説明

基板処理装置及び基板処理装置における基板搬送装置

【課題】基板を処理する処理槽と、処理槽に沿って設けられた搬送路と、搬送路上を移動して基板を搬送する基板搬送装置とからなる基板処理装置で、基板処理装置の設置面積を拡大することなく、基板処理のスループットを向上することが可能な基板処理装置及び基板処理装置における基板搬送装置を提供すること。
【解決手段】同一搬送路上を移動可能な少なくとも2以上の基板搬送装置を具備し、基板を搬送する前記基板搬送装置は、互いに複数の処理槽を重複して移動可能するようにする。また、スケジューラにより生成されたスケジューリングデータで同時に複数の処理槽での基板搬送が生じた場合には、基板搬送分担処理条件と照合してスケジューリングデータを決定するようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウェーハ等の基板について洗浄等の処理を行う基板処理装置と、基板処理装置に装備されてシリコンウェーハ等の基板を処理槽に搬送する基板搬送装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
種々の処理液(薬液、リンス液)を夫々貯留した複数の処理槽、乾燥槽を備えた基板処理装置においては、シリコンウェーハ等の基板を基板搬送装置によって処理槽の処理液に処理工程順に浸漬させる。そして、基板処理装置の前段には、未処理の基板を受け入れて基板処理装置が備える基板搬送装置への受渡し位置に搬送するストッカ並びに基板立替装置が設けられている。
【0003】
ストッカは、基板処理装置への未処理の基板の搬入、基板処理装置を経た処理後の基板を後段の工程に向けて搬出する装置である。通常、未処理の基板は前段の工程からカセット内に複数枚が配列収容された状態で送り込まれ、搬送手段としてはこのカセットごと搬送するカセット搬送方式のものと、カセット内の基板のみを保持して搬送するいわゆるカセットレス方式のものとがあるが、装置の構成にあたっては、いずれかが適宜選定されて構成される。
【0004】
基板立替装置は、カセット搬送方式で搬送されたストッカ上のカセットから全基板を一括チャッキングして取り出して上記基板処理装置の基板搬送装置への受渡し位置へ移送する未処理基板立替装置と、処理後の基板を基板搬送装置の受渡し位置より受け取って、カセット内に収納してストッカに移送する処理済基板立替装置からなる。
【0005】
図8は、従来の基板処理装置50の要部の構成を示す概略図である。図8に示すように、基板処理装置50は、種々の処理液が貯留されてなる複数の処理槽10〜15、チャック洗浄槽8,9、乾燥槽20、未処理基板立替装置35、処理済基板立替装置36、搬送軌道4を移動する基板搬送装置R1,R2、R3とを有する。また、図8に、基板搬送装置R1,R2、R3の可動範囲を示す。基板搬送装置R1,R2、R3は、1本の搬送軌道4上を移動するように構成されている。基板搬送装置R1は、未処理基板立替装置35から搬入される基板を保持して処理槽10、11、12,13の順次浸漬させて移送する。搬入された基板は処理槽10〜13で洗浄等の処理が行われる。基板搬送装置R2は、処理槽13で処理を終えた基板を後段の処理槽14、15に順次浸漬させて移送し、処理槽14.15で基板の洗浄等の処理が行われた基板は、乾燥槽20に移送される。乾燥槽20で乾燥処理を終えた基板は、基板搬送装置R3により処理済基板立替装置36に受け渡される。なお、処理槽13で基板搬送装置R1と基板搬送装置R2との基板の受渡が行われ、また、乾燥槽20で基板搬送装置R2と基板搬送装置R3との基板の受渡が行われる。基板搬送装置での基板の受渡が行われる処理槽を乗継槽という。乗継槽以外の処理槽への基板の搬送を行う基板搬送装置は固定化されている。なお、図8に示す基板搬送装置R1,R2、R3はカセットレス方式のものである。
【0006】
次に、基板搬送装置R1,R2,R3等の制御を行うためのスケジューリングデータの作成について述べる。基板搬送装置R1,R2,R3は、各処理槽の処理時間等の制御パラレータであるレシピ(制御プログラム)に基づいて生成されたスケジューリングデータにより制御される。図9に従来のスケジューラによる基板処理装置の制御シーケンス作成のフローチャートを示す。図9に示すように、最初に、処理槽の設置数、各処理槽における処理時間、処理液の種類、基板搬送装置の可動範囲、搬送時間、リフターの動作時間等に関する処理条件、搬送条件のデータの入力をキーボード等の入力装置、又は、搬送時間、リフターの動作時間の測定(ティーチング)等により行う(ステップS20)。コンピュータは、入力されたデータに基づいて、処理のスケジューリングの作成を行う(ステップS21)。スケジューリングは、各処理槽の処理時間、処理液の種類のデータから各処理槽への基板の投入開始時間、持ち出し時間が算出される。また。処理槽の処理液の種類により基板搬送装置のチャック部の洗浄が必要かを判断する。これにより総ての処理槽に於ける処理開始時間、処理終了時間及び基板搬送装置の各処理槽に於ける基板の搬入及び搬出のタイミングが決定される。
