。
【0048】
第2高周波電力供給機構352は,下部電極310側から順次接続される第2フィルタ354,第2整合器356,第2電源358を有している。第2フィルタ354は,第1周波数の電力成分が第2整合器356側に侵入することを防止する。第2整合器356は,第2高周波電力成分をマッチングさせる。
【0049】
処理室102の側壁には基板搬入出口104を開閉するためのゲートバルブ106が設けられている。また,処理室102の側壁の下方には排気口が設けられ,排気口には排気管108を介して真空ポンプ(図示せず)を含む排気部109が接続される。この排気部109により処理室102の室内を排気することによって,プラズマ処理中に処理室102内を所定の真空雰囲気に維持することができる。
【0050】
基板処理装置100には,制御部(全体制御装置)400が接続されており,この制御部400によって基板処理装置100の各部が制御されるようになっている。また,制御部400には,オペレータが基板処理装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや,基板処理装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなる操作部410が接続されている。
【0051】
さらに,制御部400には,基板処理装置100で実行される各種処理(ウエハWの処理,後述する電極間距離の測定処理を含む)を制御部400の制御にて実現するためのプログラムや,プログラムを実行するために必要な処理条件(レシピ)などが記憶された記憶部420が接続されている。
【0052】
なお,これらのプログラムや処理条件はハードディスクや半導体メモリに記憶されていてもよく,またCD−ROM,DVD等の可搬性のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に収容された状態で記憶部420の所定位置にセットするようになっていてもよい。
【0053】
制御部400は,操作部410からの指示等に基づいて所望のプログラム,処理条件を記憶部420から読み出して各部を制御することで,基板処理装置100での所望の処理を実行する。また,操作部410からの操作により処理条件を編集できるようになっている。
【0054】
このような構成の基板処理装置100では,ウエハ処理として例えばエッチング処理を実行する場合,図示しない搬送アームなどによりウエハWを処理室102内へ搬入し,載置台を兼ねる下部電極310上に載置させて,静電チャック312によりウエハWを静電吸着する。そして,処理ガス供給部130により処理室102内に所定の処理ガスを導入し,排気部109により処理室102内を排気することにより,処理室102内を所定の真空圧力に減圧する。
【0055】
この状態で,下部電極310に,第1電源348から第1高周波として10MHz以上,例えば100MHzを供給し,第2電源358から第2高周波として2MHz以上10MHz未満,例えば3MHzの第2の高周波電力を供給する。これにより,第1高周波の働きで下部電極310と上部電極120との間に処理ガスのプラズマが発生する。また第2高周波の働きで下部電極310にセルフバイアス電位が発生する。これにより,ウエハWに対して例えば反応性イオンエッチング等のプラズマ処理を実行できる。このように,下部電極310に第1高周波および第2高周波を供給してこれらを重畳させることにより,プラズマを適切に制御して良好なプラズマ処理を行うことができる。
【0056】
プラズマ処理が終了すると,静電チャック312の印加電圧をオフにして,リフタ330を駆動してリフトピン332でウエハWを押し上げて静電チャック312から脱離する。そして,図示しない搬送アームなどでウエハWを処理室102から搬出する。
【0057】
本実施形態では,このようなウエハWのプラズマ処理を行う前に,上部電極120を予め設定された位置に調整することで,処理条件(レシピ)によって予め設定された電極間距離を調整するようになっている。
【0058】
ところが,ウエハWの処理の繰り返しによって上部電極120の電極板124が消耗して厚みが薄くなるので,その分だけ電極間距離が変動してしまう。電極間距離の変動の大きさによっては,ウエハWの処理に無視できない影響を与える虞がある。この点,ウエハWの処理時間の積算値などに基づいて上部電極120の電極板124の消耗を予測するものもあるが,近年ではウエハWの処理が複雑化していて消耗予測も難しくなっている。
【0059】