【0007】
次に、基板搬送装置の搬入及び搬出のタイミングから基板搬送装置の動作が重ならないかをチェックする(ステップS22、23)。基板搬送装置の動作が重ならない場合は、ステップS25に移行する。基板搬送装置の動作が重なる場合には、ステップS24に移行して、スケジューリングにより作成されている基板の投入タイミングを遅らせるように変更して(ステップS24)、ステップS22に移行する。基板搬送装置が処理可能と判断した場合には、スケジューリングの確定を行う(ステップS25)。確定したスケジュールのデータを基板処理装置1の制御装置に転送し(ステップS26)、基板処理装置1は処理を開始する(ステップS27)。以上により、未処理基板立替装置35の基板は、基板搬送装置RT1により第1の処理槽に搬送されて、処理が開始される。
【0008】
【特許文献1】
特公平7−22144号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平10−172939号公報
【0010】
【特許文献3】
特開2002−172367号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかして、各処理槽毎の処理時間は、スケジューリングデータで予め規定されているため、各処理槽の処理時間経過後は基板を直ちに処理槽より引き上げて次の処理槽に搬送する必要がある。しかしながら、従来の基板処理装置は処理槽間の可動範囲が固定されていた為、可動範囲内の基板搬送装置が基板の搬送等で作動中のときに、可動範囲内の他の処理槽で基板の搬送が必要になった場合には、他の処理槽へのアクセスができない。このため、基板搬送装置の動作完了まで他の処理槽の基板搬送を待つ必要がある。
【0012】
図10は、各処理槽に於ける基板の処理を時系列で示したタイミング図である。なお、図1010で示す矢印は基板搬送装置による基板の搬送動作を示し、各処理槽のハンチング線は処理中であることを示し、ハンチング線の長さは処理時間を示している。図10に示すように、未処理基板立替装置35から図10に示す基板群(円で示す第1のロット、第2のロット、第3のロット)を順次第1の処理槽10から投入すると、各処理槽毎の処理時間が規定されているため、図10に示すt1、t2すなわち、処理槽10から11、処理槽12から13への移行時に、2つの処理槽で同時に基板の搬送が必要となっている。処理槽10から13までの基板搬送装置は1台であるため、1つの処理槽での基板の搬送が終了するまで他の処理槽は待たされる。
【0013】
これを解消するため、処理槽の処理の完了が重ならないように、基板の第1の処理槽への投入を遅らせる必要があり、従来方式では図11に示すように、基板群(第1のロット、第2のロット)の第1の処理槽への投入を遅らせて、基板の搬送の重なりを回避している。
【0014】
しかしながら、基板の処理槽への投入を遅らせることにより、基板処理装置50のスループットが制限されるため所定時間内での基板の処理枚数が減ってしまう。このため、基板処理装置50における基板処理のスループットを向上させることが課題となっている。
【0015】
本発明は、基板処理装置の設置面積を拡大することなく、処理槽間の基板搬送装置の可動範囲を複数の基板搬送装置で重複させて同時に処理槽間の基板搬送を行うことにより、基板処理のスループットの向上を図ることが可能な基板処理装置及び基板処理装置における基板搬送装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明による基板処理装置は、基板を処理する処理槽と、前記処理槽に沿って設けられた搬送軌道と、前記搬送軌道上を移動して基板を受渡し搬送する基板搬送装置とからなる基板処理装置であって、同一搬送軌道上に少なくとも2以上の前記基板搬送装置を備え、前記基板搬送装置は互いに複数の処理槽を共通動作範囲として動作可能にしたものである。
【0017】
また、本発明による基板処理装置は、基板を処理する処理槽と、前記処理槽に沿って設けられた搬送軌道と、前記搬送軌道上を移動して基板を受渡し搬送する基板搬送装置とからなる基板処理装置であって、前記基板搬送装置より高い位置に前記搬送軌道と平行に、未処理の基板を搬送するシャトルを具備したものである。
【0018】
また、本発明による基板処理装置は、基板を処理する処理槽と、前記処理槽に沿って設けられた搬送軌道と、前記搬送軌道上を移動して基板を受渡し搬送する基板搬送装置とからなる基板処理装置であって、同一搬送軌道上に少なくとも2以上の前記基板搬送装置を備え、互いに複数の処理槽を共通動作範囲として動作可能である前記基板搬送装置と、前記基板搬送装置より高い位置に前記搬送軌道と平行に、未処理の基板を搬送するシャトルとを具備したものである。
【0019】
また、本発明による基板処理装置は、前記基板搬送装置毎に、前記基板搬送装置の基板チャック部の洗浄を行うチャック洗浄手段としての専用槽を具備したものである。
【0020】
また、本発明による基板処理装置は、前記シャトルから未処理の基板を受け取り、未処理の基板を前記基板搬送装置の受け渡し位置まで下降させるシャトル下降エレベータを具備したものである。
【0021】
また、本発明による基板処理装置は、未処理の基板を上昇させて前記シャトルに搬送するシャトル上昇エレベータを具備したものである。
【0022】
また、本発明による基板処理装置は、未処理基板の搬入位置から前記シャトル上昇エレベータまで未処理基板を搬送する処理基板搬入部を具備したものである。
【0023】
また、本発明による基板処理装置は、前記基板搬送装置から処理済み基板を受け取り基板搬出位置まで搬送する処理基板搬出部を具備したものである。
また、本発明による基板処理装置における基板搬送装置は、処理条件、搬送条件を入力し、前記処理条件、搬送条件からスケジューラにより生成されたスケジューリングデータに基づいて基板搬送装置の制御を行う基板処理装置における基板搬送装置において、スケジューラにより生成されたスケジューリングデータで同時に複数の処理槽での基板搬送が生ずる場合には、基板搬送分担処理条件と照合してスケジューリングデータを決定するようにしたものである。
【0024】
また、本発明による基板処理装置における基板搬送装置の前記スケジューラは、共通動作範囲内の複数の基板搬送装置から所定の処理槽への基板搬入、基板搬出の搬送動作を行う基板搬送装置を選択するようにしたものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明による基板処理装置及び基板処理装置における基板搬送装置の実施の形態について説明する。図1は、本発明による基板処理装置の構成を示す図、図2R>2は、本発明による基板処理装置における基板搬送装置の構成及び動作を示す図、図3は、基板搬送装置の処理槽への基板の受渡動作を示す図、図4は、基板処理装置における基板搬送装置の搬送軌道上の移動範囲を示す図、図5は、基板の搬送経路を示す図であって、ストッカ、基板立替装置及び基板処理装置を正面方向から捉えたものである。なお、図8R>8に示す従来の基板処理装置と同一の構成及び機能を有する部分については同じ符号を用いて説明する。
【0026】
図1に示すように、本発明による基板処理装置1は、処理槽10〜15、チャック洗浄槽8,9、乾燥槽20、バッファー6、未処理基板立替装置35、処理済基板立替装置36、搬送軌道4上を移動する基板搬送装置RT1,RT2,RT3、シャトル上昇エレベータ23、シャトル下降エレベータ24と、シャトル3とを備えている。また、基板処理装置1は、ストッカ30(図5に示す)より供給される未処理の基板を受け入れて、シャトル3への受渡し位置に搬送する未処理基板立替装置35とシャトル上昇エレベータ23との組み合わせて使用される。
【0027】
ストッカ30は、基板処理装置1への未処理のシリコンウェーハ等の基板の搬入と、基板処理装置1を経た処理後の基板を後段の工程に向けて搬出する装置である。
【0028】
処理基板搬入部としての未処理基板立替装置35は、ストッカ30のカセットから全基板を一括チャッキングして取り出してシャトル上昇エレベータ23の受渡し位置まで移送する。
【0029】
また、処理基板搬出部としての処理済基板立替装置36は、基板搬送装置RT3で搬送された処理済の基板を受け取って、カセットに収納してストッカ30に移送する装置である。
【0030】
図1に示すようにバッファー6は、シャトル3より搬送された複数枚の基板を一時的に格納し、また、基板搬送装置RT1への受渡し位置へ基板を移動させる装置である。
【0031】