そこで,本実施形態では,リフタ330を利用して電極間距離の変動を測定する。これによれば,電極間距離を直接測定できるので,正確に測定できる。また,電極間距離を測定する機構を別途設ける必要がないので,装置構造を複雑化することなく,コストも低減できる。
【0060】
ここで,リフタ330を利用した電極間距離の測定原理を図面を参照しながら説明する。図2A,図2Bは電極間距離の測定原理を説明するための図である。なお,図2A,図2Bは,図1に示す構成の一部を取り出して簡略化して示したものである。
【0061】
図2Aに示すように,下部電極310上にウエハWがないときに,リフトピン332を上部電極120に接触するまで上昇させる。これにより,リフトピン332の先端が静電チャック312の表面から上部電極120に接触するまでの移動距離が電極間距離Lとなる。このように,リフトピン332の移動距離(リフタ330の移動距離)を求めることで,電極間距離Lを直接測定することができる。そして,図2Bに示すように,上部電極120の電極板124の下面がプラズマに晒されて削れて消耗すると,リフトピン332の先端が上部電極120に接触する位置もずれて電極間距離がL’に変化する。これによって,下記(1)式により上部電極120の電極板124の消耗量ΔLを容易に算出できる。
【0062】
ΔL=L’−L ・・・(1)
【0063】
上述したリフトピン332の移動距離(リフタ330の移動距離)は,例えばリフトピン332の上昇開始からその先端が上部電極120に接触するまでの時間に基づいて求めることができる。具体的にはリフタ330の駆動時間とその移動距離との関係を予め求めておけば,リフタ330の駆動時間をその移動距離に容易に変換できる。
【0064】
この場合のリフタ330の移動距離は,リフトピン332の位置情報(ベース334の位置情報)から求めることができ,この位置情報は例えばモータ338がエンコーダ付のDCモータであればそのエンコーダ出力によって求めることができる。またモータ338がステッピングモータであればそのステップ数によって求めることができる。
【0065】
なお,リフタ330の上昇速度を一定にすれば,リフタ330の上昇時間はその移動距離に比例するので計算も簡単になる。但し,リフタ330の上昇速度は必ずしも一定に限られるものではない。例えば,リフトピン332の上昇開始から速度を上げて,上部電極120に近づくと減速させて,上部電極120に接触する直前から接触するまでは速度を一定にさせるようにしてもよい。
【0066】
ここで,リフトピン332の上昇開始から上部電極120に接触した時点を検出する方法について詳細に説明する。リフトピン332の先端が上部電極120の電極板124の下面に接触するとそれ以上に上昇できないため,リフタ330はそのまま動かなくなる。
【0067】
そこで,本実施形態では図1に示すように,リフタ330の状態(モータの負荷(トルクなど),モータの駆動振動,モータの駆動音,モータの温度など)を検出するリフタセンサ360を設ける。そして,このリフタセンサ360の出力に基づいて,リフタ330の駆動開始後にリフタ330が動かなくなったことを検出することで,リフトピン332の先端が上部電極120に接触したことを検出する。
【0068】
ここで,このようなリフタセンサ360の具体例について図面を参照しながら説明する。先ず,リフタセンサ360をトルクセンサ362で構成した場合を図3に示す。ここではトルクセンサ362によってリフタ330を昇降するモータ338のトルク(負荷)を検出する。このようなトルクセンサ362としては力センサなどを用いることができる。
【0069】
電極間距離を測定する際にリフタ330の上昇を開始すると,トルクセンサ362からの出力は図4に示すようになる。すなわち,ウエハWが載置されていない状態でリフタ330を上昇させると,リフトピン332が上部電極120に接触するまではトルクは一定になる。
【0070】
その後,リフトピン332が上部電極120に接触すると,それ以上に上昇できないため,その接触時点からトルクが急上昇する。従って,トルクが急上昇した時点を検出することでリフトピン332が上部電極120に接触したことを検出できる。具体的には制御部400は,リフトピン332の上昇を開始した時点tからトルクセンサ362の出力を監視し,トルクが閾値を超えた時点tをリフトピン332が上部電極120に接触した時点と判断する。そして,tからtまでの時間ΔTをリフトピン332の移動時間(リフタ330の移動時間)として測定し,この時間ΔTをリフタ330の移動距離に変換してそれを電極間距離Lとする。
【0071】