図1に示すように処理槽10〜15は、処理液が貯留された処理槽に基板を浸漬して洗浄等の処理を行うものである。処理槽10〜15は、基板の処理を行う順に搬送軌道4に沿って並べて設置されている。基板搬送装置RT1、RT2により搬送された基板の処理槽への投入及び処理完了後の基板の処理槽からの引き上げは、処理槽に設けられたリフターにより行われる。
【0032】
処理槽10〜15のリフターの受台10a〜15a(図1に示す)は、基板搬送装置からの基板を受渡し位置で受けとって、処理槽10〜15内に浸漬して、処理後に基板を受渡し位置まで上昇させて基板搬送装置に基板を引き渡すものである。
【0033】
リフターは、上下方向に移動可能な昇降部が設けられており、昇降部には基板を保持する基板保持部を有し、基板搬送装置RT1、RT2より受け取った基板を受台10a〜15aで保持するようになっている。基板を保持する受台10a〜15aの部材は、処理槽の処理薬液に対応して選択される。100℃以下の処理槽では主にテフロン(登録商標)などのフッ素樹脂又はPVC,PVDFなどの熱可塑性樹脂を用い、100℃以上の高温処理液を使用する処理槽では石英又は石英表面にフッ素樹脂を塗布した部材を選択する。
【0034】
図1に示すようにチャック洗浄手段としてのチャック洗浄槽8,9は、処理液等が付着した基板搬送装置の基板チャック部5c(図2に示す)の先端部を次の基板のチャック動作を行う前に、付着した処理液を除去するためチャックをチャック洗浄槽(急速排水機能を具備した純粋オーバーフロー槽)8,9に下降浸漬して、チャックに付着した処理液を純粋置換により洗浄した後、1〜20mm/secの引き上げ速度で引き上げ、チャック表面に付着した純水を除去するものである。基板搬送装置RT1,RT2は、処理液の入った処理槽からの基板の搬出後は、必ずチャック洗浄槽8,9で基板チャック部の洗浄を行う必要がある。チャック洗浄槽は、基板搬送装置毎に設けられており、基板搬送装置RT1は、チャック洗浄槽8を使用し、基板搬送装置RT2、RT3は、チャック洗浄槽9を使用するようになっている。なお、処理液を使用しないオーバフローリンス,クイックダンプリンス等の処理槽からの基板搬送では基板チャック部の洗浄は必要ない。
【0035】
同一の搬送軌道4上に設置された基板搬送装置RT1,RT2,RT3は、シャトル3により搬送されたバッファー6の基板を保持して、処理槽に沿って設けられた搬送軌道4上を移動して、処理槽の基板受渡し位置まで搬送する。また、処理槽で処理が終了した基板を基板受渡し位置で保持して、次の処理槽まで搬送する。さらに、乾燥槽で乾燥が終わった基板を処理済基板立替装置36へ搬送するものである。なお、図1に示す矢印は基板の搬送経路を示す。
【0036】
図2に示すように、基板搬送装置RT1,RT2,RT3は、搬送軌道4上を自在に移動可能な横移動部5aと、上下方向に移動することが可能な上下部5bと、基板40のチャック、保持、開放を行う基板チャック部5cから構成されている。
【0037】
基板搬送装置の横移動部5aは、パルスモータ等で回転駆動されるピニオンにより搬送軌道4としてのラック上を移動可能となっている。移動量としてのパルス数及び移動方向をパルスモータドライバーを介してパルスモータに印加することにより、基板搬送装置を所定の位置に移動させることができる。
【0038】
また、基板搬送装置の上下部5bは、ボールネジをパルスモータ等で回転させて上下の移動を行うようになっている。上下の移動量としてのパルス数及び上下方向をパルスモータドライバーを介してパルスモータに印加することにより、上下部5bの先端に取り付けられた基板チャック部5cを上死点及び下死点(基板受渡し位置)の位置に移動することが可能となっている。基板40のチャック、保持及び開放を行う基板チャック部5cは、モータにより先端部を図2の矢印で示すように移動させることにより基板40をチャック、保持及び開放することが可能な構造となっている。また、基板チャック部5cには、基板40のチャックミス、開放ミスを検出する基板検出部(処理基板有無センサ)を備えている。基板チャック部5cの先端部は、処理基板の部材より硬度の低い部材として、テフロン(登録商標)等で構成されている。
【0039】
図3(a)から(e)に基板搬送装置の処理槽への基板の受渡動作を示す。 図3(a)に示すように、基板搬送装置の基板チャック部5cは、基板40を基板チャック部5cで保持した状態で処理槽の受台10aの手前まで下降する。その後、基板搬送装置は低速で下降して、図3(b)に示すように、受台10aに基板が接触して基板チャック部5cの下降動作が停止する。このときの基板チャック部5cの基板40の保持状態を拡大して図3R>3(e)に示す。 図3(e)に示すように基板が受台10aに接触後、基板チャック部5cが下降しても、基板40が基板チャック部5cで上部方向に拘束されていないため、基板が基板チャック部5cをスライドする。このため、基板を破損することがない。基板を受台10aに載置後 、図3(c)に示すように、基板チャック部5cを矢印で示す方向に回転させて基板の保持を解放する。その後、図3(d)に示すように、基板チャック部5cを上昇させる。