なお,上述したリフタ330の状態の検出は,図3に示すようなモータ338のトルクを検出するものに限られるものではない。例えば図5に示すようにモータ338の状態(駆動振動,駆動音,温度など)をモータセンサ364で検出することでも,リフトピン332が上部電極120に接触したことを検知できる。すなわち,リフトピン332が上部電極120に接触してリフタ330が動かなくなればモータ338も動かなくなるので,モータ338には駆動振動や駆動音は発生しなくなり,また所定以上の温度上昇が発生する。これに対して,リフタ330が動いているときはモータ338も動いているので,モータ338には駆動振動や駆動音が発生し,所定以上の温度上昇は発生しない。
【0072】
このため,モータセンサ364として例えば振動センサ,音センサ,温度センサなどを用いて,モータ338が動いているか否かを検知することで,リフトピン332が上部電極120に接触したと判断できる。例えばモータセンサ364を振動センサで構成した場合,制御部400はリフトピン332の上昇開始から振動センサの出力を監視し,モータ338の駆動振動を検出しなくなったときにリフトピン332が上部電極120に接触したと判断できる。
【0073】
また,モータセンサ364を音センサで構成した場合,制御部400はリフトピン332の上昇開始から音センサの出力を監視し,モータ338の駆動音を検出しなくなったときにリフトピン332が上部電極120に接触したと判断できる。
【0074】
また,モータセンサ364を温度センサで構成した場合,制御部400はリフトピン332の上昇開始から温度センサの出力を監視し,モータ338の温度に所定以上の温度上昇があったときにリフトピン332が上部電極120に接触したと判断できる。
【0075】
このように,モータセンサ364の出力を監視することで,リフトピン332の上昇開始から上部電極120に接触するまでの時間を測定できるので,これをリフタ330の移動距離に変換することで電極間距離を測定できる。
【0076】
なお,リフタ330の状態は,リフトピン332が上部電極120に接触したときのベース334の位置を光センサなどで直接検出するようにしてもよい。例えば図6に示すように,筒状保持部320内にベース334の位置を検出する位置センサ366を設ける。このような位置センサ366として例えば光センサや磁気センサを用いることができる。位置センサ366はリフトピン332が上部電極120に接触する所定の位置まで上昇したときにオンするように配置する。
【0077】
制御部400は,リフトピン332の上昇開始から位置センサ366の出力を監視し,位置センサ366がオンになればリフトピン332が上部電極120に接触したと判断する。上述した図6ではベース334の上昇位置を検出する場合を例に挙げて説明したが,これに限られるものではない。例えばリフトピン332の位置,ロッド336の位置などを検出してもよい。
【0078】
なお,上記実施形態では,リフトピン332の上昇開始から上部電極120に接触するまでの時間に基づいて電極間距離を求める場合について説明したが,電極間距離の求め方は必ずしもこれに限られるものではない。例えばリフトピン332が上部電極120に接触した時点のリフタ330の位置(上部電極120に接触した位置)を検出することで,電極間距離を求めるようにしてもよい。
【0079】
また,リフトピン332が上部電極120に接触したときのリフタ330の位置を求める他の方法としては,リフトピン332の上昇開始からモータ338のエンコーダ出力やステップ数を監視して所定時間経過してもエンコーダ出力やステップ数が変化しなくなった時点を上部電極120に接触したと判断し,そのときのリフタ330の位置を検出するようにしてもよい。
【0080】
このように,本実施形態によれば,リフトピンを利用することで電極間距離を直接求めることがきる。これにより,電極間距離の変化に応じて上部電極120の位置を調整できるので,電極板124が消耗しても常に電極間距離を設定値に保持することができる。また,上部電極120の電極板124の消耗量も確実に検出できるので,電極板124のより適切な交換時期を知らせることができる。
【0081】
(電極間距離測定処理の具体例)
次に,このようにリフタ330を利用した電極間距離の測定処理の具体例について図面を参照しながら説明する。図7は本実施形態における電極間距離の測定処理の概略を示すメインルーチンのフローチャートである。図8A〜図8Cは,電極間距離の測定処理での作用説明図である。電極間距離の測定処理は,制御部400によって記憶部420に記憶されたプログラムに基づいて,処理済のウエハWを処理室102内から搬出した後に実行される。
【0082】
図7に示すように電極間距離の測定処理では,先ずステップS110にて上部電極120を最下位置まで下降させる(図8A)。このように,測定前に最下位置まで下降させることで,測定時のリフタ330の移動距離を最小限にすることができる。また,測定処理を実行するごとに常に同じ位置まで下降させていれば,上部電極120の電極板124の消耗量を正確に測定できるので,必ずしも最下位置まで下降させなくてもよい。
【0083】
次に,ステップS120にてリフタ330のモータ338を駆動してリフトピン332を上昇させて(図8B),上述したリフタセンサ360によってリフタ330の状態を監視する。そして,ステップS130にてそのリフタ330の状態に基づいてリフトピン332が上部電極120に接触したか否かを判断する。
【0084】
ステップS130にてリフトピン332が上部電極120に接触したと判断した場合は,ステップS140にて電極間距離L’を求める(図8C)。例えばトルクセンサ362によってリフタ330の状態を監視する場合は,リフタ330の基準位置から図4に示すようにトルクが閾値を超えた時点までのリフタ330の移動距離を電極間距離として求める。こうして測定された電極間距離L’は,記憶部420に記憶して履歴を残しておいてもよい。
【0085】
次に,ステップS150にて電極間距離の変動量(図2Bに示すΔL)が許容値以内か否かを判断する。例えば電極間距離の測定値L’と設定値(図2Bに示すL)とを比較して,その差異である変動量が予め設定された許容値以内か否かで判断する。ステップS150にて電極間距離の変動量が許容値以内であると判断した場合は,ステップS170にてリフトピン332を下降させて,ステップS180にて上部電極120を元の位置に戻して電極間距離の変動量だけ上部電極120の位置を補正して一連の測定処理を終了する。これにより,電極板124が消耗していても電極間距離が常に設定値になるように補正できる。
【0086】
これに対して,ステップS150にて電極間距離の変動量が許容値を超えていると判断した場合は電極板124の交換が必要なほど消耗しているので,ステップS160にてエラー処理を行って一連の電極間距離の測定処理を終了する。ここでのエラー処理としては,電極板124の交換を促す旨の表示処理やアラームなどの報知処理を行う。
【0087】
このように,本実施形態によれば,リフタ330を利用することで電極間距離を直接求めることがきる。これにより,電極間距離の変化に応じて上部電極120の位置を調整できるので,電極板124が消耗しても常に電極間距離を設定値に保持することができる。また,上部電極120の電極板124の消耗量も確実に検出できるので,電極板124のより適切な交換時期を知らせることができる。
【0088】
なお,電極間距離の測定処理の実施時期は,ウエハWの1枚分の処理が終了するごとであってもよく,またウエハWの所定枚数の処理(例えば1ロット25枚分の処理)が終了するごとであってもよい。また高周波電力を印加した積算時間を記憶部420に記憶しておき,所定の積算時間ごとに実行するようにしてもよい。
【0089】
また,複数種類の処理条件でウエハWの処理を実行する場合には,電極間距離の測定処理の実行間隔を処理条件に応じて変更してもよい。さらに電極間距離の測定処理の実施時期は,処理室102内のクリーニング終了後であることが好ましい。これによれば,上部電極120などに付着した反応生成物などのパーティクルがクリーニングによって除去されるので,リフトピン332を上部電極120に接触したときにそのパーティクルが付着することを防止できる。
【0090】
ところで,図7に示す電極間距離の測定処理では,測定前に上部電極120を下降させる場合を例に挙げて説明したが,これに限られるものではなく,上部電極120を下降させずにそのまま電極間距離を測定してもよい。
【0091】
ここで,上部電極120を下降させない電極間距離の測定処理の具体例を図9に示す。図9に示す測定処理では,ウエハWが処理室102から搬出された後に上部電極120の位置はそのままで,先ずステップS210にてリフタ330のモータ338を駆動してリフトピン332を上昇させる。そして,上述したリフタセンサ360によってリフタ330の状態を監視し,ステップS220にてそのリフタ330の状態に基づいてリフトピン332が上部電極120に接触したか否かを判断する。
【0092】