【0040】
図1に示す搬送軌道4は、処理槽10〜15に沿って設けられており、基板搬送装置が搬送軌道4上を自在に移動できるようになっている。搬送軌道4には、ラックが設けられており、基板搬送装置の横移動部5aのピニオンにより基板搬送装置RT1,RT2、RT3が搬送軌道4上を自在に移動することができる。
【0041】
図1に示すシャトル3は、カセットに装填された未処理の基板がストッカ30から搬入され、未処理基板立替装置35によりカセットから全基板を一括チャッキングして取り出した基板をシャトル上昇エレベータ23から受け取ってシャトル下降エレベータ24まで搬送するものである。図1に示すように、シャトル3は、基板搬送装置RT1,RT2、RT3より高い位置に搬送軌道4と平行に配設されており、基板をシャトル下降エレベータ24まで搬送することができるように構成されている。また、シャトル3は搬送軌道4と独立して動作可能となっている。これにより、ストッカーからの未処理基板を最初の処理槽まで基板を搬送することができるため、基板搬送装置RT1,RT2、RT3は処理槽間の基板の搬送のみを行うことができる。
【0042】
以下に基板処理装置1における基板搬送装置の動作について説明する。図4は、基板処理装置1における基板搬送装置RT1,RT2、RT3の搬送軌道4上の可動範囲を示す図である。図4に示すように、基板搬送装置RT1は、バッファー6から最終の処理槽15まで移動することが可能となっている。また、基板搬送装置RT2は、第1の処理槽10から乾燥槽20まで移動することが可能となっている。基板搬送装置RT3は、チャック洗浄槽9から処理済基板立替装置36まで移動することが可能となっている。基板搬送装置RT1と基板搬送装置RT2は、第1の処理槽10から最終処理槽15までが共通動作範囲となっている。但し、搬送軌道4は共用しているため、基板搬送装置RT1は、基板搬送装置RT2の現在位置(第nの処理槽の位置)より一つ手前の第n−1の処理槽の位置まで移動することが可能となっている。
【0043】
また、バッファー6と第1の処理槽10との間には、第1のチャック洗浄槽8が設けられている。第1のチャック洗浄槽8は、基板搬送装置RT1の基板チャック部5cを洗浄する専用のチャック洗浄槽である。
【0044】
最終処理槽15と乾燥槽20との間には、第2のチャック洗浄槽9が設けられている。第2のチャック洗浄槽9は、基板搬送装置RT2及び基板搬送装置RT3の基板チャック部5cを洗浄する専用のチャック洗浄槽である。
【0045】
通常、基板搬送装置RT1は、第1のチャック洗浄槽8上で待機し、基板搬送装置RT2は、第2のチャック洗浄槽9上で待機し、基板搬送装置RT3は、処理済基板立替装置36上の位置で待機している。
【0046】
これにより3台の基板搬送装置RT1,RT2、RT3の内1台のみが動作する場合には、例えば、基板搬送装置RT2のみが動作し、他の基板搬送装置RT1,RT3が待機している場合は、第1の処理槽10から乾燥槽20までの範囲を移動することが可能となる。基板搬送装置RT1,RT2とが同時に動作する場合には、基板搬送装置RT1は、基板搬送装置RT2の手前の槽の位置まで移動することができる。
【0047】
次に、基板搬送装置の処理槽への基板の搬入及び処理槽からの基板の搬出並びに処理槽間の移動について述べる。
【0048】
基板搬送装置RT1による処理槽への基板の搬入は、基板を基板チャック部5cで保持し、基板のチャック後に上死点まで基板チャック部5cを上昇させて、上死点に到達後に搬送軌道4上を移動して処理槽の直上で停止する。また、処理槽は、上面に位置している蓋を開いて、リフターを基板受渡し位置まで上昇させる。基板搬送装置RT1は、基板チャック部5cをリフターの基板受渡し位置の手前まで下降して、その後低速で基板チャック部5cをリフターの基板受渡し位置より2〜5mmさらに下降し、基板をチャックしたままリフターに置く動作を行って停止する。このとき、処理基板は基板チャック部5cとリフターの双方で支持されている。停止後、基板チャック部5cの先端部を開いて、基板を完全にリフターへ引き渡す。基板搬送装置RT1は、基板チャック部5cを上死点まで上昇させる。基板チャック部5cの先端部を開いた後、リフター上に処理基板が置かれたことをリフターに具備された処理基板有無センサにより確認して、基板搬送装置RT1の上昇動作とリフターの下降動作を同時に行い、基板搬送装置RT1の上昇動作完了後、チャック部5cに処理基板が残されていないことを基板搬送装置RT1に具備された処理基板有無センサにより確認する。リフターの下降完了後に処理槽上面の蓋を閉じて基板の処理を行う。