ステップS220にてリフトピン332が上部電極120に接触したと判断した場合は,図7に示すステップS140,S150と同様に,ステップS230にて電極間距離を求め,ステップS240にて電極間距離の変動量が許容値以内か否かを判断する。ステップS240にて電極間距離の変動量が許容値以内であると判断した場合はステップS260にてリフトピン332を下降させて,ステップS270にて電極間距離の変動量だけ上部電極120の位置を補正して一連の測定処理を終了する。
【0093】
これに対して,ステップS240にて電極間距離の変動量が許容値を超えていると判断した場合は電極板124の交換が必要なほど消耗しているので,ステップS160と同様にステップS250にてエラー処理を行って一連の電極間距離の測定処理を終了する。
【0094】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0095】
例えば本実施形態では,上部電極の位置を調整できる基板処理装置に本発明を適用した場合の例を挙げて説明したが,これに限定されるものではなく,上部電極が固定されている基板処理装置にも本発明にかかる電極間距離の測定処理を適用可能である。この場合は,電極間距離を補正できないので,図9に示すステップS270(電極間距離を補正)を省略して適用することができる。また,下部電極を上下に移動可能な基板処理装置に本発明にかかる電極間距離の測定処理を適用可能である。この場合は,図9に示すステップS270は,下部電極の位置を補正することで電極間距離を補正するようにしてもよい。
【0096】
また,上記実施形態では基板処理装置として,下部電極のみに2種類の高周波電力を重畳して印加してプラズマを生起させるタイプのプラズマ処理装置を例に挙げて説明したが,これに限定されるものではなく,別のタイプ例えば下部電極のみに1種類の高周波電力を印加するタイプや2種類の高周波電力を上部電極と下部電極にそれぞれ印加するタイプのプラズマ処理装置に適用してもよい。さらに,本発明を適用可能な基板処理装置としては,プラズマ処理装置に限定されることはなく,平行平板型の電極間にプラズマを形成して成膜処理を行う熱処理装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は,対向配置された電極間にプラズマを生成して基板に対してプラズマ処理を行う基板処理装置及びその電極間距離の測定方法並びにプログラムを記憶する記憶媒体に適用可能である。
【符号の説明】
【0098】
100 基板処理装置
102 処理室
102a 孔
104 基板搬入出口
106 ゲートバルブ
108 排気管
109 排気部
120 上部電極
122 ベローズ
122a 上部フランジ
122b 上部フランジ
123 吐出孔
124 電極板
125 電極支持体
126 ガス導入口
127 ガス供給管
128 バルブ
129 マスフローコントローラ
130 処理ガス供給部
200 上部電極駆動機構
201 筒体
202 ロッド
204 摺動支持部材
205 リニアエンコーダ
205a 検出部
207 上端部材
207a 延出部
208 区画部材
210 スライド機構
212 レール部
214 固定部材
216 案内部材
218 水平調整板
220 空気圧シリンダ
222 シリンダ本体
224 上部支持板
226 下部支持板
232 上部空間
234 下部空間
240 空気圧回路
300 載置台
310 下部電極
312 静電チャック
314 静電チャック電極
316 直流電源回路
320 筒状保持部
330 リフタ
332 リフトピン
334 ベース
336 ロッド
338 モータ
340 電力供給装置
342 第1高周波電力供給機構
344 第1フィルタ
346 第1整合器
348 第1電源
352 第2高周波電力供給機構
354 第2フィルタ
356 第2整合器
358 第2電源
360 リフタセンサ
362 トルクセンサ
364 モータセンサ
366 位置センサ
400 制御部
410 操作部
420 記憶部
W ウエハ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部電極と下部電極が対向して配置された処理室内において,前記電極間に高周波電力を印加して所定のガスのプラズマを生起することで前記下部電極上に載置された基板に対して所定の処理を施す基板処理装置における電極間距離測定方法であって,
前記基板処理装置は,
前記下部電極から突没自在に設けられ,前記下部電極から前記基板を持ち上げて脱離させるリフトピンと,
前記リフトピンを昇降させるリフタと,を備え,
前記下部電極に前記基板が載置されていない状態で,前記リフタを駆動して前記リフトピンを上昇させて,前記上部電極に接触させることで前記リフタの移動距離から前記上部電極と前記下部電極との電極間距離を測定することを特徴とする電極間隔測定方法。
【請求項2】
前記基板処理装置は,前記上部電極を昇降させる駆動機構を備え,
前記電極間距離の測定値に基づいて,前記電極間隔が予め記憶部に記憶された設定値になるように前記駆動機構を制御して前記上部電極の位置を補正することを特徴とする請求項1に記載の電極間測定方法。
【請求項3】
前記電極間距離を測定する際,前記上部電極を所定位置まで下降させてから前記リフトピンを上昇させて前記電極間距離を測定し,
その後,前記上部電極を元の位置まで戻して前記上部電極の位置を補正することを特徴とする請求項2に記載の電極間測定方法。
【請求項4】
前記電極間距離の測定値から前記電極間距離の設定値に対する変動量を求め,その変動量が許容値以内であるか否かを判断し,前記電極間距離の変動量が前記許容値以内の場合にのみ前記上部電極の位置を補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電極間測定方法。
【請求項5】
前記電極間距離の測定値から前記電極間距離の設定値に対する変動量を求め,その変動量が許容値以内であるか否かを判断し,前記電極間距離の変動量が前記許容値を超える場合には報知処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電極間測定方法。
【請求項6】
前記基板処理装置は,前記リフタの状態を検出するリフタセンサを設け,
前記電極間距離の測定の際に,前記リフトピンの上昇開始から前記リフタセンサの出力を監視し,前記リフタセンサの出力の変化に基づいて前記リフトピンが前記上部電極に接触時点を判定する工程を有し,
前記リフトピンの上昇開始から判定された接触時点までの時間に基づいて前記リフタの移動距離を測定することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電極間隔測定方法。
【請求項7】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるモータとを備え,
前記リフタセンサは,前記モータの負荷トルクを検出するトルクセンサであり,
前記判定工程は,前記リフトピンの上昇開始から前記トルクセンサの出力を監視し,前記モータのトルクが急上昇した時点を前記リフトピンが前記上部電極に接触時点と判定することを特徴とする請求項6に記載の電極間隔測定方法。
【請求項8】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるモータとを備え,
前記リフタセンサは,前記モータの駆動振動を検出する振動センサであり,
前記判定工程は,前記リフトピンの上昇開始から前記振動センサの出力を監視し,前記モータの駆動振動が検出された時点を前記リフトピンが前記上部電極に接触時点と判定することを特徴とする請求項6に記載の基板脱離方法。
【請求項9】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるモータとを備え,
前記リフタセンサは,前記モータの駆動音を検出する音センサであり,
前記判定工程は,前記リフトピンの上昇開始から前記音センサの出力を監視し,前記モータの駆動音が検出された時点を前記リフトピンが前記上部電極に接触時点と判定することを特徴とする請求項6に記載の基板脱離方法。
【請求項10】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるモータとを備え,
前記リフタセンサは,前記モータの温度を検出する温度センサであり,
前記判定工程は,前記リフトピンの上昇開始から前記温度センサの出力を監視し,前記モータの温度に所定以上の温度上昇があった時点を前記リフトピンが前記上部電極に接触時点と判定することを特徴とする請求項6に記載の基板脱離方法。
【請求項11】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるモータとを備え,
前記リフタセンサは,前記ベースの位置を検出する位置センサであり,
前記判定工程は,前記リフトピンの上昇開始から前記位置センサの出力を監視し,前記ベースの位置が所定の上昇位置まで到達した時点を前記リフトピンが前記上部電極に接触時点と判定することを特徴とする請求項6に記載の基板脱離方法。