【0049】
なお、基板搬送装置RT1、RT2がリフターに基板を引き渡す際に、基板チャック部5cを上昇させて、上死点に到達後に搬送軌道4上を移動して処理槽の直上で停止して、その後、リフターの基板受渡し位置の手前まで下降するが、本発明による基板処理装置は、基板搬送装置RT1、RT2が基板を引き渡す処理槽へ移動中に、基板チャック部5cをリフターの基板受渡し位置の手前まで下降し、また、基板搬送装置RT1、RT2が移動中にリフターを基板受渡し位置まで上昇させる動作も可能なように構成されている。基板搬送装置とリフターの動作をオーバラップさせることにより、基板の搬送時間を短縮することが出来る。
【0050】
処理槽は、基板の処理の完了後、処理槽上面の蓋を開いて基板をリフターにより基板受渡し位置まで上昇させる。基板搬送装置RT1は、基板チャック部5cの先端部を開放した状態で基板受渡し位置まで下降して、リフター上の基板を有無を確認して、基板がリフター上にある場合には、基板のチャックを行う。その後、基板搬送装置RT1は基板チャック部5cを上昇させる。この時、基板のチャックが正常に行われているかをリフターに具備された処理基板有無センサと基板搬送装置RT1に具備された処理基板有無センサにより確認して、上死点まで上昇する。また、処理槽は、リフターを下降させて蓋を閉じる。なお、基板搬送装置RT2,RT3の処理槽への基板の搬入及び処理槽からの基板の搬出並びに処理槽間の移動は、基板搬送装置RT1と同様である。
【0051】
以上述べたストッカ、未処理基板立替装置、シャトル、基板処理装置等における基板の搬送経路を図5に示す。図5に示すように、基板は、カセットに収納された未処理の基板がストッカ30に搬入されて、ストッカ30より未処理基板立替装置35に転送されてカセットから全基板を一括チャッキングして取り出してシャトル上昇エレベータ23によりシャトル3まで移送して、シャトル3に受渡される。シャトル3は、基板をシャトル下降エレベータ24まで搬送して、シャトル下降エレベータ24に渡す。、シャトル下降エレベータ24は基板を保持しながらバッファー6の受渡位置まで下降してバッファー6に基板を渡す。
【0052】
搬送軌道4上を移動する基板搬送装置RT1は、バッファー6より基板を一括チャッキングして、上死点まで上昇し、上死点に到達後に第1の処理槽10の直上まで移動する。移動完了後、処理槽の基板受渡し位置まで下降して、処理槽のリフターに引き渡す。リフターは、基板の受取後に下降して、下降完了後に処理槽で処理が行われる。処理完了後にリフターが基板受渡し位置まで上昇して、基板搬送装置RT1又はRT2に引き渡す。以下同様に、基板は順次基板搬送装置RT1又はRT2で処理槽に搬送され、処理が行われる。乾燥槽20で乾燥処理が完了した基板は、基板搬送装置RT3によって処理済基板立替装置36に転送されて、処理済基板立替装置36でカセットに収納される。カセットに収納された基板はストッカ30に搬入されて、ストッカ30より次の工程に引き渡される。
【0053】
次に、基板処理装置1における基板搬送装置の制御について述べる。最初に、基板処理装置1での処理条件、搬送条件の設定を行う。基板処理装置1での処理条件、搬送条件は、例えば、各処理槽における処理時間、処理液の種類、基板搬送装置の搬送時間、リフターの動作時間等である。これらの処理条件、搬送条件入力後に、基板処理装置1に内蔵されたコンピュータのスケジューラ(ソフトウェア)により基板搬送装置の制御も含めた処理のスケジューリングがなされる。スケジューリングにより、各基板搬送装置の動作のタイミングが決定される。なお、基板処理装置1に内蔵されたコンピュータは、スケジューラにより生成されたスケジューリングデータで同時に複数の処理槽での基板搬送が生じた場合の分担条件を決める基板搬送分担処理条件を記憶されている。基板搬送分担処理条件は、バッファー6から第1の処理槽10の基板の搬送は基板搬送装置RT1が行う、乾燥槽20から処理済基板立替装置36への基板の搬送は基板搬送装置RT3が行う、第nの処理槽とn未満の処理槽との同時基板搬送は、第nの処理槽の基板の搬送は基板搬送装置RT2が行い、n未満の処理槽の基板の搬送は基板搬送装置RT1が行う等である。
【0054】
図6は、スケジューラによる基板処理装置1の制御シーケンス作成のフローチャートを示す図である。図6に示すように、最初に、処理槽の設置数、各処理槽における処理時間、処理液の種類、基板搬送装置の搬送時間、リフターの動作時間等に関する処理条件、搬送条件のデータの入力をキーボード等の入力装置、又は、搬送時間、リフターの動作時間の測定(ティーチング)等により行う(ステップS1)。コンピュータは、入力されたデータに基づいて、処理のスケジューリングの作成を行う(ステップS2)。スケジューリングは、各処理槽の処理時間、処理液の種類のデータから各処理槽への基板の投入開始時間、持ち出し時間が算出される。また。処理槽の処理液の種類により基板搬送装置のチャック部の洗浄が必要かを判断する。これにより総ての処理槽に於ける処理開始時間、処理終了時間及び基板搬送装置の各処理槽に於ける基板の搬入及び搬出のタイミングが決定される。
【0055】
次に、基板搬送装置の搬入及び搬出のタイミングから基板搬送装置の動作が重ならないかをチェックする(ステップS3)。基板搬送装置の動作が重ならない場合は、ステップS8に移行する。基板搬送装置の動作が重なる場合には、ステップS5に移行して(ステップS4)、記憶装置に記憶されている基板搬送分担処理条件を参照して(ステップS5)、基板搬送装置RT1、RT2及びRT3で基板の搬送の分担処理が可能かをチェックする。分担処理が可能の場合には、ステップS8に移行する。分担処理ができない場合にはステップS7に移行して(ステップS6)、スケジューリングにより作成されている基板の投入タイミングを変更して(ステップS7)、ステップS3に移行する。基板搬送装置が処理可能と判断した場合には、スケジューリングの確定を行う(ステップS8)。確定したスケジュールのデータを基板処理装置1の制御装置に転送し(ステップS9)、基板処理装置1は処理を開始する(ステップS10)。以上により、バッファー6の基板は、基板搬送装置RT1により第1の処理槽に搬送されて、処理が開始される。
【0056】
図7に示すタイミング図は、スケジューラにより作成された基板処理装置1の制御シーケンスの各処理槽における基板の処理を時系列で示した図である。なお、図7の基板搬送装置RT1,RT2,RT3の四角形は基板搬送動作を示し、黒塗りの四角形は基板チャック部のチャック洗浄槽での洗浄動作を示している。図7に示すように、同時に基板の搬送が発生した場合には、基板搬送装置RT1,RT2,RT3に動作を分担させることにより、基板の搬送が遅れることなく順次搬送される。基板搬送装置が1台のみの場合と比較して、基板の洗浄槽への投入を遅らせる必要がないため、スループットを向上させることができる。また、未処理の基板をシャトルにより搬送することにより、基板搬送装置は処理槽間の基板のみを行えばよいためスループットを向上させることができる。
【0057】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による基板処理装置及び基板処理装置における基板搬送装置は、同一搬送軌道上に基板搬送装置を複数台設けて互いに複数の処理槽を重複して移動できるように制御することにより、複数の処理槽の基板搬送を同時に行うことができる。これにより基板処理のスループットを向上することが可能となる。
【0058】
また、本発明による基板処理装置は、設置面積を増大することなく、未処理基板の供給を専用に行うシャトルを設けたことにより、基板搬送装置の動作と独立してバッファーに基板を供給することができるため、基板処理のスループットを向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による基板処理装置の構成を示す図である。
【図2】本発明による基板処理装置における基板搬送装置の構成及び動作を示す図である。
【図3】基板搬送装置の処理槽への基板の受渡動作を(a)から(e)で示す図である。
【図4】基板処理装置における基板搬送装置の搬送軌道上の移動範囲を示す図である。
【図5】基板の搬送経路を示す図であって、ストッカ、基板立替装置及び基板処理装置を正面方向から捉えたものである。
【図6】スケジューラによる基板処理装置の制御シーケンス作成のフローチャートを示す図である。
【図7】スケジューラにより作成された基板処理装置の制御シーケンスの各処理槽における基板の処理を時系列で示したタイミング図である。
【図8】従来の基板処理装置の要部の構成を示す図である。
【図9】従来のスケジューラによる基板処理装置の制御シーケンス作成のフローチャートを示す図である。