【請求項12】
上部電極と下部電極が対向して配置された処理室内において,前記電極間に高周波電力を印加して所定のガスのプラズマを生起することで前記下部電極上に載置された基板に対して所定の処理を施す基板処理装置であって,
前記下部電極から突没自在に設けられ,前記下部電極上に載置された前記基板を持ち上げて脱離させるリフトピンと,
前記リフトピンを昇降させるリフタと,
前記下部電極に前記基板が載置されていない状態で,前記リフタを駆動して前記リフトピンを上昇させて,前記上部電極に接触させることで前記リフタの移動距離から前記上部電極と前記下部電極との電極間距離を測定する制御部と,
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項13】
前記上部電極を昇降させる駆動機構を備え,
前記制御部は,前記電極間距離の測定値に基づいて,前記電極間隔が予め記憶部に記憶された設定値になるように前記駆動機構を制御して前記上部電極の位置を補正することを特徴とする請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記制御部は,前記電極間距離を測定する際,前記上部電極を所定位置まで下降させてから前記リフトピンを上昇させて前記電極間距離を測定し,
その後,前記上部電極を元の位置まで戻して前記上部電極の位置を補正することを特徴とする請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記制御部は,前記電極間距離の測定値から前記電極間距離の設定値に対する変動量を求め,その変動量が許容値以内であるか否かを判断し,前記電極間距離の変動量が前記許容値以内の場合にのみ前記上部電極の位置を補正することを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記制御部は,前記電極間距離の測定値から前記電極間距離の設定値に対する変動量を求め,その変動量が許容値以内であるか否かを判断し,前記電極間距離の変動量が前記許容値を超える場合には報知処理を行うことを特徴とする請求項12〜15のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記リフタの状態を検出するリフタセンサを設け,
前記制御部は,前記電極間距離の測定の際に,前記リフトピンの上昇開始から前記リフタセンサの出力を監視し,前記リフタセンサの出力の変化に基づいて前記リフトピンが前記上部電極に接触時点を判定し,前記リフトピンの上昇開始から判定された接触時点までの時間に基づいて前記リフタの移動距離を測定することを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるモータとを備え,
前記リフタセンサは,前記モータの負荷トルクを検出するトルクセンサであることを特徴とする請求項17に記載の基板処理装置。
【請求項19】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるモータとを備え,
前記リフタセンサは,前記モータの駆動振動を検出する振動センサであることを特徴とする請求項18に記載の基板処理装置。
【請求項20】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるモータとを備え,
前記リフタセンサは,前記モータの駆動音を検出する音センサであることを特徴とする請求項18に記載の基板処理装置。
【請求項21】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるモータとを備え,
前記リフタセンサは,前記モータの温度を検出する温度センサであることを特徴とする請求項18に記載の基板処理装置。
【請求項22】
前記リフタは,前記リフトピンを支持するベースと,前記ベースを昇降させるモータとを備え,
前記リフタセンサは,前記ベースの位置を検出する位置センサであることを特徴とする請求項18に記載の基板処理装置。
【請求項23】
請求項1〜11のいずれかに記載の電極間距離測定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−119499(P2011−119499A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276239(P2009−276239)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】