【図10】各処理槽に於ける基板の処理を時系列で示したタイミング図である。
【図11】各処理槽の処理の完了が重ならないようにするため、基板の第1の処理槽への投入を遅らせた場合のタイミング図である。
【符号の説明】
1、50 基板処理装置
3 シャトル
4 搬送軌道
5a 基板搬送装置の横移動部
5b 基板搬送装置の上下部
5c 基板搬送装置の基板チャック部
6 バッファー
8,9 チャック洗浄槽
10〜15 処理槽
10a〜15a 受台
20 乾燥槽
23 シャトル上昇エレベータ
24 シャトル下降エレベータ
30 ストッカ
35 未処理基板立替装置
36 処理済基板立替装置
40 基板(シリコンウェーハ)
R1,R2,R3,RT1,RT2,RT3 基板搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理槽と、前記処理槽に沿って設けられた搬送軌道と、前記搬送軌道上を移動して基板を受渡し搬送する基板搬送装置とからなる基板処理装置であって、
同一搬送軌道上に少なくとも2以上の前記基板搬送装置を備え、前記基板搬送装置は互いに複数の処理槽を共通動作範囲として動作可能であること
を特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
基板を処理する処理槽と、前記処理槽に沿って設けられた搬送軌道と、前記搬送軌道上を移動して基板を受渡し搬送する基板搬送装置とからなる基板処理装置であって、
前記基板搬送装置より高い位置に前記搬送軌道と平行に、未処理の基板を搬送するシャトルを具備したことを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
基板を処理する処理槽と、前記処理槽に沿って設けられた搬送軌道と、前記搬送軌道上を移動して基板を受渡し搬送する基板搬送装置とからなる基板処理装置であって、
同一搬送軌道上に少なくとも2以上の前記基板搬送装置を備え、互いに複数の処理槽を共通動作範囲として動作可能である前記基板搬送装置と、前記基板搬送装置より高い位置に前記搬送軌道と平行に、未処理の基板を搬送するシャトルとを具備したことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
前記基板搬送装置毎に、前記基板搬送装置の基板チャック部の洗浄を行うチャック洗浄手段としての専用槽を具備したことを特徴とする請求項1または請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記シャトルから未処理の基板を受け取り、未処理の基板を前記基板搬送装置の受け渡し位置まで下降させるシャトル下降エレベータを具備したことを特徴とする
請求項2または請求項3記載の基板処理装置。
【請求項6】
未処理の基板を上昇させて前記シャトルに搬送するシャトル上昇エレベータを具備したことを特徴とする
請求項2または請求項3記載の基板処理装置。
【請求項7】
未処理基板の搬入位置から前記シャトル上昇エレベータまで未処理基板を搬送する処理基板搬入部を具備したことを特徴とする
請求項2または請求項3記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板搬送装置から処理済み基板を受け取り基板搬出位置まで搬送する処理基板搬出部を具備したことを特徴とする
請求項2または請求項3記載の基板処理装置。
【請求項9】
処理条件、搬送条件を入力し、前記処理条件、搬送条件からスケジューラにより生成されたスケジューリングデータに基づいて基板搬送装置の制御を行う基板処理装置における基板搬送装置において、
スケジューラにより生成されたスケジューリングデータで同時に複数の処理槽での基板搬送が生ずる場合には、基板搬送分担処理条件と照合してスケジューリングデータを決定すること
を特徴とする基板処理装置における基板搬送装置。
【請求項10】
前記スケジューラは、共通動作範囲内の複数の基板搬送装置から所定の処理槽への基板搬入、基板搬出の搬送動作を行う基板搬送装置を選択することを特徴とする請求項9記載の基板処理装置における基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2004−186331(P2004−186331A)
【公開日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−350316(P2002−350316)
【出願日】平成14年12月2日(2002.12.2)
【出願人】(000124959)株式会社カイジョー (83)
【Fターム(参考)】